JP2001030403A - 多層構造基材及び粘着フィルム - Google Patents
多層構造基材及び粘着フィルムInfo
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Abstract
に、貼り付け面や保持物を傷めることなく被着体から分
離可能であるとともに、厚さを薄くした状態であっても
十分なフィルムの腰の強さを確保できるような基材を提
供すること。 【解決手段】 樹脂材料からなりかつ300〜1,50
0%の長手方向の破断時伸び及び2kg/12mm以上の破
断強度を示す基本層と、前記基本層の樹脂に比較してよ
り高い弾性率を有する樹脂からなる補助層とを含んでな
るように構成する。
Description
材に関し、さらに詳しく述べると、粘着フィルムの基材
として特に有利に使用することのできる多層構造基材に
関する。本発明は、また、このような多層構造基材を使
用した、被着体に対して確実に貼付することができか
つ、被着体から剥離する場合、粘着剤の残留を実質的に
伴わないで簡単にしかも被着面を傷めることなく分離す
ることが可能な薄手の粘着フィルムに関する。本発明の
粘着フィルムは、特にフィルムの引伸ばしを伴いながら
分離を行い得る(いわゆる「ストレッチリリース」)と
いう点で注目に値し、事務用粘着テープなどとして有利
に使用することができる。
好適に使用し得るいろいろなタイプの接着テープが提案
され、実用化されている。例えば、特表平6−5040
77号公報には、裏地及びその少なくとも1つの主表面
に担持された感圧接着剤を含んでなるテープであって、
前記裏地が約150〜1,200%の長手方向の破断点
伸び、延伸された後約50%未満の弾性回復、及び少な
くとも約175.8kg/cm2 であるが約5,097kg/
cm2 未満のヤング率を有し、そして該テープが基材に強
く結合することができそしてさらに基材の表面から約3
5°以下の角度で引っ張られた後に除去され得るもので
あることを特徴とする、除去可能な接着テープが開示さ
れている。この接着テープは、その貼り付け面に対して
特定の角度以内で剥離することで、被着体や保持物を傷
めることなく引き剥がすことができるという効果があ
る。この接着テープはそれに固有の有用性を奏すること
ができるけれども、これにさらに剛性(スティフネス)
が追加されたならば、特定の用途における利便性、使用
可能性が向上するであろう。
は、支持体及びその支持体の少なくとも1つの表面に塗
布された第1の感圧接着剤組成物を含んでなる粘着テー
プであって、前記支持体は、30〜約1,000ミルの
厚さであるポリマー泡の層を含み、さらにその支持体
は、約50%〜約1,200%の長さ方向の破断時伸び
を有し、前記テープは、基体に強固に接着できるが、前
記基体の表面から約35°以下の角度で引っ張られた後
では、前記基体からの前記テープの剥離前に前記支持体
を破断することがなく、かつ前記基体上に実質的な感圧
接着剤の残留物を残すこともなく、その後にそこから剥
離することができる、粘着テープが開示されている。こ
の粘着テープの場合には、支持体としてポリマー泡の層
が含まれるため、ある程度の粗面に対しても順応性があ
り、剛性についても、使用者に不自由を感じさせること
はない。しかし、この粘着テープは上記したようなポリ
マー泡の層の厚さからも理解されるようにかなりの肉厚
であり、壁のような表面に絵画のようなものを取り付け
るのには便宜であるというものの、事務用などに使用す
るためにはより薄手であることが必要である。
ープ及び粘着テープやその他の従来の接着テープ及び粘
着テープの欠点に鑑みて、被着体に対して確実に貼付す
ることができかつ、被着体から分離する場合、粘着剤の
残留を実質的に伴わないで簡単にしかも被着面を傷める
ことなく分離することが可能であり、しかも使用者にと
って取り扱いが容易な粘着フィルムを提供することが望
ましい。
ような粘着フィルムの製造に有用なフィルム状基材を提
供することにある。本発明のもう1つの目的は、上記し
たような望ましい特性をそなえた粘着フィルムを提供す
ることにある。
において、樹脂材料からなりかつ300〜1,500%
の長手方向の破断時伸び及び2kg/12mm以上の破断強
度を示す基本層と、前記基本層の樹脂材料に比較してよ
り高い弾性率を有する樹脂材料からなる補助層とを含ん
でなることを特徴とする多層構造基材を提供する。
て、本発明による多層構造基材と、該多層構造基材の少
なくとも片面に施された粘着剤層とを含んでなることを
特徴とする粘着フィルムを提供する。
れを少なくとも1層の基本層と、少なくとも1層の補助
層とから構成し、それぞれの機能を分離させることを通
じて、従来の多層構造基材では得ることのできなかった
優れた効果を得ようとするものである。本発明の多層構
造基材において、基本層は、特に、基材に対して高度の
伸長性及び高い破断強度を付与する機能を有している。
また、基本層と組み合わせて使用される補助層は、得ら
れる基材において剛性を向上させ、基本層において十分
でないこの特性を補強する機能を有している。
しい1実施形態を示した断面図である。多層構造基材1
0は、基本層1とその片面に積層された補助層2とから
構成される。本発明の多層構造基材において、基本層
は、いろいろな樹脂材料から形成することができるが、
300〜1,500%の長手方向の破断時伸び及び2kg
/12mm以上の破断強度を示すことが必須の要件であ
る。このように高度に伸長性でかつ高い破断強度を有す
ることは、得られる粘着フィルムにおいて、薄手の基材
として十分に使用に耐え得る腰の強さを有すると同時
に、ストレッチリリースを行いたい時に簡単にしかも被
着面を傷めることなく分離でき、リリース後に実質的に
粘着剤の残留がないようにするうえで、特に必要であ
る。
る樹脂材料は、以下に列挙するものに限定されるわけで
はないけれども、例えば、高密度ポリエチレン(HDP
E)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポ
リエチレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン
(LULDPE)、ポリプロピレン(PP)などのポリ
オレフィン類、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビ
ニル(PVA)などのポリビニル重合体、エチレン−メ
タクリル酸共重合体(EEMA)、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)などのポリオレフィン系共重合
体、アクリル重合体やスチレン−イソプレン−酢酸ビニ
ル共重合体などのブロック共重合体、サーモプラスチッ
クエラストマー(TPE)などを包含する。このような
樹脂材料は、単独で使用してもよく、あるいは2種類以
上の樹脂材料を組み合わせて使用してもよい。
は、いろいろな形態のフィルムであることができる。適
当なフィルムとしては、例えば、不織布のフィルム、織
布のフィルム、多孔質のフィルム、気泡フィルムなどを
挙げることができる。これらのフィルムは、必要に応じ
て、形態の異なるものを組み合わせて使用して、基本層
としてもよい。
み合わせて用いられる補助層は、基本層の樹脂材料に比
較してより高い弾性率を有する樹脂材料からなることが
必須の要件である。これは、基本層自体では満足し得る
程度に十分でない剛性をこの補助層によって確保するた
めである。補助層の形成に有利に使用することのできる
樹脂材料は、先に説明した基本層の形成に使用される樹
脂材料と同一あるいは類似であることができ、以下に列
挙するものに限定されるわけではないけれども、例え
ば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチ
レン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)、線状超低密度ポリエチレン(LULDPE)、ポ
リプロピレン(PP)などのポリオレフィン類、ポリ塩
化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル(PVA)などの
ポリビニル重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体
(EEMA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EV
A)などのポリオレフィン系共重合体、アクリル重合体
やスチレン−イソプレン−酢酸ビニル共重合体などのブ
ロック共重合体、サーモプラスチックエラストマー(T
PE)などを包含する。このような樹脂材料は、単独で
使用してもよく、あるいは2種類以上の樹脂材料を組み
合わせて使用してもよい。
は、いろいろな形態のフィルムであることができる。適
当なフィルムとしては、例えば、不織布のフィルム、織
布のフィルム、多孔質のフィルム、気泡フィルムなどを
挙げることができる。これらのフィルムは、必要に応じ
て、形態の異なるものを組み合わせて使用して、補助層
としてもよい。
必要に応じて、その層中に分散せしめられた有機もしく
は無機の充填材を含有していてもよい。有機の充填材と
しては、例えば、補助層を構成する樹脂材料とは異なる
樹脂材料を挙げることができる。また、無機の充填材と
しては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ
などを挙げることができる。本発明の実施に当たって
は、とりわけ、無機の充填材を使用するのが有利であ
る。このような充填材は、フィルムの剛性をさらに向上
させたり、降伏点を下げてフィルムの伸長しやすさを助
長したり、破断強度を低下させたりするのに有用であ
り、したがって、本発明で意図しているストレッチリリ
ースに好適である。例えば、LLDPE/HDPE(ウ
ィスカー状の無機充填材をコンパウンド)/LLDPE
の如き3層構造を有する多層構造基材の場合には、HD
PEと無機充填材の作用が組み合わさって非常に効果的
に剛性を向上させることができるうえ、LLDPEより
も高い降伏点応力を示すHDPEの降伏点応力を若干低
下させることが可能になるので、ストレッチリリースし
やすくなる(軽い力で引張りながら分離することができ
る)という効果が得られる。
形状及びサイズを有することができるというものの、球
形粒子、ウィスカー、針状晶あるいはそれに類似の形状
を有することが好ましく、また、そのサイズは、広く変
更することができるというものの、通常、約1〜20μ
mの範囲である。例えば、ウィスカーの場合、比較的に
微細なものが好ましく、その長さは、好ましくは、約1
〜15μmの範囲であり、さらに好ましくは、約10μ
mの前後である。このようなウィスカーの直径は、通
常、約0.1μmの前後である。ここで使用する充填材
のサイズが1μmよりも少ないと、補助層内において充
填材の作用効果が得られず、反対に20μmを上回る
と、補助層の形成やその他の所望とする効果に悪影響が
でてくるおそれがある。
広い添加量で補助層中に含ませることができるけれど
も、通常、約5〜70重量%の範囲で添加することが好
ましい。充填材の添加量が5重量%よりも少ないと、そ
の添加効果が発現せず、反対に30重量%を上回ると、
補助層の形成やその他の所望とする効果に悪影響がでる
おそれがある。通常、約10〜30重量%前後の添加量
で充填材を添加することが好ましい。
任意の色に着色されていてよい。着色されていることに
より、最終的に得られる粘着フィルムの取り扱い性など
が改善されるからである。着色は、通常、基本層におい
て行うことができるが、場合によっては補助層において
行ってもよい。着色媒体としては、各種の染料あるいは
顔料を使用することができる。また、着色される色は、
単色であってもよく、さもなければ、意匠性の改良など
のため、2種類もしくはそれ以上の色の組み合わせであ
ってもよい。
くはそれ以上の基本層を有していてもよい。例えば、図
2は、図1に示した多層構造基材10の1変形例を示し
たもので、補助層2の片面に基本層1−1を有し、かつ
基本層1−1の反対側の面に基本層1−2を有してい
る。このように、補助層を2層の基本層でサンドイッチ
することによって、フィルム形成時に発生するカールを
抑制する効果を得ることができる。
構造基材は、本発明の効果に悪影響がでず、しかも追加
の効果が期待されるような場合には、粘着フィルムの分
野において必要に応じて組み込まれているようなその他
の追加の層、例えば、クッション層、離型層などを有し
ていてもよい。さらに、基本層を2層以上から構成する
場合には、それぞれの基本層は同一もしくは異なってい
てもよい。
などに応じて広い範囲で変更することができるというも
のの、通常、基本層及び補助層の全体を合計して約10
〜250μmの範囲にあることが好ましく、さらに好ま
しくは、約30〜100μmの範囲である。基材の厚さ
が10μmを下回ると、十分な引張り強度が保てない場
合や、もはや粘着フィルムの基材として機能しなくなる
場合があり、反対に、250μmを上回ると、高い引張
り強度のために、被着体からテープを分離する作業が実
質的に困難となり、また、粘着フィルムを薄手とするこ
との効果も損なわれるようになる。
合フィルムの作製に一般的に使用されている技法を使用
して製造することができる。例えば、基本層及び補助層
のそれぞれの樹脂原料を適当なダイから同時に押し出
し、引き続いて延伸することにより製造することができ
る。また、フィルム状の基本層及びフィルム状の補助層
を予め作製した後、それらを積層し、融着することによ
って一体化してもよい。場合によっては、基本層と補助
層を接着剤などによって接合してもよい。
うな基材を使用した粘着フィルムにある。すなわち、本
発明の粘着フィルムは、本発明の多層構造基材と、その
多層構造基材の少なくとも片面に施された粘着剤層とを
含んでなることを特徴とする粘着フィルムにある。本発
明の粘着フィルムの典型的な実施形態は、図3に示され
る通りである。図示の粘着フィルム20の場合、先に図
1を参照して説明した本発明の多層構造基材10の補助
層2の側に粘着剤層5が施されている。なお、粘着剤層
5は基本層1の側にあってもよい。また、図示しないけ
れども、粘着フィルム20は、ストレッチリリースの時
に使用者がテープをつかみやすくしかつ分離しやすくす
るため、テープの一端に設けられた非粘着性のタブを有
していてもよい。
は、粘着フィルムの分野において常用のいろいろな粘着
剤を塗被することによって形成することができる。適当
な粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、例えば
イソオクチルアクリレートとアクリル酸の共重合体な
ど、合成ゴム系粘着剤、例えばシリコーン、ポリイソプ
レン、ポリブタジェン、スチレン−イソプレン−スチレ
ン共重合体など、天然ゴム系粘着剤、その他を挙げるこ
とができる。アクリル系粘着剤や合成ゴム系粘着剤が特
に有用である。
コート法、スクリーン印刷法などの常用の技法を使用し
て、多層構造基材の片面もしくは両面に塗布し、乾燥す
ることができる。多層構造基材の粘着剤塗布面は、通
常、粘着剤の塗布及び被着を促進するため、常用の技法
に従ってプライマ処理等の前処理を施すのが好ましい。
乾燥後の粘着剤層の厚さは、所望とする粘着フィルムの
特質やその他のファクタに応じて広く変更することがで
きるけれども、通常、約10〜250μmの範囲であ
る。粘着剤層の表面は、それを不用意な付着などから保
護するため、この技術分野において一般的に行われてい
るように、リリースライナーなどを有していたり、その
他の離型処理が施されていてもよい。
離力が、300mm/分の剥離速度で測定した時、少なく
とも160g/inであることが必要である。これは、1
80°剥離力がより小さいような場合には、粘着力が強
力であること、ストレッチリリース時に被着面などの損
傷することがないこと、そしてリリース後に粘着剤の残
留が実質的にないことの、本発明の重要な効果を同時に
満たすことができないからである。
場合には、それを剥離する時、粘着フィルムの粘着剤層
を有していない側を貼付面から35度以内の角度で簡単
かつ容易に引き剥がすことができ、その際、貼付面に粘
着剤が残るような不都合も殆ど発生することがない。本
発明の粘着フィルムは、いろいろな形態で提供すること
ができる。例えば、本発明の粘着フィルムは、基材のも
つ薄くても十分な強さの腰という特徴のため、剥離紙を
使用しないで積層することも可能で、例えば同一方向に
粘着剤塗工がなされたいわゆる「ポストイットTM」タイ
プの積層体とすることができる。また、本発明の粘着フ
ィルムでは、非同一方向に粘着剤が塗工し積層されてい
てもよい。さらに、本発明の粘着フィルムでは、それを
多層構造基材の片面のみに粘着剤層を施した矩形シート
の形として、粘着剤層を有していない部分が交互に重な
った蛇腹折りの積層体とすることができる。このような
積層体は、適当なディスペンサーに収納すると、いわゆ
る「ポップアップ」構造を提供でき、各シートを一枚ず
つ引き出して使用することができる。
3cm)及び長さ=約15〜18cm)に細断して細長い試
験片を作製した後、測定機器のテーブルにセットし、試
験片の両端をマグネット治具で固定する。測定機器のス
イッチを入れ、それぞれのマグネット治具をテーブルの
中央部まで自動的にスライドさせ、試験片のループを作
成する。試験片のループができた後、テーブルを横倒し
するとともに、試験片のループを潰すため、測定機器の
付属のセンサをループの方向に200mm/分の速度で移
動させる。センサが直進してループが潰れた時の応力の
最大値を記録し、これを剛性とする。
て使用して、その片面(粘着剤塗布面)にプライマ処理
を施した。プライマとして、塩素化ポリプロピレン、東
洋化成より「Hardlen B−13」(商品名)と
して入手可能、をトルエンで固形分濃度2%に希釈して
得た溶液を使用した。基材の表面にプライマをハードコ
ートした後、イソオクチルアクリレート−アクリル酸
(95:5)共重合体からなる粘着剤をスクリーン印刷
法により膜厚5μmで転写し、乾燥させた。得られた粘
着フィルムの180°剥離力を測定したところ、300
mm/分の剥離速度で測定して、450g/25mmである
ことが確認された。なお、本例の場合、粘着フィルムの
180°剥離力は、次のような手順に従って実施した。 〔180°剥離力の測定〕 測定機器:スリップ/ピールテスター(米国Instr
umentors Inc.製、商品名「Model
3M90」) 測定の手順:幅50mm×長さ150mmのステンレス鋼製
試験パネルを用意し、パネルの末端の25mmの領域をマ
スキングテープで被覆した。一方、複合フィルムを幅=
1/2インチ(約1.3cm)及び長さ=約15cmに細断
して細長い試験片を作製した。作製した試験片を感圧接
着剤により試験パネルの表面に、試験片の末端の一部が
マスキングテープの上に重なるようにして、貼付した。
貼付後の試験片の上で重さ4.5kgのローラーを往復運
動させることにより、試験パネルと試験片の接合を強固
なものにした。引き続いて、試験片の一端(試験パネル
に貼付されていない部分)を手でマスキングテープから
分離し、305mm/分の速度で180°の剥離角で試験
片を引張り、剥離した。試験片の剥離長さは127mmで
あり、但し、測定の正確を期すため、最初の25mmの剥
離データは採用しなかった。残りの剥離長さにわたって
測定された平均剥離力を180°剥離力とした。
上に貼付した後、その粘着フィルムの非粘着面の部分を
35度以内の角度で引っ張ったところ、普通紙を破らず
に、また、剥がした後の糊残りをほとんど生じることな
く、粘着テープを容易にストレッチリリースすることが
できた。比較例1 前記実施例1に記載の手法を繰り返したが、本例の場
合、比較のため、厚さ60μmの3層構造LLDPE/
HDPE/LLDPEの複合フィルムに代えて、厚さ6
0μmのLLDPEのみからなる単層フィルムを使用し
た。この単層フィルムの剛性を前記実施例1に記載の手
法にしたがって測定したところ、0.52g/12mmで
あり、前記実施例1の複合フィルムのほぼ1/2の剛性
しか有していないことが確認された。実施例2 本例では、前記実施例1において使用したものに同じL
LDPE及びHDPEを使用して、下記の3種類の供試
フィルムを作製した。
LDPE/HDPE/LLDPE(膜厚=25μm/5
0μm/25μm)の複合フィルム フィルム2:厚さ100μmのLLDPEのみからなる
単層フィルム フィルム3:厚さ100μmのHDPEのみからなる単
層フィルム それぞれの供試フィルムを幅=1/2インチ(約1.3
cm)及び長さ=約15〜18cmに細断して細長い試験片
を作製した後、チャック間(試験片長)が5cmとなるよ
うに測定機器:オートグラフ(島津製作所製)にセット
した。測定機器のスイッチを入れ、300mm/分の速度
で試験片を引張り、破断強度(破断時の引張り強さ)及
び降伏点応力を測定した。添付の図4に示すような、伸
び率と破断時の引張り強さの関係を示すグラフが得られ
た。
単層フィルム(フィルム2)は、低い降伏点応力でかつ
高い破断強度、高い伸長性を示すことができるというこ
とが分かる。このような特性は、本発明が意図している
ストレッチリリースに適しており、軽い力をかけるだけ
で分離を行うことができ、また、引張り時の破断を防止
するのにも有効である。しかし、LLDPEのみからな
る単層フィルムは、自体非常に柔らかいので、使用時に
カールを発生し易く、したがって粘着テープの基材とし
ては適切な材料とは言うことができない。
(フィルム3)は、破断強度が高いと同時に、降伏点応
力も高い。したがって、この単層フィルムは、ストレッ
チリリースを行うためには強い力で引張させなくてはな
らない。また、このフィルムの場合には降伏点応力と破
断強度の差が小さいので、引張り時に破断する可能性も
ある。しかし、このフィルムは十分に高い剛性を有して
いるので、粘着テープの基材としては有効である。
せて作製した、本発明に従う3層構造LLDPE/HD
PE/LLDPEの複合フィルム(フィルム1)は、降
伏点応力と伸長性はHDPEの影響を若干うけるという
ものの、ストレッチリリースに対する悪影響は無視しう
る程度である。このフィルムは、高い伸び率と低い降伏
点応力を維持しつつ高い剛性を保証することができるの
で、粘着フィルムの基材として最適である。実施例3 本例では、3層構造LLDPE/HDPE/LLDPE
の複合フィルムの各層比率及び厚さが破断強度(破断時
の引張り強さ)に及ぼす影響を調べるため、下記のよう
な異なる各層比率(LLDPE/HDPE/LLDP
E): 10:80:10 15:70:15 20:60:20 25:50:25 30:40:30 35:30:35 40:20:40 を有する複合フィルムを異なる厚さ(40μm、60μ
m、80μm及び100μm)で作製した。それぞれの
複合フィルムの破断強度を前記実施例2に記載の手法に
したがって測定したところ、添付の図5に示すような結
果が得られた。
ムに占めるLLDPEの割合及び複合フィルムの厚さの
それぞれの増加とともに増加するということが分かる。
また、破断強度の増加はLLDPEの割合よりもフィル
ムの厚さによるほうが顕著であり、薄手のフィルムで
は、LLDPEの割合が増加しても破断強度の増加は極
めて緩やかであることも分かる。実施例4 本例では、3層構造LLDPE/HDPE/LLDPE
の複合フィルムの各層比率及び厚さが降伏点応力に及ぼ
す影響を調べるため、前記実施例3で作製したものと同
じ、異なる各層比率及び厚さを有する複合フィルムを作
製した。それぞれの複合フィルムの降伏点応力を前記実
施例2に記載の手法にしたがって測定したところ、添付
の図6に示すような結果が得られた。
ロットして説明した破断強度と同様に、複合フィルムに
占めるHDPEの割合及び複合フィルムの厚さのそれぞ
れの増加に比例して増加するということが分かる。ま
た、降伏点応力の増加はHDPEの割合の増加によって
も引き起こされるが、その増加は緩やかであることも分
かる。実施例5 本例では、前記実施例2において使用したものに同じL
LDPE及びHDPEを使用して、下記の3種類の供試
フィルムを異なる厚さ(40μm、60μm、80μm
及び100μm)で作製した。
E/LLDPE(各層比率=25:50:25)の複合
フィルム フィルム2:LLDPEのみからなる単層フィルム フィルム3:HDPEのみからなる単層フィルム それぞれの供試フィルムの剛性を前記実施例1に記載の
手法に従って測定したところ、添付の図7に示すような
結果が得られた。
ような異なる各層比率(LLDPE/HDPE/LLD
PE): 10:80:10 15:70:15 20:60:20 25:50:25 30:40:30 35:30:35 40:20:40 を有する複合フィルムを異なる厚さ(40μm、60μ
m、80μm及び100μm)で作製した。それぞれの
複合フィルムの剛性を前記実施例1に記載の手法に従っ
て測定したところ、添付の図8に示すような結果が得ら
れた。
の剛性はそのフィルムの厚さの3乗に比例すると言われ
ている通り、フィルムの厚さを増加させることによって
剛性を大きく改善するできることが分かる。また、元来
非常に柔らかくで剛性のないLLDPEフィルムも、本
発明に従いHDPEフィルムと共押出して3層構造の複
合フィルムとすることにより、剛性の改善が可能である
ということも分かる。すなわち、図7に示す通り、HD
PE自体が高い剛性を有しているので、それを組み込ん
だ複合フィルムにおいて、HDPEの割合が高くなれば
なるほど、剛性を改善することができる(図8参照)。
また、剛性の改善の程度は、同じく図8に示されるよう
に、フィルムの厚さが増加すればするほど顕著である。
このことは、上記した、フィルムの剛性はフィルムの厚
さの3乗に比例するという一般的理解に依存するもので
ある。実施例6 本例では、基材フィルムに対する充填材の添加効果を評
価するため、HDPEフィルムに約0.1μmの直径及
び約10μmの長さを有する針状ウィスカーを配合して
基材フィルムを作製した。
一のHDPEのみからなる単層フィルム(厚さ50μ
m)と、HDPEに全体の10重量%の量で針状ウィス
カーを配合した単層フィルム(厚さ50μm)を用意
し、それぞれの供試フィルムの破断強度(破断時の引張
り強さ)及び降伏点応力を前記実施例2に記載の手法に
従って測定した。添付の図9に示すような、伸び率と破
断時の引張り強さの関係を示すグラフが得られた。
Eにウィスカーを配合して得た単層フィルムの場合、引
張り強さ及び伸長性の両面においてHDPEの単独のも
のよりも一回り劣っている。しかし、ストレッチリリー
ス特性に関して見た場合に、破断強度の低下はそれに対
して悪影響を与えるけれども、反対に、降伏点応力の低
下はストレッチリリース特性の改善に有効である。
返して、異なる各層比率を有する供試フィルムを作製し
た。しかし、本例では、HDPEフィルムに約0.1μ
mの直径及び約10μmの長さを有する針状ウィスカー
を0重量%(配合なし)、10重量%又は20重量%の
量で配合し、また、すべての供試フィルムの厚さを60
μmとした。それぞれの供試フィルムの剛性を前記実施
例1に記載の手法に従って測定したところ、添付の図1
0に示すような結果が得られた。
層のLLDPEフィルムでサンドイッチして作製した3
層構造の複合フィルムの場合、針状ウィスカーをHDP
Eフィルムに配合することで剛性の改善を図ることでき
ることが分かる。実施例7 前記実施例1に記載の手法に従って、異なる各層比率を
有する3層構造LLDPE/HDPE/LLDPEの複
合フィルムを作製した。しかし、本例の場合、各層比率
を、 35/30/35 30/40/30 25/50/25 の3種類とし、かつ複合フィルムの厚さをすべて60μ
mに統一した。
て、下記のような2種類の3層構造の複合フィルムを作
製した。 PP1/HDPE/PP1 LLDPE/PP2/LLDPE ここで、HDPE及びLLDPEは、それぞれ、前記実
施例1で使用したものに同じである。PP1は、チッソ
(株)より「GK0617」(商品名)として入手可能
なポリプロピレン−ポリエステルのランダム共重合体で
ある。PP2は、理研ビニル(株)より「Leosto
mer LE−3070N」(商品名)として入手可能
なポリプロピレン−ポリエステル共重合体である。これ
らの複合フィルムの各層比率も、上記の複合フィルムと
同様に、 35/30/35 30/40/30 25/50/25 の3種類とし、かつ複合フィルムの厚さもすべて60μ
mに統一した。
時の引張り強さ)を前記実施例2に記載の手法にしたが
って測定したところ、添付の図11に示すようなグラフ
が得られた。LLDPE、HDPE、PP1及びPP2
のそれぞれの単層フィルムについて見ると、破断強度
は、LLDPE>HDPE>PP1>PP2の順で高
い。しかし、これらのフィルムを積層して上記したよう
な複合フィルムとなした場合、図11に示した結果から
理解されるように、複合フィルムの各層比率に比例して
破断強度が変動可能である。すなわち、PP1/HDP
E/PP1の複合フィルムでは、HDPEの比率が高く
なればなるほど破断強度が増加する。LLDPE/PP
2/LLDPE、そしてLLDPE/HDPE/LLD
PEの複合フィルムでは、LLDPEの比率が高くなれ
ばなるほど破断強度が増加する。実施例8 前記実施例7に記載の手法に従って、下記のような3種
類の3層構造の複合フィルムを作製した。
記載の手法にしたがって測定したところ、添付の図12
に示すようなグラフが得られた。
のそれぞれの単層フィルムについて見ると、降伏点応力
は、HDPE>PP1>PP2>LLDPEの順で高
い。しかし、これらのフィルムを積層して上記したよう
な複合フィルムとなした場合、図12に示した結果から
理解されるように、先に図11を参照して説明した破断
強度の場合と同様、複合フィルムの各層比率に比例して
降伏点応力が変動可能である。すなわち、それぞれの複
合フィルムにおいて、降伏点応力の高いフィルムの厚さ
に比例して複合フィルムの降伏点応力も増加可能であ
る。しかし、降伏点応力の場合、破断強度ほど急激な増
加は認められない。
ると、使用者にとっては、降伏点応力が低いほうが粘着
フィルムを引張り易く、かつ破断強度が高いほうが、引
張り時のフィルム切れを防止することができる。すなわ
ち、複合フィルムにおいて、破断強度と降伏点応力の差
が大きければ大きいほど、ストレッチリリース用のフィ
ルムとして優れているということがわかる。よって、こ
の破断強度と降伏点応力のみを考慮すると、LLDPE
は、ストレッチリリース用のフィルムの素材として非常
に適したもののひとつであると言うことができる。実施例9 前記実施例7に記載の手法に従って、下記のような2種
類の3層構造の複合フィルムを作製した。
例1に記載の手法にしたがって測定したところ、添付の
図13及び図14に示すようなグラフが得られた。図1
3の結果から理解されるように、複合フィルムの全厚に
おけるPP2の占める割合に比例して剛性が増加可能で
ある。また、図14の結果から理解されるように、HD
PEの占める割合に比例して剛性が増加可能である。実施例10 前記実施例7に記載の手法に従って、下記のような3種
類の3層構造の複合フィルムを作製した。
手法にしたがって測定したところ、添付の図15に示す
ようなグラフが得られた。
のそれぞれの単層フィルムについて見ると、剛性は、H
DPE>PP2>PP1>LLDPEの順で高い。これ
らのフィルムを積層して上記したような複合フィルムと
なした場合、図15の結果から理解されるように、複合
フィルムにおいて高い剛性を有するフィルムの占める割
合が増加すればするほど、より高い剛性を得ることが可
能である。なお、本発明者の知見によると、HDPEフ
ィルムは、その単独使用でも、テープ基材として使用す
るに足る剛性を示すことができる。
ば、フィルム厚を薄くした状態でも十分な腰の強さを確
保できるような多層構造基材が提供することができる。
また、本発明によれば、被着体に対して確実に貼付する
ことができかつ、被着体からストレッチリリースする場
合、粘着剤の残留を実質的に伴わないで簡単にしかも被
着面や保持物を傷めることなく分離することが可能であ
り、しかも使用者にとって取り扱いが容易な粘着フィル
ムを提供することができる。
態を示した断面図である。
い実施形態を示した断面図である。
態を示した断面図である。
り強さの関係をプロットしたグラフである。
び厚さと破断時の引張り強さの関係を示したグラフであ
る。
び厚さと降伏点応力の関係を示したグラフである。
したグラフである。
び厚さと剛性の関係を示したグラフである。
た場合の、伸び率と破断時の引張り強さの関係をプロッ
トしたグラフである。
層構造の複合フィルムの、異なる各層比率及びウィスカ
ー配合量と剛性の関係を示したグラフである。
と破断時の引張り強さの関係を示したグラフである。
と降伏点応力の関係を示したグラフである。
と剛性の関係を示したグラフである。
と剛性の関係を示したグラフである。
層比率と剛性の関係を示したグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 樹脂材料からなりかつ300〜1,50
0%の長手方向の破断時伸び及び2kg/12mm以上の破
断強度を示す基本層と、前記基本層の樹脂材料に比較し
てより高い弾性率を有する樹脂材料からなる補助層とを
含んでなることを特徴とする多層構造基材。 - 【請求項2】 厚さの合計が10〜250μmの範囲に
あることを特徴とする、請求項1に記載の多層構造基
材。 - 【請求項3】 前記補助層が有機又は無機の充填材を含
有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多層構
造基材。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の多
層構造基材と、該多層構造基材の少なくとも片面に施さ
れた粘着剤層とを含んでなることを特徴とする粘着フィ
ルム。 - 【請求項5】 前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤又は
合成ゴム系粘着剤から形成されたものでありかつその1
80°剥離力が、300mm/分の剥離速度で測定した
時、少なくとも160g/inであることを特徴とする、
請求項4に記載の粘着フィルム。
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JP11202899A JP2001030403A (ja) | 1999-07-16 | 1999-07-16 | 多層構造基材及び粘着フィルム |
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Publication Number | Publication Date |
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- 1999-07-16 JP JP11202899A patent/JP2001030403A/ja active Pending
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