JP2001043524A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001043524A
JP2001043524A JP11217519A JP21751999A JP2001043524A JP 2001043524 A JP2001043524 A JP 2001043524A JP 11217519 A JP11217519 A JP 11217519A JP 21751999 A JP21751999 A JP 21751999A JP 2001043524 A JP2001043524 A JP 2001043524A
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magnetic
powder
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magnetic recording
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JP11217519A
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Kuniko Yamamoto
邦子 山本
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 上層磁性層の配向性に優れ、優れた電磁変換
特性を有する。 【解決手段】 非磁性支持体と、上記非磁性支持体上
に、軟磁性粉末と非磁性粉末と結合剤とを主体としてな
る下層下地層用塗料を塗布してなる下層下地層と、上記
下層下地層上に、強磁性粉末と結合剤とを主体としてな
る上層磁性層用塗料を塗布してなる上層磁性層とを有
し、上記下層下地層用塗料中、軟磁性粉末と非磁性粉末
との比率が5:5〜9:1とされ、上記下層下地層用塗
料中の軟磁性粉末及び非磁性粉末のうち70%以上が真
比重4以上であることを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軟磁性粉末を含有
する下層下地層及び磁気記録が可能な上層磁性層を有す
る磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録媒体は、録音用テープ、ビデオ
テープ、コンピューターテープ、ディスクなどとして広
く用いられている。この磁気記録媒体においては、年
々、記録密度が高くなり、記録方式もアナログ方式及び
デジタル方式が検討されている。この高密度記録化の要
求に対して、磁気記録媒体としては、金属磁性薄膜を薄
膜形成してなる磁気記録媒体が提案されている。しかし
ながら、この金属磁性薄膜を有する磁気記録媒体は、生
産性、腐食性等の実用信頼性の点で十分とは言えない。
【0003】また、磁気記録媒体としては、磁性粉末を
結合剤中に分散してなる磁性塗料を非磁性支持体上に塗
布し、乾燥させることにより磁性層を形成した、いわゆ
る塗布型のものがある。この塗布型の磁気記録媒体は、
生産性及び腐食性等の実用信頼性の観点で上記金属磁性
薄膜を有する磁気記録媒体よりも優れている。しかしな
がら、塗布型の磁気記録媒体は、磁性層における磁性材
料の充填度が金属磁性薄膜と比較して低いために、電磁
変換特性が劣る。
【0004】そこで、塗布型の磁気記録媒体では、電磁
変換特性を向上させるために、使用する磁性材料の磁気
特性の改良、表面の平滑化等が検討され提案されてい
る。しかしながら、従来の磁気記録媒体は、十分に高密
度記録化を達成したといえるものではなかった。
【0005】一方、デジタル記録方式を採用する磁気記
録媒体において、性能を向上させるために磁性層を薄層
化することが知られている。しかしながら、非磁性支持
体上に磁性塗料を塗布して薄い磁性層を形成する場合に
は、磁性層の薄層化によってピンホール、すじといった
塗布欠陥が発生し易く、充分な歩留まりが得られず、生
産上の問題点がある。また、この場合、形成された磁性
層をカレンダー処理したとしても、カレンダー処理によ
る成形効果が小さいために表面性が悪く、電磁変換特性
が良くない。
【0006】従来、この様な問題を解決するため、塗布
型の磁気記録媒体では、所定の厚みを有する下層非磁性
層と約2μm以下の薄い上層磁性層とを、重層塗布して
同時に形成させた後、カレンダー処理を行なうことが考
えられる。このような、下層非磁性層及び上層磁性層を
有する磁気記録媒体では、上述したように、上層磁性層
の塗布欠陥や表面性の悪さに起因する電磁変換特性の低
下を解決することができる。
【0007】一方、このような重層塗布してなる磁気記
録媒体では、例えば、特開平7−29153号公報に開
示されるように、上層磁性層が強磁性体を含有すること
により磁気記録を行う記録層として使用され、下層非磁
性層に軟磁性体を含有せしめることが提案されている。
これにより、磁気記録媒体では、軟磁性体を含有する下
層非磁性層(以下、下層下地層と呼ぶ。)が磁気ヘッド
からの磁界を引き込むように作用する。したがって、磁
気ヘッドから印加される磁界は、狭い範囲で上層磁性層
に対して印加されることとなる。このため、この磁気記
録媒体では、上層磁性層に対して高密度記録を行うこと
ができる。
【0008】また、上述したような、下層下地層及び上
層磁性層を有する磁気記録媒体では、短波長の信号を用
いた短波長記録が行われ、記録密度の向上が図られてい
る。磁気記録媒体において、短波長記録を達成するには
高保磁力を有する磁性粉末を使用して、自己減磁損失を
低減させることが考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した磁
気記録媒体では、自己減磁損失を低減させるだけでな
く、短波長記録時に受ける垂直磁化成分による記録減磁
を低減する必要もある。記録減磁を低減させるために
は、上層磁性層中の磁性粉末を面内方向に強力に配向さ
せ、上層磁性層における法線方向の残留保磁力を高くす
ればよい。
【0010】この配向処理は、所定の磁場中に磁気記録
媒体を存在させることにより、上層磁性層の磁化方向を
強制的に制御するものである。このような配向処理を施
すことによって、下層下地層の軟磁性体及び上層磁性層
の強磁性体が回転運動することになり、上層磁性層の磁
化方向を所定の方向に揃えているのである。
【0011】しかしながら、この磁気記録媒体におい
て、配向処理を行った場合には、磁場中で下層下地層の
軟磁性体及び上層磁性層の強磁性体が回転運動するた
め、上層磁性層と下層下地層との界面において混合領域
が形成され易くなる。その結果、磁気記録媒体では、充
分な表面性が得られないばかりか、配向が乱れることと
なる。
【0012】特に、下層下地層中にカーボンブラックを
分散させて多段階配向処理を行うことにより配向性を改
善することができるが、この場合も上層磁性層中の強磁
性体の回転運動に伴ってカーボンブラックが混合されて
しまう。このため、下層下地層中にカーボンブラックを
分散させた場合でも、上層磁性層における強磁性体を十
分に配向性させることが困難となる。したがって、従来
の磁気記録媒体には、十分な配向が行なわれないために
所望の電磁変換特性が得られないといった問題があっ
た。
【0013】そこで、本発明は、上層磁性層の配向性に
優れ、優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成した
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体と、上記非
磁性支持体上に、軟磁性粉末と非磁性粉末と結合剤とを
主体としてなる下層下地層用塗料を塗布してなる下層下
地層と、上記下層下地層上に、強磁性粉末と結合剤とを
主体としてなる上層磁性層用塗料を塗布してなる上層磁
性層とを有し、上記下層下地層用塗料中、軟磁性粉末と
非磁性粉末との比率が5:5〜9:1とされ、上記下層
下地層用塗料中の軟磁性粉末及び非磁性粉末のうち70
%以上が真比重4以上であることを特徴とするものであ
る。
【0015】以上のように構成された本発明に係る磁気
記録媒体において、真比重が4以上の軟磁性粉末及び非
磁性粉末は、上層磁性層との界面から離間して非磁性支
持体の近傍に存在することになる。言い換えると、下層
下地層中に含有される軟磁性粉末及び非磁性粉末のうち
70%以上が上層磁性層との界面近傍から離間してい
る。このため、この磁気記録媒体においては、下層下地
層の軟磁性粉末及び非磁性粉末が上層磁性層に混合され
てしまうようなことが防止され、上層磁性層に含有され
る強磁性粉末の配向性を維持できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る磁気記録媒体
の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0017】本実施の形態に示す磁気記録媒体は、図1
に示すように、少なくとも、非磁性支持体1と、この非
磁性支持体1の一方主面上に形成された下層下地層2
と、この下層下地層2上に形成された上層磁性層3とを
備える。なお、この磁気記録媒体は、非磁性支持体1の
他方主面上に形成されたバックコート層(図示せず。)
や上層磁性層3上に形成されたトップコート層(図示せ
ず。)を備えるものであってもよい。
【0018】先ず、下層下地層2に関して説明する。磁
気記録媒体において、下層下地層2は、少なくとも軟磁
性粉末と非磁性粉末と結合剤とからなる下層下地層用塗
料を、非磁性支持体1の一主面上に塗布してなる層であ
る。下層下地層2の厚みは、0.5μm〜3.5μmで
あることが好ましい。
【0019】また、この下層下地層2において、軟磁性
粉末と非磁性粉末との比率は、5:5〜9:1の範囲と
され、より好ましくは6:4〜8:2の範囲とされる。
すなわち、下層下地層用塗料を作製する際には、軟磁性
粉末と非磁性粉末とを5:5〜9:1の比率、より好ま
しくは6:4〜8:2の比率となるように混合する。
【0020】この下層下地層2に含有される軟磁性粉末
及び非磁性粉末のうちで、70%以上の軟磁性粉末及び
非磁性粉末は、真比重が4以上である。言い換えると、
この下層下地層2には、真比重がそれぞれ4以上である
軟磁性粉末及び非磁性粉末が70%以上含有されてい
る。ここで、真比重とは、真密度と同義であり、軟磁性
粉末及び非磁性粉末(以下、併せて単に「粉末」と称す
る。)における空隙や、粉末間の空隙を除く実質のみの
密度を意味する。
【0021】また、これら軟磁性粉末及び非磁性粉末
は、平均粒子径が0.2μm以下であることが好まし
い。具体的に、軟磁性粉末及び非磁性粉末は、平均粒径
が0.0「05〜0.08μmである粒状粒子、或い
は、長軸長が0.05〜1.0μm、好ましくは0.0
5〜0.5μmであり、針状比が5〜20、好ましくは
5〜15である針状粒子が例示される。
【0022】さらに、下層下地層2において、これら軟
磁性粉末及び非磁性粉末の体積充填率は、20〜60%
であることが好ましく、25〜55%がより好ましい。
【0023】さらにまた、軟磁性粉末及び非磁性粉末
は、下層下地層2に含有される粉末のうちで60%以上
を占めることが好ましい。言い換えると、下層下地層2
において、軟磁性粉末及び非磁性粉末以外の粉末が占め
る割合が40%未満であることが好ましい。軟磁性粉末
及び非磁性粉末以外の粉末としては、後述するように、
表面における電気抵抗を低減する目的で添加されるカー
ボンブラックが挙げられる。例えば、このカーボンブラ
ックが40%以上である場合には、カーボンブラックの
分散性が悪いため、下層下地層2に用いられる粉末全体
の分散性が劣化して所望の電磁変換特性が得られなくな
る虞がある。
【0024】下層下地層2に使用される軟磁性粉末とし
ては、特に限定されないが磁気ヘッドや電子回路等のい
わゆる弱電機器に用いられる、金属、金属酸化物、合
金、アモルファス合金等からなる高磁化率で低保持力の
粉末が挙げられる。具体的に、軟磁性粉末としては、例
えば、ソフト磁性材料である、鉄−珪素合金、鉄−アル
ミニウム合金、鉄−ニッケル合金、鉄−コバルト合金、
鉄−コバルト−ニッケル合金、ニッケル−コバルト合
金、センダスト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケ
ル−亜鉛系フェライト、マグネシウム−亜鉛系フェライ
ト、マグネシウム−マンガン系フェライト等が挙げられ
る。
【0025】また、この軟磁性粉末は、保磁力(以下、
Hcと略称する。)が200(Oe)以下であることが
好ましい。
【0026】さらに、下層下地層2に使用される非磁性
粉末としては、TiO2、Al23、α−Fe23等を
例示することができる。下層下地層2には、これら非磁
性粉末を組み合わせて使用したり、これら以外にも適宜
使用することができる。また、これら非磁性粉末は、一
定の粒径を有するものに限定されず、所望の粒径分布を
有するように規定されたものであってもよい。なお、非
磁性粉末としては、特に、TiO2であることが好まし
い。
【0027】また、非磁性粉末のタップ密度は、0.0
5〜2g/ccであることが好ましく、0.2〜1.5
g/ccであることがより好ましい。非磁性粉末の含水
率は、0.1〜5%であることが好ましく、0.2〜3
%であることがより好ましい。非磁性粉末のpHは2〜
11であることが好ましい。非磁性粉末のDBP吸油量
は、5〜100m1/100gであることが好ましく、
10〜80ml/100gであることがより好ましく、
更に、20〜60m1/100gであることが更に好ま
しい。非磁性粉末は、100%純粋である必要はなく、
目的に応じて表面を他の化合物、例えば、Al、Si、
T1、Zr、Sn、Sb、Zn等の各化合物で処理し、
それらの酸化物を表面に形成してもよい。その際、非磁
性粉末自体の純度は70%以上であれば効果を減ずるこ
とにはならない。強熱減量は20%以下であることが好
ましい。
【0028】非磁性粉末の具体的な例としては、住友化
字社製AKP−20、AKP−30、AKP―40、H
IT−55、HIT−100、チタン工業社製ECT−
52、STT−4D、STT−30D、STT−30、
STT−65C、三菱マテリアル社製T−1、同和工業
社製DEFIC−Y、DEFIC−R、チタン工業社製
Y−LOP及びそれを焼成した物である。
【0029】また、下層下地層2には、上述した軟磁性
粉末及び非磁性粉末の他に、カーボンブラックを使用す
ることができ、磁気記録媒体の表面における電気抵抗を
下げることもできる。このカーボンブラックとしては、
ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラッ
ク、アセチレンブラック等を用いることができる。カー
ボンブラックの比表面積は100〜500m2/gであ
ることが好ましく、また、カーボンブラックのDBP吸
油量は20〜400ml/100gであることが好まし
い。カーボンブラックの粒子径は5〜30mμであるこ
とが好ましい。カーボンブラックのpHは2〜10であ
ることが好ましい、カーボンブラックの含水率は0.1
〜10%であることが好ましい。カーボンブラックのタ
ップ密度は0.1〜1g/ccであることが好ましい。
【0030】カーボンブラックとしては、具体的に、キ
ャボット社製、BLACKPEARLS 2000、1
300、1000、900、800、880、700、
VULCAN XC−72、三菱化成工業杜製#305
0、#3150、#3250、#3750、#395
0、#1400B、#2300、#1000、、#97
0、#950、#900、#850、#650、#4
0、MA40、MA−600、コロンビアカーボン杜
製、CONDUCTEX SC、RAVEN社製880
0、8000、7000、5750、5250、350
0、2100、2000、J800、1500、125
5、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECな
どが挙げられる。
【0031】また、これらカーボンブラックとしては、
分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化した
り、表面の一部をグラファイト化したものであってもよ
い。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあら
かじめ結合剤で分散してもよい。これらカーボンブラッ
クは、単独、或いは、複数種類を組み合わせて使用する
ことができる。なお、カーボンブラックは、例えば、
「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)
を参考にすることができる。
【0032】さらにまた、下層下地層2には、軟磁性粉
末及び非磁性粉末の他に、非磁性有機質粉末も使用する
ことができる。非磁性有機質粉末としては、例えば、ア
クリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉
末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げ
られるか、ポリオレフイン系樹脂粉末、ポリエステル系
樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉
末、ポリフッ化エチレン樹脂粉末等が挙げられる。
【0033】さらにまた、下層下地層2に使用される結
合剤としては、従来公知の熱可塑系樹脂、熱硬化系樹
脂、反応型樹脂やこれらの混合物が使用される。尚、エ
ポキシ基含有樹脂にこれらを併用することもできる。熱
可塑系樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜15
0℃、数平均分子量が1000〜200000、好まし
くは10000〜100000、重合度が約50〜10
00程度のものである。このような例としては、塩化ビ
ニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、ア
クリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アク
リロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、
スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、
ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として
含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴ
ム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂
としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン
硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、
アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコー
ン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂
とイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステル
ポリオールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタ
ンとポリイソシアネートの混合物等があげられる。ま
た、結合剤としては、公知の電子線硬化型樹脂を使用す
ることも可能である。
【0034】以上の樹脂は単独または組合せて使用でき
るが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル
酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコー
ル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体
から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂との組
み合せ、又はこれらにポリイソシアネートを組み合せた
ものがあげられる。
【0035】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、COO
M、SO3M、OSO3M、P=O(OM)2、O−P=
O(OM)2、(以上につきMは水素原子又はアルカリ
金属塩基)、OH、NR2、N+3、(Rは炭化水素
基)、SH、CN、などから選ばれる少なくとも一つ以
上の極性基を共重合反応または付加反応で導入したもの
を用いることが好ましい。このような極性基の量は10
-1〜10-8モル/gであり、好ましくは10-2〜10-6
モル/gである。
【0036】塩化ビニル系共重合体としては、好ましく
は、エポキシ基含有塩化ビニル系共重合体が挙げられ、
塩化ビニル繰返し単位と、エポキシ基を有する繰返し単
位と、所望により上述したような極性基を有する繰返し
単位とを含むものが挙げられる。エポキシ基を有する繰
返し単位との併用では、−SO3Naを有する繰返し単
位を含むエポキシ基含有塩化ビニル系共重合体が好まし
い。
【0037】極性基を有する繰返し単位の共重合体中に
おける含有率は、通常0.01〜5.0モル%(好まし
くは、0.5〜3.0モル%)の範囲内とされる。具体
的に、エポキシ基を有する繰返し単位の共重合体中にお
ける含有率は、1.0〜30モル%(好ましくは1〜2
0モル%)の範囲内とされる。そして、塩化ビニル系重
合体は、塩化ビニル繰返し単位1モルに対して通常0.
01〜0.5モル(好ましくは0.01〜0.3モル)
のエポキシ基を有する繰返し単位を含有するものが好ま
しい。
【0038】エポキシ基を有する繰返し単位の含有率が
1モル%より低いか、或いは、塩化ビニル繰返し単位1
モルに対するエポキシ基を有する繰返し単位の量が0.
01モルより少ない場合には、塩化ビニル系共重合体か
らの塩酸ガスの放出を有効に防止することかできないこ
とがある。一方、エポキシ基を有する繰返し単位の含有
率が30モル%より高いか、或いは、塩化ビニル繰返し
単位1モルに対するエポキシ基を有する繰返し単位の量
が0.5モルより多い場合には、塩化ビニル系共重合体
の硬度が低くなることがあり、上層磁性層3の走行耐久
性が低下することがある。
【0039】このようなエポキシ基と特定の極性基を有
する塩化ビニル系共重合体は、例えば、次のようにして
製造することができる。例えばエポキシ基と、極性基と
して−SO3Naとか導入されている塩化ビニル系共重
合体を製造する場合には、反応性二重結合と、極性基と
して−SO3Naとを有する2−(メタ)アクリルアミ
ド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(反応性
二重統合と極性基とを有する単量体)およびジグリシジ
ルアクリレートを低温で混合し、これと塩化ビニルとを
加圧下に、100℃以下の温度で重合させることにより
製造することができる。
【0040】上記の方法による極性基の導入に使用され
る反応性二重統合と極性基とを有する単量体の例として
は、他にも、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチル
プロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそのナトリ
ウム又はカリウム塩、(メタ)アクリル酸−2−スルホ
ン酸エチル及びナトリウム又はカリウム塩、(無水)マ
レィン酸及び(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸
−2−リン酸エステルを挙げることができる。
【0041】また、エポキシ基の導入には、反応性二重
結合とエポキシ基とを有する単量体として、一般に、グ
リシジル(メタ)アクリレートを用いる。なお、上記の
製造法の他に、例えば、塩化ビニルとビニルアルコール
などとの重合反応により多官能−OHを有する塩化ビニ
ル系共重合体を製造し、この共重合体と、例えば、Cl
CH2CH2SO3M、ClCH2CH2OSO3M、ClC
2COOM、ClCH2PO(OM)2等の化合物とを
反応(脱塩酸反応)させて共重合体に極性基を導入する
方法を利用することができる。また、この脱塩酸反応を
利用するエポキシ基の導入には通常はエピクロルヒドリ
ンを用いる。
【0042】さらに、塩化ビニル系共重合体としては、
他の単量体を含むものであってもよい。他の単量体の例
としては、ビニルエーテル(例えば、メチルビニルエー
テル、イソブチルビニルエーテル、ラウリルビニルエー
テル)、α−モノオレフィン(例えば、エチレン、プロ
ピレン)、アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アク
リル酸メチル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート
等の官能基を含有する(メタ)アクリル酸エステル)、
不飽和ニトリル(例えば、(メタ)アクリロニトリ
ル)、芳香族ビニル(例えば、スチレン、α−メチルス
チレン)、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等)が例示される。
【0043】これら結合剤の具体的な例としては、ユニ
オンカーバイト社製:VAGH、VYHH、VMCH、
VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、
VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、
PKHC、PKFE、日信化学工業社製:MPR−T
A、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TS
N、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、電
気化学社製:1000W、DX80、DX81、DX8
2、DX83、日本ゼオン社製:MR110、MR10
0、400X110A、日本ポリウレタン社製:ニッポ
ランN2301、N2302、N2304、大日本イン
キ社製:パンデックスT−5105、T−R3080、
T−5201、バーノックD−400、D−210−8
0、クリスボン6109、7209、東洋紡社製:バイ
ロンUR8200、UR8300、RV530、RV2
80、大日精化社製:ダイフエラミン4020、502
0、5100、5300、9020、9022、702
0、三菱化成社製:MX5004、三洋化成社製:サン
プレンSP−150、旭化成社製:サランF310、F
210などがあげられる。
【0044】上述したような結合剤は、軟磁性粉末及び
非磁性粉末に対して5〜50重量%の範囲で用いられる
ことが好ましく、更に10〜35重量%の範囲で用いら
れることがより好ましい。また、結合剤として塩化ビニ
ル系樹脂を用いる場合には、軟磁性粉末及び非磁性粉末
に対して3〜30重量%の範囲で用いられ、結合剤とし
てポリウレタン樹脂を用いる場合には、軟磁性粉末及び
非磁性粉末に対して3〜30重量%の範囲で用いられる
ことが好ましい。また、このとき、ポリイソシアネート
は、軟磁性粉末及び非磁性粉末に対して0〜20重量%
の範囲で結合剤と組合せて用いるのが好ましい。
【0045】上述した結合剤とともに使用されるポリイ
ソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4
−4′−ジフエニルメタンジイソシアネート、ヘキサメ
チレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネー
ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トル
イジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ト
リフエニルメタントリイソシアネート等のイソシアネー
ト類、また、これらのイソシアネート類とポリアルコー
ルとの生成物、また、イソシアネート類の縮合によって
生成したポリイソシアネート等を使用することができ
る。これらのイソシアネート類の市販されている商品名
としては、日本ポリウレタン社製:コロネートL、コロ
ネートHL、コロネート2030、コロネート203
1、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品
社製:タケネートD−102、タケネートD−110
N、タケネートD−200、タケネートD−202、住
友バイエル社製:デスモジュールL、デスモジュールI
L、デスモジュールN、デスモジュールHL等があり、
これらを単独または硬化反応性の差を利用して二つもし
くはそれ以上の組合せで用いることができる。
【0046】さらに、潤滑効果、帯電防止効果、分散効
果、可塑効果等を有する添加剤としては下記のものが列
挙される。二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グ
ラフアイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、カーボンブラッ
ク等の固体潤滑剤や、シリコーンオイル、極性基をもつ
シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコ
ーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポ
リオレフイン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステル
およびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよ
びそのアルカリ金属塩、ポリフエニルエーテル、フッ素
含有アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属塩、
炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含ん
でも、また分岐していてもかまわない)、および、これ
らの金属塩(Li,Na,K,Cuなど)または、炭素
数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価ア
ルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していても
かまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコー
ル、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を
含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2
〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコー
ルのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐し
ていてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルま
たはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アル
キレンオキシド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸
エステル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜
22の脂肪族アミン等の有機質潤滑剤等である。
【0047】これらの具体例としては、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、
ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレ
ン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリ
ン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸
オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソ
ルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジス
テアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、
オレイルアルコール、ラウリルアルコール等を挙げられ
る。
【0048】これら潤滑剤の具体的な商品名としては、
日本油脂杜製:NAA−102,NAA−415,NA
A−312,NAA−180,NAA−174,NAA
−175,NAA−222,NAA−34,NAA−3
5,NAA−171,NAA−122,NAA−14
2,NAA−160,NAA−173K,ヒマシ硬化脂
肪酸,NAA−42,NAA−44,カチオンSA,カ
チオンMA,カチオンAB,カチオンBB,ナイミーン
L−201,ナイミーンL−202,ナイミーンS−2
02,ノニオンE−208,ノニオンP−208,ノニ
オンSー207,ノニオンK−204,ノニオンNSー
202,ノニオンNS−210,ノニオンHS−20
6,ノニオンL−2,ノニオンS−2,ノニオンS−
4,ノニオンO−2,ノニオンLP−20R,ノニオン
PP−40R,ノニオンSP−60R,ノニオンOP−
80R,ノニオンOP−85R,ノニオンLT−22
J,ノニオンST−221,ノニオンOT−221,モ
ノグリMB,ノニオンDS−60,アノンBF,アノン
LG,ブチルステアレート,ブチルラウレート,エルカ
酸、関束化学社製:オレイン酸、竹本油脂社製:FAL
−205,FAL−123、新日本理化社製:エヌジエ
ルブLO,エヌジョルブIPM,サンツサイザーE40
30、信越化学社製:TA−3,KF−96,KF−9
6L,KF−96H,KF410,KF420,KF9
65,KF54,KF50,KF56,KF−907,
KF−851,X−22−819,X−22−822,
KF−9O5,KF−7OO,KF−393,KF−8
57,KF−860,KF−865,X−22−98
0,KF−101,KF−102,KF−103,X−
22−3710,X−22−3715,KF−910,
KF−3935、ライオンアーマー社製:アーマイド
P,アーマイドC,アーモスリッフCP、ライオン油脂
社製:デュオミンTDO、日清製油社製:BA−41
G、三洋化成社製:プロフアン2012E,二ューポー
ルPE61,イオネットMS−400,イオネットMO
−200,イオネットDL−200,イオネットDS−
300,イオネットDS−1000,イオネットDO−
200などがあげられる。
【0049】また、界面活性剤としては、アルキレンオ
キサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキル
フエノールエチレンオキサイド付加体、等のノニオン界
面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモ
ニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニ
ウムまたはスルホニウム類、等のカチオン系界面活性
剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、硫酸エステル
基、燐酸エステル基、などの酸性基を含むアニオン界面
活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアル
コールの硫酸または燐酸エステル類、アルキルベダイン
型等の両性界面活性剤等も使用できる。
【0050】これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも
100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応
物、副反応物、分解物、酸化物等の不純成分が含まれて
もかまわない。これらの不純成分は30%以下が好まし
く、さらに好ましくは10%以下である。
【0051】また、下層下地層用塗料を作製する際に
は、通常使用されるような有機溶媒を使用することがで
きる。この有機溶媒としては、任意の比率で、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テ
トラヒドロフラン等のケトン類、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノー
ル等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イ
ソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコ
ール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グ
リコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコー
ルエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾ
ール、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチレン
クロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロ
ホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等
の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、
ヘキサン等を使用できる。
【0052】一方、上層磁性層3は、少なくとも強磁性
粉末と結合剤とからなる上層磁性層用塗料を、下層下地
層2上に塗布することにより形成される。この上層磁性
層3は、その厚みが2μm以下であることが好ましい。
【0053】この上層磁性層3を構成する強磁性粉末と
しては、通常、磁気記録媒体の磁性層に使用されるもの
であればいかなるものを使用しても良く、物性、形状、
サイズ等に限定ない。具体的に、針状の強磁性粉末とし
ては、γ−Fe23、Fe34、Co−γ−Fe23
CrO2、Fe−Ni合金、Fe−Ni−Co合金等の
合金強磁性粉末を例示することができ、板状の強磁性粉
末としては、バリウムフェライト、ストロンチウムフェ
ライト等の六方晶フェライト及びCo合金粉末で等を例
示することができる。また、強磁性粉末としては、γ−
FeOx(x=1.33〜1.5)、Co変性γ−Fe
Ox(x=1.33〜1.5)、FeまたはNiまたは
Coを主成分(75%以上)とする強磁性合金微粉末な
ど公知の強磁性粉末が使用できる。これらの強磁性粉末
には、所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、
V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、
Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、P
b、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、
Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわな
い。さらに、強磁性合金微粉末については少量の水酸化
物、または酸化物を含んでもよい。さらにまた、強磁性
粉末としては、特に、Feを主体とした合金或いは六方
晶フェライトを使用することが好ましい。
【0054】強磁性粉末の保磁力は、2000[Oe]
以上であることが好ましい。強磁性粉末の保磁力を20
00[Oe]以上に規定することによって、短波長記録
における電磁変換特性、特に、再生出力を向上させるこ
とができる。また、強磁性粉末は、長軸長が0.3μm
以下であることが好ましく、針状比が12以下であるこ
とが好ましい。強磁性粉末の長軸長が0.3μmより大
であると、短波長記録において十分な特性を得ることが
できない虞があり、また、強磁性粉末の針状比が12以
上であると、塗料における強磁性粉末の分散が困難にな
り、表面性、歩留まり等に問題が生じる虞がある。
【0055】また、強磁性粉末は、BET法による比表
面積が25〜80m2/gであることが好ましく、40
〜70m2/gであることがより好ましい。BET法に
よる比表面積が25m2/g未満の場合には、ノイズが
高くなる虞があり、逆に、80m2/gより大の場合に
は、上層磁性層3の表面性が劣化する虞がある。さら
に、強磁性粉末において、空孔が少ないほうが好まし
く、その値は20容量%以下であることが好ましく、5
容量%以下であることがより好ましい。
【0056】また、上層磁性層3を構成する結合剤とし
ては、上述した下層下地層2で使用される結合剤を使用
することができる。上層磁性層3において、結合剤は、
強磁性粉末に対して、5〜50重量%の範囲で使用され
ることが好ましく、10〜35重量%の範囲で使用され
ることがより好ましい。また、結合剤として塩化ビニル
系樹脂を用いる場合には5〜30重量%の範囲で使用さ
れることが好ましく、結合剤としてポリウレタン樹脂を
用いる場合には2〜20重量%の範囲で使用されること
が好ましく、これら塩化ビニル系樹脂或いはポリウレタ
ン樹脂に対してポリイソシアネートを2〜20重量%の
範囲で組合せて用いることが好ましい。
【0057】さらに、結合剤において、所定の極性基を
有する繰返し単位の含有率が0.01〜5.0モル%で
あることが好ましい。結合剤において、所定の極性基を
有する繰返し単位の含有率が0.01モル%未満である
場合には、強磁性粉末の分散性不十分となり、電磁変換
特性等が低下する虞がある。また、結合剤において、所
定の極性基を有する繰返し単位の含有率が5.0モル%
より大である場合には、結合剤が吸湿性を有するように
なるため、耐候性が低下する虞がある。なお、この結合
剤の数平均分子量は、1.5万〜6万の範囲内にある。
【0058】さらにまた、上層磁性層3には、下層下地
層2と同様に、分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止
剤等を添加してもよい。これらの潤滑剤、界面活性剤等
は、下層下地層2或いは上層磁性層3でその種類や量を
必要に応じて使い分けることができる。例えば、下層非
磁性層2、上層磁性層3で融点の異なる脂肪酸を用い表
面へのにじみ出しを制御する、沸点や極性の異なるエス
テル類を用い表面へのにじみ出しを制御する、界面活性
剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑
剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるな
どが考えられ、無論ここに示した例のみに限られるもの
ではない。また、これら添加剤のすべてまたはその一部
は、下層下地層用塗料、上層磁性層用塗料製造のどの工
程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に強磁
性粉末と混合する場合、強磁性粉末と結合剤と溶剤によ
る混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、
分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などが
ある。
【0059】特に、上層磁性層3には、研磨剤を添加す
ることができる。研磨剤としては、α化率90%以上の
α−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロ
ム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイ
アモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸
化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモー
ス硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用さ
れる。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を
他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。こ
れらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含ま
れる場合もあるが主成分が9O%以上であれば効果にか
わりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2
μmか好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研
磨剤を組合せたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くし
て同様の効果をもたせることもできる。研磨剤のタップ
密度は0.3〜2 g/ccであることが好ましく、ま
た、研磨剤の含水率は0.1〜5%であることが好まし
く、更に、研磨剤のpHは、2〜11であることが好ま
しく、更にまた、研磨剤の比表面積は1〜30m2/g
であることが好ましい。研磨剤の形状は、針状、球状、
サイコロ状等いずれでも良いが、形状の一部に角を有す
るものが研磨性が高く好ましい。
【0060】研磨剤の具体的な商品名としては、住友化
学社製:AKP−20,AKP−30,AKP−50,
HIT−50,日本化学工業杜製:G5,G7,S−
1、戸田工業社製:TF−100、TF−140、10
0ED、140EDなどがあげられる。また、研磨剤
は、上述した下層下地層にも使用することができる。こ
のとき、研磨剤は、下層磁性層と上層磁性層とで種類、
量および組合せを変え、目的に応じて使い分けることは
もちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合
剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわな
い。
【0061】特に上層磁性層3において、カーボンブラ
ックは、磁気記録媒体の帯電防止、摩擦係数低減、遮光
性付与、膜強度向上等に有効に作用する。そして、これ
らの効果が使用するカーボンブラックの種類により異な
るため、使用するカーボンブラックの種類、量、組合せ
等を適宜変更し、粒子サイズ、吸油量、電導度、pH等
の諸特性をもとに目的に応じて使い分けることが好まし
い。
【0062】一方、この磁気記録媒体では、通常用いら
れる非磁性支持体1を使用することができる。非磁性支
持体1としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リアラミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフオン、アラミド、芳
香族ポリアミド等を使用することができる。これらの非
磁性支持体1には、その表面に予めコロナ放電処理、プ
ラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、等の各種
処理をおこなっても良い。
【0063】この非磁性支持体1の厚みは、1〜100
μmであることが好ましく、4〜80μmであることが
より好ましい。また、非磁性支持体1において、中心線
平均表面粗さは、0.03μm以下であることが好まし
く、0.02μm以下であることがより好ましく、0.
01μm以下であることが更に好ましい。さらに、非磁
性支持体1は、単に中心線平均表面粗さが小さいだけで
はなく、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。
なお、非磁性支持体1の表面粗度は、非磁性支持体1中
に添加されるフィラーの大きさ及び量により自由にコン
トロールすることができる。これらのフィラーとして
は、Ca,Si,Ti等の酸化物や炭酸塩の他、アクリ
ル系などの有機微粉末を例示することができる。
【0064】ところで、この磁気記録媒体を製造する際
には、上述した下層下地層用塗料及び上層磁性層用塗料
を作製し、ウエット・オン・ウエット塗布方式又はウエ
ット・オン・ドライ塗布方式でこれら下層下地層用塗料
及び上層磁性層用塗料を塗布する。その後、上層磁性層
2の磁化配向させる配向処理が行われ、その後、カレン
ダー処理及び裁断処理等が行われる。
【0065】下層下地層用塗料及び上層磁性層用塗料
は、少なくとも、混練工程、分散工程及びこれらの工程
の前後に必要に応じて行われる混合工程を経て作製され
る。なお、これら個々の工程は、それぞれ2段階以上に
わかれていてもかまわない。強磁性粉末或いは軟磁性粉
末及び非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤等の原料はどの工程の最
初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原
料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。
例えば、結合剤であるポリウレタンを、混練工程、分散
工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投
入してもよい。また、個々の原料を2以上の工程で分割
して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混
練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程
のそれぞれで分割して投入してもよい。
【0066】これら、下層下地層用塗料及び上層磁性層
用塗料を作製する際には、従来の公知の製造技術を一部
の工程として用いることができることはもちろんであ
る。特に、上層磁性層用塗料では、混練工程で連続ニー
ダや加圧二−ダ等の強い混練力を有するものを使用する
ことによって、高いBrを得ることができる。連続ニー
ダまたは加圧ニ−ダを用いる場合、強磁性粉末と統合剤
のすべてまたはその一部(たたし全統合剤の30重量%
以上が好ましい)および強磁性粉末100部に対し15
〜500部の範囲で混練処理される。また、下層下地層
用塗料を調製する場合には、高比重の分散メデイアを用
いることが望ましく、ジルコニアビーズ、金属ビーズが
好適である。
【0067】また、磁気記録媒体を作製するに際して、
ウエット・オン・ウエット塗布方式を用いることによ
り、より生産性を向上させることができる。このとき、
下層下地層2の厚みは0.5〜10μm、特に0.5〜
3.5μmが好ましい。下層下地層2が0.5μmより
薄いと生産性が低下すると共にカレンダー処理による成
形性が劣化してしまい電磁変換特性が劣化する虞がある
ためである。しかしながら、下層下地層が0.5μmよ
り薄い場合であっても用途によっては実用的には使用で
きる。上層磁性層3の厚みは、0.05〜2.0μmで
あることが好ましく、0.05〜0.6μmであること
がより好ましく、0.05〜0.3μmであることが更
に好ましい。また、下層下地層2及び上層磁性層3を合
わせたの厚みは、非磁性支持体1の厚みの1/100〜
2倍の範囲とされることが好ましい。
【0068】また、下層下地層2と非磁性支持体1との
密着性を向上させるため、非磁性支持体1の一主面に下
塗り層を形成してもよい。この下塗り層の厚みは、0.
01〜2μmであることが好ましく、0.05〜0.5
μmであることがより好ましい。さらに、非磁性支持体
1のハンドリングを向上させるために、非磁性支持体1
の下層下地層2が形成される面とは反対側の面にバック
コート層を形成してもよい。バックコート層の厚みは、
0.1〜2μmであることが好ましく、0.3〜1.0
であることがより好ましい。
【0069】さらに、磁気記録媒体を作製するに際し
て、下層下地層及び上層磁性層を形成した後に、上層磁
性層の磁化方向を揃えるための配向処理を行う。配向処
理では、約1000G以上のソレノイドと2000G以
上のコバルト磁石を併用することが好ましい。特に、こ
の配向処理では、乾燥後の配向性が最も高くなるように
配向前に予め適度の乾燥工程を設けることが好ましい。
なお、この磁気記録媒体をディスク状媒体として使用す
る場合には、面内方向においてランダムに配向させる。
【0070】さらにまた、磁気記録媒体を作製するに際
して、上層磁性層の表面性を所望な状態とするために、
上層磁性層に対してカレンダー処理を施す。カレンダー
処理では、従来公知のカレンダロールが使用される。カ
レンダロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリア
ミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチック
ロールを使用することが好ましい。また、対向して配設
される一対の金属ロールでカレンダー処理を行うことも
できる。カレンダー処理の温度は、好ましくは70℃以
上、さらに好ましくは80℃以上である。カレンダー処
理の線圧力は、好ましくは200kg/cm、さらに好
ましくは300kg/cm以上である。
【0071】このように作製された磁気記録媒体の磁気
特性は、磁場5000Oeで測定した場合、テープ走行
方向の角形比が0.70以上であることが好ましく、
0.80以上であることがより好ましく、0.90以上
であることが更に好ましい。テープ走行方向に直角な二
つの方向の角型比は走行方向の角型比の80%以下とな
ることが好ましい。さらにまた、上層磁性層3のSFD
は0.6以下であることが好ましい。
【0072】以上のように構成された磁気記録媒体で
は、下層下地層用塗料に軟磁性粉末が含有されることに
よって、チキソトロピー特性等のレオロジー特性が改善
されることとなる。そして、この下層下地層用塗料で
は、軟磁性粉末と非磁性粉末の比率が5:5〜9:1に
規定されることによって、形状を規定した非磁性粉末に
よるレオロジー特性の改善作用や分散性の向上作用を確
保するとともに、軟磁性粉末によるレオロジー特性の改
善作用を確保することができる。
【0073】また、この下層下地層2に含有される軟磁
性粉末及び非磁性粉末のうちで、真比重が4以上である
ものは、上層磁性層3との界面から離間して非磁性支持
体1近傍に存在することとなる。すなわち、軟磁性粉末
及び非磁性粉末の真比重が4以上である場合には、非磁
性支持体上に塗布された下層下地層用塗料中において、
軟磁性粉末及び非磁性粉末が非磁性支持体近傍に存在し
やすくなる。この下層下地層では、真比重が4以上であ
る軟磁性粉末及び非磁性粉末が70%以上であるため、
上層磁性層3との界面に軟磁性粉末及び非磁性粉末が殆
ど存在していないことになる。
【0074】一方、上述したように配向処理を行うと、
上層磁性層3中に含有される強磁性粉末が外部磁場によ
り回転運動し、その結果、上層磁性層3が所定の方向に
配向することとなる。特に、強磁性粉末は、配向処理に
際して、上層磁性層と下層下地層との間においても回転
運動する。しかしながら、70%以上の軟磁性粉末及び
非磁性粉末の真比重が4以上に規定されているため、強
磁性粉末の回転運動により上層磁性層と下層下地層との
界面が乱れるようなことが防止されている。すなわち、
下層下地層に含有される軟磁性粉末及び非磁性粉末が上
層磁性層の近傍に殆ど存在していないため、これら軟磁
性粉末及び非磁性粉末が強磁性粉末の回転運動の影響を
受け難いのである。
【0075】このため、磁気記録媒体では、下層下地層
と上層磁性層との界面が乱れることなく良好な状態であ
るため、上層磁性層の強磁性粉末を確実に所定の方向に
配向させることができる。したがって、この磁気記録媒
体では、電磁変換特性に優れたものとなる。
【0076】また、磁気記録媒体では、下層下地層2と
上層磁性層3との界面での乱れも少ないため、表面性を
改善することができる。したがって、この磁気記録媒体
は、RF出力を大幅に向上させることができ、BER
(ブロックエラーレート)、ドロップアウト等を効果的
に低減することができる。
【0077】特に、ウェット・オン・ウェット塗布方式
で下層下地層2及び上層磁性層3を形成した場合であっ
ても、混合領域を極力小とすることができる。すなわ
ち、ウェット・オン・ウェット塗布方式では、一般に、
下層下地層2及び上層磁性層3の界面が乱れやすくなる
が、この磁気記録媒体では、混合領域を極力小とするこ
とができる。したがって、RF出力特性やBER、ドロ
ップアウト等の改善された磁気記録媒体を、ウェット・
オン・ウェット塗布方式を採用して生産性良く製造する
ことができる。
【0078】また、この磁気記録媒体では、上層磁性層
3の厚みを2μm以下にすることによって、短波長の記
録に適したものとなる。特に、この磁気記録媒体では、
下層下地層2及び上層磁性層3の界面の混合領域を小と
することができるため、上層磁性層3の厚みを2μm以
下にした場合でも確実に記録することができる。言い換
えると、この磁気記録媒体では、厚みが2μm以下であ
るような上層磁性層3を、混合領域により損なうことな
く形成することができる。
【0079】
【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるも
のではない。
【0080】実施例1 実施例1においては、厚み5.5μmのポリエチレンテ
レフタレートからなる非磁性支持体上に、軟磁性粉末を
有する下層下地層を形成し、この下層下地層上に強磁性
粉末を有する上層磁性層が設けられている磁気記録媒体
(磁気テープ)を作製し、その特性を評価した。
【0081】先ず、下記の組成に準じて、各成分を計り
とり、それぞれニーダー及びサンドミルを用いて混練、
分散することで上層磁性層用塗料、下層下地層用塗料を
調製した。
【0082】 <上層磁性層用塗料> 強磁性鉄微粉末(Fe合金粉末、Co5%添加) 100重量部 (Hc=2000Oe、σS=130emu/g、長軸長0.18μm,針状比 =8) 塩化ビニル共重合体 10重量部 (−SO3Na,エポキシ基含有) ポリウレタン樹脂 5重量部 (−SO3Na,分子量45000) αアルミナ(平均粒径0.2μm) 5重量部 シクロヘキサノン 100重量部 メチルエチルケトン 200重量部 ステアリン酸 5重量部 ステアリン酸ブチル 10重量部
【0083】 <下層下地層用塗料> 軟磁性磁性粉末(平均粒径0.03μmのセンダスト粉末) 70重量部 粒状TiO2(平均粒径0.04μm) 30重量部 カーボンブラック(平均粒径20mμ) 5重量部 塩化ビニル共重合体 8重量部 (−SO3Na,エポキシ基含有) ポリウレタン樹脂 5重量部 (−SO3Na含有、分子量45000) αアルミナ(平均粒径0.2μm) 5重量部 シクロヘキサン 150重量部 メチルエチルケトン 50重量部 ステアリン酸 5重量部 ステアリン酸ブチル 10重量部
【0084】このようにして調製された上層磁性層用塗
料及び下層下地層用塗料のそれぞれに、ポリイソシアネ
ート化合物(日本ポリウレタン工業社製 商品名コロネ
ートL)5重量部を添加した。そして、これら上層磁性
層用塗料及び下層下地層用塗料をギャップの異なる2つ
のドクターを用いて湿潤状態で塗布し(ウェット・オン
・ウェット塗布方式)、その後、永久磁石で配向処理し
た後に乾燥した。その後、カレンダー処理を行なった。
【0085】これにより形成された上層磁性層の厚みは
0.5μm、下層下地層の厚みは2.5μmであった。
このようにして得られた原反を3.81mm幅に裁断し
デジタルオーディオテープ(DAT)を作製した。
【0086】実施例2〜実施例9 実施例2〜実施例9では、表1に示すように、上層磁性
層の厚みや下層下地層の構成等を変更した以外は実施例
1と同様にしてデジタルオーディオテープを作製した。
【0087】比較例1〜比較例6 比較例2〜比較例6では、表2に示すように、上層磁性
層の厚みや下層下地層の構成等を変更した以外は実施例
1と同様にしてデジタルオーディオテープを作製した。
【0088】<特性評価>上述したように作製された実
施例1乃至実施例9と比較例1乃至比較例6のデジタル
オーディオテープに関して以下のような特性評価を行っ
た。
【0089】RF出力 RF出力は、SONY社製の記録再生装置(DTC−1
000の)を使用して、再生出力が4.7MHz単一周
波数の信号を入力し、再生信号をスペクトラムアナライ
ザーに出力させ、信号のピーク値を読み取ることにより
測定した。スペクトラムアナライザーは、HP−358
5A(ヒューレットパッカード社製)を使用し、比較例
1の出力を0dBとした相対的な出力を測定した。
【0090】BER(ブロックエラーレート) BERとは、10000トラック中のエラーフラッグの
数をいい、次式で表される。
【0091】 BER=エラーフラッグ/10000×128 デジタルオーディオテープにおける信号は、アナログ信
号を符号化し、1符号は8ビット、1ブロックは32シ
ンボル×8ビット=256ビットであるので、1トラッ
クは、128ブロックで構成される。コンピュータを用
いて、2トラックの信号、すなわち、128×2ブロッ
クの信号をメモリー上に取り込み、シャッフルしてエラ
ーの検出を行う。なお、デジタルオーディオテープ記録
再生装置としては、ソニー株式会社製のDTC−100
0(商品名)を使用した。また、カウンターとしては、
ヒューレットパッカード社製のHP5328Aをコンピ
ュータに接続して使用した。
【0092】ドロップアウト デジタルオーディオテープに、4.7MHz単一周波数
の信号を入力、スレッシュホールドレベル−10dBで
長さ0.5μsecのドロップアウトをドロップアウト
カウンターで測定した。
【0093】保磁力、角形比 保磁力(表1及び表2では「Hc」と記す。)及び角形
比(長手方向の角形比であり、表1及び表2では「R
s」と記す。)は、東英工業社製の振動試料型磁束計を
用いてHm10KOeで測定した。
【0094】実施例の各種作製条件及び特性評価の結果
を表1に示し、比較例の各種作製条件及び特性評価を表
2に示す。
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】この表1の結果から、実施例1〜9に示す
デジタルオーディオテープでは、長手方向での角形比及
びRF出力に優れるとともに、ドロップアウト及びBE
Rが大幅に低減されていることがわかる。これに対し
て、表2の結果から、比較例1に示すデジタルオーディ
オテープは、下層下地層を有していないため、ドロップ
アウト及びBERの値が悪い。また、比較例2〜4に示
すデジタルオーディオテープでは、真比重が4以上の粉
末(軟磁性粉末及び非磁性粉末)が70%以上含有され
ていないため、Rs及びRF出力が優れず、また、ドロ
ップアウトやBERも高い値を示している。さらに、比
較例5〜6では、軟磁性粉末と非磁性粉末との比率が
5:5〜9:1の範囲から外れているため、Rs及びR
F出力が優れず、また、ドロップアウトやBERも高い
値を示している。
【0098】これらの結果から、下層下地層に含有され
る軟磁性粉末と非磁性粉末との比率が5:5〜9:1と
され、下層下地層中に真比重が4以上である粉末を70
%以上含有させることによって、上層磁性層の配向性及
び再生出力に優れ、且つ、記録再生の確度が良好なもの
となる。
【0099】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明に
係る磁気記録媒体は、下層下地層に含有される軟磁性粉
末と非磁性粉末との比率を所定の範囲に規定し、当該非
磁性粉末及び軟磁性粉末の真比重を規定することによっ
て、配向性に優れた上層磁性層を有して電磁変換特性に
優れたものとなる。また、この磁気記録媒体は、下層下
地層に含有される軟磁性粉末と非磁性粉末との比率を所
定の範囲に規定し、当該非磁性粉末及び軟磁性粉末の真
比重を規定することによって、表面性に優れた上層磁性
層を有してドロップアウト及びブロックエラーレートの
低いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録媒体の要部断面図であ
る。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 下層下地層、3 上層磁性層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体と、 上記非磁性支持体上に、軟磁性粉末と非磁性粉末と結合
    剤とを主体としてなる下層下地層用塗料を塗布してなる
    下層下地層と、 上記下層下地層上に、強磁性粉末と結合剤とを主体とし
    てなる上層磁性層用塗料を塗布してなる上層磁性層とを
    有し、 上記下層下地層用塗料中、軟磁性粉末と非磁性粉末との
    比率が5:5〜9:1とされ、 上記下層下地層用塗料中の軟磁性粉末及び非磁性粉末の
    うち70%以上が真比重4以上であることを特徴とする
    磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記非磁性粉末は、TiO2、Al
    23、α−Fe23から選ばれる少なくとも一種である
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記上層磁性層の厚みが2μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記上層磁性層の強磁性粉末は、長軸長
    の平均径が0.3μm以下であり、保磁力(Hc)が2
    000Oe以上であり、針状比が12以下であることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記上層磁性層の強磁性粉末は、Feと
    Coとの合金又はCoを主体とする強磁性合金粉末であ
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記下層下地層用塗料中の軟磁性粉末
    は、保持力(Hc)が200(Oe)以下であることを
    特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記下層下地層用塗料中の軟磁性粉末及
    び非磁性粉末は、平均粒径が0.2μm以下であること
    を特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記下層下地層用塗料中の軟磁性粉末及
    び非磁性粉末は、長軸長が0.05〜0.1μmであ
    り、且つ、針状比が5〜20であることを特徴とする請
    求項1記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 上記上層磁性層中に、平均粒子サイズが
    0.01〜2.0μmの研磨剤を含有することを特徴と
    する請求項1記載の磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 上記下層下地層及び上層磁性層は、ウ
    エット・オン・ウエット塗布方式又はウエット・オン・
    ドライ塗布方式で塗布されたものであることを特徴とす
    る請求項1記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012138163A (ja) * 2012-03-12 2012-07-19 Hitachi Maxell Ltd 磁気記録媒体の製造方法
JP2014179149A (ja) * 2013-03-15 2014-09-25 Fujifilm Corp 磁気記録媒体およびその製造方法

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