JP2003061931A - 静磁場発生装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents

静磁場発生装置及びそれを用いた磁気共鳴イメージング装置

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JP2003061931A
JP2003061931A JP2001254476A JP2001254476A JP2003061931A JP 2003061931 A JP2003061931 A JP 2003061931A JP 2001254476 A JP2001254476 A JP 2001254476A JP 2001254476 A JP2001254476 A JP 2001254476A JP 2003061931 A JP2003061931 A JP 2003061931A
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Hirotaka Takeshima
弘隆 竹島
Takeshi Yao
武 八尾
Kenji Sakakibara
健二 榊原
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Hitachi Healthcare Manufacturing Ltd
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Hitachi Medical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポールピースを用いた開放型磁石の開放性、磁
場均一度を向上する。 【解決手段】均一磁場領域12を挟んで上下方向に静磁場
発生源13a、13bが配置され、静磁場発生源13a、13bはポ
ールピース18a、18bと超電導コイル26a、26bを備え、磁
気柱16に支持された上下の磁気プレート14a、14bに支持
される。ポールピース18a、18bは中央部に配置された均
一度制御材22a、22bと外周部に配置された環状突起部20
a、20bを有し、超電導コイル26a、26bは環状突起部20
a、20bの外周に接して配置された冷却容器28a、28bに収
容されている。環状突起部20a、20bの対向面32上に方向
性珪素鋼板の積層体24a、24bが鋼板の面と対向面32がほ
ぼ平行になるように配設されている。超電導コイル26
a、26bで発生した磁束は積層体24a、24bの部分では矢印
33の方向に向きを変え、均一磁場領域12の外周部(A
部)の磁場強度を増加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気共鳴イメージ
ング装置(以下、MRI装置という)に好適な静磁場発生
装置に係り、特に開放型静磁場発生装置における磁場均
一度を向上する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】開放性を有し、被検体へのアクセス性に
優れた開放型MRI装置用磁石としては、被検体が挿入さ
れる撮影空間の上下に静磁場発生源が対向して配置さ
れ、側面が開放された磁石(以下、開放型磁石という)
が公知である。例えば、静磁場発生源として超電導コイ
ルを用いたものが、特開平5‐234746号公報や特開平4‐
132539号公報などに開示されている。また、静磁場発生
源として永久磁石を用いたものが、特開平6‐251930号
公報などに開示されている。
【0003】更に、より開放性を向上させた磁石とし
て、撮影空間の片側にのみ静磁場発生源を配置した磁石
が、特開平8‐50170号公報に開示され、公知となってい
る。
【0004】上述した公知例では、撮影空間に形成する
静磁場の磁場均一度を制御するために、静磁場発生源に
設けられたポールピース(磁極)の周辺部に、環状の突
起部を設け、その内周側の撮影空間に対向する面に適切
な凹凸を設けることで、撮影空間の磁場均一度を高めて
いる。
【0005】従来技術による超電導コイルを静磁場発生
源とした開放型磁石の一例を図10に示す。図10は開放型
磁石の全体構造を示す縦断面図である。図10において、
開放型磁石100は、撮影空間(以下、均一磁場領域とも
いう)12の上下に配置され、撮影空間12に静磁場を生成
する超電導コイル112a、112bと、超電導コイル112a、11
2bを収容し、超電導特性を示す温度まで冷却する冷却容
器114a、114bと、冷却容器114a、114bを支持する磁気プ
レート102a、102bと、上下の磁気プレート102a、102bを
間隔をとって支持する磁気柱104と、上下の冷却容器114
a、114bを接続する連結管116と、撮影空間12の静磁場の
磁場均一度を制御するポールピース106a、106bなどから
構成される。
【0006】ここで、上下の磁気プレート102a、102bと
左右の磁気柱104は、強磁性体から成り、超電導コイル1
12a、112bが撮影空間12に発生する磁束の帰路を形成す
る。また、ポールピース106a、106bは周辺部の環状の突
起部108a、108bと、撮影空間12に対向する面に凹凸を設
けた均一度制御材110a、110bとを備え、突起部108a、10
8bの高さや均一度制御材110a、110bの凹凸の形状を適切
に調整することにより、撮影空間12の磁場均一度を高め
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この開放型磁石100で
は、撮影空間12の中心0に対し、同じ水平位置での径方
向の外周部(図中にAで示した部分)で、磁場強度が低
下する傾向にある。このため、撮影空間12全体におい
て、必要とする磁場均一度が得られにくい。
【0008】この部分(A部)の磁場強度を上げる方法
としては、環状の突起部108a、108bの高さを高くして、
撮影空間12側に向けて長く突き出すことが有効である
が、その場合には、被検体の挿入される空間が狭くな
り、開放性や被検体へのアクセス性を阻害する結果とな
るため、好ましくない。
【0009】上記に鑑み、本発明では、ポールピースを
用いた開放型磁石において、従来装置よりも開放性が優
れ、磁場均一度が向上した開放型磁石を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の静磁場発生装置は、有限の領域に静磁場を
発生させて均一磁場領域を形成するための静磁場発生源
と、円環形状の突起部(以下、環状突起部という)を備
え、前記均一磁場領域の磁場均一度を高めるための磁場
均一度向上手段とを有する静磁場発生装置において、前
記環状突起部の近傍に、磁気異方性を有する磁性材を配
置したものである(請求項1)。
【0011】この構成では、均一磁場領域の磁場均一度
を高めるための磁場均一度向上手段の主な構成要素であ
る環状突起部の近傍に、磁気異方性を有する磁性材を配
置しているので、環状突起部と磁気異方性を有する磁性
材との配置位置の組み合わせにより、磁束発生手段で発
生した磁束の流れの向きを制御することが可能となり、
撮影空間となる均一磁場領域の磁場強度分布の補正が可
能となる。この結果、環状突起部と磁気異方性を有する
磁性材の配置位置の組み合わせを均一磁場領域の中心位
置の高さにおける外周部の磁場強度が上昇するように調
整することにより、均一磁場領域の磁場強度を上昇さ
せ、かつその磁場均一度を向上することができる。
【0012】本発明の静磁場発生装置では更に、前記磁
気異方性を有する磁性材は前記環状突起部の円周方向の
全領域にわたって、その表面又はその近傍に配置されて
いる(請求項2)。この構成では、磁気異方性を有する
磁性材が環状突起部の表面に接して、又はそれに近接し
て、環状突起部の全周にわたって配置されているので、
均一磁場領域の外周部全域にわたって磁場強度を上昇さ
せることができるとともに、その磁場均一度も向上する
ことができる。
【0013】本発明の静磁場発生装置では更に、前記磁
気異方性を有する磁性材は、前記環状突起部の円周方向
において、ほぼ一様な断面積をもって配置されている。
また、前記磁気異方性を有する磁性材は、前記環状突起
部の円周方向の位置に応じて、その断面積が変化するよ
うに配置されている。また、前記磁気異方性を有する磁
性材は、前記環状突起部の円周方向において、分散して
配置されている。これらの構成では、均一磁場領域の外
周部の磁場強度分布又は磁場均一度の状況に応じて、磁
気異方性を有する磁性材の環状突起部の円周方向の各位
置における配分量をほぼ一様にしたり、変化させたり、
または分散させたりして、均一磁場領域の外周部に集ま
る磁束の量を調整することができるので、請求項2記載
の静磁場発生装置と同様に均一磁場領域の磁場均一度を
向上することができる。
【0014】本発明の静磁場発生装置では更に、前記磁
気異方性を有する磁性材は板状体を積層した積層体であ
る(請求項3)。また、前記積層体は、方向性珪素鋼
板、または珪素鋼板、または鉄などの強磁性体の薄板な
どで構成される。また、前記積層体を構成する板状体相
互間は積層方向に固定されている。請求項3の構成で
は、磁気異方性を有する磁性材が板状体を積層した積層
体であることから、板状体の板面に平行な方向では磁束
の透磁率は高く、板面に直交する方向(積層方向)では
磁束の透磁率が低くなるため、磁束発生手段で発生した
磁束を板状体に平行な方向に集めることができる。従っ
て、積層体の向きを適切に配置することにより、均一磁
場領域の磁場強度分布を補正することが可能となり、目
的とする領域の磁場強度を上昇することができる。ま
た、別の構成では、積層体が方向性珪素鋼板や珪素鋼板
や鉄などの強磁性体の薄板などで構成されているので、
積層体は顕著な磁気異方性を発揮することができる。ま
た、別の構成では、積層体は板状体相互間で積層方向に
ねじや接着剤などで固定されているので、積層体の変形
などによる磁場均一度の劣化は防止される。
【0015】本発明の静磁場発生装置では更に、前記積
層体の厚さは、前記環状突起部の円周方向の全領域でほ
ぼ一様である。また、前記積層体の厚さは、前記環状突
起部の円周方向の位置に応じて変化する。また、前記積
層体は、前記環状突起部の円周方向において、分散して
配置されている。これらの構成では、均一磁場領域の外
周部の磁場強度分布又は磁場均一度の状況に応じて、積
層体の環状突起部の円周方向の各位置における厚さをほ
ぼ一様にしたり、変化させたり、或いは一部の位置でゼ
ロにしたりして、均一磁場領域の外周部に集まる磁束の
量を調整することができるので、請求項2記載の静磁場
発生装置と同様に、均一磁場領域の磁場均一度を向上す
ることができる。
【0016】本発明の静磁場発生装置では更に、前記積
層体は、前記環状突起部の円周方向に沿って分割された
複数個の積層体ブロックから構成される。この構成で
は、積層体が複数個の積層体ブロックに分割されている
ので、積層体ブロックを加工しやすい大きさにすること
により、積層体を容易に加工することができる。
【0017】本発明の静磁場発生装置では更に、前記磁
気異方性を有する磁性材の高透磁性を示す向きが、前記
静磁場発生源の前記均一磁場領域に対向する面に対し
て、ほぼ平行である(請求項4)。更に、前記磁気異方
性を有する磁性材の高透磁性を示す向きが、ほぼ前記軸
線に向かっている。この構成では、静磁場発生源の均一
磁場領域に対向する面が通常均一磁場領域の中心におけ
る静磁場の主磁束の方向(前記軸線の方向)とほぼ垂直
となっているので、磁気異方性を有する磁性材の高透磁
性を示す向きを静磁場発生源の均一磁場領域に対向する
面に対してほぼ平行にしていることにより、静磁場発生
源の外周部における磁束の向きを均一磁場領域側に変え
て、均一磁場領域の外周部に磁束を集めることが可能と
なり、その部分の磁場強度を上昇することができる。更
に、磁気異方性を有する磁性材の高透磁性を示す向きを
装置の軸線(中心軸)の方に向けることにより、磁束を
より確実に均一磁場領域の外周部に集めることができ
る。
【0018】本発明の静磁場発生装置では更に、前記静
磁場発生源を構成する前記環状突起部の前記均一磁場領
域に対向する面(以下、環状突起部の対向面という)は
前記軸線にほぼ垂直であり、該環状突起部の対向面に対
して、前記磁気異方性を有する磁性材の高透磁性を示す
向きがほぼ平行である。この構成では、磁気異方性を有
する磁性材の高透磁性を示す向きが軸線とほぼ垂直な環
状突起部の対向面に対してほぼ平行であるため、請求項
4記載の静磁場発生装置と同様な効果が得られる。
【0019】本発明の静磁場発生装置では更に、前記磁
気異方性を有する磁性材は前記環状突起部を介して固定
されている。また、前記磁気異方性を有する磁性材は前
記環状突起部の対向面側、または、内周面側、または、
前記環状突起部の前記軸線方向の中間部に挟み込んで、
固定されている。この構成では、磁気異方性を有する磁
性材が隣接する環状突起部を介して固定されているの
で、その固定は確実、強固に行われ、均一磁場領域の磁
場強度、磁場均一度の改善は確実に行うことができる。
【0020】本発明の静磁場発生装置では更に、前記静
磁場発生源及び磁場均一度向上手段は、それぞれ一対が
前記均一磁場領域を挟んで、対向して配置されている
(請求項5)。この構成では、静磁場発生源及び磁場均
一度向上手段が均一磁場領域を間に挟んで対向して配置
されているため、均一磁場領域に生成される静磁場の磁
場均一度の向上を容易に行うことができるとともに、均
一磁場領域の周方向、すなわち静磁場発生源の対向する
方向と直交する方向に広い開放空間が得られるので、被
検体にとって大きな開放感が得られる。
【0021】本発明の静磁場発生装置では更に、対向し
て配置された前記静磁場発生源は、強磁性体から成る部
材により磁気的に接続されている(請求項6)。また、
前記静磁場発生源はその外側に対向して配置され、強磁
性体から成る板状体によって支持され、該板状体が前記
強磁性部材により磁気的に接続されている。
【0022】この構成では、対向する静磁場発生源が強
磁性をもつ部材によって磁気的に接続されているので、
この部材が静磁場発生源の発生した磁束の帰路の役割を
果たすことができる。このため、静磁場発生源の発生し
た磁束が開放型磁石の外側に大きく広がることが防止さ
れ、漏洩磁場が低減される。また、静磁場発生源の外側
に強磁性をもつ板状体を配置したものでは、この板状体
と強磁性の部材が静磁場発生源の外側を覆う磁気回路を
形成し、静磁場発生源が均一磁場領域に発生する磁束の
帰路の役割を果たすので、開放型磁石の漏洩磁場は大幅
に低減される。
【0023】本発明の静磁場発生装置では更に、前記静
磁場発生源が、超電導コイル、または、常電導コイル、
または、永久磁石である(請求項7)。磁束発生手段が
超電導コイルの場合には、均一磁場領域に高い磁場強度
の静磁場を生成することができ、常電導コイルの場合に
は均一磁場領域の磁場強度は低くなるが、冷却容器が不
要となるため構造が簡略化され、コストも低減される。
また、永久磁石の場合には、コイルを使用しないため、
装置の維持費用が大幅に低減され、コストが低減され
る。
【0024】本発明のMRI装置は、前記静磁場発生装置
を静磁場発生手段として用いたものである(請求項
8)。この構成のMRI装置では、本発明の静磁場発生装置
を用いているので、撮影空間の外周部の磁場強度が上昇
して磁場均一度が向上するとともに、装置の開放性が向
上する。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を添付図面
に沿って説明する。図1及び図2に、本発明に係る開放型
磁石の第1の実施例の全体構成を示す。図1は縦断面図、
図2は図1の中央部を通る切断面による横断面図である。
本実施例の開放型磁石10の主要部は、図1に示す如く、
上下方向についてほぼ対称に構成されている。以下の説
明において、磁石の中心0を通る上下方向をZ軸方向、水
平方向をX軸方向、前後方向をY軸方向とする。以下、Z
軸及びZ軸方向を装置の軸線及び軸線方向ともいう。
【0026】図1及び図2において、本実施例の開放型磁
石10の中央部(中心0及びその周辺部)には、被検体
(図示せず)を挿入してMR撮影を行うための撮影空間
(均一磁場領域)12があり、その均一磁場領域12には装
置の軸線方向(Z軸方向)に向かう均一な静磁場が形成
されている。この静磁場は、均一磁場領域12を間に挟ん
で上下に配置した静磁場発生源13a、13bによって形成さ
れる。
【0027】図1において、上下の静磁場発生源13a、13
bは、それぞれ均一磁場領域12の静磁場を作るための磁
束を発生する磁束発生手段としての上下の超電導コイル
26a、26bと、静磁場の磁場均一度を制御するための上下
のポールピース(磁極)18a、18bなどから構成される。
【0028】磁束発生手段としての上下の超電導コイル
26a、26bは、均一磁場領域12を挟んで、ほぼ上下対称の
位置に配置され、共に同一方向の電流が通電される。上
下の超電導コイル26a、26bは、冷却容器28a、28bに収容
され、超電導特性を示す温度まで冷却され、超電導状態
で用いられる。
【0029】超電導コイル26a、26bによって生成された
磁束が開放型磁石10の外部に漏洩するのを抑制するため
に、超電導コイル26a、26bに近接して強磁性体から成る
上下の磁気プレート14a、14bが配置される。上下の磁気
プレート14a、14bは、強磁性体から成る2本の磁気柱16
によって磁気的に結合されると共に、構造的にも支持さ
れる。上下の磁気プレート14a、14bと2本の磁気柱16と
の結合体は磁気回路を形成し、超電導コイル26a、26bが
生成した磁束の帰路を構成している。また、上下の超電
導コイル26a、26bを収容した上下の冷却容器28a、28bは
通常上下の磁気プレート14a、14bによって支持される。
【0030】上下の超電導コイル26a、26bの内周側に
は、上下のポールピース(磁極)18a、18bが配置されて
いる。このポールピース18a、18bは中央部の均一度制御
材22a、22bと周辺部の環状の突起部(以下、環状突起部
という)20a、20bとから構成されている。いずれも鉄な
どの強磁性体から成る。上下の超電導コイル26a、26bに
よって生成された磁束は、ポールピース18a、18bを経由
して、撮影空間となる均一磁場領域12に静磁場を形成す
るが、ポールピース18a、18bの形状を最適化すること
で、均一磁場領域12の磁場均一度を高めている。
【0031】本実施例においても、ポールピース18a、1
8bの形状については、均一磁場領域12の磁場均一度を向
上するために、均一度制御材22a、22bの対向面には凹凸
が設けられ、環状突起部20a、20bは均一度制御材22a、2
2bの対向面より突出している。
【0032】ここで、ポールピース18a、18bの周辺部に
環状突起部20a、20bを設けることで、均一磁場領域12の
磁場均一度が向上することは、従来から公知である。し
かしながら、従来技術では、環状突起部20a、20bを磁気
的に等方性の材料で構成していた。このため、環状突起
部20a、20bからの磁束が広い空間領域に渡って広がるこ
とになり、必要とする領域に到達する磁束量が少なくな
っていた。特に、均一磁場領域12の外周部分(図示のA
部)は磁場強度が低くなりやすいため、磁場均一度を悪
化させる要因となっていた。
【0033】本実施例では、ポールピース18a、18bの周
辺部の環状突起部20a、20bの均一磁場領域12に対向する
面(以下、対向面という)32の上側に磁気異方性を持つ
方向性珪素鋼板の積層体24a、24bを配置することによ
り、上記の課題を解決している。積層体24a、24bを構成
する方向性珪素鋼板は、通常0.3mm〜0.5mmの厚さを持っ
ており、これを複数枚積み重ねることで、積層体24a、2
4bが作られている。
【0034】このように方向性珪素鋼板の積層体24a、2
4bを環状突起部20a、20bの対向面32に接して、個々の方
向性珪素鋼板が対向面32とほぼ平行となるように配置し
た場合、積層体24a、24bの透磁率(磁束の通しやすさ)
は積層方向には低く、個々の方向性珪素鋼板の面方向に
は高くなっている。この積層体24a、24bの高透磁性を示
す向きは、対向面32にほぼ平行であって、更に磁石の軸
線(Z軸)の方に向いている。このため、超電導コイル2
6a、26bからの磁束は、環状突起部20a、20bを経由し
て、そのまま軸線方向(Z軸方向)には進みにくくな
り、矢印33で示す如く、均一磁場領域12の方向に偏向さ
れる。
【0035】この結果、均一磁場領域12に集まる磁束量
が多くなるため、超電導コイル26a、26bに流す電流量を
一定とした場合、方向性珪素鋼板の積層体24a、24bを環
状突起部20a、20bの上側、すなわち均一磁場領域12に近
い側に配置することにより、均一磁場領域12の磁場強度
を高めることができる。すなわち、単位電流当りの均一
磁場領域12における磁場発生効率を向上することができ
る。また、本実施例での磁束密度が増加する割合は、均
一磁場領域12の径方向外側部分(図示のA部)で特に高
くなるため、同時に均一磁場領域12全体としての磁場均
一度も改善される。
【0036】また、積層体24を構成する方向性珪素鋼板
は、図示では環状突起部20の形状に合わせてほぼ円環状
に加工されている。しかし、方向性珪素鋼板は比較的加
工しにくい材料であるため、上記には限定されず、多角
形状などにしてもよい。また、積層体24全体としては、
大型の部材となるため、後述の如く、最初に扇形又は多
角形などの形状の小さいブロックを作り、あとでこのブ
ロックを結合して積層体24を組立てることによって加工
は容易となる。
【0037】また、図示の例では、方向性珪素鋼板の積
層体24a、24bは環状突起部20a、20bに沿って全周にわた
って円環状にほぼ一様な断面積又は厚さで配設されてい
るが、これに限定されず、磁石の軸線を中心とする円周
上に分散して配設されてもよい。すなわち、方向性珪素
鋼板の積層体の分割したブロックを、ブロック相互間に
間隔をとって円周上に分散して配設しても、均一磁場領
域12の磁場発生効率を向上し、磁場均一度を改善するこ
とは可能である。また、構造的に少し複雑になるが積層
体24a、24bの積層厚さ又は断面積を円周方向の位置によ
って変えることも可能であり、この場合も上記と同様な
効果が得られる。
【0038】上記の超電導コイル26a、26bは、超電導特
性を発揮できる所定の温度にまで冷却するために、冷却
容器28a、28b内に収容されている。冷却容器28a、28bと
しては、通常超電導コイル26a、26bを冷却するための冷
媒を収納する冷媒槽と、冷媒槽を囲む真空槽とから構成
される。冷媒としては液体ヘリウムなどが用いられる。
また、図示されていないが、冷媒槽と真空槽との間に
は、熱シールドが冷媒槽を囲むように配置されている。
熱シールドによって、外部からの輻射による熱の流入を
防止することにより、冷媒槽への熱侵入が抑制され、冷
媒及び超電導コイル26a、26bの温度が低温に維持され
る。
【0039】更に、本実施例の開放型磁石10では、上下
の冷却容器28a、28bを電気的、温度的、構造的に接続す
るために、図2に示す如く、2本の連結管30が均一磁場領
域12の左右に配設されている。これらの連結管30も、上
下の冷却容器28a、28bと同様に、通常冷媒槽と真空槽な
どから構成され、冷媒槽によって上下の冷却容器28a、2
8b、内の冷媒槽を結合することによって、冷媒を連通さ
せる役割を担っている。
【0040】また、上下の超電導コイル26a,26bを所定
の距離で保持するために、上下の冷却容器28a、28bの冷
媒槽内に超電導コイル26a、26bを支持するための上下支
持材を配置することも可能である。また、連結管30に
は、上下の超電導コイル26a、26b間に働く電磁力、及び
超電導コイル26a、26bを収容した冷却容器28a、28bが荷
重に加わるが、これらの力に耐えられるならば、連結管
30の周方向における配置位置は任意である。
【0041】図2は、本実施例の開放型磁石での連結
管、磁気柱の構造を説明するための横断面図である。図
2において、2本の連結管30と2本の磁気柱16は、均一磁
場領域12の中心0から見て、前後方向(Y軸方向)にて非
対称の位置に配置されている。更に、周方向にて、連結
管30と磁気柱16とが同一線上となるように配置されてい
る。連結管30と磁気柱16をこのように配置することによ
り、均一磁場領域12の中心0から見て、前方及び側方の
視界が広がるので、開放性を増加することができる。ま
た、前方及び側方のスペースが十分とられているので、
被検体へのアクセス性も向上している。
【0042】本実施例の開放型磁石10において、被検体
は通常体軸をY軸方向として撮影空間12に挿入される
が、X軸方向の視野は2本の連結管30の間隔によって規定
される。従って、2本の連結管30の間隔が狭いと、開放
感が得られにくい。連結管30をドーナツ形の冷却容器28
a、28bの外周部よりも外側に配置することにより、X軸
方向の視野が広がり、開放性が高められる。また、Y軸
方向の視野については、連結管30及び磁気柱16を均一磁
場領域12の中心0より後方に配置することにより、前方
側の視野が広がり、開放性が高められる。
【0043】連結管30や磁気柱16の本数については、図
2に示した例では2本ずつとなっているが、これに限定さ
れず、1本ずつ、または3本ずつ以上とすることも可能で
ある。しかし、IVR(インターベンショナル・ラジオロ
ジー)などへの利用を考えた場合には、被検体の側方が
広く開けられる点で、1本ずつ、または、2本ずつが望ま
しい。
【0044】また、図1、図2には示していないが、超電
導コイル26a、26bを収容した冷却容器28a、28bには、こ
れを冷却するための冷凍機(膨張機)が1台以上配置さ
れており、この冷凍機によって冷却容器28a、28b内の気
化した冷媒(通常は、液体ヘリウム)を再凝縮すること
により、冷媒の蒸発による消費を抑制している。
【0045】上記の説明では、超電導コイル26a、26bを
冷却する冷却容器28a、28bの構成要素として冷媒槽を用
いる場合を例に上げて説明したが、他に超電導コイル26
a、26bを冷凍機で直接冷却する伝導冷却方式もある。こ
の伝導冷却方式を採用すれば、冷媒及び冷媒槽が不要と
なる。この場合、冷却容器28a、28bの構造が簡素になる
とともに、冷媒槽のためのスペースが不要となるので、
静磁場発生源の外径を小さくすることができ、開放型磁
石全体として小型化できる。
【0046】図3には、本実施例の開放型磁石10の下側
部分の斜視図を示す。図3は、方向性珪素鋼板の積層体2
4a、24bの構造を説明するために示したものである。図1
及び図3において、下側の方向性珪素鋼板の積層体24bは
下側の環状突起部20bの上に載置されて、固定されてい
る。方向性珪素鋼板の積層体24は複数個の扇形の積層体
ブロック25を円環状に結合したものである。各々の積層
体ブロック25は扇形形状に加工した方向性珪素鋼板を複
数枚積み重ねたものである。このように積層体24を小さ
い積層体ブロック25に分割することにより、その加工及
び取扱いが容易となる。また積層体24の配設位置を円周
方向で分散させる場合や、積層体24の積層厚さを円周方
向で変化させる場合などには、積層体24を積層体ブロッ
ク25に分割しておくことにより、加工が容易になる。
【0047】積層体ブロック25を構成する方向性珪素鋼
板相互間は、接着剤による接着、ねじによる固定等で結
合される。また、積層体ブロック25相互間は枠体(図示
せず)を用いて固定する、接着剤にて接着する等の方法
により、積層体24を構成し、環状突起部20a、20bにねじ
または接着剤などで固定する。
【0048】本実施例では、環状突起部20a、20bの高さ
を冷却容器28a、28bの高さよりも低くし、その環状突起
部20a、20bの上に方向性珪素鋼板の積層体24a、24bを載
置することにより、環状突起部20a、20bとを合わせた全
体としての高さが増加することがないようにし、撮影空
間12の広さを確保している。
【0049】図4に本発明に係る開放型磁石の第2の実施
例の要部拡大断面を示す。また、図5には、図4に示した
部分の斜視図を示す。図4は本実施例の開放型磁石の要
部となる超電導コイル及び環状突起部の周辺部について
の右側下部の半径方向の断面を示している。図4におい
て、下側の超電導コイル26bは、下側の冷却容器28bに収
容されて、下側の磁気プレート14bに支持されており、
下側の超電導コイル26bの内径側に下側の環状突起部20b
が配置されている。下側の方向性珪素鋼板の積層体40b
が、下側の環状突起部20b及び下側の冷却容器28bの上側
表面に接して、下側の環状突起部20bの対向面32にほぼ
平行になるように配置されている。
【0050】本実施例では、積層体40bの幅を第1の実施
例の場合よりも長くすると共に、積層体40bの内周側が
均一磁場領域12に少し接近するようにわずか傾斜をつけ
て配置している。積層体40bを図示の如く配置すること
により、下側の環状突起部20bの対向面32の周辺におけ
る磁束は、下側の方向性珪素鋼板の積層体40bからの磁
束として矢印42の方向の成分が増加するため、この部分
で磁石の中央部、すなわち均一磁場領域12に磁束を収束
する作用がより一層高められる。この結果、均一磁場領
域12の外周部(A部)の磁場強度を高めることができ、
磁場均一度を向上させることができる。
【0051】図5は、本実施例での方向性珪素鋼板の積
層体40bの環状突起部20bなどへの取付け構造を説明する
ための図である。図5において、積層体40bを構成する方
向性珪素鋼板の面は、環状突起部20bの対向面32に対し
ほぼ平行であるが、完全な平行ではなく、少し傾斜して
いるため、両者の間に三角形の介在物43を挿入し、この
介在物43を介して、積層体40bを環状突起部20bに接着剤
やねじなどによって固定している。また、積層体40bは
複数の積層体ブロック41から構成され、積層体ブロック
41相互間はねじによる固定、または接着剤などによって
結合されている。
【0052】図4では、方向性珪素鋼板の積層体40bの幅
方向の端面は、環状突起部20bの対向面32に対しほぼ垂
直な面となっているが、これに限定されず、この端面は
環状突起部20bの対向面32に対し異なる角度を持ってい
てもよく、例えば方向性珪素鋼板の面に対して垂直であ
ってもよい。また、図示の例では、個々の方向性珪素鋼
板の幅方向の長さは同じになっているが、環状突起部20
bに近い側のものが短くて、それから離れるに従って長
くなるようにしてもよいし、またはその逆にしてもよ
い。
【0053】図6に、本発明に係る開放型磁石の第3の実
施例の要部拡大断面図を示す。図6も、図4と同様に本実
施例の右側下部の半径方向の断面図である。図6におい
ては、下側の超電導コイル26bを収容する下側の冷却容
器28bの上側表面に接して、下側の方向性珪素鋼板の積
層体44bが下側の環状突起部20bの対向面32とほぼ平行に
なるように配置されている。
【0054】本実施例では、積層体44bの幅方向の長さ
を第2の実施例より短くし、超電導コイル26bを収容した
冷却容器28bの上側表面にのみ配置されるようにした。
積層体44bの方向性珪素鋼板の傾斜方向は、矢印46で示
す如く、第2の実施例の場合とほぼ同じ方向としてい
る。この結果、下側の環状突起部20bの対向面32の周辺
において、矢印46の方向の磁束成分が増加し、第2の実
施例と同様に、均一磁場領域12の外周部(A部)の磁場
強度を高めることができ、磁場均一度を向上させること
ができる。
【0055】また、冷却容器28bの高さは一般に環状突
起部20bの高さよりも低いため、本実施例の如く積層体4
4bを冷却容器28bの上側のみに配置した場合には、第2の
実施例の如く積層体40bを環状突起部20bの上側に配置し
た場合よりも、積層体44bの高さ方向の位置を低く抑え
ることができるので、被検体の挿入される撮影空間12を
広くすることができ、装置の開放性を向上させることが
できる。
【0056】図7に、本実施例に係る開放型磁石の第4の
実施例の要部拡大断面図を示す。図7も、図4と同様に本
実施例の右側下部の半径方向の断面図である。本実施例
では、下側の方向性珪素鋼板の積層体48bは下側の環状
突起部20bの内周側に配置、固定され、個々の方向性珪
素鋼板は環状突起部20bの内周面とほぼ平行に配列され
ている。
【0057】方向性珪素鋼板の積層体48bを図7の如く
配置することにより、積層体48bを経由する磁束は矢印5
0で示した方向に集中するため、環状突起部20bの周辺部
からの磁束の流れは均一磁場領域12の外周部(A部)に
導かれることになり、均一磁場領域12の外周部(A部)
の磁場強度が増加し、均一磁場領域12の磁場均一度が向
上する。
【0058】本実施例の場合、方向性珪素鋼板の積層体
48bの軸線方向(Z軸方向)の高さは、環状突起部20bの
高さとほぼ同じになっているので、環状突起部20bの部
分の軸線方向の高さを低く抑えることができ、装置の開
放性を向上させることができる。
【0059】図8に、本発明に係る開放型磁石の第5の実
施例の要部拡大断面図を示す。図8も、図4と同様に本実
施例の右側下部の半径方向の断面図である。本実施例で
は、下側の環状突起部の高さ方向の中間部に方向性珪素
鋼板の積層体56bを挟み込んで固定している。
【0060】図8において、下側の環状突起部は、磁気
プレート14bに近い第1の環状突起部52bと、均一磁場領
域12に近い第2の環状突起部54bとに分割されており、第
1、第2の環状突起部52bの間に方向性珪素鋼板の積層体5
6bが配置されている。積層体56bを構成する個々の方向
性珪素鋼板は環状突起部の対向面32と平行に配列され、
その幅方向の長さは環状突起部の幅寸法とほぼ同じとな
るように作られている。
【0061】方向性珪素鋼板の積層体56bを上記の如く
配置することにより、下側の超電導コイル26bで発生し
た磁束の一部を、積層体56bを経由して矢印58の方向に
直接的に導くことができる。矢印58の方向に導かれた磁
束は、より直接的に均一磁場領域12の外周部(A部)の
磁場強度を高めることができ、その結果、磁場発生効率
を大幅に向上するとともに、磁場均一度も向上すること
ができる。
【0062】図9に、本発明に係る開放型磁石の第6の実
施例の要部拡大断面図を示す。図9も、図4と同様に本実
施例の右側下部の半径方向の断面図である。本実施例で
は、下側の方向性珪素鋼板の積層体62bの傾斜方向を、
第2、第3の実施例の場合とは逆にしている。
【0063】図9において、下側の環状突起部60bの高さ
は、下側の超電導コイル26bを収容する冷却容器28bの高
さより低くなっており、方向性珪素鋼板の積層体62bは
環状突起部60bの冷却容器28bの側より低くなるように傾
斜して配置、固定されている。このように積層体62bを
配置することにより、積層体62bからの磁束は、矢印64
の方向に導かれるため、均一磁場領域12の外周部(A
部)の磁場強度を抑制する効果が得られる。
【0064】本実施例は、環状突起部の直径を小さくし
た場合に、均一磁場領域12の磁場均一度を高めるのに役
立つ方法である。環状突起部60bの直径を小さくした場
合に、均一磁場領域12の外周部(A部)の磁場強度が必
要以上に増加するため、本実施例の如く積層体62bを逆
傾斜させることにより、均一磁場領域12の外周部(A
部)の磁場強度を抑制することができ、磁場強度の増加
を補償することができる。その結果として、均一磁場領
域12の外周部(A部)における磁場均一度を高めること
ができる。
【0065】MRI装置用磁石では、環状突起部の直径が
磁石全体の外形寸法を支配することになるため、この直
径を小さくし、方向性珪素鋼板の積層体を本実施例の如
く配置することで、装置を小型化することができるとと
もに、開放性及び被検体へのアクセス性を向上すること
ができる。
【0066】上記の第1〜第6の実施例においては、環状
突起部の近傍に配設する積層体を構成する強磁性体材料
として、方向性珪素鋼板を例に上げて説明して来たが、
この積層体の構成材料はこれに限定されず、一般の珪素
鋼板を積み重ねたものでも、また鉄板などの強磁性体の
薄い板を複数枚積み重ねたものでもよく、上記したもの
と同様な効果が得られる。
【0067】また、上記実施例の説明において、積層体
を構成する強磁性体板については、同一形状の板を積層
する形で図示したが、これに限定されず、均一磁場領域
の磁場均一度を制御することを目的として、必要に応じ
て、幅寸法または長さ寸法の異なる板を積層することも
可能である。
【0068】また、上記の実施例では、均一磁場領域に
磁束を発生する磁束発生手段として、超電導コイルを用
いる場合を例に上げて説明して来たが、これに限定され
ず、常電導コイルや永久磁石なども用いることができ
る。常電導コイルを磁場発生源として用いた場合には、
コイルの単位断面積当りの電流密度が低く制限されるの
で、中心磁場強度の比較的低い(0.5T程度以下)場合に
適用が可能である。
【0069】また、永久磁石を磁場発生源として用いた
場合には、永久磁石の配置位置がコイルの場合とは異な
り、環状突起部の外周部ではなく、ポールピースと磁気
プレートの間に配置される。
【0070】また、上記の実施例では、開放型磁石全体
を磁気プレートや磁気柱などの強磁性体材料で囲むパッ
シブシールド方式の磁石について説明したが、本発明は
これに限定されず、ポールピースを用いる磁石であれば
適用が可能である。すなわち、上下のポールピースを磁
気柱によって結合しない構造の磁石の場合にも適用が可
能である。
【0071】また、上記の実施例では、上下に磁場発生
源を配置する構造の磁石の場合について説明したが、こ
れに限定されず、上側だけ、または下側だけに、1個の
磁場発生源がある構造の磁石についても適用が可能であ
る。
【0072】本発明のMRI装置は、静磁場発生磁石とし
て以上説明した静磁場発生装置を用いたものであり、静
磁場発生装置が形成する均一磁場領域が被検体の置かれ
る撮影空間となり、この撮影空間と静磁場発生装置のポ
ールピースとの間に、均一磁場領域に磁場勾配を発生す
る傾斜磁場発生コイルと、被検体の組織を構成する原子
の原子核に核磁気共鳴を起こさせる高周波磁場を発生さ
せる照射用高周波コイルが配置される。また被検体に近
接して被検体から発生する核磁気共鳴信号を受信するた
めの受信用高周波コイルが配置される。
【0073】この撮影空間から離れた場所に、傾斜磁場
発生コイルの電源、照射用高周波コイルを駆動するため
の送信回路、受信用高周波コイルに接続された受信回
路、これら傾斜磁場電源、送信回路及び受信回路を制御
するとともに受信した核磁気共鳴信号を用いて被検体の
断層像等の画像を作成する信号処理回路及び画像を表示
する表示装置が設けられている。
【0074】このMRI装置では、静磁場発生磁石として
本発明の静磁場発生装置を用いたことにより、撮影空間
の外周部の磁場強度が上昇し、高い磁場均一度が得られ
る。従って、磁場の不均一度に起因する画像の劣化を低
減することができる。また撮影空間の開放性が向上する
ので、穿針や手術等を行いながらMR画像をモニターとし
て用いるIVRにおける操作性を高めることができる。
【0075】
【発明の効果】以上説明した如く、本発明によれば、MR
I装置用開放型磁石のポールピースの環状突起部の近傍
に磁気異方性を有する磁性材を配置したことにより、撮
影空間における磁場発生効率を高め、磁場均一度を向上
することができる。
【0076】上記の結果、磁束発生手段として超電導コ
イルや常電導コイルを使用する場合には、コイルのター
ン数を低減することが可能となり、磁石材料費及び製作
費が低減し、磁石のコストを低減することができる。
【0077】また、ポールピースの環状突起部の高さを
高くすることなく、撮影空間の磁場発生効率を高めるこ
とができるので、開放性を損うことなく、撮影空間、特
に径方向外周部における磁場均一度を向上することが可
能となり、MR撮影における画質の向上を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る開放型磁石の第1の実施例の全体
構成を示す縦断面図。
【図2】図1の中央部を通る切断面による横断面図。
【図3】第1の実施例の開放型磁石の下側部分の斜視
図。
【図4】本発明に係る開放型磁石の第2の実施例の要部
拡大断面図。
【図5】図4に示した部分の斜視図。
【図6】本発明に係る開放型磁石の第3の実施例の要部
拡大断面図。
【図7】本発明に係る開放型磁石の第4の実施例の要部
拡大断面図。
【図8】本発明に係る開放型磁石の第5の実施例の要部
拡大断面図。
【図9】本発明に係る開放型磁石の第6の実施例の要部
拡大断面図。
【図10】従来技術による超電導コイルを磁場発生源と
した開放型磁石の一例。
【符号の説明】
10…開放型磁石 12…撮影空間(均一磁場領域) 13、13a、13b…静磁場発生源 14、14a、14b…磁気プレート 16…磁気柱 18、18a、18b…ポールピース(磁極) 20、20a、20b、60b…環状突起部 22、22a、22b…均一度制御材 24、24a、24b、40b、44b、48b、56b、62b…積層
体 25、41…積層体ブロック 26、26a、26b…超電導コイル 28、28a、28b…冷却容器 30…連結管 32…対向面 33、42、46、50、58、64…矢印 43…介在物 54b…第1の環状突起部 56b…第2の環状突起部
フロントページの続き (72)発明者 榊原 健二 東京都千代田区内神田1丁目1番14号 株 式会社日立メディコ内 Fターム(参考) 4C096 AB32 AB47 AD08 CA07 CA16 CA18 CA25

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有限の領域に静磁場を発生させて均一磁場
    領域を形成するための静磁場発生源と、円環形状の突起
    部を備え、前記均一磁場領域の磁場均一度を高めるため
    の磁場均一度向上手段とを有する静磁場発生装置におい
    て、前記突起部の近傍に、磁気異方性を有する磁性材を
    配置したことを特徴とする静磁場発生装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の静磁場発生装置において、
    前記磁気異方性を有する磁性材は前記突起部の円周方向
    の全領域にわたって、その表面又はその近傍に配置され
    ていることを特徴とする静磁場発生装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は3記載の静磁場発生装置にお
    いて、前記磁気異方性を有する磁性材は板状体を積層し
    た積層体であることを特徴とする静磁場発生装置。
  4. 【請求項4】請求1乃至3いずれか1項記載の静磁場発
    生装置において、前記磁気異方性を有する磁性材の高透
    磁性を示す向きが、前記静磁場発生源の前記均一磁場領
    域に対向する面に対して、ほぼ平行であることを特徴と
    する静磁場発生装置。
  5. 【請求項5】請求項1乃至4いずれか1項記載の静磁場
    発生装置において、前記静磁場発生源及び磁場均一度向
    上手段は、それぞれ一対が前記均一磁場領域を挟んで、
    対向して配置されていることを特徴とする静磁場発生装
    置。
  6. 【請求項6】請求項5記載の静磁場発生装置において、
    対向して配置された前記静磁場発生源は、強磁性体から
    成る部材により磁気的に接続されていることを特徴とす
    る静磁場発生装置。
  7. 【請求項7】請求項1乃至6いずれか1項記載の静磁場
    発生装置において、前記磁場発生源が、超電導コイル、
    常電導コイル、または永久磁石であることを特徴とする
    静磁場発生装置。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7いずれか1項記載の静磁場
    発生装置を、静磁場発生手段として用いたことを特徴と
    する磁気共鳴イメージング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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