JP2001011514A - 大量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬方法及び装置 - Google Patents

大量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬方法及び装置

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JP2001011514A
JP2001011514A JP17921099A JP17921099A JP2001011514A JP 2001011514 A JP2001011514 A JP 2001011514A JP 17921099 A JP17921099 A JP 17921099A JP 17921099 A JP17921099 A JP 17921099A JP 2001011514 A JP2001011514 A JP 2001011514A
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smelting furnace
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Katsuhiro Iwasaki
克博 岩崎
Shinichi Isozaki
進市 磯崎
Masahiro Kawakami
正弘 川上
Mitsuhiro Yamanaka
光弘 山中
Takeshi Sekiguchi
関口  毅
Masayuki Watabe
雅之 渡部
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属鉱石の大型溶融還元炉で大量生産すると
きに、高二次燃焼及び高着熱効率を達成するための送酸
用ランスとそのノズルの適性条件を見い出す。 【解決手段】 溶融スラグ浴部の水平断面積aが10m
2から30m2 未満の場合、又は製錬炉の鉄皮で囲まれ
た水平断面積Aが20m2以上40m2未満の場合は、多
孔ノズルを1本使用し、aが30m2 以上又はAが4
0m2以上の場合は、多孔ノズルを複数本使用する。ノ
ズル孔の総数ntotalをa<ntotal≦3aとする。更
に、ノズル孔は前記吹錬ランスの先端から600mm以
内の高さに配置する。更に、溶融物滞留部の容積Vのと
き、ランスの本数Nを1+Int(V/60)≦N≦3
×Int{(V/60)2 }とするか、V>60m2
のとき、0.6V≦ntotal≦2Vとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属鉱石の溶融
還元過程で当該製錬炉内で生成した可燃性ガスを酸素含
有ガスで二次燃焼させ、燃焼熱を効率的に回収する技術
に関するものであり、特に、鉄鉱石の溶融還元プロセス
において、炉内二次燃焼効率を高め、しかも、二次燃焼
により発生した熱を金属溶湯に効率よく着熱させる技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄鉱石の溶融還元技術は、製錬炉におい
て鉄鉱石を炭材の燃焼で溶融すると共に、当該炭材で還
元して、溶銑を製造する技術である。従って、鉄鉱石の
溶融還元法は、高炉設備で鉄鉱石をコークスで還元して
溶銑を製造する高炉製銑法に部分的に代替し得るもので
ある。高炉製銑法は、高炉の建設費が高く、広大な敷地
が必要であるという欠点と、高炉用コークスの製造に高
粘結炭の原料炭を必要とする。ところが原料炭は将来的
に枯渇する懸念がある。これに対して一般炭の埋蔵量は
豊富であり、そのような心配はない。また、コークス炉
及び焼結設備は環境規制が厳しいので公害対策設備完備
に多額の費用を要し、ますます建設しにくくなってい
る。鉄鉱石の溶融還元法は、将来、上記問題を解決し得
る技術として期待され、近年その技術開発が行なわれて
いる。
【0003】鉄鉱石の溶融還元法による溶銑製造が効果
的に行なわれるようになるためには、従来よりも生産能
力の大きな生産設備を前提とした溶銑製造技術の確立が
重要である。その場合に解決しなければならない問題と
して、炉内二次燃焼技術及び二次燃焼熱の溶湯への着熱
技術を確立して、溶銑を安価に大量生産することが重要
なテーマの一つである。LD転炉製鋼や鉄鉱石の溶融還
元における上記高二次燃焼技術及び高着熱技術について
は、例えば下記技術が実施され、あるいは提案されてい
る。
【0004】特開平1−255610号公報及び特開平
1−255610号公報には、下記鉄の溶融還元方法が
提案されている。即ち、製錬炉として円筒横形炉体を採
用し、底壁に複数本のノズルを炉長方向に設け、これか
ら鉄浴中に撹拌用ガスを吹込む。一方、製錬炉上部から
は下方に向けて、鉄浴上のスラグ浴層下部に到達するよ
うに下向きに複数本のランスを炉長方向に設け、これか
ら鉄浴中に酸素ガスを吹き込んで溶鉄を脱炭し、こうし
て発生したCOガスをスラグ浴中で高率で二次燃焼させ
るために、上記ランスから水平方向に、又は炉側壁にラ
ンスを設けてこれから水平方向に、いずれの場合もスラ
グ浴中に二次燃焼用酸素ガスを吹き込む。この二次燃焼
で発生した熱を上記撹拌ガスの作用により溶鉄に効率よ
く着熱させる。こうした鉄鉱石の溶融還元方法を提案し
ている(以下、「先行技術1」という)。
【0005】上記先行技術1は、炉内での二次燃焼が行
なわれる反応領域に偏りが生じないようにするために多
数の吹錬ランスを炉長方向に並べ、一方、二次燃焼用酸
素をスラグ浴の下部領域に水平方向に噴射させることに
より、二次燃焼率を向上させようとしている。更に、炉
底から撹拌ガスを吹き込んで、スラグ内に発生した二次
燃焼熱の溶鉄への着熱効率を向上させようとしている。
【0006】他方、製錬炉内への送酸用ランスとそのノ
ズルに改良を加え、二次燃焼率及び二次燃焼着熱効率の
向上を図ろうとするものが提案されている。例えば、特
許番号第2596000号公報には、転炉型形状の鉄鉱
石溶融還元炉において、鉄鉱石の還元及び溶融鉄の脱炭
を主目的とする脱炭用ノズルと、二次燃焼用ノズルとを
分け、これに伴ない各ノズル孔から噴出させる酸素ガス
の供給・制御系も分け、その上でノズル孔からの酸素ガ
ス噴出方向をそれぞれ、還元及び脱炭目的と、二次燃焼
目的とに適合させたものが開示されている。即ち、脱炭
用ノズルの酸素ガス吐出角度は、鉛直なランスの下向き
軸線に対して15°以下とし、一方、二次燃焼用ノズル
の酸素ガス吐出角度は、同じ鉛直なランスの下向き軸線
に対して30〜45°とし、しかも脱炭用ノズルよりも
ランスの外周側に設けている。このようにして、両目的
の酸素ガス噴流が衝突しないようにして各機能を分担さ
せている(以下、「先行技術2」という)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明の溶融還元法
による溶銑生産量は、少なくとも日産一炉当たり約50
0トン程度以上であり、3000トン程度までの生産量
を目標とするものである。近年、我が国においては、高
炉による溶銑は日産一基の高炉で、例えば1万トンない
しそれ以上を生産しているのに比べれば、溶融還元法に
よる溶銑の生産規模は小規模である。しかしながら、設
備費及び操業運転費が低価格で広大な土地が不要である
等の有利性がある。ところが、従来研究開発されている
溶融還元炉の生産規模は、日産500トン/炉・日程度
以下であり、この溶銑生産量規模を溶融還元炉の炉腹部
内容積の水平断面積a’に換算した概数で示すと、約1
0m 2 程度以下になる。これに対して、この発明が目
標とする生産量約500トン/炉・日以上にあっては、
溶融還元炉の炉腹部における上記水平断面積(以下、
「炉腹部水平断面積」という)を10m2 程度以上に
増やす必要がある。そして、2000〜3000トン/
炉・日以上にあってはそれを70〜100m2程度に大
きくしなければするならない。
【0008】このように、炉腹部水平断面積を増大させ
る際にはいくつかの解決しなければならない問題があ
る。その中で、炉内二次燃焼率を少なくとも現在の溶融
還元炉における水準を確保しつつ、且つ、二次燃焼熱の
溶鉄への着熱効率を望ましい水準に確保する。従って、
この発明の目的は、従来よりも大量生産が可能な大型溶
融還元炉の操業技術及び設備設計技術に関し、炉内二次
燃焼率とその二次燃焼熱の溶鉄への着熱効率を高水準に
確保する技術を開発することにより、大量生産に適した
金属鉱石の溶融還元製錬方法及び装置を提供することに
ある。
【0009】上記本願発明が目標とする生産量規模の溶
融還元技術の開発に対して、上述した先行技術では、下
記問題がある。先行技術1及び2はいずれも、日産50
0トン/炉・日程度以下のいわば比較的小規模生産用の
溶融還元炉であり、この発明が目指すような大規模生産
用の溶融還元炉に応用するには、下記問題がある。即
ち、先行技術1の方法によると、溶鉄の脱炭速度が大き
過ぎ、二次燃焼率の向上が十分でない。また、炉底から
の撹拌ガス吹込みによる二次燃焼熱の溶鉄への着熱効率
向上手段では、本願発明が目標とする程度の大型溶融還
元炉に適用する場合には、炉底ノズルの耐火物の損耗が
著しく、その補修により製錬炉稼働率の低下をきたす。
【0010】これに対して、先行技術2のように、一本
の上吹き吹錬ランスで大型溶融還元炉の製錬用酸素量を
確保する場合には、所要ランス径が著しく大きくなる。
試算によれば、ランス径は800mmφ程度の大径のも
のが必要となる。吹錬ランスは、これに高温下での熱応
力・熱負荷に耐えうる冷却能力を付与しようとすると、
現状技術で製造可能な最大径は、現状の大型酸素転炉用
ランスの最大径である400mmφ程度よりも更に大き
いせいぜい600mmφ以下である。このランス径の場
合には、ランス1本当たりのノズル孔数は現状のランス
製作技術から、その下端部及びその周辺部に凡そ40〜
60孔/本が上限であり、将来的にもせいぜい70〜8
0孔/本程度であると推測される。従って、大型溶融還
元炉に採用する吹錬ランスは一本の上吹き吹錬ランス形
態は採用できない。
【0011】そこで、先行技術2の吹錬ランス形態を先
行技術1に適用して、多数本の吹錬ランスを設けた場合
を考えると、当該ランスの冷却水への抜熱が大きくな
る。従って、製錬炉への装入炭材の原単位等が上昇して
運転コストが高くなる。また、ランス本数が多くなるほ
ど設備費も高くなる。今、単孔ランスを30本使う場合
と、ランス1本に同数のノズル孔の30孔を有する場合
とを比較すると、自ずからわかるように、単孔ランス3
0本とする方が設備費及びヒートロスは圧倒的に増大す
るので望ましくない。
【0012】また、パネル方式を採用して水冷パネルに
多数のノズルを埋め込んだ形態をとる場合は、ランス方
式と異なり、冷却水の水路の設計及び冷却水流速をラン
スノズル並みにとることは困難なため、ノズル寿命が低
下してしまい望ましくない。
【0013】本発明者等は、溶融還元炉内の炉腹部にお
けるスラグ浴部の水平断面積が10m2 以上の大型溶
融還元炉を前提として、高二次燃焼率及び高着熱効率を
達成することができる送酸用ランスと当該ランスに設け
るノズルの適性条件を見い出すことを課題とした。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記観点
から試験研究を重ねた結果、下記知見を得た。即ち、鉄
鉱石の溶融還元において高二次燃焼率と高着熱効率とを
同時に達成するためには、酸素ガスを鉄浴部へ当てず
に、できるだけスラグ浴中へ供給するようにして二次燃
焼させること、及び、スラグ層を二次燃焼熱の鉄浴への
熱媒体とみた場合には、ノズル孔数を適切に増やして、
スラグ浴中での二次燃焼領域をスラグ浴の全領域にわた
り形成させ、且つできるだけ均等に分布させることによ
り、伝熱面積を増加させ、対流伝熱を促進する。こうし
て、スラグ浴中で二次燃焼し、発生した燃焼熱を金属溶
湯に効率よく着熱させることが可能である。
【0015】そして、上記事項を達成するためには、ス
ラグ浴部の水平断面積の広さに応じて、送酸ランス本数
を適切に増やし、且つ送酸ランスのノズル孔数を適切に
増やすことが重要である。しかもそのノズル孔配置は、
送酸ランスの先端ないしその近傍に設けることが望まし
い。その理由は、上記高着熱効率を得るためには、ノズ
ル孔の位置がスラグ浴部から上方に離れるほど、O2
ガス並びに燃焼ガスジェットが、熱媒体である溶融スラ
グに接触し難くなり、伝熱面積が大幅に減少していくこ
とになるので、滞留伝熱の阻害要因となる。このよう
に、高着熱効率実現に対して不利となるからである。
【0016】本発明者等の実験結果によれば、送酸ラン
スを実質的に鉛直に装着した場合、送酸ランス先端即ち
下端から300mm程度の範囲内にノズル孔を配置する
のが望ましく、少なくとも600mm程度の範囲内にそ
れを配置する必要がある。ところが、現状では送酸ラン
スの製作には上述した通りの技術的困難がある。従っ
て、溶融還元炉内スラグ浴部の水平平均断面積が一定値
よりも大きくなると、送酸ランス本数は複数本にし、ま
たスラグ浴部の水平断面積あるいはスラグと金属溶湯と
を合わせた浴部全体の容積の増大程度に応じて、適切に
その本数を増やす必要があることがわかった。
【0017】更に、上述したスラグ浴部の水平平均断面
積、及び、スラグ浴部と金属溶湯との合計浴部の体積に
応じて、製錬炉の外周を構成する鉄皮の寸法諸元の適正
値を勘案し、ランス本数とノズル孔数を決めることがで
きることもわかった。
【0018】この発明は上記知見に基づきなされたもの
であり、下記を要旨とする。
【0019】請求項1記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬方法は、酸化物系金属鉱石及び又は水酸
化物系金属鉱石と炭材と造滓材とを製錬炉に装入し、前
記製錬炉内に酸素含有ガスを供給し、前記炭材を前記酸
素含有ガスで燃焼させ前記金属鉱石を溶融還元して、金
属溶湯を得る金属鉱石の溶融還元製錬方法において、前
記製錬炉として、当該製錬炉内に形成される溶融スラグ
浴部の炉腹部の高さ範囲における水平断面積の最大値a
が、30m2 以上になるような製錬炉を使用し、前記
酸素含有ガスの吹込み方法として、前記酸素含有ガスが
噴射されるノズル孔を少なくとも3孔以上の複数個有す
る吹錬ランスを複数本使用して、当該吹錬ランスから前
記酸素含有ガスを前記製錬炉内に形成されたスラグ浴内
部に吹き込み、高二次燃焼率の製錬を行なうと共に、二
次燃焼により発生した熱を前記製錬炉内金属溶湯に対し
て高着熱率で付加する操業を行なうことに特徴を有する
ものである。
【0020】請求項2記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬方法は、酸化物系金属鉱石及び又は水酸
化物系金属鉱石と炭材と造滓材とを製錬炉に装入し、前
記製錬炉内に酸素含有ガスを供給し、前記炭材を前記酸
素含有ガスで燃焼させ前記金属鉱石を溶融還元して、金
属溶湯を得る金属鉱石の溶融還元製錬方法において、前
記製錬炉として、当該製錬炉内に形成される溶融スラグ
浴部の炉腹部の高さ範囲における水平断面積の最大値a
が、10m2 から30m2 未満になるような製錬炉を
使用し、前記酸素含有ガスの吹込み方法として、前記酸
素含有ガスが噴射されるノズル孔を少なくとも3孔以上
の複数個有する吹錬ランスを1本使用して、当該吹錬ラ
ンスから前記酸素含有ガスを前記製錬炉内に形成された
スラグ浴内部に吹き込み、高二次燃焼率の製錬を行なう
と共に、二次燃焼により発生した熱を前記製錬炉内金属
溶湯に対して高着熱率で付加する操業を行なうことに特
徴を有するものである。
【0021】請求項3記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬方法は、酸化物系金属鉱石及び又は水酸
化物系金属鉱石と炭材と造滓材とを製錬炉に装入し、前
記製錬炉内に酸素含有ガスを供給し、前記炭材を前記酸
素含有ガスで燃焼させ前記金属鉱石を溶融還元して、金
属溶湯を得る金属鉱石の溶融還元製錬方法において、前
記酸素含有ガスの吹込み方法として、前記酸素含有ガス
が噴射されるノズル孔を複数個有する吹錬ランスを使用
し、当該ノズル孔の総数ntotal は、前記製錬炉内に
形成されたスラグ浴部の水平断面積の最大値aとの間
に、下記(1)式の関係を満たす製錬装置を使用して、
前記吹錬ランスから前記酸素含有ガスを前記スラグ浴内
部に吹き込み、高二次燃焼率の製錬を行なうと共に、二
次燃焼により発生した熱を前記製錬炉内金属溶湯に対し
て高着熱率で付加する操業を行なうことに特徴を有する
ものである。ここで、 a<ntotal≦3a −−−−−−−−−−−−−−−−(1) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) a :溶融スラグ浴部の水平平均断面積(m2 ) である。
【0022】請求項4記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬装置は、酸化物系金属鉱石及び又は水酸
化物系金属鉱石と炭材と造滓材とを装入し、これらの装
入物に酸素含有ガスを供給して前記金属鉱石を溶融還元
するための製錬炉と、当該製錬炉内の前記装入物に前記
酸素含有ガスを供給するための酸素供給装置とを含む装
置群からなる金属鉱石の溶融還元製錬装置において、前
記製錬炉は、当該製錬炉内に形成される溶融スラグ浴の
下端面から上端面までの高さ方向位置範囲に相当する当
該製錬炉の外周面を形成する鉄皮で囲まれた内部の水平
断面積の最大値Aが、20m2 以上である炉腹部を有
し、そして、前記酸素供給装置は、(イ)前記精錬炉の
前記水平断面積の最大値Aが20m2 以上40m2
満の場合には、前記酸素含有ガスを前記精錬炉内に吹き
込むノズル孔を複数個備えた吹錬ランスを1本備えてお
り、そして、(ロ)前記製錬炉の前記水平断面積の最大
値Aが40m2 以上の場合には、前記酸素含有ガスを
前記製錬炉内に吹き込むノズル孔を複数個備えた吹錬ラ
ンスを複数本備えており、このようにして高二次燃焼率
操業を行なうと共に、二次燃焼熱の高着熱率付加操業を
行なう機能を有することに特徴を有するものである。
【0023】請求項5記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬装置は、請求項4記載の発明において、
前記製錬炉の前記鉄皮内側水平断面積の最大値Aが40
2以上であって、前記吹錬ランスの本数Nが、前記水
平断面積の最大値Aとの間に下記(2)式の関係を満た
すことに特徴を有するものである。ここで、 1+Int(A/40)≦N≦1+Int{3(A/40)2 } −−−−−−−−−−−−−−−−(2) 但し、N:吹錬ランスの本数(本) A:炉腹部鉄皮内側の水平最大断面積(m2 ) Int:インテジャー関数−−−実数の少数部分を切り
捨てて整数化する。
【0024】請求項6記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬装置は、請求項4または5記載の発明に
おいて、前記吹錬ランスに設けられた前記ノズル孔の総
数n totalが、前記製錬炉内の炉壁内側の溶融スラグ浴
部の高さ範囲における炉壁内側の水平断面積の最大値A
との間に下記(1)式の関係を満たし、且つ、前記ノズ
ル孔は前記吹錬ランスの先端からその軸心方向に600
mm以内の範囲内に配置されていることに特徴を有する
ものである。ここで、 A<ntotal≦4A −−−−−−−−−−−−−−−−(1) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) A :炉腹部の鉄皮内側の水平最大断面積(m
2 ) である。
【0025】請求項7記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬装置は、請求項4記載の発明において、
前記吹錬ランスの本数Nが、前記製錬炉内の炉壁が水冷
されている部分より下側に形成される溶融スラグ及び金
属溶湯からなる溶融物滞留部の容積Vとの間に、下記
(3)式の関係を満たすことに特徴を有するものであ
る。ここで、 1+Int(V/60)≦N≦3×Int{(V/60)2 } −−−−−−−−−−−−−(3) 但し、N:吹錬ランスの本数(本) V:製錬炉内の炉壁が水冷されている部分より下側の溶
融物滞留部の容積(m2 ) Int:インテジャー関数 である。
【0026】請求項8記載の大量生産に適した金属鉱石
の溶融還元製錬装置は、請求項4記載の発明において、
前記ノズル孔の総数ntotalが、前記製錬炉内の炉壁が
水冷されている部分より下側に形成される溶融スラグ及
び金属溶湯からなる炉壁水冷部分より下側の溶融物滞留
部の容積Vとの間に、下記(4)式の関係を満たし、且
つ、前記ノズル孔は前記吹錬ランスの先端からその軸心
方向に600mm以内の範囲内に配置されていることに
特徴を有するものである。ここで、 0.6V≦ntotal≦2V (但し、V>60) −−−−−−−−−−−−−(4) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) V :製錬炉内の炉壁が水冷されている部分より下
側の溶融物滞留部の容積(m3 ) である。
【0027】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。図1は、本発明を実施するのに適した
溶融還元装置及びその付帯装置の概略説明図であり、図
2及び図3は、その際使用するのに適した多孔ノズルを
配置した送酸ランスの説明図である。図1に示すよう
に、垂直円筒型、即ちいわゆる転炉型の製錬炉10内
に、鉄浴11及びスラグ浴12を形成し、副原料である
炭材2及び造滓材3をシュ−ト13から装入する。但
し、製錬開始時には、種湯として予め溶銑を所定量製錬
炉10に装入しておく。溶融還元用製錬炉10に装入さ
れる鉄鉱石は、非加熱の生鉱石であっても、加熱のみさ
れたものであっても、本発明では支障ない。また、製錬
炉10の形状は、横型の長方形炉でも、あるいは、水平
円筒型炉でもよい。一方、酸素含有ガス4を、製錬炉1
0の上部から内部に鉛直に挿入された送酸ランス21及
びサイドランス22のいずれか一方又は両方から炉内に
供給する。その際の酸素含有ガス4の供給方法は、送酸
ランス21のノズル孔23から供給する。酸素含有ガス
4としては大量に使用するので工業用純酸素が望まし
い。
【0028】上記酸素含有ガス29の供給に際して、酸
素含有ガスの吹込み深さはできるだけスラグ浴12内部
に留まるように吹き込むのがよい。従来技術では、酸素
含有ガスの供給に関しては、金属溶湯の脱炭をねらう脱
炭用酸素と、この脱炭で生成した一酸化炭素をスラグ浴
中で二次燃焼させることをねらう二次燃焼用酸素とに分
けて、各種技術が提案されている。これに対して、本発
明者等は、脱炭用酸素と二次燃焼用酸素とを分けて酸素
含有ガスを吹き込もうとすることは重要な技術的事項で
はなく、酸素含有ガスの吹込みはできるだけスラグ浴内
に限定されるような条件により、高二次燃焼率且つ高着
熱効率が得られるとの結論を得た。従って、また、本発
明者等は、送酸ランスの機能についても、主ランス及び
サブランス共に、これにより供給される酸素の機能の観
点からは同じであるとの技術的認識に立つものである。
【0029】さて、送酸ランス21先端の位置は、原則
としてスラグ浴面とほぼ同じか、それよりも上に設定す
る。送酸ランス21の先端部には、図2に示すように、
多数のノズル孔23を設けておき、それぞれ所定の角度
(θ1 、θ2 、θ3 、θ4 、・・・)及び所定
の圧力・流量で酸素含有ガス29を噴射する。ノズル孔
23の数を増やすことにより、スラグ浴内の二次燃焼領
域分布を均等化し、送酸ランス本数の増加との相乗効果
により、二次燃焼率を高め、同時に着熱効率を高める。
これを実現するために、送酸ランス21内の酸素供給系
は、ノズル孔を所定のグループに分け、ノズル孔23か
らの酸素含有ガスの噴射条件をこの各グループ毎に所定
の噴射条件を得ることができるようにするために、独立
制御可能な機構にする。そして、ノズル孔の向きも所定
方向に設定し、酸素含有ガスの吹き出し方向を調整す
る。
【0030】更に、図3に示すように、ノズル孔23
は、送酸ランス21の先端(下端)から所定距離Lの範
囲内に設ける。距離Lは、本発明者等の実験によればで
きるだけ小さい方が酸素含有ガスのスラグ浴内吹込み条
件を制御し易い点から有利である。そして、上述したよ
うにノズル孔数の上限に現状では技術水準制約があるこ
とを考えると、ノズル孔を配置する領域は、送酸ランス
先端からの距離Lが600mm程度以内であることが必
要であり、望ましくは300mm程度以内がよい。
【0031】次に、図1に示したような溶融還元装置を
用いて日産500トン以上の溶銑を1炉で生産するする
ためには、製錬炉10の寸法諸元を次の通り設定するこ
とが必要である。
【0032】a:製錬炉内に形成される溶融スラグ浴部
の炉腹部の高さ範囲における水平断面積の平均値(単に
「水平断面積」という)aが10m2 以上であるこ
と。
【0033】A:製錬炉内に形成される溶融スラグ浴の
下端面から上端面までの高さ方向位置範囲に相当する当
該製錬炉の外周面を形成する鉄皮で囲まれた内部の水平
断面積の平均値(単に「水平断面積」という)Aが、2
0m2 以上である炉腹部を有すること。
【0034】V:製錬炉内の炉壁が水冷構造体で形成さ
れる部分より下側に形成される溶融スラグ及び金属溶湯
からなる溶融物滞留部の容積Vが、望ましくは60m3
以上である炉腹部を有すること。
【0035】a、A及びV等の炉用諸元が上記条件を満
たすような、従来例が見られない程度に生産能力を増や
した量産型の鉄鉱石溶融還元炉において、高二次燃焼率
と高着熱効率とを両立させるためには、(イ)送酸ラン
スの本数Nとして、その先端部に適切に配置された複数
個のノズル孔を有する送酸ランス(以下、「多孔ラン
ス」という)を、スラグ浴部の水平断面積aが比較的狭
いうちは1本のランスでよいが、それが所定値より広く
なると、上記多孔ランスを増やす必要がある。そして、
上記製錬炉寸法諸元a、A又はVの値に応じて定まる適
正本数だけ装備する必要がある。ここで、多孔ランスの
所要本数の、主ランスとサイドランスと配分構成は、一
般に製錬炉操業に際し必要な計測手段として用いるサブ
ランスの配置とその本数により、主ランスのみで構成す
るか、又は主ランス+サイドランスで構成するかのいず
れかとする。
【0036】ここで、主ランスとは、製錬炉上部から挿
入し、実質的に鉛直下向きに酸素含有ガスを噴射させる
ものであり、サイドランスとは、炉側から炉内に挿入
し、実質的に斜め下向きに酸素含有ガスを噴射するもの
である。主ランスとサイドランスの使い分けは、原燃料
投入シュートや主ランス及び計測用のサブランス昇降装
置等の製錬炉付帯設備の占有空間領域を回避する場合
や、フード、ダクト、溶融還元炉上部ガス空間の炉壁等
の製作上制約条件(例えば、冷却水路配置その他)があ
る場合や、そのような支障がない場合に応じて、酸素含
有ガスのスラグ浴内吹込み分布をできるだけ均等に行な
うことを基準に決定する。
【0037】そして、(ロ)各送酸ランスのノズル孔数
としては、全送酸ランスに設けられたノズル孔の総数n
totalを、上記製錬炉寸法諸元a、A又はVの値に応じ
て定まる適正孔数だけ装備する必要がある。そして、そ
の総数ntotal を各送酸ランスに配分する。この配分
に際し、送酸ランス1本当たりのノズル孔数は、実質的
に鉛直方向に装備される主ランスにあっては10孔以上
とし、サイドランスにあっては6孔以上とする。このよ
うにする理由は、主ランスにあっては、10孔未満では
1孔当たりの送酸量が多くなり過ぎ、溶融メタルを脱炭
することが懸念され、サイドランスにあっては、6孔未
満では、炉内全域を主ランスとサイドランスとでカバー
して高二次燃焼率(目標30%以上)で高着熱効率(目
標85%以上)を得難いからである。
【0038】上記(イ)における、送酸ランスの本数N
と製錬炉寸法諸元a、A又はVの値との間の望ましい関
係、及び、上記(ロ)における、ノズル孔の総数n
totalと、製錬炉寸法諸元a、A又はVの値との間の望
ましい関係を求めるために、本発明者等は実験を重ね
た。
【0039】その結果、(イ)にあっては、下記
(2)、(3)、又は、(2)且つ(3)式の関係: {1+Int(A/40)}≦N≦〔1+Int{3(A/40)2 }〕 −−−−−−−−−−−−−−−−(2) 但し、N:吹錬ランスの本数(本) A:炉腹部鉄皮内側の水平最大断面積(m2 ) Int:インテジャー関数 {1+Int(V/60)}≦N≦3×Int{(V/60)2 } −−−−−−−−−−−−−(3) 但し、N:吹錬ランスの本数(本) V:製錬炉内の炉壁が水冷されている部分より下側No
溶融物滞留部の容積(m2 ) Int:インテジャー関数 を実験式として求めた。
【0040】また(ロ)にあっては、下記(1)、
(4)、又は、(1)且つ(4)式の関係: A<ntotal ≦4A −−−−−−−−−−−−−−−−(1) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) A :溶融スラグ浴部の水平最大断面積(m2 ) 0.6V≦ntotal≦3V (但し、V>60) −−−−−−−−−−−−−−−−(4) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) V :製錬炉内溶融物滞留部の容積(m3 ) を実験式として求めた。
【0041】
【実施例】次に、この発明を、実施例によって更に説明
する。
【0042】図1〜3に示した設備を用いて、鉄鉱石の
溶融還元実験を行なった。鉄鉱石を予熱予備還元炉30
に装入し、処理後の水分約0wt.%、T.Fe69wt.%、
温度700℃、そして予備還元率20wt.%の予備還元鉱
石を、シュート32から連続的に溶融還元用の製錬炉1
0に装入した。なお、製錬炉10で発生した排ガスを導
管33を通して予熱予備還元炉30に供給し、これで鉄
鉱石1を処理した後、この排ガスをホットサイクロン3
4によりダストを除去した後、排ガス顕熱を熱交換器3
5で回収した。
【0043】製錬炉10の操業方法は次の通りである。
製錬炉10には操炉開始に先立って溶銑を装入してお
く。製錬炉10には、上記予熱、予備還元後の鉄鉱石の
他に、炭材2として乾燥後の石炭及び乾燥後の造滓材3
を装入した。製錬炉の形状は、いわゆる転炉型の垂直円
筒形、長方形の横型炉及び水平円筒型のいずれかを用い
た。垂直円筒型については、炉体の外周部鉄皮の直径を
各種水準に変化させ、これに応じて製錬炉内径を変化さ
せることにより、スラグ浴の水平平均断面積a、及びス
ラグと金属溶湯とを合わせた浴滞留部の容積Vを各種水
準に変化させた。また、製錬炉10の外殻鉄皮の寸法諸
元の内、炉腹部鉄皮内側の水平平均断面積Aを決めた。
【0044】なお、ここで、炉壁稼動面と、炉体外殻と
しての鉄皮間の距離は、概ね0.8±0.5m程度であ
った。
【0045】一方、送酸ランスとして多孔ノズルランス
を使用し、主ランス21とサイドランス22との両方を
用い、その合計本数を各種に変化させた。そして、主ラ
ンス5には、その先端から最大600mm以内の範囲
に、先端面及び側周面に複数個のノズル孔23を配置
し、サイドランス22には、その先端に複数個のノズル
孔23を配置した。そして、全送酸ランスのノズル孔総
数を各種に変化させた。ノズル孔径は5〜30mmφの
範囲から適宜決定した。ノズル孔の決め方は、目標送酸
量を確保すると共に、製錬炉内圧PO として1気圧超
えから5気圧以下に調整し、これに対してノズル孔出口
手前の圧力Pを、P/PO=1.9±0.5気圧となる
るようにし、ノズルの寿命延長に著しく寄与する条件に
した。ノズル寿命に加えて、着熱効率及び二次燃焼率の
向上にも良好な結果が得られる8〜25mmφのノズル
孔を適宜使用した。
【0046】上記設備及び操業条件により鉄鉱石の溶融
還元試験を行ない、日産600〜4500t/炉の溶銑
を製造した。表1〜4に、本発明の範囲内の試験である
実施例1〜13、及び本発明の範囲外の試験である比較
例1〜3の試験条件及び試験結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】試験操業は順調に行われた。なお、溶融還
元製錬中、実施例及び比較例のいずれにおいても、スラ
グ浴面の上下変動がみられた。これは主にスラグ浴体積
の膨張・収縮によるものであり、浴全体の体積の変動範
囲を表1及び表2に、Vの変動範囲を示した。
【0052】本発明者等は、この試験における二次燃焼
率及び着熱効率の定量的評価方法として、これらが直接
的に反映される操業成績をとりあげ、消費された炭材原
単位及び酸素ガス原単位を採用した。そして、設備費及
び運転費の評価を、比較例を基準として比較した。上記
結果より、本発明によれば、鉄鉱石の溶融還元製錬によ
る大量の溶銑生産において、二次燃焼率及び着熱効率が
良好であり、これらの結果は、従来の比較的少量の溶銑
生産における溶融還元炉における成績と同等又はそれよ
りも優れていることがわかった。また、溶銑製造コスト
の低減も図られることがわかった。
【0053】図4に現状の鋳造・溶接技術で製作可能な
ランス当たりノズル本数の関係を示す。ランス先端部近
傍に設置できるランス1本当たりのノズル数は少ないも
ので8〜12孔、多段式のずるとして40〜80孔/ラ
ンス本である。ノズル先にチップをはめ込むこと等によ
り、ノズル孔数をベース条件の更に2〜3倍まで増やす
ことは可能であるが、ノズル先寿命は低下する傾向とな
ってしまう。
【0054】図5、表5にノズル当たりガス流量と総合
的熱効率の関係を示す。ノズル当たり送酸量には適正値
がある。ノズル当たり送酸量を増やすと酸素ジェットは
ハードに浴中へ浸入していくため金属浴ないしスラグ中
粒鉄を脱炭しやすい傾向となり二次燃焼率低下を招く。
ノズル当たり送酸量が少ないと酸素ジェットないし燃焼
後のジェットからスラグ浴への熱伝達に十分な攪拌力や
伝熱面積が減少する傾向となり、着熱効率ηpcの低下
を招く。ノズル孔当たりのガス量を適正化した上でも、
ノズル先での吹込みガスの過膨脹を避けうる条件としな
いとジェットの浸入に必要な運動量の確保が難しくなる
こととノズル損耗が増大傾向となるので注意する必要が
ある。それ故、所定ノズル数がないと全体熱効率の低下
を招くことになるわけである。適正な吹込み条件は、炉
内雰囲気圧Paに対してノズル手前圧力Po=1.89P
a前後であることが最も望ましい条件である。酸素供給
圧力はノズル手前圧最適値にランスや配管等での圧損を
考慮した圧力とするのが望ましい。
【0055】
【表5】
【0056】溶融スラグ浴部の炉側壁は、主として水冷
構造体で形成されるが、その下部の鉄浴部とスラグ−メ
タル界面部分は耐火物製である。これは、水冷構造体で
は溶融メタル容器として成立しないからである。
【0057】メタル浴深さとしては0.5〜1.5m程
度であり、炉内への酸素供給量とのバランスから最適容
積(水冷壁部分より下側の浴部容積)Vがある。Vが小
さすぎると、投入原燃料の変動により操業が不安定とな
り、Vが大きすぎると、炉体ヒートロスが大きくなるの
で望ましくない。この観点から、容積Vと送酸量との間
に最適な関係が存在する。従って、容積Vと送酸ランス
の本数ないし送酸ノズルの孔数との間に最適な関係が存
在する。
【0058】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
鉄鉱石等金属鉱石の溶融還元において、従来の生産規模
を大型化して大量の溶融金属を製造する場合に大きな課
題であった、二次燃焼率及び着熱効率の維持ないし向上
についてこれを可能にし、溶融金属の製造コスト低減を
図ることが可能である。このような大量生産に適した金
属鉱石の溶融還元製錬方法及び装置を提供することがで
き、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するのに適した溶融還元装置及び
その付帯装置の概略説明図である。
【図2】本発明の実施において使用するのに適した送酸
ランスの内、主ランスの一例を示す概略縦断面図であ
る。
【図3】本発明の実施において使用するのに適した送酸
ランスの内、主ランスの先端部のノズル孔配置の一例を
示す概略斜視図である。
【図4】鋳造・溶接技術で製作可能なランス当たりノズ
ル本数の関係を示すグラフである。
【図5】総合熱効率インデックス、二次燃焼ガスOD
%、着熱効率ηpc%の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 鉄鉱石 2 炭材 3 造滓材 4 酸素含有ガス 10 製錬炉 11 メタル浴 12 スラグ浴 21 主ランス 22 サイドランス 23 ノズル孔 25 サイドノズル 26 底吹きノズル 29 酸素含有ガス(ジェット) 30 予熱予備還元炉 31、32 シュート 33 導管 34 ホットサイクロン 35 熱交換器 36 切替弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 正弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 山中 光弘 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 関口 毅 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 渡部 雅之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4K012 CA06 CA08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物系金属鉱石及び又は水酸化物系金
    属鉱石と炭材と造滓材とを製錬炉に装入し、前記製錬炉
    内に酸素含有ガスを供給し、前記炭材を前記酸素含有ガ
    スで燃焼させ前記金属鉱石を溶融還元して、金属溶湯を
    得る金属鉱石の溶融還元製錬方法において、 前記製錬炉として、当該製錬炉内に形成される溶融スラ
    グ浴部の炉腹部の高さ範囲における水平断面積の最大値
    aが、30m2以上になるような製錬炉を使用し、前記
    酸素含有ガスの吹込み方法として、前記酸素含有ガスが
    噴射されるノズル孔を少なくとも3孔以上の複数個有す
    る吹錬ランスを複数本使用して、当該吹錬ランスから前
    記酸素含有ガスを前記製錬炉内に形成されたスラグ浴内
    部に吹き込み、高二次燃焼率の製錬を行なうと共に、二
    次燃焼により発生した熱を前記製錬炉内金属溶湯に対し
    て高着熱率で付加する操業を行なうことを特徴とする、
    大量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬方法。
  2. 【請求項2】 酸化物系金属鉱石及び又は水酸化物系金
    属鉱石と炭材と造滓材とを製錬炉に装入し、前記製錬炉
    内に酸素含有ガスを供給し、前記炭材を前記酸素含有ガ
    スで燃焼させ前記金属鉱石を溶融還元して、金属溶湯を
    得る金属鉱石の溶融還元製錬方法において、 前記製錬炉として、当該製錬炉内に形成される溶融スラ
    グ浴部の炉腹部の高さ範囲における水平断面積の最大値
    aが、10m2 から30m2 未満になるような製錬炉
    を使用し、前記酸素含有ガスの吹込み方法として、前記
    酸素含有ガスが噴射されるノズル孔を少なくとも3孔以
    上の複数個有する吹錬ランスを1本使用して、当該吹錬
    ランスから前記酸素含有ガスを前記製錬炉内に形成され
    たスラグ浴内部に吹き込み、高二次燃焼率の製錬を行な
    うと共に、二次燃焼により発生した熱を前記製錬炉内金
    属溶湯に対して高着熱率で付加する操業を行なうことを
    特徴とする、大量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬
    方法。
  3. 【請求項3】 酸化物系金属鉱石及び又は水酸化物系金
    属鉱石と炭材と造滓材とを製錬炉に装入し、前記製錬炉
    内に酸素含有ガスを供給し、前記炭材を前記酸素含有ガ
    スで燃焼させ前記金属鉱石を溶融還元して、金属溶湯を
    得る金属鉱石の溶融還元製錬方法において、 前記酸素含有ガスの吹込み方法として、前記酸素含有ガ
    スが噴射されるノズル孔を複数個有する吹錬ランスを使
    用し、当該ノズル孔の総数ntotal は、前記製錬炉内
    に形成されたスラグ浴部の水平断面積の最大値aとの間
    に、下記(1)式の関係を満たす製錬装置を使用して、
    前記吹錬ランスから前記酸素含有ガスを前記スラグ浴内
    部に吹き込み、高二次燃焼率の製錬を行なうと共に、二
    次燃焼により発生した熱を前記製錬炉内金属溶湯に対し
    て高着熱率で付加する操業を行なうことを特徴とする、
    大量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬方法。 a<ntotal ≦3a −−−−−−−−−−−−−−−−(1) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) a :溶融スラグ浴部の水平最大断面積(m2
  4. 【請求項4】 酸化物系金属鉱石及び又は水酸化物系金
    属鉱石と炭材と造滓材とを装入し、これらの装入物に酸
    素含有ガスを供給して前記金属鉱石を溶融還元するため
    の製錬炉と、当該製錬炉内の前記装入物に前記酸素含有
    ガスを供給するための酸素供給装置とを含む装置群から
    なる金属鉱石の溶融還元製錬装置において、 前記製錬炉は、当該製錬炉内に形成される溶融スラグ浴
    の下端面から上端面までの高さ方向位置範囲に相当する
    当該製錬炉の外周面を形成する鉄皮で囲まれた内部の水
    平断面積の最大値Aが、20m2 以上である炉腹部を
    有し、そして、 前記酸素供給装置は、 (イ)前記精錬炉の前記水平断面積の最大値Aが20m
    2 以上40m2 未満の場合には、前記酸素含有ガスを
    前記精錬炉内に吹き込むノズル孔を複数個備えた吹錬ラ
    ンスを1本備えており、そして、 (ロ)前記製錬炉の前記水平断面積の最大値Aが40m
    2 以上の場合には、前記酸素含有ガスを前記製錬炉内
    に吹き込むノズル孔を複数個備えた吹錬ランスを複数本
    備えており、 このようにして高二次燃焼率操業を行なうと共に、二次
    燃焼熱の高着熱率付加操業を行なう機能を有することを
    特徴とする、大量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬
    装置。
  5. 【請求項5】 前記製錬炉の前記鉄皮内側水平断面積の
    最大値Aが40m2以上であって、前記吹錬ランスの本
    数Nが、前記水平断面積の最大値Aとの間に下記(2)
    式の関係を満たすことを特徴とする、請求項4記載の大
    量生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬装置。 1+Int(A/40)≦N≦1+Int{3(A/40)2 } −−−−−−−−−−−−−−−−(2) 但し、N:吹錬ランスの本数(本) A:炉腹部の鉄皮内側の水平最大断面積(m2 ) Int:インテジャー関数−−−実数の少数部分を切り
    捨てて整数化する
  6. 【請求項6】 前記吹錬ランスに設けられた前記ノズル
    孔の総数ntotalが、前記製錬炉内の炉壁内側の溶融ス
    ラグ浴部の高さ範囲における炉壁内側の水平断面積の最
    大値Aとの間に下記(1)式の関係を満たし、且つ、前
    記ノズル孔は前記吹錬ランスの先端からその軸心方向に
    600mm以内の範囲内に配置されていることを特徴と
    する、請求項4または5に記載の大量生産に適した金属
    鉱石の溶融還元製錬装置。 A<ntotal ≦4A −−−−−−−−−−−−−−−−(1) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) A :炉腹部の鉄皮内側の水平最大断面積(m2
  7. 【請求項7】 前記吹錬ランスの本数Nが、前記製錬炉
    内の炉壁が水冷されている部分より下側に形成される溶
    融スラグ及び金属溶湯からなる溶融物滞留部の容積Vと
    の間に、下記(3)式の関係を満たすことを特徴とす
    る、請求項4記載の大量生産に適した金属鉱石の溶融還
    元製錬装置。 1+Int(V/60)≦N≦3×Int{(V/60)2 } −−−−−−−−−−−−−(3) 但し、N:吹錬ランスの本数(本) V:製錬炉内の炉壁が水冷されている部分より下側の溶
    融物滞留部の容積(m3) Int:インテジャー関数
  8. 【請求項8】 前記ノズル孔の総数ntotal が、
    前記製錬炉内の炉壁が水冷されている部分より下側に形
    成される溶融スラグ及び金属溶湯からなる炉壁水冷部分
    より下側の溶融物滞留部の容積Vとの間に、下記(4)
    式の関係を満たし、且つ、前記ノズル孔は前記吹錬ラン
    スの先端からその軸心方向に600mm以内の範囲内に
    配置されていることを特徴とする、請求項4記載の大量
    生産に適した金属鉱石の溶融還元製錬装置。 0.6V≦ntotal ≦3V (但し、V>60) −−−−−−−−−−−−−(4) 但し、ntotal:ノズル孔総数(個) V :製錬炉内の炉壁が水冷されている部分より下
    側の溶融物滞留部の容積(m3
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113549774A (zh) * 2021-07-16 2021-10-26 云南锡业股份有限公司锡业分公司 一种侧式入粉料顶吹炉及其处理方法
CN117604181A (zh) * 2023-11-30 2024-02-27 长江润发(江苏)薄板镀层有限公司 带有余热回收利用的生铁冶炼加工热量循环系统

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