JP2001002689A - 結晶質l−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩およびその製造方法 - Google Patents

結晶質l−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】室温近辺で、簡便且つ短時間に、変色、着色の
少なく、工業的に生産が容易な吸湿性を改善した新規な
結晶質APSを得る。 【解決手段】L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル
イオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満の水
溶液から有機溶媒を貧溶媒として晶析することを特徴と
する結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナ
トリウム塩の製造方法と得られる新規な結晶質L−アス
コルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な結晶質のL
−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩
(以下「APS」と略記することがある。)およびその
製造方法に関する。結晶質APSはL−アスコルビン酸
誘導体として有用であり、化粧品、医薬品、食品添加
物、その他各種の工業分野に使用される。
【0002】
【従来の技術】L−アスコルビン酸(ビタミンC)は多
様な生理作用、薬理作用を持つことが知られていたが、
なかでもメラニン色素沈着防止への効果があることから
美白化粧料に用いられてきた。L−アスコルビン酸は、
酸素、熱に対して不安定であり、この不安定なL−アス
コルビン酸の2位の水酸基をリン酸エステル化すること
により、安定化させ、様々な用途に用いられる。特にナ
トリウム塩、すなわちAPSは水に対して溶解度が高い
特徴を持ち、化粧品用途として使われている。APSの
粉末は、従来吸湿性であることにより、長期の保存状態
によっては安定性に問題を来す場合があり、加水分解を
起こしやすく、元の原料であるビタミンCが生じ、さら
に分解する。その結果、この粉末は段々と白色から黄色
に変色していくため、化粧品、医薬品、食品添加物等に
使用する際に変色、着色の問題が生じる。したがって、
保存時の吸湿性改善が望まれている。APSの製造方法
については、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル
(以下{AP}と略記することがある。)に関する報告
の中に、一部紹介されている。例えば、特開平−213
1494号公報に、APSの結晶の製造に関する記述が
ある。APSを含有する水溶液に、40〜80℃の温度
で加熱・還流しながら、メタノールを添加し、さらに、
2〜10時間加熱還流した後に、一晩かけて室温まで冷
却して、APSの結晶を取得している。この方法では、
収率が71〜85%と低い。また、APSを含有する水
溶液を40〜80℃という温度で長時間加熱するため、
APSの分解がおこり収率が低下することや夾雑するビ
タミンCが分解して着色する欠点がある。さらに、この
方法によると、添加終了後2〜10時間加熱還流を継続
することや一晩かけて室温まで冷却するなど生産性が低
いという欠点がある。特開平10−17580号公報
に、有機溶媒中に非晶質APSを懸濁させ、加熱するこ
とにより結晶質APSを製造する方法の記述がある。こ
の方法についても40〜120℃という温度が必要であ
り、工業的には加温設備と還流設備の設置が必要とな
り、繁雑となる。さらに、この方法では固体状の非晶質
APSを事前に取得する必要があり、非晶質APSは晶
析湿体を分離する際の濾過性が悪く、工業的にも効率的
な方法とはいえない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、これまで
の吸湿性を改善できる結晶質APSを製造する方法は、
簡便性、収率、着色等の面で充分とは言い難い。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記欠点を
改善するために鋭意検討した結果、室温近辺で、簡便且
つ短時間に、変色、着色の少なく、工業的に生産が容易
な吸湿性を改善した新規な結晶質APSが得られること
を見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本
発明は、次の事項に関する。 (1)L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオン
に対するナトリウムイオンがモル比で3未満の水溶液か
ら有機溶媒を貧溶媒として晶析することを特徴とする結
晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウ
ム塩の製造方法。 (2)炭素数4以下の低級脂肪族アルコール、炭素数4
以下の脂肪族飽和ケトンおよび炭素数4〜6の環状エー
テルから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒を、L
−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対する
ナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調整され
たL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム
塩を含有する水溶液に添加、あるいはL−アスコルビン
酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウムイオ
ンがモル比で3未満になるよう調整されたL−アスコル
ビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩を含有する水
溶液を有機溶媒中に添加し、かかる添加を0〜40℃の
温度範囲で、有機溶媒の溶液中濃度が30〜90%(V
/V)になるように、0.5〜10時間かけて滴下する
ことを特徴とする結晶質L−アスコルビン酸−2−リン
酸エステルナトリウム塩の製造方法。 (3)L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオン
に対するナトリウムイオンがモル比で2.70〜2.9
9である(1)または(2)に記載の製造方法。
【0005】(4)L−アスコルビン酸−2−リン酸エ
ステルナトリウム塩の濃度が溶液中で1〜15(wt/
V)である(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方
法。 (5)有機溶媒が、メタノールおよび/またはアセトン
である(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。 (6)CuKα線を用いる粉末X線回折で、面間隔d
( )および相対強度[()内に%で表わす。]の解析
パターンが実験誤差の範囲内で10.35(61)、
8.45(100)、7.09(27)、6.43
(8)、5.76(9)、5.16(89)、4.96
(30)、4.57(10)、4.37(28)、4.
20(47)、4.13(18)4.01(14)、
3.59(47)、3.47(39)、3.37(1
0)、3.29(17)、3.11(57)、3.07
(49)、3.03(30)、2.99(25)、2.
95(21)、2.90(11)、2.81(17)、
2.74(23)、2.67(40)、2.57(6
0)、2.43(19)、2.35(34)、2.28
(13)、2.23(10)、2.06(19)、1.
94(12)、1.85(10)、1.76(12)で
ある結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナ
トリウム塩。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を具体的に説明す
る。
【0007】本発明に係る新規な結晶質APSは次の物
理化学的性質を示す。 (1)X線回折スペクトル;CuKα線、40kV、4
0mAの条件で測定して得られたX線回折結果を 面間
隔d( )および相対強度[()内に%で表す。]は次
のとおりである。ただし、X線回折結果は測定条件によ
っては、通常許容される範囲内で変更する。10.34
5(61)、8.450(100)、7.087(2
7)6.430(8)、5.764(9)、5.157
(89)、4.957(30)、4.572(10)、
4.367(28)、4.203(47)、4.134
(18)4.005(14)、3.593(47)、
3.466(39)、3.368(10)、3.288
(17)、3.114(57)、3.074(49)、
3.025(30)、2.988(25)、2.947
(21)、2.899(11)、2.812(17)、
2.743(23)、2.673(40)、2.573
(60)、2.434(19)、2.352(34)、
2.278(13)、2.230(10)、2.064
(19)、1.940(12)、1.847(10)、
1.762(12)。 (2)赤外吸収スペクトル;KBr錠剤法で測定した赤
外吸収スペクトルを第1図に示す。 (3)溶解性は、水に可溶(25℃における溶解度は3
8%(wt/V)であり、有機溶媒に不溶(アルコール
類、ケトン類、クロロホルム等)である。 (4)吸湿性は、第2図に非晶質APSとの吸湿による
重量増加率の比較を示す。
【0008】本発明の結晶質APSの製造方法による
と、APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で3
未満になるよう調整されたAPSを含有する溶液を使用
する。APイオンに対するナトリウムイオンがモル比で
3を越えるよう調整されたAPSを含有する溶液に有機
溶媒を滴下した場合、0〜40℃の温度条件であって
も、析出したAPSは、飴状で部分的に寒天状になり分
離が困難になる。APイオンに対するナトリウムイオン
がモル比で3を越えるよう調整されたAPSを含有する
溶液を有機溶媒に滴下した場合、非結晶のAPSかある
いは特開平2-131494号公報に記述された結晶質
APSが生成するが、晶析後分離による濾過性が悪くな
り、分離が困難になり、固液分離不良による純度の低下
を招く。
【0009】しかしながら、APイオンに対するナトリ
ウムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたAP
Sを含有する溶液を使用すると、APSを含有する溶液
中に有機溶媒を添加好ましくは滴下、あるいはAPSを
含有する溶液を有機溶媒中に添加好ましくは滴下する場
合のいずれも結晶質のAPSが取得でき、晶析後分離の
濾過性も非常に良い。
【0010】このように、室温近辺、特に0〜40℃の
温度条件で、APイオンに対するナトリウムイオンがモ
ル比で3未満になるよう調整されたAPSを含有する溶
液で晶析を行い、結晶質APSを取得することにより、
短時間に効率よく、品質の良い結晶質のAPSを製造す
ることができる。本発明で用いられるAPSを含有する
溶液は、APを含有している溶液であればよいが、水溶
液が好ましい。AP溶液、APのアルカリ金属塩溶液も
しくはアルカリ土類金属塩溶液などから調製できる。例
えば、アスコルビン酸を直接ホスホリル化して得られた
AP含有溶液(特公昭43−9219号公報、特公昭4
5-23746号公報、特開平6-345786公報等)
が挙げられる。また、5,6−O−イソプロピリデン−
L−アスコルビン酸をホスホリル化して得られたAP含
有溶液(特公昭43−9219号公報、特公昭45−4
497号公報、特公昭45−30328号公報、特公昭
59−4438号公報等)も好適に利用できる。更に、
L−アスコルビン酸とリン酸供与体とから酵素あるいは
微生物の作用により生成したAP含有溶液(特開平2−
42996号公報等)も利用できる。金属塩としてはカ
リウム塩、ナトリウム塩、アルカリ土類金属塩としては
マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
【0011】APが塩の形である場合、あるいはAP含
有溶液がアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有する場
合は、その水溶液を適当なイオン交換樹脂で処理して脱
カチオンすることが望ましい。APをイオン交換樹脂に
吸着させ、0.1〜2Nの希塩酸で溶出した後、水酸化
ナトリウムでナトリウム量の調整が行われる。水酸化ナ
トリウムによるナトリウム量調整は、通常10〜48%
の水酸化ナトリウム水溶液で行われる。調整するナトリ
ウムの範囲はAPイオンに対するナトリウムイオンがモ
ル比で3未満であるが、回収率の観点から、その範囲が
2.70〜2.99であることが特に好ましい。ナトリ
ウム調整後の溶液中のAPSの濃度は1〜15%(wt
/V)、好ましくは5〜10%(wt/V)であり、必
要に応じて水で希釈し、あるいは加熱、減圧、逆浸透膜
等によって濃縮される。
【0012】次いで撹拌下、下記に示す有機溶媒を、添
加終了後の溶液中の有機溶媒濃度が30〜90%(V/
V)の範囲内で用い、APSを含有する溶液を有機溶媒
中に添加好ましくは滴下する。この時に用いられる有機
溶媒の量は、少なすぎるとAPSの回収率が低下する。
一方、多すぎてもAPSの回収率にはほとんど変化な
い。したがって、用いる有機溶媒の種類によって多少異
なるが、50〜80%(V/V)の範囲が特に好まし
い。
【0013】本発明で用いられる有機溶媒は、メタノー
ル、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数4
以下の低級脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチ
ルケトン等の炭素数4以下の脂肪族飽和ケトン類、およ
びテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の炭素数
4〜6の環状エーテル類が挙げられる。これらの溶媒は
単独でも、混合しても用いることができる。これらの有
機溶媒は、APSを固体として単離した後、水−有機溶
媒系の母液から蒸留などの操作によって回収されるた
め、共沸点をもたずに低沸点で安価な溶媒が好ましい。
したがって、メタノール、アセトンまたはその混合溶媒
が特に好ましい。
【0014】APSを含有する溶液を有機溶媒中に添加
する時の温度は、室温近辺、特に0〜40℃で行わうこ
とが適当である。APSを含有する溶液と有機溶媒を混
合すると、混ざる時に希釈熱を発するため、予め有機溶
媒あるいはAPSを含有する溶液を10〜20℃に冷却
しておき、また、添加するAPSを含有する溶液あるい
は有機溶媒も予め10〜20℃に冷却しておくことが好
ましい。添加中の温度が、40℃以上になると、APS
の分解や夾雑するVCの分解がおこり、着色するため好
ましくない。また、0℃以下の温度ではAPSの回収率
や着色に関する問題はないが、冷凍機などの冷却設備の
能力を大きくしなければならないため経済的に不利であ
る。添加中も冷却を継続し、10〜30℃に保ちながら
添加を行うことが、特に好ましい。
【0015】APSを含有する溶液を添加するのに要す
る時間は、0.5〜10時間である。滴下時間が速すぎ
ると、析出したAPSの粒子径が細かくなり、遠心分離
機で分離取得する際に目漏れをおこし回収率が低くな
る。滴下時間が遅い場合は、回収率や着色に問題はない
が、無意味にプラントを占有するため経済的に不利にな
る。したがって、1〜6時間で添加することが特に好ま
しい。
【0016】有機溶媒中にAPSを含有する溶液を滴下
した後、0〜40℃の温度で0.25〜1時間熟成さ
せ、遠心分離機等の装置を用いて、APSの固体を単離
し、前記有機溶媒で充分洗浄した後、真空乾燥等の処理
によって、白色粉末状の結晶質APSが、高純度かつ高
収率で得られる。
【0017】本発明の結晶質APS製造方法において
は、有機溶媒中に予め本発明に係る結晶質APSを種晶
として添加しておき、この有機溶媒にAPイオンに対す
るナトリウムイオンがモル比で3未満のAPSを含有す
る水溶液を添加することにより本発明に係る結晶質AP
Sを製造することができる。
【0018】本発明の製造方法によって得られる結晶質
APSは、吸湿性が少なく、安定性に優れており、例え
ば医薬品(例、口腔用薬剤、点眼剤、浴用剤等)、化粧
品(例、化粧水、乳液、クリーム、パック等)、食品
(例、パン等)などとして用いられる。
【0019】
【実施例】次に実施例によって、本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
ない。
【0020】実施例1 窒素雰囲気下、純水1210mL、ピリジン303g及
び5,6−イソプロピリデン−L−アスコルビン酸15
0gを混合溶解し、0〜10℃に冷却後、50%水酸化
カリウム水溶液を加えて、pHを約13に調整した。こ
の溶液に、オキシ塩化リン150gと50%水酸化カリ
ウム水溶液とを滴下しながら、pH13、0〜10℃の
温度を保って反応を行った。滴下終了後、ピリジンを減
圧下、留去し、35%塩酸を加えてpHを4に調整し
た。このpH調整液に純水6500mLを加えて希釈し
た後、中塩基性陰イオン交換樹脂(アンバーライトIR
A−68 オルガノ製)2000mLを詰めたカラムに
通した。次いで、0.05N−塩酸23.5Lで展開し
た。更に、0.2N−塩酸11Lで展開し、APのみを
含有する分画区分を得た。この分画区分の溶液に48%
水酸化ナトリウム水溶液を加え、2−APイオンのモル
量に対するナトリウムイオンのモル量の比が2.85に
なるように調整した。減圧下、APSの濃度が9%(w
t/V)になるまで濃縮操作を加え、APSを含有する
溶液を得た。窒素雰囲気下、95%メタノール750m
Lを400rpm の速度で撹拌し、10〜15℃に冷
却した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含
有する溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範
囲になるように冷却を継続しながら、4時間かけて滴下
した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を継続し、熟成さ
せた。
【0021】遠心分離機を用いて、析出したAPSの固
体を濾取し、その固体を95%メタノール100mLで
充分に洗浄した。真空下、40℃で乾燥し、結晶質AP
Sを20.0g(収率89%)得た。
【0022】実施例2 実施例1と同様な方法でAPSを含有する溶液を調製し
た。窒素雰囲気下、98%アセトン500mLを400
rpm の速度で撹拌し、10〜15℃に冷却した。予
め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有する出発
溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の範囲にな
るように冷却を継続しながら、4時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに0.5時間撹拌を継続し熟成させ
た。遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取
し、その固体を98%アセトン80mLで充分に洗浄し
た。真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを20.5
g(収率91%)得た。
【0023】実施例3 実施例1と同様な方法でAPSを含有する溶液を調製し
た。窒素雰囲気下、98%テトラヒドロフラン750m
Lを400rpmの速度で撹拌し、10〜15℃に冷却
した。予め10〜15℃に冷却しておいたAPSを含有
する出発溶液250mLを、液の温度が10〜25℃の
範囲になるように冷却を継続しながら、2時間かけて滴
下した。滴下終了後、更に1時間撹拌を継続し熟成させ
た。遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾取
し、その固体を98%テトラヒドロフラン120mLで
充分に洗浄した。真空下、40℃で乾燥し、結晶質AP
Sを19.6g(収率87%)得た。
【0024】実施例4 実施例1と同様な方法でAPSを含有する溶液を調製し
たが、この時のAPイオンのモル量に対するナトリウム
イオンのモル比が2.55に調整した。窒素雰囲気下、
95%メタノール750mLを400rpmの速度で撹
拌し、10〜15℃に冷却した。予め10〜15℃に冷
却しておいたAPSを含有する出発溶液250mLを、
液の温度が10〜25℃の範囲になるように冷却を継続
しながら、6時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに
0.5時間撹拌を継続し熟成させた。遠心分離機を用い
て、析出したAPSの固体を濾取し、その固体を95%
メタノール100mLで充分に洗浄した。真空下、40
℃で乾燥し、結晶質APSを15.8g(収率70%)
得た。
【0025】実施例5 L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルマグネシウム
塩32gを純水368gに溶解した。この溶液を強酸性
陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B オ
ルガノ製)2000mLを詰めたカラムに通した。更に
純水1200を通してAPのみを含有する溶液1600
mLを得た。この溶液に含まれるマグネシウムイオンは
3ppm以下であった。この溶液に48%水酸化ナトリ
ウム水溶液を加え、APイオンに対するナトリウムイオ
ンのモル比が2.85になるように調整した。減圧下、
APSの濃度が9%(wt/V)になるまで濃縮操作を
加え、出発溶液を得た。窒素雰囲気下、95%メタノー
ル750mLを400rpmの速度で撹拌し、10〜1
5℃に冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいたA
PSを含有する出発溶液250mLを、液の温度が10
〜25℃の範囲になるように冷却を継続しながら、2時
間かけて滴下した。滴下終了後、さらに0.25時間撹
拌を継続し、熟成させた。遠心分離機を用いて、析出し
たAPSの固体を濾取し、その固体を95%メタノール
100mLで充分に洗浄した。真空下、40℃で乾燥
し、結晶質APSを20.7g(収率92%)得た。
【0026】実施例6 実施例1と同様な方法でAPSを含有する出発溶液を調
整した。窒素雰囲気下、APSを含有する出発溶液25
0mLを300rpmの速度で撹拌し、10〜15℃に
冷却した。予め10〜15℃に冷却しておいた95%メ
タノール750mLを、液の温度が10〜25℃の範囲
になるように冷却を継続しながら、4時間かけて滴下し
た。滴下終了後、更に0.5時間撹拌を継続し、熟成さ
せた。遠心分離機を用いて、析出したAPSの固体を濾
取し、その固体を95%メタノール100mLで充分に
洗浄した。真空下、40℃で乾燥し、結晶質APSを2
0.3g(収率90%)得た。
【0027】
【発明の効果】本発明の製造方法により、簡便且つ高収
率に結晶質のL−アスコルビン酸−2−リン酸エステル
ナトリウム塩が提供される。また、本発明により、吸湿
性が少なく安定性の優れた新規な結晶質L−アスコルビ
ン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩が提供される。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で得られた結晶質L−アスコルビン酸−
2−リン酸エステルナトリウム塩の赤外線吸収スペクト
ルである。
【図2】結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステ
ルナトリウム塩と非晶質L−アスコルビン酸−2−リン
酸エステルナトリウム塩の吸湿(条件:相対湿度75±
5%、温度25℃)による重量増加率の比較データであ
る。縦軸は元の重量と比較したときの増加率を示し、横
軸は時間を示す。
【0029】
【符号の説明】
1 結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナ
トリウム塩の吸湿増加率曲線 2 非晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナ
トリウム塩の吸湿増加率曲線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 斎藤 信 神奈川県川崎市川崎区千鳥町2番地3 昭 和電工株式会社内 Fターム(参考) 4C083 AD641 CC01 FF01 4C086 AA03 AA04 BA18 GA13 NA03 ZC28 4H050 AA02 AC90 AD15 BB14 BB16 BB25 BB31 BC50 BC51

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル
    イオンに対するナトリウムイオンがモル比で3未満の水
    溶液から有機溶媒を貧溶媒として晶析することを特徴と
    する結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナ
    トリウム塩の製造方法。
  2. 【請求項2】炭素数4以下の低級脂肪族アルコール、炭
    素数4以下の脂肪族飽和ケトンおよび炭素数4〜6の環
    状エーテルから選ばれる1種または2種以上の有機溶媒
    を、L−アスコルビン酸−2−リン酸エステルイオンに
    対するナトリウムイオンがモル比で3未満になるよう調
    整されたL−アスコルビン酸−2−リン酸エステルナト
    リウム塩を含有する水溶液に添加、あるいはL−アスコ
    ルビン酸−2−リン酸エステルイオンに対するナトリウ
    ムイオンがモル比で3未満になるよう調整されたL−ア
    スコルビン酸−2−リン酸エステルナトリウム塩を含有
    する水溶液を有機溶媒中に添加し、かかる添加を0〜4
    0℃の温度範囲で、有機溶媒の溶液中濃度が30〜90
    %(V/V)になるように、0.5〜10時間かけて添
    加することを特徴とする結晶質L−アスコルビン酸−2
    −リン酸エステルナトリウム塩の製造方法。
  3. 【請求項3】L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル
    イオンに対するナトリウムイオンがモル比で2.70〜
    2.99である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】L−アスコルビン酸−2−リン酸エステル
    ナトリウム塩の濃度が溶液中で1〜15(wt/V)で
    ある請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】有機溶媒が、メタノールおよび/またはア
    セトンである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】CuKα線を用いる粉末X線回折で、面間
    隔d( )および相対強度[()内に%で表わす。]の
    解析パターンが実験誤差の範囲内で10.35(6
    1)、8.45(100)、7.09(27)、6.4
    3(8)、5.76(9)、5.16(89)、4.9
    6(30)、4.57(10)、4.37(28)、
    4.20(47)、4.13(18)4.01(1
    4)、3.59(47)、3.47(39)、3.37
    (10)、3.29(17)、3.11(57)、3.
    07(49)、3.03(30)、2.99(25)、
    2.95(21)、2.90(11)、2.81(1
    7)、2.74(23)、2.67(40)、2.57
    (60)、2.43(19)、2.35(34)、2.
    28(13)、2.23(10)、2.06(19)、
    1.94(12)、1.85(10)、1.76(1
    2)である結晶質L−アスコルビン酸−2−リン酸エス
    テルナトリウム塩。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007238497A (ja) * 2006-03-08 2007-09-20 Nippon Menaade Keshohin Kk 複合粉体及び当該複合粉体を含有するメイクアップ化粧料
JP2010024228A (ja) * 2008-06-20 2010-02-04 Mitsubishi Chemicals Corp リン化合物の製造方法及びアリル化合物誘導体の製造方法
JP2010270160A (ja) * 2001-06-20 2010-12-02 Takeda Chem Ind Ltd 錠剤の製造方法

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