【発明の詳細な説明】
ムタナーゼ活性を有する組換え酵素
本発明の分野
本発明は、異種生産のために好適な糸状菌から得られたムタナーゼ(mutanase
)遺伝子を含む発現ベクターを構築するための方法に、上記ムタナーゼ遺伝子配
列並びにそのプロ−ペプチドをコードするDNA配列とその成熟ムタナーゼをコー
ドするDNA配列との間にkex2解裂部位を含む組換え発現ベクターに、糸状菌宿主
細胞に、組換えムタナーゼの製造方法に、そして上記組換えムタナーゼに関する
。ヒト及び動物のための口腔ケア製品において有用な組成物を提供することも本
発明の目的である。
本発明の背景
ムタナーゼは、ムタン(mutan)におけるα−1,3−グリコシド結合を分解す
る(α−1,3−グルカノヒドロラーゼとしても知られる)α−1,3−グルカ
ナーゼである。ムタナーゼは、トリコデルマ(Trichoderma)の2種から(Hasegaw
a et al.,(1969),Journal of Biological Chemistry 244,p.5460-5470;Gugge
nheim and Haller,(1972),Journal of Dental Research 51,p.394-402)、そ
してストレプトミセス(Streptomyces)の1株から(Takehara et al.,(1981),
Journal of Bacteriology 145,p.729-735)、クラドスポリウム・レシナエ(Clad
osporium resinae)(Hare et al.(1978),Carbohydrate Research 66,p.245-26
4)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)(米国特許第4,438,093号)、フラボバク
テリウム種(Flavobacterium sp.)(JP 77038113)、バシルス・サーキュラ
ンセ(Bacillus circulanse)(JP 63301788)及びアスペルギルス種(Aspergillus
sp.)から記載されている。トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianu
m)からのムタナーゼ遺伝子は、クローン化され、そして配列決定されている(Nis
sin Shokuhin Kaisha LDTからの日本国特許第4-58889-A)。
ムタナーゼは、歯科用途及びパーソナル・ケア製品、例えば、歯みがき、チュ
ーイング・ガム、又は他の口腔及びデンタル・ケア製品中での抗歯垢(antiplaq
ue)剤としての使用のために商業的潜在性をもつけれども、従来技術は、商業的
に有用であるかなりの量においてムタナーゼを製造することができなかった。
米国特許第4,353,891号(Guggenheim et al.)は、OMZ 176として同定すること
ができるストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)株CBS 350.71
を培養することにより合成されたムタンを分解するために、トリコデルマ・ハル
ジアナム(Trichoderma harzianum)CBS 243.71により製造されたムタナーゼを使
用することによる歯垢の除去に関する。
本発明の目的は、商業的に有用な量で製造されることができるトリコデルマ・
ハルジアナムからの組換えムタナーゼを提供することである。
図面の簡単な説明
図1は、プラスミドpMT1796を示す。
図2は、プラスミドpMT1796,pMT1802、及びpMT1815のプラスミド構築を示す
。
図3は、アスペルギルス・オリザエ(A.oryzae)の組換えムタナーゼ発現ベク
ターpMT1802の構築の概要を示す。
図4は、組換え及び野生型トリコデルマ・ハルジアナムCBS 243.
71ムタナーゼのpH特性を示す。
図5は、pH7における組換え及び野生型トリコデルマ・ハルジアナムCBS 243.
71ムタナーゼの温度特性を示す。
図6は、pH7における組換え及び野生型トリコデルマ・ハルジアナムCBS 243.
71ムタナーゼの温度安定性を示す。
図7は、pH7においてBHI中で培養したS.mutans,A.viscosus及びF.nuclea
tumの混合培養物についての間接Malthus標準曲線を示す。
本発明の要約
本発明の目的は、異種発現による糸状菌から得られる組換えムタナーゼを提供
することである。
本発明者らは、最初に、糸状菌のムタナーゼ遺伝子を異種で発現させることが
でき、そしてこのようにして、単一成分、汚染物を本質的に含まない組換えムタ
ナーゼを提供するための方法を明らかにした。
第1の側面において、本発明は、以下の工程:
a)糸状菌からムタナーゼをコードするDNA配列を単離する工程、
b)そのプロ−ペプチドをコードするDNA配列と上記ムタナーゼの成熟領域の
間にkex2部位又はkex2様部位を導入し、又は他の菌類の酵素のkex2又はkex2様部
位を含む(プレ)プロ配列で上記ムタナーゼの(プレ)プロ配列を置き替える工
程、
c)工程b)において得られたDNA配列を好適な発現ベクター内にクローン化
する工程、
を含む異種製造のために好適な糸状菌から得られたムタナーゼ遺伝子を含む発現
ベクターを構築するための方法に関する。
好ましい態様においては、上記ムタナーゼは、トリコデルマ(Trichoderma)属
内の株から得られる。
工程b)において、上記(プレ)プロ配列は、例えば、Lipolase
替えられることができる。
本発明の目的は、(プレ)プロ−ペプチドをコードするDNA配列とムタナーゼ
の成熟領域の間にkex2又はkex2様部位をもつ(プレ)プロ−ペプチドをコードす
るDNA配列とムタナーゼ遺伝子を含む発現ベクターを提供することでもある。
本発明は、糸状菌から得られた組換えムタナーゼの製造のための糸状宿主細胞
にも関する。好ましい宿主細胞は、トリコデルマ(Trichoderma)、アスペルギル
ス(Aspergillus)、及びフザリウム(Fusarium)属の糸状菌を含む。
さらに、本発明は、宿主細胞内での組換えムタナーゼの製法であって、以下の
工程:
a)プロ−ペプチドをコードするDNA配列とムタナーゼの成熟領域の間にkex2
部位又はkex2様部位をもつムタナーゼ遺伝子を含む発現ベクターを、好適な糸状
菌宿主細胞内に形質転換する工程、
b)活性ムタナーゼの発現及び分泌を許容する条件下、好適な培養基中で宿主
細胞を培養する工程、
c)上記培養基から上記の分泌された活性組換えムタナーゼを回収し、そして
場合により精製する工程、
を含む製法に関する。
上記発現ベクターは、上記の本発明に係る方法に従って製造されることができ
る。
組換えムタナーゼは、本発明に係る方法に従って製造されることができる。
汚染物を本質的に含まないトリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzian
um)CBS 243.71から得られた実質的な純粋な野生型ムタナーゼも、本発明の一部
である。
本発明は、口腔ケア製品並びに食品、飼料及び/又はペット・フード製品にお
いて有用な本発明に係る組換えムタナーゼ又は本発明に係る実質的に純粋なムタ
ナーゼを含む組成物にも関する。
最終的に、ヒト又は動物の歯垢の形成を予防し、又は歯垢を除去し、そして食
品、飼料及び/又はペット・フード製品中での使用のための、本発明に係る組換
えムタナーゼ又は本発明に係る実質的に純粋なムタナーゼあるいは本発明に係る
組成物又は製品の使用に関する。
発明の詳細な説明
本発明の目的は、異種発現により糸状菌から得られる組換えムタナーゼを提供
することである。
本発明者らは、最初に、糸状菌のムタナーゼ遺伝子を異種で発現させることが
でき、そしてこのようにして、汚染物を本質的に含まない単一成分の組換えムタ
ナーゼを提供するための方法を明らかにした。
本発明の原理は、糸状菌から、例えばトリコデルマ(Trichoderma)属の糸状菌
から、例えば、トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、特にト
リコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)CBS 243.71、及びストレプ
トミセス(Streptomyces)属、クラドスポリウム(Cladosporium)又はアスペル
ギルス(Aspergillus)から得られる全てのムタナーゼのために使用されることが
できる。
従来、糸状菌のムタナーゼを異種で製造することはできなかった
。従って、従来技術に従えば、ムタナーゼは同種で製造され、そしてそのムタナ
ーゼに加え他の酵素活性の混合物(すなわち、不所望の汚染物との混合物)を含
んでいる。
この例は、先に記載したようなムタナーゼを生産することが知られているトリ
コデルマ・ハルジアナムCBS 243.71である。トリコデルマ・ハルジアナムCBS 24
3.71から得られたムタナーゼは、本発の成功した発見の前には、同種で製造され
ていただけである。
上記ムタナーゼを異種で製造することができるということは有利である。なぜ
なら、そのとき、不所望の汚染物を含まない単一成分のムタナーゼを提供するこ
とができるからである。さらに、それは、工業的規模で本発明の単離され、かつ
、精製された酵素を提供することを容易にする。
本発明に従えば、プロ−ペプチドをコードするDNA配列と成熟ムタナーゼの間
にkex2解裂部位又はkex2様部位を導入し、又は他の菌類の酵素のkex2部位又はke
x2様部位を含む(プレ)プロ配列でムタナーゼのプレ(プロ)−配列を置き替え
ることにより、好適な宿主細胞内で糸状菌から得られるムタナーゼを発現させる
ことができる。
はTAKA−アミラーゼの(プレ)プロ配列である。
プロ−ペプチド
ひじょうに小さなペプチド(例えば、GLA 6アミノ酸)から比較的長いペプチ
ド(例えば、PEPA 49アミノ酸)まで変化する、N−末端伸長、プロ−ペプチド
をもつ多数の成熟タンパク質が、まず、合成される。
このプロ−ペプチドは、多くの異なる働きをすることができる。第1に、プロ
−ペプチドは、ER−膜を横切るタンパク質の同時翻訳
的移行(co-translational translocation)の効率に寄与するかもしれない。第
2に、プロ−ペプチドは、ポリペプチドの同時翻訳的タンパク質分解プロセッシ
ングに寄与するかもしれない。第3に、それらは、特別な細胞成分への経路指定
のための細胞内標的化シグナルとして働くかもしれない。第4に、いくつかのプ
ロ−タンパク質においては、プロ−ペプチドは、それが作用部位に達するまで、
そのタンパク質を不活性のままにする。
成熟タンパク質からのプロ−ペプチドの除去は、通常、2つの正電荷をもつア
ミノ酸残基Arg-Arg,Arg-Lys又はLys-Argの後、特異的なエンドペプチダーゼに
よるプロセッシングにより、一般に、行われる。しかしながら、少なくとも1の
塩基性アミノ酸を含有する他のアミノ酸の組合せも、プロセスされることが判明
している。
成熟し、内因的に分泌されたタンパク質における上記のタブレットの非存在は
、タンパク質分解解裂からそれらを保護するかもしれない。2塩基解裂はゴルジ
(Golgi)体内で生じると考えられるので、細胞質タンパク質内の内部2塩基ペプ
チド配列は、上記プロセッシングにより攻撃されないであろう。
kex2部位
kex2部位(例えば、Methods in Enzymology Vol 185,ed.D.Goeddel,Academ
ic Press Inc.(1990),San Diego,CA,“Gene Expression Technology”を参
照のこと。)及びkex2様部位は、プロ−ペプチド・コーディング領域といくつか
のタンパク質の成熟領域の間にある2塩基認識部位(すなわち、解裂部位)であ
る。
kex2部位又はkex2様部位の挿入は、特定の場合、高められたタンパク質分泌レ
ベルをもたらすプロ−ペプチド解裂部位における正しいエンドペプチダーゼ・プ
ロセッシングを改善することが示されている。
しかしながら、多くの他の場合において、kex2解裂部位の挿入は、その分泌レ
ベルを増加させなかった。例えば、Cullen et al.,(1987),Bio/Technology,
Vol.5,p.369-376は、グルコアミラーゼ・シグナル・ペプチドとプロキモシンに
隔合されたプロ−ペプチドをコードする、キモシンの分泌シグナル(すなわち、
シグナル・ペプチドとプロ−ペプチド)内へのkex2部位の挿入が、アスペルギル
ス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)宿主細胞内で発現される組換えキモ
シンの分泌レベルを増加させなかったということを発見した。
kex2部位又はkex2様部位の挿入が常に分泌レベルを高めるわけではないという
ことを示す他の文献例は、Valverde et al.,(1995),J.of Biolog.Chem,p.
15821-15826を含む。
本発明の文脈において、用語“異種(heterologous)”製造は、元のドナー生物
とは異なる宿主生物内での組換え酵素の発現又はそのドナー生物による組換え酵
素の発現を意味する。
用語“同種(homologous)”製造は、元の生物による野生型酵素の発現を意味す
る。
第1の側面においては、本発明は、以下の工程:
a)ムタナーゼを製造することが知られている糸状菌からムタナーゼをコーデ
ィングするDNA配列を単離する工程、
b)上記ムタナーゼのプロ−ペプチドと成熟領域をコードするDNA配列間にkex
2部位又はkex2様部位を導入し、又は他の菌類の酵素のkex2部位又はkex2様部位
を含む(プレ)プロ配列で上記ムタナーゼの(プレ)プロ配列を置き替える工程
、
c)工程b)において得られたkex2部位又はkex2様部位をもつムタナーゼ遺伝
子を、好適な発現ベクター内にクローニングする工程、
を含む発現ベクターの構築方法に関する。
好ましい態様においては、上記ムタナーゼ遺伝子は、トリコデルマ属、好まし
くはトリコデルマ・ハルジアナム(T.harzianum)の種の株、特にT.harzianum
CBS 243.71株から、得られる。
Trichoderma harzianum CBS 243.71から得られたムタナーゼ遺伝子の全体DNA
配列を、配列番号:1に示す。
工程b)においては、ムタナーゼ(プレ)プロ配列は、例えば、
列で置き替えられることができる。
本発明を説明する以下の実施例においては、kex2部位は、部位特異的突然変異
誘発E36→K36として配列番号:1に表すトリコデルマ・ハルジアナムのムタナ
ーゼ遺伝子に挿入される。
ムタナーゼ遺伝子の単離
ムタナーゼをコードするDNA配列は、よく知られた手順に従って、便利には、
本明細書中に開示するDNA配列に基づき調製された合成オリゴヌクレオチド・プ
ローブの使用により、ムタナーゼ遺伝子を含むことが知られている上述の生物の
いずれかの如き、好適な源からのDNAから単離されることができる。
例えば、好適なオリゴヌクレオチド・プローブは、配列番号:1に示すヌクレ
オチド配列又は配列番号:2に示すアミノ酸配列又はそのいずれかの好適なサブ
配列に基づき調製されることができる。
上記の方法に従って、プライマーが、配列番号:2の少なくとも一部に対する
知識からデザインされる。次に、ムタナーゼ遺伝子の断片が、これらのプライマ
ーの使用により増幅される。これらの断片は、その遺伝子全体をクローニングす
るためのプローブとして使用される。
あるいは、ムタナーゼをコードするDNA配列は、
−好適なベクター内での、トリコデルマ属の株からのDNA又はcDNAライブラリー
のクローニング、
−上記ベクターによる好適な宿主細胞の形質転換、
−上記DNAライブラリー内のクローンによりコードされた着目の酵素を発現する
ために好適な条件下での宿主細胞の培養、
−上記クローンにより製造された酵素のムタナーゼ活性を測定することによる陽
性クローンについてのスクリーニング、及び
−上記クローンからの酵素をコーディングするDNAの単離、
を含む一般方法により単離されることができる。
この一般方法は、WO 93/11249中にさらに開示され、その内容を引用により本
明細書中に取り込む。
発現ベクター
他の側面においては、本発明は、ムタナーゼ遺伝子、並びに上記ムタナーゼの
プロ−ペプチドと成熟領域をコードするDNA配列の間に挿入されたkex2部位又はk
ex2様部位をもつプロ−ペプチドをコードするDNA配列を含む発現ベクターに関す
る。
本発明の好ましい態様においては、発現ベクターは、プレプロ−ペプチド(す
なわち、シグナル・ペプチドとプロ−ペプチド)をコードする作用可能な状態で
連結されたDNA配列を、kex2部位又はkex2様部位に加えて含む。このプレプロ配
列は、有利には、元のムタ
TAKAプロ配列であることができる。
プロモーターは、TAKAプロモーター又はTAKA:TPIプロモーターであることが
できる。
本発明の特別な態様においては、発現ベクターは、以下の実施例3において本
発明のコンセプトを説明するために使用されるpMT17
96である。
ベクターの選定は、しばしば、その中にそれが導入されるべき宿主細胞に依存
するであろう。
従って、上記ベクターは、自律複製的ベクター、すなわち染色体外存在物とし
て存在するベクターであってその複製が染色体の複製から独立しているもの、例
えば、プラスミドであることができる。あるいは、ベクターは、宿主細胞内に導
入されるとき、その宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、そしてそれがその中に組み
込まれたところの染色体と共に複製されるものであることができる。
ベクター内では、ムタナーゼをコードするDNA配列は、また、好適なプロモー
ター及びターミネーター配列に作用可能な状態で結合されなければならない。プ
ロモーターは、選ばれた宿主細胞内で転写活性を示し、そしてその宿主細胞に対
して同種又は異種であるタンパク質をコードする遺伝子から得られることができ
るDNA配列であることができる。
上記ムタナーゼをコードするDNA配列、kex2部位又はkex2様部位を含むプレプ
ロ配列、プロモーター及びターミネーターをそれぞれライゲートするために、そ
してそれらを好適なベクター内に挿入するために使用される手順は、当業者によ
く知られている(例えば、Sambrook et al.,(1989),Molecular Cloning.A La
boratory Manual,Cold Spring Harbor,NY参照のこと。)。
宿主細胞
本発明の第3の側面は、トリコデルマ属の糸状菌、例えばT.harzianumの株、
特にT.harzianum CBS 243.71、又はアスペルギルス属、例えば、A.oryzae又は
A.nigerの株、又はフザリウム属の株、例えばフザリウム・オキシスポリウム(F
usarium oxysporium)、フザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)(そ
の完全状
態においては、グリベレラ・ゼアエ(Gribberella zeae)、従来、スファエリア
・ゼアエ(Sphaeria zeae)と言われ、ジベレラ・ロゼウム(Gibberella roseum)と
ジベレラ・ロゼウムf.sp.セレアリス(Gibberella roseum f.sp.cerealis)
と同義)、又はフザリウム・スルフレウム(Fusarium sulphureum)(その完全状態
において、ジベレラ・プリカリス(Gibberella puricaris)と言われ、フザリウ
ム・トリコテシオデス(Fusarium trichothecioides)、フザリウム・バクトリデ
ィオイデス(Fusarium bactridioides)、フザリウム・サムブシウム(Fusarium
sambucium)、フザリウム・ロゼウム(Fusarium roseum)、及びフザリウム・ロ
ゼウム変種グラミネアラム(Fusarium roseum var.graminearum)と同義)、フ
ザリウム・セレアリス(Fusarium cerealis)(フザリウム・クロクウェルンス(Fus
arium crokkwellnse))又はフザリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)から
得られた組換えムタナーゼの製造のための糸状菌宿主細胞に関する。宿主細胞は
、有利には、(Novo Nordisk A/Sからの)WO 96/00787中に記載されたフザリウ
ム・グラミネアラム(F.graminearum)、例えば、フザリウム・グラミネアラムA
TCC 20334として寄託された株であることができる。ATCC 20334株は、従来、フ
ザリウム・グラミネアラム(Fusarium graminearum)(Yoder,W.and Christianso
n,L.1997)として誤って分類されていた。RAPD−ベースの及び古典的分類学的
分析は、今日Quorn菌、ATCC 20334の真の同定は、フザリウム・ベネナタム・ニ
レンベルグ種.nov.(Fusarium venenatum Nirenburg sp.nov.)であることを
明らかにしている。
本発明の好ましい態様においては、宿主細胞は、プロテアーゼ欠乏又はプロテ
アーゼ・マイナス・株である。
これは、例えば、“alp”欠失と命名されたアルカリ性プロテアー
ゼ遺伝子をもつプロテアーゼ欠乏株アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus ory
zae)JaL 125であることができる。この株は、(Novo Nordisk A/Sからの)PCT/D
K97/00135中に記載されている。
糸状菌細胞は、それ自体知られたやり方での、プロトプラスト形成及びそのプ
ロトプラストの形質転換、その後の細胞壁の再生を含む方法により形質転換され
ることができる。宿主微生物としてのアスペルギルスの使用は、EP 238 023(Nov
o Nordisk A/S)中に記載されており、その内容を引用により本明細書中に取り
込む。
さらなる側面に従えば、本発明は、宿主細胞内での組換えムタナーゼの製法に
関する。この方法は、以下の工程:
a)上記ムタナーゼのプロ−ペプチド及び成熟領域をコードするDNA配列間のk
ex2部位又はkex2様部位をもつムタナーゼ遺伝子をコードする発現ベクターを、
好適な糸状菌宿主細胞内に形質転換する工程、
b)上記発現ベクターの発現を許容する条件下、好適な培養基中で上記宿主細
胞を培養する工程、
c)上記培養基から上記の分泌された組換えムタナーゼを回収する工程、
d)そして場合により、上記組換えムタナーゼを精製する工程、を含む。
上記組換え発現ベクターは、有利には、上記のものの中のいずれかであること
ができる。
さらに、本発明に係る方法に従って本発明に係る組換えムタナーゼの製造のた
めに使用されるべき糸状菌宿主細胞は、上述の宿主細胞の中のいずれか、特にア
スペルギルス、フザリウム又はトリコデルマ属の中のいずれかであることができ
る。
形質転換された宿主細胞を培養するために使用される培地は、着
目の宿主細胞を培養するために好適ないずれかの慣用の培養基であることができ
る。発現されたムタナーゼは、上記培養基中に分泌され、そして遠心分離又は濾
過による培地からの細胞の分離、硫酸アンモニウムの如き塩による培地のタンパ
ク質成分の沈殿、その後の、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティー・
クロマトグラフィーその他の如きクロマトグラフィー手順を含む周知の手順によ
りそれから回収されることができる。
本発明に係る方法に従って製造される組換えムタナーゼを提供することも本発
明の重要な目的である。
単離された組換えムタナーゼは、本質的に、配列番号:2に示すアミノ酸配列
をもつ。SDS-PAGEから、約80kDaの分子量が判明した。
上記組換えムタナーゼの最適pHは、その野生型のムタナーゼの最適pHに等しい
3.5〜5.5の範囲内にあることが分った(図4参照)。組換えムタナーゼと野生型
ムタナーゼの最適温度は、pH7において約45℃、そしてpH5.5において約55℃で
あることが分った(図5参照)。さらに、その残活性は、pH7において40℃で低
下し始め、一方、その酵素は、pH5.5においてより安定であり、ここでは、その
残活性は55℃で低下し始める。
本発明者らは、活性な汚染物、例えば、他の酵素活性を本質的に含まないトリ
コデルマ・ハルジアナムCBS 243.71から得られた実質的に純粋な野生型ムタナー
ゼをも提供する。
組成物
本発明に係る組換えムタナーゼ又は本発明の活性汚染物を本質的に含まない精
製された野生型ムタナーゼを含む組成物を提供することも本発明の目的である。
口腔ケア組成物
さらなる側面においては、本発明は、口腔ケア製品中の成分として有用な口腔
ケア組成物に関する。本発明に係る口腔ケア組成物は、好適には、0.001MU〜100
0MU/ml、好ましくは0.01MU/ml〜500MU/ml、例えば0.1MU/ml〜100MU/ml、特
に0.05MU/ml〜100MU/mlの範囲内の、最終口腔ケア製品中の酵素活性単位とし
て計算される、酵素活性に等価である組換えトリコデルマ・ハルジアナム・ムタ
ナーゼの量を含むことができる。
本発明に従えば、口腔ケア組成物中にムタナーゼ活性以外の酵素活性を含むこ
とも意図される。意図される酵素活性は、デキストラナーゼ、オキシダーゼ、例
えばグルコース・オキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ
、例えば、(Novo Nordisk A/Sからの)WO 95/10602中のコプリナス種(Coprinus
sp.)のペルオキシダーゼ又はラクトペルオキシダーゼ、又はハロペルオキシダ
ーゼ、ラッカーゼ、プロテアーゼ、例えばパパイン、酸性プロテアーゼ(例えば
、WO 95/02044(Novo Nordisk A/S)中に記載された酸性プロテアーゼ)、エン
ドグルコシダーゼ、リパーゼ、アミノグルコシダーゼを含むアミラーゼ、例えば
、(Novo Nordisk A/Sからの)AMG、及びそれらの混合物を含む酵素群からの活性
を含む。
口腔ケア製品
口腔ケア製品は、いずれかの好適な物理的形態(すなわち、粉末、ペースト、
ゲル、液体、軟膏、錠剤、等)をもつことができる。“口腔ケア製品”は、歯の
カリエスを防止し、歯垢及び歯石(tartar)の形成を防止し、歯垢及び歯石を除
去し、歯の病気を防止し及び/又は治療すること等により、ヒト及び動物の口の
内の口腔衛生を維持又は改善するために使用されることができる製品として定義
されることができる。
少なくとも本発明の文脈中では、口腔ケア製品は、総入れ歯、人工歯その他の
クリーニングのための製品をも包含する。
このような口腔ケア製品の例は、歯みがき、歯のクリーム、ゲル又は歯の粉、
オドンティック(odontic)、マウス・ウォッシュ、ブラッシング前又は後のリン
ス配合物、チューイング・ガム、トローチ剤(lozenges)、及びキャンディーを
含む。
歯みがき(Toothpastes)と歯ゲル(tooth gels)は、典型的には、研磨みが
き材、発泡剤、芳香剤、湿潤剤、バインダー、増粘剤、甘味料、ホワイトニング
/漂白/汚れ除去剤、水、及び場合により酵素を含む。
歯垢除去液を含むマウス・ウォッシュは、典型的には、水/アルコール溶液、
芳香剤、湿潤剤、甘味料、発泡剤、着色剤、及び場合により酵素を含む。
研磨剤
研磨みがき材料も、本発明の歯磨き(dentifrice)製品中に取り込まれること
ができる。本発明に従えば、上記研磨みがき材料は、アルミナ及びその水和物、
例えば、アルファ・アルミナ3水和物、マグネシウム・トリシリケート、炭酸マ
グネシウム、カオリン、ア
酸ジルコニウム、そしてまた粉末プラスチック、例えば、塩化ポリビニル、ポリ
アミド、ポリメチル・メタクリレート、ポリスチレン、フェノール−ホルムアル
デヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、
エポキシ樹脂、粉末ポリエチレン、シリカ・キセロゲル、ヒドロゲル及びエアロ
ゲルその他を含む。また、研磨剤として好適なものは、ピロリン酸カルシウム、
水不溶性アルカリ・メタホスフェート、リン酸2カルシウム及び/又はその2水
和物、オルトリン酸2カルシウム、リン酸3カルシウ
ム、微粒子状ヒドロキシアパタイトその他である。上記物質の混合物を使用する
こともできる。
口腔ケア製品に依存して、上記研磨製品は、0〜70重量%、好ましくは1〜70
重量%で存在することができる。歯みがきについては、その研磨材含量は、典型
的には、その最終歯みがき製品の10〜70重量%の範囲内にある。
湿潤剤は、例えば、歯みがきから水の損失を防止するために使用される。本発
明に係る口腔ケア製品中での使用のために好適な湿潤剤は、以下の化合物及びそ
れらの混合物:グリセロール、ポリオール、ソルビトール、ポリエチレン・グリ
コール(PEG)、プロピレン・グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、水添部分加水分解多糖その他、を含む。湿潤剤は、一般に、歯
みがき中、0〜80重量%、好ましくは5〜70重量%で存在する。
シリカ、デンプン、トラガカント・ガム、キサンタン・ガム、トチャカ(Iris
h moss)の抽出物、アルギネート、ペクチン、セルロース誘導体、例えば、ヒド
ロキシエチル・セルロース、ナトリウム・カルボキシメチル・セルロース及びヒ
ドロキシプロピル・セルロース、ポリアクリル酸及びその塩、ポリビニルピロリ
ドンが、好適な増粘剤及びバインダーの例として挙げられることができ、これは
、歯磨き製品を安定化することを助ける。増粘剤は、その最終製品の、0.1〜20
重量%の量で歯みがきクリーム及びゲル中に存在することができ、そしてバイン
ダーは、最終製品の0.01〜10重量%の程度で存在することができる。
発泡剤
発泡剤としては、アニオン、カチオン、ノニオン、両親媒体及び/又は双極性
イオンの界面活性剤を使用することができる。これらは、最終製品の0〜15重量
%、好ましくは0.1〜13重量%、より好
ましくは0.25〜10重量%のレベルで存在することができる。
界面活性剤
界面活性剤は、それらが本酵素に対する失活効果を発揮しない程度まで好適で
あるだけである。界面活性剤は、脂肪アルコール・スルフェート、スルホン化モ
ノグリセリド又は10〜20炭素原子をもつ脂肪酸の塩、脂肪酸アルブミン濃縮製品
、脂肪酸アミド及びタウリンの塩並びに/又はイセチオン酸(isethionic acid)
の脂肪酸エステルの塩を含む。
甘味料
好適な甘味料はサッカリンを含む。
芳香剤(Flavouring agents)
芳香剤、例えば、スペアミントは、通常、少量で、例えば、0.01〜約5重量%
、特に0.1〜5重量%で存在する。
ホワイトニング/漂白剤
ホワイトニング/漂白剤は、H2O2を含み、そして最終製品の重量に基づいて計
算された5%未満の、好ましくは0.25〜4%の量で添加されることができる。
ホワイトニング/漂白剤は、酵素、例えば酸化還元酵素であることができる。
好適な歯漂白酵素の例は、(Novo Nordisk A/Sからの)WO 97/06775中に記載さ
れている。
水
水は、通常、例えば歯みがき(toothpaste)を流動形態にする量で添加される
。
追加の剤
さらなる、水溶性の抗バクテリア剤、例えば、クロルヘキシジン・ジグルコネ
ート、ヘキセチジン、アレキシジン、第4アンモニウム抗バクテリア化合物及び
特定の金属イオン、例えば亜鉛、銅、銀
及び錫の水溶性源(例えば、塩化亜鉛、塩化銅及び塩化錫、及び硝化銀)を含む
こともできる。
フッ素源、染料/着色剤、保存料、ビタミン、pH調節剤、抗カリエス剤、脱感
作剤等の添加も、本発明に従って意図される。
酵素
口腔ケア製品中で、そして本発明に係る口腔ケア製品中で使用される他の不可
欠な成分は酵素である。酵素は、生きた系における化学反応の生物学的な触媒で
ある。酵素は基質と合体し、基質上で、酵素は中間体酵素−基質複合体の形成す
るように働く。この複合体は次に、反応生成物と遊離した酵素に変換され、遊離
した酵素は、その特異的な酵素の働きを持ち続ける。
酵素は、口腔の洗浄のために使用されるとき、いくつかの利点を提供する。プ
ロテアーゼは、唾液タンパク質を分解し、唾液タンパク質は、歯の表面上に吸着
され、そして薄膜(pellicle)、すなわち生じる歯垢の第1層を形成する。プロ
テアーゼは、リポーゼと共に、バクテリアの細胞壁及び膜の構造成分を形成する
タンパク質及び脂質を溶解することによりバクテリアを破壊する。デキストラナ
ーゼは、バクテリア吸着のためのマトリックスを形成するバクテリアにより製造
される有機骨格構造を分解する。プロテアーゼとアミラーゼは、歯垢形成を防ぐ
だけでなく、カルシウムに結合する炭水化物−タンパク質複合体を分解すること
により歯石の発達を防ぎ、石灰化を防止する。
歯みがき(toothpaste)
本発明に係る口腔ケア組成物から製造された歯みがきは(最終歯みがき組成物
の重量%として)典型的には以下の成分を含む:
研磨剤 10〜70%
湿潤剤 0〜80%
増粘剤 0.1〜20%
バインダー 0.01〜10%
甘味料 0.1〜 5%
発泡剤 0〜15%
ホワイトナー 0〜 5%
酵素 0.0001〜20%
本発明の特定の態様においては、口腔ケア製品は、以下のものを含む6.0〜約8
.0の範囲のpHをもつ歯みがきである:
a)10〜70% 研磨剤
b)0〜80% 湿潤剤
c)0.1〜20% 増粘剤
d)0.01〜10% バインダー
e)0.1〜5% 甘味料
f)0〜15% 発泡剤
g)0〜5% ホワイトナー
i)0.0001〜20% 酵素
i)の下に言及する上記酵素は、本発明に係る組換えムタナーゼ、及び場合に
より歯みがきその他の中で使用されることが知られている上述の他のタイプの酵
素を含む。
マウス・ウォッシュ
本発明に係る口腔ケア組成物から製造されたマウス・ウォッシュは(最終マウ
ス・ウォッシュ組成物の重量%において)典型的には以下の成分を含む:
0〜20% 湿潤剤
0〜 2% 界面活性剤
0〜 5% 酵素
0〜20% エタノール
0〜 2% 他の成分(例えば、芳香剤、甘味料、活性成分、例えば、
フッ化物)
0〜70% 水
上記マウス・ウォッシュ組成物は、適当なバッファー、例えば、6〜7.5のpH範
囲内のクエン酸ナトリウム又はリン酸ナトリウムで緩衝液化されることができる
。
上記マウス・ウォッシュは、非希釈形態で存在することができる。(すなわち
、使用前に希釈される必要がある。)
製造方法
本発明に係る口腔ケア組成物及び製品は、口腔製品分野において一般的な方法
を使用して行われることができる。
本発明に従えば、活性汚染物を含まない、組換えムタナーゼ及び/又は実質的
に精製されたムタナーゼは、食品、飼料及び/又はペット・フード製品中で使用
されることができる。
材料及び方法
材料 微生物
トリコデルマ・ハルジアナム(Trichoderma harzianum)CBS 243.71
A.oryzae JaL 125:マーカーとしてA.oryzae pyrG遺伝子を使用した、1段
階遺伝子置換法(G.Mayにより、“Applied Molecular Genetics of Filamentous
Fungi”(1992),p.1-25.Eds.J.R.Kinghorn and G.Turner;Blackie Academic an
d Professional中に記載されたもの)により欠失された、“alp”と命名された
アルカリ性プロテアーゼ遺伝子(Murakami K et al.,(1991),Agric.Biol.Chem
.55,p.2807-2811により記載されたもの)をもつ、Institute of Fermentation
,Osaka;17-25 Juso Hammachi 2-Chome Yodogawa-ku,
Osaka,Japanから入手可能なAspergillus oryzae IFO 4177。
E.coli DH5α
プラスミド及びベクター:
pMT1796(図1及び図2)
pMT1802(図2)
pMT1815(図2)
pHD414:アスペルギルス(Aspergillus)発現ベクターは、(EP 238.023中に記載
された)プラスミドp775の誘導体である。pHD414の構築は、WO 93/11249中にさ
らに記載される。pHD4l4は、A.nigerグルコアミラーゼ・ターミネーターとA.o
ryzae TAKAアミラーゼプロモーターを含む。
pHD414+mut(図3)
TAKA:TPIプロモーターを含むpHan37
リンカー:
リンカー#1:
リンカー#2:
酵素:
アクロモバクター(Achromobacter)からのリジル−特異的プロテアーゼ
トリコデルマ・ハルジアナムCBS 243.71発酵ブロス(バッチno.PPM 3897)
培地、基質及び溶液:
YPM:2%マルトース、1%バクトペプトン及び0.5%酵母エキス
DAPI:4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(Sigma D-9542)
Britton-Robinson Buffer
BHI:Brain Heart Infusionブロス
装置:
10kDaカット−オフ限外濾過カセット(FiltronからのAlpha Minisette)
フェニル−セファロースFF(ハイ・サブ)カラム(Pharmacia)
Seitz EK1フィルター・プレート
Q−セファロースFFカラム(Pharmacia)
Applied Biosystems 473Aタンパク質シーケンサー
2リッターKielerファーメンター
OlympusモデルBX50顕微鏡
Malthus Flexi M2060(Malthus Instrument Limited)
方法:
分子生物学手順
制限消化、DNAライゲーション、E.coli形質転換、DNA単離、サザン・ハイブ
リダイゼーション、PCR増幅、及びライブラリー構
築及びスクリーニングを含む分子生物学的手順の全てを、標準的な技術(Sambro
ok,J.,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.1989.Molecular cloning:A labora
tory manual/E.F.Cold Spring Harbor Laboratoty Press,Plainview,NY)を
使用して行った。
ムタンの調製
ムタンを、pH6.5、37℃(一定)において、そして以下の成分から成る培地中
で75rpmの通気速度を用いてストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mut
ans)CBS 350.71を培養することにより、調製する:
NZ-Case 6.5g/リッター
酵母エキス 6g/リッター
(NH4)2SO4 20g/リッター
K2PO4 3g/リッター
グルコース 50g/リッター
Pluronic PE6100 0.1%
35時間後、スクロースを、60g/リッターの最終濃度まで添加して、グルコシ
ルトランスフェラーゼを誘導する。発酵時間の合計は75時間である。この発酵か
らの上清を遠心分離し、そして(滅菌)濾過する。次に、スクロースを、上記上
清に5%の最終濃度まで添加し、(pHを、酢酸を用いてpH7.0に調整し)、そし
てこの溶液を一夜37℃で撹拌する。この溶液を濾過し、そして不溶性ムタンをプ
ロペックス上で収穫し、そして1%安息香酸ナトリウム、pH5(酢酸で調整)を
含む脱イオン水で徹底的に洗浄する。最終的に、この不溶性ムタンを凍結乾燥さ
せ、そして粉砕する。
ムタナーゼ活性(MU)の測定
1ムタナーゼ単位(Mutanase Unit(MU))は、標準条件下、1分当り(グル
コースとして計算された)1μmolの還元糖を遊離さ
せる酵素量をいう。還元糖を、アルカリ性K3Fe(CN)6で計測した。
標準条件
基 質 …1.5%ムタン
反応時間…15分間
温 度 …40℃
pH …5.5
Novo Nordiskの分析方法(AF 180/1-GB)の詳細な説明は、請求によりNovo N
ordisk A/Sから入手可能である。
ムタナーゼ・プレート・アッセイ
5%ムタン懸濁液を、50mM酢酸ナトリウム、pH5.5中で作り、そしてその懸濁
液を、4℃でUltra Turrax T25ホモジェナイザー内で15分間ホモジェナイズする
。50mM酢酸ナトリウム、pH5.5中の1%アガロースをムタンについて0.2%に調製
し、そして12.5mlのアガロースを各ペトリ皿(d=10cm)内に注ぐ。ムタナーゼ
活性について分析されるべきサンプルを、上記アガロース内に穴を開けたサンプ
ル・ウェル内に適用し、そしてそのプレートを37℃で一夜インキュベートし、そ
の後、透明ゾーンがムタナーゼ含有サンプルの廻りに形成される。
ウェスタン・ハイブリダイゼーション
ウェスタン・ハイブリダイゼーションを、ECLウェスタン・ブロッティング装
置(Amersham International,plc,Buckinghamshire,England)及びポリクロー
ナル・ラビットー抗−ムタナーゼを含む1次抗体溶液を使用して行う。検出限界
は、0.001MU/mlである。
マス・スペクトロメトリー
精製された野生型ムタナーゼのマス・スペクトロメトリーを、VG Analytical
TofSpecにおいて、マトリックス支援レーザー脱着イオン化飛行時間型のマス・
スペクトロメトリーを使用して行う。マ
ス・スペクトロメトリーのために、2mlのサンプルを、2mlの飽和マトリックス
溶液(0.1% TFA:アセトニトリル(70:30)中のα−シアノ−4−ヒドロキシ桂
皮酸)と混合し、そしてこの混合物の2mlを、標的プレート上にスポットする。
マス・スペクトロメーターに導入する前に、上記溶媒を蒸発により除去する。サ
ンプルを、域値レーザー・パワー(threshold laser power)における4n秒のレ
ーザー・パルス(337nm)により脱着及びイオン化し、そして25kVの加速電圧によ
り、フィールド−フリー(field-free)飛行管内に加速する。イオンを、1850V
に設定されたマイクロチャンネル・プレートにより検出する。
ヒドロキシアパタイト・ディスクの調製
ヒドロキシアパタイト錠剤を、250mgのヒドロキシアパタイトを5分間約5,900
kg(13,000lbs)の圧力で錠剤型内に圧縮することにより調製する。これらの錠
剤を次に4時間600℃で焼結し、そして最終的に、滅菌脱イオン水で水和させる
。
ヒドロキシアパタイト・ディスク(HA)の歯垢コーティング
ヒドロキシアパタイト・ディスク(HA)を、乾燥滅菌(121℃、2バール、20分
間)し、そして37℃で18時間濾過滅菌唾液でコートする。このHAディスクを、ビ
ーカー内の滅菌ラック内に入れ、そして0.2%スクロースを含有するBrain Heart
Infusionブロス(BHI)をビーカー内に注ぎ、ディスクを覆う。滅菌Na2S(pH7.0
)を接種直前に添加し、5g/リッターの最終濃度を得る。嫌気的に培養したス
トレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans)、アクチノミセス・ビス
コサス(Actinomyces viscosus)及びフゾバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobac
terium nucleatum)の1:1:1混合物を、約106cfu/mlの濃度で接種材料とし
て使用した。上記ディスクを、緩やかに撹拌しながら4日間37℃で嫌気的に接種
した。
歯垢のためのMalthus法
Malthus法は、Johnston et al.,(1995),Journal of Microbiological Metho
ds 21,p.15-26 and Johansem et al.(1995),Journal of Applied Bacteriolo
gy 78,p.297-303中に記載された方法に基づくものである。
実施例
実施例1
野生型ムタナーゼの精製
トリコデルマ・ハルジアナムCBS 243.71(バッチno.PPM 3897)の100g発酵
ブロスを、1リッターの10mM酢酸ナトリウム、pH5.2中、4℃で一夜、溶解した
。65gのDEAE-Sephadex A-50を、3リッターの10mM酢酸ナトリウム、pH5.2中で
膨潤させた。過剰のバッファーを膨潤後に除去した。DEAE-Sephadexを、1時間
粗ムタナーゼ調製物と混合し、そして非結合材料をPropexクロスを通す濾過によ
り集めた。このゲルを、さらに2.5lの10ml酢酸ナトリウム、pH5.2で洗浄した。
上記非結合材料を含むプールを作った;容量4リッター。残存DEAE-Sephadex粒
子を、Whatman GF/Fフィルターを通す濾過により除去した。
350mlのS-Sepharoseを、10mM酢酸ナトリウム、pH5.2中で平衡とし、そして1
0分間DEAE-Sephadexからのプール600mlと混合した。非結合材料をPropexクロス
を通す濾過により集め、そしてそのゲルを500mlの10mM酢酸ナトリウム・バッフ
ァー、pH5.2で洗浄した。結合材料を、1M NaClを含む同一バッファーで溶離さ
せた。この手順を7回繰り返した。非結合材料を含む併合プール(クリッター)
を、10kDaカット-オフ膜を備えたFiltron濃縮器上で濃縮し、そしてその後、バ
ッファーを10mM酢酸ナトリウム、pH4.7に変え
た。この濃縮物を、Whatmann GF/Fフィルターを通して濾過した。この濃縮物の
最終容量は600mlであった。
S-Sepharoseカラム(180ml、2.6×33cm)を、10mM酢酸ナトリウム、pH4.7で平衡
にした。S-Sepharoseのバッチ・イオン交換からのpH調整濃縮物を、10ml/分の
流速をもって、50ml部分においてカラム上に適用した。ムタナーゼを、3カラム
容量において0から20mM NaClまでの線形グラジエントを用いて溶出した。残存
タンパク質を、1M NaClを含む同一バッファーで溶離させた。画分を、ムタナ
ーゼ活性(プレート・アッセイ)について分析し、そして高い活性をもつ画分を
プールした。この手順を12回繰り返した。併合されたムタナーゼ・プールを10kD
aのカット−オフ膜を備えたFiltron濃縮器内で濃縮し、そしてその後、バッファ
ーを10mM Tris-HCl、pH8.0に変えた。この濃縮物の最終容量は870mlであった。
S-Sepharoseカラムからの濃縮されたプールを、10mM Tris-HCl、pH8.0で平衡
化されたHiLoad Q-Sepharoseカラム(50ml、2.6×10cm)上でさらに精製した。1
30mlの部分を、8ml/分の流れをもって適用した。このムタナーゼの溶離を、12
カラム容量内で0から50mM NaClまでの線形グラジエントを用いて行った。高ム
タナーゼ活性(プレート・アッセイ)をもつ画分をプールし、10kDaのカット−
オフ膜を備えたAmiconセル内で濃縮した。最終的に、このムタナーゼ調製物を10
mMリン酸ナトリウム、pH7.0に対して徹底的に透析し、そして0.45mmフィルター
を通して濾過した。
上記の精製におけるムタナーゼの収量は、300mgであった。HiLoad-Q調製物の
純度を、SDS-PAGE及びN−末端配列決定により分析し、そして両方法によりその
純度は約95%であったと判断した。
実施例2
野生型ムタナーゼのN−末端配列決定
N−末端アミノ酸配列決定を、Applied Biosystems 473Aプロテイン・シーケ
ンサー内で行った。
還元及びS−カルボキシメチル化されたペプチドを作るために、ムタナーゼ(
≫450mg)を、37℃で16時間20mM NH4HCO3中でアクロモバクター(Achromobacter)(
10mg)からのリジル−特異的プロテアーゼで消化した。得られたペプチドを、0.1
%水性TFA中0.08%TFAを含有する80%の2−プロパノールの線形グラジエントで
溶出するVydac C18カラムを使用する逆相HPLCにより分離した。ペプチドを、N
末端アミノ酸配列決定に供される前に、0.1%水性TFA中0.08%TFAを含有する80
%アセトニトリルの線形グラジエントで溶出するVydac C18カラムを使用した逆
相HPLCにより再精製した。
決定されたアミノ酸配列を以下に示す:
N−末端:
ペプチド1:
ペプチド2:
ペプチド3:
実施例3
ムタナーゼ発現ベクター、pMT1796,pMT1802及びpMT1815の構築
ムタナーゼをコードするcDNAクローンを、配列番号:1に示すムタナーゼ配列
に基づくプライマーを使用したPCRにより増幅された
遺伝子の断片とのハイブリダイゼーションによりトリコデルマ・ハルジアナムCB
S 243.71ライブラリー内で同定した。
単離されたクローン、pHD414+mutのDNA配列分析は、それが実際にムタナーゼ
遺伝子をコードすること、そしてその構築物の5’末端が長いリーダー配列を含
むことを示した。このリーダーを除去するために、pHD414+mutを、酵素EcoRI
,NarI及びXhoIで制限した。この消化から、3499nt(ヌクレオチド)のベクタ
ー断片と610ntのNarI/XhoI断片を単離した。これらの2つの断片を、次にリ
ンカー#1(上記)とTAKA:TPIプロモーターを含むpHan37からのEcoRI/BamH
I断片とライゲートして、プラスミドpJW99を得た。HD414+mutを次にXhoIとSp
hIで消化し、そしてムタナーゼ遺伝子のアミノ酸35〜598をコードする1790nt断
片を単離した。
この断片を、リンカー#2(上記)と制限酵素XbaIとXhoIで線状化されてい
たpJW99とライゲートした。得られたプラスミド、pMT1802は、TAKA:TPIプロモ
ーターの制限下、T.harzianumムタナーゼ遺伝子を含む。プラスミドpMT1796は
、pMT1802と同一である。但し、このムタナーゼ・タンパク質のE36は、pMT1802
のXhoI/KpnI断片を所望の突然変異を含むPCR増幅断片で置き替えることによ
りK36に変えられた。
このPCR断片を、以下のプライマーを使用して、Ho,et al.(1989),Gene,77
,p.51-59中に報告するように2段階手順において創製した:
ヌクレオチド数はpMT1802プラスミドを参照する(配列番号:11参照)。
pMT1815を創製するために、127ntのDNA断片を、第1ラウンドの増幅において
、2段階手順及び以下のプライマー:及び鋳型としてプラスミドpHan37及びpMT1802を再び使用してPCR増幅した。
この断片は、BamHI制限酵素部位、その後、ムタナーゼ・タンパ
含み、そしてBstEII部位で終結する。
この断片を、制限酵素、BstEIIとBamHIで消化し、そして同一対の酵素で線状
化されていたpMT1802内に挿入した。構築物内の変更を確認し、そして得られた
コーディング領域の完全性をヌクレオチド配列決定によりチェックした。
実施例4
アスペルギルス・オリザエにおける組換えムタナーゼの発現
A.oryzae JaL 125株を、PEG仲介プロトコール(EP 238 023参照)及び除草剤
Bastaに対する耐性を付与する遺伝子をコードするプラスミド0.5μgと上記3つ
のムタナーゼ発現プラスミドの中の1つ8.0μgを含むDNA混合物を使用して形質
転換した。これら形質転換体を、0.5%bastaと窒素源として50mM尿素を含む最小
プレート上で選択した。
振とうフラスコ培養
形質転換されたコロニーを、選択培地上で2回胞子精製し、そして胞子を収穫
した。10ml YPM(2%マルトース、1%バクトペプト
ン及び0.5%酵母エキス)を含む20mlユニバーサル・コンテナー(Nunc,cat #364
211)を、胞子で接種し、そして30℃で振とうしながら5日間培養した。この上清
を、5日間の培養後に収穫した。 表1 3つの異なる発現構築物からのムタナーゼ発現の比較。
検出限界は0.001MU/mlであった。
実施例5
組換えムタナーゼの精製
700mlの発酵ブロスを濾過し、そして濃縮した。pHを4.7に調整し(導電率約30
0μS/cm)、そしてそのブロスを、10mM酢酸ナトリウムpH4.7中で平衡化したS-
Sepharoseカラム(XK 50/22)(Pharmacia)上にロードした。ムタナーゼを線形NaC
lグラジエントにおいて溶出した。ムタナーゼの主要部分は非結合画分中に現れ
た。これらの画分をプールし、そして濃縮した。次にこの濃縮物を、10mMTris-H
Cl、pH8.0(約600μS/cm)中で平衡としたHiLoad Q-Sepharoseカラム(Pharmac
ia)上にロードした。ムタナーゼをNaClの線形グラジエントにおいて溶出し、そ
してこのムタナーゼ含有画分を、純度と活性に従ってプールした。プールされた
画分を濃縮し、そして画分を、酢酸ナトリウムpH6.0中のSuperdex 75(16/60)カ
ラム(Pharmacia)上のゲル濾過によりさらに精製した。
精製されたムタナーゼは280nmにおけるpr.吸収単位において約
19MUの比活性をもつ。SDS-PAGE(Novex 4-20%;製造者の指示に従うラン)から
、約80kDaの分子量があった。
このN−末端アミノ酸配列は、wtムタナーゼ(Ala-Ser-Ser-Ala-)のN−末端
アミノ酸配列に同一であることが確認された(実施例2参照)。
実施例6
ムタナーゼのpH特性
各種pHにおける50mM Britton-Robinsonバッファー中の5%ムタン500mlに、(
十分な攪乱を保証するために)大きなバイアル内で(MilliQ−濾過水中で希釈さ
れた)2mlの酵素サンプルを添加し、そして激しく振とうしながら40℃で15分間
インキュベートした。この反応を、0.5mlの0.4M NaOHの添加により終わらせ、
そしてサンプルを、Munktellフィルター上で濾過した。Eppendorfバイアル内の1
00μl濾液に、750μlフェリシアン化物試薬(0.4g/l K3Fe(CN)6、20g/l
Na2CO3)を添加し、85℃で15分間インキュベートした。サンプルを冷却に供した
後、420nmにおける吸収の減少を計測した。グルコースの希釈シリーズを標準と
して含んだ。基質と酵素ブランクを常に含んだ。サンプルを2連で用いた。野生
型酵素及び組換え酵素の最適pHは約3.5〜5.5であった(図4参照)。
実施例7
ムタナーゼの温度特性
100mMリン酸ナトリウム、pH7中又は100mM酢酸ナトリウム、pH5.5中の5%
ムタン500mlを、(十分な攪乱を保証するために)大きなバイアル内の(MilliQ
−濾過水中で希釈された)2ml酵素サンプルに添加し、そして激しく振とうしな
がら各種温度において15分間インキュベートした。この反応を、0.5mlの0.4M N
aOHの添加により終わらせ、そしてサンプルを、Munktellフィルター上で濾過
した。Eppendorfバイアル内の100μl濾液に、750μlフェリシアン化物試薬(0.
4g/l K3Fe(CN)6、20g/l Na2CO3)を添加し、85℃で15分間インキュベート
した。サンプルを冷却に供した後、420nmにおける吸収の減少を計測した。グル
コースの希釈シリーズを標準として含んだ。基質と酵素ブランクを常に含んだ。
サンプルを2連で用いた。組換え体とwtムタナーゼの温度特性は同一であった。
pH7における最適温度は約45℃であった。pH5.5における最適温度は55°超であ
った(図5参照)。
実施例8
ムタナーゼの温度安定性:
温度安定性を、残存活性をアッセイする前に、0.1M酢酸ナトリウム、pH5.5中
又は0.1Mリン酸ナトリウム、pH7中、各種温度において30分間、酵素サンプル
を事前にインキュベートすることにより調べた。組換えムタナーゼとwtムタナー
ゼは同様の温度安定特性をもつ。その残存活性はpH7において40℃で低下し始め
るが、その酵素はpH5.5においてより安定であり、そこでは、その残存活性は55
℃において低下し始める(図6参照)。
実施例9
精製された野生型ムタナーゼの分子量
ムタナーゼの、上記のように行われた、マス・スペクトロスコピーは、約75kD
aの平均質量を現した。さらに、そのスペクトルから、ムタナーゼの糖添加が異
種であることが明らかであった。ムタナーゼのペプチド質量は、64kDa以上であ
り、11kDaを超える炭水化物がその酵素に付着していることを意味する。
実施例10
歯垢に対するムタナーゼの活性
歯垢バイオフィルムを、上記の材料及び方法のセクション中に記
載した唾液でコートされたヒドロキシアパタイト・ディスク上で嫌気的に増殖さ
せた。この歯垢は、ストレプトコッカス・ムタンス(Streptococcus mutans(SFAG
,CBS 350.71))、アクチノミセス・ビスコサス(Actinomyces viscosus(DSM 433
29))及びフゾバクテリウム・ヌクレアタム亜種ポリモルファム(Fusobacterium
nucleatum sub sp.polymorphum(DSM 20482))の混合培養物であった。
歯垢付HAディスクを、組換えトリコデルマ・ムタナーゼ1MU/mlを含む酢酸塩
バッファー(pH5.5)に移し、そして2分間回転した(滅菌バッファーを対照と
して使用した)。
酵素処理後、このディスクをDAPI染色するか又はMalthus細胞に移した。この
とき、生きた接着細胞を数えるときには間接的インピーダンス計測を使用した(M
althus Flexi M2060,Malthus Instrument Limited)。
インピーダンス計測のために、3mlのBHIを、間接Malthus細胞の外側のチャン
バーに移し、そして0.5mlの滅菌KOH(0.1M)を内側のチャンバーに移した。ム
タナーゼ処理後、歯垢付ディスクをホスフェート・バッファーで僅かに濯ぎ、そ
して上記外側のチャンバーに移した。Malthusにおける検出時間(dt)を、dtにc
fu/mlを関連付ける換算曲線の使用によりコロニー計数値に変換した(図7)。
この換算曲線を、上記混合培養物から調製した一連の10倍希釈率により構築し
た。各希釈段階のコンダクタンスdtを、BHI中で測定し、そしてBHI中のdtに上記
10倍希釈物のcfu/mlを関連付ける換算曲線を混合培養物について構築した(図
7)。
ディスクからの歯垢の除去も、ムタナーゼ処理ディスクをDAPI(3mM)で染色
し、そして5分間(20℃)暗所でインキュベートした後、蛍光顕微鏡により測定
した。DAPI染色された細胞を、200W水
銀ランプとUVフィルターを備えたQlympusモデルBX50顕微鏡上で、×100油浸蛍光
対物レンズを用いて調べた。結果を、上記インピーダンス計測値により得られた
定量データと比較した。
酵素処理後の唾液処理HA−表面上の生きた細胞の数を、Malthus法により測定
し、そして表1に示す。しかしながら、Malthus法によっては、ムタナーゼの殺
バクテリア活性又は歯垢の酵素除去の間を区別することはできない。それ故、上
記表面上の生きたバクテリアの減少を、上記DAPI染色により推定される上記表面
からの歯垢の同時除去と比較しなければならない。
表2:インピーダンス計測により測定された唾液処理ヒドロキシ
アパタイトからの酵素による歯垢除去(pH5.5、2分間)
歯垢の有意な除去が、ムタナーゼによる処理後の蛍光顕微鏡により測定された
。これ故、ムタナーゼは、接着細胞の量を減少させた。しかしながら、上記活性
は、歯垢の除去と同時に観察され、歯垢中の細胞に対する殺バクテリア活性と同
時には観察されなかった。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
//(C12N 15/09 ZNA
C12R 1:885)
(C12N 1/15
C12R 1:69)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,
LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M
X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE
,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,
UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW
(72)発明者 ハルキエル,トルベン
デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ
エルト,ノボ アレ,ノボ ノルディスク
アクティーゼルスカブ
(72)発明者 ヨハンセン,シャルロッテ
デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ
エルト,ノボ アレ,ノボ ノルディスク
アクティーゼルスカブ
(72)発明者 ハンセン,モェーンス,トリエル
デンマーク国,デーコー―2880 バグスバ
エルト,ノボ アレ,ノボ ノルディスク
アクティーゼルスカブ