JP2001019312A - エレベータ調速機のテンションウェート調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一人の作業者で容易にテンションウェートの
傾き調整を行なえるとともに、調速機ロープがブラケッ
トと接触することを防止できるエレベータ調速機のテン
ションウェート調整装置の提供。 【解決手段】 調速機ロープ２の下端が巻掛けられるプ
ーリ３が取付けられる可動リンク４と、この可動リンク
４の自由端に設けられるテンションウェート５と、可動
リンク４を軸支するブラケット７と、テンションウェー
ト５と底部床８間を略鉛直方向に進退可能な受け台９
と、この受け台９を支持する支持部材１０とから構成さ
れている。これにより、調速機ロープ２の伸縮に伴って
テンションウェート５が傾いた場合、受け台９でテンシ
ョンウェート５を保持した状態でブラケット７を上下動
させてテンションウェート５の傾きを調整した後、テン
ションウェート５下面から受け台９までの間隔を所定寸
法となるよう設定する。その後、テンションウェート５
がかなり下がったとき、このテンションウェート５が受
け台９に当接するので、可動リンク４の傾きを所定範囲
内に制限できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エレベータ調速機
のテンションウェート調整装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般にエレベータ調速機のテンションウ
ェート調整装置は、昇降路の上下方向に配設される調速
機ロープの下端が巻掛けられるプーリと、このプーリが
回転可能に取付けられる可動リンクと、この可動リンク
の自由端に設けられるテンションウェートと、昇降路に
立設されるガイドレールの下部にレールクリップを介し
て取付けられ、可動リンクを回転可能に軸支するブラケ
ットとを備えている。

【０００３】このようなテンションウェート調整装置で
は、当初、テンションウェートを所定の高さ位置に設け
るとともに、可動リンクおよびテンションウェートをほ
ぼ水平な状態に配置してブラケットをガイドレールに締
結する。しかしながらその後、調速機ロープの伸びに伴
って可動リンクが回動し、テンションウェートが所定の
高さ位置より下がるとともに傾くことがあるので、テン
ションウェートを保持した状態でブラケットを下げた
後、このブラケットを再びガイドレールに固定すること
により、テンションウェートの傾き調整を行なうように
なっている。さらにテンションウェートの下降量が規定
値を超えた場合には、調速機ロープを切り詰めた後、上
記のようにテンションウェートの傾き調整を行なう。

【０００４】また従来、この種のテンションウェート調
整装置として、例えば実開昭６２−１２８０７０号公報
に記載されているように、昇降路の底部床と調速機のテ
ンションウェート間にジャッキを介在させ、このジャッ
キの作動によりテンションウェートがプーリとほぼ同じ
高さになるように保持させて、ガイドレールに取付けら
れたリンクを下方へ移動させるようにしたものが提案さ
れている。

【０００５】この従来のテンションウェート調整装置で
は、調速機ロープが空気中の水分を吸収して初期伸びが
発生した場合などに、１人で作業を行ない、昇降路の底
部床とテンションウェート下端との間隙寸法を所定寸法
の範囲、例えば１５０ｍｍ〜２５０ｍｍの範囲に調整す
ることができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来技術では、湿度の高い夏と湿度の低い冬との間で調速
機ロープに含まれる水分の量がかなり変化することか
ら、調速機ロープの長さも変化して、これに伴って、昇
降路の底部床とテンションウェート下端との間隙寸法が
所定の範囲を越えることがあり、年に２回テンションウ
ェート調整作業を行なう必要がある。なお、特に昇降行
程の長いエレベータでは、前記の調速機ロープも長いた
め、空気中の湿度変化に伴って調速機ロープの長さが変
化する傾向が顕著である。

【０００７】また、前記の昇降路の底部床とテンション
ウェート下端との間隙寸法を予め大きくした場合には、
調速機ロープの伸びに伴って可動リンクが大きく傾い
て、この可動リンクを回転可能に軸支するブラケットに
調速機ロープが当接するおそれがある。

【０００８】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、一人の作業者で
容易にテンションウェートの傾き調整を行なえるととも
に、調速機ロープの伸びに伴い、調速機ロープがブラケ
ットに接触することを防止できるエレベータ調速機のテ
ンションウェート調整装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明の請求項１に係る発明は、昇降路の上下方向
に配設される調速機ロープの下端が巻掛けられるプーリ
と、このプーリが回転可能に取付けられる可動リンク
と、この可動リンクの自由端に設けられるテンションウ
ェートと、前記昇降路に立設されるガイドレールの下部
にレールクリップを介して取付けられ、前記可動リンク
を回転可能に軸支するブラケットとを有するエレベータ
調速機のテンションウェート調整装置において、前記テ
ンションウェートの下方に設けられ、このテンションウ
ェートおよび前記昇降路の底部床間を略鉛直方向に進退
可能な受け台と、前記昇降路の底部床上に設けられ、前
記受け台を支持する支持部材とを備えた構成にしてあ
る。

【００１０】上記のように構成した本発明の請求項１に
係る発明では、調速機ロープの伸縮に伴って可動リンク
およびテンションウェートが傾いた場合、このテンショ
ンウェートの下方に設けられる受け台を略鉛直方向に進
退させることにより、この受け台でテンションウェート
を保持し、この状態でブラケットを上下動させて可動リ
ンクおよびテンションウェートの傾きを調整した後、受
け台を略鉛直方向に進退させることにより、テンション
ウェート下面から受け台までの間隔を所定寸法となるよ
う設定する。これにより、一人の作業者で容易にテンシ
ョンウェートの傾き調整を行なうことができる。その
後、調速機ロープに伸びが生じてテンションウェートが
かなり下がったとき、このテンションウェートが受け台
に当接するので、可動リンクの傾きが阻止される。これ
により、プーリおよび調速機ロープがブラケットの一端
に接近することがなくて済むため、調速機ロープがブラ
ケットと接触することを防止できる。

【００１１】また、本発明の請求項２に係る発明は、請
求項１に係る発明において、前記支持部材が、前記レー
ルクリップを介して前記ガイドレールに着脱可能に固定
された構成にしてある。

【００１２】上記のように構成した本発明の請求項２に
係る発明では、テンションウェートの下面から受け台ま
での間隔を調整する際、レールクリップを緩めるのみで
支持部材をガイドレールに沿って移動できるので、この
点からもテンションウェートの傾き調整作業が容易であ
る。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。図１は本発明の一実施形態に係るエ
レベータ調速機のテンションウェート調整装置を示す
図、図２は本実施形態によりテンションウェート傾き調
整作業を行なう状態を説明する図である。

【００１４】図１に示すエレベータ調速機は、昇降路１
の上下方向に配設されるエンドレス状の調速機ロープ２
を有しており、この調速機ロープ２は、昇降路１の上部
の図示しない機械室に設置される他のプーリより垂下さ
れている。

【００１５】そして、本実施形態のテンションウェート
調整装置は、調速機ロープ２の下端が巻掛けられるプー
リ３と、このプーリ３が取付けられる可動リンク４と、
この可動リンク４の自由端に設けられるテンションウェ
ート５と、可動リンク４を軸６を介して回転可能に軸支
するブラケット７と、テンションウェート５の下方に設
けられ、このテンションウェート５と昇降路１の底部床
８間を略鉛直方向に進退可能な受け台９と、昇降路１の
底部床８上に設けられ、受け台９を支持する支持部材１
０とから構成されている。

【００１６】ブラケット７は、昇降路１に立設されるガ
イドレール１１の下部にレールクリップ１２を介して着
脱可能に取付けられている。例えば、調整機ロープ２が
新しい場合、通常、あらかじめ初期伸びを考慮してロー
プ長さを短く設定するため、昇降路１の底部床８より約
８０ｃｍの高さ位置に前記のブラケット７が取付けられ
る。

【００１７】受け台９は、水平面内に配置され、テンシ
ョンウェート５が当接可能な当接板１３と、この当接板
１３の下面中央に上端が溶着され、略鉛直方向に配置さ
れるねじ棒１４と、このねじ棒１４に螺合する固定用ナ
ット１５とからなっている。

【００１８】支持部材１０は、一端側がガイドレール１
１の下部に他のレールクリップ１６を介して着脱可能に
取付けられる長尺状のリンク１７と、このリンク１７の
他端側に図示しないボルトを介して締結されるブラケッ
ト１８とからなり、このブラケット１８は、リンク１７
の側面に当接する側板１９、および当接板１３と対向す
る上板２０からＬ字状に形成されている。前記の側板１
９の異なる高さ位置には、前記の締結用ボルトが螺合可
能な２組のねじ穴２１ａ、２１ｂがそれぞれ設けられて
おり、これらの２組のねじ穴２１ａ、２１ｂを選択的に
用いることにより、受け台９を２段階で上下動させるこ
とができる。前記の上板２０の中央部には、ねじ棒１４
が螺合するねじ穴２２が設けられている。

【００１９】本実施形態にあっては、調速機ロープ２に
伸びが生じた場合、図１に示すようにプーリ３が取付け
られる可動リンク４が傾斜し、この可動リンク４の自由
端に設けられるテンションウェート５が次第に下がるの
で、このテンションウェート５が受け台９の当接板１３
に次第に接近する。その後、調速機ロープ２が著しく伸
びた場合、テンションウェート５が当接板１３に当接す
ることもある。

【００２０】そこで、テンションウェート５の下面から
当接板１３までの間隔が例えば１５０ｍｍより小さくな
った場合、次のような手順でブラケット７を下げて、テ
ンションウェート５の傾きを調整するようになってい
る。すなわち、ブラケット１８の上板２０に対してナッ
ト１５を締め付けた当初の状態からこのナット１５を緩
め、図２に示すように、受け台９を回転させながらテン
ションウェート５の下面がほぼ水平になる位置まで上昇
させて、この状態で受け台９でテンションウェート５を
保持する。次いで、レールクリップ１２を緩めて端部を
図示しないハンマで叩くことによりブラケット７を下げ
た後、レールクリップ１２を再び締め付ける。次いで、
受け台９を逆方向へ回転させながら前記の間隔が例えば
２５０ｍｍとなるまで下げて、ブラケット１８の上板２
０に対してナット１５を再び締め付けることにより、受
け台９をブラケット１８に固定する。

【００２１】また、現在のところ、テンションウェート
５の下面から受け台９の当接板１３までの間隔が所定寸
法の範囲内にあるが、次回の作業日までに調速機ロープ
２の伸びに伴って前記の間隔が所定寸法の範囲を越える
可能性がある場合、次のような手順で予防的な調整が行
なうようになっている。すなわち、ブラケット１８の上
板２０に対してナット１５を締め付けた当初の状態から
このナット１５を緩めた後、受け台９の回転により前記
の間隔を２５０ｍｍに調整して、ブラケット１８の上板
２０に対してナット１５を再び締め付ける。逆に、調速
機ロープ２が縮むことが予想され、前記の間隔が所定寸
法の範囲を越える可能性がある場合、前記の間隔を１５
０ｍｍに調整するようになっている。

【００２２】このように構成した実施形態では、調速機
ロープ２の伸縮に伴って可動リンク４およびテンション
ウェート５が傾いた場合、一人の作業者が受け台９でテ
ンションウェート５を保持した状態で、容易にブラケッ
ト７を上下動させて可動リンク４およびテンションウェ
ート５の傾きを調整できる。さらに、レールクリップ１
６を緩めて支持部材１０をガイドレール１１に沿って下
げることにより、テンションウェート５の下面から受け
台９までの間隔を調整できるので、この点からもテンシ
ョンウェート５の傾き調整作業が容易である。

【００２３】また、本実施形態では、調速機ロープ２に
伸びが生じてテンションウェート５が著しく下がったと
き、このテンションウェート５が当接板１３に当接する
ことにより可動リンク４の傾きを所定範囲内に制限で
き、プーリ３および調速機ロープ２がブラケット７の一
端に接近することがなくて済むため、調速機ロープ２が
ブラケット７と接触することを防止できる。

【００２４】また、本実施形態では、調速機ロープ２が
著しい初期伸びを生じた場合、ガイドレール１１から支
持部材１０および受け台９を取外すことにより、調速機
ロープ２の切り詰めを行なう必要がなくて済む。

【００２５】図３は本発明の他の実施形態に係るエレベ
ータ調速機のテンションウェート調整装置を示す図であ
る。なお、図３において前述した図１、図２に示すもの
と同等のものには同一符号を付してある。

【００２６】図３に示す本実施形態では、前述した図
１、図２に示すものと比べて、支持部材２３の構成が異
なっており、その他の構成は基本的に同様である。すな
わち、支持部材２３は、昇降路１の底部床８に移動可能
に設置される一対の脚部２４と、この一対の脚部２４上
端に取付けられる上板２５とからなり、この上板２５の
中央部には、ねじ棒１４が螺合するねじ穴２６が設けら
れている。

【００２７】このように構成した実施形態であっても、
前述した図１、図２に示すものと同様の効果が得られ
る。

【００２８】なお、本実施形態では、支持部材２３の脚
部２４を昇降路１の底部床８に設置するようにしたが、
さらに図示しないアンカーボルトを介して脚部２４を底
部床８に固定することもできる。

【００２９】

【発明の効果】本発明は以上のように構成したので、一
人の作業者で容易にテンションウェートの傾き調整を行
なえるとともに、調速機ロープに著しい伸びが生じたと
き、調速機ロープがブラケットと接触することに伴う調
速機ロープの切断事故を防止できる。したがって、エレ
ベータ調速機のテンションウェート傾き調整を行なう際
の作業効率や安全性を向上できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施形態に係るエレベータ調
速機のテンションウェート調整装置を示す図である。

【図２】本実施形態によりテンションウェート傾き調整
作業を行なう状態を説明する図である。

【図３】本発明の他の実施形態に係るエレベータ調速機
のテンションウェート調整装置を示す図である。

【符号の説明】

１ 昇降路 ２ 調速機ロープ ３ プーリ ４ 可動リンク ５ テンションウェート ７ ブラケット ８ 底部床 ９ 受け台 １０ 支持部材 １１ ガイドレール １２ レールクリップ １３ 当接板 １４ ねじ棒 １５ ナット １６ レールクリップ １７ リンク １８ ブラケット ２３ 支持部材 ２４ 脚部 ２５ 上板

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 昇降路の上下方向に配設される調速機ロ
   ープの下端が巻掛けられるプーリと、このプーリが回転
   可能に取付けられる可動リンクと、この可動リンクの自
   由端に設けられるテンションウェートと、前記昇降路に
   立設されるガイドレールの下部にレールクリップを介し
   て取付けられ、前記可動リンクを回転可能に軸支するブ
   ラケットとを有するエレベータ調速機のテンションウェ
   ート調整装置において、 前記テンションウェートの下方に設けられ、このテンシ
   ョンウェートおよび前記昇降路の底部床間を略鉛直方向
   に進退可能な受け台と、前記昇降路の底部床上に設けら
   れ、前記受け台を支持する支持部材とを備えたことを特
   徴とするエレベータ調速機のテンションウェート調整装
   置。
2. 【請求項２】 前記支持部材が、前記レールクリップを
   介して前記ガイドレールに着脱可能に固定されたことを
   特徴とする請求項１記載のエレベータ調速機のテンショ
   ンウェート調整装置。