JP2008088509A - 成膜装置及び成膜装置による成膜方法 - Google Patents

成膜装置及び成膜装置による成膜方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被成膜物を移動させることなくそれぞれ異なる膜を異なる外周範囲に多層に成膜
ができる成膜装置及び成膜装置による成膜方法を提供すること
【解決手段】基板Sの表面に成膜する真空成膜装置1に、可動マスク装置9を設けること
によって、可動マスク装置9を構成する可動マスク部10をボールネジ11、ネジ側プー
リ、タイミングベルト13、駆動側プーリを介してステッピングモータMにより移動可能
にした。従って、減圧チャンバー2の外部から、各可動マスク部10の配置位置を変更す
ることができる。その結果、減圧チャンバー2が減圧状態であっても容易に各可動マスク
部10の配置位置を変更することができると共に、各可動マスク部10の配置位置の変更
によって基板S上の外周成膜範囲の変更も容易にできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置及び成膜装置による成膜方法に関する。
成膜対象物、例えばガラス基板等に成膜を行なう場合は、真空成膜装置を用いて蒸着す
る方法、例えば化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)等を用いること
が一般的である。そして、成膜対象物に多層成膜を行なう場合は、一例として成膜対象物
を成膜工程順に並べられた複数の真空成膜装置間を順次移動させて、成膜対象物に順次成
膜する方法が行なわれてきた。
しかし、複数の真空成膜装置を用いて成膜対象物に順次成膜する場合は、成膜対象物を
真空成膜装置から出し入れする度に、個々の真空成膜装置内部の気圧を減圧、もしくは大
気圧へ戻す作業が必要であり、真空成膜装置内部の気圧調整の時間が必要であった。その
結果、1つの成膜対象物に多層膜を形成する作業は非常に時間を要し生産性の向上を図る
上で問題があった。
ところで、真空状態の真空成膜装置内に比べて大気圧である真空成膜装置外の雰囲気は
汚染度が高く、成膜対象物の汚染を避けるために、汚染の可能性の低い真空状態のまま連
続して多層成膜することが望まれていた。
さらに、多層成膜する場合は、膜ごとに成膜範囲を任意に変更したい場合があり、その
場合も、成膜対象物を真空成膜装置間を移動させずに、成膜対象物を単一の真空成膜装置
に載置したままで成膜範囲を変更できる成膜装置や成膜方法が望まれていた。
そこで、単一の真空成膜装置を用いて真空状態を保ったまま成膜対象物に連続して多層
成膜する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の真空基板搬送装置
及び真空基板搬送方法は、複数の成膜電極部、円周上等間隔に複数の第1基板ホルダを備
える第1搬送体、複数の第2基板ホルダを備える第2搬送体を内蔵した真空成膜室を備え
る。又、真空成膜室の下部には、これと連通しかつローラコンベアとターンテーブルから
なるロード室およびアンロード室を備える。さらに、複数の基板を収納した基板ケースか
ら基板授受装置により、第2搬送体を介して第1搬送体に基板を供給して成膜後、成膜基
板を第1搬送体から第2搬送体を介して基板ケースに収納するようになっている。
しかしながら、特許文献1の真空基板搬送装置は、成膜範囲を制限する一つのマスクを
、多層に成膜するすべての膜の成膜に用いており、膜ごとに成膜範囲を変更することはで
きなかった。又、特許文献1の真空基板搬送装置は、光ディスクなどの記録媒体を対象と
しているため、マザー基板、例えば複数の液晶装置やエレクトロルミネッセンス装置など
が作成可能な大型のガラス基板に用いると、成膜装置が大型化する問題があった。
そこで、単一の真空成膜装置を用いて真空状態を保ったまま成膜対象物に成膜する膜の
成膜範囲を変更する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の真空成
膜装置および真空成膜方法は、フレキシブル支持体に薄膜をパターンニングするための真
空成膜装置であり、蒸発源からの蒸発物をフレシキブル支持体の目的の位置に真空成膜す
る際、シャッターを開閉させ、遮蔽部材の開口部を経由する蒸発物の移動を遮断するよう
になっている。
特開平9−111453号公報 特開2003−162999号公報
しかしながら、特許文献2の真空成膜装置は、成膜対象物が移動することにより成膜範
囲が変化するものであって、載置された成膜対象物の成膜範囲を変化させるものではなか
った。詳しくは、蒸発源と成膜対象物の間に開閉可能なマスクを設けて蒸発物質を遮蔽す
るか否かを制御するもので、遮蔽部材は固定であり成膜範囲を任意に変更することはでき
ない。又、多層成膜をする場合には膜ごとに蒸発源、シャッター及び遮蔽部材が必要であ
り、真空成膜装置の大型化も避けられなかった。
本発明の目的は、被成膜物を移動させることなくそれぞれ異なる膜を異なる外周範囲に
多層に成膜ができる成膜装置及び成膜装置による成膜方法を提供することにある。
本発明の成膜装置は、減圧された成膜装置内に載置された被成膜物の表面に、成膜部材
供給手段から供給される成膜部材を堆積させて、被成膜物の表面に前記成膜部材からなる
膜を形成する成膜装置において、前記被成膜物の上方に配置され前記被成膜物の表面と平
行な方向に移動して、前記被成膜物に前記成膜部材が堆積する外周範囲を適宜変更するた
めの可動マスク手段と、前記可動マスク手段を前記平行な方向に移動させる可動マスク移
動手段とを備える。
本発明の成膜装置によれば、被成膜物に成膜部材を堆積させる外周範囲を可動マスク移
動手段により可動マスク手段を移動させることにより適宜変更することができるため、例
えば、被成膜物にそれぞれ成膜範囲の異なる複数の膜を成膜する場合、被成膜物を他の場
所に移すことなく容易にその成膜範囲を変更して成膜することができる。
本発明の成膜装置において、前記可動マスク手段は、前記成膜部材供給手段と前記被成
膜物との間に備えてもよい。
本発明の成膜装置によれば、可動マスク手段、成膜部材供給手段から供給される成膜部
材が被成膜物へ移動する経路上に、可動マスクが配置されることから、可動マスク手段が
被成膜物に成膜部材を堆積する範囲を適宜変更することができる。
本発明の成膜装置において、前記被成膜物と前記可動マスク手段との間には固定した成
膜範囲を規定する固定マスク手段を備えてもよい。
本発明の成膜装置によれば、成膜部材が被成膜物に堆積する成膜範囲を固定マスク手段
又は可動マスク手段のいずれか好適な方に適宜選択することができる。
本発明の成膜装置において、前記被成膜物に前記成膜部材をプラズマ化学気相成長法に
より成膜してもよい。
本発明の成膜装置によれば、被成膜物に成膜部材をプラズマ化学気相成長法によって成
膜される膜は、可動マスク手段によって、適宜の範囲に好適に堆積される。
本発明の成膜装置による成膜方法は、減圧された成膜装置内に載置された被成膜物の表
面に、成膜部材供給手段から供給される成膜部材を堆積させて、前記被成膜物の表面に前
記成膜部材からなる膜を形成する成膜装置による成膜方法であって、前記被成膜物の上方
に配置され前記被成膜物の表面と平行な方向に移動して、前記被成膜物に前記成膜部材が
堆積する外周範囲を適宜変更するための可動マスク手段と、前記可動マスク手段を前記平
行な方向に移動させる可動マスク移動手段とを備え、前記成膜装置内に前記被成膜物を載
置した状態で、前記可動マスク手段を移動させるとともに前記成膜部材供給手段から供給
される前記成膜部材を変更して、前記被成膜物に、それぞれ外周成膜範囲の異なる複数の
膜を成膜する。
本発明の成膜装置による成膜方法によれば、装置内において、成膜部材供給手段から供
給される異なる成膜部材毎に、被成膜物に堆積させる外周範囲を可動マスク移動手段によ
り適宜変更することができることから、被成膜物にそれぞれ外周成膜範囲の異なる複数の
膜を成膜する場合、被成膜物を他の場所に移すことなく、装置内で成膜することができる
本発明の成膜装置による成膜方法において、前記被成膜物は、ガラス基板であり、前記
ガラス基板の所定の範囲には、第1シリコン酸化膜が堆積形成され、その第1シリコン酸
化膜の上側の所定範囲にシリコン膜が成膜されてもよい。
本発明の成膜装置による成膜方法によれば、ガラス基板の上に第1シリコン酸化膜を成
膜し、その第1シリコン酸化膜の上にシリコン膜を成膜することができるので、この成膜
方法を半導体の製造にも用いることができる。
本発明の成膜装置による成膜方法において、前記シリコン膜の成膜範囲は、前記第1シ
リコン酸化膜の成膜範囲の内側であってもよい。
本発明の成膜装置による成膜方法によれば、シリコン膜の成膜範囲は、第1シリコン酸
化膜の成膜範囲の内側であるので、シリコン膜と被成膜物との間には必ず第1シリコン酸
化膜が存在する。従って、第1シリコン酸化膜及びシリコン膜によって成膜された被成膜
物を洗浄する場合に、シリコン膜から見た排水特性を全周に渡って同様にすることができ
て、シリコン膜から見た排水特性の違いによる洗浄液の排水ムラを抑制することができる
本発明の成膜装置による成膜方法において、前記シリコン膜を成膜後、前記被成膜物の
前記第1シリコン酸化膜及び前記シリコン膜の上に、前記シリコン膜が成膜された範囲と
異なる広さの範囲に第2シリコン酸化膜を堆積させてもよい。
本発明の成膜装置による成膜方法によれば、被成膜物に成膜された第1シリコン酸化膜
及びシリコン膜の上にさらに、第2シリコン酸化膜を形成することができる。つまり、本
発明の成膜装置による成膜方法によれば、被成膜物には複数の成膜部材の異なる膜を形成
することができる。
本発明の成膜装置による成膜方法において、前記第2シリコン酸化膜は、前記第1シリ
コン酸化膜及び前記シリコン膜を覆う範囲であってもよい。
本発明の成膜装置による成膜方法によれば、第2シリコン酸化膜は、第1シリコン酸化
膜及びシリコン膜を覆うので、第2シリコン酸化膜で覆われた第1シリコン酸化膜及びシ
リコン膜は、膜剥がれを防止したり、被成膜物を減圧された成膜装置内から取り出した場
合に雰囲気で汚染されることを防止したりすることができる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1は、成膜装置としての真空成膜装置1の断面図である。
真空成膜装置1は、減圧密閉容器である減圧チャンバー2、ステージ3、ガス供給管4
、成膜部材供給手段としてのシャワープレート5、固定マスク装置8、及び、可動マスク
手段及び可動マスク移動手段としての可動マスク装置9を備える。
減圧チャンバー2は、その内部の気圧を外部の気圧より減圧することが可能な金属性の
容器であって、内部には被成膜物としての基板Sを載置固定するステージ3が設けられて
いる。ステージ3は、例えばアルミニウム等の金属製であって、表面が略矩形状をなすと
共に、図示しない支持具により減圧チャンバー2内の底部に対して絶縁固定されている。
減圧チャンバー2の上部には、ガス供給管4が接続されている。ガス供給管4は、その
一端は減圧チャンバー2の内部に突出し、他端は図示しない各種ガスバルブを介して成膜
のためのガス供給タンクと接続されている。そして、ガスバルブを開くことにより、ステ
ージ3に載置した基板Sの表面に第1成膜部材、第2成膜部材もしくは第3成膜部材とし
ての成膜部材による膜を成膜させるための成膜ガスを減圧チャンバー2内に供給するよう
になっている。
減圧チャンバー2内に突出したガス供給管4の一端には、シャワープレート5が連結さ
れている。シャワープレート5は、例えばアルミニウム等の金属製であって、図示しない
支持具により減圧チャンバー2内の天部に絶縁固定されていると共に、図示しない接地線
と接続されている。シャワープレート5は、表面が略矩形形状をなすと共にステージ3に
相対向して設けられている。又、シャワープレート5は、ガス供給管4とは電気的に絶縁
された状態で接続されている。
シャワープレート5は、その内部にガス供給管4と連通するガス導管5aを備え、その
ガス導管5aには、シャワープレート5の表面に向けて細分岐し、シャワープレート5の
表面に等間隔に配置されたガス噴出口5bが設けられている。従って、シャワープレート
5は、ガス供給管4から供給された成膜ガスをシャワープレート5の表面のガス噴出口5
bから減圧チャンバー2内に均等に供給できるようになっている。
シャワープレート5とステージ3は、高周波電源装置、例えば13.56メガヘルツの
周波数である交流電源からの電線が接続されていて、シャワープレート5はプラズマCV
D法によって基板Sに成膜する場合のアノード電極となり、ステージ3はカソード電極と
なっている。
固定マスク装置8は、ステージ3に載置された基板Sの最大の成膜範囲を規制するため
のマスク装置であって、固定マスク支持部8a及び固定マスク手段としての固定マスク部
8bを備える。固定マスク支持部8aは、略矩形状のステージ3の各辺に隣接してそれぞ
れ配置固定されていて、そのステージ3の四方に配置された固定マスク支持部8aは、そ
れぞれ固定マスク部8bを支持している。各固定マスク部8bは、板状の部材であって、
図3(a)に示すように、協働してシャワープレート5側から基板Sを見た場合に、基板
Sの大きさよりも小さな矩形状の空間が開くように構成されている。尚、固定マスク支持
部8aの固定マスク部8bを支持する上面の高さは、ステージ3に基板Sを載置した場合
の高さよりも少し高くなる、例えば0.2〜0.3ミリメートル高くなるように設置され
ている。
可動マスク装置9は、基板Sの成膜範囲を任意に規制するためのマスク装置であって、
可動マスク移動手段を構成する可動マスク手段としての可動マスク部10を備えている。
可動マスク部10は、板状の部材であって、前記各固定マスク部8bに対応して、それぞ
れ各固定マスク部8bの上方位置に、図3(b)に示すように平行に配設されている。そ
して、可動マスク部10のうち、図3(b)に示す、左右方向に配置された可動マスク部
10は、それぞれ左右方向にのみ移動可能に、図示しない減圧チャンバー2内に設けたガ
イド部材にて移動可能に支持されている。又、可動マスク部10のうち、図3(b)に示
す、前後方向に配置された可動マスク部10は、それぞれ前後方向にのみ移動可能に、図
示しない減圧チャンバー2内に設けたガイド部材によって移動可能に支持されている。尚
、図3(b)に示すように、左右方向に配置された可動マスク部10と、前後方向に配置
された可動マスク部10は、それぞれ高さ方向においてずらして配置し、移動時に互いに
衝突しないようにしている。
そして、各可動マスク部10は、それぞれ適宜移動することによって、図3(b)に示
すように、協働してシャワープレート5側から基板Sを見た場合に、基板Sの大きさより
も小さな矩形状の外周範囲を有する矩形状の空間が適宜開くように構成されている。
次に、各可動マスク部10を、移動させる可動マスク移動手段の構成を説明する。尚、
いずれの可動マスク部10を移動させる構成も同じなので、その1つを説明して他の構成
は説明の便宜上省略する。
図2において、図示しないガイド部材にて一方向にのみ往復移動可能に支持された可動
マスク部10は、長手方向に一対の可動マスク移動手段を構成するボールネジ11が螺合
されている。一対のボールネジ11は、図1に示すように、そのネジ部11aが減圧チャ
ンバー2内に配置され可動マスク部10に形成されたネジ穴10aに螺合されていると共
に、軸部11bが減圧チャンバー2の側壁に回転可能に支持され同チャンバー2の外に突
出形成されている。一対のボールネジ11は、同期して同方向に正逆回転するようになっ
ている。従って、一対のボールネジ11は、同期して同方向に正逆回転すると、ガイド部
材にて一方向にのみ往復移動可能に支持された可動マスク部10は、その一方向にのみ往
復移動する。
一対のボールネジ11のネジ部11aには、それぞれ可動マスク移動手段を構成するネ
ジ側プーリ12が連結固定されている。各ネジ側プーリ12は、同じく可動マスク移動手
段を構成するタイミングベルト13を介して、同じく可動マスク移動手段を構成するステ
ッピングモータMの回転軸に固着した同じく可動マスク移動手段を構成する駆動側プーリ
14と駆動連結されている。従って、ステッピングモータMが正逆回転すると、タイミン
グベルト13を介して一対のボールネジ11が同期して同方向に正逆回転し、可動マスク
部10が一方向に往復移動する。
次に、各可動マスク部10を移動制御する真空成膜装置1に設けられた電気的構成を説
明する。
真空成膜装置1には、操作装置20、制御装置21及び駆動装置22を備える。
操作装置20は、各可動マスク部10の配置位置(移動位置)を設定するための装置で
あって、複数の膜を成膜する際に膜毎に可動マスク装置9の各可動マスク部10の配置位
置(移動位置)を制御装置21に設定する。操作装置20が設定するデータは、例えば、
対応する固定マスク部8bの先端位置を基準「0」として、その先端より後方側(以下、
作用側という)をプラス、その先端より前方側(以下、格納側という)をマイナスとして
、例えばミリメートル単位である。
制御装置21は、操作装置20によって設定された成膜する各膜毎の各可動マスク部1
0の配置位置のデータと、各可動マスク部10に対応して設けられた各ステッピングモー
タMに設けられた回転位置検出センサ(図示せず)からの回転位置検出信号を入力する。
制御装置21は、回転位置検出信号に基づいて算出した各可動マスク部10の現在位置と
、データに基づく配置位置(目標位置)とに基づいて、各可動マスク部10の移動方向を
算出する。そして、算出された各可動マスク部10の移動方向に基づいて、制御装置21
は、駆動装置22に各可動マスク部10を移動させるための制御信号を出力する。
詳述すると、制御装置21には、操作装置20によって設定された順番に成膜する膜に
応じてその都度、各可動マスク部10の配置位置のデータが操作装置20から出力される
。そして、制御装置21は、外部からの成膜開始の信号が入力されると、設定されている
最初に成膜する膜に対する各可動マスク部10の配置位置へ各可動マスク部10が移動す
るための制御信号を駆動装置22に出力する。以降、次の膜を成膜する信号が外部から入
力される毎に、設定されている次に成膜する膜に関する各可動マスク部10の配置位置の
データに基づく新たな配置位置へ各可動マスク部10が移動するように駆動装置22に制
御信号を出力するようになっている。
ちなみに、本実施形態では、各可動マスク部10を格納側に移動させる場合はステッピ
ングモータMが正転する制御信号を駆動装置22に出力する。又、各可動マスク部10を
作用側に移動させる場合はステッピングモータMが逆転する制御信号を駆動装置22に出
力するようになっている。
駆動装置22は、制御装置21から入力された制御信号に基づいて各ステッピングモー
タMを正逆回転に駆動する駆動電力を各ステッピングモータMにそれぞれ供給する装置で
ある。駆動装置22には、各ステッピングモータMに駆動電力を供給するための図示しな
い駆動電力供給装置が備えられている。
(薄膜半導体素子基板の成膜方法)
次に、本実施形態の真空成膜装置1を用いた成膜方法について説明する。
いま、図4(a)(b)に示すように、基板Sの表面の所定の範囲に、第1シリコン酸
化膜31を成膜し、その第1シリコン酸化膜31の表面の所定の範囲に、シリコン膜32
を成膜する場合について説明する。基板Sにこれら第1シリコン酸化膜31、シリコン膜
32を順番に成膜した基板を成膜基板S1という。
次に、減圧チャンバー2の図示しない開口部から搬送装置によってガラスよりなる基板
Sを減圧チャンバー2内に移送すると共に、該基板Sをステージ3に載置する。基板Sを
ステージ3に載置した後、固定マスク装置8を所定の位置にセットすると共に、減圧チャ
ンバー2の開口部を密閉する。次に、図示しない真空ポンプにて、減圧チャンバー2の内
部の気圧を、例えばプラズマCVD方による成膜が可能な値まで減圧する。
制御装置21に外部から「成膜開始」の信号が入力されると、制御装置21は、制御装
置21に設定された1層目の配置位置のデータに基づいて、駆動装置22は各ステッピン
グモータMを駆動させて、1層目の第1シリコン酸化膜31を成膜するための配置位置に
各可動マスク部10を移動させる。このとき、基板Sの表面に成膜される第1シリコン酸
化膜31が、基板Sの表面であって、固定マスク装置8の固定マスク部8bで規定される
範囲に形成されるとすると、各可動マスク部10は、データに基づいて図3(b)に示す
ように反矢印方向であって固定マスク部8bが形成する空間を遮らない配置位置に移動す
る。
そして、減圧チャンバー2の気圧が所定の値まで減圧したら、第1シリコン酸化膜31
を成膜するための成膜ガスを、ガス供給管4を介してシャワープレート5から基板Sに向
けて噴出すると共に、高周波電源からカソード電極としてのステージ3に電力を供給する
ことによって、プラズマCVD法による成膜を行う。その結果、基板Sの表面の固定マス
ク部8bに覆われていない部分に第1シリコン酸化膜31が成膜される。
詳述すると、成膜ガスが基板Sへ移動する場合に、固定マスク部8bのある箇所では成
膜ガスの基板S側への移動が阻害される。従って、基板Sの大きさよりも狭い開口部を形
成する固定マスク部8bによって、シャワープレート5から基板Sを見て、固定マスク部
8bの無い部分には第1シリコン酸化膜31が成膜されるが、固定マスク部8bに遮られ
る部分には第1シリコン酸化膜31は成膜されない。その結果、図4に示すように、基板
Sには固定マスク部8bにより制限された成膜範囲である、基板Sより狭い範囲に第1シ
リコン酸化膜31が成膜され、成膜範囲以外の部分では基板Sが露出するようになってい
る。
その後、所定の膜厚まで第1シリコン酸化膜31が成膜されたら、高周波電源からカソ
ード電極への電力の供給を停止すると共に、減圧チャンバー2内の成膜ガスを真空ポンプ
により減圧チャンバー2外へ排出させる。
次に、前記成膜された第1シリコン酸化膜31の上の所定の範囲に、シリコン膜32を
成膜する。本実施形態では、同一の減圧チャンバー2を用いて、減圧チャンバー2が減圧
状態のまま、次のシリコン膜32を成膜する。従って、本実施形態では、シリコン膜32
を成膜するために、基板Sを減圧チャンバー2外に出す必要がないことから、第1シリコ
ン酸化膜31を減圧チャンバー2外の雰囲気に晒すことがない。その結果、前記雰囲気に
含まれる物質によって、第1シリコン酸化膜31の表面が汚染される虞もない。
ところで、シリコン膜32の成膜に、第1シリコン酸化膜31と同様に固定マスク部8
bを用いても、第1シリコン酸化膜31の上にシリコン膜32が成膜される。しかし、現
実には、成膜した膜の端面には微小な凹凸、出入りが生じ、前記端面の微小な状態までを
1層目と2層目で一致させることは容易ではない。又、真空成膜装置1の振動などによっ
て固定マスク部8bと基板Sの位置関係がずれれば、シリコン膜32が第1シリコン酸化
膜31と同一の成膜範囲に成膜されない虞がある。さらに、第1シリコン酸化膜31の成
膜と同じ固定マスク装置8を用いても、成膜条件により、シリコン膜32が第1シリコン
酸化膜31と同一の成膜範囲に成膜されるとは限らない。
従って、シリコン膜32を第1シリコン酸化膜31と同一の固定マスク装置8を用いて
成膜しても、基板Sと、第1シリコン酸化膜31の端部もしくはシリコン膜32の端部と
からなる境界部分が、ある境界部分では第1シリコン酸化膜31よりもシリコン膜32が
はみ出ていたりする虞がある。又、他の境界部分では第1シリコン酸化膜31がシリコン
膜32よりもはみ出ていたりする虞がある。つまり、第1シリコン酸化膜31もシリコン
膜32も同一の固定マスク装置8を用いて成膜しても、基板Sとの境界部分に成膜された
膜の積層構造が不明確となる虞がある。
そこで、本実施形態においては、境界部分の膜の積層構造を明確にするため、固定マス
ク装置8の範囲に第1シリコン酸化膜31を成膜した後、可動マスク装置9の各可動マス
ク部10を移動制御して外周成膜範囲を変更し、シリコン膜32を成膜することにより、
シリコン膜32の成膜範囲を制御する。
詳述すると、第1シリコン酸化膜31の成膜後に、制御装置21に外部から「次の成膜
」の信号が入力されると、制御装置21は、設定された2層目に形成されるシリコン膜3
2の成膜のための各可動マスク部10の配置位置のデータに基づいて各可動マスク部10
が所定の配置位置に延出するように制御信号を算出して、駆動装置22に出力する。駆動
装置22は、それぞれの制御信号に基づいて、各可動マスク部10のステッピングモータ
Mを駆動制御して、各可動マスク部10を所定位置まで延出させる。従って、各可動マス
ク部10は、図3(b)に示すように、矢印の向き、つまり基板Sの中央方向へ移動する
。その結果、2層目であるシリコン膜32を成膜する場合は、シャワープレート5から基
板Sを見た場合に、固定マスク装置8よりも各可動マスク部10が基板S中央に向かって
延出している。
続いて、シリコン膜32を成膜するため成膜ガスを、ガス供給管4を介してシャワープ
レート5から基板Sに向けて噴出すると共に、高周波電源からステージ3に電力を供給す
ることによって、プラズマCVD法による成膜を行う。その結果、基板Sの第1シリコン
酸化膜31の上面であって各可動マスク部10に覆われていない部分にシリコン膜32が
成膜される。
詳述すると、成膜ガスが基板Sへ移動する場合に、シャワープレート5とステージ3の
途中にある各可動マスク部10が成膜ガスの移動を阻害する。従って、固定マスク装置8
よりも開口部の狭い各可動マスク部10によって、シャワープレート5から基板Sを見て
、各可動マスク部10のない部分にはシリコン膜32が成膜されるが、各可動マスク部1
0のある部分にはシリコン膜32は成膜されない。その結果、図4に示すように、基板S
には、各可動マスク部10により制限された成膜範囲である、第1シリコン酸化膜31よ
り狭い範囲にシリコン膜32が成膜され、シリコン膜32と基板Sの間には必ず第1シリ
コン酸化膜31が露出するように成膜することができる。
そして、所定の膜厚までシリコン膜32が成膜されたら、高周波電源からカソード電極
への電力の供給を停止すると共に、減圧チャンバー2内の成膜ガスを真空ポンプにより減
圧チャンバー2外に排出する。
以上の手順によって、基板Sの上面に、第1シリコン酸化膜31を成膜し、さらに前記
第1シリコン酸化膜31の上に前記第1シリコン酸化膜31よりも狭い範囲にシリコン膜
32を成膜した、成膜基板S1を製造することができる。
完成した成膜基板S1は、さらに、成膜基板S1に所定の成膜、パターンニング、エッ
チングを繰り返し施されることによって、最終的には成膜基板S1をベースとして薄膜半
導体素子を備えられた素子基板となる。つまり、成膜基板S1を製造する成膜方法は、薄
膜半導体素子を備えた素子基板の製造におけるひとつの工程である。又、成膜基板S1を
用いて製造される素子基板は電気光学装置、例えば、液晶装置やエレクトロルミネッセン
ス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動表示装置などの素子基板としてとして用い
られる。
本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態によれば、可動マスク装置9を設けることによって、各可動マスク部
10をボールネジ11、ネジ側プーリ12、タイミングベルト13、駆動側プーリ14を
介してステッピングモータMにより移動可能にした。従って、減圧チャンバー2の外部か
ら、各可動マスク部10の配置位置を変更することができる。その結果、減圧チャンバー
2が減圧状態であっても容易に各可動マスク部10の配置位置を変更することができると
共に、各可動マスク部10の配置位置の変更によって外周成膜範囲の変更も容易にできる
(2)本実施形態によれば、減圧チャンバー2が減圧状態であっても容易に各可動マス
ク部10の延出位置を変更することができるため、成膜範囲の変更が容易にできる。従っ
て、成膜範囲を変更するためにマスクサイズを変更するために減圧チャンバー2の気圧を
減圧チャンバー2外の気圧に戻す必要がない。その結果、基板Sへの成膜範囲の変更に伴
って減圧チャンバー2の気圧をその外気圧に戻す必要がなく、減圧チャンバー2外の雰囲
気により基板Sが汚染されることを防ぐことができる。そのため、第1シリコン酸化膜3
1がシリコン膜32成膜前に前記雰囲気によって汚染されることを防ぐことができる。
(3)本実施形態によれば、成膜基板S1は、基板S上面に、第1シリコン酸化膜31
を成膜し、さらに前記第1シリコン酸化膜31の上に前記第1シリコン酸化膜31よりも
狭い範囲にシリコン膜32を成膜する。従って、シリコン膜32の外周には必ず第1シリ
コン酸化膜31が配置される。その結果、製造した成膜基板S1の成膜構成を意図した構
想とすることができ、汚染防止や、後処理等の都合に合わせた成膜構成を容易に製造する
ことができる。
(4)本実施形態によれば、成膜基板S1は、基板S上面に、第1シリコン酸化膜31
を成膜し、さらに前記第1シリコン酸化膜31の上に前記第1シリコン酸化膜31よりも
狭い範囲にシリコン膜32を成膜する。従って、成膜基板S1のシリコン膜32の外周に
は必ず親水性の第1シリコン酸化膜31が配置される。その結果、成膜基板S1のシリコ
ン膜32を洗浄液、例えば純水で洗浄する場合に、シリコン膜32の全周で洗浄液の親水
、撥水特性が同等の特性を発揮するため、成膜基板S1からの洗浄液の排水がムラなく行
うことができる。又、洗浄液によるムラがなくなることによって、製品の歩留まりが改善
される。
(5)本実施形態によれば、減圧チャンバー2が減圧状態のままで、成膜範囲の異なる
第1シリコン酸化膜31とシリコン膜32を成膜した成膜基板S1を製造した。従って、
各膜31,32の成膜範囲を変更するために、基板Sを真空成膜装置1から移動したり、
減圧チャンバー2から出し入れしたりする必要がない。又、減圧チャンバー2内の気圧を
減圧したり、戻したりする必要がない。その結果、成膜基板S1の製造にかかる時間を大
幅に短縮することができる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。尚、第1実施形態に
おいて説明したものと同様の部位には同一の番号を付して重複した説明を省略する。さら
に、本実施形態では、第1実施形態と同一の真空成膜装置1を用いるので、真空成膜装置
1についての説明も省略する。
本実施形態の真空成膜装置1を用いた成膜方法について説明する。
いま、図5(a)(b)に示すように、基板Sの表面の所定の範囲に、第1シリコン酸
化膜31を成膜し、その第1シリコン酸化膜31の表面の所定の範囲に、シリコン膜32
を成膜する。さらに第1シリコン酸化膜31及び前記シリコン膜32をすべて覆う範囲に
第2シリコン酸化膜33を成膜する場合について説明する。基板Sにこれら第1シリコン
酸化膜31、シリコン膜32及び第2シリコン酸化膜33を順番に成膜した基板を成膜基
板S2という。
次に、減圧チャンバー2の図示しない開口部から搬送装置によってガラスよりなる基板
Sを減圧チャンバー2内に移送すると共に、該基板Sをステージ3に載置する。基板Sを
ステージ3に載置した後、固定マスク装置8を所定の位置にセットすると共に、減圧チャ
ンバー2の開口部を密閉する。次に、図示しない真空ポンプにて、減圧チャンバー2の内
部の気圧を、例えばプラズマCVD方による成膜が可能な値まで減圧する。
制御装置21に外部から「成膜開始」の信号が入力されると、制御装置21は、制御装
置21に設定された1層目の配置位置のデータに基づいて、駆動装置22は各ステッピン
グモータMを駆動させて、第1シリコン酸化膜31を成膜するための配置位置に可動マス
ク部10を移動させる。このとき、基板Sの表面に成膜される第1シリコン酸化膜31が
、基板Sの表面であって、固定マスク部8bで規定される範囲よりも狭い範囲に形成され
るとする。その場合、各可動マスク部10は、データに基づいて図3(b)に示すように
矢印方向であって固定マスク部8bが形成する空間よりも各可動マスク部10が基板S中
央に向かって延出する。
そして、減圧チャンバー2の気圧が所定の値まで減圧したら、第1シリコン酸化膜31
を成膜するための成膜ガスを、ガス供給管4を介してシャワープレート5から基板Sに向
けて噴出すると共に、高周波電源からカソード電極としてのステージ3に電力を供給して
、プラズマCVD法による成膜を行う。その結果、基板Sの表面の各可動マスク部10に
覆われていない部分に第1シリコン酸化膜31が成膜される。
その後、所定の膜厚まで第1シリコン酸化膜31が成膜されたら、高周波電源からカソ
ード電極への電力の供給を停止すると共に、減圧チャンバー2内の成膜ガスを真空ポンプ
により減圧チャンバー2外へ排出させる。
詳述すると、成膜ガスが基板Sへ移動する場合に、各可動マスク部10のある箇所では
成膜ガスの基板S側への移動が阻害される。従って、シャワープレート5から基板Sを見
て、各可動マスク部10の無い部分には第1シリコン酸化膜31が成膜されるが、各可動
マスク部10に遮られる部分には第1シリコン酸化膜31は成膜されない。その結果、図
5に示すように、基板Sには各可動マスク部10により制限された成膜範囲である、固定
マスク部8bより狭い範囲に第1シリコン酸化膜31が成膜され、成膜範囲以外の部分で
は基板Sが露出するようになっている。
次に、前記成膜された第1シリコン酸化膜31の上の所定の範囲に、シリコン膜32を
成膜する。本実施形態では、同一の減圧チャンバー2を用いて、減圧チャンバー2が減圧
状態のまま、次のシリコン膜32を成膜する。従って、本実施形態では、シリコン膜32
を成膜するために、基板Sを減圧チャンバー2外に出す必要がないことから、第1シリコ
ン酸化膜31を減圧チャンバー2外の雰囲気に晒すことがない。その結果、前記雰囲気に
含まれる物質によって、第1シリコン酸化膜31の表面が汚染される虞もない。
続いて、第1シリコン酸化膜31の成膜後に、制御装置21に外部から「次の成膜」の
信号が入力されると、制御装置21は、設定された2層目に形成されるシリコン膜32の
成膜のための各可動マスク部10の配置位置のデータに基づいて各可動マスク部10が所
定の配置位置に延出するように制御信号を算出して、駆動装置22に出力する。駆動装置
22は、それぞれの制御信号に基づいて、各可動マスク部10のステッピングモータMを
駆動制御して、各可動マスク部10を所定位置まで延出させる。従って、各可動マスク部
10は、図3(b)に示す矢印の向き、つまり基板Sの中央方向へさらに移動する。その
結果、2層目であるシリコン膜32を成膜する場合は、シャワープレート5から基板Sを
見た場合に、第1シリコン酸化膜31よりも各可動マスク部10が基板S中央に向かって
延出する。
その後、シリコン膜32を成膜するため成膜ガスを、ガス供給管4を介してシャワープ
レート5から基板Sに向けて噴出すると共に、高周波電源からステージ3に電力を供給す
ることによって、プラズマCVD法による成膜を行う。その結果、基板Sの第1シリコン
酸化膜31の上面であって各可動マスク部10に覆われていない部分にシリコン膜32が
成膜される。
詳述すると、成膜ガスが基板Sへ移動する場合に、シャワープレート5とステージ3の
途中にある各可動マスク部10が成膜ガスの移動を阻害する。従って、第1シリコン酸化
膜31より開口部の狭い各可動マスク部10によって、シャワープレート5から基板Sを
見て、各可動マスク部10のない部分にはシリコン膜32が成膜されるが、各可動マスク
部10のある部分にはシリコン膜32は成膜されない。その結果、図5に示すように、基
板Sには、各可動マスク部10により制限された成膜範囲である、第1シリコン酸化膜3
1より狭い範囲にシリコン膜32が成膜され、シリコン膜32と基板Sの間には必ず第1
シリコン酸化膜31が露出するように成膜することができる。
そして、所定の膜厚までシリコン膜32が成膜されたら、高周波電源からカソード電極
への電力の供給を停止すると共に、減圧チャンバー2内の成膜ガスを真空ポンプにより減
圧チャンバー2外に排出する。この後、第2シリコン酸化膜33を成膜するので、このま
ま減圧チャンバー2の減圧状態は維持する。
シリコン膜32の成膜後に、制御装置21に外部から「次の成膜」の信号が入力される
と、制御装置21に設定された3層目の配置位置のデータに基づいて、駆動装置22は各
ステッピングモータMを駆動させて、第2シリコン酸化膜33を成膜するための配置位置
に可動マスク部10を移動させる。このとき、基板Sの表面に成膜される第2シリコン酸
化膜33が、基板Sの表面であって、固定マスク装置8の固定マスク部8bで規定される
範囲に形成されるとすると、各可動マスク部10は、データに基づいて図3(b)に示す
ように反矢印方向であって固定マスク部8bが形成する空間を遮らない配置位置に移動す
る。
続いて、第2シリコン酸化膜33を成膜するため成膜ガスを、ガス供給管4を介してシ
ャワープレート5から基板Sに向けて噴出すると共に、高周波電源からステージ3に電力
を供給することによって、プラズマCVD法による成膜を行う。その結果、基板Sの第1
シリコン酸化膜31及びシリコン膜32の上面であって固定マスク部8bに覆われていな
い部分に第2シリコン酸化膜33が成膜される。
詳述すると、成膜ガスが基板Sへ移動する場合に、シャワープレート5とステージ3の
途中にある固定マスク部8bが成膜ガスの移動を阻害する。従って、シャワープレート5
から基板Sを見て、固定マスク部8bのない部分には第2シリコン酸化膜33が成膜され
るが、固定マスク部8bのある部分には第2シリコン酸化膜33は成膜されない。その結
果、図5に示すように、基板Sには、固定マスク部8bにより制限された成膜範囲である
、第1シリコン酸化膜31及びシリコン膜32よりも広い範囲に第2シリコン酸化膜33
が成膜され、第1シリコン酸化膜31及びシリコン膜32は必ず第2シリコン酸化膜33
に覆われているように成膜することができる。
そして、所定の膜厚まで第2シリコン酸化膜33が成膜されたら、高周波電源からカソ
ード電極への電力の供給を停止すると共に、減圧チャンバー2内の成膜ガスを真空ポンプ
により減圧チャンバー2外に排出する。
以上の手順によって、基板Sの上面に、第1シリコン酸化膜31を成膜し、さらに前記
第1シリコン酸化膜31の上に前記第1シリコン酸化膜31よりも狭い範囲にシリコン膜
32を成膜し、さらに第1シリコン酸化膜31及びシリコン膜32を完全に覆うように第
2シリコン酸化膜33を成膜した、成膜基板S2を製造することができる。
完成した成膜基板S2は、さらに、成膜基板S2に所定の成膜、パターンニング、エッ
チングを繰り返し施されることによって、最終的には成膜基板S2をベースとして薄膜半
導体素子を備えられた素子基板となる。つまり、成膜基板S2を製造する成膜方法は、薄
膜半導体素子を備えた素子基板の製造におけるひとつの工程である。又、成膜基板S2を
用いて製造される素子基板は電気光学装置、例えば、液晶装置やエレクトロルミネッセン
ス装置、プラズマディスプレイ装置、電気泳動表示装置などの素子基板としてとして用い
られる。
本実施形態によれば、前記第1実施形態の効果に加えて以下のような効果を得ることが
できる。
(1)本実施形態によれば、減圧チャンバー2内の減圧状態を保ったまま、基板S上面
に、第1シリコン酸化膜31を成膜し、さらにシリコン膜32を成膜し、最後に第1シリ
コン酸化膜31及びシリコン膜32を完全に覆うように第2シリコン酸化膜33を成膜す
る。従って、第2シリコン酸化膜33を成膜する前に、第1シリコン酸化膜31やシリコ
ン膜32が減圧チャンバー2外の雰囲気に接触して汚染されることを防ぐことができる。
その結果、第1シリコン酸化膜31やシリコン膜32が汚染や変質、剥がれる等の不良を
防止することができて、製品の歩留まりが改善される。
(2)本実施形態によれば、成膜基板S2は、基板S上面に、第1シリコン酸化膜31
を成膜し、さらに前記第1シリコン酸化膜31の上に前記第1シリコン酸化膜31よりも
狭い範囲にシリコン膜32を成膜する。さらに、第1シリコン酸化膜31及びシリコン膜
32を完全に覆うように第2シリコン酸化膜33を成膜する。その結果、第1シリコン酸
化膜31及びシリコン膜32は薄膜半導体を製造中に不必要な雰囲気や洗浄液等との接触
を防ぐことによって、第1シリコン酸化膜31及びシリコン膜32の汚染や変質を防ぐこ
とができる。その結果、第1シリコン酸化膜31やシリコン膜32が汚染や変質により剥
がれる等の不良を防止することができて、製品の歩留まりが改善される。
(3)本実施形態によれば、減圧チャンバー2が減圧状態のままで、成膜範囲の異なる
第1シリコン酸化膜31、シリコン膜32及び第2シリコン酸化膜33を成膜した成膜基
板S2を製造した。従って、各膜31,32,33の成膜範囲を変更するために、基板S
を真空成膜装置1から移動したり、減圧チャンバー2から出し入れしたりする必要がない
。又、減圧チャンバー2内の気圧を減圧したり、戻したりする必要がない。その結果、成
膜基板S2の製造にかかる時間を大幅に短縮することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1実施形態では、第1シリコン酸化膜31とシリコン膜32を成膜した。さらに、
第2実施形態では、第2シリコン酸化膜33も成膜した。しかしこれに限らず、各膜はど
のような部材で成膜されても良い。例えば、第1及び第2シリコン酸化膜31,33は、
酸化珪素窒素膜等の絶縁膜やアモルファスシリコン等の半導体膜としても良い。又、シリ
コン膜32は、珪素膜としても良い。そうすれば、各膜31,32,33の境界面構造は
膜の周囲全範囲に同一構造となり、どこの前記境界面においても洗浄液の親水、撥水特性
が同等の特性を発揮するため、多層成膜された基板を、洗浄液の排水ムラのない好適な洗
浄をすることができる。
・第1実施形態では、第1シリコン酸化膜31とシリコン膜32を成膜した。さらに、
第2実施形態では、第2シリコン酸化膜33も成膜した。しかしこれに限らず、各膜はど
のような部材で成膜されても良い。そうすれば、様々な成膜部材によって多層成膜をして
も、各成膜層間の成膜構造を意図した構成することができる。
・第1実施形態及び第2実施形態では、真空成膜装置1は、例えばプラズマCVD法に
よって成膜する。しかしこれに限らず、真空成膜装置1は、基板Sに可動マスク装置9の
可動マスク部10より離れた位置から直線的に成膜部材を供給して、基板Sに成膜部材を
堆積させて成膜する方法、例えばスパッタリング法を用いる成膜装置であればどのような
成膜装置でも良い。そうすれば、種々の成膜装置に可動マスク装置9を用いることができ
る。
・第1実施形態及び第2実施形態では、可動マスク装置9の各可動マスク部10は各可
動マスク部10を格納側と作用側に移動可能にするための二つのボールネジ11を備えた
。しかしこれに限らず、ボールネジ11はいくつでもよい。そうすれば、種々の成膜装置
にその成膜装置に好適な可動マスク装置9を備えることができる。
・第1実施形態及び第2実施形態では、固定マスク装置8を設けた。しかしこれに限ら
ず、固定マスク装置8は無くても良い。固定マスク装置8が無い場合は、固定マスク装置
8が規制する成膜範囲を各可動マスク部10で規制するように、操作装置20で成膜範囲
を設定すればよい。
第1実施形態における真空成膜装置の断面図。 第1実施形態における可動マスク装置の斜視図。 (a)(b)第1実施形態における固定マスクと可動マスクの説明図。 (a)(b)第1実施形態における2層成膜時の平面図とA−A線に沿った断面図。 (a)(b)第2実施形態における3層成膜時の平面図とB−B線に沿った断面図。
符号の説明
M…モータ、S…基板、1…真空成膜装置、2…減圧チャンバー、3…ステージ、4…ガ
ス供給管、5…シャワープレート、8…固定マスク装置、8a…固定マスク支持部、8b
…固定マスク部、9…可動マスク装置、10…可動マスク部、11…ボールネジ、12…
ネジ側プーリ、13…タイミングベルト、14…駆動側プーリ。

Claims (9)

  1. 減圧された成膜装置内に載置された被成膜物の表面に、成膜部材供給手段から供給される
    成膜部材を堆積させて、前記被成膜物の表面に前記成膜部材からなる膜を形成する成膜装
    置において、
    前記被成膜物の上方に配置され前記被成膜物の表面と平行な方向に移動して、前記被成
    膜物に前記成膜部材が堆積する外周範囲を適宜変更するための可動マスク手段と、
    前記可動マスク手段を前記平行な方向に移動させる可動マスク移動手段と、
    を備えることを特徴とする成膜装置。
  2. 請求項1に記載の成膜装置において、
    前記可動マスク手段は、前記成膜部材供給手段と前記被成膜物との間に備えることを特
    徴とする成膜装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の成膜装置において、
    前記被成膜物と前記可動マスク手段との間には固定した成膜範囲を規定する固定マスク
    手段を備えることを特徴とする成膜装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の成膜装置において、
    前記成膜装置は、前記被成膜物に前記成膜部材をプラズマ化学気相成長法により成膜す
    ることを特徴とする成膜装置。
  5. 減圧された成膜装置内に載置された被成膜物の表面に、成膜部材供給手段から供給される
    成膜部材を堆積させて、前記被成膜物の表面に前記成膜部材からなる膜を形成する成膜装
    置による成膜方法であって、
    前記被成膜物の上方に配置され前記被成膜物の表面と平行な方向に移動して、前記被成
    膜物に前記成膜部材が堆積する外周範囲を適宜変更するための可動マスク手段と、前記可
    動マスク手段を前記平行な方向に移動させる可動マスク移動手段とを備え、
    前記成膜装置内に前記被成膜物を載置した状態で、前記可動マスク手段を移動させると
    ともに前記成膜部材供給手段から供給される前記成膜部材を変更して、前記被成膜物に、
    それぞれ外周成膜範囲の異なる複数の膜を成膜することを特徴とする成膜装置による成膜
    方法。
  6. 請求項5に記載の成膜装置による成膜方法において、
    前記被成膜物は、ガラス基板であり、前記ガラス基板の所定の範囲には、第1シリコン
    酸化膜が堆積形成され、その第1シリコン酸化膜の上側の所定範囲にシリコン膜が成膜さ
    れることを特徴とする成膜装置による成膜方法。
  7. 請求項6に記載の成膜装置による成膜方法において、
    前記シリコン膜の成膜範囲は、前記第1シリコン酸化膜の成膜範囲の内側であることを
    特徴とする成膜装置による成膜方法。
  8. 請求項7に記載の成膜装置による成膜方法において、
    前記シリコン膜を成膜後、
    前記被成膜物の前記第1シリコン酸化膜及び前記シリコン膜の上に、前記シリコン膜が
    成膜された範囲と異なる広さの範囲に第2シリコン酸化膜を堆積させたことを特徴とする
    成膜装置による成膜方法。
  9. 請求項8に記載の成膜装置による成膜方法において、
    前記第2シリコン酸化膜は、前記第1シリコン酸化膜及び前記シリコン膜を覆う範囲で
    あることを特徴とする成膜装置による成膜方法。
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