JP2001038118A - 高温炉ガスを用いた発電システム - Google Patents

高温炉ガスを用いた発電システム

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JP2001038118A
JP2001038118A JP11217813A JP21781399A JP2001038118A JP 2001038118 A JP2001038118 A JP 2001038118A JP 11217813 A JP11217813 A JP 11217813A JP 21781399 A JP21781399 A JP 21781399A JP 2001038118 A JP2001038118 A JP 2001038118A
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Shinji Tamaru
眞司 田丸
Katsutoshi Yamamoto
勝年 山本
Jun Asano
純 浅野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温炉の排気ガスを利用し、長期にわたって
安全かつ環境に優しい発電ができるシステムを提供す
る。 【解決手段】 高温炉の排気ガスを集塵装置に通して得
られる清浄化された高温炉ガスによりタービンを回転さ
せて発電するシステムにおいて、集塵装置に用いる濾材
として、耐熱性繊維からなる織布または編布である基布
(A)とフッ素樹脂繊維からなる層(B)とを含み、該
フッ素樹脂繊維の層(B)が濾材の少なくとも一方の最
外層を構成していることを特徴とする濾材を用いる高温
炉ガスを用いた発電システム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は溶融炉などの高温炉
ガスを用いた発電システムであって、その集塵装置に用
いられる濾材に、特に微細粒子やダイオキシンなどの有
害物質の除去に有効なバグフィルター用の濾材を用いた
発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】高温炉の排気ガスを集塵装置に通して得
られる清浄化された高温炉ガスによりタービンを回転さ
せて発電するシステムは、高温炉で発生するエネルギー
回収の一手段として、既に各種の高温炉で採用されてい
る。
【0003】たとえば、図1にその概略フローチャート
を示すように、高温炉41の排気ガス42は矢印で示す
経路を通り、まず粗粒集塵装置43で粗大な粉塵が取り
除かれ、ついで乾式集塵装置44に送られる。乾式集塵
装置44は複数基、通常6基程度設置されており、そこ
で微粒子まで集塵除去され清浄化された高温炉ガス45
はタービン46を回転させ、発電装置47を駆動する。
乾式集塵装置44内にはバグフィルターが配置されてい
る。
【0004】図2はリテーナーを持たないバグフィルタ
ー方式の乾式集塵装置44の概略縦断面図であり、後述
するように、紙面に向かって右側が集塵操作時のバグフ
ィルター48の状態を示しており、紙面に向かって左側
がバグフィルター48の逆圧洗浄操作時の状態を示して
いる。
【0005】集塵操作時には高温炉の排気ガス42が乾
式集塵装置44の底部に導入され、底部が解放されてい
るバグフィルター48の内部に送りこまれる。排気ガス
42中に含まれる微細な粉塵は排気ガスがバグフィルタ
ー48の濾材49を通過する際に濾材に付着する。バグ
フィルター48を通過したガスは清浄化された高温炉ガ
ス45となり、発電用のタービンに送られる。
【0006】このような集塵処理を続けるとバグフィル
ター48の濾材49に目詰まりが生ずるため、通常、逆
圧洗浄処理が行なわれる。逆圧洗浄処理は図2の左側に
示すように、高温炉ガス45の一部を分取し(図1の4
5a)、乾式集塵装置44に逆洗用の弁50を開くこと
により装置44のバグフィルター48の上部に導入す
る。導入された高温炉ガス45aはバグフィルター48
を外側から押し潰し、バグフィルターの濾材49内に蓄
積した粉塵51を剥ぎ落とす。リテーナーを持たないバ
グフィルターの洗浄方法としてはこのほか、バグフィル
ター48に機械的な振動を加えて払い落とす方法も採用
されている。こうして粉塵が剥ぎ落とされるか払い落と
されて清浄化されたバグフィルターは再び集塵処理に供
される。
【0007】図3にリテーナー52を持つバグフィルタ
ー方式の乾式集塵装置44の概略縦断面図を示す。図3
も同じく、紙面に向かって右側が集塵操作時のバグフィ
ルター48の状態を示しており、紙面に向かって左側が
バグフィルター48の洗浄操作時の状態を示している。
【0008】集塵操作時の処理は図2と同じである。洗
浄処理はバグフィルター48の中間にリテーナー52が
あるため、バグフィルター自体を押し潰すことができな
いため、高温炉ガス45aを間欠的に吹き付けるパルス
ジェット方式が一般的に採用される。間欠的にバグフィ
ルターに吹き付けられた洗浄用の高温炉ガス45aは、
バグフィルター48の濾材49を通過し、バグフィルタ
ーの濾材49内に蓄積した粉塵51を振るい落とす。
【0009】こうした高温炉ガスを利用する発電システ
ムに使用されるバグフィルターは、円筒形、封筒状の多
数の濾布(バグフィルター)の内外表面で固体粒子を捕
集する手段であり、濾布としては、排ガスの温度や酸、
アルカリ、水分などの化学的条件に応じてポリエステル
繊維、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維、ポリ
フェニレンサルファイド繊維、ポリイミド繊維、フェノ
ール樹脂繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、カー
ボン繊維、ガラス繊維を単独もしくは2種以上混合して
フェルト状または織布状に加工した濾材が使用されてい
る。
【0010】バグフィルターによる集塵は使用初期にお
いて濾布の表面近傍で捕集された比較的粗大な固体粒子
が一次付着層を形成し、ついでこの一次付着層が排ガス
中の固体粒子を二次付着層として形成堆積しながら捕集
することによって行なわれる。バグフィルターによる実
質的な捕集能は一次付着層による捕集により達成されて
いるが、固体粒子の付着堆積は濾布の圧力損失を増大さ
せる。そこで定期的にパルスジェット方式などによる付
着堆積物の払い落しを行ない、再生している。しかし、
再生後、一次付着層が形成されるまで微細な粒子は捕集
されずに通過してしまう点が問題となる。
【0011】乾式集塵装置には粗粒集塵装置を通った高
温炉の排気ガスが送られてくるが、それでもガス温度は
150〜250℃である。したがって、乾式集塵装置で
使用するバグフィルターの濾材の材質も前記の耐熱性に
富むものが使用されており、市販のものとしては広く使
用されているものはたとえばガラス繊維の織布、エマル
ジョン紡糸法で得られた枝やループのないポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)のモノフィラメントとガラ
ス繊維とを85/15の重量比で混合した混合繊維を耐
熱性の基布に植毛したフェルトなどがある。
【0012】ガラス繊維の織布は安価であるが耐薬品性
や通気性に劣る。一方、PTFEとガラス繊維の混合フ
ェルトにはそのような問題はないが払い落し性能に劣る
ほか、高価である。
【0013】また、環境保護の観点から、できるだけサ
ブミクロンの微粒子を排出しないことが重要であるが、
サブミクロンの微粒子を捕集できる濾材は、ポリイミド
のフェルト上にPTFEの多孔質膜を接着剤により貼り
合せたものなどが知られている。
【0014】しかし、この高捕集能の濾材はPTFE多
孔質膜が25μm以下と非常に薄いため、支持材にホッ
トメルト型の接着剤または熱溶融樹脂で接着させている
が、150〜250℃、またはそれ以上という乾式集塵
装置の運転温度では接着剤が劣化する、払い落し操作時
に膜の剥離を生じてしまう、接着剤が熱により流動し多
孔質の孔を塞いでしまうといったトラブルが生ずるた
め、到底使用できない。
【0015】このように、耐熱性でかつサブミクロンの
粉塵まで捕集でき、高温炉ガス発電に使用できる濾材は
現在のところない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、高温環境下
でサブミクロンの微粒子を高捕集率で集塵できる濾材か
らなるバグフィルターを用いた高温炉ガス発電システム
を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、高温
炉の排気ガスを集塵装置に通して得られる清浄化された
高温炉ガスによりタービンを回転させて発電するシステ
ムにおいて、集塵装置に用いる濾材として、耐熱性繊維
からなる織布または編布である基布(A)とフッ素樹脂
繊維からなる層(B)とを含み、該フッ素樹脂繊維の層
(B)が濾材の少なくとも一方の最外層を構成している
ことを特徴とする濾材を用いる高温炉ガスを用いた発電
システムに関する。
【0018】本発明の発電システムにおいて使用する集
塵装置に用いる濾材は、つぎのものが好ましい。
【0019】前記基布(A)と最外層のフッ素樹脂繊維
層(B)との間に耐熱性繊維の中間層を有していてもよ
い(なお、以下の説明において基布(A)という場合
は、織布などの基布とフェルトなどの中間層とを合わせ
たものをいう場合もある)。
【0020】また最外層のフッ素樹脂繊維層(B)の目
付は、50〜300g/m2のであるのが好ましい。
【0021】さらに前記基布(A)とフッ素樹脂繊維か
らなる層(B)との剥離強度が1000g/cm以上で
あることが好ましい。
【0022】また、本発明の高温炉の集塵装置用濾材と
して用いる場合、基布(A)の引張強度は30kgf/
5cm以上であるのが好ましく、濾材は初期通気度が1
cc/cm2/秒以上であるのが好ましく、また、粒子
径が1μm以上のフタル酸ジオクチル(DOP)粒子の
初期捕集効率が90%以上、好ましくは95%以上であ
る、さらには粒子径が0.3μm以上のDOP粒子の初
期捕集効率が70%以上、好ましくは90%以上である
のが好ましい。
【0023】本発明の濾材は、フタル酸ジオクチル粒子
の粒子径(μm)をXとし、式(1):
【0024】
【数1】
【0025】で算出されるPF値をYとするとき、Yが Y>29.34X0.3684 を満たすものが好ましい。
【0026】前記基布(A)が織布であり、縦および横
共に20本/インチ以上の織密度を有することが好まし
い。
【0027】フッ素樹脂繊維は、ポリテトラフルオロエ
チレン(PTFE)繊維であるのが好ましい。また、こ
のフッ素樹脂繊維は分枝および/またはループを有して
いるのが好ましい。
【0028】基布または中間層を構成する耐熱性繊維と
しては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維、
ガラス繊維、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊
維、ポリイミド繊維および/または含フッ素樹脂繊維で
あるのが好ましい。
【0029】またバグフィルターとしては、リテイナー
を有しない逆圧洗浄用のバグフィルターの形が好ましい
が、リテイナーを有するタイプの集塵装置用のバグフィ
ルターとして用いてもよい。
【0030】なお各性能は後述する試験方法で測定した
ものである。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の発電システムは、乾式集
塵装置に特定の構造を有する濾材からなるバグフィルタ
ーを用いる以外は、図1〜3に示す公知のシステムおよ
び装置が使用できる。したがって、以下、集塵装置用濾
材について説明する。
【0032】本発明で使用する濾材は、耐熱性繊維の基
布(A)と少なくとも一方の最外層にフッ素樹脂繊維の
層(B)、好ましくは分枝および/またはループを有す
るPTFEステープルファイバーのフェルト層を有する
ものである。以下、特に断らない限りPTFE繊維に代
表させて説明するが、他のフッ素樹脂繊維でも同様であ
る。
【0033】また、基布(A)および中間層においても
含フッ素樹脂繊維を使用することもあるが、最外層
(B)で使用するフッ素樹脂繊維と同じでも異なってい
てもよい。ただし、基布(A)は織布または編布であ
り、含フッ素樹脂繊維がヤーンまたは加工糸などの形で
織布または編布を構成する糸となっており、バラバラの
繊維が交絡している最外層(B)と区分けできる。また
中間層に含フッ素樹脂繊維を使用する場合、最外層
(B)と同じ材質および形状のものを使用する場合は区
分けは困難であり、この場合は中間層が設けられている
とは見なさず最外層(B)が複層となっているとする。
また中間層の含フッ素樹脂繊維として後述するように分
枝やループを有しないステープルファイバーを使用する
場合、通常25〜100mm前後の長さに切り揃えた繊
維とし基布にニードル法などで交絡させることが好まし
く、長さに幅広い分布を有しかつ分枝やループを有する
繊維が好ましく使用される最外層(B)と区分けでき
る。好ましくは最外層(B)のフッ素樹脂繊維と中間層
の含フッ素樹脂繊維とは材質的に異なっている方がよ
い。
【0034】PTFEの最外フェルト層は基布に直接交
絡させてもよいが、バグを保持するリテーナーなどの機
械力による損傷を軽減する、または逆圧洗浄時の屈曲変
形に対する耐久性を向上させるなどの点から、耐熱性繊
維のフェルト層(中間フェルト層)を少なくとも集塵層
側に介在させた複層フェルトの形態が好ましい。
【0035】用いる基布は前記の耐熱性繊維で作製した
織布または編布である。織り方や編み方については特に
限定されないが、バグフィルターとして使用するために
は、30kgf/5cm以上の引張強度をもつものが好
ましい。耐熱性繊維は使用する環境温度や酸、アルカ
リ、水分などの化学的条件などに応じて選定する。たと
えば使用温度が190〜250℃の場合はカーボン繊
維、ガラス繊維などの無機繊維、またはPTFE繊維、
ポリイミド繊維などの融点(熱分解温度)が250℃以
上の有機合成繊維、使用温度が120〜190℃の場合
は前記の繊維に加えてPPS繊維、メタ系またはパラ系
アラミド繊維、フェノール樹脂繊維、PTFE以外のフ
ッ素樹脂繊維などの有機合成繊維が使用できる。
【0036】もちろん、PTFEウェブを構成するPT
FEステープルファイバーを用いた基布も使用できる。
【0037】また基布が織布である場合は、通気性を確
保するために、織密度を縦および横共に20本/インチ
以上、好ましくは25本/インチ以上とすることが望ま
しい。
【0038】つぎに濾布の最外層(B)を形成するフッ
素樹脂繊維について説明する。
【0039】フッ素樹脂繊維としては、PTFE繊維、
特に分枝および/またはループを有するPTFEステー
プルファイバーがあげられるが、そのほか、たとえばテ
トラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニル
エーテル)共重合体(PFA)繊維、テトラフルオロエ
チレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)
繊維、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(E
TFE)繊維などが使用できる。
【0040】用いるPTFEのステープルファイバー
は、分枝および/またはループを有しているのが好まし
く、交絡性、耐脱毛性に優れているという点から、PT
FEのフィルムから焼成または半焼成工程、延伸工程、
高速で回転する針刃ロールによる擦過、解繊工程などを
へて得られるステープルファイバーが好ましい。
【0041】さらに、このうちでも、半焼成工程をへて
得られるステープルファイバーが、延伸倍率が大きく
(焼成工程をへて得られるものの3〜6倍)、比重の小
さなものが得られるのでウェブの目付を小さくでき、ま
た自己粘着性を示しやすいので熱プレス加工により、毛
羽立ちを抑制できるとともに平滑であってダスト剥離性
に優れるという点で好ましい。
【0042】PTFEフェルト層(B)はPTFEステ
ープルファイバーからなるウェブをフェルト化して得ら
れる。このウェブ(PTFEフェルト層)の目付は、P
TFEが有する本来の特性を維持でき、耐摩擦性をはじ
めとする本発明の各用途における効果、さらにコストメ
リットが得られるという点から50〜300g/m2
あることが好ましく、捕集性能および圧力損失のバラン
スが好適になるという点から100〜250g/m2
あることがさらに好ましい。
【0043】また、PTFEのステープルファイバーか
らなるウェブの目付を50〜300g/m2にする場
合、該ステープルファイバーの繊維長としては1〜10
0mmであることが、ウェブの地合いがよく、比較的均
一なウェブを得ることができるという点から好ましく、
1〜50mmであることがより好ましく、3〜25mm
であることがさらに好ましく、3〜15mmであること
がとくに好ましい。
【0044】さらにPTFEステープルファイバーは
0.5m2/g以上の比表面積をもつことが微粒子と繊
維の接触効率が上がり捕集性能を向上させる点から好ま
しい。
【0045】PTFEステープルファイバーのウェブは
通常のウェブ形成技術、たとえばカード機による方法、
エアレイ法などにより作製できる。この際、本発明に用
いられるPTFEステールファイバーは分枝および/ま
たはループを有しているので、繊維の脱落などが極めて
少ないウェブが得られる。
【0046】本発明で用いる集塵装置用濾材は、かくし
て得られたPTFEのウェブを基布に直接、または基布
に予め形成された他の耐熱性繊維の中間フェルト層に交
絡させて最外層のフェルト層を形成することにより製造
される。本発明においてはバグの機械的外力による損傷
の軽減などの点から、中間フェルト層を介する複層フェ
ルトの形態とするのが好ましい。
【0047】中間フェルト層は最外フェルト層を構成す
るPTFEステープルファイバー以外の耐熱性繊維で形
成されるのが好ましい。該耐熱性繊維としては前記の基
布に用いられる耐熱性繊維があげられる。特に好ましい
中間フェルト層用の耐熱性繊維としては、たとえばメタ
系アラミド繊維、ポリイミド繊維、パラ系アラミド繊
維、PPS繊維などがあげられる。基布および中間フェ
ルト層を形成する材料の種類は同じでも異なっていても
よいし、それぞれが混合物であってもよい。中間フェル
ト層は前記耐熱性繊維のウェブをニードルパンチ法など
で基布の繊維と交絡させることにより形成できる。
【0048】本発明に使用する複層フェルト型の濾材
は、たとえば図4に模式的に示すような断面構造を有し
ている。図4において、1は中間フェルト層2の少なく
とも一方の最外表面に形成されているPTFEのステー
プルファイバーからなる最外フェルト層(緻密層)であ
り、中間フェルト層2は耐熱性繊維4からなりその中央
部分に基布3を有している。図5は、図4で示される複
層フェルト型濾材を集塵に用いたあとの断面を模式的に
示しており、1〜4は前記と同じであり、5はダストの
粒子を示している。
【0049】つぎに、このような複層フェルト型の濾材
を得るための製法について説明するが、とくに断わりの
ない限り、用いる各種の材料は前記したものを用いるこ
とができる。
【0050】(中間フェルト層の形成) (ア)基布に中間フェルト層を形成する方法は、通常の
方法、たとえばニードルパンチ法によればよい。
【0051】(複層化するためのPTFEウェブの作
製) (イ)PTFEの半焼成フィルムを6〜30倍に延伸し
たのち、図6に示す擦過および解繊をするための装置を
用いて擦過、解繊する。
【0052】図6において、6はPTFEの一軸延伸フ
ィルム、7はピンチロール、8は針刃ロール、9は針、
10はフード、11は搬送ベルト、12は解繊されたP
TFEのステープルファイバー、13はPTFEのステ
ープルファイバーからなる綿状物を示す。
【0053】前記擦過、解繊して得られるPTFEのス
テープルファイバーは、図7に模式的に示すような形状
を有している。図7において、14は前記綿状物を構成
するPTFEのステープルファイバー、16は縮れ、1
5、17および18は分枝、19はループを示す。
【0054】このような擦過、解繊により、ループ構造
および/または分枝を有し、場合によっては捲縮性のあ
る繊維長1〜100mmで比表面積0.5g/m2以上
のステープルファイバーの綿状物からなる目付50〜3
00g/m2のウェブが得られる。
【0055】(最外フェルト層の形成) (ウ)前記(ア)に示す中間フェルト層のうえに、前記
(イ)で得られたPTFEウェブをのせ、ウォータージ
ェットニードル装置を用いて、該フェルトを形成してい
る繊維と該ウェブを形成しているステープルファイバー
とを交絡により結合して、複層フェルト化する。ウォー
タージェットニードルの条件としては、通常のコットン
繊維のフェルト化に用いられる条件があげられる。
【0056】なお、複層化するためのPTFEの半焼成
ステープルファイバーからなるウェブ作製には、前記図
6に示す擦過および解繊をするための装置を用いること
が、該ファイバーが装置内に詰ったり、また付着したり
しないという点から好ましく、さらに中間フェルト層に
該ファイバーを直接堆積することができるので、工程の
簡略化が図れるという点で好ましい。また、このとき前
記中間フェルト層の代わりに通気性のあるスパンボンド
不織布や織布に前記PTFEステープルファイバーを一
時的に堆積してから、中間フェルト層に転載したのち、
前記したようなウェータージェットニードル装置を用い
て交絡してもよい。また金属針によるニードルパンチを
併用することにより交絡がより進み、とくに中間フェル
ト層の内部の該フェルトを形成している耐熱性繊維とも
交絡するので、より強固な複層フェルトが得られる。
【0057】また、前記手法により得られた複層フェル
トのPTFEステープルファイバーからなる最外フェル
ト層の表面を平滑化することにより、さらに摩擦係数が
低く、離型性に優れたものを作製できる。
【0058】表面平滑化の手段としては摩擦係数を低く
でき、離型性に優れることができるものであればよく、
たとえば、加熱できるニップロールや面圧でニップを行
うような連続式ベルト式ラミネーター(たとえばアサヒ
繊維機械(株)製JR:9005)を用いればよい。ま
た、焼きゴテのようなもので逐次プレスする方法や、家
庭用のアイロン、ズボンプレッサーなどでもよい。表面
平滑化の状態は、100〜360℃の範囲内の温度で圧
力と加圧時間により自由に得ることができる。
【0059】このような製法により得られる複層フェル
ト型の濾材は、その表面のPTFEのステープルファイ
バーからなる最外フェルト層が緻密であり、該ファイバ
ーはループ構造および/または分枝を有しているので、
中間フェルト層を形成している繊維との交絡性に優れて
おり、とくに耐摩擦性に優れているとともに弾性、可撓
性を有しており、PTFEが本来有している特性を保持
しているものである。
【0060】かかる濾材を、高温炉ガスを使用する発電
システムの乾式集塵装置のバグフィルターに利用する。
図2に例示的に示すようなリテイナーを持たないタイプ
の逆圧洗浄用のバグフィルターは、たとえば前記濾材を
PTFEの最外フェルト層が内側になるように、直径1
00〜300mm、長さ0.5〜20mのバグ状に縫製
加工して得られる。濾過操作は、バグの開口部からPT
FEの最外フェルト層の側(バグの内側)へダストなど
の粒子を含む流体(液体や気体)を供給することによ
り、濾過されて清浄な流体をバグの外部へ放出すること
ができる。
【0061】バグフィルターは、たとえば図3に例示的
に示すような濾材をPTFEの最外フェルト層が外側に
なるように、直径100〜300mm、長さ0.5〜5
mのバグ状に縫製加工し、内部にリテイナーと呼ばれる
形状保持枠を挿入したタイプのバグフィルターとしても
よい。この場合は、PTFEの最外フェルト層の側から
ダストなどの粒子を含む流体(液体や気体)を供給する
ことにより、濾過されて清浄な流体をバグフィルターの
開口部から外部へ放出することができる。また、前記ス
テープルファイバー層をバグフィルターの内側になるよ
うにしてもよく、この場合の前記流体の流れは逆にな
る。さらに、濾過面積を大きくするために、プリーツ状
の濾材を用いてもよい。
【0062】また、PTFEフェルト層中のステープル
ファイバーが基布または中間フェルト層の耐熱性繊維に
交絡により強固に結合しているため、バグフィルターと
して使用した場合、パルスジェット用空気や逆圧洗浄用
の空気によって発生する膨脹、振動、屈曲変形、摩耗な
どの機械的強度に対する耐久性が優れており、バグフィ
ルターの損傷トラブルを軽減することができる。
【0063】ところで、前述のように、耐熱バグフィル
ター用の濾布としてメタ系アラミド繊維、PPS繊維、
ポリイミド繊維、PTFE繊維などからなる単層のフェ
ルトが広く使用されている。このような従来の単層濾材
の表面のみをPTFEのステープルファイバーを用いて
複層化することで本発明の濾材とすることができ、PT
FEのステープルファイバーの優れた性能を安価に付与
することができる。
【0064】本発明で用いる濾材は、集塵側の表面層
(最外層)がPTFEステープルファイバーのフェルト
層であるので、その優れた特性すなわち小さい表面エネ
ルギーのためにダストなどの粒子の脱離がよく、たとえ
ば湿潤ダストの固着が起らず払い落し性に優れている。
【0065】また、最外層がPTFEのステープルファ
イバーで緻密に形成されているので、ダストなどの粒子
が母材フェルトの深部まで侵入せず、圧力損失の上昇を
長期にわたって低く維持することができる。
【0066】なお、本発明において、乾式集塵装置の種
類や集塵方法によっては、前記濾材を平板状でも用いる
ことができ、たとえば500mm×500mmの大きさ
の濾材の外周を金属製の枠で囲い、外周から流体が漏れ
ないようにシールしたり、また流体の圧力に耐えるよう
に濾材の両面を網で覆って補強してもよく、さらに濾過
面積を大きくするために、プリーツ状の濾材としてもよ
い。また箱状や球面状として用いることもできる。
【0067】前記濾材は優れた耐熱性に加えて捕集効
率、通気度、払い落し性にも優れている。
【0068】たとえば初期通気度は1cc/cm2/秒
以上、好ましくは5cc/cm2/秒以上であり、20
cc/cm2/秒まであげられる。したがって圧力損失
も少ない。通常10〜15cc/cm2/秒の範囲のも
のが好適に使用される。
【0069】またフタル酸ジオクチル(DOP)につい
て、粒子径が1μm以上の粒子の初期捕集効率は90%
以上、好ましくは95%以上であり、粒子径が0.3μ
m以上のサブミクロン粒子を含む場合でも70%以上、
好ましくは90%以上の初期捕集効率をもつ。したがっ
て、類似物質であるダイオキシンも同様の高効率で捕集
できる。
【0070】さらに、リテイナーを有する方式のパルス
ジェット方式による払い落し後(再生後)の目詰まりも
少なく、しかも再生後の捕集効率の極端な低下もない。
たとえばダスト付着量は5g/0.09m2以下、特に
3.5g/0.09m2以下にすることができる。
【0071】そのほか結露した水滴で濡れることがない
ので、たとえ100℃以下の条件での集塵でも濡れによ
る圧損の上昇が生じないし、また使用済のバグフィルタ
ーの付着物の水洗除去も容易であるなど各種性能に優れ
ているものである。
【0072】本発明の発電システムにおける乾式集塵装
置は、上記のとおり、リテイナーを持たない逆圧洗浄方
式や機械的加振方式が好ましく採用できる。これらの方
式では、付着した堆積物(ダスト)をバグフィルターに
物理的変形、たとえば屈曲変形や振動を加えることによ
り剥離している。この種のバグフィルターの材料として
は、従来、耐熱性繊維のフェルトにPTFEの延伸多孔
質膜をラミネートした濾材が使用されている。しかしこ
のPTFE多孔質膜ラミネート材では、屈曲変形操作を
繰返し行なうと屈曲疲労により皺が発生し最終的には座
屈を生じてしまい、その部分の機械的強度が極端に低下
してしまう。本発明者らの検討の結果、この現象はPT
FE多孔質膜を外側に設けた場合(パルスジェット方
式)に起こる外曲げよりも、逆圧洗浄方式などの内曲げ
において顕著に生ずることが判明した。
【0073】しかし前記濾材をPTFEフェルト層
(B)を内側にして使用すると、バグの内側が繊維が交
絡したフェルト層であるから、屈曲変形を繰り返して行
なっても座屈はもとより極端な皺も発生せず、長期間に
わたる優れた耐久性が得られ、集塵効果を長期間維持で
きる。
【0074】本発明の発電システムは高温炉ガスを利用
するシステムに最も好適に適用できるが、そのほかの発
電システム、たとえば種々の高温炉の排気ガスを利用
し、その排気ガスを集塵する集塵装置が採用されるシス
テムであれば、同様の効果が奏される。そのほかの高温
炉としては、たとえば都市ゴミ用、産業廃棄物、医療廃
棄物などの焼却炉;転炉、キュポラなどの金属溶融炉;
コークス炉、石灰焼成炉、石膏焼成炉、黒鉛焼成炉、カ
ーボンブラック製造設備などの焼成炉;石炭流動床ボイ
ラー、微粉炭ボイラー、オイルコークスボイラー、石炭
ストーカーボイラー、木屑ボイラー、廃タイヤボイラー
などの各種ボイラーなどがあげられる。
【0075】本発明で使用する集塵装置用の濾材として
好ましい実施形態をつぎにあげるが、これらの形態に限
定されるものではない。
【0076】 (I)(1)基布:耐熱性繊維の織布または編布 (2)フッ素樹脂フェルト層:分枝および/またはルー
プを有するPTFEステープルファイバー 繊維長:1〜100mm 比表面積:0.5m2/g以上 目付:50〜300g/m2 (3)性能 初期通気度:10cc/cm2/秒以上 初期捕集効率(DOP):1μm以上が90%以上、
0.3μm以上が70%以上 ダスト付着量:5g/0.09m2以下
【0077】 (II)(1)基布:耐熱性繊維の織布または編布 (2)中間フェルト層:耐熱性繊維 目付((1)+(2)):300〜800g/m2 (3)フッ素樹脂繊維の最外フェルト層:分枝および/
またはループを有するPTFEステープルファイバー 繊維長:1〜50mm 比表面積:0.5m2/g以上 目付:50〜300g/m2 (4)性能 初期通気度:5cc/cm2/秒以上 初期捕集効率(DOP):1μm以上で90%以上、
0.3μm以上で70%以上 ダスト付着量:5g/0.09m2以下
【0078】(III)(1)基布:パラ系アラミド繊
維、メタ系アラミド繊維、PPS繊維、ポリイミド繊
維、PTFE繊維 (2)中間フェルト層:パラ系アラミド繊維、メタ系ア
ラミド繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維 目付((1)+(2)):300〜800g/m2 (3)フッ素樹脂繊維最外フェルト層:分枝および/ま
たはループを有する半焼成PTFEステープルファイバ
ー 繊維長:1〜50mm 比表面積:0.9m2/g以上 目付:100〜250g/m2 (4)性能 初期通気度:9cc/cm2/秒以上 初期捕集効率(DOP):1μm以上で90%以上、
0.3μm以上で70%以上 ダスト付着量:5g/0.09m2以下
【0079】(IV)(1)基布:メタ系アラミド繊維、
PPS繊維、PTFE繊維 (2)中間フェルト層:メタ系アラミド繊維、PPS繊
維 目付((1)+(2)):350〜500g/m2 (3)フッ素樹脂繊維最外フェルト層:分枝および/ま
たはループを有する半焼成PTFEステープルファイバ
ー 繊維長:3〜25mm 比表面積:1.5m2/g以上 目付:100〜200g/m2 (4)性能 初期通気度:9cc/cm2/秒以上 初期捕集効率(DOP):1μm以上で95%以上、
0.3μm以上で90%以上 ダスト付着量:5g/0.09m2以下
【0080】(V)(1)基布:PPS繊維の平織の織
布、PTFE繊維の織布 (2)中間フェルト層:PPSステープルファイバー 目付((1)+(2)):350〜500g/m2 (3)フッ素樹脂繊維最外フェルト層:分枝および/ま
たはループを有する半焼成PTFEステープルファイバ
ー 繊維長:3〜25mm 比表面積:1.5m2/g以上 目付:100〜200g/m2 (4)性能 初期通気度:9cc/cm2/秒以上 初期捕集効率(DOP):1μm以上で95%以上、
0.3μm以上で90%以上 ダスト付着量:3g/0.09m2以下
【0081】(VI)(1)基布:パラ系アラミド繊維、
メタ系アラミド繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、含
フッ素樹脂繊維の1種または2種以上を用いた織布 (2)中間フェルト層:パラ系アラミド繊維、メタ系ア
ラミド繊維、PPS繊維、ポリイミド繊維、含フッ素樹
脂繊維、活性炭繊維、ガラス繊維の1種または2種以上 目付((1)+(2)):300〜800g/m2 (3)フッ素樹脂繊維最外フェルト層:分枝および/ま
たはループを有する半焼成PTFEステープルファイバ
ー 繊維長:1〜50mm 比表面積:0.9m2/g以上 目付:100〜250g/m2 (4)性能 初期通気度:9cc/cm2/秒以上 初期捕集効率(DOP):1μm以上で90%、0.3
μm以上で70% ダスト付着量:5g/0.09m2以下
【0082】
【実施例】つぎに本発明で使用する濾材について、参考
例および比較参考例をあげてその効果を説明する。
【0083】参考例1 PTFEファインパウダーから常法により未焼成フィル
ムを作製し、337℃に加熱した塩浴中で45秒間熱処
理することにより半焼成フィルムを得、350℃で25
倍に一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを回転速度4
500rpm、フィルム送り速度1.5m/分で針刃ロ
ールにより擦過解繊して分枝およびループを有するPT
FEステープルファイバーの綿状物を製造した。得られ
たPTFEステープルファイバーの繊維長は概ね1〜1
00mmの間にあり、比表面積は3.3m2/gであ
り、平均繊維径は10μmであった。
【0084】得られたPTFEステープルファイバーの
綿状物から目付150g/m2のウェブを作製した。
【0085】基布(耐熱性繊維の織布)にメタ系アラミ
ド繊維の中間フェルト層を交絡した濾布(目付350g
/m2、引張強度:縦80kgf/5cm、横115k
gf/5cm)の中間フェルト層上に前記PTFEのウ
ェブを載せ、ウォータージェットニードル法により後述
の条件下でPTFEステープルファイバーと中間フェル
ト表面層のメタ系アラミド繊維とを交絡させて最外層が
PTFEフェルト層の複層フェルト型濾材を製造した。
【0086】(ウォータージェットニードルの条件)ウ
ォータージェットニードルの吐出し孔の配置は、吐出し
孔径150μmが幅方向に0.6mm間隔の配列で長手
方向に4列配置されたものであり、その圧力は1列目が
17kgf/cm2、2列目が28kgf/cm2、3列
目が55kgf/cm2、4列目が55kgf/cm2
あった。この条件で3回処理した。
【0087】得られた複層フェルト型濾材および、PT
FEフェルト層を設けるまえの前記メタ系アラミド繊維
の濾布(比較参考例1)について、つぎの試験を行なっ
た。
【0088】通気度:JIS L1096に準じている
フラジール型通気度試験機を用いて測定した。結果を表
1に示す。 ダスト付着量:後述する図8に示す装置により関東ロー
ムdp50(1.5μm径)を擬似ダストとして、つぎ
の条件下で測定した。結果を表1に示す。 濾過速度:3.0m/秒 ダスト濃度:12.5g/m3 濾過面積:30×30cm(0.09m2) 圧力損失:後記する図9に示す装置を用い、濾過風速
3.3cm/秒の条件で測定した。結果を表1に示す。 厚 さ:圧縮弾性試験機(中山電機産業(株)製)を用
い、20g/cm2の荷重をかけ、ランダムに10点を
測定し、その平均値を用いた。結果を表1に示す。 初期捕集効率(DOP)および粒子透過率:後述する図
9に示す装置により、フタル酸ジオクチル(DOP)粒
子(粒径範囲約0.1〜1.0μm)を用い、つぎの条
件下で測定した。結果を図10に示す。 濾過風速:3.3cm/秒 濾過面積:95cm2 上流濃度:0.3μm径の粒子で30000個/リット
【0089】(図8に示す装置の説明)ヒーター付きフ
ィーダ21、エゼクタ22および空気取り入れ口23か
らなる粉塵供給部から試験用粉塵を供給する。集塵室2
4内には被験サンプル濾材25が配設されており、サン
プル濾材25の両側に圧力センサ26が設けられてい
る。集塵室24内はブロア27により粉塵供給部から図
中右側に流れる気流が生じており、供給された粉塵はサ
ンプル濾材25の図中左側に堆積し、サンプル濾材の左
右で圧力差が生ずる。この圧力差が所定の値になったと
き集塵室24の上部に設けられたパルス噴射口28から
衝撃波を送り、サンプル濾布25の図中左側に堆積した
粉塵をダストホッパ29に落下させる。ダストの付着量
は、集塵する前後の重量差から算出する。
【0090】(図9に示す装置の説明)空気をフィルタ
31およびマスフローコントローラ32を介してDOP
粒子発生器33に導入し、ついでプレフィルタ34で測
定外の大粒子(粒径1μm超)を減数したのち集塵室3
5に下から供する。集塵室35にはサンプル濾材36が
配設されており、サンプル濾材36の上下に圧力センサ
37が設けられ、差圧計38で圧力差を検出する。この
圧力差が一定になるようにマスフローコントローラ32
で流量を調節する。39はパーティクルカウンタで、サ
ンプル濾材36を通過後の気流中の粒子の粒径ごとの数
を測定し、粒径ごとに初期捕集効率および粒子透過率を
算出する。また、圧力損失は流量を一定にして差圧計で
測定する。
【0091】
【数2】
【0092】また、圧力損失および粒子透過率の値から
前記式(I)に従ってPF値を算出した。結果を図11
に示す。
【0093】参考例2および比較参考例2 参考例1において、耐熱性の基布にPPS繊維を中間フ
ェルト層として交絡した濾布(引張強度は表1に示す)
を用いたほかは参考例1と同様にしてPTFEの最外フ
ェルト層を設けて濾材を製造した。なお、PTFEフェ
ルト層を設けるまえの前記濾布を比較参考例2とした。
【0094】得られた各濾材につき、各性能を測定し
た。結果を表1、図10および図11に示す。
【0095】参考例3および比較参考例3 参考例1において、耐熱性の基布にポリイミド繊維を中
間フェルト層として交絡した濾布(引張強度は表1に示
す)に参考例1と同様にしてPTFEフェルト層を設け
て濾材を製造した。なお、PTFEフェルト層を設けな
かった濾布を比較参考例3とした。
【0096】得られた各濾材につき、各性能を測定し
た。結果を表1、図10および図11に示す。
【0097】参考例4 参考例1において、エマルジョン紡糸法で製造したPT
FEモノフィラメントの基布に同じくエマルジョン紡糸
法で製造したPTFEモノフィラメントのステープルフ
ァイバーのウェブを交絡させて中間フェルト層とした濾
布に参考例1と同様にしてPTFEの最外フェルト層を
設けて濾材を製造した。
【0098】得られた濾材につき、各性能を測定した。
結果を表1、図10および図11に示す。
【0099】比較参考例4 エマルジョン紡糸法で製造されたPTFEモノフィラメ
ントの織布を基布としこれの上下にエマルジョン紡糸法
で得たPTFEモノフィラメントを裁断して得られたス
テープルファイバー(分枝とループを有さない)85重
量%とガラス繊維のカットファイバー15重量%とから
なる混合ウェブを交絡した濾布につき、各性能を測定し
た。結果を表1、図10および図11に示す。
【0100】
【表1】
【0101】表1、図10および図11から明らかなよ
うに、フッ素樹脂繊維、特に分枝および/またはループ
を有するPTFEステープルファイバーからなるフェル
ト層を最外層に有する参考例で製造した濾材はサブミク
ロンの粒子をも高効率で捕集でき、しかもダストの付着
量が少なく、長期間繰り返して使用できるものである。
【0102】参考例5 参考例1においてPTFEフェルト層の目付を250g
/m2とし、基布として表2に示す織密度を有するガラ
ス繊維の綾織布を用い、また以下に示すウォータージェ
ットニードル条件で交絡させたほかは同様にして濾材を
作製した。この濾材について、参考例1と同様の試験を
行ない(ただしダスト付着量試験を除く)、さらに以下
のPTFEフェルト層と基布との剥離強度を調べた。結
果を表2に示す。
【0103】(ウォータージェットニードルの条件)ウ
ォータージェットニードルの吐出し孔の配置は、孔径の
異なる4列の吐き出し孔(吐出し孔径は順に150μ
m、130μm、120μmおよび100μm)が幅方
向に約1mm間隔の配列で長手方向に配置されたもので
あり、それぞれの列の吐き出し圧力条件をつぎのとおり
に変更しながら3回処理した。
【0104】 吐き出し孔径(μm) 圧力条件(kgf/cm2) 1回目 150 15 130 20 120 35 100 55 2回目 150 70 130 85 120 85 100 85 3回目 150 85 130 85 120 100 100 100
【0105】(剥離試験)被験サンプルの濾材(30×
150mm)のPTFEフェルト層(またはPTFE多
孔質膜)側にクラフトテープ(積水化学工業(株)製の
ビニルクロスNo750)をしっかり貼りつけたのち、
基布とPTFEフェルト層(またはPTFE多孔質膜)
との間を手で少し剥がしておく。ついで引張試験機
((株)島津製作所製のオートグラフDSC−500)
の一方のチャックに基布側を、他方のチャックにクラフ
トテープが貼りつけられたPTFEフェルト層(または
PTFE多孔質膜)を取りつけ、チャック間距離200
mm、引張速度300mm/分で180度剥離試験を5
枚のサンプルについて行ない、平均値を剥離強度とす
る。なお、各サンプルにおいては、剥離距離が20m
m、40mmおよび60mmの時点の剥離強度を測定
し、その平均値をそのサンプルの剥離強度とする。
【0106】比較参考例5 参考例5において使用した基布(ガラス繊維の綾織布)
にPTFEの多孔質膜を貼り合せた従来の濾材を用いて
参考例5と同様の試験を行なった。結果を表2に示す。
【0107】参考例6 参考例5において、基布として表2に示す織密度を有す
るガラス繊維の二重織りの織布を用いたほかは同様にし
て濾材を作製した。この濾材について、参考例1および
5と同様の試験を行なった(ただしダスト付着量試験を
除く)。結果を表2に示す。
【0108】比較参考例6 参考例6において使用した基布(ガラス繊維の二重織
布)にPTFEの多孔質膜を貼り合せた従来の濾材を用
いて参考例5と同様の試験を行なった。結果を表2に示
す。
【0109】
【表2】
【0110】表2から、基布にPTFE多孔質膜を貼り
合わせたものは基布とPTFE多孔質膜の間に層間剥離
が容易に起こるが、参考例で製造したPTFEフェルト
層(B)は基布に強力に絡みついていることが分かる。
【0111】参考例7 参考例3で作製した濾材について、つぎの屈曲疲労試験
を行ない、屈曲疲労試験後に引張試験を行なった。結果
を表3に示す。
【0112】(屈曲疲労試験) 試験装置 デマチャ式屈曲疲労試験機(JIS K 6301 お
よびK 6202に規定する装置) 試験条件 試験温度:200℃ サンプル形状:幅25mm、長さ140mm チャック間屈曲距離:最大63mm、最小6mmのスト
ローク 屈曲サイクル速度:150サイクル/分 屈曲サイクル総回数:6万回 試験方法 サンプルをPTFEフェルト層が内側になるように屈曲
する試験(内曲げ試験)と、PTFEフェルト層が外側
になるように屈曲する試験(外曲げ試験)を行ない、5
枚のサンプルの平均値を算出する。
【0113】(引張試験) 試験装置 引張試験機((株)島津製作所製のオートグラフDSC
−500) 試験条件 試験温度:25℃ 試験片:(a)濾材を幅方向に幅20mm、長さ140m
mに裁断したもの (b)濾材を長手方向に幅20mm、長さ140mmに裁
断したもの チャック間距離:30mm 引張速度:200mm/分 強度の算出 5枚のサンプルの平均値を5cm幅に換算して評価す
る。
【0114】比較参考例7 ポリイミド繊維製の織布からなる基布およびポリイミド
繊維の中間層からなるフェルトの一方の面にPTFE多
孔質膜を貼りつけた従来の濾材(目付400m 2、厚さ
(100g荷重時)1.8mm)を作製し、参考例7と
同様にして屈曲疲労試験および屈曲疲労試験後の引張試
験を行なった。結果を表3に示す。
【0115】
【表3】
【0116】表3の結果から、PTFE多孔質膜を貼り
合わせた比較参考例7の濾材では、多孔質膜側(内側)
に屈曲疲労を加えた場合著しい強度の低下が生じたが、
参考例で製造した濾材では強度の低下は内側屈曲でも外
側屈曲でも殆ど生じないことが分かる。
【0117】
【発明の効果】本発明の高温炉ガス発電システムによれ
ば、耐熱性および集塵性、さらに繰返し屈曲性に優れた
濾材で作製されたバグフィルターが使用されているの
で、長期にわたって安全かつ環境に優しく発電ができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発電システムの概略フローチャートで
ある。
【図2】本発明の発電システムで使用する乾式集塵装置
の一実施態様の概略縦断面図である。
【図3】本発明の発電システムで使用する乾式集塵装置
の別の実施態様の概略縦断面図である。
【図4】本発明で使用する複層フェルト型濾材の集塵前
の概略断面模式図である。
【図5】図4に示す濾材の集塵後の概略断面模式図であ
る。
【図6】本発明に用いる濾材の製造においてPTFEの
一軸延伸フィルムを擦過解繊するための装置の概略断面
模式図である。
【図7】本発明で使用する濾材に用いる分枝および/ま
たはループを有するPTFEステープルファイバーの模
式図である。
【図8】参考例においてダスト付着量を測定するための
装置の概略断面模式図である。
【図9】参考例において圧力損失および初期捕集効率を
測定するための装置のフローダイヤグラムである。
【図10】参考例および比較参考例で測定したダスト付
着量と粒径の関係を示すグラフである。
【図11】参考例および比較参考例におけるPF値と粒
径の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 最外PTFEフェルト層 2 中間フェルト層 3 基布 4 耐熱性繊維 5 ダスト 14 分枝および/またはループを有するPTFEステ
ープルファイバー 15 分枝 16 縮れ 17 分枝 18 分枝 19 ループ 41 高温炉 42 排気ガス 43 粗粒集塵装置 44 乾式集塵装置 45 清浄化された高温炉ガス 46 タービン 47 発電装置 48 バグフィルター 49 濾材 50 逆圧洗浄用弁 51 粉塵 52 リテーナー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅野 純 大阪府摂津市西一津屋1番1号 ダイキン 工業株式会社淀川製作所内 Fターム(参考) 4D019 AA01 BA04 BA13 BB02 BB04 BB10 BD01 CA02 CA04 CB04 CB09 DA01 DA02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高温炉の排気ガスを集塵装置に通して得
    られる清浄化された高温炉ガスによりタービンを回転さ
    せて発電するシステムにおいて、集塵装置に用いる濾材
    として、耐熱性繊維からなる織布または編布である基布
    (A)とフッ素樹脂繊維からなる層(B)とを含み、該
    フッ素樹脂繊維の層(B)が濾材の少なくとも一方の最
    外層を構成していることを特徴とする濾材を用いる高温
    炉ガスを用いた発電システム。
  2. 【請求項2】 前記集塵装置用濾材において、基布
    (A)と最外層のフッ素樹脂繊維の層(B)との間に、
    さらに耐熱性繊維の中間層を有する請求項1記載の発電
    システム。
  3. 【請求項3】 前記集塵装置用濾材において、フッ素樹
    脂繊維からなる層(B)の目付が50〜300g/m2
    である請求項1または2に記載の発電システム。
  4. 【請求項4】 前記集塵装置用濾材において、初期通気
    度が1cc/cm2/秒以上である請求項1〜3のいず
    れかに記載の発電システム。
  5. 【請求項5】 前記集塵装置用濾材において、粒子径が
    1μm以上のフタル酸ジオクチル粒子の初期捕集効率が
    90%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の発電
    システム。
  6. 【請求項6】 前記集塵装置用濾材において、粒子径が
    0.3μm以上のフタル酸ジオクチル粒子の初期捕集効
    率が70%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の
    発電システム。
  7. 【請求項7】 前記集塵装置用濾材において、層(B)
    のフッ素樹脂繊維がポリテトラフルオロエチレン繊維で
    ある請求項1〜6のいずれかに記載の発電システム。
  8. 【請求項8】 前記集塵装置用濾材において、層(B)
    のフッ素樹脂繊維が分枝および/またはループを有する
    繊維である請求項1〜7のいずれかに記載の発電システ
    ム。
  9. 【請求項9】 前記集塵装置用濾材において、基布
    (A)または中間層の耐熱性繊維が、ポリフェニレンサ
    ルファイド繊維、ガラス繊維、メタ系アラミド繊維、パ
    ラ系アラミド繊維、ポリイミド繊維および/または含フ
    ッ素樹脂繊維である請求項1〜8のいずれかに記載の発
    電システム。
  10. 【請求項10】 前記集塵装置用濾材において、基布
    (A)または中間層の耐熱性繊維がポリイミド繊維であ
    る請求項9記載の発電システム。
  11. 【請求項11】 前記集塵装置用濾材が集塵装置用バグ
    フィルターである請求項1〜10のいずれかに記載の発
    電システム。
  12. 【請求項12】 バグフィルターが逆圧洗浄用バグフィ
    ルターである請求項11記載の発電システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018171582A (ja) * 2017-03-31 2018-11-08 日本無機株式会社 エアフィルタ用濾材並びにエアフィルタ

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