JP2000512497A - エレクトロスプレー質量分析法による迅速で正確な変異体dna配列の同定 - Google Patents
エレクトロスプレー質量分析法による迅速で正確な変異体dna配列の同定Info
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- C12Q1/6827—Hybridisation assays for detection of mutation or polymorphism
Abstract
(57)【要約】
個人のゲノム中の多型部位における多型を検出するための方法が記載されている。本方法には、多型部位を含む増幅部分を作り出すために、ポリメラーゼ・チェーン反応によるゲノムDNA試料の一部を増幅すること、増幅部分を脱塩すること、およびエレクトロスプレーイオン化質量分析法により増幅部分の質量を決定することが含まれる。増幅部分の質量を基準質量と比較することにより、多型の有無を決定することができるようになる。質量分析法によるヘテロ接合性および病気の遺伝についての方法もまた記載されている。図は53塩基のオリゴヌクレオチドの質量対電荷のスペクトルから得られた分子量変換スペクトルを示す。
Description
【発明の詳細な説明】
エレクトロスプレー質量分析法による迅速で正確な変異体DNA配列の同定
関連出願との相互関係
本出願は1996年6月10日に提出された米国特許仮出願第60/019,702号からの優
先権を伴う。
発明の背景
本発明は核酸の間の相違の検出に関連している。さらに詳しく言えば、本発明
は選択された核酸の間の相違の、エレクトロスプレー質量分析法による迅速且つ
正確な検出に関連している。
ヒトのゲノム計画が完了するにつれて、ゲノム配列の相違の検出に対する需要
は増加している。これらの配列の相違、または多型の多くは、遺伝子発現の変化
、すなわち突然変異を引き起こす。個人のゲノム中の両相同染色体における多型
に対するヌクレオチド組成の分析により、遺伝病および疾患の遺伝の検出に関連
した情報が提供される。多くの病気の突然変異は、そのようなわずかな相違、つ
まり、一塩基の置換、または一塩基の挿入または欠失のいずれかにより引き起こ
されると考えられている。ポリメラーゼ・チェーン反応(PCR)の手法を用いて
、それぞれの染色体から多型を含むDNA部分を増幅し、続いてヌクレオチドの組
成を決定するために分析を行うことが可能である。現行の分析法は、DNA断片の
相対的移動度を識別用外挿配列と比較する電気泳動による検出法にほとんど依存
している。例えば、M.Oritaら、Detection of Polymorphisms of Human DNA by
Gel Electrophoresis as Single-strand Conformation Polymorphisms,86 Pro
c.Nat'l Acad.Sci.USA 2776-70(1989);R.M.Meyersら、Detection of Sing
le Base Substitutions by Ribonuclease Cleavage at Mismatches in RNA:DNA
Duplexes,230 Science 1242-49(1985);M.D.Traystmanら、Use of Denaturin
g Gradient Gel E1ectrophoresis to Detect Point Mutations in the Factor V
III Gene,6 Genomics 293-301(1990);S.Rustら、Mutagenically Sepa
rated PCR(MS-PCR):A Highly Specific One-Step Procedure for Easy Mutatio
n Detection,21 Nucleic Acids Res.3623-29(1993);P.A.M.Roestら、Prot
ein Truncation Test(PTT)for Rapid Detection of Translation-termination
Mutations,2 Hum.Mol.Genet.1719-21(1993)。
多型の分析に対するもっとも一般的な手法は、特に周知のジデオキシヌクレオ
チド(”ジデオキシ”)法によるヌクレオチド配列の決定である。F.Sangerら
、DNA Sequencing with Chain-terminating Inhibitors,74 Proc.Nat'l Acad.
Sci.USA 5463(1977)。一般的に多型が両方の染色体について同一の遺伝子座(
ホモ接合体)の試料の配列決定は、その多型の遺伝子座について、塩基組成の明
瞭なシグナルを提供する。これに反して、もしも多型の遺伝子座のヌクレオチド
組成が各染色体について異なっているならば(ヘテロ接合体)、配列のシグナル
は複雑になる。塩基置換の多型においては、その多型の位置について複数の塩基
シグナルが配列決定時に生成する。塩基の欠失または塩基の挿入の多型において
は、その多型の遺伝子座から始まり、そして残りの配列すべてに続く複数の塩基
シグナルが配列決定時に生成する。ジデオキシ配列決定法は正確で且つ信頼性が
高いが、複雑であり、試料の解析に多くの時間を必要とし、大きな労力を要する
。
電気泳動による多型の分析を簡略化するために、オリゴヌクレオチド・ライゲ
ーション分析(OLA)、ミスマッチPCR、および制限酵素部位設計分析等の方法が
開発された。OLAにおいでは、ゲノム上の増幅される鋳型に近接してアニーリン
グするように二つのプライマーを設計する。それに続く耐熱性リガーゼの存在下
にでの温度サイクルにより、もしもそれらのプライマーがそれらの間にギャップ
が存在せず、そして連結される末端にミスマッチがないように鋳型にアニーリン
グすれば、プライマーは共有結合で連結される。この手法および他の同様の手法
は単純で且つ配列決定法に比べて約5倍速いが、この方法は疑陽性または疑陰性
を減らすために配列特異的な最適化を必要とするという欠点を有している。試料
を、固定化したオリゴヌクレオチドの組に対するそれらの差別的ハイブリダイゼ
ーションに基づいて分析する、配列に基づいたハイブリダイゼーション(SBH)
という別の手法は試料の調製にそれほど最適化を必要としないが、実用的な差別
的ハイブリダイゼーションにするために、オリゴヌクレオチドの組の再組換えを
必要とすることがある。SBH法は配列決定法に比べて約20倍迅速であり、そして
上述の他の手法よりも単純である可能性があり、並びに従ってより確固としたも
のである。多型分析についての電気泳動法およびSBH法の速度は、最短時間に達
しているように思われる。しかしながら、迅速に実行可能な多型の分析法を確立
するために、新たな分析法が必要とされている。
上述した事柄ゆえに、配列の多型の迅速且つ正確な検出および同定法を供給す
ることは、当該技術分野において重要な進歩になると思われ、高い評価を得るで
あろう。
発明の概要
核酸中の多型を検出する迅速且つ正確な方法を提供するのが、本発明の一つの
目的である。
個人のゲノム中の選択した部位におけるヘテロ接合性を検出する方法を提供す
るのもまた、本発明の一つの目的である。
個人のゲノム中の選択された多型と関連した遺伝的疾患および遺伝病を検出す
る方法を提供するのが、本発明の別の目的である。
これらおよび他の目的は、以下の工程:
(a)個人からゲノムDNA試料を回収すること;
(b)多型部位を含み、そして増幅したDNA部分と参照DNA試料の対応する部分
との間の質量の差がエレクトロスプレー質量分析法により分析可能であるような
大きさを有する増幅DNA部分を生ずるように、ポリメラーゼ・チェーン反応によ
りゲノムDNA試料の選択された部分を増幅すること;
(c)脱塩された増幅DNA部分を生ずるように、増幅DNA部分を脱塩すること;
(d)エレクトロスプレーイオン化質量分析法により、上述の脱塩された増幅
DNA部分の質量を決定すること;および
(e)その質量を参照DNA試料の対応する部分に対して決定された基準質量と
比較することで、その質量と基準質量との間の差が遺伝病または疾患の遺伝を示
すこと;
を含む、塩基の置換、または塩基の欠失または挿入を含む多型部位と関連した、
選択された遺伝病または遺伝的疾患を個人が遺伝的に受けついでいるか検出する
方法を提供することで達成される。
増幅DNA部分の大きさは、増幅DNA部分の質量と基準質量との間の質量差の検出
における機能性によってのみ限定されるが、増幅DNA部分の大きさは好ましくは
約55塩基対以下であり、さらに好ましくは約50塩基対以下であり、そして最も好
ましくは約45塩基対以下である。
当該技術分野において知られているような、増幅DNAを脱塩するさまざまな方
法が利用可能である。増幅DNAを脱塩する好ましい方法には、高速液体クロマト
グラフィー、分子量分離スピン濾過、およびアルコール沈澱が含まれる。
個人のゲノム中の多型部位で、その多型部位が野生型のアリルと比較して変異
型アリル内に塩基の置換または塩基の欠失または挿入の起こった部位を含むよう
な部位におけるヘテロ接合性を検出する方法は、以下の工程を含む:
(a)個人からゲノムDNA試料を回収すること;
(b)多型部位を含む両方の相同染色体の対応する部分を示す第一および第二
の増幅DNA部分で、その第一および第二の増幅DNA部分のそれぞれが、エレクトロ
スプレーイオン化質量分析法により第一および第二の増幅DNA部分の間の質量の
差を分析できるようなものを生じるように、ポリメラーゼ・チェーン反応により
ゲノムDNA試料の選択された部分を増幅すること;
(c)第一および第二ぞれぞれの脱塩された増幅DNA部分を生ずるように、第
一および第二の増幅DNA部分を脱塩すること;
(d)エレクトロスプレーイオン化質量分析法により第一および第二の脱塩さ
れた増幅DNA部分の質量を決定すること;および
(e)第一および第二の脱塩された増幅DNA部分の質量を比較することで、そ
の質量の差が多型部位におけるヘテロ接合性を示すものと判断すること。
塩基の置換または塩基の欠失または挿入を含む多型部位における多型を検出す
る方法は以下の工程を含む:
(a)検定すべきDNA試料を回収すること:
(b)多型部位を含み、そして増幅DNA部分と参照DNA試料の対応する部分との
間の質量の差がエレクトロスプレー質量分析法により分析可能であるような大き
さを有する増幅DNA部分を生ずるように、ポリメラーゼ・チェーン反応によりDNA
試料の選択された部分を増幅すること;
(c)脱塩された増幅DNA部分を生ずるように、増幅DNA部分を脱塩すること;
(d)エレクトロスプレーイオン化質量分析法により、脱塩された増幅DNA部
分の質量を決定すること;および
(e)参照DNA試料の対応する部分に対して決定された基準質量と質量を比較
することで、その質量と基準質量との間の差が多型の存在を示すものと判断する
こと。
図面の簡単な説明
図1は53塩基のオリゴヌクレオチド(配列番号1)の質量対電荷(m/z)スペ
クトルを示し、ここで角型括弧内の値はm/zの測定値を表し、並びに上付き文字
は算定された電荷を表している。
図2は図1の質量対電荷スペクトルより得られた分子量変換スペクトルを示す
。
図3はPCRで増幅されたDNAのm/zスペクトルを示す。
図4は図3のm/zスペクトルより得られた分子量変換スペクトルを示す。
図5は(A)鋳型のゲノムDNAが多型部位においてホモ接合性を示す、PCRで増
幅されたDNAより得られた分子量変換スペクトル、および(B)鋳型のゲノムDNA
が多型部位においてヘテロ接合性を示す、PCRで増幅されたDNAより得られた分子
量変換スペクトルを示す。
図6は53残基の合成オリゴヌクレオチドの対で、その対となるオリゴヌクレオ
チドは以下:(A)CおよびA;(B)TおよびG;(C)AおよびG;(D)Cお
よびT;(E)CおよびG;(F)TおよびA;のように、一塩基のみ異なるよう
な対のそれぞれの組合わせの混合物の分子量変換スペクトルを示す:(G)には
四つのオリゴヌクレオチドの理論上の分子量を示す。
図7は本発明によりCからTへの塩基置換の多型についてのアリルの検出を示
す分子量変換スペクトルを示す:(A)ヘテロ接合体の母親;(B)ヘテロ接合体
の父親;(C)ホモ接合体の娘1;(D)ホモ接合体の娘2;(E)アリル1由来
の増幅DNA鎖の理論上の分子量;(F)アリル2由来の増幅DNA鎖の理論上の分子
量。
図8は本発明によって二塩基の欠失の多型についてのアリルの検出を示す分子
量変換スペクトルを示す:(A)ヘテロ接合体の母親;(B)アリル1についてホ
モ接合体の父親;(C)アリル1についてホモ接合体の息子1;(D)ヘテロ接合
体の息子2;(E)アリル1由来の増幅DNA鎖の理論上の分子量;(F)アリル2
由来の増幅DNA鎖の理論上の分子量。
詳細な説明
配列の多型の迅速且つ正確な検出および同定のための本方法を開示し記述する
前に、本発明が、その構成、方法の工程、および材料が多少変化し得るように、
本明細書中に開示されている特定の構成、方法の工程、および材料に限定される
ものではないことを理解すべきである。本明細書中に使用されている用語は、特
定の態様だけを記述するために用いられており、本発明の範囲が添付した請求の
範囲およびそれと等価のもののみにより限定されるように意図されるものである
ことから、限定されることを意図しているものではないこともまた理解すべきで
ある。
本明細書および請求の範囲で使用されている、単数形の”a”、”an”、およ
び”the”には、文脈から明らかに他のものを指示していない限りは、複数の指
示物が含まれるということを注意しなければならない。従って、例えば”増幅部
分”という言及には、二つまたはそれ以上のそのような増幅部分という言及が含
まれ、”ポリメラーゼ”という言及にはそのようなポリメラーゼの二つまたはそ
れ以上の混合物という言及が含まれ、並びに、”プライマー”という言及には二
つまたはそれ以上のそのようなプライマーという言及が含まれる。
本発明の説明および請求においては、後述する用語が以下に述べられる定義に
従って使用される予定である。
本明細書で使用されている、”ゲノムDNA”または同様の単語には、そのよう
なゲノムDNAの転写産物への言及が含まれる。RNAは容易にcDNAとして複製するこ
とができ、それはPCRにより増幅可能であることが当該技術分野においてよく知
られている。従って、ゲノムDNAの増幅およびRNAより得られたcDNAの増幅は同等
のものと考えられる。
配列の組成における差は質量の差から測定可能であるため、質量分析法はDNA
配列の新たな解析法を提供する。質量分析法では非常に迅速な試料分析が可能で
ある。例えば、エレクトロスプレーイオン化フーリエ変換イオンサイクロトロン
共鳴(ESI-FTICR)を用いた配列解析用反応産物の質量分析により、イオンビー
ムの20秒の試料採取ですべての反応産物の質量分析の検出が達成される。ほとん
どの質量分析用の検出器は1秒以内に試料中の成分の質量を決定することができ
るけれども、試料分析の速度は、シグナルの平均化および試料の取扱い等の他の
要因のために、一試料当たり約15分に限定される。マトリックス上でのレーザー
脱着イオン化飛行時間質量分析法(MALDI-TOF)は、多型の分析のための実行可
能な手法として提唱されている。L.Y.Ch'angら、Detection of delta F508 mut
ation of the cystic filbrosis gene by matrix-assisted laser desorption/i
onization mass spectrometry,9 Rapid Commun.Mass Spectrom.772-74(1995
)。しかしながら、このMALDI-TOF分析法についての分析能の限界は、二本鎖DNA
における二塩基の欠失の多型の検出程度である。イオンプラズマの遅延抽出を含
む改良型のMALDI-T0Fを用いた最近の進歩により、その質量分析能は多少増大し
ている。P.Juhaszら、Applications of Delayed Extraction Matrix-Assisted
Laser Desorption Ionization Time-of Flight Mass Spectrometry to Oligonuc
leotide Analysis,68 Anal.Chem.941-46(1996)。
質量分析には二つの段階、イオン化およびイオン分析がある。ポリヌクレオチ
ドの分析の場合は、イオン化の方法にエレクトロスプレーイオン化(ESI)また
はマトリックス上でのレーザー脱着イオン化(MALDI)のいずれかが使用される
。これら二つのイオン化装置に対する代表的な分析用ハードウェアは、イオント
ラップ(IT)、飛行時間(TOF)、四極子、またはフーリエ変換イオンサイクロ
トロン共鳴(FTICR)分析装置を含み得る。ESIは一般的に四極子分析装置と接続
され、そしてMALDIは通常TOF分析装置と一緒に用いられる。これらの方法を用い
た質量分析の精度が表1に示されている。 50マー(Mr〜17,000)のレベルでは、理論上はこれらのイオン化装置および分
析装置のどの組み合わせでも15ダルトンの質量の違いのある二つの分子を区別す
ることが可能である。しかしながら、公表された結果によると、TOFおよびIT分
析装置の両装置は、±20ダルトン異なるピークが分離できないほど低い分解能し
か示さない。本発明によれば、ESI-四極子の組み合わせで達成されるピークの分
解能は、9ダルトンのピークの差を分析することが可能であり、そして15ダルト
ンの質量の差を容易に識別することができると判明した。
6種類の塩基置換の多型が存在し得る。表2は二本鎖DNAにおけるこれら六種類
の置換に対する質量の差の絶対値を示す。
表3は一本鎖DNAにおけるこれら6種類の置換についての質量の差の絶対値を示
す。
このように、二本鎖DNAについては、これら6種類の塩基置換についての質量の
差は僅かに0かまたは1ダルトンである。しかしながら一本鎖DNAについては、
質量の差は9-40ダルトンに及ぶ。それゆえに、塩基置換のDNAの多型をそれらの
質量の差により分析するために、試料は一本鎖に変性しなければならない。さら
には、二本鎖DNAの二つの鎖のそれぞれ別々の質量分析により、アリルの組成の
二つの独立した測定が提供される。ESI-四極子分析法は、それが本質的に一本鎖
の分析であるために、塩基置換の分析に理想的に適合している。ESI-四極子分析
法による実用的な質量のデータを得るためのDNA試料については、それは例えば
メタノールまたはアセトニトリル等の、実質的に不揮発性の金属塩を含まない部
分的に有機的な溶媒の中に溶解していなければならない。すなわち、RCR産物を
有する溶媒の低塩で有機的な性質により、イオン化の際に主として一本鎖のDNA
イオンが生成する。
ESI-MS分析器はすべての質量分析器と同様に、測定される特性が質量対電荷の
比(m/z)であり、質量を直接測定するわけではないため、非常に巨大なイオン
を測定することが可能である。核酸の分析は一般的に負のイオンの形式で行われ
る。核酸が気体の相に入ると、溶液中ですべてが帯電しているリン酸骨格の酸素
アニオンは、プロトンの付加により部分的に中性化される。中性化される酸素ア
ニオンの電荷の量は分子間で変化し、すなわち、整数的に増加する種々の電荷状
態を有する分子の集団を生じる。従って、質量分析法による化合物の質量分析で
は、ピークの荷電状態が測定されるm/z値の減少につれて増加するような一連のm
/zピークを生ずる。例えば、53ヌクレオチド残基を含む合成オリゴヌクレオチド
(配列番号1)のESI-MS分析では、一連のm/zピークが生ずる(図1)。図1に
示された所定のm/zピークについては、角型括弧内の値は測定されたm/zであり、
そして、上付き文字の値は算定された電荷である。
化合物の質量は、以下の公式:
M=(m/z)Z+Z
を用いて、m/zピークの一つから算定することができ、ここでMは分析物の質量、
m/zは電荷対質量の比、並びにZは電荷の値である。この公式は二つのm/zピーク
の測定値およびそれらの全体的な電荷の関係から、電荷を算定するのに使用でき
る。いったん電荷が決定されれば、その化合物の質量はそれぞれのm/zピークか
ら算定することができ、そしてこのようにして、表4に示されているように、分
子量の複数の測定法が提供される。それぞれのm/zピークより算定された質量の
平均から、質量の精度は質量誤差0.01%以内と決定される。同じ公式を使用し、
本明細書中に参考文献として援用されているPenn、J.B.Fennら、Electrospray
Ionization for Mass Spectrometry of Large Biomolecules,246 Science 64-
70(1989)を用いて、m/zスペクトルはコンピューターにより自動的に分子量スペ
クトルへと変換することができ、従って図2に示されているように、それぞれ関
連したm/zのシリーズに対する分子量のピークを示すことができる。
分析物の溶液中の例えばNa+またはK+等の塩の存在は、リン酸骨格の電荷k中
和に関して、プロトンと競合する。この塩の付加により、ESI-MSスペクトルにお
ける付加的なピークが生ずる。例えば図2においては、主要なピークの右側に位
置する二つのピークは、Na+および2Na+の塩の付加生成物である。もしもESI-MS
分析用の溶液が十分に脱塩されていないならば、その場合塩の付加生成のピーク
は観察される主要な種のピークとなってしまう。これは少なくとも二つの理由か
ら望ましくない。第一に、分析物の質量が種々の量の塩の付加生成によって複数
のピークに渡って分散するためにシグナルの強さが減少してしまう。第二に、複
雑な混合物の質量スペクトルは、非常に高い割合でm/zピークが重なるために区
別不能である。
ESI-四極子質量分析法によりゲノム材料中の多型を分析するためには、PCR技
術を用いるのが有利である。PCRプライマーは、多型に関与するヌクレオチド塩
基対がプライマーによって規定されないように多型の遺伝子座をはさんで位置す
るように設計する。プライマーの間の距離は約1-5ヌクレオチドが好ましい。PCR
を用いた増幅により、相同的な対のそれぞれの染色体からdsDNA産物が生成する
。その遺伝子座(アリル)において特異的なヌクレオチドの組成がどちらの相同
的な染色体についても同一である、多型の遺伝子座に対してホモ接合性の個人に
おいては、PCRを用いた増幅により一種類のdsDNA産物が生じるであろう。遺伝子
座における配列の組成がそれぞれの染色体で異なっている(二つの異なるアリル
)ようなヘテロ接合性の個人においては、増幅により二つのわずかに異なるdsDN
S産物が生じる。ESI-四極子質量分析法を用いれば、dsDNAのPCR産物のそれぞれ
の鎖の分子量を測定することが可能である。それぞれの鎖は、その型のアリルの
予想される質量と観察された分子量を比較することにより、アリルの型の帰属を
決定することができる。
ESI-MSは当該技術分野で知られている方法に対していくつかの利点を提供する
。例えば、ESI-MS法は高い特異性を有する。小さなサイズの増幅産物は、ゲノム
に対する非常に狭い窓の観察を可能にする。DNAプライマーの間のDNA領域のみ、
即ち窓は、ゲノムDNAを表している。PCRを用いた増幅においては、プライマーは
それらの反対の鎖の塩基対のポリマー化を規定する。このために、もしもアニー
リングしたプライマーがそれらの3'末端において一塩基のみ離れていれば、その
場合、ヒトのゲノム中の30億塩基対の中で、それぞれの相同染色体上のその塩基
対のみが窓から見えるのである。より大きな窓も設計可能ではあるが、問題が生
じる可能性がある。第一に、より大きな窓は、診断を混乱させるか、または誤診
させ得るような複数の多型の遺伝子座を中に有する可能性がある。第二に、より
大きな窓は測定される質量を増大させるが、アリル間の質量の差は変化させない
。従って、より大きな質量の増幅産物は、多型におけるアリルの分析能を低下さ
せるのである。PCR増幅の窓を推定の多型に関連する塩基のみを含むように限定
すれば、近傍に存在する他の多型からの干渉を防ぐことができ、そして、アリル
間の分析能を最大にすることができる。
電気泳動の手法と異なり、ESI-MS法は多型を解明するための分析条件の経験的
な最適化を必要としない。いったん特異性および収量についてPCRによる増幅を
最適化してしまえば、質量分析用の試料の調製はどの増幅産物に対しても同様に
なる。結果として、ESI-MS分析法の成功は主として試料の精製度に依存し、ヌク
レオチドの組成には依存しないように思える。しかしながら、SSCP等の電気泳動
法は、特定の多型を検出するために詳細な泳動条件の検討を必要とする。ミスマ
ッチPCRおよび多型選択的制限部位処理はどちらも部位特異的であり、従ってそ
れぞれの分析する遺伝子座について再最適化を行わなければならない。
多型の検出のためのESI-MS分析法の分析限界を、TからA、またはAからTへの塩
基置換の多型において調べた。そのようなアリル間の9ダルトンの差の分析、下
記の実施例3を参照、では、四極子質量分析器を用いて53ヌクレオチドの基質に
ついて二つのピークは異なるアリルとして区別可能であるが、そのような条件に
おいては相当なピークの重複があることが証明された。フーリエ変換イオンサイ
クロトロン共鳴(FTICR)質量分析器を用いることにより、アリルの分析が約100
倍に増大し、従ってアリルの検出が容易になった。PCR反応のプロトコルにおい
て、デオキシチミジンの代わりにデオキシウリジンを用いることにより、四極子
検出器でTからAへの塩基置換の多型についての高い分析能が達成可能である。こ
の改良により、アリル間で23ダルトンが分離できるようになり、こうして四極子
検出器で53ヌクレオチドの基質におけるすべての種類の塩基置換の多型のアリル
が容易に区別できるようになる。
ESI-MSは推定の多型の遺伝子座の確認、並びに、従って試料の組の迅速なスク
リーニングを可能にすることから、現行の技術に対して相互補完的である。ESI-
MSの手法は、それが多型に関与するアリルの質量を直接測定し、それらの相対的
な移動度を測定するわけではないことから、診断の信頼性を向上させる。ESI-MS
分析法は現行の方法では検出が困難な、塩基置換の多型または塩基の欠失/挿入
の多型の検出によく適しているように思われる。多くの病原遺伝子は、ナンセン
ス、ミスセンス、およびフレームシフトの突然変異により生じる。主として塩基
置換、または一または二塩基の欠失または挿入により引き起こされるこれらの変
異は、ESI-MS分析法では容易に分析可能である。
ESI-MSは病原となる遺伝子の検出、遺伝型の決定、組織型の決定、およびDNA
法医学の分野において利用可能である。一対の塩基置換の多型のESI-MSによる分
析は、個人を固有に同定するために使用することが可能であり、従って有用な法
医学の手段となり得る。ESI-MSはまた、組織別の移植または移植組織の適合性、
または細菌およびウィルス等の病原体の同定にも利用可能である。この手法はま
た、組織の生検または血液中において、体細胞で突然変異の起こったアリルの存
在を検出することにより、腫瘍の診断も分析することができる。ESI-MS分析法は
、予想されるアリルを検出することにより、多型の内容を確認するため、並びに
、従ってゲノム中のアリルの存在を迅速にスクリーニングするための方法として
利用することができる。
実施例1
ゲノムの鋳型は、例えば本明細書中に参考文献として援用されているJ.Sambr
ookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第2版,1989)等の、当該技
術分野でよく知られている方法に従って、血液または生検試料のフェノール/ク
ロロホルム抽出により調製した。オリゴヌクレオチドは、GensetまたはNational
Biosciencesより購入するか、または例えば、本明細書中に参考文献として援用
されている、S.A.Narangら、68 Meth.Enzymol.90(1979);E.L.Brownら、68
Meth.Enzymol.109(1979);米国特許第4,356,270号;米国特許第4,458,066号;米
国特許第4,416,988号;米国特許第4,293,652号;N.D.Sinhaら、24 Tetrahedron
Lett.5843(1983);N.D.Sinhaら、12 Nucl.Acids Res.4539(1984);N.D.Sin
haら、15 Nucl.Acids Res.397(1987);N.D.Sinhaら、16 Nucl.Acids Res.3
19(1988)等の、当該技術分野でよく知られている方法に従って合成した。Taqポ
リメラーゼはPerkin-Elmerより購入するか、またはGibco/BRLより”PCR SUPERMI
X”として購入した。PCRは、例えば本明細書中に参考文献として援用されている
、米国特許第4,683,195号;米国特許第4,683,202号;米国特許第4,800,159号;米国
特許第4,965,188号;PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amp
lification(編者H.Erlich,Stockton Press,New York,1989);PCR Protocols:
A guide to Methods and App1ications(編者Innisら,Academic Press,San Die
go,Calif.,1990)等の、当該技術分野でよく知られている方法に従って、Model
9600またはModel 2400 Perkin-Elmer温度サイクラーのいずれかで実行した。PC
Rによる増幅は、概して以下のもの:60-65℃で30秒間アニーリング、72℃で30秒
間伸長反応、および94℃で10分間変性、の40サイクルで最適化した。プライマー
は配列番号2および配列番号3であった。
PCR産物の精製は、逆相HPLC、分子量分離スピン濾過、またはエタノール沈澱
のいずれかにより行った。大部分の試料については、PCR産物は逆相HPLCにより
単離し、凍結乾燥し、脱イオン水に再懸濁して、その後エタノール沈澱を行った
。次に沈殿物から上清を吸引除去により除き、そして、沈殿物を再度凍結乾燥さ
せた。その後、乾燥した沈殿物を80%メタノール、10mMトリエチルアミン(TEA)
に溶解させ、当該技術分野でよく知られている方法に従って四極子質量分析にか
けた。
逆相HPLCは、緩衝液A:100mM TEA-重炭酸塩、pH7、および緩衝液B:100mM
TEA-重炭酸塩、pH7、および50%メタノール、を用いたWaters HPLCにおいて
行った。勾配溶出は0から100%の緩衝液Bで60分間行い、カラムはHamiltonの4mm
×300mmのPRP-3であった。分子量分離スピン濾過フィルターは、AmiconのMICROC
ON 3およびMICROCON 10であった。エタノール沈澱は、70%のエタノールおよび0.
7Mの酢酸アンモニウムの最終濃度で、-20℃で1時間以上行った。
ESI-MS分析用の試料は、80%メタノール、10mM TEAに溶解させ、続いて帯電さ
せた毛細管を通してSciex QE質量分析器に注入した。イオンは質量対電荷の比の
スペクトルとして測定し、その後上述のFenn法により分子量スペクトルへと変換
した。
図3および4はそれぞれ、本実施例に従って増幅したPCR産物のm/zスペクトル
および分子量変換スペクトルを示している。四つの主要なピークが観察され(図
4)、それらは表5においてさらに特徴付けされている。
これらの結果は、二つのPCR産物、ピークIおよびIIが予想される増幅産物のセ
ンス鎖およびアンチセンス鎖に相当することを示している。他の二つのPCR産物
、ピークIIIおよびIVは、ピークIおよびIIの3'-モノアデニル化産物に相当する
。TaqポリメラーゼはPCRにおいてそのようなアデニル酸残基を増幅産物に付加す
ることが知られている。表5はまた、四つの増幅産物、ピークI-IVより測定した
質量と、そのような産物について予想される質量との比較により、質量決定の精
度が0.01%以内の質量誤差であることの証明を示している。
実施例2
本実施例においては、ゲノムの鋳型が多型部位においてホモ接合性の個人およ
び多型部位においてヘテロ接合性の別の個人由来である場合を除いて、実施例1
の手順に従う。配列番号1は多型部位の一方のアリルのセンス鎖の配列の一部を
説明しており、並びに、配列番号7は多型部位におけるもう一方のアリルのセン
ス鎖の配列の対応する部分を説明している。このように、二つのアリルは一つの
塩基の置換でのみ異なっている。それぞれの相同部分が同一のアリルを有するホ
モ接合体においては、質量分析により四つの予想される鎖のそれぞれに対して一
つのピークを生じた(図5A)。しかしながら、一方の相同部分は対立する遺伝
子座においてCG塩基対を首するが、もう一方の相同部分がTA塩基対を有するよう
なヘテロ接合体においては、質量分析によりそれぞれの鎖に対して一対のピーク
を生じた(図5B)。一対のピークのそれぞれについて観察された分子量は、そ
れぞれのアリルから予想される分子量に対応している。スペクトルのより詳細な
解析においては、ホモ接合体由来のスペクトルは予想されるアデニル化アンチセ
ンス鎖に対するピークを示すが、ヘテロ接合体由来のスペクトルはこの位置にお
いて予想される一対のピークを有していないように見える。ヘテロ接合体由来の
スペクトルにおける他の三つの一対のピークのそれぞれは、ヘテロ接合性の独立
した測定を提供し、従ってこの手法の本質的な重複性が、その確実性をさらに高
めている。
実施例3
本実施例においては、オリゴヌクレオチドは実施例2において調べられた遺伝
子座におけるすべての存在し得る塩基置換の多型を表すようにして合成した。こ
れら四つのオリゴヌクレオチドは、多型部位に異なる塩基を有する以外は同一で
あった。四つのオリゴヌクレオチドは配列番号1、配列番号7、配列番号8、お
よび配列番号9である。それぞれの組合わせの混合物は、考え得る6組のオリゴ
ヌクレオチドのすべてから成っており、そして、これらの混合物は実施例1の手
順に記載のESI-MSにより分析した。図6は6対の組み合わせのうちの5つがお互
いから容易に分離可能であるこをを示している(図6A-E)。多型部位にそれ
ぞれTおよびAの残基を何する配列番号7および配列番号8の混合物は、部分的
なピークの重複を示している(図6F)。オリゴヌクレオチドのサイズを小さく
することにより、オリゴヌクレオチド間の質量の差の割合が増加すると思われ、
これによってより良い分析能を得ることができるであろう。
実施例4
本実施例においては、配列番号10が配列番号7に置き換えられることを除いて
、実施例3の手順に従う。多型の遺伝子座におけるdAとdUとの間の分子量の23ダ
ルトンの差により、配列番号8および配列番号10の混合物が容易に分析可能とな
る。
実施例5
本実施例においては、家族集団における遺伝型の決定および病気の遺伝の検出
に対する本手法の有用性を検討した。良性家族性新生児痙攣症(BNFC)の候補と
なる遺伝子内の無症状の多型の遺伝子座における、CからTへの塩基置換の多型
について、4人家族においてESI-MSによる遺伝型の決定を行った。手順はプライ
マーが配列番号11および配列番号12である以外は実施例1の通りであった。分子
量スペクトル(図7)により、アリルの検出、即ちヘテロ接合体の母親(A)お
よび父親(B)における二つのアリル、およびホモ接合体の娘(CおよびD)にお
ける一つのみのアリルの検出が証明される。どの試料がホモ接合性であるかまた
はヘテロ接合性であるかの知識なしにESI-MS分析および帰属を行った。その帰属
は、以前にその家族におけるアリルの遺伝の診断に用いられた自動配列解析装置
により解析された配列を調べることにより確認された。配列解析の結果と比較し
て、ESI-MS分析法は少なくとも二つの利点を証明している。第一に、自動配列解
析法ではそれぞれの鎖についてのデータを得るために、二つの別々のシークエン
ス反応、即ち順方向のプライマーおよび逆方向のプライマーを用いた反応を必要
とするのに対して、ESI-MSはそれぞれの鎖、センス鎖およびアンチセンス鎖の組
成に基づいたデータを生成する。第二に、自動配列解析法がさらなる実験なしで
は解釈が困難であるか、または不可能になり得る複雑なシグナルを生ずるのに対
して、ESI-MSはヘテロ接合体のそれぞれのアリルを明確に検出する。
実施例6
本実施例においては、病気の遺伝の検出にESI-MSの手法を応用した。弱毒性多
発結腸ポリープ症(APC)遺伝子の欠損アリルを有する家族集団について分析を
行った。欠損アリルには、そのアリルのPCR産物の間で618ダルトンの差を生じる
二塩基の欠失が含まれる。図8は、プライマーが配列番号13および配列番号14で
あることを除いて、実施例1の手順に従って得られたスペクトルを示す。スペク
トル図8Aおよび8Dは、スペクトル図8Bおよび8Cには存在しないピークの
存在を示しており、突然変異アリルの存在を示している。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 ペイファー,アンディ
アメリカ合衆国ユタ州84103,ソルト・レ
イク・シティ,ジー・ストリート 633
(72)発明者 ストーファー,ドラ
アメリカ合衆国ユタ州84105,ソルト・レ
イク・シティ,ハッバード・アベニュー
1516
(72)発明者 レパート,マーク
アメリカ合衆国ユタ州84105,ソルト・レ
イク・シティ,ウエストミニスター・アベ
ニュー 1466
(72)発明者 クレイン,パメラ・エフ
アメリカ合衆国ユタ州84109,ソルト・レ
イク・シティ,イースト 2100 サウス
2606
(72)発明者 マクロスキー,ジェイムズ・エイ
アメリカ合衆国ユタ州84108,ソルト・レ
イク・シティ,イースト・イーグル・ウェ
イ 2682
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.以下の工程を含む、塩基の置換または塩基の欠失または挿入を含む多型部 位と関連する、選択された遺伝病または疾患を個人が遺伝子的に受け継いでいる か検出する方法: (a)個人よりゲノムDNA試料を得ること; (b)上記ゲノムDNA試料の選択された部分をポリメラーゼ・チェーン反応 により増幅することにより、多型部位を含み且つ参照DNA試料の対応する部分と の間の質量の差がエレクトロスプレーイオン化質量分析法により分析可能な大き さを有する増幅DNA部分を作り出すこと; (c)上記増幅DNA部分を脱塩して、脱塩された増幅DNA部分を得ること; (d)エレクトロスプレーイオン化質量分析法により、脱塩された増幅DNA 部分の質量を決定すること;および (e)決定した質量と上記参照DNA試料の対応する部分に対して決定した基 準質量とを比較し、両者の質量に差があるときは、上記遺伝病または疾患を遺伝 的に受け継いでいると判断すること。 2.エレクトロスプレーイオン化質量分析法に四極子検出器を用いたイオンの 検出が含まれる、請求項1の方法。 3.エレクトロスプレーイオン化質量分析法にフーリエ変換イオンサイクロト ロン共鳴質量検出器を用いたイオンの検出が含まれる、請求項1の方法。 4.増幅DNA部分の大きさが約55塩基対以下である、請求項1の方法。 5.増幅DNA部分の大きさが約45塩基対以下である、請求項4の方法。 6.脱塩に高速液体クロマトグラフィーが含まれる、請求項1の方法。 7.脱塩に分子量分離スピン濾過が含まれる、請求項1の方法。 8.脱塩にアルコール沈澱が含まれる、請求項1の方法。 9.選択された遺伝病または疾患が良性家族性新生児痙攣症である、請求項1 の方法。 10.増幅に、ポリメラーゼの触媒による配列番号11および配列番号12で表さ れる配列を有するプライマーの伸長が含まれる、請求項9の方法。 11.選択された遺伝病および疾患が弱毒性多発結腸ポリープ症である、請求 項1の方法。 12.増幅に、ポリメラーゼの触媒による配列番号13および配列番号14で表さ れた配列を有するプライマーの伸長が含まれる、請求項11の方法。 13.多型部位が、変異アリル内に野生型のアリルと比較して塩基の置換、ま たは塩基の欠失または挿入が存在する部位を含む、個人のゲノム中の該多型部位 におけるヘテロ接合性を検出するための、以下の工程を含む方法: (a)個人のゲノムDNA試料を得ること; (b)上記ゲノムDNA試料の選択された部分をポリメラーゼ・チェーン反応 により増幅することにより、多型部位を含む相同染色体のそれぞれの対応する部 分に相当する第一および第二の増幅DNA部分を作り出し、その際、第一および第 二の増幅DNA部分のそれぞれは、両増幅DNA部分の間の質量の差がエレクトロスプ レーイオン化質量分析によって分析可能な大きさを有するようにすること; (c)第一および第二の増幅DNA部分を脱塩して、第一および第二の脱塩さ れた増幅DNA部分をそれぞれ作り出すこと; (d)エレクトロスプレーイオン化質量分析法により、第一および第二の脱 塩された増幅DNA部分の質量を決定すること;および (e)第一および第二の脱塩された増幅DNA部分の質量を比較して、両者の 質量の差は多型部位におけるヘテロ接合性を示すものと判断すること。 14.エレクトロスプレーイオン化質量分析法に四極子検出器を用いたイオン の検出が含まれる、請求項13の方法。 15.エレクトロスプレーイオン化質量分析法にフーリエ変換イオンサイクロ トロン共鳴質量検出器を用いたイオンの検出が含まれる、請求項13の方法。 16.第一および第二の増幅DNA部分の大きさが約55塩基対以下である、請求 項13の方法。 17.第一および第二の増幅DNA部分の大きさが約45塩基対以下である、請求 項16の方法。 18.脱塩に高速液体クロマトグラフィーが含まれる、請求項13の方法。 19.脱塩に分子量分離スピン濾過が含まれる、請求項13の方法。 20.脱塩にアルコール沈澱が含まれる、請求項13の方法。 21.以下の工程を含む、塩基の置換、または塩基の欠失または挿入を含む多 型部位における多型を検出するための方法: (a)検定するDNA試料を用意すること; (b)上記DNA試料の選択された部分をポリメラーゼ・チェーン反応により 増幅することにより増幅DNA部分を作り出し、その際、増幅DNA部分は、検出すべ き多型部位を含み且つ参照DNA試料の対応する部分との間の質量の差がエレクト ロスプレーイオン化質量分析法により分析可能であるような大きさになるように すること; (c)脱塩された増幅DNA部分を作り出すために、上記増幅DNA部分を脱塩す ること; (d)エレクトロスプレーイオン化質量分析法により脱塩された上記増幅DN A部分の質量を決定すること;および (e)決定した質量を、上記参照DNA試料の対応する部分に対して決定した 基準質量と比較して、両者の差は多型を示すものと判断すること。 22.エレクトロスプレーイオン化質量分析法に四極子検出器を用いたイオン の検出が含まれる、請求項21の方法。 23.エレクトロスプレーイオン化質量分析法にフーリエ変換イオンサイクロ トロン共鳴質量検出器を用いたイオンの検出が含まれる、請求項21の方法。 24.増幅DNA部分の大きさが約55塩基対以下である、請求項21の方法。 25.増幅DNA部分の大きさが約45塩基対以下である、請求項24の方法。 26.脱塩に高速液体クロマトグラフィーが含まれる、請求項21の方法。 27.脱塩に分子量分離スピン濾過が含まれる、請求項21の方法。 28.脱塩にアルコール沈澱が含まれる、請求項21の方法。
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