JP2001009783A - カッティングプロッタ - Google Patents

カッティングプロッタ

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JP2001009783A
JP2001009783A JP11176370A JP17637099A JP2001009783A JP 2001009783 A JP2001009783 A JP 2001009783A JP 11176370 A JP11176370 A JP 11176370A JP 17637099 A JP17637099 A JP 17637099A JP 2001009783 A JP2001009783 A JP 2001009783A
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cutting edge
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medium
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Kojiro Yamamoto
好次郎 山本
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Brother Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 切断開始時又は方向転換時に、刃先を新たな
カット線に向けて迅速且つ正確に揃えられるカッティン
グプロッタを提供する。 【解決手段】 カッティング媒体2のカット線の始点の
周囲の任意の位置に弱い圧力で刃先29aをカッティン
グ媒体2上に接触させる昇降手段と、前記始点に向けて
ホルダ24を移動させ、刃先29aの向きを移動方向に
変える移動手段と、刃先29aが前記始点に位置すると
カッタ29を回転させ、刃先29aの向きを前記カット
線の方向に合わせる回転手段と、を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホルダ内に回転自
在に保持され、回転中心から偏心した刃先を有するカッ
タを備えたカッティングプロッタに関し、特に前記刃先
の方向をカット方向に揃えることができるカッティング
プロッタに関する。
【0002】
【従来の技術】この種のカッティングプロッタは、回転
自在であると共に回転中心から偏心した刃先を有するカ
ッタを備えたものであり、前記刃先は、カッタの回転中
心に対してフリーに回転できる構造になっている。その
ため、制御手段により、カッタの回転中心を制御点にし
て所定のカット方向に移動させると、カッタの刃先はカ
ッティング媒体とのカッティング抵抗により、最も抵抗
の少ない向き即ちカット方向に回転する。このように、
回転自在且つ偏心した刃先を有するカッタを用いること
により、カッティング媒体の二次元の全方向に対して切
断ができる。
【0003】
【発明が解決しようとする問題点】ただし、切断開始時
において、刃先は前記回転中心から偏心量を半径とする
円周上の不特定の位置に存在するため、切断開始時のカ
ット位置がずれることがある。そこで、特開平1−18
3397号公報には、カット線の始点に向かう延長線上
にカッティング媒体を極力切らないような弱い押圧力で
カッタを移動させ、刃先の位置をカット線方向に揃える
ものが開示されている。しかし、カット線の始点に向か
う延長線を演算するのに時間が掛かるという問題点があ
る。また、始点から離れた所でカッタをカット線と並行
に移動させることも提案されているが、連続的な刃先変
更ではなく、刃先が狂う恐れがあるという問題点があ
る。
【0004】また、特開平6−246685号公報に
は、カット線の始点に合わせてカッタを位置させた後、
カッタを一回転させて刃先をカット線に合わせるものが
開示されている。しかし、回転に時間が掛かる。また、
回転によって刃先を揃えるため、誤差が出やすいという
問題点がある。
【0005】さらに、刃先は前記回転中心から偏心して
いるため、回転中心を基準にしたカット線が鋭角に交差
するよう方向転換した場合、刃先は新たなカット線に沿
って回転するのにある程度の距離が必要なため、鋭角に
交差したカット線が得られなくなる。そこで、特開平5
−177588号公報には、カット線の方向転換時にカ
ッタを回転させる際に、刃先を回転中心から放射状に移
動させて、刃先の向きの変更を補助するものが開示され
ている。しかし、放射状の移動に時間が掛かる。また、
放射状の移動をこまめに行わないと誤差が出やすいとい
う問題点がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、切断開始時又は
方向転換時に、刃先を新たなカット線に向けて迅速且つ
正確に揃えられるカッティングプロッタを提供すること
である。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明は、カッティング媒体に対し
て、二次元に相対移動自在、昇降自在なホルダと、前記
ホルダ内に回転自在に保持され、回転中心から偏心した
刃先を有するカッタとを備えたカッティングプロッタで
あって、前記カッティング媒体のカット線の始点の周囲
の任意の位置に弱い圧力で前記刃先を前記カッティング
媒体上に接触させる昇降手段と、前記始点に向けて前記
ホルダを移動させ、前記刃先の向きを移動方向に変える
移動手段と、前記刃先が前記始点に位置すると前記カッ
タを回転させ、前記刃先の向きを前記カット線の方向に
合わせる回転手段と、を設けたことを特徴とするカッテ
ィングプロッタである。
【0008】昇降手段により、弱い圧力で刃先を前記カ
ッティング媒体上に接触させる状態にする。そして、刃
先の接触状態を保ったまま、カッティング媒体の任意の
位置からカット線の始点に向けてホルダを移動させる
と、前記始点において前記刃先の向きが移動方向に向い
た状態になる。つぎに、二次元の相対移動などの回転手
段により、刃先の接触状態を保ったまま、前記始点でホ
ルダを回転させると刃先の向きが変わるので、カット線
の向きに合うように前記ホルダを回転させる。そして、
刃先をカッティング媒体に押し込んでカットを開始する
と、カット線の始点から刃先の向きをカット線に向けた
カットが開始される。なお、前述の弱い圧力とは、刃先
をカッティング媒体上に接触させた状態でホルダを移動
させてもカッティング媒体が切れない程度の圧力であ
る。
【0009】請求項2に係る発明は、カッティング媒体
に対して、二次元に相対移動自在、昇降自在なホルダ
と、前記ホルダ内に回転自在に保持され、回転中心から
偏心した刃先を有するカッタとを備えたカッティングプ
ロッタであって、前記カッティング媒体に前記刃先を切
断可能に押し込んだ状態で前記ホルダを第1のカット線
に沿って移動させる移動手段と、前記ホルダを停止さ
せ、前記刃先を前記カッティング媒体の表面に接触する
高さか或いはカッティング媒体から離れる高さまで昇降
させる昇降手段と、前記停止位置において第1のカット
線と異なる向きの第2のカット線に向けて前記刃先の方
向を一致させるよう前記カッタを回転させる回転手段
と、を設けたことを特徴とするカッティングプロッタで
ある。
【0010】移動手段により、第1のカット線に沿って
刃先を押し込んだ状態で移動させ、第2のカット線との
交点まで切断をする。前記交点で前記ホルダの移動を停
止させると、刃先がカッティング媒体に食い込んだまま
である。そこで、昇降手段により、前記刃先を前記カッ
ティング媒体の表面に接触する高さか或いはカッティン
グ媒体から離れる高さまで上げると、刃先の食い込み状
態が解除される。そして、食い込み状態から解除された
まま、回転手段により、前記刃先の向きを第2のカット
線に合わせる。その後、前記刃先を前記カッティング媒
体に食い込ませ、第2のカット線に沿って移動させる。
【0011】請求項3に係る発明は、前記昇降手段が、
前記刃先を前記カッティング媒体の表面に接触する高さ
か或いはカッティング媒体から離れる高さまで上昇させ
た後、前記刃先をカッティング媒体に接触した状態でカ
ッタを回転させることを特徴とする請求項2記載のカッ
ティングプロッタである。
【0012】刃先がカッティング媒体に接触した状態で
カッタを回転させると、刃先の向きが第2のカット線に
合うと、直ぐに刃先を押し込んで切断を開始できる。
【0013】請求項4に係る発明は、前記昇降手段は前
記カッタが前記カッティング媒体を切断する際の抗力に
よって生じる刃先位置でのしなり量を相殺するように前
記ホルダを相対移動させる補正手段を備えていることを
特徴とする請求項2または3記載のカッティングプロッ
タである。
【0014】第1のカット線に沿って切断した刃先を、
第2のカット線との交点で上昇させると、切断時の抗力
により生じていたしなり量分だけ戻り、刃先と交点の位
置がずれる。そこで、補正手段により、前記昇降手段に
よるカッタの昇降時に、刃先位置でのしなり量を相殺す
るように前記ホルダを相対移動させると、刃先と交点が
一致する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
について図面を参照して説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施の形態のカッティ
ングプロッタの平面図である。図2は、図1のカッタの
カット位置を示す断面図である。図3は、図1のカッタ
の昇降位置を示す断面図であり、(a)は接触位置を示
し、(b)はリリース位置を示し、(c)は上昇位置を
示す。
【0017】図1に示すように、カッティングプロッタ
(裁断部)8は、ロール紙2(カッティング媒体)をテ
ーブル9上にY軸方向(図中上下方向)に走行自在に配
設し、テーブル9の上に位置するキャリッジ16をX軸
方向(図中左右方向)に走行可能に配設し、キャリッジ
16上に昇降自在に取り付けたホルダ24内にカッタ2
9を回転自在に保持する構造である。これにより、カッ
タ29は、ロール紙2に対して、XY方向の二次元に相
対移動が自在であると共に昇降自在となっている。
【0018】キャリッジ16は、主ガイド軸17及び図
示されない補助ガイド軸に沿って摺動自在である。この
キャリッジ16は、駆動プーリ20aと従動プーリ20
bとの間に巻回されるタイミングベルト21に連結され
ている。駆動プーリ20aがX軸モータ70により変速
機構71を介して駆動されると、タイミングベルト21
に連結されたキャリッジ16は、X軸方向の自在の位置
に移動可能である。
【0019】ロール紙2は、テーブル9の前後に配設さ
れた、駆動ローラ10aとピンチローラ15aの組及び
駆動ローラ10bとピンチローラ15bの組によって押
圧挟持される。駆動ローラ10a,10bが、Y軸モー
タ11により変速機構72を介して回転駆動されると、
ロール紙2はテーブル9上のY軸方向の自在の位置に走
行可能である。
【0020】キャリッジ16から立設された縦ガイド2
3に沿ってカッタホルダ25が摺動自在に取り付けられ
ている。このカッタホルダ25は、横軸47に設けられ
た回動体48の先端がカッタホルダ25に係合する構造
になっている。横軸47が、Z軸モータ59によりホル
ダ高さ調整機構26を介して回動されると、カッタホル
ダ25が昇降可能になる。
【0021】カッタ29は、カッタホルダ25の先端に
回転可能に保持され、テーブル9の上に位置している。
図2に示されるように、カッタ29の刃先29aは、カ
ッタ29の回転中心(制御点)73から、距離dだけ偏
心した位置にある。この刃先29aは、カッタホルダ2
5の下端の摺接部材から距離hだけ突出している。図2
のカッタ29は切断位置の高さにある。切断位置では、
カッタホルダ25は図示されない引っ張りばねの作用に
より強く下方に押圧され、刃先29aはカッティング媒
体2に食い込み、カッタホルダ25の下面がカッティン
グ媒体2の表面に摺接した状態を保つ。また、図示例の
カッティング媒体2としてのロール紙は、剥離紙4の上
に、下面に粘着層(図示略)を備えた記録紙3を重ねた
ものであり、刃先29aの突出量hが、記録紙3の厚み
に調整されているため、記録紙3だけの切断が行われ
る。
【0022】図3に示すように、カッタホルダ25は昇
降自在であって、切断位置(図2参照)以外に、図3
(a)の接触位置、図3(b)のリリース位置、及び図
3(c)の上昇位置の相互の間で昇降自在である。図3
(a)の接触位置では、カッタホルダ25は、図外のね
じりバネの作用により弱く下方に押圧されており、刃先
29aがロール紙2に突き刺さらない程度に接触してい
る。この接触状態のまま、カッタ29を移動させると、
刃先29aの向きは移動方向に向くものの、ロール紙2
は切断されない。図3(b)のリリース位置では、カッ
タホルダ25がホームポジションにある。図3(c)の
上昇位置では、カッタホルダ25の下面から刃先29a
迄の距離h′を自動的に調整でき、図2のハーフカット
のみならずフルカットにも対応できる。
【0023】図4は、図1のカッティングプロッタのブ
ロック図である。カッティングプロッタの機構部74
は、制御部75によって制御される。制御部75は、M
PU76から、X軸モータ70用のドライバ77、Y軸
モータ11用のドライバ78、Z軸モータ59用のドラ
イバ79に出力し、シリアルインターフェース85に対
するドライバ80と入出力し、電源部81から電力の供
給を受ける構成である。MPU76は、RAM82、R
OM83、I/Oポート84及びシリアルインターフェ
ース85を含む構成である。ROM(プログラムメモ
リ)83には、機構部74を作動させるために必要なプ
ログラムやその他の必要なデータが格納されている。
【0024】次に、本実施の形態のカッティングプロッ
タの作動を更に説明する。図5は、カット線に対する刃
先位置の移動を示す平面図であり、図6は、図1のカッ
タ29のしなりを示す図であり、図7は、図1のカッタ
29のしなりの補正を示す図である。以下に説明するカ
ッティングプロッタの作動は、(1)カット線の始点に
おける刃先29aの向きの調整、(2)カット線の方向
転換時の刃先の向きの調整、(3)カッタ29の二次元
移動時の刃先の抗力に応じたカッタ29のしなり量の補
正、(4)カッタ29の二次元移動時の機械的ガタの補
正、を含む。
【0025】フローチャートによる詳細な説明の前に、
上記(1)〜(4)の調整又は補正の概念を図5〜図7
により説明する。図5において、カット線が、直線1と
直線2からなるとする。
【0026】まず、(1)のカット線の始点における刃
先の向きの調整は、カッタ29をA点からF4点のカッ
ト線の始点に移動させる途中で行われる。図示のよう
に、刃先29aは、制御点である回転中心から半径dだ
けずれて回転自在であるため、刃先29aの向きは不特
定のままである。そこで、カッタホルダ25の昇降手段
及び移動手段により、A点からF1点まで、カッタ29
をホームポジションまで上げた状態にて移動し(区
間)、F1点からカッタ29を下げ、刃先29aをカッ
ティング媒体2上に弱い圧力で接触させた状態で、F4
点まで移動(区間)する。これにより、刃先29aの
向きは、次第に、C1方向→C2方向→C3方向→C4
方向へと移動方向に沿った向きになる。カッタ29の回
転中心がF4点に達しても、刃先29aはF4点に達し
ていないので、更にF1点とF4点を結ぶ線の延長線上
で、F4点から距離dだけ離れたF5点まで接触移動さ
せる(区間)。これで、刃先29aはカット線の始点
F4点の上にあって、刃先29aの向きもF1点とF4
点を結ぶ線に向かっている。つぎに、カッタホルダ25
の移動手段によりカッタホルダ25をF4点を中心とし
て、半径dの円周に沿ってF5点からF6点まで移動さ
せると、刃先29aは移動することなくその場で回転し
てC6方向に向き、カット線(直線1)のカット方向と
一致する(区間)。
【0027】つぎに、(2)のカット線の方向転換時の
刃先の向きの調整は、典型的には、直線1を矢印の方向
にカットし、向きを変えて直線2を矢印方向にカットす
る場合に行われる。直線1の終点までカットした状態
(回転中心:C11点、刃先位置:B1点)では、刃先
29aは直線1の終点C11まで達していない。そこ
で、カッタホルダ25の移動手段により、刃先29aの
偏心量dだけ、直線1の延長線上を進んだC12点まで
オーバーランしてカットする(区間)。この時点で
は、カッタ29の回転中心(制御点)はC12点にあ
り、刃先29aの向きはB2方向に向いており、刃先2
9aはカッティング媒体2に食い込んだままである。そ
こで、カッタホルダ25の昇降手段により、刃先29a
がカッティング媒体2から離れる高さ(具体的にはホー
ムポジション)までカッタを上昇させ、次いで刃先29
aがカッティング媒体2の表面に弱い力で接触する程度
にカッタ29を下降させる。この接触状態を保ったま
ま、カッタホルダ25の移動手段により、カッタホルダ
25をC11点を中心として、半径dの円周に沿ってC
12点からC13点まで移動させると、刃先29aは移
動することなくその場で回転してB3方向に向き、カッ
ト線(直線2)のカット方向と一致する(区間)。
【0028】前述した、カット線の始点での刃先の向き
の調整(1)と、カッティング媒体2のカットと、カッ
ト線の方向転換(2)は、一連の動作として行われる。
そこで、以下に説明する具体的制御では、区間→区
間→区間をカッティング始点に向かう「I Mov
e」とし、区間(回転)→区間(切断)→区間
(オーバーラン)を方向転換を含む「I Cut」と定
義し、「I Move」と「I Cut」の組み合わせ
て、複数の方向転換を含むカット線を形成する。
【0029】さらに、(3)の刃先の抗力に起因するカ
ッタのしなり量の補正について説明する。カッティング
プロッタは、刃先29aをカッティング媒体に食い込ま
せた状態でカッタを二次元移動させるため、カット方向
とは逆に抗力が発生する。カッタは、図1に示すよう
に、カッティング媒体2に対して二次元移動と昇降移動
が可能な複雑構造であるため、この抗力により、しなり
が発生し、カッタ29の制御点と実際のカット点との間
に誤差が発生する。このしなりの状態が図6に示され
る。実際のカッタ29はキャリッジ16の走行方向(X
方向)に大きなしなりが発生する。図6(a)でX方向
の直線1をカットする場合、図6(b)の矢印方向の抗
力が作用するため、図6(a)の目標カット終点位置に
対して、しなり量1だけ離れてカット終点が位置するこ
とになる。図6(a)で角度θのXY方向の直線2をカ
ットする場合、図6(c)の矢印方向の抗力が作用する
ため、図6(a)の目標カット終点位置に対して、しな
り量2だけ離れてカット終点が位置することになる。こ
のしなり量1,2は、演算手段により、機器の特性に応
じた適正値が算出できる。
【0030】このしなり量の補正手段の具体例を図7に
より説明する。図7は、図5のC11点での刃先29a
の動きを示す。図7(a)において、制御点がC11点
に至っても刃先29aはしなり量だけ遅れた点に位置す
る。そこで、図7(a1)のように、しなり量だけ刃先
29aを進め、刃先29aとC11点とを一致させる。
方向転換時に、刃先に抗力が作用しなくなると、図7
(a2)のように、修正手段により、刃先29aがカッ
ティング媒体2に食い込んだ状態でしなり量だけ戻し、
制御点(C11点)と刃先29aとを一致させる。図7
(a3)及び図7(a4)は、刃先29aをカッティン
グ媒体2表面に対して接触状態にする動作を示す。な
お、図7(b2)に示すように、しなり量を戻す動作を
カッティング媒体2から刃先29aが離れた状態で行う
こともできる。また、カッティング媒体としてポリプロ
ピレンを使用した場合は、図7(a2)に示す状態か
ら、図7(a3)で示すようなカッティング媒体から刃
先29aを離す動作を行うことなく、刃先29aがカッ
ティング媒体へ食い込んでいる分だけカッタ29を上げ
て、図7(a4)に示すように刃先29aを接触状態に
することができる。
【0031】さらに、前述の(4)のカッタ29の二次
元移動時の機械的ガタの補正について説明する。図1に
おいて、カッタ29のX軸方向移動は、変速機構71や
タイミングベルト21等を介して行われる。また、カッ
ティング媒体2としてのロール紙のY軸方向移動は、変
速機構72を介して行われる。これら変速機構71,7
2は、機械的ガタ(例えば、歯車の噛み合い時の遊び)
を有し、移動方向を変える場合に、ガタ分だけ動作が遅
れる。このガタ分の補正は、X又はY方向の正方向移動
ではガタがないので行われず、X又はY方向の負方向移
動ではガタが発生するので、発生したガタの補正を行う
ことにより行われる。
【0032】以上説明した(1)〜(4)の調整又は補
正を含んだ制御の具体例を図8〜図16により説明す
る。図8は、カットデータの一例を示す図であり、図9
〜16は、カッティングプロッタの作動を説明するフロ
ーチャートである。なお、以下に説明する動作は、特に
記載する場合を除いて、図4のROM83から供給され
たプログラムに基づいてMPU76からの命令によって
行われる。また、以下の説明におけるSi(i=1,
2,3・・・)は、フローチャートにおける各ステップ
を示す。
【0033】図8のように、カットデータは、ブロック
毎に与えられ、各ブロックは、始点の座標データ「mo
ve」と、折れ曲がり点の座標データ「cut」の複数
の座標データからなる。このカットデータに基づき、図
9のフローに従って各補正付カットが行われる。このカ
ットデータから、例えば図5において、旧長さ(A点か
らF4点)と旧座標(A点)の組、新長さ(F4点から
C11点)と新座標(F4点)の組、次長さ(C11点
からC14点)と次座標(C11点)の組、で示すよう
な旧長さ、新長さ、次長さが演算される。
【0034】図9において、まず、ステップS1でカッ
トのY方向補正値が計算され記憶され、ステップS2で
カットのX方向補正値が計算され記憶される。ステップ
S3で旧座標を仮に(0,0)にしておく。つぎに、S
4〜S17の各ステップは、図8の各ブロック毎に全て
のブロックついて行われる。ステップS4で第1ブロッ
クの先頭座標(図8参照)を取り出し、ステップS5で
「I Move」即ち、接触移動で刃先29aの向きを
揃える動作が行われる。ステップS6で図8のカットデ
ータを確認し、次のデータがあると(S6:YES)、
ステップS7で現在の座標を旧座標として記憶し、ステ
ップS8で次の座標データ(300,160)を取り出
して新座標とする。ステップS9で旧長さをゼロとし、
ステップS10で旧座標と新座標との距離を各座標デー
タから演算し、新長さとする。つぎに、S11〜S14
の各ステップは、図8の現在カット動作の対象としてい
るブロックの残りデータについて行われる。ステップS
11で図8の次のデータ(320,240)を取り出し
次座標とし、ステップS12で新座標と次座標の距離を
各座標データから演算して次長さとし、ステップS13
で新座標まで「ICut」即ち刃先の制御されたカット
を行う。ステップS14において、新座標を旧座標、次
座標を新座標、新長さを旧長さ、次長さを新長さとする
データの置き換えを行う。上記ステップS11〜ステッ
プS14を同一ブロック内の全ての「cut」データに
ついて行う。最後の「cut」データについてステップ
S14の処理が終わると、ステップS15にて、各ブロ
ックの最後の次長さは800という長めにして、刃先2
9aが確実に次座標まで達するようにステップS16で
次座標まで「I Cut」を行い、ステップS17で新
座標を旧座標に置き換える。上記ステップS4〜ステッ
プS17を全ブロックに対して行い、ステップS6にお
いて、次のブロックのデータがないと(S6:NO)、
ステップS17で新座標を旧座標に置き換えてフローを
終了する。
【0035】以上説明したフローでは、第1ブロックの
終点から、第2ブロックの始点まで、「I Move」
即ち接触移動による刃先調整が行われる。したがって、
第2ブロックのカット線の始点の周囲の任意の位置から
接触移動が行われることになる。尚、第1ブロックの終
点から第2ブロックの始点迄の距離が長い場合、接触移
動の距離も長くなるため、図5で示されるように、刃先
29aをカッティング媒体2から浮かした移動と、刃
先29aをカッティング媒体2に接触させた移動の組
み合わせにすることが好ましい。この制御について以下
に説明する。
【0036】図10は、図9のステップS5における
「I Move」のサブルーチンを示すフローチャート
である。この「I Move」は、始点までカットせず
に移動するプロセスであり、図5の→→移動で例
示される。
【0037】ステップS20で旧座標から新座標迄の距
離を求める。ステップS21で旧新座標間距離を確認
し、旧新座標間距離がゼロの場合(S21:YES)、
ステップS28でカッタ29を下げて図2に示す切断位
置にし、旧新座標間距離がゼロでない場合(S21:N
O)、ステップS22において、旧座標と新座標とから
カッタ29の進行方向を求め、15°毎の24方向のう
ち求めた進行方向に最も近い方向を決定する。つぎに、
ステップS23で旧新座標間距離を接触移動開始距離
(接触移動で刃先を揃えられる距離)と比較し、旧新座
標間距離が接触移動開始距離より小さいと(S23:Y
ES)、カット始点まで近いため、ステップS26でカ
ッタ29を接触位置まで下げ、ステップS27の刃先の
接触移動を旧新座標間の全距離について行う。旧新座標
間距離が接触移動開始距離以上であると(S23:N
O)、ステップS22で決めたカッタ29の進行方向を
基に新座標付近の途中の点までカッタ29を上げて移動
し(図5の移動参照)、ステップS27で刃先29a
の接触移動を刃先29aの偏心量だけ行き過ぎるまで行
う(図5の移動及び移動参照)。つぎに、ステップ
S28でカッタ29を下げて切断位置にする。
【0038】図11は、図9のステップS13における
「I Cut」のサブルーチンを示すフローチャートで
ある。この「I Cut」は、しなりやガタの補正など
を行いながら、次の点までカットするプロセスである。
この「I Cut」は、刃先を接触移動させて行う「T
urn」と、「Cut」と、「Over Run」と、
からなる。
【0039】ステップS30で旧長さ及び新長さを所定
長さと比較し、これらが所定長さより短いと(S30:
YES)、角を曲がる動作を省略し、これらが所定長さ
以上であると(S30:NO)、ステップS31で角を
曲がる「Turn」動作を行う(図5の移動参照)。
つぎに、ステップS32で新座標までガタ補正付カット
「Cut」を行う(図5の移動参照)。ステップS3
3で新長さ及び次長さを所定長さと比較し、これらが所
定長さより短いと(S33:YES)、オーバーラン動
作を省略し、これらが所定長さ以上であると(S33:
NO)、ステップS34でオーバーラン「Over R
un」を行う(図5の移動参照)。
【0040】図12は、図11のステップS31におけ
る「Turn」のサブルーチンを示すフローチャートで
ある。ステップS41で旧座標から新座標までの距離を
求める。ステップS42で旧新座標間距離を確認し、ゼ
ロであると(S42:YES)、フローを終え、ゼロで
ないと(S42:NO)とフローを進める。ステップS
44で前述のステップS22と同様にカッタ29の進行
方向を15°毎の24方向のいずれかに決める。ステッ
プS45で、ステップS44で決めた進行方向を確認
し、前回と同一方向であると(S45:YES)、刃先
29aの回転は不要であるので、ステップS46で新た
な方向に対するしなり量を求め、ステップS47で刃先
29aを切断位置まで下げた状態で、ステップS46に
て求めたしなり量に相当する距離だけカッタ29を移動
させる。一方、ステップS45に戻り、ステップS44
で決めたカッタ29の進行方向が前回と同一方向でない
と(S45:NO)、ステップS48でカッタ29をカ
ッティング媒体2から完全に離れるホーム位置に上げ、
ステップS49で回転方向を決める。ステップS50で
回転方向を確認し、右回りであると(S50:YE
S)、ステップS51で1/24右回転した場合の座標
を求め、ステップS52で求めた座標の位置まで刃先2
9aをカッティング媒体2表面に接触させた状態でカッ
タ29及びカッティング媒体2を相対移動させて刃先2
9aを回転させる。ステップS53で所定の回転量にな
るまで、ステップS51と52を繰り返す。ステップS
50に戻り、左回りであると(S50:NO)、ステッ
プS54で1/24左回転した場合の座標を求め、ステ
ップS55で求めた座標の位置まで刃先29aをカッテ
ィング媒体2表面に接触させた状態でカッタ29及びカ
ッティング媒体2を相対移動させて刃先29aを回転さ
せる。ステップS56で所定の回転量になるまで、ステ
ップS54とS55を繰り返す。刃先29aの回転が終
わると、ステップS57で新たな方向に対するしなり量
とガタ量を求め、前記ステップS47を実行する。 な
お、ステップS48において、処理速度を上げるためな
らば、少なくとも刃先29aがカッティング媒体2に接
する位置まで上げればよい。また、カッティング媒体と
してポリプロピレンの様に刃先29aが食い込み状態か
ら抜けやすい媒体である場合には、このステップS48
の処理は省略可能である。
【0041】図13は、図11のステップS34におけ
る「Over Run」のサブルーチンを示すフローチ
ャートである。先ずステップS60で旧座標から新座標
までの距離を求める。ステップS61で旧新座標間距離
を確認し、ゼロであると(S61:YES)、フローを
終え、ゼロでないと(S61:NO)とフローを進め
る。ステップS62で、前述のステップS22と同様に
カッタ29の進行方向を15°毎の24方向のいずれか
に決め、ステップS63で、ステップS62で決めたカ
ッタ29の進行方向に対するしなり量とガタ量を求め、
ステップS64でしなり量を考慮してカッタ29を新座
標位置まで制御点をオーバーランさせてカッティング媒
体2をカットする(図7の(a1)(b1)参照)。刃
先29aがカッティング媒体2に食い込んだ状態のまま
で、或いは、刃先29aがカッティング媒体2から離れ
た状態でつぎに、ステップS65でしなり量及びガタ量
の分だけ戻し(図7の(a2)(b3)参照)、ステッ
プS66でガタ量だけ進める。このことにより、制御点
の進行方向を変えずに、しなり量を戻すことができる。
【0042】図14は、図10のステップS25の「M
ove」のサブルーチンを示すフローチャートである。
ステップS25の「Move」では刃先29aをホーム
位置まで上昇させてからカッタ29を移動させるので、
移動に際して補正すべきものはガタだけである。XY方
向の両方において、正方向の移動ではガタがなく、負方
向の移動にガタが発生するものとして制御する。
【0043】ステップS72で図10のステップS24
で求められた新座標付近の途中の点、即ち指定点のX座
標を前回のX座標、即ち旧座標のX座標と比較し、同じ
であると(S72:YES)、ステップS73で指定点
のX座標である指定座標Xを到達点のX座標とする。X
座標が前回と同じでなければ(S72:NO)、ステッ
プS74でX方向の移動が負方向か確認し、負方向であ
ると(S74:YES)、ステップS75で指定座標X
からX方向のガタ量を引くことにより求められた座標を
到達点のX座標とする。ステップS74において、NO
であると、即ち、X座標が前回とは異なり、且つX方向
の移動が正方向であると、ステップS76で指定座標X
を到達点のX座標とする。次に、ステップS79で前記
指定点のY座標を前回のY座標、即ち旧座標のY座標と
比較し、同じであると(S79:YES)、ステップS
80で指定点のY座標である指定座標Yを到達点のY座
標とする。Y座標が前回と同じでなければ(S79:N
O)、ステップS81でY方向の移動が負方向か確認
し、負方向であると(S81:YES)、ステップS8
2で指定座標YからY方向のガタ量を引くことにより求
められた座標を到達点のY座標とする。ステップS81
において、NOであると、即ち、Y座標が前回とは異な
り、且つY方向の移動が正方向であると、ステップS8
3で指定座標Yを到達点のY座標とする。つぎに、ステ
ップS84で到達点までカッタ29を上げて刃先29a
がカッティング媒体2に接触しないように移動する。
【0044】図15は、図12のステップS52,55
の「Float」のサブルーチンを示すフローチャート
である。ステップS27の「Float」では刃先29
aがカッティング媒体2に突き刺さらない程度の弱い力
で接触して移動するので、カッティング媒体2に刃先2
9aが食い込んでカットするときに生じるしなり量は考
慮されない。移動に際して補正すべきものはガタだけで
ある。図14と同様に、XY方向の両方において、正方
向の移動ではガタがなく、負方向の移動にガタが発生す
るものとして制御する。
【0045】先ず、前記ステップS72と同様に、ステ
ップS92で、図12のステップS51又はS54で求
めた座標のX座標であるX指定座標と前回の座標のX座
標とを比較し、両座標が同一でX方向の変化がない場合
(S92:YES)、ステップS93で迫加点のX座標
であるX追加点をゼロとし、到達点のX座標であるX到
達点をX指定座標とする。一方、ステップS92におい
て、両座標が異なれば(S92:NO)、ステップS9
4でX指定座標と前回のX座標とを比較し、カッタ29
が負方向に進む場合(S94:YES)、ステップS9
5で移動方向変化を確認し、前回の正方向移動だったも
のが負方向に変化する場合(S94:YES)、ステッ
プS96でX追加点を−ガタ量とする。一方、ステップ
S95で前回も負方向移動で移動方向に変化がない場合
(S95:NO)、ステップS97でX追加点をゼロと
する。つぎに、ステップS98で、X到達点をX指定座
標からガタ量を引いて求められる座標値とする。前記ス
テップS94において、正方向に進む場合(S94:N
O)、ステップS99で移動方向を確認し、前回の負方
向移動だったものが正方向に変化する場合(S99:Y
ES)、ステップS100でX追加点をガタ量とする。
一方、ステップS99で前回も正方向移動で移動方向に
変化がない場合(S99:NO)、ステップS101で
X追加点をゼロとする。つぎに、ステップS102でX
到達点をX指定座標とする。以上のステップS92〜ス
テップS102のガタ量補正付接触移動の演算は、Y方
向についても同様に行われる。ステップS103でX追
加点、Y追加点が共にゼロか確認し、共にゼロでなけれ
ば(S103:NO)、ステップS104でX追加点、
Y追加点で指示される追加点まで、カッタ29の高さを
変更することなく移動し、ステップS105で、カッタ
29接触位置まで下げて、刃先29aをカッティング媒
体2の表面に接触させた状態でX到達点、Y到達点で指
示される到達点まで接触移動する。一方、ステップS1
04で両追加点が共にゼロであると、直ちにステップS
105の接触移動を行う。
【0046】図16は、図11のステップS32の「C
ut」のサブルーチンを示すフローチャートである。ス
テップS32の「Cut」では刃先29aがカッティン
グ媒体2に食い込んでカットするので、ガタ量と共にし
なり量も考慮される。移動に際して補正すべきものはガ
タとしなり量の両方である。図14と同様に、XY方向
の両方において、正方向の移動ではガタがなく、負方向
の移動にガタが発生するものとして制御する。
【0047】ステップS110でXYの両方向において
移動量が共にゼロであるか確認し、ゼロであると(S1
10:YES)でフローを終え、共にゼロでないと(S
110:NO)でフローを進める。ステップS111で
X方向の移動量を確認し、X方向の移動量がゼロである
と(S111:YES)、ステップS112でX方向の
しなり量をゼロとする。ステップS111でX方向の移
動量がゼロでないと(S111:NO)、ステップS1
13でX方向の移動量がゼロより大きいか比較し、ゼロ
より大きいと(S113:YES)、ステップS114
でX方向のしなり量をしなり量の進行方向成分とする。
ステップS113でX方向の移動量がゼロより小さいと
(S113:NO)、ステップS114でX方向のしな
り量を−(しなり量の進行方向成分)とする。つぎに、
以上のステップS111〜ステップS115のしなり量
の演算は、Y方向についても同様に行われる。ステップ
S116で、前回の移動量及び今回の移動量を所定量と
比較し、所定量より小さいと、ステップS117でXY
の各しなり量を前回のしなり量との平均とし、急激な補
正にならないようにしている。以上が補正すべきしなり
量の演算である。
【0048】ステップS119で新座標のX座標である
X指定座標を旧座標のX座標と比較し、両座標が同じで
X方向への移動が無い場合(S119:YES)、ステ
ップS121で追加点のX座標であるX追加点がゼロで
今回の到達点のX座標であるX到達点を(前回の到達点
のX座標−前回のしなり量)とする。一方、ステップS
119で両座標が異なれば(S119:NO)、ステッ
プS122でX指定座標と旧座標のX座標との大小を比
較し、カッタ29が負方向に進む場合(S122:YE
S)、ステップS123で移動方向変化を確認し、前回
正方向への移動だったものが負方向に変化する場合(S
123:YES)、ステップS124でX追加点を−ガ
タ量とする。一方、ステップS123で前回も負方向移
動で移動方向変化無しの場合(S123:NO)、ステ
ップS125でX追加点をゼロとする。つぎに、ステッ
プS126で、X到達点を(X指定座標−ガタ量+しな
り量)で演算された座標値とする。一方、ステップS1
22において、正方向に進む場合(S122:NO)、
ステップS127で移動方向変化を確認し、前回負方向
への移動だったのが正方向に変化する場合(S127:
YES)、ステップS128でX追加点をガタ量とす
る。一方、ステップS127で前回も正方向移動で移動
方向変化が無い場合(S127:NO)、ステップS1
29でX追加点をゼロにする。つぎに、ステップS13
0でX到達点を(X指定座標+しなり量)で演算される
座標値とする。以上のステップS118〜ステップS1
30のガタ量、しなり量補正の演算は、Y方向について
も同様に行われる。ステップS131でX追加点Y追加
点が共にゼロか確認し、共にゼロでなければ(S13
1:NO)、ステップS132でカッタ29の高さを変
えずに追加点までカッタ29を移動し、ステップS13
3でカッタ29を切断位置まで下げて到達点までカッタ
29の刃先29aをカッティング媒体2に食い込ませて
移動する。ステップS131で両追加点が共にゼロであ
ると(S131:YES)、直ちにステップS133の
カット移動を行う。
【0049】以上のフローで説明した手順により、図5
のカッタ29の刃先29aの移動の制御が行われる。図
5の→→の「I Move」では、カッタホルダ
25の昇降手段及び移動手段によって、カッティング媒
体の上に刃先が弱い力で押されて移動する接触移動が行
われ、カット始点F4での刃先29aの方向がF1点と
F4点の延長線上に向く。次に、カッタ29の回転手段
によって、刃先29aを移動させることなくその場でカ
ッタ29を回転させて、刃先29aの向きをカット線で
ある直線1に向かう方向に変えると、直線1に向かって
刃先29aが揃う。この回転手段は、カッタホルダ25
及びカッティング媒体2のXY相対移動により15°毎
に行うものであるため、複雑な演算を要することなく、
迅速な作動を実現する。
【0050】図5の→→の「I Cut」では、
カッティング媒体2に刃先が食い込んでカットが行われ
るが、方向転換時のC11点では、昇降手段により、刃
先29aをカッティング媒体2から離れるホームポジシ
ョンまで上昇させた後、刃先を下降させて刃先29aを
カッティング媒体2の上に弱い力で押す接触状態にする
ため、刃先29aがカッティング媒体2に触れたまま、
確実に回転できる状態になる。また、カッタ29の回転
手段により、刃先29aを移動させることなくカッタ2
9をその場で回転させて刃先29aを直線2に向ける動
作が行われるが、この回転手段は、カッタホルダ25及
びカッティング媒体2のXY相対移動により15°毎に
行うものであるため、複雑な演算を要することなく、迅
速な作動を実現する。
【0051】また、図1のようにカッタホルダ25をキ
ャリッジ16に対して昇降自在に取り付けて、X方向に
移動自在とする構成であるため、カッティング媒体2に
刃先が食い込んでカットを行うと、カット時の抗力に応
じたしなりが発生するが、補正手段により、しなり量を
補正したカットが行われるため、カット終点まで確実に
カットできる。また、図5のC11点で方向転換の為
に、刃先29aをカッティング媒体2から離す際に、修
正手段により、しなり量を戻す修正が行われるため、刃
先位置がカット線からずれない。
【0052】さらに、XY方向の移動は伝達機構を介し
て行われるため、ガタが発生するが、XY方向の移動に
際して、このガタを補正するため、刃先位置がカット線
からずれない。
【0053】次に、本発明のカッティングプロッタを内
蔵した印刷装置1を説明することにより、図1に例示さ
れるカッティングプロッタの具体的構成例を詳述する。
図17は印刷装置1の概略右側面図、図19は裁断部
(カッティングプロッタ)の拡大側面図、図20は裁断
部のー部切欠き平面図、図21はカッタホルダのキャリ
ッジの拡大側面図、図22(a)はカッタホルダにおけ
るカッタ軸の上昇位置の状態を示す断面図、図22
(b)は同じくカッタ軸の下降位置の状態を示す断面図
である。
【0054】印刷装置1に使用する被裁断物としてのロ
ール紙2は、図18に示すように、表面に印刷可能な帯
状の記録紙3の裏面に感圧接着剤等の粘着剤を塗布し、
この粘着剤層を帯状の離型紙4(図29等に示す)の表
面に付着させたもので、通常、このロール紙2は紙管5
に巻回してある。なお、記録紙3は普通紙の他、光沢紙
や合成樹脂フィルムもあり得る。
【0055】図17に示す印刷装置1の一対の下側フレ
ーム6,6間の右端部に、前記タック紙となるロール紙
2が紙管5ごと回転可能に支持されており、巻きほどか
れて中央部位の印字部における印字ヘッド7にて記録紙
3に印字された後通過し、左寄り部位の裁断部8にて裁
断(全カット)もしくはハーフカットされながら図17
の左方向に移動される。前記裁断部8における、X方向
に長くY方向に短いテーブル9を挟んで、搬送の上流側
と下流側とにロール紙2の搬送用の駆動ローラ10a,
10bが配置されており、正逆回転可能なY軸モータ1
1から歯車伝動機構12を介して前記両駆動ローラ10
a,10bが同方向に回転駆動される。前記一対の下側
フレーム6,6に対して枢着軸13を中心に上向き回動
する上側フレーム14,14間には、前記各駆動ローラ
10a,10bに上側から対峙するピンチローラ15
a,15bが配置されており、上側フレーム14,14
を下側フレーム6,6に対して下向き回動して閉じた状
態で、これらのピンチローラ15a,15bと前記駆動
ローラ10a,10bとでロール紙2を挟んで搬送する
ものであり、後述するハーフカットのためにY方向に沿
って巻き戻すことができるように構成されている。(図
19及び図21参照)。
【0056】本実施形態では、前記印字部における印字
ヘッド7は前記ロール紙2の幅寸法にほぼ等しい横長の
ライン型サーマルヘッドを使用し、記録紙3として感熱
紙を使用する。印字ヘッド7の他の実施例として、イン
クジェット式のものや、インクリボンを介してドットピ
ンもしくはサーマルヘッドにより印字するタイプのもの
を利用しても良い。
【0057】ロール紙2の幅方向(X方向)に往復移動
可能なキャリッジ16は、前記一対の上側フレーム1
4,14に装架した丸棒状等の主ガイド軸17に摺動自
在に装架され、また、それより上側にて一対の上側フレ
ーム14,14に跨がって配置された断面L字状の補助
ガイド軸18がキャリッジ16の背面に設けた断面凸湾
曲状の摺動片16aと摺動ローラ19にて摺動自在に挟
み込まれて、当該キャリッジ16の姿勢が保持されてい
る(図20及び図21参照)。
【0058】前記一対の上側フレーム14,14の内面
側に配置された駆動プーリ20aと従動プーリ20bと
に巻掛けたタイミングベルト21の一箇所が前記キャリ
ッジ16の背面の取付け箇所にて固定され、前記駆動プ
ーリ20aには、図示しないX軸モータから他方の上側
フレーム14に配置されたギヤ伝動機構22の大歯車2
2a及びこれと同軸の傘歯車、この傘歯車と噛み合う伝
動歯車22bと同軸の傘歯車(共に図示せず)と伝動歯
車22cを介して動力伝達される(図20参照)。
【0059】前記往復移動可能なキャリッジ16には、
縦ガイド23を介して昇降ブロック24が上下動自在、
且つ落下不能に装着されており、この昇降ブロック24
には、ほぼ筒状のカッタホルダ25が固定されている。
そして、後述するホルダ高さ調節機構26にてカッタホ
ルダ25が、その高さ位置を適宜選択的に位置保持でき
るように構成されている。
【0060】また、カッタホルダ25内には、下端から
カッタ軸27の先端(下端)のカッタ29の切先29a
が前記テーブル9の上面に向かって出没可能となるよう
に配置され、後述する刃先突出量調整のための昇降機構
にて前記カッタ29の切先を出没させるように構成され
ている。なお、本発明では前記カッタ29の切先29a
及び刃先29bの形状は後述するように特殊な形態が採
用されている。
【0061】まず、図22(a)及び図22(b)を参
照しながら、カッタホルダ25の構成について説明す
る。
【0062】筒状のカッタホルダ25におけるメイン筒
25aの内径部には、前記丸棒状のカッタ軸27がラジ
アル軸受30を介して軸線回りに回転自在且つ軸線方向
に沿って昇降動可能に支承され、同じくメイン筒25a
の内径部の上部側には、角柱状等の断面非円形の押圧昇
降体31が、昇降のみ自在に配置されている。この押圧
昇降体31の下端には前記カッタ軸27の上端の円錐部
分を回転自在に圧接するピボット軸受32が設けられて
いる。また、前記カッタ軸27の上部の鍔片33と前記
ラジアル軸受30との間に配置された付勢ばね34によ
り、当該カッタ軸27を上向き付勢する。
【0063】前記カッタ軸27の先端に設けられたカッ
タ29の切先29aは、後述するようにカッタ軸27の
軸線(回転中心線)に対して若干dだけ偏芯している
(図30参照)。そして、メイン筒25aの下端外周に
装着した摺接カバー35の孔に前記カッタ29の切先を
臨ませている。
【0064】そして、前記押圧昇降体31を介してカッ
タ29の切先が摺接カバー35の下面から突出する刃先
突出量調整のための昇降機構は、後述する連動手段と選
択作動手段とにより構成されている。
【0065】この連動手段の本実施形態は、前記押圧昇
降体31と一体的に昇降するようにネジ部36a等を介
して連結され、且つ前記メイン筒25aの後端部(上端
部)の蓋体37に対して螺合したネジ軸部36と、その
ネジ軸部36の上端にて一体的に回転する歯車体38で
ある。なお、前記蓋体37はネジ軸部36と共回りせず
且つ着脱自在となるように、前記メイン筒25aの後端
部に対してビス39止めしている(図22(a)参
照)。さらに、前記押圧昇降体31に対するネジ部36
aのピッチは蓋体37に対するネジ軸部36のピッチの
半分に設定されており、これにて、後述するように歯車
体38の回転により、当該歯車体38の昇降量に対して
押圧昇降体31の昇降量が半分となり、カッタ軸27ひ
いてはカッタ29の昇降量の微調整が可能になるように
構成されている。
【0066】そして、前記カッタホルダ25のX方向へ
の移動に応じて前記連動手段を介して押圧昇降体31を
昇降させるための選択作動手段40の本実施形態は、図
19、図20、図21、図27、図28に示すごとく、
前記キャリッジ16の上端に突出した縦軸41に回転自
在に枢支された中央歯車42と、前記機軸41に揺動回
転可能に枢着されたブラケット43に枢支され、且つ前
記中央歯車42に対して常時噛み合い、且つ前記カッタ
ホルダ25における歯車体38に対しては選択的に噛み
合うことができる一対の遊星歯車44,45と、前記補
助ガイド板18の長手方向に沿うように固定されて前記
中央歯車42に噛み合うラック板46とから成る(図2
0、図21参照)。
【0067】即ち、X軸モータ(図示せず)を作動させ
ることにより、前記キャリッジ16を図20において右
方向に移動させるのに応じて前記中央歯車42が反時計
回りに回転し、これに噛み合う一対の遊星歯車44,4
5の正回転にてブラケット43が反時計回り回動して、
カッタホルダ25の上端に突出した歯車体38に左側の
遊星歯車44が噛み合うことにより(図28(b)参
照)、当該歯車体38を反時計方向に回動させて、押圧
昇降体31を上昇させ、切先がカッタホルダ25の下端
から引っ込む方向に付勢ばね34力にてカッタ29を上
昇させるように構成する。
【0068】反対に、前記キャリッジ16を図20にお
いて左方向に移動させるのに応じて前記中央歯車42が
時計回りに回転し、これに噛み合う一対の遊星歯車4
4,45の逆回転にてブラケット43が時計回り回動し
て、カッタホルダ25の上端に突出した歯車体38に右
側の遊星歯車45が噛み合うことにより(図28(c)
参照)、当該歯車体38を時計方向に回動させて、押圧
昇降体31を下降させ、カッタ29を下降(カッタホル
ダ25の下端から切先を突出)させるように構成する。
【0069】なお、この実施例では、前記左側の遊星歯
車44が歯車体38に噛み合う高さ位置は、右側の遊星
歯車45と歯車体38とが噛み合う高さ位置よりも、当
該歯車体38の厚さに略相当するだけ低くなるように設
定されている(図24、図27参照)。換言すると、前
記一対の遊星歯車44,45は前記ネジ軸部36の軸線
方向に高さを異ならせて配置し、前記歯車体38の正回
転または逆回転させるに際して前記カッタホルダ25に
おける押圧昇降体31を昇降調節するように構成したも
のである。
【0070】次に、図17、図19、図20、図21、
図22、図23、図25〜図27を参照しながら、前記
カッタホルダ25の高さ位置を、複数の高さ位置に変更
可能で、且つその高さ位置に保持できるようにするホル
ダ高さ調節機構26について説明する。図20、図21
及び図28に示すように、一対の上側フレーム14,1
4に枢支された横軸47を中心にして上下回動する横長
の回動体48の自由端側を横長の円柱状の摺動部48a
に形成し、該摺動部48aを前記昇降ブロック24に形
成された嵌合部49に対して相対的に横移動可能かつ上
下回動可能に嵌め入れる。
【0071】前記回動体48の自由端側の一側から横向
きに突出する作動ピン50を、一方の上側フレーム14
に穿設された窓孔51を介して外に突出させる。前記一
方の上側フレーム14の外側には、図23(a)に示す
第1レバー52と図23(b)に示す側面視L字状の第
2レバー53とが、当該第2レバー53が上側フレーム
14の側面に近くになるようにして同一の支軸54に対
して回動自在に軸支されている。そして、第2レバー5
3に穿設された長窓孔55及び第1レバー52に穿設さ
れた角孔状の主規制孔56に前記作動ピン50が貫通す
るように配置される。
【0072】前記一方の上側フレーム14の外側面に回
転自在に枢支されたカム板57の外周面に形成された歯
車57aは、正逆回転可能なステッピングモータ等から
なるZ軸モータ59のピニオンギヤ59aと噛み合って
回動するものであり、該カム板57の外側面に形成され
た略渦巻き状のカム溝60に、前記第2レバー53の一
方のアーム部から突出させた係合ピン61を係合させ
る。その状態で、前記係合ピン61の他方の突出部と前
記第1レバー52とに引張ばね62を装架する。
【0073】なお、第2レバー53と前記作動ピン50
との間にねじりバネ58(図20参照)を介挿して、作
動ピン50(回動体48の自由端側)を図19及び図2
7において下向き方向(時計方向)に付勢する。このね
じりバネ58の付勢力は、カッタ29の切先29aがロ
ール紙2に突き刺さることがないように設定されてい
る。また、第2レバー53の外面に突出した規制ピン6
3を第1レバー52に穿設された角孔状の第2規制孔6
4に臨ませている。
【0074】前記の構成により、印刷装置1の電源を入
れて初期化すると、Z軸モータ59の時計方向への回転
に伴ってピニオンギヤ59aが図19において時計方向
に回転し、カム板57を反時計方向に回転させ、前記第
2レバー53における係合ピン61が、図25(a)に
示す姿勢のカム溝60の半径最外周端に衝突してZ軸モ
ータ59が脱調し、これにて原点をチェックすることが
できる。この位相位置をカム角度0度とする。この状態
では、ねじりバネ58の付勢力に抗して前記第2レバー
53における長窓孔55の下端縁にて前記作動ピン50
を上向きに押圧し、回動体48の自由端側を相当程度大
きく上向きに回動させるから、この回動体48にて拘束
されて上昇する昇降ブロック24に取付けられたカッタ
ホルダ25も上昇し、カッタ29の切先29aが摺接カ
バー35の下面から突出していても、テーブル9上のロ
ール紙2の表面に触れない程度に当該カッタホルダ25
の高さ位置が保持される。
【0075】次に、Z軸モータ59を図19において反
時計方向に回転させ、カム板57を時計方向に回転さ
せ、そのカム角度を略141度にして停止する(図25
(c)参照)。この位相位置をリリース位置と称する。
この状態でも、カッタ29の切先29aが摺接カバー3
5の下面から突出していても、テーブル9上のロール紙
2の表面に触れない程度に当該カッタホルダ25の高さ
位置が保持されるー方、カッタホルダ25の上端の歯車
体38が選択作動手段40における左右いずれの遊星歯
車44,45とも噛み合わない低い高さ位置に保持され
る。
【0076】次に、X軸モータ(図示せず)を起動し
て、ロール紙2の幅方向の中途部等にキャリッジ16を
横移動させた位置で一旦停止する。その状態にて、Z軸
モータ59を図19において時計方向に回転させ、カム
板57を反時計方向に回転させ、そのカム位相角度を略
9度にして停止する(図25(b)参照)。この姿勢位
置では、前記第2レバー53における長窓孔55の下端
縁にて前記作動ピン50を上向きに押圧し、回動体48
の自由端側を大きく上向きに回動させるから、この回動
体48にて拘束されて上昇する昇降ブロック24に取付
けられたカッタホルダ25も大きく上昇し(図27の二
点鎖線状態参照)、当該カッタホルダ25の上端の歯車
体38は選択作動手段40における左右いずれか一方も
しくは双方の遊星歯車44,45と噛み合うことのでき
る高い上昇位置に保持される。
【0077】しかも、カッタ29の切先29aが摺接カ
バー35の下面から突出していても、テーブル9上のロ
ール紙2の表面に触れない程度に当該カッタホルダ25
の高さ位置が保持されると共にカッタ29の切先29a
の突出量を切り換える刃先突出量調節位置となる。この
状態でキャリッジ16を図28(b)のように右移動さ
せると、前記中央歯車42が反時計回りに回転し、これ
に噛み合う一対の遊星歯車44,45の正回転にてブラ
ケット43が反時計回り回動して、カッタホルダ25の
上端に突出した歯車体38に左側の遊星歯車44が噛み
合うことにより、当該歯車体38を反時計方向に回動さ
せて、押圧昇降体31を上昇させ、切先がカッタホルダ
25の下端から引っ込む方向に付勢ばね34力にてカッ
タ29を上昇させる。
【0078】従って、前回の裁断作業でカッタ29の切
先が大きく突出した全カット突出位置もしくはハーフカ
ット突出位置であれば、X軸モータの回転量、ひいては
キャリッジ16の移動量に比例して前記カッタ29の切
先が上昇し、当該カッタ12の切先が摺接カバー35の
下面から全く引っ込んだカット量0まで移動させること
ができる。逆に、キャリッジ16を図28(c)のよう
に左方へ移動させると、歯車体38に右側の遊星歯車4
5が噛み合うことにより、当該歯車体38を時計方向に
回動させて、押圧昇降体31を下降させ、カッタ29を
下降させるから、キャリッジ16の横移動量に比例して
カッタ12の切先が摺接カバー35の下面から突出し、
その突出量を大きくする全カット量からハーフカット量
等の任意の刃先突出量に調節することができる。
【0079】上述のように、一旦所定の刃先突出量調節
作業を終了させた後、再度、前述したリリース位置まで
カッタホルダ25を下降させることにより、歯車体38
は、前記左右いずれの遊星歯車44,45とも噛み合わ
ない高さ位置に保持できる。この状態で、ロール2にお
ける全カットもしくはハーフカットのカット開始位置近
傍にカッタ29が来るように、X軸モータ及びY軸モー
タ11を起動させる。この状態にて、Z軸モータ59を
作動させて、カム溝の位相位置を図26(a)に示す位
置(カム位相角度略178度)にセットすると、カッタ
29の切先がロール紙2の表面に軽く当接するようにカ
ッタホルダ25が若干下降する。
【0080】このカム位相角度178度の位置に至るま
では、前記第1レバー52における第2規制孔64の上
端縁に第2レバー53の規制ピン63が当接しており、
第1レバー52における主規制孔56の上端縁と回動体
48の作動ピン50とは離間しているから、引張バネ6
2のバネ力が前記回動体48に伝わらないようになって
いる。
【0081】また、カム板57の回転に伴って第2レバ
ー53が図26の反時計方向に回転すると、ねじりバネ
58の付勢力により作動ピン50は第2レバー53の長
窓孔55の下端縁に接触した状態を保ちつつ下方へ移動
するので、回動体48も反時計方向に回動して昇降ブロ
ック24が下降する。
【0082】この下降に伴って、カッタ29の切先がロ
ール紙2に当接することになるが、前記ねじりバネ58
の付勢力だけでは、カッタ29の切先がロール紙2に突
き刺さることがないように、ねじりバネ58の付勢力が
設定されていることから、カッタ29の切先29aがロ
ール紙2に当接した地点で、昇降ブロック24の下降が
止まり、回動体48の回動、作動ピン50の下方への移
動も停止する。
【0083】この状態から、第2レバー53のみが反時
計方向に回転し続け、カム位相角度178度に至った時
点で、作動ピン50は第2レバー53の長窓孔55の下
端縁から離間しており、作動ピン50と主規制孔56と
の間には隙間が生じている。このとき、作動ピン50
は、前記ねじりバネ58にて弱い力で下向きに付勢され
ているから、この作動ピン50に連結した回動体48を
介して昇降ブロック24に取付けられたカッタホルダ2
5全体が下向きに押圧される結果、カッタホルダ25の
下端のカッタ29の切先がロール紙2に軽く接触した状
態となる。この位相位置を、切先方向調整位置と称する
(図29(a)の状態参照)。
【0084】この状態で、再び、X軸モータ及びY軸モ
ータ11のいずれかー方もしくは双方を作動させると、
ロール紙2の表面に当接したカッタ29の切先を所定の
カット方向に向かわせることができるのである。
【0085】次に、実際の裁断作業(全カットもしくは
ハーフカット作業)を実行するに先立って、Z軸モータ
59を作動させて、カム溝の位相位置を図26(b)に
示す位置(カム位相角度略300度)にセットする。
【0086】この位相位置では、前記第1レバー52に
おける主規制孔56の上端縁にて前記作動ピン50を下
向きに押圧し、回動体48の自由端側を大きく下向きに
回動させると共に、前記第1レバー52に掛けてある引
張バネ58にて前記作動ピン50を下向きに強い力で押
圧し、これに連結した回動体48を介して下降位置の昇
降ブロック24に取付けられたカッタホルダ25全体が
下向きに押圧される結果(図27の実線状態参照)、そ
の下端のカッタ29の切先29aがロール紙2に突き刺
さる。この状態にて、X軸モータ及びY軸モータ11の
いずれかー方もしくは双方を作動させてロール紙2を平
面視矩形や楕円状等の任意のタック紙3aとなるように
裁断したり、ロール紙2の幅方向に切断したりすること
ができる(図18参照)。
【0087】前記カッタ29の切先29aの突出量を、
記録紙3の厚さに対応する量だけ突出させている場合に
は、離型紙4を裁断せずに、記録紙3の部分のみを所定
の略矩形や楕円形等の平面形状のタック紙3a(図18
参照)となるように裁断する、いわゆるハーフカットす
ることができるのである(図29(b)の状態参照)。
【0088】前記カッタ29の切先29aの突出量が大
きい状態で、記録紙3と離型紙4とを同時に突き刺さる
状態にて裁断すると、いわゆる全カット作業となる(図
29(c)参照)。
【0089】前記実施形態の変形例として、ネジ軸部3
6と押圧昇降体31とを横ピン等にて固着して、歯車体
38の回転と共に押圧昇降体31が回転しながら昇降す
るように構成しても良い。さらに、他の変形例として
は、歯車体38を固着したネジ軸部36を蓋体37等に
対して回転のみ可能に装着する一方、カッタホルダ25
の内径部に前記押圧昇降体31を非回転で昇降のみ可能
に嵌挿し、前記ネジ軸部36の下端のネジ部を前記押圧
昇降体31に螺合することにより、キャリッジ16の右
方向または左方向の移動に応じて、前記選択作動手段を
介して歯車体38が正回転すれば、その回転量に比例し
て押圧昇降体31が上昇し、逆に、歯車体38が逆回転
すれば、その回転量に比例して押圧昇降体31が下降す
るように構成しても良いのである。
【0090】そして、本発明の切断刃としてのカッタ2
9の切先29aは、図30(a)〜図30(d)に示す
ように、カッタ軸27の回転中心である軸線73に対し
て適宜量dだけ偏芯させると共に、カッタ29の正面側
に1本の刃先29bが形成されるように、丸軸の刃材
(ステンレス鋼材、超硬工具鋼材、セラミックス等)の
左右側面29c,29cと背面29dとを先細状に切削
して、さらに、刃先29bの先端である切先29aを前
記軸線73に対して略直交するように面取り部とする
(図30(a)(側面図)及び図30(d)(底面図)
参照)。従って、前記切先29aは、側面視において、
従来のような点状ではなく、線状の刃物となり、底面視
においては、狭い面を有することになる。なお、刃先2
9bは、側面視にて略直線状になる。
【0091】この切先29aによれば、図31に示すよ
うにハーフカットの場合、カッタ軸27への下向き押圧
力がやや大きくても、面取り状の切先29aが下層の離
型紙4を貫くおそれが少なく、上層側の記録紙3と下層
の離型紙4との間の感圧性接着剤層上を滑るようにして
面取り状の切先29aが移動し易いから、離型紙4を傷
付けたりせず、記録紙3のみを切断することが容易にな
る。そして、全カットの場合にも、前記下層の離型紙4
まで貫くように面取り状の切先29aが下降しても、そ
の下面のテーブル9の表面に対して線状(もしくは面
状)に接触するので、点状の切先の場合に比べて、切先
部に対する単位面積あたりの荷重が少なくなり、面取り
状の切先29aの欠け、破損が少なくなり、カッタ29
の切れ味が長期間低下せず、耐久性が大幅に向上するの
である。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明によると、カット線の向きと関係なく、刃先を揃える
移動方向を決め、一回転未満の少ない回転で刃先をカッ
ト線に向けて揃えられるため、刃先を揃える移動方向を
演算する必要がなく、誤差も少なく刃先を新たなカット
線の始点に向けることができる。
【0093】請求項2記載の発明によると、カット線の
方向転換時にカッタの刃先を浮かせるため、刃先の回転
が確実に行われる。また、カッタの刃先を昇降させる動
作を追加させるだけでよく、方向転換時の時間的ロスを
少なくすることが出来る。
【0094】請求項3記載の発明によると、カット線の
方向転換時に、カッタ刃先を接触状態で回転させるた
め、刃先の方向が合うと、刃先を押し込んで直ぐに切断
を始めることができる。
【0095】請求項4記載の発明によると、カット線の
方向転換時に、カッタ刃先を接触状態又は離して回転さ
せると、切断時の抗力のしなり量分だけ刃先位置がずれ
るが、補正手段により刃先位置がずれなくなり、カット
線の方向転換が連続的に行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のカッティングプロッタ
の平面図である。
【図2】図1のカッタのカット位置を示す断面図であ
る。
【図3】図1のカッタの昇降位置を示す断面図であり、
(a)は接触位置を示し、(b)はリリース位置を示
し、(c)は上昇位置を示す。
【図4】図1のカッティングプロッタのブロック図であ
る。
【図5】カット線に対する刃先位置の移動を示す平面図
である。
【図6】図1のカッタのしなりを示す図であり、(a)
はしなり量を示し、(b)は直線1の抗力を示し、
(c)は直線2の抗力を示す。
【図7】図1のカッタのしなりの補正を示す図であり、
(a)はカッタ上昇前に補正する状態を示し、(b)は
カッタ上昇後に補正する状態を示す。
【図8】カットデータの一例を示す図である。
【図9】カッティングプロッタの作動を説明するフロー
チャートである。
【図10】図9の「I Move」のサブルーチンを示
すフローチャートである。
【図11】図9の「I Cut」のサブルーチンを示す
フローチャートである。
【図12】図11の「Turn」のサブルーチンを示す
フローチャートである。
【図13】図11の「Over Run」のサブルーチ
ンを示すフローチャートである。
【図14】図10の「Move」のサブルーチンを示す
フローチャートである。
【図15】図10の「Float」のサブルーチンを示
すフローチャートである。
【図16】図11の「Cut」のサブルーチンを示すフ
ローチャートである。
【図17】図1のカッティングプロッタを内蔵する印刷
装置の概略側面図である。
【図18】ロール紙のカッティングの作用説明図であ
る。
【図19】カッティングプロッタの拡大側面図である。
【図20】カッティングプロッタの一部切り欠き平面図
である。
【図21】キャリッジの拡大側面図である。
【図22】カッタの断面図であり、(a)は刃先の上昇
位置を示し、(b)は刃先の下降位置を示す。
【図23】レバーの側面図であり、(a)は第1レバー
を示し、(b)は第2レバーを示す。
【図24】選択作動手段の一部切り欠き正面図である。
【図25】カム位相位置を示す説明であり、(a)は原
点位置を示し、(b)刃先高さ調整のための上昇位置を
示し、(c)はリリース位置を示す。
【図26】カム位相位置を示す説明であり、(a)は接
触位置を示し、(b)カット位置を示す。
【図27】ホルダの高さ位置の変化を示す側面図であ
る。
【図28】選択作動手段の姿勢を示す平面であり、
(a)はリリース状態を示し、(b)カッタ上昇方向に
選択した姿勢を示し、(c)はカッタ下降方向に選択し
た姿勢を示す。
【図29】カッタ高さ位置とロール紙との位置関係を示
す要部拡大断面図であり、(a)は接触位置を示し、
(b)はハーフカット位置を示し、(c)は全カット位
置を示す。
【図30】カッタの切先部の拡大図であり、(a)は正
面図を示し、(b)は左側面図を示し、(c)は右側面
図を示し、(d)は底面図を示す。
【図31】ハーフカット時のカッタの切先部の拡大図を
示す。
【符号の説明】
2 ロール紙(カッティング媒体) 8 裁断部(カッティングプロッタ) 10a,10b 駆動ローラ 11 Y軸モータ 16 キャリッジ 17 主ガイド軸 25 カッタホルダ(ホルダ) 29 カッタ 29a 刃先 59 Z軸モータ 70 X軸モータ 73 回転中心(制御点) 74 機構部 75 制御部 76 MPU

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カッティング媒体に対して、二次元に相
    対移動自在、昇降自在なホルダと、前記ホルダ内に回転
    自在に保持され、回転中心から偏心した刃先を有するカ
    ッタとを備えたカッティングプロッタであって、 前記カッティング媒体のカット線の始点の周囲の任意の
    位置に弱い圧力で前記刃先を前記カッティング媒体上に
    接触させる昇降手段と、 前記始点に向けて前記ホルダを移動させ、前記刃先の向
    きを移動方向に変える移動手段と、 前記刃先が前記始点に位置すると前記カッタを回転さ
    せ、前記刃先の向きを前記カット線の方向に合わせる回
    転手段と、を設けたことを特徴とするカッティングプロ
    ッタ。
  2. 【請求項2】 カッティング媒体に対して、二次元に相
    対移動自在、昇降自在なホルダと、前記ホルダ内に回転
    自在に保持され、回転中心から偏心した刃先を有するカ
    ッタとを備えたカッティングプロッタであって、 前記カッティング媒体に前記刃先を切断可能に押し込ん
    だ状態で前記ホルダを第1のカット線に沿って移動させ
    る移動手段と、前記ホルダを停止させ、前記刃先を前記
    カッティング媒体の表面に接触する高さか或いはカッテ
    ィング媒体から離れる高さまで昇降させる昇降手段と、
    前記停止位置において第1のカット線と異なる向きの第
    2のカット線に向けて前記刃先の方向を一致させるよう
    前記カッタを回転させる回転手段と、を設けたことを特
    徴とするカッティングプロッタ。
  3. 【請求項3】 前記昇降手段は、前記刃先が前記カッテ
    ィング媒体の表面に接触する高さか或いはカッティング
    媒体から離れる高さまで上昇させた後、刃先がカッティ
    ング媒体に接触した状態でカッタを回転させることを特
    徴とする請求項2記載のカッティングプロッタ。
  4. 【請求項4】 前記昇降手段は前記カッタが前記カッテ
    ィング媒体を切断する際の抗力によって生じる刃先位置
    でのしなり量を相殺するように前記ホルダを相対移動さ
    せる補正手段を備えていることを特徴とする請求項2ま
    たは3記載のカッティングプロッタ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008078287A (ja) * 2006-09-20 2008-04-03 Nitto Denko Corp 粘着テープ切断方法およびこれを用いた粘着テープ貼付け装置
WO2008099704A1 (ja) * 2007-02-17 2008-08-21 Seiko I Infotech Inc. カッティング装置およびその制御方法
JP2012114465A (ja) * 2012-03-09 2012-06-14 Nitto Denko Corp 粘着テープ切断方法およびこれを用いた粘着テープ貼付け装置
US9827188B2 (en) 2015-08-14 2017-11-28 Johnson & Johnson Consumer Inc. Compositions comprising ampelopsis grossedentata and albizia julibrissin extracts

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