JP2001008952A - 歯科用シェ−ド・システム - Google Patents

歯科用シェ−ド・システム

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JP2001008952A JP11189039A JP18903999A JP2001008952A JP 2001008952 A JP2001008952 A JP 2001008952A JP 11189039 A JP11189039 A JP 11189039A JP 18903999 A JP18903999 A JP 18903999A JP 2001008952 A JP2001008952 A JP 2001008952A
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    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61CDENTISTRY; APPARATUS OR METHODS FOR ORAL OR DENTAL HYGIENE
    • A61C19/00Dental auxiliary appliances
    • A61C19/10Supports for artificial teeth for transport or for comparison of the colour

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  • Dentistry (AREA)
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  • Dental Tools And Instruments Or Auxiliary Dental Instruments (AREA)
  • Spectrometry And Color Measurement (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 天然歯の色を色見本と比較するとき、比較す
べき複数個の色見本を他の色見本が視野に入らない状態
で患者の天然歯に近付けることができ、かつ明度、彩
度、または色相の3座標値をそれぞれ一動作または二動
作で順に比較判定できる歯科用シェード・システムを提
供する。 【解決手段】 多数個の色見本を一個または複数個の縦
長の三角柱上に一体化して配置し、該三角柱の長さ方向
または3つの面に、それぞれ明度、彩度、または色相の
異なる色見本を配置して、明度、彩度、色相の順にそれ
ぞれ一動作または二動作で天然歯の色と色見本を比較判
定できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯科用シェ−ド・シス
テム、特に天然歯の色を明度、彩度(飽和度)、色相の
3座標値により分類し、感覚的に等間隔(等歩度)に配
列した歯科用色見本(シェ−ド)システムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】歯科用シェ−ド・システム(シェ−ド・
ガイドともいう)は、人工歯を含む歯科用補綴物の色を
患者の天然歯の色に合致させることにより、補綴物の審
美性を向上させて患者の十分な満足を得るために必要な
歯科用色見本である。歯科用補綴物の製作過程におい
て、患者を直接に診療する歯科医から補綴物を製作する
技工士に対する指示内容(製作仕様)には当該患者の歯
の色に関する情報が必要不可欠である。そのため歯科治
療の現場では、歯科用シェ−ド・システムの色見本の中
から患者の天然歯の色に近いものを選び出し、その色情
報を技工室または技工所に送ることが必須事項となって
いるが、近年、歯科患者における審美への関心度の向上
に比例して、その情報の的確度の重要性が急速に高まっ
てきた。
【0003】周知の通り、ヒトの眼が感知する色は明度
(Value または Lightness)、彩度(または飽和度:Ch
roma)、色相(Hue)の3次元座標値で記述され、この
座標系は長い間マンセル色座標系として知られてきた
(Munsell,1905)。マンセル色座標系は、それによって
定義される3次元色空間における距離がヒトの眼の感覚
に比例するように作られたことで知られているが、色彩
学の進歩に伴いマンセル色座標系による色空間に歪みが
あることが明らかになり、近年それに代わる歪みのない
色座標系として、CIELABという国際基準が定められてい
る(CIE 1978)。
【0004】しかし従来の歯科用色見本(シェ−ド)シ
ステムは,上記のような色彩学の進歩にもかかわらず、
市販の補綴材料で作られた多種類の色見本の中から経験
的に天然歯に近い色をもつ色見本を取捨選択して配列し
た非論理的かつ非科学的なもので、そのような従来型の
歯科用シェ−ド・ガイド(システム)を用いて色見本を
選ぶ考え方は200年前から全く変わっていなかった。
【0005】歯の色は黄色っぽいものから赤っぽいもの
に限られ、しかもその彩度は極めて弱く(色が薄く)、
全色空間の中で占める領域は全体の約100分の1に過ぎ
ない。しかも既存の歯科用シェ−ド・システムの色見本
は上記の約100分の1のうちの6〜12%しか包含していな
かった。またこれらの色見本は経験的に選ばれたもので
あるため、色見本の色空間における分布は不均一であっ
た。したがって従来の歯科用シェ−ド・システムの使用
結果は不正確かつ非効率なもので、患者の天然歯の色と
視覚的に合致する補綴物を作ることは困難であった。
【0006】近年になってHallにより、歯の色に関する
最新の計測デ−タを用いた色彩学的解析結果に基づく合
理的な歯科用シェ−ド・システムが開発された(Hall N
R: Tooth colour selection: The application of colo
ur science to dental colour matching. Australian
Prosthodontic Journal 5:41-46,1991.)。このHallの
開発した歯科用シェ−ド・システムは、色見本を色空間
内におけるヒトの眼の色識別能力の閾値に近い等歩度間
隔で格子状に配置し、5段階から成る明度(明るさの順
に1,2,3,4,5と標記)、3段階から成る彩度
(鮮やかさが弱い、中程度、強いの順に1,2,3と標
記)、3段階から成る色相(色調が黄色っぽい、中間
色、赤っぽいの順にL,M,Rと標記)を組み合わせて
配列した計5×3×3=45種類から成る色見本配列を
基本構成としている。この構成によりはじめて、色空間
内における天然歯の色分布の全域を包含すると共に、感
覚的に等間隔(等歩度)の均一な配列をもった、科学的
に合理的な色見本システムが実現した。表1に、Hallの
歯科用シェ−ド・システムの色見本配列の基本構成を示
す。表1において、各色見本の色はHallの標記法に従っ
て標記され、一例で示すと3M/2は明度が3、彩度が
2、色相がMであることを表している。
【0007】
【表1】 従来の歯列用シェ−ド・システムの色見本配
列:基本構成
【0008】色空間内における歯の色の発現率は均一で
はなく、5段階の明度(Value)を明るさの順にV1、V
2、V3、V4、V5(上記の1,2,3,4,5に相当)と
標記した場合、その発現率はV1 2%、V2 26%、V3 50
%、V4 20%、V5 2%と大きく相違する。同様なことが
彩度と色相を組み合わせた場合にも生じるので、上記の
ように色空間内における歯の色の分布域だけに注目し多
数の色見本でシェード・システムを構成することが、コ
スト対効果比の観点から最良とは云えない。
【0009】このような実用上の理由から、Hallは発現
率の低い色見本を除くことにより、色見本の数を上記の
45種類から26種類へと削減し、図5に示す歯科用シ
ェ−ド・システム111を構築している。この歯科用シ
ェ−ド・システム111は、それぞれ把手112を取り
付けた2個ないし3個の色見本113を一束とし、計1
1本の束を横並びに共通の色見本立て114に差し込ん
だものである。表2にこのようなHallの歯科用シェ−ド
・システム111における色見本配列の実用構成を示
す。表2において、×印は発現率が低いため除かれた色
見本の一部(7個)を示す(同じく発現率が低いため除
かれた残りの色見本計12個、すなわち1L、1R、5L、5R各
列の色見本束については表記を省略した)。
【0010】
【表2】 従来の歯列用シェ−ド・システム111の色
見本配列:実用構成
【0011】Hallは、以上のように構成された歯科用シ
ェ−ド・システム111の中から視覚により天然歯の色
に合致した色見本113を選択する順序に関し、明度→
彩度→色相の順に選ぶことを推奨しているが、表2に示
したHallの歯科用シェ−ド・システム111の実用構成
において、第1列 115(図5の最前列―図中上側)
に弱い彩度(1または1。5)をもつ色見本113が配列
されているのは、天然歯に色見本立て114を近付けて
まず天然歯の色と合致する明度の色を選択しようとする
とき、色見本113の彩度が強いと明度の判定が困難な
ためである。また図5に示したように、最前列115に
配列されている色見本113のうち中間色(M)の色相
をもつ色見本(図中、3個一束の色見本)の先端が同列
の他の色見本の先端よりわずかに突出しているのは、明
度の判定に際し、両側に配置された黄色っぽい色相
(L)をもつ色見本や赤っぽい色相(R)をもつ色見本
により視覚を妨げられないためである。さらに、表2に
示したHallの色見本システム111の実用構成の一部に
おいて、1または3の彩度がそれぞれ1.5または2.5の中
間値に置き換えられているのは、上述のように発現率の
低い色見本を除いた結果、残った色見本の間に生じた色
空間における感覚的距離の不均一を補正するためであ
る。
【0012】以上述べてきたように、複数の色見本を対
象物と視覚的に比較することにより明度、彩度、および
色相を比較する方法は、マンセルの色票で知られている
ように古典的な方法であるが、エレクトロニクスを用い
た近代的な色彩計測装置を用いる方法に比べ、コストが
格段に低いだけでなく、標準光源や暗室などを必要とせ
ず、視覚による高感度の比色ができるので、歯科臨床に
用いる方法として現時点でも最も優れた色彩計測方法、
と云える。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近の臨床
応用経験から、Hallの開発した歯科用シェ−ド・システ
ム111には、その色見本構成の色彩学的合理性にもか
かわらず、取り扱い上の便利さにおいて、以下に述べる
ような問題点があることが明らかになってきた。
【0014】上述し、かつ図5および表2に示したよう
に、Hallの歯科用シェ−ド・システム111は、天然歯
の前歯に似せた形状の26種の色見本113から成り、
明度と色相の値が同じで彩度の異なる2個または3個の
色見本を一束とし、計11本の束を横並びに共通の色見
本立て114に差し込んで組立てられている。このよう
に組立てられた歯科用シェ−ド・システム111を用い
て天然歯の色に合致する色見本を選択するに当たって
は、まず最前列に並んだ弱い彩度(1)と中間色の色相
(M)をもつ5段階の明度の色見本の中から患者の天然
歯の明度と合致する色見本を選択し、次に該色見本と同
じ束の2ないし3段階の彩度の色見本の中から天然歯の
彩度と合致する色見本を選び、3番目に該色見本と該色
見本の両側に並んだ同じ明度と彩度をもつ2本の束の中
から天然歯の色相と合致する色見本を選ぶ手順が推奨さ
れている。この手順を、図5に示したように色見本立て
に並べられた歯科用シェ−ド・システム111を用いて
実行するに際し、次のような問題点が生じる。
【0015】最初に、天然歯の明度と合致する明度をも
った色見本を選択するためには、最前列に並んだ5段階
の明度の色見本の中から隣り合った2つの色見本を選ん
で天然歯の色の明度がどちらの色見本に近いか比較して
判定することになるが、それには図5に示した歯科用シ
ェ−ド・システム111の色見本立て114を患者の口
元に近付けることによって、天然歯の色と明度の合致す
る色見本を選ばなければならない。そのとき、26種類
の色見本113が一度に全部視野に入るので、そのうち
から天然歯の色と明度を比較すべき2つの色見本だけを
弁別するのは視覚生理的に極めて困難である。特に最前
列に並んだ5段階の明度の隣り合った2つの色見本の両
側に配列された明度が同じで色相の異なる色見本が邪魔
になる。ちなみに各束の最先端には3段階のうち最も彩
度の弱い色見本が配列されているが、これは彩度の強い
色見本間では明度の判定が困難なためである。以上述べ
たような困難を避けるには、明度を比較しようとする色
見本の束を2本ずつ色見本立てから抜き取って各束の最
先端の色見本を患者の口元に近付けて比べることになる
が、これは臨床の場において効率的な方法とは云えな
い。
【0016】次に、明度を選択した色見本の束の中か
ら、天然歯の彩度と合致する色見本を選択するには、該
色見本の束を図5に示した歯科用シェ−ド・システム1
11の色見本立てから抜き取って患者の口元に近付けな
ければならない。そのとき、彩度の異なる3つの色見本
は該色見本の束の長さ方向に配列されているから、該色
見本の束の最先端の色見本を比較すべき天然歯に近付け
たとき、他の2つの色見本は手前に離れた位置にあるた
め3つの色見本を天然歯と同じ距離において比較するこ
とが困難である。それを避けるには該色見本の束を横向
きにして、3つの色見本を比較すべき天然歯にできるだ
け等距離に近付けるしかないが、そうすると天然歯に似
せた形状の色見本が天然歯に対し横向きになってしまう
という不都合を生ずる。ちなみに当該色見本の束の彩度
の異なる3つの色見本はそれぞれの色見本の細長い支持
板の支点を軸に90°回転することにより、天然歯と等距
離でかつ同じ向きで比較できるようになっているが、い
ちいちこのような操作をするには手間がかかり、効率的
でない。
【0017】3番目に、明度と彩度を選択した色見本の
中から、天然歯の色相と合致する色見本を選択するに
は、明度と彩度を選択した色見本と該色見本の束の両側
の束を図5に示した歯科用シェ−ド・システム111の
色見本立てから抜き取って比較すべき天然歯に近付けな
ければならない。この場合、3本の色見本の束を手にも
ってそれぞれの束の色見本を天然歯と等距離でかつ同じ
向きで比較するのは前項で述べた以上に煩雑であり、臨
床の場における使用に全く適していない。
【0018】ちなみに、以上のようにして、天然歯の色
と色見本を比較する際には、両者の長軸の方向と上下の
向きを一致させる必要がある。しかし従来の歯科用シェ
−ド・システム111では色見本の形状を天然歯の前歯
の形状に似せてあるものの、上下の向きは上顎の前歯に
合わせて配列してあるため、下顎の天然歯の色と比較す
るには、色見本立ての向きを逆さにしたり、色見本の束
を逆向きにしなければならなくなり、極めて不都合であ
る。
【0019】以上のように、従来の歯科用シェ−ド・シ
ステム111における色見本の構成は科学的根拠にもと
づく合理性を有しているものの、比較のための取り扱い
方法が単純かつ合理的でなく、さらに色見本の配列に明
快さを欠くため使用者がその使用経験を通じてヒトの眼
が感知する色が3次元の性格をもっていることを直観的
に感得することができない。
【0020】したがって本発明は、従来技術における以
下に挙げる課題を解決した歯科用シェ−ド・システムを
提供することを目的とする。 (1)数多くの色見本の束を色見本立てに並べて差し込
むのではなく、一個ないし複数個のそれぞれ一体化した
配列とすると共に、明度、彩度、または色相を比較する
とき、いずれの場合も1ないし2動作で行うことがで
き、上下の向きも1動作で効率的に調節できるようにす
る。 (2)患者の天然歯の色に合致する色見本を選択すると
き、明度、彩度、または色相の異なる一対の色見本と天
然歯を、該比較すべき一対の色見本以外の他の色見本が
視野に入らない状態で、かつ該一対の色見本と天然歯を
等距離に近接しておき、天然歯の明度、彩度、または色
相が該一対の色見本のいずれに合致するか単純明快に比
較判別できるようにする。 (3)使用者が歯科用シェ−ド・システムの使用経験を
通じ、ヒトの眼の感知する色が明度(ValueまたはLight
ness)、彩度(または飽和度:Chroma),色相(Hue)
の3次元座標値で表されることを、おのずから感得でき
るようにする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、天然歯の色を、明度、彩度
(飽和度)、色相の3座標値により色空間内において感
覚的に等間隔(等歩度)になるように配列した色見本
(シェ−ド)システムにおいて、多数個の異なる色見本
を一個または複数個の縦長の三角柱上にそれぞれ一体と
して配置し、前記三角柱の3つの面の各面の長さ方向に
はそれぞれ明度または色相が複数段階に異なる色見本を
順にまたは組み合わせて配列すると共に、前記各三角柱
の3つの面にはそれぞれ複数段階に異なる彩度の色見本
を配列したことを特徴とし、前記三角柱上の色見本を視
覚により患者の天然歯の色と比較(比色)して、両者が
合致する明度、彩度、および色相を判定し、患者の歯の
色の3座標値を決定するようにしたものである。
【0022】したがって、本発明では従来の技術におけ
る色見本立て方式を採らず、多数個の異なる色見本を一
個または複数個の縦長の三角柱上にそれぞれ一体化して
配列し、該三角柱の3つの面の各面の長さ方向にはそれ
ぞれ複数段階に異なる明度または色相の色見本を順にま
たは組み合わせて配列すると共に、該三角柱の3つの面
にはそれぞれ3段階に異なる彩度の色見本を配列するこ
とにより、患者の口元に術者が左右の手指で水平に保持
して近付けた該三角柱を左右(長さ方向)に移動させな
がら患者の天然歯の色と明度または色相が合致する色見
本を選択すると共に、該三角柱を前(時計回りの向き)
または後(反時計回りの向き)へ120°回転させながら
患者の天然歯の色と彩度が合致する色見本を選択するこ
とにより、患者の天然歯の色と合致する色見本を選択で
きるようになっている。
【0023】前述したように従来の技術では、天然歯の
色と色見本立てに束に分けて配列された色見本とを色見
本立てごと比較する際に、比較のために必要としない色
見本、時にはすべての色見本が視野に入る場合が生じ、
その中から天然歯の色と比較すべき2つの色見本だけを
弁別するのには視覚生理的に困難があった。また従来の
技術では患者の天然歯の色と比較して明度、彩度、およ
び色相を判定するために、3者のいずれをどのように判
定するかによって、広い面積に平面的に配列されたすべ
ての色見本を色見本立てごと保持して患者の口元に近付
けるか、色見本の束を1本ずつ色見本立てから抜き取っ
て2束または3束を並べて手に持つか、色見本の1束を
抜き取って横向きにするか、あるいは色見本の細長い支
持板の支点を軸に90°回転するかなどして患者の口元に
近付けることを試行錯誤的に繰り返さなければなければ
ならず色の比較作業が煩雑であったのに対し、本発明で
は複数個の色見本をそれぞれ一体化して配列した一個ま
たは複数個の細長い三角柱を、左右の手指で患者の口元
に保持したまま、左右(長さ方向)へ移動させたり、前
または後へ120°回転させたりする動作だけで患者の天
然歯の色を判定でき、色の比較作業が単純かつ効率的で
ある点が従来の技術との顕著な相違点である。
【0024】請求項2の発明は、前記三角柱が一個から
なり、前記三角柱の3面のうちの第1の面に、弱い彩度
と中間色の色相をもつ色見本を明度の順に間隔を空けて
長さ方向に配置すると共に、該色見本のそれぞれの両側
に該色見本と同じ明度と彩度をもち該色見本より黄色っ
ぽい色相と赤っぽい色相をもつ色見本をそれぞれ配置
し、第2、第3の面に、前記第1の面の色見本と対応す
る位置において前記第1の面の色見本のそれぞれと同じ
明度と色相をもち中程度の彩度の色見本と強い彩度の色
見本とをそれぞれ配置したものである。
【0025】前記請求項1の発明では、前記三角柱上に
配列された色見本の配列に規則性がないが、本発明では
前記三角柱の3面のうちの第1の面に弱い彩度と中間色
の色相をもつ色見本を明度の順に間隔を空けて配列する
ことにより、患者の天然歯の色と色見本を比較するに際
し、まず前記三角柱を左右(長さ方向)に手指で移動さ
せながら前記三角柱の第1の面に明度の順に配列された
色見本の中から患者の天然歯の色と合致する明度の色見
本を選択することができる。このとき、前述したように
強い彩度の色見本間で明度を比較することは困難なの
で、本発明では明度の選択が容易なように、第1の面に
明度の弱い彩度の色見本を配列して明度の選択の容易化
を図っている。次に本発明では、前記三角柱上の第2、
第3の面に中程度の彩度の色見本と彩度の強い色見本を
それぞれ配置することにより、前記三角柱を前または後
に120°回転させながら患者の天然歯の色と合致する彩
度の色見本を選択するようになっている。3番目に本発
明では、前記三角柱上の選択された明度および彩度と中
間色の色相をもつ色見本の両側にそれぞれ黄色っぽい色
相と赤っぽい色相をもつ色見本を配置することにより、
前記三角柱を左右(長さ方向)に移動させながら患者の
天然歯の色と合致する色相の色見本を選択するようにな
っている。以上により天然歯の色の3座標値を明度、彩
度、色相の順に判定して、患者の天然歯の色と合致する
色見本を合理的に選択できるよう、色見本の配列に規則
性をもたせた点が請求項1との顕著な相違点である。
【0026】請求項3の発明は、請求項2の発明におけ
る前記一個の三角柱上に配列した色見本の段階数を天然
歯の色分布の全域を包含する明度5段階、彩度3段階、
色相3段階とし、それらを組み合わせた最大5×3×3
=45の構成としたものである。これは色空間内におけ
る天然歯の色分布の全域を包含すると共に、色空間内に
おける色見本間の感覚的距離を等しくすることにより色
見本の色分布の均一化が図られる。
【0027】請求項4の発明は、請求項3の発明におけ
る前記一個の三角柱上に配列した最大45種類の色見本
のうちから発現率の低い色見本を除き26種類とすると
共に、一部の色見本の彩度を中間値に補正したものであ
る。これは発現率の低い色見本の削減によりコスト対効
果の低減を図ると共に、上記色見本の削減により生じる
色空間内における色見本間の感覚的距離の不均一が補正
される。
【0028】請求項5の発明は、請求項2の発明におけ
ると同様に、前記三角柱が一個からなり、前記三角柱の
3面のうちの第1の面に、弱い彩度と中間色の色相をも
つ色見本を明度の順に間隔を空けて長さ方向に配置する
と共に、第2、第3の面に、前記第1の面の色見本と対
応する位置において前記第1の面の色見本のそれぞれと
同じ明度と色相をもち中程度の彩度の色見本と強い彩度
の色見本とをそれぞれ配置し、さらに該色見本のそれぞ
れの両側に該色見本と同じ明度をもち該色見本より黄色
っぽい色相と赤っぽい色相をもつ色見本をそれぞれ配置
すると共に、該黄色っぽい色相と赤っぽい色相をもつ色
見本のそれぞれの部位が手動により前記三角柱の軸の回
りに回転する機構を付加したものである。
【0029】前記請求項2の発明では、前記三角柱の3
面のうちの第1の面に弱い彩度と中間色の色相をもつ色
見本を明度の順に間隔を空けて長さ方向に配置すると共
に、該色見本のそれぞれの両側に該色見本と同じ明度と
彩度をもち、該色見本より黄色っぽい色相と赤っぽい色
相とをもつ色見本をそれぞれ配置している。しかしこの
配置では、術者が患者の天然歯の色の明度を選択するた
め前記三角柱を水平に保持して第1の面を患者の口元に
近付けたとき、比較すべき2つの明度の色見本の間に彩
度は同じだが色相の異なる2つの色見本が介在し視野に
入るため、単純明快な比較が妨げられる。本発明では、
前記三角柱の第1の面に明度を判定し易い弱い彩度と中
間色をもち明度の順に間隔を空けて長さ方向に配列した
色見本の間に異なる色相の色見本を介在させないため、
明度の判定に際し色相の異なる色見本に視覚を妨げられ
ることなく、単純明快に明度の選択ができる点が請求項
2との顕著な相違点である。
【0030】上記のように本発明では、明度の判定を単
純明快にするため、前記三角柱の第1の面上の弱い彩度
と中間色の色相をもつ色見本の両側に色相の異なる色見
本を配置せず間隔を空けたままとしたが、彩度の判定に
際し前記三角柱の第1の面上に配列された弱い彩度の色
見本を選択した場合に、黄色っぽい色相と赤っぽい色相
をもつ色見本と比較できるように、該間隔を空けた両側
部位を手動により前記三角柱の軸を中心に回るようにし
た回転機構を付加している。なお該両側部位には前記三
角柱の第2、第3の面に黄色っぽい色相と赤っぽい色相
をもつ色見本が配置してあるが、彩度の相違のため色見
本間に色空間における感覚的距離の不均一を生じるの
で、該第2の面に配列された色見本の中程度の彩度と該
第3の面に配列された色見本の強い彩度をそれぞれ第1
の面の弱い彩度との中間値に補正する。ちなみに請求項
3の発明では、明度の判定を単純明快にするための色見
本の配置替えに伴い上記のように回転機構の付加を必要
としたが、この発明により発現率の低い色見本の一部が
除かれたため色見本の数が削減され、かつ異なる色相の
色見本を同一面上で比較できるという付加的な利点を生
じている。
【0031】一方前記請求項2の発明では、明度、彩
度、色相の選択に当たり、まず前記三角柱を左右(長さ
方向)に移動しながら明度を選択し、次に前記三角柱を
120°前または後へ回転して彩度を選択したのち、再び
前記三角柱を左右(長さ方向)に移動しながら色相を選
択するため、明度と色相を選択する動作が類似し、両者
を混同する恐れがあるのに対し、本発明では、前記回転
部位を前記三角柱の軸の回りに回転しながら色相を選択
することにより明度または彩度の選択とは全く別の動作
をとるため、ヒトの眼の色の感知能力が3座標値から成
ることを経験的におのずから感得できる点が請求項2と
のもうひとつの顕著な相違点である。
【0032】請求項6の発明は、請求項5の発明におけ
る前記一個の三角柱上に配列した色見本の段階数を、実
在する歯の色より明るい(白い)1段階を加えた明度6
段階、彩度3段階、色相3段階とし、それらを組み合わ
せた最大6×3×3=54種類の色見本で構成したもの
である。これは色空間内における天然歯の歯の色分布の
全域を包含すると共に、実在する歯より白いが審美歯科
で必要とされる最も明るい(白っぽい)歯の色を包含す
る。
【0033】請求項7の発明は、請求項6の発明におけ
る前記一個の三角柱上に配列した最大54種類の色見本
のうちから発現率の低い色見本を除き29種類とすると
共に、一部の色見本の彩度を中間値に補正したものであ
る。これは発現率の低い色見本の削減によりコスト対効
果の低減を図ると共に、上記色見本の削減により生じる
色空間内における色見本間の感覚的距離が補正される。
【0034】請求項8の発明は、前記三角柱が4個から
なり、三角柱の3面のうちの第1の面に、弱い彩度と中
間色の色相をもつ色見本を明度の順に間隔を空けずに長
さ方向に配列すると共に、第2、第3の面に、前記第1
の面の色見本と対応する位置において前記第1の面の色
見本のそれぞれと同じ明度と色相をもち中程度の彩度の
色見本と強い彩度の色見本とをそれぞれ配置した第1の
三角柱と、三角柱の3面のうちの第1の面に、発現率の
高い3段階の明度のうち最も明るい第1の明度と弱い彩
度をもつ色見本を黄色っぽい色相、中間色の色相、赤っ
ぽい色相の順に長さ方向に配列すると共に、第2、第3
の面に、前記第1の面の色見本と対応する位置において
前記第1の面の色見本のそれぞれと同じ明度と色相をも
ち中程度の彩度の色見本と強い彩度の色見本とをそれぞ
れ配置した第2の三角柱と、該第2の三角柱の明度の値
を発現率の高い3段階の明度のうちの第2、第3の明度
で置き換えた第3、第4の三角柱と、で構成したもので
ある。
【0035】したがって本発明では、まず前記第1の三
角柱の3つの面のうち明度を判定し易い弱い彩度をもっ
た第1の面を選び、該三角柱を左右(長さ方向)に移動
させながら、天然歯の明度が隣り合った色見本の明度の
中間になる位置におき、天然歯の明度がどちらの色見本
の明度に近いかを選択する。次に選択された明度の色見
本と長さ方向の同じ位置で前記第1の三角柱を120°前
(時計回りの向き)または後(反時計回りの向き)へ回
転させながら天然歯の彩度と合致する色見本を選択す
る。この場合、異なる彩度の色見本を同時に視野に収め
ることはできないが、前記三角柱を回転することにより
瞬時に比較ができる。本発明では、以上により選択され
た明度が前述した発現率の高い3段階の明度(V2、V3、
V4)以外の発現率の低い明度(V1、V5等)であった場合
には、以上で色見本の選択作業を終了し、前記第1の三
角柱上で選択された明度と彩度をもつ色見本を最終選択
色見本とする。この選択により色相は中間的な色相とな
るが、発現率の低い明度の場合には色彩学的にこれで十
分である。一方、前記第1の三角柱上で選択された明度
が発現率の高いV2、V3、またはV4の明度であった場合に
は、それぞれ第2、第3、または第4の三角柱を選び、
120°前または後へ回転させて前記第1の三角柱上で選
択された彩度の面を選んだ上、該三角柱を左右に移動さ
せながら患者の天然歯の色と合致する色相の色見本を最
終選択とする。これにより患者の天然歯の色の3座標値
の判定を明度、彩度、色相の順に完結させることがで
き、3座標値の判定は以上のどの段階においても単純明
快で試行錯誤を必要としない。
【0036】一方前記請求項5の発明では、一個からな
る前記三角柱を取り上げて長さ方向に左右に移動させた
り、120°前後に回転するだけで色見本の選択作業が完
了するのに対し、本発明では第1の三角柱を取り上げて
明度および彩度を選択してのち、選択された明度により
第2、第3または第4の三角柱の中のいずれかを取り上
げて色相を選択するため、取り上げる作業が2動作とな
って複雑化しているように見える。しかし請求項3の発
明ではいずれも前記三角柱が一個からなる代わりに、長
さ方向に配列すべき色見本の数が多くなり全長が長くな
るのに対し、本発明では長さ方向に配列すべき色見本の
数が少ないため、第1〜第4の三角柱の全長は前者の2
分の1ないし4分の1である。したがって前者では前記
三角柱を両方の手指で支える必要があるのに対し、後者
では片方のみで足りるため、色見本を取り上げるのに前
2者は後者の倍の動作を必要とする結果となり、上述し
た動作数の差が相殺されて余りある結果となっている。
従来の技術または請求項2と本発明との比較ではさらに
両者の差が顕著になることはいうまでもない。
【0037】以上に加え請求項5の発明では、明度、彩
度、および色相の判定の各段階、特に回転部位を用いて
色相を比較する段階でいずれも試行錯誤が必要なため実
際には動作がしばしば2回を越えるのに対し、本発明で
は前述したように試行錯誤をほとんど必要としないた
め、明度、彩度、および色相を判定する3段階のいずれ
においても、ほとんどの場合、第1〜第4の三角柱のい
ずれかを取り上げて患者の天然歯に近付ける動作と、該
三角柱を左右に移動させるか、または120°回転させる
動作のうちの1ないし2動作で足りる点が請求項5との
第1の顕著な相違点である。
【0038】さらに付言すると、前述のようにいっぱん
に歯科用シェ−ド・システムの色見本の形状は天然歯の
前歯の形状に似せてあるが上下の向きは上顎の前歯に合
わせてあるため、下顎の天然歯の色と比較する際には、
上下の向きを逆にしなければならない。この場合、従来
の技術では、両手で持った色見本立てまたは複数本の色
見本の束を逆向きに持ち替える動作が必要になるが、そ
の動作が煩雑なだけでなく、逆向きに持ち替えても色見
本立ての台や色見本の束の把手が邪魔になって天然歯の
色との比較が極めて困難になる。しかし本発明では、上
述のようにすべての色見本が4個の三角柱上にそれぞれ
一体化されているだけでなく、4個の三角柱がいずれも
短くかつ細くしたがって軽量なため、色見本を楽に片手
でもつことができ上下逆向きにするのに1動作で把手を
持ち替えるだけで足りる。
【0039】以上述べたように請求項8の本発明では、
従来の技術のように数多くの色見本の束を色見本立てに
並べて差し込むのではなく、4個の三角柱上にそれぞれ
一体化した配列とすると共に、明度、彩度、または彩度
を比較するとき、いずれの場合も1ないし2動作で行う
ことができ、かつ上下の向きも1動作で調節できるよう
に効率化されている。したがって請求項8の本発明は、
前記発明の解決しようとする課題の第(1)項の内容を
すべて満たしている、と云える。
【0040】次に前記請求項5の発明では、前記三角柱
の第1の面に長さ方向に一列に配列された弱い彩度と中
間色の色相をもつ色見本が明度の順に間隔を空けて配置
されているため、離れて配置された明度の異なる2つの
色見本のどちらが天然歯の明度に合致するかを判定する
のに十分な距離まで両者を同時に患者の天然歯に近接さ
せることができない。しかし本発明の第1の三角柱の第
1の面では彩度と色相が同じで明度だけが異なる色見本
が明度の順に間隔を置かずに配列されているので、比較
すべき2つの色見本を天然歯に十分近付けてどちらが天
然歯の明度に合致するかを的確に判定できるのが、請求
項3との第2の顕著な相違点である。さらに本発明の第
1の三角柱の各面には中間色の色相のみでそれ以外の黄
色っぽい色相や赤っぽい色相をもつ色見本は配列されて
いないので、請求項3におけると同じく異なる色相の色
見本に視覚を一切妨げられることなく、天然歯の色と明
度と彩度が合致する色見本を容易に選択することができ
ることはいうまでもない。
【0041】以上述べたように、請求項8の発明では、
患者の天然歯の色に合致する色見本を選択するとき、明
度、彩度、または色相の異なる一対の色見本と天然歯
を、該比較すべき一対の色見本以外の他の色見本が視野
に入らない状態で、かつ該一対の色見本と天然歯を等距
離に近接しておき、天然歯の明度、彩度、または色相が
該一対の色見本のいずれに合致するか単純明快に比較判
別できるようになっている。したがって請求項8の発明
は、前記発明が解決しようとする課題の第(2)項もす
べて満たしている。
【0042】さらに請求項8の発明は、前述したよう
に、まず第1ステップで、前記第1の三角柱の3つの面
のうち明度を判定し易い弱い彩度をもった第1の面を選
び、該三角柱を左右(長さ方向)に移動させながら、天
然歯の明度に合致する色見本を選択する。次に第2ステ
ップで、該三角柱を該明度を選択した色見本と長さ方向
の同じ位置で120°前または後へ回転させながら天然歯
の彩度と合致する色見本を選択する。さいごに第3ステ
ップで、前記第2、第3、第4の三角柱の中から第1ス
テップで選択した明度と同じ明度をもつ三角柱を取り上
げ、該三角柱の3つの面のうち第2ステップで選択した
彩度と同じ彩度の面上の中間色の色相をもつ色見本を出
発点として、該三角柱を左または右(長さ方向)に色見
本1個分移動させるか、または該三角柱を120°前また
は後へ回転させたのち左または右に色見本1個分移動さ
せて天然歯の色と合致する色相の色見本を選び、最終選
択とする。このようにして患者の天然歯の色の3座標値
を、明確に区分された3つのステップで、それぞれ明
度、彩度、色相の順に判定することができ、3座標値の
判定は以上のどのステップにおいても単純明快で試行錯
誤を必要としないため、使用者が歯科用シェ−ド・シス
テムの使用経験を通じ、ヒトの眼の感知する色が明度、
彩度、色相の3次元座標値で表されることを、おのずか
ら感得することができる。したがって請求項8の発明
は、前記発明が解決しようとする課題の第(3)項もす
べて満たしている。
【0043】請求項9の発明では、請求項4の発明にお
ける前記4個の三角柱上に配列した色見本の段階数を実
在する歯の色より明るい(白い)1段階を加えた明度6
段階、彩度3段階、色相3段階とし、それらを組み合わ
せた色見本を前記第1の三角柱上に18個、前記第2、
第3、第4の三角柱上にそれぞれ9個、計18+9+9
+9=45個(重複を除き36種類)の色見本で構成し
たものである。これは色見本の段階数を天然歯の色分布
の全域を包含し、実在する歯の色より白い1段階を加え
たものとし、それらを組み合わせた最大54種類の色見
本のうち、発現率の低い3段階の明度の色見本の色相を
1段階とすることにより3×3×2=18種類の色見本
を削減する一方、構成上の理由による重複分9個を加え
ることを目的としている。
【0044】請求項10の発明は、請求項9の発明におけ
る前記4個の三角柱上に配列した計45個(重複を除き
36種類)の色見本のうちから、さらに発現率の低い色
見本7種類を除き計38個(重複を除き29種類)とす
ると共に、一部の色見本の彩度を中間値に補正したもの
である。これは発現率の低い色見本の削減によりコスト
対効果の低減を図ると共に、上記色見本の削減により生
じる色空間内における色見本間の感覚的距離を補正する
ことを目的としている。
【0045】請求項11の発明は、前記三角柱上に配列し
た色見本の形状や材質構成を天然歯に似せたものであ
る。これは従来技術でも用いられており、色見本の形状
や材質構成を天然歯の形状(例えば前歯)や材質構成
(例えば象牙質とエナメル質)に似せることにより、色
の比較の容易化や光源の影響の軽減を目的としている。
【0046】
【発明の実施形態】以下、本発明の実施形態を添付図面
に従って説明する。以下の説明において、明度、彩度、
色相の段階区分はそれぞれ感覚的に等間隔(等歩度)に
なるように設定されている。なお以下に述べる各実施例
において、形状が互いに異なる部材であっても、機能的
に類似しているものは同一呼称とし、同一符合を付し
た。
【0047】(第1実施形態)図1は、本発明の第1実
施形態にかかる歯科用シェード・システム1を示す。歯
科用シェ−ド・システム1は、左右に把手14を備えた
細長い三角柱10からなり、三角柱10の3つの面1
1、12、13の各面上には長さ方向にそれぞれ11箇
所、総計33箇所に色見本50の配列位置が設けられて
いる。把手14の近傍には該把手14をもつ指が色見本
50に触れないようにするための鍔部15が設けられて
いる。この鍔部15は必ずしも設けなくてもよい。
【0048】この歯科用シェ−ド・システム1の色見本
配列の基本構成は、表1に示した従来技術の歯科用シェ
−ド・システム111の色見本配列の基本構成と同様
に、明るさの順に配列された5段階の明度(V1,V2,V3,V
4,V5:従来技術の明度段階1,2,3,4,5に相当、
以下同じ)と弱い彩度、中程度の彩度、強い彩度からな
る3段階の彩度(C1,C2,C3:従来技術の彩度段階1,
2,3に相当、以下同じ)と黄色っぽい色相、中間色の
色相、赤っぽい色相からなる3段階の色相(Y,M,R:
従来技術の色相段階L,M,Rに相当、以下同じ)を組
み合わせた最大5×3×3=45種類の色見本50が配
列された構成となっており、さらに歯科用シェ−ド・シ
ステム1の色見本配列の実用構成は、表2に示した従来
技術の歯科用シェ−ド・システム111の色見本配列の
実用構成と同様に、基本構成における最大45種類の色
見本のうち、発現率の低いものを除いた26種類の色見
本50が配列された構成になっている。
【0049】表3に歯科用シェ−ド・システム1の三角
柱10の第1の面11上の色見本配列を示す。三角柱1
0の第1の面11には、弱い彩度(C1またはC1.5)をも
ち、5段階の明度と3段階の色相を組み合わせた最大5
×3=15種類の色見本のうちから発現率の低い4種類
を除いた11種類の色見本50が次のように配列されて
いる。
【0050】
【表3】 歯科用シェ−ド・システム1の三角柱10の
第1の面11上の色見本配列:
【0051】表4に歯科用シェ−ド・システム1の三角
柱10の第2の面12上の色見本配列を示す。三角柱1
0の第2の面12には、中程度の彩度(C2)をもち、5
段階の明度と3段階の色相を組み合わせた最大5×3=
15種類の色見本のうちから発現率の低い10種類を除
いた5種類の色見本50が×印で示すように間隔を空け
て配列されている。
【0052】
【表4】 歯科用シェ−ド・システム1の三角柱10の
第2の面12上の色見本配列:
【0053】表5に歯科用シェ−ド・システム1の三角
柱10の第3の面13上の色見本配列を示す。三角柱1
0の第2の面13には、強い彩度(C3またはC2.5)をも
ち、5段階の明度と3段階の色相を組み合わせた最大5
×3=15種類の色見本のうちから発現率の低い5種類
を除いた10種類の色見本50が次のように配列されて
いる。
【0054】
【表5】 歯科用シェ−ド・システム1の三角柱10の
第3の面13上の色見本配列:
【0055】このように、歯科用シェ−ド・システム1
の三角柱10の3つの面11、12、13上に配列され
た色見本50の数は合計11+5+10=26種類とな
っており、表2に示した従来技術の歯科用シェ−ド・シ
ステム111の色見本立て114上における第1列11
5の色見本配列を本発明の第1の面11に、同じく第2
列116の色見本配列を本発明の第2の面12に、また
第3列117の色見本配列を本発明の第3の面13に移
し替えたかたちになっている。
【0056】以上のように構成した歯科用シェード・シ
ステム1では、まず両手指で三角柱10の左右の把手1
4を支持し、三角柱10の3つの面のうち、弱い彩度
(C1)をもつ第1の面11を、比較対象とする患者の天
然歯(上顎前歯)に近付け、三角柱10を左右に移動さ
せながら、明るさの順に配列された5段階の明度(V1,V
2,V3,V4,V5)の中から天然歯の明度と合致する色見本を
選ぶ。その際、3段階の色相(Y,M,R)のうち中間色
の色相(M)をもつ色見本のみに注目し、他の色相をも
つ色見本に惑わされないように注意する。図1に示した
ように、第1の面11に配列されている色見本50のう
ち中間色(M)の色相をもつ色見本(表3参照)の先端
が同列の他の色見本の先端より若干突出しているのは、
明度の判定に際し、両側に配置された黄色っぽい色相
(L)をもつ色見本や赤っぽい色相(R)をもつ色見本
により視覚を妨げられないためである。次に、選択した
明度の色見本の長さ方向の位置を保ちながら、三角柱1
0を120°前または後へ回転し弱い彩度(C1)、中程度
の彩度(C2)、強い彩度(C3)からなる3段階の彩度の
中から天然歯の彩度と合致する色見本を選ぶ。3番目
に、その位置で三角柱10を左または右の色見本に移動
しながら黄色っぽい色相(Y)、中間色の色相(M)、
赤っぽい色相(R)からなる3段階の色相をもつ色見本
の中から天然歯の色と合致する色見本を選び、比較対象
とする患者の天然歯の色に合致する色見本50の選択を
完了する。
【0057】なお、表3および表5において、弱い彩度
(C1)の色見本の一部の彩度を中程度よりやや弱い彩度
(C1とC2の中間値:C1.5)に、強い彩度(C3)の色見本
の一部を中程度よりやや強い彩度(C2とC3の中間値:C
2.5)に置き換えたのは、従来技術の歯科用シェ−ド・
システム111について前述したと同様、発現率の低い
色見本を除いた結果、残った色見本間の色空間における
感覚的距離に生じる不均一を補正するためである。また
色見本選択に際し、比較対象とする患者の天然歯が下顎
前歯であった場合には、三角柱10の把手14の左右を
持ち替えて天然歯と色見本の形状における上下の相違を
補正する。
【0058】(第2実施形態)図2は、本発明の第2実
施形態にかかる歯科用シェード・システム2を示す。こ
の歯科用シェ−ド・システム2は、左右に把手14を備
えた細長い三角柱10からなり、三角柱10の3つの面
11、12、13の各面には長さ方向にそれぞれ12箇
所、総計36箇所に色見本50の配列位置が設けられて
いる。長さ方向の配列位置12箇所のうち6箇所には、
図3に示すように、中心に軸穴52が形成され、該軸穴
52に軸53が挿通され、該軸53の一端が一方の部位
10に形成された穴54に挿入固着され、外周突部55
を有する軸53の他端が他方の部位10に形成された穴
56に着脱可能にまたは固着して挿入された回転部位5
1が設けられている。この回転部位51は、手動により
両側の部位10と独立に軸53の回りに回転可能になっ
ている。
【0059】一方、歯科用シェ−ド・システム2の色見
本配列は、明るさの順に配列された6段階の明度(V0,V
1,V2,V3,V4,V5)と弱い彩度、中程度の彩度、強い彩度
からなる3段階の彩度(C1,C2,C3)と黄色っぽい色相、
中間色の色相、赤っぽい色相からなる3段階の色相
(Y,M,R)を組み合わせた最大6×3×3=54種類
の色見本から発現率の低いものを除いた29種類の色見
本50が配列された構成となっている。ここで上記6段
階の明度のうち、V2、V3およびV4の3段階は前述した発
現率の高い明度段階であり、V0は実在する歯の色より白
いが審美歯科で必要とされるため本発明の第2実施例で
追加した最も明るい(白っぽい)明度段階である。
【0060】表6に歯科用シェ−ド・システム2の三角
柱10の第1の面11上の色見本配列を示す。歯科用シ
ェ−ド・システム2の三角柱10の第1の面11には、
弱い彩度(C1)と中間色の色相(M)をもち、6段階の
明度と3段階の色相を組み合わせた18種類の色見本か
ら発現率の低い12種類を除いた6種類の色見本50が
明るさの順に、×印で示すように間隔を空けて配列され
ている。表6において、色見本配列位置No.を〇で囲っ
た色見本配列部位は回転部位51である。
【0061】
【表6】 歯科用シェ−ド・システム2の三角柱10の
面11上の色見本配列:
【0062】表7に歯科用シェ−ド・システム2の三角
柱10の第2の面12上の色見本配列を示す。歯科用シ
ェ−ド・システム2の三角柱10の第2の面12には、
中程度の彩度(C2)またはやや弱い彩度(C1.5)をも
ち、6段階の明度と3段階の色相を組み合わせた18種
類の色見本から、発現率の低い6種類を除いた12種類
の色見本50が次のように配列されている。表7におい
て、位置No.を〇で囲った色見本配列部位は回転部位で
ある。
【0063】
【表7】 歯科用シェ−ド・システム2の三角柱10の
面12上の色見本配列:
【0064】表8に歯科用シェ−ド・システム2の三角
柱10の第3の面13上の色見本配列を示す。歯科用シ
ェ−ド・システム2の三角柱10の第3の面13には、
強い彩度(C3)またはやや強い彩度(C2.5)をもち、6
段階の明度と3段階の色相を組み合わせた18種類の色
見本から、発現率の低い7種類(×印のついた色見本を
含む)を除いた11種類の色見本50が次のように配列
されている。表8において、位置No.を〇で囲った色見
本配列部位は回転部位51である。
【0065】
【表8】 歯科用シェ−ド・システム2の三角柱10の
面13上の色見本配列:
【0066】表6において発現率の低い色見本(×印)
を除いた結果、残った色見本間に生じた色空間における
感覚的距離の不均一を補正するため、表7では中程度の
彩度(C2)と黄色っぽい色相(Y)または赤っぽい色相
(R)との組合せにおいて中程度の彩度(C2)の代わり
にやや弱い彩度(C1.5)、表6では強い彩度(C3)と黄
色っぽい色相(Y)または赤っぽい色相(R)との組合
せにおいて強い彩度(C3)の代わりにやや強い彩度(C
2.5)が置き換えてある。また以上により、歯科用シェ
−ド・システム2の三角柱10の3つの面11、12、
13上に配列された色見本50の数は合計6+12+1
1=29種類である。
【0067】以上のように構成した歯科用シェード・シ
ステム2では、まず両手指で三角柱10の左右の把手1
4を支持した上で、色見本の選択に先立ち手動により三
角柱10上の回転部位51を調節して表6〜8に示した
色見本配列に一致させる。色見本の選択には、まず三角
柱10の3つの面のうち、弱い彩度(C1)と中間色の色
相の色見本を明度の順に並べた面11を、比較対象とす
る患者の天然歯に近付け、三角柱10を左右に移動させ
ながら、明るさの順に配列された6段階の明度(V0,V1,
V2,V3,V4,V5)の中から天然歯の明度と合致する色見本
50を選ぶ。次に選択した色見本の長さ方向の位置を保
ちながら三角柱10を120°前または後に回転し、面1
1、12、13上にそれぞれ配置された3段階の彩度
(C1,C2,C3)の中から天然歯の彩度と合致する色見本5
0を選ぶ。
【0068】このとき、選択した明度や彩度に応じて、
以下のようにして最終選択を行う。 (1)選択した明度が発現率の低いV0,V1またはV5であ
った場合 選択された明度と彩度(C1,C2またはC3)および中間色
の色相(M)をもつ色見本50をもって最終選択とす
る。 (2)選択した明度が発現率の高いV2,V3またはV4であ
った場合 (a)選択された彩度が弱い彩度(C1)であった場合 該色見本の両側に配置された回転部位51を120°回転
してやや弱い彩度(C1.5)をもちそれぞれ黄色っぽい色
相(Y)と赤っぽい色相(R)をもつ2つの色見本と横
並びにし、3つの色見本50のうちいずれが天然歯の色
と合致するかを判定して最終選択とする。 (b)選択した彩度が中程度の彩度(C2)であった場合 まず該色見本とその両側に配置されたやや弱い彩度(C
1.5)をもち黄色っぽい色相(Y)または赤っぽい色相
(R)の色見本のいずれが天然歯の色と合致するかを判
定する。もし十分な色の合致が得られなかった場合は、
該色見本の両側の回転部位51にある色見本を120°回
転してやや強い彩度(C2.5)をもちそれぞれ黄色っぽい
色相(Y)または赤っぽい色相(R)をもつ2つの色見
本50のいずれが天然歯の色と合致するかを判定して最
終選択とする。 (c)選択された彩度が強い彩度(C3)であった場合 該色見本とその両側に配置されたやや強い彩度(C2.5)
をもち黄色っぽい色相(Y)または赤っぽい色相(R)
の3つの色見本50のうち、いずれが天然歯の色と合致
するかを判定し最終選択とする。なお、色見本選択に際
し、比較対象とする患者の天然歯が下顎前歯であった場
合には、三角柱10の把手14の左右を持ち替えて天然
歯と色見本の形状における上下の相違を補正する。
【0069】(第3実施形態)図4は、本発明の第3実
施形態にかかる歯科用シェード・システム3を示す。こ
の歯科用シェ−ド・システム3は、それぞれ一端に把手
14,24,34,44と、鍔部15,25,35,4
5を備えた細長い第1の三角柱10、第2の三角柱2
0、第3の三角柱30、第4の三角柱40、計4個の三
角柱からなり、色見本50の配列位置は、三角柱10の
3つの面11,12,13上にそれぞれ6箇所、三角柱
20の3つの面21,22,23、三角柱30の3つの
面31,32,33、三角柱40の3つの面41,4
2,43上にそれぞれ3箇所設けられている。
【0070】一方、歯科用シェ−ド・システム3の色見
本構成は、明るさの順に配列された6段階の明度(V0,V
1,V2,V3,V4,V5)、弱い彩度、中程度の彩度、強い彩度
からなる3段階の彩度(C1,C2,C3)、黄色っぽい色相、
中間色の色相、赤っぽい色相からなる3段階の色相
(Y,M,R)を組み合わせて構成した最大54種類の色
見本のうち、発現率の低い25種類を除いた29種類の
色見本50(構成上必要な重複分9個を含めると38
個)を配列した構成となっている。
【0071】表9に歯科用シェ−ド・システム3の第1
の三角柱10上の色見本配列を示す。歯科用シェ−ド・
システム3の第1の三角柱10の3つの面11、12、
13上には、中間的な色相(M)をもち、6段階の明度
(V0,V1,V2,V3,V4,V5)と3段階の彩度(C1,C2,C3)を
組み合わせて構成した計18種類の色見本のうち、×印
で示した発現率の低い1種類を除く17個の色見本50
が配列されている。
【0072】
【表9】 歯科用シェ−ド・システム3の第1の三角柱
10上の色見本配列:
【0073】表10に歯科用シェ−ド・システム3の第
2の三角柱20上の色見本配列を示す。歯科用シェ−ド
・システム3の第2の三角柱20の3つの面21、2
2、23上には、前述した発現率の高い3段階の明度
(V2,V3,V4)のうち一番目の明度(V2)と、3段階の色
相(Y,M,R)および3段階の彩度(C1,C2,C3)を組み
合わせて構成した計9個の色見本のうち、×印で示した
発現率の低い2種類を除く7個の色見本50が配列され
ている。
【0074】
【表10】 歯科用シェ−ド・システム3の第2の三角
柱20の色見本配列:
【0075】上記において、面22において×印で示し
たように発現率の低い中程度の彩度(C2)と色相Yまた
はRとの組合せを除いた結果、残った色見本間の色空間
における感覚的距離を調節するため、面21上では弱い
彩度(C1)と色相YまたはRとの組合せにおいて弱い彩
度(C1)の代わりにやや弱い彩度(C1.5)、面23上で
は強い彩度(C3)と色相YまたはRとの組合せにおいて
強い彩度(C3)の代わりにやや強い彩度(C2.5)が置き
換えてある(以下の三角柱30および40についても同
じ)。
【0076】表11に歯科用シェ−ド・システム3の第
3の三角柱30上の色見本配列を示す。歯科用シェ−ド
・システム3の第3の三角柱30の3つの面31、3
2、33上には、発現率の高い3段階の明度のうち二番
目の明度(V3)と、3段階の色相(Y,M,R)および3
段階の彩度(C1,C2,C3)を組み合わせて構成した計9個
の色見本のうち、×印で示した発現率の低い2種類を除
く7個の色見本50が配列されている。
【0077】
【表11】 歯科用シェ−ド・システム3の第3の三角
柱30の色見本配列:
【0078】表12に歯科用シェ−ド・システム3の第
4の三角柱40上の色見本配列を示す。歯科用シェ−ド
・システム3の第4の三角柱40の3つの面41、4
2、43上には、前述した3段階の明度のうち三番目の
明度(V4)と、3段階の色相(Y,M,R)および3段階
の彩度(C1,C2,C3)を組み合わせて構成した計9個の色
見本のうち、×印で示した発現率の低い2種類を除く7
個の色見本が配列されている。
【0079】
【表12】 歯科用シェ−ド・システム3の第4の三角
柱40の色見本配列:
【0080】以上のように構成した歯科用シェード・シ
ステム3では、まず片方の手指で第1の三角柱10の把
手を支持し、その3つの面のうち弱い彩度(C1)をもつ
面11を比較対象とする患者の天然歯に近付け、三角柱
10を左右に移動させながら、明るさの順に配列された
6段階の明度(V0,V1,V2,V3,V4,V5)の中から天然歯の
明度と合致する色見本を選ぶ。次に、選択した明度の色
見本の長さ方向の位置を保ちながら、三角柱10を120
°前または後へ回転し3段階の彩度(C1,C2,C3)の中か
ら天然歯の彩度と合致する色見本50を選ぶ。
【0081】このとき、選択した明度や彩度に応じて、
以下のようにして最終選択を行う。 (1)選択した明度が発現率の低いV0,V1またはV5であ
った場合 選択した明度と彩度および中間色の色相(M)をもつ色
見本をもって最終選択とする。 (2)選択した明度が発現率の高いV2,V3またはV4であ
った場合 それぞれ三角柱20( V2)、30(V3)または40
(V4)を取り上げ、さらに (a)選択した彩度が弱い彩度(C1)であった場合 取り上げた三角柱20,30または40の第1の面2
1,31または41の中間色の色相をもつ色見本(M/
C1)を天然歯に近付け、その色見本と左右に配置された
黄色っぽい色相の色見本(Y/C1.5)または赤っぽい色
相の色見本(R/C2.5)のうちいずれの色見本50が天
然歯の色と合致するかを判定し、最終選択とする。 (b)選択した彩度が中程度の彩度(C2)であった場合 まず取り上げた三角柱20,30または40の第2の面
22,32または42の中間色の色相をもつ色見本(M
/C2)を天然歯に近付け、その色見本と長さ方向の同じ
位置で該三角柱を120°後または前へ回転したとき現わ
れる中間色の色相をもつ色見本(M/C1またはM/C3)
の左右にそれぞれ配置された黄色っぽい色相の色見本
(Y/C1.5またはY/C2.5)または赤っぽい色相の色見
本(R/C1.5またはR/C2.5)、すなわち表10、表1
1および表12のそれぞれに示した4本の矢印の先にあ
る色見本のうち、いずれの色見本50が天然歯の色と合
致するかを判定し、最終選択とする。 (c)選択した彩度が強い彩度(C3)であった場合 取り上げた三角柱20、30または40の第3の面2
3,33または43の中間色の色相をもつ色見本(M/
C3)を天然歯に近付け、その色見本と左右に配置された
黄色っぽい色相の色見本(Y/C2.5)または赤っぽい色
相の色見本(R/C2.5)のうち、いずれの色見本50が
天然歯の色と合致するかを判定し、最終選択とする。ま
た色見本選択に際し、比較対象とする患者の天然歯が下
顎前歯であった場合には、三角柱10の把手14支持す
る手指を左右持ち替えて天然歯と色見本の形状における
上下の相違を補正する。
【0082】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、従来の技
術による歯科用シェード・システムは、多数個の色見本
を、2個または3個を一束として、色見本立てに差し込
んで組立てられていたが、本発明の歯科用シェード・シ
ステムは多数個の色見本を一個または複数個の縦長の三
角柱上にそれぞれ一体化して配置したものである。
【0083】そのため、従来の技術では、患者の天然歯
の色に合致する色見本を選択するに当たり、色見本立て
ごと天然歯に近付けたり、色見本を2〜3束ずつ何回も
取り出しては比較する必要があったのに対し、本発明で
は明度、彩度、または色相の選択を、それぞれ一ないし
二動作で効率的に行うことができる。
【0084】また従来の技術では、天然歯の明度、彩度
または色相が、明度、彩度、または色相の異なる一対の
色見本のどちらに近いかを判別するために、該一対の色
見本と天然歯とを等距離におき、かつ他の色見本が視野
に入らない状態で比較することが困難であったのに対
し、本発明では、該一対の色見本と天然歯を等距離にお
き、かつ比較すべき明度、彩度、または色相の異なる色
見本以外の色見本が視野に入らない状態で単純明快に比
較することができる。
【0085】さらに従来の技術では、色見本の構成は科
学的根拠にもとづいた合理性を有しているものの、比較
のための取り扱い方法が単純でなく、さらに色見本の配
列に明快さを欠いていたが、本発明では、取り扱い方法
が単純化され、かつ色見本の配列が明快化されているた
め、本発明の歯科用シェ−ド・システムの使用経験を通
じ、ヒトの眼が感知する色が明度、彩度、色相の3次元
座標値で表されることをおのずから感得できるようにな
り、歯の色の再現技術の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる歯科用シェ−ド・システムの
第1実施形態を示す斜視図。
【図2】 本発明にかかる歯科用シェ−ド・システムの
第2実施形態を示す斜視図。
【図3】 図2の回転部位の断面図。
【図4】 本発明にかかる歯科用シェ−ド・システムの
第3実施形態を示す斜視図。
【図5】 従来技術の歯科用シェ−ド・システムの斜視
図。
【符号の説明】
1,2,3 歯科用シェ−ド・システム 10 第1の三角柱 11 第1の面 12 第2の面 13 第3の面 14 把手 20 第2の三角柱 21 第1の面 22 第2の面 23 第3の面 24 把手 30 第3の三角柱 31 第1の面 32 第2の面 33 第3の面 34 把手 40 第4の三角柱 41 第1の面 42 第2の面 43 第3の面 44 把手 50 色見本 51 回転部位 V0,V1,V2,V3,V4,V5:色見本の明度段階 C1,C1.5,C2,C2.5,C3:色見本の彩度段階 Y,M,R:色見本の色相段階 注)数字の単位はCIELAB色座標系における視覚歩度を示
す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然歯の色を、明度、彩度(飽和度)、
    色相の3座標値により色空間内において感覚的に等間隔
    (等歩度)になるように配列した色見本(シェ−ド)シ
    ステムにおいて、多数個の異なる色見本を一個または複
    数個の縦長の三角柱上にそれぞれ一体として配置し、前
    記三角柱の3つの面の各面の長さ方向にはそれぞれ明度
    または色相が複数段階に異なる色見本を順にまたは組み
    合わせて配列すると共に、前記各三角柱の3つの面には
    それぞれ複数段階に異なる彩度の色見本を配列したこと
    を特徴とする歯科用シェ−ド・システム。
  2. 【請求項2】 前記三角柱が一個からなり、前記三角柱
    の3面のうちの第1の面に、弱い彩度と中間色の色相を
    もつ色見本を明度の順に間隔を空けて長さ方向に配置す
    ると共に、該色見本のそれぞれの両側に該色見本と同じ
    明度と彩度をもち該色見本より黄色っぽい色相と赤っぽ
    い色相をもつ色見本をそれぞれ配置し、第2、第3の面
    に、前記第1の面の色見本と対応する位置において前記
    第1の面の色見本のそれぞれと同じ明度と色相をもち中
    程度の彩度の色見本と強い彩度の色見本とをそれぞれ配
    置したことを特徴とする請求項1に記載の歯科用シェ−
    ド・システム。
  3. 【請求項3】 前記一個の三角柱上に配列した色見本の
    段階数を天然歯の色分布の全域を包含する明度5段階、
    彩度3段階、色相3段階とし、それらを組み合わせた最
    大45種類の色見本で構成したことを特徴とする請求項
    2に記載の歯科用シェ−ド・システム。
  4. 【請求項4】 前記一個の三角柱上に配列した最大45
    種類の色見本のうちから発現率の低い色見本を除き26
    種類とすると共に、一部の色見本の彩度を中間値に補正
    したことを特徴とする請求項3に記載の歯科用シェ−ド
    ・システム。
  5. 【請求項5】 前記三角柱が一個からなり、前記三角柱
    の3面のうちの第1の面に、弱い彩度と中間色の色相を
    もつ色見本を明度の順に間隔を空けて長さ方向に配置す
    ると共に、第2、第3の面に、前記第1の面の色見本と
    対応する位置において前記第1の面の色見本のそれぞれ
    と同じ明度と色相をもち中程度の彩度の色見本と強い彩
    度の色見本とをそれぞれ配置し、さらに該色見本のそれ
    ぞれの両側に該色見本と同じ明度をもち該色見本より黄
    色っぽい色相と赤っぽい色相をもつ色見本をそれぞれ配
    置すると共に、該黄色っぽい色相と赤っぽい色相をもつ
    色見本のそれぞれの部位が手動により前記三角柱の軸の
    回りに回転する機構を付加したことを特徴とする請求項
    1に記載の歯科用シェ−ド・システム。
  6. 【請求項6】 前記一個の三角柱上に配列した色見本の
    段階数を、実在する歯の色より明るい(白い)1段階を
    加えた明度6段階、彩度3段階、色相3段階とし、それ
    らを組み合わせた最大54種類の色見本で構成したこと
    を特徴とする請求項5に記載の歯科用シェ−ド・システ
    ム。
  7. 【請求項7】 前記一個の三角柱上に配列した最大54
    種類の色見本のうちから発現率の低い色見本を除き29
    種類とすると共に、一部の色見本の彩度を中間値に補正
    したことを特徴とする請求項6に記載の歯科用シェ−ド
    ・システム。
  8. 【請求項8】 前記三角柱が4個からなり、 三角柱の3面のうちの第1の面に、弱い彩度と中間色の
    色相をもつ色見本を明度の順に間隔を空けずに長さ方向
    に配列すると共に、第2、第3の面に、前記第1の面の
    色見本と対応する位置において前記第1の面の色見本の
    それぞれと同じ明度と色相をもち中程度の彩度の色見本
    と強い彩度の色見本とをそれぞれ配置した第1の三角柱
    と、 三角柱の3面のうちの第1の面に、発現率の高い3段階
    の明度のうち最も明るい第1の明度と弱い彩度をもつ色
    見本を黄色っぽい色相、中間色の色相、赤っぽい色相の
    順に長さ方向に配列すると共に、第2、第3の面に、前
    記第1の面の色見本と対応する位置において前記第1の
    面の色見本のそれぞれと同じ明度と色相をもち中程度の
    彩度の色見本と強い彩度の色見本とをそれぞれ配置した
    第2の三角柱と、 該第2の三角柱の明度の値を発現率の高い3段階の明度
    のうちの第2、第3の明度で置き換えた第3、第4の三
    角柱と、で構成したことを特徴とする請求項1に記載の
    歯科用シェ−ド・システム。
  9. 【請求項9】 前記4個の三角柱上に配列した色見本の
    段階数を実在する歯の色より明るい(白い)1段階を加
    えた明度6段階、彩度3段階、色相3段階とし、それら
    を組み合わせた色見本を前記第1の三角柱上に18個、
    前記第2、第3、第4の三角柱上にそれぞれ9個、計4
    5個(重複を除き36種類)の色見本で構成したことを
    特徴とする請求項8に記載の歯科用シェ−ド・システ
    ム。
  10. 【請求項10】 前記4個の三角柱上に配列した計45
    個(重複を除き36種類)の色見本のうちから発現率の
    低い色見本を除き計38個(重複を除き29種類)とす
    ると共に、一部の色見本の彩度を中間値に補正したこと
    を特徴とする請求項9に記載の歯科用シェ−ド・システ
    ム。
  11. 【請求項11】 前記一個または複数個の三角柱上に配
    列した色見本の形状や材質構成を天然歯に似せたことを
    特徴とする請求項1〜10に記載の歯科用シェ−ド・シス
    テム。
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