JP2001010086A

JP2001010086A - インクジェット記録装置

Info

Publication number: JP2001010086A
Application number: JP18794699A
Authority: JP
Inventors: Keiichiro Tsukuda; 圭一郎佃
Original assignee: Canon Inc
Current assignee: Canon Inc
Priority date: 1999-07-01
Filing date: 1999-07-01
Publication date: 2001-01-16

Abstract

(57)【要約】【課題】インクジェット記録ヘッドに設けられた共通
液室内の流れの少ない両端部分には、度々気泡が残って
しまい、この気泡によりインクジェット記録ヘッド内の
インクの流れ制御が困難になる場合や、さらには、イン
クを発泡させて吐出させる過程で発生するインクに溶存
していた空気が気泡となり、共通液室両端に存在する気
泡と合体して成長することで、インクの吐出に悪影響を
及ぼし、最終的には不吐出を引き起こすことがある。【解決手段】インクを吐出させるための複数個のエネ
ルギー発生素子を備えたヒーターボードと、前記エネル
ギー発生素子に対応したインク流路を有し、該インク流
路にインクを供給するための共通液室部から成るインク
ジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に
おいて、前記インクジェット記録ヘッドに具備された前
記ヒーターボードの両端部にインクの有無を検知する検
知機構を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
装置、特に、インクジェット記録ヘッドに配備されたヒ
ーターボードの両端部にインクの有無を検知する検知機
構が設けられたインクジェット記録装置に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】紙、布、プラスチックシート、ＯＨＰ用
シートなどの被記録媒体（以下、単に「記録材」とも言
う）に対してインクを吐出して記録を行うインクジェッ
ト記録装置は、非常に印刷音が静かで、装置自体も小型
であり、かつ安価であるために、近年幅広く普及してき
ている。

【０００３】このようなインクジェット記録装置のイン
クを吐出させるインクジェット記録ヘッドには、圧電素
子を用い、この圧電素子に電流を流すことにより、圧電
素子の変形する力によりインクを、インクジェット記録
ヘッドに配備されたノズルから吐出させるものや、複数
の電気熱変換体を有したヒーターボードと、前記電気熱
変換体に対応した複数のインク流路（ノズル）を持ち、
さらに前記インク流路にインクを供給するための共通液
室を有したインクジェット記録ヘッドであって、前記電
気熱変換体に電流を流すことで、前記電気熱変換体を発
熱させて、インクに膜沸騰を起こさせ、その発泡力によ
ってインクを吐出させるバブルジェット方式のもの等が
ある。

【０００４】また、インクジェット記録装置に取付けら
れるインクジェット記録ヘッドの形態として、インクを
内包したインクタンクと、インクジェット記録ヘッドが
一体となったインクジェット記録カートリッジ形態のも
のがあるが、前記インクタンク内のインクが無くなった
時点でインクジェット記録カートリッジを交換してしま
うので、インクジェット記録ヘッド部分が高性能で高価
になった場合にコスト高になったり、環境上あまり良く
ない。そこで、インクが無くなった場合にインクタンク
のみを交換する形態のインクジェット記録カートリッジ
が近年盛んに提案されている。これらのものはオンキャ
リッジ型といい、インクジェット記録装置を小型化させ
るのに適している。

【０００５】また、大量に印刷を行うユーザー用とし
て、インクタンク交換回数を減らしたり、コストダウン
のためにインク容量の大きなインクタンクを使用した
り、印字の高速化を行うためにキャリッジスピードを上
げたりする場合は、前記オンキャリッジ方式ではキャリ
ッジに負荷がかかり過ぎるために、キャリッジに載せる
インクタンクの容量を少なくし、非印字時に前記インク
タンクにインクを自動リフィルするピットインタイプ
や、インクタンクをインクジェット記録装置のキャリッ
ジ以外の場所に挿入してインクタンクからインクジェッ
ト記録ヘッドまでチューブで供給するような装置もあ
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来におけるインクジェット記録ヘッドとインクタ
ンクが分離されているインクジェット記録装置において
は、インクタンク交換時にインクタンクのジョイント部
から気泡が混入して、印字を行っているうちに気泡がイ
ンクジェット記録ヘッド部に流れ込み、インクの流れを
阻害し、印字不良を起こす場合がある。そこで、インク
ジェット記録装置にインクジェット記録ヘッドの吸引回
復用ポンプを設けて、インクと共に混入した気泡を吸い
出すようにしている。

【０００７】しかしながら、前記ポンプを使用して吸引
回復を行った場合においても、インクジェット記録ヘッ
ドに設けられた共通液室内の流れの少ない両端部分にお
いては、度々気泡が残ってしまうことが発生する。従っ
て、この気泡によってインクジェット記録ヘッド内のイ
ンクの流れ制御が困難になる場合や、さらには、インク
を発泡させ吐出させる過程で発生するインクに溶存して
いた空気が気泡となって、前記共通液室両端に存在する
気泡と合体して成長することで、インクの吐出に悪影響
を及ぼし、最終的には不吐出を引き起こすことがある。

【０００８】本発明の目的は、このような従来における
課題を解決するために、簡単な構成で、インクジェット
記録ヘッドの両端にインク（気泡）有無検知手段を設け
てインクの有無を検知し、インクが無い（気泡が有る）
と検知した場合には、自動的にインクジェット記録ヘッ
ドの吸引回復を行い、インクジェット記録ヘッドの共通
液室端部の気泡を取り除くことにより、印字中の突然の
インク不吐出を防ぎ、常に信頼性の高い印字を行うイン
クジェット記録装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐
出させるための複数個のエネルギー発生素子を備えたヒ
ーターボードと、前記エネルギー発生素子に対応したイ
ンク流路を有し、該インク流路にインクを供給するため
の共通液室部から成るインクジェット記録ヘッドを有す
るインクジェット記録装置において、前記インクジェッ
ト記録ヘッドに具備された前記ヒーターボードの両端部
にインクの有無を検知する検知機構を設けたことを特徴
とする。

【００１０】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記インク有無の検知機構が、前記ヒーターボード
上の両端部に形成された抵抗に電流を流し、その温度上
昇率によりインク有無の検知を行うことを特徴とする。

【００１１】さらに、本発明のインクジェット記録装置
は、前記インク有無の検知機構が、前記インクジェット
記録ヘッドの両端部に設けられたダミーノズルに配置さ
れた抵抗および温度センサーを有することを特徴とす
る。

【００１２】さらにまた、本発明のインクジェット記録
装置は、前記インク有無の検知機構が、前記インクジェ
ット記録ヘッドの両端部に光を当て、その反射率でイン
ク有無を検知することを特徴とする。

【００１３】本発明のインクジェット記録装置は、前記
インクジェット記録ヘッドが、サイド型インクジェット
記録ヘッドであることを特徴とする。

【００１４】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記インクジェット記録ヘッドの端部において、イ
ンク無を検知した場合に、自動的に前記インクジェット
記録ヘッドの吸引回復を行うことを特徴とする。

【００１５】さらに、本発明のインクジェット記録装置
は、前記インクジェット記録ヘッドが、インクを吐出す
るための熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有する
ことを特徴とする。

【００１６】さらにまた、本発明のインクジェット記録
装置は、前記インクジェット記録ヘッドが、前記電気熱
変換体により印加される熱エネルギーによってインクに
生じる膜沸騰を利用して、インクを記録媒体に向けて吐
出することを特徴とする。

【００１７】

【発明の実施の形態】上記のように構成された本発明の
インクジェット記録装置によれば、インクを吐出させる
ための複数個のエネルギー発生素子を備えたヒーターボ
ードと、前記エネルギー発生素子に対応したインク流路
を有し、該インク流路にインクを供給するための共通液
室から成るインクジェット記録ヘッドを有するインクジ
ェット記録装置において、前記インクジェット記録ヘッ
ドに具備されたヒーターボードの両端部にインクの有無
を検知する検知機構を設け、前記インク有無の検知機構
が、前記ヒーターボード上の両端部に形成された抵抗に
電流を流し、その温度上昇率によりインク有無の検知を
行ったり、あるいはまた、前記インク有無の検知機構
が、前記インクジェット記録ヘッドの両端部に光を当
て、その反射率でインク有無を検知するものであり、さ
らに、前記インクジェット記録ヘッドがサイド型インク
ジェット記録ヘッドであるので、簡単な構成に作ること
ができると共に、前記インクジェット記録ヘッドの両端
にインク（気泡）有無の検知機構を設けてインク有無を
検知して、インクが無い（気泡が有る）と検知した場合
には、自動的にインクジェット記録ヘッドの吸引回復を
行って、インクジェット記録ヘッドの共通液室端部の気
泡を取り除くことにより、印字中における突然のインク
不吐出を防ぎ、常に信頼性の高い印字を行って、記録の
高密度化および高精細化を達成して、きれいな記録が得
られる。

【００１８】本発明のその他の目的と特徴および利点は
以下の添付図面に沿っての詳細な説明から明らかになろ
う。

【００１９】（実施例１）以下に、図面を参照して本発
明のインクジェット記録装置に就いて具体的に詳細に説
明する。

【００２０】先ず、本発明のインクジェット記録装置の
全体構成を説明するに、図１は本発明に係わるインクジ
ェット記録装置の第１の実施例における構成を示す概略
図であり、本発明のこの実施例１におけるインクジェッ
ト記録装置は、インクタンクからチューブを介してイン
クジェット記録ヘッド部にインクを供給する形態のもの
である。

【００２１】図示されるように、本発明のインクジェッ
ト記録装置は、筐体のようなハウジング１にインクタン
ク２−１（イエロー）、２−２（マゼンタ）、２−３
（シアン）、２−４（ブラック）を差し込む装着部３が
あって、そこにインクタンク２−１、２−２、２−３、
２−４が差し込まれる。この時に、図示しないが、イン
クタンク２−１、２−２、２−３、２−４のジョイント
部は、ゴム栓によって、インクジェット記録装置に挿入
されていない時に、インクが漏れないようにしてある。
このゴム栓部分にインクジェット記録装置側に装備され
たインク供給用針が刺さり、インクタンク内のインクを
引き出すことが可能となっている。

【００２２】さらに、本発明のインクジェット記録装置
においては、インクタンク２−１、２−２、２−３、２
−４におけるインクの有無を検知するための有無センサ
ーが設けられており、インクタンク２−１、２−２、２
−３、２−４をインクジェット記録装置のハウジング１
から外した後に、インクタンク２−１、２−２、２−
３、２−４が挿入されると、インクジェット記録装置
は、インクジェット記録ヘッド４の吸引回復を自動的に
行うようになっている。また、コネクタパッド５は、イ
ンクジェット記録装置側からの印字信号を受けるために
インクジェット記録ヘッド４に設けられている。このイ
ンクジェット記録ヘッド４は、記録走査を行わせるため
のキャリッジ６に対して、着脱可能に搭載されている。
なお、このキャリッジ６に設けられたヘッドカバー７に
は、上述した記録ヘッド側のコネクタパッド５に接続す
るインクジェット記録装置側のコネクタパッド８が設け
られている。

【００２３】また、インクを一時的に貯溜するためのサ
ブインクタンク９が、インクタンク２−１、２−２、２
−３、２−４に対してインク供給路となるインクチュー
ブ１０を介して連通するよう設けられている。さらに、
このサブインクタンク９はインクタンク色に対応して、
イエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラ
ック（Ｂｋ）の４タンクが搭載されている。キャリッジ
６を記録紙やプラスチック薄板等の被記録媒体１２に対
して走査させるためのリードスクリュウ１１がハウジン
グ１に回転可能に支承されると共に、キャリッジ６の往
復動走査を案内するためのガイドレール１３が設けられ
ている。

【００２４】ここで、リードスクリュウ１１はギャ１
４、１５を介して駆動モーター１６の正逆回転に連動し
て作動され、さらに、リードスクリュウ１１に形成され
た螺旋溝１７がキャリッジ６に設けられた図示しない係
合部と係合しているために、キャリッジ６の往復動走査
が、駆動モーター１６の駆動によってインクジェット記
録装置の長手方向に行われるようになる。

【００２５】そして、被記録媒体１２の搬送領域に隣接
して、後述するインクジェット記録ヘッド４に設けられ
たインク吐出部の回復手段が設けられている。この回復
手段は、インクジェット記録カートリッジの吐出口部
（図示しない）をキャッピングするためのキャップ部材
１９と、このキャップ部材１９に設けられた内部開口
（図示しない）を介して吐出口部を吸引回復する吸引手
段２０とから成っている。この吸引手段２０には、ギャ
２１と切換クラッチ等の公知の伝達手段とによって、駆
動モーター１６からの駆動力が伝達される。従って、キ
ャップ部材１９の上下動の移動は、ギャ２２等を介して
伝達される駆動力によって行われ、インクジェット記録
ヘッド４の吐出口が設けられた部分と密着されることに
よって、インクジェット記録ヘッド４の吐出口の吸引回
復や乾燥等の低減を可能としている。

【００２６】さらに、上記吸引回復処理は、インクジェ
ット記録ヘッド４の吐出口の目詰まり等の回復だけでな
く、吸引手段２０による吸引量を変化させることによっ
て、インクカートリッジから吐出口部までのインクを排
出させて、微細なごみや気泡等をフィルター部だけでな
くインク流路内から除去することも可能である。このイ
ンク流路の回復処理は定期的に、またはインクジェット
記録装置に配備された制御機構や、ユーザーが必要と判
断した場合に、適宜に強制的に行うことができるもので
あり、良好な印字品位を維持することが可能となる。さ
らに、前記キャッピングおよび吸引回復の各処理は、キ
ャリッジ６がホームポジション側の領域に位置された時
に、それぞれの対応位置において行われることになる。
そして、これらの処理は、周知のタイミングおよびシー
ケンスを利用して任意の態様で、単独で、あるいはまた
複合的に実施することができる。

【００２７】図２は上述のインクジェット記録ヘッド４
の概略図であり、インクはインクチューブ１０を通りサ
ブインクタンク９を介してインクジェット記録ヘッド４
に供給される。この時の、インクジェット記録ヘッド４
の内部が図３に図２のＡ−Ａ断面図に示される。

【００２８】インクは、インク通路２３を通って、イン
クを吐出させるためのエネルギー発生手段であるヒータ
ーのような電気熱変換体２５を備えたヒーターボード２
４が貼付けられた基材２６に設けられた溝２７と、ヒー
ターボード２４に設けられたインク供給用の孔２８から
成るインク共通液室を介して、樹脂材料から成るオリフ
ィスプレートのようなノズル材３０と、ヒーター２５の
設けられたヒーターボード２４で構成される各ノズル３
１に供給され、ヒーター２５にエネルギーを与えてイン
クを発泡させることによって、吐出口２９からインクを
吐出させるようになっている。

【００２９】本実施例においては、ヒーターボード２４
の孔２８は異方性エッチングにより形成されたものであ
るが、孔を開ける方法としては異方性エッチングに限っ
たものではなく、サンドブラスト等の方法を用いても良
い。また、オリフィスプレート等のノズル材３０には樹
脂性のものが用いられるが、これに限られるものではな
く、ヒーターボード２４と同様の材質のシリコン等を用
いても良い。

【００３０】次に、インクジェット記録ヘッド４の吸引
回復時においては、図４に示されるように、インクジェ
ット記録装置に設けられたキャップ部材１９が、インク
ジェット記録ヘッド４と当接し、インクジェット記録装
置内に設けられた、ピストンあるいはチューブポンプ等
を作動させて発生した負圧により、インクジェット記録
ヘッド４からインクを吸い出すようになっている。キャ
ップ部材１９には、キャップ部材１９内のインクを効率
よく吸い出すためのインク吸収体４３が設けられてい
る。

【００３１】しかし、吸引回復動作を行った場合におい
ても、インクジェット記録ヘッド４のＢ矢視方向（図
２）の状態は、図５に示されるように、インクジェット
記録ヘッド４の両端部あるいは片端に気泡３２が残って
しまう場合がある。この気泡３２は初期印字に影響を及
ぼさない程度の大きさであったとしても、印字中の溶存
空気の発生によって成長して、最後には、端部ノズルか
ら不吐出が発生してしまうまでになることもある。そこ
で、本実施例においては、インクジェット記録ヘッド４
の端部に抵抗としてのヒーター３４と温度センサー３５
とを設けて、気泡３２の成長を検知し、不吐出になる前
に吸引回復を行うものである。なお、本実施例に使用し
たインクジェット記録ヘッド４は、サイド型インクジェ
ット記録ヘッドであり、インク供給用の孔２８の両側に
インクを吐出するための吐出口２９が千鳥配列で配置さ
れている。また、製法上、ノズル形状の均一性を保つた
めに、インク供給用の孔２８の両端近辺には、ダミーノ
ズル３３が設けられているが、このダミーノズル３３部
分にも気泡３２が入り込んでしまい、吸引においてもな
かなか抜けにくいものとなる。

【００３２】従って、このような場合に、気泡有無セン
サーの位置は、あまり端部にあり過ぎても回復処理が頻
繁に入ってしまい、インクの消費量が多くなってしまう
ために、気泡が存在しても不吐出にならない程度ぎりぎ
りまで吐出ノズルに近い方が良い。

【００３３】本実施例においては、図５のＣ部拡大図で
ある図６に示されるように、気泡有無を検知したい部分
に、インクが吐出可能なように吐出口２９が設けられ
た、印字中は使用しないダミーノズル３３に、ヒーター
３４と、ヒーターボード温度検知用の温度センサー３５
とが配置されている。従って、インクがダミーノズル３
３内のヒーター３４上に存在する場合には、ヒーター３
４が通電されて発熱されると、ダミーノズル３３に設け
た吐出口３６よりインクが吐出されて、熱が奪われるた
めに、温度センサー３５で検知される温度上昇率はさほ
ど大きくはない。

【００３４】しかし、ヒーター３４部分が気泡で覆われ
てしまった場合には、ダミーノズル３３に設けられたヒ
ーター３４が通電されてもインクは吐出されず、ヒータ
ー３４で発生したエネルギーはインク吐出のために奪わ
れること無く、殆どの熱がヒーターボード２４内に伝達
されるために、温度センサー３５で検出される温度は、
ヒーター３４がインクで覆われていた時に比べて高いも
のとなる。

【００３５】このような温度上昇の違いによって気泡の
有無を検知することによって、気泡が在ると認識した場
合には、自動的にインクジェット記録ヘッド４の吸引回
復を行うものである。但し、本実施例による気泡の検知
には、インクジェット記録ヘッド４の印字用のノズル３
１が吐出している時は、ヒーターボード２４の温度が上
がってしまうので、非印字時に検知を行う必要がある。

【００３６】（実施例２）図７は、本発明に係わるイン
クジェット記録装置の第２の実施例におけるインクジェ
ット記録ヘッドの気泡有無検知部を示す断面図である。

【００３７】図示されるように、本発明の実施例２にお
いては、インクジェット記録ヘッド４の共通液室部３７
の、ヒーターボード４２と対向する面を、凹凸３８を設
けた形状に形成している。この時、インクジェット記録
ヘッド４に使用されるオリフィスプレート３９は、イン
クとほぼ同程度の屈折率の樹脂等を用いることが必要で
ある。このような樹脂としては、ポリサルフォン、ポリ
プロピレン、感光性エポキシ樹脂等を挙げることができ
る。このような樹脂を用いて、インクジェット記録ヘッ
ド形成前に、気泡の有無を検知したい部分に加工を行っ
て溝を形成したり、あるいはまた、前記オリフィスプレ
ート３９を射出成形によって作成する場合には、金型に
溝加工を行っておけば良い。従って、オリフィスプレー
ト３９を前記凹凸３８を有する形状に形成し、インクジ
ェット記録装置からインクジェット記録ヘッド４の気泡
有無を検知したい場所に、発光ダイオード４０等を用い
て光を当てることによって、インクジェット記録ヘッド
４の被検知部である共通液室部３７内にインクが充填さ
れている場合には、オリフィスプレート３９とインクの
屈折率がほぼ同じであるために、光は殆どがヒーターボ
ード４２で反射してインクジェット記録装置の光センサ
ー部４１に返ってくる。これが光路（ａ）を通る光であ
る。しかし、インクジェット記録ヘッド４の被検知部で
ある共通液室部３７内にインクが充満されていなくて気
泡が存在する場合には、オリフィスプレート３９に形成
された凹凸３８によって、インクジェット記録ヘッド４
から照射された光は拡散されて、例えば光路（ｂ）の光
のようになり、光センサー部４１に返ってくる光は、被
検知部の共通液室部３７がインクで充填されている時に
比べて非常に少なくなり、これによって気泡の存在を検
知することができる。このように、この方法を用いるこ
とによって、気泡の有無を検知することが可能となる。

【００３８】以上の説明から明らかなように、本発明に
よれば、インクジェット記録ヘッド４に設けられたイン
クを吐出するためのノズルに、インクを供給するための
インク供給用の孔２８の両端付近に存在する気泡を検知
する機構を設け、前記検知機構が気泡を検知した場合に
は、インクジェット記録ヘッド４の吸引回復を行うこと
によってノズル３１付近の成長した気泡を取り去って、
気泡がノズル３１内に到達することが無いようにするこ
とで、常にインク供給用の孔２８の両端に存在する気泡
による不吐出等、印字の不具合が無い信頼性の高いイン
クジェット記録装置を構成することが可能となる。

【００３９】（その他）なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギーとして熱エネルギーを発生する手
段（例えば電気熱変換体やレーザ光等）を備え、前記熱
エネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記
録ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもの
である。かかる方式によれば記録の高密度化、高精細化
が達成できるからである。

【００４０】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４、７２３、１２９号明細書、同第４、
７４０、７９６号明細書に開示されている基本的な原理
を用いて行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマ
ンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であ
るが、特に、オンデマンド型の場合には、液体（イン
ク）が保持されているシートや液路に対応して配置され
ている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰
を越える急速な温度上昇を与える少なくとも１つの駆動
信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネル
ギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生
じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液
体（インク）内の気泡を形成できるので有効である。こ
の気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体（イ
ンク）を吐出させて、少なくとも１つの滴を形成する。
この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の
成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体（イ
ンク）の吐出が達成でき、より好ましい。このパルス形
状の駆動信号としては、米国特許第４、４６３、３５９
号明細書、同第４、３４５、２６２号明細書に記載され
ているようなものが適している。なお、上記熱作用面の
温度上昇率に関する発明の米国特許第４、３１３、１２
４号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに
優れた記録を行うことができる。

【００４１】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組合せ構成（直線状液流路または直角液流路）の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第４、５５８、３３３号明細書、米国特許第
４、４５９、６００号明細書を用いた構成も本発明に含
まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対し
て、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構
成を開示する特開昭５９−１２３６７０号公報や熱エネ
ルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構
成を開示する特開昭５９−１３８４６１号公報に基いた
構成としても本発明の効果は有効である。すなわち、記
録ヘッドの形態がどのようなものであっても、本発明に
よれば記録を確実に効率よく行うことができるようにな
るからである。

【００４２】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された１個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。

【００４３】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。

【００４４】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体、或はこれとは別の加熱素
子、或はまたこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予
備加熱手段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段等
を挙げることができる。

【００４５】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して１個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。

【００４６】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギーによる昇温を、インクの固形
状態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せ
しめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸
発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化
するインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギ
ーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液
状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点
では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの
付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場
合でも、本発明は適用可能である。このような場合のイ
ンクは、特開昭５４−５６８４７号公報あるいは特開昭
６０−７１２６０号公報に記載されるような、多孔質シ
ート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持さ
れた状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態
としてもよい。本発明においては、上述した各インクに
対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行す
るものである。

【００４７】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの外に、リーダ等と
組合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファク
シミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。

【００４８】

【発明の効果】以上のように構成された本発明の、請求
項１記載のインクジェット記録装置は、インクを吐出さ
せるための複数個のエネルギー発生素子を備えたヒータ
ーボードと、前記エネルギー発生素子に対応したインク
流路を有し、該インク流路にインクを供給するための共
通液室部から成るインクジェット記録ヘッドを有するイ
ンクジェット記録装置において、前記インクジェット記
録ヘッドに具備された前記ヒーターボードの両端部にイ
ンクの有無を検知する検知機構を設けているので、簡単
な構成に作ることができると共に、記録ヘッドの両端の
インク（気泡）有無を検知して、インクが無い（気泡が
有る）と検知した場合には、自動的にインクジェット記
録ヘッドの吸引回復を行って、インクジェット記録ヘッ
ドの共通液室端部の気泡を取り除くことにより、印字中
の突然のインク不吐出を防ぎ、常に信頼性の高い印字を
行って、記録の高密度化および高精細化を達成して、き
れいな記録が得られる。

【００４９】本発明の請求項２記載のインクジェット記
録装置は、前記インク有無の検知機構が、前記ヒーター
ボード上の両端部に形成された抵抗に電流を流し、その
温度上昇率によりインク有無の検知を行うので、簡単な
構成でインク有無の検知を行うことができる。

【００５０】本発明の請求項３記載のインクジェット記
録装置は、前記インク有無の検知機構が、前記インクジ
ェット記録ヘッドの両端部に設けられたダミーノズルに
配置された抵抗および温度センサーを有するので、印字
時にインクを吐出しないダミーノズルにおける温度セン
サーによって好適に検知を行うことができ、記録の高密
度化と高精細化を達成することができる。

【００５１】本発明の請求項４記載のインクジェット記
録装置は、前記インク有無の検知機構が、前記インクジ
ェット記録ヘッドの両端部に光を当て、その反射率でイ
ンク有無の検知をするので、インク有無の検知を確実
に、かつ迅速に行うことができる。

【００５２】本発明の請求項５記載のインクジェット記
録装置は、前記インクジェット記録ヘッドが、サイド型
インクジェット記録ヘッドであるので、スピードを上げ
て印字の高速化を図ることができる。

【００５３】本発明の請求項６記載のインクジェット記
録装置は、前記インクジェット記録ヘッドの端部におい
て、インク無を検知した場合に、自動的に前記インクジ
ェット記録ヘッドの吸引回復を行うので、印字中のイン
クの不吐出を防ぎ、常に信頼性の高い印字を行うことが
できる。

【００５４】本発明の請求項７記載のインクジェット記
録装置は、前記インクジェット記録ヘッドが、インクを
吐出するための熱エネルギーを発生する電気熱変換体を
有するので、好適にインクの吐出を行って良好な印字を
行うことができる。

【００５５】本発明の請求項８記載のインクジェット記
録装置は、前記インクジェット記録ヘッドが、前記電気
熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク
に生じる膜沸騰を利用して、インクを記録媒体に向けて
吐出するので、高密度で高精細な記録を行うことができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット記録装置の第１の実施
例を示す概略斜視図である。

【図２】本発明の第１の実施例におけるインクジェット
記録ヘッドの斜視図である。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿った断面図である。

【図４】図３のインクジェット記録ヘッドが吸引回復動
作を行う状態を示す断面図である。

【図５】本発明の第１の実施例におけるインクジェット
記録ヘッドのインク吐出口のある面を示す概要図であ
る。

【図６】本発明の第１の実施例におけるインクジェット
記録ヘッドに設けられた気泡検知機構を示す概要図であ
る。

【図７】本発明の第２の実施例におけるインクジェット
記録ヘッドに設けられた気泡検知機構を示す概要図であ
る。

【符号の説明】

１ハウジング２インクタンク３装着部４インクジェット記録ヘッド５コネクタパッド（記録ヘッド側）６キャリッジ７ヘッドカバー８コネクタパッド（インクジェット記録装置側）９サブインクタンク１０インクチューブ１１リードスクリュウ１２被記録媒体１３ガイドレール１４ギャ１５ギャ１６駆動モーター１７螺旋溝１８プラテンローラー１９キャップ部材２０吸引手段２１ギャ２２ギャ２３インク通路２４ヒーターボード２５ヒーター（電気熱変換体）２６基材２７溝２８孔２９吐出口３０ノズル材３１ノズル３２気泡３３ダミーノズル３４ヒーター３５温度センサー３６吐出口３７共通液室部３８凹凸３９オリフィスプレート４０発光ダイオード４１光センサー部４２ヒーターボード４３インク吸収体（ａ）光路（ｂ）光路

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】インクを吐出させるための複数個のエネ
ルギー発生素子を備えたヒーターボードと、前記エネル
ギー発生素子に対応したインク流路を有し、該インク流
路にインクを供給するための共通液室部から成るインク
ジェット記録ヘッドを有するインクジェット記録装置に
おいて、前記インクジェット記録ヘッドに具備された前記ヒータ
ーボードの両端部にインクの有無を検知する検知機構を
設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項２】前記インク有無の検知機構は、前記ヒー
ターボード上の両端部に形成された抵抗に電流を流し、
その温度上昇率によりインク有無の検知を行うことを特
徴とする請求項１記載のインクジェット記録装置。
【請求項３】前記インク有無の検知機構は、前記イン
クジェット記録ヘッドの両端部に設けられたダミーノズ
ルに配置された抵抗および温度センサーを有することを
特徴とする請求項１または２記載のインクジェット記録
装置。
【請求項４】前記インク有無の検知機構は、前記イン
クジェット記録ヘッドの両端部に光を当て、その反射率
でインク有無を検知することを特徴とする請求項１記載
のインクジェット記録装置。
【請求項５】前記インクジェット記録ヘッドは、サイ
ド型インクジェット記録ヘッドであることを特徴とする
請求項１乃至４のいずれかに記載のインクジェット記録
装置。
【請求項６】前記インクジェット記録ヘッドの端部に
おいて、インク無を検知した場合に、自動的に前記イン
クジェット記録ヘッドの吸引回復を行うことを特徴とす
る請求項１乃至５のいずれかに記載のインクジェット記
録装置。
【請求項７】前記インクジェット記録ヘッドは、イン
クを吐出するための熱エネルギーを発生する電気熱変換
体を有することを特徴とする請求項１乃至６のいずれか
に記載のインクジェット記録装置。
【請求項８】前記インクジェット記録ヘッドは、前記
電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってイ
ンクに生じる膜沸騰を利用して、インクを記録媒体に向
けて吐出することを特徴とする請求項７記載のインクジ
ェット記録装置。