JP2002192450A - トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法および加工装置 - Google Patents

トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法および加工装置

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JP2002192450A
JP2002192450A JP2000392226A JP2000392226A JP2002192450A JP 2002192450 A JP2002192450 A JP 2002192450A JP 2000392226 A JP2000392226 A JP 2000392226A JP 2000392226 A JP2000392226 A JP 2000392226A JP 2002192450 A JP2002192450 A JP 2002192450A
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JP2000392226A
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Masahiro Komata
正博 小又
Minoru Ota
稔 太田
Tatsuomi Nakayama
達臣 中山
Hiroyuki Hirano
弘之 平野
Masaki Nakano
正樹 中野
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Friction Gearing (AREA)
  • Grinding Of Cylindrical And Plane Surfaces (AREA)
  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ダブルキャビティ式のトロイダル型無段変速
機における二つのキャビティについて一体的に形成され
た出力ディスクの転動面を超仕上加工することにある。 【解決手段】 トロイダル型無段変速機における動力伝
達に用いられる転動体が有する、軸線方向に互いに背面
合わせとなる裏と表の転動面を加工する方法であって、
転動体のそれら転動面を、同じ仕様の対をなす工具にて
同じ加工条件で一緒に研削加工又は研磨加工することを
特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、車両などの変速
機であるトロイダル型無段変速機における動力を伝達す
るために用いられる出力ディスク等の転動体が有する、
軸線方向に互いに背面合わせとなる裏と表の転動面を研
削加工又は研磨加工するための加工方法および加工装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両では、将来の環境への負
荷の低減を考え、更なる燃費の向上のため車両質量を軽
くする必要がある。特に、ダブルキャビティ式のトロイ
ダル型無段変速機を車両に用いる場合には、そのトロイ
ダル型変速機においてCVT軸の中央部に配置された、
トラクションドライブ用転動体としての出力ディスク
を、二つのキャビティについて一体的に形成するなどに
より、ユニットサイズを小型化することが必要とされ
る。
【0003】しかし、かかる一体的に形成された出力デ
ィスクでは、パワーローラを転動させる転動面が背面合
わせにされていることから支持しにくく、かつ、適切な
加工に必要な回転を得ることが難しいためその転動面を
精度良く超仕上加工することは困難である。また、一体
的に形成されていない従来型の出力ディスクは、二つの
転動体で構成されてそれら転動体のそれぞれが一つの面
に転動面を有しているが、かかる転動体の転動面につい
ても超仕上加工を精度良く行うための具体的な方法は提
案されていない。
【0004】そこで、従来型の出力ディスクにおける転
動体の転動面を仕上加工するに際し、従来から一般的に
行われているベアリング・レース等の超仕上加工の方法
により行うとすれば、例えば図10および図11に研削
加工装置の正面および側面で示すような方法が考えられ
る。この方法は、転動体としての出力ディスク2を、そ
の転動面を主軸6と反対の側に向けるとともに、軸線C1
を挟んで対向する二個の押付けローラ7でその主軸6の
端面に押付けて配置することで、主軸6の回転が出力デ
ィスク2に伝達されるので、これにより出力ディスク2
を回転させるとともに超仕上砥石3を転動面2aに押付け
ながらその砥石3を揺動させてその転動面2aの超仕上加
工を行うものである。
【0005】かかる転動体の超仕上加工の方法では、図
11(b)に同図(a)のA部について拡大して示すように、
加工される出力ディスク2(被加工物)を、その出力デ
ィスク2の回転中心Owが主軸6の回転中心Ospに対
して水平方向に距離Lだけわずかにずれるように位置決
めすべく、出力ディスク2の外周部の図中下側の位置で
あって出力ディスク2の中心線C2に対してその周方向に
角度βをなす互いに対称な位置に、例えば二個の外周支
持ローラ5等を配置してその出力ディスク2を支持す
る。これにより、図では時計回りの主軸6の回転に伴っ
て、出力ディスク2の回転中心Owには図中下向きに力
Fが働き、出力ディスク2が外周支持ローラ5に押付け
られるので、位置決めされた出力ディスク2を、その回
転中心Ow周りに安定して回転させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
超仕上加工の方法によって、先に述べた一体的に形成さ
れて転動面が背面合わせとなる出力ディスクを加工する
場合には、図10および図11中に示す出力ディスク2
と同様にその出力ディスクを配置すると、背面合わせと
なる転動面のうち主軸6側に面する転動面の加工の際に
主軸6と砥石3とが干渉してしまう。そのため、出力デ
ィスクの配置を変えずにそれら転動面を同時に加工する
ことはできない。従って、加工する転動面が主軸6と反
対側に向くように配置し直さなければならないので工数
が嵩むとともに、転動面を片側ずつ加工することとなる
ので加工効率が悪くなるという問題がある。
【0007】また、転動面を片側ずつ加工する場合、図
10に示す従来の出力ディスク2に対して、上記一体的
に形成された出力ディスクでは、主軸6の端面と出力デ
ィスクの端面との接触面積が狭くなってしまう。それゆ
え、上記一体的に形成された出力ディスクの転動面を加
工する際に、超仕上砥石3からそのディスクに加わる押
付け力を主軸6で十分に支えることができず、この押付
け力が出力ディスクに加わるため、ディスクの外周側が
変形するなどによりディスクを精度良く加工することが
難しくなる。しかも、上述したように、主軸6の端面と
出力ディスクを端面との接触面積が狭くなると、主軸6
の回転を安定して出力ディスクに伝達することが難しい
ことから出力ディスクの回転の安定性が悪くなり十分な
回転力を得ることができない。それゆえ、主軸6からの
回転力を出力ディスクに十分に伝達するために、図10
で示すと同様の押付けローラ7によって主軸6に対し出
力ディスクを押付ける力を大きくする必要がある。しか
し、出力ディスクの押付け力を大きくした場合、出力デ
ィスクが剛性の低いものであると押付けローラ7による
押付け力で変形することもあるので、出力ディスクの転
動面を精度良く加工することが難しいという問題があっ
た。
【0008】従って、特に、一体的に形成された出力デ
ィスクの転動面を高精度かつ安価に超仕上加工すること
が課題となっていた。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明は、上記課題を有利に解決したトロイダル型無段変
速機用転動体の加工方法およびその加工装置を提供する
ことを目的とするものである。
【0010】本発明の請求項1に記載の発明の、トロイ
ダル型無段変速機用転動体の加工方法は、トロイダル型
無段変速機における動力伝達に用いられる転動体が有す
る、軸線方向に互いに背面合わせとなる裏と表の転動面
を加工する方法であって、前記転動体の転動面を、同じ
仕様の対をなす工具にて同じ加工条件で一緒に研削加工
又は研磨加工することを特徴とするものである。
【0011】この発明のトロイダル型無段変速機用転動
体の加工方法では、転動体の互いに背面合わせとなる裏
と表の転動面を、同じ仕様の対をなす工具により同じ加
工条件で一緒に研削加工又は研磨加工する。従って、転
動体の互いに背面合わせとなる裏と表の転動面をともに
同じ品質で短時間に効率よく加工できる。しかも、転動
体の互いに背面合わせとされた転動面同士で、転動面に
加わる加工応力を相殺させ得て、転動体の変形を抑制す
ることができる。このことから、転動体を安定した状態
で回転させることができるので、形状精度の向上および
その精度の安定を図ることができる。
【0012】そして、本発明の請求項2に記載の発明
の、トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法は、請
求項1に記載の発明において、前記対をなす工具が同数
ずつ配置され、かつ一方および他方が前記転動体の前記
転動面に同位相で揺動することにて、前記転動体の前記
転動面を一緒に研削加工又は研磨加工することを特徴と
するものである。
【0013】このようにすれば、転動体の互いに背面合
わせとなる裏と表の転動面に同数ずつ配置された対をな
す工具が、それらの間に転動体を挟持するとともに、転
動体の軸線方向と直交する方向に常に同位相で揺動して
転動面の研削加工又は研磨加工が行われる。それゆえ、
研削加工又は研磨加工をする際に、対をなす工具から転
動体の転動面に加わる力のうち、転動体の軸線方向の力
を互いに相殺させることができる。このことから、出力
ディスク等の転動体の、特に変形し易い外周部分の変形
を確実に抑止でき、転動体の形状精度をより向上させる
ことができる。
【0014】また、本発明の請求項3に記載の発明の、
トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法は、請求項
1に記載の発明において、前記対をなす工具が同数ずつ
配置され、かつ一方および他方が前記転動体の前記転動
面に位相差をもって揺動することにて、前記転動体の前
記転動面を一緒に研削加工又は研磨加工することを特徴
とするものである。
【0015】このようにすれば、転動体の転動面の研削
加工又は研磨加工中に、対をなす工具のうちのいずれか
で、転動体の軸線へ向く力を常に発生させることができ
る。このことから、転動体の軸線に対して、対をなす工
具と反対の側に設けた支持体等(例えば外周部支持ロー
ラ)に常に転動体を押しつけておくことができる。従っ
て、かかる支持体等からの転動体の浮き上がりを確実に
防止することができ、転動体を安定した状態で回転させ
得て、加工精度を向上することができる。しかも、転動
体が安定しにくい低速回転時においても支持体等へ押さ
える力を発生させることができるので、低速回転から高
速回転までの広い範囲で、加工条件である転動体の回転
数の設定が行えるため、必要とする品質をより効率的に
得ることができる。
【0016】そして、本発明の請求項4に記載の発明
の、トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法は、上
記した請求項1から請求項3までのいずれかに記載の発
明において、前記転動体は複数の支持体で支持され、前
記転動体の前記転動面にそれぞれ配置された前記対をな
す工具が、前記複数の支持体が前記回転中心に関してな
す挟角と対角の範囲内に位置することを特徴とするもの
である。
【0017】このようにすれば、対をなす工具のそれぞ
れから転動体の転動面に加わる力を分散して複数の支持
体で確実に受けることができる。従って、転動体の変形
を効果的に防止できるとともに、加工中における転動体
を回転中心周りに安定して回転させ得て、高精度に転動
体の転動面の仕上加工を行うことができる。
【0018】そして、本発明の請求項5に記載の発明
の、トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法は、上
記した請求項1から請求項4までのいずれかに記載の発
明において、前記転動体は回転伝達部材により回転を伝
達され、前記回転伝達部材は前記転動体を引き込みによ
り保持する引き込み手段を具え、前記引き込み手段に引
き込まれた前記転動体は押圧支持部材により前記回転伝
達部材の方向へ押圧支持されることを特徴とするもので
ある。
【0019】このようにすれば、回転伝達部材の回転を
転動体に確実に伝達することができる。従って、転動体
と回転伝達部材との接触面積が小さい場合であっても、
転動体が回転伝達部材から十分な回転力を得る事ができ
るとともに回転中心回りに安定して回転することができ
るので、転動体の転動面を精度良く加工することができ
る。加えて、回転伝達部材と転動体との接触力が十分に
得られるため、転動体が変形し易い材質や形状のもので
ある場合であっても転動体に回転力を与える際に加わる
外力を小さくし得て、転動体の変形を効果的に防止する
ことができ、形状精度を高めることができる。
【0020】そして、本発明の請求項6に記載の発明
の、トロイダル型無段変速機用転動体の加工方法は、上
記請求項5に記載の発明において、前記引き込み手段
が、磁気又は負圧により、前記転動体を前記回転伝達部
材に引き込むことを特徴とするものである。このように
すれば、転動体を回転伝達部材に取付けるチャック等の
部材を不要とすることができ、しかも転動体の取付け部
分が接触圧等により傷ついてしまうことを防止すること
ができる。
【0021】また、本発明の請求項7に記載の発明の、
トロイダル型無段変速機用転動体の加工装置は、トロイ
ダル型無段変速機における動力伝達に用いられる転動体
が有する、軸線方向に互いに背面合わせとなる裏と表の
転動面を加工する加工装置であって、前記転動体の転動
面を同じ加工条件で一緒に研削加工又は研磨加工する同
じ仕様の対をなす工具と、前記対をなす工具を同位相で
又は位相差をもって揺動させる揺動機構と、前記転動体
を支持して回転させる回転機構とを具えることを特徴と
するものである。
【0022】この発明のトロイダル型無段変速機用転動
体の加工装置では、回転機構で、転動体を支持してその
転動体を回転させて、揺動機構で、同じ仕様の対をなす
工具を同位相で又は位相差をもって揺動させて、かかる
揺動させた対をなす工具で、転動体の転動面を同じ加工
条件で一緒に研削加工又は研磨加工する。なお、揺動機
構は、リンク機構などにより構成することができる。
【0023】従って、この発明のトロイダル型無段変速
機用転動体の加工装置によれば、転動体の背面合わせと
なる裏と表の転動面をともに同じ品質で短時間に効率よ
く加工できる。しかも、転動体の互いに背面合わせとな
る裏と表の転動面同士で、転動面に加わる加工応力を相
殺させ得て、転動体の回転の変形を抑制することができ
る。このことから、転動体を安定した状態で回転させる
ことができるので、形状精度の向上およびその精度の安
定を図ることができる。
【0024】しかも揺動機構で、研削加工又は研磨加工
をする際に、同数ずつ配置された対をなす工具の一方お
よび他方が、転動体の背面合わせとなる裏と表の転動面
に同位相で揺動させることにより、対をなす工具から転
動体の転動面に加わる力のうち、転動体の軸線方向の力
を互いに相殺させることができる。このことから、出力
ディスク等の転動体の、特に変形し易い外周部分の変形
を確実に抑止でき、転動体の形状精度をより向上させる
ことができる。
【0025】一方、揺動機構で、対をなす工具が同数ず
つ配置され、かつ一方および他方が転動体の転動面に位
相差をもって揺動させた場合には、転動体の転動面の研
削加工又は研磨加工中に、対をなす工具のうちのいずれ
かで、転動体の軸線へ向く力を常に発生させ得て、転動
体の軸線に対して、対をなす工具と反対の側に設けた支
持体等(例えば外周部支持ローラ)に、常に転動体を押
しつけておくことができる。従って、かかる支持体等か
らの転動体の浮き上がりを確実に防止することができ、
転動体を安定した状態で回転させ得て、加工精度を向上
することができる。しかも、転動体が安定しにくい低速
回転時においても支持体等へ押さえる力を発生させるこ
とができるので、低速回転から高速回転までの広い範囲
で、加工条件である転動体の回転数の設定が行えるた
め、必要とする品質をより効率的に得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を実
施例によって、図面に基づき詳細に説明する。図1は本
発明のトロイダル型無段変速機用転動体の加工方法の第
1実施例の説明図であり、図1(a)は、この実施例の加
工方法を用いる研削加工装置をその方法により加工する
出力ディスクとともに示す側面図、図1(b)は、図1(a)
において右側から見た状態の研削加工装置および出力デ
ィスクを示す正面図、図2はこの実施例の方法における
対をなす砥石の揺動周期を示す説明図である。
【0027】この実施例のトロイダル型無段変速機用転
動体の加工方法では、図1(a)に示す、ダブルキャビテ
ィ式のトロイダル型無段変速機における動力伝達に用い
られる転動体としての出力ディスク1が有する、軸線C1
方向に互いに背面合わせとなる裏と表の転動面1a,1b
(この実施例では凹んだ回転曲面)の、研削加工又は研
磨加工としての研削加工による超仕上加工を行う。ここ
における出力ディスク1は、浸炭熱処理により表面が硬
化されたクロムモリブデン鋼からなり、二つのキャビテ
ィに対応する二つの転動面1a,1bが一体的に形成された
ものである。
【0028】かかる出力ディスク1の転動面1a,1bを加
工するに際し、まず、研削加工若しくは切削加工によ
り、少なくとも、後述する回転伝達部材としての主軸6
からの動力を伝達される端面および、支持体としての外
周支持ローラ5や押圧支持部材としての押付けローラ7
が出力ディスク1に接する面等の仕上加工を行うととも
に、転動面1a,1bの粗加工を行う。次に、図1(a),(b)
に示すように、出力ディスク1を外周支持ローラ5によ
るセンタレス保持方式によって保持することにより、出
力ディスク1を加工位置に配置する。
【0029】ここでは、図1(a)に示すように、出力デ
ィスク1、その出力ディスク1に動力を伝達する主軸6
とが軸線C1上に配置されている。また、ここでの押付け
ローラ7は、出力ディスク1の転動面1a,1bにそれぞれ
配置される対をなす工具としての、一対の超仕上砥石
3,4との干渉を防ぐために、軸線C1を挟んで対向する
ように二個設けられ、軸線C1と直交する図示しない軸線
周りに各々回転自在に配置されている。そして、二個の
外周支持ローラ5が、出力ディスク1の外周部分の下側
の、中心線C2に対して周方向に対称な位置に配置されて
いる。ここで、出力ディスク1は、図11(b)に示す従来
の加工方法と同様に、主軸6の回転中心から中心線C2に
対してオフセットして配置されている。なお、出力ディ
スク1の位置決めにはローラ以外の固定シュー等を用い
ても良く、また、出力ディスク1を支持する位置は外周
以外の部位であっても良く、例えば穴を有する出力ディ
スクである場合にはその穴の内面でも良い。
【0030】上記に示すように出力ディスク1が配置さ
れた状態では、押付けローラ7で出力ディスク1が主軸
6に押付けられているので、主軸6を回転させるとその
回転が、主軸6と出力ディスク1との間の摩擦によっ
て、出力ディスク1に伝達されて出力ディスク1も回転
する。これにより出力ディスク1を回転させながら、図
1(a)に示すように、その背面合わせにされた転動面1
a,1bに、超仕上砥石3,4を少なくとも一つずつ押付
けるとともに、それら転動面1a,1bの曲率半径中心を超
仕上砥石3,4の揺動中心として超仕上砥石3,4をそ
れぞれ揺動させることで、それら転動面1a,1bが超仕上
加工される。
【0031】かかる超仕上砥石3,4は、図2に示す揺
動波形e1,e2のように揺動させている。ここでの揺動波
形e1,e2は、超仕上砥石3,4の揺動の位置が時間とと
もに変化する状態を示すものであり、図中上側の波形e1
は超仕上砥石3の揺動波形を、図中下側の波形e2は超仕
上砥石4の揺動波形をそれぞれ示している。従って、超
仕上砥石3と超仕上砥石4とは、図1(a)の矢印A1およ
びA2に示すように、図中実線および仮想線に示す揺動限
位置の間で、同位相かつ同周期にて揺動する。
【0032】なお、この実施例では、かかる超仕上加工
における加工条件として、表1に示すように、砥石、砥
石押付け圧力、揺動数、主軸回転数を設定している。
【0033】
【表1】
【0034】また、この実施例の方法により超仕上加工
された出力ディスク1と、図10に示す従来の出力ディ
スク2における加工方法と同様に転動面を片側ずつ加工
したもの(比較例)との転動面の加工精度(転動面輪郭
度,表面粗さ)を比較したものを表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】従って、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工方法では、一体的に形成されている
出力ディスクである転動体を出力ディスク1として、そ
の互いに背面合わせとなる裏と表の転動面1a,1bを、同
じ仕様の対をなす工具としての超仕上砥石3,4を使用
して、同じ加工条件(この実施例では砥石3,4の種
類、砥石3,4の押付け圧力、砥石3,4の揺動数、主
軸6の回転数)で一緒に研削加工している。それゆえ、
出力ディスク1の背面合わせとなる転動面1a,1bをとも
に同じ品質で短時間に効率よく加工できる。しかも、出
力ディスク1の互いに背面合わせとなる裏と表の転動面
1a,1b同士で、それら転動面1a,1bに加わる加工応力を
相殺させ得て、転動体1a,1bの変形を抑制することがで
きる。このことから、出力ディスク1を安定した状態で
回転させることができるので、形状精度の向上およびそ
の精度の安定を図ることができる。
【0037】さらに、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工方法では、超仕上砥石3,4が一つ
ずつ配置され、それら超仕上砥石3,4を出力ディスク
1の転動面1a,1bに同位相かつ同周期で揺動させて、出
力ディスク1の転動面1a,1bを一緒に超仕上加工してい
る。このことから、出力ディスク1の転動面1a,1bに一
つずつ配置された超仕上砥石3,4が、それらの間に出
力ディスク1を挟持するとともに、出力ディスク1の軸線
C1方向と直交する方向に常に同位相で揺動して転動面1
a,1bの超仕上加工が行われる。それゆえ、超仕上加工
をする際に、砥石3,4から出力ディスク1の転動面1
a,1bに加わる力のうち、出力ディスク1の軸線C1方向
の力を互いに相殺させることができる。このことから、
出力ディスク1の、特に変形し易い外周部分の変形を確
実に抑止でき、出力ディスク1の形状精度をより向上さ
せることができる。
【0038】加えてこの実施例のトロイダル型無段変速
機用転動体の加工方法では、出力ディスク1が、複数の
支持体としての二個の外周支持ローラ5で支持されて回
転の位置決めがされおり、出力ディスク1の二つの転動
面1a,1bにそれぞれ配置された一対の砥石3,4同士が
回転中心関してなす挟角と対角の範囲内に、それら外周
支持ローラ5が配置されている。それゆえ、出力ディス
ク1の回転中心に対して対向する位置に、それら二個の
外周支持ローラ5が配置されているので、砥石3,4の
それぞれから出力ディスク1の転動面1a,1bに加わる力
を分散してそれら外周支持ローラ5で確実に受けること
ができる。従って、出力ディスク1の変形を効果的に防
止できるとともに、加工中における出力ディスク1を回
転中心周りに安定して回転させ得て、高精度に出力ディ
スク1の転動面の仕上加工を行うことができる。
【0039】そして、図3は、図1に示す実施例の方法
に用い得る、本発明のトロイダル型無段変速機用転動体
の加工装置の第1実施例を示す正面図である。この実施
例の加工装置は、上記したトロイダル型無段変速機用転
動体の第1実施例の加工方法に用い得るように、超仕上
砥石3,4を揺動させて出力ディスク1の仕上加工を行
う機構を具えたものである。ここにおける加工装置は、
図示しない装置本体と、一体的に形成された出力ディス
ク1の転動面1a,1bを、研削加工又は研磨加工としての
研削加工による超仕上加工するための対をなす工具であ
る一対の超仕上砥石3,4と、その一対の砥石3,4を
同位相かつ同周期で揺動させる揺動機構SMと、出力ディ
スク1を支持して回転させる回転機構RMとを具えてい
る。ここでの砥石3,4は上記した加工方法の第1実施
例に用いるものであり、出力ディスク1の二つの転動面
1a,1bは、同じ仕様で、かつ同じ加工条件で一緒に超仕
上加工される。
【0040】また揺動機構SMは、図示しないモータ等で
回転する回転盤8と、ガイドGにより図中上下方向に移
動自在に支持された往復台9と、超仕上砥石3,4を取
付ける砥石ヘッド3a,4aとを具えている。ここで、砥石
ヘッド3aおよび砥石ヘッド4aは、一端部に超仕上砥石
3,4が取付けられるとともに、出力ディスク1の転動
面1a,1bの曲率半径中心と一致する位置を揺動中心C5,
C6とされ、かかる揺動中心C5,C6で、砥石3,4を取付
けた側と反対の側(図3では紙面の裏側)から装置本体
に回転自在に取付けられている。
【0041】そして、この実施例における超仕上砥石
3,4は、リンクL1,L2がそれぞれその一端の支持部P
1,P2の位置で砥石ヘッド3a,4aに回転自在に取付けら
れるとともに、それら他端部が往復台9の支持部9aに
各々回転自在に取付けられている。さらに往復台9の支
持部9aにはリンクL3の一端部が回転自在に取付けられ
るとともにその他端部が回転盤8に回転自在に取付けら
れている。これにより回転盤8の回転に合せて往復台9
が図中上下方向にストロークする。
【0042】そして、回転機構RMは、上記した図1に示
す加工方法と同様に、装置本体に回転自在に設けられた
主軸6と、出力ディスク1を主軸6に押し付ける押付け
ローラ7とを有しており、出力ディスク1を装置に支持
した状態では図1(a)と同様の配置となる。ここでも押
付けローラ7は、出力ディスク1の転動面1a,1bにそれ
ぞれ配置される対をなす工具としての、一対の超仕上砥
石3,4との干渉を防ぐために、図1(b)に示すよう
に、軸線C1を挟んで対向するように二個設けられ、軸線
C1と直交する図示しない軸線周りに各々回転自在に配置
されている。また、出力ディスク1の外周部にも、図1
(b)に示すものと同様に、二個の外周支持ローラ5が、
出力ディスク1の外周部分の下側の、中心線C2に対して
周方向に対称な位置に配置されている。
【0043】かかる装置では、その往復台9が図中上方
にストロークした場合、リンクL1およびリンクL2がとも
に回転盤側(図3では上側)に力を受けて、支持部P1,
P2がともに矢印A3および矢印A4に沿って往復台9側へ移
動する。これにより、それら支持部P1,P2の移動に伴っ
て砥石ヘッド3a,4aが揺動中心C5,C6周りに揺動するこ
とで、砥石3,4が矢印A5,A6に沿って互いに離間する
方向に揺動する。
【0044】その一方、往復台9が図中下方にストロー
クした場合、リンクL1およびリンクL2がともに下方に力
を受けて、支持部P1,P2がともに矢印A3および矢印A4に
沿って往復台9から離間する方向へ移動する。これによ
り、それら支持部P1,P2の移動に伴って砥石ヘッド3a,
4aが揺動中心C5,C6周りに揺動することで、砥石3,4
が矢印A5,A6に沿って互いに往復台9側へ揺動する。
【0045】従って、この装置では、リンクL1およびリ
ンクL2がともに往復台9の支持部9aに取り付けられて
いるので、その往復台9の上下方向のストロークに合せ
て、超仕上砥石3と超仕上砥石4とが、常に、互いに中
心線C7に対して対向し合うように同期して、先に述べた
図2に示す揺動波形e1,e2と同様の揺動運動を行うこと
となる。なお、この実施例の加工装置では、図3におけ
る中心線C7が、出力ディスク1である出力ディスクを配
置した状態で図1(a)の中心線C3と一致させるように、
先に述べた主軸6、押付けローラ7および外周支持ロー
ラ5を具えている。
【0046】このように、この実施例のトロイダル型無
段変速機用転動体の加工装置では、揺動機構SMで、一対
の工具である超仕上砥石3と超仕上砥石4とを同位相か
つ同周期で揺動させている。このことから、上記したト
ロイダル型無段変速機用転動体の加工方法の第1実施例
と同様の効果が得られるとともに、揺動機構SMをリンク
により構成して回転盤8を回転駆動させることで、対を
なす砥石3,4を互いに同位相かつ同周期で揺動させる
ことができる。
【0047】図4は本発明のトロイダル型無段変速機用
転動体の加工方法の第2実施例を示す説明図であり、図
5はこの実施例の加工方法における対をなす砥石の揺動
周期を示す説明図である。
【0048】この実施例のトロイダル型無段変速機用転
動体の加工方法では、上記した第1実施例の加工方法に
おける出力ディスク1と同様の出力ディスク1の転動面
1a,1bを超仕上加工するものであり、また、かかる転動
面1a,1bの加工を行うために、図1に示すものと同様の
構成を具えている。そして、この実施例では、超仕上砥
石3,4が、出力ディスク1の二つの転動面1a,1bに一
つずつ配置されるとともに、それら超仕上砥石3と超仕
上砥石4とが互いに位相差をもって揺動することで、出
力ディスク1の二つの転動面1a,1bを一緒に、研削加工
又は研磨加工としての研削加工による超仕上加工をす
る。
【0049】かかる超仕上砥石3,4は、図5に示す揺
動波形e3,e4のように揺動させている。ここでの揺動波
形e3,e4は、上記図2に示す揺動波形e1,e2と同様に、
超仕上砥石3,4の揺動の位置が時間とともに変化する
状態を示すものであり、図中上側の波形e1は超仕上砥石
3の揺動波形を、図中下側の波形e2は超仕上砥石4の揺
動波形をそれぞれ示している。従って、超仕上砥石3と
超仕上砥石4とは、図中実線および仮想線に示す揺動限
位置の間で、互いに半波長の位相差で同周期にて揺動す
る。なお、この実施例でも上記第1実施例の加工条件と
同様の加工条件にてかかる超仕上加工を行っている。
【0050】従って、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工方法によれば、対をなす工具として
の超仕上砥石3,4による転動面の超仕上加工中に、そ
れら砥石3,4のうちのいずれかで、出力ディスク1軸
線C1へ向く力を常に発生させることができる。このこと
から、出力ディスク1の軸線C1に対して、対をなす砥石
3,4と反対の側に設けた図示しない二個の外周部支持
ローラに出力ディスク1を押しつけることができる。
【0051】それゆえ、かかる外周支持ローラからの出
力ディスク1の浮き上がりを確実に防止することがで
き、出力ディスク1を安定した状態で回転させ得て、加
工精度を向上することができる。しかも、出力ディスク
1が安定しにくい低速回転時においても外周部支持ロー
ラへ押さえる力を発生させることができるので、低速回
転から高速回転までの広い範囲で、加工条件であるワー
クの回転数の設定が行えるため、必要とする品質をより
効率的に得ることができる。
【0052】なお、この実施例では、超仕上砥石3,4
に、出力ディスク1の回転曲面を半分以上覆うものを使
用している。このことから、一対の砥石を、互いに半波
長位相差をずらして揺動させているが、それら砥石の揺
動中、出力ディスク1の軸線C1に沿って少なくとも砥石
3,4同士の一部分が対向した状態となる。それゆえ、
常に、互いの砥石3,4でそれらからディスクの転動面
に働く力のうち軸線C1方向の力をお互いに支えあうこと
ができる。
【0053】図6は、本発明のトロイダル型無段変速機
用転動体の加工装置の第2実施例を示す正面図である。
この実施例の加工装置は、上記したトロイダル型無段変
速機用転動体の第2実施例の加工方法のように超仕上砥
石3,4の揺動運動に位相差をもたせて図1に示す出力
ディスク1と同様の図示しない出力ディスクの仕上加工
を行う機構を具えたものである。ここにおける加工装置
は、図示しない装置本体と、一体的に形成された出力デ
ィスクの転動面を超仕上加工する対をなす工具としての
超仕上砥石3,4と、その対をなす砥石3,4を互いに
位相差をもたせて揺動させる揺動機構SMと、出力ディス
クを支持して回転させる回転機構RMとを具えている。ま
た、対をなす砥石3,4は、上記した第2実施例の加工
方法に用いた砥石と同様、出力ディスクの二つの転動面
を同じ仕様で、かつ同じ加工条件で一緒に、研削加工に
よる超仕上加工をするものである。
【0054】また、この実施例の加工装置では、超仕上
砥石3,4と、回転機構RMとは上記した第1実施例の加
工装置と同様の構成を備えるものである。さらに揺動機
構SMは、超仕上砥石3と超仕上砥石4とを互いに位相差
をもたせて揺動させるために、図3に示す第1実施例の
加工装置における構成と同様の構成において、往復台9
を設けずに、往復台9に取り付けていたリンクL1および
リンクL2を、直接、回転盤8の同じ位置(支持部8a)に
取り付けている。これにより、回転盤8の回転に合わせ
て、砥石ヘッドL1および砥石ヘッドL2が同じ回転方向に
揺動する。
【0055】従って、第2実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工装置によれば、リンクL1,L2および
砥石ヘッド3a,4aの構成により、回転盤8を回転駆動す
ることで、超仕上砥石3と超仕上砥石4とを、互いに位
相差をもたせて揺動させることができるとともに、対を
なす砥石3,4のいずれかを、常に、加工する出力ディ
スクの軸線方向に力を発生させることができるので、砥
石3,4に対向した位置に配置した支持体等へ押付ける
ことができ、精度良く出力ディスクの転動面を加工する
ことができる。
【0056】また、図7は、本発明のトロイダル型無段
変速機用転動体の加工方法の第3実施例を示す説明図で
あり、この実施例の加工方法を用いる研削加工装置をそ
の方法により加工する出力ディスクとともに示す側面
図、図7(b)は、図7(a)において上側から見た状態の研
削加工装置および出力ディスクを示す正面図である。
【0057】この実施例の加工方法では、図7(a),(b)
に示すように、出力ディスク1が支持体としての二つの
外周支持ローラ5で支持されて回転の位置決めがされ、
対をなす工具としての一対とされた超仕上砥石3,4が
出力ディスク1の回転中心を挟んで外周支持ローラ5に
対向するとともに、出力ディスク1の軸線C1に沿って配
置された状態で、先に述べた、第1実施例の加工方法又
は第2実施例の加工方法と同様に、超仕上砥石3,4を
揺動させて、出力ディスク1の転動面1a,1bの、研削加
工又は研磨加工としての研削加工による超仕上加工を行
う。
【0058】従って、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工方法によれば、超仕上加工をする際
に、一対とされた砥石3,4から出力ディスク1の転動
面1a,1bに加わる力のうち出力ディスク1の軸線C1へ向
く力を、その出力ディスク1に軸線C1を挟んで対向させ
て配置した外周支持ローラ5で確実に受けることができ
る。しかも出力ディスク1を外周支持ローラ5に押しつ
けることができるので、より安定した出力ディスク1の
回転を得る事ができ、高精度に出力ディスク1の転動面
1a,1bの超仕上加工を行うことができる。
【0059】図8は、本発明のトロイダル型無段変速機
用転動体の加工装置の第3実施例を示す正面図である。
先に述べた、第1実施例の加工装置および第2実施例の
加工装置では、回転機構RMがモータで回転駆動する一つ
の回転盤8を具え、その回転盤8を回転駆動することに
よりリンクL1とリンクL2とを一緒に動かしていたが、こ
の実施例の加工装置では、回転盤8に変えて、回転機構
RMが二つの回転盤8,9を具えている。さらに、上記第
2実施例における加工装置において、回転盤8の支持部
8aに支持していたリンクL1およびリンクL2の一端部を、
リンクL1では回転盤10の支持部10aに、リンクL2で
は回転盤11の支持部11aにそれぞれ回転自在に支持
している。これにより、それら回転盤10,11をそれ
ぞれ図示しないモータで回転駆動させることで、リンク
L1とリンクL2とを別々に動かすことができる。
【0060】従って、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工装置によれば、回転盤10と回転盤
11とで、リンクL1とリンクL2を独立させて動かすこ
とができるので、超仕上砥石3と超仕上砥石4との揺動
に位相差をもたせることが容易にできるとともに、その
位相差の変化の自由度を増すことができる。それゆえ、
図示しないワークの浮き上がりを最も抑制し得る最適な
位相差で転動面の超仕上加工を行うことができる。
【0061】さらに、この実施例の加工装置では、対を
なす砥石3,4が常に向き合った状態で揺動するので、
各々の砥石3,4から出力ディスク(図示せず)の転動
面に加わる力のうちそのディスクの軸線方向の力を互い
に支え合うことで相殺することができるので、出力ディ
スクに加わる力を緩和させ得て、そのディスクの変形を
抑制することができる。一方、加工中に、各々の砥石
3,4から出力ディスクの転動面に加わる力のうちその
ディスクの軸線に向く力を、いずれかの砥石で発生させ
ることができる。このことから、外周支持ローラ等の支
持体で位置決めされた出力ディスクを回転中心で安定し
て回転することができるので、転動面の加工精度を向上
させることができる。
【0062】しかも、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工装置は、先に述べた、第1実施例の
加工方法、第2実施例の加工方法、第3実施例の加工方
法のいずれの加工方法にも用いることができる。また、
回転盤10と回転盤11との取付け位置を変えることに
より、後述する図9に示すような、超仕上砥石3と超仕
上砥石4とを出力ディスクの回転中心に対して周方向に
角度をもたせて配置して出力ディスクの転動面を加工す
る場合にも、それらを出力ディスクの転動面上で砥石
3,4のそれぞれを容易に揺動させることができる。
【0063】また、図9は、本発明のトロイダル型無段
変速機用転動体の加工方法の第4実施例を示す説明図で
あり、この実施例の加工方法を用いる研削加工装置およ
び出力ディスクを、出力ディスクの転動面1a側から見た
状態で示す正面図である。
【0064】この実施例の加工方法では、出力ディスク
1の外周部分の図中下側部分の中心線C8に対して互いに
対称な位置に二つの外周支持ローラ5が配置されてその
出力ディスク1が支持されている。そして、出力ディス
ク1の二つ転動面にそれぞれ配置された超仕上砥石3と
超仕上砥石4とが、それら二つの外周支持ローラ5が出
力ディスクの回転中心に対してなす挟角と対角の範囲
(図中角度α)内に配置されている。なお、この実施例
では、超仕上砥石3と超仕上砥石4とが、出力ディスク
1の回転中心に対して、二個の外周支持ローラ5のそれ
ぞれに対向して配置された状態を示している。
【0065】従って、トロイダル型無段変速機用転動体
の加工方法によれば、超仕上砥石3,4のそれぞれから
出力ディスク1の転動面に加わる力を分散して二個の外
周支持ローラ5で確実に受けることができる。このこと
から、出力ディスク1の変形を効果的に防止できるとと
もに、加工中における出力ディスク1を回転中心周りに
安定して回転させ得て、高精度に出力ディスク1の転動
面の仕上加工を行うことができる。
【0066】また、本発明のトロイダル型無段変速機用
転動体の加工方法の第5実施例では、図1に示す第1実
施例の加工方法において、研削加工装置の回転伝達部材
としての主軸6に、出力ディスク1を引き込みにより保
持する引き込み手段を設けている。かかる引き込み手段
では、電磁石を主軸6に設けており、その電磁石で磁気
により出力ディスク1の一方の端面を引き込むととも
に、その出力ディスク1の他方の端面を押圧支持部材で
ある押付けローラ7により、主軸6の方向へ押付けるこ
とで、出力ディスク1を押圧支持している。そして、出
力ディスク1の転動面1a,1bの加工の際には、先に述べ
た第1実施例の加工方法と同様の加工方法で、出力ディ
スク1の転動面1a,1bの超仕上加工を行うものである。
【0067】従って、この実施例のトロイダル型無段変
速機用転動体の加工方法によれば、主軸6の回転を出力
ディスク1に確実に伝達することができる。このことか
ら、出力ディスク1と主軸6との接触面積が小さい場合
であっても、出力ディスク1が主軸6から十分な回転力
を得る事ができるとともに回転中心回りに安定して回転
することができるので、出力ディスク1の転動面1a,1b
を精度良く加工することができる。加えて、主軸6と出
力ディスク1との接触力が十分に得られるため、出力デ
ィスクが変形し易い材質や形状のものである場合であっ
ても出力ディスクに回転力を与える際に加わる外力を小
さくし得て、転動体の変形を効果的に防止することがで
き、形状精度を高めることができる。
【0068】さらに、この実施例の加工方法では、磁気
により出力デスク1を主軸6に引き込んでいるので、出
力ディスク1を主軸6に取付けるチャック等の部材を不
要とすることができるとともに、出力ディスク1の取付
け部分が接触圧等により傷ついてしまうことを防止する
ことができる。
【0069】しかも、図1に示す出力ディスク1のよう
に、出力ディスク1と主軸6端面の接触面積が小さく、
しかも、出力ディスク1の加工する転動面のある位置の
外径寸法に対し、主軸6と接触する出力ディスク1の端
面の外形寸法が小さい場合であっても、電磁石による主
軸6端面への引き込み力により、押付けローラ7での主
軸6端面への押付け力を補助することができる。これに
より押付けローラ7で多大な押付け力を出力ディスク1
に与えて出力ディスク1を変形させてしまうことを防ぐ
ことができるとともに、安定して出力ディスク1が回転
するため必要な主軸6との接触力を得る事ができる。
【0070】なお、この実施例の加工方法では、引き込
み手段は電磁石を具え、磁気的に出力ディスクを主軸6
に引き込んでいるが、これに変えて、主軸6と出力ディ
スク1との隙間を真空にして、負圧により出力ディスク
1を主軸6に引き込むこともできる。
【0071】以上、図示例に基づき説明したが、この発
明は上述の例に限定されるものではなく、例えば、上記
実施例では、出力ディスク1をその回転中心位置に支持
する支持体として、外周部分に設けられた外周支持ロー
ラ5を用いているが、これに限られず、ローラ以外の例
えば固定シュー等であってもよく、出力ディスクを支持
位置も、ディスク1の外周部分に限られず、穴のあいた
出力ディスクである場合には、そのディスク1の穴の内
周部分など、ディスクの内側部分等、出力ディスクのそ
の他の部分であってもよい。また、上記第3実施例の加
工方法以外の加工方法および加工装置では、支持体とし
ての外周支持ローラ5を二つ設けているが、これに限ら
れず三つ以上設けても良い。
【0072】また、上記実施例では、対をなす工具とし
て、一対の砥石である超仕上砥石3,4を用いている
が、これに限られず、二以上の複数対をなす砥石で構成
することもでき、かかる場合には、対をなす砥石の一方
および他方が出力ディスク1の転動面1a,1bに同数ずつ
配置し、出力ディスクの転動面を仕上加工することもで
きる。さらに、上記第一実施例の加工方法では、転動面
の粗加工も先に述べた超仕上砥石3,4を揺動させて行
うことができる。
【0073】そして、上記実施例の加工方法および加工
装置で加工される被加工物は、トロイダル型無段変速機
における動力伝達に用いられる転動体が、軸線方向に互
いに背面合わせとなる裏と表の転動面を有しているもの
であれば適用することができる。しかも、従来の出力デ
ィスクのように、片側に転動面を有する転動体を加工す
る場合にも適用することができる。従って、例えば、パ
ワーローラのように互いに背面合わせとなる凸状の回転
曲面を有する部材や、入力ディスクの転動面の加工にも
適用することができる。また、加工条件は上記実施例で
設定したものに限られず、転動体の背面合わせとなる裏
と表の転動面をともに等しい加工精度にし得る条件であ
れば良く、上記第5実施例の加工方法における引き込み
手段は、上記第1実施例の加工方法における研削加工装
置に限られず、上記した全ての実施例における回転伝達
部材としての主軸6に設けることができる。
【0074】なお、上記実施例では、対をなす工具とし
て砥石を用いて、研削加工による超仕上加工を行ってい
るが、これに限られず、例えば、超仕上砥石3,4に変
えて、ラップ材を使用してラッピングをすることもで
き、また、研磨をする工具を用いて、転動体の転動面を
研磨加工をすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の
加工方法の第1実施例の説明図であり、(a)は、この実
施例の加工方法を用いる研削加工装置をその方法により
加工する出力ディスクとともに示す側面図、(b)は、(a)
において右側から見た状態の研削加工装置および出力デ
ィスクを示す正面図である。
【図2】 上記第1実施例の方法における対をなす砥石
の揺動周期を示す説明図である。
【図3】 図1に示す上記第1実施例の方法に用い得
る、本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の加工装
置の第1実施例を示す正面図である。
【図4】 本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の
加工方法の第2実施例を示す説明図である。
【図5】 上記第2実施例の加工方法における対をなす
砥石の揺動周期を示す説明図である。
【図6】 本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の
加工装置の第2実施例を示す正面図である。
【図7】 本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の
加工方法の第3実施例を示す説明図であり、この実施例
の加工方法を用いる研削加工装置をその方法により加工
する出力ディスクとともに示す側面図、(b)は、(a)にお
いて上側から見た状態の研削加工装置および出力ディス
クを示す正面図である。
【図8】 本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の
加工装置の第3実施例を示す正面図である。
【図9】 本発明のトロイダル型無段変速機用転動体の
加工方法の第4実施例を示す説明図である。
【図10】 従来から一般的に行われているベアリング
・レース等の超仕上加工の方法により従来型出力ディス
クを加工する研削加工装置を示す側面図である。
【図11】 (a)は、上記図10の研削加工装置を示す
正面図であり、(b)は、(a)のA部を拡大して示す正面図
である。
【符号の説明】
1,2 出力ディスク 1a,1b 転動面 3,4 超仕上砥石 5 外周支持ローラ 6 主軸 7 押付けローラ 8,10,11 回転盤 8a,10a,11a,P1,P2 支持部 9 往復台 A1,A2,A3,A4,A5,A6 矢印 C1 軸線 C2,C3,C4,C7 中心線 C5,C6 揺動中心 e1,e2,e3,e4 揺動曲線 L1,L2,L3 リンク
フロントページの続き (72)発明者 中山 達臣 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 平野 弘之 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 中野 正樹 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3C043 AC00 CC02 CC11 DD02 3C049 AA02 AA11 AA16 AA18 CA01 CB01 3C058 AA04 AA09 AA11 AA12 AA14 AA16 AA18 CB01 CB05 3J051 AA03 AA08 BA03 BB02 BD02 BE09 CB06 EC02 EC06 ED20 FA02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トロイダル型無段変速機における動力伝
    達に用いられる転動体が有する、軸線方向に互いに背面
    合わせとなる裏と表の転動面を加工する方法であって、 前記転動体の転動面を、同じ仕様の対をなす工具にて同
    じ加工条件で一緒に研削加工又は研磨加工することを特
    徴とする、トロイダル型無段変速機用転動体の加工方
    法。
  2. 【請求項2】 前記対をなす工具が同数ずつ配置され、
    かつ一方および他方が前記転動体の前記転動面に同位相
    で揺動することにて、前記転動体の前記転動面を一緒に
    研削加工又は研磨加工することを特徴とする、請求項1
    に記載のトロイダル型無段変速機用転動体の加工方法。
  3. 【請求項3】 前記対をなす工具が同数ずつ配置され、
    かつ一方および他方が前記転動体の前記転動面に位相差
    をもって揺動することにて、前記転動体の前記転動面を
    一緒に研削加工又は研磨加工することを特徴とする、請
    求項1に記載のトロイダル型無段変速機用転動体の加工
    方法。
  4. 【請求項4】 前記転動体は複数の支持体で支持され、
    前記転動体の前記転動面にそれぞれ配置された前記対を
    なす工具が、前記複数の支持体が前記回転中心に関して
    なす挟角と対角の範囲内に位置することを特徴とする、
    請求項1から請求項3までのいずれかに記載のトロイダ
    ル型無段変速機用転動体の加工方法。
  5. 【請求項5】 前記転動体は回転伝達部材により回転を
    伝達され、前記回転伝達部材は前記転動体を引き込みに
    より保持する引き込み手段を具え、前記引き込み手段に
    引き込まれた前記転動体は押圧支持部材により前記回転
    伝達部材の方向へ押圧支持されることを特徴とする、請
    求項1から請求項4までのいずれかに記載のトロイダル
    型無段変速機用転動体の加工方法。
  6. 【請求項6】 前記引き込み手段は、磁気又は負圧によ
    り前記転動体を前記回転伝達部材に引き込むことを特徴
    とする、請求項5に記載のトロイダル型無段変速機用転
    動体の加工方法。
  7. 【請求項7】 トロイダル型無段変速機における動力伝
    達に用いられる転動体が有する、軸線方向に互いに背面
    合わせとなる裏と表の転動面を加工する加工装置であっ
    て、 前記転動体の転動面を同じ加工条件で一緒に研削加工又
    は研磨加工する同じ仕様の対をなす工具と、 前記対をなす工具を同位相で又は位相差をもって揺動さ
    せる揺動機構と、 前記転動体を支持して回転させる回転機構と、を具える
    ことを特徴とする、トロイダル型無段変速機用転動体の
    加工装置。
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