JP2001020032A - 耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼 - Google Patents

耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼

Info

Publication number
JP2001020032A
JP2001020032A JP11194896A JP19489699A JP2001020032A JP 2001020032 A JP2001020032 A JP 2001020032A JP 11194896 A JP11194896 A JP 11194896A JP 19489699 A JP19489699 A JP 19489699A JP 2001020032 A JP2001020032 A JP 2001020032A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
steel
content
ceq
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11194896A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Mitao
眞司 三田尾
Hiroyasu Yokoyama
泰康 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP11194896A priority Critical patent/JP2001020032A/ja
Publication of JP2001020032A publication Critical patent/JP2001020032A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 引張強度が590MPa以上の高強度で、冷
間加工後の機械的性質の経時劣化が少なく、耐火性及び
耐候性に優れた鋼アーチ支保工用H形鋼である。 【解決手段】 本発明の耐火性及び耐候性に優れた支保
工用H形鋼は、重量%で、C:0.14〜0.18%、
Si:0.25〜1.0%、Mn:1.0〜1.8%、
Cu:0.35〜0.60%、Mo:0.02〜0.6
0%、Al:0.05%以下、P:0.035%以下、
S:0.020%以下、N:0.0050%以下、H:
0.00025%以下を含有し、更に、V:0.01〜
0.2%、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.
002〜0.10%の群から選択された1種又は2種以
上を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物か
らなり、(1)式で定義される炭素当量(Ceq)が0.
47以下であることを特徴とする。 Ceq=[%C]+[%Mn]/6+[%Si]/24+[%Cr]/5+[%Mo]/4+[%Ni]/40+[%V]/14……(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、坑道やトンネル等
の掘削断面を支持する強度部材として用いられる鋼アー
チ支保工用H形鋼に関し、詳しくは引張強度が590M
Pa以上で且つ良好な耐火性及び耐候性を有する支保工
用H形鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】坑道やトンネル等の掘削断面を支持する
強度部材として、形鋼をアーチ状に加工した鋼アーチ支
保工が広く用いられている。鋼アーチ支保工用H形鋼に
は、主に良好な延性、良好な冷間加工性、更に良好な溶
接性が求められ、従来から主にJISG3101に定め
られているSS400相当の鋼材が用いられている。し
かし、近年の掘削機器の大型化やトンネル幅の拡大化に
伴い、掘削断面が大型化し、更に扁平化する傾向があ
り、鋼アーチ支保工にも高強度化が求められている。
又、高強度化により支保工用形鋼の断面積が低減できれ
ば、鋼材使用量、運搬費の縮小を図ることが可能であ
り、坑道やトンネル等の掘削構造物の施工コストの削減
に寄与する。
【0003】このような要求に応え、590MPa以上
の引張強度を有する高強度支保工用H形鋼に関する技術
が、特開平10−152751号公報、特開平10−1
76240号公報、及び特開平10−195603号公
報等に開示されている。
【0004】ところで、坑道内やトンネル内における火
災のような万が一の災害時においても掘削構造物を崩落
から守るために、支保工用H形鋼の耐火性の向上が求め
られている。即ち、坑道やトンネルの掘削断面の大型化
は、裏を返せば万が一の災害の重大化につながるため、
単なる高強度化のみではなく、耐火性や耐候性等の、よ
り確実な安全をもたらす特性が求められているのであ
る。
【0005】しかしながら、このような要求に応える鋼
アーチ支保工用H形鋼、即ち、冷間加工して使用される
ことを前提とし、良好な曲げ加工性、延性、及び溶接性
を有し、引張強度が590MPa以上の高強度で、且つ
冷間加工後の機械的性質の経時劣化が少なく、更に、耐
火性及び耐候性に優れる鋼アーチ支保工用H形鋼は従来
提案されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたもので、その目的とするところは、良好な曲
げ加工性、延性、及び溶接性を有し、引張強度が590
MPa以上の高強度で、且つ冷間加工後の機械的性質の
経時劣化が少なく、更に、耐火性及び耐候性に優れた鋼
アーチ支保工用H形鋼を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の第1の発明による耐火性及び耐候性に優れた支保工用
H形鋼は、重量%で、C:0.14〜0.18%、S
i:0.25〜1.0%、Mn:1.0〜1.8%、C
u:0.35〜0.60%、Mo:0.02〜0.60
%、Al:0.05%以下、P:0.035%以下、
S:0.020%以下、N:0.0050%以下、H:
0.00025%以下を含有し、更に、V:0.01〜
0.2%、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.
002〜0.10%の群から選択された1種又は2種以
上を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物か
らなり、下記(1)式で定義される炭素当量(Ceq)が
0.47以下であり、且つ、引張強度が590MPa以
上であることを特徴とするものである。 Ceq=[%C]+[%Mn]/6+[%Si]/24+[%Cr]/5+[%Mo]/4+[%Ni]/40+[%V]/14……(1)
【0008】第2の発明による耐火性及び耐候性に優れ
た支保工用H形鋼は、第1の発明に記載の鋼組成に加え
て更に、重量%で、Ni:0.6%以下、Cr:0.6
%以下、Co:0.6%以下、W:0.6%以下、B:
0.0050%以下、Ca:0.0050%以下、RE
M:0.02%以下の群から選択された1種又は2種以
上を含有し、前記(1)式で定義される炭素当量(Ce
q)が0.47以下であり、且つ、引張強度が590M
Pa以上であることを特徴とするものである。
【0009】以下に、本発明において、良好な曲げ加工
性、延性、及び溶接性を有し、引張強度が590MPa
以上の高強度で且つ冷間加工後の機械的性質の経時劣化
が少なく、更に、耐火性及び耐候性に優れた鋼アーチ支
保工用H形鋼の化学成分組成を上述したように限定した
理由を、それぞれの作用と共に説明する。
【0010】C:Cは鋼材の強化には不可欠な元素であ
る。但し、C含有量が0.14重量%(以下、単に
「%」と表示する)未満では、圧延後放冷ままでは十分
な強度が得られない。一方、0.18%を越えると溶接
性が低下する。従って、C含有量は0.14〜0.18
%の範囲内に限定しなければならない。
【0011】Si:Siは脱酸剤として有効であるばか
りでなく、引張強度で590MPa以上の高強度を得る
ための強化元素としても重要な元素である。但し、その
含有量が0.25%未満では、その効果が十分でなく、
一方、1.0%を越えると延性及び溶接性を損なう。従
って、Si含有量は0.25〜1.0%の範囲内に限定
しなければならない。
【0012】Mn:Mnは引張強度で590MPa以上
の高強度を得るための強化元素として重要な元素であ
る。しかし、その含有量が1.0%未満では目的とする
強度が得られず、一方、1.8%を越えると溶接性を低
下させる。従って、Mn含有量は1.0〜1.8%の範
囲内に限定しなければならない。
【0013】Cu:Cuは引張強度で590MPa以上
の高強度を得るための強化元素として重要な元素である
ばかりでなく、耐候性を向上させるためには不可欠な元
素である。但し、その含有量が0.35%未満ではその
効果が十分でなく、一方、0.60%を越えると圧延に
おける表面疵の発生が著しくなり、圧延や精整等の生産
性に支障を来す。従って、Cu含有量は0.35〜0.
60%の範囲内に限定しなければならない。
【0014】Mo:Moは鋼の高温における変形抵抗を
有効に増加させ、耐火性の向上に大きく寄与する元素で
ある。又、固溶強化更に焼入性の向上による常温強度の
上昇にも寄与する。しかし、その含有量が0.02%未
満では期待する効果が十分に得られず、一方、0.60
%を越えると溶接性を阻害する。従って、Mo含有量は
0.02〜0.60%の範囲内に限定しなければならな
い。
【0015】Al:AlはSiと同様脱酸に有効な元素
であるが、その含有量が0.05%を越えると延性を損
ねる。従って、Al含有量は0.05%以下に限定しな
ければならない。
【0016】P:Pは不純物として含まれ、その含有量
が0.035%を越えると靭性を大幅に損ねる。従っ
て、P含有量は0.035%以下に限定しなければなら
ない。
【0017】S:Sは不純物として含まれ、その含有量
が0.020%を越えると延性及び靭性を大幅に損ね
る。従って、S含有量は0.020%以下に限定しなけ
ればならない。
【0018】N:Nは冷間加工後の機械的性質の経時劣
化を引き起こす元素であり、固溶しているNは冷間加工
後の時間の経過に伴い、冷間加工により生成された転位
と結び付いて、強度を上昇させる一方で靭性を低下させ
る、所謂、歪時効を顕在化させる。従って、冷間加工を
施して使用する支保工用H形鋼としてはN含有量を規制
する必要があり、歪時効を抑止する観点から、N含有量
は0.0050%以下に限定しなければならない。
【0019】H:Hは遅れ破壊を引き起こす元素であ
り、特に高強度鋼においては厳密に管理・規制すべき元
素である。従って、遅れ破壊を抑止する観点から、H含
有量は0.00025%以下に限定しなければならな
い。
【0020】V、Nb、Ti:これらの元素はC及びN
と反応して析出物を形成し、鋼の常温及び高温での強度
上昇に著しく寄与するため、引張強度590MPa以上
の高強度と優れた耐火性を得るためには、こられのうち
の1種又は2種以上を含有させる必要がある。又、特に
冷間加工後の機械的性質の経時劣化を引き起こす固溶N
を析出物として固定する効果があるため、機械的性質の
経時劣化抑止の観点からも極めて重要な元素である。但
し、V含有量が0.01%未満ではその効果が十分では
なく、一方、0.2%を越えると延性、溶接性が低下す
るので、V含有量は0.01〜0.2%の範囲内に限定
しなければならない。Nb含有量が0.005%未満で
は期待される効果が得られず、一方、0.10%を越え
ると延性の低下が顕著になるので、Nb含有量は0.0
05〜0.10%の範囲内に限定しなければならない。
又、Ti含有量が0.002%未満では期待される効果
が得られず、一方、0.10%を越えると延性が低下す
るので、Ti含有量は0.002〜0.10%の範囲内
に限定しなければならない。
【0021】炭素当量(Ceq):上記の(1)式で定義
した炭素当量(Ceq)が0.47を越えると溶接割れが
発生し、支保工用H形鋼としては適さない。従って、炭
素当量(Ceq)は0.47以下に限定しなければならな
【0022】本発明では上記の合金元素の外に、H形鋼
の強度特性に応じて、Ni、Cr、Co、W、B、C
a、REMの群から選択された1種又は2種以上を含有
させることができる。以下にその成分の限定理由を述べ
る。
【0023】Ni:Niは主に鋼中に固溶して存在し、
固溶強化と共に焼入性を向上させて鋼の強化に寄与す
る。又、Cu添加に伴い生ずる表面疵の発生を抑える効
果があり、Cu添加に伴う表面疵防止の観点から、Cu
含有量の1/2以上を含有させることが好ましい。一方
で、添加元素としては高価であり、必要以上の添加は経
済的にも好ましくないばかりか、溶接性の低下を来す。
従って、Ni含有量は0.6%以下に限定しなければな
らない。
【0024】Cr:Crも主に鋼中に固溶して存在し、
固溶強化と共に焼入性を向上させて鋼の強化に寄与す
る。又、Cuと共に耐候性を向上させる。但し、添加元
素としては高価であり、必要以上の添加は経済的にも好
ましくないばかりか、溶接性の低下を来す。従って、C
r含有量は0.6%以下に限定しなければならない。
【0025】Co:Coも主に鋼中に固溶して存在し、
固溶強化と共に焼入性を向上させて鋼の強化に寄与す
る。但し、添加元素としては高価であり、必要以上の添
加は経済的にも好ましくないばかりか、溶接性の低下を
来す。従って、Co含有量は0.6%以下に限定しなけ
ればならない。
【0026】W:Wは鋼の強度を向上させる元素であ
る。但し、添加元素としては高価であり、必要以上の添
加は経済的にも好ましくないばかりか、溶接性の低下を
来す。従って、W含有量は0.6%以下に限定しなけれ
ばならない。
【0027】B:Bは熱間圧延中のオーステナイト粒界
に偏析する傾向があり、焼入性を向上させて鋼の強化に
寄与する。但し、その含有量が0.0050%を越える
と溶接性を著しく劣化させる。従って、B含有量は0.
0050%以下に限定しなければならない。
【0028】Ca:CaはSと反応して化合物を形成
し、不純物として鋼中に存在するSを固定して、機械的
性質に及ぼすSの悪影響を軽減する働きがある。但し、
その含有量が0.0050%を越えると粗大化合物を形
成し、延性及び靭性を劣化させる。従って、Ca含有量
は0.0050%以下に限定しなければならない。
【0029】REM:REMはOやSと結びついて化合
物を形成し、延性を向上させる。但し、その含有量が
0.02%を越えると粗大化合物を形成し、延性及び靭
性を低下させる。従って、REM含有量は0.02%以
下に限定しなければならない。
【0030】
【発明の実施の形態】転炉や電気炉又はこれら精錬炉と
RH真空脱ガス装置等の二次精錬炉との組み合せによ
り、上記化学成分組成に溶製された溶鋼を普通造塊法又
は連続鋳造法にて凝固させ、所定の形状の鋼片又は鋳片
を得る。その後、熱間圧延によりH形鋼に加工する。
【0031】熱間圧延の際、鋼片又は鋳片の加熱温度
は、強化元素であるNb、V、Ti等を十分に固溶さ
せ、且つ圧延による造形で十分な寸法精度が得られるだ
けの高温とすることが好ましい。具体的には、例えば1
150℃以上とすれば良い。又、圧延はおおよそ800
℃以上の温度で終了すれば良く、圧延終了後、特段の加
速冷却の必要はなく、放冷によって所望の特性を得るこ
とができる。尚、圧延終了温度を900℃以下にするこ
とで、所謂、制御圧延の効果により、より高靭性とする
ことができる。
【0032】支保工用H形鋼をこのように、適正な合金
元素を添加しつつ炭素当量(Ceq)を規制して製造する
ことにより、良好な曲げ加工性、良好な延性、及び良好
な溶接性を有し、引張強度が590MPa以上の高強度
で、且つ冷間加工後の機械的性質の経時劣化が少なく、
更に、耐火性及び耐候性に優れた鋼アーチ支保工用H形
鋼を安定して製造することが可能となる。
【0033】
【実施例】26種類の化学成分組成の鋼を転炉とRH真
空脱ガス装置との組み合せにより溶製し、次いで、連続
鋳造機にてブルーム鋳片とした後、この鋳片を1200
℃に加熱して熱間圧延によりH形鋼とした。熱間圧延は
概ね850〜900℃で終了し、H形鋼の寸法はウェブ
高さ:154mm、フランジ幅:151mm、ウェブ
厚:8mm、フランジ厚12mmである。表1に26種
類(鋼No.1〜26)の各供試鋼の化学成分組成及び炭
素当量(Ceq)を示す。尚、P、S、Hの含有量は表1
には記載していないが、何れの鋼も本発明の範囲内に調
整されている。
【0034】
【表1】
【0035】得られたH形鋼の表面性状を目視により検
査し、疵の無いものを良好とし、疵が発生したものを不
良と判定した。次いで、フランジ幅方向1/4の位置か
ら長手方向に沿って、JISZ2201に定められた1
A号引張試験片(ゲージ長さ:200mm)、及びJI
SZ2202に規定の4号衝撃試験片(フランジ厚さ中
心から採取)を採取し、常温における引張試験及び0℃
における衝撃試験を実施した。目視検査で不良と判定さ
れたものは、表面を手入れした後、試験片を採取した。
合否の判定基準は、引張強度が590MPa以上で、0
℃における衝撃値(vE0)が50J以上のものを合格
とした。
【0036】引張試験片に5%の予歪を加えて250℃
で1時間時効させた後、引張試験を行い、その特性を調
査した。更に、5%の予歪を加えて250℃で1時間時
効させた引張り試験片の平行部板厚中心からJISZ2
202に規定の4号衝撃試験片を採取し、0℃における
衝撃試験を実施した。そして、0℃における衝撃値(v
E0)が50J以上のものを、冷間加工後の機械的性質
の経時劣化が少なく、機械的性質に優れると判定した。
【0037】フランジから平行部径6.25mm、ゲー
ジ長さ25mmの引張試験片を採取して600℃におけ
る引張試験を実施し、耐火性を評価した。具体的には、
600℃における降伏強度が、常温における規格降伏強
度の下限である440MPaの2/3以上、即ち293
MPa以上であれば、耐火性に優れると判定した。
【0038】溶接性を評価するために、H形鋼を圧延方
向と垂直な方向に切断して、切断面に蓋をするように板
を合わせて隅肉溶接を行い、超音波探傷試験(UST)
により溶接割れの有無を判定し、溶接割れの無いものを
合格とした。
【0039】耐候性を評価するために、フランジ板厚中
心から幅100mm、長さ150mm、厚み5mmの板
状試験片を採取し、国内臨海工業地帯にて2年間暴露試
験を行い、腐食量の測定値から耐候性を評価した。腐食
量が0.3mm以下であれば耐候性に優れると判定し
た。表2に各供試鋼のこれら評価試験の調査結果を示
す。
【0040】
【表2】
【0041】表2から明らかなように、本発明鋼である
鋼No.1〜9は、590MPa以上の母材引張強度、5
0J以上の母材衝撃値(vE0)、293MPa以上の
600℃における降伏強度、50J以上の歪時効後の衝
撃値(vE0)、10%以上の歪時効後の延性、良好な
圧延表面性状、優れた溶接性、更に、優れた耐候性の全
てを併せ持つことが確認できた。これに対して、比較鋼
である鋼No.10〜26では、上記の特性の何れかが満
足されない。
【0042】例えば、C含有量の多い鋼No.10は炭素
当量(Ceq)が高く、靭性、溶接性が不十分である。
C、Si、Mnの何れかが少ない鋼No.11、12、1
3は常温における引張強度が不十分である。Mn、C
u、Ni、Cr、Moの何れかが多い鋼No.14、1
7、19、20、22は溶接性が悪く、更に、所定量以
上のCuを含む鋼No.17は、溶接性が悪いばかりでな
く、圧延材の表面性状が不良であり、支保工として適さ
ない。炭素当量(Ceq)が高い鋼No.18も溶接性が悪
い。所定量のMoを含有しない鋼No.21、23はいず
れも600℃における降伏強度が不十分であり、耐火性
に劣る。V、Nb、Tiの何れをも所定量含まない鋼N
o.24、25は常温及び600℃における強度が不十分
である。所定量のCuを含まない鋼No.15、16は本
発明鋼の約2倍の腐食量を示し、耐候性が不十分であ
る。Nを規定量より多く含む鋼No.26は、圧延ままの
母材特性は良好なものの、歪時効により、著しい延性及
び靭性の低下を示す。
【0043】更に、上記H形鋼を冷間においてアーチ状
に加工して冷間加工性を評価した。曲げ半径を1.8
m、2.0m、2.5m、3.0mの4水準とし、半径
2.0m以上の曲げ加工で割れが生じなければ、冷間加
工性に優れると判定した。調査結果を表3に示す。表3
に示すように、この判定基準によれば、鋼No.10、1
4、17、18、19、20、22を除いて、曲げ加工
性は十分であった。
【0044】
【表3】
【0045】このように本発明鋼である鋼No.1〜9は
良好な曲げ加工性を示すと共に、延性、、溶接性に優
れ、且つ冷間加工後の機械的性質の経時劣化が少なく、
更に、耐火性及び耐候性に優れており、高強度支保工用
H形鋼として優れた材質的機能を有することが判明し
た。
【0046】
【発明の効果】本発明により、大型化及び扁平化する掘
削断面を支保するための十分な強度と加工性とを併せ持
ち、更に優れた耐火性及び耐候性を併せ持つ鋼アーチ支
保工用H形鋼を製造することが可能となる。その結果、
本発明のH形鋼からなる鋼アーチ支保工は環境に曝して
長期間且つ安全に使用することが可能であると共に、火
災においても崩落を生じ難く、更に、高強度化による形
鋼断面積の低減等に伴うコスト削減も可能であり、産業
上多大な効果がもたらされる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.14〜0.18%、
    Si:0.25〜1.0%、Mn:1.0〜1.8%、
    Cu:0.35〜0.60%、Mo:0.02〜0.6
    0%、Al:0.05%以下、P:0.035%以下、
    S:0.020%以下、N:0.0050%以下、H:
    0.00025%以下を含有し、更に、V:0.01〜
    0.2%、Nb:0.005〜0.10%、Ti:0.
    002〜0.10%の群から選択された1種又は2種以
    上を含有し、残部が実質的にFe及び不可避的不純物か
    らなり、(1)式で定義される炭素当量(Ceq)が0.
    47以下であり、且つ、引張強度が590MPa以上で
    あることを特徴とする耐火性及び耐候性に優れた支保工
    用H形鋼。 Ceq=[%C]+[%Mn]/6+[%Si]/24+[%Cr]/5+[%Mo]/4+[%Ni]/40+[%V]/14……(1)
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の鋼組成に加えて更に、
    重量%で、Ni:0.6%以下、Cr:0.6%以下、
    Co:0.6%以下、W:0.6%以下、B:0.00
    50%以下、Ca:0.0050%以下、REM:0.
    02%以下の群から選択された1種又は2種以上を含有
    し、(1)式で定義される炭素当量(Ceq)が0.47
    以下であり、且つ、引張強度が590MPa以上である
    ことを特徴とする耐火性及び耐候性に優れた支保工用H
    形鋼。 Ceq=[%C]+[%Mn]/6+[%Si]/24+[%Cr]/5+[%Mo]/4+[%Ni]/40+[%V]/14……(1)
JP11194896A 1999-07-08 1999-07-08 耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼 Pending JP2001020032A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11194896A JP2001020032A (ja) 1999-07-08 1999-07-08 耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11194896A JP2001020032A (ja) 1999-07-08 1999-07-08 耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001020032A true JP2001020032A (ja) 2001-01-23

Family

ID=16332140

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11194896A Pending JP2001020032A (ja) 1999-07-08 1999-07-08 耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001020032A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2397570A1 (en) * 2009-10-28 2011-12-21 Nippon Steel Corporation Steel plate for line pipes with excellent strength and ductility and process for production of same
CN110592479A (zh) * 2019-09-25 2019-12-20 马鞍山钢铁股份有限公司 一种热轧h型钢及其生产方法
CN111748744A (zh) * 2020-07-08 2020-10-09 马鞍山钢铁股份有限公司 一种热轧h型钢及其生产方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2397570A1 (en) * 2009-10-28 2011-12-21 Nippon Steel Corporation Steel plate for line pipes with excellent strength and ductility and process for production of same
EP2397570A4 (en) * 2009-10-28 2012-08-22 Nippon Steel Corp STEEL SHEET FOR PIPING PIPES HAVING EXCELLENT RESISTANCE AND EXCELLENT DUCTILITY AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME
US8641836B2 (en) 2009-10-28 2014-02-04 Nippon Steel & Sumitomo Metal Corporation Steel plate for line pipe excellent in strength and ductility and method of production of same
CN110592479A (zh) * 2019-09-25 2019-12-20 马鞍山钢铁股份有限公司 一种热轧h型钢及其生产方法
CN111748744A (zh) * 2020-07-08 2020-10-09 马鞍山钢铁股份有限公司 一种热轧h型钢及其生产方法
CN111748744B (zh) * 2020-07-08 2021-08-03 马鞍山钢铁股份有限公司 一种热轧h型钢及其生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA1326143C (en) Ferritic stainless steel and processing therefore
US6007644A (en) Heavy-wall H-shaped steel having high toughness and yield strength and process for making steel
KR100825569B1 (ko) 내 에이취아이씨 성이 우수한 라인 파이프용 강재 및 그강재를 이용해 제조되는 라인 파이프
JP4811288B2 (ja) 高強度冷延鋼板およびその製造方法
EP2990498A1 (en) H-shaped steel and method for producing same
EP0761824B1 (en) Heavy-wall structural steel and method
JP5092481B2 (ja) 高強度冷延鋼板およびその製造方法
JP3849244B2 (ja) 繰返し大変形下での延性き裂進展抵抗の優れた鋼材及びその製造方法
WO2020158823A1 (ja) 突起付きh形鋼およびその製造方法
RU2731223C1 (ru) Высокопрочная свариваемая хладостойкая сталь и изделие, выполненное из нее
JP2012041603A (ja) 圧延素材鋼とそれを使用した圧延鋼材の製造方法
JP3520818B2 (ja) 耐歪時効脆化性に優れた高強度支保工用h形鋼
JPH11131188A (ja) トンネル支保工用h形鋼およびその製造方法
JP3440710B2 (ja) フィレット部靱性に優れたh形鋼およびその製造方法
JP2020105620A (ja) 圧延h形鋼及びその製造方法
JP2017057483A (ja) H形鋼及びその製造方法
JP4222073B2 (ja) フィレット部靱性に優れたh形鋼およびその製造方法
JP2001020032A (ja) 耐火性及び耐候性に優れた支保工用h形鋼
CN110546295A (zh) 轧制h型钢及其制造方法
JP2007277622A (ja) 溶接性に優れる引張強さ780MPa級高張力厚鋼板の製造方法
JPH08197103A (ja) 強度、靭性及び溶接性に優れた極厚h形鋼の製造方法
JP3785940B2 (ja) ウェブ厚が15mm以上の高靭性鋼矢板及びその製造方法
JP2001020036A (ja) 耐候性に優れた支保工用h形鋼
JP2000045042A (ja) 引張り強度が490N平方mm以上の曲げ加工性の良いトンネル支保工用H形鋼およびその製造方法
JPH08246094A (ja) 低温用建築鋼材