JP2001017195A - 微生物触媒を用いた物質生産方法 - Google Patents

微生物触媒を用いた物質生産方法

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JP2001017195A
JP2001017195A JP18906499A JP18906499A JP2001017195A JP 2001017195 A JP2001017195 A JP 2001017195A JP 18906499 A JP18906499 A JP 18906499A JP 18906499 A JP18906499 A JP 18906499A JP 2001017195 A JP2001017195 A JP 2001017195A
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Koichi Hayakawa
公一 早川
Yoichi Kobayashi
洋一 小林
Masahiro Yokoyama
雅裕 横山
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Nippon Soda Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物触媒を用いた反応において、反応生成
物の生産速度を長期間一定にできる、工業的に有利な物
質生産方法を提供すること。 【解決手段】 α−ヒドロキシニトリル類を相当するα
−ヒドロキシ酸アミド類やα−ヒドロキシ酸アンモニウ
ム塩に変換しうるアースロバクター属等の休止菌体など
の微生物触媒を用いた反応において、一定速度で基質を
添加し、微生物の触媒の反応液中濃度を一定とし、反応
中に微生物触媒の酵素活性が低下した時点で反応温度を
上昇させ反応速度を一定に保持するという昇温コントロ
ールを実施することにより、一定速度で物質生産を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微生物触媒を用い
たα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩等の有用な化学物質
を一定速度で生産する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微生物触媒を用いた物質生産にお
いて、生産速度を一定に維持する方法として、新鮮な微
生物触媒を追加する方法が知られている(Enzyme Catal
ysis in Organic Synthesis, VCH, 1995, p148)。
【0003】他方、α−ヒドロキシニトリル類から微生
物によってα−ヒドロキシ酸アンモニウム塩又はα−ヒ
ドロキシ酸を製造する方法も知られている(特公昭58
−15120号公報、特開昭63−222696号公
報、特開昭64−10996号公報、特開平4−408
97号公報、特開平4−40898号公報、特表平10
−507631号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】工業的に物質生産を行
う上で、反応槽あたりの生産量を一定に維持すること
は、製品の安定出荷、反応コントロールの簡便さという
点で、きわめて有利である。一方、微生物触媒を用いた
連続反応においては、反応槽と分離機を組み合わせた反
応装置が用いられ、微生物触媒を連続的に回収して再使
用すると同時に、生成物を分離ろ液として連続排出する
方式が採用されている。微生物触媒は連続使用すると一
般にその活性が徐々に低下するため、生産速度を一定に
維持するためには、従来、新鮮な微生物触媒を追加する
方法が採用されていた。しかし、微生物触媒の製造コス
トは一般に高価であり、新たな微生物触媒の追加使用は
好ましくない。また、微生物触媒の追加により反応槽の
微生物触媒濃度が上昇すると、分離機の負担が増加し、
反応をコントロールする上で問題がある。
【0005】本発明の課題は、微生物触媒を用いた反応
において、反応生成物の生産速度を長期間一定にでき
る、工業的に有利な物質生産方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため鋭意研究し、微生物触媒の温度に対する
活性変化を詳しく解析した結果、微生物触媒を初期添加
量のみの所定濃度としたまま、基質を一定速度で連続的
に添加し、生成物を一定速度で生産する昇温コントロー
ル法を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち本発明は、微生物触媒を用いた反
応において、反応温度を昇温コントロールすることによ
り、一定速度で物質生産を行うことを特徴とする微生物
触媒を用いた物質生産方法や、微生物触媒を用いた反応
において、微生物触媒の基質を一定速度で添加し、反応
温度を昇温コントロールすることにより、一定速度で物
質生産を行うことを特徴とする微生物触媒を用いた物質
生産方法に関する。
【0008】また本発明は、微生物触媒の反応液中の濃
度が一定であることを特徴とする上記微生物触媒を用い
た物質生産方法や、微生物触媒の反応液中の濃度を一定
とするために、反応槽から排出した反応液中の微生物触
媒を分離回収し、再度反応槽に戻すことを特徴とする上
記微生物触媒を用いた物質生産方法や、昇温が5〜25
℃から選択される温度範囲であることを特徴とする上記
微生物触媒を用いた物質生産方法や、微生物触媒がニト
リラーゼ発現微生物触媒であることを特徴とする上記微
生物触媒を用いた物質生産方法や、ニトリラーゼ発現微
生物がアースロバクター(Arthrobacter)属に属する微
生物であることを特徴とする上記微生物触媒を用いた物
質生産方法に関する。
【0009】さらに本発明は、微生物触媒を用いた反応
が、一般式 RCN(式中、Rは、水素原子、置換基を
有してもよいC1〜C6のアルキル基、置換基を有しても
よいC2〜C6のアルケニル基、置換基を有してもよいC
1〜C6のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール
基、置換基を有してもよいアリールオキシ基又は置換基
を有してもよい複素環基を示す。)で表されるニトリル
化合物を、微生物の触媒作用により水性溶媒中で加水分
解して、一般式 RCONH2(式中、Rは前記と同一
の意味を示す。)で表されるアミド化合物、又は一般式
RCOO-NH4 +(式中、Rは前記と同一の意味を示
す。)で表されるカルボン酸アンモニウム塩化合物に変
換する反応であることを特徴とする上記の微生物触媒を
用いた物質生産方法や、微生物触媒を用いた反応が、一
般式 R′CH(OH)CN(式中、R′は、水素原
子、置換基を有してもよいC1〜C6のアルキル基、置換
基を有してもよいC2〜C6のアルケニル基、置換基を有
してもよいC1〜C6のアルコキシ基、置換基を有しても
よいアリール基、置換基を有してもよいアリールオキシ
基又は置換基を有してもよい複素環基を示す。)で表さ
れるα−ヒドロキシニトリル化合物を微生物の触媒作用
により水性溶媒中で加水分解して、一般式 R′CH
(OH)CONH2(式中、R′は前記と同一の意味を
示す。)で表されるα−ヒドロキシ酸アミド化合物、又
は一般式 R′CH(OH)COO-NH4 +(式中、
R′は前記と同一の意味を示す。)で表されるα−ヒド
ロキシ酸アンモニウム塩化合物に変換する反応であるこ
とを特徴とする上記の微生物触媒を用いた物質生産方法
に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の微生物触媒を用いた物質
生産方法は、微生物触媒を用いた反応において、反応温
度を昇温コントロールすることにより、好ましくは、微
生物触媒の基質を一定速度で添加し、微生物触媒の反応
液中の濃度を一定とし、反応温度を昇温コントロールす
ることにより、一定速度で物質生産を行うことを特徴と
する。
【0011】本発明において微生物触媒とは、ニトリラ
ーゼ活性をはじめとする加水分解酵素活性、酸化還元酵
素活性、転移酵素活性、異性化酵素活性、分裂酵素活
性、結合酵素活性等の酵素活性を有する微生物由来のも
のであればどのようなものでもよく、微生物菌体や、固
定化微生物、粗酵素、固定化酵素等の微生物処理物を例
示することができる。また、微生物触媒が微生物菌体や
固定化微生物などの場合、生菌体であっても死菌体であ
っても特に限定されるものではない。
【0012】かかる微生物触媒としては、微生物触媒の
酵素活性低下率と反応速度の温度依存率との関係におい
て、昇温による反応速度の上昇率が活性低下率を上回る
微生物触媒が好ましく、その具体例としては、α−ヒド
ロキシニトリル類を相当するα−ヒドロキシ酸アンモニ
ウム塩に変換しうるアースロバクター(Arthrobacter)s
p. NSSC104(FERM P-15424)の休止菌体を挙げることが
できる。
【0013】また、微生物触媒における微生物として
は、上記アースロバクターsp. NSSC104以外のアースロ
バクター属に属する微生物や、カゼオバクター(Caseob
acter)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、アルカリ
ゲネス(Alcaligenes)属、コリネバクテリウム(Coryneba
cterium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、
ノカルジア(Nocardia)属、ロドコッカス(Rhodococcus)
属、ゴルドナ(Gordona)属、バチルス(Bacillius)属、バ
クテリジウム(Bacteridium)属、ミクロコッカス(Microc
occus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属に属す
る微生物を例示することができる。
【0014】本発明における微生物触媒を用いた反応
は、水性溶媒下で休止菌体反応として実施することが好
ましい。また、休止菌体反応の場合、微生物触媒の反応
液中濃度は、生産物の種類、微生物触媒の特性により、
任意に選択することができ、通常乾燥菌体として、0.
1〜10.0重量%の範囲から選択されるが、微生物触
媒の反応液中の濃度が一定であることが、物質生産コス
トや生産操作上好ましい。例えば、反応槽から排出した
反応液中の微生物触媒を分離回収し、この回収された微
生物触媒を再度反応槽に戻すことにより、微生物触媒の
反応液中の濃度を一定とすることができる。微生物触媒
の製造コストは一般に高価であり、また、微生物触媒の
追加により反応槽の微生物触媒濃度が上昇すると、分離
機の負担が増加し、微生物触媒反応のコントロールが複
雑となる。
【0015】微生物触媒反応のpHは、微生物触媒の種
類により異なるが、通常pH5〜10の範囲から選択さ
れ、反応液に酸やアルカリを添加することにより、反応
液のpHは所定の一定値に保たれるが、微生物触媒によ
っては反応中のpHを必ずしも一定に保たなくてもよい
場合がある。
【0016】本発明において反応温度の昇温コントロー
ルとは、反応温度を昇温することで、微生物触媒の酵素
活性を一定にコントロールすることをいい、反応温度を
昇温コントロールすることにより、一定速度で物質生産
を行うことが可能となる。また、昇温コントロール条件
は、酵素活性低下率と反応速度の温度依存率を解析する
ことにより決定することができるが、反応液中の基質濃
度や生成物濃度を測定することにより具体的に求めるこ
とができる。そして、反応温度の昇温の程度は、微生物
触媒の種類や特性及び生産速度維持期間により適宜選択
することができるが、通常5〜25℃であり、その中で
も10〜20℃が好ましい。また、微生物触媒反応は、
0〜50℃、好ましくは20〜40℃から選択される温
度範囲内の所定の範囲で行われる。
【0017】本発明において、一定速度で物質生産を行
うとは、反応速度を実質的に一定とし、反応液単位体積
当たりの生成物の生産速度を実質的に一定に保持して物
質生産を行うことをいい、一定速度で物質生産を行うこ
とにより、工業的に物質生産を行う上で、反応槽あたり
の生産量を一定に維持することが可能となり、製品の安
定出荷、反応コントロールの簡便さという点できわめて
有利である。そして、酵素反応における反応速度は原料
(基質)濃度が高い程最大反応速度に近くなるが、原料
(基質)が高い程反応液中の残存率も高くなることか
ら、生成物の収率等の生産性の点から原料(基質)濃度
を決定することが好ましい。
【0018】次に、攪拌型反応槽と分離機を組み合わせ
た反応装置を用いる場合を例にとって、本発明の微生物
触媒を用いた物質生産方法について説明する。反応槽中
の水性溶媒に微生物触媒を所定濃度となるように投入
し、次いで一定速度で原料基質の添加を開始する。原料
基質の添加と同時に反応が始まり、生成物が所望の濃度
まで反応液中に蓄積したところで、分離機の運転を開始
し、微生物触媒と生成物の分離処理が行われる。分離処
理により、回収された微生物触媒は、連続的に反応槽へ
全量戻され、一方反応液中の生成物は、一定速度で連続
的に系外に排出されていく。この分離処理の開始時に
は、一定速度での基質の添加を継続すると同時に、生成
物蓄積濃度を一定に維持するための濃度調整用に、水又
は有機溶媒含有水溶液からなる水性溶媒を一定速度で添
加することが好ましい。
【0019】微生物触媒反応を継続する過程で、反応液
中の微生物触媒は反応条件に依存したある速度で活性が
低下するので、この活性低下分を反応温度を上昇させる
ことで補い、反応温度を昇温コントロールすることが一
定速度で物質生産を行う上で必要である。反応温度の昇
温コントロールは、分離処理後の生成物含有溶液中の残
存基質濃度及び生成物蓄積濃度を、高速液体クロマトグ
ラフィー等により連続的又は間欠的に検知し、この値が
一定になるように反応槽の温調システムをプログラムす
ることにより行われる。反応速度が一定に保てる期間
は、微生物触媒の活性低下分が反応温度上昇による反応
速度増加で相殺しうる期間継続可能であり、微生物触媒
それぞれの特性により異なるが、通常10日〜3ヵ月程
度である。
【0020】また、生成物と微生物触媒の分離に用いら
れる前記分離機としては、膜分離機や遠心分離機等を用
いることができる。生成物と微生物触媒の分離におい
て、生成物が水性溶媒中に溶解している場合は、遠心分
離機又は精密ろ過膜や限外ろ過膜等の膜分離機で容易に
分離することができる。生成物が水性溶媒中に溶解して
いない場合は、微生物触媒の粒径と生成物の粒径の中間
の孔径を有するろ過膜を使用することにより両者を分離
することができる。なお、反応装置としては、上記攪拌
型反応槽と分離機を組み合わせたものの他に、攪拌型反
応槽と分離機が一体化された膜型リアクター等のプラグ
フローリアクターも採用することができる。
【0021】生成物含有溶液からの生成物の分離は、生
成物が水性溶媒に溶解している場合は、例えば水性溶媒
を蒸発濃縮することにより、また、生成物が水性溶媒に
溶解していない場合は、固液分離機等を用いて行うこと
ができる。さらに、精製が必要な場合は、有機溶媒抽
出、蒸留、再結晶等、通常の精製手段を用いて行うこと
ができる。
【0022】次に、本発明の微生物触媒を用いた物質生
産方法を実生産に適用する場合の物質生産プラントの一
例を図1として示す。この物質生産プラントは反応槽1
と反応槽1に具備さられた温調システム2と膜分離機3
とろ液貯槽4と洗浄槽5と廃菌体貯槽6と遠心分離機7
と複数個のポンプ8と三方弁9とそれらを連結する配管
10とから構成されており、前述のように、温調システ
ム2によって昇温コントロールができる反応槽1と膜分
離機3で連続反応を行い、膜分離機3によりろ液と分離
された微生物触媒は回収されて反応槽1に戻され、他方
ろ液はろ液貯槽4に回収される。反応が終了すると、反
応液はすべて洗浄槽5に移送され、反応液中の微生物触
媒は膜分離機3によりろ液と分離され、洗浄槽5におい
て水洗浄され、洗浄水は上記ろ液と同様にろ液貯槽4に
回収される。洗浄後の廃菌体は遠心分離機7で脱水さ
れ、廃菌体貯槽6に送られる。
【0023】
【実施例】以下、実施例により詳細に説明するが、本発
明はこれらの実施例により限定されるものではない。な
お、生成物の収量は、得られた生成物重量又は生成物を
含有する水性溶媒溶液容量を測定し、更に高速液体クロ
マトグラフィー又はガスクロマトグラフィー等で、残存
基質濃度と生成物濃度を測定することにより求めた。ア
ンモニア分はNADH〜グルタミン酸脱水素酵素を用いる紫
外部吸光度測定法(Methods of Enzymatic Analysis, B
ergmeyer H. U. ed., 3rd ed., vol.8, pp.454-461)に
より定量した。
【0024】[実施例1]限外ろ過(UF)膜分離機、
自動希釈装置、オートインジェクター付きのオンライン
高速液体クロマトグラフィー装置、pHコントローラー
を備えた300ml容攪拌型反応槽に、微生物触媒とし
てあらかじめ培養しておいたArthrobactersp. NSSC104
の35%湿菌体245.4g(乾燥重量として17.2
g)を添加し、さらに水29.8mlで希釈した。この
反応槽に基質として2−ヒドロキシ−4−メチルチオブ
チロニトリルを0.227g/minの速度で連続的に
添加し、反応温度21℃で反応を開始し、合計で51.
8g加え終わった時点から、水を0.945g/min
の速度で連続的添加を開始した。
【0025】2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニ
トリルの0.227g/minによる連続添加を継続し
ながら、反応槽から反応液を膜分離機に導き、反応液中
の微生物触媒を膜分離機で分離回収して反応槽に戻すと
同時に、膜分離機からの透過ろ液を1.173g/mi
nの速度で排出した。また反応中を通して、pHを7.
0に保つように、28%アンモニア水を添加した。この
連続反応の間、生成物である2−ヒドロキシ−4−メチ
ルチオブタン酸アンモニウム塩の生成速度が一定となる
ように、2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリ
ルの反応液中濃度をオンライン高速液体クロマトグラフ
ィーにより検知し、約0.2重量%を越えるとその都度
反応温度を上昇させ、約0.2重量%になるように昇温
コントロールを実施した。かくして、2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブタン酸アンモニウム塩を約22重量%
含有する膜透過ろ液が、上記一定速度で排出され、27
日間の連続反応を通じて、全量で47.3kgの膜透過
ろ液を回収した。また、反応温度は最終日までに14℃
昇温して35℃となっていた。生産速度と反応温度の経
時変化を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】この27日間の連続反応終了後、反応槽及
び反応配管系に存在する滞留液を膜濃縮洗浄し、53
4.5gの洗浄膜透過ろ液を別途回収した。高速液体ク
ロマトグラフィーにより、連続反応中に得られた膜透過
ろ液及び別途回収した洗浄膜透過ろ液中の、基質である
2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリルの濃度
を分析したところ、それぞれ0.25重量%及び0.1
2重量%残存し、同様に生成物である2−ヒドロキシ−
4−メチルチオブタン酸の濃度を分析したところ、それ
ぞれ20.00重量%及び9.35重量%存在し、また
同様に副生物である2−ヒドロキシ−4−メチルチオブ
タン酸アミドの濃度を分析したところ、それぞれ0.0
7重量%及び0.03重量%存在していた。用いた基質
2−ヒドロキシ−4−メチルチオブチロニトリルの純度
が95.0重量%であったころから、生成物のモル収率
及び基質の残存率を計算すると、それぞれ95.0%及
び1.35%であった。なお、膜透過ろ液及び洗浄膜透
過ろ液中のアンモニア分を酵素法で測定したところ、そ
れぞれ2.28重量%及び1.07重量%であった。
【0028】上記で得られた膜透過ろ液及び洗浄膜透過
ろ液を合体し、10分の1量のトルエンで洗浄した後、
水層部分をロータリーエバポレーターを用いて、50〜
70mmHg、バス温50℃で、13.5kgまで濃縮
した。この濃縮液を高速液体クロマトグラフィーで分析
したところ、基質である2−ヒドロキシ−4−メチルチ
オブチロニトリルが0.06重量%残存し、生成物であ
る2−ヒドロキシ−4−メチルチオブタン酸が70.4
4重量%存在し、副生物として2−ヒドロキシ−4−メ
チルチオブタン酸アミドが0.23重量%、2−ヒドロ
キシ−4−メチルチオブタン酸の2分子縮合エステル体
である鎖状ダイマーが0.15重量%存在した。この濃
縮後における、生成物のモル収率及び基質の残存率を計
算すると、95.0%及び0.09%であった。なお、
アンモニア分は酵素法で測定したところ、7.18重量
%であった。この値から、基質の2−ヒドロキシ−4−
メチルチオブチロニトリルは濃縮操作で分解留去するこ
とが確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明によると、高価な微生物触媒を新
たに追加することなく、反応開始時に添加した微生物触
媒を全量回収し、反応温度の昇温コントロールにより、
反応槽あたりの生成物生産速度を長期間一定に維持する
ことができ、高価な微生物触媒を有効に利用し、有用物
質を高収率で生産することができるばかりでなく、工業
的に有利な安定生産を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の微生物触媒を用いた物質生産方法を
実生産に適用する場合の物質生産プラントを示す模式図
である。
【符号の説明】
1 反応槽 2 温調システム 3 膜分離機 4 ろ液貯槽 5 洗浄槽 6 廃菌体貯槽 7 遠心分離機 8 ポンプ 9 三方弁 10 配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 雅裕 神奈川県小田原市高田345 日本曹達株式 会社小田原研究所内 Fターム(参考) 4B064 AE02 AE61 CA02 CA21 CC03 CC06 CC08 CC10 CD12 DA16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微生物触媒を用いた反応において、反応
    温度を昇温コントロールすることにより、一定速度で物
    質生産を行うことを特徴とする微生物触媒を用いた物質
    生産方法。
  2. 【請求項2】 微生物触媒を用いた反応において、微生
    物触媒の基質を一定速度で添加し、反応温度を昇温コン
    トロールすることにより、一定速度で物質生産を行うこ
    とを特徴とする微生物触媒を用いた物質生産方法。
  3. 【請求項3】 微生物触媒の反応液中の濃度が一定であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の微生物触媒を
    用いた物質生産方法。
  4. 【請求項4】 微生物触媒の反応液中の濃度を一定とす
    るために、反応槽から排出した反応液中の微生物触媒を
    分離回収し、再度反応槽に戻すことを特徴とする請求項
    3記載の微生物触媒を用いた物質生産方法。
  5. 【請求項5】 昇温が5〜25℃から選択される温度範
    囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載
    の微生物触媒を用いた物質生産方法。
  6. 【請求項6】 微生物触媒がニトリラーゼ発現微生物触
    媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載
    の微生物触媒を用いた物質生産方法。
  7. 【請求項7】 ニトリラーゼ発現微生物がアースロバク
    ター(Arthrobacter)属に属する微生物であることを特
    徴とする請求項6記載の微生物触媒を用いた物質生産方
    法。
  8. 【請求項8】 微生物触媒を用いた反応が、一般式 R
    CN(式中、Rは、水素原子、置換基を有してもよいC
    1〜C6のアルキル基、置換基を有してもよいC2〜C6
    アルケニル基、置換基を有してもよいC1〜C6のアルコ
    キシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有
    してもよいアリールオキシ基又は置換基を有してもよい
    複素環基を示す。)で表されるニトリル化合物を、微生
    物の触媒作用により水性溶媒中で加水分解して、一般式
    RCONH2(式中、Rは前記と同一の意味を示
    す。)で表されるアミド化合物、又は一般式 RCOO
    -NH4 +(式中、Rは前記と同一の意味を示す。)で表
    されるカルボン酸アンモニウム塩化合物に変換する反応
    であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の
    微生物触媒を用いた物質生産方法。
  9. 【請求項9】 微生物触媒を用いた反応が、一般式
    R′CH(OH)CN(式中、R′は、水素原子、置換
    基を有してもよいC1〜C6のアルキル基、置換基を有し
    てもよいC2〜C6のアルケニル基、置換基を有してもよ
    いC1〜C6のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリ
    ール基、置換基を有してもよいアリールオキシ基又は置
    換基を有してもよい複素環基を示す。)で表されるα−
    ヒドロキシニトリル化合物を微生物の触媒作用により水
    性溶媒中で加水分解して、一般式R′CH(OH)CO
    NH2(式中、R′は前記と同一の意味を示す。)で表
    されるα−ヒドロキシ酸アミド化合物、又は一般式
    R′CH(OH)COO-NH4 +(式中、R′は前記と
    同一の意味を示す。)で表されるα−ヒドロキシ酸アン
    モニウム塩化合物に変換する反応であることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれか記載の微生物触媒を用いた物
    質生産方法。
JP18906499A 1999-07-02 1999-07-02 微生物触媒を用いた物質生産方法 Pending JP2001017195A (ja)

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