JP2001004835A - 偏光回折素子の製造方法 - Google Patents

偏光回折素子の製造方法

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JP2001004835A
JP2001004835A JP11175465A JP17546599A JP2001004835A JP 2001004835 A JP2001004835 A JP 2001004835A JP 11175465 A JP11175465 A JP 11175465A JP 17546599 A JP17546599 A JP 17546599A JP 2001004835 A JP2001004835 A JP 2001004835A
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film
cholesteric
alignment film
diffraction element
diffraction
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JP11175465A
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Ryo Nishimura
涼 西村
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Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折光自体が円偏光や直線偏光のような特定
の偏光を生じる鏡面性の偏光回折素子の製造方法を提供
する。 【解決手段】 配向支持基板上に正反射除去反射率(S
CE)と正反射込み反射率(SCI)の比((SCE/
SCI)×100)で定義される拡散率が15%未満の
コレステリック配向フィルムを形成する第1工程、該コ
レステリック配向フィルム表面に回折素子基板の回折パ
ターンを転写する第2工程、及び回折パターンが転写さ
れたコレステリック配向フィルム面と支持基板とを接着
剤層を介して積層する第3工程、を含む偏光回折素子の
製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性を有する回
折光を生じることができる鏡面性の偏光回折素子の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コ
レステリック配向フィルムの一部の領域に回折能を付与
することに成功した。さらに詳しくは、コレステリック
液晶に特有な選択反射特性および円偏光特性に併せて回
折能という特性をコレステリック配向フィルムに容易に
付与する方法を見出し、遂に本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、配向
支持基板上に正反射除去反射率(SCE)と正反射込み
反射率(SCI)の比((SCE/SCI)×100)
で定義される拡散率が15%未満のコレステリック配向
フィルムを形成する第1工程、該コレステリック配向フ
ィルム表面に回折素子基板の回折パターンを転写する第
2工程、及び回折パターンが転写されたコレステリック
配向フィルム面と支持基板とを接着剤層を介して積層す
る第3工程、を含む偏光回折素子の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の第1工程は、配向支持基板上に正反射除去
反射率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)の比
((SCE/SCI)×100)で定義される拡散率が
15%未満のコレステリック配向フィルムを形成する工
程である。ここで正反射込み反射率(SCI)とは、被
測定物を拡散照明により均一照明した際の全反射率のこ
とをいう。また、正反射除去反射率(SCE)とは、被
測定物を拡散照明により均一照明した際の全反射率より
正反射光成分を除いた(被測定物表面で拡散した光の成
分からなる)拡散反射率のことをいう(全反射率=正反
射率+拡散反射率)。これら正反射除去反射率および正
反射込み反射率は、JIS−Z−8722「色の測定方
法−反射及び透過物体」に準拠して測定することにより
求めることができる。具体的な測定方法としては、d/
8(拡散照明8゜受光)照明・受光光学系を持つ測定
器、ミノルタ社製分光測色計CM−3500dを用いて
測定することができる。
【0007】第1工程で配向支持基板上に形成されるコ
レステリック配向フィルムは、上記定義に基づいて求め
られる拡散率が通常15%未満、好ましくは12%以
下、さらに好ましくは10%以下である。拡散率が15
%以上の場合には、金属光沢を帯びた色鮮やかな呈色効
果を発現できない恐れがある。
【0008】上記の如きコレステリック配向フィルムを
形成するフィルム材料としては、高分子液晶、低分子液
晶またはこれら混合物を用いることができる。高分子液
晶としては、コレステリック配向が固定化できるもので
あれば特に制限はなく、主鎖型、側鎖型高分子液晶等い
ずれでも使用することができる。具体的にはポリエステ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミ
ドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキ
サンなどの側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。なか
でもコレステリック配向を形成する上で配向性が良く、
合成も比較的容易である液晶性ポリエステルが望まし
い。ポリマーの構成単位としては、例えば芳香族あるい
は脂肪族ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボ
ン酸単位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸
単位を好適な例として挙げられる。
【0009】またコレステリック配向フィルムのフィル
ム材料となる低分子液晶としては、例えばアクリロイル
基、ビニル基やエポキシ基等の官能基を導入したビフェ
ニル誘導体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベン
誘導体などを基本骨格としたものが挙げられる。また低
分子液晶としては、ライオトロピック性、サーモトロピ
ック性のどちらも用いることができるが、サーモトロピ
ック性を示すものが作業性、プロセス等の観点からより
好適である。
【0010】またコレステリック配向フィルムの耐熱性
等を向上させるために、フィルム材料中にコレステリッ
ク液晶相の発現を妨げない範囲において、例えばビスア
ジド化合物やグリシジルメタクリレート等の架橋剤を添
加することもでき、これら架橋剤を添加することにより
コレステリック液晶相を発現させた状態で架橋させるこ
ともできる。さらにフィルム材料には、コレステリック
液晶相の発現を妨げない範囲において二色性色素、染料
や顔料等を適宜添加することもできる。
【0011】上記の如きフィルム材料を用いてコレステ
リック配向を固定化する方法としては、公知の方法、例
えば高分子液晶を用いる場合には、配向支持基板上に高
分子液晶を配した後、熱処理等によってコレステリック
液晶相を発現させ、その状態から急冷してコレステリッ
ク配向を固定化する方法を用いることができる。また低
分子液晶を用いる場合には、配向支持基板上に低分子液
晶を配した後、熱処理等によってコレステリック液晶相
を発現させ、その状態を維持したまま光、熱または電子
線等により架橋させてコレステリック配向を固定化する
方法等を適宜採用することができる。
【0012】コレステリック配向フィルムの拡散率は、
コレステリック配向を形成する際の熱処理温度、熱処理
時間およびフィルム膜厚を適宜調節することにより、所
望の拡散率を得ることができる。熱処理温度、熱処理時
間およびフィルム膜厚は、フィルム材料となる高分子液
晶や低分子液晶の種類、組成比、諸物性等によって異な
るため一概には言えないが、熱処理温度としては通常3
0〜250℃、好ましくは40〜200℃、特に好まし
くは50〜170℃の範囲、また熱処理時間は、通常5
秒〜2時間、好ましくは10秒〜1時間、特に好ましく
は20秒〜30分の範囲、さらにフィルム膜厚として
は、通常0.3〜30μm、好ましくは0.5〜20μ
m、特に好ましくは0.7〜10μmの範囲で適宜調節
することにより、所望の拡散率を有するフィルムを得る
ことができる。
【0013】また本発明の第1工程に供することができ
る配向支持基板としては、例えばガラス基板またはプラ
スチックフィルム、プラスチックシート等のプラスチッ
ク基板を例示することができる。ガラス基板としては例
えばソーダガラス、シリカコートソーダガラス、ホウケ
イ酸ガラス基板等を用いることができる。またプラスチ
ック基板としては、ポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、
ポリフェニレンサルファイド、アモルファスポリオレフ
ィン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂等の基板等を用いることができ
る。これらの配向支持基板に必要に応じて一軸または二
軸延伸操作を適宜加えることもできる。さらに上記基板
に、親水化処理や疎水化処理や易剥離性処理などの表面
処理を施すこともできる。また配向支持基板としては1
種単独、または2種以上の基板を積層したものを配向支
持基板として用いることもできる。
【0014】また上記各配向支持基板上に配向膜を形成
したものも本発明では配向支持基板に包含するものであ
る。配向膜としては、ラビング処理したポリイミドフィ
ルムが好適に用いられるが、その他当該分野で公知の配
向膜も適宜使用することができる。またポリイミド等を
塗布することなく、直接ラビング処理によって配向能を
付与して得られるプラスチック基板等もコレステリック
配向フィルムを得る際の配向支持基板として使用するこ
とができる。なお配向処理の方法は特に制限されるもの
ではないが、液晶分子を配向処理界面と一様に平行に配
向させるものであればよい。
【0015】次いで配向支持基板上にフィルム材料を塗
布する手段としては、溶融塗布、溶液塗布が挙げられる
が、プロセス上溶液塗布が望ましい。溶液塗布は、フィ
ルム材料を所定の割合で溶媒に溶解し、所定濃度の溶液
を調製する。溶媒としては、用いるフィルム材料の種類
により異なるが、通常トルエン、キシレン、ブチルベン
ゼン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン
等の炭化水素系、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレ
ングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等
のエーテル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、
酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステ
ル系、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系、ジクロロメ
タン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素系、ブチルアルコール、トリ
エチレングリコール、ジアセトンアルコール、ヘキシレ
ングリコール等のアルコール系等を用いることができ
る。これらの溶媒は必要により2種以上を適宜混合して
使用することもできる。また溶液の濃度は用いられるフ
ィルム材料の種類(組成比等)や溶解性、さらに最終的
に目的とするフィルムの膜厚等により異なるため一概に
は言えないが、通常1〜60重量%、好ましくは3〜4
0重量%で適宜調節される。
【0016】また溶液中には、塗布を容易にするために
界面活性剤等を加えても良い。界面活性剤としては、例
えばイミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルア
ミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面
活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮
合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレー
ト、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレン
グリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン
類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸
塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物
等の陰イオン系界面活性剤、ラウリルアミドプロピルベ
タイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活
性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性
剤、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレン
オキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアン
モニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オ
リゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマ
ーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界
面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の添加量は、界
面活性剤の種類や溶剤、あるいは塗布する支持基板にも
よるが、通常、高分子液晶の重量に対する比率にして1
0ppm〜10%、好ましくは50ppm〜5%、さら
に好ましくは0.01%〜1%の範囲である。
【0017】上記の如くして調製したフィルム材料溶液
を配向支持基板上に塗布する。塗布方法としては、例え
ばロールコート法、ダイコート法、バーコート法、グラ
ビアロールコート法、スプレーコート法、ディップコー
ト法、スピンコート法等を採用することができる。
【0018】塗布後溶媒を乾燥により除去し、配向支持
基板上に形成したフィルム材料の塗布膜を上述において
説明した熱処理条件にてコレステリック配向させた後、
当該配向を固定化することにより所望の拡散率を有する
コレステリック配向フィルムを当該基板上に形成するこ
とができる。コレステリック配向の固定化方法として
は、高分子液晶を主とするフィルム材料を用いた場合に
はガラス転移点以下の温度に急冷することによってコレ
ステリック配向が固定化されたコレステリック配向フィ
ルムを得ることができる。また低分子液晶を主とするフ
ィルム材料を用いた場合には、液晶状態においてコレス
テリック配向を形成した後、電子線、紫外線、可視光線
または赤外線(熱線)を照射して低分子液晶を架橋させ
ることによってコレステリック配向が固定化されたコレ
ステリック配向フィルムを得ることができる。
【0019】配向支持基板上に形成されたコレステリッ
ク配向フィルムの光学パラメーターとして、コレステリ
ック配向における螺旋巻き数としては、通常2巻き以上
10巻き以下、好ましくは2巻き以上6巻き以下である
ことが望ましい。螺旋巻き数が2巻きより少ない場合、
また10巻きより多い場合には、偏光回折素子としての
効果を発現できない恐れがある。さらに当該フィルムに
おけるコレステリック選択反射の波長帯域幅としては、
通常30〜150nmが望ましく、またコレステリック
選択反射の中心波長としては、通常380〜780n
m、好ましくは420〜700nmの可視域、または8
00〜2000nm、好ましくは850〜1100の近
赤外域の範囲であることが望ましい。可視域で本発明の
偏光回折素子を用いる際においてコレステリック選択反
射の中心波長が上記範囲から外れた場合には、反射色が
薄れ鮮やかさに欠ける等の恐れがある。また近赤外域で
当該素子を用いる際においては適切な光源および/また
は検出器を用いてコレステリック選択反射を利用するこ
とになるが、中心波長が上記範囲から外れると汎用の光
源では光量が不足する、あるいは汎用の検出器では感度
が不足する等の恐れがある。
【0020】本発明の第2工程は、第1工程で得られた
コレステリック配向フィルム表面に回折素子基板の回折
パターンを転写する工程である。コレステリック配向フ
ィルムに回折パターンを転写する際に用いられる回折素
子基板の材質としては、金属や樹脂のような材料であっ
ても良く、あるいはフィルム表面に回折機能を付与した
もの、あるいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写
したもの等、およそ回折機能を有するものであれば如何
なる材質であっても良い。なかでも取り扱いの容易さや
量産性を考えた場合、回折機能を有するフィルムまたは
フィルム積層体がより望ましい。
【0021】またここでいう回折素子とは、平面型ホロ
グラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定
義として含む。またその種類については、表面形状に由
来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプ
であってもよいし、表面形状に因らない、または表面形
状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変
調ホログラムのタイプであっても良い。本発明において
は、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付
与することができる点から、膜厚変調ホログラムのタイ
プがより好適に用いられる。また屈折率変調のタイプで
あっても、表面形状に回折を生じる起伏を有したもので
あれば本発明に好適に用いることができる。また回折素
子基板における回折パターンの格子間隔としては、特に
制限されるものではないが、通常0.56μm〜6.3
0μm、好ましくは0.59μm〜3.20μm,さら
に好ましくは0.72μm〜2.10μmであることが
実用的に本発明の偏光回折素子を用いる際に望ましい。
【0022】回折パターンをコレステリック配向フィル
ムに転写する際の諸条件は、コレステリック配向フィル
ムの諸物性、回折素子基板の材質等によって異なるため
一概には言えないが、通常、温度40〜300℃、好ま
しくは70〜180℃、圧力0.05〜80MPa、好
ましくは0.1〜20MPaの加温および/または加圧
条件下で行うことができる。温度が40℃未満の場合、
室温で十分安定な配向状態を有するコレステリック配向
フィルムにおいては回折パターンの転写が不十分となる
恐れがある。また300℃を越えるとコレステリック配
向フィルムの分解や劣化が起こる恐れがある。また圧力
が0.05MPaより低い場合、回折パターンの転写が
不十分となる恐れがある。さらに80MPaより高い場
合には、コレステリック配向フィルムや他の基材の破壊
等が起こる恐れがあり望ましくない。
【0023】また転写に要する時間は、コレステリック
配向フィルムを形成しているフィルム材料の種類、フィ
ルム形態、回折パターン型や回折素子基板の材質等によ
り異なるため一概には言えないが、通常0.01秒以
上、好ましくは0.05秒〜1分である。処理時間が
0.01秒より短い場合、回折パターンの転写が不十分
となる恐れがある。また1分を越えるような処理時間は
生産性の観点から望ましいとは言えない。
【0024】回折パターンをコレステリック配向フィル
ムに転写する具体的な方法としては、例えば上記諸条件
を満足する一般の圧縮成型機、圧延機、カレンダーロー
ラー、ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタン
プ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、コレステリック
配向フィルムの液晶面と回折パターン面が接するように
した状態で成型機等に供することにより、回折素子基板
の回折パターンをコレステリック配向フィルムに転写す
ることができる。また回折パターンの転写は、コレステ
リック配向フィルムの片面のみに限られるものではな
く、同様の方法により、コレステリック配向フィルム両
面に回折パターンを転写することもできる。
【0025】上記の如き方法および条件にてコレステリ
ック配向フィルムに回折素子基板の回折パターンを転写
した後、当該回折素子基板はコレステリック配向フィル
ムから剥離除去する。回折素子基板が取り除かれたコレ
ステリック配向フィルムは、回折パターンが転写された
当該フィルム面に回折能を示す領域を有することにな
る。ここで回折能を示す領域とは、その領域を透過した
光またはその領域で反射された光が、幾何学的には影に
なる部分に回り込むような効果を生じる領域を意味す
る。また回折能を有する領域の有無は、例えばレーザー
光等を前記領域に入射し、直線的に透過または反射する
光(0次光)以外に、ある角度をもって出射する光(高
次光)の有無により確認することができる。また別法と
しては、原子間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで液晶
層の表面形状や断面形状を観察することにより回折能を
示す領域が形成されているか否か確認することができ
る。また回折能を示す領域は、コレステリック配向フィ
ルムの複数領域、例えばフィルム表裏面にそれぞれ形成
することもできる。また回折能を示す領域は、例えばフ
ィルム面に均一な厚さを持った層状態として形成されて
いることは必ずしも必要とせず、フィルム面の少なくと
も一部に回折能を示す領域が形成されていれば偏光回折
素子としての効果を発現することができる。また回折能
を示す領域を、所望の図形、絵文字、数字等の型を象る
ように形成することもできる。さらに回折能を示す領域
を複数有する場合、全ての当該領域が同じ回折能を示す
必要性はなく、それぞれの領域において異なった回折能
を示すものであってもよい。
【0026】また回折能を示す領域が層状態として形成
されている場合、回折能を示す層(領域)の厚みとして
は、コレステリック配向フィルムの膜厚に対して通常5
0%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは1
0%以下の厚みを有する層状態で形成されていることが
望ましい。回折能を示す層(領域)の厚さが50%を超
えると、コレステリック液晶相に起因する選択反射特
性、円偏光特性等の効果が低下し、偏光回折素子として
の効果を得ることができない恐れがある。
【0027】さらに本発明の第2工程において、回折素
子基板の回折パターンを転写されたコレステリック配向
フィルムは、その回折パターンを転写されたフィルム面
における配向状態、すなわち回折能を示す領域の配向状
態が、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではないコレ
ステリック配向、好ましくは螺旋軸方位が膜厚方向に一
様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等
間隔ではないコレステリック配向を形成していることが
望ましい。またそれ以外の領域においては、通常のコレ
ステリック配向と同様の配向状態、すなわち螺旋軸方位
が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向
に一様に等間隔な螺旋構造を形成していることが望まし
い。
【0028】また本発明のコレステリック配向フィルム
において、回折能を示す領域が一方のフィルム面領域に
有する際、そのフィルムの表裏、すなわち回折能を示す
領域を有するフィルム面とその面とは反対のフィルム面
とは多少異なった光学効果、呈色効果等を示すものであ
る。したがって用途や目的とする機能等に応じ、コレス
テリック配向フィルムのフィルム面の配置位置等を選択
することが望ましい。またコレステリック配向フィルム
の回折能を示す領域における回折角としては、特に制限
されるものではないが、1次回折光の回折角が、通常5
゜〜80゜、好ましくは10゜〜70゜、さらに好まし
くは 15゜〜60゜の範囲である。回折角が5゜より
小さい場合、回折による効果を確認できない恐れがあ
る。また回折角が80゜より大きい場合には、回折効果
を目視にて確認する際にフィルムのほぼ真横から観察し
ないと確認できない等の意匠性用途等に用いた場合に不
都合を生じる恐れがある。
【0029】本発明の第3工程では、第2工程で得られ
た回折パターン転写後のコレステリック配向フィルムの
回折パターン転写面と支持基板とを接着剤層を介して積
層する工程である。第3工程において用いられる支持基
板としては、シート状物、フィルム状物、板状物等の形
状を有するものであれば特に制限されるものではなく、
例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ
エーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテ
ルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルフ
ァイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレ
ート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリア
リレート、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂等のシート、フィルムあるいは基
板、または紙、合成紙等の紙類、金属箔、ガラス板等か
ら適宜選択して用いることができる。また支持基板とし
ては、その表面に凹凸が施されているものであってもよ
い。
【0030】またコレステリック配向フィルムと支持基
板との間に介される接着剤としては、特に制限されるも
のではなく、従来公知の様々な粘・接着剤、例えば光ま
たは電子線硬化型の反応性接着剤、ホットメルト型接着
剤等を適宜用いることができる。
【0031】反応性接着剤としては、光または電子線重
合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに必
要に応じて他の単官能、多官能性モノマー、各種ポリマ
ー、安定剤、光重合開始剤、増感剤等を配合したものを
用いることができる。
【0032】光または電子線重合性を有するプレポリマ
ーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポ
リエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレー
ト、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレー
ト、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレー
ト、ポリオールメタクリレート等を例示することができ
る。また光または電子線重合性を有するモノマーとして
は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官
能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の
多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示で
きる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えば
アロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;
東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社製)、
ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いることが
できる。
【0033】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0034】光または電子線硬化型の反応性接着剤の粘
度は、接着剤の加工温度等により適宜選択するものであ
り一概にはいえないが、通常25℃で10〜2000m
Pa・s、好ましくは50〜1000mPa・s、さらに
好ましくは100〜500mPa・sである。粘度が1
0mPa・sより低い場合、所望の厚さが得られ難くな
る。また2000mPa・sより高い場合には、作業性
が低下する恐れがあり望ましくない。粘度が上記範囲か
ら外れている場合には、適宜、溶剤やモノマー割合を調
整し所望の粘度にすることが好ましい。
【0035】また光硬化型の反応性接着剤を用いた場
合、その接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例
えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハ
ライドランプ、キセノンランプ等を使用することができ
る。また露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異
なるため一概にはいえないが、通常50〜2000mJ
/cm2、好ましくは100〜1000mJ/cm2であ
る。
【0036】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0037】また接着剤としてホットメルト型接着剤を
用いる場合、当該接着剤も特に制限はないが、ホットメ
ルトの作業温度が80〜200℃、好ましくは100〜
160℃程度のものが作業性等の観点から望ましく用い
られる。具体的には、例えばエチレン・酢酸ビニル共重
合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ゴム系、ポリアクリル
系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチ
ラール等のポリビニルアセタール系樹脂、石油系樹脂、
テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等をベース樹脂として製
造されているものが挙げられる。
【0038】さらに接着剤として粘着剤を用いる場合も
特に制限されるものではなく、例えばゴム系、アクリル
系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系粘着剤などを
用いることができる。接着剤の厚さは、用いられる用途
やその作業性等により異なるため一概にはいえないが、
通常0.5〜50μm、好ましくは1〜10μmであ
る。また接着剤の形成方法としては、特に限定されるも
のではないが、例えばロールコート法、ダイコート法、
バーコート法、、カーテンコート法、エクストルージョ
ンコート法、グラビアロールコート法、スプレーコート
法、スピンコート法等の公知の方法を用いて支持基板ま
たはコレステリック配向フィルムの回折パターンが転写
されたフィルム面若しくは支持基板およびコレステリッ
ク配向フィルムの両方に形成することができる。
【0039】コレステリック配向フィルムの回折パター
ンが転写されたフィルム面と支持基板とを接着剤層を介
して積層する方法としては特に制限されるものではない
が、例えば前述の回折パターンをコレステリック配向フ
ィルムに転写する方法として例示した機器類から適宜選
定する等により積層することができる。
【0040】本発明は、以上説明した第1工程から第3
工程を経ることにより配向支持基板/コレステリック配
向フィルム/接着剤層/支持基板の順に構成された偏光
回折素子を製造することができる。ここで第1工程で用
いた配向支持基板が光学的に透明でない当該基板を用い
た場合、また目的とする用途において望ましくない光学
特性を示す配向支持基板や偏光回折素子としての効果を
消失させてしまう配向支持基板等を用いた場合には、第
4工程として第1工程で用いた配向支持基板をコレステ
リック配向フィルムから除去し、コレステリック配向フ
ィルム/接着剤層/支持基板の順に構成された偏光回折
素子を製造することができる。
【0041】配向支持基板をコレステリック配向フィル
ムから除去する方法としては、特に制限されるものでは
ないが、例えば配向支持基板を剥離除去する、または配
向支持基板を溶解する、といった方法等が挙げられる。
剥離除去方法としては、例えば配向支持基板のコーナー
端部に粘着テープを貼り付けて人為的に剥離する方法、
ロール等を用いて機械的に剥離する方法、構造材料全て
に対する貧溶媒に浸漬した後に機械的に剥離する方法、
貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向支持基板
とコレステリック配向フィルムとの熱膨張係数の差を利
用して温度変化を与えて剥離する方法、配向支持基板そ
のもの、または配向支持基板上の配向膜を溶解除去する
方法等を例示することができる。剥離性については、コ
レステリック配向フィルムを形成しているフィルム材料
の諸物性や配向支持基板との密着性によって異なるた
め、その系にもっとも適した方法を採用すべきである。
【0042】本発明では、第4工程において配向支持基
板を除去した後、コレステリック配向フィルムの表面保
護、強度増加、環境信頼性向上等の目的の為に第5工程
として、配向支持基板除去後のコレステリック配向フィ
ルム面に保護層を形成し、保護層/コレステリック配向
フィルム/接着剤層/支持基板の順に構成された偏光回
折素子を製造することができる。保護層としては、紫外
線吸収性および/またはハードコート性を有するもので
あれば特に限定されるものではない。例えば紫外線吸収
剤およびハードコート剤を含有した保護層形成材料をフ
ィルム状物、シート状物、薄膜状物、板状物に形成した
ものが挙げられる。また紫外線吸収剤を含有した保護層
形成材料からなる紫外線吸収性を有した保護層(以下、
紫外線吸収層)と、ハードコート剤を含有した保護層形
成材料からなるハードコート性を有した保護層(以下、
ハードコート層)との積層物を本発明でいう保護層とし
て用いることもできる。また一般に市販されている紫外
線カットフィルムとハードコートフィルムとの積層物を
保護層として用いることができる。また紫外線吸収層に
各種ハードコート剤を塗布して成膜した積層物も保護層
として用いることができる。ここで紫外線吸収層および
ハードコート層は、それぞれ2層以上から形成されても
よく、各層はそれぞれ接着剤層等を介して積層すること
ができる。
【0043】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、熱、光または電子線
硬化型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハ
ードコート剤を添加した接着剤組成物を用いることもで
き、その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもで
きる。
【0044】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0045】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0046】保護層形成材料には、紫外線吸収剤および
ハードコート剤の他に必要に応じてヒンダードアミンや
消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベリ性改良剤、染
料、顔料、界面活性剤、微細なシリカやジルコニア等の
充填剤等の各種添加剤を配合することもできる。これら
各種添加剤の配合割合は、本発明の効果を損なわない範
囲であれば特に制限はないが、通常0.01〜10重量
%、好ましくは0.05〜5重量%である。
【0047】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0048】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、アモルファスポリオレフィ
ン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等から形成されるフィ
ルムを挙げることができる。
【0049】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層し、本発明でいう保護層とすることがで
きる。接着剤としては、熱、光または電子線硬化型の反
応性接着剤等を用いることができる。また接着剤として
紫外線吸収剤を含有したものを用い、別に用意したハー
ドコート層をコレステリック配向フィルムに積層するこ
とにより保護層を形成することもできる。また接着剤に
は必要に応じて染料、顔料、界面活性剤等を適宜添加し
てもよい。
【0050】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0051】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0052】さらにハードコート性の度合い、すなわち
硬度としては偏光回折素子を構成する材質により一概に
決定できないが、JIS L 0849記載の試験法に
準じて評価を行った場合、変色の判定基準として少なく
とも3以上、好ましくは4以上であることが望ましい。
【0053】配向支持基板を除去したコレステリック配
向フィルム面に形成される保護層、また保護層を構成す
る紫外線吸収層およびハードコート層の成膜法は、通常
ロールコート法、ディッピング法、グラビアコート法、
バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、プ
リント法等の公知の方法を採用することができる。これ
ら方法によりコレステリック配向フィルム上、または支
持フィルム上に成膜した後、使用した保護層形成材料に
応じた後処理を施すことにより保護層を形成することが
できる。また紫外線吸収層とハードコート層との複合層
からなる保護層の形成方法としては、例えば紫外線吸収
層に直接ハードコート剤を塗布形成する方法、接着剤等
を介して積層する方法等が挙げられる。
【0054】保護層の膜厚は、紫外線吸収性およびハー
ドコート性のそれぞれが求められる性能に応じて異なる
ため一概には言えないが、通常0.1〜100μm、好
ましくは1〜50μmである。また保護層が紫外線吸収
層およびハードコート層との複合層から形成される場合
も、各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ましい。
【0055】このようにして得られる本発明の偏光回折
素子は、回折光が円偏光性を有するという、従来の光学
部材には無い特異な効果を有する。この効果により、例
えばエリプソメーターのような偏光を必要とする分光光
学機器に用いることにより、光の利用効率を極めて高く
することが可能となる。従来の偏光を必要とする分光光
学機器では、光源より発した光を回折格子やプリズム等
の分光素子を用いて波長ごとに分光した後に偏光子を透
過させる、または偏光子を透過させた後に分光する必要
があり偏光子が必須であった。この偏光子は、入射した
光の約50%を吸収してしまい、また界面での反射が生
じるために光の利用効率が極めて悪いといった問題があ
ったが、本発明の製造方法によって得られる偏光回折素
子を用いることにより光の利用効率を極めて高く、理論
的には約100%利用することが可能となる。また本発
明の製造方法によって得られる偏光回折素子は、通常の
偏光板を用いることによって容易に回折光の透過および
遮断をコントロールすることが可能である。通常、偏光
性を有していない回折光では、どのような偏光板と組み
合わせても完全に遮断することはできない。すなわち本
発明の製造方法によって得られる偏光回折素子では、例
えば右偏光性を有する回折光は、左円偏光板を用いた時
にのみ完全に遮断することができ、それ以外の偏光板を
用いても完全な遮断を実現することができないものであ
る。このような効果を有することから、例えば観察者が
偏光板越しに回折像を観察する環境において、偏光板の
状態を変化させることによって、回折像を暗視野から突
然浮かび上がらせたり、また突然消失させたりすること
が可能となる。
【0056】以上のように本発明の製造方法によって得
られる偏光回折素子は、新たな回折機能素子として応用
範囲は極めて広く、種々の光学用素子や光エレクトロニ
クス素子、装飾用部材、偽造防止用素子等として使用す
ることができる。
【0057】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば透明かつ等方なフィルム、例えば
フジタック(富士写真フィルム社製)、コニカタック
(コニカ社製)などのトリアセチルセルロースフィル
ム、TPXフィルム(三井化学社製)、アートンフィル
ム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィルム(日本
ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社
製)等を第3工程の支持基板として偏光回折素子を得る
ことにより様々な光学用途への展開を図ることが可能で
ある。例えば当該偏光回折素子をTN(twisted
nematic)−LCD(Liquid Crys
tal Display)、STN(Super Tw
isted Nematic)−LCD、ECB(El
ectrically Controlled Bir
efringence)−LCD、OMI(Optic
al Mode Interference)−LC
D、OCB(Optically Compensat
ed Birefringence)−LCD、HAN
(Hybrid Aligned Nematic)−
LCD、IPS(In Plane Switchin
g)−LCD等の液晶ディスプレーに備えることによっ
て色補償および/または視野角改良された各種LCDを
得ることができる。また当該偏光回折素子を上記したよ
うに分光された偏光を必要とする分光光学機器、回折現
象により特定の波長を得る偏光光学素子、光学フィルタ
ー、円偏光板、光拡散板等として用いることも可能であ
り、さらに1/4波長板と組み合わせることによって直
線偏光板等のカラー偏光板を得ることもできる等、光学
用素子や光エレクトロニクス素子として従来にない光学
効果を発現しうる様々な光学部材を提供することができ
る。
【0058】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果
等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意
匠性成形材料を得ることができる。また薄膜化できるこ
とから既存製品等に添付する、一体化する等の方法によ
って、他の類似製品との差別化にも大きく貢献すること
が期待できる。例えば、意匠性のある回折パターンを組
み込んだ偏光回折素子をガラス窓等に張り付ける、また
は第3工程における支持基板としてガラス窓等を用いる
ことにより、外部からはその視角によって前記回折パタ
ーンを伴ったコレステリック液晶特有の選択反射が異な
った色に見え、ファッション性に優れたものとなる。ま
た明るい外部からは内部が見え難く、それにもかかわら
ず内部からは外部の視認性がよい窓とすることができ
る。
【0059】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には本発明の第3工程にお
ける支持基板として、例えば自動車運転免許証、身分証
明証、パスポート、クレジットカード、プリペイドカー
ド、各種金券、ギフトカード、有価証券等のカード基
板、台紙等を用いることによって、偏光回折素子をカー
ド基板、台紙等と一体化するまたは一部に設ける、具体
的には貼り付ける、埋め込む、紙類に織り込むことがで
きる。また本発明の製造方法によって得られる偏光回折
素子は、回折能を示す領域がコレステリック配向フィル
ム表面に有するもので、かつそのフィルム面は接着剤層
を介して支持基板によって覆われており、さらにコレス
テリック液晶の波長選択反射性、円偏光選択反射性、色
の視角依存性、コレステリックカラーの美しい色を呈す
る効果を併せ持ったものである。したがって本発明の製
造方法によって得られる偏光回折素子は、偽造防止用素
子として用いた場合には、当該偏光回折素子の偽造が困
難であり、より具体的には回折能を示す領域をフィルム
表面に有するコレステリック配向フィルムの偽造は極め
て困難であるといえる。また偽造防止効果とあわせて、
回折素子の虹色呈色効果、コレステリック液晶の色鮮や
かな呈色効果を有することから意匠性にも優れたもので
ある。これらのことから本発明の製造方法によって得ら
れる偏光回折素子は偽造防止用素子として非常に好適で
ある。
【0060】これらの用途はほんの一例であり、本発明
の製造方法によって得られる偏光回折素子は、従来、回
折素子単体、通常のコレステリック配向を固定化したコ
レステリック配向フィルム単体が使用されている各種用
途や、新たな光学的効果を発現することが可能であるこ
と等から前記用途以外の様々な用途にも応用展開が可能
である。
【0061】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0062】(実施例1)テレフタル酸50mmol、
ヒドロキシ安息香酸20mmol、カテコール20mm
ol、(R)−2−メチル−1,4−ブタンジオール1
0mmolおよび酢酸ナトリウム100mgを用いて窒
素雰囲気下、180℃で1時間、200℃で1時間、2
50℃で1時間と段階状に昇温しながら重縮合反応を行
った。
【0063】次いで窒素を流しながら250℃で2時間
重縮合反応を続け、さらに減圧下同温度で1時間重縮合
を行った。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶
解後、メタノールで再沈澱を行い、液晶性ポリエステル
を得た。
【0064】得られた液晶性ポリエステルのN−メチル
−2−ピロリドン溶液(20重量%)を調製し、該溶液
をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフィルム
上にスピンコート法で塗布した。塗布した後、乾燥処理
を行いN−メチル−2−ピロリドンを除去し、ポリフェ
ニレンスルフィドフィルム上に液晶性ポリエステルの塗
布膜を形成した。触針型膜厚計にて測定した乾燥後の膜
厚は約1.6μmであった。
【0065】次いで液晶性ポリエステルの塗布膜を18
5℃の加熱雰囲気において5分間熱処理を行い、室温下
に冷却することによって、ポリフェニレンスルフィドフ
ィルム上に色鮮やかな金色の反射色を呈する液晶性ポリ
エステルフィルムを得た。
【0066】同フィルムを日本分光社製紫外可視近赤外
分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定したと
ころ、中心波長が600nm、選択反射波長帯域幅が約
110nmの選択反射を示すコレステリック配向が固定
化されたコレステリック配向フィルムであることが確認
された。次いで得られたフィルムに関して、ミノルタ社
製分光測色計CM−3500dを用いて正反射除去反射
率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)を測定した
ところ、SCE4%、SCI45%であり、拡散率は約
9%であった。また目視によるフィルム観察では、金属
光沢を帯びた色鮮やかな金色の反射光を呈し、高級感の
ある質感を有していた。反射光は、正反射角方向からの
観察で非常に明るく観察され、鏡面と同様の性質を有し
ていた。
【0067】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と前記コレステリック配向フィルムの液晶
面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネ
ーターDX−350を用い、150℃、0.3MPa、
ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行った後、
室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。
【0068】次いで回折格子フィルムを除去したコレス
テリック配向フィルム面にバーコーターにより市販の光
硬化型アクリル系接着剤を5μmとなるように塗布し、
塗布面にトリアセチルセルロースフィルムをラミネータ
ーを用いて貼り合わせ、紫外線照射により接着剤を硬化
させ積層体を得た。
【0069】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭
に認められた。また回折格子フィルムを除去したコレス
テリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察お
よび液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、
コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様
に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等
間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に
形成されていることが確認された。
【0070】またコレステリック配向フィルム面内に垂
直となるように得られた積層体にHe−Neレーザー
(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および
約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに
偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られ
た積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介
して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏
光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。
これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観
察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察
されなかった。
【0071】これらのことより得られた積層体は、回折
光が右円偏光である偏光回折素子として機能することが
確認された。
【0072】(実施例2)実施例1で得られた積層体か
ら、コレステリック配向フィルムの配向支持基板として
用いたポリフェニレンスルフィドフィルムを除去し、除
去したコレステリック配向フィルム面に市販の粘着剤を
5μmとなるように塗布し、塗布面に市販の紫外線カッ
トフィルムをラミネーターを用いて貼り合わせトリアセ
チルセルロースフィルム/接着剤層/コレステリック配
向フィルム/粘着剤層/紫外線カットフィルムの構成を
有する偏光回折素子を得た。
【0073】(実施例3)正の一軸ネマチック液晶性化
合物であるメチルヒドロキノン ビス(4−(6−アク
リロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)エステルを
6.42g、4−シアノフェノール 4−(6−アクリ
ロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸エステルを0.
98g、市販のキラルドーパント液晶S−811(ロデ
ィック社製)2.60gを量り取り、蒸留精製したN−
メチル−2−ピロリドン90gに溶解した。該溶液にフ
ッ素系界面活性剤S−383(旭硝子社製)を0.5m
g、光反応開始剤イルガキュアー907(チバガイギー
社製) 0.3g、増感剤ジエチルチオキサントン0.
1gを添加し、表面をレーヨン布によりラビング処理し
たポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(三菱
ダイヤホイル社製)上にバーコーターを用いて塗布し
た。塗布後、該フィルムごと60℃に設定したクリーン
オーブンに投入し15分乾燥を行った後、さらに85℃
に設定したオーブン中で6分熱処理し、その温度から約
1℃/分で50℃まで冷却することにより液晶層のコレ
ステリック配向を完了させた。コレステリック液晶層の
膜厚を触針膜厚で測定したところ1.5μmであった。
次いでコレステリック液晶層をPENフィルム上に形成
した状態のまま50℃に設定したオーブンに投入し、酸
素濃度250ppm以下の窒素雰囲気下、オーブン設定
温度まで放冷した後、その温度にてUV照射を行った。
UV光源としては高圧水銀灯を使用し、照射強度は最大
120W/cm2、照射時間5秒間、積算照射量135
mJで照射した。照射後の液晶層はある程度硬化してお
り、硬化前に見られた流動性はなかったが、その表面硬
度は鉛筆硬度にして6Bよりも低く、正確な硬度は測る
ことができなかった。
【0074】PENフィルム上に形成したコレステリッ
ク液晶層を日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計V−
570にて透過スペクトルを測定したところ、中心波長
が約580nm、選択反射波長帯域幅が約40nmの選
択反射を示すコレステリック配向が形成されていること
が確認された。また当該液晶層をミノルタ社製分光測色
計CM−3500dにて、正反射除去反射率(SCE)
と正反射込み反射率(SCI)を測定したところ、SC
E5%、SCI43%であり、拡散率は約12%であっ
た。オーブンから取り出したPENフィルム上のコレス
テリック液晶層をラビング方向が長手になるような10
cm×3cmの長方形に切り出し、また市販のエンボス
版フィルムJ52,989(エドモンド・サイエンティ
フィック・ジャパン社製)を、回折格子の格子方位が長
手になるような12cm×5cmの長方形に切り出し
た。次いで、切り出したPENフィルム上のコレステリ
ック液晶層の液晶層側とエンボス版フィルムの回折格子
面とが接するように重ね合わせて、一方の短辺をセロテ
ープで固定し、該短辺を先頭にして熱ラミネート装置D
X−350(東ラミ社製)に通した。熱ラミネートは、
ラミネートロールの温度が72℃で行い、サンプルの移
動速度は毎秒30mmであった。熱ラミネート後、コレ
ステリック液晶層とエンボス版フィルムは一体となって
密着し積層体を成していた。当該積層体を室温まで冷却
し、室温にてコレステリック液晶層側にエレクトロンビ
ーム(EB)照射を行った。EB照射は、アイエレクト
ロンビーム社製のEB照射装置を用い、室温下、酸素濃
度0.20%の雰囲気において、加速電圧30kVにて
照射を行った。EB照射後に、当該積層体からフィルム
長手方向に沿ってエンボス版フィルムを剥離除去した。
支持PENフィルム上に残されたEB照射後のコレステ
リック液晶層は硬化しており、その表面硬度は鉛筆硬度
にして2H程度であった。
【0075】次いで回折格子フィルムを除去したコレス
テリック配向フィルム面にバーコーターにより市販の光
硬化型アクリル系接着剤を5μmとなるように塗布し、
塗布面にトリアセチルセルロースフィルムをラミネータ
ーを用いて貼り合わせ、紫外線照射により接着剤を硬化
させ積層体を得た。
【0076】得られた積層体を目視観察したところ、色
鮮やかな金属光沢を帯びた金色の反射光を呈していた。
また反射光は、正反射角方向からの観察で非常に明るく
観察され、鏡面と同様の性質を有していた。また当該液
晶層は、コレステリック配向に起因する反射光とは別
に、フィルム長手方向を12時方位に見たときに3時、
9時の方位から斜めに見た場合に、回折格子に特徴的な
虹色の光が観察された。当該積層体のコレステリック液
晶層の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透
過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相に
おける螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、か
つ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレス
テリック配向が液晶層の表面領域に形成されていること
が確認された。またコレステリック液晶層にPENフィ
ルム側から垂直にHe/Neレーザーを入射したとこ
ろ、0゜および約±9゜の出射角に0次および±1次の
回折光が観察された。次いで偏光特性を確認するため
に、通常の室内照明下に得られたPENフィルム上のコ
レステリック液晶層をおき、左円偏光板(左円偏光のみ
透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光とコ
レステリック液晶に起因する金属光沢を帯びた色鮮やか
な金色の反射色が同時に観察され、偏光板なしで観察し
た場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し右円偏
光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗
視野となり、虹色の反射回折光もコレステリック液晶に
起因する金色の反射色も観察されなかった。
【0077】
【発明の効果】本発明では、複雑な工程や処理等を行う
ことなく、回折光が円偏光性を示す鏡面性の偏光回折素
子を製造することができる。また鏡面性であることから
意匠性に非常に優れた偏光回折素子を得ることができ
る。さらには偏光回折素子を構成する回折パターンが転
写されたコレステリック配向フィルム面が支持基板側に
接しているために、コレステリック配向に基づく光学特
性をより顕著に発現することができる。このような光学
特性を有することから、本発明の製造方法で得られる偏
光回折素子は、回折機能素子としてその応用範囲は極め
て広く、例えば液晶ディスプレー等の光学素子、光エレ
クトロニクス素子、装飾用材料、偽造防止用素子等の光
学部材として好適に用いることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 AA64 BA24 BB16 BB17 BB61 BC08 BC14 CA15 4F100 AK01B AR00A AR00C BA03 BA07 BA10B BA10C CC00B EA061 EC181 EH461 EH462 EJ082 EJ911 GB90 JA20A JD09C JK12C JN00A

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向支持基板上に正反射除去反射率
    (SCE)と正反射込み反射率(SCI)の比((SC
    E/SCI)×100)で定義される拡散率が15%未
    満のコレステリック配向フィルムを形成する第1工程、
    該コレステリック配向フィルム表面に回折素子基板の回
    折パターンを転写する第2工程、及び回折パターンが転
    写されたコレステリック配向フィルム面と支持基板とを
    接着剤層を介して積層する第3工程、を含む偏光回折素
    子の製造方法。
  2. 【請求項2】 回折パターンが転写されたコレステリ
    ック配向フィルム面と支持基板とを接着剤層を介して積
    層した後、コレステリック配向フィルムから第1工程で
    用いた配向支持基板を剥離除去する第4工程を含む請求
    項1記載の偏光回折素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 配向支持基板を剥離除去した後、当該
    基板を剥離除去したコレステリック配向フィルム面に保
    護層を形成する第5工程を含む請求項2記載の偏光回折
    素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 保護層が、紫外線吸収性および/また
    はハードコート性を有する請求項3記載の偏光回折素子
    の製造方法。
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