JP2001026497A - 単結晶性薄膜の製造方法および成膜装置 - Google Patents

単結晶性薄膜の製造方法および成膜装置

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JP2001026497A
JP2001026497A JP11202508A JP20250899A JP2001026497A JP 2001026497 A JP2001026497 A JP 2001026497A JP 11202508 A JP11202508 A JP 11202508A JP 20250899 A JP20250899 A JP 20250899A JP 2001026497 A JP2001026497 A JP 2001026497A
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film
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JP11202508A
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English (en)
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Kozo Fujino
剛三 藤野
Shiyuuji Mokura
修司 母倉
Kazuya Daimatsu
一也 大松
Yoshihiro Iwata
良浩 岩田
Shoichi Honjo
昇一 本庄
Ayafumi Sato
礼文 佐藤
Hideo Ishii
英雄 石井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Inc
Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 単結晶性薄膜の生産効率および成膜材料の利
用効率を向上させることが可能な単結晶性薄膜の製造方
法および成膜装置を提供する。 【解決手段】 レーザアブレーション法を用いてターゲ
ット材1表面から成膜材料を飛散させ、その飛散した成
膜材料を基材2a、2b表面上に堆積させることにより
単結晶性薄膜を形成する単結晶性薄膜の製造方法におい
て、ターゲット材1に対向するように第1および第2の
基材2a、2bを配置することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、単結晶性薄膜の
製造方法および成膜装置に関し、より特定的には、多結
晶またはアモルファスの材料、特に金属テープなどの材
料上に、高い単結晶性を有する単結晶性薄膜を形成する
ことが可能な単結晶性薄膜の製造方法およびそれに用い
る成膜装置に関する。なお、本明細書において「単結晶
性」という用語は、特定の方位を有する結晶が優勢であ
る状態を意味し、特定の方位のみからなる単結晶だけで
はなく、方位の異なる結晶が混在する状態において特定
の方位を有する結晶が優勢である結晶性固体も意味する
ものとする。
【0002】
【従来の技術】従来、単結晶に近い結晶構造を有する薄
膜を形成する技術として、形成する薄膜の材料の格子定
数に近い格子定数を有する単結晶基板上に真空蒸着法や
CVD法などを用いて薄膜をエピタキシャル成長させる
技術が知られている。酸化物超電導体の薄膜を形成する
ための技術分野においても、たとえばMgO、SrTi
3、LaAlO3などの単結晶基板上にイットリウム−
バリウム−銅−酸素系超電導体(YBa2Cu37-X
電導体)の単結晶性薄膜をエピタキシャル成長させる技
術が知られている。このような酸化物超電導体の単結晶
性薄膜は、多結晶体であるバルクの酸化物超電導体と比
較した場合、非常に優れた超電導特性を示すことが知ら
れている。そして、この優れた超電導特性を有する酸化
物超電導体の単結晶性薄膜を超電導線材などに適用すべ
く、研究が進められている。
【0003】ここで、上記のような超電導体を超電導線
材の材料として用いる場合には、超電導体の単結晶性薄
膜を形成するための基板として、線材として利用可能な
長尺の基板を準備する必要がある。しかし、このような
長尺の単結晶基板を準備することは極めて困難である。
このため、上記のような超電導体の単結晶性薄膜をその
表面上に形成する基板として、入手可能な多結晶体から
なる基板を用いる必要がある。
【0004】ところが、多結晶体からなる基板の表面上
に一般的な成膜法を用いて超電導体薄膜を形成した場
合、その基板上に形成された超電導体薄膜は、基板の多
結晶性を反映して多結晶性薄膜として成長する。超電導
体の多結晶性薄膜の超電導特性はバルクの超電導体の超
電導特性とほぼ同等である。つまり、超電導体の多結晶
性薄膜の超電導特性は、超電導体の単結晶性薄膜の超電
導特性より劣っている。たとえば、超電導体の多結晶性
薄膜の臨界電流密度は、超電導体の単結晶性薄膜の臨界
電流密度と比較すると1桁から2桁小さくなる。
【0005】このため、超電導体の単結晶性薄膜の優れ
た超電導特性を利用した超電導線材を実現するために
は、多結晶体からなる基板上に単結晶性薄膜を形成する
ための特殊なプロセスを開発する必要があった。このよ
うな特殊なプロセスの一つとして特開平7−29162
6号公報では、レーザアブレーション法において、ター
ゲット材の表面に対して薄膜を形成すべき基板を特定の
角度で傾斜するように配置することにより、多結晶体か
らなる基板上において単結晶性薄膜を形成することが可
能なプロセスが開示されている。この特開平7−291
626号公報に開示されたプロセスによれば、基板とし
て金属などの多結晶性の材料を用いる場合に、基板の表
面に平行な面内に特定の結晶軸が強く配向した単結晶性
薄膜を形成することが可能となる。なお、この手法は一
般的にISD法(Inclined Substrate Deposition法)
と呼ばれている(たとえば“Biaxially Aligned YBCO F
ilm Tapes Fabricated by Inclined Substrate Pulsed
Laser Deposition.”Advancesin Superconductivity X,
p607, Springer(1997)に開示されている)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のISD
法においては、以下に示すような問題があった。以下、
従来のISD法の問題点について図2を参照して説明す
る。図2は、従来の単結晶性薄膜の製造方法を説明する
ための断面模式図である。
【0007】図2を参照して、従来のレーザアブレーシ
ョン法を用いたISD法では、ターゲット材101に対
向するように基板102が配置されている。ターゲット
材101には、レーザ光が照射される。このレーザ光の
照射によりターゲット材101の表面から成膜材料の粒
子が飛散する。この成膜材料の粒子が飛散する領域10
5は、一定の広がり角度を有している。
【0008】基板102は、ターゲット材101の表面
に対して角度(傾斜角θ)をなすように傾斜されて配置
されている。なお、図2においては、ターゲット材10
1の表面の垂直線と基板102の表面とのなす角を傾斜
角θとしている。そして、ターゲット材101の表面か
ら飛散した成膜材料の粒子の一部は基板102の表面に
蒸着する。このようにして、基板102の表面に薄膜が
形成される。
【0009】ここで、図2に示したような従来のISD
法においては、ターゲット材101のレーザ光が照射さ
れる領域(成膜材料の粒子が飛散する領域)の中心線と
基板102の中心とが重なるように、基板102が一つ
だけターゲット材101に対向するように配置されてい
た。これは、このように基板102を配置すれば、基板
102の両端部にける成膜材料の粒子の基板102への
入射角のずれが最も小さくできるためである。この結
果、基板102に形成される薄膜の成膜条件が基板10
2の表面位置によってばらつく程度を最も小さくでき
る。このため、基板102の表面上に単結晶性薄膜を安
定して形成できる。
【0010】しかし、このように基板102を配置した
場合に、図2に示すように成膜材料の粒子が飛散する領
域105のうち、基板102の表面における単結晶性薄
膜の成膜に寄与しない飛散領域104が発生する。つま
り、基板102の表面における成膜に寄与するのは、基
板102正面の飛散領域103に位置する成膜材料の粒
子のみであり、成膜に寄与しない飛散領域104に位置
する成膜材料の粒子は基板102へは到達しない。この
結果、ターゲット材101のうち、基板102の表面に
おける成膜に寄与せず無駄に消費される部分が発生する
ことになり、結果的にターゲット材101の利用効率が
低下していた。このようなターゲット材101の利用効
率の低下は、単結晶性薄膜の製造コスト低減の妨げとな
っていた。
【0011】また、上記のような単結晶性薄膜を利用し
た超電導線材の量産化を考える場合、製造コストを低減
するという観点からこのISD法を用いた成膜工程にお
ける生産性を飛躍的に向上させることが必要になる。し
かし、ISD法において図2に示すように基板102を
一つづつ処理していては、その生産性の向上の程度にも
限界があった。
【0012】この発明は、上記のような課題を解決する
ためなされたものであり、この発明の一つの目的は、飛
散した成膜材料の粒子のうち、成膜に寄与しない粒子の
割合を低減することにより成膜材料の利用効率を向上さ
せ、かつ、成膜工程の生産性を向上させることが可能な
結晶性薄膜の製造方法を提供することである。
【0013】この発明のもう一つの目的は、飛散した成
膜材料の粒子のうち、成膜に寄与しない粒子の割合を低
減することにより成膜材料の利用効率を向上させ、か
つ、成膜工程の生産性を向上させることが可能な成膜装
置を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の1の局面にお
ける単結晶性薄膜の製造方法は、レーザアブレーション
法を用いてターゲット材表面から成膜材料を飛散させ、
その飛散した成膜材料を基材表面上に堆積させることに
より単結晶性薄膜を形成する単結晶性薄膜の製造方法に
おいて、ターゲット材に対向するように第1および第2
の基材を配置することを特徴とする(請求項1)。
【0015】このようにすれば、第1および第2の基材
表面上に同時にレーザアブレーション法を用いて単結晶
性薄膜を形成することができる。この結果、従来のよう
にターゲット材に対向して基材を一つだけ配置した場合
より、単結晶性薄膜の成膜工程の生産性を向上させるこ
とができる。これにより、単結晶性薄膜の製造コストを
低減することができる。
【0016】また、ターゲット材に対向するように第1
および第2の基材を配置するので、第1の基材を一つだ
けターゲット材に対向するように配置して基材表面上に
成膜していた場合にはその成膜に寄与しなかった成膜材
料を、第2の基材表面上における単結晶性薄膜の成膜に
利用することができる。このため、従来成膜に寄与する
ことなく無駄になっていた成膜材料を有効に利用するこ
とができる。この結果、単結晶性薄膜の製造工程におけ
る成膜材料の利用効率を向上させることができる。これ
により、単結晶性薄膜の製造コストをさらに低減するこ
とができる。
【0017】上記1の局面における単結晶性薄膜の製造
方法では、第1および第2の基材の表面がターゲット材
の表面に対して傾斜するように、第1および第2の基材
を配置してもよい(請求項2)。
【0018】この場合、第1および第2の基材をターゲ
ット材に対向するように配置した本発明による単結晶性
薄膜の製造方法において、ISD法を利用できるので、
単結晶性の優れた単結晶性薄膜を容易に得ることができ
る。
【0019】この発明の他の局面における単結晶性薄膜
の製造方法では、ターゲット材表面から成膜材料を飛散
させ、その飛散した成膜材料を基材の表面上に堆積させ
ることにより単結晶性薄膜を形成する単結晶性薄膜の製
造方法において、第1および第2の基材の表面がターゲ
ット材の表面に対して傾斜するように、第1および第2
の基材をターゲット材に対向して配置することを特徴と
する(請求項3)。
【0020】このように、第1および第2の基材をター
ゲット材に対向して配置しているので、第1および第2
の基材の表面上に同時に単結晶性薄膜を形成することが
できる。この結果、単結晶性薄膜の製造工程における生
産性を向上させることができる。これにより、単結晶性
薄膜の製造コストを低減することができる。
【0021】また、ターゲット材に対向するように第1
および第2の基材を配置するので、第1の基材を一つだ
けターゲット材に対向するように配置して基材表面上に
単結晶性薄膜を成膜していた場合にはその成膜に寄与し
なかった成膜材料を、第2の基材表面上における単結晶
性薄膜の成膜に利用することができる。このため、従来
成膜に寄与することなく無駄になっていた成膜材料を有
効に利用することができる。この結果、単結晶性薄膜の
製造工程における成膜材料の利用効率を向上させること
ができる。これにより、単結晶性薄膜の製造コストを低
減することができる。
【0022】上記1の局面または他の局面における単結
晶性薄膜の製造方法では、単結晶性薄膜がイットリア安
定化ジルコニア、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸
化イットリウム、酸化イッテルビウムおよびバリウムジ
ルコニアからなる群から選択される少なくとも1種を含
んでいてもよい(請求項4)。
【0023】この場合、イットリウム−バリウム−銅−
酸素系超電導体などの酸化物超電導体の単結晶性薄膜を
その表面上に形成する基体を容易に得ることができる。
この結果、本発明による単結晶性薄膜の製造方法を酸化
物超電導線材などの製造方法に適用すれば、酸化物超電
導線材の製造工程における生産性を向上させることがで
きる。
【0024】上記1の局面または他の局面における単結
晶性薄膜の製造方法では、単結晶性薄膜の表面上に酸化
物超電導体膜を形成する工程をさらに備えていてもよい
(請求項5)。
【0025】上記1の局面または他の局面における単結
晶性薄膜の製造方法では、酸化物超電導体膜がイットリ
ウム−バリウム−銅−酸素系超電導体またはホルミウム
−バリウム−銅−酸素系超電導体の少なくともいずれか
1種を含んでいてもよい(請求項6)。
【0026】上記1の局面または他の局面における単結
晶性薄膜の製造方法では、ターゲット材表面の成膜材料
が飛散する領域である飛散領域の中心点と第1の基材の
中心とを結んだ線と第1の基材表面とのなす角である第
1の傾斜角が、上記飛散領域の中心点と第2の基材の中
心とを結んだ線と第2の基材表面とのなす角である第2
の傾斜角とほぼ同一であってもよい。
【0027】この場合、ターゲット材の表面に対する第
1および第2の傾斜角をほぼ同一としているので、第1
および第2の基材表面に形成される単結晶性薄膜の成膜
条件を同一にすることができる。この結果、第1および
第2の基材表面に形成される単結晶性薄膜の膜質のばら
つきを低減することができる。
【0028】上記1の局面または他の局面における単結
晶性薄膜の製造方法では、第1および第2の基材が、タ
ーゲット材表面から飛散する成膜材料の飛散領域のほぼ
全面を覆うように配置されていてもよい。
【0029】この場合、飛散した成膜材料のほぼ全てを
基材表面での単結晶性薄膜の成膜に利用することができ
る。
【0030】また、第1および第2の基材の、ターゲッ
ト材と対向する面と逆側に位置する裏面に成膜材料が回
りこむことを防止できる。このため、ターゲット材の裏
面に不要な単結晶性薄膜が形成されることを防止でき
る。
【0031】この発明の別の局面における成膜装置は、
レーザアブレーション法を用いてターゲット材表面から
成膜材料を飛散させ、その飛散した成膜材料を基材表面
上に堆積させることにより薄膜を形成する成膜装置にお
いて、ターゲット材に対向するように第1および第2の
基材を配置する手段を備えることを特徴とする(請求項
7)。
【0032】このため、第1および第2の基材上に同時
に薄膜を形成することができる。この結果、薄膜を形成
する工程の生産性を向上させることができる。
【0033】また、ターゲット材に対向するように第1
および第2の基材を配置するので、第1の基材を一つだ
けターゲット材に対向するように配置して基材表面上に
薄膜を成膜していた場合にはその成膜に寄与しなかった
成膜材料を、第2の基材表面上における薄膜の成膜に利
用することができる。このため、従来成膜に寄与するこ
となく無駄になっていた成膜材料を有効に利用すること
ができる。この結果、薄膜の製造工程における成膜材料
の利用効率を向上させることができる。これにより、薄
膜の製造コストを低減することができる。
【0034】この発明のもう一つの局面における成膜装
置は、ターゲット材表面から成膜材料を飛散させ、その
飛散した成膜材料を基材表面上に堆積させることにより
薄膜を形成する成膜装置において、ターゲット材に対向
するように第1および第2の基材を配置し、ターゲット
材の表面に対して角度をなすように第1および第2の基
材の表面を傾斜させる手段を備えることを特徴とする
(請求項8)。
【0035】このため、第1および第2の基材表面上に
同時に薄膜を形成することができる。この結果、薄膜の
製造効率を向上させることができる。
【0036】また、ターゲット材に対向するように第1
および第2の基材を配置するので、第1の基材を一つだ
けターゲット材に対向するように配置して基材表面上に
薄膜を成膜していた場合にはその成膜に寄与しなかった
成膜材料を、第2の基材表面上における薄膜の成膜に利
用することができる。このため、従来成膜に寄与するこ
となく無駄になっていた成膜材料を有効に利用すること
ができる。この結果、薄膜の製造工程における成膜材料
の利用効率を向上させることができる。これにより、薄
膜の製造コストを低減することができる。
【0037】また、ターゲット材の表面に対して角度を
なすように第1および第2の基材の表面を傾斜させるの
で、多結晶性の材料から第1および第2の基材を構成す
る場合に、この第1および第2の基材表面上に容易に単
結晶性の薄膜を形成することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。
【0039】図1は、本発明による単結晶性薄膜の製造
方法を説明するための成膜装置の断面模式図である。図
1を参照して、単結晶性薄膜の製造方法を説明する。
【0040】図1を参照して、本発明による成膜装置で
は、反応室(図示せず)の内部にターゲット材1と基材
としての基板2a、2bとが配置されている。基板2
a、2bはターゲット材1に対向するように配置されて
いる。なお、ターゲット材1の表面から成膜材料を飛散
させるために物理蒸着法(Physical Vapor Deposition
法)の一種であるレーザアブレーション法を用い、基板
2a、2bはターゲット材1の表面に対して特定の角度
を有するように傾斜して配置されている。(基板2a、
2bの中心とターゲット材1のレーザ光が照射される領
域の中心とを結ぶ直線と、基板2a、2bの表面とのな
す角θを以下傾斜角θと呼ぶ。)このように、基板2
a、2bについての傾斜角θをほぼ同一とすることによ
り、基板2a、2b表面上に形成される単結晶性薄膜の
成膜条件を同一にすることができる。この結果、基板2
a、2b表面上に形成される単結晶性薄膜の膜質のばら
つきを低減することができる。
【0041】基板2a、2bとしては、鏡面研磨を施し
たハステロイからなる基板を用いている。ここで、ハス
テロイとは、コバルト、クロム、モリブデン、タングス
テン、鉄などを主な添加元素とするニッケル基合金であ
る。このハステロイにおける添加元素の含有率として
は、たとえばコバルトが2.5重量%、クロムが15.
5重量%、モリブデンが16重量%、タングステンが4
重量%、鉄が3重量%程度である。また、その他の添加
元素としてシリコン、マンガン、炭素、バナジウム、リ
ンおよび硫黄などが挙げられる。
【0042】また、傾斜角θは135°とした。そし
て、ターゲット材1の材料としてイットリア安定化ジル
コニア(YSZ)を用いて、基板2a、2bの表面上に
YSZ薄膜を形成した。この基板2a、2bをそれぞれ
試料1,2とした。そして、試料1,2に形成されたY
SZ薄膜について、X線極点図測定を用いて<111>
軸についての半値幅を測定した。測定結果を表1に示
す。
【0043】また、上記のようにして形成されたYSZ
薄膜上にレーザアブレーション法を用いてイットリウム
−バリウム−銅−酸素系超電導体(YBa2Cu37-X
超電導体:以下YBCO超電導体と記す)薄膜を形成し
た。そして、試料1、2についてYBCO超電導体薄膜
の臨界電流密度を測定した。これらの測定結果を表1に
示す。
【0044】
【表1】
【0045】なお、YSZ薄膜の半値幅は、その値が小
さいほど配向性が良好であり単結晶性が強いことを示し
ている。
【0046】次に、比較例として図2に示したターゲッ
ト材101と基板102との従来の配置を用い、かつ図
1に示した本発明の実施の形態と同様の条件を用いて基
板102上にYSZ薄膜およびYBCO超電導体薄膜を
形成した。図2における傾斜角θは、図1における基板
2a、2bの傾斜角θと同様に135°とした。そし
て、この基板102を試料3とした。この試料3に形成
されたYSZ薄膜および超電導体薄膜について、試料
1、2と同様に半値幅と臨界電流密度とを測定した。そ
の結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】表1および表2を参照して、本発明による
単結晶性薄膜の製造方法を用いて形成されたYSZ薄膜
の半値幅およびYBCO超電導体薄膜の臨界電流密度
は、ターゲット材101に対して基板102を1枚のみ
対向して配置した従来の単結晶性薄膜の製造方法を用い
て形成されたYSZ薄膜の半値幅および超電導体の臨界
電流密度と同等であることがわかる。つまり、ターゲッ
ト材1に基板2a、2bというように2枚の基板を対向
させて配置した状態で、従来と同等の膜質を有するYS
Z薄膜およびYBCO超電導体薄膜を形成できることが
わかる。
【0049】このように、本発明によれば基板2a、2
bの表面上に同時にレーザアブレーション法を用いて単
結晶性薄膜としてのYSZ薄膜を形成することができ
る。この結果、従来のようにターゲット材1に対して基
板を一つだけ配置した場合より、YSZ薄膜の成膜工程
の生産性を向上させることができる。これにより、YS
Z薄膜の製造コストを低減することができる。
【0050】また、ターゲット材1に対向するように基
板2a、2bを配置するので、図2に示すように基板1
02を一つだけターゲット材101に対向するように配
置してYSZ薄膜を成膜していた場合にはそのYSZ薄
膜の成膜に寄与しなかった飛散領域104に位置する成
膜材料を、基板2a、2b表面上におけるYSZ薄膜の
成膜に利用することができる。このため、従来成膜に寄
与することなく無駄になっていた成膜材料を有効に利用
することができる。この結果、YSZ薄膜の製造工程に
おける成膜材料の利用効率を向上させることができる。
これにより、YSZ薄膜の製造コストを低減することが
できる。
【0051】また、基板2a、2bはターゲット材1の
表面に対して特定の角度を有するように傾斜して配置さ
れているISD法を利用するので、単結晶性の優れたY
SZ薄膜を容易に得ることができる。
【0052】また、単結晶性薄膜としてYSZ薄膜を形
成しているが、このYSZ薄膜はYBCO超電導体と格
子定数のマッチングが良好であるため、YBCO超電導
体薄膜をこのYSZ薄膜上に容易に形成できる。
【0053】なお、レーザアブレーション法において
は、エキシマレーザをレーザ光源として用いてもよい。
このエキシマレーザとしてはKrFエキシマレーザおよ
びArFエキシマレーザを用いてもよい。
【0054】また、本発明の実施の形態においてはイッ
トリア安定化ジルコニア(YSZ)からなる薄膜を形成
しているが、このYSZに代えて酸化セリウム、酸化マ
グネシウム、酸化イットリウム、酸化イッテルビウムお
よびバリウムジルコニアからなる群から選択される1種
を含む薄膜を基板2a、2b上に形成してもよい。この
場合にも、従来のターゲット材に対して基板を1枚だけ
配置した場合と同等の単結晶性を有する薄膜を形成で
き、かつ、これらの薄膜上にYBCO超電導体薄膜を容
易に形成できる。
【0055】また、図1に示した単結晶性薄膜の製造方
法では、基板2a、2bという2つの基板をターゲット
材1に対向するように配置しているが、形成される薄膜
の配向性および成膜速度を十分確保することが可能であ
れば、基板を3つ以上ターゲット材1に対向して配置し
てもよい。
【0056】また、基板2a、2bとしてテープ状基板
を用いてもよい。このようなテープ状基板を用いる場合
には、図1において紙面に対して垂直方向にこのテープ
状基板を移動させながらYSZ薄膜を成膜してもよい。
このようにすれば、テープ状基板上に連続してYSZ薄
膜を成膜することができる。
【0057】また、図2に示したように、従来の単結晶
性薄膜の製造方法では、基板102の裏面側に成膜材料
の粒子が回り込み、基板102の裏面に不要なYSZ膜
が形成される場合があった。しかし、図1に示した本発
明による単結晶性薄膜の製造方法では、基板2a、2b
が成膜材料の粒子が飛散する飛散領域5のほぼ全面をカ
バーするように配置されているので、基板2a、2bの
裏面に成膜材料の粒子が回り込むことを防止できる。こ
の結果、基板2a、2bのターゲット材1に対向する面
とは反対側の面にYSZ膜が形成されることを防止でき
る。
【0058】また、図1では、基板2a、2bを、ター
ゲット材1の表面における成膜材料が飛散する領域の中
心を通り、かつターゲット材1の表面に対して垂直な線
を挟んで対称となるように逆V字状に配置しているが、
基板2a、2bの傾斜方向を揃えた配置(基板2aの傾
斜方向を図1の配置とは逆向きにした配置)としてもよ
い。
【0059】また、図1に示すように、基板2a、2b
のそれぞれの傾斜角θを、ほぼ同一とすることが好まし
い。この場合、基板2a、2bの表面上に形成されるY
SZ薄膜の成膜条件をほぼ同一とすることができる。こ
の結果、基板2a、2bの表面上に形成されるYSZ薄
膜の膜質のばらつきを低減できる。
【0060】また、本発明の実施の形態ではYSZ薄膜
上にYBCO超電導体薄膜を形成しているが、YBCO
超電導体薄膜に代えてホルミウム−バリウム−銅−酸素
系超電導体(HoBa2Cu37-X超電導体)薄膜を形
成してもよい。
【0061】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特
許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の
意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意
図される。
【0062】
【発明の効果】このように、本発明によれば複数の基板
に同時に単結晶性薄膜を形成することができるので、単
結晶性薄膜の製造工程の生産性を向上させることができ
る。また、従来の単結晶性薄膜の製造方法では成膜に寄
与していなかった成膜材料を用いて、第1および第2の
基板上に単結晶性薄膜を形成することができるので、成
膜材料の利用効率を向上させることができる。この結
果、単結晶性薄膜の製造コストを低減することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による単結晶性薄膜の製造方法を説明す
るための成膜装置の断面模式図である。
【図2】従来の単結晶性薄膜の製造方法を説明するため
の断面模式図である。
【符号の説明】
1 ターゲット材 2a,2b 基板 5 成膜材料の粒子が飛散する飛散領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 母倉 修司 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 大松 一也 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 岩田 良浩 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 本庄 昇一 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 佐藤 礼文 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 石井 英雄 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東 京電力株式会社開発計画部内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BC53 DA03 ED06 FB06 HA08 SB05 5G321 AA01 AA04 CA04 CA21 CA24 CA27 CA28 DB38

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザアブレーション法を用いてターゲ
    ット材表面から成膜材料を飛散させ、その飛散した成膜
    材料を基材表面上に堆積させることにより単結晶性薄膜
    を形成する単結晶性薄膜の製造方法において、 前記ターゲット材に対向するように第1および第2の基
    材を配置することを特徴とする、単結晶性薄膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2の基材の表面が前記
    ターゲット材の表面に対して傾斜するように、前記第1
    および第2の基材を配置することを特徴とする、請求項
    1に記載の単結晶性薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 ターゲット材表面から成膜材料を飛散さ
    せ、その飛散した成膜材料を基材表面上に堆積させるこ
    とにより単結晶性薄膜を形成する単結晶性薄膜の製造方
    法において、 第1および第2の基材の表面が前記ターゲット材の表面
    に対して傾斜するように、前記第1および第2の基材を
    前記ターゲット材に対向して配置することを特徴とす
    る、単結晶性薄膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記単結晶性薄膜は、イットリア安定化
    ジルコニア、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化イ
    ットリウム、酸化イッテルビウムおよびバリウムジルコ
    ニアからなる群から選択される少なくとも1種を含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の単結晶性薄膜の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記単結晶性薄膜の表面上に酸化物超電
    導体膜を形成する工程をさらに備える、請求項1〜4の
    いずれか1項に記載の単結晶性薄膜の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記酸化物超電導体膜は、イットリウム
    −バリウム−銅−酸素系超電導体またはホルミウム−バ
    リウム−銅−酸素系超電導体の少なくともいずれか1種
    を含む、請求項5に記載の単結晶性薄膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 レーザアブレーション法を用いてターゲ
    ット材表面から成膜材料を飛散させ、その飛散した成膜
    材料を基材表面上に堆積させることにより薄膜を形成す
    る成膜装置において、 前記ターゲット材に対向するように第1および第2の基
    材を配置する手段を備えることを特徴とする、成膜装
    置。
  8. 【請求項8】 ターゲット材表面から成膜材料を飛散さ
    せ、その飛散した成膜材料を基材表面上に堆積させるこ
    とにより薄膜を形成する成膜装置において、 前記ターゲット材に対向するように第1および第2の基
    材を配置し、前記ターゲット材の表面に対して角度をな
    すように前記第1および第2の基材の表面を傾斜させる
    手段を備えることを特徴とする、成膜装置。
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