JP2001042089A - 中性子吸収能を備えたアルミニウム複合材及びその製造方法 - Google Patents

中性子吸収能を備えたアルミニウム複合材及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Bの含有量を高くして中性子吸収能を向上さ
せ、しかも、従来材と比較して機械的性質や加工性の面
でも優れている、中性子吸収能を備えたアルミニウム複
合材を提供する。 【解決手段】 本発明による中性子吸収能を備えたアル
ミニウム複合材は、AlまたはAl合金母相中に中性子
吸収能を有するBまたはB化合物の粉末をB量として
1.5重量%以上9重量%以下含有し、加圧焼結された
ことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば使用済み核
燃料の輸送容器や貯蔵容器等の構造材料として有用な、
中性子吸収能を備えたアルミニウム(Al)複合材及び
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ホウ素(B)は中性子の吸収作用を有す
る元素であるが、実際に該作用を有するのは、天然B中
にほぼ20%の割合で存在する同位体10Bのみであるこ
とが知られている。従来より、中性子の吸収作用を有す
る構造用材料として、Al合金中にBを添加した合金が
用いられている。このような合金を製造する場合には、
従来、通常の溶解法が採用されており、B添加量の増加
にしたがって液相線温度が急激に上昇するため、Al合
金中にBを粉末状またはAl−B合金の形で添加する、
Al溶湯中にKBF4 等のホウ弗化物の形で添加してA
l−B金属間化合物を生成する、液相線温度以下の固液
共存域から鋳造する、あるいは、加圧鋳造法を用いる、
といった方法が用いられているが、強度や延性等の機械
的性質を高めるために種々の改良が加えられている。こ
れらの改良については、たとえば特開昭59−5016
72、特開昭61−235523、特開昭62−707
99、特開昭62−235437、特開昭62−243
733、特開昭63−312943、特開平1−312
043、特開平1−312044、特開平9−1656
37等、多くの例を挙げることができる。
【0003】このような溶解法によるAl−B合金は、
中性子を吸収するBを添加すると、B化合物としてAl
2 及びAlB12の金属間化合物が存在し、特に、Al
12が多く存在すると加工性が低下する。しかし、この
AlB12の量を制御するのは技術的にも困難であるた
め、実用材としてはBの量を1.5重量%まで添加する
のが限度であり、従って中性子吸収の効果はそれほど大
きくない。
【0004】また、中性子吸収作用を有する材料として
は、上述した溶解法によるAl−B合金の他にも、ボラ
ール(Boral)と呼ばれているものがある。このボ
ラールは、Al母材に30〜40重量%のB4Cを配合
した粉末をサンドイッチにして圧延した材料である。し
かし、このボラールは、引張強さが40MPa程度と低
いだけでなく、伸びも1%程度と低く、また、成形加工
が困難なため、構造材としては用いられていないのが現
状である。Al−B4C複合材の今一つの製造法とし
て、粉末冶金法の利用が挙げられる。Al合金とB4
を、共に粉末の状態で均一に混合してから固化成形しよ
うというものであり、前記した溶解に伴うトラブルを回
避できるほか、マトリックス組成をより自由に選択でき
る等のメリットを有する。米国特許US5486223
およびそれに続く同一発明者による一連の発明において
は、粉末冶金法を用いて強度特性に優れるAl−B4
複合材を得る方法が述べられており、なかでもUS57
00962は中性子遮蔽材料の製作を主眼においたもの
となっている。しかしながら、これらの発明において
は、マトリックスとの結合性を高めるために特定元素を
添加した特殊なB4Cを使用する上、工程も複雑で、工
業レベルでの実用化にはコスト面で大きな問題があっ
た。また、粉末をCIPで固めたのみの多孔質な成形体
を加熱・押出するためにガスの巻き込みが生じる、マト
リックスの組成によってはビレット焼結時に625℃以
上という高温に曝すことで特性が著しく劣化する、とい
った性能上の懸念事項も多かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、溶解
法で製造したAl合金は、B等の中性子吸収能を有する
化合物を添加する量に限界があるため、その中性子吸収
効果は小さいものであった。その解決のため、前述のと
おり多くの発明がなされてきたが、それらの実施には、
内包する化合物相(AlB2 、AlB12他)の存在比ま
でをコントロールした母合金を溶解する、極めて高価な
濃縮ボロンを使用するなど、生産コストを大幅に上昇さ
せる前提条件が多く、工業レベルでの実用化は困難であ
った。また、操業面においても、炉内の汚染(高B濃度
のドロスを除去する炉洗いが必要となる、投入したフッ
化物等が残留してコンタミネーションとなる、等)や高
い溶解温度(1200℃以上を必要とするものも有り)
による炉材へのダメージ等の問題から、通常のAl用溶
解設備での実施は事実上不可能に近かった。また、B4
Cの含有量が30〜40重量%と高いボラールは、加工
性に問題があって構造材としては使用できない状況にあ
る。このような背景から、Bの含有量を増して高い中性
子吸収能を有するのは勿論のこと、引張強さや伸び等の
機械的性質にも優れていて、加工が容易で構造材として
使用可能な中性子吸収能を備えたアルミニウム複合材及
びその製造方法が望まれていた。
【0006】そこで本発明は、Bの含有量を増して中性
子吸収能を向上させることができ、しかも、機械的性質
や加工性の面でも優れている、中性子吸収能を備えたア
ルミニウム複合材及びその製造方法の提供を課題とす
る。発明者らは、上記のような現状に鑑み、研磨材ある
いは耐火物材料として市中で安価に流通している通常の
4Cを使用し、必要な中性子遮蔽能と強度特性をバラ
ンスよく満たすAl基複合材料を安価に製造する方法を
創出すると共に、同法が最大の効果を発揮する合金組成
(B4C添加量も含む)を見出したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため以下の手段を採用した。請求項1に記載の中
性子吸収能を備えたアルミニウム複合材は、Alまたは
Al合金母相中に中性子吸収能を有するBまたはB化合
物をB量として1.5重量%以上9重量%以下含有し、
加圧焼結したことを特徴とするものである。この場合、
AlまたはAl合金母相中に含有する中性子吸収能を有
するBまたはB化合物は、B量として2重量%以上5重
量%以下とするのがより好ましい。
【0008】このような中性子吸収能を備えたアルミニ
ウム複合材によれば、BまたはB化合物の添加量が高
く、引張特性などの機械的性質にも優れたアルミニウム
複合材となる。また、その製造コストも安価に抑えるこ
とができる。
【0009】請求項2に記載の中性子吸収能を備えたア
ルミニウム複合材の製造方法は、AlまたはAl合金粉
末に中性子吸収能を有するBまたはB化合物の粉末をB
量として1.5重量%以上9重量%以下添加後、加圧焼
結することを特徴とするものである。
【0010】この場合、AlまたはAl合金粉末として
は、均一で微細な組織を有する急冷凝固粉を使用するの
が好ましく、B化合物粉末としては、炭化ホウ素(B4
C)粒子を使用するのが好ましい。そして、前記Alま
たはAl合金粉末の平均粒径を5〜150μmとし、か
つ、使用するB化合物粉末を平均粒径1〜60μmのB
4C粒子とするのが好ましい。また、加圧焼結の方法と
しては、熱間押出、熱間圧延、熱間静水圧プレス又はホ
ットプレスの何れかまたは組合せで行うことができる。
これらの加圧焼結方法は、いずれも粉末を缶内に封入
(キャニング)した後、加熱下において真空引きするこ
とにより缶内の粉末表面に吸着したガス成分及び水分を
除去し、しかる後に缶を封止することを特徴とする。そ
して、このキャニングされた粉末を、缶内を真空に保っ
たままで熱間加工に供する。さらに、前記加圧焼結を実
施した後には、必要に応じて適宜熱処理を施すことが好
ましい。
【0011】このような中性子吸収能を備えたアルミニ
ウム複合材の製造方法によれば、加圧焼結による粉末冶
金法を採用することで、BまたはB化合物の添加量を増
したとしても、引張特性などの機械的性質にも優れたア
ルミニウム複合材が製造できる。従って、中性子吸収能
を向上させることができ、かつ、加工性にも優れたアル
ミニウム複合材を提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る中性子吸収能
を備えたアルミニウム複合材及びその製造方法の一実施
形態を説明するとともに、各内容の範囲限定理由につい
て述べる。本発明におけるAl複合材の製造方法は、ア
トマイズ法などの急冷凝固法で作成したAlまたはAl
合金粉末と、中性子吸収能を有するBまたはB化合物の
粉末とを混合して、加圧焼結するものである。ここで添
加するB量は、1.5重量%以上9重量%以下の範囲で
ある。
【0013】ベースとして使用できるAlまたはAl合
金粉末は、純アルミニウム地金(JIS 1xxx
系)、Al−Cu系アルミニウム合金(JIS 2xx
x系)、Al−Mg系アルミニウム合金(JIS 5x
xx系)、Al−Mg−Si系アルミニウム合金(JI
S 6xxx系)、Al−Zn−Mg系アルミニウム合
金(JIS 7xxx系)、Al−Fe系アルミニウム
合金(Fe含有率が1〜10重量%)の他にも、例えば
Al−Mn系アルミニウム合金(JIS 3xxx系)
などがあり、強度、延性、加工性、耐熱性など必要とす
る特性に応じて選択することが可能で、特に限定される
ものではない。これらのAlまたはAl合金としては、
均一で微細な組織を持つ急冷凝固粉を使用する。この急
冷凝固粉を得るための急冷凝固法としては、単ロール
法、双ロール法、エアアトマイズやガスアトマイズなど
のアトマイズ法といった周知技術を採用できる。このよ
うな急冷凝固法によって得られたAl合金粉末は、好適
には平均粒径が5〜150μmの粉末を使用する。その
理由は、平均粒径が5μm未満では微粉のために各粒子
が凝集をするので、結局大きな粒子の塊になることとア
トマイズ法による製造の限界(微細な粉末だけを分け取
る必要があり、粉末製造歩留が極端に悪化して、コスト
を急増させる)のためであり、平均粒径が150μmを
超えると急冷凝固でなくなるなどのアトマイズ法による
製造の限界と、微細な添加粒子との均一混合が困難にな
るといった問題とのためである。最も望ましい平均粒径
は50〜120μmである。急冷凝固の急冷速度は、1
2 ℃/sec以上、望ましくは103 ℃/sec以上
である。
【0014】一方、上記AlまたはAl合金粉末と混合
するBまたはB化合物は、特に高速中性子の吸収能が大
きいという特徴を有している。なお、本発明で使用可能
な好適なB化合物としては、B4C,B23 などがあ
る。なかでもB4Cは、単位量当たりのB含有量が多く
少量の添加で大きな中性子吸収能を得られる他、非常に
高い硬度を有するなど構造材への添加粒子として特に好
適である。このようなBまたはB化合物の添加量は、B
量としての重量%で1.5以上9以下、好適には重量%
で2以上5以下とする。この理由は、以下の通りであ
る。アルミニウム合金(およびアルミニウム基複合材)
を原子力分野における構造材、より具体的には使用済核
燃料の貯蔵・輸送用容器の構造材として使用することを
考えた場合、その部材厚さは必然的に5mmから30m
m程度となる。これは、該範囲を超えた厚肉材では軽量
なアルミニウム合金を使用する意味が薄れ、一方、構造
材に要求される信頼性を確保するためには、常識的なア
ルミニウム合金の強度を想定すれば極端な薄肉化が困難
なことは明らかなためである。言い換えれば、このよう
な用途に使用するアルミニウム合金の中性子遮蔽能力
は、上記の範囲の厚さにおいて必要充分な値であればよ
く、一部の先行発明に述べられているような極端に多量
のBやB4Cの添加は、いたずらに加工性の悪化や延性
の低下をもたらすのみとなる。発明者らの実験によれ
ば、市場に安価に流通する通常のB4CをB源として使
用した場合、目的とする用途に最適な特性を得られるの
は、B4C添加量が2〜12重量%、B量換算で1.5
〜9重量%の場合のみである。B4C量がこれを下回る
と、必要な中性子吸収能が得られず、一方、上記範囲を
超えて添加された場合には、押出等の成型時に割れが発
生するなどして製作が困難となるのみならず、得られた
材料も延性が低く、構造材として要求される信頼性を確
保することができない。また、BまたはB化合物の粉末
は、好適には平均粒径が1μm〜60μmのものを使用
する。その理由は、平均粒径が1μm未満では微粉のた
めに各粒子が凝集するので、結局大きな粒子の塊になっ
て均一な分散が得られなくなることと歩留が極端に悪く
なるためであり、60μmを超えると、それらが異物と
なって材料強度や押出性を低下させるのみならず、さら
には材料の切削加工性も悪化するためである。
【0015】上述したAlまたはAl合金粉末とBまた
はB化合物の粉末とを混合した後には、加圧焼結を施し
てAl合金複合材を製造する。加圧焼結の製造法として
は、熱間押出、熱間圧延、熱間静水圧プレス(HIP)
又はホットプレスの何れかまたは組合せを採用してもよ
い。なお、加圧焼結時における好適な加熱温度は350
℃〜550℃である。また、本発明の特徴のひとつは、
混合した粉末を加圧焼結に供する前に、Al合金製の缶
内に封入して真空加熱脱ガスを施すことにある。この工
程を省略すると、最終的に得られる材料中のガス量が多
くなり、所期の機械的性質が得られなかったり、熱処理
時に表面にフクレが発生したりする。真空加熱脱ガスに
好適な温度範囲は350℃〜550℃であり、下限値以
下では充分な脱ガス効果が得られず、上限以上の高温に
さらすと、材質によってはその特性劣化が著しくなる。
【0016】加圧焼結後には、必要に応じて熱処理を実
施する。例えばAl−Mg−Si系のAl合金粉末をベ
ースとして使用した場合にはJISのT6処理を、Al
−Cu系のAl合金粉末をベースとして使用した場合も
同様にT6処理を施すが、純AlやAl−Fe系Al合
金などの粉末をベースとして使用した場合には熱処理は
不要であり、この場合はJISのT1処理に該当する。
【0017】このような製造方法により、AlまたはA
l合金母相中に、中性子吸収能を有するBまたはB化合
物をB量として1.5重量%以上9重量%以下含有し、
加圧焼結されたアルミニウム複合材を得ることができ
る。なお、BまたはB化合物は高速中性子吸収能に優れ
ていることが知られているが、必要に応じて低速中性子
吸収能に優れたGdまたはGd化合物を適宜添加して含
有させた複合材としてもよい。
【0018】以下に、具体的な実験例を示して詳細に説
明する。この実験では、粉末冶金法によりAl−B4
粒子複合材を製造し、その機械的性質を調べた。 <使用材料> (1) ベースとなるアルミニウムまたはアルミニウム
合金粉末として、下記の4種類を使用した。 ベース:純度99.7%の純Al地金を使用し、エア
・アトマイズ法により粉末を得た。これを、種々の粒度
に分級して使用した。以後、「純Al」と呼ぶ。 ベース:標準組成(重量%)がAl−0.6Si−
0.25Cu−1.0Mg−0.25Cr(JIS 6
061)のAl合金を使用し、N2ガス・アトマイズ法
により粉末を得た。これを150μm以下(平均95μ
m)に分級して使用した。以後、「6061Al(Al
−Mg−Si系)」と呼ぶ。 ベース:標準組成(重量%)がAl−6.3Cu−
0.3Mn−0.06Ti−0.1V−0.18Zr
(JIS 2219)のAl合金を使用し、N2 ガス・
アトマイズ法により粉末を得た。これを150μm以下
(平均95μm)に分級して使用した。以後、「221
9Al(Al−Cu系)」と呼ぶ。 ベース:標準組成(重量%)がAl−6FeのAl−
Fe系Al合金を使用し、N2 ガス・アトマイズ法によ
り粉末を得た。これを150μm以下(平均95μm)
に分級して使用した。以後、「Fe系Al」と呼ぶ。
【0019】(2) 添加粒子として、表1に示す市販
のB4Cを使用した。
【0020】
【表1】
【0021】
【実施例1】<使用粉末>ここでは、250μm以下に
分級した純Al粉末(平均118μm)と、150μm
以下に分級した6061Al、2219Al、Fe系A
lの各粉末(平均95μm)を使用した。また、添加粒
子としては、平均粒径23μmの金属添加用B4Cを使
用した。 <試料作成> (1) ビレット製作 第1段階として、クロスロータリーミキサーを使用し
て、上記粉末及び添加粒子を10〜15分混合した。な
お、この実験では12種類の試料を作成したが、ベース
(〜)と添加粒子(Bの重量%を計算した値で表
示)との組合せは、表2に示す通りである。
【0022】
【表2】
【0023】第2段階として、ベース粉末及び添加粒子
の混合物を缶へ封入してキャニングを実施した。ここで
使用した缶の仕様は、下記の通りである。 材質:JIS 6063(アルミニウム合金継目無管に
同材質の底板を全周溶接) 直径:90mm 缶厚:2mm
【0024】第3段階として、真空加熱脱ガスを実施し
た。この工程では、キャニングされた粉末混合物を48
0℃まで昇温し、缶内部を1Torr 以下まで真空引きし
て2h保持した。この脱ガス工程を実施したことで缶内
の粉末表面に吸着したガス成分及び水分が除去され、押
出用素材(以下ビレットと呼ぶ)の製作が完了する。
【0025】(2) 押出 この工程では、上記手順で製作されたビレットを500
tonの押出機を使用して熱間で押出す。この場合の温
度は430℃であり、押出比を約12として下記に示す
平板状の押出形状に成形した。
【0026】(3) 熱処理(T6処理) この実験では、押出成形後、表2に示した試料F及び試
料Gについてのみ熱処理を実施した。試料Fの熱処理で
は、530℃で2時間の固溶化熱処理をした後水冷し、
さらに175℃で8時間の時効処理をしてから空冷し
た。また、試料Gの熱処理は、530℃で2時間の固溶
化熱処理をした後水冷し、さらに190℃で26時間の
時効処理をしてから空冷した。この熱処理を経て、試料
の製作は終了する。なお、他の試料については、熱間で
の押出加工から冷却後自然時効させるT1処理を施し
た。
【0027】<評価>上述した各工程を経て製作された
試料A〜Lについて、下記に示す要領で評価を行った。
なお、試料F,Gについては、上述した熱処理を施した
T6材を用いて評価を行い、他の試料(A〜E,H〜
L)については、熱処理なしのT1材を用いて評価を行
った。 (1) ミクロ組織観察 全試料A〜Lについて、押出材中央部のL断面(押出方
向に平行)、T断面(押出方向と直角)で実施した。こ
の結果、何れの試料についても均一で微細な組織になっ
ていることが確認できた。 (2) 引張試験 この引張試験は、常温及び250℃の二つの温度条件で
実施した。常温での引張試験は、全試料A〜Lについて
各々試験片の数nを2(n=2)として実施し、また、
250℃での引張試験は、試料A及びC〜Eを除く8種
類の試料について各々n=2として実施した。なお、何
れの引張試験においても、平行部の直径6mmの丸棒試
験片を使用して試験を行ったが、250℃の引張試験の
場合は、この試験片を250℃で100時間保持した
後、試験を実施した。この試験結果を表3に示す。
【0028】
【表3】
【0029】表3の実験結果を見ると、0.2%耐力に
ついては、室温では56MPa(試料A)〜291MP
a(試料G)の範囲にあり、250℃の高温では32M
Pa(試料B)〜134MPa(試料G)の範囲にあ
る。また、引張強さについては、室温では105MPa
(試料A)〜426MPa(試料G)の範囲にあり、2
50℃の高温では48MPa(試料B)〜185MPa
(試料G)の範囲にあって、室温時はもとより高温時に
おいても、室温におけるボラールの引張強さ41MPa
(表4参照)より優れていることがわかる。
【0030】続いて、破断伸びについて見ると、室温で
は5%(試料L)〜60%(試料H)の範囲にあり、2
50℃の高温では10%(試料L)〜36%(試料B)
の範囲にあって、何れの温度条件においてもボラールの
伸び1.2%(表4参照)より優れた結果を示してい
る。
【0031】図1及び図2は、引張特性に対する温度の
影響を示したグラフであり、両グラフ共、表3に示した
試験結果から試料F,G,I(いずれもB量2.3重量
%)の数値をプロットしたものである。このグラフを見
ると、試料Gが0.2%耐力及び引張強さ共に最も高い
値を示しているが、傾斜が比較的大きいことから温度上
昇による影響をうけやすいことがわかる。また、試料I
は、0.2%耐力及び引張強さ共に室温では3試料中で
最も低い値となっているが、温度上昇に伴う傾斜は最も
小さい。このため、250℃の高温では試料Fと逆転し
ており、すなわち、3試料中では温度の影響が最も小さ
いことを示している。なお、試料Fは、特に0.2%耐
力の傾斜が大きくなっており、温度上昇の影響を受けや
すいことを示している。
【0032】続いて、図3〜図5のグラフには、B添加
量(重量%)が引張試験結果に及ぼす影響が示されてい
る。図3は、純Alベースの試料A〜Eについて、温度
条件を室温として、0.2%耐力(MPa)、引張強さ
(MPa)、及び破断伸び(%)の値(表3参照)をそ
れぞれプロットして示したものである。このグラフを見
ると、B添加量が増加するにつれて、細破線で示した
0.2%耐力(MPa)及び実線で示した引張強さ(M
Pa)が大きくなり、反対に、破線で示した破断伸び
(%)は小さくなることがわかる。
【0033】図4は、Fe系Al(Al−6Fe)ベー
スの試料H〜Lについて、温度条件を室温として、0.
2%耐力(MPa)、引張強さ(MPa)、及び破断伸
び(%)の値(表3参照)をそれぞれプロットして示し
たものである。このグラフを見ると、B添加量が増加す
るにつれて、細破線で示した0.2%耐力(MPa)及
び実線で示した引張強さ(MPa)が図3と同様に大き
くなっている。しかし、破線で示した破断伸び(%)に
ついては、Bを2.3重量%添加することにより無添加
時と比較して急激に低下するものの、2.3重量%から
4.7重量%までB量を増加させてもその低下量は小さ
いものであることがわかる。
【0034】図5は、図4と同様のFe系Al(Al−
6Fe)ベースの試料H〜Lについて、温度条件を25
0℃の高温として、0.2%耐力(MPa)、引張強さ
(MPa)、及び破断伸び(%)の値(表3参照)をそ
れぞれプロットして示したものである。このグラフを見
ると、B添加量が増加するにつれて、細破線で示した
0.2%耐力(MPa)及び実線で示した引張強さ(M
Pa)が図3及び図4と同様に大きくなっている。ま
た、破線で示した破断伸び(%)については、Bを2.
3重量%添加することにより無添加時と比較して急激に
低下する図4の現象が解消され、全体としての数値は低
いものの、図3に示したものと同様にB量の増加につれ
て緩やかに低下する傾向を示している。
【0035】以上3つのグラフ(図3〜図5)から確認
できるのは、マトリックスの組成に関わらず、B4C粒
子の添加量がB換算で9%を超えると、0.2%耐力が
ほとんど向上しない一方で破断伸びが急激に低下し、そ
れに伴って引張強さもまた低下するという共通の傾向で
ある。いずれの材料も例えばボラールよりは高い伸びを
示している(表4参照)ものの、例えば現実に原子炉や
使用済核燃料用容器の構造材として使用することを想定
した場合、信頼性の点で常温伸び10%以上は最低限必
要な値であり、これを満たしうるB4C添加量はB換算
で9%以下であると結論できる。B量の少ないものにつ
いては、強度、延性の面での問題は認められないが、添
加量の下限値は、必要とされる中性子吸収能からおのず
と定まるものであり、先に述べたとおりその値はB換算
で1.5重量%である。
【0036】上述した表3の試験結果のうち、試料B,
C,F,G,I,J(何れもB量2.3または4.7重
量%)の6種類について、そのB量(重量%)、引張強
さ(MPa)、及び伸び(%)を下記の表4に抜粋して
示し、溶解法による従来品の各値と比較する。なお、表
4に示す引張強さ及び伸びは室温での値である。
【0037】
【表4】
【0038】最初にB添加量について比較すると、本発
明品では2.3または4.7重量%の添加がなされてお
り、0.9重量%の各Al合金よりB添加量が大きい分
だけ高い中性子吸収能を有する複合材であることがわか
る。また、ボラールのB添加量は27.3重量%と非常
に高い値になっているが、後述する引張強さ及び伸びの
値が極めて低いものであるため、加工性に乏しいことが
わかる。
【0039】次に、引張強さを比較すると、本発明品で
はB量2.3重量%の純Al複合材(試料B)が最も低
い112MPaとなっており、従来品ではAl−Mn系
合金の150MPaが最も低い値になっている。しか
し、この試料Bは、従来品と比較してB添加量が高いた
め中性子吸収能に優れており、また、伸びも従来品で最
大の20%より大幅に高い値を示しているので、加工性
の面でも実用に耐えうるものである。特に、ボラールと
比較した場合には、引張強さや伸びの特性が極めて高い
ため、加工性の面で優れていることがわかる。なお、ベ
ースをAl合金と限定した場合、引張強さが最低値とな
るのは、B量4.7重量%のAl−Fe系複合材(試料
J)であり、その値は270MPaとなる。
【0040】また、本発明品で最も引張強さに優れてい
るのはB量2.3重量%のAl−Cu系複合材(試料
G)であり、その値は429MPaとなっている。これ
に対して、従来品で最も引張強さに優れているのはAl
−Zn−Mg系合金の500MPaであるが、この場合
の伸びは11%と、表4中に示した本発明品の最低値で
ある18%より低い。この傾向、すなわち引張強さのわ
りには伸びが低い(11〜20%)という傾向は従来品
であるB添加アルミニウム合金に共通しており、B含有
量をも勘案すれば、全体的に本発明品の伸び(18〜4
9%)と比較して低いものとなっているといえる。
【0041】こんどは、表4に基づき、同系のアルミニ
ウム複合材(本発明品)とアルミニウム合金(従来品)
とを比較してみる。最初に、Al−Mg−Si系複合材
(試料F)とAl−Mg−Si系合金とを比較すると、
B量、引張強さ及び伸びの何れの面でも本発明品が優れ
た値を示している。すなわち、B量は2.3重量%に対
し0.9重量%、引張強さは307MPaに対し270
MPa、そして、伸びは49%に対し12%となってお
り、何れの値も本発明品が高くなっている。
【0042】続いて、Al−Cu系複合材(試料G)と
Al−Cu系合金とを比較すると、この場合においても
B量、引張強さ及び伸びの何れの面でも本発明品が優れ
た値を示している。すなわち、B量は2.3重量%に対
し0.9重量%、引張強さは429MPaに対し370
MPa、そして、伸びは27%に対し15%となってお
り、何れの値も本発明品が高くなっている。
【0043】このように、本発明のアルミニウム複合材
は、高いB量を添加でき、しかも、引張強さや伸びなど
の引張特性にも優れているので、高い加工性を得ること
ができる。特に、使用済み核燃料の輸送容器や貯蔵容器
等の構造部材として用いることを考えると、250℃に
おいて引張強さ98MPa、伸び10%以上という機械
的性質を有することが望ましいが、250℃の試験結果
から、ベースとして純Al粉末以外のアルミニウム合金
粉末を使用することで、ほぼ達成可能であることを確認
できた。
【0044】
【実施例2】<粉末分級>エアアトマイズで製作したJ
IS6N01組成の粉末を、種々のサイズの篩で分級し
た。使用した篩サイズと、それぞれの場合における「篩
下」の平均粒径、分級歩留を表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】粒度分布は合金組成やアトマイズ条件で若
干変動する可能性があるものの、篩サイズを小さくする
ことで分級歩留が急激に低下することが確認できる。工
業レベルでの使用を前提にすれば、歩留が一桁となる4
5μm以下の粉末は非現実的であると判断せざるを得な
い。
【0047】<試料作成>表5に示した各粒度の6N0
1粉末と、表1に示した5種類のB4C粒子を、表6に
示す組合せで混合した。B4Cの添加量はいずれも3重
量%(B換算で2.3重量%)、混合時間は実施例1と
同様10〜15分とした。混合の完了した粉末は、実施
例1と同様の手順にて缶封入、真空加熱脱ガス、押出を
行い、断面形状48mmx12mmの押出材を得た。熱
処理は実施しなかった。
【0048】
【表6】
【0049】<評価> (1) ミクロ組織観察 各押出材の頭部、中間部、尾部、それぞれの断面中央
部、外周部(計6箇所)において、L断面(押出方向と
平行)ミクロ組織の画像解析を行い、B4C粒子につい
てその局所的な凝集の有無と、全体的な分布の均一性を
調査した。具体的には、各観察位置においてB4C粒子
の面積率測定を5視野(1視野は1mmx1mm)ずつ
行った(B4Cの比重が約2.51であることから、純
Alの比重を2.7として、Al合金中におけるB4
の重量%は、Vol.% x2.51/2.7と概算でき
る。一方、断面におけるB4Cの面積率は、Vol%にほ
ぼ等しいとみなすことができる。よって、ここではB4
Cの面積率の標準値を3% x 2.7/2.51 =
2.8%とした。)。単一視野中のB4C面積率が標準
値の2倍(すなわち5.6%)に達するものが1点でも
あった場合には「凝集あり」、各位置における5視野の
面積率の平均が基準値+/−0.5%(すなわち2.3
〜3.3%の範囲)をはずれた場合には「分布不均一」
と判断した。その結果を、表7に示す。
【0050】
【表7】
【0051】本発明の合金においては、何れも良好なB
4Cの分布が得られていたのに対し、平均0.8μmと
微細なB4C粒子を使用した比較合金No.13,N
o.15では局部的な凝集が生じていた。また、平均5
μmの微細Al合金粉末に同72μmの粗大B4Cを添
加したNo.14では、押出材内の各位置間で、粒子の
分布に不均一が生じていた。
【0052】(2) 常温引張試験 製作した各押出材を、常温での引張試験に供試した。試
験片形状は、実施例1と同じ、平行部径6mmの丸棒試
験片である。結果を表8に示す。合否の基準値を実施例
1で述べたとおり「破断伸び10%以上」とすると、本
発明合金は何れもこれを満たしていることがわかる。こ
れに対して平均72μmという粗大B4Cを添加した比
較材No.14やNo.16、さらには母材粉末の平均
粒径が162μmと大きいNo.17およびNo.18
では延性の低下が著しく、前記基準を満足することがで
きなかった。以上の結果を総合すると、B4Cの凝集等
がない均一な組織(すなわち均一な中性子吸収能)と構
造材としての信頼性確保に必要な延性を兼ね備えた材料
を得るためには、母材粉末粒径及び添加粒子の粒径を、
本発明の範囲内に制御することが必要不可欠であること
が確認できる。
【0053】
【表8】
【0054】
【実施例3】<試料作成>表9に示す組成とプロセスに
てビレットを製作し、430℃での押出に供した。ここ
で使用した純AlおよびAl−6Fe合金粉末は、実施
例1で使用したものと同じであり、前者は250μm以
下(平均118μm)に分級したエアアトマイズ粉末、
後者は150μm以下(平均95μm)に分級したN2
ガスアトマイズ粉末である。また、使用したB4C粒子
は、平均23μmのものである。各組成に配合した粉末
は、クロスロータリミキサで20分間混合した。その後
プロセスA〜Eでは、実施例1、2と同様の手順で缶封
入・真空加熱脱ガスを行ってビレットとし、押出に供し
た。このとき真空脱ガスの温度をAでは350℃、Bで
は480℃、Cでは550℃、Dでは300℃、Eでは
600℃とし、押出は全て430℃で行った。押出形状
は、実施例1と同じく48mmx12mmである。プロ
セスFでは、混合した粉末を4〜5Torrに減圧した2
00℃の炉中で2時間加熱後、大気中でゴム型に充填し
てCIP(冷間静水圧圧縮)成形した。得られた成形体
は密度約75%(空孔率25%)であり、これを大気中
で430℃まで加熱して、押出に供した。押出形状は4
8mmx12mmである。プロセスGでは、混合した粉
末をそのままCIP成形し、大気中で430℃に加熱し
て押出した。押出形状は48mmx12mmとした。
【0055】
【表9】
【0056】<評価>各押出材について、押出材表面の
観察、長手方向での常温引張試験、水素ガス量測定を実
施した。ガス量測定は、LIS A06に準拠し、真空
溶融抽出−質量分析法で行った。結果を表10に示す。
本発明の請求範囲内であるプロセスA〜Cを用いて製作
した材料では、押出材表面性状や機械的性質、水素ガス
量ともに良好な結果が得られたのに対し、比較合金では
以下のような問題が生じた。脱ガスを本発明の範囲より
も低い温度で実施したプロセスDでは、除去できなかっ
た粉末表面の水素が押出時に放出され、押出材表皮の直
下に気泡が生じる、いわゆる「フクレ」不良の原因とな
った。Al−Fe系合金の高強度は急冷凝固効果で金属
間化合物粒子が微細・均一に分散して実現されるもので
あるが、極端に高い温度で脱ガスを実施したプロセスE
では、これらの化合物が粗大化し、強度および延性の急
激な低下を引き起こした。缶に封入せず脱ガスを行った
プロセスFでは、押出までに空気にさらされる工程を避
け得ないうえ、その脱ガス温度も極めて低いため、水素
ガス量は「脱ガスなし」に近く、押出材表面にフクレが
生じたほか、強度・延性も低い値となった。脱ガスを行
わないプロセスGでは、水素ガスの残留が極めて多くフ
クレが生じたほか、強度・延性も低い値となった。以上
より、何れのマトリックス合金を用いた場合にも良好な
特性を有するAl合金複合材を製作するためには、本発
明で述べた製造方法を用いることが必要不可欠であるこ
とが確認された。
【0057】
【表10】
【0058】
【実施例4】エアアトマイズで製作し、250μm以下
に分級した純Al粉末に、平均粒径23μmのB4C粒
子を3重量%(B換算で2.3重量%)添加し、実施例
1、2と同様の方法にて断面形状48mmx12mmの
押出材を製作した。得られた押出材の引張特性は、耐力
62MPa、引張強さ112MPa、破断伸び39%で
あった。高周波溶解炉で熔解した99.7%純度の純A
l溶湯中に3重量%のB4Cをアルミ箔に包んで投入
し、直ちに良く攪拌して複合材の製作を試みたが、B4
C粒子は濡れ性が極めて悪く、大部分が湯面上に浮上し
た。よって、溶湯攪拌法によるAl−B4C複合材の製
作は困難と判断された。99.7%純度の純Al地金と
純Bを、B量が2.3重量%となるように配合し、高周
波溶解炉で熔解して直径90mmのビレットに鋳造して
押出に供した。押出形状は48mmx12mmとした。
Bの融点が2092℃と極めて高く、通常のAl合金用
設備では取り扱いが困難と判断された(Al−Bの中間
合金を使用しても、程度の差はあれ、問題は同じであ
る)。また、得られた押出材は伸びが3.1%と低く、
構造材としての使用は困難と判断された。以上の結果よ
り、高濃度のBを含有し、しかも高強度かつ高延性の材
料を得るためには、本発明で述べたとおり、粉末法によ
る複合材製作が最も適当であることが確認できる。
【0059】
【発明の効果】上述した本発明の中性子吸収能を備えた
Al複合材の製造方法によれば、以下の効果を奏する。
アルミニウムまたはアルミニウム合金粉末に中性子吸収
能を有するBまたはB化合物の粉末を添加して混合した
後、加圧焼結するという粉末冶金法を用いて製造したア
ルミニウム複合材は、従来の溶解法に比べて多量(1.
5〜9重量%)のBまたはB化合物を添加することが可
能になる。このため、B添加量の増加によって特に高速
中性子の吸収能を向上させることができ、しかも、室温
における引張強さが112〜426MPaと高いことに
加え、伸びが13〜50%と非常に優れたアルミニウム
複合材を提供できる。また、このアルミニウム複合材
は、250℃の高温時においても、引張強さが48〜1
85MPa、伸びが12〜36%という特性を有する。
すなわち、本発明を用いることで、高い中性子吸収能を
有するのみならず、強度と延性のバランスにも優れた、
構造部材として好適なアルミニウム複合材を得ることが
できる。なお、低速中性子吸収能に優れたGdまたはG
d化合物を適宜追加して添加することにより、上述の各
特性に加えて、低速中性子の吸収能をも付与することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による中性子吸収能を備えたAl複合
材の機械的性質に関するグラフで、表2の試料F,G,
Iについて、0.2%耐力(MPa)と温度(℃)との
関係を示している。
【図2】 本発明による中性子吸収能を備えたAl複合
材の機械的性質に関するグラフで、表2の試料F,G,
Iについて、引張強さ(MPa)と温度(℃)との関係
を示している。
【図3】 本発明による中性子吸収能を備えたAl複合
材の機械的性質に関するグラフで、純Alベース(表2
の試料A〜E)の複合材について、室温におけるB添加
量の影響を示している。
【図4】 本発明による中性子吸収能を備えたAl複合
材の機械的性質に関するグラフで、Al−6Feベース
(表2の試料H〜L)の複合材について、室温における
B添加量の影響を示している。
【図5】 本発明による中性子吸収能を備えたAl複合
材の機械的性質に関するグラフで、Al−6Feベース
(表2の試料H〜L)の複合材について、250℃にお
けるB添加量の影響を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎田 富兼 兵庫県高砂市荒井町新浜2丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (72)発明者 村上 和夫 兵庫県神戸市兵庫区和田崎町一丁目1番1 号 三菱重工業株式会社神戸造船所内 (72)発明者 渋江 和久 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 時實 直樹 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内 (72)発明者 高橋 辰巳 東京都港区新橋5丁目11番3号 住友軽金 属工業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 AlまたはAl合金母相中に中性子吸収
    能を有するBまたはB化合物をB量として1.5重量%
    以上9重量%以下含有し、加圧焼結したことを特徴とす
    る中性子吸収能を備えたアルミニウム複合材。
  2. 【請求項2】 AlまたはAl合金粉末に中性子吸収能
    を有するBまたはB化合物の粉末をB量として1.5重
    量%以上9重量%以下添加後、加圧焼結することを特徴
    とする中性子吸収能を備えたアルミニウム複合材の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記AlまたはAl合金粉末が急冷凝固
    粉であることを特徴とする請求項2記載の中性子吸収能
    を備えたアルミニウム複合材の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記B化合物粉末として、炭化ホウ素
    (B4C)粒子を使用することを特徴とする請求項2な
    いし3の何れかに記載の中性子吸収能を備えたアルミニ
    ウム複合材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記AlまたはAl合金粉末の平均粒径
    が5〜150μmであり、かつ、使用するB化合物粉末
    が平均粒径1〜60μmのB4C粒子であることを特徴
    とする、請求項2ないし4の何れかに記載の中性子吸収
    能を備えたアルミニウム複合材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加圧焼結が、熱間押出、熱間圧延、
    熱間静水圧プレス又はホットプレスの何れか1種、また
    は2種以上の組合せで行うことを特徴とする請求項2な
    いし5の何れかに記載の中性子を備えたアルミニウム複
    合材の製造方法。
  7. 【請求項7】 粉末を収容する缶内を350℃〜550
    ℃の加熱下で真空脱ガスした後に缶を封止し、しかる後
    に内部を真空に保ったままの状態で加圧焼結することを
    特徴とする請求項2ないし6の何れかに記載の中性子吸
    収能を備えたアルミニウム複合材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記加圧焼結後に熱処理を施すことを特
    徴とする請求項2ないし7の何れかに記載の中性子吸収
    能を備えたアルミニウム複合材の製造方法。
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