JP2010060034A - 流体動圧軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂で射出成形したハウジングの導電性を確保し、流体動圧軸受装置の帯電を防止する。
【解決手段】ハウジング7の底部7bの外端面7b2にスキン層除去処理を施す。これにより、ハウジング7の外周面7a2の固定方法に関わらず、スキン層による導電性の低下を防止し、ハウジング7の導電性を確保することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、軸受隙間に生じる流体膜の動圧作用で軸部材を回転自在に支持する流体動圧軸受装置に関する。
流体動圧軸受装置は、その高回転精度および静粛性から、情報機器(例えばHDD)の磁気ディスク駆動装置、CD・DVD・ブルーレイディスク等の光ディスク駆動装置、若しくはMD・MO等の光磁気ディスク駆動装置等のスピンドルモータ用、レーザビームプリンタ(LBP)のポリゴンスキャナモータ用、プロジェクタのカラーホイールモータ用、又は電気機器の冷却等に使用されるファンモータなどの小型モータ用として使用されている。
例えば特許文献1に示されている流体動圧軸受装置は、軸部材と、内周に軸部材を挿入した軸受スリーブと、内周面に軸受スリーブを固定したコップ状のハウジングとを備え、軸部材にはディスクハブを介してディスクが装着される。軸部材が回転すると、ディスクと空気との摩擦によって静電気が生じるため、この静電気がディスクに帯電することによりディスクの読み取り精度が低下する恐れがある。このため、特許文献1の流体動圧軸受装置では、ハウジングの樹脂材料に炭素繊維等の導電性充填材を配合してハウジングに導電性を付与し、ハウジングを介して放電することにより流体動圧軸受装置に帯電することを防止している。
特開2005−090754号公報
ところで、樹脂の射出成形品の表層にはスキン層と呼ばれる薄肉層が形成されることがある。このスキン層は、キャビティに射出された樹脂材料が金型の平滑な成形面に沿って高速で流れることにより形成され、他の部分よりも導電剤等の充填材の配合割合が低いという特徴を有する。従って、ハウジングの表層に導電性の低いスキン層が形成されると、たとえハウジングの樹脂材料に導電剤を配合しても、スキン層により通電が妨げられ、ディスクを含む回転側の部材に帯電する恐れがある。
本発明の課題は、樹脂で射出成形したハウジングの導電性を確保し、流体動圧軸受装置に帯電することを防止することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、軸部材と、内周に軸部材を配した筒状の側部、及び側部の軸方向一端側を閉塞した底部を有し、少なくとも底部を樹脂で射出成形したハウジングと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に生じる流体膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備えた流体動圧軸受装置において、ハウジングの底部にスキン層除去処理を施したことを特徴とする。
このように、ハウジングにスキン層除去処理を施すことにより、ハウジングのスキン層を除去あるいは低減することができるため、スキン層によるハウジングの導電性低下を防止し、流体動圧軸受装置に静電気が帯電する事態を回避できる。ところで、ハウジングの側部は、外周面にモータブラケットが接着固定されたり、内周面に軸受スリーブが接着固定されることがある。この場合、接着剤によりハウジングとモータブラケットとの間の通電が妨げられる恐れがある。一方、ハウジングの底部は通常他部材が接着固定されることはないので、この底部にスキン層除去処理を施すことにより通電経路を確保することができる。例えば、ハウジングの底部の外端面にスキン層除去処理を施せば、ハウジングの底部を介して確実に外部に放電することができる。
あるいは、ハウジングの底部の外端面に微小凹凸を型成形することにより、前記課題を解決することができる。すなわち、スキン層の形成は、キャビティに射出された樹脂材料が金型の平滑な成形面に沿って高速で流れることに起因するため、金型の成形面に凹凸面を設ければ、この凹凸面に沿った樹脂材料の流れが阻害されて流速が抑えられ、スキン層の形成を抑えることができる。従って、金型の成形面に前記微小凹凸を成形するための凹凸面を設ければ、凹凸面に沿って流れる樹脂材料の流速が低下してスキン層の形成が抑えられ、上記のようにスキン層除去処理を施した場合と同様の効果を得ることができる。
ハウジングの側部を樹脂で射出成形すると、側部の内周面にもスキン層が形成されることがある。このとき、側部の内周面に、軸部材の外周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブを圧入すれば、軸受スリーブの圧入によりハウジングの内周面に形成されたスキン層を押し潰して(あるいは削り取って)除去することができるため、ハウジングの導電性を高めることができる。
また、ハウジングの底部の内端面に微小凹凸を型成形すれば、上述の外端面の微小凹凸と同様に、スキン層の形成を抑えて導電性を確保することができる。また、軸部材の端部にフランジ部を設け、このフランジ部の端面とハウジングの底部の内端面との間にスラスト軸受隙間を形成した場合、ハウジングの底部の内端面に形成した微小凹凸を、スラスト軸受隙間の流体膜に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部として機能させることもできる。
ハウジングの外周面をモータブラケットの内周面に接着固定した場合、接着剤によりハウジングとモータブラケットとの通電が妨げられる。上記のように、ハウジングの底部の外端面の導電性を確保した場合、この外端面とモータブラケットとを跨ぐ領域に導電剤を塗布すれば、ハウジングの外周面とモータブラケットの内周面との導電性に関わらず、導電剤を介してハウジングとモータブラケットとを通電することができる。
以上のように、本発明によれば、樹脂で射出成形したハウジングの導電性を確保し、流体動圧軸受装置に帯電することを防止することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る流体動圧軸受装置1を組込んだ情報機器用スピンドルモータの一構成例を概念的に示している。このスピンドルモータは、HDD等のディスク駆動装置に用いられるもので、軸部材2を回転自在に支持する流体動圧軸受装置1と、軸部材2の上端部に固定されたディスクハブ3と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル4およびロータマグネット5と、モータブラケット6とを備えている。ステータコイル4はモータブラケット6の外周に取付けられ、ロータマグネット5はディスクハブ3の内周に取付けられている。流体動圧軸受装置1は、モータブラケット6の内周に固定される。ディスクハブ3には、情報記録媒体としてのディスクDが1枚又は複数枚(本実施形態では2枚)保持され、図示しないクランプ装置で固定される。ステータコイル4に通電すると、ロータマグネット5が回転し、これに伴って、ディスクハブ3およびディスクハブ3に保持されたディスクDが軸部材2と一体に回転する。
図2に示す流体動圧軸受装置1は、軸部材2と、内周に軸部材2を挿入した軸受スリーブ8と、内周に軸部材2を配し、内周面に軸受スリーブ8を固定した有底筒状のハウジング7と、ハウジング7の開口部に配されたシール部9とを有する。尚、説明の便宜上、軸方向でハウジング7の開口側を上側、ハウジング7の閉塞側を下側と言うものとする。
軸部材2は、略円筒状の軸部2aと、軸部2aの下端に設けられたフランジ部2bとを有する。軸部材2の外周面には、軸受スリーブ8の内周面8aと対向する円筒状外周面2a1と、シール部9の内周面9aと対向し、上方へ向けて漸次縮径したテーパ面2a2とを有する。軸部材2は、SUS等の金属材料で一体に形成される他、軸部2aとフランジ部2bとを別体に形成してもよい。あるいは、軸部材の一部、例えば両端面を樹脂材料で形成してもよい。
軸受スリーブ8は、例えば銅を主成分とする焼結金属の多孔質体で円筒状に形成される。この他、軸受スリーブ8を他の金属や樹脂、あるいはセラミック等で形成することも可能である。軸受スリーブ8の内周面8aには、図3(a)に示すように、ヘリングボーン形状の動圧溝8a1、8a2が、軸方向に離隔した2箇所の領域に形成される。上側の動圧溝8a1は、軸方向非対称形状に形成され、具体的には、図中にクロスハッチングで示す丘部の軸方向略中央部に形成された帯状部分より上側の溝の軸方向寸法X1が、下側の溝の軸方向寸法X2よりも大きくなっている(X1>X2)。下側の動圧溝8a2は軸方向対称形状に形成される。軸受スリーブ8の下側端面8cには、図3(b)に示すように、スパイラル形状の動圧溝8c1が形成される。軸受スリーブ8の外周面8dには、軸方向に延びる溝8d1が軸方向全長に亘って任意の本数形成される。この実施形態では、3本の軸方向溝8d1を円周方向等間隔に形成している。
ハウジング7は、筒状(図示例では略円筒状)をなした側部7aと、側部7aの下端開口部を閉塞する底部7bとを有し、側部7a及び底部7bが樹脂材料で一体に射出成形される。ハウジング7の樹脂材料は特に限定されず、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂、あるいはポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物が使用可能である。この樹脂材料には、目的に応じて各種充填材を適量配合することができ、例えば、ガラス繊維等の繊維状充填材、チタン酸カリウム等のウィスカ状充填材、マイカ等の鱗片状充填材、カーボン繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノマテリアル、各種金属粉等の繊維状または粉末状の導電性充填材などを配合することができる。
ハウジング7の底部7bの内端面7b1には、図4(a)及び(b)に示すように、微小凹凸として例えばスパイラル形状の動圧溝7b11が形成される。この動圧溝7b11は、スパイラル形状の丘部7b12の円周方向間に形成され、軸部材2のフランジ部2bの下側端面2b2とハウジング7の底部7bの内端面7b1との間に生じるスラスト軸受隙間の流体膜に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部として機能する。尚、図4(b)では、理解し易いように、微小凹凸(動圧溝7b11)の高さを誇張して示している。
ハウジング7は、例えば図5に示すような金型を用いて成形される。この金型は、可動型10と固定型20とで構成され、図5ではハウジング7の底部7b周辺(図4(b)参照)を成形する部分を示す。可動型10には、ハウジング7の底部7bの内端面7b1を成形する成形面11が設けられる。この成形面11には、内端面7b1のスパイラル状の動圧溝7b11を成形するための凸部12a、及び丘部7b12を成形するための凹部12bからなる凹凸面12が設けられる。固定型20にはハウジング7の底部7bの外端面7b2を成形する成形面21が設けられ、この成形面21の中央部に点状のゲート22が設けられる。
可動型10と固定型20とで形成されたキャビティ30にゲート22から溶融樹脂が射出されると、樹脂材料は図5の矢印で示すように外径方向に流れていく。このとき、可動型10の成形面11に沿って流れる樹脂材料は、成形面11に形成された凹凸面12によって流れが阻害されるため流速が遅くなる。このため、成形面11で成形されるハウジング7の底部7bの内端面7b1にはスキン層が形成されにくく、内端面7b1における導電性の低下を回避することができる。尚、このように射出された樹脂材料の流れを阻害するには、成形面11に形成される凹凸面12は樹脂の流れ方向(本実施形態では底部7bの半径方向)で凹凸を成す必要がある。一方、動圧溝7b11を動圧発生部として機能させるためには、軸部材2の回転方向(底部7bの円周方向)で凹凸を成す必要がある。図4に示すようなスパイラル形状の動圧溝7b11は、底部7bの半径方向及び円周方向の双方で凹凸を成すため好ましい。
一方、固定型20の成形面21に沿って流れる樹脂材料は、成形面21が中央の凸部21aを除いて平滑であるため流れが阻害されず、成形面11側と比べて流速が早い。このため、成形面21で成形されるハウジング7の底部7bの外端面7b2にはスキン層が形成されやすい。従って、ハウジング7の射出成形後に、底部7bの外端面7b2に形成されたスキン層を除去することにより、外端面7b2における導電性を確保することができる。スキン層除去処理は、例えば粒状メディアを加工面に対して衝突させて加工面の一部を除去することにより行うことができる。本実施形態では、株式会社ヤマシタワークス製の加工装置・YT−300を用いたエアロラップ法によりスキン層除去処理を行う。エアロラップ法とは、適度な弾力を有する弾性メディアを加工面上で滑走させ、メディアと加工面との摩擦力により加工面の一部を僅かに除去しながら磨く加工方法である。
以下に、エアロラップ法によるスキン層除去処理の具体例を示す。メディア10は、例えば♯3000のダイヤモンドパウダーを含む砥粒11と、ゼラチン及び水を含む核体12とで形成される(図6(a)参照)。この核体12によりメディア10に弾力が付与されている。このメディア10を所定方向から外端面7b2に吹き付けると(図6(b)参照)、メディア10が弾性的に変形しながら外端面7b2に衝突した後、外端面7b2上を滑走する(図6(c)参照)。このように適度な弾力を有するメディア10を外端面7b2に衝突させることにより、衝突時の衝撃が緩和され、加工面を繊細に研磨加工することができる。従って、外端面7b2の表面精度を低下させることなく、むしろ高めながら、外端面7b2の表層に形成されたスキン層を除去することが可能となる。このエアロラップ法によるスキン層除去処理を適当な時間(例えば10秒〜60秒程度)行ってハウジング7の底部7bの外端面7b2のスキン層を除去することで、樹脂材料に配合された導電性充填材(例えばカーボン繊維)を外端面7b2へ露出させ、あるいは露出量を増やすことができるため、外端面7b2における導電性を高めることができる。尚、スキン層除去処理は上記のエアロラップ法に限らず、例えばショットブラスト、バレル加工、あるいはタンブラ加工で行うこともできる。また、これらのような機械的方法に限らず、プラズマエッチングやアルカリエッチング等の科学的方法でスキン層を除去してもよい。
以上のように、ハウジング7の底部7bの内端面7b1及び外端面7b2の双方において導電性が確保することにより、軸部材2側で発生した静電気を底部7bを介して放電することが可能となるため、流体動圧軸受装置1に帯電することを防止できる。
ハウジング7の内周面7a1には軸受スリーブ8が圧入固定される。ハウジング7の内周面7a1は凹凸のない平滑な円筒面状に形成されるため、射出成形時にスキン層が形成されやすい。このハウジング7の内周面7a1に軸受スリーブ8を圧入すれば、スキン層を押し潰して(あるいは削り取って)除去することができるため、スキン層で隠れていた導電材と軸受スリーブ8とを接触させて導電性を高めることができる。こうして、ハウジング7の底部7bの内端面7b1だけでなく側部7aの内周面7a1の導電性が高められることで、通電経路の面積が拡大し、流体動圧軸受装置1に帯電することをより確実に防止できる。
ハウジング7の外周面7a2は、モータブラケット6の内周面6aに例えば接着により固定される。接着剤は一般に通電を阻害するため、ハウジング7の外周面7a2とモータブラケット6の内周面6aとの間に接着剤が介在することで、これらの面の間の通電が阻害される。そこで、図2に示すように、ハウジング7の底部7bの外端面7b2とモータブラケット6の下側端面6bとを跨ぐ領域に導電剤として導電ペーストGを塗布すれば、ディスクDに帯電した静電気を、ディスクハブ3→軸部材2→ハウジング7の底部7b→導電ペーストGという経路を介してモータブラケット6へ逃がすことができる。これにより、ハウジング7とモータブラケット6との固定方法に関わらず、軸部材2側で発生した静電気を放電することができる。尚、図2では導電ペーストGをハウジング7の底部7bの外端面7b2の一部領域に塗布しているが、これに限らず、外端面7b2の前面に塗布してもよい。
シール部9は、例えば樹脂材料で環状に形成され、ハウジング7の内周面7a1に圧入や接着等の適宜の手段で固定される。シール部9の内周面9aは略円筒面状に形成され、軸部材2のテーパ面2a2との間に下方へ向けて径方向寸法を漸次縮小した楔状のシール空間Sが形成される。シール部9で密封されたハウジング7の内部空間には、潤滑油が注油され、ハウジング7内が潤滑油で満たされる(図2中の散点領域)。シール空間Sには、軸受内部に満たされた潤滑油の油面(気液界面)が形成され、楔状のシール空間Sの毛細管力の引き込み作用により、油面は常にシール空間Sに保持される。シール空間Sの容積は、温度変化に伴って軸受内部に充満した潤滑油が膨張、収縮した場合でも、潤滑油の油面が常にシール空間Sの範囲内に保持できるように設定される。
流体動圧軸受装置1の内部に充満される潤滑流体には、導電性を有するものを用いることが好ましい。すなわち、軸部材2の回転時には、軸部材2とハウジング7及び軸受スリーブ8とが非接触となっているため、これらの間で通電することが困難となる。従って、ラジアル軸受隙間及びスラスト軸受隙間を含む、軸部材2とハウジング7及び軸受スリーブ8との間の空間を導電性潤滑流体で満たすことにより、軸部材2の回転時であってもこれらの間で通電することが可能となる。
上記構成の流体動圧軸受装置1において、軸部材2が回転すると、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間にラジアル軸受隙間が形成される。このラジアル軸受隙間の油膜の圧力が動圧溝8a1、8a2により高められ、これにより軸部材2をラジアル方向に非接触支持する第1ラジアル軸受部R1及び第2ラジアル軸受部R2が構成される。これと同時に、軸部材2のフランジ部2bの上側端面2b1と軸受スリーブ8の下側端面8cとの間、及び、軸部材2のフランジ部2bの下側端面2b2とハウジング7の底部7bの内端面7b1との間に、それぞれスラスト軸受隙間が形成される。各スラスト軸受隙間の油膜の圧力が動圧溝8c1、7b11により高められ、これにより軸部材2をスラスト方向に非接触支持する第1スラスト軸受部T1及び第2スラスト軸受部T2が構成される。
また、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間の外径端と、ハウジング7の開口部に設けられたシール空間Sとが、軸受スリーブ8の軸方向溝8d1と、軸受スリーブ8の上側端面8bとシール部9の下側端面9bとの間の隙間とを介して連通状態となる。これにより、何らかの理由で第1スラスト軸受部T1の油膜の圧力が過度に高まり、あるいは低下するといった事態を回避することができるため、軸部材2をスラスト方向に安定して支持することが可能となる。
また、この実施形態では、第1ラジアル軸受部R1の動圧溝8a1が軸方向非対称(X1>X2)に形成されているため(図3参照)、軸部材2の回転時、動圧溝8a1の上側の溝による潤滑油の引き込み力(ポンピング力)は、下側の溝の引き込み力に比べて相対的に大きくなる。そして、この引き込み力の差圧によって、軸受スリーブ8の内周面8aと軸部2aの外周面2a1との間の隙間に満たされた潤滑油が下方に流動し、第1スラスト軸受部T1のスラスト軸受隙間→軸方向溝8d1→軸受スリーブ8の上側端面8bとシール部9の下側端面9bとの間の隙間という経路を循環して、再びラジアル軸受隙間に引き込まれる。このように、潤滑油をハウジング7の内部空間を強制的に流動循環させることで、軸受内部の圧力バランスを適正に保つことができる。これにより、潤滑油の負圧発生に伴う気泡の生成を確実に防止し、これに伴う潤滑油の漏れや振動の発生等の問題を解消することができる。
本発明は、上記の実施形態に限られない。以下、本発明の他の実施形態を説明する。尚、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成、機能を有する部位には同一の符号を付して、説明を省略する。
上記の実施形態では、ハウジング7の底部7bの外端面7b2にスキン層除去処理を施すことにより外端面7b2の導電性を確保しているが、これに限らず、例えば、外端面7b2に微小凹凸を型成形することにより導電性を確保することもできる。すなわち、ハウジング7の成形金型のうち、底部7bの外端面7b2を成形する面に微小凹凸を成形するための凹凸面を設けることにより、射出される樹脂材料の流速を低下させ、外端面7b2におけるスキン層の形成を抑えることができる。このように、予め金型に凹凸面を設ければ、成形後に別途工程を要することなくハウジング7に導電性を付与することができる。
外端面7b2に形成される微小凹凸の形状は、射出される樹脂の流れ方向で凹凸を成す限り特に限定されず、例えばディンプル条、同心円環状(半径の異なる複数の円環状丘部(溝部)を同心配置したもの)、あるいはスパイラル状に形成される。微小凹凸の形成領域は特に限定されず、例えば外端面7b2のうち、中央の凹部7b20を除く平坦面の全面に形成される。尚、ハウジング7の底部7bの外端面7b2に微小凹凸を設けると共にスキン層除去処理を施せば、この面の導電性をより確実に確保することができる。
また、以上の実施形態では、ハウジング7の底部7bの内端面7b1に微小凹凸(動圧溝7b11)を形成することによりこの面の導電性を確保しているが、これに限らず、例えば内端面7b1にスキン層除去処理を施してもよい。あるいは、内端面7b1に微小凹凸を形成する共にスキン層除去処理を施せば、この面の導電性をより確実に確保することができる。
また、以上の実施形態では、ハウジング7の側部7a及び底部7bが樹脂材料で一体に射出成形されているが、これらを別体に形成してもよい。本発明に係る上記の流体軸受装置では主にハウジング7の底部7bで導電性を確保しているため、側部7aと底部7bとを別体に形成することで、例えば側部7aを導電材を含まない樹脂材料で形成することができ、これにより材料コストの低減を図ることができる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1・R2及びスラスト軸受部T1・T2の動圧発生部がそれぞれ軸受スリーブ8の内周面8a、下側端面8c、及びハウジング7の底部7bの内端面7b1に形成されているが、これらの面と軸受隙間を介して対向する面、すなわち軸部2aの外周面2a1、フランジ部2bの上側端面2b1及び下側端面2b2に形成してもよい。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1・R2のラジアル動圧発生部として、ヘリングボーン形状の動圧溝が例示されているが、これに限らず、例えば、いわゆるステップ軸受や波型軸受、あるいは多円弧軸受を採用することもできる。また、軸受スリーブ8の内周面8a及び軸部材2の外周面2a1の双方を円筒面とした、いわゆる真円軸受を、ラジアル軸受部R1・R2として採用することもできる。この場合、ラジアル軸受隙間の流体膜に積極的に動圧作用を発生させる動圧発生部は有さないが、軸部材の回転時には、潤滑流体と軸部材及び軸受スリーブとの粘着性や潤滑流体の粘性により流体膜に動圧作用が発生し、ラジアル軸受部R1・R2が構成される。
また、以上の実施形態では、スラスト軸受部T1・T2のスラスト動圧発生部として、スパイラル形状の動圧溝が例示されているが、これに限らず、例えばステップ軸受や波型軸受を採用することもできる。あるいは、スラスト軸受部T1・T2として、軸部材の端部を接触支持するピボット軸受を採用することもできる。
また、以上の実施形態では、ラジアル軸受部R1・R2が軸方向に離隔して設けられているが、これらを軸方向で連続的に設けても良い。あるいは、これらの何れか一方のみを設けてもよい。
また、以上の実施形態では、流体軸受装置の内部空間に充満される潤滑剤として潤滑油が使用されているが、これに限らず、例えば潤滑グリース、磁性流体等を使用することもできる。尚、潤滑流体は導電性を有することが好ましいため空気等の気体は使用しにくいが、スラスト方向の支持をピボット軸受等の接触支持で行う場合は空気等の気体を使用することもできる。
また、本発明の流体動圧軸受装置は、上記のようにHDD等のディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータに限らず、光ディスクの光磁気ディスク駆動用のスピンドルモータ等、高速回転下で使用される情報機器用の小型モータ、レーザビームプリンタのポリゴンスキャナモータ等における回転軸支持用、あるいは電気機器の冷却用のファンモータとしても好適に使用することができる。
初期抵抗値の異なる3種類のハウジングを用意し、それぞれについてスキン層除去処理を施す前後における抵抗値を測定した。初期抵抗値は、ハウジング成形時の溶融材料の射出速度を調整することで異ならせた。抵抗値は、ハウジングの底部の内端面及び外端面を測定点とした。スキン層除去処理として、各ハウジングにショットブラスト(実施例1〜3),又はアルカリエッチング(実施例4〜6),あるいはプラズマエッチング(実施例7〜9)を施した。表1に示す結果の通り、全てのハウジングにおいて抵抗値が低減しており、スキン層除去による導電性の向上効果を確認することができた。
Figure 2010060034
スピンドルモータの断面図である。 流体動圧軸受装置の断面図である。 (a)は軸受スリーブの断面図であり、(b)は同下面図である。 (a)はハウジングの上面図であり、(b)は(a)図のB−B断面図である。 ハウジングの射出成形金型を示す断面図である。 (a)はエアロラップ法に用いるメディアの正面図であり、(b)及び(c)はエアロラップ法を説明する概略図である。
符号の説明
1 流体動圧軸受装置
2 軸部材
3 ディスクハブ
4 ステータコイル
5 ロータマグネット
6 モータブラケット
7 ハウジング
7a 側部
7b 底部
7b1 内端面
7b2 外端面
8 軸受スリーブ
9 シール部
10 弾性メディア
11 砥粒
R1・R2 ラジアル軸受部
T1・T2 スラスト軸受部
S シール空間
D ディスク
G 導電ペースト

Claims (7)

  1. 軸部材と、内周に軸部材を配した筒状の側部、及び側部の軸方向一端側を閉塞した底部を有し、少なくとも底部を樹脂で射出成形したハウジングと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に生じる流体膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備えた流体動圧軸受装置において、
    ハウジングの底部にスキン層除去処理を施したことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  2. ハウジングの底部の外端面にスキン層除去処理を施した請求項1記載の流体動圧軸受装置。
  3. 軸部材と、内周に軸部材を配した筒状の側部、及び側部の軸方向一端側を閉塞した底部を有し、少なくとも底部を樹脂で射出成形したハウジングと、軸部材の外周面が面するラジアル軸受隙間に生じる流体膜で軸部材をラジアル方向に支持するラジアル軸受部とを備えた流体動圧軸受装置において、
    ハウジングの底部の外端面に微小凹凸を型成形したことを特徴とする流体動圧軸受装置。
  4. ハウジングの側部を樹脂で射出成形し、この側部の内周面に、軸部材の外周面との間にラジアル軸受隙間を形成する軸受スリーブを圧入した請求項1又は3記載の流体動圧軸受装置。
  5. ハウジングの底部の内端面に微小凹凸を型成形した請求項2又は3記載の流体動圧軸受装置。
  6. 軸部材の端部にフランジ部を設け、このフランジ部の端面とハウジングの底部の内端面との間にスラスト軸受隙間を形成し、ハウジングの底部の内端面に形成した微小凹凸をスラスト軸受隙間の流体膜に動圧作用を発生させるスラスト動圧発生部として機能させた請求項5記載の流体動圧軸受装置。
  7. 内周面にハウジングの外周面を接着固定したモータブラケットを設け、ハウジングの底部の外端面とモータブラケットとを跨ぐ領域に導電剤を塗布した請求項2又は3記載の流体動圧軸受装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012101386A (ja) * 2010-11-08 2012-05-31 Ntn Corp 流体動圧軸受装置用ハウジング及びその製造方法、並びにこれを備えた流体動圧軸受装置
JP2015233382A (ja) * 2014-06-10 2015-12-24 Ntn株式会社 流体動圧軸受装置及びこれを備えたモータ、並びに流体動圧軸受装置の樹脂部品の製造方法

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