JP2001026869A - マグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

マグネトロンスパッタ装置

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JP2001026869A
JP2001026869A JP11196252A JP19625299A JP2001026869A JP 2001026869 A JP2001026869 A JP 2001026869A JP 11196252 A JP11196252 A JP 11196252A JP 19625299 A JP19625299 A JP 19625299A JP 2001026869 A JP2001026869 A JP 2001026869A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生産効率の向上、膜の高品質化、装置の小型
化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を同時に可
能とする多層膜成膜用のマグネトロンスパッタ装置を提
供する。 【解決手段】 プロセスチャンバ2内に2つのターゲッ
ト14・15を設置し、それぞれに共通のカソード電極
11からスパッタリング用の電圧を選択的に印加可能と
し、また、ロードロック室3を介してプロセスチャンバ
2内に導入した基板17をターゲット14・15のそれ
ぞれと対向する成膜位置に搬送可能とする。まずターゲ
ット14と対向する成膜位置に基板17を搬送してプラ
ズマを発生させるとともに、カソード電極11内に設け
た磁場発生手段をターゲット14の裏面側で往復移動さ
せて1層目の成膜を行い、次いで基板17をターゲット
15の方へ搬送するとともに磁場発生手段をターゲット
15の裏面側で往復移動させて2層目の成膜を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマグネトロンスパッ
タ装置に関し、特に大型液晶表示装置の配線積層膜のよ
うに材質の異なる複数の膜を積層するマグネトロンスパ
ッタ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示装置の製造には、大面積
基板上に膜厚および膜質の分布が均一な成膜装置として
マグネトロンスパッタ装置が多く使用されている。ま
た、液晶表示装置の大型化および表示性能の向上に伴
い、複数種類の成膜処理が可能な多層膜成膜用のマグネ
トロンスパッタ装置に対する様々な要求が高まってい
る。このような積層膜を形成する真空成膜装置として、
一般に、搬送室の周囲に複数の処理室を配置したクラス
ターツール真空成膜装置が用いられている。
【0003】図7は、一般的なクラスターツール真空成
膜装置の概略構成例を示す水平断面図である。同図に示
すように、このクラスターツール真空成膜装置は、6個
の処理室、つまり2個のロードロック室107・10
7、1個の加熱室108、および3個の成膜室109…
が搬送室110のまわりに配置されたものである。各処
理室と搬送室110との間はゲートバルブ104…によ
って仕切られ、個別に真空排気ができるように構成され
ている。搬送室110の内部には真空搬送ロボット10
5が配置され、各処理室との間において基板100…の
搬送を行う。なお、通常、真空搬送ロボット105は一
度に基板100を一枚のみ搬送する構成となっている。
【0004】クラスターツール真空成膜装置の外側に
は、基板100…を運搬保持するための基板カセット1
01…と、ロードロック室107・107に対して基板
100…を搬出入する大気搬送ロボット102とが設置
されている。ロードロック室107・107への搬入前
には、それぞれ複数枚の基板100…が収納された基板
カセット101…が装置手前に運搬されるようになって
いる。大気搬送ロボット102は、処理前の基板100
を基板カセット101から取り出し、ロードロック室1
07に搬送する。また、処理済みの基板100をロード
ロック室107から取り出し、基板カセット101に搬
送する。このとき、2つのロードロック室107・10
7は両方とも基板100の搬出入に使用されることもあ
れば、いずれか一方が搬入専用、他方が搬出専用に使用
されることもある。
【0005】外部からロードロック室107に成膜処理
前の基板100が搬入されるとロードロック室扉103
が閉じられ、ロードロック室107内部は図示しない排
気装置によって真空引きされる。ロードロック室107
の排気後、基板100は真空搬送ロボット105によっ
て搬送室110に搬入され、続いて加熱室108に搬送
される。加熱室108における加熱処理が終了すると、
基板100は真空搬送ロボット105によって成膜室1
09に搬送され、スパッタリングによる成膜処理が行わ
れる。これら各処理室と搬送室110との間における基
板100の搬送時には、各処理室のゲートバルブ104
の開閉が逐一行われる。
【0006】多層膜成膜の場合は、各成膜室109には
異なる種類のターゲットが設置されており、基板100
が下層から上層へと各層の材質に応じた成膜室109に
順次搬送されて成膜処理されることで、基板100上に
多層膜が形成される。全ての成膜処理が終了すると、基
板100は真空搬送ロボット105によってロードロッ
ク室107に搬送される。ロードロック室107のゲー
トバルブ104が閉じられた後、ロードロック室107
内部は大気圧に戻されてロードロック室扉103が開け
られ、大気搬送ロボット102により基板100が搬出
されて一連の処理が終了する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ク
ラスターツール真空成膜装置に代表される従来のマグネ
トロンスパッタ装置の構成には、以下のような問題点が
ある。
【0008】近年、生産効率向上のため、成膜室での処
理時間は短縮される方向にある。一方、基板サイズの大
型化に伴い、真空搬送ロボットの搬送時間およびサイズ
も大きくなりつつある。そこで、真空搬送ロボットの稼
働率や搬送速度を上げようとすると、真空搬送ロボット
の関節部への負担が大きくなり、関節部の部品の短命化
や故障率の悪化につながる。特に、真空中での搬送にお
いては、搬送速度が上がったり搬送物の重量が大きくな
ったりすると、この好ましくない現象が顕著に現れる。
【0009】また、多層膜成膜の場合は、各処理室を接
続する搬送室内部の真空搬送ロボットの基板搬送能力が
生産能力を決定するので、生産効率が単層膜成膜と比較
して大幅に低下する。つまり、真空搬送ロボットがある
処理室との間で基板の搬出入を行っているとき、他の成
膜室において処理が終了した基板が直ちに搬出されずに
待っている状態が発生するといったように、一つの真空
搬送ロボットでは複数の基板を一度に搬送することがで
きないという問題が起こる。
【0010】さらに、クラスターツール真空成膜装置に
よる多層膜成膜の場合、少なくとも成膜する膜の種類と
同じ数の成膜室が必要となり、装置が巨大で高額なもの
になる上、メンテナンスに手間がかかってしまう。イン
ライン型の真空成膜装置においても同様である。膜質を
維持しようとして、成膜中に基板表面にダストが落下す
ることがないよう成膜室で基板をほぼ鉛直に起立させて
成膜するものもあるが、このような基板配置をとる処理
室は容積がかさみ、装置がさらに巨大なものとなる。
【0011】生産効率には成膜速度も関係し、例えば特
開平5−271924号公報に開示されているように、
スパッタ粒子の基板への付着確率を高めるため、成膜室
内でターゲット−基板間距離を規定した上で複数の基板
を背中合わせに起立配置させ、各々の表面に両側から対
称な磁界を作用させて成膜するようにしたマグネトロン
スパッタ装置がある。これによれば膜厚分布や膜質分布
をも向上させることができるが、上述のように基板の鉛
直配置は装置の巨大化を招いてしまう。
【0012】また、特開平7−331433号公報に
は、マグネトロン磁石をターゲットの裏側で可動にして
プラズマを安定化し、スパッタ成膜の膜質や膜厚の均一
化を図ることが開示されているが、これを多層膜成膜用
の装置に適用しようとすると膜数に等しいだけの成膜室
が必要となり、やはり装置が大型化してしまう。
【0013】このように、従来のマグネトロンスパッタ
装置では、多層膜成膜において生産効率の向上、膜の高
品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス
性向上の全てを満たすことはできない。
【0014】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたものであり、その目的は、生産効率の向上、膜
の高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナ
ンス性の向上を同時に可能とする多層膜成膜用のマグネ
トロンスパッタ装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明のマグネトロンス
パッタ装置は、上記の課題を解決するために、真空チャ
ンバ内に設置された基板にスパッタリングにより形成さ
れる薄膜の材料からなるターゲットと、上記ターゲット
にスパッタリング用の電圧を印加するカソード電極と、
上記ターゲットの裏面側に配置されるとともに上記真空
チャンバ内で発生したプラズマを磁場により上記ターゲ
ット表面に集中させる磁場発生手段と、スパッタリング
中に上記磁場発生手段を上記ターゲットに対して平行に
往復移動させる揺動手段とを有するマグネトロンスパッ
タ装置において、上記真空チャンバ内に複数個の上記タ
ーゲットが設置されるとともに上記ターゲットのそれぞ
れに共通の上記カソード電極によって選択的にスパッタ
リング用の電圧が印加され、上記基板が上記真空チャン
バ内で上記ターゲットの各々と対向する位置に移動可能
であり、少なくとも一つの上記磁場発生手段が一つの上
記揺動手段によって2個以上の上記ターゲットの裏面側
に移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0016】上記の発明によれば、真空チャンバ内には
複数個のターゲットが設置されるとともに、共通のカソ
ード電極によって、選択されたターゲットにスパッタリ
ング用の電圧が印加されるようになっている。また、基
板は真空チャンバ内で各ターゲットと対向する位置に移
動可能であるので、これらターゲットを膜の種類に応じ
て異なる材料のものとして基板上に多層膜成膜を行え
ば、従来のように1層成膜するごとに搬送用の真空チャ
ンバに基板を退避させるなどの非効率的な作業を行う必
要がなくなる。従って、このように一つの真空チャンバ
内で異なる膜を連続的に形成することにより、多層膜の
高品質化とその成膜時間の短縮とを図ることができる。
さらに、スパッタ電源やカソード電極、成膜室などの数
削減、およびそれに付随する真空排気系や基板搬送系な
どの簡略化により、装置の小型化および低価格化が可能
になる。これによりメンテナンス性も当然向上する。
【0017】また、スパッタリングに際しては成膜に用
いるターゲットごとに磁場を作用させる必要があるが、
ターゲットの全てに個別の磁場発生手段を有しているの
ではなく、少なくとも一つの磁場発生手段はそれと組を
なす揺動手段によって2個以上のターゲットの裏面側に
移動可能となるよう、すなわちこれらターゲットに共有
されるように設けられている。従って、1番目の成膜時
にあるターゲットの裏面側で往復移動させた磁場発生手
段を2番目の成膜時に別のターゲットの裏面側まで移動
させてそこで往復移動させるといったように、選択され
たターゲットの裏面側に磁場発生手段を逐次移動させる
ので、磁場発生手段および揺動手段の数が抑えられる
分、装置構成を簡略化して低価格化することができる。
また、一つのターゲットの裏面側では磁場発生手段を往
復移動させてターゲットを全面で均一に消費するので、
形成される膜の膜厚分布および膜質分布が均一になると
ともに、ターゲットの利用効率が向上する。
【0018】以上により、生産効率の向上、膜の高品質
化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の
向上を同時に可能とする多層膜成膜用のマグネトロンス
パッタ装置を提供することができる。
【0019】さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、上記の課題を解決するために、上記真空チャンバが
上記ターゲットが1個ずつ設置された複数の成膜室から
なり、各成膜室は他の成膜室と連通および遮断が可能に
設けられていることを特徴としている。
【0020】上記の発明によれば、真空チャンバは互い
に連通および遮断が可能な複数の成膜室からなり、各成
膜室にはターゲットが1個ずつ設置される。真空チャン
バ自体はこのように複数の成膜室に分割された状態とな
るが、全てのターゲットは共通のカソード電極によって
選択的にスパッタリング用の電圧が印加されるととも
に、ある成膜室から別の成膜室への基板移動も成膜室間
を連通させることで可能である。この構成で多層膜成膜
を行う場合、いずれかの成膜室で成膜を行っている間に
この成膜室と他の成膜室とを遮断することにより、成膜
中の成膜室から他の成膜室へ成膜ガスが流入したり、飛
散したスパッタ粒子が混入したりするのを防止すること
ができる。従って、前記の発明の効果に加えて、さらに
多層膜を構成する膜ごとの品質を向上させることが可能
になる。
【0021】さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、上記の課題を解決するために、上記磁場発生手段と
上記揺動手段とを一組だけ有し、上記磁場発生手段が上
記揺動手段によって全ての上記ターゲットの裏面側に移
動可能に設けられていることを特徴としている。
【0022】上記の発明によれば、磁場発生手段と揺動
手段とは一組だけ設けられ、この磁場発生手段を揺動手
段によって移動させることにより、全てのターゲットに
対してスパッタリング時に磁場が供給される。このよう
な簡便な構成とすることにより、基板上に異なる膜を順
次形成していく通常の多層膜成膜に対して、生産効率の
向上、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性
の向上を最大限に図ることができる。
【0023】さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、上記の課題を解決するために、上記磁場発生手段と
上記ターゲットの表面との間の距離を調整する距離調整
手段を有することを特徴としている。
【0024】上記の発明によれば、距離調整手段によっ
て磁場発生手段とターゲットとの間の距離を調整するこ
とができるので、ターゲットの消費により厚みが変化し
てもターゲット表面と磁場発生手段との距離を一定にし
てターゲット表面の磁界強度を一定に保つことができ
る。また、磁場発生手段が移動した先のターゲットの材
質ごとに成膜に最適なターゲット表面の磁界強度が異な
っていても、ターゲットごとに距離を調整すればよいの
で、一つの磁場発生手段で対応することができる。従っ
て、多層膜成膜時における前述の生産効率の向上、膜の
高品質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナン
ス性の向上をより確実に図ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明のマグネ
トロンスパッタ装置の実施の一形態について図1ないし
図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0026】図1は、本実施の形態のマグネトロンスパ
ッタ装置1の構成を示す水平断面図である。マグネトロ
ンスパッタ装置1は、大きく分けて多層膜成膜が行われ
る成膜室としてのプロセスチャンバ2およびロードロッ
ク方式により基板搬送を行うためのロードロック室3か
ら構成され、それぞれ排気口4・5から図示しない排気
ポンプによって独立に排気されることにより真空状態が
維持される真空チャンバで形成される。プロセスチャン
バ2とロードロック室3との間、およびロードロック室
3と大気側との間にはそれぞれゲートバルブ6・7が設
けられており、基板搬送の際に開閉されるようになって
いる。
【0027】プロセスチャンバ2にはプラズマ源となる
ガスを導入するベントバルブ8が設けられており、排気
口4からの排気と合わせてプロセスチャンバ2内を所定
の真空度に調整しながらガス流を形成するために使用さ
れる。また、ロードロック室3にはリークバルブ9が設
けられており、基板搬送の際にロードロック室3内を大
気圧に戻すために使用される。
【0028】プロセスチャンバ2は同図のように一面に
チャンバ壁がない開口部を有しており、該開口部を覆う
ようにカソード電極11がチャンバ壁と絶縁されて設け
られている。カソード電極11には、GNDとの間にス
パッタリング用の電圧を発生するスパッタ電源10が接
続されている。カソード電極11のプロセスチャンバ2
側には2つのバッキングプレート12・13が設けられ
ており、それらの表面にはそれぞれ材質が異なるターゲ
ット14・15がインジウムなどの低融点ろう材により
接合されている。このように、プロセスチャンバ2内に
は種類の異なる複数個のターゲット14・15が共通の
カソード電極11上に設置されており、それぞれカソー
ド電極11からバッキングプレート12・13を介して
スパッタリング用の電圧が印加される。
【0029】ターゲット14・15のそれぞれと対向す
る2箇所の成膜位置には、トレイ16に保持された基板
17が鉛直方向に起立した状態で搬送されるようになっ
ており、1つの真空チャンバ内でターゲット14のスパ
ッタによる成膜と、ターゲット15のスパッタによる成
膜との両方が可能になっている。また、これら成膜位置
の基板17の裏側にはヒータ18が設けられており、基
板加熱ができるようになっている。
【0030】基板17の2箇所の成膜位置とターゲット
14・15との間には、基板17の端部側を覆うように
マスク19が設けられており、スパッタリング現象によ
ってターゲット14・15から飛散した粒子がトレイ1
6に付着するのを防止するよになっている。また、ター
ゲット14・15と所定の隙間を保ちながらこれらの周
囲を取り囲むようにアースシールド20が設けられてお
り、飛散した粒子の付着によってカソード電極11側と
チャンバ壁とが導通しないようにするとともに、プラズ
マによりターゲット14・15以外の部分がエッチング
されないようになっている。さらに、図示しないがター
ゲット14・15の近傍には不要部分への膜の堆積を防
止する防着板が配置されている。
【0031】次に、上記カソード電極11の内部の構成
について説明する。図2は、カソード電極11およびそ
の周辺の水平断面図である。同図に示すように、カソー
ド電極11は、外周面を形成するカソード本体21、タ
ーゲット14・15が接合されたバッキングプレート1
2・13、磁場発生手段としての磁石組立体33、およ
び磁石組立体33の揺動機構(揺動手段)から構成され
る。カソード本体21は、プロセスチャンバ2のチャン
バ壁2aと絶縁体22で絶縁されており、絶縁体22は
Oリング23によってシールされている。このカソード
本体21とバッキングプレート12・13とで、チャン
バ壁2aの開口部を覆っている。
【0032】磁石組立体33は、バッキングプレート1
2・13の裏面側、すなわちターゲット14・15の裏
面側に設けられており、磁石保持板32とそれに保持さ
れた複数の磁石ユニット31…からなる。この磁石組立
体33は、後述するような往復移動を行うために、その
幅がターゲット14・15の幅よりも短く設定されてい
る。図3(a)〜(c)に一つの磁石ユニット31の構
成を示す。同図(a)は磁石ユニット31の斜視図、同
図(b)は磁石ユニット31の平面図、同図(c)は同
図(b)の磁石ユニット31のA−A線矢視断面図であ
る。このように磁石ユニット31は、矩形板状のヨーク
40の上に棒状の中心磁石41と、その周囲に配置され
た矩形リング状の周辺磁石42とからなる。中心磁石4
1と周辺磁石42とはそれぞれ、中心磁石41のヨーク
40と反対側の磁極をS極、周辺磁石42のヨーク40
と反対側の磁極をN極としてヨーク40に固定されてい
る。この磁極配置によって、同図(c)に示すように周
辺磁石42から中心磁石41に向かって磁力線43が形
成される。
【0033】上記磁石組立体33の揺動機構は、図2に
示すように、モータ34、かさ歯車35・35、ボール
ネジ36、ボールナット37、および支持体38・38
からなる。ボールナット37は磁石組立体33の磁石保
持板32に固定されており、モータ34の動力がかさ歯
車35・35およびボールネジ36を介して伝達される
と、磁石組立体33はターゲット14・15の裏面側で
これらと平行に移動する。そして、ターゲット14を用
いた成膜時にはターゲット14の裏面のターゲット幅に
相当する領域R1で、またターゲット15を用いた成膜
時にはターゲット15の裏面のターゲット幅に相当する
領域R2で往復移動(揺動)するようにモータ34の回
転量および回転方向が制御される。よって、一方のター
ゲットで成膜が行われているときには、他方のターゲッ
トでは成膜が行われないようになっている。
【0034】領域R1・R2のそれぞれの両端には図示
しない検出センサが設けられており、磁石組立体33が
一方の検出センサを通過するとモータ34の回転方向を
反転させ、磁石組立体33の移動方向を反転させる。こ
れにより、磁石組立体33は領域R1・R2のそれぞれ
の範囲内で往復移動する。磁石組立体33を領域R1・
R2の範囲で往復移動させる別の方法として、ボールネ
ジ36の回転数から磁石組立体33の位置を検出し、磁
石組立体33が領域R1・R2のそれぞれの両端を通過
したときにモータ34の回転方向を反転させる方法もあ
る。なお、磁石組立体33を領域R1・R2のいずれの
領域に移動させるかについては、トレイ16あるいは基
板17の位置を検出してこれに連動させることにより決
定することができる。
【0035】次に、図4を用いてプロセスチャンバ2内
の基板搬送機構について説明する。同図はプロセスチャ
ンバ2の鉛直断面図であり、カソード電極11などスパ
ッタリングに関連した部材の図示は省略してある。基板
搬送機構は基板17を鉛直に起立させたまま搬送を行う
縦搬送機構であり、ローラ駆動部51、真空導入部5
2、駆動ローラ53、駆動軸54、およびサイドローラ
55…から構成される。基板17を保持したトレイ16
は水平方向からはサイドローラ55…により、また鉛直
方向からは駆動ローラ53により支持される。大気雰囲
気中のローラ駆動部51からの動力はチャンバ壁2bに
設けられた真空導入部52を介して駆動軸54に伝達さ
れる。駆動軸54と一体の駆動ローラ53が回転するこ
とによって、トレイ16は縦置き状態で紙面に垂直な方
向に移動する。トレイ16の位置は図示しない位置検出
センサで検出され、トレイ16が所定の位置に達すると
ローラ駆動部51による駆動が停止して位置決めされる
ようになっている。
【0036】以上の構成のマグネトロンスパッタ装置1
を用いた多層膜の成膜手順について以下に説明する。ま
ず、大気中で基板17をトレイ16に装着する。そして
排気口5を閉じてリークバルブ9を開け、ロードロック
室3を大気圧に戻してからゲートバルブ7を開けてトレ
イ16を基板17とともにロードロック室3に導入し、
再びゲートバルブ7を閉じた後に排気口5からロードロ
ック室3内を排気する。ロードロック室3が所定の真空
度に達するとゲートバルブ6を開けてトレイ16をプロ
セスチャンバ2に搬送する。
【0037】プロセスチャンバ2内は常に真空に保たれ
ており、図4の基板搬送機構によりまずトレイ16を基
板17がターゲット14と対向する成膜位置となるよう
に移動させて静止させる。次いでその環境下で基板17
をヒータ18により加熱した後、ベントバルブ8からプ
ラズマ源となるガスを所定流量で流し、スパッタ電源1
0によりカソード電極11を介してバッキングプレート
12にのみ選択的に電圧を印加する。すると、ターゲッ
ト14の表面上に複数の(磁石ユニット31の数だけ)
環状のプラズマが集中して発生し、プラズマによりター
ゲット14からその材質の粒子がスパッタリングされて
飛散し、基板17の表面に付着・堆積して薄膜が形成さ
れる。
【0038】このとき、磁石組立体33が停止している
とターゲット14の同じ場所のみが消費されるため、タ
ーゲット14の表面に凹凸が発生し、ターゲット14が
効率よく消費されない。そこで、ターゲット14の全面
を均一に消費して使用効率を上げるため、バッキングプ
レート12への電圧印加と同時に、図2の揺動機構のモ
ータ34を駆動して、バッキングプレート12の裏面側
の領域R1で磁石組立体33を往復移動させる。前述し
たように磁石組立体33の幅はターゲット14の幅より
も短く設定されているので、環状のプラズマが時間平均
でターゲット14の全面に行き渡るよう、磁石組立体3
3の往復移動幅を設定する。これにより、形成される薄
膜の膜厚分布および膜質分布も向上する。
【0039】この間、バッキングプレート13には電圧
が印加されておらず、またバッキングプレート13の裏
面側に磁石組立体33が存在しないため、ターゲット1
5では放電が起こらない。磁石組立体33を領域R1の
範囲で往復移動させながら基板17上にターゲット14
の材質の薄膜を成膜してゆき、その薄膜の膜厚が所定値
に達した時点で放電を停止させることで、1層目の成膜
が完了する。
【0040】次に、基板搬送機構によりトレイ16を基
板17がターゲット15と対向する成膜位置となるまで
移動させて静止させる。このとき、モータ34を駆動し
て磁石組立体33を領域R1から領域R2へ移動させ
る。そして先程と同様にスパッタ電源10によりカソー
ド電極11を介してバッキングプレート13にのみ選択
的に電圧を印加すると同時に、磁石組立体33を領域R
2で往復移動させる。これによりプラズマが発生し、タ
ーゲット15からその材質の粒子が飛散し、基板17の
先に成膜したターゲット14の材質の薄膜上に付着・堆
積する。その薄膜の膜厚が所定値に達した時点で放電を
停止させることで2層目の成膜が完了する。2層目の成
膜中はターゲット14では放電が起こらない。以上のよ
うな動作により、基板17上に、下層がターゲット14
の材質、上層がターゲット15の材質からなる2層の積
層薄膜を形成する。
【0041】積層膜の成膜終了後、ベントバルブ8を閉
じてプロセスチャンバ2内が所定の真空度になるのを待
ち、搬入時と逆の手順でトレイ16を基板17とともに
プロセスチャンバ2からロードロック室3へ搬送し、さ
らにロードロック室3から大気環境下へと搬出する。
【0042】なお、上述したマグネトロンスパッタ装置
1を初め、同じ真空チャンバ内で複数の異なる材質の成
膜を行うようにしたマグネトロンスパッタ装置では、同
時に異なる材質の成膜を行わないので、異なる材質のタ
ーゲットが同時にスパッタされることはない。そして、
前述のようなターゲット配置により、各ターゲットは他
のターゲットからのスパッタ粒子の飛跡から外れた位置
に設けられていることになるので、成膜中のターゲット
の材質の粒子が成膜を行っていないターゲットを汚染す
る量は極めて微量である。従って、汚染された側のター
ゲットでの成膜時における膜の純度低下は実用上問題と
ならない。
【0043】また、成膜に用いていないターゲットを汚
染しないように防着板やマスクなどを設けることによっ
て、膜の純度低下をほぼ完全に抑制することもできる。
仮にターゲット表面に汚染粒子が付着していても、成膜
の最初の段階でこの汚染粒子がスパッタされるので、膜
質に与える影響は小さい。特に、このマグネトロンスパ
ッタ装置を液晶表示装置の配線積層膜の成膜に使用する
場合は、その配線の線幅を考慮すると膜質への影響はま
ず問題とならないので、他の用途のスパッタに使用する
よりも好適である。
【0044】以上のように、本実施の形態のマグネトロ
ンスパッタ装置1によれば、成膜を行う真空チャンバ
(プロセスチャンバ2)内には種類の異なる複数個のタ
ーゲット14・15が共通のカソード電極11上に配置
されており、従来のように1層成膜するごとに搬送室に
基板17を退避させるといった非効率的な作業を行うこ
となく、基板17上に多層膜成膜を行うことができる。
従って、このように一つの真空チャンバ内で異なる膜を
連続的に形成することにより、多層膜の高品質化とその
成膜時間の短縮とを図ることができるとともに、スパッ
タ電源やカソード電極、成膜室などの数削減、およびそ
れに付随する真空排気系や基板搬送系などの簡略化によ
り、装置の小型化および低価格化が可能になる。これに
よりメンテナンス性も当然向上する。
【0045】また、ターゲット14・15の両方に個別
の磁石組立体33が設けられているのではなく、一つの
磁石組立体33がそれと組をなす揺動機構とともにター
ゲット14・15に共有されている。従って、磁石組立
体33および揺動機構の数が抑えられる分、装置構成を
簡略化して低価格化することができる。この場合はター
ゲットが2個であるが、一般に複数のターゲットを有す
る場合にも、少なくとも一つの磁場発生手段がそれと組
をなす揺動手段によって2個以上のターゲットの裏面側
に移動可能となるよう、すなわちこれらターゲットに共
有されるように設けられていれば、上記と同様の効果が
得られる。また、一つのターゲットの裏面側では磁場発
生手段を往復移動させてターゲットを全面で均一に消費
するので、形成される膜の膜厚分布および膜質分布が均
一になるとともに、ターゲットの利用効率が向上する。
【0046】さらに、基板搬送機構により基板17を縦
搬送すること、およびターゲット14・15を縦置きに
することから、搬送中および成膜中に基板17の表面に
ダストが落下することがなく良好な膜が得られるととも
に、前述の特徴と合わせると縦搬送・縦置きにも関わら
ず従来より装置を小型化することができる。
【0047】このように、本実施の形態のマグネトロン
スパッタ装置1によれば、生産効率の向上、膜の高品質
化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の
向上が同時に可能になる。
【0048】〔実施の形態2〕本発明のマグネトロンス
パッタ装置の他の実施の形態について図5を用いて説明
すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1で述
べたマグネトロンスパッタ装置1と同一の機能を有する
構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略
する。
【0049】図5は、本実施の形態のマグネトロンスパ
ッタ装置61の構成を示す水平断面図である。実施の形
態1と異なるのは、プロセスチャンバ全体がターゲット
ごとにゲートバルブで連通および遮断が可能な複数の成
膜室に仕切られていることである。同図では、ターゲッ
ト14が配置されたプロセスチャンバ(成膜室)62
と、ターゲット15が配置されたプロセスチャンバ(成
膜室)63とがゲートバルブ70で仕切られている。そ
れに伴い、プロセスチャンバ62・63にはそれぞれ真
空排気が行われる排気口64・65、プラズマ源となる
ガスを導入するベントバルブ66・67、および基板1
7を加熱するヒータ68・69が設けられている。
【0050】一方、カソード電極11は実施の形態1と
同様にターゲット14・15の両方に共通であり、その
内部構成も図2と同様である。従って、実施の形態1と
比較して成膜室の数は増加するが、従来設けられていた
搬送室が省略されて複数の成膜室が直線的に連続して配
置される上、スパッタ電源10およびカソード電極11
の数が従来より減少するとともに、付随する基板搬送系
が簡略化されるので、装置の小型化・低価格化を図るこ
とができる。これにより、メンテナンス性も当然向上す
る。
【0051】この場合の多層膜の成膜手順について説明
する。まず、実施の形態1と同様にして大気側からプロ
セスチャンバ62内の成膜位置に基板17を保持したト
レイ16を搬送した後、ヒータ68で基板17を加熱す
る。次いでベントバルブ66からプラズマ源となるガス
を流し、スパッタ電源10によりカソード電極11を介
してバッキングプレート12にのみ選択的に電圧を印加
してプラズマを発生させる。そして、揺動機構によりバ
ッキングプレート12の裏面側で磁石組立体33を往復
移動させ、スパッタリングによりターゲット14の材質
の薄膜を基板17上に形成する。
【0052】1層目の成膜終了後、プロセスチャンバ6
2内が所定の真空度になるのを待ってゲートバルブ70
を開け、トレイ16をプロセスチャンバ63内の成膜位
置に搬送する。次いでベントバルブ67からプラズマ源
となるガスを流し、スパッタ電源10によりカソード電
極11を介してバッキングプレート13にのみ選択的に
電圧を印加してプラズマを発生させる。そして、揺動機
構によりバッキングプレート13の裏面側で磁石組立体
33を往復移動させ、スパッタリングによりターゲット
15の材質の薄膜を1層目の薄膜上に形成する。こうし
て2層目の成膜を行って積層膜の形成が終了すると、プ
ロセスチャンバ63内が所定の真空度になるのを待って
ゲートバルブ70を開け、トレイ16をプロセスチャン
バ63からプロセスチャンバ62へ搬送し、さらにゲー
トバルブ70を閉じた後にゲートバルブ6を開けてトレ
イをロードロック室3に搬送する。以後、実施の形態1
と同様して基板17を大気側へ搬出する。
【0053】このような成膜方法をとることにより、従
来のように成膜と成膜との間に基板17を逐一搬送室に
退避させる必要がなくなるので、多層膜成膜に要する時
間が短縮され、生産効率が向上する。また、プロセスチ
ャンバ62・63のいずれか一方で成膜を行っている間
はゲートバルブ70が閉じられているので、成膜中のプ
ロセスチャンバから他方のプロセスチャンバへ成膜ガス
が流入せず、一方のプロセスチャンバで飛散したスパッ
タ粒子が他方のプロセスチャンバに混入することもな
い。従って、多層膜を構成する膜ごとの品質を向上させ
ることができる。
【0054】さらに、磁石組立体33がそれと組をなす
揺動機構とともにターゲット14・15に共有されてい
ること、また一般に複数のターゲットを有する場合に少
なくとも一つの磁場発生手段がそれと組をなす揺動手段
によって2個以上のターゲットに共有されることに対す
る効果は実施の形態1と同様である。また、磁石組立体
33の往復移動による効果、および基板17の縦搬送お
よびターゲット14・15の縦置きによる効果も実施の
形態1と同様である。
【0055】このように、本実施の形態のマグネトロン
スパッタ装置61によれば、生産効率の向上、膜の高品
質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性
の向上が同時に可能になる。
【0056】〔実施の形態3〕本発明のマグネトロンス
パッタ装置のさらに他の実施の形態について図6を用い
て説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態
1および2で述べたマグネトロンスパッタ装置1・61
と同一の機能を有する構成要素については同一の符号を
付し、その説明を省略する。
【0057】本実施の形態のマグネトロンスパッタ装置
はカソード電極の構成に特徴があり、その水平断面図を
図6に示す。同図のカソード電極81は磁石組立体33
がターゲット14・15のそれぞれの表面との距離を変
化させることができるものであり、実施の形態1および
2のカソード電極11の揺動機構において支持体38・
38の代りに距離調整機構(距離調整手段)が設けられ
ている。なお、便宜上、モータ34およびかさ歯車35
については図示を省略してある。
【0058】距離調整機構は、レール82、リニアガイ
ド83、ボールネジ保持部84、ラック85、および駆
動ギア86から構成され、これらの組がボールネジ36
の両端側に1組ずつ設けられている。レール82はカソ
ード本体21のターゲット14・15に垂直な内壁に取
り付けられており、このレール82にリニアガイド83
を介してボールネジ保持部84がレール82上を移動可
能に設けられている。ボールネジ保持部84のレール8
2側と反対側の面にはラック85が固定され、このラッ
ク85に図示しない駆動部に連結された駆動ギア86が
歯合している。ボールネジ保持部84はボールネジ36
を保持しており、駆動ギア86が駆動部からの動力によ
って回転するとその回転方向に合わせて移動し、磁石組
立体33がターゲット14・15に近づいたり遠ざかっ
たりする。
【0059】成膜を繰り返すことによりターゲット14
・15は消費されて次第にその厚みが減少していくの
で、磁石組立体33からターゲット14・15の表面ま
での距離が短くなり、ターゲット14・15の表面での
磁界強度が大きくなっていく。そこで、上記の構成の距
離調整機構を用い、ターゲット14・15の薄化に合わ
せて磁石組立体33とターゲット14・15の表面との
間の距離を一定に保ち、ターゲット14・15の表面で
の磁界強度を所定値に保つ。この場合、ターゲット14
とターゲット15とは材質および消費量が異なることが
一般的であるので、領域R1と領域R2とでそれぞれの
材質および消費量に合わせて独立に距離を調整すること
ができるようになっている。これにより、良好な膜質の
多層膜を得ることができるようになる。
【0060】なお、上記カソード電極81を用いた場合
の多層膜の成膜手順は、実施の形態1あるいは2で述べ
た成膜手順において、磁石組立体33を基板17の成膜
位置に応じて領域R1あるいは領域R2に移動させた際
に上記の距離調整を行う手順が追加されるものとなる他
は同様である。
【0061】このように、カソード電極81を用いた本
実施の形態のマグネトロンスパッタ装置によれば、成膜
に最適な磁界強度がターゲットごとに異なっていても、
一つの磁場発生手段で対応することができる。従って、
多層膜成膜時における前述の生産効率の向上、膜の高品
質化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性
の向上をより確実に図ることができる。
【0062】なお、以上の各実施の形態では、磁石組立
体33をターゲット14・15に対して水平方向に往復
移動させる場合について説明したが、ターゲット14・
15に対して鉛直方向に往復移動させる場合においても
本発明を問題なく適用できることはいうまでもない。
【0063】
【発明の効果】本発明のマグネトロンスパッタ装置は、
以上のように、真空チャンバ内に複数個のターゲットが
設置されるとともに上記ターゲットのそれぞれに共通の
カソード電極によって選択的にスパッタリング用の電圧
が印加され、基板が上記真空チャンバ内で上記ターゲッ
トの各々と対向する位置に移動可能であり、少なくとも
一つの磁場発生手段が一つの揺動手段によって2個以上
の上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられている
構成である。
【0064】それゆえ、複数個のターゲットを膜の種類
に応じて異なる材料のものとし、一つの真空チャンバ内
で異なる膜を連続的に形成することにより、多層膜の高
品質化とその成膜時間の短縮とを図ることができる。さ
らに、スパッタ電源やカソード電極、成膜室などの数削
減、およびそれに付随する真空排気系や基板搬送系など
の簡略化により、装置の小型化および低価格化が可能に
なる。これによりメンテナンス性も当然向上する。
【0065】また、少なくとも一つの磁場発生手段がそ
れと組をなす揺動手段によって2個以上のターゲットの
裏面側に移動可能となるように設けられているので、磁
場発生手段および揺動手段の数が抑えられる分、装置構
成を簡略化して低価格化することができる。また、磁場
発生手段の往復移動によりターゲットを全面で均一に消
費するので、形成される膜の膜厚分布および膜質分布が
均一になるとともに、ターゲットの利用効率が向上す
る。
【0066】以上により、生産効率の向上、膜の高品質
化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の
向上を同時に可能とする多層膜成膜用のマグネトロンス
パッタ装置を提供することができるという効果を奏す
る。
【0067】さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、以上のように、上記真空チャンバが上記ターゲット
が1個ずつ設置された複数の成膜室からなり、各成膜室
は他の成膜室と連通および遮断が可能に設けられている
構成である。
【0068】それゆえ、この構成で多層膜成膜を行う場
合、成膜中の成膜室を他の成膜室と遮断することによ
り、他の成膜室へ成膜ガスが流入したり、飛散したスパ
ッタ粒子が混入したりするのを防止することができる。
従って、前記の発明の効果に加えて、さらに多層膜を構
成する膜ごとの品質を向上させることが可能になるとい
う効果を奏する。
【0069】さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、以上のように、上記磁場発生手段と上記揺動手段と
を一組だけ有し、上記磁場発生手段が上記揺動手段によ
って全ての上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けら
れている構成である。
【0070】それゆえ、磁場発生手段を揺動手段によっ
て移動させることにより、全てのターゲットに対してス
パッタリング時に磁場が供給される。このような簡便な
構成とすることにより、基板上に異なる膜を順次形成し
ていく通常の多層膜成膜に対して、生産効率の向上、装
置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の向上を
最大限に図ることができるという効果を奏する。
【0071】さらに本発明のマグネトロンスパッタ装置
は、以上のように、上記磁場発生手段と上記ターゲット
の表面との間の距離を調整する距離調整手段を有する構
成である。
【0072】それゆえ、ターゲットの消費による厚みの
変化が起こってもターゲット表面の磁界強度を一定に保
つことができる。また、ターゲットの材質の相違により
成膜に最適なターゲット表面の磁界強度が異なっていて
も、ターゲットごとに距離を調整すればよいので、一つ
の磁場発生手段で対応することができる。従って、多層
膜成膜時における前述の生産効率の向上、膜の高品質
化、装置の小型化・低価格化、およびメンテナンス性の
向上をより確実に図ることができるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態におけるマグネトロンス
パッタ装置の構成を示す水平断面図である。
【図2】図1のマグネトロンスパッタ装置におけるカソ
ード電極の構成を示す水平断面図である。
【図3】図2のカソード電極における磁石ユニットの構
成を示し、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は
(b)のA−A線矢視断面図である。
【図4】図1のマグネトロンスパッタ装置における基板
搬送機構の構成を示す鉛直断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態におけるマグネトロン
スパッタ装置の構成を示す水平断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施の形態におけるマグネ
トロンスパッタ装置のカソード電極の構成を示す水平断
面図である。
【図7】従来のマグネトロンスパッタ装置の構成を示す
水平断面図である。
【符号の説明】
1 マグネトロンスパッタ装置 2 プロセスチャンバ(真空チャンバ) 3 ロードロック室 11 カソード電極 12 バッキングプレート 13 バッキングプレート 14 ターゲット 15 ターゲット 16 トレイ 17 基板 33 磁石組立体(磁場発生手段) 34 モータ(揺動手段) 35 かさ歯車(揺動手段) 36 ボールネジ(揺動手段) 37 ボールナット(揺動手段) 38 支持体(揺動手段) 61 マグネトロンスパッタ装置 62 プロセスチャンバ(成膜室) 63 プロセスチャンバ(成膜室) 70 ゲートバルブ 81 カソード電極 82 レール(距離調整手段) 83 リニアガイド(距離調整手段) 84 ボールネジ保持部(距離調整手段) 85 ラック(距離調整手段) 86 駆動ギア(距離調整手段)
フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 EA02 FA18 FA30 HA02 HA04 MA20 2H092 MA05 MA35 NA30 4K029 BB02 CA05 DA02 DA04 DA08 DC16 DC20 DC21 DC46 HA03 KA01 4M104 DD39

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空チャンバ内に設置された基板にスパッ
    タリングにより形成される薄膜の材料からなるターゲッ
    トと、上記ターゲットにスパッタリング用の電圧を印加
    するカソード電極と、上記ターゲットの裏面側に配置さ
    れるとともに上記真空チャンバ内で発生したプラズマを
    磁場により上記ターゲット表面に集中させる磁場発生手
    段と、スパッタリング中に上記磁場発生手段を上記ター
    ゲットに対して平行に往復移動させる揺動手段とを有す
    るマグネトロンスパッタ装置において、 上記真空チャンバ内に複数個の上記ターゲットが設置さ
    れるとともに上記ターゲットのそれぞれに共通の上記カ
    ソード電極によって選択的にスパッタリング用の電圧が
    印加され、上記基板が上記真空チャンバ内で上記ターゲ
    ットの各々と対向する位置に移動可能であり、少なくと
    も一つの上記磁場発生手段が一つの上記揺動手段によっ
    て2個以上の上記ターゲットの裏面側に移動可能に設け
    られていることを特徴とするマグネトロンスパッタ装
    置。
  2. 【請求項2】上記真空チャンバが上記ターゲットが1個
    ずつ設置された複数の成膜室からなり、各成膜室は他の
    成膜室と連通および遮断が可能に設けられていることを
    特徴とする請求項1に記載のマグネトロンスパッタ装
    置。
  3. 【請求項3】上記磁場発生手段と上記揺動手段とを一組
    だけ有し、上記磁場発生手段が上記揺動手段によって全
    ての上記ターゲットの裏面側に移動可能に設けられてい
    ることを特徴とする請求項1または2に記載のマグネト
    ロンスパッタ装置。
  4. 【請求項4】上記磁場発生手段と上記ターゲットの表面
    との間の距離を調整する距離調整手段を有することを特
    徴とする請求項1ないし3に記載のマグネトロンスパッ
    タ装置。
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