JP2001031497A - 超電導部材およびその製造方法 - Google Patents

超電導部材およびその製造方法

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JP2001031497A
JP2001031497A JP11203350A JP20335099A JP2001031497A JP 2001031497 A JP2001031497 A JP 2001031497A JP 11203350 A JP11203350 A JP 11203350A JP 20335099 A JP20335099 A JP 20335099A JP 2001031497 A JP2001031497 A JP 2001031497A
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superconducting
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JP11203350A
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English (en)
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Shiyuuji Mokura
修司 母倉
Kozo Fujino
剛三 藤野
Kazuya Daimatsu
一也 大松
Yoshihiro Iwata
良浩 岩田
Shoichi Honjo
昇一 本庄
Ayafumi Sato
礼文 佐藤
Hideo Ishii
英雄 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Tokyo Electric Power Company Holdings Inc
Original Assignee
Tokyo Electric Power Co Inc
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E40/00Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶配向性に優れた中間層を有し、超電導特
性に優れた超電導部材を提供する。 【解決手段】 超電導部材の製造方法は、基材1の主表
面1aに対してターゲット2の主表面2aが鋭角をなす
ように、基材1から離隔した位置にターゲット2を位置
決めする工程と、ターゲット2を構成する物質を飛散さ
せて、その物質を含む厚さが1μmを超え3μm以下の
中間層を基材1の上に形成する工程と、中間層の上に超
電導層を形成する工程とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、超電導部材およ
びその製造方法に関し、特に、多結晶またはアモルファ
スの材料の上に高い単結晶性を有する中間層を介在させ
て形成された超電導層を有する超電導部材に関するもの
である。この明細書において、「単結晶性」という用語
は、特定の方位を有する結晶が優勢である状態を意味
し、特定の方位のみからなる単結晶だけでなく、方位の
異なる結晶が混在する状態において特定の方位を有する
結晶が優勢である結晶性固体も意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】従来、特定の材料からなる基材上に、別
種の材料からなる単結晶の薄膜を形成したい場合には、
形成すべき薄膜材料に近い格子定数を有する単結晶基板
が一般に用いられている。そして、単結晶基板上に、真
空蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)、レー
ザ蒸着等によって単結晶の薄膜が成長される。この方法
は、ヘテロエピタキシャル成長法としてよく知られてい
る。
【0003】酸化物超電導体の薄膜を形成するための技
術分野でも、酸化物超電導体、特に、単結晶性のイット
リウム系セラミックス超電導体を単結晶基板上にヘテロ
エピタキシャル成長させる技術が知られている。この技
術において、レーザ蒸着法が特に注目され研究されてい
る。たとえば、レーザアブレーション法を用いてMgO
単結晶上に良好な結晶配向性を示すイットリウム系酸化
物超電導層をエピタキシャル成長させる方法が知られて
いる。
【0004】所望の大きさ、形および長さを有する単結
晶性薄膜を経済性よく形成するには、入手が困難な単結
晶基材でなく、入手しやすい多結晶の基材を用いる必要
がある。しかしながら、多結晶の基材の上に特定の結晶
方位が強く配向した膜を形成することは困難である。
【0005】近年、フレキシブルな長尺のテープ基材上
に、酸化物超電導体を形成して超電導線材を製造する試
みがなされている。線材のための基材には、金属が一般
的に用いられ、これは通常多結晶体である。このような
基材上にレーザ蒸着法で酸化物超電導体の薄膜を形成す
る場合に、その薄膜はランダムな方位を有する多結晶か
アモルファスとなることが多い。
【0006】また、薄膜が自然配向を有する場合でも、
薄膜の結晶は基材表面に垂直な方向には配向するが、基
材表面と平行な方向に配向することはほとんどない。
【0007】超電導体に流れる超電導電流は結晶粒界に
よって阻止されるため、結晶面の配向が揃っていない従
来の薄膜では、十分な超電導特性を発揮することができ
なかった。
【0008】このような課題を克服するために、たとえ
ば、特開平7−291626号公報には、基材面をター
ゲット面に対して所定の角度傾けて中間層を形成する、
いわゆるISD(Inclined Substrate Deposition)法
により単結晶性の膜を形成できることがわかっている。
この膜上に超電導体を形成すれば、超電導体の結晶は、
良好な配向性を有する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】近年、超電導体に流す
電流値はさらに大きくなっており、中間層およびその上
に形成された超電導薄膜の結晶のさらなる配向性の向上
が要求されている。しかしながら、従来のISD法で製
造された中間層上の超電導薄膜では、このような要求に
応えることができないという問題があった。
【0010】そこで、この発明は、上述のような問題点
を解決するためになされたものであり、配向性に優れた
超電導層を有する超電導部材を提供することを目的とす
るものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明の1つの局面に
従った超電導部材の製造方法は、基材の主表面に対して
ターゲットの主表面が鋭角をなすように、基材から離隔
した位置にターゲットを位置決めする工程と、ターゲッ
トを構成する物質を飛散させて、その物質を基材の主表
面上に堆積させることにより、厚さが1μmを超え3μ
m以下の中間層を基材の上に形成する工程と、中間層の
上に超電導層を形成する工程とを備える。
【0012】このような工程に従えば、ターゲットは、
基材の主表面に対して傾けて配置される。このターゲッ
トを構成する物質を飛散させて中間層を形成するため、
ターゲットが傾いていない場合に比べて、中間層の配向
性が良好になる。また、その中間層の厚みを適正な範囲
としているため、中間層の配向性がさらに良好になる。
その結果、中間層上に形成される超電導層の配向性も良
好になり、優れた超電導特性を発揮する超電導部材を提
供することができる。
【0013】中間層の厚さを、1μmを超え3μm以下
の範囲としたのは、中間層の厚さが1μm以下または3
μmを超える場合のいずれの場合であっても中間層の配
向性が悪化するからである。
【0014】また、中間層を基材の上に形成する工程
は、ターゲットにレーザを照射してターゲットを構成す
る物質を飛散させることを含むことが好ましい。
【0015】また、中間層を基材の上に形成する工程
は、ターゲットを構成する物質をほぼ鉛直上向きに飛散
させて基材の上に中間層を形成することを含むことが好
ましい。
【0016】また、中間層を形成する工程は、単結晶性
の中間層を形成することを含むことが好ましい。
【0017】また、中間層を形成する工程は、基材の主
表面に対して鋭角をなして基材から超電導層へ向かう方
向に延びる柱状の結晶を有する中間層を形成することを
含むことが好ましい。
【0018】また、ターゲットを位置決めする工程は、
基材の主表面に対してターゲットの主表面が40°以上
70°以下の鋭角をなすように基材から離隔した位置に
ターゲットを位置決めすることを含むことが好ましい。
この場合、ターゲットの主表面と基材の主表面とのなす
角が最適に設定されるため、中間層の結晶配向性がさら
に良好になる。
【0019】また、超電導層を形成する工程は、イット
リウム−バリウム−銅系酸化物超電導層を形成すること
を含むことが好ましい。この場合、特に結晶の配向性に
優れ、好ましい超電導特性を有する超電導部材を提供す
ることができる。
【0020】また、超電導層を形成する工程は、ホルミ
ウム−バリウム−銅系酸化物超電導層を形成することを
含むことが好ましい。この場合、特に結晶の配向性に優
れ、好ましい超電導特性を有する超電導部材を提供する
ことができる。
【0021】この発明の別の局面に従った超電導部材の
製造方法は、基材の主表面に対してターゲットの主表面
が鋭角をなすように、基材から離隔した位置にターゲッ
トを位置決めする工程と、ターゲットを構成する物質を
飛散させて、その物質を前記基材の主表面に堆積させる
ことにより、厚さが0.1μm以上3μm以下の中間層
を基材の上に形成する工程と、中間層の上に超電導層を
形成する工程とを備える。
【0022】また、上述の工程に従って製造された超電
導部材は、主表面を有する基材と、基材の上に形成され
た、厚さが1μmを超え3μm以下の中間層と、中間層
の上に形成された超電導層とを備える。中間層は、基材
の主表面に対して鋭角をなして基材から超電導層へ向か
う方向に延びる柱状の結晶を有している。
【0023】また、薄膜の厚さは1.2μm以上2.0
μm以下であることが好ましい。この場合、さらに好ま
しい超電導特性を発揮することができる。
【0024】また、中間層は単結晶性を有することが好
ましい。さらに、中間層は、イットリア安定化ジルコニ
ア、酸化セリウムおよび酸化マグネシウムからなる群よ
り選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0025】また、基材は多結晶またはアモルファスの
物質を含むことが好ましい。この場合、入手しやすい多
結晶またはアモルファスの基材の上に良好な結晶配向性
を有する中間層および超電導層を形成することができ
る。
【0026】また、超電導層は、イットリウム−バリウ
ム−銅系酸化物超電導層であることが好ましい。
【0027】また、超電導層は、ホルミウム−バリウム
−銅系酸化物超電導層であることが好ましい。
【0028】また、上述の工程に従って製造された超電
導部材は、主表面を有する基材と、基材の上に形成され
た、厚さが0.1μm以上3μm以下の中間層と、中間
層の上に形成された超電導層とを備える。中間層は、基
材の主表面に対して鋭角をなして基材から超電導層へ向
かう方向に延びる柱状の結晶を有している。
【0029】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面に基づ
いて説明する。なお、この明細書において、ミラー指数
の表示は慣例に従っている。ある特定の結晶方位は[h
kl]で表わされる。結晶の対称性によっては[hk
l]で表わされる方位と結晶学的に等価な方位がいくつ
も存在するが、それらを総括して<hkl>で表わす。
【0030】(実施例1)図1は、この発明の実施例1
に従った超電導部材の製造方法を示す図である。図1を
参照して、この発明に従った超電導部材の製造方法で
は、ターゲット2から離隔した位置に基材1が設けられ
る。基材1の主表面1aとターゲット2の主表面2aと
は所定の角度αをなすように、基材1が傾けて位置決め
されている。
【0031】基材1の主表面1aからわずかに離れた部
分にマスク6が設けられている。マスク6は基材1の一
部分を露出させる。ターゲット2にはレーザ光3が照射
される。レーザ光3が照射されたターゲット2の主表面
2aからプルーム4と呼ばれるプラズマが発生してター
ゲット2を構成する物質がほぼ鉛直上方に飛散する。な
お、ターゲット2には、イオンビームは照射されない。
【0032】このような装置を用いて、まず、ターゲッ
ト2としてイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用
いた。次に、基材1として、ハステロイ(コバルトを
2.5重量%含み、クロムを15重量%含み、モリブデ
ンを16重量%含み、タングステンを3.5重量%含
み、鉄を5.0重量%含み、残部の主成分がニッケルで
ある合金)からなるテープを位置決めした。基材1の主
表面1aとターゲット2の主表面2aとのなす角度αは
45°とした。
【0033】次に、ターゲット2にKrFエキシマレー
ザ(波長248nm)を照射した。これより、ターゲッ
ト2の表面からは、YSZを構成する物質により構成さ
れるプルーム4が発生した。このプルーム4が露出した
基材1の主表面1aに蒸着した。同時に、基材1を所定
の速度で図1の紙面と垂直の方向に移動させた。このと
き、基材1の移動速度とレーザのエネルギ密度は、基材
1の表面に形成されるYSZ膜の厚さが0.05μmと
なるように調整した。
【0034】この状態で、基材1を図1の紙面と垂直方
向に動かし続け、基材1の表面に厚さが0.05μmの
中間層としてのイットリア安定化ジルコニア膜が形成さ
れたテープ状の線材を得た。
【0035】また、ターゲットとしてイットリア安定化
ジルコニアからなるターゲットを用い、ターゲットに照
射するレーザ3のエネルギ密度と基材1の移動速度を調
整して、ハステロイ基材の表面に厚さがそれぞれ0.1
μm、0.3μm、0.7μm、1.0μm、1.2μ
m、1.5μm、2.0μm、3.0μm、4.0μm
および5.0μmのイットリア安定化ジルコニア膜の形
成されたテープ状線材を得た。
【0036】次に、ターゲット2として酸化セリウムを
用い、上述の方法と同様の方法に従い、ハステロイの基
材の表面に厚さがそれぞれ0.05μm、0.1μm、
0.3μm、0.7μm、1.0μm、1.2μm、
1.5μm、2.0μm、3.0μm、4.0μmおよ
び5.0μmの中間層としての酸化セリウム膜が形成さ
れたテープ状線材を得た。
【0037】さらに、ターゲット2として酸化マグネシ
ウムを用い、上述の方法と同様の方法により、ハステロ
イ基材の表面に厚さがそれぞれ0.05μm、0.1μ
m、0.3μm、0.7μm、1.0μm、1.2μ
m、1.5μm、2.0μm、3.0μm、4.0μm
および5.0μmの中間層としての酸化マグネシウム膜
が形成されたテープ状線材を得た。
【0038】これらの異なる材質の中間層を有するテー
プ状線材について、中間層の配向性を評価するために、
X線極点図法により評価を行なった。測定軸は<111
>軸とした。その結果、基材に平行な面内での<100
>軸の配向の分布(半値幅)についてのデータを得た。
その結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1において、半値幅が小さいほど<10
0>軸に配向しており、単結晶性が良好であるといえ
る。
【0041】表1より、中間層の膜厚が0.1μm以上
3.0μm以下であれば、単結晶性を有するといえる。
中間層の膜厚が1.0μmを超え3.0μm以下であれ
ば、優れた単結晶性を有するといえる。また、中間層の
膜厚が1.2μm以上2.0μm以下であれば、特に単
結晶性が優れることが明らかになった。
【0042】(実施例2)実施例2では、基材の傾斜角
度と結晶配向性の関係について調べた。
【0043】まず、実施例1と同様の装置であって、基
材を図1の紙面に沿った方向にも移動させることができ
る装置を用意した。この装置を用い、基材の傾斜角度α
をそれぞれ20°、30°、40°、45°、50°、
60°、70°、75°および80°とし、基材を図1
の紙面に垂直な方向に移動させながらハステロイのテー
プ状線材(基材)の表面に膜厚が1.5μmの中間層と
してのイットリア安定化ジルコニア膜を形成してサンプ
ルを得た。また、ターゲットを酸化セリウムまたは酸化
マグネシウムとし、基材の傾斜角度を上述のそれぞれの
角度として、ハステロイの基材の表面に厚さが1.5μ
mの中間層としての酸化セリウム膜または酸化マグネシ
ウム膜を形成したサンプルを得た。
【0044】これらのサンプルについて、実施例1と同
様に、X線極点図法により、それぞれの中間層の、基材
に平行な面内での<100>軸の配向の分布(半値幅)
を調べた。測定軸は<111>軸とした。その結果を表
2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】表2より、基材の傾斜角度αが40°以上
70°以下であれば、特に配向性に優れ、単結晶性の中
間層が得られることがわかる。
【0047】また、実施例1と同様の装置を用い、基材
の傾斜角度αをそれぞれ20°、30°、40°、50
°、70°および80°とし、図1の紙面に沿った方向
に基材を移動させながらハステロイのテープ状線材(基
材)の表面に膜厚が1.5μmの中間層としてのイット
リア安定化ジルコニア膜を形成してサンプルを得た。
【0048】これらのサンプルについて、実施例1と同
様にX線極点図法によりそれぞれの中間層の、基材に平
行な面内での<100>軸の配向の分布(半値幅)を調
べた。測定軸は<111>軸とした。その結果を表3に
示す。
【0049】
【表3】
【0050】表3より、基材の傾斜角度αが40°以上
70°以下であれば、特に配向性に優れ、単結晶性の中
間層が得られることがわかる。
【0051】また、基材を搬送する方向として、図1の
紙面に垂直な方向、または図1の紙面に沿った方向、あ
るいは図1の紙面と鋭角をなす方向のいずれの方向にも
移動するように搬送した場合でも、基材の傾斜角度αが
40°以上70°以下であれば、特に配向性に優れ、単
結晶性の中間層が得られることが明らかになった。
【0052】(実施例3)実施例3では、実施例1で作
製した種々の膜厚を有するイットリア安定化ジルコニア
膜からなる中間層の上に、イットリウム−バリウム−銅
系超電導層(YBa2Cu3x:YBCO)膜をレーザ
アブレーション法で形成した。超電導層はすべて同一条
件で形成し、膜厚はすべて1.0μmとした。
【0053】次に、中間層と超電導層の配向性の関係を
調べるために、超電導層について、X線極点図測定を実
施した。測定軸は<103>軸とした。また、液体窒素
中で、超電導層の自己磁界内での臨界電流密度を測定し
た。それらの結果を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】表4より、中間層の膜厚が0.1μm以上
3.0μm以下であれば、超電導層は単結晶性を有す
る。中間層の厚さが1.0μmを超え3.0μm以下の
場合に超電導層の半値幅が小さく、結晶の配向性が優れ
ていることがわかる。また、この場合に臨界電流密度が
大きいことがわかる。そのため、この範囲において超電
導特性が優れていることがわかる。
【0056】また、中間層の膜厚が1.5μmのサンプ
ルについて、超電導層の上に銀の安定化層を形成して超
電導部材とし、この超電導部材の断面を走査型電子顕微
鏡で観察した。その結果を図2に示す。
【0057】図2より、ハステロイからなる基材21の
主表面21aの上に中間層22が形成されていた。中間
層22は複数の柱状の結晶22aにより構成されてお
り、多結晶構造であった。柱状の結晶22aが延びる方
向(結晶粒界22bの延びる方向)と基材21の主表面
21aとのなす角度θは70゜以上90゜未満であっ
た。中間層22の上にはイットリウム−バリウム−銅系
酸化物からなる超電導層23が形成されていた。超電導
層23上には銀からなる安定化層24が形成されてい
た。
【0058】(実施例4)実施例4では、実施例1で作
製した種々の膜厚を有するイットリウム安定化ジルコニ
ア膜からなる中間層の上に、ホルミウム−バリウム−銅
系酸化物超電導層(HoBa2Cu3x:HoBCO)
レーザアブレーション法で製造した。この超電導層は、
製造条件はすべて同一とし、超電導層の膜厚はすべて
1.0μmとした。
【0059】中間層と超電導層の配向性の関係を調べる
ために、超電導層について、X線極点図測定を行なっ
た。測定軸は<103>軸とした。さらに、液体窒素中
で、超電導層の自己磁界内での臨界電流密度を調べた。
それらの結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】表5より、中間層の膜厚が0.1μm以上
3.0μm以下であれば、超電導層は単結晶性を有す
る。中間層の膜厚が1μmを超え3μm以下の場合に、
超電導層のピークの半値幅が小さく、つまり、結晶の配
向性が優れていることがわかる。また、中間層の膜厚が
1μmを超え3μm以下の場合に、超電導層の臨界電流
密度が大きいことがわかった。
【0062】以上、本発明の実施例ついて説明したが、
ここで示した実施例はさまざまに変形することが可能で
ある。まず、基材としては、ハステロイを示したが、そ
の他の金属、たとえば、ステンレスやニッケル合金を用
いることができる。また、ハステロイの組成を、以下の
範囲とすることも可能である。
【0063】
【表6】
【0064】また、レーザアブレーションでは、KrF
エキシマレーザ(波長248nm)を用いたが、ArF
エキシマレーザ(波長193nm)を用いてもよい。さ
らに、中間層は1層構造としたが、2層構造としてもよ
く、中間層と基材の間に別の層を介在させてもよい。
【0065】さらに、超電導層として、イットリウム系
酸化物超電導体とホルミウム系酸化物超電導体について
例示したが、それぞれの元素を他の元素で置換すること
も可能である。
【0066】また、基材として、多結晶の金属を用いる
例について説明したが、アモルファスの物質を基材とし
て用いてもよい。
【0067】さらに、中間層として、多結晶の物質でな
く、単結晶またはほぼ単結晶に近い物質を形成してもよ
い。
【0068】今回開示された実施例はすべての点で例示
であって制限的なものではないと考えられるべきであ
る。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の
範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味およ
び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に従え
ば、多結晶またはアモルファスの基材の上に単結晶性薄
膜の中間層を形成することができる。この薄膜の上に酸
化物超電導体をヘテロエピタキシャル成長させることに
より、高い臨界電流密度を有する酸化物超電導層を形成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に従った超電導部材の製造
方法を示す図である。
【図2】この発明に従って得られた超電導部材の断面の
模式図である。
【符号の説明】
1,21 基材 1a,21a 主表面 2 ターゲット 3 レーザ 22 中間層 22a 結晶 23 超電導層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤野 剛三 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 大松 一也 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友電 気工業株式会社大阪製作所内 (72)発明者 岩田 良浩 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 本庄 昇一 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 佐藤 礼文 神奈川県横浜市鶴見区江ヶ崎町4番1号 東京電力株式会社電力技術研究所内 (72)発明者 石井 英雄 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号 東 京電力株式会社開発計画部内 Fターム(参考) 4G077 AA03 BB02 BB10 BC53 DA03 HA08 5G321 AA01 AA04 CA04 CA21 CA24 CA27 CA28 DB38

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の主表面に対してターゲットの主表
    面が鋭角をなすように、前記基材から離隔した位置に前
    記ターゲットを位置決めする工程と、 前記ターゲットを構成する物質を飛散させて、その物質
    を前記基材の主表面上に堆積させることにより、厚さが
    1μmを超え3μm以下の中間層を前記基材の上に形成
    する工程と、 前記中間層の上に超電導層を形成する工程とを備えた、
    超電導部材の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記中間層を前記基材の上に形成する工
    程は、前記ターゲットにレーザを照射して前記ターゲッ
    トを構成する物質を飛散させることを含む、請求項1に
    記載の超電導部材の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記中間層を前記基材の上に形成する工
    程は、前記ターゲットを構成する物質をほぼ鉛直上向き
    に飛散させて前記基材の上に前記中間層を形成すること
    を含む、請求項1または2に記載の超電導部材の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記中間層を形成する工程は、単結晶性
    の前記中間層を形成することを含む、請求項1〜3のい
    ずれか1項に記載の超電導部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記中間層を形成する工程は、前記基材
    の主表面に対して鋭角をなして前記基材から前記超電導
    層へ向かう方向に延びる柱状の結晶を有する前記中間層
    を形成することを含む、請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の超電導部材の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ターゲットを位置決めする工程は、
    前記基材の主表面に対して前記ターゲットの主表面が4
    0°以上70°以下の鋭角をなすように前記基材から離
    隔した位置に前記ターゲットを位置決めすることを含
    む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の超電導部材の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 前記超電導層を形成する工程は、イット
    リウム−バリウム−銅系酸化物超電導層を形成すること
    を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導部
    材の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記超電導層を形成する工程は、ホルミ
    ウム−バリウム−銅系酸化物超電導層を形成することを
    含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の超電導部材
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 基材の主表面に対してターゲットの主表
    面が鋭角をなすように、前記基材から離隔した位置に前
    記ターゲットを位置決めする工程と、 前記ターゲットを構成する物質を飛散させて、その物質
    を前記基材の主表面上に堆積させることにより、厚さが
    0.1μm以上3μm以下の中間層を前記基材の上に形
    成する工程と、 前記中間層の上に超電導層を形成する工程とを備えた、
    超電導部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 主表面を有する基材と、 前記基材の上に形成された、厚さが1μmを超え3μm
    以下の中間層と、 前記中間層の上に形成された超電導層とを備え、 前記中間層は、前記基材の主表面に対して鋭角をなして
    前記基材から前記超電導層へ向かう方向に延びる柱状の
    結晶を有している、超電導部材。
  11. 【請求項11】 前記中間層の厚さは1.2μm以上
    2.0μm以下である、請求項10に記載の超電導部
    材。
  12. 【請求項12】 前記中間層は単結晶性を有する、請求
    項10または11に記載の超電導部材。
  13. 【請求項13】 前記中間層は、イットリア安定化ジル
    コニア、酸化セリウムおよび酸化マグネシウムからなる
    群より選ばれた少なくとも1種を含む、請求項10〜1
    2のいずれか1項に記載の超電導部材。
  14. 【請求項14】 前記基材は多結晶またはアモルファス
    の物質を含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載
    の超電導部材。
  15. 【請求項15】 前記超電導層は、イットリウム−バリ
    ウム−銅系酸化物超電導層である、請求項10〜14の
    いずれか1項に記載の超電導部材。
  16. 【請求項16】 前記超電導層は、ホルミウム−バリウ
    ム−銅系酸化物超電導層である、請求項10〜14のい
    ずれか1項に記載の超電導部材。
  17. 【請求項17】 主表面を有する基材と、 前記基材の上に形成された、厚さが0.1μm以上3μ
    m以下の中間層と、 前記中間層の上に形成された超電導層とを備え、 前記中間層は、前記基材の主表面に対して鋭角をなして
    前記基材から前記超電導層へ向かう方向に延びる柱状の
    結晶を有している、超電導部材。
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