JP2001004830A - コレステリック液晶フィルム - Google Patents

コレステリック液晶フィルム

Info

Publication number
JP2001004830A
JP2001004830A JP11175208A JP17520899A JP2001004830A JP 2001004830 A JP2001004830 A JP 2001004830A JP 11175208 A JP11175208 A JP 11175208A JP 17520899 A JP17520899 A JP 17520899A JP 2001004830 A JP2001004830 A JP 2001004830A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
film
cholesteric liquid
reflectance
cholesteric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11175208A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryo Nishimura
涼 西村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Mitsubishi Oil Corp filed Critical Nippon Mitsubishi Oil Corp
Priority to JP11175208A priority Critical patent/JP2001004830A/ja
Priority to PCT/JP2000/002587 priority patent/WO2000065383A1/ja
Priority to KR1020017013396A priority patent/KR100708510B1/ko
Priority to EP00917385A priority patent/EP1203968B1/en
Priority to CNB008080690A priority patent/CN1235069C/zh
Publication of JP2001004830A publication Critical patent/JP2001004830A/ja
Priority to US10/037,215 priority patent/US6875481B2/en
Priority to HK02107058.2A priority patent/HK1045566A1/zh
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属光沢を帯びた色鮮やかな呈色効果を有す
る共に、回折光自体が円偏光や直線偏光のような特定の
偏光を生じうる鏡面性のコレステリック液晶フィルムを
提供する。 【解決手段】 正反射除去反射率(SCE)と正反射込
み反射率(SCI)の比((SCE/SCI)×10
0)で定義される拡散率が15%未満であり、かつ一部
に回折能を示す領域を有したコレステリック液晶フィル
ムである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属光沢を帯びた
色鮮やかな呈色効果を示すと共に、偏光性を有する回折
光を生じることができる鏡面性のコレステリック液晶フ
ィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コ
レステリック液晶層の一部の領域に回折能を付与するこ
とに成功した。さらに詳しくは、金属光沢を帯びた色鮮
やかな呈色効果を示すと共に、コレステリック液晶に特
有な選択反射特性および円偏光特性、それに併せて回折
能という新たな特性を付与したコレステリック液晶フィ
ルムを発明するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、正反
射除去反射率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)
の比((SCE/SCI)×100)で定義される拡散
率が15%未満であり、かつ一部に回折能を示す領域を
有したコレステリック液晶フィルムに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のコレステリック液晶フィルムは、正反射除
去反射率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)の比
((SCE/SCI)×100)で定義される拡散率が
15%未満である。ここで正反射込み反射率(SCI)
とは、被測定物を拡散照明により均一照明した際の全反
射率のことをいう。また、正反射除去反射率(SCE)
とは、被測定物を拡散照明により均一照明した際の全反
射率より正反射光成分を除いた(被測定物表面で拡散し
た光の成分からなる)拡散反射率のことをいう(全反射
率=正反射率+拡散反射率)。これら正反射除去反射率
および正反射込み反射率は、JIS−Z−8722「色
の測定方法−反射及び透過物体」に準拠して測定するこ
とにより求めることができる。具体的な測定方法として
は、d/8(拡散照明8゜受光)照明・受光光学系を持
つ測定器、ミノルタ社製分光測色計CM−3500dを
用いて測定することができる。
【0007】本発明のコレステリック液晶フィルムは、
上記定義に基づいて求められる拡散率が通常15%未
満、好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以
下である。拡散率が15%以上の場合には、鏡面性を有
する金属光沢を帯びた色鮮やかな呈色効果を発現できな
い恐れがある。
【0008】本発明のコレステリック液晶フィルムは、
上記で定義される拡散率を有する単層フィルムの一部に
回折能を示す領域を有するものである。ここで回折能を
示す領域とは、その領域を透過した光またはその領域で
反射された光が、幾何学的には影になる部分に回り込む
ような効果を生じる領域を意味する。また回折能を示す
領域の有無は、例えばレーザー光等をフィルムに入射
し、直線的に透過または反射する光(0次光)以外に、
ある角度をもって出射する光(高次光)の有無により確
認することができる。また別法としては、原子間力顕微
鏡や透過型電子顕微鏡などで液晶層の表面形状や断面形
状を観察することにより、回折能を示す領域の有無を確
認することができる。
【0009】また本発明のコレステリック液晶フィルム
における回折能を示す領域は、フィルム表面および/ま
たはフィルム内部のいずれの領域であってもよく、例え
ばフィルム表面の一部(フィルム表面領域)、フィルム
内部の一部(フィルム内部領域)に有するものであって
もよい。また回折能を示す領域は、単層フィルムの複数
領域、例えばフィルム表裏面領域、複数のフィルム内部
領域にそれぞれ有するものであってもよい。また回折能
を示す領域は、例えばフィルム表面や内部に均一な厚さ
を持った層状態として形成されていることは必ずしも必
要とせず、フィルム表面やフィルム内部の少なくとも一
部に該領域が形成されていればよい。例えば回折能を示
す領域が、所望の図形、絵文字、数字、記号等の型を象
るように有したものであってもよい。さらに回折能を示
す領域を複数有する場合、全ての該領域が同じ回折能を
示す必要性はなく、それぞれの領域において異なった回
折能を示すものであってもよい。また回折能を示す領域
の配向状態は、コレステリック液晶相における螺旋軸方
位が膜厚方向に一様に平行ではないコレステリック配
向、好ましくはコレステリック液晶相における螺旋軸方
位が膜厚方向に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜
厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向を形
成していることが望ましい。また回折能を示す領域以外
においては、通常のコレステリック配向と同様の配向状
態、すなわちコレステリック液晶相における螺旋軸方位
が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向
に一様に等間隔な螺旋構造を形成していることが望まし
い。なお本発明でいうフィルム表面とは、コレステリッ
ク液晶フィルム単体において外部に接する部分を、また
フィルム内部とは、外部に接する以外の部分をそれぞれ
意味する。
【0010】上述のような特定の拡散率を示し、かつ回
折能を示す領域を有した本発明のコレステリック液晶フ
ィルムは、例えば高分子液晶、低分子液晶またはその混
合物等をフィルム材料としてコレステリック配向フィル
ムを形成した後、コレステリック配向フィルムに回折素
子基板を貼り合わせ、熱および/または圧力を加えるこ
とによってコレステリック配向フィルムに回折素子基板
の回折パターンを転写する方法、または回折素子基板を
配向基板として低分子液晶、高分子液晶またはその混合
物をコレステリック配向させた後、その配向状態を維持
したまま固定化する等の方法により得ることができる。
【0011】また拡散率の調整は、フィルム材料となる
高分子液晶や低分子液晶の種類、組成、各物性等により
異なるので一概には言えないが、コレステリック配向を
形成する際の熱処理温度、熱処理時間およびフィルム膜
厚を適宜調節することにより、所望の拡散率を有するコ
レステリック配向フィルム、コレステリック液晶フィル
ムを得ることができる。さらに本発明のコレステリック
液晶フィルムは、上記回折パターンを転写する前のコレ
ステリック配向フィルムが有する拡散率をほぼ維持した
状態で得ることができることから、例えば拡散率が15
%未満のコレステリック配向フィルムに回折パターンを
転写することによって本発明のコレステリック液晶フィ
ルムを得ることができる。
【0012】コレステリック配向を形成する際の熱処理
温度としては、通常30〜250℃、好ましくは40〜
200℃、特に好ましくは50〜170℃の範囲であ
る。また熱処理時間は、通常5秒〜2時間、好ましくは
10秒〜1時間、特に好ましくは20秒〜30分の範囲
である。さらにコレステリック液晶フィルムおよび回折
パターンを転写する前のコレステリック配向フィルムの
フィルム実膜厚としては、通常0.1〜30μm、好ま
しくは0.3〜20μm、特に好ましくは0.5〜10
μmの範囲である。この熱処理温度、熱処理時間および
フィルム膜厚を適宜調節することにより、所望の拡散率
を有するフィルムを得ることができる。
【0013】コレステリック液晶フィルムのフィルム材
料となる高分子液晶としては、コレステリック配向が固
定化できるものであれば特に制限はなく、主鎖型、側鎖
型高分子液晶等いずれでも使用することができる。具体
的にはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、
ポリエステルイミド等の主鎖型液晶ポリマー、あるいは
ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネー
ト、ポリシロキサン等の側鎖型液晶ポリマーが挙げられ
る。なかでもコレステリック配向を形成する上で配向性
が良く、合成も比較的容易である液晶性ポリエステルが
望ましい。液晶性ポリエステルの構成単位としては、例
えば芳香族あるいは脂肪族ジオール単位、芳香族あるい
は脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族あるいは脂肪族ヒド
ロキシカルボン酸単位等を好適な例として挙げることが
できる。
【0014】またコレステリック液晶フィルムのフィル
ム材料となる低分子液晶としては、例えばアクリロイル
基、ビニル基、エポキシ基等の官能基を導入したビフェ
ニル誘導体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベン
誘導体等を基本骨格とした液晶が挙げられる。また低分
子液晶としては、ライオトロピック性、サーモトロピッ
ク性のどちらも用いることができるが、サーモトロピッ
ク性を示すものが作業性、プロセス等の観点からより好
適である。
【0015】また最終的に得られるコレステリック液晶
フィルムの耐熱性を向上させるために、フィルム材料中
に高分子液晶や低分子液晶等の他にコレステリック相の
発現を妨げない範囲において、例えばビスアジド化合物
やグリシジルメタクリレート等の架橋剤を添加すること
もでき、これら架橋剤を添加することによりコレステリ
ック液晶相を発現させた状態で架橋させることもでき
る。さらにフィルム材料中には、二色性色素、染料、顔
料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ハードコート剤等の各
種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲において適宜
添加することもできる。
【0016】回折パターンを転写する前のコレステリッ
ク配向フィルムは公知の方法、例えば高分子液晶を用い
る場合には、例えば支持基板または基板上に形成された
配向膜上に高分子液晶を配した後、熱処理等によってコ
レステリック液晶相を発現させ、その状態から急冷して
コレステリック配向を固定化する方法等を採用すること
ができる。また低分子液晶を用いる場合には、例えば支
持基板または基板上に形成された配向膜上に低分子液晶
を配した後、熱処理等によってコレステリック液晶相を
発現させ、その状態を維持したまま光、熱または電子線
等により架橋させてコレステリック配向を固定化する方
法等を適宜採用することができる。
【0017】回折パターンの転写に用いる、または上記
の如きフィルム材料の配向支持基板となる回折素子基板
としては、金属や樹脂のような材料から形成された回折
素子基板、フィルム表面に回折機能を付与したもの、あ
るいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写したもの
等、およそ回折機能を有するものであれば如何なる材
質、構成からなる回折素子基板であっても良い。なかで
も取扱いの容易さや量産性を考えた場合、回折機能を有
するフィルムまたはフィルム積層体を回折素子基板とし
て用いることが本発明では望ましい。
【0018】またここでいう回折素子とは、平面型ホロ
グラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定
義として含む。またその種類については、表面形状に由
来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプ
であってもよいし、表面形状に因らない、または表面形
状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変
調ホログラムのタイプであっても良い。本発明において
は、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付
与することができる点から、膜厚変調ホログラムタイプ
の回折素子基板がより好適に用いられる。また屈折率変
調タイプの回折素子基板であっても、表面形状に回折を
生じる起伏を有したものであれば本発明に好適に用いる
ことができる。
【0019】また回折パターンの転写方法としては、例
えば一般に用いられるヒートローラー、ラミネーター、
ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、加
圧および/または加温条件下にて行うことができる。加
圧条件、加温条件は、用いられる高分子液晶や低分子液
晶等の諸物性、回折素子基板の種類等によって異なり、
一概には言えないが、通常、圧力0.01〜100MP
a、好ましくは0.05〜80MPa、温度30〜40
0℃、好ましくは40〜300℃の範囲において用いら
れる液晶や基板等の種類によって適宜選択される。また
回折パターンを転写する際には、加圧および加温を同時
に加えられる条件下において転写することが本発明では
望ましい。上記の如き加温および/または加圧条件下に
て回折素子基板の回折パターンをコレステリック配向フ
ィルムに転写し、フィルムの一部に回折能を示す領域を
有した本発明のコレステリック液晶フィルムを得ること
ができる。
【0020】また回折素子基板を配向基板として用いる
場合には、フィルム材料を例えば溶液塗布、溶融塗布な
どの方法によって当該基板上に展開した後、熱処理し冷
却する方法、またはフィルム材料によっては熱処理を行
った後、光または電子線を照射する方法等によって、フ
ィルムの一部に回折能を示す領域を有した本発明のコレ
ステリック液晶フィルムを得ることができる。
【0021】以上の方法で得られる本発明のコレステリ
ック液晶フィルムには、そのフィルム表面を保護する目
的で適宜保護層を設けることもできる。保護層として
は、紫外線吸収性および/またはハードコート性を有す
るものであることが特に望ましい。例えば紫外線吸収剤
およびハードコート剤を含有した保護層形成材料をフィ
ルム状物、シート状物、薄膜状物、板状物に形成したも
のを保護層として用いることができる。また紫外線吸収
剤を含有した保護層形成材料からなる紫外線吸収性を有
した保護層(以下、紫外線吸収層)と、ハードコート剤
を含有した保護層形成材料からなるハードコート性を有
した保護層(以下、ハードコート層)との積層物を保護
層として用いることもできる。また一般に市販されてい
る紫外線カットフィルムやハードコートフィルム、また
当該フィルムの積層物を保護層として用いることができ
る。また紫外線吸収層に各種ハードコート剤を塗布して
成膜した積層物も保護層として用いることができる。こ
こで紫外線吸収層およびハードコート層は、それぞれ2
層以上から形成されてもよく、各層はそれぞれ接着剤層
等を介して積層することができる。
【0022】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、光または電子線硬化
型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハード
コート剤を添加した接着剤組成物を用いることもでき、
その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもでき
る。
【0023】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0024】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0025】光または電子線硬化型の反応性接着剤とし
ては、光または電子線重合性を有するプレポリマーおよ
び/またはモノマーに必要に応じて他の単官能、多官能
性モノマー、各種ポリマー、安定剤、光重合開始剤、増
感剤等を配合したものを用いることができる。
【0026】光または電子線重合性を有するプレポリマ
ーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポ
リエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレー
ト、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレー
ト、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレー
ト、ポリオールメタクリレート等を例示することができ
る。また光または電子線重合性を有するモノマーとして
は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官
能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の
多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示で
きる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えば
アロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;
東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社製)、
ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いることが
できる。
【0027】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0028】保護層として用いることができる光または
電子線硬化型の反応性接着剤の粘度は、接着剤の加工温
度等により適宜選択するものであり一概にはいえない
が、通常25℃で10〜2000mPa・s、好ましく
は50〜1000mPa・s、さらに好ましくは100
〜500mPa・sである。粘度が10mPa・sより
低い場合、所望の厚さが得られ難くくなる。また200
0mPa・sより高い場合には、作業性が低下する恐れ
があり望ましくない。粘度が上記範囲から外れている場
合には、適宜、溶剤やモノマー割合を調整し所望の粘度
にすることが好ましい。
【0029】光硬化型の反応性接着剤を用いた場合、そ
の接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例えば低
圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド
ランプ、キセノンランプ等を使用することができる。ま
た露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異なるた
め一概にはいえないが、通常50〜2000mJ/cm
2、好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
【0030】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0031】また上記の如き保護層形成材料には、紫外
線吸収剤およびハードコート剤の他に必要に応じてヒン
ダードアミンや消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベ
リ性改良剤、染料、顔料、界面活性剤、微細なシリカや
ジルコニア等の充填剤等の各種添加剤を配合することも
できる。これら各種添加剤の配合割合は、本発明の効果
を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常0.
01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%であ
る。
【0032】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0033】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイ
ド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロ
ース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等から形成されるフィルムを挙げることができ
る。
【0034】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層したものを保護層とすることができる
が、その際に用いられる接着剤としては、先に説明した
光または電子線硬化型の反応性接着剤等を好適な例とし
て挙げられる。また接着剤として紫外線吸収剤を含有し
たものを用い、別に用意したハードコート層を本発明の
コレステリック液晶フィルムに積層することにより保護
層を形成することもできる。また接着剤には必要に応じ
て染料、顔料、界面活性剤等を適宜添加してもよい。
【0035】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0036】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0037】本発明のコレステリック液晶フィルムに保
護層となる紫外線吸収層および/またはハードコート層
を成膜する方法としては、通常ロールコート法、ディッ
ピング法、グラビアコート法、バーコード法、スピンコ
ート法、スプレーコート法、プリント法等の公知の方法
を採用することができる。これら方法によりコレステリ
ック液晶フィルム上に成膜した後、使用した保護層形成
材料に応じた後処理を施すことにより保護層を形成する
ことができる。また紫外線吸収層とハードコート層との
複合層からなる保護層の形成方法としては、例えば紫外
線吸収層に直接ハードコート剤を塗布形成する方法、接
着剤等を介して積層する方法等が挙げられる。
【0038】保護層の膜厚は、紫外線吸収性および/ま
たはハードコート性のそれぞれが求められる性能に応じ
て異なるため一概には言えないが、通常0.1〜100
μm、好ましくは1〜50μmである。また保護層が紫
外線吸収層およびハードコート層との複合層から形成さ
れる場合も、各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ま
しい。
【0039】本発明のコレステリック液晶フィルムは、
回折光が円偏光性を有するという、従来の光学部材には
無い特異な効果を有する。この効果により、例えばエリ
プソメーターのような偏光を必要とする分光光学機器に
用いることにより、光の利用効率を極めて高くすること
が可能となる。従来の偏光を必要とする分光光学機器で
は、光源より発した光を回折格子やプリズム等の分光素
子を用いて波長ごとに分光した後に偏光子を透過させ
る、または偏光子を透過させた後に分光する必要があり
偏光子が必須であった。この偏光子は、入射した光の約
50%を吸収してしまい、また界面での反射が生じるた
めに光の利用効率が極めて悪いといった問題があった
が、本発明のコレステリック液晶フィルムを用いること
により光の利用効率を極めて高く、理論的には約100
%利用することが可能となる。また本発明のコレステリ
ック液晶フィルムは、通常の偏光板を用いることによっ
て容易に回折光の透過および遮断をコントロールするこ
とが可能である。通常、偏光性を有していない回折光で
は、どのような偏光板と組み合わせても完全に遮断する
ことはできない。すなわち本発明のコレステリック液晶
フィルムでは、例えば右偏光性を有する回折光は、左円
偏光板を用いた時にのみ完全に遮断することができ、そ
れ以外の偏光板を用いても完全な遮断を実現することが
できないものである。このような効果を有することか
ら、例えば観察者が偏光板越しに回折像を観察する環境
において、偏光板の状態を変化させることによって、回
折像を暗視野から突然浮かび上がらせたり、また突然消
失させたりすることが可能となる。
【0040】以上のように本発明のコレステリック液晶
フィルムは、新たな回折機能素子として応用範囲は極め
て広く、種々の光学用素子や光エレクトロニクス素子、
装飾用部材、偽造防止用素子等として使用することがで
きる。
【0041】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば支持基板として透明かつ等方なフ
ィルム、例えばフジタック(富士写真フィルム社製)、
コニカタック(コニカ社製)などのトリアセチルセルロ
ースフィルム、TPXフィルム(三井化学社製)、アー
トンフィルム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィ
ルム(日本ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱
レーヨン社製)等に本発明のコレステリック液晶フィル
ムを積層した光学積層体とすることによって様々な光学
用途への展開を図ることが可能である。例えば当該光学
積層体をTN(twisted nematic)−L
CD(Liquid CrystalDispla
y)、STN(Super Twisted Nema
tic)−LCD、ECB(Electrically
Controlled Birefringenc
e)−LCD、OMI(Optical Mode I
nterference)−LCD、OCB(Opti
cally Compensated Birefri
ngence)−LCD、HAN(Hybrid Al
igned Nematic)−LCD、IPS(In
Plane Switching)−LCD等の液晶
ディスプレーに備えることによって色補償および/また
は視野角改良された各種LCDを得ることができる。ま
た光学積層体を上記したように分光された偏光を必要と
する分光光学機器、回折現象により特定の波長を得る偏
光光学素子、光学フィルター、円偏光板、光拡散板等と
して用いることも可能であり、さらに1/4波長板と組
み合わせることによって直線偏光板を得ることもできる
等、光学用素子や光エレクトロニクス素子として従来に
ない光学効果を発現しうる様々な光学部材を提供するこ
とができる。
【0042】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効
果、鏡面反射性等を併せ持った新たな意匠性フィルムを
はじめ様々な意匠性成形材料等を得ることができる。ま
た薄膜化できることから既存製品等に添付する、一体化
する等の方法によって意匠性を付与し、他の類似製品と
の差別化にも大きく貢献することが期待できる。例え
ば、意匠性のある回折パターンを組み込んだ本発明のコ
レステリック液晶フィルムをガラス窓等に張り付けると
外部からはその視角によって前記回折パターンを伴った
コレステリック液晶特有の選択反射が異なった色に見
え、ファッション性に優れたものにすることができる。
また明るい外部からは内部が見え難く、それにもかかわ
らず内部からは外部の視認性がよい窓とすることができ
る。
【0043】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には本発明のコレステリッ
ク液晶フィルムを例えば自動車運転免許証、身分証明
証、パスポート、クレジットカード、プリペイドカー
ド、各種金券、ギフトカード、有価証券等と一体化す
る、または一部に設ける、具体的には貼り付ける、埋め
込む、紙類に織り込むことによりその効果を発現でき
る。また本発明のコレステリック液晶フィルムは、回折
能を示す領域がコレステリック液晶層の一部に有してお
り、またコレステリック液晶の波長選択反射性、円偏光
選択反射性、色の視角依存性、コレステリックカラーの
美しい色を呈する効果を併せ持ったものである。したが
って本発明のコレステリック液晶フィルムを偽造防止用
素子として用いた場合、当該フィルムの偽造は極めて困
難であると言える。また偽造防止効果あわせて、回折素
子の虹色呈色効果、コレステリック液晶の色鮮やかな呈
色効果を有することから意匠性にも優れたものとなる。
【0044】これらの用途はほんの一例であり、本発明
のコレステリック液晶フィルムは、従来、回折素子単
体、コレステリック液晶フィルム単体が使用されている
各種用途や、新たな光学的効果を発現することが可能で
あること等から前記用途以外の様々な用途にも応用展開
が可能である。
【0045】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。 (実施例1)テレフタル酸50mmol、ヒドロキシ安
息香酸20mmol、カテコール20mmol、(R)
−2−メチル−1,4−ブタンジオール10mmolお
よび酢酸ナトリウム100mgを用いて窒素雰囲気下、
180℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時
間と段階状に昇温しながら重縮合反応を行った。
【0046】次いで窒素を流しながら250℃で2時間
重縮合反応を続け、さらに減圧下同温度で1時間重縮合
を行った。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶
解後、メタノールで再沈澱を行い、液晶性ポリエステル
を得た。
【0047】得られた液晶性ポリエステルのN−メチル
−2−ピロリドン溶液(20重量%)を調製し、該溶液
をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフィルム
上にスピンコート法で塗布した。塗布した後、乾燥処理
を行いN−メチル−2−ピロリドンを除去し、ポリフェ
ニレンスルフィドフィルム上に液晶性ポリエステルの塗
布膜を形成した。触針型膜厚計にて測定した乾燥後の膜
厚は約1.6μmであった。
【0048】次いで液晶性ポリエステルの塗布膜を18
5℃の加熱雰囲気において5分間熱処理を行い、室温下
に冷却することによって、ポリフェニレンスルフィドフ
ィルム上に金色の反射色を呈する液晶性ポリエステルフ
ィルムを得た。
【0049】同フィルムを日本分光社製紫外可視近赤外
分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定したと
ころ、中心波長が600nm、選択反射波長帯域幅が約
110nmの選択反射を示すコレステリック配向が固定
化されたコレステリック配向フィルムであることが確認
された。次いで得られたフィルムに関して、ミノルタ社
製分光測色計CM−3500dを用いて正反射除去反射
率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)を測定した
ところ、SCE4%、SCI45%であり、拡散率は約
9%であった。また目視によるフィルム観察では、金属
光沢を帯びた金色で、高級感のある質感を有していた。
反射光は、正反射角方向からの観察で非常に明るく観察
されたが、それ以外の角度ではほとんど見られず、鏡面
と同様の性質を有していた。またコレステリック配向フ
ィルムの配向状態を偏光顕微鏡観察およびフィルム断面
の透過型電子顕微鏡観察したところ、コレステリック相
の螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行なコレステリック
配向を形成していることが確認できた。
【0050】得られたコレステリック配向フィルムの上
に、エドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製
刻線式回折格子フィルム(刻線900本/mm)を、液
晶面と回折面が向き合うように重ね、東京ラミネックス
社製ラミネーターDX−350を用い、150℃、0.
3MPa、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を
行った後、室温まで冷却後、刻線式回折格子フィルムを
取り除いた。
【0051】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に起因する金色
の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィル
ムを取り除いた当該フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡
観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたと
ころ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向
に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一
様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面
領域に形成されていることが確認された。またそれ以外
の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行
なコレステリック配向を形成していることが確認でき
た。また当該フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー
(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および
約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに
偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られ
たフィルムをおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を
介して観察したところ、虹色の反射回折光とコレステリ
ック液晶に起因する金色の反射色が同時に観察され、偏
光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。
これに対し、左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して
観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光もコ
レステリック液晶に起因する金色の反射色も観察されな
かった。
【0052】また回折パターン転写後のフィルムの拡散
率を上記方法と同様にして測定したところ約9%であっ
た。以上のことから、コレステリック配向フィルムに回
折パターンを転写することにより、拡散率が約9%であ
り、かつ表面領域に回折能を示す領域が形成されたコレ
ステリック液晶フィルムが得られたことが判明した。
【0053】(実施例2)正の一軸ネマチック液晶性化
合物であるメチルヒドロキノン ビス(4−(6−アク
リロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)エステルを
6.42g、4−シアノフェノール 4−(6−アクリ
ロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸エステルを0.
98g、市販のキラルドーパント液晶S−811(ロデ
ィック社製)2.60gを量り取り、蒸留精製したN−
メチル−2−ピロリドン90gに溶解した。該溶液にフ
ッ素系界面活性剤S−383(旭硝子社製)0.5m
g、光反応開始剤イルガキュアー907(チバガイギー
社製)0.3g、増感剤ジエチルチオキサントン0.1
gを添加し、表面をレーヨン布によりラビング処理した
ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(三菱ダ
イヤホイル社製)上にバーコーターを用いて塗布した。
塗布後、該フィルムごと60℃に設定したクリーンオー
ブンに投入し15分乾燥を行った後、さらに85℃に設
定したオーブン中で6分熱処理し、その温度から約1℃
/分で50℃まで冷却することにより液晶層のコレステ
リック配向を完了させた。コレステリック液晶層の膜厚
を触針膜厚で測定したところ1.5μmであった。次い
でコレステリック液晶層をPENフィルム上に形成した
状態のまま50℃に設定したオーブンに投入し、酸素濃
度250ppm以下の窒素雰囲気下、オーブン設定温度
まで放冷した後、その温度にてUV照射を行った。UV
光源としては高圧水銀灯を使用し、照射強度は最大12
0W/cm2、照射時間5秒間、積算照射量135mJ
で照射した。照射後の液晶層はある程度硬化しており、
硬化前に見られた流動性はなかったが、その表面硬度は
鉛筆硬度にして6Bよりも低く、正確な硬度は測ること
が出来なかった。オーブンから取り出したPENフィル
ム上のコレステリック液晶層をラビング方向が長手にな
るような10cm×3cmの長方形に切り出し、また市
販のエンボス版フィルムJ52,989(エドモンド・
サイエンティフィック・ジャパン社製)を、回折格子の
格子方位が長手になるような12cm×5cmの長方形
に切り出した。次いで、切り出したPENフィルム上の
コレステリック液晶層の液晶層側とエンボス版フィルム
の回折格子面とが接するように重ね合わせて、一方の短
辺をセロテープで固定し、該短辺を先頭にして熱ラミネ
ート装置DX−350(東ラミ社製)に通した。熱ラミ
ネートは、ラミネートロールの温度が72℃で行い、サ
ンプルの移動速度は毎秒30mmであった。熱ラミネー
ト後、コレステリック液晶層とエンボス版フィルムは一
体となって密着し積層体を成していた。当該積層体を室
温まで冷却し、室温にてコレステリック液晶層側にエレ
クトロンビーム(EB)照射を行った。EB照射は、ア
イエレクトロンビーム社製のEB照射装置を用い、室温
下、酸素濃度0.20%の雰囲気において、加速電圧3
0kVにて照射を行った。EB照射後に、当該積層体か
らフィルム長手方向に沿ってエンボス版フィルムを剥離
除去した。支持PENフィルム上に残されたEB照射後
のコレステリック液晶層は硬化しており、その表面硬度
は鉛筆硬度にして2H程度であった。PENフィルム上
に形成したEB照射後のコレステリック液晶層を日本分
光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570にて透
過スペクトルを測定したところ、中心波長が約580n
m、選択反射波長帯域幅が約40nmの選択反射を示す
コレステリック配向が固定化されていることが確認され
た。当該液晶層をミノルタ社製分光測色計CM−350
0dにて、正反射除去反射率(SCE)と正反射込み反
射率(SCI)を測定したところ、SCE5%、SCI
43%であり、拡散率は約12%であった。またコレス
テリック液晶層を目視観察したところ、金属光沢を帯び
た金色で、高級感のある質感を有していた。また反射光
は、正反射角方向からの観察で非常に明るく観察された
が、それ以外の角度ではほとんど見られず、鏡面と同様
の性質を有していた。また当該液晶層は、コレステリッ
ク配向に起因する反射光とは別に、フィルム長手方向を
12時方位に見たときに3時、9時の方位から斜めに見
た場合に、回折格子に特徴的な虹色の光が観察された。
【0054】またコレステリック液晶層の配向状態を偏
光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察
をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が
膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚
方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶
層の表面領域に形成されていることが確認された。また
それ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一
様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔
なコレステリック配向が形成していることが確認され
た。またコレステリック液晶層にPENフィルム側から
垂直にHe/Neレーザーを入射したところ、0゜およ
び約±9゜の出射角に0次および±1次の回折光が観察
された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内
照明下に得られたPENフィルム上のコレステリック液
晶層をおき、左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して
観察したところ、虹色の反射回折光とコレステリック液
晶に起因する非常に鮮やかな黄色の反射色が同時に観察
され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じで
あった。これに対し右円偏光板(右円偏光のみ透過)を
介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折
光もコレステリック液晶に起因する反射色も観察されな
かった。
【0055】以上のことからPENフィルム上に形成さ
れたコレステリック液晶層が、拡散率が約12%であ
り、かつ表面領域に回折能を示す領域を有したコレステ
リック液晶フィルムであることが判明した。
【0056】
【発明の効果】本発明のコレステリック液晶フィルム
は、鏡面反射性を呈し、金属光沢を帯びた色鮮やかな呈
色効果を示すことから視認性および意匠性に優れ、かつ
回折光が円偏光性を有するという円偏光回折特性を有す
るものである。円偏光回折特性を有することから、回折
機能素子としてその応用範囲は極めて広く、例えば液晶
ディスプレー等の光学素子、光エレクトロニクス素子、
装飾用材料、偽造防止用素子等の光学部材として本発明
のコレステリック液晶フィルムを好適に用いることがで
きる。さらに当該フィルムは、鏡面反射性を呈すること
から特に意匠性が求められる用途において従来にない光
学効果を付与できる等、工業的価値が極めて高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正反射除去反射率(SCE)と正反射
    込み反射率(SCI)の比((SCE/SCI)×10
    0)で定義される拡散率が15%未満であり、かつ一部
    に回折能を示す領域を有したコレステリック液晶フィル
    ム。
JP11175208A 1999-04-21 1999-06-22 コレステリック液晶フィルム Pending JP2001004830A (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11175208A JP2001004830A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 コレステリック液晶フィルム
PCT/JP2000/002587 WO2000065383A1 (en) 1999-04-21 2000-04-20 Optical laminate
KR1020017013396A KR100708510B1 (ko) 1999-04-21 2000-04-20 광학 라미네이트
EP00917385A EP1203968B1 (en) 1999-04-21 2000-04-20 Production method for an optical laminate
CNB008080690A CN1235069C (zh) 1999-04-21 2000-04-20 光学叠层板,偏振衍射元件,补偿元件,装饰元件和防伪元件
US10/037,215 US6875481B2 (en) 1999-04-21 2001-10-19 Optical laminate
HK02107058.2A HK1045566A1 (zh) 1999-04-21 2002-09-26 光學叠層板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11175208A JP2001004830A (ja) 1999-06-22 1999-06-22 コレステリック液晶フィルム

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001004830A true JP2001004830A (ja) 2001-01-12

Family

ID=15992194

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11175208A Pending JP2001004830A (ja) 1999-04-21 1999-06-22 コレステリック液晶フィルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001004830A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006189817A (ja) * 2004-12-09 2006-07-20 Dainippon Printing Co Ltd 投影スクリーン及びそれを備えた投影システム
JPWO2016190435A1 (ja) * 2015-05-28 2018-03-15 日本ゼオン株式会社 円偏光分離フィルム及びその製造方法
WO2022025052A1 (ja) * 2020-07-30 2022-02-03 日本化薬株式会社 多層光反射フィルム及びこれを備えたアイウェア

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006189817A (ja) * 2004-12-09 2006-07-20 Dainippon Printing Co Ltd 投影スクリーン及びそれを備えた投影システム
JPWO2016190435A1 (ja) * 2015-05-28 2018-03-15 日本ゼオン株式会社 円偏光分離フィルム及びその製造方法
WO2022025052A1 (ja) * 2020-07-30 2022-02-03 日本化薬株式会社 多層光反射フィルム及びこれを備えたアイウェア

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1079245B1 (en) Method for manufacturing polarization diffraction film
KR100708510B1 (ko) 광학 라미네이트
JP2000347037A (ja) コレステリック液晶性フィルムの製造方法
JP4674831B2 (ja) 光学積層体
JP2001004835A (ja) 偏光回折素子の製造方法
JP2001004830A (ja) コレステリック液晶フィルム
JP2001004836A (ja) 偏光回折素子の製造方法
JP4286377B2 (ja) コレステリック液晶性フィルムの製造方法
JP2000310713A (ja) 光学積層体
JP2000304929A (ja) 光学積層体
JP2001004831A (ja) コレステリック液晶フィルム
JP4309514B2 (ja) 偏光回折素子
JP2001004834A (ja) 偏光回折素子
JP2000347030A (ja) コレステリック液晶性フィルムの製造方法
JP2001004829A (ja) コレステリック液晶性フィルム
JP4674829B2 (ja) 光学積層体
JP2001004839A (ja) 偏光回折素子の製造方法
JP4286384B2 (ja) 偏光回折素子の製造方法
JP4674830B2 (ja) 光学積層体
JP2001004832A (ja) コレステリック液晶フィルム
JP2000309196A (ja) 転写用素子
JP4286380B2 (ja) 転写用素子
JP4298847B2 (ja) 偏光回折素子の製造方法
JP4298846B2 (ja) 偏光回折性コレステリック液晶フィルムの製造方法
JP2000309642A (ja) コレステリック液晶性フィルム