JP2001032174A - ホース補強材の製造方法 - Google Patents
ホース補強材の製造方法Info
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- JP2001032174A JP2001032174A JP11202747A JP20274799A JP2001032174A JP 2001032174 A JP2001032174 A JP 2001032174A JP 11202747 A JP11202747 A JP 11202747A JP 20274799 A JP20274799 A JP 20274799A JP 2001032174 A JP2001032174 A JP 2001032174A
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- Japan
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- fiber bundle
- weight
- fiber
- hose
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- Rigid Pipes And Flexible Pipes (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 RFL樹脂層が脱落しにくく、よりゴム層と
の接着性に優れたホース補強材の効率的な製造方法、さ
らに諸性能に優れたホース繊維補強材を提供する。 【解決手段】 固形分濃度20重量%以下のレゾルシン
・ホルマリン・ラテックス処理液を繊維束に付与し、次
いで該繊維束に対する該処理液の全付着量を40重量%
以下とした後、0.2g/d以下の張力下で乾燥してホ
ース補強材を製造する。
の接着性に優れたホース補強材の効率的な製造方法、さ
らに諸性能に優れたホース繊維補強材を提供する。 【解決手段】 固形分濃度20重量%以下のレゾルシン
・ホルマリン・ラテックス処理液を繊維束に付与し、次
いで該繊維束に対する該処理液の全付着量を40重量%
以下とした後、0.2g/d以下の張力下で乾燥してホ
ース補強材を製造する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の液圧ブレ−キ
ホ−ス等の高耐圧ホ−スなどのブレーキホースに好適な
ホースの繊維補強材の製造方法、および該方法により得
られるホース補強材に関する。
ホ−ス等の高耐圧ホ−スなどのブレーキホースに好適な
ホースの繊維補強材の製造方法、および該方法により得
られるホース補強材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ホースの補強材として繊維が使用
されており、たとえばブレーキホースは、一般に内管ゴ
ム層、第1繊維補強層、中間ゴム層、第2補強繊維層、
及び外皮ゴム層により構成されており、これまで繊維補
強層としてポリビニルアルコ−ル系繊維(PVA系繊
維)、レ−ヨン繊維、ポリエステル系繊維、アラミド繊
維等からなる2層の編組層が用いられている。一般に繊
維補強層とゴム層との接着性を改善するために,補強繊
維にレゾルシン・ホルマリン・アルデヒド(RFL)処
理が施されているが、RFL処理繊維を用いてホースを
製造すると、巻き返しや編組工程でのガイド類との接触
によりRFL樹脂の粉落ちが発生するケースがあった。
RFL樹脂層の粉落ちが生じると本来有するゴムとの接
着性が十分発揮されにくくなる。
されており、たとえばブレーキホースは、一般に内管ゴ
ム層、第1繊維補強層、中間ゴム層、第2補強繊維層、
及び外皮ゴム層により構成されており、これまで繊維補
強層としてポリビニルアルコ−ル系繊維(PVA系繊
維)、レ−ヨン繊維、ポリエステル系繊維、アラミド繊
維等からなる2層の編組層が用いられている。一般に繊
維補強層とゴム層との接着性を改善するために,補強繊
維にレゾルシン・ホルマリン・アルデヒド(RFL)処
理が施されているが、RFL処理繊維を用いてホースを
製造すると、巻き返しや編組工程でのガイド類との接触
によりRFL樹脂の粉落ちが発生するケースがあった。
RFL樹脂層の粉落ちが生じると本来有するゴムとの接
着性が十分発揮されにくくなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、RF
L樹脂層が脱落しにくく、よりゴム層との接着性に優れ
たホース補強材の効率的な製造方法、さらに諸性能に優
れたホース繊維補強材を提供することにある。
L樹脂層が脱落しにくく、よりゴム層との接着性に優れ
たホース補強材の効率的な製造方法、さらに諸性能に優
れたホース繊維補強材を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1) 固形
分濃度20重量%以下のレゾルシン・ホルマリン・ラテ
ックス処理液を繊維束に付与し、次いで該繊維束に対す
る該処理液の全付着量を40重量%以下とした後、0.
2g/d以下の張力下で乾燥するホース補強材の製造方
法、(2) 繊維束がポリビニルアルコール系繊維を含
む繊維束である(1)に記載のホース補強材の製造方
法、(3) レゾルシン・ホルマリン・ラテックス処理
液に硼酸捕捉剤が配合されている(2)に記載のホース
補強材の製造方法、(4) 固形分濃度20重量%以下
のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス処理液を繊維束
に付与し、次いで該繊維束に対する該処理液の全付着量
を40重量%以下とした後、0.2g/d以下の張力下
で乾燥して得られるホース繊維補強材、に関する。
分濃度20重量%以下のレゾルシン・ホルマリン・ラテ
ックス処理液を繊維束に付与し、次いで該繊維束に対す
る該処理液の全付着量を40重量%以下とした後、0.
2g/d以下の張力下で乾燥するホース補強材の製造方
法、(2) 繊維束がポリビニルアルコール系繊維を含
む繊維束である(1)に記載のホース補強材の製造方
法、(3) レゾルシン・ホルマリン・ラテックス処理
液に硼酸捕捉剤が配合されている(2)に記載のホース
補強材の製造方法、(4) 固形分濃度20重量%以下
のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス処理液を繊維束
に付与し、次いで該繊維束に対する該処理液の全付着量
を40重量%以下とした後、0.2g/d以下の張力下
で乾燥して得られるホース繊維補強材、に関する。
【0005】
【発明の具体的な形態】本発明に用いられるRFL処理
液の組成及び調製方法は特に限定されず、たとえば従来
公知の方法により調製すれば良い。繊維に均一に塗布し
やすことから処理液をエマルジョンとするのが好まし
い。より好適な方法としては、レゾルシン、ホルムアル
デヒド、水酸化ナトリウム及び水を含む液を10〜40
℃で1〜10時間程度熟成したA液と、ラテックス水分
散液(固体分30〜70重量%程度)からなるB液を3
0:70〜70:30(重量比)で混合し、10〜40
℃で10〜30時間程度熟成してRFL処理液を調製す
る方法が挙げられる。勿論、所望により配合及び熟成方
法を変更すればよく、適宜上記以外の成分を配合しても
かまわない。
液の組成及び調製方法は特に限定されず、たとえば従来
公知の方法により調製すれば良い。繊維に均一に塗布し
やすことから処理液をエマルジョンとするのが好まし
い。より好適な方法としては、レゾルシン、ホルムアル
デヒド、水酸化ナトリウム及び水を含む液を10〜40
℃で1〜10時間程度熟成したA液と、ラテックス水分
散液(固体分30〜70重量%程度)からなるB液を3
0:70〜70:30(重量比)で混合し、10〜40
℃で10〜30時間程度熟成してRFL処理液を調製す
る方法が挙げられる。勿論、所望により配合及び熟成方
法を変更すればよく、適宜上記以外の成分を配合しても
かまわない。
【0006】上記方法を採用する場合、A液における組
成比(固形分重量比)はレゾルシン/ホルムアルデヒド
/水酸化ナトリウム=1/0.1〜10/0.01〜1
程度とするのが好ましい。またB液を構成するラテック
スとしては目的に応じて適宜選択すれば良いが、スチレ
ンブタジエン系ラテックス(SBR系ラテックス)が好
ましく、SBRラテックス及びビニルピリジン変性SB
Rラテックスを併用するのがより好ましい。
成比(固形分重量比)はレゾルシン/ホルムアルデヒド
/水酸化ナトリウム=1/0.1〜10/0.01〜1
程度とするのが好ましい。またB液を構成するラテック
スとしては目的に応じて適宜選択すれば良いが、スチレ
ンブタジエン系ラテックス(SBR系ラテックス)が好
ましく、SBRラテックス及びビニルピリジン変性SB
Rラテックスを併用するのがより好ましい。
【0007】かかるRFL処理液を繊維束に付与すれば
よいが、このとき、繊維束に付与するRFL処理液の固
形分濃度を20重量%以下、好ましくは15重量%以
下、さらに好ましくは10重量%以下とする必要があ
る。固形分濃度が大きすぎるとRFL樹脂の付着斑が発
生することからホース製造工程において粉落ちが発生し
やすくなる。ゴムとの接着性を十分に高める点からは、
RFL処理液の固形分濃度を1重量%以上、特に3重量
%以上とするのが好ましい。RFL処理液の固形分濃度
は、熟成調製されたRFL液を水等で希釈することによ
り容易に調整できる。
よいが、このとき、繊維束に付与するRFL処理液の固
形分濃度を20重量%以下、好ましくは15重量%以
下、さらに好ましくは10重量%以下とする必要があ
る。固形分濃度が大きすぎるとRFL樹脂の付着斑が発
生することからホース製造工程において粉落ちが発生し
やすくなる。ゴムとの接着性を十分に高める点からは、
RFL処理液の固形分濃度を1重量%以上、特に3重量
%以上とするのが好ましい。RFL処理液の固形分濃度
は、熟成調製されたRFL液を水等で希釈することによ
り容易に調整できる。
【0008】RFL処理液の繊維束への付与方法は特に
限定されない。たとえば浸漬法、コーテイング法、スプ
レー法等が挙げられる。なかでもRFL処理液に糸を浸
漬、搾液し、次いで乾燥する方法が好適に挙げられる。
このとき、乾燥工程に供する繊維束に対するRFL処理
液の全付着率(固形分及び液体分を含む)を40重量%
/繊維束以下、好ましくは35重量%以下/繊維束とす
ることが必要である。乾燥工程に供する繊維束へのRF
L処理液の付着量が多すぎると、単繊維間等に存在する
RFL処理液が乾燥時に繊維束の表面に滲みでてくるた
め、繊維束の表面に厚い樹脂層が形成されることとな
る。そのためホース製造工程における摩擦等によってR
FL樹脂層の剥がれ落ち(粉落ち)が生じ、高度なゴム
接着性が得られにくくなる。ゴム接着性を保持する点か
らは繊維束に対するRFL処理液の全付着率を20重量
%以上/繊維束とするのが好ましい。乾燥工程に供する
繊維束に対するRFL処理液の付着率は、繊維束をたと
えば公知の方法により搾液することにより調整でき、プ
レスローラー等を用いて行えば良い。なお、最終的に得
られる補強材のRFL樹脂の付着量(固体分)は、ゴム
層との接着性、取扱性、柔軟性、コスト等の点から20
重量%以下/繊維束、特に1〜10重量%/繊維束であ
るのが好ましい。
限定されない。たとえば浸漬法、コーテイング法、スプ
レー法等が挙げられる。なかでもRFL処理液に糸を浸
漬、搾液し、次いで乾燥する方法が好適に挙げられる。
このとき、乾燥工程に供する繊維束に対するRFL処理
液の全付着率(固形分及び液体分を含む)を40重量%
/繊維束以下、好ましくは35重量%以下/繊維束とす
ることが必要である。乾燥工程に供する繊維束へのRF
L処理液の付着量が多すぎると、単繊維間等に存在する
RFL処理液が乾燥時に繊維束の表面に滲みでてくるた
め、繊維束の表面に厚い樹脂層が形成されることとな
る。そのためホース製造工程における摩擦等によってR
FL樹脂層の剥がれ落ち(粉落ち)が生じ、高度なゴム
接着性が得られにくくなる。ゴム接着性を保持する点か
らは繊維束に対するRFL処理液の全付着率を20重量
%以上/繊維束とするのが好ましい。乾燥工程に供する
繊維束に対するRFL処理液の付着率は、繊維束をたと
えば公知の方法により搾液することにより調整でき、プ
レスローラー等を用いて行えば良い。なお、最終的に得
られる補強材のRFL樹脂の付着量(固体分)は、ゴム
層との接着性、取扱性、柔軟性、コスト等の点から20
重量%以下/繊維束、特に1〜10重量%/繊維束であ
るのが好ましい。
【0009】また乾燥工程において、繊維束にかかる張
力を0.2g/d以下、好ましくは0.15g/d以
下、さらに好ましくは0.14g/d以下とする必要が
ある。乾燥時に加わる張力が高すぎると、単繊維間等に
存在する処理液が乾燥固化する前に繊維束の表面に絞り
出されて繊維束表面で乾燥固化することとなる。そのた
め、RFL樹脂が繊維束表面に偏在して厚い層となり、
ホース製造工程での摩擦によって剥がれ落ち(粉落ち)
しやすくなる。製造工程性、補強材の耐膨潤性等の点か
らは、乾燥時に繊維束にかかる張力を0.05g/d以
上、特に0.08g/d以上とするのが好ましく、乾燥
条件は100〜150℃程度で10〜60秒程度とする
のが好ましい。
力を0.2g/d以下、好ましくは0.15g/d以
下、さらに好ましくは0.14g/d以下とする必要が
ある。乾燥時に加わる張力が高すぎると、単繊維間等に
存在する処理液が乾燥固化する前に繊維束の表面に絞り
出されて繊維束表面で乾燥固化することとなる。そのた
め、RFL樹脂が繊維束表面に偏在して厚い層となり、
ホース製造工程での摩擦によって剥がれ落ち(粉落ち)
しやすくなる。製造工程性、補強材の耐膨潤性等の点か
らは、乾燥時に繊維束にかかる張力を0.05g/d以
上、特に0.08g/d以上とするのが好ましく、乾燥
条件は100〜150℃程度で10〜60秒程度とする
のが好ましい。
【0010】次いでRFL樹脂を安定に固定する点か
ら、乾燥した繊維束をさらに熱処理するのがより好まし
い。熱処理温度は150〜200℃とし、30〜120
秒間程度行うのが好ましい。なお熱処理工程においては
RFL処理液がすでに固化していることから任意の張力
にて処理を行うことができる。また補強材の寸法安定性
等の点からは、乾燥工程及び熱処理工程においてのスト
レッチ率は0〜3%であるのが好ましい。
ら、乾燥した繊維束をさらに熱処理するのがより好まし
い。熱処理温度は150〜200℃とし、30〜120
秒間程度行うのが好ましい。なお熱処理工程においては
RFL処理液がすでに固化していることから任意の張力
にて処理を行うことができる。また補強材の寸法安定性
等の点からは、乾燥工程及び熱処理工程においてのスト
レッチ率は0〜3%であるのが好ましい。
【0011】本発明に用いられる繊維は特に限定され
ず、たとえばポリビニルアルコ−ル系繊維(PVA系繊
維)、レ−ヨン繊維、ポリエステル系繊維、アラミド繊
維等の合成繊維が好適に使用でき、これら複数種を併用
してもかまわない。繊維束の形態としては100〜20
00本の単繊維からなるマルチフィラメントが好まし
い。一般に繊維束にRFL処理液を付与すると単繊維間
にRFL処理液がが入り込み、続く乾燥工程でRFL処
理液が繊維束表面に滲出して表面に偏在した状態で固化
するために樹脂層が脱落しやすくなる。しかしながら本
発明の方法を採用することにより、RFL樹脂を偏在さ
せることなく均質に固化させることができ、よってゴム
との接着性を顕著に高めることができる。補強材の柔軟
性、寸法安定性等の点から単繊維繊度は1〜50d程
度、特に2〜20d程度であるのが好ましく、繊維束の
総デニールは10〜3000d程度、特に20〜200
0d程度であるのが好ましい。また耐摩擦性を高め、毛
羽の発生を抑制する点からは20〜100回/m程度の
撚を付与するのが好ましい。耐膨潤性、寸法安定性等の
点から繊維の弾性率は100g/d以上、特に150〜
300g/dであるのが好ましく、強度は6g/d以
上、特に7g/d以上であるのが好ましい。
ず、たとえばポリビニルアルコ−ル系繊維(PVA系繊
維)、レ−ヨン繊維、ポリエステル系繊維、アラミド繊
維等の合成繊維が好適に使用でき、これら複数種を併用
してもかまわない。繊維束の形態としては100〜20
00本の単繊維からなるマルチフィラメントが好まし
い。一般に繊維束にRFL処理液を付与すると単繊維間
にRFL処理液がが入り込み、続く乾燥工程でRFL処
理液が繊維束表面に滲出して表面に偏在した状態で固化
するために樹脂層が脱落しやすくなる。しかしながら本
発明の方法を採用することにより、RFL樹脂を偏在さ
せることなく均質に固化させることができ、よってゴム
との接着性を顕著に高めることができる。補強材の柔軟
性、寸法安定性等の点から単繊維繊度は1〜50d程
度、特に2〜20d程度であるのが好ましく、繊維束の
総デニールは10〜3000d程度、特に20〜200
0d程度であるのが好ましい。また耐摩擦性を高め、毛
羽の発生を抑制する点からは20〜100回/m程度の
撚を付与するのが好ましい。耐膨潤性、寸法安定性等の
点から繊維の弾性率は100g/d以上、特に150〜
300g/dであるのが好ましく、強度は6g/d以
上、特に7g/d以上であるのが好ましい。
【0012】また繊維補強層はブレ−キホ−スの機械的
強度等を決定する重要な部分であり、極めて厳密な耐久
性、耐膨張性等が要求されることから、高強力高弾性率
で耐膨張性に優れたPVA系繊維を少なくとも用いるの
が好ましい。たとえばJIS D2601において、1
05kgf/cm2(10.3MPa)加圧時における
自動車用液圧ブレーキホースの膨張量をホース自由長3
05mmに対し0.42cm3以下とするとの規格が示
されているように(1種B規格)、ブレーキホースには
高度の耐膨張性が求められるが、PVA系繊維は他の繊
維に比してモジュラスが高く膨張率が小さいため、補強
材として用いることによってブレーキペダルを踏んだ際
の圧力損失が小さくなり高度の制動性が得られる。また
強度の低い繊維の場合、補強効果を高めるためには太径
にする必要があるためコンパクト化の点で問題が生じる
が、PVA系繊維は強度が高いために補強材として優れ
た効果が奏される。
強度等を決定する重要な部分であり、極めて厳密な耐久
性、耐膨張性等が要求されることから、高強力高弾性率
で耐膨張性に優れたPVA系繊維を少なくとも用いるの
が好ましい。たとえばJIS D2601において、1
05kgf/cm2(10.3MPa)加圧時における
自動車用液圧ブレーキホースの膨張量をホース自由長3
05mmに対し0.42cm3以下とするとの規格が示
されているように(1種B規格)、ブレーキホースには
高度の耐膨張性が求められるが、PVA系繊維は他の繊
維に比してモジュラスが高く膨張率が小さいため、補強
材として用いることによってブレーキペダルを踏んだ際
の圧力損失が小さくなり高度の制動性が得られる。また
強度の低い繊維の場合、補強効果を高めるためには太径
にする必要があるためコンパクト化の点で問題が生じる
が、PVA系繊維は強度が高いために補強材として優れ
た効果が奏される。
【0013】本発明に使用できるPVA系繊維はビニル
アルコール系ポリマーを含む繊維であり、ビニルアルコ
ール系ポリマー以外の成分が含まれていてもかまわな
い。たとえば他の成分をブレンドして得られる繊維や、
複合繊維、海島構造繊維等であってもかまわない。しか
しながら補強材の機械的性能を保持し、かつ本発明の効
果を効率的に得る点からは、ビニルアルコール系ポリマ
ーの含有量が30重量%以上、特に50重量%以上、さ
らに80重量%以上の繊維とするのが好ましい。また繊
維を構成するビニルアルコール系ポリマーは他のユニッ
トと共重合されていてもよく、該ポリマーの平均重合度
は100〜30000、特に500〜10000である
のが好ましい。またケン化度は耐熱性、耐摩耗性等の点
から70モル%以上、特に90%以上、さらに98モル
%以上であるのが望ましい。
アルコール系ポリマーを含む繊維であり、ビニルアルコ
ール系ポリマー以外の成分が含まれていてもかまわな
い。たとえば他の成分をブレンドして得られる繊維や、
複合繊維、海島構造繊維等であってもかまわない。しか
しながら補強材の機械的性能を保持し、かつ本発明の効
果を効率的に得る点からは、ビニルアルコール系ポリマ
ーの含有量が30重量%以上、特に50重量%以上、さ
らに80重量%以上の繊維とするのが好ましい。また繊
維を構成するビニルアルコール系ポリマーは他のユニッ
トと共重合されていてもよく、該ポリマーの平均重合度
は100〜30000、特に500〜10000である
のが好ましい。またケン化度は耐熱性、耐摩耗性等の点
から70モル%以上、特に90%以上、さらに98モル
%以上であるのが望ましい。
【0014】一方、ブレ−キ液は、FMVSS No.
116に定められているように、DOT3規格、DOT
4規格、DOT5規格及びDOT5.1規格のブレ−キ
液がある(以下単に、DOT3液、DOT4液、DOT
5液、DOT5.1液と称す)。従来、DOT3液(グ
リコ−ル類が主体の非鉱物油系ブレ−キ液)が広く使用
されていたが、近年、沸点が高く、より安全性の高いブ
レ−キ液として、DOT4液の使用量が増加している。
DOT4液は、沸点を上げるために硼酸エステル化合物
を含有させたものであり、DOT5.1液は硼酸エステ
ル化合物をその主成分とするものである。
116に定められているように、DOT3規格、DOT
4規格、DOT5規格及びDOT5.1規格のブレ−キ
液がある(以下単に、DOT3液、DOT4液、DOT
5液、DOT5.1液と称す)。従来、DOT3液(グ
リコ−ル類が主体の非鉱物油系ブレ−キ液)が広く使用
されていたが、近年、沸点が高く、より安全性の高いブ
レ−キ液として、DOT4液の使用量が増加している。
DOT4液は、沸点を上げるために硼酸エステル化合物
を含有させたものであり、DOT5.1液は硼酸エステ
ル化合物をその主成分とするものである。
【0015】ポリビニルアルコ−ル系繊維(PVA系繊
維)で補強されたブレ−キホ−スは、通常の使用条件下
では耐圧性、耐膨張性及び耐久性に優れた性能を示すも
のの、高温での加速疲労テストで強制的に劣化を促進さ
せると、ブレ−キ液が内管ゴムを通過して繊維補強層に
到達して繊維の強度が低下する傾向がある。すなわち、
過酷な条件下で使用することにより、DOT4液やDO
T5.1液のように硼酸エステルを多量に含むブレ−キ
液が繊維補強層に到達した場合、求電子的性質の強い硼
酸エステルがPVA分子の水酸基に作用して繊維構造の
一部を乱す可能性がある。
維)で補強されたブレ−キホ−スは、通常の使用条件下
では耐圧性、耐膨張性及び耐久性に優れた性能を示すも
のの、高温での加速疲労テストで強制的に劣化を促進さ
せると、ブレ−キ液が内管ゴムを通過して繊維補強層に
到達して繊維の強度が低下する傾向がある。すなわち、
過酷な条件下で使用することにより、DOT4液やDO
T5.1液のように硼酸エステルを多量に含むブレ−キ
液が繊維補強層に到達した場合、求電子的性質の強い硼
酸エステルがPVA分子の水酸基に作用して繊維構造の
一部を乱す可能性がある。
【0016】以上のことから、硼酸捕捉剤をPVA系繊
維に付与するのが好ましい。硼酸捕捉剤は硼酸捕捉効果
を有するものであれば特に限定されないが、硼酸イオン
との錯体生成係数K1が3以上の化合物が好適に使用で
きる。なおK1は実施例に記載の方法により求められ
る。K1が大きいほど酢酸化合物の反応性が高いために
優れた硼酸捕捉性を奏する(PVAのK1値は1.8程
度)。K1は3以上、さらに100以上、特に2000
以上100万以下のものが好ましい。
維に付与するのが好ましい。硼酸捕捉剤は硼酸捕捉効果
を有するものであれば特に限定されないが、硼酸イオン
との錯体生成係数K1が3以上の化合物が好適に使用で
きる。なおK1は実施例に記載の方法により求められ
る。K1が大きいほど酢酸化合物の反応性が高いために
優れた硼酸捕捉性を奏する(PVAのK1値は1.8程
度)。K1は3以上、さらに100以上、特に2000
以上100万以下のものが好ましい。
【0017】好適な硼酸捕捉剤としては、具体的には2
個以上の水酸基を有する化合物等が挙げられる。好適な
例としては2,3−ブタンジオール、フェニルー1,2
―エタンジオール、3―メトキシー1,2−プロパンジ
オール、グリセリン、マンノース、グルコース、アラビ
ノース、ガラクトース、フルクトース、カテコール、ペ
ンタエリスリトール、マンニット、ソルビット、ズルシ
ット等の脂肪族アルコール、糖類等が挙げられる。勿論
2種以上の硼酸捕捉剤を併用してもかまわない。
個以上の水酸基を有する化合物等が挙げられる。好適な
例としては2,3−ブタンジオール、フェニルー1,2
―エタンジオール、3―メトキシー1,2−プロパンジ
オール、グリセリン、マンノース、グルコース、アラビ
ノース、ガラクトース、フルクトース、カテコール、ペ
ンタエリスリトール、マンニット、ソルビット、ズルシ
ット等の脂肪族アルコール、糖類等が挙げられる。勿論
2種以上の硼酸捕捉剤を併用してもかまわない。
【0018】なかでも硼酸化合物と錯体を形成やすいマ
ンニット(K1=約1000)、カテコール(K1=約
7800)、フルクトース(K1=約3780)及びそ
の誘導体を用いるのが好ましく、なかでも耐久性の改善
能力が高いことから、硼酸捕捉剤の少なくとも一部をカ
テコール及び/又はカテコール誘導体とするのが好まし
い。このとき、硼酸捕捉剤として複数の化合物を併用し
ても、またカテコール及び/又はカテコール誘導体のみ
を使用してもかまわない。補強材の耐久性の点からは硼
酸捕捉剤の50重量%以上、特に80重量%以上をカテ
コール及び/又はカテコール誘導体とするのが好まし
い。
ンニット(K1=約1000)、カテコール(K1=約
7800)、フルクトース(K1=約3780)及びそ
の誘導体を用いるのが好ましく、なかでも耐久性の改善
能力が高いことから、硼酸捕捉剤の少なくとも一部をカ
テコール及び/又はカテコール誘導体とするのが好まし
い。このとき、硼酸捕捉剤として複数の化合物を併用し
ても、またカテコール及び/又はカテコール誘導体のみ
を使用してもかまわない。補強材の耐久性の点からは硼
酸捕捉剤の50重量%以上、特に80重量%以上をカテ
コール及び/又はカテコール誘導体とするのが好まし
い。
【0019】揮発性・昇華性が低く持続性に優れている
点からは分子量120以上のカテコール及び/又はカテ
コール誘導体を用いるのが好ましい。特にその構造は限
定されず、アルキル基、アリ−ル基等のあらゆる置換基
を含んでいてもよい。分子量が大きくなりすぎるとPV
A内部に浸透しにくくなるため、カテコ−ル誘導体の分
子量は、700以下、特に400以下であるのが好まし
い。なかでも、カテコ−ルを構成する水酸基の他に、−
OHを含む官能基を1以上有するものが好ましく、特に
メチロ−ル基(ヒドロキシメチル基)を1以上、特に2
〜4有するカテコ−ル誘導体(以下、単にメチロ−ル基
含有カテコ−ルと称す)が好適に使用できる。勿論、メ
チロ−ル基以外の置換基を有していてもよく異なった構
造を有するカテコ−ル誘導体を複数種用いても良い。か
かるカテコ−ル誘導体としては、具体的には化1に示さ
れた化合物が好適に挙げられる。
点からは分子量120以上のカテコール及び/又はカテ
コール誘導体を用いるのが好ましい。特にその構造は限
定されず、アルキル基、アリ−ル基等のあらゆる置換基
を含んでいてもよい。分子量が大きくなりすぎるとPV
A内部に浸透しにくくなるため、カテコ−ル誘導体の分
子量は、700以下、特に400以下であるのが好まし
い。なかでも、カテコ−ルを構成する水酸基の他に、−
OHを含む官能基を1以上有するものが好ましく、特に
メチロ−ル基(ヒドロキシメチル基)を1以上、特に2
〜4有するカテコ−ル誘導体(以下、単にメチロ−ル基
含有カテコ−ルと称す)が好適に使用できる。勿論、メ
チロ−ル基以外の置換基を有していてもよく異なった構
造を有するカテコ−ル誘導体を複数種用いても良い。か
かるカテコ−ル誘導体としては、具体的には化1に示さ
れた化合物が好適に挙げられる。
【0020】
【化1】 なお、R1、R2,R3は、Hまたは任意の置換基を示
す。
す。
【0021】硼酸捕捉効果の点からは、繊維に対する硼
酸捕捉剤の付着量を0.1〜30重量%、特に0.5〜
10重量%とするのが好ましい。硼酸捕捉剤をPVA系
繊維を付与する方法としては、繊維原料に添加する方
法、繊維製造時に付与する方法、ホース製造時に内管ゴ
ムに添加する方法等が考えられるが、工程性の点からは
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)処理液
に硼酸捕捉剤を添加し、PVA系繊維を該処理液に浸漬
する方法が好適に適用できる。該方法によれば極めて効
率的に硼酸捕捉剤をPVA系繊維に付与することがで
き、しかもブレーキ液による繊維性能の劣化を高度に抑
制できる。
酸捕捉剤の付着量を0.1〜30重量%、特に0.5〜
10重量%とするのが好ましい。硼酸捕捉剤をPVA系
繊維を付与する方法としては、繊維原料に添加する方
法、繊維製造時に付与する方法、ホース製造時に内管ゴ
ムに添加する方法等が考えられるが、工程性の点からは
レゾルシン・ホルマリン・ラテックス(RFL)処理液
に硼酸捕捉剤を添加し、PVA系繊維を該処理液に浸漬
する方法が好適に適用できる。該方法によれば極めて効
率的に硼酸捕捉剤をPVA系繊維に付与することがで
き、しかもブレーキ液による繊維性能の劣化を高度に抑
制できる。
【0022】RFL処理液に硼酸捕捉剤を配合すると、
RFL樹脂層の皮膜強度が低下するために、ホースを製
造する際に巻き返しや編組工程でのガイド類との接触に
よりRFL樹脂の粉落ちが発生しやすくなる。しかしな
がら本発明の方法を採用した場合には、RFL処理液に
硼酸捕捉剤を配合した場合であってもRFL樹脂層の脱
落が生じにくい高性能の補強材を得ることができ、一層
顕著な効果が得られる。硼酸捕捉剤の添加量(固形分重
量比)は、硼酸捕捉効果、機械的性能、ゴムとの接着性
等の点から硼酸捕捉剤/RFL処理液=1/9〜9/1
(固形分比)であるのが好ましい。
RFL樹脂層の皮膜強度が低下するために、ホースを製
造する際に巻き返しや編組工程でのガイド類との接触に
よりRFL樹脂の粉落ちが発生しやすくなる。しかしな
がら本発明の方法を採用した場合には、RFL処理液に
硼酸捕捉剤を配合した場合であってもRFL樹脂層の脱
落が生じにくい高性能の補強材を得ることができ、一層
顕著な効果が得られる。硼酸捕捉剤の添加量(固形分重
量比)は、硼酸捕捉効果、機械的性能、ゴムとの接着性
等の点から硼酸捕捉剤/RFL処理液=1/9〜9/1
(固形分比)であるのが好ましい。
【0023】寸法安定性、耐久性等の点からは本発明の
補強材の強力は6kg以上、さらに7kg以上、またさ
らに8kg以上であるのが好ましく、伸度は5〜20
%、特に10〜18%程度であるのが好ましい。またゴ
ムとの接着力は3kg以上、さらに4kg以上、またさ
らに5kg以上であるのが好ましい。本発明の補強材の
使用形態は特に限定されないが、編組して補強繊維層を
形成するのが好ましい。合糸本数、打込み本数などは適
宜設定すればよい。また本発明の効果を損わない範囲で
あれば、本発明の補強材以外の素材(繊維等)を併用し
ても構わない。ブレーキホースの耐久性等の点からは、
補強繊維層の50重量%以上、特に80重量%以上を本
発明の補強材とするのが好ましい。ブレーキホースを構
成するゴムの種類は特に限定されない。たとえばスチレ
ンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピ
レンゴム、ニトリルゴムなどを含むあらゆるゴム配合物
を用いることができる。かかるゴム層と補強繊維層を接
着一体化することにより、優れたブレ−キホ−スを得る
ことができる。
補強材の強力は6kg以上、さらに7kg以上、またさ
らに8kg以上であるのが好ましく、伸度は5〜20
%、特に10〜18%程度であるのが好ましい。またゴ
ムとの接着力は3kg以上、さらに4kg以上、またさ
らに5kg以上であるのが好ましい。本発明の補強材の
使用形態は特に限定されないが、編組して補強繊維層を
形成するのが好ましい。合糸本数、打込み本数などは適
宜設定すればよい。また本発明の効果を損わない範囲で
あれば、本発明の補強材以外の素材(繊維等)を併用し
ても構わない。ブレーキホースの耐久性等の点からは、
補強繊維層の50重量%以上、特に80重量%以上を本
発明の補強材とするのが好ましい。ブレーキホースを構
成するゴムの種類は特に限定されない。たとえばスチレ
ンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピ
レンゴム、ニトリルゴムなどを含むあらゆるゴム配合物
を用いることができる。かかるゴム層と補強繊維層を接
着一体化することにより、優れたブレ−キホ−スを得る
ことができる。
【0024】以下、実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれにより何等限定されるもので
はない。
説明するが、本発明はこれにより何等限定されるもので
はない。
【0025】[強力 kg、伸度 %、接着力 kg]
強度及び伸度はJIS L1013の化学繊維フィラメ
ント試験法に準じて測定し、接着力はJIS L101
7の化学繊維タイヤコードに規定のTテストに準じて測
定した。 [K1値]一定量の硼酸とpH既知の緩衝液を含んだフ
ラスコを9本用意し、サンプル(硼酸捕捉剤)を各フラ
スコ中の濃度が0〜0.8モル/リットルまで0.1モ
ル/リットル刻みになるように添加し、この液を25℃
の恒温槽に20分以上放置した後、pHを測定し、まず
ぞれぞれのK1’を算出した。なお[B−]はH2BO
3 ―のモル濃度、[B−]0は硼酸捕捉剤を添加しない
場合のH2BO3 ―のモル濃度、[P]は硼酸捕捉剤の
モル濃度、[P]0はサンプル調整時の硼酸捕捉剤のモ
ル濃度であり、[BP−]はH2BO3 ―と硼酸捕捉剤
のcomplexのモル濃度、10.583は硼酸の水
中でのPKaである。 K1’=[BP−]/([B−]・[P]) [B−]=10pH―10.583 [BP−]=[B−]0−[B−] [P]=[P]0−[BP−] 次いで、横軸に平衡後の[P]、縦軸にK1’値をプロ
ットして1次直線を引いたときのY軸切片([P]=0
の外挿点)をK1値とした。
強度及び伸度はJIS L1013の化学繊維フィラメ
ント試験法に準じて測定し、接着力はJIS L101
7の化学繊維タイヤコードに規定のTテストに準じて測
定した。 [K1値]一定量の硼酸とpH既知の緩衝液を含んだフ
ラスコを9本用意し、サンプル(硼酸捕捉剤)を各フラ
スコ中の濃度が0〜0.8モル/リットルまで0.1モ
ル/リットル刻みになるように添加し、この液を25℃
の恒温槽に20分以上放置した後、pHを測定し、まず
ぞれぞれのK1’を算出した。なお[B−]はH2BO
3 ―のモル濃度、[B−]0は硼酸捕捉剤を添加しない
場合のH2BO3 ―のモル濃度、[P]は硼酸捕捉剤の
モル濃度、[P]0はサンプル調整時の硼酸捕捉剤のモ
ル濃度であり、[BP−]はH2BO3 ―と硼酸捕捉剤
のcomplexのモル濃度、10.583は硼酸の水
中でのPKaである。 K1’=[BP−]/([B−]・[P]) [B−]=10pH―10.583 [BP−]=[B−]0−[B−] [P]=[P]0−[BP−] 次いで、横軸に平衡後の[P]、縦軸にK1’値をプロ
ットして1次直線を引いたときのY軸切片([P]=0
の外挿点)をK1値とした。
【0026】[粉落ち性]直径2mmのステンレス製の
ガイド棒を3本、正三角形を形成するように鉄板上に固
定し、その一方からRFL処理した繊維束を導き、まず
正三角形の底辺を形成する2本の棒のうちの一方の棒の
下を通し、次に正三角形の頂点の棒の上を通し、さらに
底辺を形成するもう一方の棒の下を通すようにして、繊
維束が120°、60°、120°の角度で屈曲しなが
ら棒の下を通すようにする(図1参照)。給糸側にテン
サーを設け、ガイド棒の出口の張力が0.4g/d以上
になるようにした状態で、毎分50m以上の速度で5分
間以上糸を巻き取り、ガイド棒周辺に落ちたRFL樹脂
の粉の量を目視判定した。
ガイド棒を3本、正三角形を形成するように鉄板上に固
定し、その一方からRFL処理した繊維束を導き、まず
正三角形の底辺を形成する2本の棒のうちの一方の棒の
下を通し、次に正三角形の頂点の棒の上を通し、さらに
底辺を形成するもう一方の棒の下を通すようにして、繊
維束が120°、60°、120°の角度で屈曲しなが
ら棒の下を通すようにする(図1参照)。給糸側にテン
サーを設け、ガイド棒の出口の張力が0.4g/d以上
になるようにした状態で、毎分50m以上の速度で5分
間以上糸を巻き取り、ガイド棒周辺に落ちたRFL樹脂
の粉の量を目視判定した。
【0027】[硼酸捕捉剤付着量 重量%/繊維束]繊
維束2gと蒸留水100mlを300mlの三角フラス
コに入れ、常温で24時間放置して硼酸捕捉剤を抽出す
る。この液を、逆相ODSカラム、移動相に水/メタノ
ール=1/1を使用した高速液体クロマログラフィーに
て分析し硼酸捕捉剤を定量した。
維束2gと蒸留水100mlを300mlの三角フラス
コに入れ、常温で24時間放置して硼酸捕捉剤を抽出す
る。この液を、逆相ODSカラム、移動相に水/メタノ
ール=1/1を使用した高速液体クロマログラフィーに
て分析し硼酸捕捉剤を定量した。
【0028】 [RFL液組成] A液 水 300重量部 レゾルシン 11重量部 ホルムアルデヒド(37%) 24重量部 水酸化ナトリウム水溶液(10%) 11重量部 上記A液を25℃の温度で6時間熟成した。 B液 SBRラテックス 130重量部 ビニルピリジン変性SBRラテックス 130重量部 水 260重量部 上記B液を熟成済みのA液と混合した後、25℃の温度
で16時間熟成し、さらに水を加えて固形分濃度30重
量%のRFL液とした。
で16時間熟成し、さらに水を加えて固形分濃度30重
量%のRFL液とした。
【0029】[実施例1]上記RFL液にカテコールを
同量(同重量)添加し、さらに水で希釈してRFL固形
分濃度8重量%の硼酸捕捉剤含有RFL処理液を調製し
た。次いでPVAマルチフィラメント(1200dr/
200f 株式会社クラレ製「1247」)を45t/
mで撚糸した繊維束を、かかる硼酸捕捉剤含有RFL処
理液にデイップし、液含有量30重量%/繊維束となる
ようにゴム製プレスローラーで搾液し、続けて熱風循環
式の熱風処理炉に導き、120℃で30秒間乾燥後、1
60℃で1分間熱固定処理を連続的に行った。このとき
ストレッチ率(デイップローラー速度と熱処理炉出口の
ローラー速度の比)は0.8%であり、乾燥ゾーンでの
張力は0.12g/d、熱処理炉出口での張力は0.1
7g/dであった。かかる方法によれば、硼酸捕捉剤を
極めて効率的に繊維束に付与することができ(硼酸捕捉
剤含有量5重量%/繊維束)、しかも得られた補強材
は、高強力高弾性率でゴム接着力の高いものであった
り、RFL樹脂層の脱落が極めて生じにくいものであっ
た。しかもRFL樹脂層に配合された硼酸捕捉剤が実質
的に脱落することなく十分に硼酸捕捉効果を奏すること
から、耐久性等の点でも極めて優れた性能を有してい
る。
同量(同重量)添加し、さらに水で希釈してRFL固形
分濃度8重量%の硼酸捕捉剤含有RFL処理液を調製し
た。次いでPVAマルチフィラメント(1200dr/
200f 株式会社クラレ製「1247」)を45t/
mで撚糸した繊維束を、かかる硼酸捕捉剤含有RFL処
理液にデイップし、液含有量30重量%/繊維束となる
ようにゴム製プレスローラーで搾液し、続けて熱風循環
式の熱風処理炉に導き、120℃で30秒間乾燥後、1
60℃で1分間熱固定処理を連続的に行った。このとき
ストレッチ率(デイップローラー速度と熱処理炉出口の
ローラー速度の比)は0.8%であり、乾燥ゾーンでの
張力は0.12g/d、熱処理炉出口での張力は0.1
7g/dであった。かかる方法によれば、硼酸捕捉剤を
極めて効率的に繊維束に付与することができ(硼酸捕捉
剤含有量5重量%/繊維束)、しかも得られた補強材
は、高強力高弾性率でゴム接着力の高いものであった
り、RFL樹脂層の脱落が極めて生じにくいものであっ
た。しかもRFL樹脂層に配合された硼酸捕捉剤が実質
的に脱落することなく十分に硼酸捕捉効果を奏すること
から、耐久性等の点でも極めて優れた性能を有してい
る。
【0030】[比較例1]デイップ液中のRFL固形分
濃度を30重量%とした以外は実施例1と同様に行っ
た。得られた補強材の表面には樹脂斑が生じており、摩
擦等により脱落の生じやすいものであった。結果を表1
に示す。
濃度を30重量%とした以外は実施例1と同様に行っ
た。得られた補強材の表面には樹脂斑が生じており、摩
擦等により脱落の生じやすいものであった。結果を表1
に示す。
【0031】[比較例2]デイップ液中のRFL固形分
濃度を5重量%、搾液後の繊維束の液含有率を60重量
%/繊維束とした以外は実施例1と同様に行った。得ら
れた補強材の表面には樹脂が偏在しており、摩擦等によ
り脱落の生じやすいものであった。結果を表1に示す。 [比較例3]乾燥工程及び熱処理工程におけるストレッ
チ率を1.7%,乾燥ゾーンの張力を0.22g/d、
処理炉出口での張力を0.28g/dとした以外は実施
例1と同様に行った。得られた補強材は、表面に厚い樹
脂層が形成されているために容易に樹脂が脱落するもの
であり、所望の性能を有していなかった。結果を表1に
示す。
濃度を5重量%、搾液後の繊維束の液含有率を60重量
%/繊維束とした以外は実施例1と同様に行った。得ら
れた補強材の表面には樹脂が偏在しており、摩擦等によ
り脱落の生じやすいものであった。結果を表1に示す。 [比較例3]乾燥工程及び熱処理工程におけるストレッ
チ率を1.7%,乾燥ゾーンの張力を0.22g/d、
処理炉出口での張力を0.28g/dとした以外は実施
例1と同様に行った。得られた補強材は、表面に厚い樹
脂層が形成されているために容易に樹脂が脱落するもの
であり、所望の性能を有していなかった。結果を表1に
示す。
【0032】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】粉落ち性の測定方法を示した模式図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H111 BA11 BA15 BA25 BA34 EA20 4L033 AA05 AB01 AC11 CA34 CA68 DA07
Claims (4)
- 【請求項1】 固形分濃度20重量%以下のレゾルシン
・ホルマリン・ラテックス処理液を繊維束に付与し、次
いで該繊維束に対する該処理液の全付着量を40重量%
以下とした後、0.2g/d以下の張力下で乾燥するホ
ース補強材の製造方法。 - 【請求項2】 繊維束がポリビニルアルコール系繊維を
含む繊維束である請求項1に記載のホース補強材の製造
方法。 - 【請求項3】 レゾルシン・ホルマリン・ラテックス処
理液に硼酸捕捉剤が配合されている請求項2に記載のホ
ース補強材の製造方法。 - 【請求項4】 固形分濃度20重量%以下のレゾルシン
・ホルマリン・ラテックス処理液を繊維束に付与し、次
いで該繊維束に対する該処理液の全付着量を40重量%
以下とした後、0.2g/d以下の張力下で乾燥して得
られるホース繊維補強材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11202747A JP2001032174A (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | ホース補強材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11202747A JP2001032174A (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | ホース補強材の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001032174A true JP2001032174A (ja) | 2001-02-06 |
Family
ID=16462504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11202747A Pending JP2001032174A (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | ホース補強材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001032174A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003074760A (ja) * | 2001-08-31 | 2003-03-12 | Nichirin Co Ltd | ブレーキホース |
JP2008503699A (ja) * | 2004-06-23 | 2008-02-07 | ダンロップ・オイル・アンド・マリーン・リミテッド | ハイブリッドホース補強 |
JP2015522765A (ja) * | 2012-05-19 | 2015-08-06 | ジョン、イン−ソンCHUNG,In−Sun | 耐圧用ホース |
-
1999
- 1999-07-16 JP JP11202747A patent/JP2001032174A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003074760A (ja) * | 2001-08-31 | 2003-03-12 | Nichirin Co Ltd | ブレーキホース |
JP2008503699A (ja) * | 2004-06-23 | 2008-02-07 | ダンロップ・オイル・アンド・マリーン・リミテッド | ハイブリッドホース補強 |
JP2015522765A (ja) * | 2012-05-19 | 2015-08-06 | ジョン、イン−ソンCHUNG,In−Sun | 耐圧用ホース |
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