JP2001029110A - ミッドソールの補強構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミッドソールによる靴内のムレを防止すると
共に、ミッドソールの補強を図る。 【解決手段】 ミッドソール３における貫通孔３３の周
縁には強化装置４が固着されている。前記強化装置４は
前記ミッドソール３よりもヤング率の大きい材質で形成
されている。前記強化装置４は厚肉の窓枠状部４１と、
この窓枠状部４１よりも薄肉の薄板部４２とが一体成形
されている。前記強化装置４の窓枠状部４１内には、前
記貫通孔３３に合致する位置に、通気を可能とする多孔
部材６が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明のバックグラウンド】発明の分野：本発明は靴の
換気を図り得るミッドソールの補強構造に関するもので
ある。

【０００２】ミッドソールは樹脂スポンジなどで形成さ
れており、足に加わる衝撃力を吸収する緩衝機能を有す
る。バスケットシューズなどにおいては、前記ミッドソ
ールをアッパーの側面まで巻き上げて、ミッドソールに
より足の側面を支持している。そのため、靴内が湿気で
ムレ易くなるのは避けられない。そこで、通気用の孔が
必要になる。しかし、通気用の孔をミッドソールに設け
ると、軟らかい材質であるミッドソールの強度が弱くな
るので、足の側面を十分に支持できなくなる。

【０００３】従来の技術の説明：一方、従来より、換気
装置を設けた靴は種々提案されている。その例を図７
（ａ）、図７（ｂ）および図８に示す。図７（ａ）は実
開昭５５−１６６４６号に開示された靴の斜視図であ
る。この靴には、アッパー５００の側面に網状の通気用
部材５０１が設けられている。図７（ｂ）は実開昭５９
−１４８６０４号に開示された靴の側面図である。この
靴にはアッパー５００の側面に補強片５０２を設け、該
補強片５０２の孔に通気用部材５０１を設けている。図
８は実開昭５３−９９２３８号に開示された靴の側面図
である。この靴には靴底５０３の側面に通気孔５０４を
設け、この通気孔５０４を弁５０５で覆っている。しか
し、これらの靴ではミッドソールの補強は図られていな
い。

【０００４】

【発明の概要】本発明は、前記従来の問題を解決するた
めになされたもので、その目的は、ミッドソールによる
靴内のムレを防止すると共に、ミッドソールの巻上げ部
の補強を図ることである。

【０００５】本発明の補強構造にかかるミッドソール
は、足の甲を包むアッパーの側面に沿って巻き上がる巻
上げ部を有する。前記巻上げ部には周縁を有する貫通孔
が形成されている。前記巻上げ部における前記貫通孔の
前記周縁には強化装置が固着されている。前記強化装置
は前記ミッドソールよりもヤング率の大きい材質で形成
されている。前記強化装置には、前記貫通孔に合致する
位置に、通気を可能とする多孔部材が設けられている。

【０００６】本発明において、前記多孔部材は網状部材
で形成するのが好ましいが、多孔質のフィルムで形成し
てもよいし、あるいは、非発泡性の樹脂により強化装置
と一体に細い桟状に形成してもよい。本発明において、
ミッドソールはＥＶＡ（エチレン−酢酸ビニル共重合
体）などの樹脂の発泡体で形成される。一方、強化装置
は一般に樹脂の非発泡体で形成される。

【０００７】本発明においては、足の内側または外側の
少なくとも一方の前記巻上げ部に前記貫通孔を設ければ
よい。

【０００８】本発明によれば、巻上げ部に貫通孔を設け
ると共に強化装置に多孔部材を設けたので、換気を図る
ことができる。ここで、貫通孔を巻上げ部に設けたのに
伴い、柔軟なものであるミッドソールの巻上げ部の剛性
が小さくなる。そのため、足を保持する巻上げ部の強度
が低下する。これに対し、本発明では前記貫通孔に相当
する部分に強化装置が固着されているので、巻上げ部の
強度を著しく向上させることができる。

【０００９】

【実施例の説明】本発明は、添付の図面を参考にした以
下の好適な実施例の説明からより明瞭に理解されるであ
ろう。しかしながら、実施例および図面は単なる図示お
よび説明のためのものである。本発明の範囲は請求の範
囲によって定まる。添付図面において、複数の図面にお
ける同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。

【００１０】第１実施例 図１ないし図３は第１実施例を示す。図１に示すバスケ
ットシューズは、図２に示す中敷（ソックライナー）
１、アッパー２、ミッドソール３、強化装置４およびア
ウターソール５などの部品で構成される。

【００１１】前記中敷１は、たとえば樹脂の発泡体１３
の上に布１４を積層してなり、足への衝撃を最終的に吸
収する役割などを果たす。前記アッパー２は足の甲を包
む。前記アウターソール５は図１の踏み面５０を有す
る。

【００１２】前記ミッドソール３は、前記アッパー２と
アウターソール５との間に介挿されると共に、図１に示
すように、前記アッパー２およびアウターソール５に固
着される。前記ミッドソール３は、たとえば、ＥＶＡの
発泡体で形成され、衝撃を緩衝する機能を有する。

【００１３】図２において、前記ミッドソール３は、足
の土踏まずを下方から覆う踏まず部３２を有する。前記
ミッドソール３には、外側巻上げ部３０および内側巻上
げ部３１が前記踏まず部３２と一体に形成されている。
前記外側巻上げ部３０は、足の外側１０において中足部
３ａから後足部３ｂにかけてアッパー２の側面に沿って
巻き上がるように形成されている。前記内側巻上げ部３
１は、足の内側１１において、中足部３ａから後足部３
ｂにかけてアッパー２の側面に沿って巻き上がるように
形成されている。

【００１４】前記ミッドソール３の外側巻上げ部３０、
内側巻上げ部３１および踏まず部３２には、それぞれ、
複数個の第１貫通孔３３、第２貫通孔３４および第３貫
通孔３５が形成されている。したがって、前記第１貫通
孔３３、第２貫通孔３４は少なくとも靴着用者が靴を着
用した際の足裏の水平面よりも上方の位置に設けられて
いることになる。また、前記ミッドソール３の前足部３
ｃには、数個の第４貫通孔３６が形成されている。

【００１５】前記ミッドソール３における第１貫通孔３
３の周縁には凹所３７が形成されている。前記凹所３７
には前記強化装置４が嵌め込まれた状態で、強化装置４
の全面が接着（固着）される。

【００１６】前記強化装置４は、たとえばポリウレタン
やポリアミドなどの熱可塑性樹脂の非発泡体からなり、
前記ミッドソール３を構成する素材よりもヤング率（縦
弾性係数）の大きい材質で形成されている。この強化装
置４は、第１貫通孔３３により強度の低下したミッドソ
ール３の外側巻上げ部３０を補強する。

【００１７】図３（ａ）に明示するように、前記強化装
置４は、貫通孔からなる窓４０を有している。図３
（ｂ）に明示するように、前記強化装置４は、厚肉の窓
枠状部４１と、前記窓枠状部４１よりも薄肉の薄板部４
２とが一体成型されてなる。前記図３（ａ）の強化装置
４の裏側の全面には、図３（ｃ）の第１網状部材（多孔
部材の一例）６が固着される。したがって、図３（ｂ）
の強化装置４の窓枠状部４１内には、つまり、窓４０に
は、網状部材６が設けられていることになる。

【００１８】前記網状部材６は、たとえばポリアミド系
の樹脂繊維の編み物からなり、前記網状部材６は図２の
強化装置４とミッドソール３との間に挟まれている。

【００１９】前記強化装置４の窓４０は、ミッドソール
３の第１貫通孔３３の位置に合致している。したがっ
て、窓４０に設けた網状部材６は、第１貫通孔３３を介
して通気を可能とする。

【００２０】なお、ミッドソール３の前記第２貫通孔３
４および第３貫通孔３５には、前記網状部材６と同様の
網状部材６Ａが設けてある。

【００２１】前記アウターソール５には、前記第４貫通
孔３６に合致する貫通孔５６が設けてある。これによ
り、前足の足裏の通気性が向上する。

【００２２】前記アッパー２における各貫通孔３３，３
４，３５，３６に対応する部分は、通気を可能とする織
構造の布（織布）２０によって形成されている。また、
中敷１の発泡体１３には多数の通気孔１２が形成してあ
る。したがって、ミッドソール３に設けた各貫通孔３３
〜３６から湿気を排出することができると共に外気を取
り込むことができる。

【００２３】前記構成において、強化装置４は窓枠状部
４１および薄板部４２が一体成型されているから、厚肉
の窓枠状部４１により強度の向上が図られると共に、薄
肉の薄板部４２を設けたことにより軽量化も図り得る。

【００２４】また、厚肉の窓枠状部４１だけでなく薄板
部４２においても強化装置４がミッドソール３に固着さ
れているから、広い接着面積が得られるので、柔軟なミ
ッドソール３であっても接着面において強化装置４が剥
がれるおそれもない。

【００２５】また、ミッドソール３における強化装置４
を装着する部分は凹所３７とされている。したがって、
ミッドソール３の軽量化も図り得る。

【００２６】ところで、本実施例では、ミッドソール３
における足の外側１０の外側巻上げ部３０に強化装置４
を設けたが、本発明では強化装置４をミッドソール３に
おける足の内側の内側巻上げ部に設けてもよい。その一
例を第２実施例に示す。

【００２７】第２実施例 図４ないし図６は第２実施例を示す。図４に示すよう
に、強化装置４は断面が略凹字状に形成されている。こ
の強化装置４は、図５（ａ）、図５（ｂ）および図６に
示すように、ミッドソール３の２つの巻上げ部３１，３
０および踏まず部３２に接着される。これにより、図４
のミッドソール３の巻上げ部３１，３０および踏まず部
３２が補強される。なお、その他の構成は、第１実施例
と同様であり、したがって、同一部分または相当部分に
同一符号を付して、その説明を省略する。

【００２８】以上のとおり、図面を参照しながら好適な
実施例を説明したが、当業者であれば、本明細書を見
て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定
するであろう。たとえば、ミッドソールの貫通孔の周縁
に凹所を形成しないで強化装置をミッドソールに固着し
てもよい。また、本発明はバスケットシューズ以外の競
技用シューズの他に、日常のジョギング時に履く運動靴
にも適用し得る。したがって、そのような変更および修
正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解
釈される。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ミッドソールの巻上げ部に貫通孔を設けると共に強化装
置に多孔部材を設けたので、靴の換気を図ることができ
る。しかも、ミッドソールの貫通孔に相当する部分に強
化装置が固着されているので、ミッドソールの補強を図
ることができるから、足を安定した状態に保持する機能
が向上すると共に、前記貫通孔を大きくでき、そのため
に換気能力の向上を図ることができる。

【００３０】また、ミッドソールに形成した凹所に強化
装置を嵌め込むように固着すれば、強化装置の位置決め
が容易になる上、強化装置を設けても靴の重量が差程重
くならない。また、強化装置に薄板部よりも厚肉の窓枠
状部を設ければ、強化装置の剛性の向上と軽量化を図り
得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例にかかる靴を足の外側から
見た側面図である。

【図２】本発明の第１実施例にかかる靴の部品の分解斜
視図である。

【図３】図３（ａ）は強化装置の正面図、図３（ｂ）は
強化装置および網状部材の断面図、図３（ｃ）は網状部
材の正面図である。

【図４】第２実施例にかかるミッドソール、強化装置お
よびアウターソールを示す分解斜視図である。

【図５】図５（ａ）はソールの内側面図、図５（ｂ）は
同ソールの外側面図である。

【図６】同ソールの底面図である。

【図７】図７（ａ）は従来の靴の斜視図、図７（ｂ）は
他の従来の靴の側面図である。

【図８】図８は更に他の従来の靴を示す側面図である。

【符号の説明】

２：アッパー ３：ミッドソール ３０：外側巻上げ部 ３１：内側巻上げ部 ３２：踏まず部 ３３：第１貫通孔 ３４：第２貫通孔 ３７：凹所 ４：強化装置 ４０：窓 ４１：窓枠状部 ４２：薄板部 ６：網状部材（多孔部材）

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 圓尾 哲也 神戸市中央区港島中町７丁目１番１ 株式 会社アシックス内 Ｆターム(参考） 4F050 AA01 BA02 BA38 BA45 BA51 BF11 DA01 HA56 HA58 HA60 HA73 HA82 JA01

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 足の甲を包むアッパーの側面に沿って巻
   き上がる巻上げ部を有するミッドソールの補強構造であ
   って、 前記巻上げ部には周縁を有する貫通孔が形成され、 前記巻上げ部における前記貫通孔の前記周縁には強化装
   置が固着され、 前記強化装置は前記ミッドソールよりもヤング率の大き
   い材質で形成されており、 前記強化装置には、前記貫通孔に合致する位置に、通気
   を可能とする多孔部材が設けられているミッドソールの
   補強構造。
2. 【請求項２】 請求項１において、 前記多孔部材が網状部材で形成されているミッドソール
   の補強構造。
3. 【請求項３】 請求項２において、 前記網状部材が、前記巻上げ部と前記強化装置との間に
   挟まれているミッドソールの補強構造。
4. 【請求項４】 請求項１において、 前記巻上げ部には前記貫通孔の前記周縁に凹所が形成さ
   れ、前記凹所に前記強化装置が固着されているミッドソ
   ールの補強構造。
5. 【請求項５】 請求項１において、 前記強化装置は厚肉の窓枠状部と前記窓枠状部よりも薄
   肉の薄板部とが一体成形されており、前記強化装置の前
   記窓枠状部内には貫通孔からなる窓が形成され、該窓に
   前記多孔部材が設けられているミッドソールの強化構
   造。