JP2001044457A - 光電変換素子および太陽電池 - Google Patents

光電変換素子および太陽電池

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JP2001044457A
JP2001044457A JP11215908A JP21590899A JP2001044457A JP 2001044457 A JP2001044457 A JP 2001044457A JP 11215908 A JP11215908 A JP 11215908A JP 21590899 A JP21590899 A JP 21590899A JP 2001044457 A JP2001044457 A JP 2001044457A
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solar cell
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Shigeo Kondo
繁雄 近藤
Junji Nakajima
潤二 中島
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Matsushita Battery Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重金属元素を含有する光電変換素子が、火災
などで高温に曝された場合に、重金属成分が大気中へ逸
散するのを阻止する。 【解決手段】 重金属成分を含有する光電変換素子内
に、溶融ないしは気化された前記重金属成分中の重金属
元素を捕捉する材料、好ましくはシェブレル相化合物、
を配設する。また、この光電変換素子を用いて太陽電池
を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重金属あるいは重
金属化合物(以下、「重金属あるいは重金属化合物」を
「重金属成分」という)を使用してなる光電変換素子、
およびこれを用いて構成された太陽電池に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子、エレクトロニクス機
器が大量に生産、消費されるにともない、これらに含ま
れる重金属成分による環境汚染が懸念される時代になり
つつある。こうした半導体には種々のものがあり、S
i、Ge、Se、あるいはSiGe、GaP、GaA
s、InP、InSb、CdAs、SiN、Ta23
ZrO3等の二元系半導体、さらにはCdGeAs2、S
iGeB等の三元系半導体など様々な金属および金属化
合物が用いられている。また、これら半導体を利用した
素子としてはトランジスターやLSI、超LSIのよう
な集積半導体、光電変換素子、液晶などがある。これら
のうち、光電変換素子の用途としては光変調素子、光セ
ンサー、光導波路、発光素子あるいは太陽電池素子な
ど、数多くのものがある。
【0003】更に詳しく光電変換素子についてみると、
例えば光変調素子にはLiNbO3、KTa0.65Nb
0.353など、集電センサーにはLiTaO3などの材料
が使用されている。また、太陽電池素子としては、シリ
コン太陽電池素子、化合物半導体太陽電池素子が実用化
されている。シリコン太陽電池素子の場合には、主材料
として用いるSiそのものは環境汚染の心配はないが、
素子内の導電材料として、環境汚染対策が必要と考えら
れる鉛半田が多量に使用される場合がある。一方、II−
VI族あるいはIII−V族の化合物半導体太陽電池素子に
は、In2 3、SnO2、Sb23などが透明導電膜
に、n型半導体としてCdS、ZnS、GaAsなど
が、P型半導体としてCdTe、CuInSe、CuI
nS、GaAsなどが用いられている。
【0004】このように、光電変換素子にはIn、G
a、As、Pb、Cd、Te、Ta、SeあるいはGe
など、環境汚染対策が必要と考えられる多種類の重金属
成分が用いられている。これらの内、代表的な太陽電池
素子にはCd、Te、Ga、As、Pb、Inなどの重
金属成分が多く含まれている。これら重金属成分を用い
た光電変換素子、あるいはこれらの素子を用いた機器が
一ヶ所に集中して使用され、火災などの不慮の事故など
により異常な高熱に曝された場合、前記光電変換素子が
加熱され、あるいは燃焼することにより、無視できない
量の重金属成分が素子内から大気中に飛散する可能性が
ある。これらの重金属成分が大気を汚染し、あるいは地
上に落ちて土壌に染み込み、土壌汚染を引き起こすこと
が懸念される。
【0005】現在、太陽電池素子に代表される光電変換
素子は、各種の光センサーとして、さらに、時計、電
卓、道路標識用などの比較的小型の電源として、電子デ
バイス商品に広く利用されている。これらの場合には、
光電変換素子あるいはこれを用いた機器が一カ所に集中
して使用される場合が少なく、また、光電変換素子に使
用されている重金属成分の量は、上記機器の全体量から
見ると極めて少ない。そのため、上記の場合には、現在
のところ格別な環境汚染対策はとられていない。一方、
太陽電池は、化石燃料による発電と異なり、燃料の枯渇
や燃焼時の有害ガス発生がなく、無尽蔵な太陽光エネル
ギーを利用するクリーンな電力源として注目されてい
る。従って、太陽電池は、住宅用や電力用などの比較的
大型の屋外用電源として、今後一層広く使用され、さら
に大型化するものと考えられる。これらの屋外電力用の
大型太陽電池には、多数の太陽電池素子が集中して使用
されるので、これらに使用される重金属成分による環境
汚染問題への対応が今後、特に必要と考えられる。
【0006】上記の大型太陽電池の場合でも、耐用年数
を経過したり、不要となった太陽電池は、回収して無害
化処理することによって、通常は環境汚染を防ぐことが
できる。しかし、不慮の事故や火災に遭遇した場合は、
これらの屋外用太陽電池は1000℃近くの高温まで異
常加熱される可能性がある。この場合には、太陽電池素
子に含まれる多量の重金属成分が気化して大気中に逸散
することにより、周辺地域の大気や土壌に重金属汚染を
与えることが懸念される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、重金属成分
を含む光電変換素子、あるいはこれら素子が使用されて
いる太陽電池などの装置や機器が、火災などの不慮の事
故によって加熱され、あるいは燃焼した場合に、前記光
電変換素子中に含まれる重金属成分が気化して大気中に
逸散することを阻止し、これにより環境汚染を防止する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の光電変換素子
は、重金属あるいは重金属化合物を含有する光電変換素
子であって、溶融ないしは気化した前記重金属あるいは
前記重金属化合物中の重金属元素を捕捉する材料を具備
したことを特徴とするものである。さらに、前記重金属
を捕捉する材料は、組成式MzMo68-yで表されるシ
ェブレル相化合物(ただし、XはS、SeおよびTeか
らなる群より選択された少なくとも一種のカルコゲン元
素、zは0≦z<4、yはカルコゲン元素の欠損量)で
あり、かつMが、CuおよびAgからなる群より選択さ
れた少なくとも一種の元素を主体とする元素、あるいは
Mが、Cd、Sb、TeおよびInからなる群より選択
された少なくとも一種の元素を主体とする元素であるこ
とが好ましい。
【0009】これにより、光電変換素子が異常加熱され
た場合に、光電変換素子中の重金属成分が気化して大気
中に逸散する現象を効果的に抑制することができ、火災
などの不慮の災害に曝された場合の環境汚染を軽減する
ことができる。また、本発明の太陽電池は、上記の本発
明により得られた光電変換素子を用いて構成したもので
ある。これにより、太陽電池、特に大型電力用太陽電池
が上記のように異常加熱され、あるいは燃焼した場合の
環境汚染問題対策の一環として有効な手段が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明における重金属元素を捕捉
する材料は、光電変換素子が使用される通常の温度では
重金属成分に対して化学的に反応せず、かつ、加熱され
て溶融ないしは気化した前記重金属成分もしくは前記重
金属成分中の重金属イオンを捕捉して内部に取り込むこ
とができる性質を備えた材料をいう。これらの材料の代
表的なものとして各種のシェブレル相化合物を用いるこ
とができ、それ以外に、例えば低融点ガラスフリットな
どを用いることもできる。
【0011】また、本発明では、重金属元素は比重4以
上の金属の元素を総称し、これらの何れの重金属元素を
対象にした場合にも本発明の効果が期待される。それら
の内、光電変換素子による前記環境汚染の可能性が懸念
される重金属元素として、周期律表でIB〜IVA属に属
する重金属元素、例えば、Ga、Ge、As、Se、A
g、Cd、In、Sb、Te、Tl、Pbなどが挙げら
れる。さらに、上記の重金属元素の内、大型電源用の光
電変換素子中に含まれ、あるいは今後含まれる可能性が
大きく、これらによる環境汚染対策を特に検討すべきと
考えられる重金属元素として、Cd、Te、Ag、I
n、As、Pbなどが挙げらる。本発明は、これらの重
金属元素を含む光電変換素子、特に大型電源用太陽電池
素子に適用することが重要、かつ効果的である。
【0012】シェブレル相化合物はMo68のクラスタ
ーが三次元格子を形成し、このクラスター間のイオンサ
イトをCu、Agなどのカチオンが占めた構造となって
おり、カチオンはこのMo68より形成される三次元網
目状構造の間を拡散することができる。また、シェブレ
ル相化合物は電子伝導性も大きく、その結果、電子−イ
オン混合導電体として作用する金属化合物であることも
知られている。シェブレル相化合物は、例えば次のよう
にして重金属成分を捕捉する。Pb、Cdなどの重金属
は、シェブレル相化合物層と接合させ、加熱すると、重
金属が溶融、気化し、前記重金属もしくは重金属イオン
がシェブレル相化合物内に拡散して捕捉される。また、
例えば、CdS、CdTeなどの重金属化合物は、シェ
ブレル相化合物層と接合させ、加熱すると、重金属化合
物または重金属化合物から分離した重金属が溶融、気化
し、前記重金属化合物、前記重金属もしくは重金属イオ
ンがシェブレル相化合物内に拡散して捕捉される。
【0013】一般に、シェブレル相化合物は前記のよう
に、組成式MzMo68-yで表されるが、使用するシェ
ブレル相化合物としては、特に、カチオンの拡散性に優
れたものが好ましい。シェブレル相化合物中での拡散が
特に速いカチオンは形式電荷が+1価のカチオンなの
で、M元素は、+1価のカチオンとなり得るCuおよび
Agからなる群より選択された少なくとも一種類の元素
を主体とすることが特に好ましい。
【0014】さらに、上記のシェブレル相化合物の作用
として、CdTe系太陽電池におけるCdTe層をp型
化する作用がある。例えば、CdTe層をp型にするた
めに、不純物として銅をCdTe層に拡散させる一つの
方法として、CdTe層に銅シェブレル相化合物を接合
させ、熱処理することにより、シェブレル相化合物中の
CuをCdTe層に拡散させることができる。この場
合、シェブレル相化合物のM元素の含有量zが0に近い
ほど、その仕事関数がCdTeの仕事関数5.07eV
に近くなり、前記CdTe層をp型にするために必要な
ドーパントとしてのCuの量は数ppm〜数10ppm
という極めて少量で良い。その結果、仕事関数が5eV
前後の低抵抗の半導体層となり、CdTe層との接合が
極めて良好な状態となる。
【0015】この様に、CdTe層へのM元素のドープ
量は、極く少量で十分であることから、+1価のカチオ
ンとなり得ない元素をM元素として用いた場合でも、高
温でドーパントを拡散させることにより同様の効果を引
き起こすことができる。このようなM元素としては、C
d、Sb、TeおよびInよりなる群より選択された少
なくとも一種の元素を主体とするものを好ましく用いる
ことができる。以上のように、M元素がCu、Agの場
合とCd、Sb、TeおよびInの場合とで、類似の作
用効果が得られるが、前者の場合には、より迅速に重金
属元素を捕捉し易い性質を備えている。また、M元素の
ドーパント効果は、Cu>Ag>Cd、Sb、Te、I
nの順であり、CdTe膜を低抵抗化するためには、M
元素をCuとするのが最も効果的である。
【0016】以上のことから、シェブレル相化合物とし
ては、MzMo68-y(XはS、Se、Teより選ばれ
る1種類以上のカルコゲン元素、zは0≦z<4、yは
カルコゲン元素の欠損量)で表され、かつMが、Ag、
Cuからなる群より選択された少なくとも一種類の元素
を主体とするものを用いることが最も好ましい。また、
上記に次いで、MzMo68-yで表され、かつMが、C
d、Sb、TeおよびInからなる群より選択された少
なくとも一種類の元素を主体とするシェブレル相化合物
を用いることが好ましい。さらに、他に用い得る重金属
捕捉材として低融点ガラスフリットがあり、一般的に5
00℃以下の融点を備えたものが好ましい。これを用い
ることにより、光電変換素子が異常加熱された際、光電
変換素子中の溶融した重金属成分を、溶融したガラス内
に取り込むことができ、外部に重金属成分が逸散するこ
とを防止できる。
【0017】上記の本発明は、前記のような光センサ
ー、光変調素子、発光素子あるいは太陽電池素子など、
重金属成分を含む何れの光電変換素子にも適用すること
ができる。さらに、本発明の太陽電池は、上記本発明に
よる光電変換素子を用いて構成されたものであり、前記
のシリコン太陽電池や各種の化合物半導体太陽電池、有
機半導体太陽電池など重金属成分を含む何れの太陽電池
にも適用できる。これらの中でも、特にCdS/CdT
e系、CdS/CuInSe系、GaAs系など、重金
属成分を多く含有する太陽電池に適用した場合に効果的
である。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0019】《実施例1》シェブレル相化合物としてC
0.1Mo68で表される銅シェブレル相化合物を用
い、光電変換素子としてCdS/CdTe太陽電池素子
を作製した例について図1により説明する。まず、酸化
錫からなる透明電極2(伝導率;約10Ω/cm2、光
透過率;98%)を形成した透明ガラス基板1(75×
75mm、厚さ1.2mmのホウ珪酸ガラス板)上に、
厚さ800オングストロームのCdS層3をジエチルジ
チオカルバミン酸カドミウム錯体を350℃の温度で1
分間加熱分解することにより形成した。次いで、近接昇
華法にてCdS層3上に厚さ3μmのCdTe層4を形
成した。次いで、平均粒径10μmのCu0.1Mo68
の粉末85wt%と平均粒径15μmのガラス粉末(融
点450℃)15wt%からなる固形分と、ジエチレン
グリコールモノブチルエーテルとを3:1の重量比で混
合し、ペーストにしたものをCdTe層4上に塗布し、
150℃で乾燥して、厚さ5μmのシェブレル相化合物
層5を形成した。このシェブレル相化合物層5上に導電
性カーボンペーストを塗布した後、150℃で加熱硬化
させ、集電体としてのカーボン電極6を形成した。さら
に、カーボン電極6の表面とCdS層3の露出部とに銀
ペーストを塗布、乾燥して、リード電極としての+側銀
電極7と−側銀電極8を各々形成して、太陽電池素子を
作製した。
【0020】《実施例2》シェブレル相化合物層5の形
成方法として、実施例1の塗布、乾燥法に代えて、スパ
ッタ蒸着法により厚さ100オングストロームのシェブ
レル相化合物層5を形成した以外は、実施例1と同様に
して太陽電池素子を作製した。
【0021】《実施例3》実施例1で用いた銅シェブレ
ル相化合物に代えて、Ag0.05Mo68で表される銀シ
ェブレル相化合物に対して、ドーパント材として35p
pmの銅粉末を加えたものを用いた以外は、実施例1と
同様の方法で太陽電池素子を構成した。
【0022】《実施例4》実施例1で用いた銅シェブレ
ル相化合物に代えて、Cd0.1Mo68で表されるカド
ミウムシェブレル相化合物に対して、ドーパント材とし
て35ppmの銅粉末を加えたものを用いた以外は、実
施例1と同様の方法で太陽電池素子を構成した。
【0023】《実施例5》実施例1で用いた銅シェブレ
ル相化合物に代えて、In0.1Mo68で表されるイン
ジウムシェブレル相化合物に対して、ドーパント材とし
て35ppmの銅粉末を加えたものを用いた以外は、実
施例1と同様の方法で太陽電池素子を構成した。
【0024】《実施例6》実施例1で用いた銅シェブレ
ル相化合物に代えて、Te0.1Mo68で表されるテル
ルシェブレル相化合物に対して、ドーパント材として3
5ppmの銅粉末を加えたものを用いた以外は、実施例
1と同様の方法で太陽電池素子を構成した。
【0025】《実施例7》実施例1で用いた銅シェブレ
ル相化合物に代えて、Sb0.1Mo68で表されるアン
チモンシェブレル相化合物に対して、ドーパント材とし
て35ppmの銅粉末を加えたものを用いた以外は、実
施例1と同様の方法で太陽電池素子を構成した。
【0026】《実施例8》銅シェブレル相化合物とし
て、Cu0.1Mo6Se8で表されるシェブレル相化合物
を用いた以外は、実施例1と同様の方法で太陽電池素子
を構成した。
【0027】《実施例9》銅シェブレル相化合物とし
て、Cu0.1Mo6Te8で表されるシェブレル相化合物
を用いた以外は、実施例1と同様の方法で太陽電池素子
を構成した。
【0028】《比較例1》シェブレル相化合物層5を設
置せず、CdTe層4の上に、ドーパント材としての酸
化銅粒子を20ppm含むカーボンペーストを塗布し、
400℃で加熱硬化させてカーボン電極6を形成し、次
いで+側銀電極7と−側銀電極8を各々形成した以外
は、実施例1と同様にして太陽電池素子を作製した。
【0029】上記の実施例1〜9および比較例1の太陽
電池素子を、図2に示した太陽電池加熱装置を用いて加
熱試験に供した。図中、10は直径10cm、長さ10
0cmの石英ガラスよりなる炉心管、11は管状電気
炉、12は窒素ガス導入口13を備えたステンレス鋼製
の導入側フランジ、14は窒素ガス排出口15を備えた
ステンレス鋼製の排出側フランジであり、16は排出ガ
ス中に含まれる重金属成分を捕集するための重金属捕集
装置、17は気体排出口である。太陽電池の加熱試験に
際しては、炉心管10内に太陽電池素子18を設置した
後、導入側フランジ12を開け、1000℃で2時間加
熱した。この際、導入側フランジ12の側から導入され
た窒素ガスは、排出側フランジ14から排出されながら
排出経路で自然冷却され、微粒子状に固体化された排気
ガス中の重金属成分が、重金属捕集装置16中に備えら
れたフィルターで捕集される。尚、上記の加熱試験は、
火災時の最高温度と酸欠状態を想定し、1000℃の窒
素ガス雰囲気中で行った。
【0030】この実験に当たっては、実施例1〜9およ
び比較例1の各太陽電池素子を各10個作製した。その
内、各5個の素子について、それぞれに含まれるCd全
量を化学分析により定量した。残りの各5個の太陽電池
素子を個々に上記の加熱装置を用いた加熱試験に供し、
その際に排出ガス中から捕集した重金属成分中に含まれ
るCd量、加熱試験後の太陽電池素子の溶融ガラス中に
含まれるCd量、およびシェブレル相化合物を含む残査
中に含まれるCd量とを化学分析により定量した。これ
らの測定結果から、加熱試験前の太陽電池素子に含まれ
るCd重量の平均値を100%とし、(A)加熱試験後
の太陽電池素子の溶融ガラス中に含まれるCd重量百分
率、(B)シェブレル相化合物を含む残査中に含まれる
Cd重量百分率、および(C)排出ガス中の固体微粒子
中に含まれるCd重量百分率、を各々の場合について求
めた。その結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から、シェブレル相化合物層を設けた
実施例1〜9と、シェブレル相化合物層を設けていない
比較例1の太陽電池素子の場合とを比較してわかるよう
に、本発明による何れの太陽電池素子においても、10
00℃の高温に加熱した場合にCd成分が気化して外部
へ逸散する現象を効果的に抑制されていることがわかっ
た。
【0033】次に、実施例1および比較例1の太陽電池
素子について、上記の加熱試験で測定したCd以外の重
金属成分として、TeおよびAgの含有量を測定した。
その結果、加熱試験前の太陽電池素子中のTe重量を1
00wt%とした場合、実施例1では、加熱試験後の溶
融したガラス基板内には15.8wt%、シェブレル相
化合物を含む残査中には83.6wt%、排出ガス中の
固体微粒子中には0.6wt%のTe量が検出された。
一方、比較例1の太陽電池素子では、燃焼後の溶融した
ガラス基板内には17.2wt%、ガラス基板上に残っ
ている残査には12.4wt%、排ガス中の固体微粒子
中には70.4wt%のTeが検出された。
【0034】また、試験前の太陽電池素子中のAg重量
を100wt%とした場合、実施例1では、燃焼後の溶
融したガラス基板内には6.8wt%、ガラス基板上に
残っているシェブレル相化合物を含む残査には82.7
wt%、排出ガス中の固体微粒子中には0.5wt%の
Ag量が検出された。一方、比較例1の太陽電池素子で
は、燃焼後の溶融したガラス基板内には7.2wt%、
ガラス基板上に残っている残査には61.4wt%、排
ガス中の固体微粒子中には31.4wt%のAg量が検
出された。以上の結果、本発明による太陽電池素子では
1000℃の高温に加熱した場合に、Cd成分以外に
も、Te成分およびAg成分が外部へ逸散する現象が効
果的に抑制されていることが分かった。
【0035】《実施例10》本実施例では、リード電極
として鉛半田を用いたシリコン単結晶太陽電池素子を作
製した。図3に作製したシリコン太陽電池素子の概略断
図面を示す。図中、20はp型Si層、21はn型Si
層、22は鉛半田からなる−側リード電極、30は鉛半
田からなる+側リード電極、23はシェブレル相化合物
層であり、実施例1と同様にして、銅シェブレル相化合
物(Cu0.1Mo68)を含むペーストを塗布、乾燥し
て、−側リード電極22上および+側リード電極30上
に形成した。24はホウ珪酸ガラス製の表面ガラス基
板、25はホウ珪酸ガラス製の裏面ガラス板であり、ガ
ラススペーサ26を介在させ、その内部には透光性のE
VA樹脂27を充填した。28は+側電極端子、29は
−側電極端子であり、各々+側リード電極30、−側リ
ード電極22に接続されている。
【0036】《比較例2》シェブレル相化合物層23を
形成していない以外は、実施例10と同様にして太陽電
池素子を作製した。
【0037】実施例10および比較例2のシリコン単結
晶太陽電池素子について、実施例1と同様の加熱試験を
行い、排出ガスへの鉛の逸散状況を調べた。その結果、
試験前の太陽電池素子中のPb重量を100wt%とし
た場合、実施例10の場合には、加熱試験後の溶融した
ガラス基板内には14.6wt%、ガラス以外の残査部
位には85wt%、排出ガス中には0.4wt%の鉛が
それぞれ検出された。一方、比較例2の場合には、燃焼
後の溶融したガラス基板内には16.2wt%、ガラス
基板以外の残査部位に47.6wt%、排出ガス中の固
体微粒子中には36.2wt%の鉛がそれぞれ検出され
た。以上の結果、本発明による太陽電池素子では100
0℃の高温に加熱した場合にPb成分が気化して外部へ
逸散する現象が効果的に抑制されていることが分かっ
た。
【0038】尚、以上の各実施例においては、シェブレ
ル相化合物として銅シェブレル相化合物をはじめ、代表
的なものについて検討した結果を示した。本発明におい
ては、これらに拘ることなく、例えば、Mカチオンの組
成比の異なったもの、カルコゲン元素の不定比の異なっ
たものをはじめ、リチウムシェブレル相化合物など他の
シェブレル相化合物を用いてもほぼ同様の効果が得られ
る。また、本発明の実施例においては、n型半導体とし
てCdS、p型半導体としてCdTeを用いた太陽電
池、シリコン単結晶太陽電池についてのみ説明した。本
発明は、これらの太陽電池に拘ることなく、例えば、n
型半導体としてn型CdTe、GaAsを用いた太陽電
池、p型半導体としてZnTe、GaAsなどを用いた
太陽電池、あるいはCIS型太陽電池など、他の太陽電
池についても同様に適用することができる。
【0039】
【発明の効果】重金属元素を含有する光電変換素子にお
いて、その内部に、溶融ないしは気化した重金属成分中
の重金属元素を捕捉する材料、好ましくはシェブレル相
化合物、を配設することにより、これら素子が1000
℃のような高温に曝されても、素子内部に含まれる重金
属成分が気化して大気中に逸散することを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のCdS/CdTe太陽電池素
子の概略断面図である。
【図2】太陽電池の加熱試験用装置の模式構成図であ
る。
【図3】本発明の実施例のシリコン単結晶太陽電池素子
の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 透明電極 3 CdS層 4 CdTe層 5 シェブレル相化合物層 6 カーボン電極 7 +側銀電極 8 −側銀電極 10 炉心管 11 管状電気炉 12 導入側フランジ 13 窒素ガス導入口 14 排出側フランジ 15 窒素ガス排出口 16 重金属捕集装置 17 気体排出口 18 太陽電池素子 20 p型Si 21 n型Si 22 −側リード電極 23 シェブレル相化合物層 24 表面ガラス基板 25 裏面ガラス板 26 ガラススペーサ 27 EVA樹脂 28 +側端子 29 −側端子 30 +側リード電極

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重金属あるいは重金属化合物を含有する
    光電変換素子であって、溶融ないしは気化した前記重金
    属あるいは前記重金属化合物中の重金属元素を捕捉する
    材料を具備したことを特徴とする光電変換素子。
  2. 【請求項2】 重金属元素が、砒素、銀、カドミウム、
    インジウム、テルルおよび鉛からなる群より選択された
    少なくとも一種の元素である請求項1に記載の光電変換
    素子。
  3. 【請求項3】 重金属元素を捕捉する材料が、組成式M
    zMo68-yで表されるシェブレル相化合物(ただし、
    Xは硫黄、セレンおよびテルルからなる群より選択され
    た少なくとも一種のカルコゲン元素、zは0≦z<4、
    yはカルコゲン元素の欠損量)であり、かつMが、銅お
    よび銀からなる群より選択された少なくとも一種の元素
    を主体とすることを特徴とする請求項1に記載の光電変
    換素子。
  4. 【請求項4】 重金属元素を捕捉する材料が、組成式M
    zMo68-yで表されるシェブレル相化合物(ただし、
    Xは硫黄、セレンおよびテルルからなる群より選ばれる
    少なくとも一種のカルコゲン元素、zは0≦z<4、y
    はカルコゲン元素の欠損量)であり、かつMが、カドミ
    ウム、アンチモン、テルルおよびインジウムからなる群
    より選択された少なくとも一種の元素を主体とすること
    を特徴とする請求項1に記載の光電変換素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の光電変
    換素子を用いて構成された太陽電池。
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