JP2001050251A - 動圧軸受装置 - Google Patents

動圧軸受装置

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JP2001050251A
JP2001050251A JP2000100597A JP2000100597A JP2001050251A JP 2001050251 A JP2001050251 A JP 2001050251A JP 2000100597 A JP2000100597 A JP 2000100597A JP 2000100597 A JP2000100597 A JP 2000100597A JP 2001050251 A JP2001050251 A JP 2001050251A
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shaft
bearing
dynamic pressure
bearing sleeve
rotor
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Hiromitsu Asai
拡光 浅井
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一端が自由端であり他端がロータにつながる
軸と、該軸を半径方向に支持する半径方向支持部と該軸
を軸方向に支持する軸方向支持部とを備える軸受部とを
有する動圧軸受装置において、該半径方向支持部と該軸
方向支持部とを樹脂による一体化構造とし、該構造の内
面に動圧発生溝を設けたことを特徴とする動圧軸受装置
により解決する。 【解決手段】 従来、軸受のラジアル軸受とスラスト軸
受とが別部材であり、複数部品,高い組立精度が必要と
なっていた。また、ラジアル軸受けが金属製であるた
め、境界潤滑性よりも温度粘度特性の良好な潤滑材が選
択できなかった。又、ロータとステータは径方向に対向
して配置されていたのでモータ厚さが厚くなっていた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、情報・音響・映
像用機器(たとえば、パーソナルコンピュータ,レーザ
プリンタ,光ディスク装置,磁気ディスク装置)等に用
いられるスピンドルモータまたは冷却ファンモータ用の
動圧軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の動圧軸受装置は、図1に示すよう
に、側面に動圧発生溝86を有する軸85と、軸受部8
7とを備える。一般に、軸85は一端が自由端でありそ
の他端はロータ等に取り付けられている。一方、軸受部
87は、半径方向支持部88と、軸方向支持部89とか
ら構成される。半径方向支持部88は、ケース(固定
部)81上に配設される支持体82に取り付けられ、軸
85を回動可能に半径方向に支持する。軸方向支持部8
9は、ケース(固定部)82上に配設され、軸85の端
面に接触する形態で軸85を軸方向に支持する。従っ
て、軸受部87がステータとして働き、軸85はロータ
の回転軸として働く。
【0003】従来、一般には、半径方向支持部88は金
属製(黄銅)であり、また軸方向支持部89は樹脂製で
あった。また、軸85と半径方向支持部88若しくは軸
方向支持部89との間には、起動および停止時において
良好な境界潤滑性を確保するための潤滑材として合成油
が使用されていた。また、ロータ磁石84とステータコ
イル83のそれぞれは、該軸85の径方向に対向して取
り付けられていた。ステータコイル83が回転磁界を発
生するとロータ磁石84が反駁し、軸85が回転する。
軸85に羽根をとりつければ、たとえば、図1中に矢印
Xで示した方向に空気流が発生する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の動圧軸受装置で
は、以下の問題点があった。
【0005】(イ)軸受は半径方向支持部88と軸方向
支持部89との別部材に分かれており、さらにそれぞれ
の部材の構造は複雑であった。また、少なくとも2点以
上の部品点数が必要となるため、組立工数が多くなる問
題があった。
【0006】(ロ)半径方向支持部88と軸方向支持部
89とが別部材であることから、その組立時にそれらの
部品間の取付直角度等につき高い組立精度が必要とな
り、コストが高くなる問題があった。
【0007】(ハ)ロータとステータにおいて、ロータ
磁石84はステータコイル83と径方向に対向して配置
されていた。そのため、軸に取り付けられる回転体とモ
ータのケース(固定部)との厚さが厚くなりモータ全体
の厚さが厚くなる問題があった。
【0008】(ニ)軸85を軸方向に正しく支えるため
には軸端面の直角度精度が高い必要がある。さらに、軸
の端面と軸方向支持部89の面がそれぞれ平面であるた
め、僅かな軸の傾きで軸端の縁が軸方向支持部89に接
触し、該部材面に傷がつく問題があった。
【0009】(ホ)軸受の半径方向支持部が金属製であ
ったので、良好な境界潤滑性を確保するため合成油を使
用せざるをえなかった。合成油は温度粘度特性が良くな
いため、低温時に必要トルクが大きくなり、一方、高温
時は負荷容量が大きく低下する問題が生じる。従来の動
圧軸受装置を用いた冷却ファンモータをマイクロプロセ
ッサの冷却に適用するためには、常温から約100℃の
範囲の温度で数万時間に及ぶ耐久時間が要求されるが、
高温時には合成油の揮発量が大きくなるため、長期間の
寿命の保証が困難となる問題があった。
【0010】(ヘ)合成油が前記の特性を有するので、
低温時の必要トルクを下げるためには、回転軸径を小さ
くして高温時の負荷容量の低下を防ぎ、かつ軸と軸受の
半径方向支持部との隙間も小さくする必要があった。た
とえば、軸径を直径1.2mm程度にまで細くするとと
もに、該隙間を4μm以下に小さくする必要があった。
しかし、この軸受をパーソナルコンピュータの冷却ファ
ン等の小型機器に応用する場合に、軸受の半径方向支持
部を金属(黄銅)で製作するときには、内径が細すぎる
ので内径加工が難しく、動圧溝を半径方向支持部内周面
または軸外周面に設けることが困難であり、仮に加工が
実現したとしてもそのコストは高かった。また、樹脂に
よる射出成形で製造する場合にも、該半径方向支持部を
射出成形で製造するための金型において、軸が遊挿され
る空洞部を製作するための金型内のコアピンが細くな
り、このコアピンの剛性低下による変形で、完成品の成
形精度が低下する問題があった。
【0011】(ト)動圧軸受装置では、潤滑油を軸85
と軸受部87の間に充填させる。軸85と軸受部87の
隙間は小さいので潤滑油は表面張力によりその隙間を常
に満たすように作用する。一般に、モータの軸85付近
は、モータの使用環境に応じて、80℃以上になる場合
がある。潤滑油は高温になると粘度および表面張力が低
下するため、潤滑油は該隙間に留まろうとする力が弱ま
り、軸の回転による遠心力と相俟って潤滑油は軸を伝わ
って上昇する。軸85の外周部のうち軸受部上端面とロ
ータ内面の間にあたる図1のh部が潤滑油で一旦濡れる
と、潤滑油がそれに続くように軸に沿って上昇し、残り
の潤滑油もその経路(以下、油道とよぶ)にそって上昇
する。上昇した潤滑油はロータの遠心力に伴って拡がっ
て飛散し、充填されていた潤滑油は短時間で減少し、最
終的には潤滑油が無くなる。たとえば、スピンドルモー
タの場合では、軸85を水平にして使用することが多
く、冷却ファンモータでは軸85を水平さらには上下逆
向きに使用する場合もある。このような場合は、特に、
重力の影響で潤滑油が軸受から漏れだしやすい。これに
より、動圧軸受の性能は著しく低下し、さらには摩耗が
発生して回転不能となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、一端が自由端
であり他端がロータにつながる軸と、該軸を半径方向に
支持する半径方向支持部と該軸を軸方向に支持する軸方
向支持部とを備える軸受部とを有する動圧軸受装置にお
いて、該半径方向支持部と該軸方向支持部とを樹脂によ
る一体化構造とし、該構造の内面に動圧発生溝を設けた
ことを特徴とする動圧軸受装置を提案する。これによ
り、軸受の構造が単純化し,加工が容易となり,部品点
数の減少も達成できる。さらに、動圧発生溝は前記一体
化構造の成形製作時に同時に形成することができ、軸受
の低コスト化を実現できる。また、一体化構造とするこ
とにより、軸受の半径方向支持部と軸方向支持部を軸受
として組み合わせる際に要求されていた高い直角度も不
要となり、組立全体が容易となり、高性能、耐久性改善
も実現できる。
【0013】本発明では、さらに、前記軸の軸方向に対
向して配置される磁界発生手段を有することを特徴とす
る動圧軸受装置を提案する。これにより、軸受装置を薄
くすることができ、薄型のモータを実現することができ
る。
【0014】本発明では、さらに、前記軸の端面または
軸方向支持部の内底面のいずれかを一方の面を曲面にす
る軸受装置を提案する。これにより、軸端面の直角度を
高い精度で加工する必要もなく、また該軸の該端面と軸
受軸方向支持部の該軸受け面とが点接触するので必要ト
ルクが低くなり、さらに、軸方向支持部の面が傷つくこ
ともない。
【0015】本発明では、さらに、潤滑材としてフッ素
油を用いた動圧軸受装置を提案する。前記の通り、半径
方向支持部と軸方向支持部を樹脂成型で一体化構造する
ことで、潤滑性の特性として潤滑性の良好さに換えて温
度特性の良好さが選択できるようになる。従って、比較
的潤滑特性が悪く、一方、温度特性が良好なフッ素油を
適用できるようになる。また、フッ素油を用いることで
冷却ファンをマイクロプロセッサに使用する場合にあっ
ても、高温時の揮発が抑制されるので、高温域での長期
間の寿命も保証できる。
【0016】本発明では、さらに、前記軸の外周面はフ
ルオロアルキルアクリレート共重合体により被覆される
ことを特徴とする動圧軸受装置を提案する。該軸の外周
面をフルオロアルキルアクリレート共重合体で被覆する
ことにより、該軸外周面の表面エネルギーが潤滑油であ
るフッ素油より低くなりフッ素油をはじくため、潤滑油
の表面張力が低下しても油道ができず油の飛散を防止す
ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明は、たとえば、スピンドル
モータまたは冷却ファンモータの軸受装置に好適であ
る。冷却ファンモータに適用する場合の動圧軸受部は、
一端が自由端であり他端がロータにつながる軸と、該軸
を半径方向に支持する半径方向支持部と該軸を軸方向に
支持する軸方向支持部とを備える軸受部とを有する動圧
軸受装置において、該半径方向支持部と該軸方向支持部
とを樹脂による一体化構造とし、該構造の内面に動圧発
生溝を設けた動圧軸受装置において、該ロータに羽根を
取り付けて適用する。ここで使用する樹脂材料は、マト
リックス樹脂であって、耐熱性を有し、かつ、成形精度
が良好で高温においても剛性を維持できるものが好まし
い。たとえば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(以
下、PPSと呼ぶ)、ポリブチレンテレフタレート樹
脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂を使用する
ことができる。さらに、該軸受と該軸との隙間の潤滑油
にはフッ素油を使用する。
【0018】又、該樹脂には繊維状または粉末状の強化
材を配合することで更に成形精度を向上することが好ま
しい。これにより、線膨張係数を小さく押さえてロータ
の回転時の振れを防止し、温度による径方向隙間の変化
を抑制することができる。繊維状の強化材として、炭素
繊維(以下、CFと呼ぶ)または、ガラス繊維を使用す
ることができる。一方、粉末状の強化材としては、ガラ
ス粉末、ガラスビーズ、シリカ、炭酸カルシウムを使用
することができる。以下の実施例ではその代表例とし
て、PPSにCFを充填した材料としている。
【0019】また、動圧軸受において、ローターの回転
初期には、軸と軸受部とは短時間であるが接触すること
があり、そのため、耐摩耗性も要求される。耐摩耗性と
摺動性を改良するには更に前記繊維に充填材を配合する
ことがより好ましい。充填材としてポリテトラフルオロ
エチレン樹脂粉末や、炭化フェノール粒子などが使用で
きる。この充填剤は1種のみならず、前記充填材を2種
以上組み合わせて用いることもできる。
【0020】また、該軸の外周面はフルオロアルキルア
クリレート共重合体により被覆する。これにより軸外周
面の表面エネルギーが潤滑油であるフッ素油より低くな
りフッ素油をはじくので油が一筋の道(以下、油道とよ
ぶ)を作り連続的に流れることを防ぐことができる。軸
受内で潤滑油と常時接触している軸の外周面は時間の経
過と共に逆に潤滑油と吸着(特に潤滑油が漏れやすい高
温では短時間潤滑油との吸着現象が起きる)するように
なるため油漏れをさらに防ぐことができる。最も一般的
なフルオロアルキルアクリレート共重合体の被覆方法
は、フルオロアルキルアクリレート供重合体を溶剤に溶
解させ適切な濃度の溶解液としたのちにこれを塗布する
方法である。適切な濃度は約0.1%から5%の間であ
ることが好ましい。これより濃度が低いと、フルオロア
ルキルアクリレートが軸全面に行き渡らず、一方、これ
より濃度が高くなると塗布膜厚が厚くなったり,不均一
になったり、または軸受隙間が変化するので動圧軸受性
能が落ちる。軸受け隙間の変化をより小さくする場合
は、濃度は0.1%から2%の間であることがより好ま
しい。なお、塗布は刷毛による塗布,溶液への浸漬また
は溶液の滴下でもよい。さらに、塗布は、少なくとも軸
の外周面全域が塗布されれば良く、これに加えて軸受端
面部(開口部端面)および軸取付部近傍のロータ面に塗
布してもよい。
【0021】
【実施例】実施例について図2を参照して説明すると、
ステータ3は、支持体2を有するケース(固定部)1か
ら成り、ステータコイル12がその支持体2の外周に取
り付けられている。支持体2の内部には、軸受の半径方
向支持部と軸方向支持部とを一体化した軸受スリーブ8
が取り付けられている。軸受スリーブ8は、前記の通り
PPSにCFの他一種類以上の充填材を充填した樹脂材
料で形成されている。上記軸受スリーブ内側には、軸5
が遊挿され、軸5と軸受スリーブ8の隙間は潤滑材であ
るフッ素油7で満たされている。
【0022】軸5は、一端が自由端でありその他端が回
転体支持部材10を介して冷却ファン羽根11が取り付
けられて、ロータ4を構成する。また、軸外周面のほぼ
全面にはフルオロアルキルアクリレート共重合体が塗布
される。一方、軸受スリーブ8の内面には、動圧発生部
(動圧溝)6が設けられる。また、ステータ3にはステ
ータコイル12が、ロータ4には磁石13がそれぞれ取
り付けられ、径方向に対向して配置されている。
【0023】軸5の該自由端の形状は図2に示した形状
とは別に、図3または図4に示す形状とすることができ
る。図3および図4は、それぞれ、軸5が軸受スリーブ
8に挿入された状態の軸5の端部付近を拡大した図であ
る。それぞれの図に示すように、軸受スリーブ底面17
の内側を、または軸5の端面18を曲面形状としてい
る。これにより、軸5と軸受スリーブ底面は面接触では
なく、点接触とすることができる。
【0024】回転、非回転時において、軸5の側面は軸
受スリーブ8の内側面と接触しており、一方、軸5の端
面は軸受スリーブ8の球状底面と点接触している。回転
力は、ステータコイル12から磁界が発生して、磁石1
3の磁界と反撥することで生じる。軸5は軸受スリーブ
8によって上記ステータ3周りに回転自在に支持されて
いるので、ロータ4は該回転力によって、たとえば、図
2中矢印aで示す方向に回転すると、ロータ4の外周に
設けた冷却ファン羽根11が同じく回転し、図2中の矢
印bに示す方向に風が発生する。回転時は、その回転に
よって、軸受スリーブ8内面に設けた動圧発生溝6によ
りフッ素油7に圧力が発生し、軸5は半径方向に一定の
隙間をもって支持されて、軸受スリーブ8の内面と非接
触の状態で回転する。
【0025】フッ素油は40℃における動粘度が5から
100cStであることが好ましい。この特性を有する
フッ素油を用いれば、軸径をφ1.5mm以上に、また
軸受スリーブ内径と軸との隙間間隔を5μm以上とする
ことができる。低温時のトルクと高温時の温度変動とを
抑制を最適化するためにはさらに、軸径をφ1.5mm
以上φ5mm以下に、また軸受スリーブ内径と軸との隙
間間隔を5μm以上30μm以下とすることができる。
【0026】さらに、低温時のトルクを小さく抑えるこ
とをより重視する場合には、40℃で5から50cSt
であることが好ましい。一方で負荷容量の変動抑制をよ
り重視する場合は、軸径をφ1.5mm以上φ3.5m
m以下に、また軸受スリーブ内径と軸との隙間間隔を5
μm以上20μm以下とするのが好ましい。また、軸受
スリーブ底面を曲面状にして点接触でスラスト荷重を受
ける構造のため、低摩擦で軸のエッジで軸方向支持部面
を傷つけることもない。
【0027】軸外周の全面にはフルオロアルキルアクリ
レート共重合体が被覆されているので、軸外周面の表面
エネルギーが潤滑油であるフッ素油より低くなりフッ素
油をはじくため、スリーブ端面とロータ面間の軸外周面
(図2のh部)は濡れない。従って、スリーブ内部の潤
滑油が軸を伝わって上昇しロータ面に接触することはな
く、潤滑油の飛散が防止できる。仮に、組立時に潤滑油
の注入量が多くなってh部に潤滑油が一時的に接触して
も該被覆により潤滑油ははじかれてh部は濡れない。従
って、スリーブ内の潤滑油が軸に沿って上昇し、ロータ
の回転に伴って飛散することは無い。
【0028】図9は本発明に利用できるフルオロアルキ
ルアクリレート共重合体の一例を示したものである。こ
れを塗布すると、炭素側(図9の下側)が軸である金属
面に吸着するので、他端のぺルフルオロラウリン酸単分
子層(CF3)が軸の外側に向いて配列することにな
る。CF3の表面エネルギーはフッ素油より低く、フッ
素をはじくことができる。
【0029】図5に示す実施例2では、樹脂軸受スリー
ブ8がステータ3を直接支持する形で直接ケース(固定
部)1に取り付けられている。この実施例では、軸受の
半径方向支持部と軸方向支持部との一体化に加えて、軸
受スリーブが前記支持体をも同時に一体化して成型され
ることで軸受をさらなる単純構造化をねらったものであ
る。実施例1の効果に加えて、さらに、加工コストの低
減化を図れる利点を有する。
【0030】図6に示す実施例3は、前記実施例1であ
る図1中において径方向に対向して配置していたステー
タコイル12(図2)とロータ磁石13(図2)の配置
を変更したものである。ステータ3のステータコイル1
2とロータ4のロータ磁石13とを軸方向に対向して配
置させたことを特徴としている。ステータ3は、ステー
タコイル基盤14上に取り付けられ、このステータコイ
ル基盤14は支持体2上にケース(固定部)1とほぼ平
行になるように取り付けられている。このように、コイ
ルと磁石を軸方向に対向配置することで、軸方向寸法を
小さく出来るため、実施例1の効果に加えて、さらにモ
ータを薄型に出来る利点を有する。
【0031】図7に示す実施例4は、実施例3(図6)
に、さらに、実施例2(図5)を適用したものである。
すなわち、軸受スリーブ8がステータコイル基盤14を
直接支持することにより、ステータ3のステータコイル
12とロータ4の磁石13とが軸方向に対向して配置さ
れる。これにより、実施例2と実施例3の効果を併有す
る。
【0032】また、図8に示す実施例5のように、実施
例1から4における冷却ファン羽根11に代えてターン
テーブル15を軸5に取り付けることでスピンドルとし
て用いることも可能である。
【0033】これまで示した実施例1から5において、
各部材、特に樹脂軸受スリーブの形状は本実施例に示し
た形状に限られない。従って、形が異なっていたり、ま
たはフランジ等が設けられていても良い。また、樹脂軸
受スリーブとケース(固定部)との固定は、接着,圧
入,フランジを用いたねじ固定またはそれらの組み合わ
せが考えられるが、これに限定はない。加えて、実施例
に示した動圧溝のパターンは一例であってこれに限られ
ず、動圧軸受として機能する溝パターンおよび溝幅比を
有していれば良い。また、上記実施例では軸外周面全面
のみにフルオロアルキルアクリレート共重合体を塗布し
ているが、軸受端面部(開口部端面)及びロータ面の軸
取付部近傍を被覆すれば、より高い効果が望まれる。
【0034】なお、実施例1においても説明したが、軸
外周面全面にフルオロアルキルアクリレートを被覆する
と潤滑油の維持に大きな効果が得られる。これは、以下
の試験の結果によりわかる。以下、軸外周面にフルオロ
アルキルアクリレート共重合体を塗布した場合におい
て、塗布の箇所を未処理,軸のh部のみ塗布,および軸
外周全面塗布の3つ条件で動圧軸受装置の3000時間
の耐久試験を行い、潤滑油漏れが発生した台数を調べた
試験について示す。試験には、軸が未処理の軸受装置
(以下、供試体Aという),スリーブ端面とロータ面間
の軸外周面部h部のみにフルオロアルキルアクリレート
共重合体を塗布した軸受装置(以下、供試体Bとい
う),軸外周面全面にフルオロアルキルアクリレート共
重合体を塗布した軸受装置(以下、供試体Cという)の
3種類の供試体を用意した。各供試体とも10台につい
て試験をおこなった。なお、軸受装置の諸元は、図5に
示す軸受装置において、軸径φ3,軸と軸受スリーブ間
隙間Δ10μm,潤滑油をフッ素油,およびフッ素油量
は7μリットルである。この量は軸受スリーブからフッ
素油が試験開始前で溢れるだけ十分な量として設定し
た。また、軸受部に塗布したフルオロアルキルアクリレ
ート重合体は固形分約0.2%となるように溶剤で溶解
して塗布したものを使用した。この軸受装置を雰囲気温
度80℃,および回転数7000rpmで3000時間
までの耐久試験を行った。また、モータの姿勢は軸が水
平方向となる姿勢で試験を行った。
【0035】上記試験の結果、供試体Aでは100時間
経過後に10台中7台に、200時間経過後に残り3台
に潤滑油漏れが発生し、試験は200時間で中止となっ
た。供試体Bでは、500時間経過後に10台中1台
に、1000時間経過後に残り9台中2台に、さらに3
000時間経過後に残り7台中2台に油漏れが発生し、
3000時間経過後に半数の5台が使用不能となった。
一方、供試体Cでは3000時間経過後も漏れは全く発
生しなかった。従って、軸外周全面にフルオロアルキル
アクリレート共重合体を塗布することにより潤滑油維持
の効果があることがわかる。
【0036】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0037】動圧軸受装置において、半径方向支持部と
軸方向支持部とを樹脂による射出成形で一体化した軸受
スリーブとすることで、部品点数を削減できる。また、
動圧発生溝も軸受スリーブ成型時に同時に設けられるの
で、加工,組立が容易となり、ひいては低コストが実現
できる。
【0038】また、軸受スリーブをPPSにCFを充填
した樹脂材料としたことで、寸法安定性,低摩擦性かつ
耐摩耗性が優れ、従来技術と比較して耐久力が向上す
る。軸受の軸方向支持部も樹脂とするため、特に、軸が
当該軸受スリーブに接触する起動時の摩擦抵抗が減少で
きる。また、当該軸受スリーブの底面または軸の端面の
うちいずれか一方を曲面にして点接触で軸の荷重を受け
る構造とすることで低摩擦を実現し、また軸端のエッジ
がスラスト軸受面を傷つけることもない。
【0039】また、樹脂製とすることによって金属製の
軸受けでは使用できなかった温度粘度特性の良いフッ素
油を用いることができる。フッ素油を潤滑油とすること
により、起動時または停止時のように低温における軸受
の半径方向支持部と該軸との摩擦抵抗(起動,停止時
は、該軸と該半径方向支持部面は接触する)を低くする
ことができ、低温時での必要トルクが低く、高温時での
負荷容量の低下を少なくすることができる。これによ
り、軸受スリーブ内面および軸間の隙間寸法、および軸
径の制約が無くなり、軸受スリーブ成形時において使用
する金型内で完成後に軸の受容部となる空洞を形成する
コアピン径を大きくすることができ、完成品の成形精度
が向上できる。
【0040】加えて、マイクロプロセッサ用の冷却ファ
ンモータは、常温から約100℃の範囲の環境で数万時
間に及ぶ耐久時間が要求されるが、従来のように合成油
を使用した場合は高温時においてはその揮発量が大きく
なるため長期にわたる寿命保証が困難であったのに対
し、フッ素油を用いることで高温時の揮発が極端に抑制
でき高温域での数万時間の寿命維持が達成できる。
【0041】軸外周の全面にフルオロアルキルアクリレ
ート共重合体を被覆することにより前記潤滑油が当該被
覆にはじかれるため、潤滑油が軸に沿って上昇し、さら
にはロータの回転に伴って飛散することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の技術における冷却ファンモータ部軸受断
面図である。
【図2】実施例1の軸受装置を使用した冷却ファンモー
タ部軸受断面図である。
【図3】実施例1における軸端部と軸受スリーブ底面部
の接触部拡大図であって、軸受スリーブ底面部側を曲面
形状とした例の図である。
【図4】実施例1における軸端部と軸受スリーブ底面部
の接触部拡大図であって、軸端部を曲面形状とした例の
図である。
【図5】実施例2の軸受装置を使用した冷却ファンモー
タ部軸受断面図である。
【図6】実施例3の軸受装置を使用した冷却ファンモー
タ部軸受断面図である。
【図7】実施例4の軸受装置を使用した冷却ファンモー
タ部軸受断面図である。
【図8】実施例5の軸受装置を使用したスピンドルの軸
受断面図である。
【図9】本発明において使用するフルオロアルキルアク
リレート共重合体の化学式を示す図である。
【符号の説明】
1,81 ケース(固定部) 2,82 支持体 3,83 ステータ 4,84 ロータ 5,85 回転軸 6,86 動圧発生溝 7 フッ素油 8 軸受スリーブ 10 回転体支持部材 11 冷却ファン羽根 12 ステータコイル 13 ロータ磁石 14 ステータコイル基盤 15 ターンテーブル 17 軸受スリーブ底部 18 軸端部 88 半径方向支持部 89 軸方向支持部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 21/12 H02K 21/12 M Fターム(参考) 3J011 AA07 AA08 BA04 BA10 CA02 DA01 DA02 JA02 KA02 KA03 MA02 MA12 MA22 PA03 QA05 RA03 SC02 SC04 SC12 5H605 AA07 BB05 BB19 BB20 CC04 EB06 FF06 FF12 5H607 BB01 BB09 BB13 BB14 BB17 CC01 DD03 GG12 KK07 5H621 BB07 GA01 JK19

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が自由端であり他端がロータにつな
    がる軸と、 該軸を半径方向に支持する半径方向支持部と該軸を軸方
    向に支持する軸方向支持部とを有する軸受部とを備える
    動圧軸受装置において、 該半径方向支持部と該軸方向支持部とを樹脂による一体
    化構造とし、該構造の内面に動圧発生溝を設けたことを
    特徴とする動圧軸受装置。
  2. 【請求項2】 一端が自由端である軸と、 該軸を半径方向に支持する半径方向支持部と該軸を軸方
    向に支持する軸方向支持部とを有する軸受部とを備える
    動圧軸受装置において、 該軸の外周面はフルオロアルキルアクリレート共重合体
    により被覆され、該軸受部と該軸との隙間はフッ素油で
    満たされることを特徴とする動圧軸受装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、該半径方向支持部と
    該軸方向支持部とを樹脂による一体化構造とし、該構造
    の内面に動圧発生溝を設けたことを特徴とする動圧軸受
    装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、該軸の外周面はフル
    オロアルキルアクリレート共重合体により被覆され、該
    軸受部と該軸との隙間はフッ素油で満たされることを特
    徴とする動圧軸受装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または4において、さらに、前
    記軸の径方向に対向して配置される磁界発生手段を有す
    ることを特徴とする動圧軸受装置。
  6. 【請求項6】 請求項1または4において、さらに、前
    記軸の軸方向に対向して配置される磁界発生手段を有す
    ることを特徴とする動圧軸受装置。
  7. 【請求項7】 請求項5または6において、 該軸の直径は1.5mm以上5mm以下であって、 該フッ素油の40℃における動粘度は5から100cS
    tであって、 該軸受と該軸との半径方向の隙間は5μm以上30μm
    以下であることを特徴とする動圧軸受装置。
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