JP2000512128A - 哺乳類細胞用の細胞培養培地 - Google Patents

哺乳類細胞用の細胞培養培地

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JP2000512128A JP09533541A JP53354197A JP2000512128A JP 2000512128 A JP2000512128 A JP 2000512128A JP 09533541 A JP09533541 A JP 09533541A JP 53354197 A JP53354197 A JP 53354197A JP 2000512128 A JP2000512128 A JP 2000512128A
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Abstract

(57)【要約】 哺乳類肝細胞および他の細胞の維持および長期クローン成長を支持する、化学的に明確にされた哺乳類細胞培養培地を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 哺乳類細胞用の細胞培養培地 技術分野 本発明は、一般的には哺乳類細胞用の細胞培養培地に関する。特に、本発明は 哺乳類肝細胞、肝細胞由来のセルライン、肝細胞由来の悪性細胞等の細胞集団の 長期間の増殖と保存を可能とする細胞培養培地に関する。 背景技術 特定のセルラインは、任意に配合された培養培地あるいは栄養素培地中でイン ビトロ(in vitro)で成長可能なことはよく知られている。特定の目的に開発さ れてきた培養培地のいくつかを例示すると:ヒトB−リンパ細胞や悪性細胞成長 用のRPMI Media(アールピーエムアイメディア)1640、羊水細胞成長用のChangs (チャングス)培地、マウス繊維芽細胞成長用のMedium(メディウム)199、Min imal Essential Medium(ミニマルエッセンシャルメディウム)(MEM)培地、付着 哺乳類細胞増殖用の”最小培地”、およびCO2欠乏下での成長用のLeibovitz(レ イボビッツ)媒体が挙げられる。係る種々の培地は、正確なアミノ酸、ビタミン 、有機塩、微量元素、および培養細胞を最大に成長促進する他の有機化合物中に 決定的に異なる成分を含有している点でそれらをお互いを区別できる。 哺乳類細胞成長のために、化学的に明確な培地は、通常、種々の血清、好まし くは胎児ウシ血清あるいは新生児ウシ血清、および他の完全には定義できない成 長因子で補足されている。しかし、血清に対する主な障害は、その構成成分が広 範囲に渡っており、その為、生化学的細胞的発生の多様性に寄与する栄養素培地 に、漠然とした生物学的成分が入れられているということである。さらに、血清 は高価であり、細胞を臨床目的に使うとしたら、患者が危険な免疫反応を起こす 可能性もある。 本発明は主として、細胞集団の長期間の増殖が可能な化学的に明確な培地を使 用した哺乳類の肝細胞培養に向けられている。「化学的に明確な培地」という用 語は、組織培養において使用されるものであり、定量的にも定性的にも既知の化 学的組成物の培養培地を言うものであり、動物血清等自然の生成物を含有する培 地と対照的なものである。 肝再生は、Crisham,J.W.らCancer Res 第22巻第842頁(1962)に報告されてい るように、主として成人の肝細胞の細胞分裂で達成される。本報告の開示を明細 書の一部としてここに引用しておく。これらの細胞またはそのフラクションは、 異所性サイト(Jirtle,R.L.ら、Cancer Res 第42巻、第3,000頁(1982)、 その開示を明細書の一部としてここに引用しておく)および形質転換マウスモデ ル(Rhim,J.Aら、Science第263巻、第1149頁(1994)、その開示を明細 書の一部としてここに引用しておく)における肝細胞移植実験に示されているよ うに、高いクローン成長能力を有している。しかしながら、成熟肝細胞の増殖を 抑制しながら、肝臓を刺激して再生すると、任意(faculative)基幹細胞が出現 したり増殖したりすることがいくつかの研究に示されている。例えば、Thorgeir sson S.S.ら、Proc .Soc.Exp.Biol.Med.第204巻、第253頁(1993) を参照。その開示を明細書の一部としてここに引用する。このような細胞は、「 卵円細胞(oval cell)」と呼ばれることもあり、限定動物モデルの肝細胞、ま たは混合肝細胞と胆汁円柱被覆組織マーカーと細胞からなる小管状構造(ductula r structure)(「小管状肝細胞」)に成熟することができる。Amer .J.Path. 第110巻、第70頁(1983)、およびVandersteenhoven,A.M.ら、Arch .Path ol.Lab.Med. 第114巻、第403頁(1991)を参照。その開示を明細書の一部 としてここに引用する。しかしながら、それらの起源、また形質遷移を肝細胞ま たは小管状細胞に向けて規制する制御についてはほとんど知られていない。 直接または任意基幹細胞を経由して、インビトロで肝細胞は高い増殖能力があ るにもかかわらず、1次培養における肝細胞成長の成功例がごく限られているた め、その成長ポテンシャルおよびその形質遷移を決定する条件は完全には理解さ れていない。1次分裂促進因子の影響下の1次培養における肝細胞が1つまたは 2つに分裂し、次にはその細胞が退化し死滅するのが一般的なケースである。今 まで、肝細胞が増殖しかつ生存できる培地を開発することに色んな研究者が失敗 してきた。 例えば、Berry,N.M.ら、J .Cell.Biol.第43巻、第506頁(1969)、そ の開示を明細書の一部としてここに引用しておくが、それによるとサイズに基づ いて肝臓組織をその成分細胞要素に分離できるコラゲナーゼ潅流(perfusion)テ クニックが教授されている。後になって、Bissell,D.M.ら、J .Cell.Biol.第 59(3)巻、第722頁(1973)およびBonney,R.J.ら、In Vitro第9巻、第 399頁(1974)、それらの開示を明細書の一部としてここに引用しておくが、そ れらによると、恐らく1日か2日生き長らえた分離肝細胞を培養する第1の方法が 開示されている。コラーゲンゲル上での肝細胞の最大7ないし10日間の長期培 養がMichalopoulos,G.ら、Exp .Cell.Res、第94(1)巻、第70頁(1975 )により報告されている。その開示を明細書の一部としてここに引用しておく。 上記参照のすべての系の共通した特徴は、それらの系での肝細胞が培養維持され たということであるが、細胞増殖のなんの証拠もなということである。その代わ りに、それらの系はわずかの期間、非増殖細胞を維持し培養するものにすぎなか ったのである。 肝細胞におけるDNA合成を始めて最初に成功した試みは、Richman,R.A.ら 、Proc .Nat.Acad.Sci.USA、第73巻、第3589頁(1976)に開示されて いるように次に新たに発見された上皮成長因子(EGF)を使用していた。その 開示を明細書の一部としてここに引用しておく。その後なん年にもわたって、他 のいくつかの研究者グループが肝細胞分裂促進因子としてEGFを使用し、EG Fの分裂促進効果および、他の因子、例えばコラーゲンタイプI、亜鉛、および プロリン等のマトリックスによる修飾について報告した。 肝細胞成長因子は、散乱因子(scatter factor)としても知られており(以下、 ”HGF”または”HGF/SF”という)、それが発見され、クローン化され 、1980年代後半に完全に配列決定された。Michalopoulos,G.ら、Federatio n Proceedings 、第42巻、第1023頁(1983)、Michalopoulos,G.ら、AACR Proceedings 、第24巻、第58頁(1983)、Michalopoulos,G.ら、Cancer Re s. 、第44(10)巻、第4414頁(1984)、およびMiyazawa,Kら、Bioc hem .Biophys.Res.Comun. 、第163巻、第967頁(1989)参照。それらの開 示を明細書の一部としてここに引用する。HGF/SFは被覆組織細胞 はもちろん多種類の肝細胞の分裂促進因子になることが見出された。HGF/S Fの肝臓に対する重要性はそれが内分泌機構を通して肝臓再生トリガーであると いう事実による。 最近、いくつかの研究によると、HGF/SF,上皮成長因子(”EGF”) 、および形質転換因子α(”TGFα”)は化学的に明確な培地における限定肝 細胞DNA合成を刺激することにより、培養肝細胞の第1分裂促進因子(マイト ジェン)となるということが示されている。例えば、Michalopoulos,G.K.ら、F ed.Am .Soc.Exp.Biochem J. 、第4巻、第176頁(1990)参照。その開示を 明細書の一部としてここに引用する。これらの成長因子は後になって、さらに部 分的肝切除後のインビボ(in vivo)肝再生において役割をしていることが見出 された。HGF/SF、TGFα、またはEGFをラットに注射すると、肝細胞 におけるDNA合成を誘発する。例えば、Liu,M.L.ら、Hepatology、第19巻 、第1521頁(1994)参照。その開示を明細書の一部としてここに引用する。 しかしながら、これらすべての系において、肝細胞はごく限られた期間、一般 的には1〜3日間だけ、DNA合成および有糸分裂を行ったということが報告さ れている。DNA合成および細胞分裂を1−2回繰り返した後、培養は退化し、 全細胞が約7―10日で死滅した。現在までに、EGFまたはHGFのみ、また は組み合わせを添加して、細胞培養液中の肝細胞の数が増殖したということは文 書で報告されていない。それよりか、これらの成長因子を含む培養中での細胞複 製は本質的に制約があり、死滅する肝細胞の数は新たに発生した肝細胞の数を超 える。形質転換成長因子等、例えばTGFαや酸性線維芽細胞成長因子等の他の 肝細胞分裂促進因子を含む培養液中での細胞複製も同様に本質的に制約がある。 さらに最近、Mitaka,T.ら、Hepatology、第13(1)巻、第21頁(1991) 、Mitaka,T.ら、Hepatology、第16(2)巻、第440頁(1992)、Mitaka,T. ら、Virchows Arch .B Cell Pathol.Incl.Mol.Pathol.、第62巻、第329 頁(1992)、Mitaka,T.ら、Cancer Res.、第53巻、第3145頁(1993)の 開示を明細書の一部としてここに引用するが、それらによるとニコチンアミド、 デキサメタゾンおよびEGFを従来の培養培地に添加すると、標準サイズの実質 肝細胞の濃厚培養液中に小さな肝細胞のコロニーが形成されることが報告されて い る。さらに、Mitaka,T.ら、J .Cell.Physiol.、第157巻、第461頁(1993) の開示を明細書の一部としてここに引用するが、それによるとEGF+HGF、 EGF+TGF−αおよびHGF+TGF−αの組み合わせによって誘発される コロニーの数は各分裂促進因子単独で誘発されたコロニーの数と違っていなかっ たと報告されている。 現在までに、肝細胞の長期間の増殖、分化および生存を維持することができる 化学的に明確な培地は、補足があるなしにかかわらず、存在しない。種々の目的 ために、不明確な補足の使用は満足のいくものとなるが、成長、新陳代謝、およ び/または培養液中の細胞の分化の研究を行う場合には、明確な補足を有するこ とが最も望ましい。不明確な成分を細胞培養液に入れると、研究結果や細胞培養 液の適用に変異性、非予測性、およびコンタミネーションをもたらすことになる 。明確な培地を使用することが、ドラッグ新陳代謝、人工臓器開発、細胞移植、 遺伝子治療および基礎的細胞研究の分野で特に重要であり、有益である。 上記したように1次培養液中で肝細胞を増殖させるには限度があるので、長期 間の研究または長期間の生存や増殖が必要とされる使用は妨げられていた。それ 故、肝細胞培養液の細胞移植や遺伝子治療への応用も妨げられていた。従って、 細胞が増殖でき長期間生存できる化学的に明確な培地が必要とされている。その ような培地やそのように培養された肝細胞や他の細胞の潜在的な応用としては、 遺伝子治療、生物学的人工臓器、細胞移植、ドラッグ製造、およびドラッグや化 学薬品のテストである。 上記したように、現在の技術状況は、肝細胞が持続性増殖により細胞集団とし て増殖する肝細胞培養培地系を提供していないし、そしてそのような系に対する 要望がある。本発明は肝細胞の持続性増殖および長期間増殖が可能な完全に明確 な培養培地を提供する。 発明の要約 本発明によると新規な化学的に明確な細胞培養培地が提供される。本培地は、 1次肝細胞および肝細胞セルライン、遺伝的に形質転換された肝細胞および腫瘍 性源から得られた肝細胞の持続性クローン成長を維持し、その結果、細胞集団が 増殖することになる。本培地はさらに、そこで成長する細胞の代謝性、構造的、 分泌機能の完全な分化を可能とする。このような条件下では、肝細胞は多発性増 殖サイクルを経る。一旦、合流(confluency)に達すると、あるいは特定のマト リックス成分、栄養素、および/または成長因子の存在下に、これらの増殖細胞 は分裂を停止し、何ヶ月も何ヶ月も成熟肝細胞表現型を維持する。 従って、本発明の第1の目的は肝細胞の持続性増殖および生存が可能な培養培 地を提供することである。 もう一つの目的は肝細胞の持続性分化と生存が可能な培養培地を提供すること である。 さらなる本発明の他の目的は、成長が停止するにつれ完全な分化に先祖返りす る肝細胞の持続性増殖が可能な培養培地を提供することである。 本発明の別の目的は、血清を全く含有しておらず、完全に明確である、肝細胞 の長期間増殖が可能な培養培地を提供することにある。 さらなる本発明の別の目的は、色々なマトリックス基質上で肝細胞の持続性増 殖、分化、および生存を可能とする培養培地を提供することである。 本発明の上記および他の目的は以下の1以上の具体例で達成される。 ひとつには、本発明は哺乳類肝細胞のメインテナンス、長期成長が可能な化学 的に明確なHBM培養培地であることを特徴としていおり、以下からなる: (a)哺乳類細胞培養用にデザインされた合成保存基礎培地、 (b)ニコチンアミド、アミノ酸、トランスフェリン、ホルモン、デキサメタ ゾン、微量の金属、および、D−グルコースおよびD−ガラクトースからなるグ ループから選択される単純炭化水素から選択される成分およびそれらの組み合わ せの肝細胞細胞成長促進量。 好ましい態様においては、本発明は、さらにバッファー、抗生物質およびアル ブミンを含有するHBM培養培地を特徴とする。 別の面においては、本発明は、表Iおよび表IIで明らかにされているような HGM組成物からなる哺乳類細胞培養培地を特徴としており、表Iの保存基礎培 地は、D−グルコースの最終濃度が好ましくは約2.0g/L、そしてD−ガラ クトースの量が好ましくは約2.0g/LとなるようにブレンドされているDM EMからなる。 本発明の他の特徴及び利益は以下の好ましい具体例の記述およびクレイムから 明らかになる。 図面の簡単な説明 図1A−1Cはラット肝細胞を、本明細書で記述されているように成長因子が 補足されたHBM培地で培養した研究結果を示すグラフである。すべての点は少 なくとも3つの別々の培養の平均および標準誤差を表している。 図1Aは肝細胞分離培養後の色々な時間での増殖細胞培養のラベル化された核 のパーセント(BRdU)を示す。細胞はHGF/SFおよびEGFで補足され たHBM中で成長した。 図1Bは、肝細胞分離培養後の色々な時間での培養中のDNAへの[3H]チ ミジンの取り込み(1分当たりの壊変)を示している。細胞をHGF/SFのH BM培地(◇);EGFのHBM培地(○);HGF/SF+EGFのHBM培 地(△);およびコントロールであるHBM単独(□)にさらした。 図1CはHBM培地単独(コントロール)(■);HGF/SFのHBM培地 (△);EGFのHBM培地(▽);およびHGF/SF+EGFのHBM培地 (●)中で成長した細胞の異なる日数での平板培養(plate)当たりのDNAの量 を示している。 図2は示されている成長因子を有するHBM中で成長したラット肝細胞の1平 板培養当たりの15日(day15)後のDNAを示している。コントロール( 日数 t=0)および15日は成長因子を有さないHBM中で成長したものであ る。 図3は異なったマトリックス上で成長したHGF/SFおよびEGF補足HB M中15日でのラット肝細胞のプレート当たりのDNA合成量(μg/培養)を 示すグラフである。”CC”はコラーゲンがコートされていることを意味してい る;”ECL”は商業マトリックスである;”m COLL IV"はマウスコラーゲン IVを意味する;”CC VITROGEN”はウシ皮コラーゲンタイプIを意 味する;”POLY D LYS”はポリD−リジンを意味する;”m LAM ININ”はマウスラミニンを意味する;”h FIBRONECT”はヒトフ ィブロネクチンを意味する;および”m COL I”はマウスコラーゲンIを 意味する。 図4A―4Gは種々の条件下本明細書に記載されているようにHBM中で培養さ れたラット肝細胞の写真である。 図4Aは、一般的なサブコンフルーエント(subconfluent)非増 殖肝細胞を示すもので、分離培養1日でのHGF/SFおよびEGFを有するH BM媒体中での肝細胞を示す。 図4Bは、一般的な散乱形態を示すもので、HGF/SFを導入されたHBM 培地中4日での肝細胞を示す。 図4Cは一般的な形態を示すもので、15日で達成されたコンフルエンシー(c onfluency)を有する肝細胞培養を示す。 図4Dおよび4Eはそれぞれ図4Aおよび4Cにおける細胞の電子顕微鏡写真で ある。 図4Fおよび4Gは、ラック(lac)−Z−含有複製欠損レトロウイルスで3 日目に形質移入され、以下に記述するようにβ−ガラクトシダーゼ発現用に染色 され、形質移入後、1日目(図4F)、10日目(図4G)に撮影した、染色肝細 胞の顕微鏡写真である。 図5Aおよび5Bは、本明細書に記述されているようにHGF/SFおよびE GFの存在下HBM中に保持されたラット肝細胞培養における異なる日にちでの 特定の遺伝子発現を示すノーザンプロット法の写真である。GAPDH発現およ びエチジウムブロミド染色後の28S RNAの強度を内部コントロールとして 使用した。 図6A―6Fは、本明細書で記述されているようにHGF/SFおよびEGFの 存在下HBM培地で培養された増殖ラット肝細胞およびそのノーザンプロット法 の写真である。 図6Aは、8日目にマトリゲル(Matrigel)を上張りされ、18日目 に撮影された増殖肝細胞培養の位相差顕微鏡写真である。粒状の細胞質および一 般的な胆細胞様相が細胞間に白線として現れている。 図6Bおよび6Cはそれぞれ、培養18日目、マトリゲルで上張り後10日目 の細胞の、低出力および高出力電子顕微鏡写真である。ミトコンドリア、結晶性 中心を持つ微小体、胆細管(”c”)(図6B)、豊富なミトコンドリア(”M ”)、およびグリコーゲン(”G”)(両者図6C)の回りを包んでいる小胞体 のラメラのように肝細胞細胞質の一般的な特徴が示されている。 図6Dは、マトリゲル添加後のアルブミンmRNAの増加発現を示すノーザン プロット法の写真である。アルブミンmRNAは、コラーゲナーゼ潅流(per fusion)により肝臓から分離後すぐにかつ培養前にコントロール培養に発 現している。発現は培養8日目で最小である。マトリゲル添加3日目および7日 目(”+”でマークされているレーン)で、アルブミンmRNAの発現の増加が あった。GADPH発現は内部コントロールとして使用した。 図6Eは8日目にマトリゲルで処理され、2日後(培養10日)にフェノバルビ トール(”PB”)にさらされた培養液におけるチトクロムIIB1mRNAの 誘導を示すノーザンプロット法の写真である。細胞は培養15日で収穫された。 GAPDH発現はmRNA増量の内部コントロールとして使用した。 図6Fは、マトリゲルを添加(培養8日目で添加)して培養された細胞のノーザ ンプロット法のグラフである。シトケラチン(cytokeratin)19、 増殖肝細胞により発現した胆管マーカーはマトリゲルの添加により抑制されてお り、マトリゲルを入れていないコントロール培養では抑制されなかった。エチジ ウムブロミドで染色されている28S rRNAを内部コントロールとして使用 した。 図7A−7Eは、HGF/SFの存在下HBM中2つのタイプのIコラーゲン ゲル層間に培養初期から保持されているラット肝細胞の培養中に小管状/細葉構 造の形成を示す研究結果を示している。図7A−図7D写真は15日培養のもの である。 図7Aは、コラーゲン筋原繊維に取り囲まれた小管状構造の様子を示す位相差 顕微鏡写真(X100)である。 図7Bはヘマトキシリンおよびエオシンで染色された図7AタイプIコラーゲ ンのパラフィン切片の顕微鏡写真(X100)である。 図7Cおよび7Dは、同じルーメンを取り囲む細胞であるが図7Bで見られる 小管状構造の1つのルーメンの回りの異なる位置での電子顕微鏡写真である。図 7Cは胆管上皮と同じ形態学を有する細胞を示しており、多くのデスモソームで 連結された長い平行接触を有し、豊富なケラチン中間体フィラメントを有する。 図7Dは肝細胞表現型により似た細胞を示しており、粗面小胞体およびミトコン ドリを有しており、濃く染色された第2ライソソームおよびより少ないフィラメ ントを示している。 図7Eは小管状/細葉構造を有するシトケラチン18および19の発現が培養 で増加しているが、アルブミンは極わずかしか発現していないことを示している ノーザンプロット法の写真を示している。 図8は、本明細書に記述されているようにHGF/SFおよびEGFが補足さ れているHBM中で成長した染色ヒト肝細胞培養の1、3、5、7、10、12 および19日目の写真を示している。 発明の詳細な説明 本発明は肝細胞基礎培地、本明細書ではHBMという、を提供するものであり 、肝細胞の細胞集団、HepG2、肝臓の胎児上皮細胞、および肝臓の第1肝癌 細胞等の肝細胞誘導セルラインの長期間増殖、分化、および生存をインビトロで 可能とする。さらに、本発明の培地は、膵臓島細胞、尿細管性細胞、伊藤細胞、 小腸上皮細胞、その他、MRC5、CaCo、および3T3等の色々なセルライ ンを培養するために使用することができる。本発明のHBMは代謝経路および合 成機能、すなわち成熟成人の肝細胞の分化を維持する。 さらに、本発明のHBMは、特定のマイトジェンおよび細胞外のマトリックス 組成物と併用すると、肝細胞は分化転換され、胆管状構造に至らせることができ る。本発明のHBMは哺乳類肝細胞および、それらに限定されるものではないが 、ヒト、ラット、ドッグ、豚、マウスおよびヒヒ起源を含むその他の細胞の培養 に使用することができる。 HBM培地は適当な濃度の必須および非必須アミノ酸およびバルクイオン(b ulk ion)および微量元素、バッファー、ビタミン、炭水化物、脂質、タ ンパク、およびホルモンからなり、インビトロ哺乳類細胞培養に適した栄養素培 地として機能する。 より広い観点においては、本発明は、それ自身が長期間生存、分化、および哺 乳類肝細胞、その他の細胞の成長を可能とする化学的に明確な基礎培地、HBM を特徴とする。さらに、HGF/SF、EGF、またはTGFα、他のマイトジ ェン等の成長因子の存在下、補足HBM中で成長する細胞はより急速な集団増殖 およびクローン成長する。以下、さらに示されているように、本発明のHBMは HGF/SFで補足されると、一定のマトリックス構成物と共に胆管状構造の形 成を引き起こす。しかしながら、上記したようにそのような成長因子は1次培養 における特定の分化パターンに対しては要求されなが、これを特定の目的に所望 すれば成長および集団増殖を加速する。 本発明のHBM培地は、哺乳類細胞培養のためにデザインされた化学的に明確 な保存基礎培地(以下、”SM”という)からなる。保存基礎培地は、好ましく は1成分としてダルベッコの修飾イーグル培地(Dulbecco's Modified Eagle Med ium)("DMEM")を使用して構成することができが、本発明は本明細書で述べられて いるように配合がガイドラインの範囲内にある限り、そのように限定されるもの ではない。それに限定されるものではないが、本発明に従い使用され得る他の明 確な基礎培地は以下のものが包含される:ベイサル・メディア・イーグル(Basa l Media Eagle)(BME)、DMEM/F−12(1:1 DMEMおよびF−12 体積:体積);メディウム(Medium)199;F-12(ハム)(Ham)ニュートリエ ント・ミクスチャー(Nutrient Mixture);F-10(ハム)ニュートリエント・ミ クスチャー;ミニマル・エッセンシャル・メディア(Minimal Essential Media)( MEM);ウィリアムズメディア(Williams’Media)E;およびRPMI1640、そ れらすべてギブコービーアールエル/ライフテクノロジー社(Gibco-BRL/Life T echnologies Inc.)、ゲーサーズバーグ、メリーランド、その他の会社から入手 可能である。これら多数の培地のいくつかのバージョンが入手可能であり、HB Mを構成するに特に有用なものとしては、限定されるものではないが、DMEM 11966、DMEM10314、HEM11095、ウィリアムズメディアE 12251、Ham F12 11059、MEM−アルファ(alpha)1 2561、およびメディウム(Medium)199 11151(すべてGibc o-BRL/Life Technologies(1995−1996カタログ)から入手可能である )を包含する。それ故、例えば、L−アルギニンおよび/ま たはD−グルコースがすでに必要量保存基礎培地中にあるならば、補足としてさ らに成分を添加する必要はほとんど、または全くない。 保存基礎培地の特別の組成によるが、SMは、ここでより十分に記述されてい るように、D−グルコースおよび/またはD−ガラクトース、ニコチンアミド、 SMに既存していないアミノ酸および微量の金属からなる他の微量養素、例えば L−プロリン、L−グルタミン、L−アルギニン、L−オルニチン、亜鉛、マン ガン、銅、およびセレン等、元素鉄が結合している精製トランスフェリンまたは 鉄グルコネートと組み合わせたアポトランスフェリン(apo-transferrin)、デ キサメタゾンやインシュリン等のホルモンおよびHEPES(N−[2−ヒドロ キシエチル]ピペラジン−N−[2−エタンスルホン酸])等のpHバッファー で補足されている。ペニシリンやストレプトマイシン等の抗生物質、pH指示薬 、アルブミンおよび/またはデキストラン、必須脂肪酸、代替(alternative) バッファー、ビタミン、浸透圧剤、および他の形態の微量金属を所望により添加 してもよい。一般的には、基礎培地は6.5−8.2、好ましくは7.0−7. 7、最も好ましくは7.2−7.5範囲のpHを有する。フェノールレッドはp Hの制御を助けるために添加される一般的指示薬である。SMおよびそれへの補 足は本発明のHBM培地からなる。 HBM培地は、促進成長を望むのであれば、所望により1以上の成長因子、例 えばHGF/SF、EGFおよびTGFα等で補足されていてもよい。 単純炭水化物D−グルコースおよび/またはD−ガラクトースを保存基礎培地 に添加してHBMをなしてもよい。D−グルコースおよびD−ガラクトースとも に使用する場合、それらの総濃度の合計は好ましくは8.0g/L以下であるが 、保存基礎培地中に存在するかもしれないいくらかのD−グルコースの量を考慮 すると、その場合、0.01g/Lより大きい。D−グルコースまたはD−ガラ クトースの一方しか使用しない場合、その濃度は好ましくは5.0−0.1g/ Lである。例えば、本明細書における実施例においては、使用された混和DME M保存基礎培地は2.0g/LのD−グルコースを含有しており、D−グルコー スは全く添加していない。D−ガラクトースの2.0g/Lを補足として添加し た。 ニコチンアミド、もう一つのHBM成分であるが、それは肝細胞分化を持続 させ、チトクロームP450の発現を高め、従来の培養液中で肝細胞の生存を1 0−14日引き伸ばすことが示されている。Rosenbergら、In Vitro、第18巻 、第775頁(1982)およびInoue,Cら、Biol .Chem.、第264(9)巻、 第4747頁を見よ。それらの開示を本明細書の一部としてここに引用する。 トランスフェリンは細胞膜上トランスフェリンレセプターと相互作用する鉄結 合性タンパクである。それは鉄イオンをキレート化したり輸送したりする働きを する。本発明において好ましく使用されるトランスフェリンは30%鉄飽和のホ ロ(holo)−トランスフェリンであるか、完全不飽和(アポトランスフェリ ン)であり、鉄グルコネートと組み合わされる。 デキサメタゾン、合成コルチコステロイドであるが、それは、Sand,T.-F.ら、Acta .Endocrinol. 第109巻、第369頁(1985)に報告されているよう に、EGF誘発DNA合成を高めることが示されている。その開示を本明細書の 一部としてここに引用する。本発明で使用されているように、デキサメタゾンは 、プレドニゾン、プレドニシロン(prednisilone)、コルチゾル、ヒドロコルチ ゾン、および他の誘導体等のいかなるコルチゾル誘導体であってもよい。 インシュリンおよびインシュリン様成長因子が、グルコース摂取、アミノ酸輸 送、多数の中間代謝物質経路の維持のために要求される。これらの効用は分化を 維持し、増殖をサポートするのを助ける。 HBM、保存基礎培地中にL−アルギニンを含ませること、すなわちそれへの 補足は、重要に思える。培養中の肝細胞は、ウレアサイクルを通じてアルギニン を合成する能力を失う傾向にあるからである。L−アルギニンが存在しないと、 培養中の肝細胞は、L-アルギニン合成をできなくなるので、そんなに長くは生き られない。タンパク合成がブロックされるのである。D−グルコースに加えD− ガラクトースを使用することはHBMに有益である。なぜならそれらを組み合わ せると、それらの物質単独で使用する場合に比べ、最大の成長力が与えられるか らである。 上記したような、HGF/SF、EGF、およびTGFαは、本発明に従い一 緒にまたは単独で使用されると、以下に示されているように、増殖効果を高める ことを示すマイトジェンである。本発明のHBMを補足するのに使用すること ができる前述のマイトジェンのリストは完全なものではない。しかしながら、こ れらのマイトジェンは、HBM中で成長するとき肝細胞の生存または分化に要求 されるものではないということには注意されたい。マイトジェンが添加されると 、HBM中での成長する肝細胞はよりスローに増殖する。 本願でクレイムされている培地に使用されているインシュリン、EGF、HG F、およびTGFαは、組換製造、遺伝設計されていてもよいし、自然源から精 製されていてもよい。例えば、その種類は、ヒト、ウシ、ウマ、ネズミ、ブタ、 またはラットであってよい。 いくつかの好ましい保存基礎培地、DMEM11966、DMEM10314 、MEM11095、およびウィリアムズメディウムE 12251は、下記表 Iに示されているように滅菌脱イオン水1000ml当たり以下の成分を含有し ている。 本発明の好ましい具体例によると、表IIにおける次の補足成分を、総容量10 00ml中、表Iの保存基礎培地に添加する。リストに挙げられている好ましい 量は、保存基礎培地が445mlのDMEM10314および555mlの11 966から構成され、D−グルコース濃度が2.0g/Lとなって、さらなるD −グルコースが全く添加されていない実施例における下記の量と一致する。他の 保存基礎培地を使用する場合、添加されるこれらの成分の最も望ましい量は変化 してもよことは理解されるべきである。 下記表IIIは、特定の目的に向け、そして肝細胞や特定のセルラインまたは 悪性細胞の特定の種の起源を考慮して、細胞成長を最も効果的にするために所望 によりHBM培地に添加してもよい物質をリストしている。繰り返すが、これら の量は、特定の成分が使用される保存基礎培地に既存しているかいなかによって 、変化する。 成長の加速を望む場合、本発明のHBMに種々の成長因子を添加してもよい。 HGF/SF、EGF、およびTGFαが現在のところ好ましいが、他の成長因 子を添加してもよいということが理解されるべきである。係る成長因子の好まし い量は一般には特定の使用される源で変化する。それゆえ、ここにリストされて いる量は、使用される特定の源に必然的に限定される。以下の実施例においては 、HGF/SFが40ng/mlでHBMに添加されることがこの好ましい;E GFが20ng/mlで添加されることが好ましい;そしてTGFαが20ng /mlで添加されることが好ましい 以下の実施例は例示的に示すものであって、本発明の範囲を限定する意図のも のではない。 実施例 材料および方法 材料 チャールズ・リバー(Charles River)(ペンシルバニア)由来の雄性フィッ シャー344ラットを、ラット肝細胞単離を含む全ての実験に用いた。EGFお よびマトリゲル(Matrigel)(EHSマウス腫瘍から誘導されたマトリックス成 分の混合物)を、コラボレーティブ・リサーチ(Collaborative Research)(ウ ォールサム(Waltham)、マサチューセッツ)から得た。[3H]チミジンを、I CNラジオケミカルズ(アービン(Irvine)、カルフォルニア)から得た。肝細 胞単離のためのコラゲナーゼ(collagenase)を、ボアリンガー・マンハイム(B oehringer Mannheim)(インディアナポリス、インディアナ)から得た。ビ トロゲン(Vitrogen)(セルトリクス・ラブズ(Celtrix Labs)、パロ・アルト (Palo Alto)、カルフォルニア)を、コラーゲンゲルの構築のために用いた。 一般試薬をシグマ・ケミカル・コーポレーション(Sigma Chemical Co.)(セン ト・ルイス、ミズーリ)から得た。これらの研究のために用いられるHGF/S Fは△5変異体(variant)であった。ECLマトリックスはアップステイト・ バイオテクノロジー(Upstate Biotechnology)(レイク・プラシッド、ニュー ヨーク)から購入した。肝細胞の単離および培養 ラット肝細胞を、コースト(Kost)、D.P.等、ジェイ・セル・フィジオロ (J.Cell.Physiol.147:274(1991))で教示されるようなカル シウム2段階コラゲナーゼ潅流技術(the calcium two step collagenase perfu sion technique)の適応により単離した。ここでその開示を参考文献として引用 する。純粋な肝細胞の集団を得るよう、全ての上記の調製を設計した。多くの他 の肝細胞培養系とは異なり、本発明は支持細胞共培養(feeder cell co-culture )または支持細胞条件培地(feeder-cell conditioned media)を必要としない か、または用いない。肝細胞の単離後、細胞を、培養プレートへの細胞付着に用 いられる培地に懸濁した。この培地はNEAA(GIBCO 11140)、イ ンスリン5mg/L、およびゲンタマイシン5μg/mlを含むMEM(GIB CO 12570)であった。肝細胞を、以下の記載に従って単層のコラーゲン 被膜上で平板培養し、2時間で付着させた。コーニング(Corning)由来の6− ウェル・クラスター・プレート(プレートあたり9.8平方センチメートル)を 用いた。肝細胞を増殖させる予定のない実験、または分化された機能のアセスメ ントを行う実験のために、細胞を、表面積1平方センチメートルあたり80,0 00肝細胞の濃度で平板培養した。増殖または異種DNAによる遺伝形質導入を 引き起こす予定の実験のために、細胞を、表面積1平方センチメートルあたり1 ,000または10,000肝細胞の初期濃度で平板培養した。細胞を平板培養 した後、2時間で、およびその後48時間ごとに、平板培養培地を本発明のHB M培地と取り替えた。チミジン、成長因子、および他の成分は、必要なときは培 地交換のときに添加した。 ヒト肝細胞を、ストロム(Strom)、S.C.等、ジャーナル・オブ・ナショ ナル・カンサー・インスチチュート (Journal of National Cancer Institute) 5(5) :771〜8(1982)で記述されているようなコラゲナーゼ潅流技 術(the collagenase perfusion technique)の適応により単離した。ここでそ の開示を参考文献として引用する。ラット肝細胞についての上記記載と同様にし て、細胞を培養した。 コラーゲンゲルを、ミケロポーラス(Michalopoulos)、G.K.等、エクス プ・セル・レス (Exp .Cell.Res.)94:70(1975)による記載と同様に して調製した。ここでその開示を参考文献として引用する。コラーゲンおよびマ トリゲルでのプレートのドライコーティング(dry coating)も、製造業者によ る詳述と同様にして行った。0.5mlの培地に、付着細胞上、直接的にマトリ ゲル溶液50μlを添加することにより、マトリゲルゲルを製造した。 上で引用したコースト(Kost)、D.P.等(1991)による記載と同様に して、材料沈殿性のトリクロロ酢酸(TCA)へのトリチウム標識チミジンの取 り込みによりDNA合成を測定した。所望により、コラーゲンゲルを、使用され るMEM培地1mlあたり2mgのコラゲナーゼで消化した。その後、37℃で 30分間インキュベーションを行った。消化されたゲルをNaOHで処理し、そ の後、上で引用したコースト(Kost)、D.P.等(1991)による記載と同 様にTCAで処理して、DNA、RNA、およびタンパク質を沈殿させた。HBM培地の組成 DMEM、HEPES、L−グルタミン、および抗生物質をGIBCO/BR L(ガイザーズブルク(Gaithersburg)、メリーランド)から購入した。ITS 混合物(インスリン、トランスフェリン、セレン)をボアリンガー・マンハイム から購入した。全ての他の添加剤は細胞培養グレード(cell culture grade)( シグマ(Sigma))であった。特定の実験について、特記しない限り、保存基礎 培地は最終のD−グルコース濃度が2.0g/LとなるようブレンドされたDM EMI1966およびDMEM10314からなった。した。この場合、445 mlのDMEM10314を555mlのDMEM11966とブレンドし、上 記濃度を達成した。これらの保存基礎培地の配合は上記の表Iで説明する。そ の後、得られたブレンド培地を以下のもので補足した:精製ウシアルブミン2. 0g/L、D−ガラクトース2.0g/L、L−オルニチン0.1g/L、プロ リン0.030g/L、ニコチンアミド0.610g/L、ZnCl20.54 4mg/L、ZnSO4・7H2O0.750mg/L、CuSO4・5H2O0. 20mg/L、MnSO40.025mg/L、グルタミン5.0mM、ITS (rh−インスリン5.0mg/L、ヒトトランスフェリン5.0mg/L[3 0%ダイフェリック鉄飽和(30% diferric iron saturated)]、セレン5.0 μg/L)、デキサメタゾン10-7M、およびHEPES緩衝剤20.0mM。 ペニシリンおよびストレプトマイシンをそれぞれ100U/Lおよび100μg /Lで添加した。混合された基礎HBMを、0.22-μm低タンパク結合フィ ルター系(0.22-μm low protein-binding filter system)(コーニング)に よるろ過により滅菌し、4℃で保存し、4週間以内に用いた。所望により、培地 を替えるときごとに、成長因子を特定濃度でHBMフレッシュに添加した。レトロウイルス形質移入およびクローン増殖のアセスメント はじめに肝細胞を104/cm2で平板培養し、HGF/SF(40ng/ml )およびEGF(20ng/ml)で補足されたHBMで成長させた。68時間 後、培地を、ジトボゲル(Zitvogel),L.H.等、Hum .Gene.Ther.5:1493(1994) で記載されているように、LTRプロモーター下E.コリ(coli)β−ガラクト シダーゼ遺伝子を含むCRψP−パッケージ複製−欠損両種指向性レトロウイル ス(mlあたりMFG〜5×105ユニット)由来の上澄みで置き換えた。ここ でその開示を参考文献として引用する。ポリブレネ(polybrene)を2μg/m lで添加した。18時間後、上澄みを、EGF20ng/mlおよびHGF/S F40ng/mlで補足されたHBMと取り替えた。ウイルス含有上澄みでの短 時間の曝露は、肝細胞の生存または増殖について、不利な効果をもたらさなかっ た。示された時間において、細胞を、PBS中0.5%グルタルアルデヒド(gl utaraldehyde)で10分間固定し、X−Gal基質で37℃にて16時間発育さ せた。E.coli遺伝子を発現する形質導入された細胞は、図4Gおよび4F で示されるように、積極的に染色された。各成分についての適切なコントロール はX−Gal染色について陰性であった。透過型電子顕微鏡 透過型電子顕微鏡(TEM)用のサンプルを、2.5%グルタルアルデヒドお よび2%ホルムアルデヒド(formuldehyde)を含む0.1Mカコジル酸ナトリウ ム緩衝剤(pH7.4)中、1〜1.5時間培養プレート上に固定した。プレー トをその後、0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝剤(pH7.4)で2回および 5%スクロースを含む0.1Mカコジル酸ナトリウム緩衝剤(pH7.4)で2 回すすいだ。それらを1〜7日間スクロース緩衝剤中、保持し、0.1Mカコジ ル酸ナトリウム緩衝剤(pH7.4)で2回すすいだ後、0.1Mカコジル酸ナ トリウム緩衝剤中1%OsO4中、1時間二次固定(postfixed)した。その後、 プレートを緩衝剤中、再度すすいだ後、固定され処理されたコラーゲンゲルをか みそりの刃で細片状にカットした。その後、細片をガラス製試料バイアルに移し 、一連の等級のエタノール(25〜100%)および2プロピレンオキシド・チ ェインジズ(two propylene oxide changes)を通じて脱水し、エポン−アラル ダイト樹脂(Epon-Araldite resin)(バイオテック、テキサス)で浸潤した。 コラーゲンゲルがプロピレンオキサイドを保持するのに貢献しながら、数回の樹 脂交換を2日間にわたって行った。コラーゲン細片を平坦包埋し、60℃一晩中 で硬化した。ノーザンブロット法による遺伝子発現の分析 培養からの全RNAおよびmRNAの抽出 1ウェルあたり2.0mlのRNAzol B(バイオテック)を用いて、未 洗浄細胞培養から全RNAを抽出し、製造業者のガイドラインに沿って精製した 。RNA濃度および純度を従来からの分光測光法によって測定した。レーン(la ne)あたり20μgRNAのサイズ分離を変性1%アガロースゲル上で完結し、 毛細管法(capillary method)によりナイロン膜(nylon membranes)(アメル シャム(Amersham)、アーリントン・ハイツ(Arlington Heights)、イリノイ)に 移した。UV光下での架橋後、アメルシャム・ランダム・プライマー・キット( Amersham random primer kit)を用いて、[α−32P]dCTPで標識化された 特定のcDNAs(図に示すように)で膜を一晩中ハイブリダイズした。その後 、膜を最強条件下で洗浄し、1〜3日間、XARフィルム(イースト マン・コダック、ロチェスター(Rochester)、ニューヨーク)に曝露した。R NAハイブリダイゼーション結合の定量をレーザーデンシトメトリーにより行っ た。cDNAプローブの源 遺伝子発現を研究するために用いられるcDNAプローブは容易に得られ、注 文により以下の源から入手可能である:ノーマン・マーシュー(Norman Marceau )博士(ラバル(Laval)大学)由来のサイトケラチン8;デニス・ループ(Denn is Roop)博士(ベイラー(Baylor)薬科大学)由来のサイトケラチン14;ロバー ト・オシマ(Robert Oshima)博士(ラジョラ・カンサー・リサーチ・ファンデーシ ョン(LaJolla Cancer Research Foundation))由来のサイトケラチン18;ア ンドレ・ロイヤル博士(モントリオール大学)由来のサイトケラチン19;デー ビッド・リー博士(チャペル・ヒルにあるノース・キャロライナ大学)から得ら れたTGFα(ラット);シェルドン・エープ(Sheldon Earp)博士(チャペル ・ヒルにあるノース・キャロライナ大学)から得られたEGF−R(ラット); アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Coll ection)(ATCC)由来のaFGF(カタログNo.78222);ATCC由 来のaFGF−R(カタログNo.65796);ジェイ・デージャン(Jay De gen)博士(シンシナティー大学)から得られたuPA;スチーブ・ストローム 博士(ピッツバーグ大学)由来のシトクロム11B1;アルブミンのためのcD NAs、αフェトプロテイン、および転写因子分析はジョー・ロッカー(Joe Lo cker)博士(ピッツバーグ大学)が起源であった。 得られた結果 細胞増殖における培地成分およびマトリックス基質の役割 HBM培地の十分な記載は上にある。各種培地成分の相対的な重要性を評価す るために、幾つかの実験を行い、その結果を以下の表IV(A、B、およびC) に示した。表IV Aに示されるように、完全なHBM培地組成物から、成分D −グルコース、アルブミン、デキサメタゾン、トランスフェリンおよびセレン、 ニコチンアミド、および微量元素を個々に除いた。成長14日後の培養あたりの 全DNAをそこに示す。容易に理解できるように、デキサメタゾンの除去は最も 劇的な影響をもたらし、次にニコチンアミドの除去が続く。表VI Bでは、1 4日で達成された細胞の成長を、ダイフェリックトランスフェリン(鉄飽和)を 含むHBM培地と鉄不飽和トランスフェリンのものとの間で比較する。鉄含有ダ イフェリックトランスフェリン(30%飽和)の添加は、成長を促進するのに、 より有効であることがわかった。不飽和トランスフェリンへの元素鉄(FeSO4 、0.1μM)の添加は差を克服することはできなかった。表VI Cは、H BM培地中でのD−グルコース、D−ガラクトース、およびL−オルニチンの相 対的な効果についての情報を提供する。これら3種類の全ての成分は細胞に対し てエネルギーのポテンシャル源(potential sources)である。3種類の全ての 成分を除去したとき、成長の完全な中断が見られた。D−グルコース単独の添加 は応答(response)のほとんどを回復させたが、D−ガラクトース単独の添加で は効果は少なかった。オルニチン単独では最小の効果がもたらされた。アルブミ ンおよびD−グルコースそれぞれの濃度はリットルあたり2gが最適であること がわかったが、効果はそれぞれの場合でリットルあたり1または3gと統計学上 異なっていなかった。これらの成分の完全除去の影響を表IV Aに示す。 肝細胞はHGF/SF、EGF、およびTGFαの影響下で散発的に (Diffusely)増殖にはいる 図1Aおよび1Bは、μgDNAあたりのチミジンの取り込みと、HGF/S FおよびEGF(それぞれ40、20ng/ml)存在下での細胞成長における 様々な培養日数でのBRdU核標識指数を示す。認識できるように、増殖のほと んどが5〜12日で起こる。15日までに培養はコンフルーエント(confl uent)となり、DNA合成は減速した。持続性増殖の期間中における高い核 標識指数は、増殖細胞は直接的に成熟肝細胞に由来することを示す。 成長因子HGF/SF、EGF、TGFα、KGF(角質細胞成長因子)、S CF(幹細胞因子)、およびaFGF(酸性繊維芽細胞成長因子)を個々にHB M培地に添加した。添加された成長因子の中で、HGF/SF、EGF、および TGFα(図2において「TGFa」と示す)は、15日での培養あたりの全D NA量によって示されるように、有意な細胞増殖を引き起こした。KGF、aF GF、およびSCFは、単独でまたは組み合わせて添加されたとき、図2に示す ように増殖効果を有さなかった。TGFαは、HBM培地に単独で添加されたと き、他のいかなるマイトジェンより強い増殖効果を有した。HGF/SFおよび EGF同時は、他のいかなる単一マイトジェンまたは組み合わせが有していたの より、連続15日の与えられた期間で最も強い増殖効果を有した。全ての成長因 子の同時添加は、図2でわかるように、組み合わされたHGF/SFおよびEG Fより優れた効果はなかった。HGF/SFおよびEGF単独またはこれらの組 み合わせによって推論される詳細な細胞速度論(detailed cell kinetics)を図 1Cに示す。培養あたりの全DNAを培養時間の関数として示す。15日での最 も大きなDNA蓄積量がHGF/SFおよびEGFの組み合わせで見られた。1 5日での培養あたりのDNAは時間0でのそれの12倍であり、細胞数の増加を 示している。HGF/SFおよびEGFはおよそ等しい効力があった。TGFα 単独は、HGF/SFまたはEGFいずれか単独より良好なマイトジェンであっ た。マトリックス基質の効果 いくつかのマトリックス基質がこの系において細胞成長を促進した。ラット肝 細胞を、HGF/SF(40ng/ml)およびEGF(20ng/ml)で補 足されたHBM中で15日間、培養し、図3で示されるような様々なマトリック スで成長させた。細胞を上述のようにして培養した。コラーゲンタイプIV(マ ウス)、タイプI(ウシ)、フィブロネクチン、およびラミニンでのドライコー ティングは、15日での培養あたりの全DNAの測定によりアッセイされるよう に、細胞成長の促進に同様に有効であった。ECL(EHSゲルの市販の誘導体 、UBI)でのドライコーティングは優れた効果があった。タイプIコラーゲン (ビトロゲン(Vitrogen)市販の調製)でのコーティングは、特記しない限り、 実験で採用される標準的な方法であった。これらの培養において特定の表現型転 化(specific phenotypic conversions)を促進するときのマトリックスゲルの 効果をさらに以下で検討する。増殖中における肝細胞の表現型変化(Phenotypic Changes) (40ng/ml HGF/SFおよび20ng/ml EGFで補足された 上述のようなHBMで培養された)増殖細胞のモルホロジー(morphology)は細 胞増殖の刺激後、様々な時間で変化した。ミケロポーラス(Michalopoulos)、 G.K.等、ジェイ・セル・フィジオロJ .Cell.Physiol.156:443 (1993)で記載されているように、図4Bで見られる肝細胞でのHGF/S Fの「分散(scattering)」効果によるものとして一般的に記載される表現型と仮 定して、図4Aで示される正常肝細胞モルホロジーから、はじめの4日での増殖 細胞は長い突起部を得た。ここでその開示を参考文献として引用する。6日と8 日の間において、増殖細胞はほとんどの細胞質顆粒を喪失し、核はより少なく突 出するようになり、突起部は縮小し、細胞は単層パッチ(monolayer patches) として成長しはじめた。ついには、細胞として合体されたこれらのパッチは成長 し続 け、図4Cに見られるような連続単層を形成した。図4Dおよび4Eで見られる 電子顕微鏡観察による試験は、成熟肝細胞を象徴する特色のほとんどが欠けてい ることを示した。15日までに、ミトコンドリア周辺を包む小胞体のラマラエ( lamallae)はなく、グリコーゲンロゼットまたはペルオキシソームはなかった。 毛細胆管はなかった。ケラチン中間フィラメント(keratin intermediate filam ents)の束の突出した増加があった。核は非常に突出した核小体で角張っていた (angular)。コンフルーエンシー(confluency)の後、モルホロジーは、図6 Bおよび6Cにおいてと同様に、小胞体ラマラエ、ミトコンドリア、グリコーゲ ン、ペルオキシソーム、毛細胆管等を有する成熟分化肝細胞(maturedifferenti ated hepatocytes)に徐々に戻った。 増殖ラット肝細胞のクローン成長(clonal growth)を図4Fおよび4Gに図 示する。肝細胞を培養3日にウイルスLTRの影響下で、ラック(lac)−Z 遺伝子を含む複製−欠失性レトロウイルスで形質移入し、β−ガラクトシダーゼ の発現のために染色した。図4Fでわかるように、培養4日(形質移入後、1日 )では単細胞は大抵、染色陽性であった。一方で、10日での染色および28日 までの継続は、図4Gでわかるように、はじめの形質移入された肝細胞のクロー ン成長と矛盾することなく、染色陽性の肝細胞のパッチ(patches)を示した。 ラック−Z−陽性細胞(lac-Z-positive cells)の割合(〜20%)は培養中、 変化しなかったらしい。増殖肝細胞は変化されたレベルの様々な遺伝子を発現する いくつかの特定の遺伝子の発現を増殖肝細胞においてアッセイした。これらに は、肝細胞分化に関与するmRNA遺伝子(アルブミン、シトクロムIIBI( 図5AにおいてP450と表示されている))、サイトケラチンマーカーをコー ドする遺伝子(サイトケラチン14,18、および19)、または肝細胞成長に 関係する遺伝子(ウロキナーゼ(uPA)、HGF/SFおよびそのレセプター c−met(図5AにおいてMETと表示されている)、EGF(EGFRと表 示されている)およびTGFαおよびそれらのレセプター、酸性FGFおよびそ のレセプター、ならびにTGFβ1)が含まれていた。混合されたHGF/SF (40ng/ml)およびEGF(20ng/ml)(図5Aおよび5B)ま たはTGFα単独(20ng/ml)(データは示さない)いずれかの存在下で 成長された培養からのRNAのノーザン・ブロット分析によって上記遺伝子を研 究した。0日、6日、10日、15日、および21日に、培養から全RNAを単 離した。試験されたいかなる時点においても、HGF/SFまたはTGFβ1m RNAの発現は見られなかった。 認識され得るように、時間0においてアルブミンおよびシトクロムIIBIm RNAは存在し、その後減少した。アルブミンmRNAは、αフェトプロテイン (AFP)のmRNAが同様に検出される21日までに増加した。サイトケラチ ン、14、18、および19のためのmRNAは培養中、増加した。aFGFお よびTGFαのためのmRNAにおいては、安定した増加があった。HGF/S Fのためのレセプター(MET、図5A)およびaFGF(図5B aFGFR )のmRNAは培養時間中ずっと存在したままであった。EGFレセプター(E GFR)mRNAは0日から減衰したが、発現は維持された。参考「ハウスキー ピング」遺伝子としてGAPDH mRNAを用いた。ウロキナーゼならびにサ イトケラチン14および19の発現において劇的な増加が認められた。HGF/ SFおよびEGFの代わりにTGFα(20.0ng/ml)の存在下で維持さ れる培養において、上記のパターンとのいくつかの違いが見られた。これらの培 養においてアルブミン発現およびHGF/SFレセプターの発現は増殖中、より 良好に維持されたが、AFPはより早く現れた。(データは示さない)いったん コンフルーエンシー(confluency)が達成されれば、遺伝子発現パターンにおい て観察された差異にかかわらず、TGFαまたはHGF/SFプラスEGFの存 在下で成長する細胞間で形態学上の差異は見られなかった。増殖肝細胞はマトリゲルの影響下または非実質細胞(Nonparenchymal Cells)存 在下または培養時間によって成熟肝細胞に戻る マトリゲルで8日に培養を覆うと、迅速な(2日以内の)毛細胆管の出現およ び線状構造(cord-like structures)への細胞の編成(organization)があった 。これらの細胞の特徴を図6Aに示す。図6Bおよび6Cで電子顕微鏡観察によ り示されるように、これらの細胞は成熟肝細胞の典型的なマーカーを有し、ミト コンドリア、毛細胆管、およびグリコーゲンの存在(presence)の周辺での小胞 体 の包みがみられた。マトリゲルに10日間(培養において8日から18日)曝露 された培養からmRNAを調製した。アルブミンの発現を図6Dに示すように、 培養0日(コラゲナーゼ潅流後すぐ)、培養8日(マトリゲルで覆う前)、およ びマトリゲルで覆った後3日および7日の間で比較した。アルブミンmRNAの 発現が最小に検出可能なコントロール増殖培養と比較して、マトリゲルの添加は 、アルブミンmRNAの発現の劇的な増加をもたらした。マトリゲル処理培養に おけるシトクロムP450 IIB1 mRNAのレベルについてのフェノバル ビトール(Phenobarbitol)(PB)の効果も図6Eに示すようにして測定した 。マトリゲルを8日に培養に添加した。PBを2日後(培養10日)に添加した 。PBの添加後5日(培養15日)で細胞を得た。マトリゲル処理培養において だけPBの添加はシトクロムIIB1 mRNAを誘導した。フェノバルビトー ルによるこのmRNAの誘導は肝細胞の象徴であり、ミケロポーラス(Michalop oulos)、G.等、サイエンス(ワシントンDC193:907(1976) によって報告されたように、他のいかなる細胞においても起こらない。ここでそ の開示を参考文献として引用する。典型的には、肝細胞培養は急速にPBに対す る応答能を失う。図6Bおよび6Cで示される電子顕微鏡観察による構造によっ てわかるように、この結果は、増殖肝細胞の培地へのマトリゲルの添加は成熟肝 細胞表現型を誘導するという証拠を支持している。サイトケラチン19(CK1 9)(図6F)の発現について、種々の条件を導入する前に増殖肝細胞によって 発現される総胆管マーカー(bile duct marker)はまた、図5Bでわかるように 、マトリゲルの添加後に発現をやめた。 マトリゲルに曝露された培養においてDNA合成を測定したところ、本質的な 減少があった。熟成肝細胞モルホロジーへの分化(differentiation)がDNA 合成を必要としたかどうかを評価するために、20mMヒドロキシ尿素をHBM 培地に添加した。これは示されており(ミケロポーラス(Michalopoulos)、G .K.等、カンサー・レス(Cancer Res.38:1866(1978)、ここ でその開示を参考文献として引用する。)、リボヌクレオチドレダクターゼを阻 害することにより肝細胞における予定された半保存的DNA合成を撤廃する。マ ドリーゲルで覆う前にヒドロキシ尿素を培養に添加し、次の5日間を通して維持 し た。DNA合成は、マトリゲルの不存在下で維持される増殖培養においてはコン トロール(ヒドロキシ尿素なし)の3.93%に減少し、マトリゲルの存在下で 維持される培養においてはコントロール(ヒドロキシ尿素なし)の6.27%に 減少した。DNA合成はコントロール(+マトリゲル、ヒドロキシ尿素なし)レ ベルの6.27%に減少したが、成熟肝細胞モルホロジーへの増殖肝細胞の転化 (conversion)は全く影響されず、完全な集団を伴った。HGF/SF(TGFαまたはEGFはない)は増殖肝細胞を誘導し、タイプI コラーゲンゲル中、管状/粒状(Ductular/Acinar)構造に分化する 2層のコラーゲンゲル層の間で維持された肝細胞は、ミケロポーラス(Michal opoulos)、G.K.等、ジェイ・セル・フィジオロJ .Cell.Physiol.15 :443(1993)で記載されているように、長時間(prolonged time per iods)、そのモルホロジーおよび分化を保持する。ここでその開示を参考文献と して引用する。HGF/SFを含む従来からの培地での培養でコラーゲンゲルサ ンドイッチ中で維持される肝細胞は激しく増殖し、突出した突起部を形成し、つ いに肝平板培養(hepatic plates)を暗示する構造を編成した。前述のように2 層のコラーゲンゲルの間で維持された肝細胞のふるまいを試験したが、上述のよ うにHGF/SFまたはEGFいずれかで補足されたHBMの存在下であった。 EGF補足培地において肝細胞が上述のように典型的なトランジションを受けた ことが注目された。一方で、HGF/SF単独で補足されたHBM中の肝細胞に おいては、上述された増殖肝細胞と外観が同じ細胞の増殖後、10日と15日と の間で多様な管状構造(multiple ductshaped structures)が現れた。これらは 突出してきて、培養において存在するほとんどの細胞を取り囲んだ。およそ10 日からはじまって、15日までに、培養におけるほとんどの細胞が上記の管状構 造に配列された。これらの構造の外観を図7Aに示す。組織構造の断面を図7B (光学顕微鏡)および図7Cおよび7D(電子顕微鏡)に示す。構造は管状また は粒状のコンフィギュレーションを有していた。これらの構造を囲んでいるいく つかの細胞は非常に細まっており、総肝管上皮と同様の光学および電子顕微鏡観 察による外観を有していた。しかしながら他の細胞はより大きく、イン・ビボモ デルでの先の研究において述べた管状肝細胞とよ り密接に類似している。コラーゲンゲルサンドイッチでのEGFまたはHGF/ SFいずれかの下における細胞の増殖(データは示さない)は、乾燥コラーゲン で被覆されたプラスチック上での培養において見られる増殖より、ずっと少なか った(最も高いピークにおいて<25%)。最も多い増殖は10日までに終わり 、細胞増殖が終わった後(10日から15日)管状様構造(duct-like structur es)が現れた。HGF/SFおよびEGFを組み合わせたとき、これらの培養に おいて管状粒状構造が注目されたが、HGF/SF単独の場合より少なかった。 マトリゲルで覆ったとき、DNA合成を阻害するためのヒドロキシ尿素の添加( 阻害はコントロールの5.1%まで低下させる)は管状構造の形成に影響を及ぼ さなかった(データは示さない)。図7Eは、これらの細胞は管細胞(duct cel ls)の特徴であるサイトケラチン19を発現することを示す。(シリカ(Sirica )、A.E.、プログ・リバー・ディスProg .Liver Dis.10:63(19 92)およびシリカ(Sirica)、A.E.、ヒストロ・ヒストパソルHistol Histopathol10:433(1995)参照、ここでその開示を参考文献とし て引用する。)図7Dで見られる管状構造内での肝細胞様細胞(hepatocyte-lik e cells)の存在と矛盾せず、少量のアルブミン発現も保持された。この総肝管 マーカーの発現をとめる成熟肝細胞由来物(mature hepatocyte lineage)に向 かって分化する細胞と対照的に、管状細胞は非増殖状態(nonproliferating sta te)においてCK19発現を維持することが注目される(図7F)。HGM中、HGF/SFおよびEGFの存在下、ヒト肝細胞の持続性成長および 集団増殖(Population Expansion) ヒト肝細胞培養はラットのものほど広く特質を明らかにされていないが、入手 可能な文献では、これらの細胞もまた、成長因子による刺激後に制限された範囲 のDNA合成を受け、培養において急速に退化することが示されている。イスマ イル(Ismail)、T.等、ヘパトロジーHepatology14:1076(199 1)を参照せよ。ここでその開示を参考文献として引用する。HBM培地中、H GF/SF(40ng/ml)およびEGF(20ng/ml)に対するヒト肝 細胞の応答を研究した。図8でわかるように、ラット肝細胞で記述されたのと同 様の結果がヒト肝細胞の一次培養においてえられた。ヒト細胞は培養3〜4日で 急速に増殖しはじめ、19日までにコンフルーエンシーに達する。 上述したように、イン・ビトロで培養される肝細胞を細胞集団として増殖させ る培地の必要性がある。本発明のHBMはかかる増殖を可能にし、このため、さ らに必要とされる増殖肝細胞の研究を可能にする。本発明は以下で概説される多 くの他の適用においても有用である。 例えば、転移遺伝子(transferred genes)の安定な長期の発現を達成する肝 臓−標的遺伝子治療における現在の全ての方法は、初期の形質移入中、積極的に 分裂する細胞を必要とする。正常肝臓は、任意の特定の日におけるS段階成長に おいて20,000肝細胞中、1つしか有さない。細胞増殖を増大させるために 、患者の肝臓の大部分(2/3)を切除しなければならない。その後、肝臓−標 的遺伝子キャリア源を血管内に注射する。この激しい手段の代わりに採りうる方 法は、少量の肝臓(10%)を切除し、肝細胞を培養し、培養においてそれらを 形質移入した後、細胞を肝臓に再注輸することである。この後者の方法は前者の 方法より安全で、高価でなく、うまく制御されるが、長期の増殖(prolonged pr oliferation)、本質的に全ての培養細胞のクローン増殖、および細胞の長期間 の生存力を可能にするHBMのような培養培地の不足によって現在、妨げられて いる。 細胞成分を含む生物人為的肝臓組織(bioartificial liver tissue)に基づく 現在の体外肝臓装置のデザインは形質転換(腫瘍)肝細胞または動物肝細胞に頼 っている。動物細胞は、使用されるバイオリアクターにおいてわずかな日数以上 は生き残らず、増殖しないため、より頻繁に、かつきわめて接近してバイオリア クターを発生させ、必要を見越して全ての必要な設備、材料および動物ドナーを 維持することが必要とされる。さらに動物細胞は、臨床的にそれらの使用を困難 にするか、または危険にするいくつかの好ましくない面を有するかもしれない。 また、これらの装置で用いられる腫瘍細胞は患者への細胞の漏出の危険を伴うた め、潜在的に患者に腫瘍を起こし得る。本発明のHBM培地は動物および/また はヒト肝細胞および/または他の細胞を含むバイオリアクターの生産を可能にし 、細胞数を増加させつつ、一方で長期間の生存力と完全な分化を維持するという 独 特の特性を提供する。かかるリアクターはまた、薬剤製造、薬物代謝、毒物学研 究、および複合生物学研究(complex biological studies)に有用である。 本発明のHBM培地の別の可能な使用は肝細胞の自己移植(aoutotransplanta tion)においてである。肝細胞移植は末期(endstage)肝疾患患者を処置するの に比較的新規なアプローチである。方法は、臓器移植に用いられないドナー臓器 の使用に頼る。自己移植には免疫抑制性薬剤を必要としないという利点があるが 、細胞の数を拡大し、細胞をドナーに戻すのに充分に長く生存を維持することが できなければ、実用的でない。末期肝臓移植片はまた、選択された条件下、例え ば、被包形成(encapsulation)および遺伝子操作で、ドナー肝細胞源を提供で きるだろう。肝細胞の源に関係なく、長期の培養および再移植(replantation) (脾臓、門脈系、ペリトニウム(peritonium)、腎被膜等へ)における細胞数の 拡大は有効な肝合成的および解毒的処理を長期間促進する。限定的な点は肝細胞 が不足することである。HBMは細胞の上記不足を排除する可能性を有し、これ によって、肝不全を治療され得る患者の数を劇的に拡大する。同様に、本発明の 培地における他の細胞成長での自己移植またはヘテロ移植は、生物細胞治療(bi ocellular therapies)可能な患者や処置の数を拡大し得る。 本発明のHBMはまた、薬物および化学薬品の試験行為にも有用であり得る。 実質的に全ての薬物、化学薬品、および他の製造生成物は、FDA、USDA、 NIOSHおよびEPA規制の一部分として、肝細胞培養における変異誘発性お よび毒性について試験されなければならない。現在、長期生存力または有意な増 殖の不足のため、上記の試験は短期培養におけるラット肝細胞で行われている。 HBMの使用は、(1)試験期間を拡大し(長期生存力)、(2)より低い濃度 での、より長期の曝露を可能にし、(3)増殖肝細胞での変異誘発性および毒性 の観察を可能にし、(4)他の毒物学的調査で使用され得るヒト肝細胞の供給を 役立たせるだろう。 本発明は説明することを目的として詳述されているが、上記の詳述は単にその 目的のためだけであること、および請求項によって制限される場合を除いて、本 発明の趣旨および範囲から離れなければ、変形は当該分野の当業者によってその 場で行われ得ることは理解され得る。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年4月13日(1998.4.13) 【補正内容】 請求の範囲 1.培養に導入された生細胞の総数よりも培養中に細胞総数を増加させるに十 分な量で、ニコチンアミド、鉄キレート化トランスフェリン、インシュリンある いはインシュリン様成長因子、糖質コルチコイドステロイド、微量金属、グルコ ースおよびガラクトースからなるグループから選択される炭水化物、アルギニン 、プロリン、およびグルタミンを含有する、 血清が含まれていなくてもインビトロで肝細胞を増殖することができる細胞培養 培地。 2.(a)哺乳類細胞培養用の保存基礎培地;および (b)ニコチンアミド、鉄キレート化トランスフェリン、インシュリンあるい はインシュリン様成長因子、糖質コルチコイドステロイド、微量金属、グルコー スおよびガラクトースからなるグループから選択される炭水化物、アルギニン、 プロリン、およびグルタミン;但し、それらのいずれかの物質が、培養に導入さ れた生細胞の総数よりも培養中に細胞総数を増加させるに十分な量で保存基礎培 地に含有されていないとき; からなる、血清が含まれていなくてもインビトロで肝細胞を増殖することができ る細胞培養培地。 3.クレイム1またはクレイム2の細胞培養培地にさらに1以上の成長因子を 添加してなり、該成長因子は該細胞に対してマイトジェンとして機能するクレイ ム1またはクレイム2記載の培養培地。 4.さらに以下のもの1以上を含有するクレイム1記載の細胞培養培地; 細胞に対してマイトジェンとして機能する成長因子;アルブミン、0−10g/ L;ピルビン酸ナトリウム、0−2.0g/L;ガンマトコフェロール、0−3 .5mg/L;アルファトコフェロール、0−2.5mg/L;ビタミンD3, 0−1.8mg/L;デキストラン、0−5.0g/L;リノレン酸、0−5. 0G/L;アポートランスフェリン、0−20.0mg/Lおよび鉄グルコネー ト、0−100μg/L;レチノール、0−2.0mg/L、ビタミンB12、0 −2.0mg/L;アスコルビン酸、0−10.0mg/L;塩化コリン、0. 2 −12.5mg/L;ビオチン、0.2−15.0mg/L。 5.さらに以下のものを1以上含有するクレイム2記載の細胞培養培地; 細胞に対してマイトジェンとして機能する成長因子;アルブミン、2.0g/L ;ピルビン酸ナトリウム、0.15g/L;ガンマトコフェロール、0.35m g/L;アルファトコフェロール、0.15mg/L;ビタミンD3,0.20 mg/L;デキストラン、2.0g/L;リノレン酸、1.0g/L;アポート ランスフェリン、5.0mg/Lおよび鉄グルコネート、25.0μg/L;レ チノール、0.05mg/L、ビタミンB12、0.15mg/L;アスコルビン 酸、3.0mg/L;塩化コリン、1.5mg/L;ビオチン、0.75mg/ L。 6.1以上の添加成長因子が、肝細胞成長因子、上皮成長因子、および形質転 換成長因子アルファからなるグループから選択されるクレイム3の培養培地。 7.該保存基礎培地が、DMEM、MEM,ウィリアムズメディア(Williams ’Media)E、BME、DMEM/F−12、メディア(media)199、F-12(ハ ム)(Ham)ニュートリエント・ミクスチャー(Nutrient Mixture)、F-10( ハム)ニュートリエント・ミクスチャー、およびRPMIメディア1640から なるグループから選択されるクレイム2の培養培地。 8.基礎培地がDMEMであるクレイム7の培養培地。 9.DMEMが2.0g/LのD−グルコースを含有するクレイム8の培養培地 。 10.微量金属が亜鉛、マンガン、銅、およびセレンからなるクレイム1また はクレイム2いずれかの培養培地。 11.微量金属がさらにZnCl2、ZnSO4、およびCuSO4を含有する クレイム10の培養培地。 12.糖質コルチコイドステロイドが、コルチゾル、プレドニゾン、プレドニ ソォン(prednisolone)、およびヒドロコルチゾン等のコルチゾル誘導体、およ びデキサメタゾンからなるグループから選択されるクレイム1またはクレイム2 いずれかの培養培地。 13.以下の成分を有する保存基礎培地からなる、インビトロで肝細胞を増殖 可能な細胞培養培地;CaCl2(無水)、200.00mg/L;Fe(NO3 )・9H2O、0.10mg/L;KCl、400mg/L;MgSO4(無水 )、97.67mg/L;NaCl、6400.00mg/L;NaHCO3、 3700.00mg/L;NaH2PO4・H2O、125.00mg/L;L−シ スチン・2HCl、63.00mg/L;グリシン、30.00mg/L;、L −ヒスチジン・HCl・H2O、42.00mg/L;L−イソロイシン、105 .00mg/L;L−ロイシン、105.00mg/L;L−リジン・HCl、 146.00mg/L;L−メチオニン、30.00mg/L;L−フェニルア ラニン、66.00mg/L;L−セリン、42.00mg/L;L−トレオニ ン、95.00mg/L;L−トリプトファン、16.00mg/L;L−チロ シン・2Na・2H2O、104.00mg/L;L−バリン、94.00mg/ L;D−Caパントテン酸塩、4.00mg/L;コリンクロライド、4.00 mg/L;葉酸、4.00mg/L;i−イノシトール、7.20mg/L;ピ リドキシンHCl、4.00mg/L;ピリドキサールHCl、4.00mg/ L;リボフラビン、0.40mg/L;チアミン・HCl、4.00mg/L; D−ガラクトース、0.01−5.0g/L;D−グルコース、0.01−5. 0g/L;ニコチンアミド、1−3050mg/L;L−プロリン、1−120 mg/L;L−アルギニン、1−150mg/L;L−オルニチン、1−500 mg/L;ヒト−ホロートランスフェリン(30%鉄飽和)、0.1−100m g/L;h−インシュリン、10-11Mを超える;デキサメタゾン、10-12−1 0-13M;ZnCl2、1−3000μg/L、MnSO4、1−250μg/L 、ZnSO4・7H2O、1−3000μg/L;CuSO4・5H2O、1−100 0Iμg/L;セレン、1−150μg/L;L−グルタミン、2.0−10. 0mM;HEPES、5−50mM。 14.次の成分を特定量含むクレイム11の培養培地:精製ウシアルブミン; D−グルコース、2.0g/L;D−ガラクトース、2.0g/L;L−オルニ チン、0.1g/L;L−プロリン、0.030g/L;ニコチンアミド、0. 610g/L;ZnCl2、0.544mg/L、ZnSO4・7H2O、0.750 mg/L;CuSO4・5H2O、0.20mg/L;MnSO4、0.025mg /L;グルタミン、5.0mM;ITS(rh−インシュリン、5.0m g/L;ヒトトランスフェリン、5.0mg/L(30%第2鉄(diferric) 鉄飽和);セレン、5.0μg/L)、デキサメタゾン、10-7M;およびHEP ESバッファー、20.0mM。 15.液体に添加されるとクレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培 地を形成する成分の混合物。 16.乾燥成分を液体に添加し培養培地を形成することからなる、クレイム1 またはクレイム2いずれかの細胞培養培地の製造方法。 17.クレイム1またはクレイム2いずれかの培養培地中に肝細胞を含有する 素生物。 18.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に肝細胞を導入 すること、および該培地中で導入した肝細胞を培養することからなる、インビト ロで肝細胞を増殖する方法。 19.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に肝細胞を導入 すること、そして該培地中で肝細胞を培養することにより細胞増殖をおこすこと からなる、インビトロで肝細胞を増殖する方法。 20.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に肝細胞を導入 すること、細胞増殖がおこるように該培地中で導入した肝細胞を培養すること、 導入した肝細胞よりも分化の少ない細胞を製造するのに十分な時間細胞増殖させ ることからなる、インビトロで肝細胞の表現型をより分化の少ない状態に修飾す る方法。 21.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に肝細胞を導入 すること、十分な時間細胞増殖をおこらしめより分化の少ない段階まで肝細胞を 培養すること、そしてこのより分化の少ない細胞に導入細胞の特性を発生せしめ ることからなり、この肝細胞特性の発生が、細胞外マトリックス(matrix)物質を 添加することおよびより分化の少ない細胞をコンフルーエンス(confluence)に 達せしめることことからなるグループから選択される方法によって成し遂げられ ることを特徴とするるインビトロで肝細胞を製造する方法。 22.該マトリックスがフィブロネクチン、コラーゲン、ラミニンおよびポリ リジンの1以上からなるクレイム21の方法。 23.該マトリックスがエンタクチン(entactin)、ラミニン、およびコラーゲ ン型IVからなるクレイム21の方法。 24.クレイム1またはクレイム2いずれかの培地中に肝細胞を導入すること 、そして該培地中で肝細胞を培養することにより細胞増殖およびクローン成長を おこすことからなるインビトロで肝細胞誘導細胞のクローン成長を生ぜしめる方 法。 25.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に肝細胞を導入 すること、十分な時間細胞増殖をさせることによりより分化の少ない段階まで該 肝細胞を培養すること、そしてこのより分化の少ない細胞に導入肝細胞の特性を 発生せしめることからなり、マトリックスが、該マトリックス上の細胞に1以上 の成長因子を添加することにより該特性および該構造が形成されるように使用さ れることを特徴とする、 インビトロで肝細胞から小管状または細葉構造を形成する方法。 26.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に細胞を導入す ること、そして該培地中で細胞を培養することからなり、該細胞が膵島細胞、尿 細管細胞、肝周皮細胞、および小腸上皮細胞からなるグループから選択されるこ とを特徴とする、インビトロで細胞を増殖する方法。 27.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に細胞を導入す ること、該培地中で該細胞を培養することにより細胞増殖を生ぜしめることから なり、該細胞が膵島細胞、尿細管細胞、肝周皮細胞、および小腸上皮細胞からな るグループから選択されることを特徴とする、インビトロで細胞を増殖する方法 。 28.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に細胞を導入す ること、細胞増殖がおこるように該培地中で導入した細胞を培養すること、導入 した細胞よりも分化の少ない細胞を製造するのに十分な時間細胞増殖させておく ことからなり、該細胞が膵島細胞、尿細管細胞、肝周皮細胞、および小腸上皮細 胞からなるグループから選択されることを特徴とする、インビトロで細胞の表現 型をより分化の少ない状態に修飾する方法。 29.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に細胞を導入す ること、十分な時間細胞増殖をおこらしめより分化の少ない段階まで細胞を培養 すること、そしてこのより分化の少ない細胞に導入細胞の特性を発生せしめるこ とからなり、この細胞特性の発生が、細胞外マトリックス物質を添加することお よびより分化の少ない細胞をコンフルーエンス(confluence)に達せしめること ことからなるグループから選択される方法によって成し遂げられ、該細胞が膵島 細胞、尿細管細胞、肝周皮細胞、および小腸上皮細胞からなるグループから選択 されることを特徴とする、インビトロで細胞を製造する方法。 30.クレイム1またはクレイム2いずれかの培地中に細胞を導入すること、 そして該培地中で細胞を培養することにより細胞増殖およびクローン成長をおこ すことからなり、該細胞が膵島細胞、尿細管細胞、肝周皮細胞、および小腸上皮 細胞からなるグループから選択されることを特徴とする、インビトロで細胞誘導 細胞のクローン成長を生ぜしめる方法。 31.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に細胞を導入す ること、そして該培地中で細胞を培養することからなり、該細胞がMRC5、C aCoおよび3T3セルラインからなるグループから選択されることを特徴とす る、インビトロで細胞を増殖する方法。 32.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中に細胞を導入す ること、該培地中で該細胞を培養することにより細胞増殖を生ぜしめることから なり、該細胞がMRC5、CaCoおよび3T3セルラインからなるグループか ら選択されることを特徴とする、インビトロで細胞を増殖する方法。 33.クレイム1またはクレイム2いずれかの培地中に細胞を導入すること、 そして該培地中で細胞を培養することにより細胞増殖およびクローン成長をおこ すことからなり、該細胞がMRC5、CaCoおよび3T3セルラインからなる グループから選択されることを特徴とする、インビトロで細胞誘導細胞のクロー ン成長を生ぜしめる方法。 34.クレイム18の方法で製造された細胞。 35.クレイム34の細胞からなる薬剤組成物。 36.細胞中で遺伝子を発現することができる核酸でクレイム34のいずれか の細胞を形質転換することからなる、異種遺伝子を発現する組換え細胞を製造す る方法。 37.細胞を患者に注入すること、および遺伝子を発現せしめること、かなら るクレイム36の細胞を使用する方法。 38.細胞を患者に注入すること、かならるクレイム34の細胞を使用する方 法。 39.クレイム18の肝細胞を患者に導入すること、からなる肝細胞移植方法 。 40.クレイム36の細胞を培養すること、遺伝子生成物を回収することから なる、遺伝子生成物の製造方法。 41.クレイム34のいずれかの細胞に薬剤を導入すること、および該薬剤の 効果を検定することからなる、薬剤試験方法。 42.アルギニンおよび鉄キレート化トランスフェリンからなる肝細胞培養培 地。 43.クレイム1またはクレイム2いずれかの細胞培養培地中で肝細胞を培養 することからなる、分化肝細胞を維持する方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,G B,GE,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP ,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU, LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI ,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ, VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳類肝細胞の維持、分化、および長期成長のための、化学的に明確にされ たHBM培養培地であって、 (a)哺乳類細胞培養のために設計された合成保存基礎培地;および (b)肝細胞成長促進量の、ニコチンアミド、アミノ酸、トランスフェリン、 ホルモン、デキサメタゾン、微量金属、およびD−グルコースおよびD−ガラク トースからなる群から選択される単純炭水化物から選択される成分およびそれら の組み合わせ を含むHBM培養培地。 2.さらに緩衝剤を含む請求項1に記載のHBM培養培地。 3.緩衝剤がHEPESである請求項2に記載のHBM培養培地。 4.さらに抗生物質を含む請求項2に記載のHBM培養培地。 5.抗生物質がペニシリンおよびストレプトマイシンならびにそれらの組み合わ せからなる群から選択される請求項4に記載のHBM培養培地。 6.さらにアルブミンを含む請求項4に記載のHBM培養培地。 7.アルブミンがウシ血清アルブミン、ヒトアルブミン、ラットアルブミン、ブ タアルブミン、およびウマアルブミンからなる群から選択される請求項6に記載 のHBM培養培地。 8.合成保存基礎培地がDMEM、MEM、ウィリアムズ・メディアE、BME 、DMEM/F−12、メディア199、F−12(ハム(Ham))ニュート リエント・ミクスチャー(Nutrient Mixture)、F−10(ハム(Ham))ニ ュートリエント・ミクスチャー、およびRPMIメディア1640からなる群か ら選択される請求項1に記載のHBM培養培地。 9.アミノ酸がL−グルタミン、L−オルニチン、L−プロリン、およびL−ア ルギニンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載 のHBM培養培地。 10.微量金属は亜鉛、マンガン、銅、およびセレンを含む請求項1に記載のH BM培養培地。 11.微量金属はさらに、ZnCl2、ZnSO4・7H2O、MnSO4、CuS O4・5H2O、およびNaSeSO4を含む請求項1に記載のHBM培養培地。 12.トランスフェリンが、鉄で30%飽和されたホロートランスフェリンおよ びグルコン酸第一鉄と組み合わせたアポートランスフェリンからなる群から選択 される請求項1に記載のHBM培養培地。 13.ホルモンがインスリンおよびデキサメタゾンを含む請求項1に記載のHB M培養培地。 14.合成基礎培地がDMEMである請求項1に記載の培地。 15.DMEMが約0.1〜5.0g/L、好ましくは約2.0g/LのD−グ ルコースを含む請求項14に記載の培地。 16.肝細胞成長促進量の成長因子をさらに含む請求項1に記載のHBM培養培 地。 17.成長因子がHGF/SF、EGF、およびTGFαからなる群から選択さ れる請求項16に記載のHBM培養培地。 18.肝細胞成長促進量の成長因子をさらに含む請求項6に記載のHBM培養培 地。 19.成長因子がHGF/SF、EGF、およびTGFαからなる群から選択さ れる請求項18に記載のHBM培養培地。 20.表IおよびIIで記載されるようなHGMの組成からなる哺乳類細胞培地 であって、表Iの保存基礎培地は、D−グルコースの最終濃度が好ましくは約2 .0g/Lであり、D−ガラクトースの量が好ましくは約2.0g/Lであるよ うに、ブレンドDMEMを含む哺乳類細胞培養培地。 21.表IIIに列挙された成分をさらに含む請求項20に記載の培養培地。 22.肝細胞成長促進量の成長因子をさらに含む請求項20に記載の培養培地。 23.成長因子がHGF/SF、EGF、およびTGFαからなる群から選択さ れる請求項22に記載の培養培地。 24.肝細胞成長促進量の成長因子をさらに含む請求項21に記載の培養培地。 25.成長因子がHGF/SF、EGF、およびTGFαからなる群から選択さ れる請求項24に記載の培養培地。
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