JP2000513591A - 座部システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 車椅子および他の用途のための座部システム(2)である。この座部システム(2)は、上面(8)を備えたベース部材(6)と、上面(8)の上に置かれる流体パッド(7)とを有する。上面(8)は、転子(20'、24')を含むユーザの大腿骨(18'、22')と共に、ユーザの坐骨の粗面(12'、14')および尾骨(16')に対応する領域(12、14、16)を有するように輪郭付けられ且つ寸法取りされているのが好ましい。好ましい実施例での流体パッド(7)は、単一品であり、且つ、流体を充填した少なくとも３つの個々別々のポーチ(1、3、5)を有する。各ポーチは、その中に流体を収納するために且つ他の２つのポーチの中の流体との連通を阻止して隔離するためにシール(9)を有する。パッド(7)の各ポーチは、ベース部材(6)の上面(8)の上に、ユーザの坐骨の粗面(12'、14')および尾骨(16')の下になるように夫々位置決めされる。これにより、ユーザの坐骨の粗面(12'、14')および尾骨(16')は、それ自身の個々独立した流体ポーチで支えられる。

Description

【発明の詳細な説明】 座部システム 発明の背景 １．発明の技術分野 この発明は、座部システムの技術分野に関し、より詳しくは、車椅子及びユー ザの身体と、その下の座部システムの支持構造体との間の全体的な係合領域の全 体に支持圧力を実質的に均一に分散させるのが望ましい場所を有する他の用途に 向けての座部システムの技術分野に関する。２．背景技術の説明 長期間車椅子に拘束される人が床擦れ潰瘍又は圧迫潰傷になり易く且つ進行す る恐れがあることは周知である。このような圧迫潰瘍は、通常、骨格構造の骨の 隆起を取り囲む又は隣接する組織に発生するが、これは、着座者の体重によって 加わる圧力が原因である。すなわち、着座者の骨と着座面との間の組織は、通常 、ユーザの体重によって圧迫されている。その結果、毛細血管を介した組織の圧 迫されている部分への通常の血流が阻害され又は阻止される。連続した圧迫、そ の結果としての組織への血流の不足は、壊死（組織の死）を引き起こし、最も深 刻な場合には、皮膚から脂肪及び筋肉を完全に通って骨を露出させる開放性の傷 を作ってしまう。これをほったらかしにすると、床擦れ潰瘍（圧迫潰瘍、傷）は 、感染して、最後には、着座者にとって致命的なものになってしまう。通常、圧 迫潰瘍が最も進行する部分は、坐骨の粗面及び尾骨である。 車椅子に束縛されるユーザに関連する問題を特に取り扱うために、先行技術と して数多くのアプローチが進められてきた。ずらりと並んだ直立した膨張可能な 丸い膨らみからなるRoho社によるクッションは、車椅子に着座したユーザへの圧 力の作用を最小にするのに一部成功している。このRohoのクッションは、基本的 には、支持クッションと接触するユーザの全表面の全体に、その境界圧力を平均 化することを目的としている。ユーザが構造体の底に着かないように、クッショ ンは、構造体の底から離してユーザを支えるポイントに膨らまされる。その望ま しい効果は、支えられている骨格構造で通常生じるピーク圧力を平均圧力まで減 じることである。この平均圧力は、ユーザの体重を、クッションと接触する正味 の表面積で割ることによって定義される。 この種の発明は、理論的には、着座したユーザへの境界圧力の作用を和らげる のに最適であるように思われるが、Rohoのクッションは、基本的に設計されると 、適当な姿勢およびポジショニングに関する要望に対応していない。これらは、 圧迫潰瘍の回避と同様に、車椅子に拘束されるユーザの継続的な健康にとって等 しく重要である。Rohoのクッションの設計は、本来的に、望ましくないことであ るが相当に不安定である。この不安定性は、ずらりと並んだ全ての膨らみに通じ るエアの流通によって引き起こされる。したがって、Rohoのクッションは、期待 されるのと同じ方向又は反対方向に、ユーザの可動性の要請による不均一な充填 又は動的荷重に応じる。この種の応答は、その現存する不均整な姿勢を悪化させ 、ある場合には、望ましくない着座姿勢を作ってしまう。不自然な姿勢が長く続 くと、実際上、背骨に永久的な固定的な変形を引き起こしてしまう。 圧力およびポジショニングの両方の問題に対処するために、Jay Medical社に よって独特のクッションが開発された(米国特許第4,588,229)。この独特のJayク ッションは、比較的堅いトレーからなり、このトレーには、クッションの後側部 分に、可撓性の、粘性流体を収容した密封袋又はパッドを受け入れるための着座 用凹部が形成されている。流体袋又はパッドは、クッションの長手方向のセンタ ーラインに沿ったシールを有し、このパッドに２つの等しい側部セグメントを形 成している。ユーザが着座したときの体重によって流体の内容物が圧縮されたと きにパッドが局部的な領域で達する最大の厚みを制限するために、これら２つの セグメントの周辺部分に付加的なシールが存在する。このような組立体は、過敏 な骨の隆起での境界圧力を減じるだけでなく、適当な姿勢位置を作ることのでき る安定した支持面を提供することができる座部システムである。これは、車椅子 の動きによって引き起こされる実在の不均整な姿勢又は動的充填に係わりなく、 本来あるべきことである。 Jayパッドの長手方向のセンターラインに沿った継ぎ目は、特に、不均整な状 態が一層悪化するのを防止する（例えば、ユーザの現在の骨盤の不正軸進入が比 較的堅いトレーに着いてしまうのを防止する）。粘性流体は、車椅子に着座して いる間、主要な骨の隆起の下及び回りに、必要とされる程度の圧力均衡を自ら作 る。同時に、粘性流体は、ユーザの動きによる動的応答を緩和する。Jayの設計 に伴う理論上の欠点は、パッドを明確な両側部に分ける長手方向の分割によって 、坐骨の粗面に他の部分よりも高い境界圧力を発生させる可能性のあることであ る。このことは、流体が一方の側部から他方の側部へ流通することができず、か くして、先行技術のRohoクッションと同じように、全表面の全体に圧力を平均化 することができないという理由で正しい。基になるJayクッションの設計は、組 織の破壊の恐れが小さくて増大した圧力を支えることのできると知られている解 剖学上の領域で平均よりも高い圧力を偏在又は作り出す能力を有する。このこと に関して、Jayクッションの背の高い前部分は、このような目的に役立つ。すな わち、Jayクッションでは、ユーザの尻が支持されるよりも少ない量の流体でユ ーザの太股（又は大腿骨）が支持され、この支持は主に粘性流体袋又はパッド及 び僅かであるが堅いトレー材料である。その目的の結果は、ユーザの体重の通常 の比率よりも大きな比率が太股にかかる。これにより、組織破壊の恐れの大きい （坐骨の粗面および尾骨）ユーザの尻によって支えなければならない残余の体重 を減じる。 基になるRohoクッションの設計の最近の具体例は、ユーザが太股の部分を上に 膨らませて、尻の下の過敏な下に膨らませことのできるような方法で、ずらりと 並んだ膨張可能な膨らみをセグメント化することによって、前述した問題に対処 している（米国特許第4,698,864参照）。 ある状況下で使用するときに、ひとつの問題がJayクッションと関連付けられ る。疲れ、好ましくない背中の位置、神経障害（例えば、ユーザが座席で前かが みなる）の原因になる正しい着座姿勢を着座したユーザが維持しないと、又は、 ユーザがセミリクライングした位置に置かれないと、クッションの後部の中の流 体の塊が流体パッドの制限されていない領域まで前方又は後方に移動する。その 正味の作用は、ユーザの尾骨が流体で支持されずに、その下の比較的堅いトレー で支えられるようになる。このことは、このような種類の車椅子のユーザにとっ て望ましい状況ではない。上述した状況に遭遇したときに、クッションの底に着 いてしまう恐れを減じるように設計変更が加えられた。流体パッドの後半分を横 切る第２のシールが形成された。この横方向のシールは、本質的に、パッドの後 側部分に所定量の流体を封じ込め、リクラインニングしたとき、又は車椅子で前 かがみになったときに、平均的なユーザが尾骨を底に着けてしまうのを防止する ことができる。しかしながら、この付加的なセグメント化は、尻の部分の回りで 流体の連通を制限する。基になるJayクッションと横方向の継ぎ目を備えたクッ ションとの間で比較した境界圧力値は、付加した継ぎ目が原因で坐骨の粗面での 平均圧力の増大を示した。かくして、堅いトレーの上に着くのを防止するのに、 クッションの能力を減じてしまう全圧が犠牲になっている。 ２つのJayクッションの形態の使用および試験は、付加的な性能の不足を示し た。例えば、筋萎縮、体重欠乏によって特に痩せているユーザの場合、ユーザは 、尾骨をクッションの比較的堅い部分に当て続ける。Jayパッドのセンターライ ンに沿った長手方向に継ぎ目が、センターラインの両側の流体セグメント間に尾 骨を収めるというユーザの能力に貢献することが分かった。これらの問題は、底 に着くのを防止する横方向の継ぎ目の後側の４分円を満たすことによって、又は 、パッドの設計に尾骨のために捧げされたセグメント又は流体ポーチを組み込む ことのいずれかによって、解決できることが分かった。ユーザの沈み込みの欠乏 によって、平均的なクッション境界圧力になる横方向の継ぎ目の後側４分円を満 たす代わりに後者が本発明のために選択された。 発明の概要 この発明は、車椅子および他の適用例のための座部システムを含む。この座部 システムは、上面を備えたベース部材と、前記上面に置かれる流体パッドとを有 する。上面は、ユーザの大腿骨を含む大腿骨と同様に、坐骨の粗面および尾骨に 対応する領域を有するように形状が決められ且つ寸法取りされるのが好ましい。 好ましい形態でのパッドは、単一品であるのが好ましく、また、流体を充填した 個々独立した少なくとも３つのポーチを有する。流体は、少なくとも１つの粘性 を有するのが好ましく、各ポーチは、他のポーチの中の流体との連通を阻止して 隔絶するシール手段を有する。パッドの各ポーチは、その中に流体を収容し且つ ユーザの尾骨の粗面及び尾骨の下でベース部材の上面に夫々位置決めされる。こ ににより、ユーザの尾骨の粗面及び尾骨の各々は、それ自体の個々独立した流体 ポーチで支持される。各ポーチの中の流体の量を適当に調整することによって、 ユーザの坐骨の粗面及び尾骨の支持圧を、所望のように実質的に等しく又は異な るようにすることができる。 本発明の幾つかの実施例を開示するが、各々の実施例において、ユーザの坐骨 の粗面及び尾骨の下に個々独立した流体ポーチが存在する。ある実施例では、少 なくとも一つの流体ポーチが、パッドの他のポーチから分離可能である。他の実 施例では、追加の外側ポーチを有し、また、転子を含む左右の臀部を支持する坐 骨用ポーチの外側に夫々配置される。 図面の簡単な説明 図１は、カバー付きの本発明の座部システムを示す図である。 図２は、下のベース部材と、その上に配置される流体パッドとを示すために、 カバーを取り除いた状態の図１の座部システムの図である。 図３は、ベース部材及び流体パッドの分解図である。 図４は、図３のベース部材の平面図であり、その輪郭付けられた上面及びユー ザの坐骨の粗面、尾骨、転子を含む大腿骨の領域（破線で示す）を支持する目的 のベース部材の夫々の部分を示す。 図５は、図３の流体パッドの平面図である。 図６は、図３の流体パッドの底面図である。 図７は、図１の７−７線に沿った断面図であり、坐骨の粗面を含むユーザの尻 を破線で示してある。 図８は、図７の８−８線に沿った断面図であり、尾骨を含むユーザの尻を破線 で示してある。 図９は、流体パッドが単純な３つのポーチのパッドからなる本発明の第２実施 例を示す。 図１０は、図９の３つのポーチのパッドの分解図である。 図１１は、図９の３つのポーチのパッドの平面図である。 図１２は、図９の３つのポーチのパッドの底面図である。 図１３は、流体パッドが少なくとも１つの分離可能なポーチを含む本発明の第 ３実施例を示す。 図１４は、図１３のベース部材および流体パッドの分解図である。 図１５は、本発明の第４実施例を示すものであり、この実施例にあっては、尾 骨用ポーチが、流体パッドの本体にビーバの尻尾のような形態で固定されている 。 図１６は、本発明の第５実施例を示すものであり、この実施例にあっては、坐 骨用ポーチの各々およびその隣接した図５の外側用ポーチが結合されて単一のポ ーチになっている。 好ましい実施例の詳細な説明 本発明の座部システム２は、図１ないし図３に最もよく示すように、ベース部 材６（図２参照）の上に配置された外側カバー４（図１参照）と、流体パッド又 は袋７とを有する。 ベース部材６は、発泡体クッション又は比較的堅いトレーであってもよく、図 ３に示すように、上面８を有する。この上面８は、ユーザの尻および太股に実質 的に対応する領域を有する輪郭を備え、また、その大きさに作られている。より 詳しくは、上面８の後側領域１２、１４、１６（図３参照）は、坐骨の粗面１２ ’、１４’及び尾骨１６’（図４参照）を含むユーザの尻の領域に対応している 。また、図４において、上面８の左側の外側領域１８、２０は、ユーザの転子２ ０’を含む左大腿骨１８’に対応している。一方、上面８の右側の外側領域２２ 、２４は、ユーザの転子２４’を含む右大腿骨２２’に対応している。このベー ス部材６は単独で使用してもよいが、図５の流体パッド７を載せた状態で使用す るのが好ましい。 図３、図５に図示するように、この好ましい実施例の流体パッド７は、少なく とも３つのポーチ１、３、５を有する。各ポーチ１、３、５は、流体を収容して おり、ベース部材６の上面８において、後側領域１２、１４、１６の上に夫々配 置される。かくして、ポーチ１、３、５は、夫々、ユーザの坐骨の粗面１２’、 １４’および尾骨１６’の下に配置される。各ポーチ１、３、５は、更に、各ポ ーチ１、３、５の中に流体を収容するためのシール手段９（例えば、ヒートシー ルされた一以上の継ぎ目）を有する。これにより、各ポーチ１、３、５の中の流 体は隔絶されて、他の２つのポーチの中の流体との流体同士の連通が阻止される 。これにより、使用中、ユーザの坐骨の粗面１２’、１４’および尾骨１６’の 各々は、それ自身の個々に独立した流体ポーチ１、３、５で支持される。 図４の平面図に示すように、ベース部材６の上面８は、実質的に対称的であり 且つ上面８を通る中心平面３０の各々の側部で外側に拡がっている。同様に、流 体パッド７（図５参照）は、これに対応して中心軸線３２に関して対称性を有す る。使用中、流体パッド７は、パッド７の中心軸線３２がベース部材６の中心平 面３０と整合した状態でベース部材６の上面８の上に置かれる。このことを図２ に図示してある。このようにして、流体パッド７は、中心平面３０の両側で外側 に向けて拡がるようにしてベース部材６の上面８に位置決めされた坐骨用ポーチ １、３を有する。その一方で、尾骨用ポーチ５は、中心平面３０を実質的に跨ぐ ようにして上面８の上に位置決めされており、その各部分は、中心平面３０の各 側部で外側に拡がっている。また、第１、第２の坐骨用ポーチ１、３の隣接する 部分間の共通シール継ぎ目９’（図５参照）は、実質的に、軸線３２と整列して いる。この共通シール継ぎ目９’は、また、使用中、ベース部材６の中心平面３ ０に位置する。 図４、図５に示すように、流体パッド７は、ベース部材６に関して、特に後側 つまり着座領域に関して、僅かに大きな寸法を有する。例えば、大人のユーザ用 のベース部材６の上面８の寸法は、幅１４インチ(35.6cm)ないし２４インチ(61c m)であり、厚み１６インチ(40.6cm)ないし２０インチ(50.8cm)であるのがよい。 これに対して、流体パッド７は、前部での幅が１４インチ(35.6cm)ないし２４イ ンチ(61cm)であり、厚み１８インチ(45.7cm)ないし２２インチ(55.9cm)であり、 後部での幅が１４インチ(35.6cm)ないし３６インチ(91.4cm)であってもよい。使 用中、流体パッド７は、本質的に、寄せ集められて（特に、後部で）、ベース部 材６の上面８の形状に一致する実質的に全体として矩形の形状になる。次いで、 流体パッド７は、ベース部材６の上面８に位置決めされる。流体パッド７ は、次いで、その自重によって又はベース部材６の上面８（図３、図４参照）及 び流体パッド７の下面（図６参照）の例えばフック・ループ締結具３４、３４’ によって、所定位置に固定される。 流体パッド７は、流体ポーチ１、３、５の夫々の部分が互いに直に隣接し且つ 共通のシール継ぎ目を共有するようにした単一品であるのが好ましい。例えば、 ポーチ１、３の隣接した部分が共通のシール継ぎ目９’を共有し、ポーチ５は、 両方のポーチ１、３と隣接した部分と、ポーチ１、３と共有する継ぎ目９”とを 有する。また、各ポーチ１、３、５に関するシール継ぎ目は、少なくとも、他の ２つのポーチの各々のシール継ぎ目との共通部分を有する。例えば、ポーチ１は 、ポーチ３と共有したシール継ぎ目９’と、ポーチ５と共有したシール継ぎ目９ ”とを有する。このことは、非常にコンパクトなパッド７にするのに役立ち、ま た、パッド７を寄せ集めてベース部材６の上面８に位置決めするときに、ポーチ １、３、５の隣接した部分が互いに当接することができる（図７、図８参照）。 第１、第２の坐骨用ポーチ１、３は、図示のように、実質的に互いに鏡像である 。また、坐骨用ポーチ１、３は、使用中、これらがユーザの尻の左半分、右半分 つまり左右の臀部の各々の大きさに実質的に対応する大きさに作られている。こ のことに関し、各坐骨用ポーチ１、３は、使用中、中心軸線３２及び中心平面３ ０の外側に約３インチ(7.62cm)ないし８インチ(20.32cm)拡がり、また、中心軸 線３２に沿って約６インチ(15.24cm)ないし１２インチ(30.48cm)伸びる。尾骨用 ポーチ５は、坐骨用ポーチ１、３に比べて小さく、使用中、中心軸線３２に跨が り且つ中心平面３０の両側に約２インチ(5.08cm)ないし４インチ(10.16cm)外側 に拡がり且つ中心軸線３２及び中心平面３０に沿って約２インチ(5.08cm)ないし ６インチ(15.24cm)伸びる。また、図示のように、坐骨用ポーチ１、３は、その 両側で坐骨用ポーチ５を跨ぐ後側部分を有する。 ポーチ１、３、５の大きさを決定する際に、その目的は、ポーチの各々をユー ザの坐骨の粗面１２’、１４’及び尾骨１６’のほぼ着座領域に委ねさせること である。実施において、本発明のパッド７で、最も重要な事柄は、ユーザの尾骨 １６’に関するポーチ５を、座部システム２の通常の使用中の尾骨１６’の動き の予測範囲を受け入れることのできる十分な大きさに作ることである。実際問題 として、これは、図４において、ベース部材６の上面８に示す三角形領域３６の 範囲内であるのが一般的である。かくして、この三角形領域３６（例えば幅４イ ンチ(10.16cm)ないし６インチ(15.24cm)）は、尾骨用ポーチ５の大きさ及び尾骨 用ポーチ６の好ましい全体形状を読み取るのに大いに用いられる（例えば、約５ インチ(12.7cm)ないし８インチ(20.32cm)幅の三角形）。尾骨用ポーチ５の寸法 が決められると、少なくとも坐骨の粗面１２’、１４’の各々によって占有され る残る部分の略着座面及び尾骨用ポーチ５によって使用されない隣接の尻支持領 域に合わせて坐骨用ポーチ１、３の寸法が決まる。このことに関し、坐骨の粗面 １２’、１４’は、それ自身、通常、約４インチ(10.16cm)ないし８インチ(20.3 2cm)離れ、また、尾骨１６’から約３インチ(7.62cm)ないし６インチ(15.24cm) 離れている。各坐骨用ポーチ１、３の全体的な大きさは、また、両臀部の形状お よび坐骨の粗面１２’、１４’の予測可能な動きを考慮することによって決定さ れる。この動きは、概略的には、尾骨１６’の三角形の動き領域に対応した夫々 の三角形領域の範囲内にある。 流体パッド７の好ましい実施例において、坐骨用ポーチ１、３の各側部におけ るベース部材６の上面８の残る領域は、付加的な外側ポーチ１１、１３によって 覆われる。これら付加的なポーチ１１、１３は、夫々の坐骨用ポーチ１、３と共 通シール継ぎ目９を共有するのが好ましい。付加的な各ポーチ１１、１３は、ま た、隣接した坐骨用ポーチ１、３が中心軸線３２に沿って伸びるよりも実質的に 大きな距離、中心平面３０に沿って伸びている。付加的な各ポーチ１１、１３は 、好ましくは、ベース部材６の前後に拡がり且つベース部材６の上面８の夫々の 領域１８、２０及び領域２２、２４に配置される（図３、図４参照）。これら領 域は、ユーザの転子２０’、２４’を含む左右の大腿骨１８’、２２’に対応し ている（図４、図５参照）。残る部分の中央ポーチ１５は、ベース部材６の上面 ８の外転筋領域の上に配置される未充填のポーチであるのが好ましい。 ポーチ１、３、５、１１、１３の各々を別々にシールすることの一つの利点は 、これらポーチを望み通りに個々に充填することができることである。このこと について、坐骨用ポーチ１、３は、通常は、等しい量の流体が充填され、比較的 小さな尾骨用ポーチ５は、これよりも少ない量の流体が充填される。しかしなが ら、 ポーチ１、３、５、１１、１３に異なる量の流体を充填して、座部システム２に 所望の（例えば、等しい、等しくない、又は、様々な）圧力分布を作ってもよい 。ポーチ１、３、５、１１、１３の中の流体は、少なくとも１つの粘性材料で非 圧縮であるのが好ましく、また、米国特許第4,588,229号に開示のような高粘性 液体であるのが一層好ましい。このような好ましい液体は、非弾性、非復元性の 特性を示し、典型的には、圧力を津和得たときに序所に流動し、圧力が無いとそ の形状を維持する合成樹脂又は粘性チキソトロピーな物質である。しかしながら 、例えばゲル、油、グリースのような他の高粘性流体を用いることもできる。ま た、各ポーチ１、３、５、１１、１３（これらは、ポリウレタンのような熱可塑 性フィルム材料からなる層で作ってもよい）は、使用中、ポーチの膨張および伸 張が無いように、流体を不完全に充填してもよい（例えば、４０％ないし７０％ ）。 図９ないし図１２は本発明の第２実施例を示し、ここに、流体パッド７’は３ つのポーチ１、３、５からなる。図１ないし図８の好ましい実施例のように、ポ ーチ１、３、５は、夫々、ユーザの坐骨の粗面、尾骨の下に位置する大きさに作 られている。図９、図１０に示すように、ポーチ１、３、５は、夫々、ベース部 材６の上面８の対応する領域１２、１４、１６に配置され又は位置決めされる。 流体パッド７’は、パッド７と同様に、フック・ループ締結具３４、３４’によ って所定位置に固定されるのが好ましい（図１０、図１２参照）。また、図１１ の平面図に示すように、流体パッド７’の尾骨用パッド５は、パッド７のそれと 同様に、実質的に三角形の形状を有し、そのシール継ぎ目９”は、約６０度の角 度で中心軸線３２及び中心平面３０の外側に拡がっている。同様に、ポーチ１と ポーチ３との間のシール継ぎ目９’は、使用中、中心軸線３２と整列し且つ中心 平面３０に位置している。流体パッド７と同様に、流体パッド７’を使って、ユ ーザの坐骨の粗面の各々が、それ自身の個々別々のポーチで支持される。 図１３−１４、図１５及び図１６には、本発明の他の実施例が示されている。 図１３、図１４において、尾骨用ポーチ５は独立した且つ取り外し可能なポーチ として示されている(例えば、フック・ループ締結具３４によって；図１４参照) 。すなわち、本発明の流体パッドは、単一品であるのが好ましいが、一以上の分 離可能なポーチ１、３、５を有していてもよい。そうであったとしても、図１３ 、 図１４の流体パッド７”は、使用中、図１ないし図８のパッド７と同様に、ユー ザの坐骨の粗面および尾骨の各々の下にポーチ１、３、５を夫々位置させる。図 １５の実施例においては、尾骨用ポーチ５は、ビーバーの尻尾のような形態で流 体パッド７'''の本体に取り付けられ、９'''の箇所にシール継ぎ目を備え且つ３ ８の箇所にフック・ループ留め具を備えている。図１３、図１４、図１５の実施 例は、特に、独立した別個の尾骨用ポーチ５を有していない現存のパッドに後付 けとして適用可能である。これによれば、坐骨の粗面又は尾骨を支持するために 、このような独立したポーチの各々を限定し又は丁度良い大きさにする必要は必 ずしも無い。例えば、坐骨用ポーチ１は、ユーザの転子を含む左側の臀部を支持 してもよい。このことは、例えば、ポーチ１とポーチ１１との間およびポーチ３ とポーチ１３との間の図５の継ぎ目９を取り除くこと及び拡大したポーチ１’３ ’で図１６の流体パッド７''''を形成することを含んでいてもよいが、このこと は簡単に行うことができる。そうであったとしても、流体パッド７''''を用いて も、坐骨の粗面の各々を他方の坐骨の粗面及び尾骨とは別のポーチの上に、全体 又は一部分、夫々支持される。同様に、尾骨は、坐骨の粗面の各々とは別のポー チの上に支持される。また、その上に流体パッドが置かれるベース部材６は、形 状付けられた発泡体クッション又は比較的堅いトレーであるのが好ましいが、し かしながら、ベース部材６が、例えば、車椅子のスリング又は堅いシャフト、自 動車のシャフト、単純に平らな面、大地面又は他の流体パッドのような上面を備 えた任意の部材であってもよい。 本発明の幾つかの実施例を例示し且つ詳細に説明したが、本発明の範囲を逸脱 することなく様々な変更、修正を行うことのできることを理解すべきである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ，ＣＧ ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ， ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ)， ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，Ｃ Ｈ，ＣＮ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ， ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＴ， ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ (72)発明者 デントン グラント シー アメリカ合衆国 コロラド州 80304 ボ ールダー ナインティーンス ストリート 3860 (72)発明者 ランクレス リチャード アール アメリカ合衆国 コロラド州 80112 エ ングルウッド イースト コスティーラ サークル 6840

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．上面を備えたベース部材と、該上面の上に置かれて、ユーザの坐骨及び尾骨 を含むユーザの尻を支持するパッドとを有する座部システムにおいて、 前記パッドが、少なくとも１つの粘性を有する流体を収容した少なくとも３ つの個々独立したポーチと、該３つのポーチのうちの第１のポーチをユーザの 一方の坐骨の粗面の下に位置決めし、前記３つのポーチのうちの第２のポーチ をユーザの他方の坐骨の粗面の下に位置決めし、前記３つのポーチのうちの第 ３のポーチをユーザの尾骨の下に位置決めするための手段とを有し、 前記ポーチの各々が、他の２つのポーチとの間の流体の連通を阻止するよう に各ポーチの中に流体をシールするための手段を有し、 各ポーチは、少なくとも、他の２つの各々のポーチの一部分と直に隣接して 夫々配置される部分を有する、ことを特徴とする座部システム。