JP2001029325A - 超電導磁石装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

超電導磁石装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置

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JP2001029325A
JP2001029325A JP11206122A JP20612299A JP2001029325A JP 2001029325 A JP2001029325 A JP 2001029325A JP 11206122 A JP11206122 A JP 11206122A JP 20612299 A JP20612299 A JP 20612299A JP 2001029325 A JP2001029325 A JP 2001029325A
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superconducting magnet
magnet device
temperature
static magnetic
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Hitoshi Yoshino
仁志 吉野
Shin Hoshino
伸 星野
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Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
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Hitachi Medical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 検査室の温度変化に対し、安定な磁場均一度
を有する開放型MRI装置用の超電導磁石装置を提供す
る。 【解決手段】 計測空間5を挟んで超電導コイル2を収納
した冷却容器8が上下方向に対向して配置され、計測空
間5に高磁場強度の垂直磁場を形成する。上下の冷却容
器8はZ軸の奥側に配置された連結管21によって間隔を
とって支持される。上下の冷却容器8の外側には漏洩磁
場を低減するための鉄板23が配置され、上下の鉄板23は
鉄柱22によって間隔をとって支持されるとともに、磁気
的に接続されている。冷却容器8はボルトなどで鉄板23
にも支持されている。鉄柱22は連結管21を外側から覆う
位置に配置されている。連結管21の周りには、断熱材31
が密着して取り付けられ、連結管21の温度時定数が鉄柱
22の温度時定数と略同一となるように構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴イメージ
ング装置(以下、MRI装置という)に適した超電導磁
石装置に係り、特に設置場所の温度変化に対し安定した
磁場均一度を保持する超電導磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】以下に、MRI装置に用いられている垂
直磁場方式の超電導磁石装置の従来例について説明す
る。第1の従来例を図4〜図6に、第2の従来例を図7
に示す。第1の従来例は本発明に関係する開放型の超電
導磁石装置の例である。第2の従来例は、垂直磁場方式
の超電導磁石装置の内部構造を示すために例示したもの
である。
【0003】先ず、第2の従来例を示す図7を用いて、
垂直磁場方式の超電導磁石装置の構造について説明す
る。図7の超電導磁石装置は特開平9-190913号公報に開
示されているものである。図7において、静磁場発生源
である超電導コイル2を収納する冷却容器8が計測空間
である均一磁場領域5を挟んで上下方向に対向して対称
の位置に配置されている。静磁場発生源である超電導コ
イル2はそれぞれ複数個の円形のコイル群で構成され、
これらのコイル群が計測空間5を挟んで上下方向に対称
の位置に配置されて、計測空間5に均一磁場領域を形成
する。
【0004】超電導コイル2は通常計測空間5に均一な
垂直磁場を形成する主コイルと主コイルが装置の外側に
発生する漏洩磁場を抑制するシールドコイルから成り、
主コイルとシールドコイルにて計測空間5に高強度の均
一磁場領域を形成している。円形の超電導コイル2は円
筒形状をした冷却容器8に収納されている。
【0005】この冷却容器8は、内側に真空容器6と冷
媒容器7を内包し、超電導コイル2は冷媒容器7内に収
容されている。冷媒容器7内には液体ヘリウムなどの冷
媒が内包されており、その冷媒内に超電導コイル2が浸
漬されている。また、超電導コイル2は冷媒容器7内で
適当な支持体にて支持されている。冷媒容器7内で冷媒
は超電導コイル2を超電導特性を示す温度まで冷却し、
維持する。
【0006】上下に配置された2つの冷却容器8は、そ
の間に配置された連結管21によって所定の距離を保持し
て支持されている。この連結管21は機械的に上下の冷却
容器8を支える働きをしているが、必要によっては、上
下の冷媒容器7を熱的に接続させる働きを持たせてもよ
い。
【0007】この場合の連結管21の構造としては、例え
ば、中心部に冷媒槽が配置され、その周囲に熱シールド
と真空槽が配置されている。このように構成すること
で、冷媒を冷却するための冷凍機を上下の冷却容器8の
それぞれに1台ずつ設ける必要がなくなり、システムに
1台の冷凍機で間に合わせることができる。
【0008】また、連結管21は、図示の場合、計測空間
5の左右に1本ずつ配置されているが、この本数はこれ
に限定されず、2本以上ずつでもよいし、また、本数は
左右非対称でもよい。しかし、冷却容器8の支持の点か
ら、力のバランスを考えて左右対称のものが推奨され
る。
【0009】また、冷却容器8の外側には、静磁場発生
源である超電導コイル2によって発生された磁束によっ
て装置の外部に生ずる漏洩磁場を低減するために、鉄な
どの強磁性体から成る磁気シールドが設けられている。
具体的には、上下の冷却容器8の上側及び下側を鉄板23
で、その外周を鉄筒24でそれぞれ囲み、更に上下の鉄筒
24を柱状の鉄柱22によって磁気的に接続している。上下
の冷却容器8はそれぞれ上下の鉄板23に固定されてい
る。このように静磁場発生源を鉄などの強磁性体で囲む
ことで、装置の外部に発生する磁束に対し磁路(帰路)
が形成されるので、漏洩磁場が遠方にまで広がることが
抑制される。
【0010】また、磁気シールドを構成する鉄板23、鉄
筒24、鉄柱22の材料は、磁気的に強磁性を示すものであ
ればよいので、鉄以外の強磁性体を選択することも可能
であるが、磁気的特性、コスト、機械的強度などを考慮
して、一般には鉄が使用されている。
【0011】第2の従来例の垂直磁場方式超電導磁石装
置に対し、装置の開放性の点で改良したのが、図4〜図
6に示す第1の従来例の開放型超電導磁石装置である。
図4は開放型超電導磁石装置全体の外観を示す斜視図、
図5は図4の計測空間における横断面図、図6は図4の
正面図である。この第1の従来例については特開平10-1
35027号公報に開示されている。
【0012】第1の従来例の超電導磁石装置は図4に示
す如く、計測空間5の手前側が特別に開放された超電導
磁石装置である。この超電導磁石装置の基本構成は図7
に示す第2の従来例とほぼ類似であるが、この装置では
開放性を改善するために、冷却容器8を支持する2本の
連結管21を計測空間5の中心軸であるZ軸より奥側(後
方)にずらして配置し、かつ、冷却容器8の外周に配置
した鉄筒24を削除し、鉄柱22も連結管21と同様にZ軸よ
り奥側にずらして配置したものである。
【0013】図4、図5において、冷却容器8はZ軸よ
り奥側で連結管21により支持され、鉄柱22は鉄板23とZ
軸より奥側で磁気的に接続されているために、X軸上に
は連結管21も鉄柱22も存在しない。このため、装置外部
から計測空間5に挿入された被検体に対して、術者は装
置の横側から自由かつ容易にアクセスすることができ
る。この結果、術者はインターベンショナル ラジオロ
ジー(IVR)などを含む種々の技術をより容易に行う
ことができる。
【0014】また、この超電導磁石装置の計測空間5に
入った被検体から見た場合、前方向及び横方向の視野が
広がったことにより、開放感が大きくなるため、安心し
てMR検査が受けられるという効果が生まれている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】超電導磁石装置を使用
するMRI装置を設置したMR検査室の温度は、被検体
の快適さを考慮して、MR検査中は22℃から28℃程度に
設定し、維持されている。第1の従来例の超電導磁石装
置をこの検査室で使用した場合、検査室の温度変化によ
って計測空間5内の磁場均一度が劣化するという問題点
が見出された。
【0016】第1の従来例の超電導磁石装置では、連結
管21と鉄柱22を比較した場合、鉄柱22は大きな熱容量を
有するため、温度時定数に関して、鉄柱22の時定数が連
結管21の時定数に比べて非常に長くなっている。その結
果、例えば室温の上昇時には、連結管21が先に伸び、鉄
柱22が後から伸びて来ることになる。第1の従来例の開
放型超電導磁石装置では、奥側の剛性に比べ、前側の剛
性が低いために、鉄板23の前側の間隔が広がり、同時に
鉄板23がボルト30を介して冷却容器8を引き上げるた
め、冷却容器8の前側の間隔が広がることになり、結果
として計測空間5の磁場均一度を悪化させる。しかし、
長時間経過すると鉄柱22が伸び、鉄板23の前側の間隔の
広がり量は減少して行き、計測空間5の磁場均一度は少
し改善される。この検査室の室温の変化によっては、冷
却容器8間のギャップ長が変化するだけでなく、上下の
冷却容器8の間で傾きも生じており、この両者によっ
て、磁場均一度が悪化していた。
【0017】このため、本発明では、検査室の温度変化
に対し、安定な磁場均一度を有する開放型MRI装置用
の超電導磁石装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の超電導磁石装置は、超電導特性を有する物
質から構成され、計測空間に上下方向に向かう均一磁場
を発生させるための電流を流す上下2組の静磁場発生素
子群からなる静磁場発生源と、該静磁場発生源を超電導
特性を示す温度にまで冷却し維持する冷却手段と、前記
上下の冷却手段を連結、支持する支持手段と、前記静磁
場発生源の各々の周囲を覆うように上下に配置された第
1の強磁性体と、上下の第1の強磁性体を間隔をとって
支持し、磁気的に接続する第2の強磁性体とから構成さ
れた超電導磁石装置において、前記支持手段の周りに該
支持手段の温度時定数を延長する温度時定数延長手段を
配設したものである(請求項1)。
【0019】この構成では、支持手段の周りに、支持手
段の温度時定数を延長する温度時定数延長手段を配設す
ることにより、支持手段の温度時定数を延長して、第2
の強磁性体の大きな温度時定数と略同一に成るようにす
る。これに伴い、支持手段と第2の強磁性体は検査室の
温度変化に対し、時間的に同じ傾向の伸縮特性を示すた
め、両者の伸縮量の差異を小さくすることができる。こ
の結果、両者が支持する上下の冷却手段に内包される上
下の静磁場発生源間で傾きを生じることはなくなり、安
定な磁場均一度が得られる。
【0020】本発明の超電導磁石装置は更に、前記支持
手段の周りに熱絶縁材料を配置して、支持手段の温度時
定数が前記第2の強磁性体の温度時定数と略同一となる
ようにしたものである(請求項2)。この構成では、支
持手段の周りに断熱材などの熱絶縁材料が配設されるの
で、支持手段の温度時定数が延長される。このため、前
記熱絶縁材料の配設の仕方を調整して、支持手段の温度
時定数を第2の強磁性体の温度時定数と略同一とするこ
とで、支持手段と第2の強磁性体の温度変化に対する伸
縮特性を同様のものとすることができる。
【0021】本発明の超電導磁石装置では更に、前記支
持手段の周りに配設する熱絶縁材料の支持手段に対する
被覆特性(例えば、厚さ、被覆面積など)を調整して、
支持手段の温度時定数を第2の強磁性体の温度時定数と
略同一とするものである。支持手段の温度時定数は、熱
絶縁材料の支持手段に対する被覆特性に対応して変化す
るので、この被覆特性を調整することにより、支持手段
の温度時定数と第2の強磁性体の温度時定数を略同一に
することが容易に行うことができる。
【0022】本発明の超電導磁石装置は更に、前記支持
手段と前記第2の強磁性体を熱伝導の良い材料からなる
連結体で接続し、両者の温度を略同一となるようにした
ものである(請求項3)。この構成では、支持手段と第
2の強磁性体が熱伝導率の高い連結体で接続されている
ために、支持手段の温度時定数と温度は熱容量の大きい
第2の強磁性体と略同一となる。その結果、両者の長さ
の伸縮量の時間的変化は略同一となるため、その結果と
して安定な磁場均一度が得られる。
【0023】本発明の超電導磁石装置は、超電導特性を
有する物質から構成され、計測空間に上下方向に向かう
均一磁場を発生させるための電流を流す上下2組の静磁
場発生素子群からなる静磁場発生源と、該静磁場発生源
を超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する冷却手段
と、前記上下の冷却手段を連結、支持する支持手段と、
前記静磁場発生源の各々の周囲を覆うように上下に配置
された第1の強磁性体と、上下の第1の強磁性体を間隔
をとって支持し、磁気的に接続する第2の強磁性体とか
ら構成された超電導磁石装置において、前記支持手段及
び/又は前記第2の強磁性体に、温度検知手段と加熱手
段を配設したものである(請求項4)。この構成では、
支持手段及び/又は第2の強磁性体に配設した温度検知
手段によって各々の温度を検知し、検査室の温度との温
度差、又は両者の温度差に応じて各々の加熱手段を働か
せて、各々の温度を上昇させることにより、検査室の温
度との温度差を所定値に維持するか、又は両者の温度差
をなくすようにする。この結果、支持手段と第2の強磁
性体の検査室の温度変化によって生じる長さの伸縮量は
経時的に見て略同一となる。
【0024】本発明の超電導磁石装置では更に、前記温
度検知手段の温度情報に基づき、前記加熱手段の加熱条
件を制御する温度制御手段を具備するものである。この
構成では、温度制御手段にて、温度検知手段からの温度
情報に基づき、検査室の室温との温度差情報、又は支持
手段と第2の強磁性体との温度差情報を作り、これらの
温度差情報によって、加熱手段の加熱条件を容易に設定
することができるので、支持手段及び第2の強磁性体の
温度制御が容易になる。
【0025】本発明の超電導磁石装置は、超電導特性を
有する物質から構成され、計測空間に上下方向に向かう
均一磁場を発生させるための電流を流す上下2組の静磁
場発生素子群からなる静磁場発生源と、該静磁場発生源
を超電導特性を示す温度にまで冷却し維持する冷却手段
と、前記上下の冷却手段を連結、支持する支持手段と、
前記静磁場発生源の各々の周囲を覆うように上下に配置
された第1の強磁性体と、上下の第1の強磁性体を間隔
をとって支持し、磁気的に接続する第2の強磁性体とか
ら構成された超電導磁石装置において、前記支持手段及
び前記第2の強磁性体を構成する材料に関して、前記支
持手段の長さと線膨張係数の積と前記第2の強磁性体の
長さと線膨張係数の積が略同一となるようにしたもので
ある(請求項5)。この構成では、支持手段の温度と第
2の強磁性体の温度を同一にすることにより、両者の長
さの伸縮量が同一になり、両者の長さの差異は生じない
ので、両者によって支持される上下の静磁場発生源間で
の傾きも発生せず、安定な磁場均一度が得られる。
【0026】本発明の超電導磁石装置では更に、前記支
持手段の周りに該支持手段の温度時定数を延長する温度
時定数延長手段を配設するものである。この構成では、
支持手段と第2の強磁性体の同一温度変化に対する長さ
の伸縮量差をなくすとともに、各々の温度の経時的変化
も略同一にすることができる。従って、検査室の温度変
化が大きい場合に有効である。
【0027】本発明のMRI装置は、超電導磁石装置を
用いて被検体の核磁気共鳴画像を撮像するMRI装置に
おいて、前記超電導磁石装置が本発明の超電導磁石装置
である(請求項6)。この構成では、本発明の超電導磁
石装置を適用することにより、安定な磁場均一度が得ら
れるため、磁場均一度の劣化による画像歪みが防止さ
れ、高機能イメージング手法の適用が可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について添
付図面に沿って説明する。図1に、本発明に係る超電導
磁石装置の第1の実施例を示す。図1(a)は第1の実
施例の正面図、図1(b)は図1(a)のA‐A断面図
である。
【0029】図1に基づいて、本実施例の基本構成の概
略を説明する。図1において、静磁場発生源である超電
導コイル2を収納する冷却容器8が計測空間5を挟んで
上下方向に対向して配置されている。上下の冷却容器8
は、計測空間5の両側に配置された2本の連結管21によ
って所定の間隔をとって支持されている。この2本の連
結管21は、装置の開放性を改善するため、中心軸である
Z軸の奥側に配置されている。上下方向に配置された静
磁場発生源である超電導コイル2によって、計測空間5
に磁場均一度の良い高磁場強度の静磁場が形成される。
【0030】ここで、超電導コイル2は、磁場均一度の
良い高磁場強度の静磁場を形成するために、図7に示す
如く複数個の超電導コイル素子から成る。これらの超電
導コイル素子群は計測空間5に高磁場強度の垂直磁場を
作る主コイルと、主コイルが作る外部磁場を低減するた
めに主コイルとは逆方向の電流を流して逆方向磁場を作
るシールドコイルと、計測空間5の静磁場の磁場均一度
を改善するための磁場補正コイルから成り、計測空間5
の近くに主コイルが、計測空間5から離れた位置にシー
ルドコイルが配置されている。
【0031】上下の冷却容器8の上側及び下側には鉄板
23が配置され、この上下の鉄板23はその端部で2本の鉄
柱22によって、所定の間隔をとって支持されている。こ
こで、鉄柱22は、装置の開放性を改善するため、Z軸の
奥側で、装置の中心からみて連結管21と重なる位置に、
連結管21の外側を覆うように配置されている。冷却容器
8はそれぞれ対応する鉄板23にボルトなどで固定されて
いる(図6参照)。上下の鉄板23と左右の鉄柱22とは磁
気シールドを構成し、静磁場発生源である超電導コイル
2によって発生された磁束によって装置の外部に生じる
漏洩磁場を低減させる役割を果たす。鉄板23と鉄柱22
とは磁束を磁気飽和なく通すため、断面積が大きく設定
されており、その結果、鉄柱22は連結管21に比べ大径に
作られている。
【0032】本実施例では、鉄柱22と連結管21の温度時
定数の差に起因して生じる計測空間5の磁場均一度の変
化を、鉄柱22と連結管21の温度時定数を略同一にするこ
とで改善するものである。温度時定数は、一般に対象物
体の重量と比熱(熱容量に相当)に比例し、表面積と熱
貫流率に反比例する。鉄柱22と連結管21を比較した場
合、鉄柱22では、その断面積が大きく、材料として鉄材
を使用しているため、熱容量が大きい割には表面積が小
さくなっているのに対し、連結管21では、パイプ構造で
あるため、重量が小さい割には表面積が大きくなってい
る。この結果、連結管21の温度時定数は鉄柱22の温度時
定数に比べ格段に小さくなっている。
【0033】連結管21の温度時定数を大きくするため、
本実施例では、図1(b)において、断熱材31が連結管
21の周りに密着度良く接着剤などによって接合されてい
る。ここで、断熱材31は上記の熱貫流率を小さくする役
割を果たすものであり、材料選定にあたっては熱伝導率
を考慮しておく必要がある。また、加工の面から、断熱
材31の材料としては、プラスチックなどの加工しやすい
材料が適当である。また、断熱材31の熱伝導率を考慮し
た上で、断熱材31の厚さを適正値にすることにより、連
結管21の温度時定数が鉄柱22の温度時定数とほぼ同一に
なるように調整している。また、断熱材31に適当に穴や
裂け目などを設けて、断熱材31が連結管21を覆う面積
(被覆面積)を変化させることにより、連結管21と外気
との接触面積が変化し、連結管21の熱貫流率が変化する
ので、この手法によっても連結管21の温度時定数を調整
することができる。
【0034】本実施例の場合、連結管21の周りに断熱材
31を被覆することによって、室温の連結管21への伝達が
遅くなり、連結管21の温度時定数が大きくなる。温度時
定数を鉄柱22の値と同一にするための調整は、断熱材31
の熱伝導率(材料選定に関係する)、厚さの適正値の選
択、連結管21の断熱材31による被覆面積の適正値の選択
などによって、連結管21の熱貫流率と表面積を減少させ
る方向で調整される。
【0035】図2に、本発明に係る超電導磁石装置の第
2の実施例を示す。本実施例では、連結管21の周囲を、
鉄柱22と熱的に接続した高熱伝導率の物体で覆い、連結
管21の温度と鉄柱22の温度を略同一となるようにするも
のである。このため、本実施例では、図2において、2
分割されたアルミニウム製の接続ブロック32が連結管21
と鉄柱22に接続される。接続ブロック32は、その分割を
合わせることで、連結管21の外周と良く密着して結合、
一端を鉄柱22にねじ止め固定されている。
【0036】接続ブロック32の材料としてはアルミニウ
ムに限定されず、銅などの高熱伝導率を有する金属材料
でもよい。接続ブロック32と連結管21との間、及び接続
ブロック32と鉄柱22との間の密着を良くするため、前者
については両接触面を円周面加工し、後者については両
接触面を平面加工して密着されている。これらの接触面
の間には銀ペーストを塗布するなどして、更に熱伝導性
を高める処理を施してもよい。
【0037】本実施例の如く、鉄柱22とを、熱伝導性の
良い接続ブロック32によって熱的に接続することによっ
て、鉄柱22と連結管21の温度が略同一になるので、両者
の温度に関係する動作(長さ方向の伸縮、その他)が略
一致する。その結果、計測空間5の磁場均一度の劣化の
問題が解決される。
【0038】図3に、本発明に係る超電導磁石装置の第3
の実施例を示す。本実施例では、鉄柱22と連結管21とに
温度制御手段を取り付けて、両者の温度が略同一になる
ように温度制御するものである。このため、本実施例で
は、図3において、連結管21の外周にヒータ35を密着度
良く巻き、そのまわりを断熱材34で覆い、連結管21の外
周に温度センサ36を接着などにより取り付けて、連結管
21の温度を計測する構造を取っている。また、鉄柱22に
ついても同様に、外周にヒータ37を密着度良く巻き、そ
のまわりを断熱材39で覆い、鉄柱22の外周に温度センサ
38を接着などにより取り付けて、鉄柱22の温度を計測す
る構造をとっている。
【0039】本実施例においては、各温度センサ36、38
及び各ヒータ35、37は、これらを制御するための制御器
(図示せず)に接続されていて、この制御器が各温度セ
ンサ36、38の抵抗値変化によって連結管21及び鉄柱22の
温度変化を検知し、その温度変化量に応じて各ヒータ3
5、37の発熱量を制御して、連結管21及び鉄柱22の温度
を一定に維持する。この時の連結管21及び鉄柱22の維持
温度は検査室の室温よりも若干高い温度に設定される。
【0040】また、連結管21と鉄柱22の温度制御に関し
ては、両者の温度を一定に維持する方法以外に、第1及
び第2の実施例の如く、両者の温度差をなくして、両者
の温度を略同一となるようにする温度制御も可能であ
る。この場合には、温度センサ36、38の計測情報に基づ
き、両者の温度差情報を求め、温度の高い方のヒータ加
熱をやめ、温度の低い方のヒータ加熱を前記温度差情報
に基づいて行う。このように制御することにより、温度
の低い方の温度が上昇し、両者の温度が略同一となる。
【0041】上記においては、温度センサとヒータを連
結管21と鉄柱22の両方に取り付ける場合について説明し
たが、連結管21にのみ温度センサ36とヒータ35を取り付
けて連結管21の温度を制御するようにしてもよい。ま
た、鉄柱22にのみ温度センサ38とヒータ37を取り付けて
鉄柱22の温度を制御することも可能である。これらの場
合、他方に(前者の場合鉄柱22、後者の場合連結管21)
に温度センサと断熱材を取り付けておくとよい。この例
でも、連結管21と鉄柱22の温度制御は両者の温度が同一
となるようにヒータ加熱の制御を行うことになる。他方
に温度センサが取り付けてある場合には、両者の温度差
情報に基づいて、ヒータ過熱の制御を行う。他方に温度
センサが取り付けてない場合には、室温との温度差情報
に基づいてヒータ加熱の制御を行うことになる。後者の
場合、他方の温度変化に合わせるために、他方の温度時
定数などデータを考慮してヒータ加熱の制御を行う必要
がある。
【0042】以上の説明においては、本発明に係る超電
導磁石装置の実施例について説明して来たが、本発明は
その超電導磁石装置を使用したMRI装置にも適用でき
る。従って、本発明に係るMRI装置では、温度変化に
対し安定な磁場均一度を有する開放型の超電導磁石装置
の使用により、磁場均一度の劣化による画像歪みを防止
することができ、更に、磁場均一度が安定して得られる
ことにより、高機能イメージング手法の適用も可能とな
る。
【0043】
【発明の効果】MRI装置の設置される検査室は被検体
の快適さから、年間を通して22℃〜28℃に設定される
が、開放型超電導磁石装置を使用したMRI装置では、
検査開始時又は検査中の室温の変化によって、その計測
空間の磁場均一度が劣化することが見出されている。し
かし、本発明によれば、以上説明した如く、開放型超電
導磁石装置の計測空間の磁場均一度の劣化が防止され、
以下の効果が得られる。
【0044】先ず、第1に、開放型MRI装置の磁場均
一度の劣化による画像歪みを防止することができるの
で、それに伴う誤診を防止することができる。第2に、
MRI装置の磁場均一度劣化を補償するための補正手段
が不要となり、補正値の算出時間等を短縮又は省略でき
るので、被検体の拘束時間を短縮することができる。第
3に、前記補正手段の削除により、コスト低減を図るこ
とができる。第4に、計測空間の磁場均一度が安定して
得られるため、高機能イメージング手法を適用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超電導磁石装置の第1の実施例。
【図2】本発明に係る超電導磁石装置の第2の実施例。
【図3】本発明に係る超電導磁石装置の第3の実施例。
【図4】第1の従来例の開放型超電導磁石装置全体の外観
を示す斜視図。
【図5】図4の計測空間における横断面図。
【図6】図4の正面図。
【図7】第2の従来例の垂直磁場方式の超電導磁石装置の
内部構造を示す図。
【符号の説明】
2…超電導コイル(静磁場発生源) 5…計測空間 6…冷媒容器 7…真空容器 8…冷却容器 21…連結管 22…鉄柱 23…鉄板 30…ボルト 31、34、39…断熱材 32…接続ブロック 35、37…ヒータ 36、38…温度センサ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超電導特性を有する物質から構成され、
    計測空間に上下方向に向かう均一磁場を発生させるため
    の電流を流す上下2組の静磁場発生素子群からなる静磁
    場発生源と、該静磁場発生源を超電導特性を示す温度に
    まで冷却し維持する冷却手段と、前記上下の冷却手段を
    連結、支持する支持手段と、前記静磁場発生源の各々の
    周囲を覆うように上下に配置された第1の強磁性体と、
    上下の第1の強磁性体を間隔をとって支持し、磁気的に
    接続する第2の強磁性体とから構成された超電導磁石装
    置において、前記支持手段の周りに該支持手段の温度時
    定数を延長する温度時定数延長手段を配設したことを特
    徴とする超電導磁石装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超電導磁石装置におい
    て、前記支持手段の周りに熱絶縁材料を配置して、支持
    手段の温度時定数が前記第2の強磁性体の温度時定数と
    略同一となるようにしたことを特徴とする超電導磁石装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の超電導磁石装置におい
    て、前記支持手段と前記第2の強磁性体を熱伝導の良い
    材料からなる連結体で接続し、両者の温度を略同一とな
    るようにしたことを特徴とする超電導磁石装置。
  4. 【請求項4】 超電導特性を有する物質から構成され、
    計測空間に上下方向に向かう均一磁場を発生させるため
    の電流を流す上下2組の静磁場発生素子群からなる静磁
    場発生源と、該静磁場発生源を超電導特性を示す温度に
    まで冷却し維持する冷却手段と、前記上下の冷却手段を
    連結、支持する支持手段と、前記静磁場発生源の各々の
    周囲を覆うように上下に配置された第1の強磁性体と、
    上下の第1の強磁性体を間隔をとって支持し、磁気的に
    接続する第2の強磁性体とから構成された超電導磁石装
    置において、前記支持手段及び/又は前記第2の強磁性
    体に、温度検知手段と加熱手段を配設したことを特徴と
    する超電導磁石装置。
  5. 【請求項5】 超電導特性を有する物質から構成され、
    計測空間に上下方向に向かう均一磁場を発生させるため
    の電流を流す上下2組の静磁場発生素子群からなる静磁
    場発生源と、該静磁場発生源を超電導特性を示す温度に
    まで冷却し維持する冷却手段と、前記上下の冷却手段を
    連結、支持する支持手段と、前記静磁場発生源の各々の
    周囲を覆うように上下に配置された第1の強磁性体と、
    上下の第1の強磁性体を間隔をとって支持し、磁気的に
    接続する第2の強磁性体とから構成された超電導磁石装
    置において、前記支持手段及び前記第2の強磁性体を構
    成する材料に関して、前記支持手段の長さと線膨張係数
    の積と前記第2の強磁性体の長さと線膨張係数の積が略
    同一となるような材料を選定したことを特徴とする超電
    導磁石装置。
  6. 【請求項6】 超電導磁石装置を用いて被検体の核磁気
    共鳴画像を撮像する磁気共鳴イメージング装置におい
    て、前記超電導磁石装置が請求項1乃至5記載の超電導
    磁石装置であることを特徴とする磁気共鳴イメージ装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009172129A (ja) * 2008-01-24 2009-08-06 Hitachi Ltd 超伝導磁石装置および磁気共鳴イメージング装置

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