JP2001032048A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JP2001032048A
JP2001032048A JP11204277A JP20427799A JP2001032048A JP 2001032048 A JP2001032048 A JP 2001032048A JP 11204277 A JP11204277 A JP 11204277A JP 20427799 A JP20427799 A JP 20427799A JP 2001032048 A JP2001032048 A JP 2001032048A
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bearing
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temperature
rolling
weight
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JP11204277A
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Koichi Yamamoto
幸一 山本
Susumu Tanaka
進 田中
Hiromitsu Muraki
宏光 村木
Hiroyuki Osawa
碩之 大澤
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐食性, 転がり疲労寿命, 耐摩耗性等に優れ且
つ高い心部靭性を有するのみならず、さらに優れた耐焼
付き性をも備えて、高温,高速で使用される航空機分野
をはじめ、食品機械や情報機器の分野等で優れた機能を
発揮し得る転がり軸受を提供する。 【解決手段】内輪,外輪及び転動体の少なくとも一つを
Cr;10.0〜20.0重量%を含有する鋼製とし、
これに窒化処理または浸炭窒化処理を行って表面層にお
ける窒素および炭素の総含有量を0.5≦N+C≦1.
5%の範囲内とするとともに、表面層における窒素およ
び炭素の含有量の関係が4C%≦N%を満たし、且つ表
面層の析出物の量を面積率で5%以上15%以下とし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温環境下におい
て耐食性のみならず、特に耐焼付き性が要求される航空
機や食品機械等にも好適に使用できる転がり軸受に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、転がり軸受用の材料として、軸
受鋼ではSUJ2、肌焼鋼ではSCR420相当の鋼材
が使用されているが、水混入,湿潤その他腐食環境下に
おいて使用された場合には早期に発錆して使用不能とな
る。そこで、そのような場合には従来より、耐食性に優
れると共に軸受に必要な硬度HRC58以上を有する高
Cr系ステンレス軸受鋼であるマルテンサイト系のSU
S440C等が使用されている。
【0003】一般の転がり軸受に比べて苛酷な環境で使
用されることが多いステンレス鋼製の転がり軸受は、水
混入,湿潤環境等の条件下での耐食性もさることなが
ら、潤滑不良等を考慮した耐摩耗性も極めて重要であ
る。鋼中に含有される炭素は、マルテンサイトを強化し
て高硬度を得るために不可欠な元素であるが、さらに炭
化物の形成によって高い耐摩耗性を与える。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記S
US440Cに代表される従来のマルテンサイト系の高
Crステンレス鋼は、炭素濃度が高くなると、鋼中の
C,Cr含有量が多いことに起因して10μmを超える
粗大な共晶炭化物が多数形成される。その粗大炭化物
が、軸受の耐食性をはじめ転動寿命,靭性を低下させる
ばかりでなく、さらに鍛造性,切削性等の加工性をも劣
化させるという問題点がある。
【0005】また、従来のマルテンサイト系ステンレス
鋼の場合、焼入したままでは多量の残留オーステナイト
が残るため、通常、焼入に引き続いてサブゼロ処理が行
われる。特に、航空機用軸受のように、比較的高温で使
用されたり寸法安定性が格別重要視されるようなもので
は、さらに400℃〜600℃の高温で焼戻されること
がある。しかし、従来のステンレス鋼に400℃〜60
0℃で焼戻しを行うと硬度がHRC55〜HRC57あ
るいはそれ以下まで軟化して高温硬さが不足し、そのた
め疲労寿命及び耐摩耗性等が低下してしまうという問題
がある。
【0006】また、従来の高炭素マルテンサイト系ステ
ンレス鋼は、高温で焼戻した場合にその焼戻過程におい
てCrが炭化物として2次析出したりして、著しく耐食
性が低下してしまうという問題点もある。こうした問題
点を解決するため、本願出願人は、炭素濃度を低下させ
てその代わりに炭素と同様の固溶強化作用がある窒素を
添加し、耐食性や耐摩耗性等に及ぼす窒素・炭素濃度及
びその他合金成分等の影響について研究を行った。その
結果、炭素濃度を低下させて代わりに窒素を添加すれ
ば、従来のステンレス鋼に比べて著しく耐食性が向上
し、400℃以上の高温で焼戻してもその耐食性が維持
でき、さらに微細な窒化物の形成により高い耐摩耗性が
得られること等を見出して特開平9−287058号に
開示するに至った。
【0007】ここで、航空機用の転がり軸受について述
べると、特に高温高速で使用される航空ジェットエンジ
ン, ガスタービン等に用いる軸受は、フープ応力に対す
る高い心部強度及び高温硬さが必要とされており、従来
はこれらの軸受にはセミハイス系のAISIM50Ni
L等の材料が用いられている。しかし、これらの材料は
耐食性が不足しているため、海に隣接した空港等では塩
害により早期に錆が発錆し易い。ところが、航空機用の
軸受では特に安全性が要求されるということもあって、
多少の錆でも発錆すると軸受寿命と判断される場合があ
る。したがって、航空機用軸受の場合には耐食性を考慮
してステンレス系の素材の適用が好ましいといえる。
【0008】しかし先にも述べたように、従来のステン
レス鋼であるSUS440C等の材料では高温硬さが不
足しており、航空機エンジン関係の軸受には不適切であ
る。さらに、この種の高炭素マルテンサイト系ステンレ
スを高温で焼戻した場合には、基地中のCrが炭化物と
なって析出するため著しくその耐食性が損なわれてしま
う。
【0009】そこで、前記特開平9−287058号で
は、こうした問題点をも解決するために、炭素と同様の
固溶作用がある窒素を添加して、耐食性, 転がり疲労寿
命,耐摩耗性に優れ, さらに高い心部靭性を有する浸窒
および浸炭型ステンレス鋼が提案された。すなわち、同
公報に開示された技術は、転がり軸受の内輪,外輪及び
転動体の少なくとも一つが、重量%でC;0.5%未
満、Cr;8.0%以上20.0%以下、Mn;0.1
%以上1.5%以下、Si;0.1%以上2.0%以
下、その他Feおよび不可避不純物元素を少なくとも含
有し、さらにC含有量とCr含有量との関係が0.04
Cr%−0.39≦C%≦−0.05Cr%+1.41
を満足する合金鋼からなり、Ac1未満の温度で窒化また
は浸炭窒化処理を行った後、900℃以上1200℃以
下の温度に一旦加熱して焼入し、サブゼロ処理を経てそ
の後に焼戻されてなる表面層を備えたものであり、これ
によって従来のマルテンサイト系ステンレス鋼に比べて
著しく耐食性を高め且つ粗大な共晶炭化物の形成を抑制
できて、耐食性に優れ、また高温焼戻しても軟化せずに
良好な転がり疲労寿命,耐磨耗性が維持でき、かつフー
プ応力に対する高い心部強度を有する高機能な転がり軸
受を得るものである。
【0010】そして、特に航空機用軸受の如く高温環境
で使用されるものに対しては、十分な表面硬さを確保す
べく表面層における窒素と炭素との含有量の関係を
0.5%≦C+N≦1.5% に規制している。しかし
ながら、前記特開平9−287058号に開示の技術で
は、硬さ, 耐食性, 耐摩耗性, 疲労寿命そして衝撃性に
有効に働くことが明らかにされたが, 耐焼付き性に関し
ては何も考慮されていない。
【0011】そこで、本発明は特開平9−287058
号に開示の技術をベースとし、耐食性, 転がり疲労寿
命, 耐摩耗性等に優れ且つ高い心部靭性を有するのみな
らず、さらに優れた耐焼付き性をも備えて、高温,高速
で使用される航空機分野をはじめ、食品機械や情報機器
の分野等で優れた機能を発揮し得る転がり軸受を提供す
ることを第1の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る本発明は、内輪,外輪及び転動体
の少なくとも一つが、Cr;10.0〜20.0重量%
を含有する鋼材よりなり、窒化処理または浸炭窒化処理
を行うことにより表面層における窒素および炭素の含有
量の関係が0.5≦N+C≦1.5%を満たす転がり軸
受であって、前記表面層における窒素および炭素の含有
量の関係が4C%≦N%を満たし、且つ前記表面層の析
出物の量を面積率で5%以上15%以下としたことを特
徴とする。
【0013】一般に, 窒化物, 炭化物などの析出物の含
有量が大きくなればなるほど耐焼付き性が良好になると
考えられるが、それに伴って基地中のCr量が減少する
ため耐食性の面からは析出物含有量は少ない方が好まし
い。そこで本発明では、Cr量と表面層の析出物の量と
の両者のバランスを考慮して部材の成分を上記のように
規制することで、耐食性と耐焼付き性との両立を図って
いる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の転がり軸受の実
施の形態を説明する。本願発明者らは、特開平9−28
7058号に開示された組成を有する鋼の耐焼付き性に
ついての研究を重ねた結果、当該鋼のCr含有量及び炭
化物と窒化物の量を適正範囲に規定すれば、耐食性と耐
焼付き性との両方を満足させ得ることを見出した。
【0015】本発明の転がり軸受用の合金鋼の成分量と
その臨界的意義は、次の通りである。 [Cr;10.0〜20.0%]Crは鋼に耐食性を与
える最も必要な元素であり、8.0重量%に満たないと
良好な耐食性が得られない。また、Cr含有量が増加す
ると耐食性は向上するが、δフェライトが生成して脆化
しやすくなり、心部靭性を劣化させるので上限を20.
0重量%とした。場合によっては、Ms点を下げて十分
な焼入れ硬さが得られなくなることがあるので、望まし
くは上限を16重量%とし、耐食性の観点から下限を1
0.0重量%とする。
【0016】 [0.5重量%≦表面層のC+N≦1.5重量%]本発
明では軸受の心部と表面層とで窒素濃度が異なってい
る。ここで、本発明において表面層とは、例えば直径D
aの転動体の場合、研削加工後の完成品の最大せん断応
力位置である完成品表面から0.022Daの深さ、即
ち直径の2.2%の深さまでをいうものとする(以後、
「2.2%Da深さ」という)。
【0017】Cは、基地をマルテンサイト化することに
より強度を増加させる元素であり、靭性に有害なδフェ
ライトの生成を抑制する作用がある。しかし、耐食性の
面からは有害でありその含有量は少ないほど良い。含有
量が多すぎると、心部に多量の残留オーステナイトが生
成して寸法安定性が低下する場合がある。また、多量に
加えると製鋼時にCrが粗大な共晶炭化物を形成し、そ
の結果、基地中のCr濃度が不足して十分な耐食性が得
られなくなるだけでなく、転動寿命,靭性を低下させ
る。そこで本発明の転がり軸受に用いる合金鋼は、Cの
一部を同様に固溶強化作用があるNで置換することによ
って高機能化を図っている。
【0018】Nは、耐食性向上に寄与するとともに、C
含有量が多い場合には粗大な一次共晶炭化物の形成を抑
制したり、逆にC含有量が少ない場合には、フェライト
の形成を抑制する作用があり、遷移温度を下げて心部靭
性の向上に寄与する。特に、窒素添加によって炭素含有
量を低減できるので耐食性が著しく改善できる。しかし
て、表面層における炭素+窒素の総含有量(C+N)%
が0.45重量%に満たないと、本発明の対象とする軸
受として必要な表面硬度HRC58以上となる領域を
2.2%Da深さにわたって確保できない。一方、表面
層の(C+N)%が1.5重量%を超えると、(Fe,
Cr)73や、(Fe,Cr)23 6あるいはCrNと
して存在するCrの量が増えて、基地のCr含有量の低
下及び炭化物あるいは窒化物量が増大を招き、その結果
安定な不働態被膜が形成されなくなり耐食性が低下す
る。また浸窒温度が高い場合には、多量の残留オ−ステ
ナイトが形成されて、十分な焼入硬さが得られなくなる
ことがある。したがって、表面層の炭素+窒素の量は
0.5重量%≦C+N≦1.5重量%の範囲とする。
【0019】 [表面層のCとNとの量的関係:4C≦N重量%]本発
明の転がり軸受の部材は、成分を調整した合金鋼に対し
窒化処理または浸炭窒化処理を施し、焼入れした後に、
焼戻し処理が行われる。焼戻し温度については、特に航
空機用軸受のように、比較的高温で使用されたり寸法安
定性が格別重要視されるものでは、400℃〜600℃
の高温で焼戻されることがある。しかし、従来のステン
レス鋼に400℃〜600℃で高温焼戻しを行うと、硬
度がHRC55〜HRC57あるいはそれ以下まで軟化
して高温硬さが不足し、そのため疲労寿命及び耐摩耗性
等が低下してしまう。
【0020】400〜600℃で高温焼戻しを行った場
合、金属炭化物としてはCr236が、また金属窒化物
としてはCrN,Cr2 Nなどが2次析出する。しか
し、CとNがCrと反応する原子数は異なっている。一
例を挙げると、Cr炭化物(Cr236 )が基地中のC
rを奪う原子数は、炭素1原子に対してクロム4原子で
あるが、Cr窒化物(CrN)は窒素1原子に対し、ク
ロム1原子である。そのため、窒化物のみのマルテンサ
イト系ステンレス鋼からなる軸受の基地から奪われるC
rの量は、炭化物のみのマルテンサイト系ステンレス鋼
よりなるものより減少する。換言すれば窒化物のみのマ
ルテンサイト系ステンレス鋼の方がマトリックス中に残
るCr量が多くなって、その結果耐食性が向上するので
ある。
【0021】これに鑑み、本発明の転がり軸受は、部材
表面における炭素成分と窒素成分との量的関係が4C≦
N重量%を満たすように規定する。なお、ここではCr
23 6 とCrNとを比較したが、他に析出してくる炭化
物と窒化物との量的関係も、この関係式を満たすもので
ある。以上は、本発明における部材用合金鋼の主要含有
成分であるCr,C,Nの関係を規定したものである
が、続いてその他の成分について述べる。もっとも、そ
の内容については特開平9−287058号に開示され
た内容と略同じでよい。
【0022】すなわち、本発明における部材用合金鋼
は、更に心部靭性に悪影響を及ぼすδフェライトの生成
を抑制するため、次の組成(重量%)を有することが好
ましい。Mn;0.1〜1.5%、Si;0.1〜2.
0%、Mo;0.4〜3.0%、V;0.4〜2.0
%、Ni;1.0〜3.5%、Co;1.0〜10.0
%、その他Fe及び不可避不純物元素を含有する。ここ
に、Co,Ni,C,N及びMnの各元素は、オーステ
ナイト安定化元素であり、一方Cr,Si,Mo,Vの
各元素は、フェライト安定化元素である。
【0023】軸受の素材のオーステナイト化を促進する
元素の一つであるCは、素材のフェライト化を促進する
元素の一つであるCrの含有量によってδフェライトを
生成したり、共晶炭化物を形成したりする場合があるか
ら、素材のフェライト化を促進する元素の含有量(Cr
%)を示す次の関係式 〔eq1〕=Cr%+Si%+1.5Mo%+3.5V
% 及び素材のオーステナイト化を促進する元素の含有量
(C%)を示す関係式 〔eq2〕=C%+0.83N%+0.05(Co+N
i)%+0.12Mn% の相互関係が、基本式 〔eq2〕≧0.04×〔eq1〕−0.39 ……(1) を満足するするものとする。
【0024】これらの条件を満たす素材鋼を浸窒および
浸炭処理してなるステンレス鋼を拡散処理し、引き続き
焼き入れすることによって、靭性心部と硬くて耐摩耗性
の表層部とを有する本発明の転がり軸受用の部材が得ら
れる。その部材表層部は残留圧縮応力を受けている。上
述のMnその他の成分の臨界的意義は次の通りである。
【0025】[Mn;0.1〜1.5%]Mnは脱酸剤
として0.1重量%以上必要であるが、多量に添加する
と鍛造性,被削性を低下させるだけでなく、S,Pなど
の不純物と共存して耐食性を低下させるので上限を1.
5重量%とした。また、残留オーステナイト量が増加し
て十分な焼入れ硬さが得られなくなることがあるので、
望ましくは上限を0.8重量%とする。
【0026】[Si;0.1〜2.0%]Siも脱酸剤
として0.1重量%以上必要であり、さらに焼戻軟化抵
抗性を高めるが、多量に添加すると靭性を低下させるの
で上限を2.0重量%とした。 [Mo;0.40〜3.0%]Moは焼入性及び焼戻軟
化抵抗を著しく増大させる元素であり、さらに耐孔食性
を著しく改善する作用がある。また、窒化物を形成して
強度を高める作用がある。特に、高温,高速で使用され
る例えば航空機用軸受の場合、0.40重量%以上好ま
しくは0.45%以上添加される。しかし、過剰に添加
すると靭性,加工性等を低下させるので、上限を3.0
重量%とした。
【0027】[V;0.40〜2.0%]Vは強力な窒
化物生成元素であり、これらの窒化物は溶け難く、さら
に焼戻過程で2次硬化を起こし、Cr窒化物の析出を抑
制すると共に強度を高める作用がある。そのため、特に
高温,高速で使用される例えば航空機用軸受の場合、
0.40重量%以上好ましくは0.45重量%以上添加
される。しかし、多量に添加すると靭性,加工性を低下
させるので2.0重量%以下とした。
【0028】[Ni;1.0〜3.5%]Niは強力な
オーステナイト安定化元素であり、δフェライトの生成
を抑え、さらに基地に固溶して靭性を向上させ高温特性
を高める作用がある。そのため、例えば航空機用軸受の
ように特に高温,高速で使用される軸受の場合、0.1
重量%以上添加する。しかし、必要以上に添加すると多
量の残留オーステナイトが生成して十分な焼入硬さが得
られなくなることがあるので、上限を3.5重量%以下
とする。
【0029】[Co;1.0〜10.0%]CoもNi
と同様にオーステナイト安定化元素であり、δフェライ
トの生成を抑え、さらに基地中に固溶して炭化物の凝集
を抑制し、高温硬さを向上させる作用がある。そのた
め、例えば航空機用軸受のように特に高温,高速で使用
される軸受の場合、1.0重量%以上添加する。しか
し、多量に添加すると加工性が低下するし、さらにコス
トが高くなることをも考慮して上限を10.0重量%以
下とする。
【0030】[Mo+V;0.8〜4.0%、Co+N
i;2.0〜12.0%未満、]Mo,Vは、固溶強化
作用に加えてC,N等の元素と化合物を形成して析出強
化作用に寄与するため、両者の総含有量で0.8重量%
以上、好ましくは1.0重量%以上添加する。しかし、
その総含有量が多すぎるとδフェライトが生成し易くな
り、さらに加工性も低下するので上限を4.0重量%以
下とする。
【0031】Co,Niは靭性に有害なδフェライトの
生成を抑制し、さらに基地を固溶強化して、特に高温下
での疲労寿命特性に好適な影響を及ぼすため、両者の総
含有量で2.0重量%以上、好ましくは2.5重量%以
上添加する。しかし、総含有量で12.0重量%以上添
加しても効果は小さく、加工性も低下することから、コ
ストを考慮して上限を12.0重量%未満とする。
【0032】特に高温下における軸受の疲労寿命を向上
させるためには、窒化物,炭化物による析出強化に加え
て、基地の固溶強化が不可欠である。Mo+V;0.8
重量%以上、Co+Ni;2.0%以上を含有した場合
に限り、極めて良好な高温疲労寿命特性が得られる。M
o+VまたはCo+Niのどちらか一方がそれに満たな
い場合には、析出強化作用または固溶強化作用が不足し
て、例えば航空機向け軸受に求められるような特に高
温,高速の使用に耐える良好な高温疲労寿命特性を得る
ことができない。
【0033】(実施例)次に、本発明の耐焼付き性を付
与した転がり軸受の第1の実施例について説明する。先
ず、本発明の転がり軸受の実施例に用いた鋼A〜F及び
比較例の鋼G〜Lの合金成分を表1に示す(単位:重量
%)。
【0034】
【表1】
【0035】また、実施例の熱処理条件を以下に示す。 実施例の熱処理条件: 前処理(フッ化処理);(処理温度;300〜400
℃) 窒化または軟窒化処理;(処理温度;400〜600
℃,〔NH3 ,N2 〕ガス雰囲気中) 高温保持(拡散);(1100〜1200℃×8〜16
時間,N2 雰囲気中) 焼入れ;(1000〜1070℃保持後油冷) サブゼロ処理;(液体窒素) 焼戻し;(400〜500℃×2hr) ここでは、熱処理の前処理としてふっ化処理を行った。
処理雰囲気はNF3 ,N2 等の混合ガスである。この処
理が行われると、処理材表面の異物等はフッ素原子によ
って破壊され除去されて表面が浄化される。と同時に、
鋼表面の酸化皮膜のような不働態皮膜が金属フッ化膜に
置き換えられる。この際、表面に形成される金属フッ化
膜は、不働態膜であるので表面への酸素吸着や酸化作用
を防止し、次の窒化処理まで酸化物の生成を阻止する。
その結果、確実に酸化物を除去することができる。
【0036】また、比較例の熱処理条件を示す。 比較例の熱処理条件: G 前処理(フッ化処理);(処理温度350℃) 浸炭処理;(処理温度650℃) 高温保持(拡散);(温度1150℃,時間8h) 焼入れ;(温度840℃) サブゼロ処理;(液体窒素) 焼戻し;(温度480℃) H,I,L,J 高温窒化および軟窒化(高純度窒素ガス雰囲気中) 高温保持;(処理温度1100〜1200℃,時間8〜
16h) 焼入れ;(温度1000〜1100℃) サブゼロ処理;(液体窒素); 焼戻し;(温度400〜500℃) K 前処理(フッ化処理);(処理温度350℃) 軟窒化処理;(処理温度410℃) 高温保持(拡散);(温度1150℃, 時間16h) 焼入れ;(温度1020℃) サブゼロ処理;(液体窒素) 焼戻し;(温度480℃) なお、上記G〜Lの記号の熱処理は、表1の材料を用い
て下記表2の同一の記号の比較例を得るための熱処理法
を示す。
【0037】試験概要 上記のように処理した供試片の表面層炭素量及び表面層
窒素量、C,Nの量的相互関係4C≦N重量%(ここで
は、N−4C重量%で示す)、表面層のC,N総含有量
(以上は全て重量%)、硬さ、析出窒化物の面積率を測
定した。その値を、表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】各供試片について、焼付き限界速度を測定
し耐焼付き性を評価した。また、孔食電位測定により耐
食性評価を行った。それぞれの試験結果を表2に併記し
て示す。なお、孔食電位測定は、JIS規格に準じて行
った。すなわち、先ず800番まで研磨した供試片を6
0℃の30%HNO3溶液中に1時間浸漬して不働態化
処理した後、30℃,3.5%NaCl溶液中で20m
V/分で掃引し、100μA/cm2 に達したときのm
V vs SCEで評価した。
【0040】一方、焼付き性試験は、サバン式摩耗試験
機を用いて次の試験条件で行った。 ( 試験条件) 初期面圧Pmax;10kgf 摩擦速度 ;0.4〜3.5m/s 摩擦距離 ;1000m 摩耗試験では、摩擦速度を0.4〜3.5m/sの範囲
内で変えて試験を行った。時間の経過とともに試料は徐
々に摩耗されるが、ある時間で摩耗面の表面の凹凸が激
しくなり摩耗形態が変化する。この限界を付着限界とし
て焼付き限界と定義する。つまり、付着が起こる限界の
速度が焼き付き限界ということになる。
【0041】表2に示す測定結果から、析出物面積率に
対する孔食電位および焼付き限界の関係を図1に示し
た。実施例(A〜F)の合金鋼は、いずれも良好な耐食
性を示している。但し、実施例FとDには大きな耐食性
低下が認められた。これはCr炭化物あるいはCr窒化
物の析出による基地中のCr量の減少であると考えられ
る。このことから表面に形成された析出物量が増大する
と耐食性が低下するおそれがあり、その表面析出物量の
面積率は15%以下が好ましいことがわかる。
【0042】これに対し、比較例G,HはいずれもC,
Nの量的相互関係4C≦N重量%が満たされておらず、
孔食電位は負の値となり耐食性が極めて低い。比較例
I,J,Lは、窒化物の面積率が下限値5%を下回り、
焼付き限界速度が1m/sに達しておらず耐焼付き性が
低い。比較例Kは前記比較例G,Hと共に窒化物の面積
率が上限値15%を超え、孔食電位が低くなり耐食性が
著しく低下している。
【0043】以上説明したように、本発明は、転がり軸
受の部材の表面層のCとNとの量的関係を規定すると共
に表面析出物の量を一定の範囲内とすることで、耐食性
と耐焼付き性とを同時に向上させるものであり、特に高
温,高速で使用される航空機用軸受として好適である。
次に、本発明の技術をHDDのスイングアーム用軸受に
利用した第2の実施例について以下に説明する。
【0044】高速で用いられる転がり軸受は、航空機用
軸受に限られず、例えば磁気ディスク装置(HDD)の
スイングアーム用軸受が高速で微小揺動する部位に使用
されている。特に最近は、磁気ディスク装置の高密度化
に伴い、ディスクに信号を記録するトラックの幅はます
ます狭くなってきており、スイングアームには目標トラ
ックへのアクセスの高速化と位置決め性能の高精度化の
要求が高まっている。このため、スイングアームを支持
する玉軸受には、制御の高速化と高精度化とを満たすべ
く、低トルク化と共に、トルクスパイク( 急激なトルク
変動) のようなトルク変動がないことが求められてい
る。
【0045】また、信号を記録再生するヘッドはディス
ク面にますます接近してきており、磁気ディスク装置の
信頼性にとってはコンタミネーションの管理がますます
重要になっている。このため, ヘッドを搭載したスイン
グアームを支持する玉軸受には、従来にも増して潤滑剤
の飛散や蒸発の少ないことが求められている。従来のス
イングアーム用軸受装置では、グリースが密封された玉
軸受2個に予圧をかけて使用されている。グリース封入
量は、通常、軸受内部の空間容積の10〜15%であ
る。なお、玉の材質には、高炭素クロム軸受鋼(SUJ
2)または高耐食性ステンレス鋼(ES1)が用いられ
ている。
【0046】しかしながら、このようにグリース量が多
いと、グリースの蒸発や飛散によるアウトガスも多くな
って磁気ディスク面のコンタミネーション管理が困難に
なるという問題や、トルク変動やトルク増大という問題
が生じている。そこで、高速用途に好適な本発明の技術
をHDDのスイングアーム用軸受に利用して、このよう
な従来のスイングアーム用軸受の問題点を解決できた第
2の実施例を以下に説明する。
【0047】すなわち、第2の実施例は、内輪,外輪及
び転動体の少なくとも一つをCrを含有する鋼材により
形成し、その表面に窒化処理を施して耐焼付き性を高め
たことにより、軸受内部空間容積への潤滑剤の封入量を
従来より大幅に低減せしめたことを内容とするスイング
アーム用転がり軸受である。この第2の実施例の転がり
軸受の転動体は、Cr;10.0〜20.0重量%を含
有する鋼材製で、これを窒化処理または浸炭窒化処理し
て表面層における窒素および炭素の含有量の関係が0.
5≦N+C≦1.5%を満たすと共に4C%≦N%を満
たし、且つ表面層の析出物の量を面積率で5%以上15
%以下としたものである。
【0048】かくて、転動体表面(及び/又は軌道輪の
軌道面でもよい)に窒化処理を施しておくことにより、
潤滑剤の封入量が極めて微量で殆ど無潤滑(ドライ)状
態に近い場合であっても、早期に生じやすいフレッチン
グ摩耗が抑制される。そのため、潤滑剤の封入量を軸受
内部空間容積の1〜5%と、従来に比べて極端に低減す
ることが可能になった。
【0049】潤滑剤としては、にじみ出しの少ないウレ
ア系グリース, フッ素系グリース,エステル系オイルあ
るいはフッ素系油オイルなどを使用する。アウトガスを
低く押さえるためには、親和性の高いフッ素系グリース
あるいはフッ素系オイルなどを用いるのがより好まし
い。また、グリースあるいはオイルなどの潤滑剤はあら
かじめ玉と内輪の軌道面,玉と外輪の軌道面および玉と
保持器ポケットの摺動面の少なくとも1か所に注入によ
って封入すれば良く、初期の回転あるいは揺動によって
潤滑剤が全面に転写される。オイルの場合の封入方法と
しては、ディッピング(どぶ漬け) によってうすく塗布
するいわゆるオイルプレーテイング法でも良いし、コー
ティングあるいは薄膜といったような潤滑塗布方法であ
っても良い。
【0050】この第2の実施例の転がり軸受を、スイン
グアーム装置の軸およびハウジングへ固定して装着する
のに接着剤を用いることができるが、より有利には内輪
を加振しながら圧入すると共に外輪側で共振周波数を測
定しながら予圧制御を行ういわゆる共振圧入方法を用い
得る。この圧入方法は、接着剤を用いないからそのアウ
トガスによる磁気ディスク面汚染のおそれが無く、また
共振(剛性) を一定にすることができる利点がある。
【0051】また、潤滑剤のアウトガス及びにじみ出し
を少なくするため、玉軸受の両側はシールドされてい
る。本第2の実施例にあっては、潤滑剤の封入量が極め
て微量でありアウトガスに対する影響がないことから、
内側シールをなくした片シールであっても良い。なお、
本第2の実施例は、スイングアーム用だけでなく、HD
Dのスピンドル用玉軸受あるいはころ軸受に応用しても
よい。
【0052】窒化ボールを使った玉軸受の揺動耐久試験
について説明する。図2に、軸受外輪揺動耐久試験装置
を示す。ACサーボモータ44によってハウジング45
を介して試験用の2個の玉軸受の外輪46を揺動駆動
し、数百万回から数億回の揺動試験前後のアキシアル方
向の加速度振動値(G値)を測定して耐フレッチング性
能を評価する。ハウジング45は、予圧バネ46及びサ
ポート軸受47により装置に支持されている。
【0053】試験後のフレッチング摩耗が大きい程、試
験後のG値は大きくなる。揺動形態としては、一定エリ
アシークとランダムシークの2種類がある。揺動角度が
小さい一定エリアシークの揺動形態の場合は、供試玉軸
受の玉の位置が動かないことから、フレッチング耐久試
験としては過酷な条件となる。また、揺動試験は油膜が
形成されにくい運転試験であるため、フレッチング耐久
評価方法としては好ましい方法である。 (揺動耐久試験条件) (1) 試験軸受: スイングアーム用玉軸受( SR168
B) (2) 揺動回数: 60万回 (3) 揺動角度: ±3° (4)揺動周波数:5回/sec (5)雰囲気温度:室温 (供試軸受) 実施例 玉 ;第1の実施例における実施例Aを使用した窒化
ボール。
【0054】外内輪;素材にSUJ2を用いて形成した
焼入れ焼戻し品。 潤滑剤;フッ素系グリース、40℃の動粘度40m2
sec 封入量は軸受内部空間容積の1〜5%の範囲。 比較例(従来例) 玉 ;素材にSUJ2を用いて形成した焼入れ焼戻し
品。
【0055】外内輪;素材にSUJ2を用いて形成した
焼入れ焼戻し品。 潤滑剤;実施例と同じグリース。封入量は軸受内部空間
容積の10〜15%の範囲。 揺動耐久試験の結果を図3に示す。横軸はグリース封入
量(空間体積比率)、縦軸は耐久試験前後のG値の比率
(試験後の値/初期値)である。
【0056】この結果から、窒化表面層ボールとした実
施例の場合は、グリース量が微量(1〜5%)であり、
また油膜が形成されにくい条件下においても、G値の増
加が少ない。すなわちフレッチング摩耗の損傷が少な
く、HDDのスイングアーム用軸受に要求されるフレッ
チング耐久性が従来品に比較して優れていることが明ら
かである。
【0057】すなわち、軌道輪または転動体の少なくと
も一方に窒化処理を施し、潤滑剤の封入量を軸受内部空
間容積の1〜5%とした第2の実施例によれば、グリー
ス封入量が多い従来のスイングアーム用軸受に比べて潤
滑剤の蒸発や飛散を少なくできるとともに、低トルクで
且つトルク変動も小さくでき、しかも耐フレッチング性
に優れたスイングアーム用軸受が提供できる。
【0058】次に、本発明の技術をHDDのスピンドル
モータ用軸受に利用した第3の実施例について説明す
る。図4は、3.5インチHDD用に使われる一般的な
スピンドルモータの断面図で、モータベース1にシャフ
ト2が固定して立設されている。そのシャフト2に、上
下2個の玉軸受3,3を介してハブ4が回転自在に支持
されている。上下の各玉軸受3,3は、内輪3nの内径
面がシャフト2の外径部に、外輪3gの外径面がハブ4
の内径部にそれぞれスキマバメで挿入され、接着剤(通
常はUV硬化型)により固着する。一方、シャフト2の
上端外径面にはカバープレート5が圧入接着される。カ
バープレート5の外径部とハブ4の内径部との間にはラ
ビリンスすき間が介在しており、カバープレート5を圧
入することにより、上下の両玉軸受3,3に所定の大き
さの初期予圧が付与される。
【0059】外径部にディスク取付け面6を有するハブ
4の外周内面にはロータ磁石7が取付けられ、モータベ
ース1上に周面対向に固定したステータ8と共にモータ
Mを構成している。このステータ8に通電することで、
ロータ磁石7ひいてはハブ4が回転駆動される。本第3
の実施例は、上記玉軸受3,3に対して本発明を適用す
ることにより、耐食性に優れまた良好な転がり疲労寿
命,耐磨耗性を有するのみならず、転動体としてセラミ
ックスボールを使用したスピンドルモータ用転がり軸受
に比べて予圧抜けが小さく、シャフトの振動振動,回転
精度がより良好なHDDのスピンドルモータ用転がり軸
受を提供せんとするものである。
【0060】すなわち、本第3の実施例の転がり軸受に
あっては、その構成部材の一つである転動体3tを、C
r;10.0〜20.0重量%を含有する鋼材を用いて
形成すると共に、窒化処理または浸炭窒化処理を行うこ
とにより、表面層における窒素および炭素の含有量の関
係が、0.5≦N+C≦1.5%及び4C%≦N%を満
たし、且つ表面層の析出物の量を面積率で5%以上15
%以下に規制している。
【0061】本発明を転動体に適用した窒化ボール3t
を使った実施例の玉軸受と、セラミックスボールを使用
した従来例の玉軸受との比較試験により、具体的に説明
する。 (供試軸受) サイズ ;内径3mm×外径13mm×厚さ3mm,玉
径2mm 材 質 実施例 玉 ;第1の実施例における実施例Aを使用した窒化
ボール。
【0062】(線膨張係数α; 9.8×10-6) 外内輪;素材にSUJ2を用いて形成した焼入れ焼戻し
品。(線膨張係数α; 7.83 ×10-6) 比較例(従来例) 玉 a;素材に窒化ケイ素Si3 4 を使用したセラミ
ックボール。
【0063】(線膨張係数α; 2.8×10-6) 玉 b;素材にSUJ2を使用した鋼球。(線膨張係数
α; 7.83 ×10-6) 外内輪;実施例と同じ (装置材質) シャフト;SUS440C(線膨張係数α;10.1×1
0-6) ハブ ;Al (線膨張係数α;23.7×1
0-6) なお、軸受間スパンは5〜7mm程度 初期予圧を温度20℃で1.4kgfに設定して試験を
行い、温度予圧特性を求めた。
【0064】その結果を求めたものを、図5に示す。図
5中のSUJ2の実線は、素材にSUJ2を使用した鋼
球(玉b)の場合の温度予圧特性を表したものである。
実施例である窒化ボールの場合、その線膨張係数αの値
はSUJ2製の鋼球を用いた場合と酷似しており、ほぼ
同じ温度依存性があり好ましい。また、ハブが線膨張係
数αの大きいAl製のため、いずれも20℃以降は温度
上昇に伴い予圧荷重が右下がりに減少しているが、窒化
ボール及びSUJ2製の鋼球では変化量が少なく緩やか
であり、予圧抜けが小さくて好ましい材質の組合せとい
える。この予圧抜けについては、全SUJ2製転がり軸
受は良好であるが、耐焼付き性は窒化ボールに比べて劣
る。
【0065】一方、セラミックボールを使用した方は、
温度変化による予圧荷重の変化は急激で予圧抜けが大き
く、60℃以上では予圧ゼロになっている。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
耐食性, 転がり疲労寿命, 耐摩耗性等に優れ且つ高い心
部靭性を有するのみならず、さらに優れた耐焼付き性を
も備えて優れた機能を発揮し得る転がり軸受が得られる
という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】軸受部材表面の析出物の量(面積率)と耐焼付
き性との関係を表した図である。
【図2】軸受外輪揺動耐久試験装置の概要図である。
【図3】軸受外輪揺動耐久試験の結果を表した図であ
る。
【図4】HDD用スピンドルモータの断面図である。
【図5】転動体の材質が異なる転がり軸受の温度予圧特
性を表した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村木 宏光 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 (72)発明者 大澤 碩之 神奈川県藤沢市鵠沼神明一丁目5番50号 日本精工株式会社内 Fターム(参考) 3J101 BA10 BA70 DA02 EA02 EA06 FA08 FA31 FA33 GA53 GA60 4K028 AA02 AA03 AB01 AB06

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内輪,外輪及び転動体の少なくとも一つ
    が、Cr;10.0〜20.0重量%を含有する鋼材よ
    りなり、窒化処理または浸炭窒化処理を行うことにより
    表面層における窒素および炭素の含有量の関係が0.5
    ≦N+C≦1.5%を満たす転がり軸受であって、 前記表面層における窒素および炭素の含有量の関係が4
    C%≦N%を満たし、且つ前記表面層の析出物の量を面
    積率で5%以上15%以下としたことを特徴とする転が
    り軸受。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003041359A (ja) * 2001-07-30 2003-02-13 Tanaka:Kk チタン合金部品の疲労特性改善方法とそれを用いたチタン合金部品
US7287910B2 (en) 2001-09-03 2007-10-30 Ntn Corporation Angular ball bearing and rolling bearing
JP2015514874A (ja) * 2012-04-27 2015-05-21 エクスパナイト テクノロジー アグシャセルスガーッブExpanite Technology A/S 不動態合金の冷間変形された加工物の溶液硬化のための方法、およびこの方法によって溶液硬化された部材

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