JP2001058804A - 防錆顔料及びこれを用いた塗料組成物、並びに塗装金属板 - Google Patents

防錆顔料及びこれを用いた塗料組成物、並びに塗装金属板

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JP2001058804A
JP2001058804A JP11235877A JP23587799A JP2001058804A JP 2001058804 A JP2001058804 A JP 2001058804A JP 11235877 A JP11235877 A JP 11235877A JP 23587799 A JP23587799 A JP 23587799A JP 2001058804 A JP2001058804 A JP 2001058804A
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Takashi Iijima
孝 飯島
Kenichiro Tadokoro
健一郎 田所
Hiromasa Nomura
広正 野村
Kohei Ueda
浩平 植田
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は防錆性に優れ、且つ6価クロムを全
く含まない防錆顔料、並びに、該防錆顔料を含む塗料組
成物、更に該塗料組成物を被覆してなる塗装金属板を提
供すること。 【解決手段】 イットリウムを含むランタノイド元素の
リン酸塩及び/または縮合リン酸塩を主成分とする防錆
顔料であって、リン(31P)の核磁気共鳴(NMR)に
よる化学シフトスペクトルにおいて、オルトリン酸の31
Pのピークをシフトゼロとした際、2〜−2ppmと−
4〜−10ppmとにピークを持ち、各々のピーク強度
をI1 、I2 とするとき、強度比I1 /I2 が0.1以
上30.0以下であり、且つ、イットリウムを含むラン
タノイド元素に対するリン成分のモル比が1よりも大き
く10未満であることを特徴とする防錆顔料、及びこれ
を含有してなる塗料組成物、並びに該塗料組成物を被覆
してなる塗装金属板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は防錆性に優れ、且つ
6価クロムを全く含まない防錆顔料に関する。また、本
発明はかかる防錆顔料を使用した塗料組成物に関し、さ
らに、該塗料組成物を被覆してなる塗装金属板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】金属は一般に水、酸素、電解質の存在下
において腐食が進行する。この腐食を抑制するために、
通常、塗膜で金属表面を覆うことで防食が行われている
が、樹脂をその主たる構成要素とする塗膜では、外部か
らの水、酸素の透過を完全に無くすことは現実的には不
可能である。そこで、塗膜中に存在する微量の水分を利
用して、積極的に塗膜下金属表面に安定な皮膜、いわゆ
る不働態皮膜を形成することで腐食反応を抑制すること
が検討されている。すなわち、塗膜中に水溶性の防錆顔
料を分散させ、塗膜内に進入する水分により溶出した顔
料成分が金属表面で反応し不働態皮膜を形成するという
ものである。この防錆顔料として典型的なものがクロム
酸イオン(CrO4 2-)と金属とを反応させて不働態皮
膜を形成するものである。
【0003】クロム酸イオン系顔料の防食の機構は、ク
ロム酸イオンのもつ2つの機能に起因することは、一般
に知られるところである。一つはクロム酸イオンの持つ
金属の酸化機能(金属酸化皮膜生成機能)であり、一つ
は還元したクロム酸イオンの沈着機能、すなわちクロメ
ート皮膜生成(Cr2 3 など)機能である。ところ
が、6価クロムは毒性が強く、種々の法令によりその使
用が大きく制限されており、クロム酸系顔料に代替する
無公害もしくは、低公害の防錆剤の開発が急務である。
【0004】この観点からの改善例として、リン酸イオ
ンとバナジン酸イオンとを複合した系が報告されている
(特公平5−50444号公報、特開平1−92279
号公報)が、アノード酸化に対してはリン酸イオンが作
用するが、バナジン酸イオンによるカソード反応の抑制
が不十分であり、クロム酸系顔料に比較して、十分な防
錆効果は得られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの課題
を解決して、クロム酸イオン系防錆顔料に代替できる環
境負荷の小さい防錆顔料を提供することを目的としてい
る。さらに、本発明はかかる防錆顔料を使用した塗料組
成物を提供し、また、該塗料組成物を被覆してなる塗装
金属板を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】クロム酸イオン系顔料に
代わる防錆顔料を鋭意検討を重ねた結果、特定の金属の
リン酸塩を用いることにより、リン酸イオンによる沈着
膜形成と金属成分による酸化物被膜形成の相乗効果によ
り、クロム酸イオン系顔料に匹敵する特性を発揮するこ
とを見出し、本発明の完成に至ったものである。
【0007】すなわち、本発明の要旨は、 (1)イットリウムを含むランタノイド元素のリン酸
塩、及び/または、縮合リン酸塩を主成分とする防錆顔
料であって、リン(31P)の核磁気共鳴(NMR)によ
る化学シフトスペクトルにおいて、オルトリン酸の31
のピークをシフトゼロとした際、2〜−2ppmと−4
〜−10ppmとにピークを持ち、各々のピーク強度を
1 、I2 とするとき、強度比I1 /I2 が0.1以上
30.0以下であり、且つ、イットリウムを含むランタ
ノイド元素に対するリン成分のモル比が1よりも大きく
10未満であることを特徴とする防錆顔料。
【0008】(2)イットリウムを含むランタノイド元
素が、イットリウム、セリウム、及びランタンである前
記(1)記載の防錆顔料。 (3)少なくとも前記(1)〜(2)に記載の防錆顔料
を含有してなる塗料組成物。 (4)金属板の片面及び/又は両面に少なくとも前記
(3)記載の塗料組成物を用いて単一層状にまたは多層
状に被覆してなることを特徴とする塗装金属板、であ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における防錆機構の本質的
なポイントは、一般に知られているように、リン酸イオ
ンの持つ金属のアノード酸化の抑制機能、すなわち沈着
機能と、イットリウムを含むランタノイド元素(以下、
ランタノイド元素と略す)の持つカソードインヒビター
としての機能を複合することで、クロム酸イオンと同等
の機能の発現を実現した点である。カソードインヒビタ
ーとしての機能の強化、並びに、金属表面上に形成され
るランタノイド元素の酸化物、水酸化物のバリアー性の
観点から、本願発明者らが鋭意検討した結果、セリウ
ム、ランタン、イットリウムがバリアー性の高い皮膜を
金属板上に形成することを見出した。
【0010】一方のリン酸イオンに関し要求される機能
は、顔料を含む塗膜の防錆機能の長期保存性と、加工等
による皮膜の損傷部分へのリン酸イオン(縮合リン酸イ
オン、リン酸水素イオンを含む)の溶出の速度とのバラ
ンスを取るという目的から、水に対するリン酸塩の溶解
度とその速度を最適化することである。鋭意検討の結
果、ポリリン酸、メタリン酸、オルトリン酸などリン酸
の縮合形態に由来する構造の多様性を制御することで、
リン酸塩の水に対する溶解度とその速度を最適化するこ
とが可能であることを見出した。更に、その構造を規定
するための指標として、2つの指標を導入した。
【0011】すなわち、1)リン(31P)の核磁気共鳴
(NMR)による化学シフトスペクトルにおいて、オル
トリン酸の31Pのピークをシフトゼロとした際、2〜−
2ppmと−4〜−10ppmとにピークを持ち、各々
のピーク強度をI1 、I2 とするとき、強度比I1 /I
2 が0.1以上30.0以下であること、 2)リン酸塩におけるランタノイド元素に対するリンの
モル比が1よりも大きく10未満にすることで、長期保
存性と損傷部耐食性をバランスよく両立することが可能
であることが判明し、本願発明を完成するに至った。 これら二つの指標における上記の規定とリン酸塩の水に
対する溶解性との関係は以下の機構によるものと考えら
れる。
【0012】本願発明において規定するリン酸塩は、基
本的には3価のランタノイド元素、リン酸イオンとから
構成されるが、リン酸イオンは、3価のリン酸イオン、
2価、1価のリン酸水素イオン、更に、一般に知られて
いるような環状、直鎖、分岐構造など種々のポリ構造イ
オンの複合体である。便宜的に“塩”という表現を用い
ているが、金属イオンとポリリン酸イオンとの結合は、
ポリリン酸イオンと金属イオンに関しては一種の錯構造
と見なすことが可能である。この錯構造における相互作
用の強さ、リン酸イオン自体のポリ構造が、水に対する
リン酸イオンの溶解性を支配していると考えられる。す
なわち、リン酸のポリ構造に関しては、ポリ化が進む
(縮合度が高い)ほど、環状の度合いが高い(メタ化)
ほど、水への溶出は遅延され、他方、ランタノイド元素
のリン酸イオンに対するモル比が大きければ、錯構造に
よるリン酸イオンとランタノイド元素との結合安定化が
強化され、水へのリン酸イオンの溶出が遅延される。
【0013】リン酸塩におけるランタノイド元素に対す
るリンのモル比は、ランタノイド元素イオンとリン酸イ
オンの錯構造によるリン酸イオンの溶出制御に関する規
定であり、定性的には、この数値が大きければ錯構造が
弱まり溶出は容易になり、反対に数値が小さければ錯構
造が強固になり溶出は遅くなる。本願発明者らが鋭意検
討の結果、リンのモル比率をランタノイド元素に対して
1より大きく10未満が好適であり、より好ましくは、
1.5以上9未満、更に好ましくは2.0以上8未満が
好適である。ランタノイド元素に対するリンのモル比が
1以下では、ランタノイド元素による錯構造の安定化が
強すぎるためにリン酸の溶出が不十分で防錆特性が発揮
されない。他方、モル比が10以上では、リン酸イオン
の溶出が速すぎるために防錆特性の長期保存性が著しく
劣化してしまう。
【0014】一方、ランタノイド元素は、カソードイン
ヒビターの機能と同時にリン酸イオン(ポリリン酸イオ
ン)との相互作用が強いことが特徴で、本願発明では、
リン酸イオンのポリ構造と共に、ポリリン酸イオンの固
定化に、ランタノイド元素のリン酸イオンとの強い相互
作用が本質的に重要な働きをしている。この相互作用の
強さを定量的に表す指標となるのが、リン(31P)の核
磁気共鳴(NMR)による化学シフトの情報である。す
なわち、イットリウムを含むランタノイド元素がリン酸
イオンに強く相互作用している場合には、リン(31P)
の核磁気共鳴(NMR)による化学シフトを生じ(−4
〜−10ppmにピークがシフトする)、ランタノイド
元素と相互作用していないリン(31P)はほとんど化学
シフトを生じない(−2〜2ppmにピークが現れ
る)。
【0015】そして、各々のピーク強度の比を規定する
ことで、リン酸イオンのランタノイドによる固定の程度
を規定しようとするものであり、具体的に数値化したの
が、2ppm〜−2ppmと−4〜−10ppmのピー
クの各々のピーク強度をI1、I2 とするとき、強度比
1 /I2 が0.1以上30.0以下であり、さらに好
ましくは、強度比I1 /I2 が0.5以上20.0以下
である。強度比I1 /I2 が0.1未満では、ランタノ
イドによるリン酸の固定化が過剰であるためにリン酸の
溶出が不十分となり、その結果、金属板の損傷部に対す
る耐食性が低下してしまう。また、強度比I1 /I2
30.0を越えると、リン酸イオンの溶出が速すぎるた
めに防錆特性の長期保存性が著しく劣化してしまう。
【0016】本願発明のランタノイド系元素リン酸塩
は、上記のポリリン酸イオンと金属イオンとの錯構造体
であることが本質的に重要なポイントであり、従って、
その製造方法に関しては限定されるものではない。例示
するならば、(1)ランタノイド元素の塩化物水溶液と
リン酸(ポリリン酸を含む)との溶液を加熱(脱塩素)
する、(2)ランタノイドの硝酸塩水溶液とリン酸との
溶液を加熱(脱NOx)する、(3)ランタノイド酸化
物とリン酸とを加熱混合する、(4)中性のポリリン酸
塩溶液にランタノイド塩を加えることでランタノイドの
リン酸塩の沈殿物を得る(更に加熱することで水和水を
取り除くこと)などの方法を適用することができる。
【0017】本発明におけるランタノイド系元素リン酸
塩は、同一被膜中において、単一種類で使用するばかり
でなく、リン酸イオンの形態、ランタノイド元素の異な
る金属塩を複数種類混合して使用することも可能であ
る。複数の金属リン酸塩を混合することにより、種々の
腐食環境に対して幅広く対応が可能になるという利点が
ある。また、皮膜の防錆機能強化のために、本願発明の
顔料と共に、各種有機腐食抑制剤、不働態化皮膜形成助
剤、分散剤や消泡剤などの界面活性剤、その他の添加物
を複合して使用することもできる。
【0018】本発明の塗料組成物は本発明の防錆顔料を
含有していれば他は何ら制限されるものではない。本発
明の防錆顔料は、塗料全固形分100重量部に対して0.1〜
100重量部、好ましくは1〜50重量部の範囲で配合さ
れる。0.1重量部未満では十分な防錆機能を発揮させ
ることができず、100重量部を超える量を配合して
も、防錆機能は飽和してしまい、経済性を考慮すると1
00重量部以下が好ましい。さらにフィルム形成性樹脂
が主成分として配合されることが好ましい。
【0019】フィルム形成性樹脂としては、金属面また
は化成処理面、さらに必要に応じて施す上塗り塗膜との
密着性や外観に問題がなければ基本的に公知のどのよう
な樹脂でも適用できる。例示するならば、エポキシ樹
脂、マレイン化油、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリ
エステル樹脂、尿素樹脂、ブロック化イソシアネート樹
脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ル酸エステル、シリコン樹脂などが例示される。
【0020】本発明の防食塗料はその形態を何ら制限す
るものではない。例示するならば、水性塗料、溶剤型塗
料、粉体塗料、電着塗料、スプレー塗料、クリアー塗料
などが挙げられる。また、これら塗料の種々の形態に応
じて、溶剤、着色顔料、体質顔料、その他種々の添加剤
を含んでも良い。厳しい加工を必要とされる用途では加
工時のキズ付きを防止する目的でワックス成分等の潤滑
剤を添加してもよい。さらに耐食性を向上させるため
に、湿式シリカ、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ
等の微粒子状シリカを添加してもよい。
【0021】本発明の塗装金属板に用いる金属板として
は、各種金属板(めっき鋼板を含む)を使用することが
可能であり、代表的なものとして熱延鋼板や冷延鋼板、
溶融亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛−鉄合金めっき鋼板、溶
融亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−マグ
ネシウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛−アルミニウム−マ
グネシウム合金めっき鋼板、溶融アルミニウム−シリコ
ン合金めっき鋼板、溶融鉛−スズめっき鋼板などの溶融
めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛−ニッケル
めっき鋼板、電気亜鉛−クロム合金めっき鋼板などの電
気めっき鋼板、ステンレス鋼板、銅板、アルミニウム合
金板、マグネシウム合金板など、公知の金属板を適用で
きる。これら金属板と防錆顔料を含有する塗膜層との密
着性を改善する目的で必要に応じて化成処理を施すこと
もできる。化成処理としてはリン酸亜鉛などのリン酸塩
系処理、シランカップリング系処理、タンニン酸系処理
など公知のものを適用できる。
【0022】金属板上に形成される被膜に含まれるラン
タノイド元素のリン酸塩の量としては、求められる耐食
性、塗膜のマトリックス組成のバリア特性などによりに
より必要量が変化するため、限定することはできない
が、最低限の必要量はランタノイド元素換算で1mg/
2 以上である。1mg/m2 未満では、添加効果が不
十分で皮膜としての耐食性向上が認められない。また、
10g/m2 を越えて添加しても防錆顔料の溶出量の増
加による耐食性向上効果は飽和してしまうため、経済性
を考慮すると10g/m2 で十分である。
【0023】また、ランタノイド元素リン酸塩の被膜中
での存在状態は、被膜のマトリックスに対して顔料粒子
が分散した状態で防錆被膜としての機能を発現する。従
って、均一な防食性を得るためには、顔料樹脂の一様な
分散状態が望ましい。顔料粒子の粒径は、1μm以下が
好ましく、更には、0.5μm以下、特に、0.2μm
以下が好ましい。粒子径が1μm以上であると、被膜中
での一様な分散状態の確保が困難であるばかりでなく、
加工した際に顔料を起点とした被膜の割れを生じる確率
が高まり、その結果、耐食性の低下を招く。
【0024】本発明の塗装金属板の皮膜の膜厚は用途に
応じて変わるため限定することはできないが0.01〜
100μmが好ましい。更に好ましくは0.1〜50μ
mである。0.01μm未満では十分な耐食性が得られ
ず、100μm超では耐食性は十分であるものの加工性
が低下してしまう。本発明の塗装金属板は必要に応じて
2層以上の複層構造にしてもよい。すなわち、下塗り層
として本発明の防錆顔料を有する塗膜を施し、その上層
に着色された塗膜層を施してもよい。また、下塗り層と
して本発明以外の一般的な被膜層を施し、その上層に本
発明の被膜層を施してもよい。
【0025】
【実施例】以下に示す実施例をもって本発明を具体的に
説明するが、本発明は以下の具体例に限定されるもので
はない。 <顔料の調整>以下の試薬を使用し、下記の方法にした
がって本発明が規定するところの防錆顔料を調整した; (1)リン酸 オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸は、いずれも、
関東化学(株)の特級試薬を用いた。 (2)塩化セリウム(III)[CeCl3 ] (3)塩化ランタン(III)[LaCl3 ] (4)塩化ネオジム(III)[NdCl3 ] (5)塩化サマリウム(III)[SmCl3 ] (6)塩化イットリウム(III)[YCl3 ] 以上(2)〜(6)は関東化学(株)の特級試薬を用い
た。
【0026】(7)クロム酸ストロンチウム(SrCr
4 )は昭和化学(株)の試薬を用いた。 (8)リン酸ランタン1水和物(LaPO4 ・H2 O)
は、添川理化学(株)の試薬を用いた。 (9)リン酸セリウム(CePO4 )は、高純度化学
(株)の試薬を用いた。 上記(1)〜(6)の試薬を用いて、以下の手法によ
り、各々(10)〜(14)の種々のランタノイドのリ
ン酸塩顔料を調整した。
【0027】塩化セリウムなど各種塩化物の水溶液にリ
ン酸をモル比で1:1、1:1.5、1:2、1:3の
混合比で加えて、一様な溶液とし、空気中で、150
℃、200℃、250℃の各々の温度で20時間処理する
ことで、ランタノイドのリン酸塩を調整した。 (10)セリウムリン酸化合物 (11)ランタンリン酸化合物 (12)ネオジムリン酸化合物 (13)サマリウムリン酸化合物 (14)イットリウムリン酸化合物 上記の各種リン酸塩は、ランタノイド元素、ランタノイ
ド元素に対するリンのモル比、加熱温度を用いて分類
し、その結果を、表1、表2にまとめて示した。
【0028】<リン(31P)の核磁気共鳴(NMR)に
よる化学シフトスペクトル測定>固体高分解能CP/M
AS(交差分極/マジックアングル回転)法を用いて、
上記の方法で調整した防錆顔料のリン(31P)の核磁気
共鳴(NMR)による化学シフトスペクトル測定した。
測定には、プロトン共鳴周波数400MHzのVari
an社製のUNITY INOVA/GEMINI2000C
/Hシステムを用い、サンプル回転数を1000〜60
00rpmにして測定した。上記顔料に関する測定結果
から、2ppm〜−2ppmと−4〜−10ppmのピ
ークの各々のピーク強度をI1 、I2 としたときの強度
比I1 /I2 を算出し、表1、表2にまとめて示した。
【0029】<供試材>板厚0.6mmの冷延鋼板(C
R)と、亜鉛めっき付着量が片面当たり60g/m2
両面がめっきされた厚み0.6mmの溶融亜鉛めっき鋼
板(GI)とを、脱脂剤FC−364S(日本パーカラ
イジング社製)で脱脂を行い、水洗、乾燥した後、以下
に記述する処理を行った。 <顔料を含んだ防錆処理液の調整>熱硬化型のエポキシ
樹脂(日本ペイント社製)に上記で調整した顔料粉末を
配合し建浴した。樹脂マトリックス(固形分換算)に対
する防錆顔料の重量比を8:2とした(20wt%)。
なお、比較として樹脂マトリックス単身も建浴した。
【0030】<皮膜形成法> (1)一層皮膜形成;上記の処理浴を鋼鈑上に塗布し、
200℃で約1分間乾燥し皮膜形成を行った。鋼鈑への
塗布量は、平面部耐食性評価に対しては皮膜厚さにして
約1μmに統一した。 (2)多層皮膜形成;化成処理(下地処理)として日本
パーカライジング社製処理剤E200を用い処理した鋼
板の両面に、一層皮膜形成と同じ処理液を乾燥膜厚が5
μmになるように塗布し、熱風乾燥炉で到達板温210
℃、到達時間45秒間で焼き付け、水冷して防錆プライ
マー皮膜層を形成した。続いてポリエステル系上塗り塗
料としてFL100HQ(日本ペイント製、白色)を乾
燥膜厚が5μmになるように塗布し、熱風乾燥炉で到達
板温220℃、到達時間45秒間で焼き付け、水冷して上
層皮膜層を形成した。裏面は全て、メラミンアルキド系
塗料を乾燥膜厚が7μmになるように塗布し、到達板温
230℃、45秒間の条件で焼き付け、そして水冷し
た。鋼板上への塗料の塗布にはすべてバーコーターを用
いた。
【0031】<皮膜の性能評価方法> (1) 平面部耐食性 塗装後の鋼板の評価面の端部をポリエステルテープでシ
ールし、JIS Z2371に準じた塩水噴霧試験(3
5℃、5重量%塩化ナトリウム)を行い、平面部の錆発
生面積率を評価した。下地鋼板がGIの場合は塩水噴霧
試験240時間後での白錆発生面積率で評価し、CRの
場合は塩水噴霧試験120時間後での赤錆面積率で評価
した。
【0032】錆発生部の面積のサンプル全面積に対する
比率に基づき下記の分類により評点化した。 評点:◎:錆発生無し ○:錆発生率 5%未満 △:錆発生率 5%以上、20%未満 ×:錆発生率 20%以上
【0033】(2)キズ部耐食性 カッターナイフを使用して塗装後の鋼板の評価面側の素
地に到達するクロスカットを塗膜につけた後、JIS
Z 2371に準じた塩水噴霧試験を240時間実施し
た。クロスカット片側の最大膨れ幅を測定し、以下の基
準で評点化した。 評点:◎:片側膨れ幅1mm未満 ○:片側膨れ幅1mm以上5mm未満 △:片側膨れ幅5mm以上
【0034】また、切断時の返り(バリ)が塗装鋼板の
評価面側にくるように(上バリとなるように)作製した
試験片についても上記の塩水噴霧試験を実施し、端面か
らの塗膜の膨れ幅を測定した。以下の基準で評点化し
た。 評点:◎:端面からの膨れ幅3mm未満 ○:端面からの膨れ幅3mm以上5mm未満 △:片側膨れ幅5mm以上 (実施例1〜23) 一層皮膜による耐食性評価 上述の方法に従い、ランタノイド元素とりんとのモル比
1:3、加熱温度150〜250℃で調整した各種防錆
顔料を用いて、下地金属CR並びにGIに一層皮膜を形
成し、平面部耐食性を評価した。その結果を表1にまと
めて示す。
【0035】
【表1】
【0036】(比較例1)防錆顔料を配合せずに樹脂の
みを用いて実施例1と同様の方法でCR上に一層皮膜を形
成し、平面部耐食性を評価した。 (比較例2〜4)ランタノイド元素としてランタンを用
い、ランタンに対するりんの元素比を小さくする、顔料
調整温度を高くすることで、溶出するリン酸イオンの量
を少なくした顔料を調整し、実施例1と同様の方法でC
R上に一層皮膜を形成し、平面部耐食性を評価した。
【0037】(比較例5)防錆顔料を配合せずに樹脂の
みを用いて実施例11と同様の方法でGI上に一層皮膜
を形成し、平面部耐食性を評価した。 (比較例6〜8)ランタノイド元素としてセリウムを用
い、セリウムに対するりんの元素比を小さくする、顔料
調整温度を高くすることで、溶出するリン酸イオンの量
を少なくした顔料を調整し、実施例11と同様の方法で
GI上に一層皮膜を形成し、平面部耐食性を評価した。
表1(実施例1〜23、比較例1〜8)の結果から、明
らかに本発明で規定する顔料を含んだ防錆塗料で被覆さ
れた塗装鋼板(一層被膜)は優れた防錆特性を示すこと
がわかる。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例24〜43)多層皮膜による耐食
性評価 実施例1〜23に用いた溶融亜鉛メッキ鋼板GIと同じ
ものを用い、同様の脱脂処理をした後、上述の方法に従
って、下地処理、防錆顔料を含んだプライマー層、上層
皮膜(トップコート)を形成し、キズ部耐食性を評価し
た。 (比較例9)防錆顔料を配合せずに樹脂のみでプライマ
ー層を形成し他は実施例24〜43と同様の方法で皮膜
を形成し、そのキズ部耐食性を評価した。 (比較例10〜12)防錆顔料としてクロム酸ストロン
チウム(SrCrO4 )、リン酸ランタン〔La(PO
4 3 〕、リン酸セリウム〔Ce(PO4 3 〕を用
い、他は実施例24〜43と同様の方法で皮膜を形成
し、そのキズ部耐食性を評価した。
【0040】(比較例13〜15)ランタノイド元素と
してランタン、セリウム、イットリウムを用い、ランタ
ノイドに対するりんの元素比を大きくすることで、ラン
タノイド元素によるリン酸の結合を弱くした顔料を調整
し、他は実施例24〜43と同様の方法で皮膜を形成
し、そのキズ部耐食性を評価した。表2(実施例24〜
43、比較例9〜15)の結果から、明らかに本発明で
規定する顔料を含んだ防錆塗料で被覆された塗装鋼板
(多層被膜)は優れた防錆特性を示すことがわかる。
【0041】
【発明の効果】以上の実施例および比較例から分かるよ
うに、本発明によるイットリウムを含むランタノイド系
元素を金属成分とするリン酸金属塩は、クロム酸系防錆
顔料と同等以上の優れた防錆特性を示し、本発明による
防錆顔料を含有してなる塗料組成物、更に、この塗料を
用いて被覆された塗装金属板は、クロム酸系顔料を含む
塗料により被覆された塗装金属板と同等以上の耐食性を
有し、環境負荷を大幅に低減させた表面処理金属板を提
供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野村 広正 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 植田 浩平 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4J038 HA416 HA426 KA08 NA03 PA07 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イットリウムを含むランタノイド元素の
    リン酸塩及び/または縮合リン酸塩を主成分とする防錆
    顔料であって、リン(31P)の核磁気共鳴(NMR)に
    よる化学シフトスペクトルにおいて、オルトリン酸の31
    Pのピークをシフトゼロとした際、2〜−2ppmと−
    4〜−10ppmとにピークを持ち、各々のピーク強度
    をI1 、I2 とするとき、強度比I1 /I2 が0.1以
    上30.0以下であり、且つ、イットリウムを含むラン
    タノイド元素に対するリン成分のモル比が1よりも大き
    く10未満であることを特徴とする防錆顔料。
  2. 【請求項2】 イットリウムを含むランタノイド元素
    が、イットリウム、セリウム、及びランタンである請求
    項1記載の防錆顔料。
  3. 【請求項3】 少なくとも請求項1〜2に記載の防錆顔
    料を含有してなる塗料組成物。
  4. 【請求項4】 金属板の片面及び/又は両面に少なくと
    も請求項3記載の塗料組成物を用いて単一層状にまたは
    多層状に被覆してなることを特徴とする塗装金属板。
JP11235877A 1999-08-23 1999-08-23 防錆顔料及びこれを用いた塗料組成物、並びに塗装金属板 Withdrawn JP2001058804A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006517599A (ja) * 2003-01-17 2006-07-27 ユニバーシティー オブ ミズーリ キュレーターズ 希土類化合物を含む腐食抵抗コーティング
JP2012030984A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Ube Industries Ltd 過フッ化無機酸リチウムの水/有機溶媒混合溶液及びその製造方法

Cited By (3)

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JP2006517599A (ja) * 2003-01-17 2006-07-27 ユニバーシティー オブ ミズーリ キュレーターズ 希土類化合物を含む腐食抵抗コーティング
JP4784999B2 (ja) * 2003-01-17 2011-10-05 キュレーターズ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミズーリ 希土類化合物を含む腐食抵抗コーティング
JP2012030984A (ja) * 2010-07-28 2012-02-16 Ube Industries Ltd 過フッ化無機酸リチウムの水/有機溶媒混合溶液及びその製造方法

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