JP2001054852A - ロータリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工方法及び装置並びに超仕上げ加工用砥石板 - Google Patents

ロータリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工方法及び装置並びに超仕上げ加工用砥石板

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JP2001054852A
JP2001054852A JP23231399A JP23231399A JP2001054852A JP 2001054852 A JP2001054852 A JP 2001054852A JP 23231399 A JP23231399 A JP 23231399A JP 23231399 A JP23231399 A JP 23231399A JP 2001054852 A JP2001054852 A JP 2001054852A
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mounting groove
vane mounting
rotary compressor
vane
thin substrate
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Fumio Masamori
史雄 正守
Seizo Takamura
誠三 高村
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Toyo Advanced Technologies Co Ltd
Original Assignee
Toyo Advanced Technologies Co Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータリコンプレッサのシリンダに設けられ
た小幅のベーン取付溝の内側面を加工してその表面粗さ
を向上させる。 【解決手段】 ロータリコンプレッサのシリンダ60に
設けられたベーン取付溝64の内側面を超仕上げ加工す
るための方法及び装置。ベーン取付溝64の幅寸法より
も小さい厚みを有しかつ当該ベーン取付溝の前後長さよ
りも大きな前後長さを有する薄肉基板58に砥粒59を
固着した砥石板を用いる。その少なくとも前後方向両端
を厚肉の支持部24によって支持し、前記砥粒59をベ
ーン取付溝64の内側面に接触させた状態で砥石板と支
持部24とを一体に微振動させながら砥粒59をベーン
取付溝64の内側面に接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ロータリコンプレ
ッサのシリンダ内周面から径方向外側に延びるベーン取
付溝の内側面を超仕上げ加工するための方法および装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、ロータリコンプレッサのシリン
ダには、その径方向に摺動可能となるようにベーンを取
付けるためのベーン取付溝が設けられている。そして、
このようなベーン取付溝の内側面を仕上げ加工するため
の方法として、特開平8−112746号公報に示され
るものが知られている。
【0003】この方法は、前記ベーン取付溝の間に挿通
可能な小径でかつ長尺の円柱状砥石と、この円柱状砥石
の両端を回転可能に支持するアームとを備えた加工装置
を用いるもので、前記ベーン取付溝内に前記円柱状砥石
を挿通し、当該砥石を回転駆動しながらベーン取付溝内
側面に接触させ、かつ、この接触状態のままシリンダ径
方向に走査することにより、当該ベーン取付溝の内側面
を研削加工するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記ベーン取付溝は、
その溝内にロータリコンプレッサのベーンが挿入された
状態で当該ベーンをシリンダ径方向に摺動可能に保持す
るものであるので、このベーン摺動時の摩擦抵抗を減ら
して円滑な動作を実現するためには、ベーン取付溝の形
状精度及び寸法精度の向上はもちろんのこと、取付溝内
側面の表面粗さを向上させることが非常に重要となる。
しかしながら、上述の研削加工だけでは、前記表面粗さ
の飛躍的向上は望めない。
【0005】このような表面粗さを向上させるための加
工方法として、粒度の細かい砥石を工作物に軽く押しつ
けながら砥石に微小振幅の振動を与える超仕上げ加工が
知られているが、従来の超仕上げ加工方法は、そのほと
んどが工作物の円筒外面の加工に用いられるものであっ
て、ブロック状の砥石を軽く加工面上に載せながらこれ
に振動を加えるといったものであるので、非常に小幅で
かつ奥行きのあるベーン取付溝の内側面の加工に適用す
ることはきわめて困難である。
【0006】本発明は、このような事情に鑑み、ロータ
リコンプレッサのシリンダに設けられた小幅のベーン取
付溝の内側面を不都合なく加工してその表面粗さを向上
させることができる方法及び装置を提供することを目的
とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、ロータリコンプレッサのシリ
ンダの内周面から径方向外側に延びるベーン取付溝の内
側面を超仕上げ加工するための方法であって、前記ベー
ン取付溝の幅寸法よりも小さい厚みを有しかつ当該ベー
ン取付溝の前後長さよりも大きな前後長さを有する砥石
板の少なくとも前後方向両端を前記ベーン取付溝の幅寸
法よりも厚みの大きい支持部材によって支持し、前記砥
石板と支持部材とを一体に当該砥石板の厚み方向と略直
交する方向に微振動させながら当該砥石板を前記ベーン
取付溝の内側面に接触させるものである。
【0008】また本発明は、ロータリコンプレッサのシ
リンダの内周面から径方向外側に延びるベーン取付溝の
内側面を加工するための装置であって、前記ベーン取付
溝の幅寸法よりも小さい厚みを有しかつ当該ベーン取付
溝の前後長さよりも大きな前後長さを有する砥石板と、
前記ベーン取付溝の幅寸法よりも厚みが大きく、前記砥
石板の少なくとも前後方向両端を支持する支持部材と、
この支持部材及び前記砥石板を一体に当該砥石板の厚み
方向と略直交する方向に微振動させる加振手段とを備え
たものである。
【0009】これらの方法及び装置によれば、薄肉の砥
石板をベーン取付溝内に挿入してこれに微振動を加える
ことにより、ベーン取付溝が小幅であるにもかかわら
ず、その内側面を難なく超仕上げ加工してその表面粗さ
を向上させることができる。しかも、前記砥石板の前後
両端部を厚肉の支持部材で支持してこの支持部材と砥石
板とを一体に微振動させるようにしているので、砥石板
の支持剛性を高く維持して、加工中に砥石板が撓むのを
有効に抑制することができ、これにより高い加工精度を
確保することができる。
【0010】前記砥石板は少なくともその前後長さがベ
ーン取付溝の前後長さよりも大きいものであればよく、
例えば当該前後方向に延びる長尺のものでもよいが、当
該砥石板を、前記ベーン取付溝の幅寸法よりも小さい厚
みと当該ベーン取付溝の前後長さよりも大きな前後長さ
と当該ベーン取付溝の深さ寸法よりも大きな高さ寸法と
を有する薄肉基板の表面の一部の領域に砥粒を固着する
ことにより構成し、その砥粒部分が前記ベーン取付溝の
内側面に接触する位置で前記薄肉基板が前記ベーン取付
溝の前後両外側及びシリンダ径方向内側にはみ出る部分
を前記支持部材によって支持するようにすれば、前後両
端部のみを支持する場合よりも砥石板の支持剛性をより
高めることができる。しかも、薄肉基板の形状を大きく
しても、その表面において砥粒は加工に必要な領域にの
み固着すればよいので、経済的である。
【0011】なお、ここでいう「高さ寸法」とは、ベー
ン取付溝の深さ方向に対応する方向の寸法を意味するも
のであって、必ずしも加工時に上下方向となる方向の寸
法に限られるものではない。例えば、シリンダの中心軸
が上下を向く状態でそのベーン取付溝の加工が行われる
場合には、砥石板の高さ寸法は水平方向の寸法となる。
【0012】前記砥粒を固着する領域は、薄肉基板にお
いて自由に設定可能であり、例えば薄肉基板のほぼ全面
にわたって固着するようにしてもよいが、超仕上げ加工
に要する領域にのみ固着させれば経済的である。具体的
には、前記砥粒を前記薄肉基板において加工中にシリン
ダ径方向外側となる側の端部に固着しておき、その砥粒
が固着された端部を除く砥石板の周縁部が前記支持部材
に支持されるように構成したものが好適である。
【0013】この場合、前記支持部材としては、前記薄
肉基板の長手方向両端部に沿うように延びる両端支持部
と、これら両端支持部同士を連結する連結部とを有し、
これら両端支持部及び連結部に前記薄肉基板の周縁部が
固定されるものが好適である。
【0014】さらに、前記両端支持部及び連結部に対応
する形状を有し、これら両端支持部及び連結部との間に
前記薄肉基板の周縁部を挟み込んだ状態で当該両端支持
部及び連結部に着脱可能に締結される固定部材を備える
ようにすれば、前記薄肉基板の周縁部を連続した領域で
安定して支持することができる。また、支持部材に対す
る薄肉基板の着脱も容易である。
【0015】前記砥粒は、薄肉基板の片面にのみ固着し
てもよいが、両面に固着すれば、ベーン取付溝内におけ
る薄肉基板の向きを変えることなく、すなわち、ベーン
取付溝に対して薄肉基板を挿入し直すことなく、当該取
付溝の左右内側面の双方を超仕上げ加工することがで
き、加工能率がさらに高まる。
【0016】また本発明は、ロータリコンプレッサのシ
リンダの内周面から径方向外側に延びるベーン取付溝の
内側面を超仕上げ加工するための砥石板であって、前記
ベーン取付溝の幅寸法よりも小さい厚みと当該ベーン取
付溝の前後長さよりも大きな前後長さと当該ベーン取付
溝の深さ寸法よりも大きな高さ寸法とを有する薄肉基板
を備え、この薄肉基板の高さ方向の端部のいずれか一方
の表面に砥粒が固着されているものである。
【0017】この砥石板によれば、その前後両端部と高
さ方向の端部の他方(砥粒が固着されていない側の端
部)を支持部材で支持することにより、前記加工方法を
実施することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施の形態を図
面に基づいて説明する。
【0019】図1(a)(b)は、本発明にかかる超仕
上げ加工装置の全体構成を示したものである。図におい
て、基盤10上に水平方向(図1(a)に示すX軸方
向)に延びる一対のガイドレール12が敷設され、これ
らのガイドレール12上に同レール12に沿ってスライ
ド可能にテーブル14が取付けられている。
【0020】テーブル14の側方には油圧シリンダから
なる定圧シリンダ16が設けられ、その伸縮ロッド18
が前記テーブル14に連結されている。そして、前記定
圧シリンダ16の伸縮によってテーブル14が一定の微
小ストロークだけ送り駆動されるようになっている。
【0021】テーブル14の前側部(図1(a)(b)
では左側部)上には、前記X軸方向と直交する水平方向
(図1(a)に示すY軸方向)に延びる一対のガイドレ
ール20が敷設され、これらのガイドレール20上に同
レール20に沿ってスライド可能に支持部材22が取付
けられている。そして、この支持部材22の前端部に、
後述の砥石板が固定される支持部24が設けられてい
る。
【0022】前記テーブル14上には、前記支持部材2
2全体をY軸方向に微振動させるための加振手段26が
設けられている。その詳細を図2に示す。
【0023】図において、テーブル14の後端部には、
ブラケット27を介してモータ28が固定され、このモ
ータ28の出力軸30に原動プーリ32が固定されてい
る。テーブル14の中間部にはプーリ支持軸34が立設
され、その周囲に軸受36を介して従動プーリ38が回
転可能に取付けられている。そして、この従動プーリ3
8と前記原動プーリ32とにベルト40が掛け渡され、
モータ28の作動によって前記従動プーリ38が比較的
高速で回転駆動されるようになっている。
【0024】前記従動プーリ38の上端にはキャップ4
2が固定され、両者によって全体が一体に回転する回転
部材が構成されている。キャップ42の上面からは上方
に連結軸部42aが突設され、この連結軸部42aの中
心軸X2は、前記回転部材(従動プーリ38及びキャッ
プ42)の回転中心軸X1に対して微小偏心量eだけ偏
心している。
【0025】この連結軸部42aは、前記支持部材22
の後端部23に立設された連結軸44にリンク部材46
を介して連結されている。リンク部材46は、その前後
両端に中空状のリング部46a,46bを有し、後端側
のリング部46aが前記連結軸部42aに軸受48を介
して相対回転可能に連結されるとともに、前端側のリン
グ部46bが軸受50を介して前記連結軸44に相対回
転可能に連結されている。従って、前記モータ28の作
動で前記従動プーリ38及びキャップ42が一体に回転
駆動されることにより、前記偏心量eの2倍の振幅をも
つY軸方向の微振動が支持部材22に与えられるように
なっている。
【0026】前記支持部24及びこれに固定される砥石
板の構造を図3及び図4(a)(b)に示す。
【0027】砥石板は、薄肉基板58を備えている。こ
の薄肉基板58は、図例では矩形状をなし、その下端部
両面に、当該下端部に沿って超仕上げ加工用の砥粒59
が固着されている。また、この下端部を除く周縁部(図
では前後両縁部及び上縁部)の適所には、ボルト挿通孔
58dが穿設されている。
【0028】これに対して支持部材22側の支持部24
は、支持部材本体から突出する基部52と、この基部5
2の端部に形成された基板固定部54とからなってい
る。基板固定部54は、基部52と一体につながる縦方
向の後端支持部54aと、この後端支持部54aから前
方に離れた同じく縦方向の前端支持部54cと、これら
後端支持部54a及び前端支持部54cの上端同士を連
結する横方向の連結部54bとを一体に有し、これら後
端支持部54a、前端支持部54c、及び連結部54b
が、前記薄肉基板58の後端部、前端部、及び上端部に
それぞれ沿って延びている。すなわち、基板固定部54
は、前記薄肉基板58の下端部を除く周縁部に沿う逆凹
字形状をなしている。また、この基板固定部54には、
前記薄肉基板58のボルト挿通孔58dと対応する位置
にねじ孔54dが設けられている。
【0029】さらに、この支持部24は、前記基板固定
部54に対応する逆凹字形状の固定部材56を備えてい
る。すなわち、この固定部材56は、前記後端支持部5
4aに対応する縦方向の後端固定部56aと、前記前端
支持部54cに対応する縦方向の前端固定部56cと、
前記連結部54bに対応する連結部56bとを一体に有
し、前記ねじ孔54dと対応する位置にはボルト挿通孔
56dが穿設されている。
【0030】従って、この構造では、前記固定部材56
及び薄肉基板58のボルト挿通孔56d,58dにボル
ト55が挿通された状態で当該ボルト55が基板固定部
54のねじ孔54dにねじ込まれることにより、薄肉基
板58の前後両縁部及び上縁部を間に挟み込みながら基
板固定部54と固定部材56とが相互締結されるように
なっている。
【0031】一方、図略のチャック装置には、加工対象
である工作物として図4(a)(b)に示すようなシリ
ンダ60が保持されている。図例のシリンダ60は、シ
ングルベーン式ロータリコンプレッサに設けられるもの
で、中央に貫通穴62をもつ筒状をなし、その内周面か
ら径方向外側にベーン取付溝64が切り込まれ、このベ
ーン取付溝64の終端に円穴部66が形成されている。
前記ベーン取付溝64は、図略のベーンが径方向に摺動
可能となるように取付けられるものであり、円穴部66
は、前記ベーンを径方向内側に付勢するスプリングを収
納するためのものである。このシリンダ60の各寸法と
の関係において、前記加工装置側では次のような設計が
なされている。
【0032】・砥粒59の厚みも含めた砥石板全体の厚
みがベーン取付溝64の幅寸法よりも小さい寸法に設定
されている。
【0033】・図3に示す薄肉基板58,基板固定部5
4、及び固定部材56の前後長さ(シリンダ軸方向の寸
法)Lが、図4(a)に示すベーン取付溝58の前後長
さbよりも大きい寸法に設定されている。
【0034】・前記薄肉基板58,基板固定部54、及
び固定部材56の高さ寸法(シリンダ径方向の寸法)H
が、図4(b)に示すベーン取付溝64の深さ寸法dよ
りも大きく、かつ、シリンダ60の内径Dよりも小さい
寸法に設定されている。
【0035】・図4(a)(b)に示すように砥粒59
がベーン取付溝64の最下部に接触する状態で、基板固
定部54及び固定部材56がベーン取付溝64の外側に
位置するように(すなわち基板固定部54及び固定部材
56がシリンダ60と干渉せずに砥粒59がベーン取付
溝64の最下部に到達できるように)、基板固定部54
及び固定部材56の形状が設定されている。換言すれ
ば、図4(a)(b)に示すように砥粒59がベーン取
付溝64の最下部に接触する位置で、薄肉基板58がベ
ーン取付溝64からその外側にはみ出る部分を基板固定
部54及び固定部材56が支持するように構成されてい
る。
【0036】・図1(a)に示すように定圧シリンダ1
6の伸縮ロッド18及びこれにつながるテーブル14が
中間位置にある状態で、図4(b)に示すように薄肉基
板58がベーン取付溝64内にその幅方向中央位置で挿
入された場合に、その状態から前記定圧シリンダ16の
伸縮ロッド18が伸長することにより、薄肉基板58の
一方の面の砥粒59が所定圧力(超仕上げ加工に適した
定圧力)でベーン取付溝64の一方の内側面に接触し、
逆に伸縮ロッド18が収縮することにより、薄肉基板5
8の他方の面の砥粒59が前記所定圧力でベーン取付溝
64の他方の内側面に接触するように、定圧シリンダ1
6のストロークが設定されている。
【0037】次に、この装置を用いた前記ベーン取付溝
64内側面の超仕上げ加工方法を説明する。
【0038】1)定圧シリンダ16の伸縮ロッド18及
びテーブル14を中間位置に保持した状態で、チャック
装置によりシリンダ60を保持しながら、図略の送り機
構によってシリンダ60と支持部24との相対位置を調
節することにより、支持部24及び砥石板58を一体に
シリンダ60の貫通穴62内に後方から挿入する(図4
(a)(b)の二点鎖線位置)。
【0039】2)シリンダ60と加工装置とを相対的に
上下させることにより、砥石板の下端部(薄肉基板58
において砥粒59が固着されている部分)をベーン取付
溝64内に上から挿入する。
【0040】3)モータ28を作動させることにより、
支持部材22及び砥石板を一体にY軸方向(シリンダ6
0の軸方向)に微振動させる。
【0041】4)定圧シリンダ16の伸縮ロッド18を
伸長させる。これにより、薄肉基板58の一方の面(図
5(a)では右側面)に固着された砥粒59がベーン取
付溝64の一方の内側面(図5(a)では右側の内側
面)に所定圧力で接触する。この状態で加工装置とシリ
ンダ60とを相対的に上下動させることにより、前記一
方の内側面を超仕上げ加工することができる。
【0042】5)定圧シリンダ16の伸縮ロッド18を
収縮させる。これにより、薄肉基板58の他方の面(図
5(a)では左側面)に固着された砥粒59がベーン取
付溝64の他方の内側面(図5(a)では左側の内側
面)に所定圧力で接触する。この状態で加工装置とシリ
ンダ60とを相対的に上下動させることにより、前記他
方の内側面を超仕上げ加工することができる。
【0043】以上示した方法及び装置によれば、薄肉の
砥石板を用いることにより、小幅のベーン取付溝64で
あっても、その内側面を良好に超仕上げ加工することが
できる。この加工により、当該内側面の表面粗さを飛躍
的に高め、ベーン作動時の摩擦抵抗を有効に低減させる
ことができる。
【0044】しかも、薄肉砥石板を用いながら、この砥
石板がベーン取付溝64の外方にはみ出る部分(周縁
部)を厚肉の支持部材で支持することにより、高い支持
剛性を維持して砥石板の撓みを抑制することができ、こ
れにより加工精度を高く維持することができる。
【0045】なお、本発明はかかる実施の形態に限定さ
れず、例として次のような態様をとることも可能であ
る。
【0046】(1) 前記実施形態では、砥石板として、薄
肉基板58の両面に砥粒59を固着したものを用いてい
るが、薄肉基板58の片面にのみ砥粒59を固着したも
のを用いても、超仕上げ加工が可能である。ただし、前
記のような両面固着のものを用いれば、ベーン取付溝6
4に対して砥石板を挿入し直すことなく当該溝64の両
内側面を効率良く超仕上げ加工できる利点が得られる。
例えば、ベーン取付溝64内において、図5(b)の矢
印70に示すような軌跡で砥石板を動かせば、一回の砥
石走査で両内側面を効率良く超仕上げ加工することがで
きる。
【0047】(2) 砥石板とベーン取付溝内側面とのクリ
アランス(すなわちベーン取付溝の幅寸法と砥石板の厚
みとの差)は、適宜設定が可能である。このクリアラン
スを比較的大きく設定してベーン取付溝内での砥石板の
動きに自由度をもたせれば、図6に示すようにベーン取
付溝64の内側面に傾斜部63,65が存在する場合で
も、その傾斜面を難なく超仕上げ加工することが可能に
なる。
【0048】(3) 前記実施形態では、支持部材22の本
体に加えて固定部材56を具備し、この固定部材56と
支持部材本体側の基板固定部54とで薄肉基板58を挟
み込むようにしているが、前記固定部材56を省略して
基板固定部54に直接ボルト等で薄肉基板58の周縁部
を締め付ける等してもよい。ただし、前記のように基板
固定部54と固定部材56との挟持によって薄肉基板5
8を支持するようにすれば、薄肉基板58の所定周縁部
を連続的に安定して支持することが可能になる。
【0049】(4) 前記実施形態では、薄肉基板58の表
面の一部にのみ砥粒59を固着させたものを用いている
が、全面に砥粒が付着した長尺の砥石板を用い、その前
後両端部のみを前記支持部24と同様のアーム状の支持
部材で支持するようにしてもよい。
【0050】(5) 前記実施形態では、砥石板及び支持部
材22を前後方向に振動させたものを示したが、これら
を上下方向、すなわちベーン取付溝の深さ方向に振動さ
せるようにしても、良好な超仕上げ加工をすることが可
能である。
【0051】(6) 本発明において、砥石板あるいは薄肉
基板58の全体形状は図示のような矩形状に限られな
い。どのような形状を採用する場合でも、その砥粒部分
をベーン取付溝内側面に接触する位置で当該取付溝から
砥石板あるいは薄肉基板58がはみ出る部分(少なくと
も前後両端部を含む端部)を支持部材が支持するように
構成することにより、高い支持剛性を確保しながら取付
溝内側面の超仕上げ加工をすることができる。例えば、
図7に示すように前後方向に延びる本体部分の中間部か
ら上側(シリンダ径方向内側)に延びるT字状の薄肉基
板58を備え、その本体部分(前後に延びる部分)に砥
粒59を固着するとともに、前記薄肉基板58の後端部
58a,前端部58b,及び上端部58cを支持部材2
2によって支持するようにすれば、薄肉基板58の前後
両端部のみを支持する場合に比べ、その前後方向中間部
の撓みをより有効に規制することが可能になる。
【0052】(7) 本発明にかかる加振手段は、図2に示
したものに限らず、その他、流体圧シリンダの伸縮を利
用したものや、その他のカム機構、リンク機構を用いた
ものが適用可能である。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明は、ロータリコンプ
レッサのベーン取付溝よりも薄肉で前後長さの大きい砥
石板を用い、その少なくとも前後方向両端を厚みの大き
い支持部材によって支持し、前記砥石板を前記ベーン取
付溝の内側面に接触させた状態でこの砥石板と支持部材
とを一体に微振動させるものであるので、前記ベーン取
付溝が小幅であるにもかかわらず、その内側面の超仕上
げ加工を可能にして表面粗さを向上させることができる
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態にかかる超仕上げ
加工装置の全体平面図、(b)はその全体正面図であ
る。
【図2】図1(a)のA−A線断面図である。
【図3】前記超仕上げ加工装置における支持部材の支持
部及びこれに支持される砥石板を示す分解斜視図であ
る。
【図4】(a)は前記砥石板の加工動作を示す断面正面
図、(b)は断面側面図である。
【図5】(a)は図4のB部拡大図、(b)は加工中の
砥石板の走査経路の一例を示す説明図である。
【図6】ベーン取付溝の内側面に傾斜部が存在する場合
の加工状態を示す断面図である。
【図7】前記砥石板の変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
22 支持部材 24 支持部 26 加振手段 54 基板固定部 55 ボルト 56 固定部材 54a,56a 後端支持部 54b,56b 連結部 54c,56c 前端支持部 58 薄肉基板 59 砥粒 60 シリンダ 62 貫通穴 64 ベーン取付溝 b ベーン取付溝の前後長さ d ベーン取付溝の深さ寸法 H 薄肉基板の高さ寸法 L 薄肉基板の前後長さ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータリコンプレッサのシリンダの内周
    面から径方向外側に延びるベーン取付溝の内側面を超仕
    上げ加工するための方法であって、前記ベーン取付溝の
    幅寸法よりも小さい厚みを有しかつ当該ベーン取付溝の
    前後長さよりも大きな前後長さを有する砥石板の少なく
    とも前後方向両端を前記ベーン取付溝の幅寸法よりも厚
    みの大きい支持部材によって支持し、前記砥石板と支持
    部材とを一体に当該砥石板の厚み方向と略直交する方向
    に微振動させながら当該砥石板を前記ベーン取付溝の内
    側面に接触させることを特徴とするロータリコンプレッ
    サのベーン取付溝の超仕上げ加工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のロータリコンプレッサの
    ベーン取付溝の超仕上げ加工方法において、前記ベーン
    取付溝の幅寸法よりも小さい厚みと当該ベーン取付溝の
    前後長さよりも大きな前後長さと当該ベーン取付溝の深
    さ寸法よりも大きな高さ寸法とを有する薄肉基板の表面
    の一部の領域に砥粒を固着することにより前記砥石板を
    構成し、その砥粒部分が前記ベーン取付溝の内側面に接
    触する位置で前記薄肉基板が前記ベーン取付溝の前後両
    外側及びシリンダ径方向内側にはみ出る部分を前記支持
    部材によって支持するようにすることを特徴とするロー
    タリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工方法。
  3. 【請求項3】 ロータリコンプレッサのシリンダの内周
    面から径方向外側に延びるベーン取付溝の内側面を加工
    するための装置であって、前記ベーン取付溝の幅寸法よ
    りも小さい厚みを有しかつ当該ベーン取付溝の前後長さ
    よりも大きな前後長さを有する砥石板と、前記ベーン取
    付溝の幅寸法よりも厚みが大きく、前記砥石板の少なく
    とも前後方向両端を支持する支持部材と、この支持部材
    及び前記砥石板を一体に当該砥石板の厚み方向と略直交
    する方向に微振動させる加振手段とを備えたことを特徴
    とするロータリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ
    加工装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のロータリコンプレッサの
    ベーン取付溝の超仕上げ加工装置において、前記砥石板
    は、前記ベーン取付溝の幅寸法よりも小さい厚みと当該
    ベーン取付溝の前後長さよりも大きな前後長さと当該ベ
    ーン取付溝の深さ寸法よりも大きな高さ寸法とを有する
    薄肉基板の表面の一部の領域に砥粒を固着したものであ
    り、その砥粒部分が前記ベーン取付溝の内側面に接触す
    る位置で前記薄肉基板が前記ベーン取付溝の前後両外側
    及びシリンダ径方向内側にはみ出る部分を前記支持部材
    が支持するように構成されていることを特徴とするロー
    タリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のロータリコンプレッサの
    ベーン取付溝の超仕上げ加工装置において、前記砥粒は
    前記薄肉基板においてシリンダ径方向外側の端部に固着
    されており、その砥粒が固着された端部を除く砥石板の
    周縁部が前記支持部材に支持されることを特徴とするロ
    ータリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のロータリコンプレッサの
    ベーン取付溝の超仕上げ加工装置において、前記支持部
    材は、前記薄肉基板の長手方向両端部に沿うように延び
    る両端支持部と、これら両端支持部同士を連結する連結
    部とを有し、これら両端支持部及び連結部に前記薄肉基
    板の周縁部が固定されることを特徴とするロータリコン
    プレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のロータリコンプレッサの
    ベーン取付溝の超仕上げ加工装置において、前記両端支
    持部及び連結部に対応する形状を有し、これら両端支持
    部及び連結部との間に前記薄肉基板の周縁部を挟み込ん
    だ状態で当該両端支持部及び連結部に着脱可能に締結さ
    れる固定部材を備えたことを特徴とするロータリコンプ
    レッサのベーン取付溝の超仕上げ加工装置。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれかに記載のロータ
    リコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工装置にお
    いて、前記薄肉基板の両面に砥粒が固着していることを
    特徴とするロータリコンプレッサのベーン取付溝の超仕
    上げ加工装置。
  9. 【請求項9】 ロータリコンプレッサのシリンダの内周
    面から径方向外側に延びるベーン取付溝の内側面を超仕
    上げ加工するための砥石板であって、前記ベーン取付溝
    の幅寸法よりも小さい厚みと当該ベーン取付溝の前後長
    さよりも大きな前後長さと当該ベーン取付溝の深さ寸法
    よりも大きな高さ寸法とを有する薄肉基板を備え、この
    薄肉基板の高さ方向の端部のいずれか一方の表面に砥粒
    が固着されていることを特徴とする超仕上げ加工用砥石
    板。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の超仕上げ加工用砥石板
    において、前記薄肉基板の両面に砥粒が固着されている
    ことを特徴とする超仕上げ加工用砥石板。
JP23231399A 1999-08-19 1999-08-19 ロータリコンプレッサのベーン取付溝の超仕上げ加工方法及び装置並びに超仕上げ加工用砥石板 Pending JP2001054852A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100442403B1 (ko) * 2002-07-30 2004-07-30 엘지전자 주식회사 압축기의 베인 슬롯 가공방법
JP5620560B1 (ja) * 2013-10-18 2014-11-05 西部自動機器株式会社 砥石押圧装置および超仕上装置

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