JP2001056925A - 磁気記録媒体及び磁気記憶装置 - Google Patents
磁気記録媒体及び磁気記憶装置Info
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- JP2001056925A JP2001056925A JP2000107076A JP2000107076A JP2001056925A JP 2001056925 A JP2001056925 A JP 2001056925A JP 2000107076 A JP2000107076 A JP 2000107076A JP 2000107076 A JP2000107076 A JP 2000107076A JP 2001056925 A JP2001056925 A JP 2001056925A
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Abstract
し、書き込まれたビットの熱安定性を向上し、媒体ノイ
ズを低減し、磁気記録媒体の性能に悪影響を及ぼすこと
なく信頼性の高い高密度記録を行えると共に、特に磁性
層の面内配向性の向上により記録分解能の向上を可能と
することを目的とする。 【解決手段】 少なくとも1つの交換層構造と、交換層
構造上に設けられた磁性層とを備え、交換層構造は、強
磁性層と、強磁性層上で、且つ、磁性層下に設けられた
非磁性結合層とからなり、強磁性層及び磁性層は互いに
磁化方向が反平行であり、非磁性結合層は、元素又は合
金M3が添加されたRu−M3なる合金からなり、非磁
性結合層とその上下の磁性層と強磁性層との格子不整合
をM3の添加により約6%以下に調整されているとなる
ように構成する。
Description
気記憶装置に係り、特に高密度記録に適した磁気記録媒
体及び磁気記憶装置に関する。
録密度は、媒体ノイズの低減及び磁気抵抗効果型ヘッド
及びスピンバルブヘッドの開発により、著しく増大し
た。代表的な磁気記録媒体は、基板と、下地層と、磁性
層と、保護層とがこの順序で積層された構造を有する。
下地層は、Cr又はCr系合金からなり、磁性層は、C
o系合金からなる。
種提案されている。例えば、Okamoto et a
l. ,”Rigid Disk Medium For
5Gbit/ in2 Recording”,AB-
3,Intermag ’96 Digestには、C
rMoからなる適切な下地層を用いて磁性層の膜厚を減
少させることで、磁性層の粒子サイズ及びサイズ分布を
減少させることが提案されている。又、米国特許第5,
693,426号では、NiAlからなる下地層を用い
ることが提案されている。更に、Hosoe et a
l. , ”Experimental Study o
f Thermal Decay inHigh- De
nsity Magnetic Recording
Media”, IEEE Trans. Magn.
Vol. 33, 1528(1997)では、CrT
iからなる下地層を用いることが提案されている。上記
の如き下地層は、磁性層の面内配向を促し残留磁化及び
ビットの熱安定性を増加させる。磁性層の膜厚を減少さ
せて、解像度を高くする、或いは、書き込まれたビット
間の遷移幅を減少させることも提案されている。更に、
CoCr系合金からなる磁性層のCr偏析を促進させ、
粒子間の交換結合を減少させることも提案されている。
磁気的により孤立するにつれ、書き込まれたビットは、
線密度に応じて増加する減磁界と熱活性化とにより不安
定になる。Lu et al. , ”Thermal
Instability at 10 Gbit/ in
2 Magnetic Recording”, IE
EE Trans. Magn. Vol. 30, 4
230(1994)では、マイクロマグネティックシミ
ュレーションにより、直径が10nmで400kfci
ビットでKu V/ kB T〜60なる比の各粒子の交換結
合を抑制された媒体では、大幅な熱的ディケイを受けや
すいことが発表されている。ここで、Ku は磁気異方性
の定数、Vは磁性粒子の平均体積、kB はボルツマン定
数、Tは温度を示す。尚、Ku V/ kB Tなる比は、熱
安定性係数とも呼ばれる。
rmal Stability of Narrow
Track Bits in a 5 Gbit/ in
2Medium”, IEEE Trans. Mag
n. Vol. 33,2995(1997)では、粒子
間の交換相互作用の存在が書き込まれたビットを安定化
させることが、5Gbit/ in2 のCoCrPtTa
/ CrMo媒体のアニールされた200kfciビット
のMFM(磁気間力顕微鏡)解析により報告されてい
る。ところが、20Gbit/ in2 以上の記録密度で
は、更なる粒子間の磁気的結合の抑制が必須となる。
気異方性を増加させることであった。しかし、磁性層の
磁気異方性を増加させるには、ヘッドの書き込み磁界に
大きな負荷がかかってしまう。
は、He et al. ,”High Speed S
witching in Magnetic Reco
rding Media”, J. Magn. Ma
gn. Mater. Vol.155, 6(199
6)において磁気テープ媒体について、そして、J.
H. Richter, ”Dynamic Coer
civity Effects in Thin Fi
lm Media”, IEEE Trans.Mag
n. Vol.34, 1540(1997)において
磁気ディスク媒体について報告されているように、スイ
ッチ時間の減少に応じて急激に増加する。このため、デ
ータ速度に悪影響が生じてしまう。つまり、磁性層にど
れくらい速くデータを書き込めるか、及び、磁性粒子の
磁化を反転させるのに必要なヘッドの磁界強度が、スイ
ッチ時間の減少に応じて急激に増加する。
て、磁性層の下の基板に適切なテクスチャ処理を施すこ
とにより、磁性層の配向率を増加させる方法も提案され
ている。例えば、発行中のAkimoto et a
l. , ”MagneticRelaxation i
n Thin Film Media as a Fu
nction of Orientation”,
J. Magn. Magn. Mater. (19
99)では、マイクロマグネティックシミュレーション
により、実効的なKu V/ kB T値が配向率の僅かな増
加により増大することが報告されている。この結果、A
barra et al., ”TheEffect
of Orientation Ratio on t
he Dynamic Coercivity of
Media for >15Gbit/ in2 Rec
ording”, EB- 02, Intermag
’99,Koreaにおいて報告されているように、
磁気記録媒体のオーバーライト性能を向上する保磁力の
時間依存性をより弱めることができる。
磁気記録媒体も提案されている。キーパ層は、磁性層と
平行な軟磁性層からなる。この軟磁性層は、磁性層の上
又は下に配置される。多くの場合、Cr磁気絶縁層が軟
磁性層と磁性層との間に設けられる。軟磁性層は、磁性
層に書き込まれたビットの減磁界を減少させる。しか
し、磁気記録層と連続的に交換結合する軟磁性層の結合
により、磁性層の粒子の減結合という目的が達成されな
くなってしまう。その結果、媒体ノイズが増大する。
体ノイズを低減する方法は、様々なものが提案されてい
る。しかし、提案されている方法では、書き込まれたビ
ットの熱安定性を大幅に向上することはできず、このた
め、媒体ノイズを大幅に減少させることは難しいという
問題があった。更に、提案方法によっては、媒体ノイズ
を低減するための対策のために、磁気記録媒体の性能に
悪影響を及ぼしてしまうという問題もあった。
を得るためには、(i)磁気異方性定数Ku を増加させ
る、(ii)温度Tを減少させる、又は、(iii)磁
性層の粒子体積Vを増加させる等の対策が考えられる。
しかし、対策(i)では保磁力が増加してしまい、磁性
層に情報を書き込むことがより難しくなってしまう。他
方、対策(ii)は、例えばディスクドライブ等の動作
温度が60℃を超えることがあることを考えると、非実
用的である。更に、対策(iii)は、前記の如く媒体
ノイズを増加させてしまう。又、対策(iii)に代わ
って、磁性層の膜厚を増加させることも考えられるが、
この方法では解像度が低下してしまう。そこで、本発明
は、書き込まれたビットの熱安定性を向上し、媒体ノイ
ズを低減し、磁気記録媒体の性能に悪影響を及ぼすこと
なく信頼性の高い高密度記録を行えると共に、特に磁性
層の面内配向性の向上により記録分解能の向上が可能な
磁気記録媒体及び磁気記憶装置を提供することを目的と
する。
も1つの交換層構造と、該交換層構造上に設けられた磁
性層とを備え、該交換層構造は、強磁性層と、該強磁性
層上で、且つ、該磁性層下に設けられた非磁性結合層と
からなり、該強磁性層及び該磁性層は互いに磁化方向が
反平行であり、該非磁性結合層は、元素又は合金M3が
添加されたRu−M3なる合金からなり、該非磁性結合
層とその上下の該磁性層と該強磁性層との格子不整合を
M3の添加により約6%以下に調整されていることを特
徴とする磁気記録媒体によって達成される。本発明によ
れば、書き込まれたビットの熱安定性を向上し、媒体ノ
イズを低減し、磁気記録媒体の性能に悪影響を及ぼすこ
となく信頼性の高い高密度記録を行えると共に、特に磁
性層の面内配向性の向上により記録分解能の向上が可能
な磁気記録媒体を実現できる。
造と、該交換層構造上に設けられた磁性層とを備え、該
交換層構造は、強磁性層と、該強磁性層上で、且つ、該
磁性層下に設けられた非磁性結合層とからなり、該強磁
性層及び該磁性層は互いに磁化方向が反平行であり、該
非磁性結合層は、Ru−M3なる合金からなり、M3=
Co,Cr,Fe,Ni,Mn又はこれらの合金からな
ることを特徴とする磁気記録媒体によっても達成され
る。本発明によれば、書き込まれたビットの熱安定性を
向上し、媒体ノイズを低減し、磁気記録媒体の性能に悪
影響を及ぼすことなく信頼性の高い高密度記録を行える
と共に、特に磁性層の面内配向性の向上により記録分解
能の向上が可能な磁気記録媒体を実現できる。
oの場合は50at%以下、Crの場合は50at%以
下、Feの場合は60at%以下、Niの場合は10a
t%以下、Mnの場合は50at%以下に選定されてい
ても良い。
の範囲内で選定された膜厚を有する構成としても良い。
系合金、Fe系合金、及びCoCrTa、CoCrP
t、CoCrPt- M2を含むCo系合金からなるグル
ープから選択された材料からなり、M2=B、Mo、N
b、Ta、W、Cu又はこれらの合金であっても良い。
CoCrPt、CoCrPt- M4を含むCo系合金か
らなるグループから選択された材料からなり、M4=
B、Mo、Nb、Ta、W、Cu又はこれらの合金であ
っても良い。
気記録媒体を少なくとも1つ備えた磁気記憶装置によっ
ても達成できる。本発明によれば、書き込まれたビット
の熱安定性を向上し、媒体ノイズを低減し、磁気記録媒
体の性能に悪影響を及ぼすことなく信頼性の高い高密度
記録を行えると共に、特に磁性層の面内配向性の向上に
より記録分解能の向上が可能な磁気記憶装置を実現でき
る。
に説明する。
有する複数の層を用いるものである。例えば、S.S.
P. Parkin, ”Systematic Va
riation of the Strength a
nd Oscillation Period of
Indirect Magnetic Exchang
e Coupling though the 3d,
4d, and 5d Transition Me
tals”, Phys. Rev. Lett. V
ol.67, 3598(1991)においては、R
u,Rh等の薄い非磁性中間層を介して磁性層に結合す
るCo,Fe,Ni等の磁気遷移金属が説明されてい
る。他方、米国特許第5,701,223号公報には、
センサの安定化のために、上記の如き層を積層されたピ
ニング層として用いるスピンバルブが提案されている。
Rh層が特定の膜厚を有する場合、強磁性層の磁化方向
を互いに平行又は反平行にすることができる。例えば、
互いに異なる膜厚で磁化方向が反平行である2つの強磁
性層からなる構造の場合、磁気記録媒体の有効粒子サイ
ズは、解像度に実質的な影響を及ぼすことなく増加させ
ることができる。このような磁気記録媒体から再生され
た信号振幅は、逆方向の磁化により減少するが、これに
対しては、積層磁性層構造の下に、適切な膜厚及び磁化
方向の層を更に設けることで、1つの層による影響を打
ち消すことができる。この結果、磁気記録媒体から再生
される信号振幅を増大させ、且つ、実効粒子体積を増大
させることができる。従って、熱安定性の高い書き込ま
れたビットを実現することができる。
化方向で交換結合させるか、或いは、積層フェリ磁性構
造を用いることにより、書き込まれたビットの熱安定性
を向上させる。強磁性層又は積層フェリ磁性構造は、交
換−減結合された粒子からなる磁性層からなる。つま
り、本発明は、磁気記録媒体の熱安定性の性能を向上さ
せるために、交換ピニング強磁性層又はフェリ磁性多層
構造を用いる。
実施例の要部を示す断面図である。磁気記録媒体は、非
磁性基板1、第1のシード層2、NiP層3、第2のシ
ード層4、下地層5、非磁性中間層6、強磁性層7、非
磁性結合層8、磁性層9、保護層10及び潤滑層11
が、図1に示すようにこの順序で積層された構造を有す
る。
又はガラスからなる。この非磁性基板1は、テクスチャ
処理を施されていても、施されていなくても良い。第1
のシード層2は、特に非磁性基板1がガラスからなる場
合には、例えばNiPからなる。NiP層3は、テクス
チャ処理又は酸化処理を施されていても、施されていな
くても良い。第2のシード層4は、下地層5にNiA
l,FeAl等のB2構造の合金を用いた場合の下地層
5の(001)面又は(112)面の配向を良好にする
ために設けられている。第2のシード層4は、第1のシ
ード層2と同様な適切な材料からなる。
性基板1又はNiP層3に施されるテクスチャ処理は、
ディスクの周方向、即ち、ディスク上のトラックが延在
する方向に沿って行われる。
ャル成長、粒子分布幅の減少、及び磁気記録媒体の記録
面と平行な面に沿った磁性層9の異方性軸(磁化容易
軸)の配向を促進するために設けられている。この非磁
性中間層6は、CoCr−M等のhcp構造を有する合
金からなり、1〜5nmの範囲に選定された膜厚を有す
る。ここで、M=B,Mo,Nb,Ta,W又はこれら
の合金である。
合金、Ni系合金、Fe系合金等からなる。つまり、C
oCrTa、CoCrPt、CoCrPt- Mを含むC
o系合金を、強磁性層7に用いることができる。ここ
で、M=B、Mo、Nb、Ta、W又はこれらの合金で
ある。この強磁性層7は、2〜10nmの範囲に選定さ
れた膜厚を有する。非磁性結合層8は、Ru、Rh、I
r、Ru系合金、Rh系合金、Ir系合金等からなる。
例えば、この非磁性結合層8は、0.4〜1.0nmの
範囲に選定された膜厚を有し、好ましくは約0.6〜
0.8nmの膜厚を有する。非磁性結合層8の膜厚をこ
のような範囲に選定することにより、強磁性層7及び磁
性層9の磁化方向が互いに反平行となる。強磁性層7及
び非磁性結合層8は、交換層構造を構成する。
CrPt、CoCrPt- Mを含むCo系合金等からな
る。ここで、M=B,Mo,Nb,Ta,W又はこれら
の合金である。磁性層9は、5〜30nmの範囲に選定
された膜厚を有する。勿論、磁性層9は、単一層構造の
ものに限定されず、多層構造からなる構成であっても良
いことは、言うまでもない。
滑層11は、磁気記録媒体を例えばスピンバルブヘッド
等の磁気トランスデューサと使用するための、有機物潤
滑剤からなる。保護層10及び潤滑層11は、磁気記録
媒体上の保護層構造を構成する。
論図1に示すものに限定されない。例えば、下地層5
は、Cr又はCr系合金からなり、基板1上に5〜40
nmの範囲に選定された膜厚に形成し、交換層構造は、
このような下地層5上に設けても良い。
施例を説明する。
実施例の要部を示す断面図である。同図中、図1と同一
部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
層構造が、フェリ磁性多層構造を構成する、2つの非磁
性結合層8,8- 1及び2つの強磁性層7,7- 1から
なる。このような構造を用いることにより、2つの非磁
性結合層8,8- 1の磁化は、磁性層9の一部を打ち消
すことなく、互いに打ち消し合うので、実効磁化及び信
号を増大することが可能となる。この結果、磁性層9の
粒子体積及び磁化の熱安定性が効果的に増大される。記
録層の磁化容易軸の配向が好ましく保たれる限り、強磁
性層と非磁性層の対からなる追加される2層構造によ
り、実効的な粒子体積の増大を図ることができる。
料からなり、膜厚も強磁性層7と同様の範囲に選定され
る。又、非磁性結合層8- 1は、非磁性結合層8と同様
の材料からなり、膜厚も非磁性結合層8と同様の範囲に
選定される。強磁性層7,7- 1間では、c軸は実質的
に面内方向に沿っており、粒子は柱状に成長する。
性は、強磁性層7の磁気異方性より強く設定されてい
る。強磁性層7- 1の磁気異方性は、磁性層9の磁気異
方性より強くても、弱くても、或いは、同じに設定され
ていても良い。要は、強磁性層7の磁気異方性がその上
下の層9,7−1よりも弱ければ良い。
強磁性層7- 1の残留磁化と膜厚の積より小さく設定さ
れている。
nmの単一のCoPt層の面内磁気特性を示す図であ
る。図3中、縦軸は磁化(emu)、横軸は保磁力(O
e)を示す。従来の磁気記録媒体は、図3に示す如き特
性を示す。
く、膜厚が0. 8nmのRu層で分離された2つのCo
Pt層の面内磁気特性を示す図である。図4中、縦軸は
残留磁化(Gauss)、横軸は保磁力(Oe)を示
す。図4からもわかるように、ループは保磁力近傍でシ
フトを生じ、反強磁性結合が発生していることがわか
る。図5は、膜厚が1. 4nmのRu層で分離された2
つのCoPt層の面内磁気特性を示す図である。図5
中、縦軸は残留磁化(emu)、横軸は保磁力(Oe)
を示す。図5からもわかるように、2つのCoPt層の
磁化方向は平行である。
0. 8nmのRu層で分離された2つのCoCrPt層
の面内磁気特性を示す図である。図6中、縦軸は残留磁
化(emu/ cc)、横軸は保磁力(Oe)を示す。図
6からもわかるように、ループは保磁力近傍でシフトを
生じ、反強磁性結合が発生していることがわかる。
とにより、反平行結合を得られることがわかる。又、図
5を、図4及び図6と比較することでわかるように、非
磁性結合層8の膜厚は、反平行結合を得るためには、好
ましくは0. 4〜1.0nmの範囲に選定される。
例によれば、磁性層と強磁性層との間の非磁性結合層を
介した交換結合により、解像度を犠牲にすることなく、
実効粒子体積を増大させることができる。つまり、熱安
定性の良い媒体を実現できるように、粒子体積から見る
と、磁性層の見かけ上の膜厚を増加させることができ
る。又、下部の磁性層からの再生出力は打ち消されるた
め、有効な磁性層の膜厚は変わらない。このため、見か
け上の磁性層の膜厚は増加するが、有効な磁性層の膜厚
は変化せずに薄くできるので、厚い媒体では得られない
高分解能を得ることができる。この結果、媒体ノイズが
低減され、且つ、熱安定性の向上された磁気記録媒体を
得ることができる。
例を、図7及び図8と共に説明する。図7は、磁気記憶
装置の一実施例の要部を示す断面図であり、図8は、磁
気記憶装置の一実施例の要部を示す平面図である。
は大略ハウジング13からなる。ハウジング13内に
は、モータ14、ハブ15、複数の磁気記録媒体16、
複数の記録再生ヘッド17、複数のサスペンション1
8、複数のアーム19及びアクチュエータユニット20
が設けられている。磁気記録媒体16は、モータ14に
より回転されるハブ15に取り付けられている。記録再
生ヘッド17は、MRヘッドやGMRヘッド等の再生ヘ
ッドと、インダクティブヘッド等の記録ヘッドとからな
る。各記録再生ヘッド17は、対応するアーム19の先
端にサスペンション18を介して取り付けられている。
アーム19はアクチュエータユニット20により駆動さ
れる。この磁気記憶装置の基本構成自体は周知であり、
その詳細な説明は本明細書では省略する。
16に特徴がある。各磁気記録媒体16は、図1及び図
2と共に説明した、上記磁気記録媒体の第1実施例又は
第2実施例の構造、或いは、図9以降と共に後述する磁
気記録媒体の第3実施例の構造を有する。勿論、磁気記
録媒体16の数は3枚に限定されず、1枚でも、2枚又
は4枚以上であっても良い。
に示すものに限定されるものではない。又、本発明で用
いる磁気記録媒体は、磁気ディスクに限定されない。
交換層構造を有する磁気記録媒体において、非磁性結合
層8にRuを用い、磁性層9にCoCr系合金を用いた
場合、これらの層8,9は共にhcp構造を有する。磁
気記録媒体の保磁力及び分解能の両方を高くするために
は、hcp構造のc軸が基板1の表面に対して平行であ
ることが望ましい。強磁性層7にCoCr系合金を用い
た場合、強磁性層7はhcp構造の合金からなる(00
2)面に配向した中間層6上にエピタキシャル成長され
るので、強磁性層7のc軸の面内配向性は良好である。
は、CoCr系合金と同様にhcp構造を有するが、R
uの格子定数はCoCr系合金の格子定数に比べると約
5%程度広い。このため、強磁性層7と非磁性結合層8
との間、或いは、非磁性結合層8と磁性層9との間で、
エピタキシャル成長が格子不一致のため若干阻害される
こともある。このように、格子不一致のためにエピタキ
シャル成長が若干阻害されると、磁気記録媒体の保磁力
の低下したり、CoCr系合金のc軸の面内配向性が不
安定になったりする。
ピタキシャル成長を改善し、磁気記録媒体の保磁力の増
大とCoCr系合金のc軸の面内配向性を改善すると共
に、磁気記録媒体の主に記録分解能特性を改善可能とす
る実施例を以下に説明する。図9は、本発明になる磁気
記録媒体の第3実施例の要部を示す断面図である。磁気
記録媒体は、非磁性基板16、シード層17、Cr系合
金からなる下地層18、非磁性中間層19、強磁性層2
0、非磁性結合層21、磁性層22、保護層23及び潤
滑層24が、図9に示すようにこの順序で積層された構
造を有する。
ラスからなる。非磁性基板16は、テクスチュア処理を
施されていても、施されていなくても良い。シード層1
7は、非磁性基板16がAl合金からなる場合には、め
っきにより形成されたNiPからなる。このNiPシー
ド層17は、テクスチュア処理を施されていても、施さ
れていなくても良い。又、非磁性基板16がガラスから
なる場合には、シード層17は、NiAl,FeAlな
どのB2構造を有する金属間化合物材料からなる。
キシャル成長、粒子サイズ分布幅の減少、及び磁気記録
媒体の記録面と平行な面に沿った磁性層22の異方性軸
(c軸、磁化容易軸)の配向を促進するために設けられ
ている。この非磁性中間層19は、CoCr−M1等の
hcp構造を有する合金からなり、約1〜5nmの範囲
に選定された膜厚を有する。ここで、M1=B,Mo,
Bn,Ta,W又はこれらの合金である。
系合金,Ni系合金,Fe系合金等からなる。つまり、
CoCrTa,CoCrPt,CoCrPt−M2を含
むCo系合金を強磁性層20に用いることができる。こ
こで、M2=B,Mo,Nb,Ta,W又はこれらの合
金である。この強磁性層20は、約2〜10nmの範囲
に選定された膜厚を有する。
p構造を有する合金からなる。ここで、M3=Co,C
r,Fe,Ni,Mn又はこれらの合金である。非磁性
結合層21は、例えば約0.4〜1.0nmの範囲に選
定された膜厚を有し、好ましくは約0.6〜0.8nm
の膜厚を有する。非磁性結合層21の膜厚をこのような
値に選定することにより、強磁性層20及び磁性層22
の磁化方向が互いに反平行となる。このように、強磁性
層20及び非磁性結合層19は、交換層構造を構成す
る。
oCrPt,CoCrPt−M4を含むCo系合金から
なる。ここで、M4=B,Mo,Nb,Ta,W又はこ
れらの合金である。この磁性層22は、約5〜30nm
の範囲に選定された膜厚を有する。勿論、磁性層22は
単一層構造のものに限定されず、多層構造を有しても良
いことは、言うまでもない。
又、潤滑層24は、磁気記録媒体を例えばスピンバルブ
ヘッド等の磁気トランスデューサを使用するための、有
機物潤滑剤からなる。保護層23及び潤滑層24は、磁
気記録媒体の保護層構造を構成する。
M3なる合金からなり、M3=Co,Cr,Fe,N
i,Mn又はこれらの合金である。本実施例では、Ru
に添加される元素M3の添加量は、安定なhcp構造が
保たれるように、次の如き組成範囲が望ましい。Ruに
添加される添加元素M3に続く括弧内の数値は、原子%
(at%)を示す。
に純Ruを用いた場合に得られる磁化曲線を示す図であ
る。同図中、縦軸は磁化M(任意単位)、横軸は磁界H
(kOe)を示す。同図に示す磁化曲線は、振動試料型
磁力計によって、試料面、即ち、磁気記録媒体の記録面
に平行に磁界を印加しながら測定した。強磁性20と磁
性層22が反平行に結合する領域が存在するために、磁
化曲線にはくびれが生じている。
金を用いた場合に得られる磁化曲線も同じようにして測
定した。非磁性結合層21にRu−M3なる合金を用い
た場合も、図10の場合と同様に、強磁性20と磁性層
22が反平行に結合する領域が存在するために、磁化曲
線にはくびれが生じることが確認された。
限において、くびれより高磁界側の磁化曲線における直
線部分を磁界軸に外挿し、磁界軸との交点を面内保磁力
Hc//と定義する。
記録媒体に対して、試料面に対して垂直方向に磁界を印
加しながら、垂直カー(Kerr)ルーパーにより測定
した磁化曲線を示す図である。図11中、縦軸はカー回
転(度)、横軸は垂直磁界(Oe)を示す。垂直保磁力
Hc⊥は、図11にその定義を示す。
度は、(Hc⊥)/(Hc//)なる比によって評価する
ことができる。この比(Hc⊥)/(Hc//)が小さい
程、磁性層22の面内配向性が良好であることを示す。
の面内保磁力Hc//及び比(Hc⊥)/(Hc//)の測
定結果を以下に示す。尚、各種材料に対する面内保磁力
Hc//は、純Ruを非磁性結合層21に用いた場合の面
内保磁力Hc//を1とした場合の相対値で示す。 非磁性結合層21 Hc//(相対値) (Hc⊥)/(Hc//) Ru 1 0.33 Ru−Co(20at%) 1.10 0.23 Ru−Cr(20at%) 1.05 0.25 Ru−Fe(20at%) 1.07 0.28 Ru−Mn(20at%) 0.96 0.30 Ru−Ni(10at%) 0.94 0.30 このように、本実施例によれば、Ru−M3のいずれの
合金を非磁性結合層21に用いた場合でも、純Ruを用
いた場合と比較して比(Hc⊥)/(Hc//)の値に改
善が確認された。このような磁性層22の面内配向性の
改善により、記録分解能が約1.5〜2.5%向上する
ことも確認された。
p構造の(002)面の間隔が、上下に位置する強磁性
層20及び磁性層22と最悪の場合で約8%、通常は最
大5%程度の格子不整合を生じていても、上記の如く元
素M3をRuに添加することで、格子不整合を約6%以
下、好ましくは2%以下に減少可能であることが確認さ
れた。更に、Ruに添加可能な元素M3としては、上記
Co,Cr,Fe,Ni,Mn又はこれらの合金が好ま
しいが、これらに限定されず、例えばIr,Mo,N
b,Pt,Rh,Ta,Ti,V,W又はこれらの合金
を用いて格子不整合の調整を行っても良い。
実施例の構成にも同様にして適用可能であることは、言
うまでもない。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の
変形及び改良が可能であることは、言うまでもない。
熱安定性を向上し、媒体ノイズを低減し、磁気記録媒体
の性能に悪影響を及ぼすことなく信頼性の高い高密度記
録を行えると共に、特に磁性層の面内配向性の向上によ
り記録分解能の向上が可能な磁気記録媒体及び磁気記憶
装置を実現できる。
を示す断面図である。
を示す断面図である。
CoPt層の面内磁気特性を示す図である。
CoPt層の面内磁気特性を示す図である。
CoPt層の面内磁気特性を示す図である。
CoCrPt層の面内磁気特性を示す図である。
示す断面図である。
ある。
を示す断面図である。
た場合に得られる磁化曲線を示す図である。
ら、垂直カールーパーにより測定した磁化曲線を示す図
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 少なくとも1つの交換層構造と、 該交換層構造上に設けられた磁性層とを備え、 該交換層構造は、強磁性層と、該強磁性層上で、且つ、
該磁性層下に設けられた非磁性結合層とからなり、 該強磁性層及び該磁性層は互いに磁化方向が反平行であ
り、 該非磁性結合層は、元素又は合金M3が添加されたRu
−M3なる合金からなり、該非磁性結合層とその上下の
該磁性層と該強磁性層との格子不整合をM3の添加によ
り約6%以下に調整されていることを特徴とする、磁気
記録媒体。 - 【請求項2】 少なくとも1つの交換層構造と、 該交換層構造上に設けられた磁性層とを備え、 該交換層構造は、強磁性層と、該強磁性層上で、且つ、
該磁性層下に設けられた非磁性結合層とからなり、 該強磁性層及び該磁性層は互いに磁化方向が反平行であ
り、 該非磁性結合層は、Ru−M3なる合金からなり、M3
=Co,Cr,Fe,Ni,Mn又はこれらの合金から
なることを特徴とする、磁気記録媒体。 - 【請求項3】 前記M3なる元素のRuへの添加量は、
Coの場合は50at%以下、Crの場合は50at%
以下、Feの場合は60at%以下、Niの場合は10
at%以下、Mnの場合は50at%以下に選定されて
いることを特徴とする、請求項2記載の磁気記録媒体。 - 【請求項4】 前記非磁性結合層は、0.4〜1.0n
mの範囲内で選定された膜厚を有する、請求項1〜3の
いずれか1項記載の磁気記録媒体。 - 【請求項5】 前記強磁性層は、Co、Ni、Fe、N
i系合金、Fe系合金、及びCoCrTa、CoCrP
t、CoCrPt- M2を含むCo系合金からなるグル
ープから選択された材料からなり、M2=B、Mo、N
b、Ta、W、Cu又はこれらの合金である、請求項1
〜4のいずれか1項記載の磁気記録媒体。 - 【請求項6】 前記磁性層は、Co、及びCoCrT
a、CoCrPt、CoCrPt- M4を含むCo系合
金からなるグループから選択された材料からなり、M4
=B、Mo、Nb、Ta、W、Cu又はこれらの合金で
ある、請求項1〜5のいずれか1項記載の磁気記録媒
体。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項記載の磁気
記録媒体を少なくとも1つ備えた磁気記憶装置。
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