JP2000513210A - ヒト細胞の悪性形質転換の検出方法 - Google Patents
ヒト細胞の悪性形質転換の検出方法Info
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Abstract
(57)【要約】
ヒト細胞の悪性形質転換の検出方法であり、該細胞における、hCGβサブュニットをコードするβ3、β5、β8および/またはβ9遺伝子の産物の発現が、非悪性細胞におけるそれらの発現に比べて過剰であることを示す方法。
Description
【発明の詳細な説明】
ヒト細胞の悪性形質転換の検出方法
本発明は、細胞の悪性形質転換(悪性のトランスフォーメーション)を検出す
る方法、並びにがんの診断、監視及びがんの予後を評価するためのその用途に関
する。
絨毛性性腺刺激ホルモン(コリオゴナドトロピンホルモン)(hCG)は、非共有
結合により結合している、α(hCGα)およびβ(hCGβ)といわれる2つのサブ
ユニットから構成された糖タンパク質である(1)。妊娠の間、胎盤の栄養芽層細
胞はhCG二量体および遊離hCGαもしくはhCGβサブユニットを産生し、これらは
血清中に実質量見出される。hCGの分析、並びに別個に遊離hCGαサブユニットお
よび遊離hCGβサブユニットを分析するための感度のよい特異的な方法が発展し
たことにより、妊娠していない健康な個体において、1000pg/ml以下の血清濃度
のhCGおよび3000pg/ml以下の血清濃度の遊離hCGαサブユニットが存在すること
を示すことができた(2,3)。これらの正常値より高い血清濃度のhCGまたは遊離hC
Gαサブユニットは栄養芽層起源の精巣もしくは卵巣の腫瘍を有する患者に主に
見出されることも観察された。
これに対して、低い血清濃度、すなわち100pg/mlより低い血清濃度の、遊離hC
Gβサブユニットが、妊娠していない健康な個体において検出できる。これらの
正常値より高い血清濃度の遊離hCGβは性腺もしくは非性腺起源の腫瘍を有する
多数のがん患者にみられる(2)。特に、膀胱がん患者の47%、膵臓患者の32%お
よび子宮頸部がん患者の30%が100pg/mlより高い血清濃度の遊離hCGβを有して
いる(2)。膀胱がん患者において、高濃度(100pg/mlより高い)の遊離hCGβの
存在がこの疾病の望ましくない進行に関連するという報告がなされている(4,5
)。
hCGαサブユニットは染色体の6q21.1-q23に位置する単一の遺伝子によりコー
ドされるのに対し、hCGβサブユニットは染色体19q13.3に位置する遺伝子ファミ
リーにコードされることが報告されている。多くの研究の結果、CGβ7もしく
はβ7、CGβ6もしくはβ6、CGβ8もしくはβ8、CGβ5もしくはβ5、CGβ1もしく
はβ1、CGβ2もしくはβ2、およびCGβ3もしくはβ3と称される7つのCGβ遺伝子が
あることが示された(6)。β6およびβ7遺伝子は対立遺伝子である(7)。
β7、β6、β8、β5およびβ3遺伝子のみが145個のアミノ酸から構成されるhC
Gβサブユニットをコードできる。β1およびβ2遺伝子は、
−CGβ遺伝子の5'部分に約770ヌクレオチドの挿入、
−CGβ遺伝子の最初のイントロンの5'スプライシング部位の点変異、
の存在を特徴とする。
β1およびβ2遺伝子はある組織では転写可能であり、hCGβとは異なる配列を
有する132個のアミノ酸のタンパク質をコードしうるであろう(7)。
β7、β6、β5およびβ3遺伝子の全部もしくは一部の配列決定および制限酵素
地図により、成熟CGβタンパク質に関するコドン2、4および117に相当するヌ
クレオチドは、対象の遺伝子により異なることが示された(8,9,10)。
相当する位置のヌクレオチド配列の分析をβ2遺伝子の場合に行い、この遺伝
子がβ6遺伝子と同じ性質を示すことが明らかになった。一方、β1遺伝子の11
7位のみが制限酵素地図分析で推測され、「Asp型である」とみなされた。
また、胎盤組織における異なるCGβ遺伝子の発現は半定量的方法で分析されて
きた。結果は、β5転写物がβ3およびβ8転写物よりもずっと多く存在すること
を示す。β7、β1およびβ2転写物は非常に少量である(7)。最後に、種々の正常
なもしくは新生物性の非栄養芽層組織における、または栄養芽層もしくは非栄養
芽層起源のがん組織由来の各種細胞系におけるCGβ転写物を探す目的でいくつか
の研究が行われてきた(11〜17)。これらの種々の研究で用いられた技術では、β
7、β8、β5およびβ3転写物を区別できなかった。これらの研究はβ7、β8、β
5およびβ3転写物が存在すること、特に、正常精巣に(11)、精巣新生物に(12)、
膀胱新生物に(13)、正常胎盤、胎盤絨毛がん細胞系に(14〜16)、および非栄養芽
層細胞新生物由来の各種細胞系に(15〜17)存在することを示した。
最近、β7、β8、β5およびβ3転写物を定量する目的で膀胱起源の正常お
よび新生物組織において、ある研究が行われた。この研究は、エキソン1および
2を増幅し、エキソン1の転写されるが翻訳されない5'部分に対応するヌクレオ
チドの位置で酵素により切断した後観察されるプロフィールに基づいている(18
)。この研究は、正常膀胱組織はβ7遺伝子のみを発現し、膀胱組織の悪性形質
転換は、患者の45〜95%においてβ8および/またはβ5および/またはβ3遺
伝子を発現する能力を獲得するのに伴い生じることを実証した。
本発明は、悪性化におけるβ3、β5、β8およびβ9遺伝子の重要性(特に
、正常組織に存在するβ6およびβ7遺伝子産物の発現に比べて)を示したこと
に基づいている。
本発明は、ヒト細胞の悪性形質転換を検出する方法に関し、該細胞において、
hCGβサブユニットをコードするβ3、β5、β8および/またはβ9遺伝子の
産物の発現が、非悪性細胞におけるその発現に比べて多いことを証明することを
特徴とする。
β3遺伝子の対立遺伝子であるβ9遺伝子が以下に初めて記載され、これは、
β3、β5およびβ8遺伝子と同様に、117位がアスパラギン酸であり、悪性化
に関与しているhCGβサブユニットの合成に導くことに留意することは重要であ
る。
「β3、β5、β8および/またはβ9遺伝子の発現産物」は、天然mRNA転写
産物および天然翻訳産物、すなわちhCGβを表すと理解される。
これらのβ3、β5、β8およびβ9遺伝子の産物、および正常組織における
ものと比べたもしくは予め決定した標準と比べたその過剰発現を証明することは
有益であるが、β3、β5、β8およびβ9遺伝子の発現産物と、同じ組織中の
全β遺伝子の同じ発現産物全体との比を含む指標における変動を証明する方がよ
り有益となるはずでる。
この指標は、「形質転換(トランスフォーメーション)インデックス」と呼ば
れ、以下に詳述する。
β遺伝子の転写物、すなわちmRNAを本発明の方法の第1の態様で証明する。
β3、β5、β8およびβ9遺伝子の転写物を別々に測定しようと考えること
、またはそのヌクレオチド構造により一群のものとしてそれらを分析しようと考
えることは可能である。しかし、これらの遺伝子における、117位のアスパラギ
ン酸をコードするGAC配列の存在を利用することが可能である。この117位は、77
4〜776に位置し、その775位はAla 117をコードするβ6およびβ7遺伝子の対応す
る位置とはただ1個のヌクレオチドで異なり、AlaではAがCとなっている。こ
の位置は成熟mRNAに関して表示され、転写開始部位は+1と番号が付けられてい
る。CGβ遺伝子の転写開始の正確な位置に関する文献の結果は矛盾している。オ
タニ等(19)により提案されているものが用いられてきた。β6およびβ7遺伝
子の発現産物は正常細胞に存在する。
従って、775位にAを含有するβ遺伝子転写物の過剰な転写を測定するだけで
、β3、β5、β8およびβ9の転写物の過剰転写を証明することができる。
これは、774ないし777位にアスパラギン酸をコードする配列を含む、β3、β
5、β8および/またはβ9遺伝子の転写物の存在を示す。
分析方法に関する問題を可能な限り除去するために、775位にAを含有する転
写物とβ遺伝子転写物全体との比を示す形質転換インデックスを用いることが好
ましい。このインデックスは以下の通りである:
一般的には、転写物の決定には、必須ではないかもしれないが増幅工程が必要
である。
このヌクレオチド分析は、転写されたRNA、あるいはより好都合にはmRNAの逆
転写によるcDNAでの、例えばPCR法を用いた増幅方法により行うことができる。
より具体的には、この方法における転写物の過剰発現を実証するためには、
(a)まず、全mRNAを逆転写にかけ、
(b)hCGのβサブユニットをコードする遺伝子のcDNA、より具体的には774ない
し776の配列を含有する断片を選択的に増幅し、
(c)775位にAを含有する増幅産物の存在を実証し、その結果を正常組織で行わ
れた同様の分析で得られた結果と比較するか、あるいは標準と比較する。
工程(c)において、775位にCを含有する増幅産物を証明し、形質転換インデッ
クスを算出することも好ましい。正常組織もしくは標準との比較におけるこのイ
ンデックスの変動は、悪性段階への移行に関して診断もしくは予後の評価を与え
る。
増幅後、標識したプライマーを用いて増幅産物を伸長することより視覚化を行
うことができ、このプライマーの一方は3'末端でありヌクレオチド775に対応す
る位置にCを含有し、他方は同じ位置にAを含有し、異なる標識を有する。
それにより、それぞれ、775位のAの存在に対応する、および775位のCに対応
する伸長産物を得る。このようにして、プライマーと増幅産物が3'末端で対を形
成できない場合、実施例においてより詳しく説明するように、伸長させるのは非
常に困難である。
従って、1回の操作でA775 hCGおよびA775とC775産物の合計を測定することが
できる。
LCRもしくはNASBA型の各種方法、さらには前述の原則に適応しうる直接ハイブ
リダイゼーション法を用いることもできる。
この方法の実施により、胎盤の例外はあるが、RT-PCR法によりCGβ転写物を検
出することが可能なほとんどの健康な組織においてインデックスは0%に等しい
が、組織の悪性形質転換はこのインデックスの増加を伴いうることが証明された
。特に、インデックスにおける増加は、例えば、大腸がん、胸部がん、膀胱がん
、前立腺がんおよび甲状腺がんなどの高率に発生するがんにみられる。
前述の方法は、本発明方法の実施のために選択した1つの方法であるが、対象
の遺伝子の翻訳産物の証明を考えることも可能である。
117位にアスパラギン酸を有するhCGβの存在を、対応するエピトープに特異的
なモノクローナル抗体の助けにより証明して、β3、β5、β8およびβ9遺伝
子産物の過剰発現を証明することができる。これは、β7およびβ6遺伝子が、
新生物形質転換の標識ではなく、117位にアラニンを発現するhCGをコードし、従
って異なるエピトープを有するからである。従って、「特異的抗体」とはAsp117
エピトープを認識するが、Ala 117エピトープを認識しない抗体を意味する。
証明は免疫学の既知の方法の1つ、例えばELISA、RIAもしくはIRMAなどにより
行うことができる。
前述のように、分析の特徴に関連した生じうる問題を避けるために、この方法
を、前述のようにAsp 117(hCGβ)位で行われる測定と全体(hCGβ)の測定と
の間の比である形質転換インデックスの形で行うことは有益である。
本発明による方法、特にそのヌクレオチド分析形態の方法は、悪性表現型と強
く関連する単純な遺伝的変化に基づくという利点を有する。
本発明試験法の特に有利な特徴は、少数の剥離細胞で行うことができることで
ある。
この試験は定量的にも定性的にも行うことができ、簡便であり感度が良好であ
り、3時間までの時間で実施することができる。
これは、以下のような非常に広範な試料を用いてほとんどの高発生率のがんに
ついて初期の診断を可能にする:
−乳がんおよび前立腺がんの患者の生検組織、
−大腸がん患者の便、
−膣分泌物(卵巣がん)、
−尿(膀胱がん)、
−喀出物(肺がん)、
−全血(循環新生物細胞の診断のための循環血の単核細胞)。
定量分析は腫瘍の段階、およびその予後の評価も可能にする。
以下の実施例をよりよく理解するために、hCGβ遺伝子の構成を下記の図にま
とめた:
そして以下の表1はこれらの異なる遺伝子についての情報をまとめてある。
β1およびβ2遺伝子(それらが存在する場合)の転写および翻訳は145個の
アミノ酸からなるhCGβサブユニットの合成には至らない。
β3、β5、β8およびβ9遺伝子は、117位にアスパラギン酸残基を有する
145個のアミノ酸からなるhCGβサブユニットの合成に導く。
β6およびβ7遺伝子は、117位にアラニン残基を有する145個のアミノ酸から
なるhCGβサブユニットの合成に導く。
注: 四角で囲ったデータは新規に発見したものである
以下において、参照配列はhCGβ遺伝子のcDNAのヌクレオチド配列を示す図1a
、1bおよび1c、並びに成熟hCGβタンパク質の配列を示す図2に対応する。
以下の実施例は本発明方法のその他の特徴および利点も示す。材料および方法 全RNAの抽出
全RNAをChomczynski & Sacchi(20)の方法を用いて抽出した。全RNAは260nmに
おけるUV分光測定法により定量した(10D単位はRNA 40μg/mlに相当する)。
RNAの性質は、1%アガロースゲルでの電気泳動および臭化エチジウムによる染
色後に18Sおよび28SリボゾームRNAに対応するバンドを視覚化することにより評
価した。全RNAを-80℃でDEPC水溶液中に保存した。オリゴヌクレオチドプライマーの選択
hCG/LHβ多重遺伝子群の異なる遺伝子の配列を分析すると、CGβ3、β5、β6、
β7、β8およびβ9転写物を選択的にかつ同じ効率で増幅するオリゴヌク
レオチドプライマーの対を選択することが可能となった。
以下は2つのプライマーのヌクレオチド配列である(位置は成熟mRNAに対して
示され、転写開始部位は+1と番号を付けられている)。全RNAおよびRT-PCRを用いて、これらのプライマーにより347ヌクレオチドの断片
を増幅した。
RNA調製物に混入しているゲノムDNAの増幅を除去するために、エキソン2およ
び3の結合部に対応する領域にCGIプライマーを配置した。CGIプライマーの最後
の3つのヌクレオチドはエキソン3の最初の3つの塩基:ACCに対応する。しか
し、CGβ1、β2、β3、β5、β6、β7、β8、β9およびLHβ遺伝子の場
合、イントロン2の最初の3つの塩基の配列はGTGである。
CGIプライマーの使用はまた、存在するかもしれないLHβRNAの増幅の除去を可
能にする。これは、CGIプライマーの最後の3つの塩基が、成熟CGβタンパク
質のスレオニン42残基をコードするトリプレットACCに対応するためである。し
かし、LHのβサブユニットは42位にメチオニン残基を有し、これはトリプレット
ATGによりコードされる。 逆転写(RT)反応
各試料からの全RNA1μgをAmpli Gene RNA PCRキット(Perkin-Elmer)を用
いて製造業者の指示に従い、20μl体積で逆転写を行った。各試料用の反応混合
液は、逆転写酵素20単位、リボヌクレアーゼ阻害剤50単位、オリゴdT 2.5mM、各
デオキシリボヌクレオチドトリホスフェート(dA、dT、dCおよびdG)1mM、DTT1
0mM、Tris-HCl(pH8.3)10mM、KCl 50mMおよびMgCl25mMを含む。反応混合液は「D
NAサーマルサイクラー」9600(Perkin-Elmer)中で連続的に、20℃で10分間(オ
リゴdTのハイブリダイゼーション)、42℃で30分間(逆転写)および99℃で5分
間(逆転写酵素およびリボヌクレアーゼ阻害剤の変性)インキュベーションし、
その後4℃に急速に冷却した。増幅反応(PCR)
各試料からのcDNA 500ng相当量(RT産物10μl)および増幅産物による交叉混
入がないことを確認するための陰性対象を、Taqポリメラーゼ(Perkin-Elmer)2.5
単位、各デオキシリボヌクレオチドトリホスフェート(dA、dT、dCおよびdG)20
0mM、CGIおよびCGIIプライマーをそれぞれ10pmol、Tris-HCl(pH8.3)10mM、
KCl 50mMおよびMgCl2 1.5mMを含む最終体積50μl中で増幅させた。増幅は、「D
NAサーマルサイクラー9600」(Perkin-Elmer)中で35サイクル行い、各サイクル
は95℃で30秒、65℃で30秒および72℃で30秒である。PCRの性質は8%アクリル
アミドゲルでの電気泳動、および臭化エチジウムによる染色後のUV照射による増
幅産物の視覚化により確認した。hCG βcDNAにおける775位の特性決定
hCGβサブユニットをコードする遺伝子のcDNA配列を比較すると、β6およびβ
7転写物が775位にシトシン残基を有し、一方β3、β5、β8およびβ9転写物は775
位にアデニン残基を有することを証明できる。
従って、775位を分析することにより、これらの2種の転写物を区別すること
を可能にする方法がとられた。この方法は、競合オリゴヌクレオチドプライミン
グまたはCOP法(21、22、23)によりhCGβ転写物の増幅産物を分析することに基
づいている。この方法は1990年代の終わりに始められ、以下の特性をもつ2つの
オリゴヌクレオチドの混合物を用いることに基づく:
−ヌクレオチド配列:シトシン残基(オリゴヌクレオチドCGIII)もしくはアデニ
ン残基(オリゴヌクレオチドCGIV)のいずれかである3'塩基を除いて同じである
、
−5'標識:オリゴヌクレオチドCGIIIを発蛍光団TETで5'を標識し、オリゴヌクレ
オチドCGIVは発蛍光団FAMで5'を標識する。
あるプライマーを用いた伸長効率は3'対合(pairing)に厳密に依存する。3'で
誤対合(mipairing)があると伸長効率は大きく低下し、特に誤対合がA:G、G:A、C
:CもしくはG:G型である場合にそうである(23)。
TaqポリメラーゼをStoffel断片(24)に代えることにより、特異性を改善し、同
時にCOP法の感度を改善することができることが示された(24)。また、いくつか
のパラメーターが最適化された:RT-PCR産物の量、オリゴヌクレオチドの量、
Mg+2およびdNTPの濃度、サイクルの性質および数(25)。
COP反応は、蒸留水中で1/20に希釈されたRT-PCR1μl A用いて10μl体積中
で行う。反応液は、Taqポリメラーゼ2単位、Stoffel断片(Perkin-Elmer)、各
デオキシリボヌクレオチドトリホスフェート(dA、dT、dCおよびdG)50μM、2
つのオリゴヌクレオチドCGIIIおよびCGIVをそれぞれ0.1pmol、Tris-HCl(pH8.3)1
0mM、KCl 10mMおよびMgCl2 1.5mMを含む。この反応は「DNAサーマルサイクラー9
600」(Perkin-Elmer)中で5サイクル以上行い、各サイクルは95℃で30秒およ
び65℃で30秒である。得られるCOP産物を自動DNAシークエンサー(Perkin-Elmer
、373A型)で分析し、COP産物2.5μlをブルーローディング(blue loading)
緩衝液2μl、Genescan 2500 ROXサイズマーカー(Perkin-Elmer)0.5μlと混合
し、次いで変性ゲル(8%アクリルアミド、6M尿素、1×TBE)中、1×TBE緩衝
液中で1時間電気泳動にかける(2500V、40mA、30W)。
次いで、Genescan 672ソフトウェア(Perkin-Elmer)を用いて結果を分析し、
これはプライマーの5'末端に接続した発蛍光団の大きさおよび性質に基いて断片
を区別するだけでなく、各ピークについてC0P産物中に存在する分子の数に直接
比例する表面積を算出すること可能にする。
従って、TETで5'を標識した119の塩基対断片の存在は、775位にシトシン残基
を有する転写物の存在を示す。一方、FAMで5'を標識した119の塩基対断片の存在
は、775位にアデニン残基を有する転写物の存在を示す。
この方法は2つの主な利点がある:*
これは非常に感度のよい方法である。というのは、COP反応のサイクル数を増加
させ、それにより、775位にアデニン残基を有する転写物を発現している少数の
細胞も検出が可能となるためであり、これはA:G型の3'誤対合、すなわち誤対合
がプライマー伸長を行うのに最も望ましくないものである場合に一層そうである
。*
この方法は定量的でありかつ定性的である。表2は、それぞれ、シトシン775転
写物のみを発現している健康な組織(試料1、2および3)およびアデニン775
転写物を主に発現している新生物組織(試料16、17および18)に由来する2つの
RT-PCR産物を既知割合で混合した混合物を用いて行った実験の結果をまとめて
ある。各点について、実験は3回行った。 *インデックスは前記の通りである。
この結果は、再現性が良好であり、775Aと775C転写物の量とインデックスとの
間に比例がみられることを示す。
いくつかのがんを評価し、表3は胸部がん、膀胱がん、甲状腺がん、前立腺が
んおよび大腸がんに関して得られた予備的結果を示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成9年7月21日(1997.7.21)
【補正内容】
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ラザール,ウラジミール
フランス国、94800ビルジュイフ、リュ
ー・ウジェーヌ―バルラン、13
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1)ヒト細胞の悪性形質転換を検出する方法であり、該細胞における、hCGβサ ブユニットをコードするβ3、β5、β8および/またはβ9遺伝子の産物の発 現が、非悪性細胞におけるその発現に比べて多いことを証明することを特徴とす る方法。 2)悪性細胞において、β3、β5、β8および/またはβ9遺伝子の発現産物 と、β遺伝子全体の発現産物との間の比の増加を証明することを特徴とする請求 の範囲第1項記載の方法。 3)117位にアスパラギン酸残基を含むhCGβタンパク質の過剰な発現を証明する ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。 4)117位にアスパラギン酸残基を含むhCGβタンパク質の産生を、117位にアス パラギン酸を含むエピトープに対して特異的なモノクローナル抗体により証明す ることを特徴とする請求の範囲第3項記載の方法。 5)774ないし777位にアスパラギン酸をコードする配列を含む、β3、β5、β 8および/またはβ9遺伝子の転写物の存在を証明することを特徴とする請求の 範囲第1項記載の方法。 6)775位にアデニンを含む転写物の存在を証明することを特徴とする請求の範 囲第5項記載の方法。 7)悪性細胞において、775位にAを含むmRNAの転写が、βサブユニットをコー ドする遺伝子からのmRNA全体と比べて過剰であることを証明することを特徴とす る請求の範囲第6項記載の方法。 8)775位にAを含む、従ってコドン117に配列GACを含む転写物の、βCGサブユ ニット転写物の全体と比較したインデックスの増加を評価することを特徴とする 請求の範囲第5項ないし第7項のいずれかの項記載の方法。 9)転写物の過剰な発現を証明するために、 (a)まず、全mRNAを逆転写にかけ、 (b)hCGのβサブユニットをコードする遺伝子のcDNAを選択的に増幅し、 (c)775位にAを含有する増幅産物の存在を証明する、 ことを特徴とする請求の範囲第5項ないし第8項のいずれかの項記載の方法。 10) 775位にAを含有する増幅産物/選択的増幅の産物全体の比を示すことを 特徴とする請求の範囲第9項記載の方法。 11)伸長後にそれぞれ同定しうる、3'位にAを含む伸長用プライマー、および5' 位にCを含む別の伸長用プライマーを、775位にCを含有する増幅産物の証明に 用いることを特徴とする請求の範囲第9項および第10項のいずれかの項記載の方 法。 12)2つの伸長用プライマーが下記の通りである請求の範囲第11項記載の方法。
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