JP2000514790A - 連鎖球菌性心内膜炎予防ワクチン - Google Patents

連鎖球菌性心内膜炎予防ワクチン

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JP2000514790A JP10503584A JP50358498A JP2000514790A JP 2000514790 A JP2000514790 A JP 2000514790A JP 10503584 A JP10503584 A JP 10503584A JP 50358498 A JP50358498 A JP 50358498A JP 2000514790 A JP2000514790 A JP 2000514790A
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Abstract

(57)【要約】 心臓の傷害組織にたいする細菌付着の原因となる、連鎖球菌および腸球菌由来のFimA蛋白は、心内膜炎発症患者にたいする有力なワクチンである。組み換えによって生産された、S.parasanguis由来のFimA蛋白は、S.parasanguis性心内膜炎にたいしてばかりでなく、他の、いくつかの連鎖球菌種による心内膜炎にたいしても保護を与える。ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類における保存されたDNA領域は、これらの菌種からのFimAがワクチンとして広範に適用可能であることを示唆する。

Description

【発明の詳細な説明】 連鎖球菌性心内膜炎予防ワクチン 発明の背景 発明の分野 本発明は、ワクチン、特に、心内膜炎予防ワクチンに向けられる。 背景の説明 感染性心内膜炎は、過去数十年に渡る内科的・外科的進歩にも拘わらず、実質 的な増悪率および死亡率をもたらす、重大な血管内皮感染症である(11,18,38)。 アメリカ合衆国においては、年間、百万人当たり30-40の症例がある(1,6,11)。 ヨーロッパでは、本病の年間発生率は、百万人当たり14-24例の範囲に広がる(19 ,25,41)。疫学的調査により、心内膜炎の発生率は、年令と共に著明に増加する こと、および、老人人口が増加している先進国においては、心内膜炎は、医学的 重要性を増している疾患であることが判明している(18,19,25,41)。生得の弁膜 性心内膜炎は、心臓にその病態を招きやすい病変を持つ患者に特によく見られる 。高度の、および、中等度の危険性を持つ患者としては、感染性心内膜炎の既往 歴を持つもの、人工弁を埋め込んだもの、体循環・肺循環シャントを外科的に処 置したもの、先天的な心機能不全を持つもの、リューマチ性弁膜症を持つもの、 僧坊弁脱出を持つもの、および、肥大性心筋症を持つものが挙げられる(10)。弁 膜症患者においては、食事や歯磨き中に起こる、毎日の、低度の菌血症が、循環 する細菌にたいして、異常な心内膜に付着する機会を与えることになる(21)。そ の他の高危険患者集団としては、弁膜症は現存しないけれども、歯、上部気道、 消化管、泌尿器に診断性ならびに外科的な侵襲性の処置を最近受けた既往歴を持 つ人が挙げられる(23,31,37)。 心内膜炎の予防は基本的に重要である。なぜなら、この病気は、治療せずに放 置すると必ず致命的となるからである。アメリカ合衆国、英国、および、ヨーロ ッパにおける現行の実地手当てにおいては、菌血症の原因となり得る保健処置を 受けた、心内膜炎に関して高度の危険性を持つ患者にたいしては、抗生物質によ る予防処置の実行が好まれている(8,11,36)。生得弁心内膜炎に関連する最も一 般的な病原体は、ビリダンス連鎖球菌類で、これは、60%を越える症例の原因と なっている(9)。抗生物質予防は、これらの微生物を標的とする。しかしながら 、認識可能な、心内膜炎を誘導しやすい病態を持つものは、心内膜炎患者の約半 分しかいないのであるから、また、保健処置に関連する心内膜炎は少数の症例に 留まるものであるから、予防処置によって予防可能なのは、心内膜炎症例の内の ごく小部分にしか過ぎないと思われる(11,19,21)。 予防戦略で、現在、その実効性が確かめられたり、探求されているものが他に もある。実験的心内膜炎にたいする感受性にたいしてワクチン投与の効果のある ことがいくつか報告されている。streptococcus sanguis,streptococcus mutan s,Streptococcus pneumoniae,Pseudomonas aeruginosa、連鎖球菌(Streptococ ci)の栄養学的変種、および、Candida albicansの全殺菌体による免疫化は、ウ サギにおいて、心内膜炎、または、初期の敗血症の進行にたいして予防的であっ た(2,4,12,30,32,40)。これと対照的に、抗全体細胞抗体によっては、ウサギは 、Staphylococcus aureus(黄色ブドー球菌)性心内膜炎から保護されない(17)。 ブドー球菌外套多糖類/付着因子(PS/A)による免疫化は、ウサギにおけるSta phylococcus epidermidis性心内膜炎の発生を防止し(39)、また、Staphylococcu s aureus由来のフィブロネクチン結合蛋白による免疫化は、ラットにおいて予防 的であった(34)。 心内膜炎モデルを用いたワクチン研究は、免疫予防がいかにして保護作用を付 与するかについて洞察をもたらした。特定の抗体によって与えられる、細菌駆除 の増進による、また、細菌付着の抑制による免疫性が、本疾患の病態発生におい て,初期の,決定的重要段階となっている(2,30,33,34,39)。 FimAは、S.parasanguis性心内膜炎において、重要な悪性決定因子であり、か つ、細菌繁殖体において細菌のフィブリンにたいする接着性を高めることに関わ る。 発明の要約 最も普遍的な細菌原因による、すなわち、ビリダンス連鎖球菌類(例えば、口 内連鎖球菌類)による心臓弁の感染症(心内膜炎)を予防するための手段を与える のが、本発明の目的である。本発明は、ヒトの口内にいる多数の連鎖球菌種の表 面に見られる蛋白質の形態を取る物質の一組成に注目する。この蛋白は、精製形 において、ワクチンとして投与が可能であり、かつ、心内膜炎にたいする保護を 与える。本物質、FimAと呼ばれるが、これは、ただ一種の連鎖球菌種、すなわち 、Streptococcus parasanguisに関してモデル化されているだけではあるが、多 くの連鎖球菌類および腸球菌類に認められている。動物における保護作用は、ヒ ト心内膜炎を十分信頼できるほどに模倣するげっし類モデル系において従来から 実証されている。 S.parasanguis FimAは、Qiagen pQE30プラスミド発現系を用いて、過剰生産 ・精製された。精製FimAを用いて、ラット心内膜炎モデルにおいて、ワクチンと しての有用性について調べた。ワクチン作用のための投与処方は下記の通りであ った。9週令の雄性スプレーグ・ドーリー・ラットに、初回量として、フロイン トの完全アジュバントに乳化させた100μgの精製FimAを投与した。この抗原調 製液を、動物の横腹領域に、6回の皮内注射を通じて与えた。同じ部位を、3週後 、フロイントの不完全アジュバントに溶解した100μgの蛋白のブースター投与 のために用いた。ワクチン投与の2週間後、ワクチン処置動物と対照動物とにお いて、心カテによって、心臓弁に外傷を誘起した。カテーテル挿入後24時間にお いて、動物にS.parasanguis FW213を与えて免疫惹起した。BHIブロスにおいてOD660 =0.6まで成育させた細菌の107接種体を、尾静脈を通じて静注した。接種後48 時間において、動物を安楽死させ、病理解剖による繁殖体における細菌の存在に 基づいて心内膜炎を判定した。FimAで免疫化したカテーテル挿入ラットは、免疫 化されない対照動物と比較して、S.parasanguis FW213による病態惹起に対して 保護されていた(p<0.001)。この結果は、FimAが、心内膜炎にたいして保護作用 を持つワクチン剤として有用であることを実証する。 さらに実験が行なわれ、S.parasanguis由来のFimAは、他菌種による感染性病 態惹起にたいしても保護作用を持つことが実証された。ラットを前述のようにし てS.parasanguis起源のFimAでワクチン免疫し、次に、S.mitis、S salivariusお よびS.mutansから成るFimA発現性速鎖球菌によって病態惹起した。FimAワクチ ン処置ラットにおいては有意な低下が観察された。 本発明の主要利点は、これが、十分に安価で、安全で、信頼性が高く、かつ、 心内膜炎にたいして効果的な保護作用を持つことである。簡単に言うと、本発明 は、心内膜炎にたいする一次保護的ワクチン剤、心内膜炎予防法、および、心内 膜炎にたいする保護作用に有効な処方、および、そのワクチン処方の生産法を含 む。 本発明のワクチンはさらに、連鎖球菌性菌血症−これは、免疫危機患者に次第 に高頻度に見られる病態である−の予防に使用することもできる。このように使 用する場合、FimAは、高用量の化学療法または放射線治療に先立って、筋注また はその他のルートを通じて免疫危機患者(例えば、骨髄移植患者)に投与される。 なぜなら、そうすれば、患者の血流において、侵入する連鎖球菌にたいしてオプ ソニゼーションによって活性化された抗体を惹起し、それによって、これら感染 菌の駆除を強化することができるからである。 図面の簡単な説明 前記の、また、その他の目的、特徴、および、利点は、図面を参照しての、下 記における、本発明の好ましい実施態様に関する詳細な説明によってさらによく 理解されるはずであるが、その図面において、 図1は、fimAをpQE30発現ベクターに挿入してクローンする工程を示す模式図 である。pVT781由来のfimA DNAをPCRによって増幅した。プライマーを、fimA DN Aの両端を修飾して、pQE30ベクターのマルチクローニング部位に、SphI-HindIII 断片としてサブクローニングできるように設計した。この発現ベクターは、1個 のファージT5プロモーターと、2個のlacオペレーター配列を含んでいた。E.col i宿主細胞は、プラスミドpREP4の多数コピーを持っており、かつ、このプラスミ ドは、蛋白発現の精密な調節を保証するlacI遺伝子を持つ。この構築体pVA2341 は、fimAの5’側にたいして6個のヒスチヂン残基から成る親和性標識を持つ。 図2は、精製組み換えFimAの蛋白分析ゲルの写真である。特に、この写真は、 クーマッシー青で染色したSDS-ポリアクリルアミド・ゲルを示す。レーン1は、 広範な分子量マーカー(Bio-Rad)を含み、レーン2は、金属キレート・クロマト(M CAC)後の天然FimAを含み、レーン3は、FPLCによるゲル濾過後のMCAC精製FimAを 含む。 図3は、免疫化、および、非免疫化ラットにおける、血清中の抗FimA抗体価の 比較を示すグラフである。ラットは、FimAで免疫化し、同剤で一度ブーストした 。抗体濃度は、ELAで測定した。標準偏差(SD)付き、平均抗FimA血清抗体価を、 各試験抗体希釈液についてプロットした。●−免疫化ラット(n=6)、▲−非免疫 化ラット(n=7)。 図4a-cは、S.parasanguis株の接着性を示す棒グラフである。血小板フィブ リン基質にたいする細菌の接着性、および、吸着血清とインキュベートしたs.p arasanguis FW213の、血小板フィブリン基質にたいする接着性を調べた。棒は、 標準偏差付きの、血小板フィブリンに対する平均接着百分比を示す。図4A図は 、S.parasanguis種を、血小板フィブリでコートしたディスポーザブル・ペトリ 皿(60 x 15mm)において、37℃で30分インキューベートした場合の結果を示す。 野生型FW213の接着性は、fimA突然変異種VT900から得られた平均接着率と、P<0. 05の水準において有意に異なっていた。図4B図は、S.parasanguis FW213で吸 着したウサギ血清中でインキュベートしたS.parasanguis FW213を、血小板フィ ブリン基質に暴露した場合の結果を示す。あらかじめ免疫性血清でインキュベー トしたS.parasanguis FW213の接着率は、免疫前血清で見られるものと有意に異 なっていなかった(P=0.34)。図4C図は、VT930で吸着したウサギ血清中でインキ ュベートしたS.parasanguis FW213を血小板フィブリンに暴露した場合の結果を 示す。S.parasanguis FW213を、VT930で吸着した抗FimA血清とインキュベート すると、S.parasanguis FW213の血小板フィブリン基質にたいする接着性は阻止 されたが(0.34%)、免疫前吸着血清とのインキュベーションではそのような阻止 作用は認められなかった(5.04%)(p<0.001)。 図5は、fimA(配列特定番号#1と配列特定番号#6)と、GCGプログラム・パイル アップから得られたその類似体のヌクレオチド配列の部分の斉一性を示すヌクレ オチド配列(配列番号#1-10)である。ゴシック文字で書かれ、括弧10と12で特定 されるプライマー・ペアは、fimAのヌクレオチド151-173と868-893に相当し、脂 質蛋白受容体抗原(LraI)族の保存領域を表わす。プライマーは、5’GCTGGGGATAA GATCGAGCTCCACAG 3’(配列特定番号#11)と5’TTCATCATGCTGTAGTAGCTATCGCC 3’( 配列特定番号#12)である。 図6aと6bは、fimA類似体の検出を示すゲルの写真である。図6aは、Eco-RI で消化した、連鎖球菌株由来のゲノムDNAにたいし、fimA DNAをプローブとして 用いた場合のサザーン・ブロットを示す。レーン1は、fimA DNA、レーン2は、S .mutans ATCC 7073、レーン3は、S.bovis ATCC 43144、レーン4は、S.oralis ATCC 10557、レーン5は、S.salivarius ATCC7073、レーン6は、S.mitis ATCC 6249、レーン7は、S.anginosus ATCC 27823、レーン7は、S.anginosus ATCC27 823、および、レーン8は、E.faecium ATCC 19434を表わす。図6bは、PCR増幅 した、各種連鎖球菌株由来のゲノムDNAの、0.8%ゲル電気泳動を示す。プライマ ー・ペアは、図5に記載したfimAのヌクレオチドに一致する。レーン1は、分子 量マーカー、レーン2は、S.parasanguis FW213、レーン3は、S.mutans ATCC25 175、レーン4は、S.bovis ATCC 43144、レーン5は、S.oralis ATCC 10557、レ ーン6は、S.salivarius ATCC7073、レーン7は、S.mitis ATCC 6249、レーン8 は、S.anginosus ATCC 27823、および、レーン9は、E.faecium ATCC 19434を 表わす。塩基対の大きさを、図6b左に示す。 図7は、臨床分離菌における、FimA様蛋白の発現を示すゲルの写真である。菌 血症患者からの臨床分離菌は、50mlのBHIブロスにおいて、37℃で48時間嫌気的 に育成した。細菌細胞をMiniBead(登録商標)ビーターを用いて破壊した。蛋白標 本を、10%TrisGlycine SDS PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に電気転送し、 ポリクロナール抗FimAにより標識探査した。この結合抗体を、抗ウサギIgG西洋 わさびペルオキシダーゼ複合体、H2O2、および、4-クロロナフトールの添加によ り視像化した。レーン1は、広範な分子量マーカー(BioRad)、レーン2は、S.mut ans ATCC 25175(この実験室菌株はFimAを発現しなかった。その後の実験により 、S.mutansの多数の臨床分離菌種においてFimAが発現されることが判明した)、 レーン3は、S.parasanguis FW213、レーン4は、S.sanguis,V2426、レーン5は 、E.faecium V2424,レーン6は、S.salivarius V2471、レーン7は、S.angino su s V2470、および、レーン8は、E.faecalis V2437を表わす。蛋白マーカーの大 きさを、図7の写真の左に示す。36kDaの大きさ範囲に一致する矢印は、反応性 蛋白を示す。 本発明の好ましい実施態様の詳細な説明 現代治療術では、下記の二つのやり方の内の一つを選んで心内膜炎に対処する 。すなわち、 1.心内膜炎に罹患する危険性のある患者に、血流中に口内連鎖球菌の侵入をも たらすような予定された処置(例えば、歯科的処置)に先立って、予防的抗生物質 を投与する。 2.心内膜炎に罹患した患者は通常慢性的心臓弁膜損傷を患っている。その損傷 の性質に応じて、その生得の弁を、外科的に豚弁または人工弁と交換する。 本発明は、別の方法を与えるものであり、心内膜炎にたいする、初期の、ほん の一次的保護性ワクチンについて記載する。 感染性細菌による心内膜炎は、アメリカ合衆国におけるだけでも、年間1万か ら4万を数える。これらの感染の大部分は、S.sanguins、S.parasanguis、S.m utansその他のような菌種を含むビリダンス連鎖球菌類によって引き起こされる 。細菌性心内膜炎は、生命の危険に関わるものであり、かつ、その処置は高価で ある。すなわち、静注による有効な抗生物質治療処置を完了するためには4から6 週の入院が必要とされる。連鎖球菌性心内膜炎を導きやすい導入要因としては、 弁損傷、先天的心臓欠損症、および、リューマチ性心臓疾患が挙げられる。感染 性心内膜炎を罹患する患者の90%が、一つ以上の導入因子を持っている。危険因 子の特定に基づくと、年間当たり7万5千から10万人の患者から成る、一定の国家 人口がワクチン投与を必要とするようである。この基盤は、このワクチンを老人 人口にも投与することにした場合には、さらに大きく拡張されることとなろう。 臨床家の間には、感染性心内膜炎が、老人患者人口に次第に高頻度に現れること にたいし不安が高まっている。この高頻度の理由としては、加令による心臓弁の 石灰化、免疫系の有効性の低下が挙げられる。アメリカ合衆国人口においては、 65才を越え人が約3千百万人いる。この人口にたいして、その有効性が実証され た ワクチンを投与する率が、毎年活発に増加している。例えば、インフルエンザ・ ワクチンや、肺炎双球菌ワクチンは、このグループにたいして広く推奨され、か つ、投与されている。我が国の老人人口構成部分は飛躍的に増大しつつある。65 才を越える個人を含むグループは、1980年から1989年にかけて21%増加した。人 口の他の部分は、同時期においてわずか8%しか増加しなかった。老人は、医学的 進歩が寿命を延長するにつれて飛躍的に増大するグループとなっているが、有効 なワクチンは、これら老人達の間に広く使用されることになろう。 FimAおよび関連蛋白、または、蛋白断片が、心内膜炎にたいする有効なワクチ ンとなることを証明する実験が行なわれた。その実験においては、FimA免疫化の 効力を、ラット心内膜炎モデルにおいて評価し、抗FimAの、S.parasanguisFW21 3の血小板フィビリン基質にたいする接着性に及ぼす作用をインビトロで調べ、 ビリダンス連鎖球菌類におけるfimA類似体の存在を求め、かつ、各種連鎖球菌お よび腸球菌におけるFimA様蛋白の存在を測定した。その結果から、FimA免疫化は 、ラットにおいて、S.parasanguis心内膜炎にたいして抗体媒介性の保護作用を 与えることが判明した。S.parasanguis由来のFimAはさらに、S.mitis、S.sal varius、および、S.mutansを含む、その他の菌種による心内膜炎に対しても保 護作用を付与することが証明された。サザーン・ハイブリダイゼーション、PCR 増幅、および、ウェスタン分析によって、ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類 において、fimA類似体の存在、ならびに、FimA様蛋白の発現が示され、これらfi mA蛋白や、その断片が、心内膜炎にたいする保護作用を与えることが期待されて いる。 本発明の実施に当たっては、患者は、ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類か ら得られたFimA、または、その断片を投与される。それによって、患者を、心内 膜炎または菌血症から保護するためである。FinAの蛋白配列、および、それに相 当するDNA配列は、フェンノ等(Fenno et al.)著、「感染と免疫誌」(lnfect.Immu n.)57:3527-3553(1989)に記載されている。このワクチンは、当業者には良く知 られている、非腸管性投与ルート(例えば、静注、筋注、皮内、皮下)、経口ルー ト、舌下ルート、経皮ルート、および、その他のルートから投与することができ る。好ましい搬送様式は、非腸管性ルートである。FimAは、搬送液(例えば、水 性液(例えば生食液)、油性液、または、乳剤)、安定化剤、防腐剤(例えば、パラ ベン類、塩化ベンザルコニウム(BAK)など)と適当に併用して搬送ルートに投与し てもよい。例えば、経口性ワクチンの場合、搬送剤は、固相のラクトース系物質 であってもよい。 本ワクチンのFimA蛋白は、FimAにたいして患者の生体が喚起する抗体による保 護作用を与えるのに十分な量を投与しなければならないが、塊状用量の後に追加 ブースターとして、単回塊状用量として、または、患者やワクチン処方によって は、その他の投与法に従って、投与してもよい。 本ワクチンに含まれるFimA蛋白、または、その断片は、各種連鎖球菌類ないし 腸球菌類から単離することができるし、または、下記に詳細に説明するように、 細菌細胞、哺乳動物細胞、または、植物細胞宿主において組み換えによって生成 することができるし、または、その他の手段によって製造することが可能である 。下記の方法では、FimAにたいする遺伝子が単離され、プラスミドに転送され、 その後のE.coll(大腸菌)宿主における生産に備えられることが示される。しか しながら、当業者には明らかなように、この遺伝子は、広範な種類の、多様な細 胞系に転送・発現が可能であり、また、それらの系や、動物ないし植物生体から 回収することが可能である。 FimAの組み換え生産はさらに、FimAないしそれに続くペプチドを、融合蛋白と するような形で実現することも可能である。FimAの免疫原性を高めるように、お よび・または、その安定性を増すように、他の蛋白と融合させたならば、それは 、その融合蛋白構築体にとって望ましい結果をもたらすことになろう。 しかしながら、ワクチンは、びりだんす連鎖球菌類と腸球菌類の混合体から得 たFimA蛋白の混合物の形を取ってもよい。FimA蛋白の断片をワクチンとして用い る場合には、その蛋白の十分量が含まれていて、それによる免疫化が、抗体介在 性保護作用を引き起こすようになっていなければならない。 材料と方法 細菌株、プラスミド、および、培養液。野生型S.parasanguis FW213、その同 種由来fimA,VT930(FimA蛋白を発現しない)、および、E.coli,VT786、FimA生 成組み換え菌株については既に記載されている(13,14)。M15 E.coli宿主菌種、 pQE30発現ベクター、および、pREP4リプレッサー・プラスミドは、Qiaeexpress 系(Qiagen Inc.,Chatsworth、カリフォルニア州)から得た。連鎖球菌株は、0.3 5%ブドー糖を含む、脳・心エキス・ブロス(BHI)において、37℃で嫌気的(10%CO2 、10%H2、80%N2)に育成した。E.coli菌株は、ルリア・ベルタ−ニ(LuriaBertan i)(LB)ブロス(Life Technologies,Inc.,Gaithersburg,メリーランド州)中で 育成した。寒天を1.5%の最終濃度となるように加え、固相培養体を調製した。BH I、ブドー糖、および、寒天は、ディフコ社(デトロイト、ミシガン州)から入手 した。アンピシリン(100μg/ml)と、カナマイシン(pREP4含有菌株を維持するた めには25μg/ml、または、VT930を維持するためには100μg/ml)(シグマ化学、 セントルイス、ミズーリ州)を、細菌およびプラスミド選択のために添加した。 細菌培養体は、30%グリセロールを含むBHI中で70℃で保存した。 DNA法。プラスミドDNAは、Qiagenプラスミド精製プロトコールを用いて単離した 。アガロース・ゲル電気泳動プロトコールは、Sambrock等(28)のものであった。 制限エンドヌクレアーゼは、Bestheda Research Laboratories,Inc.(Gaithersb urg,メリーランド州)から購入した。また、酵素による消化は、メーカーの指示 に従って実施した。連鎖球菌染色体DNAの調製は前に記載した通りである(35)。 蛋白生成と精製。組み換えFimAの発現と精製は、Qiaexpress発現、および、ニッ ケル-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)蛋白精製系を用いて行なった。過剰発現プラスミ ドpVA2341を構築するのに用いたクローニング法を図1に示す。プラスミドpVT78 1は、E.coli VT786から単離した(26)。pVT781は、fimAをNdeI-BcII断片としてp ET3a発現ベクターに挿入してサブクローニングすることによって構築した。fimA DNAは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。fimAをPCR増幅するのに 用いたオリゴヌクレオチドは、Bio-Synthesis,Inc.,(Levisville,テキサス州 )の手で合成された。fimAヌクレオチド1-17と916-930に相当するオリゴヌクレオ チド配列は、5’ACATGCATGCAAAAAAATCGCTTC 3’(配列特定番号#13)と5’CCCAAGC TTACTGACTCAATCC 3’(配列特定番号#14)であった。プライマーは、fimA DNAの末 端が、SphI-HindIII断片として、pQE発現ベクターに挿入してサブクローニング できるように設計した。これらのオリゴヌクレオチドに組み込まれた制限部位を 、ゴチック体で示す(GCATGC=Spht,AAGCTT=HindIII)。pQE30のマルチクローニン グ領域は、BamHI,SphI,SacI,KpnI,SmaI/XmaI,SalI,PstI,および、HindII I用の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む。SphIおよびHindIIIによる方向性クロ ーニングを用いてpQE30に組み込むと、fimAのアミノ基末端に6個のヒスチジン残 基の延長が認められた。この発現構築体を、lacI遺伝子を持つプラスミドpRE p4を含むM15宿主株に変換した。変換体は、アンピシリンとカナマイシンを含む LB寒天プレート上で選択し、さらに、DNA制限酵素分断分析によって、fimA遺伝 子が適正に挿入されているかどうかをスクリーニングした。 組み換えFimAの発現は、小規模培養体から得た蛋白質を調製・分析して立証し た。変換体の単一コロニーを、100μg/mlのアンピシリンと25μg/mlのカナマ イシンを含む、1.5mlのLB培地に接種し、一晩成育させた。1.25mlの飽和培養体 を、あらかじめ温めておいた、適当な抗生物質を含むLB培養液8.75mlに加えた。 発現誘発前に、1ml標本を取り、未誘発コントロールとして用いた。発現は、イ ソプロピルβ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度2mMとなるように加え て誘発した。発現の時間経過は、1時間間隔で1ml標本を採取して求めた。細胞は 最大5時間まで育成した。細胞を遠心で収集し、その細胞ペレットは、すべての 標本がその後の処理のための準備が整うまで、-20℃で保存した。細胞は、メー カーの指示による変性条件下で精製した。標本は、ドデシル硫酸ナトリウム-ポ リアクリルアミド・ゲル電気泳導(SDS PAGE)によって分析し、かつ、蛋白は、ク ーマッシー青染色によって視像化した。 FimAの大規模発現には、100μlのストック培養体を用いて、100μg/mlのア ンピシリンと25μg/mlのカナマイシンを含むLBブロスにおいて、2Omlのスター ト培養体を一晩成育させた。抗生物質を含む11のLBブロスに、未誘発一晩育成培 養体を1:50で接種し、これらの細胞を、37℃において活発に攪拌しながら、OD6 00 が0.7になるまで成育させた。この細胞を、2mM IPTGによって誘発し、さらに5 時間インキュベートした。細胞を遠心によって収集し、10mM トリス-HCl(pH 8.0 )に懸濁し、Frenchプレッシャー・プレス(SLM Instruments Inc.,Urbana、イリ ノイ 州)にて破壊した。この細胞溶解液を、ベックマンSW28ローター(Beckman Instum ents,Inc.,PabLo Alto、カリフォルニア州)にて25,000rpmで遠心し、上清をNi -NTAカラムに負荷した。このカラムを、101mMイミダゾールを含む10mM トリス-H Cl(pH 8.0)で、A280が基礎レベルに戻るまで、洗浄し、同蛋白を、トリス-HCl(p H 8.0)に溶解した100mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)にて溶出した。同蛋白 を、蛋白用高速液体クロマト(FPLC)(ファルマシア LKB、Piscataway、ニュージ ャージー州)を用いて、Sepharyl S-100によるゲル濾過によってさらに分画した 。 FimAを発現した構築体におけるサブクローンされたDNAのヌクレオチド配列は 、DNA配列法によって確認した。自動的配列反応は、サンガー式ジデオキシ鎖延 長停止法(PRISM(登録商標)反応急速染色識別DyeDeoxy(登録商標)鎖延長停止サイ クル配列キット、Applied Biosynthesis Inc.,Foster City、カリフォルニア州 )により、メーカーの指示に従って実施した。 蛋白分析。15% SDS-PAGE(Bio-Rad Laboratories、Hercules、カリフォルニア州) とウェスタン・イムノブロットをメーカーの指示に従って実施した。ゲルは、ク ーマッシー・ブリリアント青(シグマ)によって染色し、背景が透明になるまで脱 色液(40% メタノール、10%酢酸、および、50%蒸留水)に浸した。Bio-Rad社から 入手した分子量標準(サイズ範囲は、7,200-208,000)を用いた。蛋白濃度は、牛 血清アルブミン(BSA)を標準として、ローリー法(23)によって定量した。 ポリクロナール抗血清の生成。FimAにたいする抗血清は、雌性ニュージーランド 白ウサギの頚背部に、0.5mlのりん酸バッファー生食液(PBS)(pH 7.4)に懸濁させ 、等量のフロイントの完全アジュバント(CFA)に乳化させた0.5mg FimAを皮下に 注射することによって調製した。フロイントの不完全アジュバント(IFA)に溶解 した0.5mg FimAのブースター注入を、3週間後に行なった。抗血清を収集し、酵 素イムノアッセー法により抗体価を調べた。この方法によると免疫化前の血清は すべて陰性であり、免疫血清は、≧100,000の抗FimA抗体価を持っていた。血清 はすべて必要あるまで70℃にて保存した。ウサギへの注射は、バージニア・コモ ンウェルス大学動物ケア・使用制度委員会(VCUIACUC)許可番号9504-2137によっ て 実施した。 酵素イムノアッセー法(EIA)。FimAの免疫学的検出のための工程は、シグマ社(研 究用・診断用試薬のための生体化合物および有機化合物、1955)に習ったもので ある。EIAプレート(Costar、ケンブリッジ、マサチューセッツ州)を、炭酸塩-重 炭酸塩バッファー(pH 9.5)に溶解した10μg/mlのFimAでコートし、洗浄バッフ ァーにてブロックした。任意に選んでよい、二次抗体用の希釈率は、抗体価定量 時に求めた。ペルオキシダーゼ複合ヤギ抗ウサギ抗体(シグマ社)、または、ペル オキシダーゼ複合マウス抗ラット抗体(Jackson Immunoresearch laboratories, Inc.,West Grove,ペンシルバニア州)は、TMBlue基質(TSI Center for Diagnos tic Product,Milford,マサチューセッツ州)によって検出した。また、発色は 、1N H2SO4によって停止させた。プレートは、700MRミクロプレート・リーダー( Dynatech Laboratories,Inc.Chantilly、ヴァージニア州)にて読んだ。抗体価 は、基質添加10分後においてA450≦0.10を与える血清の最大希釈度の逆数として 表わした。 免疫化プロトコール。スプレーグ・ドーリー・ラット1匹当たりの免疫化用量は 、CFAに溶解した100μgのFimAを含んでいた。この用量を、ラットの右脇腹の、 剃毛した領域内の6個の異なる箇所に皮内注射によって与えた。3週間後、同じ領 域に、IFAに溶解した100μgの蛋白から成るブースター注入に用い、後述のカテ ーテル挿入と細菌による病態惹起を、最初の免疫化の6週後に実施した。第2実験 においては、ブースター投与2週後に、免疫化しなかったラットと、免疫化した ラットを、心臓穿刺によって脱血し、血清抗体価を定量した。 心内膜炎のラット・モデル。本実験に用いた心内膜炎のラット・モデルは、マン ローとマクリナ(Munro and Macrina,24)の記載する通りである。動物使用の承 認は、実験開始に先立ち、VCUIACUC(プロトコール番号9410-2082)から得た。雄 性スプレーグ・ドーリー・ラット(Harlan、インディアナポリス、インディアナ 州)を、心臓カテーテル挿入後1-5日において、1 x 107個の細菌によって病態惹 起した。免疫化されたラットと、免疫化していないラットにおける、連鎖球菌感 染による成育数の差の有意性を、フィッシャーの厳密性試験によって計算した。 血小板フィブリン接着アッセー法。シェルド等(Scheld et al.,32)、および、 マンローとマクリナ(Munro and Macrina,24)に習った方法を用いた。細菌を調 製するために、BHIにおける連鎖球菌の一晩育成培養体を、新鮮BHIにて1:10に 希釈し、嫌気的に、660nmにおいて、=0.6の光学的密度となるまで育成した。細 菌をPBSにて洗浄し、超音波処理し、1ml当たり1 x 104細胞となるように希釈し た。ある実験では、これらの細菌を、免疫化前の、または、免疫化した血清のい ずれかと、37℃において30分インキュベートした。インキュベーション中10分お きに、渦巻きミキサーにより30秒攪拌し、それによって、連鎖球菌が、個々の細 胞に(鎖状にではなく)となるようにした。この標本を遠心し、PBSで洗浄した。 また別の実験では、免疫化血清および免疫化前血清を、S.parasanguis FW213ま たはVT930(1 x 104 CFU)の一晩育成培養体1mlに4℃で24時間吸着させた。フィブ リン血小板基質を調製するために、ヴァージニア州立医科大学(MCV)病院血液銀 行より購入した乏ヒト血小板血漿(血小板含量≦50,000/cm3)1mlを、0.4mlの0.2M CaCl2と0.4mlの牛トロンビン(Bakster Diagnostics Inc.,Deerfield、イリノ イ州)と、100NIH U/mlとなるように混合した。接着性を定量するために、1mlの 細菌液を、血小板フィブリン基質の上に置き、そっとかき混ぜながら37℃で30分 間インキュベートした。非接着細胞を、この血小板フィブリン基質から除去し、 その表面を、PBSで4回洗浄した。0.5mlの2.5%トリプシン溶液を加えてこの基質 を溶解した。この液を超音波処理し、連続希釈し、さらに、BHI寒天プレートに 接種した。このプレートを、37℃で48時間嫌気的にインキュベートした。接着百 分率を、(回収されたコロニー形成単位数)/(血小板フィブリン・プレートに導 入した細胞数)x100として計算した。 サザーン・ハイブリダイゼーション。EcoRIで消化した染色体DNA3μgを、モデ ルHS水平ゲル装置(Life Technologies、Inc.)にて、0.8%トリス-硼酸(TBE)アガ ロース・ゲルで15Vで24時間電気泳導した。このゲルを、0.25M HClにて15分間プ リ ン除去し、0.05M NaOHと1.5M NaClを含む液に30分浸して変性し、2.5M NaOHと1. 0M CH3COONO4を含む液に1時間浸して中和した。DNA断片を、孔径0.45mのニトロ セルロース膜(Micron Separations Inc.,Westboro、マサチューセッツ州)に、 毛管活性によって転送した(35)。このDNAを、モデル2400 UVStratalinker(Strat agene、ラホヤ、カリフォルニア州)による紫外線照射によって、同膜の上に不動 化した。完全長fimAのプライマー・ランダム付与放射線標識プローブを、Prime- a-Gene(Promega社)を用いて生成した。5X SSPE(0.75M NaCl,5mM EDTA,0.05Mm NaH2PO4),5X デンハルト試薬、100μg/mlサケ精子DNA、および、25%フォルム アミドを含むハイブリダイゼーション先行液にて42℃で1時間インキュベートし た。前記ランダムに標識したプローブとのハイブリダイゼーションを、5X SSPE 、1Xデンハルト試薬、100μg/mlのサケ精子DNA、および、25%フォルムアミドを 含む溶液中で42℃で18時間行なった。ハイブリダイゼーション後、膜を、室温に て、0.1% SDSを含む2X SSPEで2回(それぞれ15分ずつ)洗浄し、次に、0.1% SDSを 含む0.1X SSPEにて2回洗浄し(それぞれ15分ずつ)、未結合のプローブを除去した 。ハイブリダイゼーション前工程、ハイブリダイゼーション、および、洗浄の諸 工程は、Savant Gene Roller ハイブリダイゼーション・オーブン(Savant Instr uments,Inc.,Holbrook,ニューヨーク州)の中で実施した。この膜を、Reflect ionオートラジオグラフィー・フィルム(Du Pont-NENG Research Products,Wilm ington,デラウェア州)に暴露した。 fimA類似体を実証するためのPCR増輻。オリゴヌクレオチドを、連鎖球菌種由来 のfimA類似体を増幅するように設計した。合成オリゴヌクレオチド5’GCTGGGGAT AAGATCGAGCTCCACAG 3’(配列特定番号#11)(図5のヌクレオチド151から173)、お よび、脂質蛋白受容体抗原I(LraI)遺伝子族のよく保存された領域に見られる、f imA関連配列から得た5’TTCATCATGCTGTAGTAGCTATCGCC 3’(配列特定番号#12)(ヌ クレオチド868から893にたいして相補的)を、サザーン・ブロットに使用される 連鎖球菌種のゲノムDNA由来のDNA断片をPCR増幅する際のプライマーとして用い た。ヌクレオチド関連体は、930bpの生得fimA遺伝子に一致した。GenAmp PCRコ ア試薬(Perkin Elmer Corp.,Norwalk,コネチカット州)を用い、反応は、自動熱 サイクラー、GeneAmp PCR System 9600(Perkin Elmer Corp.)により28サイクル( 94℃30秒、55℃20秒、および、72℃45秒)に渡って実施した。反応生成物は、0.8 %アガロース・ゲル電気泳導により分析した。 蛋白分析のための細胞溶解物の調製。陽性血液培養体を示した患者からの連鎖球 菌臨床菌種は、MCV病院(バージニア・コモンウェルス大学)診断微生物学検査室 から入手した。細菌は、50mlのBHIブロスにおいて37℃で48時間嫌気的に育成し た。この細胞を、4000gで、4℃で10分間遠心して収集した。この細胞ペレットを 、BHIに最終容量が1mlとなるように懸濁し、半分容量の0.1mmジルコニウム・ビ ーズ(Biospec Products,Bartersville,オクラホマ州)を含むミクロ遠心管に移 した。この細胞を、ミニ・ビーズ・ビート・ホモジェナイザー(Biospec Product s)で2分間破壊した。ビーズと細胞破片を、12,000xgで、5分間遠心して除去し、 透明な細胞溶解液を得た。この溶解液は、蛋白分析を実施するまで、4℃に保存 した。 結果 FimAの過剰発現と精製。fimA挿入変異種VT930は、野生型のS.parasanguis FW21 3に比べて、ラット心内膜炎モデルにおいて、有意に悪性を低下させたことが実 証されている。イン・ビトロ(試験管内)実験データから、悪性は、FimAのフィブ リンにたいする接着性と関連することが導かれている。イン・ビボ(生体内)およ びイン・ビトロ実験をさらに進めるために、Qiaexpressシステムを用いて組み換 えFimAを作製した。fimAのpQE発現ベクター挿入によるクローニングは、「材料と 方法」(図1)に記載したようにして行なった。オリゴヌクレオチド・プライマー を合成し、PCRによってfimAを増幅した。このDNA産物を、pQE30ベクターに挿入 してサブクローニングした。発現ベクターは、1個のファージT5のプロモーター と、2個のlacオペレーター配列を含んでいた。これは、そうすることによって、 lacリプレッサー結合の確率を高め、T5プロモーターの有効な抑制を確実にする ためである。このプラスミドは、さらに効率的な翻訳のために、1個の合成リボ ソーム結合部位と2個の転写終結配列、すなわち、ラムダ・ファージ由米のτoと E.coliのrrnBオペロン由来のτi、を持つ。これは、読みすぎ転写を防止するか ら、発現構築体を安定化させることになる。6個連続のヒスチヂン残基タグとス タート・コドン(ATG)を、ポリリンカー配列の上流とした。E.coli M15宿主発現 種は、pREP4プラスミドを含んでいた。この構築体の中のサブクローンDNAのヌク レオチド配列を分析・確認した。この6Xヒスチヂン残基は、生得条件下において 、E.coli溶解物粗標本からFimAを精製する際に、好都合な親和性タグとして役 立った。Ni-NTA樹脂金属キレート吸着剤は、多くの汚染性蛋白の分離を考慮した ものである。他の汚染物は、その後、ゲル濾過によって除去した。組み換え菌種 VA2341は、0.5mg/リットルのFimAを発現した。 図2に示すように、6Xヒスチヂン・タグを持つFimAは、SDS-PAGEゲルにおいて 比較的ゆっくりと移動し、予想された36kDaの大きさよりも外見上大きいようで あった。恐らく分解産物と思われる低分子量産物が明らかであった。分子量分析 に基づくと、生得FimAは、モノマー形と、ダイマー形として現れているようであ った(図2右側の矢印を参照)。 非免疫化ラットと、免疫化ラットの心内膜炎にたいする感受性。ラットの心内膜 炎にたいする感受性に及ぼす、FimA免疫化の作用を調べた。ワクチン投与したラ ットと、ワクチン非投与ラットに、心カテ挿入後24時間に、S.parasanguis FW2 13を接種した。細菌接種後48時間に、動物を屠殺し、その心臓を摘出した。カテ ーテルの適正な配置、および、細菌繁殖体の有無を視覚的に評価した。カテーテ ルの配置が適正であった動物のみを、本分析に含めた。心内膜炎の進行は、培養 繁殖体からの連鎖球菌の回収率によって求めた。33匹の非免疫化ラットの内21匹 (61%)がS.paransanguis性心内膜炎を発症しており、これはFimAで免疫化された 34匹のラットの内の2匹(6.1%)と対照的であった(p<0.001)(表1)。故に、FimAに よるワクチン治療は、本モデルにおいて、心内膜炎にたいする保護的免疫を与え た。 表1.S.parasanguis FW231で病態惹起したラットにおける、FimA免疫化の保護 作用 ラット 感染数/全数 感染パーセント 非免疫化 21/33 61.8 免疫化 2/34 6.1 このラット・モデルは、ヒト心内膜炎感染に関して予言性を持つと考えられる 。なぜなら、ラットの循環系解剖学は、ヒトのものと極めて類似しており、かつ 、感染の経過と結果が臨床的に相似だからである。ラット、および、ヒトから得 られた感染菌繁殖体は、顕微鏡下において、視覚的に見分けがつかなかった。 異種菌による病態惹起。異種菌感染による病態惹起にたいする保護作用を調べる のに、S.parasanguis由来のFimAをテストした。ラットを、前述のように、S.p arasanguis起源種(S.parasanguis FW213)のfimAによってワクチン処置し、次に 、心カテ挿入後5日目に、別のfimA発現性連鎖球菌種を接種した。この実験では 、3種の連鎖球菌種を試みたが、その結果を表2に示す。 表2.一つの微生物から得たFimAによる免疫化が、その他のFimA発現性微生物に たいして及ぼす保護作用。 微生物 ラット感染数/全数(%) ラット感染数/全数(%) p値 ワクチン投与なし FimAワクチン投与 S.minus 5/7(71%) 4/21(26%) 0.0196 S.salvarius 5/8(63%) 2/24(8%) 0.048 S.mutans 10/15(66%) 7/23(21%) 0.0077 *p値は、フィッシャーの厳密確率テストを用いて計算した。 試験した分離菌は全て血液培養体から得た臨床起源のものであった。S.mutan sのデータは、この種に属する3種類の臨床分離菌による感染から得たプール・デ ータを表わす。ただし、この3種類は全て、HaeIII-DNA制限断片パターンにおい て同一の遺伝子型を呈した。p値は全て高度に有意であって、保護作用がFimAワ クチンによって付与されることを示す。従って、これらのデータは、FimAが、S. parasanguisにおいて実証されたように、上記の他の種類においても悪性因子で あることを示している。 このデータは、それが絶対必要と言っているわけではないが、本ワクチンは、 いくつかの異なる起源種由来の、いくつかの異なるFimA蛋白を含んでいてもよい ことを示す。 ラットにおける抗FimA抗体価の測定。体液性免疫は、多くの疾患において重要な 防御機構となる。FimAによる免疫化と共に観察される保護作用に関連して抗体が 誘起されることを実証するために、抗FimAレベルを、免疫化された動物と、非免 疫化動物との間で比較した。図3に示すように、免疫化されたラットは、1:10 ,000から1:100,000に渡る抗FimA抗体価を生じたのにたいし、対照ラットにお いては抗FimA抗体は検出されなかった。7匹の免疫化されたラットの内6匹が高い 抗体濃度を持っていた。1匹の免疫化ラット、および、7匹の非免疫化動物の内の 7匹は、明らかな抗fimA濃度を持っていなかった。 上記から分かるように、本ワクチンに使用されるFimAは、十分な量と、FimA断 片における十分な大きさを持っており、それによって、患者の体に、免疫反応に おいて、そのFimAにたいして抗体を惹起することができる。図3は、有効ワクチ ンにおける抗体価は、1:10,000から1:100,000であってもよいことを示す。 インビトロにおける細菌接着性。心内膜炎発症を左右する決定的段階は、心内膜 傷害部における細菌による無菌的繁殖を伴う初期の移植である。以前の実験から 、野生型S.parasanguis FW213(添加細胞の2.1%)は、fimA挿入変異種(添加細胞 の0.12%)よりも、有意によくフィブリン単層に付着することが判明している(7) 。生体内における繁殖状況をさらによくシミュレートするために、血小板フィブ リン基質について接着実験を実施した。 血小板フィブリン基質を調製し、連鎖球菌の接着率(%)を求めた。三つの複製 実験−その各々について3通り行なった−から得られた、接着、および、免疫ブ ロック定量の結果を、図4a-cに示す。 野生型S.parasanguis FW213の、インビトロにおける血小板フィブリンにたい する接着能をテストし、その同一遺伝子系fimA挿入変異種VT930のものと比較し た(図4A)。VT930の接着性(添加細胞の0.74%)は、野生型(添加細胞の7.4%)より も低かった(p<0.05)。 FimAは、フィブリン結合性接着因子であるから、抗FimA抗体が、繁殖体の移植 を阻害するかどうかを調べた。図4Bに示すように、免疫血清をあらかじめS.pa rasanguisによって吸着しても、S.parasanguis FW213の血小板フィブリン基質( 添加細胞の4.9%)にたいする接着能は影響されなかった(図4B)。一方、S.paran sanguis FW213を、VT930で吸着した抗FimA血清でインキュベートすると、S.par asanguis FW213の血小板基質にたいする接着性(添加細胞の0.34%)を阻止したが 、同様に吸着された免疫化前血清とインキュベートしてもそのような阻止作用は 観察されなかった(5.04%)(p<0.001)(図4C)。 これらの結果は、FimA免疫の保護機構は、ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌 類の、血小板フィブリン・トロンビンにたいする接着の抑制であることを示唆す る。 ビリダンス連鎮球菌類と腸球菌類の間に見られるfimA類似体。fimAとは、Lral族 の接着因子に属する蛋白をコードする、5個の既知の遺伝子の内の一つである。 通常、生得心臓弁心内膜炎の原因となるビリダンス連鎖球菌類と腸球菌類の間に fimA類似体が存在するかどうかを調べた。これは、そうすることによって、連鎖 球菌性心内膜炎にたいする広範な予防ワクチンを調製することが可能かどうかを 探るためであった。EcoRIで消化し、fimA全長DNAをプローブとして、連鎖球菌ゲ ノムDNAのサザーン・ブロット分析を行なったところ、調べた7種の連鎖球菌種の 内6種において反応性断片が存在することが示された(図6A)。fimAと共に移動し たハイブリッド断片は、S.mutans ATCC 25175,S.oralis ATCC 10557、および 、S.salivarius ATCC 7073において観察された。異なる分子量を持つ、それほ どよくハイブリダイズしない断片が、S.salivariusとS.anginosus ATCC 27823 において観察された。このプローブは、S.bovis ATCC 43144ともE.faecium ATCC 19434とも反応しなかった。 図6Bに示すように、PCRは、S.mutans,S.oralis,S.salvariusおよびS.a nginosus由来の800bpDNA断片を増幅したが、これらの断片は、S.parasanguis F W213由来の増幅断片と共に移動した。S.salvariusとE.faeciumからはさらに大 きなDNA断片が増幅された。まとめると、サザーン・ブロットとPCR分析の結果か ら、fimA類似体は、調べた各種ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類に存在する ことが示された。 前記の結果は、連鎖球菌類および腸球菌類の中に極めて近縁の遺伝子が存在す ることを示す。このことは、S.parasanguisのfimA配列から得たオリゴヌクレオ チド・プライマーを用いて、S.mutans ATCC 25175,S.oralis ATCC 10557およ びS.salvarius ATCC 7073において、同じ大きさのDNA断片が増幅されるという 所見からも見て取ることができる。E.faecium ATCC 19434,S.salvarius ATCC 7073およびS.anginosus ATCC 27823において観察されるかすかな成分は、そのf imA様遺伝子が、濃度の低いfimAの配列類似体を発現していることを示唆する。 上に説明したように、S.parasanguis由来のFimAによって生体内実験を行なう と、保護作用が、様々な種類の連鎖球菌に付与されることが実証された。 ビリダンス連鎖球菌類と腸球菌類におけるfimA類似体の発現。FimAは、連鎖球菌 の細胞表面に見出される蛋白であり、脂質蛋白受容体接着因子族に属する(5,16, 29)。心内膜炎を引き起こすビリダンス連鎖球菌と腸球菌の内のいくつかの種が 、これらの蛋白をコードする遺伝子を持つことが知られている。マンデル等(Man dell et al.)(「感染症の理論と実際」、”Principles and Practice of Infectio us Diseases,”図4版、Churchill Livingstone、ニューヨーク州、1995年、753 ページ)によれば、連鎖球菌は、心内膜炎症例原因の60-80%を占めるという。ビ リダンス連鎖球菌だけで、全症例原因の30-40%を占める。 S.parasanguis由来のFimAにたいして喚起されたポリクロナール抗体を用いて 、他の連鎖球菌類および腸球菌類に関連抗原が存在するか否かを測定した。臨床 患者から得た血液分離菌を、ポリクロナール抗血清によるイムノブロット(ウェ スターン・ブロット)を用いてスクリーニングした。表3は、FimAが、もっとも高 頻 度に心内膜炎を引き起こす細菌の間に広く発現されることを示す。 表3.連鎖球菌および腸球菌の血液分離標本の、ポリクロナール抗FimAにたいす る反応性 微生物 FimA-陽性 FimA-陰性 合計 E.faecalis 10 6 16 E.faecium 2 0 0 S.anginosus 1 0 0 S.salvarius 4 0 4 S.sanguis 9 0 9 S.mutans 10 0 10 S.mitis 1 0 1 栄養学的に 4 0 4 欠陥のある 連鎖球菌 (S.defectivus) S.mitisとS.defectivusの場合はまとめて、心内膜炎患者の血液から得た多 数の分離菌について測定したところ、一様にFimA様抗原を発現することが判明し た。表3に見られるS.mutansのデータは、10種類の心内膜炎分離菌から得られ たものであるが、一方、歯のプラークからのS.mutans分離菌では、4種の内わず か1種しかFimA蛋白を発現しないことが判明した。 表3は、FimA蛋白は、菌血症患者から得た連鎖球菌および腸球菌の臨床分離菌 によって共通して発現されることを示しているが、ここに示したデータに加えて さらに、図7は、FimA抗血清が、FimAと共に移動する蛋白を検出すること、すな わち、さらに、それら蛋白の類似性を示していること、を明らかにする。 まとめると、表3、および、図6A、Bおよび図7に示した結果は、FimAをワク チン剤として使用するにあたって、その萌芽となる概念の分子的・免疫学的証 拠を与えるものである。第1に、fimA遺伝子と、それによってコードされる蛋白 は、進化論的に、グラム陽性細菌、特に、心内膜炎発症に高頻度に関わる微生物 の中に保存される。第2に、これら蛋白は自然状態で発現され、かつ、直接の証 拠によっても、推論によっても、微生物の、心内膜炎発症能力に一役演じている 。第3に、S.parasanguis由来の典型FimAを、S.parasanguis以外の、fimA産生 微生物(例えば、S.mitis、S.mutans、S.salivarius)によって動物に惹起され る心内膜炎にたいして免疫性を付与するように使用することが可能である。上記 から、本発明の目的のために、FimAは、FimAとFimA様蛋白、および、その断片ま たはその融合蛋白であり、かつ、これらの蛋白を発現することが既知であるいか なる菌種から得られるものであってもよい上記の蛋白、を意味するものとする。 ビリダンス連鎖球菌類が心内膜炎を起しやすいということは、同菌の接触能に あるようである。口内連鎖球菌および腸球菌由来の、LraI族接着因子に属する、 いくつかのFimA様細胞表面蛋白が特定されている(5,16,29)。S.parasanguis由 来のFimAの他にも、Enterococcus faecalis由来のEfaA(3,5)、Streptococcus pe numoniae由来のPsaA(29)、Streptococcus gordonii由来のScaA(3,5,29)、および 、Streptococcus sanguis由来のSsaB(15)が挙げられる。これらの内、EfaAおよ びFimAは、心内膜炎の病因と関連付けられている(3,5,16,29)。前述したように 、E.coliにおける組み換えFimAの発現と精製には、Qiaexpressシステムを使用 することができる。図2に示したように、天然FimAの比較的純粋な標本が、Ni-N TAカラムから溶出され、他の非特異的汚染物はゲル濾過により効率的に除去され た。FimAモノマーとダイマーが、クーマッシー青染色SDS PAGEゲルの中に明らか に認められた。他の過剰発現、および、再帰プロトコールを用いれば、FimAのポ リマー型も生成されるかもしれない(26)。 FimA接着因子をワクチンとして用いる理論的根拠は、それにたいする抗体が、 細菌の接着を阻害し、それによって、悪性を低下させることである。一旦繁殖体 が移植され、細菌がフィブリンや血小板で覆われたならば、これら病原体にオプ ソニゼーションを与えたり、病原体を食食する可能性は少なくなる。上に示した データは、免疫化された動物は、その後にS.parasanguis FW213を接種されても 、非免疫群に比べてより感受性が低いことを示す。7匹の免疫化ラットの内の6匹 (8 6%)が、高い、抗FimA抗体価を示した。一方、対照動物は全てFimAにたいしてそ れと分かる抗体を示さなかった(図3)。さらに、S.parasanguis由来のFimAは、 異種菌による感染性接種にたいして保護作用を持っていた。 本発明のワクチンはまた、連鎖球菌性菌血症−これは、免疫高危険患者におい て次第に高頻度に見られる臨床状態である−の予防に使用してもよい。このよう に使用する場合、FimAを、免疫高危険患者(例えば、骨髄移植患者)にたいし、高 用量の化学療法や放射線治療に先立って、筋注、または、その他のルートを通じ て投与する。そうすれば、患者の血流において侵入する連鎖球菌にたいして有効 な抗体を喚起することとなり、それによってこれら感染源の駆除を強化すること になる。 本発明を、その好ましい実施態様に基づいて説明してきたけれども、当業者で あれば、本発明が、付属の請求項の精神や範囲の限界内において修正しつつ実行 可能であることが了解されるであろう。
【手続補正書】 【提出日】平成12年4月27日(2000.4.27) 【補正内容】 明細書 連鎖球菌性心内膜炎予防ワクチン発明の背景 発明の分野 本発明は、ワクチン、とくに、心内膜炎予防ワクチンを対象とする。背景の説明 感染性心内膜炎は、過去数十年にわたる内科学および外科学の進歩にも拘わら ず、相当な罹患率および死亡率を伴う重篤な血管内皮感染症である(11,18,38)。 アメリカ合衆国においては、人口百万人当たり年間30-40の症例がある(1,6,11) 。ヨーロッパでは、この疾患の年間発生率は、百万人当たり14-24例の範囲にあ る(19,25,41)。疫学的調査により、心内膜炎の発生率は年令と共に著しく増加す ること、および高齢化の進んでいる先進諸国では心内膜炎が医学的にますます重 要な疾患としてとり上げられるようになってきていることが判明している(18,1 9,25,41)。生まれつきの弁膜性心内膜炎は、心臓にその病態を招きやすい病変を 持つ患者にとくによく見られる。危険度の高い患者および中程度に高い患者とし ては、感染性心内膜炎の既往歴をもつもの、人工弁を埋め込んだもの、体循環系 ・肺循環系バイパス形成外科手術を受けたもの、先天的な心機能不全をもつもの 、リューマチ性弁膜症をもつもの、僧坊弁逸脱症をもつもの、肥大性心筋症をも つものなどが挙げられる(10)。弁膜症患者の場合は、食事中や歯磨き中に起こる 日常の軽度の菌血症が原因となって、循環中の細菌が機能不全の心内膜に付着す る(21)。その他の高危険度患者群としては、弁膜症は伴わないながら歯、上部気 道、消化管、泌尿器の診断で外科的に侵襲性の処置を最近受けた既往歴を持つ患 者などが挙げられる(23,31,37)。 心内膜炎は治療せずに放置すると必ず致命的になるので予防が肝要である。ア メリカ合衆国、英国、および、ヨーロッパにおける現在の治療慣行においては、 菌血症の原因となり得る治療を受けた高危険度の心内膜炎患者には、抗生物質に よる予防処置を行うのが良いとされている(8,11,36)。生まれつきの心内膜炎に 伴う最も一般的な病原体は連鎖球菌類で、これが60%以上の症例の原因となって いる(9)。抗生物質による予防はこれらの微生物を標的とする。しかし、認識可 能な心内膜炎罹患病態を示す患者は心内膜炎患者全体の約半分に過ぎず、また治 療処置に伴う心内膜炎は少数の症例に留まるので、予防処置によって予防可能な 心内膜炎症例はごく一部に過ぎないと思われる(11,19,21)。 上記以外の予防方法にも実効性を確認ずみのもの、探索中のものがある。治験 心内膜炎への感染性に対するワクチン投与の効果についていくつかの報告がなさ れている。サングイス連鎖球菌、ミュータンス連鎖球菌、肺炎連鎖球菌、緑膿菌 、連鎖球菌の栄養学的変種、およびカンジダ アルビカンスの死滅全菌体による 免疫処置は、ウサギにおける心内膜炎または初期敗血症の進行に対して防護効果 を示した(2,4,12,30,32,40)。これと対照的に、抗全菌体抗体はウサギを黄色ブ ドウ球菌性心内膜炎から防護する効果を示さなかった(17)。ブドウ球菌外套多糖 類/付着因子(PS/A)による免疫処置はウサギにおける表皮ブドウ球菌性心内 膜炎の発生を防止し(39)、また黄色ブドウ球菌由来のフィブロネクチン結合蛋白 による免疫処置はラットにおいて防護効果を示した(34)。 心内膜炎モデルを用いたワクチン研究から免疫予防が如何にして防護作用をも たらすかが判ってきた。特定の抗体のもたらす細菌,駆除増進または細菌付着抑 制による免疫性がこの疾患の病態発生において決定的に重要な初期処置になる(2 ,30,33,34,39)。 FimAはパラサングイス連鎖球菌(S.parasanguis)性心内膜炎において重要な 悪性決定因子であり、また細菌繁殖体において細菌のフィブリンにたいする接着 性を高めることに関わる。発明の概要 本発明の目的はごく普通の細菌に起因する、すなわち、連鎖球菌類(例えば、 口内連鎖球菌類)による心臓弁の感染症(心内膜炎)を予防する手段を提供するこ とである。本発明は、ヒトの口腔内に存在する多数の連鎖球菌種の表面に見られ る蛋白質の形態の組成物を考慮する。この蛋白は精製状態ではワクチンとして投 与可能であり、心内膜炎に対して防護作用をもたらす。FimAと呼ばれるこの物質 は、連鎖球菌種の一つ、すなわち、パラサングイス連鎖球菌(S.Parasanguis) に関してモデル化されているだけではあるが、多くの連鎖球菌および腸球菌に見 られる。動物における防護作用は、ヒト心内膜炎を十分な信頼性をもって模倣で きる齧歯類モデル系において従来から実証されている。 S.parasanguis FimA蛋白は、Qiagenp QE30プラスミド発現系を用いて過剰生 産・精製した。精製FimAを用いて心内膜炎のラットモデルにおけるワクチンとし ての有用牲を調べた。ワクチン作用のための投与処方は下記の通りであった。生 後9週間の雄のスプレーグ・ドーリー・ラットに、初回用量として、フロイント の完全アジュバントに乳化させた100μgの精製FimAを投与した。この抗原調製 液を、動物の横腹領域に6回の皮内注射を通じて与えた。同じ部位を3週間ののち フロイントの不完全アジュバントに溶解した100μgの蛋白のブースター投与に 用いた。ワクチン投与の2週間後、ワクチン投与ラットと対照ラットとに心臓カ テーテルにより心臓弁に外傷を施した。カテーテル挿入から24時間経過ののちに 、これらの動物にS.parasanguis FW213を与えて試験した。BHIブロスにおいてOD660 =0.6まで成育させた細菌の107接種体を尾静脈を通じて静注した。接種から48 時間経過ののちにこのラットを安楽死させ、病理解剖ののち恍形成(凝塊)にお ける細菌の存在に基づいて心内膜炎を判定した。FimAで免疫処置したカテーテル 挿入ラットは免疫処置なしの対照ラットと比較してS.parasanguis FW213による 病態惹起に対して防護されていた(p<O.001)。これらの結果は、FimAが心内膜炎 に対する防護作用のあるワクチン剤として作用していることを実証する。 さらに実験を行い、S.parasanguis起源のFimAには他菌種による感染性病態惹 起に対しても防護作用があることを実証した。ラットに上述のとおりS.parasang uis起源のFimAをワクチン投与し、次に口腔連鎖球菌(S.mitis)、唾液連鎖球菌 (S.Salivarius)およびミュータンス連鎖球菌(S.mutans)などのfimA発現性 連鎖球菌によって試験した。FimAワクチン投与ラットにおいて有意な病態減退が 観察された。 本発明の主要利点は、十分に安価で、安全で、高信頼性で、心内膜炎に対して 実効的な防護作用を持つことである。端的に言うと、本発明は心内膜炎に対する 一次防護ワクチン剤、心内膜炎予防法、および心内膜炎への防護に有用な調合組 成、およびそのワクチン調合組成の生成方法を含む。 本発明のワクチンは連鎖球菌性菌血症、すなわち免疫不全患者に次第に高頻度 で見られるようになった病態である菌血症の予防に使用することもできる。その 場合は、FimAを高用量の化学療法または放射線治療の前に、筋肉注射またはその 他の経路を通じて免疫不全患者(例えば、骨髄移植患者)に投与する。そうするこ とによって、患者の血流中の侵入連鎖球菌に対しオプソニン作用のある抗体を惹 起し、それによって、これら感染菌の駆除を強化する。図面の簡単な説明 上述のおよびそれら以外の目的、特徴、および利点は、図面を参照した本発明 の好ましい実施の態様に関する次の詳細な説明からさらによく理解されよう。図 面において、 図1は、fimAをpQE30発現ベクターに挿入してクローンする工程を示す模式図 である。pVT781由来のfimA DNAをPCRによって増幅した。プライマーはfimA DNA の両端を修飾してpQE30ベクターのマルチクローニング部位にSphI-HindIII断片 としてサブクローニングできるように設計した。この発現ベクターは1個のファ ージT5プロモーターと、2個のlacオペレーター配列とを含んでいた。E.coli宿 主細胞はプラスミドpREP4の多数コピーを持っており、このプラスミドは蛋白発 現の精密な調節を保証するlacI遺伝子をもつ。この構築体pVA2341はfimAの5’側 に村して6個のヒスチヂン残基から成る親和性標識を持つ。 図2は精製組み換えFimAの蛋白分析ゲルの写真である。より詳細に述べると、 この写真はクーマッシー青で染色したSDS-ポリアクリルアミド・ゲルを示す。レ ーン1は広範な分子量マーカー(Bio-Rad)を含み、レーン2は金属キレート・クロ マトグラフィ(MCAC)後の天然FimAを含み、レーン3はFPLCによるゲル濾過後のMCA C精製FimAを含む。 図3は、免疫処置ずみラットおよび非免疫処置ラットにおける血清中の抗FimA 抗体価の比較を示すグラフである。ラットはFimAで免疫処置し、同剤で一度ブー ストした。抗体濃度はEIAで測定した。平均抗FimA血清抗体価標準偏差(SD)を各 試験抗体希釈液についてプロットした。●−免疫処置ずみラット(n=6)、▲−非 免疫処置ラット(n=7)。 図4a-cはS.parasanguis株の接着性を示す棒グラフである。血小板フィブリ ン基質に対する細菌の接着性と吸着血清で培養したS.parasanguis FW2l3の血小 板フイブリン基質に対する接着性とを調べた。棒グラフは、血小板フィブリンに 対する平均接着百分比を標準偏差とともに示す。図4Aは、S.parasanguis株を 血小板フィブリンで被覆した使い捨て式のペトリ皿(60 x 15mm)において37℃で3 0分培養した場合の結果を示す。野生型FW213の接着性はfimA突然変異種VT900か らP<0.05の水準で得られた平均接着率と大幅に異なっていた。図4Bは、S.para sanguis FW213で吸着したウサギ血清中で培養したS.parasanguis FW213を血小 板フィブリン基質に曝した場合の結果を示す。予め免疫性血清で培養したS.par asanguis FW213の接着率は、免疫前血清で見られるものとの間で有意な差は示さ なかった(P=0.34)。図4Cは、VT930で吸着したウサギ血清中で培養したS.paras anguis FW213を血小板フィブリンに曝した場合の結果を示す。S.parasanguis F W213をVT930で吸着した抗FimA血清と培養すると、S.parasanguis FW213の血小 板フィブリン基質に対する接着性は阻止されたが(0.34%)、免疫前吸着血清によ る培養ではそのような阻止作用は認められなかった(5.04%)(p<0.001)。 図5は、fimA(配列特定番号1および配列特定番号6)と、GCGプログラム・パ イルアップから得られたその類似体とのヌクレオチド配列の部分の斉一性を示す ヌクレオチド配列(配列特定番号1-10)である。太字で示し括弧10および12で特 定したプライマー・ペアは、fimAのヌクレオチド151-173と868-893に対応し、脂 質蛋白受容体抗原(LraI)族の保存領域を表す。この族の遺伝子の平均の大きさは 長さ930bpである。プライマーは、5’GCTGGGGATAAGATCGAGCTCCACAG 3’(配列特 定番号11)および5’TTCATCATGCTGTAGTAGCTATCGCC 3’(配列特定番号12)である。 図6aおよび6bはfimA類似体の検出を示すゲルの写真である。図6aはfimA DN Aをプローブとして用いた連鎖球菌株由来のゲノムDNAのEco-RI消化結果のサザー ン・ブロットを示す。レーン1はfimA DNA、レーン2はS.mutans ATCC 7073、レ ーン3はS.bovis ATCC 43144、レーン4はS.oralis ATCC 10557、レーン5はS.s alivarius ATCC7073、レーン6はS.mitis ATCC 6249、レーン7はS.anginosus A TCC 27823、レーン8はE.faecium ATCC 19434を表わす。図6bは各種連鎖球菌株 由来のPCR増幅したゲノムDNAの0.8%ゲル電気泳動を示す。プライマー・ペアは図 5に記載したfimAのヌクレオチドに対応する。レーン1は分子量マーカー、レー ン2はS.parasanguis FW213、レーン3はS.mutans ATCC 25175、レーン4はS.bo vis ATCC 43144、レーン5はS.oralis ATCC 10557、レーン6はS.salivarius AT CC7073、レーン7はS.mitis ATCC 6249、レーン8はS.anginosus ATCC 27823、 およびレーン9はE.faecium ATCC 19434をそれぞれ表す。塩基対の大きさを図6 b左に示す。 図7は臨床分離菌におけるFimA様蛋白の発現を示すゲルの写真である。菌血症 患者からの臨床分離菌を50mlのBHIブロスにおいて37℃で48時間嫌気的に育成し た。細菌細胞をMiniBead(登録商標)ビーターを用いて破壊した。蛋白試料を10%T risGlycine SDS PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に電気転送し、ポリクロー ン性抗FimAにより標識探査した。この結合抗体を抗ウサギIgG西洋わさびペルオ キシダーゼ複合体、H2O2、および4-クロロナフトールの添加により視像化した。 レーン1は広範な分子量マーカー(BioRad)、レーン2はS.mutans ATCC 25175(こ の実験室菌株はFimAを発現しなかった。その後の実験により、S.mutansの多数 の臨床分離菌種においてFimAが発現されることが判明した)、レーン3はS.paras anguis FW213、レーン4はS.sanguis V2426、レーン5はE.faecium V2424,レー ン6はS.Salivarius V2471、レーン7はS.anginosus V2470、およびレーン8はE .faecalis V2437をそれぞれ表す。蛋白マーカーの大きさを図7の写真の左に示 す。36kDaの大きさの範囲に対応する矢印は反応性蛋白を示す。本発明の好ましい実施態様の詳細な説明 現在の治療術では、下記の二つの方法のいずれかを選んで心内膜炎に対処して いる。すなわち、 1.心内膜炎罹患の危険性のある患者に、口腔内連鎖球菌の血流への侵入を生ず る可能性のある予定ずみの処置(例えば、歯科的処置)に先立って、抗生物質の予 防薬を投与する。 2.心内膜炎に罹患した患者は通常慢性的心臓弁膜損傷を患っている。その損傷 の性質に応じて、その生得の弁を外科的に豚の弁または人工弁と交換する。 本発明は、これら方法とは別の手法を提供するものであり、心内膜炎に対する 初期の一次防護ワクチンについて記載する。 感染性細菌による心内膜炎の症例は、アメリカ合衆国だけでも、年間1万から4 万を数える。これらの感染の大部分は、S.sanguis、S.parasanguis、S.mutan sなどの菌種を含むビリダンス連鎖球菌類によって生ずる。細菌性心内膜炎は生 命を脅かすものであり、その治療には多額の費用を要する。すなわち、静注によ る有効な抗生物質治療処置を完了するには4週間から6週間の入院を必要とする。 連鎖球菌性心内膜炎罹患の素因としては、弁損傷、先天的心臓欠損症、およびリ ューマチ性心臓疾患が挙げられる。感染性心内膜炎罹患患者の90%に一つ以上の 素因がある。危険因子の特定に基づいて判断すると、年問7万5千人乃至10万人の 患者がワクチン投与を必要とするとみられる。この判断基準は、このワクチンを 高齢者層にも投与することにした場合には、さらに大きく拡大されることとなろ う。臨床家の間では、感染性心内膜炎が高齢患者にますます高頻度で現れること に対して懸念が高まっている。この高頻度の理由としては、加齢による心臓弁の 石灰化、免疫系の有効性の低下が挙げられる。アメリカ合衆国における65才以上 の高齢者人口は約3千百万である。この人口に対して有効性実証ずみのワクチン の投与率が毎年著しく増加している。例えば、インフルエンザワクチンや肺炎双 球菌ワクチンがこの年齢層に対して広く推奨され、投与されている。我が国の高 齢者人口は飛躍的に増大しつつある。65才以上の高齢者人口は、1980年から1989 年の間に21%増加した。これ以外の年齢層の増加は同時期においてわずか8%に留 まっている。医学的進歩で寿命が延びるにつれて飛躍的に増加している高齢者層 には、有効なワクチンは広く使用されるものとみられる。 FimAおよびその関連蛋白または蛋白断片が心内膜炎に対して有効なワクチンに なることを実証する実験が行なわれてきた。それらの実験においては、FimA免疫 処置の効能をラット心内膜炎モデルで評価し、抗FimAのS.parasanguis FW213の 血小板フィブリン基質に対する接着性に及ぼす作用を管内で調べ、ビリダンス連 鎖球菌類におけるfimA類似体の存在を判定し、各種連鎖球菌および腸球菌におけ るFimA様蛋白の存在を測定した。その結果から、FimA免疫化がラットのS.paras anguis心内膜炎に対して抗体仲介性の防護作用を与えることが判明した。S.par asanguisからのFimAはさらに、S.mitis、S.salvarius、およびS.mutansなど 上記以外の菌種による心内膜炎に対しても防護作用を与えることが実証された。 サザーン・ハイブリダイゼーション、PCR増幅、およびウェスタン分析は、ビリ ダンス連鎖球菌類および腸球菌類におけるfimA類似体の存在およびFimA様蛋白の 発現を示し、これらfimA蛋白およびその断片が心内膜炎に対する防護作用をもた らすものと期待されている。 本発明の実施においては、患者にビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類から得 られたFimAまたはその断片を投与して患者を心内膜炎または菌血症から防護する 。FimAの蛋白配列およびそれに対応するDNA配列はフェンノ他(Fenno et al.)著「 感染と免疫」誌(Infect,Immun.)57:3527-3553(1989)に記載されている。このワ クチンは、当業者に周知の非腸管性投与経路(例えば、静注、筋注、皮内、皮下) 、経口経路、舌下経路、経皮経路、その他の経路から投与することができる。好 ましい伝達手法は非腸管性経路である。FimAは搬送液(例えば、食塩水などの水 性液、油性液、または、乳剤)、安定化剤、防腐剤(例えば、パラベン類、塩化ベ ンザルコニウム(BAK)など)などと適宜組み合わせて伝達経路に投与することもで きる。経口性ワクチンの場合、搬送剤は固相のラクトース系物質で構成すること もできる。 本ワクチンのFimA蛋白はFimAに対する患者生体喚起抗体による防護作用をもた らすのに十分な量を投与しなければならないが、塊状用量の後の追加投与として 、単回塊状用量として、また患者やワクチン調合組成によってはその他の投与法 に従って投与することもできる。 本ワクチンのFimA蛋白またはその断片は各種連鎖球菌類または腸球菌類から単 離することができ、後述のとおり細菌細胞、哺乳動物細胞または植物細胞宿主に おいて組み換えによって生成することもでき、また上記以外の手段によって製造 することもできる。下記の方法では、FimAに対する遺伝子を単離し、プラスミド に転送し、E.coli(大腸菌)宿主における生成に備えることを示す。しかし、こ の遺伝子が広範な種類の多様な細胞系に転送・発現でき、またそれらの系や動物 もしくは植物生体から回収可能であることは当業者に明らかであろう。 FimAの組み換え生成はFimAまたはそれに続くペプチドを融合蛋白とするような 形で達成することもできる。FimAの免疫原性や安定性を高めるように他の蛋白と 融合させることがその融合蛋白構築体にとって望ましい結果をもたらすことにな ろう。 異種の感染源に関する実験結果から見て、FimA蛋白の供給源はビリダンス連鎖 球菌類および腸球菌に起因する心内膜炎または菌血症向けのワクチンとしてのそ の蛋白の効能を限定することはない。 しかし、ワクチンはビリダンス連鎖球菌類と腸球菌類との混合物から得たFimA 蛋白の混合物の形態をとってもよい。FimA蛋白の断片をワクチンとして用いる場 合はその蛋白を十分量含んでいて、それによる免疫化が抗体仲介性防護作用を生 ずるようになっていなければならない。材料と方法 [細菌株、プラスミド、および培養液]野生型S.parasanguis FW213、その同種 由来fimA、VT930(FimA蛋白を発現しない)、およびE.coli,VT786、FimA生成組 み換え菌株については既に公知である(13,14)。M15 E.coli宿主菌種、pQE30発 現ベクター、およびpREP4リプレッサー・プラスミドはQiaexpress系(Qiagen Inc .,カリフォルニア州Chatsworth)からのものである。連鎖球菌株は0.35%ブドー 糖を合む脳・心エキス・ブロス(BHI)において37℃で嫌気的(10%CO2、10%H2、80% N2)に育成した。E.coli菌株はルリア・ベルターニ(Luria Bertani)(LB)ブロス( Life Technologies,Inc.,メリーランド州Gaithersburg)中で育成した。寒天を 1.5%の最終濃度となるように加え、固相培養体を調製した。BHI、ブドー糖、お よび寒天はディフコ社(ミシガン州デトロイト)から入手した。アンピシリン(100 μg/ml)とカナマイシン(pREP4含有菌株を維持するためには25μg/ml、またはV T930を維持するためには100μg/ml)(シグマ化学、ミズーリ州セントルイス)を細 菌およびプラスミド選択のために添加した。細菌培養体を30%グリセロールを含 むBHI中で70℃で保存した。 [DNA法]プラスミドDNAはQiagenプラスミド精製プロトコルを用いて単離した。 アガロース・ゲル電気泳動プロトコルはSambrock他(28)のものを用いた。制限エ ンドヌクレアーゼはBestheda Research Laboratories,Inc.(メリーランド州Gai thersburg)から購入した。また、酵素による消化をメーカーの指示に従って実施 した。連鎖球菌染色体DNAの調製は前に記載した通りである(35)。 [蛋白生成と精製]組み換えFimAの発現と精製は、Qiaexpress発現およびニッケ ル-ニトリロ三酢酸(Ni-NTA)蛋白精製系を用いて行なった。過剰発現プラスミドp VA2341を構築するのに用いたクローニング法を図1に示す。プラスミドpVT781は E.coli VT786から単離した(26)。pVT781は、fimAをNdeI-BcII断片としてpET3a 発現ベクターに挿入してサブクローニングすることによって構築した。fimA DNA は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅した。fimAをPCR増幅するのに用い たオリゴヌクレオチドはBio-Synthesis,Inc.(テキサス州Levisville)が合成し たものである。fimAヌクレオチド1-17および916-930に対応するオリゴヌクレオ チド配列は5’ACATGCATGCAAAAAAATCGCTTC 3’(配列特定番号13)および5’CCCAAG CTTACTGACTCAATCC 3’(配列特定香号14)であった。プライマーはfimA DNAの両端 をSphI-HindIII断片としてpQE発現ベクターに挿入してサブクローニングできる ように設計した。これらのオリゴヌクレオチドに組み込まれた制限部位を太字で 示す(GCATGC=SphI,AAGCTT=HindIII)。pQE30のマルチクローニング領域は、BamH I,SphI,SacI,KpnI,SmaI/XmaI,SalI,PstI,および、HindIII用の制限エン ドヌクレアーゼ部位を含む。SphIおよびHindIIIによる方向性クローニングを用 いてpQE30に組み込むと、fimAのアミノ基末端に6個のヒスチジン残基の延長が生 じた。この発現構築体をlacI遺伝子を持つプラスミドpREp4を含むM15宿主株に変 換した。変換体は、アンピシリンとカナマイシンを含むLB寒天プレート上で選択 し、さらにDNA制限酵素分断分析によってfimA遺伝子が適正に挿入されているか どうかをスクリーニングした。 組み換えFimAの発現を小規模培養体から得た蛋白質の調製・分析により立証し た。変換体の単一のコロニーを100μg/mlのアンピシリンおよび25μg/mlのカ ナマイシンを含む1.5mlのLB培地に接種し、一晩成育させた。飽和培養体1.25ml を予熱ずみの抗生物質含有LB培養液8.75mlに加えた。発現誘発前に1ml標本を取 り、未誘発対照試料として用いた。現はイソプロピルβ-D-チオガラクトピラノ シド(IPTG)を最終濃度2mMとなるように加えて誘発した。発現の時間経過は1時間 間隔で1ml標本を採取して判定した。細胞は最大5時間まで育成した。細胞を遠心 分離で収集し、その細胞ペレットをすべての試料について後続の処理のための準 備が整うまで-20℃で保存した。細胞はメーカーの指示による変性条件下で精製 した。試料をドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド・ゲル電気泳導(SDS PAGE)によって分析し、蛋白をクーマッシー青染色によって視像化した。 FimAの大規模発現には、100μlのストック培養体で100μg/mlのアンピシリ ンおよび25μg/mlのカナマイシンを含むLBブロスにおいて、20mlの開始培養体 を一晩成育させた。抗生物質を含む1リットルのLBブロスに、未誘発一晩育成 培養体を1:50で接種し、これらの細胞を37℃で活発に撹拌しながらOD600が0.7 になるまで成育させた。これらの細胞を、2mM IPTGによって誘発し、さらに5時 間培養した。細胞を遠心分離によって収集し、10mM トリス-HCl(pH 8.0)に懸濁 し、Frenchプレッシャー・プレス(SLM Instruments Inc.,イリノイ州Urbana)で 破壊した。この細胞溶解液をベックマンSW28ローター(Beckman Instuments,Inc .,カリフォルニア州Pablo Alto)で25,000rpmで遠心分離し、上清をNi-NTAカラ ムにロードした。このカラムを10mMイミダゾール含有10mMトリス-HCl(pH8.0)でA 280が基礎レベルに戻るまで洗浄し、同蛋白をトリス-HCl(pH8.0)に溶解した100m Mのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)により溶出した。同蛋白を蛋白用高速液体ク ロマトグラフィ(FPLC)(ファルマシアLKB、ニュージャージー州Piscataway)を用 い、Sepharyl S-100によるゲル濾過によってさらに分画した。 FimAを発現した構築体におけるサブクローンずみのDNAのヌクレオチド配列をD NA配列法によって確認した。自動化配列反応は、サンガー式ジデオキシ鎖延長停 止法(PRISM反応急速染色識別DyeDeoxy鎖延長停止サイクル配列キット、Applied Biosynthesis Inc.,カリフォルニア州Foster City)により、メーカーの指示に 従って実施した。 [蛋白分析]15% SDS-PAGE(Bio-Rad Laboratories、カリフォルニア州Hercules) とウェスタン・イムノブロットをメーカーの指示に従って行った。ゲルは、クー マッシー・ブリリアント青(シグマ)によって染色し、背景が透明になるまで脱色 液(40%メタノール、10%酢酸、および、50%蒸留水)に浸した。Bio-Rad社から市販 されている分子量標準(サイズ範囲7,200-208,000)を用いた。蛋白濃度は、牛血 清アルブミン(BSA)を標準として、ローリ一法(23)によって定量した。 [ポリクローン性抗血清の生成]FimAに対する抗血清は0.5mlのりん酸バッファ ー生理食塩水(PBS)(pH 7.4)にFimA 0.5mgを懸濁させ等量のフロイント完全アジ ュバント(CFA)に乳化させて雌のニュージーランド白ウサギの頸背部に皮下注射 することによって調製した。フロイントの不完全アジュバント(IFA)に溶解した0 . 5mg FimAのブースター注入を3週間後に行なった。抗血清を収集し、酵素イムノ アッセー法により抗体価を調べた。この方法によると免疫化前の血清はすべて陰 性であり、免疫血清は≧100,000の抗FimA抗体価を持っていた。血清はすべて必 要あるまで70℃にて保存した。ウサギへの注射は、バージニアコモンウェルス大 学動物ケア・使用制度委員会(VCUIACUC)許可番号9504-2137によって実施した。 [酵素免疫測定(EIA)]FimAの免疫学的検出のための過程はシグマ杜(研究用・診 断用試薬のための生体化合物および有機化合物、1955)のものを一部手直しした ものである。EIAプレート(Costar、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を炭酸塩- 重炭酸塩バッファー(pH 9.5)に溶解した10μg/mlのFimAで被覆し、洗浄バッフ アーでブロックした。各個体からの血清をPBS中で順次希釈化した。二次抗体用 に最適の希釈率を抗体価定量時に求めた。ペルオキシダーゼ複合ヤギ抗ウサギ抗 体(シグマ社)、またはベルオキシダーゼ複合マウス抗ラット抗体(Jackson Immun oresearch laboratories,Inc.,ペンシルバニア州West Grove)はTMBlue基質(TS I Center for Diagnostic Product,マサチューセッツ州Milford)によって検出 し、発色を1N H2SO4で停止させた。プレートを700MRミクロプレート・リーダー( Dynatech Laboratories,Inc.ヴァージニア州Chantilly)で読んだ。抗体価は基 質添加10分後においてA450≦0.10を与える血清の最大希釈度の逆数として表わし た。 [免疫処置プロトコル]スプレーグ・ドーリー・ラット1匹当たりの免疫処置用 量は、CFAに溶解した100μgのFimAを含んでいた。この用量をラットの右脇腹の 剃毛領域内の6つの互いに異なる箇所に皮下注射した。3週間ののち同じ領域にIF Aに溶解した100μgの蛋白から成るブースターを注入し、後述のカテーテル挿入 と細菌による病態惹起を最初の免疫処置から6週後に実施した。第2の実験におい ては、ブースター投与から2週間後に、非免疫処置ラットと免疫処置ずみラット との心臓穿刺による脱血を行い血清抗体価を定量した。 [心内膜炎のラット・モデル]本実験に用いた心内膜炎のラット・モデルは、マ ンローとマクリナ(Munro and Macrina,24)の論文に記載されている。動物使用 の承認は、実験開始の前にVCU IACUC(プロトコール番号9410-2082)から得た。雄 性スフルーグ・ドーリー・ラット(Harlan、インディアナ州インディアナポリス) を心臓カテーテル挿入から1-5日後に1 x 107個の細菌によって病態惹起した。免 疫処置ずみラットと非免疫処置ラットとの間の連鎖球菌感染による疣形成数の差 の有意性をフィッシャーの厳密試,験によって計算した。 [血小板フィブリン接着アッセー法]シェルド他著の論文(Scheld et al.,32) 、および、マンローおよびマクリナ著の論文(Munro and Macrina,24)記載の方 法を用いた。細菌を調製するために、BHIにおける連鎖球菌の一晩育成培養体を 新鮮BHIで1:10に希釈し、嫌気的に660nmにおいて約0.6の光学的密度になるまで 育成した。細菌をPBSで洗浄して超音波処理し、1ml当たり細胞1 x 108個になる ように希釈した。ある実験では、これらの細菌を免疫処置前血清または免疫処置 ずみ血清のいずれかと37℃において30分培養した。培養中10分おきにVotexミキ サーにより30秒撹拌し、連鎖球菌が個々の細胞に(鎖状でなく)なるようにした。 この試料を遠心分離し、PBSで洗浄した。また別の実験では、免疫処置ずみ血清 および免疫処置前血清をS.parasanguis FW213またはVT930(1 x 104 CFU)の一晩 育成培養体1mlに4℃で24時間吸着させた。フィブリン血小板基質を調製するため に、ヴァージニア医科大学(MCV)病院血液銀行から購入した乏ヒト血小板血漿(血 小板含量≦50,000/cm3)1mlを、0.2M CaCl20.4mlおよび牛トロンビン(Bakster Di agnostics Inc.,イリノイ州Deerfield)と100NIH U/mlになるように混合した。 接着性を定量するために、細菌液lmlを、血小板フィブリン基質の上に置き、緩 やかに撹拌しながら37℃で30分間培養した。非接着細胞をこの血小板フィブリン 基質から除去し、その表面をPBSで4回洗浄した。2.5%トリプシン溶液0.5mlを加 えてこの基質を溶解した。この液を超音波処理し、連続希釈し、さらにBHI寒天 プレートに接種した。このプレートを37℃で48時間嫌気的に培養した。接着百分 率を(回収されたコロニー形成単位数)/(血小板フィブリン・プレートに導入し た細胞数)x100として計算した。 [サザーン・ハイブリダイゼーション]EcoRIで消化した染色体DNA3μgをH5型 水平ゲル装置(Life Technologies、Inc.)により0.8%トリス-硼酸(TBE)アガロー ス・ゲルで15Vで24時間電気泳導した。このゲルを0.25M HClで15分間プリン除去 し、0.05M NaOHと1.5M NaClを含む液に30分浸して変性し、2.5M NaOHおよび1.0M CH3COONH4を合む液に1時間浸して中和した。DNA断片を孔径0.45mのニトロセル ロー ス膜(Micron Separations Inc.,マサチューセッツ州Westboro)に毛細管作用に よって転送した(35)。このDNAを2400型UVStratalinker(Stratagene、カリフォル ニア州ラホヤ)による紫外線照射によって、上記膜の上に不動化した。完全長fim Aのプライマー・ランダム付与放射線標識プローブをPrime-a-Gene(Promega社)を 用いて生成した。5X SSPE(0.75M NaCl,5mM EDTA,0.05Mm NaH2PO4),5X デンハ ルト試薬、100μg/mlサケ精子DNA、および25%ホルムアミドを含むハイブリダイ ゼーション先行バッファで42℃で1時間培養した。前記ランダムに標識したプロ ーブによるハイブリダイゼーションを、5X SSPE、1X デンハルト試薬、100μg/ mlのサケ精子DNA、および25%フォルムアミドを含む溶液中で42℃で18時間行なっ た。ハイブリダイゼーションのあと、膜を室温で0.1% SDS含有2X SSPEで2回(そ れぞれ15分ずつ)洗浄し、次に、0.1% SDSを含む0.1X SSPEで2回洗浄し(それぞ れ15分ずつ)、未結合のプローブを除去した。ハイブリダイゼーション前工程、 ハイブリダイゼーション、および洗浄の諸工程は、Savant Gene Roller ハイブ リダイゼーション・オーブン(Savant Instruments,Inc.,ニューヨーク州Holbr ook)の中で行った。この膜を、Reflectionオートラジオグラフィー・フィルム(D u Pont-NENG Research Products,デラウェア州Wilmington)に曝した。 [fimA類似体を実証するためのPCR増幅]オリゴヌクレオチドを連鎖球菌種由来 のfimA類似体を増幅するように設計した。合成オリゴヌクレオチド5’GCTGGGGAT AAGATCGAGCTCCACAG 3’(配列特定番号11)(図5のヌクレオチド151から173)およ び脂質蛋白受容体抗原I(LraI)遺伝子族のよく保存された領域に見られるfimA関 連配列から得た5’TTCATCATGCTGTAGTAGCTATCGCC 3’(配列特定番号12)(ヌクレオ チド868から893にたいして相補的)を、サザーン・ブロットに使用される連鎖球 菌種のゲノムDNA由来のDNA断片をPCR増幅する際のプライマーとして用いた。ヌ クレオチド関連体は、930bpの生得fimA遺伝子に対応した。GenAmp PCRコア試薬( Perkin Elmer Corp.,コネチカット州Norwalk)を用い、反応を自動熱サイクラー 、GeneAmp PCR System 9600(Perkin Elmer Corp.)により28サイクル(94℃30秒、 55℃20秒および72℃45秒)にわたって実施した。反応生成物を0.8%アガロース・ ゲル電気泳導により分折した。 [蛋白分析のための細胞溶解物の調製]陽性血液培養体を示した患者からの連鎖 球菌臨床菌種をMCV(バージニア・コモンウェルス大学)病院診断微生物学研究室 から入手した。細菌を50mlのBHIブロスにより37℃で48時間嫌気的に育成した。 この細胞を4000Xgで4℃で10分間遠心分離して収集した。この細胞ペレットをBHI に最終容量が1mlとなるように懸濁し、半分体積の0.1mmジルコニウム・ビーズ(B iospec Products,オクラホマ州Bartersville)を含むミクロ遠心管に移した。こ の細胞をミニ・ビーズ・ビート・ホモジェナイザー(Biospec Products)で2分間 破壊した。ビーズと細胞破片を、12,000Xgで5分間遠心分離して除去し透明な細 胞溶解液を得た。この溶解液を蛋白分析の実施まで4℃で保存した。結果 [FimAの過剰発現と精製]fimA挿入変異種VT930は野生型のS.parasanguis FW2 13に比べてラット心内膜炎モデルにおける悪性低下効果が著しいことが実証され た。管内実験データから悪性はFimAのフィブリンに対する接着性に関連するもの と推論された。生体内実験および管内実験をさらに進めるために、Qiaexpressシ ステムを用いて組み換えFimAを生成した。fimAのpQE発現ベクターへの挿入によ るクローニングは、「材料と方法」(図1)記載のとおり行った。オリゴヌクレオチ ド・プライマーを合成し、PCRによってfimAを増幅した。このDNA生成物をpQE30 ベクターに挿入してサブクローニングした。発現ベクターは1個のファージT5プ ロモーターと2個のlacオペレーター配列を含み、それによってlacリプレッサー 結合の確率を高め、T5プロモーターの有効な抑制を確実にする。このプラスミド はさらに効率的な翻訳のための1個の合成リボソーム結合部位と2個の転写終結配 列、すなわち、ラムダ・ファージ由来のtOとE.coliのrrnBオペロン由来のti とを有し、これによって読みすぎ転写を防止し発現構築体を安定化させた。6個 連続のヒスチヂン残基タグと開始コドン(ATG)を、ポリリンカー配列の上流とし た。E.coli M15宿主発現種は、pREP4プラスミドを含んでいた。この構築体の中 のサブクローンDNAのヌクレオチド配列を分析し確認した。この6Xヒスチヂン残 基は生得条件下でE.coli溶解物粗標本からFimAを精製する際に好都合な親和性 タグとして作用した。Ni-NTA樹脂金属キレート吸着剤は大部分の汚染性蛋白の分 離を可能にした。それ以外の汚染物質は後続のゲル濾過によって除去した。組み 換え菌種VA2341は0.5mg/リットルのFimAを発現した。 図2に示すとおり、6Xヒスチヂン・タグをもつFimAはSDS-PAGEゲルにおいて比 較的ゆっくりと移動し、予想された36kDaの大きさよりも外見上大きくなった。 分解産物とみられる低分子量生成物が認められた。分子量分析に基づき、生得Fi mAは単量体および二量体の形で現れていると認められた(図2右側の矢印参照)。 [非免疫処置ラットと免疫処置ラットの心内膜炎に対する感受性]ラットの心内 膜炎感受性に及ぼすFimA免疫処置の効能を調べた。ワクチン投与ラットおよびワ クチン非投与ラットにカテーテル挿入から24時間後にS.parasanguis FW213を接 種した。細菌接種から48時間後にそれらラットを屠殺し心臓を摘出した。カテー テルの適正な挿入および疣形成の有無を視覚的に評価した。カテーテル挿入が適 正であったラットのみをこの分析に含めた。心内膜炎の進行は培養繁殖体からの 連鎖球菌の回収率によって判定した。33匹の非免疫化ラットのうち21匹(61%)がS .paransanguis性心内膜炎を発症しており、これはFimA免疫処置ずみの34匹のラ ットのうちの2匹(6.1%)の発症と対照的であった(p<0.001)(表1)。このように、F imAの予防接種によってこのモデルにおける対心内膜炎防護免疫が得られた。 表1.S.parasanguis FW231で病態惹起したラットにおけるFimA免疫処置の防護 効果 ラット 感染数/全数 感染パーセント 非免疫処置 21/33 61.8 免疫処置ずみ 2/34 6.1 このラットモデルは、ラットの循環系の構成がヒトのものと類似しており、感 染の経路およびその結果が臨床的に類似しているので、ヒト心内膜炎感染にも適 合するものと考えられる。ラットからの感染菌繁殖体とヒトからの感染菌繁殖体 は顕微鏡では視覚的に区別できない。 [異種菌による病態惹起]異種菌感染による病態惹起への防護効果を調べるため に、S.parasanguis由来のFimAを試験した。前述のとおりS.parasanguis起源種 (S.parasanguis FW213)のfimAでラットに予防接種し、カテーテル挿入から5日 後に別のfimA発現性連鎖球菌種を接種した。この実験で3種の連鎖球菌種を試み 、その結果を表2に示す。 表2.一つの微生物からのFimAによる免疫処置がそれ以外のFimA発現性微生物に もたらす防護効果。 微生物 感染ラット数/全数(%) 感染ラット数/全数(%) p値 ワクチン投与なし FimAワクチン投与 S.minus 5/7(71%) 4/21(26%) 0.0196 S.salvarlus 5/8(63%) 2/24(8%) 0.048 S.mutans 10/15(66%) 7/23(21%) 0.0077 *p値は、フィッシャーの厳密確率テストを用いて計算した。 試験した分離菌は全て血液培養体から得た臨床起源のものであった。S.mutan sのデータは、この種に属する3種類の臨床分離菌、すなわちHaeIII-DNA制限断片 パターンが同一の遺伝子型の3種類の臨床分離菌による感染からのプールしたデ ータを表わす。p値は全て高度に有意であって防護効果がFimAワクチンによって もたらされることを示す。すなわち、これらのデータは、FimAがS.parasanguis について実証されたとおりそれ以外の上記種類の菌においても菌力因子であるこ とを示している。 これらのデータはその必要性を示唆するものではないが、このワクチンにはい くつかの互いに異なる起源種由来のいくつかの互いに異なるFimA蛋白を含めるこ ともできる。 [ラットにおける抗FimA抗体価の測定]体液性免疫は多くの疾患において重要な 防御機構となる。FimAによる免疫処置に伴う防護作用と抗体の誘導とが相関して いることを実証するために、抗FimAレベルを免疫処置ずみのラットと非免疫処置 ラットとの間で比較した。図3に示すとおり、免疫処置ずみラットは1:10,000 乃至1:100,000の範囲の抗FimA抗体価を生じたのに対して、対照ラットにおい て は抗FimA抗体は検出されなかった。免疫処置ずみラット7匹のうち6匹が高い抗 体レベルを示した。免疫処置ずみラット1匹および非免疫処置ラット7匹のうち 7匹には測定可能な抗fimAレベルを示さなかった。 したがって、このワクチンで用いるFimAは十分な量でFimA断片の場合は十分な 大きさを備え、患者の体が免疫反応において対FimA抗体を惹起できるようにしな ければならない。図3は、有効ワクチンにおける抗体価が、1:10,000乃至1: 100,000の範囲にあることを示す。 [管内における細菌接着性]心内膜炎発生の決定的段階は無菌の疣形成を伴う心 内膜病変部に菌を初期集落形成する段階である。これまでの実験から、野生型S .parasanguis FW213(添加細胞の2.1%)はfimA挿入変異種(添加細胞の0.12%)よ りも格段によくフィブリン単層に付着することが判明している(7)。生体内にお ける疣形成をさらに正確にシミュレートするために、血小板フィブリン基質につ いて接着実験を行った。 血小板フィブリン基質を調製し、連鎖球菌の接着率(%)を算定した。三つの複 製実験、すなわちその各々について3通り行なった三つの複製実験から得られた 接着および免疫ブロック定量の結果を図4a-cに示す。 野生型S.parasanguis FW213の管内血小板フィブリン基質に対する接着性能を 試験し、その同一遺伝子系fimA挿入変異種VT930のものと比較した(図4A)。VT93 0の接着性(添加細胞の0.74%)は野生型(添加細胞の7.4%)よりも低かった(p<0.05 )。 FimAはフィブリン結合性接着因子であるので、抗FimA抗体が、仇形成体の集落 形成を阻害するかどうかを試験した。図4Bに示すとおり、免疫血清を予めS.pa rasanguisよって吸着しても、S.parasanguis FW213の血小板フィブリン基質(添 加細胞の4.9%)への接着性能は影響されなかった(図4B)。一方、S.paransangui s FW213をVT930で吸着した抗FimA血清で培養するとS.parasanguis FW213の血小 板基質にたいする接着性(添加細胞の0.34%)は阻止されたが、同様に吸着された 免疫処置前血清で培養してもそのような阻止作用は観察されなかった(5.04%)(p< 0.001)(図4C)。 これらの結果はFimA免疫処置の防護機構がビリダンス連鎖球菌類および腸球菌 類の血小板フィブリン・トロンビンに対する付着の阻止であることを示唆する。 [ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類に見られるfimA類似体]fimAはLral族の 接着因子に属する蛋白をコード化する5個の既知遺伝子のうちの一つである(20) 。先天性心臓弁心内膜炎を通常引き起こすビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類 にfimA類似体が存在するかどうかを判定し、連鎖球菌性心内膜炎予防ワクチンの 調製の可能性を探索した。EcoRIで消化しfimA全長DNAで調べた連鎖球菌ゲノムDN Aのサザーン・ブロット分析は、調査対象の7種の連鎖球菌種のうち6種において 反応性断片の存在を示した(図6A)。fimAと共に移動する交雑断片がS.mutans A TCC 25175,S.oralis ATCC 10557およびS.salivarius ATCC 7073で観察された 。互いに異なる分子量で交雑度の低い断片が、S.salivariusおよびS.anginosu s ATCC 27823で観察された。このプローブは、S.bovis ATCC 43144ともE.faec ium ATCC 19434とも反応しなかった。 図6Bに示すとおり、PCR反応は、S.mutans,S.oralis,S.salvariusおよび S.anginosus由来の800bpDNA断片を増幅したが、これらの断片はS.parasanguis FW213由来の増幅断片と共に移動した。S.salvariusおよびE.faeciumからはさ らに大きいDNA断片が増幅された。これらの結果をまとめると、サザーン・ブロ ットとPCR分析の結果は調査対象の各種ビリダンス連鎖球菌類および腸球菌類にf imA類似体が存在することを示す。 上述の結果は連鎖球菌類および腸球菌類の中にごく近縁の遺伝子が存在するこ とを示す。S.parasanguisの fimA配列からのオリゴヌクレオチド・プライマー を用いてS.mutans ATCC 25175,S.oralis ATCC 10557およびS.salvarius ATC C 7073で同じ大きさのDNA断片が増幅されるという実験結果からも上記結論を理 解できる。E.faecium ATCC 19434,S.salvarius ATCC 7073およびS.anginosu s ATCC 27823において観察されるごく僅少の成分は、そのfimA様の遺伝子が、濃 度の低いfimAの配列類似体を発現していることを示唆する。 上述のとおりS.Parasanguis由来のFimAによる生体内試験で防護作用が互いに 異なる種類の連鎖球菌にもたらされることが実証された。 [ビリダンス連鎖球菌類と腸球菌類におけるfimA類似体の発現]FimAは連鎖球菌 および腸球菌の細胞表面に見られる蛋白であり、脂質蛋白受容体接着因子族に属 する(5,16,29)。心内膜炎を引き起こすビリダンス連鎖球菌および腸球菌のうち のいくつかの種がこれらの蛋白をコードする遺伝子を有することが知られている 。マンデル他(Mandell et al.)(「感染症の理論と実際」、”Principles and Prac tice of Infectious Diseases,”第4版、Churchill Livingstone、ニューヨー ク、1995年、753ページ)によれば、連鎖球菌は心内膜炎症例原因の60-80%を占め るという。ビリダンス連鎖球菌だけで全症例原因の30-40%を占める。 S.Parasanguis由来のFimAに対して喚起されたポリクローン性抗体を用いて、 他の連鎖球菌類および腸球菌類に関連抗原が存在するか否かを測定した。臨床患 者の血液分離菌をポリクローン性抗血清による免疫ブロット(ウェスターン・ブ ロット)でスクリーニングした。表3はもっとも高頻度で心内膜炎を引き起こす細 菌の間でFimAが広く発現されることを示す。 表3.連鎖球菌および腸球菌の血液分離標本のポリクローン性抗FimAに対する反 応性 微生物 FimA-陽性 FimA-陰性 合計 E.faecalis 10 6 16 E.faecium 2 0 0 S.anginosus 1 0 0 S.salvarius 4 0 4 S.sanguis 9 0 9 S.mutans 10 0 10 S.mitis 1 0 1 栄養学的に 4 0 4 欠陥のある 連鎖球菌 (S.defectivus) S.mitisとS.defectivusの場合は、心内膜炎患者の血液からの多数の分離菌 についての測定から、一様にFimA様抗原を発現することが判明した。表3に見ら れるS.mutansのデータは10種類の心内膜炎分離菌から得たものである。一方、 歯苔からのS.mutans分離菌では4種のうち1種だけにFimA蛋白が発現することが 判明した。 FimA様の蛋白が菌血症患者からの連鎖球菌および腸球菌の臨床分離菌に普通に 発現することを示す表3のデータのほかに、図7はFimA抗血清がFimAと共に移動 する蛋白を検出することを示しており、それら蛋白の類似性を示している。 表3並びに図6A、6Bおよび図7に示した結果は、ワクチン剤としてのFimAの 使用のもとになる考え方に分子レベルの免疫学的根拠を提供するものである。第 1に、fimA遺伝子およびそれによってコード化される蛋白はグラム陽性細菌、と くに心内膜炎発症に頻繁に関わる微生物の中に保存される。第2に、これら蛋白 は自然状態で発現され、直接の証拠によっても、推論によっても、微生物の心内 膜炎発症能力に加担していることがわかる。第3に、S.parasanguis由来の典型 FimAをS.parasanguis以外のfimA生成微生物(例えば、S.mitis、S.mutans、S .Salivarius)によって動物に惹起される心内膜炎に対して免疫性を与えるよう に使用できる。したがって、この発明ではFimAは、FimAおよびFimA様蛋白並びに これらの蛋白を発現することが既知である諸菌種からのこれら蛋白の断片および 融合蛋白を意味する。 ビリダンス連鎖球菌類が心内膜炎を起しやすいのは、この菌の接触能によるも のとみられる。口腔内連鎖球菌および腸球菌由来のLraI族接着因子に属するいく つかのFimA様細胞表面蛋白が特定されている(5,16,29)。それらの蛋白をして、S .parasanguis由来のFimAのほかに、Enterococcus faecalis由来のEfaA(3,5)、S treptococcus penumoniae由来のPsaA(29)、Streptococcus gordonii由来のScaA( 3,5,29)およびStreptococcus sanguis由来のSsaB(15)が挙げられる。これらのう ち、EfaAおよびFimAは、心内膜炎の病因と関連づけられている(3,5,16,29)。前 述のとおり、E.coliにおける組み換えFimAの発現と精製には、Qiaexpressシス テムを使用することができる。図2に示したとおり、天然FimAの比較的純粋な標 本がNi-NTAカラムから溶出し、他の非特異的汚染物はゲル濾過により効率的に除 去された。FimA単量体および二量体がクーマッシー青染色SDS PAGEゲルの中に明 らかに認められた。他の過剰発現、および再帰プロトコルを用いれば、FimAのポ リマー型も生成されるかもしれない(26)。 FimA接着因子をワクチンとして用いる理論的根拠は、それに対する抗体が細菌 の接着を阻害し、それによって悪性を低下させることである。痣形成体が移植さ れ、細菌がフィブリンおよび血小板で覆われると、これら病原体は食菌作用にか けたり貧食作用にかけたりしにくくなる。上に示したデータは、免疫処置ずみの ラットがその後にS.parasanguis FW213を接種されても、非免疫処置ラットに比 べてより感受性が低いことを示す。免疫処置ずみラット7匹のうちの6匹(86%)が 高い抗FimA抗体価を示し、対照動物は全てFimAに対して認識可能な抗体を示さな かった(図3)。さらに、S.parasanguis由来のFimAは、異種菌による感染性接種 にたいして防護作用を示した。 本発明のワクチンは連鎖球菌性菌血症、すなわち免疫不全患者に多く見られる 臨床状態である菌血症の予防に使用することもできる。その場合はFimAを免疫不 全患者(例えば、骨髄移植患者)に高用量化学療法や放射線治療の前に筋肉注射ま たはその他の経路で投与し、それによって患者の血流に侵入する連鎖球菌に対す る有効な抗体の喚起を達成し、これら感染源の除去を強化する。 本発明を好ましい実施態様に基づいて説明してきたが、本発明が添付の請求の 範囲記載の請求項の真意および範囲を逸脱することなく変形を伴って実施できる ことは当業者には理解されよう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ムンロ,シンディ エル. アメリカ合衆国 ヴァージニア州 23225 リッチモンド,グレンカヴ レーン 1848 (72)発明者 ヴァイカウント,ヘレン ビー. アメリカ合衆国 メアリーランド州 21702 フレデリック,フェアフィールド ドライブ 125 (72)発明者 バーネット―カーリイ,ダナ アメリカ合衆国 ヴァージニア州 23111 メカニクスヴィル,チェンバレイン ロ ード 9386

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.患者に心内膜炎予防ワクチンを投与する方法であって、前記患者に有効量の FimA蛋白を投与する過程を含む方法。 2.前記FimA蛋白が連鎖球菌から誘導される請求項1記載の方法。 3.前記FimA蛋白がS.parasanguisから誘導される請求項2記載の方法。 4.前記FimA蛋白が腸球菌から誘導される請求項1記載の方法。 5.前記投与する過程を非経口的に行う請求項1記載の方法。 6.坦体に分布させた有効量のFimA蛋白を含む心内膜炎または菌血症用ワクチン 。 7.前記FimA蛋白が連鎖球菌から誘導される請求項6記載のワクチン。 8.前記FimA蛋白がS.parasanguisから誘導される請求項7記載のワクチン。 9.前記FimA蛋白が腸球菌から誘導される請求項6記載のワクチン。 10.前記坦体が注射可能な流体である請求項6記載のワクチン。 11.細胞からFimA蛋白を得る過程と、 前記FimA蛋白を坦体に有効量だけ組み合わせる過程と を含む心内膜炎用ワクチンの製造方法。 12.前記得る過程における前記細胞が組換えにより変換した細胞である請求項 11記載の方法。 13.患者に菌血症予防ワクチンを投与する方法であって、前記患者に有効量の FimA蛋白を投与する過程を含む方法。 14.前記FimA蛋白が連鎖球菌から誘導される請求項13記載の方法。 15.前記FimA蛋白がS.parasanguisから誘導される請求項14記載の方法。 16.前記FimA蛋白が腸球菌から誘導される請求項13記載の方法。 17.前記投与する過程を非経口的に行う請求項13記載の方法。
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