JP2001058249A - マグネシウム給湯方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 正確な給湯量を確保するために鋳
造運転開始前に給湯パイプ先端部を溶融マグネシウムで
充満させるための予備射出等の無駄な工程を省き、鋳造
運転開始時から直ちに実成形運転を行えるマグネシウム
給湯方法を提供すること。 【解決手段】 鋳造運転終了時に該溶湯通路内に
配設されたドレン弁を開放して給湯パイプ内に残留した
溶融マグネシウムを溶融炉に戻すとともに、次の鋳造運
転開始時にはサーボ駆動機構によって射出ピストンのス
トローク量を調整しながら一旦溶融炉内の溶融マグネシ
ウムを給湯パイプの先端からダイカストスリーブに流出
しないように充満させた後、引き続きサーボ駆動機構に
よって射出ピストンを作動させながら１ショット分の給
湯量をダイカストスリーブ内に給湯するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、溶融炉内の溶融マ
グネシウムを溶融炉の近傍に配設したダイカストスリー
ブに給湯するサーボ駆動の射出ピストンによるマグネシ
ウム給湯方法に係り、特に鋳造運転開始時に、正確な給
湯量を確保するための予備射出（フリーショット）なし
で直ちに実鋳造運転を行うことを可能にしたマグネシウ
ム給湯方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】射出ピストンをサーボ機構により駆動す
るマグネシウム給湯装置としては特開平７−２７６０３
０号公報に詳細な記載がある。従来のマグネシウムのダ
イカスト成形においては、この装置を使って１日の鋳造
運転を終える時に、給湯装置のドレン弁を開放して給湯
パイプ内の溶融マグネシウム（以下、溶湯と称する）の
湯面レベルを溶融炉湯面レベルまで下げた状態にしてい
た。この時、マグネシウムの溶融炉は加熱状態を保持し
ており、翌日の運転を速やかに行えるようにしている。
翌日、鋳造運転を開始する時に、射出ピストンを作動さ
せて溶湯を給湯パイプの先端部より流出させて（以下、
予備射出と称する）ダイカストマシンの射出スリーブ
（以後はダイカストスリーブと称す）内で凝固させた
後、取出してから鋳造運転に入っていた。従って、この
時に流出する溶湯が凝固するまでの時間が必要となり、
生産効率の低下と材料の無駄使いが起こっていた。ま
た、溶融マグネシウムが空気と触れて燃焼するためダイ
カストスリーブ内で凝固させる工程は安全性に問題があ
るとともに作業環境上も好ましくなかった。

【０００３】予備射出の工程が必要な理由は以下の通り
である。鋳造運転終了後はドレン弁を開放して給湯パイ
プ内の溶湯の湯面レベルを溶融炉湯面レベルまで下げた
状態にしていた。この湯面レベルは日々異なっていると
ともに、この湯面レベルを一定に保つことは困難であっ
た。この為、翌日の鋳造運転再開に当たっては、正確な
給湯量を確保するために給湯パイプ先端部まで溶湯を充
満させる必要があった。このため、射出ピストンを作動
させて、溶湯を給湯パイプ先端部より流出させていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明はサーボ機構に
より駆動される射出ピストンを備えたマグネシウム給湯
方法において、正確な給湯量を確保するために鋳造運転
開始前に給湯パイプ先端部を溶融マグネシウムで充満さ
せるための予備射出等の無駄な工程を省き、鋳造運転開
始時から直ちに実成形運転を行えるマグネシウム給湯方
法を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明では溶融炉の頂部に設けられたトッププレ
ートから懸架されたベースプレートに固設された射出ス
リーブの内部を摺動するサーボ機構により駆動される射
出ピストンによって溶融炉内に貯溜された溶融マグネシ
ウムを該ベースプレートに穿設した溶融マグネシウムの
溶湯通路を経由して外部へ連通する給湯パイプを介して
ダイカストスリーブ内へ給湯する方法において、鋳造運
転終了時に該溶湯通路内に配設されたドレン弁を開放し
て給湯パイプ内に残留した溶融マグネシウムを溶融炉に
戻すとともに、次の鋳造運転開始時には該サーボ機構に
よって該射出ピストンのストローク量を調整しながら一
旦溶融炉内の溶融マグネシウムを給湯パイプの先端から
ダイカストスリーブに流出しないように充満させた後、
引き続き該サーボ機構によって該射出ピストンを作動さ
せながら１ショット分の給湯量をダイカストスリーブ内
に給湯するようにした。

【０００６】

【作用】射出ピストンの駆動装置としてサーボ機構を採
用することにより、射出量の正確な制御と射出動作の高
応答性が得られるとともに、射出ピストンのストローク
長を任意に調整できるという優れた機能を発揮できる。
本発明は、サーボ駆動によるこれらの機能を巧く利用す
ることにより鋳造運転開始時より直ちに実成形を行うこ
とを可能にしたものであり、運転開始時の生産効率の低
下と材料の無駄使いを無くすとともに作業環境の改善を
図ったものである。

【０００７】以下に詳しく説明する。計画していた生産
量を得て、１日の鋳造運転を終える時に、ベースプレー
トの溶湯通路内に配設してあるドレン弁を開放して給湯
パイプ内の溶湯の湯面レベルを溶融炉湯面レベルまで下
げる。この状態においては湯面レベルから液面レベルよ
り上方の給湯パイプの内容積を算出することができる。
この内容積とは、給湯パイプ先端部から溶融マグネシウ
ムが外部に流出しないで、且つ、給湯パイプ内が溶湯で
充満している状態の空間容積を意味している（図２の状
態）。この給湯パイプの内容積と湯面レベルとの関係を
予め計算しておき、給湯パイプの内容積に相当する射出
ピストンのストローク長をサーボ駆動部の制御装置に入
力して射出ピストンを作動させる。

【０００８】上記の動作により、上述したサーボ駆動機
構の優れた機能により給湯パイプ先端部が溶融マグネシ
ウムで充満した状態になる。そして、この状態より実鋳
造運転に入ることができる。即ち、射出ピストンを作動
させて１ショット分のストローク長を押出すことにより
必要な溶湯をダイカストスリーブに供給することができ
る。この場合、もし油圧駆動の射出ピストンであればス
トローク途中で所定の位置に正確に停止することができ
ないので、給湯パイプ先端から溶湯が流れ出ない状態で
給湯パイプ内を充満させることはできない。従って、予
備射出の工程が不可欠になる。ここに、射出シリンダの
駆動装置として油圧シリンダではなく、サーボ駆動装置
を採用する必然性がある。一方、サーボ駆動の射出ピス
トンはストローク途中で正確に停止することができるの
で、給湯パイプ先端から溶湯が流れ出ない状態で給湯パ
イプ内を充満させることができる。給湯パイプ内を溶湯
で充満させた後、引き続き実成形のための押出しを行う
ことができるし、また、給湯パイプ内を充満させる工程
を完了した後に改めてサクション工程を行ってから１シ
ョット分のストローク長を作動させることもできる。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下図面に基づいて本発明につい
て説明する。図１〜図３は本発明の実施例に係り、図１
は射出ピストンにサーボ駆動機構を備えたマグネシウム
給湯装置の全体断面図、図２は給湯パイプ先端部の溶湯
の充満状態の説明図、図３は本発明に係る給湯方法の動
作説明図である。

【００１０】本発明に使用するマグネシウム給湯装置の
構成について図１に基づいて説明する。溶融炉３の頂部
に設けられたトッププレート４から懸架されたベースプ
レート８に固設された射出スリーブ５の内部を摺動する
射出ピストン６によって溶融炉内に貯溜された溶融マグ
ネシウム２をベースプレート８に穿設した溶湯通路１３
を経由して外部へ連通する給湯パイプ１０を介してダイ
カストスリーブ１１に供給する。

【００１１】この射出ピストン６の軸方向進退動手段と
して、サーボモータ２０および図示しないサーボモータ
制御装置によって回転駆動されたサーボモータ出力軸を
ボールネジナット２２により往復動に変換するボールネ
シタイプのサーボ駆動装置を採用した。溶湯通路１３の
途中に、溶融炉内の溶融マグネシウム２と溶湯通路１３
内との連通・遮断および給湯パイプ１０と射出ピストン
６の加圧室との遮断・連通を行う逆止・サクション弁９
を配設するとともに、給湯パイプ１０内の溶融マグネシ
ウム２を溶融炉２に戻すためのドレン弁７を溶湯通路１
３端部に配設している。また、溶融炉内の湯面レベルを
検出するための湯面検出装置（図示せず）がトッププレ
ートに配設されている。

【００１２】次に、上述したマグネシウム給湯装置を用
いた給湯方法について説明する。鋳造運転開始前に溶融
炉３の湯面レベル１４が所定レベルである（上限レベル
と下限レベルの間にある）ことを確認した後、給湯装置
のドレン弁７を開放して（図３（Ａ）の状態）、給湯パ
イプ１０内の湯面レベルを溶融炉の湯面レベルと同じに
して、ドレン弁７を閉める。この時に、トッププレート
４に設置した湯面検出装置（図示せず）より溶湯の湯面
レベルを測定してサーボモータ２０駆動部の制御装置
（図示せず）に入力する。湯面レベルより上方の給湯パ
イプ内の空間容積に相当する射出ピストン６のストロー
ク量を制御装置内で演算して、そのストローク分だけ射
出ピストン６を前進させ給湯パイプを溶湯で充満させる
（図３（Ｂ）の状態）。

【００１３】この場合において、射出ピストンのストロ
ーク長に余裕があれば、第一回目の給湯量との合計スト
ローク分を前進させ、給湯パイプ先端部までの充填と１
回目の鋳造に必要な給湯を同時に行うこともできる。通
常は射出ピストン６の０点（原点）を設定するため、給
湯パイプ先端までの充填が完了すると一度吸引し直して
（図３（Ｃ）の状態）、第一回目の実鋳造サイクルに入
る（図３（Ｄ）の状態）。１日の鋳造運転終了時には、
逆止サクション弁９を吸引側にし、給湯通路内にあるド
レン弁７を開いてヘッド圧により、給湯パイプ内の溶湯
を溶融炉に戻して、給湯パイプ内の溶湯が溶融炉湯面レ
ベルにあることを確認して運転を終える。翌日は上記の
ようにして、第一回目より実鋳造運転に入る。

【００１４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明は、射出ピ
ストンの駆動装置としてサーボ機構を採用し、サーボ駆
動機構の優れた機能を巧く利用することにより鋳造運転
開始時より直ちに実鋳造を行うことを可能にしたもので
ある。これにより、鋳造運転開始時の予備射出等による
成形材料の無駄使いや溶融マグネシウムが空気と接触し
て燃焼する時に発生する高温のガスや煙の発生を防止す
ることができ、作業環境を改善できるとともに、実成形
の立ち上げがスムースに行えるので生産効率の向上が図
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例に係る射出ピストンにサーボ駆
動機構を備えたマグネシウム給湯装置の全体配置図であ
る。

【図２】給湯パイプ先端部の溶融マグネシウムの充満状
態の説明図である。

【図３】本発明に係る給湯方法の動作説明図である。

【符号の説明】

１ マグネシウム給湯装置 ２ 溶融マグネシウム（溶湯） ３ 溶融炉 ４ トッププレート ５ 射出スリーブ ６ 射出ピストン ７ ドレン弁 ８ ベースプレート ９ 逆止サクション弁 １０ 給湯パイプ １１ ダイカストスリーブ １２ ピストンロッド １３ 溶湯通路 １４ 湯面 ２０ サーボモータ（駆動部） ２１ ボールネジ ２２ ボールネジナット

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 溶融炉の頂部に設けられたトッププレー
   トから懸架されたベースプレートに固設された射出スリ
   ーブの内部を摺動するサーボ機構により駆動される射出
   ピストンによって溶融炉内に貯溜された溶融マグネシウ
   ムを該ベースプレートに穿設した溶融マグネシウムの溶
   湯通路を経由して外部へ連通する給湯パイプを介してダ
   イカストスリーブ内へ給湯する方法において、鋳造運転
   終了時に該溶湯通路内に配設されたドレン弁を開放して
   給湯パイプ内に残留した溶融マグネシウムを溶融炉に戻
   すとともに、次の鋳造運転開始時には該サーボ機構によ
   って該射出ピストンのストローク量を調整しながら一旦
   溶融炉内の溶融マグネシウムを給湯パイプの先端からダ
   イカストスリーブに流出しないように充満させた後、引
   き続き該サーボ機構によって該射出ピストンを作動させ
   再度吸引し直した後、１ショット分の給湯量をダイカス
   トスリーブ内に給湯するようにしたことを特徴とするマ
   グネシウム給湯方法。