JP2001042875A - 適応型能動消音装置 - Google Patents

適応型能動消音装置

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JP2001042875A
JP2001042875A JP11219517A JP21951799A JP2001042875A JP 2001042875 A JP2001042875 A JP 2001042875A JP 11219517 A JP11219517 A JP 11219517A JP 21951799 A JP21951799 A JP 21951799A JP 2001042875 A JP2001042875 A JP 2001042875A
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signal
signal processing
characteristic
frequency response
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JP11219517A
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Minoru Kasama
稔 笠間
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Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 演算処理量が少なくても騒音低減効果が維持
でき、装置の小型化・コストダウンが可能な適応型能動
消音装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 騒音検知マイク3が検知した騒音から二
次音を生成し、この二次音を二次音放射スピーカ5で放
射して、騒音と干渉させることにより騒音を消音する。
ここで、信号処理部4の出力から誤差検知マイク6まで
の周波数応答特性を時間遅れだけにするよう処理する固
定フィルタ11を信号処理部4の後段に設置し、固定フ
ィルタ11の処理で残された時間遅れ成分と同等の時間
遅延処理を行う時間遅延処理部12を騒音検知マイク3
と適応制御部8との間に設置して、信号処理部4の周波
数応答特性を騒音検知マイク3と誤差検知マイク6との
間の音響伝達特性に収束させるだけにした。この結果、
信号処理部4の計算量が減少し、演算装置のコストダウ
ンを図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は適応型能動消音装置
に関し、特に適応信号処理により、騒音と同振幅・逆位
相の特性を持つ二次音を生成し、その二次音を放射して
騒音と干渉させることによりたとえば画像形成装置より
発生する騒音を打ち消すようにした適応型能動消音装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】この分野における従来技術としては、騒
音源をダクトと呼ばれる長筒型の箱で覆って、このダク
ト内部を伝搬する騒音を一次元平面波とみなし、この平
面波と同振幅かつ逆位相の二次音をダクト壁面に取り付
けられた音響スピーカから放射して両者の干渉によって
積極的に騒音を低減する能動消音装置が知られている。
例えば、特開平4−34598号公報の家庭用冷蔵庫の
コンプレッサ音に適用した事例や、特開平7−2195
58号公報の空調用ダクトに適用した事例などがある。
この種の能動型消音装置においては、ダクト内部の温度
変化や制御スピーカの特性変動に対しても消音低減効果
を最適に維持するという目的で、この変動に追従させて
信号処理装置の演算係数を調整する適応演算手段が設け
られていることが特徴的である。
【0003】図8は従来の能動消音装置の一例を示す図
である。図8において、騒音源1を囲うように一端が開
放されているダクト2が設けられている。このダクト2
は、騒音源1から発生する音波の発生を一次元方向(ダ
クト開放端方向)へと制限することで、ダクト2内部を
伝搬する騒音を一次平面波とみなすようにするためのも
のである。そして、ダクト2内部の騒音源1の近傍に
は、騒音源1から発生する騒音を検知し、電気信号へと
変換する騒音検知マイク3が設置されている。騒音検知
マイク3で得られた騒音信号は、信号処理部4へ送ら
れ、信号処理部4内に予め設定された演算係数に従っ
て、制御用信号が算出される。算出された制御用信号
は、二次音放射スピーカ5から二次音としてダクト2内
部に放射され、騒音源1から伝搬してくる騒音と干渉す
る。このとき、二次音と騒音とが完全に同振幅かつ逆位
相の関係にあった場合には、両者は互いに打ち消し合
い、干渉後の音圧は0となるが、実際には両者の間には
多少の誤差が存在するので、干渉後も音圧は0とはなら
ない。そこで、誤差として残された音圧を検知する誤差
検知マイク6を二次音放射スピーカ5よりもダクト2の
開口端側に設けておく。この誤差信号と騒音検知マイク
3からの信号に固定的処理を行う前置フィルタ7の出力
とから、誤差検知マイク6が検出する誤差を最小化する
ような新たな演算係数を適応制御部8で計算し、その計
算結果によって信号処理部4内の演算係数を更新する。
このような信号処理を継続していくことにより、誤差検
知マイク6により検知される誤差は最小化され、十分な
消音効果が得られるようになる。
【0004】図9は従来の能動消音装置における信号の
流れを表したブロック図である。図9において、騒音検
知マイク3によって得られた騒音信号をsで示し、騒音
検知マイク3と誤差検知マイク6との間の周波数応答関
数である音響伝達特性をFRF1で示し、ダクト2内部
を伝搬してきた騒音信号をdで示し、信号処理部4の周
波数応答特性をCで示し、信号処理部4の出力から誤差
検知マイク6に至るまでの周波数応答関数である電気−
音響伝達特性をFRF2で示し、誤差検知マイク6にお
ける騒音と二次制御音との干渉の結果残された誤差信号
をeで示している。なお、前置フィルタ7の周波数応答
関数は信号処理部4の出力から誤差検知マイク6に至る
までの電気−音響伝達特性FRF2と同じ特性を持って
いる。
【0005】この種の能動消音装置に用いられる適応制
御部8の適応制御アルゴリズムとしては、Filter
ed−X LMS(least mean-square)アルゴリズム
が知られており、騒音検知マイク3からの騒音信号が、
予め測定した信号処理部4の出力から誤差検知マイク6
に至るまでの電気−音響伝達特性FRF2と同じ特性の
固定的なフィルタ処理を施した後、適応制御部8に入力
される点が特徴的である。
【0006】図8に示すような構成において、適応制御
部8がFiltered−X LMSアルゴリズムを用
いた適応制御演算を行った場合、信号処理部4の出力か
ら誤差検知マイク6へ至る電気−音響伝達特性FRF2
が存在するために、この特性を打ち消すように演算係数
が推定され、信号処理部4の周波数応答特性は、−FR
F1/FRF2へと漸近していく。このときのFilt
ered−X LMSアルゴリズムによって推定された
結果の一例を図10に示す。
【0007】図10は信号処理部の適応収束結果を表す
ボード線図であって、(A)はゲイン特性を示し、
(B)は位相特性を示している。図10に示した周波数
応答特性を見ると、ゲイン及び位相特性に細かな山谷が
見られ、多くの極、零点が存在していることが解る。こ
のような特性をデジタルフィルタ、特にFIR(finite
impulse response)フィルタを用いて実現する場合に
は、十分なフィルタ長、つまり多くのタップ数を必要と
してしまう。実際に、256タップのFIRフィルタで
推定を行った場合と64タップのFIRフィルタで行っ
た場合を比較したものを図11に示す。
【0008】図11は信号処理部におけるフィルタタッ
プ数と実現される周波数応答特性との関係を示す図であ
って、(A)はゲイン特性を示し、(B)は位相特性を
示している。図示のように、フィルタ長が256タップ
ある場合には、ほぼ所望の特性が実現されているのに対
し、64タップしかない場合には、所望の特性がほとん
ど実現できていないことが解る。したがって、十分な騒
音低減効果を得るためには、できるだけ多くのタップ数
を確保しなければならない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、タップ数を多
くすれば、当然、計算に使われるデータ点数が増えるた
め計算処理時間が増大し、その結果、二次音放射スピー
カを騒音源から遠く離れた位置に置いて処理時間を稼ぐ
必要性から装置の大型化の要因になったり、演算処理装
置のコストアップを招来するなどの問題点があった。
【0010】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、少ないタップ数でも騒音低減効果を維持し、
その結果、装置の小型化や演算装置のコストダウンなど
を可能にする適応型能動消音装置を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明では上記問題を解
決するために、騒音源を包囲し消音すべき騒音の波長に
比べて断面寸法を十分小さくした一次元ダクト構造と、
前記騒音源から発生する騒音を検知する騒音検知手段
と、該騒音検知手段より得られた信号から二次制御信号
を生成する信号処理を行う信号処理手段と、生成された
二次制御信号を音波として前記ダクト内部に放射する二
次音放射スピーカと、前記騒音検知手段から見てダクト
開口端側に設置され、騒音源から伝搬してくる騒音と前
記二次音放射スピーカより放射される二次音との干渉結
果を検知する誤差検知手段と、前記騒音検知手段が検知
した騒音信号および前記誤差検知手段が検知した誤差信
号に基づいて消音点における誤差量が最小となるように
前記信号処理手段の演算係数を調整する適応制御手段と
を有する適応型能動消音装置において、前記信号処理手
段の後段に設置され、前記信号処理手段の出力から前記
誤差検知手段までの周波数応答特性との積が、所定の周
波数範囲においてゲインと位相遅れ量とが一定となる時
間遅れ要素として近似できるような周波数応答特性を持
つフィルタ処理手段と、前記適応制御手段への入力とし
て、前記騒音検知手段の騒音信号を所定の時間、遅延さ
せる遅延処理手段と、を有し、前記信号処理手段の周波
数応答特性が所定の周波数範囲において前記騒音検知手
段と前記誤差検知手段との間の音響伝達特性へ収束する
ように適応推定されることを特徴とする適応型能動消音
装置が提供される。
【0012】このような適応型能動消音装置によれば、
信号処理手段の後段に設置したフィルタ処理手段が信号
処理手段の出力から誤差検知手段までの周波数応答特性
を時間遅れだけにするよう処理し、適応制御手段の入力
側に設置した遅延処理手段がフィルタ処理手段の処理で
残された時間遅れ成分と同等の時間遅延処理を行うよう
にした。これにより、信号処理手段の出力から誤差検知
手段までの周波数応答特性では所定の周波数範囲でゲイ
ン、位相遅れ量が一定になり、信号処理手段の周波数応
答特性を騒音検知手段と誤差検知手段との間の音響伝達
特性に収束させるだけなので、信号処理手段はタップ数
を少なくして計算量を減少させることが可能となり、演
算装置のコストダウンを図ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は本発明による適応型能動消
音装置の構成例を示す図である。図1において、図8に
示した要素と同じ要素については同じ符号を付してあ
る。この適応型能動消音装置は、騒音源1を囲むように
設けられたダクト2と、騒音源1から発生する騒音を検
知する騒音検知マイク3と、騒音検知マイク3より得ら
れた信号から二次音を生成する信号処理部4と、二次音
をダクト2内に放射する二次音放射スピーカ5と、騒音
検知マイク3から見てダクト2の開口端側に設置されて
騒音源1からの騒音と二次音との干渉結果を検知する誤
差検知マイク6と、誤差検知マイク6が検出する誤差量
が最小となるように信号処理部4を制御する適応制御部
8と、信号処理部4の後段に設置され固定フィルタ11
と、騒音検知マイク3と適応制御部8との間に設置され
た時間遅延処理部12とを有している。
【0014】騒音源1を囲むように設けられたダクト2
は、その断面形状を、騒音源1から放射される音波を平
面波と見なせるように、消音すべき騒音の波長に比べて
十分小さくしてある。騒音源1の近傍に設けられた騒音
検知マイク3の出力は、信号処理部4と時間遅延処理部
12とに入力されるように接続されている。信号処理部
4の出力は、固定フィルタ11、二次音放射スピーカ5
を経て、二次音としてダクト2内部に放射される。誤差
検知マイク6は、騒音源1から伝搬してくる騒音と二次
音放射スピーカ5から放射される二次音との干渉の結果
を検知し、その出力は適応制御部8へと送られる。時間
遅延処理部12は、固定フィルタ11および二次音放射
スピーカ5を介して誤差検知マイク6に至る伝達特性に
おける時間遅延量と同じだけの時間遅延を騒音検知マイ
ク3の出力信号に対して行う。さらに、適応制御部8
は、時間遅延処理部12からの出力と誤差検知マイク6
の出力とを受け、これら二つの信号データを使って次回
の信号処理部4の演算係数が決定され、信号処理部4内
部の演算係数を更新する。
【0015】図2は本発明の適応型能動消音装置におけ
る信号の流れを表したブロック図である。ここで、騒音
検知マイク3と誤差検知マイク6との間の周波数応答関
数である音響伝達特性をFRF1で示し、信号処理部4
の伝達特性をCで示し、時間遅延処理部12による時間
遅延量をDelayで示し、二次音放射スピーカ5から
誤差検知マイク6までの電気−音響伝達特性をFRF2
で示し、固定フィルタ11の周波数応答特性をFPで示
している。この固定フィルタ11の周波数応答特性FP
は予め測定された電気−音響伝達特性FRF2から求め
られた最小位相特性FRF2minの逆特性である。ま
た、sは騒音検知マイク3によって得られる騒音信号、
dは音響伝達特性FRF1を経て誤差検知マイク6に至
る騒音信号、vは信号処理部4から出力される制御信
号、yは誤差検知マイク6における二次音信号、eは誤
差検知マイク6によって得られる騒音信号dと二次音信
号yとの干渉の結果残される誤差信号、uは騒音検知マ
イク3の出力に時間遅延処理部12による時間遅延処理
を施した適応制御部8への入力信号をそれぞれ表してい
る。
【0016】次に、本発明の適応型能動消音装置におけ
る信号処理の手順を説明する。まず、所定の周波数範囲
における電気−音響伝達特性FRF2をFFT(Fast F
ourier Transform)アナライザなどを使用して予め求め
ておく。そして、得られた電気−音響伝達特性FRF2
のゲイン情報から最小位相特性を求め、測定された位相
と最小位相特性の位相差から電気−音響伝達特性FRF
2に含まれる時間遅延量Delayを求めておく。そし
て、電気−音響伝達特性FRF2の測定されたゲインと
最小位相特性とによって新たにFRF2minを設定し、
この逆特性を固定フィルタ11に周波数応答特性FP
して設定しておく。そして、電気−音響伝達特性FRF
2に含まれる時間遅れ成分を適応制御部8への入力に対
する時間遅延量Delayとして時間遅延処理部12に
設定しておく。
【0017】以上の設定が終わった段階で、消音を開始
する。騒音検知マイク3が検出した騒音信号sは、信号
処理部4と時間遅延処理部12へと入力される。信号処
理部4では入力された騒音信号sに対し、予め信号処理
部4の内部に設定された演算係数に従って電気的な処理
を行い、この結果を制御信号vとして出力する。制御信
号vから誤差検知マイク6における二次音信号yまでの
伝達特性は、固定フィルタ11によって、電気−音響伝
達特性FRF2に含まれる時間遅れ成分(=Dela
y)だけになるので、二次音信号yは制御信号vをDe
lay秒送らせた信号となる。二次音信号yと騒音源1
から伝搬した騒音信号dは、誤差検知マイク6の内部で
加えられ、干渉後の誤差が誤差信号eとして検知され
る。この誤差信号eはDelay秒遅れた二次音信号y
と騒音信号dとの干渉の結果得られた誤差なので、適応
制御計算においては、騒音検知マイク3による騒音信号
sに対してもDelay秒の時間遅延を施す必要がある
ので、騒音検知マイク3からの騒音信号sをDelay
秒の時間遅延をかける時間遅延処理部12に入力し、そ
の出力を適応制御部8への入力信号uとする。この入力
信号uと誤差信号eとから、適応制御部8では、次式の
Filtered−X LMSアルゴリズムに従って信
号処理部4の内部の新たな演算係数を決定する。
【0018】
【数1】hNEW=hold−2×μ×e×s ・・・(1) ただし、hNEWは信号処理部内部の次回の演算係数を表
す列ベクトル(1×N)、holdは信号処理部内部の現
在の演算係数を表す列ベクトル(1×N)、sは現在か
ら過去Nサンプル前までのuで構成される列ベクトル
(1×N)、Nは信号処理部を構成するFIRフィルタ
のタップ数、μは適応推定の収束を調節する任意に設定
できる定数を表している。
【0019】(1)式に従って決定された演算係数によ
って、信号処理部4の内部の演算係数を更新する。そし
て、新たな騒音信号が騒音検知マイク3によって検知さ
れ、更新された演算係数に従って新たな制御信号が算出
される。以上の処理を繰り返し行っていけば、やがて信
号処理部4の周波数応答特性Cは−FRF1へと漸近し
ていき、誤差検知マイク6における誤差は最小化され、
消音が達成されるようになる。
【0020】次に、本発明の適応型能動消音装置の以上
のような構成に至る過程について詳細に説明する。一般
に騒音源1が室内のように温度などが極端に変化しない
環境にある場合には、本来、電気−音響伝達特性FRF
2の周波数応答特性の変動は小さく、Filtered
−X LMSアルゴリズムにおける適応制御部分への入
力に用いられる従来の前置フィルタの処理部分におい
て、予め測定した電気−音響伝達特性FRF2の周波数
応答特性を固定的に用いる点を考え合わせても、電気−
音響伝達特性FRF2の特性を含めて適応制御演算によ
る推定を行うことは、変動特性への対応という意味で
は、あまり有用ではない。むしろ、信号処理部4の後段
に存在する電気−音響伝達特性FRF2の影響を最小化
するために存在すると考えた方がよい。
【0021】したがって、適応推定に電気−音響伝達特
性FRF2を含ませないように、信号処理部4の後段に
固定的な周波数応答特性を持つ固定フィルタを設け、こ
の固定フィルタの周波数応答と電気−音響伝達特性FR
F2の周波数応答特性の積が所定の周波数範囲内におい
て1となるようにすればよい。
【0022】図3は本発明の基本となる構成を説明する
ための信号の流れを示すブロック図である。図3に示し
たように、信号処理部4の後段には、電気−音響伝達特
性FRF2の周波数応答特性との積が所定の周波数範囲
内において1となる固定的な周波数応答特性FPを持つ
固定フィルタを設けている。
【0023】これにより、適応推定の結果は−FRF1
/FRF2ではなく、−FRF1へと収束することにな
る。このFRF1の周波数応答の実測例を図4に示す。
図4は信号処理部の適応収束目標を表すボード線図であ
って、(A)はゲイン特性を示し、(B)は位相特性を
示している。図示のように、FRF1の周波数応答は、
−FRF1/FRF2よりも細かな山谷が少ない。実
際、このFRF1を256タップおよび64タップのF
IRフィルタで実現すると図5のようになる。
【0024】図5は信号処理部のタップ数と実現される
周波数応答特性との関係を示す説明図であって、(A)
はゲイン特性を示し、(B)は位相特性を示している。
この図を見ると、タップ数を減らしても実現される周波
数応答特性はあまり変化しておらず、信号処理部の収束
をFRF1にすることができれば、少ないタップ数でも
処理することが可能であることが解る。
【0025】次に、電気−音響伝達特性FRF2との積
が1となるような固定フィルタ11の構成方法を考えて
みる。固定フィルタ11の周波数応答特性をFPとし、
PとFRF2の積が1であるためには、次式が成り立
つことが必要である。
【0026】
【数2】FP×FRF2=1 ・・・ (2) すなわち、
【0027】
【数3】FP=1/FRF2 ・・・ (3) となるようにすればよい。つまり、所定の周波数範囲内
においてゲインはFRF2のゲインの逆数、位相はFR
F2の位相を正負逆転させた特性を持つようにすればよ
い。
【0028】しかしながら、実際には、FRF2の中に
は、電気信号が音波として放射されるまでのタイムラグ
や、放射された二次音が誤差検知マイク6に達するまで
にかかる音波の到達時間などの時間の遅れが存在するた
めに、(3)式で表されるような特性を実現することは
困難である。これは、時間の遅れの逆、つまり未来値を
必要としてしまうためである。
【0029】そこで、本発明においては、FRF2の中
からゲインに対してまったく遅れのない位相、すなわち
最小位相情報は取り出すことにする。この最小位相情報
には時間の遅れは含まないから、未来値を必要としな
い。
【0030】図6はFRF2の周波数応答の実測例と最
小位相特性との説明図であって、(A)はゲイン特性を
示し、(B)は位相特性を示している。図6に示すよう
に、FRF2のゲイン情報から、その最小位相情報を求
めることができるので、そのゲインと最小位相特性とを
持つFRF2minを新たに設定することにし、そのFR
F2minに対する逆特性を求めることで、安定なフィル
タとして実現することを可能にした。すなわち、固定フ
ィルタ11の周波数応答特性として、
【0031】
【数4】FP=1/FRF2min ・・・(4) となるようにした。しかし、このようにして設計された
固定フィルタ11とFRF2との積を求めると、FRF
2に含まれる時間遅れ成分だけが残されることになる。
【0032】図7はFRF2と固定フィルタの周波数応
答特性との合成結果の実測例を示す図であって、(A)
はゲイン特性を示し、(B)は位相特性を示している。
このFRF2と固定フィルタとの合成後の周波数応答特
性によれば、ゲインはほぼ1.0に近い。しかし位相特
性の方を見てみると、FRF2に元々含まれていた位相
を無視しているから、その位相が相殺されずに残ってし
まう。これを実際の時間遅れの、200マイクロ秒とい
う数値計算の結果と合わせてみるとほぼ合っていること
が解る。
【0033】このままでは、適応収束が保証されないた
め、本発明ではさらに、残された時間遅れ成分と同等の
時間遅延処理を行う時間遅延処理部12を騒音検知マイ
ク3と適応制御部8との間に設けるようにしている。
【0034】これにより、信号処理部4の出力から誤差
検知マイク6までの周波数応答特性が、所定の周波数範
囲でゲイン、位相遅れ量が一定となるため、信号処理部
4の適応推定を、騒音検知マイク3と誤差検知マイク6
との間の音響伝達特性FRF1に収束させることができ
るようになる。さらに、騒音検知マイク3の信号に、信
号処理部4の出力から誤差検知マイク6までの位相遅れ
量に一致した時間遅延量を持つ時間遅延処理部12を設
けることで、適応制御が安定的にFRF1へと収束する
ことを保証できるようになる。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の適応型
能動消音装置によれば、信号処理手段の出力から誤差検
知手段までの周波数応答特性との積が所定の周波数範囲
においてゲインと位相遅れ量が一定となる時間遅れ要素
として近似できる周波数応答特性を持つフィルタ処理手
段を信号処理手段の後段に設置し、騒音検知手段の騒音
信号を所定の時間遅延させる遅延処理手段を適応制御手
段の入力側に設置する構成とし、信号処理手段の周波数
応答特性を騒音検知手段と誤差検知手段との間の音響伝
達特性へ収束させるように適応制御する構成とした。こ
れにより、適応制御による収束精度を落とすことなく、
信号処理手段における計算量を減少させることが可能と
なり、より低価格な演算処理装置を使ったコストダウン
や、計算時間縮小による騒音検知手段と誤差検知手段と
の間の距離の縮小化が可能となるため、低価格、省スペ
ースな適応型能動消音装置を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による適応型能動消音装置の構成例を
示す図である。
【図2】 本発明の適応型能動消音装置における信号の
流れを表したブロック図である。
【図3】 本発明の基本となる構成を説明するための信
号の流れを示すブロック図である。
【図4】 信号処理部の適応収束目標を表すボード線図
であって、(A)はゲイン特性を示し、(B)は位相特
性を示している。
【図5】 信号処理部のタップ数と実現される周波数応
答特性との関係を示す説明図であって、(A)はゲイン
特性を示し、(B)は位相特性を示している。
【図6】 FRF2の周波数応答の実測例と最小位相特
性との説明図であって、(A)はゲイン特性を示し、
(B)は位相特性を示している。
【図7】 FRF2と固定フィルタの周波数応答特性と
の合成結果の実測例を示す図であって、(A)はゲイン
特性を示し、(B)は位相特性を示している。
【図8】 従来の能動消音装置の一例を示す図である。
【図9】 従来の能動消音装置における信号の流れを表
したブロック図である。
【図10】 信号処理部の適応収束結果を表すボード線
図であって、(A)はゲイン特性を示し、(B)は位相
特性を示している。
【図11】 信号処理部におけるフィルタタップ数と実
現される周波数応答特性との関係を示す図であって、
(A)はゲイン特性を示し、(B)は位相特性を示して
いる。
【符号の説明】
1 騒音源 2 ダクト 3 騒音検知マイク 4 信号処理部 5 二次音放射スピーカ 6 誤差検知マイク 7 前置フィルタ 8 適応制御部 11 固定フィルタ 12 時間遅延処理部 C 信号処理部の周波数応答特性 Delay 時間遅延量 FP 固定フィルタの周波数応答特性 FRF1 騒音検知マイク−誤差検知マイク間の音響伝
達特性 FRF2 二次音放射スピーカ−誤差検知マイク間の電
気−音響伝達特性 FRF2min FRF2から求めた最小位相特性 d 騒音信号 e 誤差信号 s 騒音信号 u 入力信号 v 制御信号 y 二次音信号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音源を包囲し消音すべき騒音の波長に
    比べて断面寸法を十分小さくした一次元ダクト構造と、
    前記騒音源から発生する騒音を検知する騒音検知手段
    と、該騒音検知手段より得られた信号から二次制御信号
    を生成する信号処理を行う信号処理手段と、生成された
    二次制御信号を音波として前記ダクト内部に放射する二
    次音放射スピーカと、前記騒音検知手段から見てダクト
    開口端側に設置され、騒音源から伝搬してくる騒音と前
    記二次音放射スピーカより放射される二次音との干渉結
    果を検知する誤差検知手段と、前記騒音検知手段が検知
    した騒音信号および前記誤差検知手段が検知した誤差信
    号に基づいて消音点における誤差量が最小となるように
    前記信号処理手段の演算係数を調整する適応制御手段と
    を有する適応型能動消音装置において、 前記信号処理手段の後段に設置され、前記信号処理手段
    の出力から前記誤差検知手段までの周波数応答特性との
    積が、所定の周波数範囲においてゲインと位相遅れ量と
    が一定となる時間遅れ要素として近似できるような周波
    数応答特性を持つフィルタ処理手段と、 前記適応制御手段への入力として、前記騒音検知手段の
    騒音信号を所定の時間、遅延させる遅延処理手段と、 を有し、前記信号処理手段の周波数応答特性が所定の周
    波数範囲において前記騒音検知手段と前記誤差検知手段
    との間の音響伝達特性へ収束するように適応推定される
    ことを特徴とする適応型能動消音装置。
  2. 【請求項2】 前記フィルタ処理手段は、所定の周波数
    範囲における前記二次音放射スピーカの入力から前記誤
    差検知手段に至るまでの電気−音響伝達特性を予め測定
    し、前記電気−音響伝達特性のゲイン情報から求めた最
    小位相特性の逆特性とする固定的な周波数応答特性を持
    つフィルタであることを特徴とする請求項1記載の適応
    型能動消音装置。
  3. 【請求項3】 前記遅延処理手段は、所定の周波数範囲
    における前記二次音放射スピーカの入力から前記誤差検
    知手段に至るまでの電気−音響伝達特性を予め測定し、
    前記電気−音響伝達特性のゲイン情報から求めた最小位
    相特性と測定された位相との位相差から求めた前記電気
    −音響伝達特性に含まれる時間遅れ量だけ前記騒音検知
    手段からの騒音信号に対して時間遅延処理を行うことを
    特徴とする請求項1記載の適応型能動消音装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015075496A (ja) * 2013-10-04 2015-04-20 パナソニックIpマネジメント株式会社 信号処理装置、能動騒音制御装置、能動騒音制御方法
CN104749903B (zh) * 2013-12-31 2017-02-22 上海微电子装备有限公司 有源消声装置及光刻设备

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