JP2001058277A - ワーク抵抗の時間変化の検出が高精度化された抵抗溶接装置とその方法 - Google Patents

ワーク抵抗の時間変化の検出が高精度化された抵抗溶接装置とその方法

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JP2001058277A
JP2001058277A JP11177976A JP17797699A JP2001058277A JP 2001058277 A JP2001058277 A JP 2001058277A JP 11177976 A JP11177976 A JP 11177976A JP 17797699 A JP17797699 A JP 17797699A JP 2001058277 A JP2001058277 A JP 2001058277A
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Hiroshi Hasegawa
博 長谷川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】抵抗溶接機の電極間電圧ないしワーク抵抗を細
かな時間分解能ないし連続的に検出することを可能にす
るとともに、信頼のおける検出結果が得られる技術を実
現する。 【解決手段】リード線間電圧の検出装置と、溶接電流の
検出装置と、溶接電流の時間微分値の検出装置と、検出
された溶接電流がほぼゼロであるタイミングのリード線
間電圧と溶接電流の時間微分値とからリード線間電圧と
電極間電圧に差をもたらす誘導電圧係数を算出する装置
と、算出された誘導電圧係数とその直前及び/又は直後
に検出されたリード線間電圧と溶接電流と溶接電流の時
間微分値とからその直前及び/又は直後のワーク抵抗を
算出する装置とが付加された事を特徴とする。誘導電圧
係数が時時刻刻と更新され、ワーク抵抗が細かな時間分
解能で精度良く検出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ワークを一対の溶接電
極間にセットし、その電極間に溶接電流を流すことでワ
ークに抵抗発熱を生じさせてワークを溶接する溶接技術
の改良に関する。特に、溶接作業中に時時刻刻と変化す
るワーク抵抗を細かな時間分解能で精度よく検出する技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】上記の溶接技術において良好な溶接結果
を安定的に得るためには電極間抵抗(これをここではワ
ーク抵抗という。このワーク抵抗には、ワークの素材自
体が有する抵抗のほか、表面抵抗や接触抵抗が含まれ
る)を検出し、この検出結果に基づいて溶接電圧ないし
溶接電流を調整することが好ましい。あるいはワーク抵
抗を細かな時間分解能で精度良く検出できると、その検
出結果から正常に溶接されたか否かを判別することが可
能となり、正常に溶接されたことを保証することできる
ようになる。一対の電極は通常一対のアームの先端に取
り付けられており、このアーム先端に取り付けられた電
極に電極間電圧検出用のリード線を直接取り付けて溶接
作業を進めることは難しい。そこで、通常は電極と電源
を結ぶ途中から電圧検出用のリード線を取り出す。典型
的には一対のアームの開閉支点の近傍から一対のリード
線を取り出す。この一対のリード線間の電圧は厳密には
電極間電圧にならない。すなわち、リード線引出し口と
アーム先端の電極間に生じる電圧降下等の影響によっ
て、リード線間電圧は電極間電圧に等しくならない。特
に電極間に印加される溶接電流が交流成分を有している
と、溶接電流の時間微分値に比例する誘導成分が大きく
なり、リード線間電圧は電極間電圧から大きく相違す
る。この誘導成分はリード線自身にも生じるために、た
とえリード線を電極に直接取付けても、リード線間電圧
は電極間電圧に等しくならない。特開平10−3149
56号公報にも、この誘導成分による影響を取り除く必
要性が述べられている。リード線間電圧から電極間電圧
を算出するいくつかの技術が開発されてきた。最も普通
の方法は、溶接電流の時間微分値がほぼゼロになるタイ
ミングでリード線間電圧を検出する方法であり、この方
法によれば誘導成分による影響を避けて電極間電圧を検
出することができる。通常、リード線引出し口とアーム
先端の電極との間の抵抗はワーク抵抗に比して無視でき
るほど小さいことから、この方法によって比較的に精度
良く電極間電圧を検出でき、これに溶接電流を加味する
ことで比較的に精度よくワーク抵抗を検出できる。しか
しながら、この方法では、溶接電流の時間微分値がほぼ
ゼロになるタイミングでしか電極間電圧ないしワーク抵
抗を検出できないという問題がある。これを解決するた
めに、特公昭60−8912号公報に記載の技術が提案
されている。この技術では、溶接電流の時間微分値に比
例する誘導成分のその比例係数を予め測定しておき、こ
の測定値を用いて、時時刻刻と電極間電圧を計算してい
く。すなわち時時刻刻と検出されるリード線間電圧をV
2(t)、時時刻刻と検出される溶接電流の時間微分値
をdi(t)/dt、時時刻刻と変化する電極間電圧を
V3(t)としたとき、V3(t)=V2(t)−X2
・di(t)/dtの式が成立することから、この式か
ら電極間電圧をV3(t)を算出する。ここで、X2は
予め測定されている誘導電圧係数であり、また、リード
線引出し口とアーム先端の電極との間の抵抗は無視でき
るほど小さいために上記式では抵抗による電圧降下を無
視している。この技術は、電極間電圧ないしワーク抵抗
を細かな時間分解能ないし連続的に検出することを可能
にするが、検出結果に信頼がおけないという深刻な問題
を有している。尚、この明細書では誘導電圧係数を、電
極間電圧とリード線間電圧の間の差を溶接電流の時間微
分値で除した値のことをいう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来の両技術が解決できない課題を解決するためのもので
あり、電極間電圧ないしワーク抵抗を細かな時間分解能
ないし連続的に検出することを可能にするとともに、信
頼のおける検出結果が得られる技術を実現するものであ
る。このために、本発明者は、特公昭60−8912号
公報に記載の技術で信頼できる結果が得られない原因を
詳細に研究した。この結果、ワークの溶接作業中に誘導
電圧係数が変化していってしまうために、正確な値が検
出できないことを確認した。たとえば溶接作業中に溶接
電流の通電用ケーブルが大きくねじれたり、あるいはね
じれていたものが反発するなどの現象がよく起こる。す
ると、誘導電圧係数はケーブルの形状の変化によって変
化してしまう。このために、予め測定しておいた誘導電
圧係数を用いて溶接中のワーク抵抗を求める方式では、
ワーク抵抗を正しく算出することができないことを確認
した。誘導電圧係数が作業中に変化するという問題は、
特開平10−314956号公報に記載の技術でも解決
されない。そこで本発明者は、細かな時間間隔でこの誘
導電圧係数を算出し直す技術を創作した。この結果、特
公昭60−8912号公報に記載の技術の問題点が大幅
に改善され、電極間電圧ないしワーク抵抗を細かな時間
分解能ないし連続的に検出することができ、しかも信頼
のおける検出結果が得られるようにすることに成功し
た。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明では請求項1に記載の抵抗溶接装置を創
作した。この抵抗溶接装置によると、溶接電流がほぼゼ
ロとなるタイミングで検出されたリード線間電圧と溶接
電流の時間微分値とから誘導電圧係数を算出する。ここ
で、時時刻刻と検出されるリード線間電圧をV2
(t)、時時刻刻と検出される溶接電流をi(t)、時
時刻刻と検出される溶接電流の時間微分値をdi(t)
/dt、 時時刻刻と変化する電極間電圧をV3
(t)、時時刻刻と変化するワーク抵抗をR(t)とし
たとき、一般式として、V3(t)=R(t)・i
(t)=V2(t)−X2(t)・di(t)/dtが
成立する。ここで、X2(t)は時間的に変化する誘導
電圧係数であり、またリード線引出し口とアーム先端の
電極との間の抵抗は無視できるほど小さいために上記式
では無視している。この式から明らかに、溶接電流i
(t)がほぼゼロとなるタイミングでは、0=V2
(t)−X2(t)・di(t)/dtとなる。そこ
で、時間的に変化する誘導電圧係数のそのタイミングに
おける値が次の式で計算できる。 X2(t)=V2(t)/[di(t)/dt] 式中、右辺の値、すなわち、溶接電流i(t)がほぼゼ
ロとなるタイミングでのリード線間電圧V2(t)と、
同じタイミングにおける溶接電流の時間微分値di
(t)/dtは検出されており、従って前記の式から、
そのタイミングにおける誘導電圧係数X2(t)が算出
される。この抵抗溶接装置の場合、前記のようにして算
出された誘導電圧係数とその直前及び/又は直後に検出
されたリード線間電圧と溶接電流と溶接電流の時間微分
値とからその直前及び/又は直後のワーク抵抗が算出さ
れる。即ち、前記の一般式から、R(t)=[V2
(t)−X2(t)・di(t)/dt]/i(t)の
式が導かれる。ここで、リード線間電圧V2(t)と、
溶接電流i(t)と、溶接電流の時間微分値di(t)
/dtは時時刻刻と検出されており、かつ誘導電圧係数
X2(t)は溶接電流i(t)がゼロになるタイミング
ごとに更新されている。そこで上記式からあるタイミン
グのワーク抵抗R(t)を算出するために、そのタイミ
ングにおけるリード線間電圧V2(t)と、溶接電流i
(t)と、溶接電流の時間微分値di(t)/dtを用
い、更にそのタイミングの直前ないし直後に更新された
誘導電圧係数X2(t)を用いると、算出されるワーク
抵抗R(t)は実際値によく適合する値となる。実験に
よってもほぼ正しいワーク抵抗が算出されることが確認
された。このことは、誘導電圧係数X2(t)は時間的
に変動するもの、短時間ならば大きく変化することがな
く、近似的に一定としても現実に起こる事象に比較的に
よく近似するためと考えられる。第2の発明は、溶接電
流の制御のために、溶接電流のオン・オフを制御するス
イッチング素子が用いられている場合に有用な技術であ
り、請求項2に記載の溶接装置では、そのスイッチング
素子のオン及び/又はオフタイミングにおけるリード線
間電圧をそのときの溶接電流の時間微分値で除すること
でそのときの誘導電圧係数を算出する。この算出処理は
スイッチング素子のオン及び/又はオフタイミングにお
いて逐次実行される。そしてこの逐次算出される誘導電
圧係数を用いてワーク抵抗が逐次算出される。この技術
によると、溶接電流の制御のために溶接電流のオン・オ
フを制御するスイッチング素子が用いられている場合
に、細かな時間分解能で精度良くワーク抵抗を算出する
ことが可能である。特にこの発明は、交流電流をサイリ
スタで制御する溶接機に好適に用いられ、このために、
請求項3に記載の装置が創作された。請求項3に記載の
抵抗溶接装置では、サイリスタの消弧時、消弧直前のタ
イミング、点弧時、点弧直後のタイミングのいずれかの
タイミングで検出されたリード線間電圧とそのときの溶
接電流の時間微分値とからリード線間電圧と電極間電圧
の間に差をもたらすそのときの誘導電圧係数を算出す
る。そして逐次算出された誘導電圧係数とその直前及び
/又は直後の半波通電中に検出されたリード線間電圧と
溶接電流と溶接電流の時間微分値とからその半波通電期
間内のワーク抵抗を算出する。この技術によると、サイ
リスタが点弧ないし消弧するたびに誘導電圧係数が更新
される。このようにして通電電流の半波毎に誘導電圧係
数が更新されていき、その直前ないし直後の半波通電中
は、この更新された誘導電圧係数を用いてワーク抵抗が
算出されていくために、ワーク抵抗の半波内の時間変化
が比較的正確に算出される。この発明はまた、請求項4
に記載の方法を通して実施することができる。この方法
では、溶接電流がほぼゼロであるタイミングで検出され
たリード線間電圧と溶接電流の時間微分値とから誘導電
圧係数を算出し、算出された誘導電圧係数とその直前及
び/又は直後に検出されたリード線間電圧と溶接電流と
溶接電流の時間微分値とからその直前及び/又は直後の
ワーク抵抗を算出する各工程が備えられているために、
請求項1に記載の装置の作動説明がほぼ適用される。こ
の方法によって正確なワーク抵抗を時時刻刻と算出する
ことが可能となる。そして溶接中に、時時刻刻算出され
るワーク抵抗に基づいて溶接条件を制御することが可能
となる。
【0005】
【実施の形態】以下に本発明の実施の形態の一例を図面
を参照して説明する。図1は、この実施の形態を具体化
した抵抗溶接装置の全体構成を示している。この抵抗溶
接装置は、コントローラ20と溶接トランス42と一対
の電極52、54等を主体にして構成されている。
【0006】コントローラ20はサイリスタ38を有し、断
続的に点弧と消弧を繰返して溶接トランスの一次側電流
を調整する(ひいては溶接トランスの二次側電流すなわ
ち溶接電流を調整する)。サイリスタ38の点弧はコン
トローラ20に内蔵されているコンピュータで制御され
る。コンピュータは、CPU26とRAM24とROM
22とそれらを結ぶバス等によって構成されている。コ
ンピュータにはI/O32を介してスイッチ30が接続
されており、そのスイッチ30がオンすることでコンピ
ュータは図2に示すプログラムに基づいて動作をはじ
め、溶接装置を制御する。コンピュータはサイリスタ3
8を所望のタイミングで点弧させるほか、電極52、5
4を接近させる図示されていないエアーシリンダに圧縮
空気を与えたり圧縮空気を逃がしたりするバルブを制御
する。また何らかの異常時には異常出力回路34から異
常信号を出力させる。
【0007】溶接電流i(t)の検出用に溶接トランスの一
次側にトロイダルコイルCTが挿入されており、このト
ロイダルコイルCTは溶接電流i(t)の時間微分値d
i(t)/dtに比例する電圧を出力する。トロイダル
コイルCTで検出された溶接電流i(t)の時間微分値
di(t)/dtは、A/D変換回路36でA/D変換
された後コンピュータに入力される。コンピュータは、
時時刻刻と入力される溶接電流i(t)の時間微分値d
i(t)/dtを時時刻刻と記憶するほか、これを積分
していくことによって溶接電流i(t)を算出し、算出
された溶接電流i(t)を時時刻刻と記憶していく。こ
の実施の形態では、溶接トランスの一次側で溶接電流に
関する値を検出しているようにしているが、二次側で検
出してもよい。
【0008】また、この実施の形態では、溶接電流の通電ケ
ーブル41,43の途中44,48からリード線45、
47を取り出してリード線45,47間電圧を電圧検出
計40で検出している。検出されたリード線間電圧はA
/D変換器28でデジタル値に変換されてコンピュータ
に入力される。この実施の形態では、溶接トランスの二
次側からリード線間電圧を検出しているが、一次側から
リード線をとりだしてもよい。前記のようにして、この
実施の形態では、リード線間電圧V2(t)、溶接電流
i(t)、溶接電流の時間微分値di(t)/dtが時
時刻刻とコンピュータに入力あるいは算出されて記憶さ
れる。
【0009】リード線間電圧V2(t)は、主として、リー
ド線取付点44、48と電極52,54間の溶接電流の
通電ケーブル46,50に生じる誘導電圧の影響によっ
て、電極52、54間の電圧V3(t)から相違する。
電極52,54に直接リード線を取り付けて電極52、
54間の電圧V3(t)を直接的に測定することは、抵
抗溶接装置の構造上、作業性が悪くなる等の理由で実用
上難しい。またリード線45、47を電極52、54直
接取り付けたとしても、リード線45、47に生じる誘
導成分の影響によって、測定されるリード線間電圧は電
極間電圧に等しくならない。
【0010】図2は、コンピュータによって実行される処理
の手順を示している。図1のスイッチ30がONするこ
とで図2のステップS2が開始される。最初のステップ
S3では通電サイクル数がすでに設定されているか否か
を判定し、設定されていなければ処理を一旦終了する
(ステップS12)。正常時には、それに先だって通電
サイクル数はすでに設定されている。
【0011】この場合には、次にステップS4が実行され
る。ここでは、通電サイクル数を判定する。すなわちス
テップS6以降のステップを、予め設定されている通電
サイクル数だけ実行したら、溶接を終了する(ステップ
S12)。設定通電サイクル数だけ実行していなければ
ステップS6を以後実行する。
【0012】ステップS6では、サイリスタ38の点弧角の
制御が行われる。この処理では、溶接電流を所定値と比
較し、大き過ぎれば点弧角を遅らせて溶接電流を抑制
し、小さすぎれば点弧角を早めて溶接電流を増大させ
る。尚、点弧角の制御方式は溶接環境に合わせて最適な
ものを選択すればよく、例えばワークの単位体積あたり
の発熱量がコンスタントになるように点弧角を制御して
もよい。
【0013】次にステップS7で時時刻刻と検出されるリー
ド線間電圧V2(t)、溶接電流i(t)、溶接電流の
時間微分値di(t)/dtをコンピュータに時時刻刻
と記憶する。
【0014】そして溶接電流i(t)がほぼゼロとなるタイ
ミング(具体的にはサイリスタの消弧時ないしその直
前、又はサイリスタの点弧時ないしその直後)のリード
線間電圧V2(t)と溶接電流の時間微分値di(t)
/dtから、そのタイミングにおける誘導電圧係数X2
(t)を算出する(ステップS8)。その値は次の式で
計算できる。 X2(t)=V2(t)/[di(t)/dt] この誘導電圧係数X2(t)が通電サイクル毎に更新さ
れていく。この誘導電圧係数X2(t)は、サイリスタ
の消弧時ないしその直前のタイミングのリード線間電圧
V2(t)と溶接電流の時間微分値di(t)/dtか
ら算出された場合では、その直後の期間、即ち少なくと
も次の通電サイクル中はコンピュータに記憶されてい
る。又は、この誘導電圧係数X2(t)が、サイリスタ
の点弧時ないしその直後のタイミングのリード線間電圧
V2(t)と溶接電流の時間微分値di(t)/dtか
ら算出された場合では、その直後の期間、すなわち少な
くともその通電サイクル中はコンピュータに記憶されて
いる。
【0015】ステップS10では、前記のステップS7とス
テップS8でコンピュータに時時刻刻と記憶されている
リード線間電圧V2(t)、溶接電流i(t)、溶接電
流の時間微分値di(t)/dt、誘導電圧係数X2
(t)から時時刻刻と変化するワーク抵抗R(t)を算
出する。その値は次の式で計算できる。 R(t)=[V2(t)−X2(t)・di(t)/d
t]/i(t)
【0016】尚、サイリスタ消弧時ないしその直前のタイミ
ングのリード線間電圧V2(t)と溶接電流の時間微分
値di(t)/dtから算出された誘導電圧係数X2
(t)を用いる場合は、その誘導電圧係数X2(t)を
用いて次の通電サイクル内でのワーク抵抗R(t)を算
出する。このことは、誘導電圧係数X2(t)は時間的
に変動するものの、短時間(隣接する通電サイクル内)
ならば大きく変化することがなく、近似的に一定として
も現実に比較的によく近似することと、1通電サイクル
間自体が被溶接部の状態の変化に要する時間に比べて極
めて短いため、その通電サイクルの終了時つまりサイリ
スタの消弧時ないしその直前のタイミングでの誘導電圧
係数X2(t)を近似的に次の通電サイクルのワーク抵
抗R(t)の算出に用いても現実に比較的によく近似す
ると考えられるからである。算出されるワーク抵抗R
(t)は実際値によく適合する値が算出されることが確
認されている。
【0017】また、サイリスタの点弧時ないしその直後のタ
イミングのリード線間電圧V2(t)と溶接電流の時間
微分値di(t)/dtから算出された誘導電圧係数X
2(t)を用いる場合は、その誘導電圧係数X2(t)
を用いてその通電サイクル内でのワーク抵抗R(t)を
算出する。このことは前記と同様に、誘導電圧係数X2
(t)は時間的に変動するものの、短時間(1通電サイ
クル内)ならば大きく変化することがなく、近似的に一
定としても現実に比較的によく近似すると考えられるか
らである。算出されるワーク抵抗R(t)は実際値によ
く適合する値が算出されることが確認されている。
【0018】尚、リード線間電圧V2(t)等をコンピュー
タに一旦記憶しておけば、消弧時の誘導電圧係数が算出
された後に遡及的に計算してその直前の通電サイクル内
の抵抗変化を算出することができる。又、点弧時に算出
された誘導電圧係数をその直前のサイクル通電中に検出
されたリード線間電圧V2(t)等に適用することでそ
の直前のワーク抵抗を遡及的に計算するように用いるこ
ともできる。この発明はリアルタイムでワーク抵抗の変
化を検出するように用いることもできれば、測定した値
を後で分析することでワーク抵抗の変化を検出するよう
に用いることもできる。リアルタイムで検出すればその
後のコントロールに活用でき、遡及する用い方をすれば
過去の事象を分析することができる。
【0019】そしてワーク抵抗R(t)を求めるステップS
10までの一連の処理が済んだら、ステップS4に帰
り、設定通電サイクル数に対して通電サイクル数を判定
する。
【0020】設定通電サイクル数に対して通電サイクル数を
判定の結果、設定通電サイクルを済んでいたら、それ以
後はステップS6が省略されるために溶接電流は通電さ
れなくなる。その後、1通電サイクル内の前半の抵抗値
と後半の抵抗値が等しくなったサイクルが存在していた
か否かを判定して(ステップS11)、存在していれば
そのまま溶接作業を終了する(ステップS12)。存在
していなければステップS13で異常報知を行い、ステ
ップS12で終了する。ステップS11を実行すること
で正常に溶接されたか、正常に溶接されなかったかの判
別が正しく行われることが確認されている。
【0021】溶接電流i(t)、溶接電流の時間微分値di
(t)/dt、リード線間電圧V2(t)、電源電圧V
S(t)のあるサイクルにおける実測波形を図3に示
す。カーブC1は溶接電流、カーブC2は溶接電流の時
間微分値、カーブC3はリード線間電圧、カーブC4は
電源電圧である。横軸は時間、縦軸は値を示す。図中t
0,t1で溶接電流がゼロとなる。即ちタイミングt0
が点弧タイミングであり、タイミングt1が消弧タイミ
ングである。消弧タイミングにおける溶接電流をi(t
1)とすると、i(t1)=0である。このタイミング
における溶接電流の時間微分値をdi(t1)/dt、
リード線間電圧をV2(t1)、そして電極間電圧をV
3(t1)、誘導電圧係数をX2(t1)とすると、一
般式としてV3(t1)=R(t1)・i(t1)=V
2(t1)−X2(t1)・di(t1)/dtが成立
し、しかも、i(t1)=0が成立することから、X2
(t1)=V2(t1)/[di(t1)/dt]とな
り、この式からタイミングt1での誘導電圧係数X2
(t1)が求められる。
【0022】誘導電圧係数X2(t)は時間的に変動するも
のの、短時間(1通電サイクル内あるいは隣接する2つ
の通電サイクル内)ならば大きく変化することがなく、
近似的に一定としても現実に比較的によく近似するた
め、サイリスタの消弧時のタイミングt1での誘導電圧
係数X2(t1)を、図には示していない次の通電サイ
クル中のワーク抵抗R(t)の算出に近似的に用いるこ
とができる。あるいは前記したように、遡及的に計算す
ることで、図中t0からt1の通電サイクル中のワーク
抵抗R(t)の算出に用いることができる。このように
して算出されるワーク抵抗R(t)は実際値によく適合
する値が算出されることが確認されている。図中t1の
直前のタイミング(即ち消弧直前のタイミング)でも溶
接電流がほぼゼロなので、そのタイミングから算出され
た誘導電圧係数を用いてワーク抵抗を求めることができ
ることは明らかである。
【0023】また、点弧タイミングにおける溶接電流をi
(t0)とすると、i(t0)=0である。このタイミ
ングにおける溶接電流の時間微分値をdi(t0)/d
t、リード線間電圧をV2(t0)、そして電極間電圧
をV3(t0)、誘導電圧係数をX2(t0)とする
と、前記と同様に、式V3(t0)=R(t0)・i
(t0)=V2(t0)−X2(t0)・di(t0)
/dtと、i(t0)=0が成立し、これから X2(t0)=V2(t0)/[di(t0)/dt] となり、この式から点弧タイミングでの誘導電圧係数X
2(t0)が算出される。
【0024】そして誘導電圧係数X2(t)は時間的に変動
するものの、短時間(1通電サイクル内あるいは隣接す
る二つの通電サイクル内)ならば大きく変化することが
なく、近似的に一定としても現実に比較的によく近似す
るため、サイリスタの点弧時のタイミングt0での誘導
電圧係数X2(t0)を、そのt0からt1の通電サイ
クル中のワーク抵抗R(t)の算出に用いることができ
る。また、サイリスタの点弧時のタイミングt0での誘
導電圧係数X2(t0)を、図には示していない直前の
通電サイクル中のワーク抵抗R(t)の算出のために遡
及的に用いることもできる。このようにして算出される
ワーク抵抗R(t)は実際値によく適合する値が算出さ
れることが確認されている。図中t0の直後のタイミン
グ(即ち点弧直後のタイミング)でも溶接電流がほぼゼ
ロなので、そのタイミングで算出された誘導電圧係数を
用いてワーク抵抗を求めることができることは明らかで
ある。
【0025】図4に溶接時の溶接電流波形70とワーク抵抗
値波形71を示す。溶接電流の通電サイクル毎にワーク
抵抗値波形71が徐々に変化していくことが判る。本発
明によると時間的変化に対応できる前記誘導電圧係数X
2(t)を用いているので、時間的に変化していくワー
ク抵抗を細かな時間分解能で精度よく算出できる。よっ
て信頼のおける検出結果を得ることができる。尚、算出
されるそのワーク抵抗R(t)は実際値によく適合する
値が算出されることが確認されている。
【0026】このようにして本実施形態によると、ワーク抵
抗を細かな時間分割能で、あるいは連続的に精度よく検
出できるので、ワーク抵抗による溶接制御の時間分解能
を高めることができる。かつ、ワーク抵抗を細かな時間
分割能で、あるいは連続的に精度よく検出できるため
に、サイクル内のワーク抵抗値変化も正確に検出でき、
図2中ステップS11に示すように溶接の異常判別が可
能となる。又、ワーク抵抗を細かな時間分割能で正確に
検出できると、通電中のワーク加圧制御や溶接電流制御
をきめ細かくすることも可能となる等により、各種利用
形態が可能となる。
【0027】
【発明の効果】本発明は、上述のとおり構成されている
ので、次に記載する効果を奏する。
【0028】請求項1の抵抗溶接装置によると、溶接電流が
ほぼゼロであるタイミングで誘導電圧係数を算出し、そ
の算出された誘導電圧係数を用いてワーク抵抗を算出す
ることにより、そのワーク抵抗を細かな時間分解能で精
度良く検出できる。
【0029】請求項2の抵抗溶接装置によると、溶接電流が
ほぼゼロとなるスイッチング素子のオン・オフタイミン
グで誘導電圧係数が算出され、その誘導電圧係数を用い
てワーク抵抗が時時刻刻と算出されるために、そのワー
ク抵抗の時間変化の検出が高精度化される。
【0030】請求項3の抵抗溶接装置によると、サイリスタ
の消弧ないし点弧時に誘導電圧係数が算出され、その誘
導電圧係数を用いてワーク抵抗が時時刻刻と算出される
ために、そのワーク抵抗の時間変化の検出が高精度化さ
れる。
【0031】請求項4の溶接方法によると、溶接電流がほぼ
ゼロであるタイミングで誘導電圧係数を算出し、その算
出された誘導電圧係数を用いてワーク抵抗を算出するた
めに、そのワーク抵抗の時間変化の検出が高精度化され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態を具体化した抵抗溶接装置の全体構
成を示す。
【図2】コンピュータによって実行される処理の手順を
示すフローチャートである。
【図3】溶接電流、溶接電流の時間微分値、リード線間
電圧、電源電圧のあるサイクルにおける実測波形であ
る。
【図4】溶接時の溶接電流波形とワーク抵抗値波形を示
す。
【符号の説明】
20 コントローラ CT トロイダルコイル 40 電圧検出計 42 溶接トランス 52 電極 54 電極 56 被溶接材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抵抗溶接装置において、リード線間電圧の
    検出装置と、溶接電流の検出装置と、溶接電流の時間微
    分値の検出装置と、検出された溶接電流がほぼゼロであ
    るタイミングでのリード線間電圧と溶接電流の時間微分
    値とからリード線間電圧と電極間電圧の間に差をもたら
    す誘導電圧係数を算出する装置と、算出された誘導電圧
    係数とその直前及び/又は直後に検出されたリード線間
    電圧と溶接電流と溶接電流の時間微分値とからその直前
    及び/又は直後のワーク抵抗を算出する装置とが付加さ
    れた事を特徴とするワーク抵抗の時間変化の検出が高精
    度化された抵抗溶接装置。
  2. 【請求項2】抵抗溶接装置において、溶接電流のオン・
    オフを制御するスイッチング素子のオン及び/又はオフ
    タイミングにおけるリード線間電圧を溶接電流の時間微
    分値で除することで誘導電圧係数を逐次算出する手段
    と、その逐次算出される誘導電圧係数を用いてワーク抵
    抗を逐次算出する装置とが付加された事を特徴とするワ
    ーク抵抗の時間変化の検出が高精度化された抵抗溶接装
    置。
  3. 【請求項3】一対の溶接電極と、その電極間に交流を印
    加する交流電源と、その電源と電極間に挿入されたサイ
    リスタを備えた抵抗溶接装置において、リード線間電圧
    の検出装置と、溶接電流の検出装置と、溶接電流の時間
    微分値の検出装置と、前記サイリスタの消弧時、消弧直
    前のタイミング、点弧時、点弧直後のタイミングのいず
    れかのタイミングで検出されたリード線間電圧と溶接電
    流の時間微分値とからリード線間電圧と電極間電圧の間
    に差をもたらす誘導電圧係数を算出する装置と、算出さ
    れた誘導電圧係数とその直前及び/又は直後の半波通電
    中に検出されたリード線間電圧と溶接電流と溶接電流の
    時間微分値とからその半波通電期間内のワーク抵抗を算
    出する装置とが付加された事を特徴とするワーク抵抗の
    時間変化の検出が高精度化された抵抗溶接装置。
  4. 【請求項4】ワークを一対の溶接電極間にセットし、そ
    の電極間に溶接電流を流すことでワークに抵抗発熱を生
    じさせてワークを溶接する溶接方法において、リード線
    間電圧を検出し、溶接電流を検出し、溶接電流の時間微
    分値を検出し、検出された溶接電流がほぼゼロであるタ
    イミングで検出されたリード線間電圧と溶接電流の時間
    微分値とからリード線間電圧と電極間電圧の間に差をも
    たらす誘導電圧係数を算出し、算出された誘導電圧係数
    とその直前及び/又は直後に検出されたリード線間電圧
    と溶接電流と溶接電流の時間微分値とからその直前及び
    /又は直後のワーク抵抗を算出する各工程が付加された
    事を特徴とする抵抗溶接方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1311520C (zh) * 2003-09-05 2007-04-18 大日本斯克林制造株式会社 晶片清洗方法与设备
JP2008142773A (ja) * 2006-11-17 2008-06-26 Sekisui Chem Co Ltd 抵抗溶接監視方法及び抵抗溶接制御方法

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JP2008142773A (ja) * 2006-11-17 2008-06-26 Sekisui Chem Co Ltd 抵抗溶接監視方法及び抵抗溶接制御方法

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