JP6603232B2 - 膀胱がんの監視、診断、およびスクリーニング方法 - Google Patents

膀胱がんの監視、診断、およびスクリーニング方法 Download PDF

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Description

本発明は、膀胱がんの予後予測、診断、及びスクリーニング方法に関する。本発明は、膀胱がんに罹患しているか、または、罹患していた患者の再発の監視および経過観察に非常に有用である。
膀胱がんは、全世界で診断されるがんで第5番目に最も一般的なものであり、毎年330,000件より多くの新規症例と一年あたり130,000件よりも多い死亡件数があり、その男女間の推定比は3.0:1.0である。膀胱がんは老人性疾患であり、診断される人の90%より多くが、55歳を超える患者である。通常ではないが、膀胱がんは若年者や子供にさえも起こる場合がある。任意の時点ではあるが、2百7十万人が膀胱がんの病歴を有する。新規に診断される膀胱がん症例の内、約70%〜80%が初期ステージであるが、それら症例の70%が再発し、そして、10%〜30%が進行型疾患へと進展する。初期ステージ(「表在性」と呼ばれるもの)の疾患において非筋層浸潤性である患者の大多数に関しては、その管理には一般的に、内視鏡的切除術、膀胱内療法、および監視的膀胱鏡検査が含まれる。まとめると、本アプローチの目的は、再発および進行のリスクを最小化することである。一方、進行型(筋層浸潤性)疾患を有する患者に関しては、その対策は、一般的に集学的なものであり、局所的疾患を標的とするもの(根治的膀胱全摘術、放射線療法)および全身性疾患を標的とするもの(化学療法)の両方である。最近数十年では、膀胱がんの総発生頻度は上昇中であるように見え、このことはタバコ乱用と工業における発がん物質の潜伏効果に起因する可能性がある。
膀胱がんの症例では、正確で非侵襲性の膀胱腫瘍マーカーの開発が、侵襲性かつ比較的高価な現状の診断手順の使用回数を増加させることのないスクリーニング、初期診断、再発の監視、初期における進行の検出、および予後の予測に重要である可能性がある。膀胱がんスクリーニングプログラムは、初期発見を促進することに加えて、便利であることが期待される。しかしながら、総人口および>50歳の人における膀胱がんの有病率が低いこと((0.001%)および(0.67%〜1.13%))が理由で、全集団を膀胱がんに関してスクリーニングすることは、偽陽性が多くなりすぎる結果となる可能性が高まり、費用対効果が高くないものとなる可能性がある。膀胱がんスクリーニングは、このがんのリスクのより高い個人(喫煙者、芳香族アミンに職業的に暴露される人、住血吸虫病患者)間で費用対効果が高い場合がある。膀胱がんのリスクは、喫煙が他の既知の膀胱発がん物質または遺伝子多型と組み合わされるとさらに高くなる。
膀胱がんは、偶然診断される場合もあるし、または、症状があるので診断される場合もある。膀胱がんの主症状は、血尿である。尿細胞検査は検査室検査ではなく、尿管上皮細胞の形態学的特徴を病理学者が解釈するものである。尿検体は膀胱の代表的試料を必ずしも含むものではなく、腫瘍が存在する場合でさえも腫瘍細胞を含まない場合がある。尿細胞検査の感度と特異度は、低グレードの腫瘍を検出するためには低い。膀胱がんの臨床診断は、フレキシブル又は柔軟性のない膀胱鏡による検査により通常実施される。膀胱鏡検査は、膀胱がん診断のためのゴールドスタンダードとして考えられ、小さな病変の発見および切除する能力がある。しかし、膀胱鏡検査に付随するのは、コストが高く、患者が十分不快であり、そして、感度がまちまちであることである。
再発発生頻度が高いので、膀胱がん監視の標準的ケアは、腫瘍摘出後の定期的膀胱鏡検査からなる。血尿スクリーニングは、膀胱がんだけでなく、他の泌尿器学的悪性疾患をも検出することができる。そして、医学的配慮を必要とする良性疾患(良性前立腺肥大症)も初期に検出可能であり、そして、尿路に血液を出す他の多くの状態も検出可能である。
膀胱がんに関連する血尿はまた、腫瘍のグレードとは独立している。
現在、許容可能な効率で膀胱がんの診断と臨床的管理に使用することが推奨可能な腫瘍マーカー検査はない。膀胱がんの予後を推測し、複数のパラメータ(例、患者の腫瘍サイズ、腫瘍グレード、年齢)に関して適切な療法を患者に選択する利用可能な方法はほとんどない。
しかしながら、これらの診断/ステージ決定方法の予測精度は限定的なままである。というのも、これらの方法は、膀胱がんの発症と進行を進める分子的イベントの複雑さを反映しない場合があるからだ。
従って、膀胱がんを正確に診断する方法であって、良好な予後(転移の可能性が低いこと、遅れて疾患が進行すること、疾患再発が減少すること、または、患者の生存期間が増加すること)を伴う腫瘍を、その他の腫瘍から識別可能な方法に対する未だ実現されていない必要性がまだある。
そのような方法を使用して、医師は、患者の予後を正確に予想することができ、そして、療法の利益をほぼ確実に享受するか又はより徹底的な監視を必要とする患者を効果的に対象とすることができるであろう。
発明者らは、一方でFGFR3の特異的変異の同定に基づくアッセイと、他方で特異的マーカーのメチル化度の測定に基づくアッセイの二つを組み合わせて測定することにより、膀胱がんの正確な予測および/または検出を提供可能であることを立証した。
従って、本発明が関連するのは、被験者の膀胱がん又は膀胱がん発症リスクの監視、診断、およびスクリーニング方法であって、前記方法は、
a)第一生体試料中で、FGFR3遺伝子の変異を検出する工程;ならびに
b)前記被験者から得られる第二生体試料中で、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子のメチル化度を測定する工程を含み、
前記工程a)は、
−配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異742C→T、746C→G、1114G→T、および1124A→Gからなる群より選択される変異を検出するか、または、
−配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysからなる群の変異を検出することにより実施される、方法である。
好ましくは、前記第一および第二生体試料は、尿サンプルである。典型的には、工程a)とb)の両方は同じ尿サンプルで実施される。
好ましくは、前記方法は、工程b)の後に、工程b)で測定されたメチル化度を閾値と比較する工程b’)であって、前記閾値が、膀胱がんに罹患しているか又は発症リスクのある患者と膀胱がんに罹患していない患者とを識別する工程をさらに含む。
好ましくは、FGFR3遺伝子中の前記変異の存在とSEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子のメチル化度を閾値と比較することが、膀胱がん発症リスクまたは膀胱がんの指標となる。
好ましくは、本発明の方法の工程a)は、TERT遺伝子中の変異を検出する工程をさらに含み、前記検出は、
−配列番号32のヌクレオチド番号を参照して示される変異77C→Tおよび99C→Tからなる群より選択される変異を検出することにより実施される。
好ましくは、本発明の方法の工程b)には、
−配列番号3に示されるSEPTIN9断片のメチル化度を測定し;
−配列番号4に示されるSLIT2断片のメチル化度を測定し;
−配列番号5に示されるTWIST1断片のメチル化度を測定し;および
−配列番号6に示されるHS3ST2断片のメチル化度を測定する工程が存在する。
好ましくは、本発明の方法の工程b)は、DDR1遺伝子およびその断片または変異体のメチル化度を測定する工程をさらに含む。好ましくは、前記断片は配列番号7に示されている。
好ましくは、前記第一および第二生体試料は尿である。
好ましくは、本発明の工程a)は、アレル特異的PCR(AS−PCR)により実施される。典型的には、工程a)は、配列番号8〜13に示されるプライマーを使用して実施される。
好ましくは、本発明の方法の工程b)は、定量的リアルタイム多重メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(Qm−PCR)により実施される。典型的には、前記工程b)は、ハウスキーピング遺伝子のメチル化度を測定する工程であって、前記ハウスキーピング遺伝子がアルブミン、β−アクチン、およびβ−グロビン、好ましくはアルブミン遺伝子またはその断片もしくは変異体から典型的に選択される工程をさらに含む。
定量的リアルタイム多重メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(QM−MSP)の実行の説明。 膀胱がんを有する患者(+)におけるS249C変異の検出に対する変異S249Cを有しない個人(−)におけるその検出。 ROC曲線を利用する本発明の方法の特異度および感度の決定。 競合的アレル特異的TaqManPCR(Cast−PCR)の実行の説明。 ロック型核酸(LNA)技術のプローブの実行の説明。 ロック型核酸(LNA)技術のプローブを野生型アレルを抑制するMGBオリゴヌクレオチドブロッカーと組み合わせて実行することの説明。 QM−MSPを、非メチル化アレルを抑制するMGBオリゴヌクレオチドブロッカーと組み合わせて実行することの説明。
本発明者らは、二つのアッセイの組み合わせ、つまり、
−FGRF3の特異的変異の検出に基づくアッセイ;および
−標的遺伝子のメチル化度の定量化に基づくアッセイ
が、超高感度および特異度を有する有望な膀胱がん検出法を提供することを示した。
従って、本発明の第一の観点は、被験者の膀胱がんまたは膀胱がん発症リスクの監視、診断、およびスクリーニング方法であって、前記方法は、
a)第一生体試料中で、FGFR3遺伝子の変異を検出する工程;ならびに
b)前記被験者から得られる第二生体試料中で、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子のメチル化度を測定する工程を含み、
前記工程a)は、
−配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異742C→T、746C→G、1114G→T、および1124A→Gからなる群より選択される変異を検出するか、または、
−配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysからなる群の変異を検出することにより実施される、方法に関する。
好ましくは、前記方法は、工程b)の後に、工程b)で測定されたメチル化度を閾値と比較する工程b’)であって、前記閾値が、膀胱がんに罹患しているか又は発症リスクのある患者と膀胱がんに罹患していない患者とを識別する工程をさらに含む。
本発明の方法は、従って、患者の膀胱がん予後を効率的に予測する方法となる。前記方法は、従って、膀胱がん管理と共に新薬の臨床試験において患者を割り振るために容易に適用可能である。実際、前記方法は、
−再発の監視(つまり、膀胱がんに罹患しているとして既に診断された患者の経過観察)、
−患者の膀胱がんの初期診断、
−スクリーニング(つまり、膀胱がんの発症リスクのある集団の同定)を可能にする。
本明細書中に使用される「膀胱がんの発症リスクのある集団」には、
−喫煙者、
−各種化学物質に暴露される個人(特に、精錬所の現場、または、石油およびガス工業における人々)、
−慢性尿路感染症に罹患する個人、
−永続的に膀胱感染症(例、住血吸虫病)に罹患する個人が含まれる。
医師が、補助療法(つまり、追加療法)を措置するため及び/又はその療法により患者が治療されるべきかどうかを決めるために適切な治療方針を決定する目的で、本方法はその医師に重要な情報を提供する。
定義
用語「FGRF3」は、繊維芽細胞増殖因子受容体3の遺伝子を指す。前記遺伝子は、繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリーのメンバーをコードし、そのアミノ酸配列は、メンバー間で多種に渡り高く保存されている。FGFRファミリーメンバーは互いに、そのリガンド親和性および組織分布が異なっている。代表的な全長タンパク質は、細胞外領域(三つの免疫グロブリン様ドメインから構成されるもの)、単一の疎水性膜貫通部分、および細胞質チロシンキナーゼドメインからなっている。そのタンパク質の細胞外部分は、繊維芽細胞増殖因子と相互作用し、下流シグナルカスケードを始動させ、最終的には細胞分裂と分化に影響を及ぼす。この特定のファミリーメンバーは、酸性および塩基性繊維芽細胞増殖ホルモンに結合し、そして、骨の発生と維持に役割を演じる。この遺伝子中の変異は、頭蓋骨癒合症と複数のタイプの骨格形成異常を導く。三種類のオルターナティブスプライシングされた転写物バリアント(互いに異なるタンパク質アイソフォームをコードするもの)が記載されている。
用語「変異体」および「変異」は、遺伝子材料(例、DNA、RNA、cDNA)、または任意のプロセスもしくはメカニズムにおける任意の検出可能な変化、あるいはそのような変化の結果を意味する。この用語には、遺伝子変異(遺伝子の構造(例、DNA配列)の変化)、任意の変異プロセスから生じる任意の遺伝子またはDNA、および改変遺伝子またはDNA配列により発現される任意の発現産物(例、タンパク質もしくは酵素)が含まれる。一般的に、被験者における変異の同定は、前記被験者に発現される核酸またはポリペプチド配列を、コントロール集団中で発現される対応する核酸またはポリペプチドと比較することにより行われる。遺伝子材料中の変異はまた、「サイレント」(つまり、変異が発現産物のアミノ酸配列の変化を生じないもの)である場合もある。
この文脈での適用例では、FGFR3遺伝子に同定される変異を、DunnenとAntonarakisの命名法(2000年)に従って名づける。DunnenとAntonarakisにより核酸レベルで定義される置換を、「→」と記載する。例えば、「1463T→C」は、参照配列のヌクレオチド1463番のTがCへと変化したことを示す。その全長ゲノム配列が既知の場合、変異はそのゲノムを参照して得られるヌクレオチド番号により最適には示される。
本明細書中に使用される表現「標的変異」は、FGFR3遺伝子上の特定の変異を指し、それらは以下に定義される:
−配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異742C→T、746C→G、1114G→T、および1124A→G;または、
−配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cys。
本明細書中に使用される用語「被験者」は、膀胱がんの症状を有する個体および/または膀胱がんを有すると疑われる個体を指す。
本明細書中で使用される用語「がん」または「腫瘍」は、がんを引き起こす細胞の典型的性質(例、制御不能な増殖、不死化、転移能、早い成長および増殖速度、ならびにある種の特徴のある形態的特徴)を有する細胞の存在を指す。好ましくは、がんは膀胱がんである。
本明細書中で使用される用語「患者」は、哺乳動物(例、齧歯類、ネコ科、イヌ科、および霊長目の動物)を示す。好ましくは、本発明に係る患者はヒトである。
本明細書中で使用される用語「補助療法」は、転移リスクのある及び/又は再発の可能性があるがんに罹患する患者において、通常、原発性腫瘍の外科切除後の追加的治療として与えられる任意のタイプのがん治療を指す。そのような補助治療の目的は、予後を改善することである。補助療法には、放射線治療および療法(好ましくは、全身性療法(例、ホルモン療法、化学療法、免疫療法、およびモノクローナル抗体療法))が含まれる。
本明細書中で使用される用語「遺伝子」は、特異的タンパク質を発現する核酸断片であって、コード配列の前(5’非コード配列)と後(3’非コード配列)に制御配列を含むものを指す。
本明細書中で使用される表現「目的遺伝子」は、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2遺伝子およびその断片または変異体を指す。
本明細書中で使用される用語「遺伝子発現レベル」または「遺伝子の発現レベル」は、転写産物(例、mRNA)の量または濃度、あるいは、翻訳産物(例、タンパク質またはポリペプチド)の量または濃度を指す。典型的には、mRNAの発現レベルは、単位(例、細胞当たりの転写物数または組織1マイクログラム当たりのナノグラム)で表現可能である。ポリペプチドのレベルは、例えば、組織1マイクログラム当たりのナノグラムまたは培養培地1ミリリットル当たりのナノグラムとして表現可能である。また、相対単位を使用して発現レベルを記載することもできる。
本明細書中で使用される表現「mRNA転写物」は、RNAポリメラーゼにより触媒されるDNA配列の転写により生じるが、イントロンの無い産物であって、細胞によりポリペプチドへと翻訳可能なものを指す。
本明細書中で使用される用語「生体試料」は、インビトロでの評価目的で得られる任意の生体試料を指す。典型的には、前記生体試料は固形組織および腫瘍組織から取得可能である。追加的な試験サンプルの例には、尿、血液、血清、血漿、乳頭吸引液、唾液、関節液、および脳脊髄液(CRL)が含まれる。好ましくは、前記生体試料は尿である。典型的には、尿は、腫瘍に由来する材料(例、腫瘍細胞あるいは再発腫瘍由来のタンパク質および/または核酸)を含む場合がある。典型的には、前記第一および第二生体試料は同一または互いに異なる生体試料である。
本明細書中で使用される表現「遺伝子の発現レベルを測定する」は、転写産物(好ましくは、前記遺伝子の転写を通して得られるmRNA)の量を測定する工程、および/または、翻訳産物(好ましくは、前記遺伝子の翻訳を通して得られるタンパク質)の量を測定する工程を含む。好ましくは、遺伝子の発現を測定する工程は、前記遺伝子の転写を通して得られるmRNAの量を測定する工程を指す。典型的には、前記遺伝子(複数可)の遺伝子発現レベルを測定する工程a)を、当業者に周知の日常的な技術に従って実施してもよい。
「膀胱がんをスクリーニングすること」は、膀胱がんを発症する素因の検出および被験者に既に存在する膀胱がんの検出を意味する。
「メチル化」は、CpGジヌクレオチド中のシトシンの炭素5位上にメチル基を付加することを意味する。これらのジヌクレオチドは、CpG「島」中を除いては、DNA構造中に頻繁には起こらない。これらの島は、典型的には、遺伝子のプロモーター領域のレベルで意義がある。従って、我々が遺伝子のメチル化を議論する場合、我々は前記遺伝子のプロモーター領域のメチル化のことを言っている。正確な部位にメチル基が存在すると、遺伝子と転写因子との間の相互作用が阻害される。典型的には、メチル基は、転写因子が増幅部位およびプロモーターに結合するのを妨げ、そして、RNAポリメラーゼが開始部位に結合するのを阻止する。従って、プロモーター領域のメチル化はDNA転写の抑制を導く。
表現「遺伝子のメチル化」は、遺伝子のヌクレオチド配列のCpG島のメチル化を含み、また、前記表現が適用される遺伝子のプロモーターのヌクレオチド配列のメチル化も含む。
「遺伝子の断片」は、前記遺伝子の配列であって、その長さが少なくとも50塩基対、好ましくは、その長さは60〜120塩基対である。
FGFR3遺伝子中の特異的変異の検出
本発明の方法は、第一生体試料中で、FGFR3遺伝子の変異を検出する工程a)を含み、前記工程a)は、
−配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異742C→T、746C→G、1114G→T、および1124A→Gからなる群より選択される変異を検出するか、または、
−配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysからなる群の変異を検出することにより実施される、方法である。
好ましくは、前記工程b)は、前記被験者から得られる第二生体試料中で、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも二つの遺伝子、好ましくは少なくとも三つの遺伝子のメチル化度を測定する工程である。
より好ましくは、前記工程b)は、前記被験者から得られる第二生体試料中で、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体の全ての遺伝子のメチル化度を測定する工程である。
好ましくは、前記第一および生体試料は同一の生体試料である。好ましくは、工程a)は、配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される746C→G、1114G→T、および1124A→Gからなる群より選択される変異、または、配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysを検出する工程である。
典型的には、標的変異の検出を、DNA配列上、mRNA転写物上、またはタンパク質配列上で実施する場合がある。より好ましくは、標的変異の検出を、重亜硫酸塩で処理したDNA配列上で実施してもよい。
好ましくは、検出するFGFR3変異は、
配列番号1(FGFR3タンパク質をコードするDNA配列を指すもの)のヌクレオチド番号を参照して示される変異
−742C→T、
−746C→G、
−1114G→T、および
−1124A→G
からなる群より選択される。配列番号1は、アクセション番号NM_001163213.1(NCBIリファレンス配列)としてオンライン上で利用可能な配列の断片である。配列番号1は、配列番号2で記載されるアミノ酸配列をコードする。
配列番号1では、742位のヌクレオチドはシトシンである。変異742C→Tは、742位の前記シトシンがチミンにより置換されたものからなっている。前記変異は、配列番号1を参照して示される248位にアルギニンの代わりにシステインを含むタンパク質を導く。
配列番号1では、746位のヌクレオチドはシトシンである。変異746C→Gは、746位の前記シトシンがグアニンにより置換されたものからなっている。前記変異は、配列番号1を参照して示される248位にセリンの代わりにシステインを有するタンパク質を導く。
配列番号1では、1114位のヌクレオチドはグアニンである。変異1114G→Tは、前記グアニンがチミンにより置換されたものからなっている。前記変異は、配列番号1を参照して示される372位にグリシンの代わりにシステインを有するタンパク質を導く。
配列番号1では、1124位のヌクレオチドはアデニンである。変異1124A→Gは、前記アデニンがグアニンにより置換されたものからなっている。前記変異は、配列番号1を参照して示される375位にチロシンの代わりにシステインを有するタンパク質を導く。
第一実施形態によると、前記変異を、FGFR3核酸分子を解析することにより検出する場合がある。
本発明の文脈では、「FGFR3核酸分子」には、mRNA、ゲノムDNA、およびmRNA由来cDNAが含まれる。FGFR3変異を、好ましくは増幅後のRNAまたはDNAサンプル中で検出してもよい。
DNAまたはRNAは、一本鎖または二本鎖である場合がある。これらは、例えば、プローブを用いるハイブリダイゼーションおよび/または増幅による検出のために利用可能である。核酸サンプルは、任意の細胞供給源または組織生検材料から取得可能である。利用可能な細胞供給源の非限定例には、限定はされないが、血液細胞、口腔細胞、上皮細胞、繊維芽細胞、または、生検により得られる組織中に存在する任意の細胞が含まれる。細胞はまた、体液(例、尿、血液、血漿、血清、リンパ液等)から取得可能でもある。好ましくは、細胞を尿サンプルから得る。
DNAを、Sambrookら(1989年)に記載されるように、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して抽出して得てもよい。RNAは、例えば、組織生検材料から、当業者に周知の標準的方法(例、チオシアン酸グアニジン−フェノール−クロロホルム抽出)を使用して単離可能でもある。
単離したRNAを、逆転写と増幅の組み合わせ(例、逆転写と、変異部位に特異的であるか、または、その変異部位を含む領域の増幅を可能にする特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)による増幅との組合せ)に供する場合がある。
典型的には、プライマーアニーリングの条件は、(適切な場合であるが)特異的な逆転写および増幅を保証するように選択可能である。従って、増幅産物の出現が特定のFGFR3変異の存在の診断法となる。
一方、RNAを逆転写および増幅する場合がある。または、DNAを増幅してもよい。その後、変異部位は、適切なプローブを用いるハイブリダイゼーション、ダイレクトシークエンシング、または当該分野で既知の任意の他の適切な方法により、増幅した配列中に検出可能である。例えば、RNAから得たcDNAをクローニング、そして、配列決定して、FGFR3配列中の変異を同定してもよい。
遺伝子型解析用の多数の方法が利用可能である(Antonarakisら、1989年;Cooperら、1991年;Grompe、1993年)。手短に言うと、核酸分子を、制限酵素切断部位の存否に関して試験する場合がある。塩基置換変異が制限酵素の認識部位を創出または消滅させる場合、その変異に関するシンプルな直接的PCR試験が可能になる。その他の方法には、限定はされないが、ダイレクトシークエンシング、制限断片長多型(RFLP)解析;アレル特異的オリゴヌクレオチド(ASO)であって、適切にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で完全マッチする配列にのみハイブリダイズする短い合成プローブであるものとのハイブリダイゼーション;アレル特異的PCR;変異原性プライマーを用いるPCR;リガーゼ−PCR、HOT切断;変性勾配ゲル電気泳動(DGGE);温度変性勾配ゲル電気泳動(TGGE)、一本鎖高次構造多型法(SSCP)、および変性高速液体クロマトグラフィー(Kuklinら、1997年)が含まれる。ダイレクトシークエンシングはまた、任意の方法(限定はされないが、Maxam−Gilbert法を使用する化学的シークエンシング;Sanger法を使用する酵素的シークエンシング;質量分析法によるシークエンシング;チップ系技術を使用するシークエンシング;およびリアルタイム定量PCRを含むもの)により実現可能である。好ましくは、被験者からのDNAを、特異的増幅プライマーを使用するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により、まず増幅にかける。
しかしながら、いくつかの他の方法(例、ローリングサークル増幅(RCA)、Invader(商標)アッセイ、または、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA))が利用可能で、PCRとは独立してDNAを試験することを可能にする。OLAは、塩基置換変異を明らかにするために使用可能である。この方法によれば、変異位置に位置する連結部を有する、標的核酸中の隣接する配列にハイブリダイズする二つのオリゴヌクレオチドを構築する。DNAリガーゼは、それら二つのオリゴヌクレオチドが完全にハイブリダイズする場合にだけ、それら二つのオリゴヌクレオチドを共有的に連結する。
好ましくは、本発明の方法の工程a)は、アレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応(AS−PCR)により実施可能である。
本明細書中で使用される「アレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応」(AS−PCR)は、ポリメラーゼ連鎖反応の特定の実施形態であって、エチジウムブロマイドで染色したアガロースまたはポリアクリルアミドゲル中でPCR産物を解析することにより、ヒトDNAの任意の点変異を直接検出可能にするものを指す。AS−PCRが作動する理由は、DNA鋳型と3’ミスマッチを形成するオリゴヌクレオチドプライマーが、テルムス・アクウァーティクス(Thermus aquaticus)DNAポリメラーゼによるプライマー伸長ができないからだ。従って、全ての既知のアレルに対して特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを合成および使用して、ゲノム型が不明のDNA中のアレルを検出することができる。
基本的に、AS−PCR技術の基礎となる一般的原理は、従って、特異的変異アレルを優先的に増幅させる変異特異的プライマーの設計をすることである。
AS−PCR法の実施のため、以下に定義されるプライマーを使用してもよい。
−特異的蛍光色素(例、6FAM、HEX、およびTET)で5’にタグを付けたフォワードプライマー(配列番号8および11)を一つ、ならびに、
−ロック型核酸技術で3’を修飾したヌクレオチドが存在するリバースプライマー(配列番号9、10、12、および13)一つ。
本明細書中で使用される表現「ロック型核酸技術により修飾されたヌクレオチド」または「LNAにより修飾されたヌクレオチド」は、短いか又は非常に類似する配列を試験する場合に理想的であるオリゴヌクレオチドを指す。LNAオリゴヌクレオチドはその相補配列へのアフィニティーが高いので、古典的なDNAオリゴヌクレオチドに比較すると、特異性が劇的に改善する。そして、LNAオリゴヌクレオチドは、単一のヌクレオチドが異なる配列間を識別するのに使用され、そのことは多くの実験の成功に重要となる場合がある。実際、標準的塩基(A、C、G、T、またはU)と共に使用する場合、LNAを使用して合成されるプローブの温度安定性は従来のDNAまたはRNAよりも高く、従って、そのプローブはその相補配列とより強い結合を形成する。
典型的には、FGFR3変異を検出する場合、表1に開示するフォワードプライマーおよびリバースプライマーを使用することができる。
表1中のアスタリスクで注記したヌクレオチドは、LNA技術により修飾されている。表1に示すように、添付した配列リストに示される配列番号8〜13は、特異的蛍光色素(例、6FAM、HEX、およびTET)で5’にタグを付けられているか、または、ロック型核酸技術により3’が修飾されたヌクレオチドが存在する。
典型的には、本発明の方法の工程a)においてAS−PCRを実行する場合、内部コントロール(例、ハウスキーピング遺伝子)を使用してもよい。
好ましくは、前記ハウスキーピング遺伝子は、アルブミン、β−アクチン、およびβ−グロビンまたはその断片および変異体からなる群より選択される。好ましくは、前記ハウスキーピング遺伝子は、β−グロビンまたはその断片および変異体である。より好ましくは、内部コントロールは、ハウスキーピング遺伝子の断片、さらに好ましくはβ−グロビンの断片である。典型的には、前記断片は配列番号31に示されるヌクレオチド配列である。
この目的のため、以下のプライマーを使用することもできる。
−フォワードFGLO:5’HEX−CCT TTG GGG ATC TGT CCA CTC CTG A3’(配列番号14);および
−リバースRGLO:5’GTTGTC CAG GTG AGC CAG GCC AT3’(配列番号15)。
好ましくは、本発明の工程a)は、以下の二つのPCRを使用するアレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応(AS−PCR)により実施可能である。
−配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異742C→Tおよび1114G→Tとβ−グロビンを検出するPCR1;
−配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異7422C→Gおよび1124A→Gとβ−グロビンを検出するPCR2。
第二実施形態によれば、FGFR3遺伝子中の前記変異をタンパク質レベルで検出する場合がある。従って、本発明に係るFGFR変異は、好ましくは、配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysからなる群より選択される。前記変異は、当該技術分野で既知の適切な方法に従って検出可能である。特に、被験者から得られる試料(例、組織生検材料)を、FGFR3の変異型に特異的な抗体(つまり、FGFR3の変異型と野生型タンパク質(または任意の他のタンパク質)とを識別することができる抗体)と接触させて、その抗体により特定されるFGFR3の存否を決定してもよい。特異的に変異型FGFR3を認識する抗体はまた、本発明の一部を成す。その抗体は変異型FGFR3に特異的である、つまり、野生型FGFR3とは交差反応しない。
本発明の抗体は、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、単鎖抗体もしくは二本鎖抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または、免疫グロブリン分子の部分(当該技術分野で、抗原結合断片であるFab、Fab’、F(ab’)2、およびF(v)として知られるこれら部分を含むもの)であってもよい。それらはまた、例えば、毒素と免疫結合体をなしてもよいし、または標識抗体である場合がある。
ポリクローナル抗体を使用する場合もあるが、モノクローナル抗体が好ましい。というのも、モノクローナル抗体はより長く再生産できるからだ。「ポリクローナル抗体」の作製手順もまた、周知である。ポリクローナル抗体は、適切な抗原(例えば、当業者が周知の標準的方法にしたがって遺伝子工学により作製可能なもの)を免疫した動物の血清から得ることができる。典型的には、そのような抗体は、ウサギ(ニュージーランドホワイト)に変異型FGFR3を皮下投与することにより作製可能であり、そのウサギは、最初に血液を採取して免疫前血清を得ておく。抗原を、異なる6箇所に1箇所当たり総容量100μlで注射する場合がある。各注射物は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動後のタンパク質またはポリペプチドを含む粉末化したアクリルアミドゲルと共に又はそれ無しにアジュバントを含んでもよい。ウサギは、その後、第一回目の注射後2週間で採血し、そして、6週間ごとに3回、同じ抗原で周期的にブーストする。血清サンプルを、その後、各ブースト後10日目に回収する。ポリクローナル抗体を、その後、対応する抗原を使用して抗体を捕獲するアフィニティークロマトグラフィーにより、血清から回収する。ポリクローナル抗体作製のこの手順および他の手順は、Harlowら(1988年)に開示されており、本明細書中では参考資料として取り込まれる。
標準的語法の各種形態での「モノクローナル抗体」は、特定のエピトープと免疫反応することができる抗体組合せ部位のたった一つの種を含む抗体分子の集団を指す。モノクローナル抗体は、従って、典型的には免疫反応する任意のエピトープへの単一の結合親和性を呈する。モノクローナル抗体は、従って、複数の抗体組合せ部位(各部位は、異なるエピトープに対して免疫学的に特異的である)を有する抗体(例、二重特異性モノクローナル抗体)を含む場合がある。歴史的には、モノクローナル抗体はクローンとして純粋な免疫グロブリン分泌細胞株の不死化により生産されてきたが、モノクローン的に純粋な抗体分子集団はまた、本発明の方法でも調製可能である。モノクローナル抗体調製の実験室的方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Harlowら(1988年)を参照されたい)。モノクローナル抗体(mAb)は、哺乳動物(例、マウス、ラット、ヒト等の哺乳動物)に精製変異型FGFR3を免疫することにより調製してもよい。免疫した哺乳動物中の抗体生産細胞を単離して、そして、ミエローマ細胞またはヘテロミエローマ細胞と融合させて、ハイブリッド細胞(ハイブリドーマ)を作製する。モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞を、所望のモノクローナル抗体の供給源として活用する。ハイブリドーマ培養のこの標準的方法は、KohlerとMilstein(1975年)に記載されている。
mAbはハイブリドーマの培養により生産可能であるが、本発明はそのようなものに限定されることはない。また、考えられるのは、本発明のハイブリドーマからクローニングされる核酸を発現させることにより生産されるmAbを使用することである。つまり、本発明のハイブリドーマにより分泌される抗体分子を発現する核酸を、別の細胞株へと移して、形質転換体を作製してもよい。形質転換体は、元のハイブリドーマとは遺伝子型が異なるが、本発明の抗体分子(ハイブリドーマにより分泌される抗体分子に対応する抗体分子全体の中の免疫学的に活性のある断片を含む)を生産することができる。例えば、Readingの米国特許第4,642,334号;PCT公開番号;Winterらのヨーロッパ特許公開第0239400号、Cabillyらの第0125023号を参照されたい。
免疫処置に関与しない抗体生成技術として考えらえる例には、また、ファージディスプレイ技術を使用して、(非免疫処置動物由来の)ナイーブライブラリを検証することなどがある。Barbasら(1992年)およびWaterhouseら(1993年)を参照されたい。
変異型FGFR3に対して作製された抗体は、野生型FGFR3と交差反応する場合もある。従って、変異型FGFR3に対して特異的な抗体を選抜することが必要だ。このことは、例えば、野生型FGFR3に対するアフィニティークロマトグラフィーに作製した抗体を掛けることにより、野生型FGFR3と反応性のあるものを抗体のプールから枯渇させることにより実現可能である。
また、抗体以外の結合剤を、本発明の目的のために使用してもよい。これらの結合剤には、例えば、アプタマー(分子認識に関して抗体の代替手段となる分子クラス)がある。アプタマーは、ほぼ任意のクラスの標的分子を高親和性および特異性で認識する能力のあるオリゴヌクレオチドまたはオリゴペプチド配列である。そのようなリガンドは、Tuerk CとGold L.(1990年)に記載されるように、ランダム配列ライブラリからSELEX法により単離可能である。ランダム配列ライブラリは、DNAをコンビナトリアルケミストリー的に合成することにより取得可能である。このライブラリでは、各メンバーはユニークな配列の直線的オリゴマーであり、最終的には化学修飾される。このクラスの分子の可能な修飾、用途、および利点については、Jayasena S.D.(1999年)によるレビューが出版されている。基礎となるタンパク質(例、大腸菌(E.coli)チオレドキシンA)により提示される立体構造的に折りたたまれた抗体可変領域からなるペプチドアプタマーは、ツーハイブリッド法によりコンビナトリアルライブラリから選択される(Colasら(1996年))。
本発明のプローブ、プライマー、アプタマー、または抗体を、検出可能な分子または物質(例、蛍光分子、放射性分子、または当該技術分野で既知の任意の他の標識)で標識する場合がある。一般的にシグナルを(直接的または間接的のいずれかで)提供する標識は、当該技術分野で公知である。本発明のプローブ、プライマー、アプタマー、または抗体に関する用語「標識される」は、本発明のプローブ、プライマー、アプタマー、または抗体に検出可能な物質を連結(つまり、物理的にリンク)することにより、本発明のプローブ、プライマー、アプタマー、または抗体を直接的に標識すること、ならびに、直接標識されている別の試薬と反応させることにより本発明のプローブ、プライマー、アプタマー、または抗体を間接的に標識することを含むことを意図している。検出可能な物質の他の例には、限定はされないが、放射性剤またはフルオロフォア(例、フルオレセインイソシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、またはインドシアニン(Cy5))が含まれる。間接的に標識することの例には、蛍光標識二次抗体を使用して一次抗体を検出すること、および、DNAプローブの末端をビオチンで標識して蛍光標識ストレプトアビジンで検出可能にするようにすることが含まれる。本発明の抗体またはアプタマーを、当該技術分野で既知の任意の方法により放射性分子で標識する場合がある。例えば、放射性分子には、限定はされないが、シンチグラフィー試験用の放射性原子(例、I123、I124、In111、Re186、Re188)が挙げられる。
好ましくは、本発明の方法の工程a)は、TERT遺伝子中の変異を検出する工程をさらに含み、前記検出は、
−配列番号32のヌクレオチド番号を参照して示される変異77C→Tおよび99C→Tからなる群より選択される変異を検出することにより実施される。
前記変異は、Yves Alloryらの刊行物「Telomerase Reverse Transcriptase Promoter Mutations in Bladder Cancer:High Frequency Across Stages,Detection in Urine,and Lack of Association with Outcome(膀胱がんにおける逆転写酵素テロメラーゼのプロモーター変異:ステージを通して高頻度で起こること、尿中での検出、および治療成績との関連性の欠如)」、ヨーロッパ泌尿器学会(European association of urology)に開示されてる。
用語「TERT」は、逆転写酵素テロメラーゼ遺伝子を指す。その配列は、アクセション番号NC_000005.9として利用可能である。
本発明の文脈では、明確にするためにではあるが、特異的変異を、配列番号32で示されるTERTの特異的断片を参照して定義する。前記断片は、アクセション番号NC_000005.9として利用可能な配列の1,295,301〜1,295,152位に対して相補的なリバース配列に対応する。
上記TERT遺伝子を参照して示される変異1,295,228C→Tは、配列番号32を参照して示される変異77C→Tに対応する。
上記TERT遺伝子を参照して示される変異1,295,250C→Tは、配列番号32を参照して示される変異99C→Tに対応する。
これらの変異は、TERT遺伝子のプロモーターに存在する。より正確には、変異1,295,228C→Tおよび1,295,250C→Tは、TERT遺伝子プロモーターの翻訳開始部位から−124位および−146位上の特異的変異に対応する。
典型的には、TERT変異を検出する場合、一つのケースでは、以下のフォワードプライマーおよびリバースプライマーを使用する。
フォワードTERT:5’CCC TTC ACC TTC CAG CTC3’(配列番号33)
リバースTERT:5’AGC GCT GCC TGA AAC TCG3’(配列番号34)
有用なプローブは、相補的なオリゴである。TERT遺伝子中の前記特異的変異を検出するための適切な配列を、以下の表にまとめる。
目的遺伝子のメチル化度の測定
本発明の方法は、前記被験者から得られる生体試料中の第二生体試料中で、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子のメチル化度を測定する工程b)をさらに含む。
本発明者らは、18種類の遺伝子のメチル化とがん形成(特に膀胱がん)でのその役割を調べた。本発明者らは、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2のメチル化が、膀胱がんの診断に非常に有望であることを見出した。FGFR3の特異的変異を検出するアッセイと、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2遺伝子のメチル化を測定するアッセイとの両方の使用が、前記診断方法の特異度および感度に関して予想外の結果を提供する。
「SEPTIN9」または「SEPT9」は、セプチンと呼ばれるタンパク質群の一部である。セプチンは細胞質分裂(細胞内の液(サイトプラズム)が分裂して二つの別々の細胞を形成する際の細胞分裂工程)と呼ばれるプロセスに関与する。セプチン−9タンパク質はまた、がん抑制遺伝子として作用するように見える(その意味は、セプチン−9が細胞増殖を制御し、そして細胞が早く分裂しすぎないようにするか、または、制御不能な様式で分裂しないようにすることである)。ヒトSEPT9遺伝子の配列は、Ensembleアクセション番号ENSG00000184640としてオンライン上で利用可能である。本発明のある状況では、本発明の方法の工程b)は、配列番号3で示されるSEPTIN9断片のメチル化を検出する工程からなっている。代替的には、本発明の方法の工程b)は、配列番号3との同一性パーセンテージが少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%のSEPTIN9変異体のメチル化を検出する工程からなっている。
「SLIT2」は、スリットホモログ2をコードする。ヒトSLIT2遺伝子の配列は、Ensembleアクセション番号ENSG00000145147としてオンライン上で利用可能である。本発明のある状況では、本発明の方法の工程b)は、配列番号4で示されるSLIT2断片のメチル化を検出する工程からなっている。代替的には、本発明の方法の工程b)は、配列番号4との同一性パーセンテージが少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%のSLIT2変異体のメチル化を検出する工程からなっている。
「TWIST1」は、ツイスト ベーシック・ヘリックス・ループ・ヘリックス転写因子1をコードする。ヒトTWIST1遺伝子の配列は、Ensembleアクセション番号ENSG00000122691としてオンライン上で利用可能である。本発明のある状況では、本発明の方法の工程b)は、配列番号5で示されるTWIST1断片のメチル化を検出する工程からなっている。代替的には、本発明の方法の工程b)は、配列番号5との同一性パーセンテージが少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%のTWIST1変異体のメチル化を検出する工程からなっている。
「HS3ST2」は、ヘパラン硫酸(グルコサミン)3−O−スルホトランスフェラーゼ2をコードする。ヒトHS3ST2遺伝子の配列は、Ensembleアクセション番号ENSG00000122254としてオンライン上で利用可能である。本発明のある状況では、本発明の方法の工程b)は、配列番号6で示されるHS3ST2断片のメチル化を検出する工程からなっている。代替的には、本発明の方法の工程b)は、配列番号6との同一性パーセンテージが少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%のHS3ST2変異体のメチル化を検出する工程からなっている。
「DDR1」は、ジスコイジンドメイン受容体型チロシンキナーゼ1をコードする。ヒトDDR1遺伝子の配列は、Ensembleアクセション番号ENSG00000204580としてオンライン上で利用可能である。本発明のある状況では、本発明の方法の工程b)は、配列番号7で示されるDDR1断片のメチル化を検出する工程からなっている。代替的には、本発明の方法の工程b)は、配列番号7との同一性パーセンテージが少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも98%のDDR1変異体のメチル化を検出する工程からなっている。
試料中での目的遺伝子のメチル化度の測定は様々な手段により実行可能である。本発明に係るメチル化度の測定に適する方法の非限定例には:
−メチル化特異的PCR;
−リアルタイムメチル化特異的PCR;
−ピロシーケンス;
−メチル化DNA特異的結合タンパクを使用するPCR、定量PCR、およびDNAチップアッセイ;
−メチル化の差異の検出−メチル化感受性制限酵素;
−メチル化の差異の検出−重硫酸塩を用いる配列決定法;
−メチル化感受性一本鎖立体構造解析(MS−SSCA);
−高分解能溶融解析(HRM);
−メチル化感受性一塩基プライマー伸長(MS−SnuPE);
−塩基特異的切断;および
−マイクロアレイベースの方法、がある。
一つの実施形態では、工程b)をメチル化特異的PCRにより実行する。重亜硫酸塩で処理したゲノムDNAでメチル化特異的PCRするという特異的方法を使用する場合、もしメチル化されている場合は5’−CpG’−3’領域はインタクトのままであるが、メチル化されていない場合はそのシトシンはウラシルへと変化する。従って、重亜硫酸塩処理後に変換された塩基配列に基づいて、5’−CpG−3’塩基配列を有する領域に対応するPCRプライマーセットを構築する。本明細書中では、構築されるプライマーセットは、二種類のプライマーセット(メチル化塩基配列に対応するプライマーセットと非メチル化塩基配列に対応するプライマーセット)である。ゲノムDNAを重亜硫酸塩を用いて変換し、その後、上記二種類のプライマーセットを使用するPCRにより増幅する場合、ゲノムDNAがメチル化されていた場合は、メチル化塩基配列に対応するプライマーを使用するPCR混合物中に、PCR産物が検出される。しかし、もしゲノムDNAがメチル化されていなかった場合、非メチル化のものに対応するプライマーを使用するPCR混合物中にそのゲノムDNAが検出される。このメチル化は、アガロースゲル電気泳動により定量解析可能である。
一つの実施形態では、工程b)をリアルタイムメチル化特異的PCRにより実行する。リアルタイムメチル化特異的PCRは、メチル化特異的PCR法を改変したリアルタイム測定法であり、重亜硫酸塩でゲノムDNAを処理する工程、メチル化塩基配列に対応するPCRプライマーを設計する工程、およびそのプライマーを使用してリアルタイムPCRを実行する工程を含む。ゲノムDNAのメチル化を検出する方法には、二つの方法が含まれる:増幅塩基配列に相補的なTanManプローブを使用する検出方法;およびSybergreenを使用する検出方法がある。従って、リアルタイムメチル化特異的PCRでは、メチル化DNAの選択的定量解析が可能である。本明細書中では、インビトロでメチル化したDNAサンプルを使用して検量線をプロットし、塩基配列中に5’−CpG−3’配列を含まない遺伝子を標準化のためのネガティブコントロールとして増幅に掛けて、メチル化度の定量解析を行うこともある。
一つの実施形態では、工程b)をピロシーケンスにより実行する。ピロシーケンス法は、重亜硫酸塩を用いる配列決定法を改変した定量的リアルタイム配列決定法である。重亜硫酸塩を用いる配列決定法と類似して、ゲノムDNAを重亜硫酸塩処理により変換し、その後、5’−CpG−3’塩基配列を含まない領域に対応するPCRプライマーを構築する。具体的には、ゲノムDNAを重亜硫酸塩で処理し、PCRプライマーを使用して増幅し、その後、配列決定用プライマーを使用してリアルタイム塩基配列解析に掛ける。メチル化度を、5’−CpG−3’領域中のシトシンとチミンの量を解析することによりメチル化インデックスとして表す。
一つの実施形態では、工程b)を、メチル化DNA特異的結合タンパクを使用するPCR、定量PCR、およびDNAチップアッセイにより実行する。メチル化DNAにのみ特異的に結合するタンパク質をDNAと混合する場合、そのタンパク質はメチル化DNAにのみ特異的に結合する。従って、メチル化特異的結合タンパクを使用するPCR、または、DNAチップアッセイのいずれかは、メチル化DNAだけを選択的に単離することを可能にする。ゲノムDNAをメチル化特異的結合タンパク質と混合し、その後、メチル化DNAだけを選択的に単離した。単離DNAをプロモーター領域に対応するPCRプライマーを使用して増幅し、その後、DNAのメチル化をアガロースゲル電気泳動により測定する。
また、DNAのメチル化はまた、定量PCR法により測定可能である。そして、メチル化DNA特異的結合タンパク質を用いて単離したメチル化DNAは蛍光プローブで標識可能であり、相補的プローブを含むDNAチップにハイブリダイズさせて、それによりDNAのメチル化を測定することもできる。本明細書中では、メチル化DNA特異的結合タンパク質は、限定はされないが、McrBtである場合がある。
一つの実施形態では、工程b)をメチル化感受性制限酵素により実行する。メチル化差異の検出は、核酸サンプルをメチル化感受性制限酵素(非メチル化CpG部位のみを切断するもの)と接触させることにより実現可能である。別反応で、そのサンプルをさらに、メチル化および非メチル化CpG部位の両方を切断するメチル化感受性制限酵素アイソシゾマーと接触させて、それによりメチル化核酸を切断する。
特異的プライマーをその核酸サンプルに加えて、そして、その核酸を従来法により増幅する。メチル化感受性制限酵素で処理したサンプル中で増幅産物が存在するが、メチル化感受性制限酵素アイソシゾマーで処理したサンプル中で増幅産物が存在しないことは、メチル化が試験した核酸領域で起こっていたことを示す。しかしながら、メチル化感受性制限酵素で処理したサンプル中で増幅産物が存在せず、メチル化感受性制限酵素アイソシゾマーで処理したサンプル中でも増幅産物が存在しないことは、メチル化が試験した核酸領域で起こっていなかったことを示す。本明細書中で使用する用語「メチル化感受性制限酵素」は、CGをその認識部位の一部として含み、および、Cがメチル化されていない場合に比べCがメチル化されている場合に活性がある制限酵素(例、SmaI)を指す。メチル化感受性制限酵素の非限定例には、MspI、HpaII、BssHII、BstUI、およびNotIが含まれる。そのような酵素は単独または組み合わせて使用可能である。他のメチル化感受性制限酵素の例には、限定はされないが、SacIIおよびEagIが含まれる。
メチル化感受性制限酵素アイソシゾマーは、メチル化感受性制限酵素と同じ認識部位を認識するが、メチル化CGおよび非メチル化CGの両方を切断する制限酵素である。その例には、MspIが含まれる。
一つの実施形態では、工程b)を、重硫酸塩を用いる配列決定法により実行する。この方法でのメチル化CpG含有核酸検出は、核酸含有サンプルを、非メチル化シトシンを修飾する薬剤と接触させる工程;および、そのサンプル中のCpG含有核酸を、CpG特異的オリゴヌクレオチドプライマーを使用して増幅する工程を含み、そのオリゴヌクレオチドプライマーは、修飾後メチル化核酸と非メチル化核酸とを識別し、そして、メチル化核酸を検出する。増幅工程はオプションであるが望ましい、しかし、必要不可欠ではない。この方法はPCR反応に依存して、修飾後(例、化学修飾後)のメチル化DNAと非メチル化DNAとを識別する。そのような方法は、メチル化核酸検出用の重亜硫酸塩を用いる配列決定法に関連する米国特許第5,786,146号に記載されている。
改良型診断方法
好ましくは、工程a)と工程b)の両方を、同じ生体試料上で実施する。より好ましくは、前記工程a)と工程b)を、同じ核酸材料、好ましくは同じDNA上で実施する。さらに好ましくは、前記DNAは、重亜硫酸塩処理済みDNAである。従って、より好ましい実施形態では、前記工程a)と工程b)を、患者の同一DNA(事前に重亜硫酸塩で処理したもの)上で実施する。典型的には、工程a)と工程b)を、同時に実施する。
この特異的実施形態では、工程a)は:
−重亜硫酸塩処理済みの配列番号1に示される配列の746位のグアニン(G);
−重亜硫酸塩処理済みの配列番号1に示される配列の1114位のチミン(T);および/または
−重亜硫酸塩処理済みの配列番号1に示される配列の1124位のグアニン(G)の存在を決定する工程である。
前記変異は、それぞれ、配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysに対応する。
従って、一つの好ましい実施形態では、工程a)は、配列番号1に示される配列の重亜硫酸塩処理済みDNAバージョン上のFGFR3遺伝子変異を検出する工程である。
本明細書中に使用される表現「配列番号1に示される配列の重亜硫酸塩処理済みDNAバージョン」は、重亜硫酸塩処理済みのFGFR3遺伝子配列を指す。重亜硫酸塩を用いるDNAの処理により、シトシン残基をウラシルに変換するが、5−メチルシトシン残基は影響を受けない。従って、重亜硫酸塩処理は、DNA配列の特異的変化であって、個々のシトシン残基のメチル化状態に依存するものを導入し、DNA部分のメチル化状態に関する単一ヌクレオチド分解能の情報を与える。
従って、配列番号1に示される配列の重亜硫酸塩処理済みDNAバージョンは、CpGジヌクレオチドのメチル化シトシンを除く全てのシトシンがウラシルで置換された配列である。
この特異的実施形態では、工程a)は、配列番号1に示される配列であって重硫酸塩処理後のものの
746位のグアニン(G)の存在;
1114位のチミン(T)の存在;および/または
1124位のグアニン(G)の存在を決定する工程からなる。
最も好ましい実施形態では、工程a)および工程b)を、単一の生体試料から得られる同一の重亜硫酸塩処理済みDNAで実施する。従って、本発明は、被験者の膀胱がん又は膀胱がん発症リスクの監視、診断、およびスクリーニング方法であって、効率的、迅速、および費用対効果の高い方法を提供する。
この特異的実施形態では、工程a)は、以下のようなFRGF3遺伝子変異の検出工程である。
好ましい実施形態において、本発明の方法は、工程b)の後に、工程b)で測定されたメチル化度を閾値と比較する工程b’)であって、前記閾値が、膀胱がんに罹患しているか又は発症リスクのある患者と膀胱がんに罹患していない患者とを識別する工程をさらに含む。
いくつかの実施形態では、少なくとも一つのシトシンのメチル化度をコントロール遺伝子座のメチル化度と比較する。いくつかの実施形態では、コントロール遺伝子座は内在性のコントロールである。いくつかの実施形態では、コントロール遺伝子座は外在性のコントロールである。典型的には、前記コントロール遺伝子座はハウスキーピング遺伝子中に見いだされる。
本明細書中に使用される「膀胱がんに罹患しているか又は発症リスクのある患者と膀胱がんに罹患していない患者とを識別する閾値」は、膀胱がんを有する個人由来のサンプルと膀胱がんの無いサンプルとを識別するために使用可能な特定の測定値またはその値の範囲を指す。理想的には、その二つの群間を絶対的に識別する閾値(複数可)がある(つまり、疾患群由来の値が必ず閾値の一方の側(例、高い方)にあり、そして、健常、非疾患群由来の値がその閾値の別の側(例、低い方)にある)。典型的には、前記閾値は経験的に得られる。
好ましくは、工程b)は、メチル化特異的PCR(MSP)を多重モード(MSPM)で実行する。MSPMは、単一(monoplex)モードと比べて、必要とされるPCR回数が減るという主要な利点を有している。従って、多重モードは時間を節約することができ(単一のものを数回するよりも迅速であるので)、経済的に有利である。
「多重PCR」は、PCRの一形態であって、一般的には定量PCRであり、一又は複数の特異的プライマーを使用して、単一工程で目的遺伝子のいくつかを同時に増幅することを可能にする。この技術は、いくつかのマーカーの欠失、変異、多型、または過剰メチル化の存在を決定するのに非常に有利である。
一方、表現「単一PCR」は、PCRの一形態であって、一般的には定量PCRであり、単一目的標的の増幅を可能にするものを指す。
「メチル化特異的PCR」または「MSP」は、遺伝子のメチル化度を測定する技術を指す。この技術は、定量PCRの原理に基づいている。典型的には、この技術は、重亜硫酸ナトリウムを用いて検討されるDNAサンプルを処理することに基づいている。この処理は、処理済みDNA中の各非メチル化シトシンを、ウラシルに変換することを可能にする。そのように処理したサンプルは、次に、被処理遺伝子に特異的なプライマーを用いるPCRを経ることになる。特異的プライマーの性状の決定は、増幅されるヌクレオチド配列に依存している。本発明の文脈では、メチル化特異的PCRは、好ましくは、多重モードにおいて採用され、従って、多重モードのメチル化特異的PCR(MSPM)と呼ばれる。
標的遺伝子のメチル化度をMSPにより測定するために、本発明者らは、EZ DNAメチル化キット(Zymo Research社)によるか、または、Epitect重亜硫酸塩キット(Qiagen社)を用いてDNAを修飾した。その結果、DNAはQM−MSPを達成するのに適したものとなる。
より具体的には、本発明者らはTaqMan技術をQM−MSPのために使用した。その方法が本発明の目的に相応しい(adapated)のは、その方法が一回のPCRで各遺伝子標的のメチル化されているコピーのパーセンテージを正確に決定することができるからだ。
典型的には、TaqMan−MGBプローブは、
−5’末端のフルオロフォア(例、6FAM、VIC、TET、NED)および
−3’末端の非蛍光分子MGB(副溝結合体)連結消光剤を含む。
MGBは、その分子自身をDNA二重らせんの内側に挿入して、ハイブリダイゼーションの特異性を向上することができる。典型的には、プライマーとTaqMan−MGBプローブとを、重亜硫酸ナトリウム処理によりDNAを修飾することを考慮して作製する。CpG部位を含む標的遺伝子のプライマーとプローブを、メチル化アレルのみを増幅するように設計する必要がある。
典型的には、ハウスキーピング遺伝子(アルブミン、β−アクチン、β−グロビン)を使用して、CpG部位を含有しないプライマー/プローブセットを使用することによりDNA量を標準化する。
典型的には、増幅用標的配列のサイズは約100塩基である。
メチル化度を、当業者に周知の定量技術により計算する。この定量化は、絶対値または相対値であってもよい。好ましくは、いわゆるΔΔCt技術により計算する。この方法は、参照遺伝子で標準化することにより、標的遺伝子のメチル化度を表す演算式を用いる。第一に、標的遺伝子と参照遺伝子のCt値間の差分ΔCtを、被解析サンプルおよび標準DNAに関して決定する。標準DNAは、典型的には、DNA全体がメチル化されたものである。この標準DNAにより、遺伝子のメチル化度の標準化を可能にする。この種のDNAは、例えば、商品番号D5011としてZymo Research社から販売されている。適切なキット(例、市販キットEZ DNA Methylation(番号D5002、Zymo Research社))を使用して修飾した後、この標準DNAを参照として使用する。
ΔCtサンプル=Ct(標的サンプル)−Ct(参照サンプル
ΔCt標準=Ct(標的標準)−Ct(参照標準
そして、標準とサンプル間のΔΔCtを計算する:
ΔΔCt=ΔCt標準−ΔCtサンプル
ΔΔCt値の計算方法は、2つの遺伝子のPCR増幅効率が100%に等しいと仮定する。従って、言い換えれば、この計算方法は、産物の濃度がPCRの指数関数的増加期にある各サイクルで二倍となることを仮定している。従って、このことより推定されることは、標的遺伝子の標準化メチル化度は、以下の式により決定されることである。
−ΔΔCt=2(Ct遺伝子−Ct参照)標準−(Ct遺伝子−Ct参照)サンプル
この方法により、使用するポジティブコントロール(標準DNA)の関数として相対的メチル化度を得る。さらにまた、この方法は使用する参照遺伝子のコピー数の変化も考慮する。これらの変化は、PCRの実施に使用されたDNA量の変化に必然的に起因する。従って、得られる結果は、参照遺伝子の性状によりゆがめられない。好ましくは、参照遺伝子はハウスキーピング遺伝子である。より好ましくは、参照遺伝子はアルブミン遺伝子またはその断片である。
好ましくは、本発明の方法の工程b)は、複数のメチル化度:
−SEPTIN9、SLIT2、およびアルブミン遺伝子またはその断片のメチル化度
−SEPTIN、SLIT2、またはその断片のメチル化度
−SEPTIN9およびアルブミン遺伝子またはその断片のメチル化度
−SLIT2およびアルブミン遺伝子またはその断片のメチル化度
−TWIST1、HS3ST2、およびアルブミン遺伝子またはその断片のメチル化度
−TWIST1およびHS3ST2遺伝子またはその断片のメチル化度
−TWIST1およびアルブミン遺伝子またはその断片のメチル化度
−HS3ST2およびアルブミン遺伝子またはその断片のメチル化度を同時に測定する工程を含む。
より好ましくは、本発明の方法の工程b)は、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、およびHS3ST2遺伝子またはその断片の全てのもののメチル化度を同時に測定する工程を含む。より好ましくは、前記断片は、配列番号3、4、5、および6である。
典型的には、メチル化度の決定のために、以下に定義されるフォワードおよびリバースプライマーならびにプローブが使用可能である。メチル化部位に下線を引き太字で示す。
本発明の方法は、膀胱がん診断方法の感度と特異度に関して予想外の結果を示す。
本明細書中に使用される表現「真陽性率」または「TP」は、標的疾患に罹患する患者で試験結果が陽性であるものを指す。
本明細書中に使用される表現「偽陽性率」または「FP」は、標的疾患に罹患しない患者であるが、試験結果が陽性であるものを指す。
本明細書中に使用される表現「真陰性率」または「TN」は、標的疾患に罹患する患者であるが、試験結果が陰性であるものを指す。
本明細書中に使用される表現「偽陰性率」または「FN」は、標的疾患に罹患する患者であるが、試験結果が陰性であるものを指す。
標的疾患の診断方法の効率を評価する場合、試験の感度と特異度を決定する。
定量試験の感度と特異度は、試験が陽性である上下のカットオフ値に依存する。
本明細書中で使用される用語「感度」は、診断方法が標的疾患に罹患する患者を正しく同定する能力を指す。
診断方法の感度を以下のように決定する。
感度 = TP / (TP + FN)
本明細書中で使用される用語「特異度」は、診断方法が標的疾患に罹患しない患者を正しく同定する能力を指す。
診断方法の特異度を以下のように決定する。
特異度 = TN / (TN + FP)
いくつかの実施形態では、閾値は膀胱がんの検出に関する特定の感度と特異度を提供する。典型的には、閾値は、被験者の膀胱がんの検出に関して、少なくとも50%、60%、70%、または80%の感度と特異度を実現する。
本発明者らは、二つのアッセイの組み合わせ、つまり、
−一方で、FGFR3の特異的変異を同定することを目的とするもの、および
−他方で、目的の特異的遺伝子のメチル化度を測定することを目的とするものが、
高特異度と共に高感度を示す、膀胱がんの正確な診断方法を提供する。
特定の感度と特異度の選択は、選ばれた閾値に依存している。
典型的には、閾値は累積メチル化インデックス(CMI)(各テストサンプルの一つ、二つ、三つ、および四つのメチル化値の合計)として表される。
典型的には、前記閾値は、四つの上記遺伝子のメチル化値を足し算して得られる(累積メチル化インデックスまたはCMI)。そして、変異が存在する場合か、または、変異は存在しないが、CMI値が所定の閾値よりも高い場合に、患者を陽性と宣するアルゴリズム中で使用される。従って、感度/特異度/CMI閾値の値の所望の組合せを得ることがきる。この組合せを表5に開示する。
典型的には、閾値は1〜54(CMI)の間にあり、好ましくは、前記閾値を以下の表5から選択する。
上記表は、選択される閾値に依存して、本発明の試験の特異度と感度に関する貴重な情報を与える。
当業者は、適用対象(例、スクリーニングまたは監視および診断)に依存して、閾値を選択するやり方を知っている。
遺伝子発現レベルの測定
一つの実施形態では、本発明の方法は、BCLA−4、BCAR−1からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程c)をさらに含む。好ましくは、その方法は、前記発現レベルを、健常者または膀胱がんを克服した被験者で得られる発現レベルと比較する工程c’)をさらに含む。
BLCA−4は、刊行物(Van Leら、Functional Characterization of the Bladder Cancer Marker,BLCA−4、Clinical Cancer Research、vol.10、1384−1391、2004年2月15日)に開示されている。
BCAR−1は、膀胱がん抗エストロゲン耐性タンパク質1の遺伝子を指す。前記タンパク質のいくつかのアイソフォームが利用可能である。本明細書中で使用されるBCAR−1は、以下のタンパク質のいずれか一つを指す。
−アイソフォーム1:アクセション番号NP_001164185.1として利用可能;
−アイソフォーム2:アクセション番号NP_001164186.1として利用可能;
−アイソフォーム3:アクセション番号NP_001164187.1として利用可能;
−アイソフォーム4:アクセション番号NP_001164188.1として利用可能;
−アイソフォーム5:アクセション番号NP_001164189.1として利用可能;
−アイソフォーム6:アクセション番号NP_055382.2として利用可能;
−アイソフォーム7:アクセション番号NP_001164190.1として利用可能;
−アイソフォーム8:アクセション番号NP_001164191.1として利用可能;および
−アイソフォーム9:アクセション番号NP_001164192.1として利用可能。
一つの実施形態では、前記遺伝子(複数可)の発現レベルを測定する工程c)は、前記遺伝子(複数可)の翻訳産物(好ましくは、タンパク質)の発現レベルを測定する工程である。
生体試料中のタンパク質量を測定する方法は、標準的免疫診断的技術(免疫アッセイ(例、競合アッセイ、直接反応アッセイ、またはサンドイッチ型アッセイ)を含むもの)を使用して測定可能なものである。そのような実施形態では、がん細胞を単離生体試料から精製する。そのようなアッセイには、限定はされないが、凝集検査;酵素標識および酵素媒介免疫アッセイ(例、ELISA);ビオチン/アビジン型アッセイ;ラジオイムノアッセイ;免疫電気泳動法;免疫沈降法が含まれる。
反応は、一般的に、標識(例、蛍光標識、化学発光標識、放射性標識、酵素標識、もしくは色素分子)を明らかにする工程、または、抗原と抗体との複合体形成を検出するか、もしくは、相互に反応する抗体を検出する他の方法を含む。
より好ましくは、ELISA法が使用可能である。ELISA法では、マイクロタイタープレートのウエルを、本発明の標的タンパク質に対する抗体セットでコーティングする。標的タンパク質を含むと思われる生体試料のがん細胞を、その後、コーティングされたウエルへと加える。抗体−抗原複合体形成をさせるのに十分なインキュベーション期間後、プレート(複数可)を洗浄して非結合体および検出可能に標識された二次結合分子(添加したもの)を除去する場合がある。二次結合分子を任意の捕獲済みサンプルマーカータンパク質と反応させ、プレートを洗浄し、そして、その二次結合分子の存在を当該技術分野で周知の方法を使用して検出する。
ヒトBLCA−4のELISAキットは市販されていて、CUSABIO社から販売されている。従って、BLAC−4の発現レベルを測定する工程c)は、ELISAにより、より好ましくはCUSABIOのキットにより実施可能である。好ましくは、前記遺伝子(複数可)の発現レベルを測定する工程c)は、BCLA−4、BCAR−1からなる群より選択される遺伝子の翻訳産物の発現レベルを、ELISAにより測定する工程である。
特定の実施形態では、本発明の方法は、生体試料のがん細胞を、生体試料に存在するBCLA−4、BCAR−1の中から選択される遺伝子の一つによりコードされる少なくとも一つのタンパク質と選択的に相互作用することができる結合パートナーと接触させる工程を含む。結合パートナーは、ポリクローナルまたはモノクローナル、好ましくはモノクローナルな抗体である場合がある。別の実施形態では、結合パートナーはアプタマーであってもよい。
好ましい実施形態では、本発明の方法は、工程c)にさらに加えて、工程c)で得られた発現プロフィールをカットオフ値(複数可)と比較する工程c’)をさらに含む。
代替的には、本発明の方法は、工程c)にさらに加えて、工程c)で得られた発現プロフィールを、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールからなる群より選択される少なくとも一つのコントロール用に得られる前記遺伝子(複数可)の発現プロフィールと比較する工程c’’)をさらに含む。
工程c)で得られる発現プロフィールをカットオフ値またはコントロールの発現プロフィールと比較するこの工程は、膀胱がんを呈する被験者の同定に有用である。
本明細書中で使用される用語「発現プロフィール」は、サンプル中の一又は複数の遺伝子の定量的および定性的発現を指す。単一遺伝子の発現プロフィールは、前記遺伝子の発現レベルに対応する。発現プロフィールは、様々な遺伝子の発現レベル(その単位は任意のものが選択される)を比較するために使用可能な発現レベルデータのレポジトリである。用語「プロフィール」はまた、細胞、組織、または個体由来の発現レベルデータの操作を含むように意図している。例えば、一旦、相対的発現レベルが所定の遺伝子セットに関して決定されると、当該細胞、組織、または個体に関する相対的発現レベルを、標準と比較して、発現レベルがその標準における同じ遺伝子に比較して高いか低いかどうかを決定する場合がある。標準には、当業者により比較に適切であると考えられる任意のデータ(例、所定の閾値またはポジティブおよび/またはネガティブコントロールの発現プロフィール)を含んでもよい。
本明細書中で使用される表現「発現プロフィールを比較する」(あらゆる文法的形態におけるもの)は、遺伝子の発現の定量的および/または定性的差異の評価を指す。典型的には、当業者は遺伝子発現レベルをカットオフ値と比較する場合がある。
典型的には、「カットオフ値」は、実験的、経験的、または理論的に決定可能である。閾値を、当業者により認識され得る既存の実験的条件および/または臨床状態に基づいて任意に選択する場合もある。好ましくは、当業者は、本発明に係る所定遺伝子の発現プロフィールを、前記遺伝子用のカットオフ値と比較してもよい。カットオフ値と比較することになる各遺伝子に関して、当業者は、前記遺伝子の発現レベルをカットオフ値と比較することができる。
別の実施形態では、工程c’’)は、工程c)で得られた発現プロフィールを、ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールからなる群より選択される少なくとも一つのコントロールの発現プロフィールと比較する工程である。
この特定の実施形態では、前記ポジティブコントロールは膀胱がんに罹患している被験者または膀胱がんのために死亡した被験者の発現プロフィールである。
好ましくは、前記ネガティブコントロールは健常者または膀胱がんを克服した被験者の発現プロフィールである。
本発明に係る目的遺伝子(複数可)の発現プロフィールを、前記ポジティブおよびネガティブコントロールに関して設定する。当業者は、従って、前記被験者の生体試料中の目的遺伝子(複数可)の発現プロフィールを、ポジティブおよび/またはネガティブコントロールの発現プロフィールと比較することができる。そのような比較により、その後、当業者は、被験者の予後を推定することになる。
本発明に係る治療方法
本発明は、膀胱がんに罹患している患者の治療方法であって、
1)被験者の予後を予測する工程であって、
a)配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異(NM_001163213.1)からなる群より選択される変異を検出することによるか;または、配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysからなる群の変異を検出することにより、第一生体試料中のFGFR3遺伝子の変異を検出する工程、ならびに
b)前記被験者から得られる第二生体試料中で、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子のメチル化度を測定する工程を含み、その後、
2)前記工程1)a)が変異の存在を示し、および、前記工程1)b)が前記遺伝子の一つのメチル化を示す場合、本発明の方法が前記患者に適切な療法を提供する工程3)を含む、方法に関する。
上記に開示される全ての技術的特徴は適用可能である。
本発明の文脈では、本明細書中で使用される用語「治療すること」または「治療」は、そのような用語が適用される疾患もしくは状態を予防するか、またはその進行を逆転、緩和、阻害するか、あるいは、そのような用語が適用される疾患もしくは状態の一若しくは複数の症状を予防するか、またはその進行を逆転、緩和、阻害することを意味する。
本発明に係るキット
本発明はまた、
(i)配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysの中から選択されるFGFR3遺伝子変異を検出するために適切な少なくとも一つのプライマー;ならびに
(ii)SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、およびその断片または変異体からなる群より選択される遺伝子のメチル化度を測定するための少なくとも一つのプライマーと少なくとも一つのプローブを含むキットに関する。
本発明はまた、
(a)配列番号8〜13からなる群より選択される少なくとも一つのオリゴヌクレオチド;および
(b)配列番号16〜30からなる群より選択される少なくとも一つのオリゴヌクレオチドを含むキットに関する。
さらなる実施形態では、本発明のキットは、
(c)配列番号33〜36からなる群より選択される少なくとも一つのオリゴヌクレオチドをさらに含む。
前記キットは、膀胱がん診断用である。
上記に開示される全ての技術的特徴は適用可能である。
実施例1:先行技術の診断方法およびキットの感度と感受性の評価
現在、いくつかのFDA承認膀胱がん診断テストが市販されている。その承認済みテストには、
−膀胱がん抗原BTA−TRAKテスト(Polymedco、Cortlandt Manor、NY、米国)、
−核マトリクスタンパク質(NMP)22およびNMP22 BladderChekアッセイ(Matritech、Newton、MA、米国)、
−ImmunoCytテスト(Diagnocure社、Quebec City、Quebec、カナダ)、および
−蛍光インサイツハイブリダイゼーション(FISH)解析(Urovysion Systems Vysis、Abbott Laboratories、Abbott Park、IL、米国)[16]が挙げられる。
BTA−TRAKは、標準的ELISAであって、尿中の補体因子H関連タンパク質と補体因子Hの量を定量的に測定するものである。BTA−TRAKは、膀胱がん管理を補助するものとして、膀胱鏡検査と組み合わせて使用される。
NMP−22テストは、マイクロタイター用の定量的サンドウィッチELISAであって、各抗体が核分裂装置の異なるエピトープを認識する二つの抗体を使用するものである。FDAは、膀胱がんのリスクのある患者または症状を有する患者の診断の補助としての使用に関して、このテストを承認した。
CYFRA 21−1は、サイトケラチン19の可溶性断片であって、固相サンドウィッチ免疫放射定量測定法(Cis−Bio社)または電気化学発光免疫測定法(Roche Diagnostic社)のいずれかにより測定されるものである。
テロメアは染色体の末端をキャップする反復配列である。テロメアは染色体末端を保護し、それによりゲノム安定性を維持する。テロメラーゼ活性をTRAP(インビトロのテロメラーゼ反応産物をPCRで増幅することに関与するもの)により測定する。テロメラーゼはがんグレードに感度があるわけではなかったし、偽陽性の結果が慢性または重度膀胱炎症の症例で得られた。それは、リンパ球が存在したからである。
ImmunoCyt(免疫細胞学)は、尿管上皮がん細胞中の腫瘍関連抗原を、モノクローナル抗体を使用して可視化することに基づいている。ImmunoCytは市販の免疫細胞学的アッセイであって、硫酸ムチン糖タンパク質に対するフルオレセイン標識モノクローナル抗体M344およびLDQ10、ならびに、高分子量癌胎児性抗原の糖鎖付加型に対するテキサスレッド連結モノクローナル抗体19A211を使用して膀胱がん細胞を検出するアッセイである。時間を掛けて顕微鏡下でスライドを検証するのが欠点として残っていて、そして、アッセイの再現性は細胞学者に依存している。
UroVysionテストまたは多標的型マルチカラーFISHアッセイという細胞遺伝学的検査は、多くの染色体において頻繁に起こる変化を明らかにする。染色体異常はFISHにより検出可能である。UroVysionテストは、多標的型マルチカラーFISHアッセイであって、染色体3番、7番、17番用のセントロメア蛍光変性染色体列挙プローブと9p21用遺伝子座特異的同定プローブを用いて、尿サンプル由来剥離細胞を染色し、そして、蛍光顕微鏡下でその細胞を観察することに関与するアッセイである。症例コントロールおよびコホート試験に基づくUroVysionテストは、膀胱がん検出用の有力なテストとなるように思われる。UroVysionテストは、膀胱がん再発を、臨床医が検出する前に検出する能力を有する場合がある。しかしながら、このテストは、また、低いグレードの膀胱腫瘍を検出する感度が低い。
CertNDx(商標)膀胱がんアッセイを手段とするPredictive Biosciencesは、膀胱がん再発に関して尿サンプルを解析する監視解決策を提供する。このテストは、DNAバイオマーカーおよびタンパク質バイオマーカーの組合せを活用する。
まとめると、これらのテストは、表6に示されるように、膀胱がん診断におけるマーカーの正確性を欠く(感度/特異度の比が低い)ので、偽陽性および偽陰性が多すぎるのを避けることができない。この結果は、従って、別の正確なバイオマーカーに対する実現されていない必要性があることを確認する。従って、非侵襲性かつ正確な膀胱がん検出用診断バイオマーカーの開発が、膀胱がんの予後、診断、およびスクリーニングを改善するために緊急かつ重要である。
実施例2:遺伝学的アッセイおよびエピジェネティックアッセイの両者を組み合わせる分子的アプローチの尿ベーステストの開発
試験設計
前検証段階中では、107人のコントロールと初期表在性膀胱腫瘍(組織学的ステージpTaおよびpT1)を有する48人の患者を含む総数153個の尿を選択した。分子解析用に尿を回収するのと同時に、膀胱鏡検査を実施した。経尿道的切除術を、膀胱がんの各患者に対して実施した。全ての患者からは、書面でインフォームドコンセントを得た。
尿採取とDNA抽出
出し立ての尿(100ml)を膀胱鏡検査の前に回収し、DNA調製まで4℃で保管した。1,500×gで10分間遠心分離することにより、細胞をペレット化した。細胞ペレットを10mLのPBSで二度洗浄し、1mLのPBS中に再懸濁し、微小管(エッペンドルフ)に移し、そして、1,500×gで10分間遠心分離することにより回収した。上清を捨てて、そして、細胞ペレットをDNA単離まで−20℃で保管した。
製造元のプロトコルに従って、QiAamp DNA Blood Miniキット(Qiagen社)またはZR DNA Urineキット(Zymo Research社)を使用して、DNAを抽出した。DNA濃度を、Picogreen定量試薬(Bioprobes;Interchim社)を用いて、蛍光定量的に測定した。
FGFR3変異解析
膀胱がんにおいては、10種類の異なるFGFR3変異が記載されているが、そのうちの4つ(S249C、Y373C、G370C、およびR248C)が症例の95%を占める。
これらの変異は、従って、点変異を特異的に検出することに依存するアッセイ(例、アレル特異的PCR(AS−PCR))の優れた標的となる。
PCRを、サーモサイクラー(Eppendorf、Life technologies)で実施した。
好ましくは、5ngのゲノムDNA、1×PCRバッファー(Perkin−Elmer Taqポリメラーゼバッファー)、200μMの各デオキシヌクレオシド三リン酸、2mMのMgCl、0.9μLのジメチルスルホキシド、2.5Uのgold Taqポリメラーゼ(Perkin−Elmer)、および(フォワードおよびリバース)プライマー(各200nMの濃度のもの)を含む最終容量10μL中でPCRを実施した。
各多重PCRでは、各ペアは、
−5’に特異的蛍光色素(6FAM、HEX、およびTET)でタグを付けたフォワードプライマー一つ、および
−ロック型核酸技術(LNA)で3’を修飾したヌクレオチドが存在するリバースプライマー一つを含んでいる。
両PCR(PCR1、PCR2)では、β−グロビン遺伝子を内部コントロールとして含ませた。各プライマーペアに関しては、蛍光プライマーを使用してPCR産物を標識した。全てのプライマーを、Applied Biosystems社から入手した。PCR産物を、ABI PRISM 310キャピラリーDNAシークエンサー上でGenscanソフトウエアを用いて解析した。
・PCR1は、R248C、G372C変異、およびβ−グロビンを検出する。使用するプライマーは以下のものである:
−変異R248Cの検出用にはフォワードF1/リバースR2、
−変異G372Cの検出用にはフォワードF2/リバースR3、
−および、β−グロビン検出用にはフォワードFGLO/リバースRGLO。
・PCR2は、R249C、Y375C変異、およびβ−グロビンを検出する。使用するプライマーは以下のものである:
−変異R249Cの検出用にはフォワードF1/リバースR1、
−変異Y375Cの検出用にはフォワードF2/リバースR4、
−および、β−グロビン検出用にはフォワードFGLO/リバースRGLO。
サイクル条件は以下のものである。
定量的リアルタイム多重メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(QM−MSP)
本発明者らは、がん形成、おそらく膀胱がんに重要な18種類の遺伝子(COL1A2、DDR1、DIRAS3、DNASE1L1、EYA4、FASTK、HS3ST2、NPY、NTRK3、PENK、SEMA3B、SEPTIN5、SEPTIN9、SLIT2、SYNE1、TGFB、TWIST1、およびWIF1遺伝子)のプロモーターのメチル化を評価した。
EZ DNAメチル化キット(Zymo Research社)によるか、または、Epitect重亜硫酸塩キット(Qiagen社)を用いてDNAを修飾した。その結果、DNAはQM−MSPを達成するのに適したものとなる。
本発明者らはTaqMan技術をQM−MSPのために使用した。QM−MSPは、一回のPCRで、各遺伝子ターゲットのメチル化されたコピーの割合を正確に測定することができる。TaqMan−MGBプローブは、
−5’末端に、例えば、フルオロフォア、6FAM、VIC、TET、NED、および
−3’末端に非蛍光分子MGB(副溝結合体)連結消光剤を含む。
MGBは、その分子自身をDNA二重らせんの内側に挿入して、ハイブリダイゼーションの特異性を向上させることができる。
プライマーとTaqMan−MGBプローブとを、重亜硫酸ナトリウム処理によりDNAを修飾することを考慮して作製した。CpG部位を含む標的遺伝子のプライマーとプローブを、メチル化アレルのみを増幅するように設計した。QM−MSPの概略を図1に記す。ハウスキーピング遺伝子(アルブミン、β−アクチン、β−グロビン)を、CpG部位を含有しないプライマー/プローブセットを使用することによりDNA量を標準化するために検討した。
増幅用標的配列のサイズは約100塩基である。プライマーの終濃度は、100nMおよび900nMとなることが期待される。プローブの濃度は、100nM〜300nMの間であることが期待される。好ましくは、修飾済みDNA溶液を、終濃度400nmolの各(フォワードおよびリバース)プライマーおよび終濃度250nmolのTaqManプローブ−MGBならびに1×PCR溶液(Quantitect Multiplex−Qiagen社またはKapa−Biosystems社)に加える。反応容量は20μLである。
熱サイクルのプロフィール:
・Quantitect Multiplex(Qiagen社)を使用する場合:
・Kapa Master Mix(Kapa Biosystems社)を使用する場合:
配列&オリゴヌクレオチド
1.FGFR3変異
赤太字で示したヌクレオチドは変異塩基である。
アステリスクで示したヌクレオチドはLNA技術(ロック型核酸)により修飾される。
・S249C変異(TCC→TGC)に関して
使用するプライマーは:
−フォワードF1:5’に6FAMでタグを付けた配列番号8;
−リバースR1:19位のグアニンをLNA技術で修飾した配列番号10、である。
・R248C変異(CGC→TGC)
使用するプライマーは:
−フォワードF1:5’に6FAMでタグを付けた配列番号8;
−リバースR2:19位のシトシンをLNA技術で修飾した配列番号9、である。
・G372C変異(GGC→TGC)
使用するプライマーは:
−フォワードF2:5’にHEXでタグを付けた配列番号11;
−リバースR3:27位のシトシンをLNA技術で修飾した配列番号12、である。
・Y375C変異(TAT→TGT)
使用するプライマーは:
−フォワードF2:5’にHEXでタグを付けた配列番号11;
−リバースR4:25位のシトシンをLNA技術で修飾した配列番号13、である。
2.TERT変異
TERT遺伝子の特異的変異を検出するために、以下のプライマーが使用可能である。
−フォワードTERT:5’CCC TTC ACC TTC CAG CTC3’5(配列番号33)
−リバースTERT:5’AGC GCT GCC TGA AAC TCG3’(配列番号34)
配列番号32を参照して示される変異77C→Tを検出するために、以下のプローブが使用可能である:
5’FAM/VIC−CCCGGAAGGGGCT−MGB3’。
配列番号32を参照して示される変異99C→Tを検出するために、以下のプローブが使用可能である:
5’FAM/VIC−CCCGGAAGGGGTC−MGB3’。
3.ヘモグロビンβサブユニット=ハウスキーピング遺伝子
ヘモグロビンβサブユニットの断片を、配列番号31に示す。
以下のプライマーを使用することもできる。
−フォワードFGLO:配列番号14;および
−リバースRGLO:配列番号15。
定量的多重−メチル化特異的PCR
ゲノムDNAを、重亜硫酸塩処理により変換する。
6FAM、VIC、TET、またはNEDが5’末端に取り込まれるフルオロフォア(FL)となり、MGB分子が3’末端に取り込まれるように、プローブを設計する。
メチル化されているCpGジヌクレオチドのシトシンを、太字で下線を引いて示す。
SEPTIN9:配列番号3
5’TTTTTTCGCGTTGTTTTTCGCGCGATTCGTTGTTTATTAGTTATTATGTCGGATTTCGCGGTTAACGCGTAGTTGGATGGGATTATTTCGGAT3’
本発明者らは、配列番号16、17、および18を、それぞれ、フォワードプライマー、リバースプライマー、およびプローブとして使用した。
SLIT2:配列番号4
5’TAGTTTCGCGGGTATTGGGTTTTAGATATTGCGCGGTTTTTTCGGAGTAGTAAGTTAAAGAAAGTTTTTAGTGTCGCGA3’
本発明者らは、配列番号19、20、および21を、それぞれ、フォワードプライマー、リバースプライマー、およびプローブとして使用した。
TWIST1:配列番号5
5’GACGGTGTGGATGGTTTCGAGGTTTAAAAAGAAAGCGTTTAACGGTTGGACGTATATTTCGTTAGGTTTTTTGGAAACGGTGTCGGTGTTGTAGAGT3’
本発明者らは、配列番号22、23、および24を、それぞれ、フォワードプライマー、リバースプライマー、およびプローブとして使用した。
HS3ST2:配列番号6
5’GCGCGGGGTTATTTTAGTCGCGGAGGGCGCGTAGGTTGTTTTTCGTTTTTACGTTTTCGTTTTTTTGTATTTATTTGTGTTATAGTTTTTTGTGTTGTTGCGCGATTTG3’
本発明者らは、配列番号25、26、および27を、それぞれ、フォワードプライマー、リバースプライマー、およびプローブとして使用した。
DDR1:配列番号7
5’AGGTTTGTTTTGAGGATTTTTGAGTTTTTTTTTTATTTTATTTCGTTGGGAGTTTAGGGGAATTAGGGTTTGGGCGTTTGGATTTTCGGGTTTTTTAGAACGTTTTTTAGAGAGAGGAATTGAGAGGAGAAGG3’
本発明者らは、配列番号28、29、および30を、それぞれ、フォワードプライマー、リバースプライマー、およびプローブとして使用した。
結果
膀胱がんの患者を同定するための、AS−PCR技術を使用するFGFR3変異検出
FGFR3の変異を検出すると、特異的ピークが存在するようになる。増幅産物をキャピラリー電気泳動により解析した。
図2に結果を示す:膀胱がんを有する患者(+)におけるS249C変異の検出に対する変異S249Cを有しない個人(−)の調査。
以下の表はその結果をまとめたものである。
膀胱がんの患者48人の42%(感度)が少なくとも一つの変異を有することが見て取れる。コントロール被験者(n=107)は誰も変異を示さなかった(特異度100%)。
定量的多重−メチル化特異的PCR(QM−MSP)の効率と特異性
本発明者らは、前もって選択された18種類の遺伝子のメチル化レベルを定量するために、QM−MSPの性能を評価した。リアルタイムで三種類のメチル化特異的DNAターゲットを共に(三重)増幅するために、我々はFam、Vic、およびNedフルオロフォアプローブの組合せを使用した。というのも、各プローブは吸収スペクトルが限定的にしか重ならない強い個々のスペクトル強度を示すからだ。我々は、三重モード(GC1+GC2+GC3)のQM−MSPが非常に高い増幅効率(勾配=〜3,32を有するほぼ100%)で3つの遺伝子を共増幅可能とすることを実証した。プライマーペアの特異性を、アンプリコンの配列決定することにより評価した(データは示さない)。これにより、アンプリコンのサイズと遺伝子の同定を確認する。
膀胱がんの検出のための、尿での定量的多重−メチル化特異的PCR(QM−MSP)の検証
本発明者らは、前もって選択した18種類の各遺伝子を評価した。約10ngの量のDNAを、QM−MSP用の鋳型として使用した。
本発明者らは、メチル化度の高い以下の4つの遺伝子(最も高い感度と特異度を示すもの)を、膀胱がん検出のために選択した:SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、およびHS3ST2。
QM−MSP1は、同時にSEPTIN9、SLIT2、およびAlbumin(3つの遺伝子)、SEPTIN9およびSLIT2(2つの遺伝子)、SEPTIN9およびアルブミン(2つの遺伝子)、またはSLIT2およびアルブミン(2つの遺伝子)のメチル化度を定量する。
QM−MSP2は、同時にTWIST1、HS3ST2、およびAlbumin(3つの遺伝子)、TWIST1およびHS3ST2(2つの遺伝子)、TWIST1およびアルブミン(2つの遺伝子)、またはHS3ST2およびアルブミン(2つの遺伝子)のメチル化度を定量する。
本発明者らは、さらに、SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、およびHS3ST2を組み合わせた。この目的のために、本発明者らは、各サンプルに関して1、2、3、および4つのメチル化値の合計となる累積メチル化インデックスを計算して、そして、そのインデックスをROC(受信者動作特性)曲線を作成するための可変閾値として使用した。特異度と感度を、表8(1つの遺伝子)、表9(2つの遺伝子の組合せ)、表10(3つの遺伝子の組合せ)、および表11(4つの遺伝子の組合せ)に示す。
多重アッセイ:メチル化とFGFR3変異の検出
最も感度と特異度の高いテストを開発する目的で、本発明者らはFGFR3変異の検出と共にMSPを行う妥当性を評価した。テスト成績を、各適用例(診断、再発の監視、および標的型スクリーニング)に従って得る。特異度と感度を、表12(1つの遺伝子)、表13(2つの遺伝子の組合せ)、表14(3つの遺伝子の組合せ)、および表15(4つの遺伝子の組合せ)に示す。
例えば、再発の監視(経過観察)に関しては、感度は98%である。そして、症状(血尿、尿疾患)のある被験者の初期診断に関しては、特異度は64%と良い。(リスクのある集団の)スクリーニングに関しては、特異度は97%であり、感度は83%と高い(図3)。
本発明者らは、この両アッセイ(FGFR3の変異検出と標的遺伝子のメチル化度の定量に基づくもの)の組合せを提供して、膀胱がん検出に対する感度と特異度に関して最も高い正確性を得ることを実証した(表16)。
実施例3:閾値と感度および特異度との間の相関
本発明者らは、本発明の方法が、
−再発の監視(つまり、膀胱がんに罹患していると既に診断された患者の経過観察)、
−患者の膀胱がんの初期診断、
−スクリーニング(つまり、膀胱がんの発症リスクのある集団の同定)に有用であることを示した。
本発明の方法の使用目的に依存して、感度と特異度を調整しなければならない。
前記調整は、選択される特異的な閾値に実際依存している。
本発明者らは、従って、閾値を変えることによって、本発明の方法の感度と特異度が変化することを示した。
これを表17にまとめる。
実施例4:代替的技術
本発明者らは、代替法が利用可能で、本発明の方法の実施に効率的であることをさらに示した。
1.競合的アレル特異的TaqManPCR(CastPCR)技術
競合的アレル特異的TaqManPCR(CastPCR)技術は、変異を高い感度と特異度で検出するために最初は開発された。本発明者らは、Cast−PCR法の実施を可能にする、メチル化測定用プライマーペアおよびプローブを設計した。この方法は、大量のゲノムDNA(gDNA)、変異検出用の粗製gDNA、またはメチル化測定のために重亜硫酸塩処理により修飾されたgDNAを含むサンプル中の稀な変異およびメチル化アレルを検出および定量する高特異度および高感度な方法である。
CastPCR技術は、野生型アレル(変異がないもの、メチル化されていないもの)からの非特異的増幅を抑制するために、アレル特異的TaqMan(登録商標)qPCRとアレル特異的MGBブロッカーを組み合わせる。10ngのgDNAをPCR用の鋳型として使用する。増幅産物のサイズは約100塩基である。オリゴブロッカーとプライマーの終濃度は、100nM〜900nMの間となることが期待される。プローブの濃度は、100nM〜300nMの間であることが期待される。使用されるPCR溶液は、好ましくは、TaqMan Genotyping Master Mix(Life Technologies社)である。反応容量は20μLである。Cast−PCRの概略を図4に記す。
熱サイクルプロフィールは以下のものである。
2.LNA(ロック型核酸)プローブアッセイ
LNA(ロック型核酸)プローブアッセイは、Exiqon(登録商標)(Vedbaek、デンマーク)により開発された。LNA(登録商標)は、らせんの立体構造を変化させ、その二本鎖の安定性を増加させる。LNA塩基を二色素(6FAM、HEX、TET)オリゴヌクレオチドプローブに組み込むと、できるだけ特異的な高親和性プローブを必要とする技術(変異またはメチル化検出用の様なもの)を改良する素晴らしい機会を開く。10ngのgDNAをPCR用の鋳型として使用する。増幅産物のサイズは約100塩基である。プライマーの終濃度は、100nM〜900nMの間となることが期待される。プローブの濃度は、100nM〜300nMの間であることが期待される。使用されるPCR溶液は、好ましくは、Quantitect Multiplex(Qiagen社)またはKapa(Biosystems社)である。反応容量は20μLである。LNAプローブの概略を図5に記す。
3.マイクロアレイ技術
マイクロアレイ技術は、遺伝子研究と臨床用の強力なツールである。手短に言うと、マイクロアレイ技術は、核酸ハイブリダイゼーション技術とコンピューター技術の進歩とを活用する。マイクロアレイは、位置を特定可能な基盤に集積された捕獲用固定配列(明確なもの)(オリゴヌクレオチド)を含むコンパクトな装置(つまり、Agilent社、Affymetrix社のもの)である。オリゴヌクレオチドは、ガラスまたはプラスチック表面に付着している。マイクロアレイ(OncoDiagにより設計されたもの)を使用して、そのマイクロアレイ上の配列と標識プローブ(目的サンプル)との間でハイブリダイゼーションさせることにより、FGFR3およびTERT遺伝子の点変異ならびに各標的遺伝子(SEPTIN9、SLIT2、TWIST1、HS3ST2、DDR1)のメチル化されたシトシンを有するCpGを同時に同定する。
4.他の方法
他のデザインとしては、上記技術の組合せを提案する。例えば、6種類の変型(A−F)を表14に記す。特に、本発明者らは、変型CおよびFを実施することにより、新規で魅力的なアプローチを提案する。同時に、それら変型は、重亜硫酸塩により変換されたDNAから一本のチューブの中で変異を検出およびメチル化度を測定することを可能にする。

Claims (19)

  1. 被験者の膀胱がんまたは膀胱がん発症リスクの監視、診断、およびスクリーニングするためのデータを提供する方法であって、前記方法は、
    a)第一生体試料中で、FGFR3遺伝子の変異を検出する工程;ならびに
    b)前記被験者から得られる第二生体試料中で、SEPTIN9遺伝子、SLIT2遺伝子、TWIST1遺伝子、HS3ST2遺伝子、およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも二つのバイオマーカーのメチル化度を測定する工程を含み、
    前記第一および第二生体試料は同一の生体試料であり;且つ
    前記工程a)は、
    配列番号1のヌクレオチド番号を参照して示される変異742C→T、746C→G、1114G→T、および1124A→Gからなる群より選択される変異を検出するか、または、
    配列番号2のアミノ酸番号を参照して示される変異Arg248Cys、Ser249Cys、Gly372Cys、およびTyr375Cysからなる群の変異を検出することにより実施される、方法。
  2. 前記工程a)および工程b)を、単一の生体試料から得られる同一の重亜硫酸塩処理済みDNAで実施し、ならびに、前記工程a)が、
    重亜硫酸塩処理済みの配列番号1に示される配列の746位のグアニン(G);
    重亜硫酸塩処理済みの配列番号1に示される配列の1114位のチミン(T);および/または
    重亜硫酸塩処理済みの配列番号1に示される配列の1124位のグアニン(G)の存在を決定する工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法が、前記工程b)の後に、前記工程b)で測定されたメチル化度を閾値と比較する工程b’)をさらに含み、前記閾値が、膀胱がんに罹患しているか又は発症リスクのある患者と膀胱がんに罹患していない患者とを識別する、請求項1または2に記載の方法。
  4. FGFR3遺伝子中の前記変異が存在すること、ならびに
    SEPTIN9遺伝子、SLIT2遺伝子、TWIST1遺伝子、HS3ST2遺伝子およびその断片または変異体からなる群より選択される少なくとも一つのバイオマーカーの前記メチル化度を前記閾値と比較して膀胱がんに罹患しているか又は発症リスクのある患者と膀胱がんに罹患していない患者とを識別することにより、膀胱がんまたは膀胱がんの発症リスクを予測および/または検出する、請求項3に記載の方法。
  5. 本発明の方法の前記工程a)が、TERT遺伝子中の変異を検出する工程をさらに含み、前記検出が、
    配列番号32のヌクレオチド番号を参照して示される変異77C→Tおよび99C→Tからなる群より選択される変異を検出することにより実施される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記工程b)に、
    配列番号3に示されるSEPTIN9の断片のメチル化度を測定し;
    配列番号4に示されるSLIT2の断片のメチル化度を測定し;
    配列番号5に示されるTWIST1の断片のメチル化度を測定し;および
    配列番号6に示されるHS3ST2の断片のメチル化度を測定する工程が存在する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記工程b)が、DDR1遺伝子またはその断片もしくは変異体の一つのメチル化度を測定する工程をさらに含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記断片が配列番号7に示される、請求項7に記載の方法。
  9. 前記第一および第二生体試料が尿である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記工程a)がアレル特異的PCR(AS−PCR)により実施される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記工程a)が、配列番号8〜13に示される全てのプライマーを使用して実施される、請求項10に記載の方法。
  12. 前記工程b)が定量的リアルタイム多重メチル化特異的ポリメラーゼ連鎖反応(Qm−PCR)により実施される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記工程b)が、配列番号16〜30に示されるプライマーおよびプローブを使用して実施される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記方法がハウスキーピング遺伝子のメチル化度を測定する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記ハウスキーピング遺伝子が、アルブミン、β−アクチン、およびβ−グロビン、好ましくは、アルブミン遺伝子またはその断片もしくは変異体の中から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 前記閾値が累積メチル化インデックスで表される、請求項3〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記方法が、BCLA−4およびBCAR−1からなる群より選択される遺伝子の発現レベルを測定する工程c)をさらに含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記工程c)が、前記発現レベルを、健常者または膀胱がんを克服した被験者で得られる発現レベルと比較する工程c’)をさらに含む、請求項17に記載の方法。
  19. 下記(a)及び(b)を含むキットの使用。
    (a)配列番号8と9との対、配列番号8と10との対、配列番号11と12との対及び配列番号11と13との対からなる群より選択される少なくとも一つのオリゴヌクレオチドの対;並びに
    (b)配列番号16と17との対、配列番号19と20との対、配列番号22と23との対、配列番号25と26との対及び配列番号28と29との対からなる群より選択される少なくとも一つのオリゴヌクレオチドの対、及び/又は配列番号18、21、24、27及び30からなる群より選択される少なくとも一つのオリゴヌクレオチド
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