JP2001052989A - 荷電粒子ビーム露光方法、荷電粒子ビーム露光装置及びデバイス製造方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム露光方法、荷電粒子ビーム露光装置及びデバイス製造方法

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JP2001052989A
JP2001052989A JP11228557A JP22855799A JP2001052989A JP 2001052989 A JP2001052989 A JP 2001052989A JP 11228557 A JP11228557 A JP 11228557A JP 22855799 A JP22855799 A JP 22855799A JP 2001052989 A JP2001052989 A JP 2001052989A
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Teruaki Okino
輝昭 沖野
Shinichi Kojima
真一 小島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より高精度のパターン形成が可能な荷電粒子
ビーム露光方法等を提供する。 【解決手段】 ウエハ5をステージ21上に載置して移
動させながら、電子ビームに偏向を加えつつウエハ5上
の特定部にショット露光を繰り返してパターン形成す
る。ステージ21の移動に応じて上記ビームの偏向量を
ショット中に変える際に、該偏向量の変化に応じて偏向
収差の補正値を適切に更新しつつ該収差を補正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子ビームやイオ
ンビーム等の荷電粒子ビームを用いて、半導体デバイス
回路パターン等を感応基板(ウエハ等)上に転写露光す
る方法及び装置に関する。さらに、そのような方法や装
置を用いる半導体デバイス製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子ビーム露光を例にとって従来技術を
説明する。電子ビーム露光は高精度ではあるがスループ
ットが低いのが欠点とされており、その欠点を解消すべ
く様々な技術開発がなされてきた。現在では、セルプロ
ジェクション、キャラクタープロジェクションあるいは
ブロック露光と呼ばれる図形部分一括露光方式が実用化
されている。図形部分一括露光方式では、繰り返し性の
ある回路小パターン(ウエハ上で5μm 角程度)を、同
様の小パターンが複数種類形成されたマスクを用いて繰
り返し転写露光を行う。しかし、この方式でも、繰り返
し性のないパターン部分については可変成形方式の描画
を行うので、量産用のウエハ露光を行うにはスループッ
トがまだ低い。
【0003】図形部分一括露光方式よりも飛躍的に高ス
ループットをねらう電子ビーム転写露光方式として、一
個の半導体チップ全体の回路パターンを備えたマスクを
準備し、そのマスクのある範囲に電子ビームを照射し、
その照射範囲のパターンの像を投影レンズによりウエハ
上に縮小転写する電子ビーム縮小転写装置が提案されて
いる。この種の装置では、マスクの全範囲に一括して電
子ビームを照射して一度にパターンを転写しようとする
と、精度良くパターンを転写することができない。ま
た、原版となるマスクの製作が困難である。
【0004】そこで、最近精力的に検討されている方式
は、1ダイ(ウエハ上の1チップ)又は複数ダイを一度
に露光するのではなく、光学系としては大きな光学フィ
ールドを持つが、パターンは小さな領域に分割して転写
露光するという方式である(ここでは分割転写方式と呼
ぶこととする)。この方式では、上記各小領域の露光
(ショット)毎に、電子ビームを所望の小領域に位置づ
けるとともに、被露光面上に結像される該小領域の像の
焦点やフィールドの歪み等の収差を補正しながら露光す
る。これにより、ダイ全体の一括転写に比べて、光学的
に広い領域にわたって解像度並びに精度の良い露光を行
うことができる。さらに、マスク及びウエハを載置する
ステージを露光中に連続移動させることにより、より広
い露光領域と高スループットを達成できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】セルプロジェクション
装置では露光中にマスクは移動せずに静止している。そ
してウエハは連続的に移動している。したがってマスク
像ショット中は、マスクは静止しているがウエハは動い
ている。そこで、マスク像がウエハの移動に追従するよ
うにマスク像を偏向器により滑らかに動かすということ
が行われている。ところで偏向で像を動かすということ
は、ビームの偏向量を変えることになり偏向歪みの量も
変わることになる。従来は、この偏向歪みの変化量はわ
ずかであり露光位置誤差やボケにはほとんど影響ないと
いうことで、偏向量の変化に対応する偏向歪み等の補正
量の修正(更新)は行っていなかった。
【0006】しかし近年、よりスループットを上げるた
めに、偏向範囲を広げたり、ステージ移動速度を上げた
りという手段がとられようとしている。偏向歪みは一般
にその偏向量の3乗に比例するので、偏向量が増すとシ
ョット中の偏向歪みの変化量は無視できない量となる。
また、露光するパターンが高密度、微細化しており、要
求される露光精度、ボケの許容値も厳しくなってきてい
る。そのため、従来は無視していたショット中の偏向量
の変化に伴う収差の変化にも着目する必要がある。
【0007】一方、マスク分割転写方式においては、通
常マスク像を縮小してウエハ上に投影する。また投影レ
ンズに、SMDレンズを用いた場合は、マスクステージ
とウエハステージを互いに逆方向に同期させて連続移動
させながら投影露光する。投影像の縮小比が、ウエハス
テージ移動速度対マスクステージ移動速度の比に一致し
ている場合には、マスク像とウエハの速度は一致してい
る。しかし、この場合にも、ショット中におけるマスク
像の偏向位置は光学系から見れば変化している。別の表
現をすれば、マスクの一部領域を通過したビーム(パタ
ーンビーム)が投影光学系中を通過してウエハの対応す
る投影部に至る経路はショット中にも変化する。
【0008】ところで、近年精力的に検討されているス
トラット(桟)を有するマスクを用いる場合では、マス
ク像とウエハの速度は一致しない制御方式を用いるのが
通常である。マスクのストラットとは、マスクの機械的
強度を上げたり、荷電ビーム照射熱の拡散を促したりす
る目的で、マスク中に格子状に設けた梁状のものである
(詳しくは図2を参照しつつ後述する)。
【0009】このストラットを有するマスクを用いて転
写露光する場合、マスク側の速度を早くする必要がある
(詳しくは図3を参照しつつ後述する)。したがって、
マスクの投影像(ウエハ上)の速度とウエハの速度は異
なり、光学系から見た投影像位置をショット中に変える
必要がある。すなわち、光学鏡筒から見て必然的に変化
する分(投影レンズの物点が移動することによる像点の
移動分)だけでなく、速度差分を補償して偏向量を変え
る必要がある。
【0010】連続的に移動するマスクを転写する露光方
式においては、そのマスクを搭載したマスクステージが
理想的な位置決めをされるとは限らない。スキャン方式
の光ステッパーにおいては、マスクステージを2段構成
とし、高速で広範囲を移動する高速ステージの上に、高
精度で小範囲を移動する微動ステージを乗せている。高
速ステージの方は位置精度は粗いが、微動ステージによ
って位置誤差分を補償しているわけである。しかし、こ
のような構成はコストがかかり、しかもステージの厚さ
が分厚くなる。ウエハステージについても事情は同様で
ある。
【0011】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたもので、より高精度のパターン形成が可能な荷電粒
子ビーム露光方法等を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】上
記課題を解決するため、本発明の第1態様の荷電粒子ビ
ーム露光方法は、被露光面を有する感応基板をステージ
上に載置して移動させながら、荷電粒子ビームに偏向を
加えつつ上記被露光面上の特定部にショット露光を繰り
返してパターン形成する荷電粒子ビーム露光方法であっ
て; 上記ステージの移動に応じて上記ビームの偏向量
をショット中に変える際に、該偏向量の変化に応じて生
ずる偏向収差等の収差の補正量を適切に更新しつつ該収
差を補正することを特徴とする。
【0013】本発明の第2態様の荷電粒子ビーム露光方
法は、 感応基板の被露光面上に転写すべきパターン
(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域に照明
ビームを当て、該領域を通過したビーム(パターンビー
ム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領域のパ
ターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマスクより
も上流で偏向することによってマスク上の各領域を照明
し、各領域のパターンの転写像を被露光面上で繋ぎ合わ
せて配列することによりデバイスパターン全体を転写す
る荷電粒子ビーム露光方法であって;上記マスクの一つ
の一部領域の露光(ショット)中に変化する収差を補正
すべくこれら収差を補正する手段の補正量を適切に更新
しつつ該収差を補正することを特徴とする
【0014】本発明の第1態様の荷電粒子線描画装置
は、 被露光面を有する感応基板をステージ上に載置し
て移動させながら、荷電粒子ビームに偏向を加えつつ上
記被露光面上の対応部にショット露光を繰り返してパタ
ーン形成する荷電粒子ビーム露光装置であって; 上記
ステージの移動に応じて上記ビームの偏向量をショット
中に変える際に、該偏向量の変化に応じて生ずる偏向収
差等の収差の補正値を適切に更新しつつ該収差を補正す
ることを特徴とする。
【0015】本発明の第2態様の荷電粒子線描画装置
は、 感応基板上の被露光面に転写すべきパターン(デ
バイスパターン)を有するマスクの一部領域を荷電粒子
ビーム(照明ビーム)で照明する照明光学系と、 マス
クを載置するマスクステージと、 上記マスクの一部領
域を通過した荷電粒子ビーム(パターンビーム)を上記
被露光面の対応部に投影結像させる投影光学系と、 感
応基板を載置して移動する感応基板ステージと、を備え
る荷電粒子ビーム露光装置であって; 上記投影光学系
が、上記マスクの一つの一部領域の露光(ショット)中
に投影光学系内のビーム軌道が変わるために生じる連続
的に変化する光学的収差を補正すべく、これら収差を補
正する手段を持ち、その補正量を適切に変えて以上の収
差の補正値を適切に更新しつつ該収差を補正する偏向収
差補正手段を有することを特徴とする。
【0016】本発明の第3態様の荷電粒子線描画装置
は、 感応基板上の被露光面に転写すべきパターン(デ
バイスパターン)を有するマスクの一部領域を荷電粒子
ビーム(照明ビーム)で照明する照明光学系と、 マス
クを載置するマスクステージと、 上記マスクの一部領
域を通過した荷電粒子ビーム(パターンビーム)を上記
被露光面の対応部に投影結像させる投影光学系と、 感
応基板を載置して移動する感応基板ステージと、を備え
る荷電粒子ビーム露光装置であって; 上記感応基板を
ステージ上に載置して移動させるとともに、上記マスク
もステージ上に載置して移動させ、 マスク像の被露光
面への投影縮小比が、被露光面移動速度対マスク移動速
度の比と一致しない場合において、上記パターンビーム
を偏向することにより、マスク領域の投影像を被露光面
上の対応部の動きに追従させ、 上記マスクの一つの一
部領域の露光(ショット)中に上記ビームの偏向量を変
える際に、該偏向量の変化に応じて投影レンズ内でのビ
ーム軌道が変化することによって生ずる偏向収差等の収
差の補正値を適切に変えて該収差を補正する収差補正手
段を有することを特徴とする。この態様では、マスクの
パタ−ン領域に小さな領域(一部領域)に分割され、そ
の一部領域間にはマスク強度確保等の目的で梁(ストラ
ット)がそう入される。この様な場合、マスクステ−ジ
と感応基板ステ−ジはそれらのストライプ露光開始点同
士、ストライプ露光終点同士が同期する様に移動するの
で、被露光面の移動速度とマスクの移動速度の比は、マ
スク像の被露光面への投影縮小比とは一致しない。従っ
て投影レンズ内に設置した偏向器を用いて、露光中にパ
ターンビームを偏向する。これにより、マスク領域の投
影像を被露光面上の対応部の動きに追従させる。
【0017】本発明の第4態様の荷電粒子線描画装置
は、 感応基板上の被露光面に転写すべきパターン(デ
バイスパターン)を有するマスクの一部領域を荷電粒子
ビーム(照明ビーム)で照明する照明光学系と、 マス
クを載置するマスクステージと、 上記マスクの一部領
域を通過した荷電粒子ビーム(パターンビーム)を上記
被露光面の対応部に投影結像させる投影光学系と、 感
応基板を載置して移動する感応基板ステージと、を備え
る荷電粒子ビーム露光装置であって; 上記感応基板を
ステージ上に載置して移動させるとともに、上記マスク
もステージ上に載置して移動させ、 上記デバイスパタ
ーンは複数の小領域に分割されてマスク上に形成されて
おり、 該小領域よりも小さい照明ビームを偏向走査す
ることによって該小領域全体を照明し、 該小領域に対
応する被露光面上の対応部にパターンビームを走査しな
がら露光し、 上記マスクの一つの一部領域の露光(シ
ョット)中に上記ビームの偏向量を変える際に、該偏向
量の変化に応じて投影レンズ内でのビーム軌道が変化す
ることによって生ずる偏向収差等の収差の補正値を適切
に変えて該収差を補正する収差補正手段を有することを
特徴とする。この態様では、感感基板をステ−ジ上に載
置して移動させるとともに、上記マスクもステ−ジ上に
載置して移動させ、デバイスパタ−ンは複数の小さな領
域(一部領域)に分割されてマスク上に形成されてお
り、その一部領域間には、マスク強度確保等の目的で梁
(ストラット)がそう入される。この様な場合、マスク
ステージと感応基板ステージは、それらのストライブ露
光始点どうし、ストライブ露光終点どうしが同期する様
に移動する。第三の態様と同様投影レンズ内の偏向器を
用いて、マスク領域の投影像を被露光面上の対応部の動
きに追従させる。そして、この態様の場合は、前記小領
域よりも小さい照明ビームを偏向走査することによって
前記小領域全体を照明し、前記小領域に対応する被露光
面上の対応部にパターンビームを走査しながら露光す
る。通常小領域の横幅はビーム偏向可能領域をとる。こ
の横巾は、ステージ走査方向と直交する方向の長さであ
る。マスク上の小領域のサイズは、横巾は偏向巾をと
り、縦巾はビームの縦の長さをとる。従ってビームは横
巾方向に偏向走査することにより一つの小領域全体を照
明することになる。被露光面上ではやはり、ステージ連
続移動方向とは直交する方向へパターンビームが走査さ
れ、同時に第3態様と同じ様に、投影レンズ内に設置し
た偏向器を用いて、露光中にパターンビームを、ステー
ジ連続移動方向へ偏向する。これによりマスク領域の投
影像を被露光面上の対応部の動きに追従させる。
【0018】本発明のこれらの態様においては、ショッ
ト中に変化する歪み等の収差の変化を補正する。偏向歪
み以外の収差としては、FOCUS や非点収差、像回転、像
倍率像非点歪等がある。これらは、ぞれぞれ偏向器、FO
CUS 補正器、非点収差補正コイル、回転補正コイル、倍
率補正コイル、像非点歪補正コイル等によって補正す
る。ショット中の補正方法は様々な方法がある。上記補
正値を変更中はビームブランキングしておき、これらの
補正を行う補正器の出力が安定した後にビームブランキ
ングを解除する方法がある。また、補正器出力を平滑化
し、ビーム出し放しで補正する方法もある。例えば歪み
補正値を適切に更新することにより、ビーム投影位置が
適切になる。この補正値の更新を行わない場合は、ショ
ット中に像投影位置がわずかに変化し、投影位置の悪化
と像ボケを生ずる。以上の補正をすることにより露光位
置精度と像解像が改善される。
【0019】本発明の他の態様の荷電粒子ビーム露光方
法は、 感応基板の被露光面上に転写すべきパターン
(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域に照明
ビームを当て、該領域を通過したビーム(パターンビー
ム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領域のパ
ターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマスクより
も上流で偏向することによってマスク上の各領域を照明
し、各領域のパターンの転写像を被露光面上で繋ぎ合わ
せて配列することによりデバイスパターン全体を転写す
る荷電粒子ビーム露光方法であって; 上記感応基板を
ステージ上に載置して移動させるとともに、上記マスク
もステージ上に載置して移動させ、 マスクの理想位置
からの誤差については、マスクより上流に配置された偏
向器(照明ビーム偏向器)で照明ビーム照射位置を補正
し、 該マスク位置誤差に起因する被露光面上でのマス
ク像投影位置誤差については、マスクと感応基板間に配
置された偏向器(パターンビーム偏向器)で補正して被
露光面上の理想位置に転写することを特徴とする。マス
クステージが理想通り位置決めされないためマスク位置
が理想位置からずれている場合、照明ビーム偏向器を用
いてその照明位置を補正し、照明ビームの中心がマスク
の露光領域のほぼ中心に位置するようにする。このとき
必要であれば、マスクを照明するビームを移動する偏向
器の偏向歪みも補正する。こうすることによりマスク上
の露光パターン領域を正しく照明することができる。
【0020】また、マスク位置が理想位置からずれてい
る場合、マスク像の被露光面への転写位置がずれる。こ
のずれを、マスクと感応基板(ウエハ)の間に配置され
た偏向器により補正する。さらに必要であれば、その偏
向歪みも含めて補正する。こうすることにより、マスク
の位置がずれていても正しい位置に転写露光することが
できる。
【0021】また感応基板(ウエハ)位置が理想位置か
らずれている場合、やはりマスクとウエハの間に配置さ
れた偏向器により転写位置を補正する。さらに必要であ
れば、その偏向歪みも含めて補正する。こうすることに
より、感応基板の位置がずれていても正しい位置に転写
露光することができる。
【0022】以上の説明では偏向歪みについてのみ述べ
たが、マスク又は感応基板が各々の理想位置からずれて
いることにより偏向量が理想値とは異なる。この結果、
これら位置の違い又は、偏向量の違いによって起こる他
の偏向歪み以外の収差、すなわちFOCUS 、非点収差、像
回転、像倍率、像非点歪等も必要に応じて補正する。こ
れらはそれぞれ、偏向器、FOCUS 補正器、非点収差補正
コイル、回転補正コイル、倍率補正コイル等によって補
正する。
【0023】本発明の他の態様の荷電粒子ビーム露光方
法は、 感応基板上の被露光面に転写すべきパターン
(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域に照明
ビームを当て、該領域を通過したビーム(パターンビー
ム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領域のパ
ターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマスクより
も上流で偏向することによって各マスク上の領域を照明
し、被露光面上では、各領域のパターンの転写像をつな
ぎ合わせて配列することによりデバイスパターン全体を
転写する荷電粒子ビーム露光方法であって; 上記マス
クを載置するステージ及び上記感応基板を載置するステ
ージを連続的に移動させ、 上記パターンビームを偏向
することにより、マスク領域の投影像を被露光面の対応
部の動きに追従させ、 上記マスクの一つの一部領域の
露光(ショット)中の偏向量の変化に伴う偏向収差を適
切に更新しつつ該収差を補正し、 かつ、上記マスクの
位置の理想位置との誤差、及び上記被露光面の理想位置
との誤差を、被露光面でのマスク像投影位置として、マ
スクと感応基板の間に配置された偏向器でこれらの偏向
歪みも含めて補正して被露光面上の理想位置に転写する
ことを特徴とする。
【0024】この態様は、前記のショット中の偏向量変
化に伴う収差変化を補正する機能と、マスクやウエハの
理想位置からの誤差に伴う偏向値の違いから生ずる収差
の補正機能の両者を合わせ持つ。
【0025】本発明の半導体デバイス製造方法は、上記
の荷電粒子ビーム露光方法又は荷電粒子ビーム露光装置
を用いるリソグラフィー工程を含むことを特徴とする。
この方法によれば高精度の半導体デバイスを製造でき
る。
【0026】以下、図面を参照しつつ説明する。図1
は、本発明の1実施例に係る電子ビーム露光装置の概略
を示す図である。この図1において、電子光学系の光軸
AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図1の
紙面に垂直にY軸を、図1の紙面に平行にX軸を取って
説明する。
【0027】電子銃10から放出された電子ビームEB
は、コンデンサレンズ11で平行ビームとされる。その
後、同ビームEBは、2段の電磁偏向器あるいは静電偏
向器からなる視野選択偏向器12によりXY平面内の主
にX方向に偏向されて、マスク1の小領域(サブフィー
ルド)の一つの照射領域(一部領域)33に導かれる。
視野選択偏向器12における偏向量は、装置全体の動作
を統括制御する主制御系19が偏向量設定器25を介し
て設定する。
【0028】図1において、マスク1を通過した電子ビ
ームEBは2段の偏向器13により所定量偏向された上
で第一投影レンズ14に導かれる。その後、同ビームE
Bは、レンズ14によりクロスオーバC.O.で像を結んだ
後、第2投影レンズ15を介してウエハ5上の所定位置
(照射領域33の対応部)に所定の縮小率(例えば1/
4)で結像される。偏向器13における偏向量は主制御
系19が偏向補正量設定器26を介して設定する。この
投影レンズ14、15にはSMD(SynmetricMagnetic
Doublet) レンズがよく用いられる。
【0029】分割投影方式では、マスク1上の各サブフ
ィールドは非パターン領域を挟んで配置されているのに
対して、対応するウエハ5上の各小投影領域は密接して
配置される(詳しくは図2、3を参照しつつ後述)。そ
こで、偏向器13は、通常その非パターン領域の分だけ
電子ビームを横ずれさせる。あるいはマスク1とウエハ
5の移動の同期誤差を補正したり、偏向位置歪み等を補
正するためなどにも偏向器13が使用される。偏向器1
3は、電磁偏向器、静電偏向器、あるいは電磁偏向器と
静電偏向器とを組み合わせた偏向器を使用可能である。
【0030】投影レンズ14及び15の内部には、投影
像の偏向位置誤差を補正するための補正偏向器34及び
35がそれぞれ配置されている。補正偏向器34及び3
5による偏向位置の補正量も、主制御系19が偏向補正
量設定器26を介して設定する。補正偏向器34及び3
5としては、巻線式の空芯コイルなどを使用可能であ
る。
【0031】第2投影レンズ15の下には、ウエハ側か
らの反射電子を検出するための反射電子検出器36が配
置されている。反射電子検出器36の出力信号は、信号
処理回路37によって処理されて反射電子信号Sが生成
される。この反射電子信号Sは、主制御系19に供給さ
れ、この信号Sを使用して回転角測定用マークや並び方
向測定用マークの位置を検出する。
【0032】マスク1はマスクステージ16に載置され
る。マスクステージ16は、駆動装置17によりY軸方
向に連続移動し、X軸方向にステップ移動する。マスク
ステージ16のX座標位置はレーザ干渉計18で検出さ
れて主制御装置19に出力される。Y座標位置も不図示
のレーザ干渉計で測定される。
【0033】表面にレジストを塗布したウエハ5は基板
台20の可動ステージ21上に載置される。可動ステー
ジ21は、駆動装置22によりマスクステージ16のY
軸方向の連続移動とは逆方向へ連続移動可能とされる
(SMDレンズを用いた場合)。逆方向としたのはレン
ズ14、15によりパターン像が反転するためである。
可動ステージ21のX座標位置はレーザ干渉計23で検
出されて主制御系19に出力される。Y座標位置も不図
示のレーザ干渉計で測定される。
【0034】主制御系19は、入力装置24から入力さ
れる露光データと、レーザ干渉計18、23が検出する
ウエハステージ16及び可動ステージ21の位置情報と
に基づいて、視野選択偏向器12及び偏向器13による
電子ビームEBの偏向量を演算する。また、主制御系1
9は、マスクステージ16及び可動ステージ21の動作
を制御するために必要な情報(例えば位置及び移動速
度)を演算する。偏向量の演算結果は偏向量設定器2
5、26に出力され、これら偏向量設定器25、26に
より視野選択偏向器12及び偏向器13、34、35に
おける電子ビームの偏向量が設定される。ステージ1
6、21の動作に関する演算結果はドライバ27、28
にそれぞれ出力される。ドライバ27、28は演算結果
にしたがってステージ16、21が動作するように駆動
装置17、22の動作を制御する。
【0035】なお、入力装置24としては、露光データ
の作成装置で作成した磁気情報を読み取るもの、マスク
1やウエハ5に登録された露光情報をこれらの搬入の際
に読み取るものなどがある。また、本実施例では、主制
御系19は、必要に応じて偏向補正量設定器26及び補
正偏向器34、35を介して偏向位置誤差の補正あるい
は結像特性の補正を各部に指示する。
【0036】以上のように構成された電子ビーム投影露
光装置の動作を説明する。電子銃10から射出されて断
面正方形状に整形された電子ビームEBが、偏向器12
により光学系の光軸AXから所定距離だけ偏向せしめら
れてマスク1の照射領域33(図2、3のサブフィール
ド42)に導かれる。照射領域への電子ビームEBの照
射に伴って、その領域に形成されたパターンに対応した
形状のパターン像が第1投影レンズ14及び第2投影レ
ンズ15を介してウエハ5の対応部(図3の被転写サブ
フィ−ルド53)に所定の縮小率(例えば1/5)で結
像投影される。投影時にはサブフィ−ルドを単位として
電子ビームEBの照射が繰り返され、各サブフィ−ルド
内のパターン像がウエハ5上の異なる被転写サブフィ−
ルド52に順次投影される。
【0037】次に、分割転写方式の電子ビーム投影露光
に用いられるマスクの詳細例について、図2を用いて説
明する。図2は、電子ビーム投影露光用のマスクの構成
例を模式的に示す図である。(A)は全体の平面図であ
り、(B)は一部の斜視図であり、(C)は一つの小メ
ンブレイン領域の平面図である。このようなマスクは、
例えばシリコンウエハに電子ビーム描画・エッチングを
行うことにより製作できる。
【0038】図2(A)には、マスク1上における全体
のパターン分割配置状態が示されている。同図中に多数
の正方形41で示されている領域が、一つのサブフィー
ルドに対応したパターン領域を含む小メンブレイン領域
(厚さ0.1μm 〜数μm )である。図2(C)に示す
ように、小メンブレイン領域41は、中央部のパターン
小領域(サブフィールド)42と、その周囲の額縁状の
非パターン領域(スカート43)とからなる。サブフィ
ールド42は転写すべきパターンの形成された部分であ
る。スカート43はパターンの形成されてない部分であ
り、照明ビームの縁の部分が当たる。
【0039】一つのサブフィールド42は、現在検討さ
れているところでは、マスク上で0.5〜5mm角程度の
大きさを有する。このサブフィールドがウエハ上に縮小
投影された投影像の領域の大きさは、縮小率1/5の場
合0.1〜1mm角である。小メンブレイン領域41の周
囲の直交する格子状の小ストラットと呼ばれる部分45
は、メンブレインの機械強度を保つための、厚さ0.5
〜1mm程度の梁である。ストラット45の幅は0.1mm
程度である。なお、スカート43の幅は0.05mm程度
である。
【0040】図2(A)に示すように、図の横方向(X
方向)に多数の小メンブレイン領域41が並んで一つの
グループ(偏向帯44)をなし、そのような偏向帯44
が図の縦方向(Y方向)に多数並んで1つのストライプ
49を形成している。ストライプ49の幅(偏向帯44
の長さ)は、電子ビーム光学系の偏向可能視野の大きさ
に対応している。ストライプ49は、X方向に並列に複
数存在する。
【0041】隣り合うストライプ49の間に大ストラッ
ト47として示されている幅の太い梁は、マスク全体の
たわみを小さく保つためのものである。大ストラット4
7は小ストラット45と一体で、厚さ0.5〜1mm程度
であり、幅は数mmである。なお、一つの偏向帯内におけ
る隣り合うサブフィールド間に、スカートや小ストラッ
トのような非パターン領域を設けない方式(図5を参照
しつつ後述)も検討されている。また、もちろん、マス
ク全面に一切非パターン領域を設けない方式もありう
る。
【0042】現在有力と考えられている方式によれば、
投影露光の際に1つのストライプ49内のX方向のサブ
フィールド42の列(偏向帯44)は電子ビーム偏向に
より順次露光される。一方、ストライプ49内のY方向
の列は、連続ステージ走査により順次露光される。隣の
ストライプ49に進む際はステージを間欠的に送る。投
影露光の際、以下のビーム操作により、ウエハ上でスカ
ートやグリレージ等の非パターン領域は消去され、各サ
ブフィールドのパターンがチップ全体で繋ぎ合わせされ
る。
【0043】図3は、マスクからウエハへのパターン転
写の様子を模式的に示す斜視図である。図の上部にマス
ク1上の1つのストライプ49が示されている。ストラ
イプ49には上述のように多数のサブフィールド42
(スカートについては図示省略)及び小ストラット45
が形成されている。図の下部には、マスク1と対向する
ウエハ5が示されている。
【0044】この図では、マスク上のストライプ49の
一番手前左隅のサブフィールド42−1が上方からの照
明ビームIBにより照明されている。そして、サブフィ
ールド42を通過したパターンビームPBが2段の投影
レンズと像位置調整偏向器(図1の符号13、14、1
5)の作用によりウエハ5上の対応部(サブフィール
ド)52−1に縮小投影されている。
【0045】ウエハ5に対するパターン像の転写位置
は、マスク1とウエハ5との間の光路中に設けられた上
記偏向器により、各パターンサブフィールド42に対応
する被転写サブフィールド52が互いに接するように調
整される。すなわち、パターンサブフィールド42を通
過したパターンビームPBを第1投影レンズ及び第2投
影レンズでウエハ5上に集束させるだけでは、マスク1
のパターン小領域42のみならずグリレージ45(及び
スカート)の像までも所定の縮小率で転写され、非パタ
ーン領域に相当する無露光領域が各サブフィールド52
の間に生じる。そのような事態を避けるため、非パター
ン領域の幅に相当する分だけパターン像の転写位置をず
らしている。図5の様なマスクを用いた場合はX方向の
転写位置ずらしは不要であり、また、マスク内パターン
領域全面に非パターン領域が無い場合は、X、Y両方向
の転写位置ずらしは不要である。
【0046】上述したように露光をY方向に進めると
き、マスクステージ16を−Y方向に速度VMで連続移
動し、マスクステージ16の連続移動と同期してウエハ
ステージ21を+Y方向に速度VWで連続移動する。ス
トライプ露光中に、Y方向偏向範囲が所定量を越えない
様にする必要がある。そのためには各々のストライプ始
点どおし、終点どうしが同期する様にする。ここで、マ
スクステージ16の速度VMとウエハステージ21の速
度VWとの間には次式(1)の関係がある。 VM: VW=M(L1+L2):L1 (1) ただし、1/M:縮小率 L1 :マスクサブフィールド(パターン領域)のY方
向幅 L2 :非パターン領域のY方向の幅
【0047】具体例に基づいて説明する。マスク上には
幅1mmのパターン領域が、0.3mm幅の非パターン領域
で隔てられてY方向に並んでいるものとする。また縮小
率は1/5とする。この場合、ウエハ上ではこのパター
ン領域(像)は、1/5の幅0.20mmに縮小されて、
非パターン領域を隔てずにびっしりつまって並んでい
る。したがって、マスクステージ及びウエハステージ
は、5(1+0.3):1=6.5:1の速度比で、互
いに反対方向に連続移動しながら転写が行われることと
なる。
【0048】ステージの速度比が5:1からずれている
ため、もしも投影光学系でY方向にパターンビームの偏
向を行わない場合は、マスクの像の移動速度とその像が
転写されるべきウエハ上の位置の移動速度は一致しな
い。上記パターンビーム偏向を行わない場合、サブフィ
ールドのX方向の列である偏向帯の最初のサブフィール
ドが露光される時は、マスクパターンのサブフィールド
の像はウエハ上で遅れた位置にあり、転写が進むに従っ
てウエハ速度が遅いので像の進み方が大きい。この像位
置とウエハの転写されるべき位置の差を0にするため、
投影光学系でパターンビームをY方向に補正偏向し、ウ
エハ上の像の位置を調整する。
【0049】次に、本発明の1実施例に係る電子ビーム
露光方法におけるステージ位置誤差補正の基本的な考え
方を説明する。マスク像は、縮小率1/Mでウエハ面上
に投影されるものとする。あるパターンサブフィールド
を露光(ショット)している時の実際のマスクステージ
位置をPM, actualとする。ショットすべき理想位置を
PM, ideal とすると、誤差は、 △PM = PM, actual− PM, ideal となる。マスク側の誤差は投影レンズにより1/Mに縮
小されるので、この誤差は、ウエハ上では△PM/Mとな
る。
【0050】ウエハ側の実際の位置、理想位置及び誤差
は、同様に、 △PW = PW, actual− PW, ideal となる。マスク側の誤差は、投影レンズにより1/Mに
縮小されるので、マスク側の誤差に基因するマスク像の
ウエハ上における誤差は△PM/Mとなる。
【0051】1つの偏向器35で両者の誤差を補正する
ことができるが、ウエハ側で見て△PM/M +△PWの分を
補正するようにする。したがって、補正分としては、−
(△PM/M +△PW) である。また、位置誤差があるとそ
の分電子ビームの軌道が違うので歪等の収差が理想位置
の場合とは異なるはずである。これはマスク側、ウエハ
側両方についていえる。そこで、マスク側、ウエハ側そ
れぞれの位置誤差に応じた歪補正分を加えて、以下を偏
向器35へ出力する。(歪以外の補正は別途行う) −(△PM/M +△PW) + PM, distortion + PW, distor
tion なお、マスク側、ウエハ側の座標軸の取り方によって+
/−方向性は異なる。
【0052】この実施例では、ウエハステージの位置誤
差及びマスクステージの位置誤差を、一台の偏向器で被
露光面上のパターン転写位置を調整することにより補正
できる。
【0053】次に、ショット中にサブフィールド全体の
形状非点収差を補正する実施例について説明する。図4
(A)は、非点収差補正コイルの構成を模式的に示す平
面図である。図4(B)は、非点収差補正コイル(4極
子コイル)の動作原理を模式的に示す平面図である。図
4(C)は、コイル電流供給回路の回路図である。この
非点収差補正コイル5は、2組の4極子コイル70−1
〜8を有する。各コイル70−Nは、その軸芯を光軸
(Z軸)に対して放射状に向けて配置されている。各コ
イル70−Nの相互間の傾斜角は45°である。
【0054】2組の4極子コイル70−1〜70−8
は、ひとつおきに接続されており、電源79a又は79
bによって駆動される。すなわち、やや細目の線で描か
れているコイル70−1、70−3、70−2、70−
4が一連に繋がれており、電源79aに接続されてい
る。一方、やや太目の線で描かれているコイル70−
5、70−8、70−6、70−7が一連に繋がれてお
り、電源79bに接続されている。電源79aと79b
とは相互に独立して制御される。
【0055】次にこの非点収差補正コイルの作用につい
て、図4(B)を参照しつつ説明する。図4(B)に
は、図4(A)の2組の4極子コイルのうち、一連に繋
がれている70−1〜4のコイル群を示してある。これ
ら4個のコイルにある電流が流されて図示のような磁力
線(矢印付き実線)が形成されている。この磁力線の存
在により、光軸付近を紙面の上から下に抜ける電子ビー
ムは、フレミングの左手の法則に従って図中の太い矢印
の方向への力を受け、その方向に偏向される。
【0056】この場合は、右斜め上及び左斜め下の領域
では、電子ビームは光軸に近づく力(白抜き矢印)を受
け、右斜め下及び左斜め上の領域では、電子ビームは光
軸から遠ざかる方向に力(黒塗り矢印)を受ける。この
結果、図4(B)の非点収差補正コイル中を通るパター
ンビームは、白抜き矢印の方向に圧縮され、それと90
°交差する黒塗り矢印の方向には伸長され、逆の傾向の
非点収差が消去される。なお、他のコイル群70−5〜
8についても同様に作用し、各コイル群の電源79a及
び79bの電流方向と大きさをコントロールすることに
より様々な方向の非点収差を補正できる。
【0057】ショット中に非点収差の補正値を変えると
いうことは、ショット中に上記コイル70−1〜8に流
す電流(電流Ia、Ib)を変えるということである。
この電流をショット中に連続的に変えるための回路は種
々の方式が考えられるが、例えば図4(C)のように、
電流変化量(デジタル量)をDAC73でアナログ化
し、これをアナログ積分器75で積分し、その後に基本
量(DAC74の出力)に加算し、増巾器76で増幅し
て出力することができる。
【0058】次に図5を参照しつつ、別のタイプの分割
転写方式の電子ビーム露光方法で使用するマスク上にお
ける半導体デバイスパターンの分割形態の一例について
説明する。図5の上下方向(偏向帯63の幅方向)をY
方向、左右方向(偏向帯63の長手方向)をX方向とす
る。この例では、マスク上のチップの全体パターン61
は長方形をしている。チップパターン61は、X方向に
帯状に延びる多数の偏向帯63に分割されている。1つ
の偏向帯63のマスク上での代表的な寸法例は、幅1mm
強×長さ20〜40mmである。一本の偏向帯63の中に
は、図2の例のマスクのようなストラットは設けられて
いない。
【0059】チップパターン61のY方向には数10〜
数100段の偏向帯63が並んでおり、この偏向帯の列
をストライプ62と呼ぶ。このストライプ62は、X方
向に3〜7列程度設けられる。偏向帯63の周囲には非
パターン領域65が額縁状に設けられている。この非パ
ターン領域65の中心部は、実際のマスク上では、マス
クに剛性を持たせるためやや厚くなっており(厚さ例1
mm)、補強部の役割も果す。なお、パターンの形成され
ている領域の厚さは一例で2.0μm である。転写露光
の際、ウエハ上では、非パターン領域65は消去され、
全ての偏向帯のパターンがチップ全体で繋ぎ合わせされ
る。
【0060】図5のチップパターン61を転写する際に
は、各偏向帯63内で、照明ビーム(照明光学系の成形
開口像)をX方向に偏向させながら移動させてマスクを
照明する。なお、照明ビームの形は偏向帯63のY方向
の幅よりもやや広い矩形である。ある瞬間における照明
ビームに照らされている偏向帯の領域が、マスク上の露
光単位領域である。マスクを通過してパターン化された
ビームは、投影光学系において縮小・偏向されて、その
パターンが投影されるべきウエハ上の位置(対応部)へ
導かれ結像される。なお、一本の偏向帯の走査中にも、
ダイナミックフォーカス調整等の補正を行い、低収差の
投影結像を実現する。
【0061】一方、次の偏向帯63に露光を進めるに
は、マスク(マスクステージ)及びウエハ(ウエハステ
ージ)を同期させてY方向に連続的あるいは間欠的に移
動させる。なお、SMD形投影レンズを用いた場合は投
影光学系で像が反転するのでステージの移動方向は逆と
なる。ステージの移動を連続的に行う場合には、一つの
偏向帯63を露光している間にも、前記のマスクの例の
場合と同様にマスク上の偏向帯63はY方向に移動する
とともに、当該偏向帯の投影されるべきウエハ上の位置
もY方向に移動する。そしてやはり、ウエハ像位置とウ
エハ転写位置は同期していない。このようなY方向の移
動に対しても、照明ビーム及びパターンビームを偏向さ
せて正しい位置にビームを当てる。1つのストライプ6
2の露光を終えて隣のストライプ62′に移る際は、露
光を一時停止してマスクステージ及びウエハステージを
X方向に送り、マスク上の隣のストライプ62′、及び
その転写領域に当るウエハの部分を露光装置の光軸付近
に位置させる。マスク上パターン領域のY方向に非パタ
ーンを一切挿入しない場合には、前に記した樣な、ウエ
ハ上像位置の速度とウエハ上の転写すべき位置の速度は
基本的に一致させることができる。従ってこの場合はY
方向の追従偏向は不要となる。しかし、いずれにしても
マスク、ウエハを載置したステージを露光中に連続移動
している限りは、投影光学系から見れば露光中に、ビー
ムの軌道が変化している。この様に軌道が変われば基本
的には収差が変わるわけであり、この収差を各種補正器
により補正をする収差としては、位置歪、フォーカスず
れ、非点収差、像回転、像倍率、像非点歪などの収差が
ある。ここで非点収差呼んだのは、FOUCUSが方向
により異なる収差であり、像非点歪とは像自体の形状が
方向により異なる収差のことである。
【0062】次に本発明の露光装置の使用形態の一例を
説明する。図6は、本発明の半導体デバイス製造方法の
一例を示すフローチャートである。この例の製造工程は
以下の各主工程を含む。 ウエハを製造するウエハ製造工程(又はウエハを準備
するウエハ準備工程) 露光に使用するマスクを製作するマスク製造工程(又
はマスクを準備するマスク準備工程) ウエハに必要な加工処理を行うウエハプロセッシング
工程 ウエハ上に形成されたチップを1個づつ切り出し、動
作可能にならしめるチップ組立工程 できたチップを検査するチップ検査工程 なお、それぞれの工程はさらにいくつかのサブ工程から
なっている。
【0063】この主工程の中で、半導体のデバイスの性
能に決定的な影響を及ぼす主工程がウエハプロセッシン
グ工程である。この工程では、設計された回路パターン
をウエハ上に順次積層し、メモリやMPUとして動作す
るチップを多数形成する。このウエハプロセッシング工
程は以下の各工程を含む。 絶縁層となる誘電体薄膜や配線部、あるいは電極部を
形成する金属薄膜等を形成する薄膜形成工程(CVDや
スパッタリング等を用いる) この薄膜層やウエハ基板を酸化する酸化工程 薄膜層やウエハ基板等を選択的に加工するためにマス
ク(マスク)を用いてレジストのパターンを形成するリ
ソグラフィー工程 レジストパターンに従って薄膜層や基板を加工するエ
ッチング工程(例えばドライエッチング技術を用いる) イオン・不純物注入拡散工程 レジスト剥離工程 さらに加工されたウエハを検査する検査工程 なお、ウエハプロセッシング工程は必要な層数だけ繰り
返し行い、設計通り動作する半導体デバイスを製造す
る。
【0064】図7は、図6のウエハプロセッシング工程
の中核をなすリソグラフィー工程を示すフローチャート
である。このリソグラフィー工程は以下の各工程を含
む。 前段の工程で回路パターンが形成されたウエハ上にレ
ジストをコートするレジスト塗布工程 レジストを露光する露光工程 露光されたレジストを現像してレジストのパターンを
得る現像工程 現像されたレジストパターンを安定化させるためのア
ニール工程
【0065】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、より高精度のパターン形成が可能な荷電粒子
ビーム露光方法等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例に係る電子ビーム露光装置を
模式的に示す図である。
【図2】電子ビーム投影露光用のマスクの構成例を模式
的に示す図である。(A)は全体の平面図であり、
(B)は一部の斜視図であり、(C)は一つの小メンブ
レイン領域の平面図である。
【図3】マスクからウエハへのパターン転写の様子を模
式的に示す斜視図である。
【図4】図4(A)は、非点収差補正コイルの構成を模
式的に示す平面図である。図4(B)は、非点収差補正
コイル(4極子コイル)の動作原理を模式的に示す平面
図である。図4(C)は、コイル電流供給回路の回路図
である。
【図5】他の電子ビーム線投影露光用のマスクの構成例
を模式的に示す図である。
【図6】本発明の半導体デバイス製造方法の一例を示す
フローチャートである。
【図7】図6のウエハプロセッシング工程の中核をなす
リソグラフィー工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 マスク 5 ウエハ 10 電子銃 11 コンデン
サレンズ 12 視野選択偏向器 13 像位置調
整偏向器 14、15 投影レンズ 16 マスクス
テージ 18 レーザ干渉計 19 主制御系 21 ウエハステージ 34、35 補
正偏向器 36 反射電子検出器

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被露光面を有する感応基板をステージ上
    に載置して移動させながら、荷電粒子ビームに偏向を加
    えつつ上記被露光面上の特定部にショット露光を繰り返
    してパターン形成する荷電粒子ビーム露光方法であっ
    て;上記ステージの移動に応じて上記ビームの偏向量を
    ショット中に変える際に、該偏向量の変化に応じて生じ
    る収差を補正すべくこれら収差を補正をする手段の補正
    量を適切に更新しつつ該収差を補正することを特徴とす
    る荷電粒子ビーム露光方法。
  2. 【請求項2】 感応基板の被露光面上に転写すべきパタ
    ーン(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域に
    照明ビームを当て、該領域を通過したビーム(パターン
    ビーム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領域
    のパターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマスク
    よりも上流で偏向することによってマスク上の各領域を
    照明し、各領域のパターンの転写像を被露光面上で繋ぎ
    合わせて配列することによりデバイスパターン全体を転
    写する荷電粒子ビーム露光方法であって;上記マスクの
    一つの一部領域の露光(ショット)中に変化する収差を
    補正すべく、これら収差を補正する手段の補正量を適切
    に更新しつつ該収差を補正することを特徴とする荷電粒
    子ビーム露光方法。
  3. 【請求項3】 感応基板の被露光面上に転写すべきパタ
    ーン(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域に
    照明ビームを当て、該領域を通過したビーム(パターン
    ビーム)を被露光面上の対応部に縮小投影結像させて該
    領域のパターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマ
    スクよりも上流で偏向することによってマスク上の各領
    域を照明し、各領域のパターンの転写像を被露光面上で
    繋ぎ合わせて配列することによりデバイスパターン全体
    を転写する荷電粒子ビーム露光方法であって;上記感応
    基板をステージ上に載置して移動させるとともに、上記
    マスクもステージ上に載置して移動させ、 マスク像の被露光面への投影縮小比が、被露光面移動速
    度対マスク移動速度の比と一致しない場合において、上
    記パターンビームを偏向することにより、マスク領域の
    投影像を被露光面上の対応部の動きに追従させ、 マスクの一つの一部領域の露光(ショット)中に上記ビ
    ームの偏向量を変える際に、該偏向量の変化に応じて生
    ずる収差を補正すべく、これら補正をする手段の補正量
    を適切に更新しつつ該収差を補正することを特徴とする
    荷電ビーム露光方法。
  4. 【請求項4】 上記収差が、偏向位置歪み、フォーカス
    ずれ、非点収差、あるいは像回転、像倍率等、像非点歪
    等の像歪みのうちのいずれかであることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1項記載の荷電粒子ビーム露光方
    法。
  5. 【請求項5】 感応基板の被露光面上に転写すべきパタ
    ーン(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域に
    照明ビームを当て、該領域を通過したビーム(パターン
    ビーム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領域
    のパターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマスク
    よりも上流で偏向することによってマスク上の各領域を
    照明し、各領域のパターンの転写像を被露光面上で繋ぎ
    合わせて配列することによりデバイスパターン全体を転
    写する荷電粒子ビーム露光方法であって;上記感応基板
    をステージ上に載置して移動させるとともに、上記マス
    クもステージ上に載置して移動させ、 マスクの理想位置からの誤差については、マスクより上
    流に配置された偏向器(照明ビーム偏向器)で照明ビー
    ム照射位置を補正し、 該マスク位置誤差に起因する被露光面上でのマスク像投
    影位置誤差については、マスクと感応基板間に配置され
    た偏向器(パターンビーム偏向器)で補正して被露光面
    上の理想位置に転写することを特徴とする荷電粒子ビー
    ム露光方法。
  6. 【請求項6】 マスク位置の理想位置との誤差を照明ビ
    ーム偏向器で補正する際に、偏向歪みも含めて補正する
    ことを特徴とする請求項5記載の荷電粒子ビーム露光方
    法。
  7. 【請求項7】 マスク位置誤差に起因するマスク像投影
    位置誤差をパターンビーム偏向器で補正する際に、偏向
    歪みも含めて補正することを特徴とする請求項5記載の
    荷電粒子ビーム露光方法。
  8. 【請求項8】 被露光面の理想位置との誤差について
    は、マスク位置誤差補正に伴うマスク像投影位置補正と
    ともに前記パターンビーム偏向器で補正することを特徴
    とする請求項5記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  9. 【請求項9】 偏向歪みも含めて補正することを特徴と
    する請求項8記載の荷電粒子ビーム露光方法。
  10. 【請求項10】 感応基板の被露光面上に転写すべきパ
    ターン(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域
    に照明ビームを当て、該領域を通過したビーム(パター
    ンビーム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領
    域のパターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマス
    クよりも上流で偏向することによってマスク上の各領域
    を照明し、各領域のパターンの転写像を被露光面上で繋
    ぎ合わせて配列することによりデバイスパターン全体を
    転写する荷電粒子ビーム露光方法であって;上記感応基
    板をステージ上に載置して移動させるとともに、上記マ
    スクもステージ上に載置して移動させ、 上記デバイスパターンは複数の小領域に分割されてマス
    ク上に形成されており、 該小領域よりも小さい照明ビームを偏向走査することに
    よって該小領域全体を照明し、 該小領域に対応する被露光面上の対応部にパターンビー
    ムを走査しながら露光し、 露光中に変化する収差を補正すべく、これら収差を補正
    する手段の補正量を適切に更新しつつ該収差を補正する
    ことを特徴とする荷電粒子ビーム露光方法。
  11. 【請求項11】 感応基板上の被露光面に転写すべきパ
    ターン(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域
    に照明ビームを当て、該領域を通過したビーム(パター
    ンビーム)を被露光面上の対応部に投影結像させて該領
    域のパターンを被露光面上に転写し、照明ビームをマス
    クよりも上流で偏向することによって各マスク上の領域
    を照明し、被露光面上では、各領域のパターンの転写像
    をつなぎ合わせて配列することによりデバイスパターン
    全体を転写する荷電粒子ビーム露光方法であって;上記
    マスクを載置するステージ及び上記感応基板を載置する
    ステージを連続的に移動させ、 上記パターンビームを偏向することにより、マスク領域
    の投影像を被露光面の対応部の動きに追従させ、 上記マスクの一つの一部領域の露光(ショット)中に変
    化する収差を補正すべく、これら収差を補正する手段の
    補正量を適切に更新しつつ該収差を補正し、 かつ、上記マスクの位置の理想位置との誤差、及び上記
    被露光面の理想位置との誤差を、被露光面でのマスク像
    投影位置として、マスクと感応基板の間に配置された偏
    向器でこれらの偏向歪みも含めて補正して被露光面上の
    理想位置に転写することを特徴とする荷電粒子ビーム露
    光方法。
  12. 【請求項12】 上記請求項1〜11記載の補正手段を
    有することを特徴とする荷電粒子ビーム露光装置
  13. 【請求項13】 感応基板上の被露光面に転写すべきパ
    ターン(デバイスパターン)を有するマスクの一部領域
    を荷電粒子ビーム(照明ビーム)で照明する照明光学系
    と、 マスクを載置するマスクステージと、 上記マスクの一部領域を通過した荷電粒子ビーム(パタ
    ーンビーム)を上記被露光面の対応部に投影結像させる
    投影光学系と、 感応基板を載置して移動する感応基板ステージと、を備
    える荷電粒子ビーム露光装置であって;上記投影光学系
    が、上記マスクの一つの一部領域の露光(ショット)中
    に投影光学系内のビーム軌道が変わるために生じる連続
    的に変化する光学的収差を補正すべくこれら収差を補正
    する手段を持ち、その補正量を適切に変えて以上の収差
    の補正値を適切に更新しつつ該収差を補正する偏向収差
    補正手段を有することを特徴とする荷電粒子ビーム露光
    装置。
  14. 【請求項14】 上記請求項1〜11記載の荷電粒子ビ
    ーム露光方法を用いてリソグラフィー工程の露光を行う
    ことを特徴とするデバイス製造方法。
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