【発明の詳細な説明】
シュウ酸を検出するための物質および方法
本発明は、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)により付与
された助成金第5PO1DK20586号の下、政府の支援を受けて成された。政府は、本
発明において一定の権利を有する。
発明の背景
尿中のシュウ酸濃度は、腎臓結石形成(腎石症)の素因がある患者における重
要な危険因子である。シュウ酸濃度は、尿石症および原発性シュウ酸過剰尿症の
診断にも使用される(Thun et al.,1991)。シュウ酸の尿中排泄の正常な範囲は
、約0.5から1.5mM/dlである(Smith,1991)。尿中シュウ酸レベルを測定するた
めの従来の方法の大部分は、溶媒抽出、分光測光、または高速クロマトグラフィ
ーなどの、費用および時間を多く要する手法に頼っており、従って、臨床の場面
における実用的な有用性はほとんどない。
米国特許第4,455,371号(Richardson and Obzansky)は、シュウ酸のアッセイ
法において使用されるシュウ酸オキシダーゼ組成物を開示している。シュウ酸オ
キシダーゼは、シュウ酸分子を二酸化炭素および過酸化水素へと酸化する。シュ
ウ酸を二酸化炭素およびギ酸に変換するため、シュウ酸デカルボキシラーゼを用
いるシュウ酸アッセイも開示されている(Costello et al.,1976;Yriberri et a
l.,1980;Santamaria et al.,1993)。次に、シュウ酸の存在を間接的に検出する
ため、酵素反応により生成した二酸化炭素、過酸化水素、またはギ酸のいずれか
を検出する方法を利用する。例えば、ギ酸の存在下でNADをNADHに還元するため
ギ酸デヒドロゲナーゼを使用できる。生成したNADHは、分光測光法により検出で
きる。しかし、これらのシュウ酸アッセイは、時間がかかり、複雑な装置の使用
を必要とする。
蘇類、大麦、およびビートの茎からのシュウ酸オキシダーゼ組成物の単離およ
び精製は、当技術分野で開示されている(Chiriboga,J.1966;米国特許第4,455,3
71号)。開示された方法は、充分な精製過程を必要とするため、酵素の収率およ
び特異的活性は比較的低いものとなる。さらに、これらのシュウ酸オキシダーゼ
組成物は、温度変化の影響を受けやすく、長期間保存する場合には不安定である
。また、これらの酵素調製物は、酵素反応を触媒するために、外因的な補因子の
添加を必要とすることもある。シュウ酸オキシダーゼ組成物は、商業的な供給元
(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)からも入手可能であるが、やはり同様の問
題を抱えている。
尿中グルコース・レベルを測定するため(例えば、「TES-TAPE」,Eli Lilly
)、ミクロアルブミン尿症を決定するため、尿の比重を決定するため、細菌また
はウイルスを検出するため、ヒト血漿中のコリンエステラーゼ活性を決定するた
めなどに、現在、「ディップ・アンド・リード(Dip and read)」アッセイまた
は「ディップスティック(Dipstick)」アッセイが使用されている。尿中グルコ
ース・ディップスティックは、基質(例えば、グルコース)が酵素により酸化さ
れ検出可能なシグナルを生じる、酵素試験ストリップに分類される。通常、色ま
たは色の減退として出現する、ディップスティック上に検出されるシグナルに基
づき、試料中の分析物の濃度を容易に決定できる。
ディップスティック型アッセイは、試料中の特定の分析物の量を検出または測
定するための、安価で迅速な方法を提供することができる。さらに、ディップス
ティック型アッセイの使用は単純で容易であるため、患者自らがスクリーニング
またはモニタリングを日常的に行うのに適している。従って、ディップスティッ
ク型アッセイには、重要な臨床上の有用性がある。
日本特許公開第63074500号は、試料中のシュウ酸を検出するための、シュウ酸
オキシダーゼを利用したディップスティック・アッセイを開示している。しかし
、このアッセイには、約2mg/dl未満のシュウ酸濃度を検出できるほどの感度はな
く、装置と共に使用されるシュウ酸オキシダーゼは、貯蔵寿命中の、または環境
的要因の結果としての不安定性または分解が問題となりうる。さらに、当技術分
野で開示されているその他の酵素組成物も、同様の欠点を有しており、従って、
シュウ酸を検出するためのディップスティック型アッセイで使用するには適して
いない。
従って、試料中のシュウ酸を検出するための、感度が高く、迅速で、かつ安定
なアッセイ系が、当技術分野で依然として要望されている。そして、その要件を
本発明は満たしている。酵素および色素を基本としたアッセイ系を含む、尿中シ
ュウ酸レベルを決定するための本発明のディップスティック・アッセイは、安価
に作製および適用することができ、実験装置または経験を必要とせず、さらに、
従来の方法よりも有意に短い時間で実施することができる。
発明の概要
本発明は、試料中のシュウ酸を検出するための新規なアッセイ装置および方法
に関する。アッセイ装置は、担体マトリックス上に固定化された酵素組成物およ
び色素組成物を含む。本発明のアッセイ装置に分析対象の試料を接触させ、試料
中にシュウ酸が存在するのであれば、担体マトリックス上で検出可能な色素反応
が起こる。試料中のシュウ酸の濃度は、担体マトリックス上に観察された色また
は色の強度を、様々な濃度のシュウ酸を用いて予め測定されたカラーチャートと
比較することにより決定することができる。本発明のアッセイ装置は、尿、血液
、血漿、胆汁、唾液、およびその他の生物学的液体を含む、様々な試料中のシュ
ウ酸を検出するために使用することができる。従って、試料中のシュウ酸の検出
および測定のための、感度が高く、迅速で、かつ安定なアッセイを提供すること
が本発明の目的である。
本発明は、さらに、新規なシュウ酸オキシダーゼ酵素組成物、およびシュウ酸
オキシダーゼ組成物を作製するための方法に関する。本発明により作製されたシ
ュウ酸オキシダーゼは、高い特異的活性および収率を有する酵素を提供する。本
発明の酵素は、当技術分野で開示されている他のシュウ酸オキシダーゼ組成物よ
りも少ない精製工程を用いて単離される。さらに、有利な点として、本発明のシ
ュウ酸オキシダーゼ組成物は、より安定であり、他のシュウ酸オキシダーゼ調製
物とは異なり、酵素活性のために外因的な補因子の添加を必要としない。本発明
により作製され単離されたシュウ酸オキシダーゼは、試料中のシュウ酸濃度を検
出および測定するための本発明のアッセイ装置および方法と共に使用することが
できる。
図面の簡単な説明
図1は、大麦由来のシュウ酸オキシダーゼの等電点電気泳動プロフィールを示
す。硫安沈殿(30/60ASP)により精製し、再懸濁させ、1%グリシンに対して透
析した精製タンパク質を、ショ糖勾配中に両性担体(pH2.5〜5.0)を含む調製用
等電
点電気泳動カラムに導入した。5℃で22時間1500vで電気泳動を行った後、画分(
1ml)を取り出し、280nmで連続的にスキャンした後(折れ線グラフ)、個別に透
析し、材料および方法の項の記載のようにして、シュウ酸オキシダーゼ活性をア
ッセイした(棒グラフ)。勾配プロフィールの初期に溶出された画分のみを示す
。後期に溶出された画分には酵素は検出されなかった。
発明の詳細な説明
本発明は、被検試料中のシュウ酸を検出するための新規なアッセイ装置に関す
る。本発明のアッセイ装置は、担体マトリックス上に固定化された酵素成分およ
び色素成分を含む。本装置と共に使用される酵素成分は、基質としてのシュウ酸
と反応し、第一反応生成物を生成させることができる。第一反応生成物は、担体
マトリックス上の色素成分と反応し、被検試料中のシュウ酸の量と相関している
、検出可能な第二反応生成物または応答を生成させることができる。
好ましい態様において、本発明の酵素成分は、シュウ酸オキシダーゼおよびペ
ルオキシダーゼを含む。シュウ酸オキシダーゼは、植物組織から調製できる。担
体マトリックス上に含浸または固定化されたシュウ酸オキシダーゼは、被検試料
と接触させられ、被検試料中のシュウ酸および酸素と反応し、過酸化水素および
二酸化炭素を生成させる。生成された過酸化水素が、さらに、アッセイ系のペル
オキシダーゼと反応し、第一反応生成物である、新生酸素を生成させる。このよ
うにして生成された新生酸素は、担体マトリックス上の色素成分と反応し、マト
リックス上に検出可能な第二反応生成物または応答を生成させる。好ましくは、
検出可能な反応生成物は、担体マトリックス上に形成される特定の色または色の
減退である。
本発明の色素組成物は、第一反応生成物により、検出可能な酸化型へと酸化さ
れうる色素を含む。好ましくは、色素はオルト・トリジンである。本発明の他の
態様において、色素組成物は、ジメチルアミノ安息香酸(DMAB)および3-メチル
-2-ベンゾチアゾリノン(MBTH)を含む。他の態様において、N,N-ジメチルアニ
リン(DMA)をDMABの代わりに用いてもよい。これらの色素成分は、酵素成分と
シュウ酸との反応により生成された新生酸素と反応し、青色のインドアミン(in
damine)色素を形成することができる。その他の色素組成物は当技術分野で公知
であ
り、本発明において使用可能である。
アッセイ装置の担体マトリックスは、マトリックスがアッセイしようとする分
析物に関して実質的に不活性である限り、本発明の酵素成分および色素成分を含
浸することができるいかなる物質からなっていてもよい。好ましくは、担体マト
リックスは多孔性、かつ/または被検試料に対して吸収性である。「担体マトリ
ックス」という表現は、水に不溶性であり、かつ水またはその他の生理学的液体
に曝露されたときその構造的秩序を維持できる、吸水性または非吸水性いずれか
のマトリックスを指す。使用することができる適当な吸水性マトリックスには、
紙、セルロース、木、合成樹脂フリース、織布、および不織布などが含まれる。
紙が好ましい担体マトリックスである。非吸水性マトリックスには、ガラスフア
イバー、ポリマーフィルム、予備的形成膜、微孔性膜、および塑性物質、例えば
ポリプロピレンなどが含まれる。
アッセイ装置の一つの態様において、精製されたクロマトグラフィー紙に本発
明の酵素成分および色素成分を含浸させることができる。チップに吸収性物質(
例えば、綿、合成繊維、またはポリマーのスラブ)が付着した紙、プラスチック
、または木のストリップも同様に使用することができる。布に酵素成分および色
素成分を含むポリマー(例えば、色素系を固定化するために使用されるポリマー
)を含浸させることも可能である。ポリマーは、物質に剛性を付与するラミネー
トとして機能する。布は天然繊維(例えば、綿)で織られていても、合成繊維(
例えば、テレフタル酸ポリエチレン)で織られていてもよい。多孔性のポリウレ
タンまたはスパンボンデッドのポリオレフィンのようなポリマー・マトリックス
に、本発明の酵素組成物および色素組成物を含浸させたものも使用できる。担体
マトリックスと共に使用される通常の固体支持物質におけるいかなる改良も、本
発明の範囲内に含まれる。
担体マトリックスへの酵素成分、色素成分、およびその他の試薬成分の取り込
みは、浸漬、塗布、または噴霧のようないかなる方法により行ってもよい。好ま
しい方法は、試薬溶液中に浸漬し、乾燥させて溶媒を除去することによる、担体
マトリックス物質の含浸である。乾燥は、取り込まれた試薬に有害な影響を与え
ないいかなる方法により行ってもよく、典型的には空気乾燥装置により行う。
担体マトリックスの効率を増大させるため、湿潤化剤(例えば、希釈した界面
活性剤)を使用することができる。担体マトリックスを酵素成分および色素成分
で被覆した後の乾燥過程を促進するため、色素系溶液に試薬アルコールを添加す
ることもできる。
本発明の酵素成分および色素成分を安定化し担体マトリックスへと固定化する
ためには、当技術分野で公知の試薬および溶液を使用することができる。例えば
、酵素成分および色素成分の活性を保存するため、塩および緩衝剤を使用するこ
とができる。pHを至適レベル(例えば、シュウ酸オキシダーゼの場合はpH3.5)
に維持するためには、硫安、リン酸緩衝液、緩衝生理食塩水、クエン酸、および
コハク酸などを使用することができる。終始、酵素成分および色素成分の活性を
維持するために、糖溶液を使用することもできる。担体マトリックス上に固定化
され、室温で保存されたシュウ酸オキシダーゼの安定性を増大させるために、ト
レハロース溶液を使用することもできる。例えば、本アッセイ装置におけるシュ
ウ酸オキシダーゼの活性を安定化させるためには、約15%のトレハロース溶液を
使用できる。終始、色素成分の活性を維持するためには、アルギニン酸、キトサ
ン、アクリル酸、およびカルボキシメチルセルロースのようなポリマー溶液も使
用できる。濃化剤、色安定化剤、界面活性剤などのその他の成分も添加できる。
試験装置における色形成の安定性および均一性を増大させるため、ポリビニルピ
ロリドンのようなポリマーの添加を用いることも可能である。
ある種の無機質を添加することにより、特定の酵素の活性(酵素が反応を触媒
する速度)を増大させることが可能である。例えば、銅イオンは、グレイン・ソ
ルガム(grain sorghum)の葉から単離されたシュウ酸オキシダーゼの活性を増
大させる。特定の酵素の活性を増大させるために、アッセイ装置に一つまたは複
数の天然生成物を添加することもできる(例えば、リボフラビンは、大麦の実生
から単離されたシュウ酸オキシダーゼの活性を増大させる)。特定の酵素の活性
を減少させる可能性のある、ある種の無機質を除去するために、EDTAのようなキ
レート形成剤をアッセイ装置に取り入れることも可能である(例えば、鉄イオン
は、大麦の実生から単離されたシュウ酸オキシダーゼの活性を阻害する)。カル
シウムのキレート形成は、シュウ酸カルシウム塩の沈殿を抑制するのに役立つ。
酵
素活性を増大させるためのその他の試薬の使用は、当技術分野で公知である。
被検試料中に存在するシュウ酸の量は、マトリックス上の発色の程度を、既知
濃度のシュウ酸と相関している標準化カラーチャートと視覚的に比較することに
より、半定量的に決定できる。従って、色の濃度を広範囲の濃度で判定すること
ができるよう、そして発色後の色調が安定するよう、ディップスティックは、被
検試料で均一に湿っていることが好ましい。この点において、本発明のアッセイ
装置は、優れた感度、色安定性、および広範囲の色濃度を提供する。担体マトリ
ックス上に存在する反応生成物の強度または量を検出するために、視覚的な比較
に加え、様々な装置による方法を用いることも可能である。
シュウ酸オキシダーゼを酵素成分として使用した場合、本アッセイ装置の色範
囲は、担体マトリックスにある種の色素を添加することにより拡大することがで
きる。例えば、本アッセイ装置のオルト・トリジンのような色素成分と共に、FD
CイエローNo.5色素による着色を担体マトリックスに取り入れることにより、試
料中のシュウ酸の濃度に比例して、黄色から緑色、青色、紫色へと変化する検出
可能な色が生じる。特に被検試料中のシュウ酸の濃度が低い場合には、異なる色
または色の減退は、様々な濃度のシュウ酸の区別を容易にすることができる。黄
色の色素は、アッセイ装置の発色を阻害しない。当技術分野で公知の他の色素も
本発明において使用することができる。
一つの態様において、本発明のアッセイ装置は、デシリットル(dl)当たり約
1.0〜約0.5ミリグラム(mg)という低濃度で試料中のシュウ酸を検出できる。
シュウ酸と反応するその他の酵素組成物が、本発明で使用できる。さらに、ペ
ルオキシダーゼ活性を有する酵素を、シュウ酸オキシダーゼおよび本発明のアッ
セイ装置と共に使用できる。例えば、西洋ワサビ・ペルオキシダーゼの代わりに
大豆ペルオキシダーゼ(Enzymol International,Inc.)を、アッセイ装置中のシ
ュウ酸オキシダーゼと共に使用できる。本発明のアッセイ方法(すなわち、基質
と反応するアッセイ装置の成分)を修飾することにより、シュウ酸レベルに関連
する他の要因も測定することができる。
本発明は、試料中のシュウ酸の量を検出または測定する方法にも関する。一つ
の態様において、本発明のディップスティック・アッセイ装置を、有効な時間試
料と接触させる。典型的には、装置を、約1秒から約5分間試料と接触させる。試
料中に存在するかもしれないシュウ酸は、酵素成分および色素成分と反応し、検
出可能な反応生成物を生成させることができる。選択的に、アッセイ装置を試料
と接触させる前および/または後に、粒子状物質を除去するために、装置を適当
な洗浄緩衝液、例えば、pH4.1の.025Mクエン酸ナトリウム緩衝液で洗浄すること
ができる。好ましくは、検出可能な反応生成物は、アッセイ装置の担体マトリッ
クス上に沈積した可視色または色の減退である。試料中に存在するシュウ酸の量
は、アッセイ装置上に沈積した色の強度または減退を、予め測定されたシュウ酸
濃度カラーチャートと比較することにより決定することができる。
他の態様において、スポット試験アッセイを用いて液体または水性の試料中の
シュウ酸を検出する。本発明に係る、液相の酵素組成物および色素組成物を、充
分な時間、被検試料と接触させる。または、試薬と試料を混合する順序は本方法
にとって重要でないため、試料を酵素組成物および/または色素組成物と接触さ
せる。試料と酵素組成物および色素組成物とは、多孔性または非多孔性の表面上
で混合される。例えば、表面は、ガラスプレート、セロファンで裏打ちされたベ
ンチタオル(bench toweling)、またはフィルター紙でありうる。選択的に、試
料との接触後、表面を適当な緩衝液で洗浄することができる。典型的には、試料
は数秒から約5分間反応にかけられる。試料中に存在するかもしれないシュウ酸
は、酵素組成物および色素組成物と反応し、検出可能な反応生成物を生成させる
。好ましくは、検出可能な反応生成物は、表面上に沈積し、比色分析により検出
することができる。本発明のスポット試験アッセイは、コダックEKTACHEM DTシ
ステムのような、商業的に入手可能なアッセイ系との使用に容易に適合させるこ
とができる。
好ましくは、スポット試験アッセイでアッセイされる被検試料は、塩またはそ
の他の阻害物質を含まず、水溶性であるか、または適用された水性溶液にシュウ
酸を放出し、試料組成物または色は、検出可能な反応生成物の視覚的または比色
分析による検出手段を阻害しない。
本発明は、生物学的試料を含む、試料中のシュウ酸をアッセイするために使用
できる。本発明の方法および装置を用いてアッセイできる生物学的な試料または
標本には、例えば、個々のまたは対象の動物に由来する血液、血漿、尿、大便、
精液、胆汁、唾液、涙、羊水、滑液、骨、組織、またはその他の生物学的成分が
含まれる。さらに、機械的に除去された、または自然に排出された(例えば、吐
き出された、または逆流した)動物の胃または胃腸管の内容物も、本発明の方法
および装置を用いてアッセイすることができる。
本発明の方法および物質は、様々な適用においてシュウ酸をアッセイするため
に使用できる。例えば、消耗品、例えば、ビール、ワイン、またはビール、ワイ
ンおよびその他の飲料を製造するために用いられる水などに含まれるシュウ酸を
検出するため、木材または皮革をシュウ酸で処理した後にシュウ酸レベルが充分
に減少または除去されたか否かを決定するため、植物体または動物性食品中に高
レベルまたは有害なレベルのシュウ酸が存在するか否かを検出するために、本方
法を使用することができる。アルミニウム工業におけるバイヤー・リカー(Baye
r liquor)、および製紙工業におけるパルピング・リカー(pulping liquor)中
のシュウ酸をアッセイするためにも本発明を使用できる。さらに、例えば、尿石
症、原発性シュウ酸過剰尿症、外陰膣前庭炎、および慢性腎不全の診断を含む、
様々な医学的な適用においてシュウ酸オキシダーゼをアッセイするためにも本発
明の方法を使用できる。
本発明は、治療プロトコルにおけるシュウ酸オキシダーゼを提供するための物
質および方法にも関する。一つの態様において、シュウ酸オキシダーゼは、例え
ば米国特許第5,286,495号に記載されているようなマイクロカプセル中に被包さ
れる。カプセル中に被包されたシュウ酸オキシダーゼは、そのような治療を必要
とする患者に投与されうる。好ましくは、カプセル中に被包されるシュウ酸オキ
シダーゼは、本発明の方法により作製されたシュウ酸オキシダーゼである。
本発明はさらに、新規なシュウ酸オキシダーゼ組成物およびそれを作製するた
めの方法に関する。有利には、本発明により調製されたシュウ酸オキシダーゼは
、シュウ酸オキシダーゼ組成物を得るための他の方法よりも、精製工程が少ない
ため、特異的活性および酵素収率が高い。さらに、本発明のシュウ酸オキシダー
ゼは、より安定で、活性のために外因性の補因子の添加を必要としない。シュウ
酸オキシダーゼ組成物は、温度、低pH、エチルアルコール、イソプロピルアルコ
ール、アセトン、凍結乾燥、陰イオン性界面活性剤、マイクロカプセル化に対し
て安定であるため、この調製物は可溶性状態においても固定化状態においても多
数の医学的、工業的な使用にとって極めて望ましい。
本発明のさらなる局面は、本アッセイ装置において有用なシュウ酸オキシダー
ゼ組成物を調製するための方法に関する。シュウ酸オキシダーゼは植物組織から
単離することができる。好ましい態様において、シュウ酸オキシダーゼは、植物
組織から酵素を抽出する間、凍結され、その後解凍される発芽した種子から調製
される。より好ましくは、精製の第一段階において、実生を液体窒素に浸漬する
ことにより急速に凍結させ、それから組織をホモジナイズしながら解凍する。典
型的には、使用される種子は、大麦の種子(Hordeum vulgare)である。他の穀
物の種子も本発明の範囲に含まれる。好ましくは、発芽の間は遮光をし(黄化)
、根が成長しやすい条件下で、水に浸漬することにより、種子を発芽させる。酵
素活性を有意に損失することなく発芽した実生を凍結させることができるために
、大量の起源物質を蓄積し、使用準備時まで保存することが可能となる。
好ましい態様において、本発明のシュウ酸オキシダーゼは、凍結した植物組織
をホモジナイズし、粒子状の物質を除去するためホモジナイズした後に得られた
液体抽出物を濾過することにより単離される。選択的に、PMSFおよび/またはED
TAを酵素の精製中に取り入れることもできる。その後、液体抽出物を遠心分離し
、ペレット化物質から上清を取り除く。その後、上清を熱処理する。好ましくは
、約70℃〜80℃の間で、約5〜12分間、上清を加熱する。より好ましくは、約75
℃で、約10分間、上清を加熱する。熱処理後、上清を凍結付近まで冷却する。好
ましくは、約3℃〜4℃の間に上清を冷却する。冷却後、上清を再び遠心分離し、
沈殿物質をペレット化する。熱処理された上清をペレット化物質から分離し、約
30%硫安飽和にする。30%飽和溶液中の沈殿物を、好ましくは遠心分離して沈殿
物をペレット化することにより、除去する。その後、続いて上清を約60%硫安飽
和にする。60%飽和溶液中の沈殿物を得る。これも、好ましくは遠心分離により
行う。上清を廃棄し、シュウ酸オキシダーゼを含む沈殿物質を溶液中に再懸濁さ
せる。
本発明の方法により、出発植物組織1グラム当たり少なくとも約0.5酵素ユニッ
トの酵素収率が得られる。好ましくは、酵素収率は、植物組織1グラム当たり約0
.5〜0.9酵素ユニットの範囲内、またはそれ以上である。
好ましい態様において、本発明の方法により調製されたシュウ酸オキシダーゼ
は、タンパク質1ミリグラム当たり少なくとも約8.5酵素ユニットの特異的活性を
有する。好ましくは、シュウ酸オキシダーゼは、タンパク質1ミリグラム当たり
少なくとも約10酵素ユニットの特異的活性を有する。より好ましくは、本発明の
シュウ酸オキシダーゼ組成物は、タンパク質1ミリグラム当たり少なくとも約20
酵素ユニットの特異的活性を有する。
選択的に、等電点電気泳動を行い、約pH2.5〜3.0の間の画分を収集することに
より、シュウ酸オキシダーゼをさらに精製することができる。
材料および方法 材料 VITAVAX200(殺菌)およびRELDAN(殺虫)で処理された、ウェルセル・
シード社(Welsel Seed Co.)の新鮮なワイサー大麦(Wysor Barley)(ロット
#6321-38B)、およびフロリダ大学(University of Florida)のフード・サイ
エンス・アンド・ヒューマン・ニュートリション(Food Science and Human Nut
rition)のビーナス大麦(Venus barley)(ロット#BSCNC87-197)をシュウ酸
オキシダーゼの作製に使用した。種子は、1kgずつ密封プラスチック・バッグに
分配し、4〜6℃で保存した。シュウ酸オキシダーゼ、西洋ワサビ・ペルオキシダ
ーゼ(VI型)、ウシ血清アルブミン、酵素等級の硫安、フェニルメチルスルホニ
ルフルオリド(PMSF)、N,N-ジメチルアニリン、および3-メチル-2-ベンゾチア
ゾリノン・ヒドラゾン(MBTH)は、シグマ・バイオケミカルズ(Sigma Biochemi
cals,St.Louis,MO)から入手した。PHARMALYTE両性担体は、ファルマシアLKBバ
イオテクノロジー(Pharmacia LKB Biotechnology,Uppsala,Sweden)から入手し
た。
実生の発芽、採取、および保存 種子は、1kgバッチで、23℃から26℃で24時
間水道水に浸漬し、7日から9日間、1日に2回振とうしながら、水道水の散布下イ
ンキュベートすることにより、穴のあるプラスチック・ピペット・バスケット内
で発芽させた。散布下、吸水した種子をチーズクロスで裏打ちされたプラスチッ
ク・ラックに蒔き、遮光のため系を黒色のプラスチック・ポリエチレン・カーテ
ンで包囲することにより、発芽速度が増大し、根が優先的に成長し、適当な組織
を
採取しやすくなった。インキュベーション後、過剰の水を除去するため全実生を
ブロットし、根を多く含む部分を直接液体窒素中に採取した。凍結組織は、蓋を
されたプラスチック標本カップ(120から130g)中に-70℃で保存した。
シュウ酸オキシダーゼ活性アッセイ シュウ酸オキシダーゼ活性は、レイカー
(Laker)ら(1980)の尿中シュウ酸用の分光アッセイ法の変法を用いて決定し
た。250μlのシュウ酸(200mM)、2.5mlのクエン酸ナトリウム、pH4.0(0.25M
)、250μlの3-メチル-2-ベンゾチアゾリノン・ヒドラゾン(0.1M HCl中2.5g/l
)、1.25mlのN,N-ジメチルアニリン(0.1M HCl中2.5g/l)、および350ユニット
の西洋ワサビ・ペルオキシダーゼを含む新鮮な色素試薬を、コハク色のボトル中
でガラス蒸留水で25mlにした。プラスチック・マイクロキュベット(1cm光路)
で、等分された試料(10から200μl)を、25mMクエン酸ナトリウム緩衝液で200
mlに希釈した。0時点で2.0mlの色素試薬を混合しながらキュベットに添加し、暗
所で23℃でインキュベートし、それから2から5分間隔で8または20分間595nmで読
みとりを行った。試料の読み取りは、緩衝液ブランク、即ち同一色素試薬を含み
オキシダーゼ試料は含まれていないマイクロキュベットに対して行った。1酵素
活性ユニットは、23℃における1分間当たりの595nmの吸光度の増加と定義される
。
または、オキシダーゼ活性の推定的検出のため、半定量的アッセイを利用した
。100μlの上記色素試薬を、プラスチック・マイクロタイター・プレートのウ
ェルに添加した。10μlの試料を混合しながら添加し、5から60分間室温でイン
キュベートした。紫色の発色が視覚的に観察され、色素試薬を含み試料は含まな
いウェルに対する相対的な強度スコア(0から4)を決定した。
タンパク質アッセイ トリクロロ酢酸不溶性のタンパク質の濃度を、ウシ血清
アルブミン(BSA)を標準として用い、スミス(Smith)ら(1985)のビシンコニ
ン酸法(BCA)により分光測光法により推定した。60℃で30分間インキュベート
することにより発色させ、次に氷水で冷却した後、読み取りを行った。
酵素調製物 黄化した実生由来の275gの凍結大麦組織および3mlのフェニルメ
チルスルホニルフルオリド(PMSF)(イソプロパノール中10mg/ml)を、テフロ
ンで裏打ちされた商業的なブレンダー中の600mlの0.1mMエチレンジアミンテトラ
酢酸(EDTA)に添加した。混合物をオートミール程度の密度になるまで15秒間2
回高速
で磨砕し、直ちに4層のチーズクロスで冷シリンダーへと濾過した。残りの液体
は、チーズクロス中の塊を手で圧搾することにより組織から絞り出した。これに
より、pH5で約800mlの抽出物が得られた。抽出物を直ちに0℃、20,000×gで20分
間遠心分離し、透明でコハク色の低速度上清(LSS)をデカンテーションにより2
リットルの丸底フラスコに移した。フラスコを回転エバポレーター(非真空)に
取り付け、フラスコを84℃の水浴に浸漬した。LSSの温度を10分間約75℃に上昇
させ、その後直ちに氷浴中で冷却し、上記のようにして遠心分離し、熱処理上清
(HTS)を得た。pH5で、絶えず攪拌しながら直前に粉末化された硫安((NH4)2
SO4、175.7g/l)を添加することにより、HTSを30%飽和にした。0℃で30分間攪
拌を継続した後、混合液を上記のようにして10分間遠心分離した。透明でコハク
色の上清画分をデカンテーションにより冷ビーカーに移し、上記のようにしてさ
らに硫安(195g/l)を添加することにより60%飽和にした。溶液表面に集合した
白色の物質を除去し、混合液を上記のようにして再び遠心分離した。上清画分を
廃棄し、ペレットを取り出し、ペレットの反対側のボトル壁を破片が残らないよ
う拭った。他に示さない限り、ペレットを70mlの0.1mM EDTA、100μg/ml PMSF
に懸濁させ、4リットルの蒸留水に対して36から48時間4℃で透析した。この調
製物を本明細書において30/60ASP調製物と呼ぶ。透析された30/60ASP調製物を清
澄化するため10,000×gで10分間遠心分離し、必要に応じて-60℃で凍結乾燥した
。
等電点電気泳動 試料を、5から60%ショ糖中の1%PHARMALYTE pH2.5〜5両性
担体を含む110mlのLKB調製用カラムに導入した(Sugiura et al.,1979)。ヴェ
スターバーグ(Vesterberg)およびスヴェンソン(Svensson)(1966)の方法に
従い、1500vの一定電圧、7mAの初期電流で(底部が負極)5゜Cで22時間、タンパ
ク質の電気泳動を行った。3.1mAで電流を安定化させた後(22時間)、静水交換
により1ml/分で1ml画分ずつ、分離した成分をカラムの底部から収集し、連続的
に280nmでスキャンした。アッセイ前に、両性担体を除去するため、各画分を5℃
で20時間、0.1M NaCl、5mMクエン酸ナトリウム、pH4.1、50μg/ml PMSFに対し
て透析し、続いて塩を除去するため、24時間、5mMクエン酸ナトリウム、pH4.1、
50μg/ml PMSFに対して透析した。
凍結乾燥 透析された調製物(必要に応じて10,000×g、0℃で10分間遠心分離
し清澄化)を、デカンテーションにより600mlのヴァーチス(Virtis)フラスコ
に移し、ドライアイス/アセトン浴に浸漬することによりフラスコ壁上の薄い層
として凍結させ、-60℃で一晩凍結乾燥させた。乾燥した試料を、スクリュー・
キャップ・ボトルに移し、きつく蓋をしめ、-20℃で保存した。
以下に、本発明を実施するための、最良の形態を含む材料、方法、および手順
を例示する実施例を示す。これらの実施例は、例示のためのものであり、本発明
を限定するものではない。実施例1−シュウ酸オキシダーゼの単離のための実生の発芽
発芽条件を至適化するため、それぞれ200個の種子(ワイヤー大麦)を用いた
実験を行った。水道水中で21時間吸水させた後、種子を3層のワットマン(Whatm
an)#3フィルター紙で裏打ちされた、水道水で湿らせたトレーに蒔き、23℃で7
日間一定の蛍光下または暗所でインキュベートした。または、吸水した種子を、
水道水の散布下(23℃)、7日間、穴の空いたプラスチック・バスケットに収納
した。最大の発芽は、暗所でインキュベートしたトレーの種子で起こった。これ
らの種子では、根の発生が優先的に起こった。トレー上では、発芽を延長しても
、それ以上の苗条は出現せず、発芽速度の増大も認められなかった。しかし、水
道水の散布下種子のインキュベーションを継続すると、発芽した種子の数および
実生1個当たりの生成組織量がいずれも増大した。目的は多量の組織を得ること
であったため、散布形式の発芽を、多量の穎果に適合するよう修飾した(材料お
よび方法の項を参照)。典型的には、収率は、乾燥種子1kg当たり約1kgから約3.
6kgの凍結組織(根、穎果、および苗条)であった。別個に実生から紡がれ凍結
された緑芽由来の調製物には、活性がなかった。従って、発芽中は遮光を行った
。実施例2−大麦シュウ酸オキシダーゼ組成物の調製
材料および方法の項に記載したようにして、シュウ酸オキシダーゼを精製した
。最初の組織ホモジネート中の粒子状の物質は、シュウ酸オキシダーゼ活性の定
量的アッセイを阻害した。しかし、半定量的マイクロタイター・プレート・アッ
セイを用いて、ホモジネート中に検出されたシュウ酸オキシダーゼ活性の半分未
満が低速度上清(LSS)中に回収されることが決定された。根を多く含む調製物
中の不溶性デンプンの混入は、発芽していない大麦穎果を除外して根を多く含む
組
織を選択的に採取することにより最小限に抑えた。
PMSF(イソプロパノール中に溶解)を最初の組織ホモジネートに添加すると、
大麦抽出物およびそれに由来するその後の画分の挙動および出現が劇的に変化し
た。上清画分中の濁った乳光が除去され、遠心分離で得られるペレットが不連続
で小さいものになった。ある調製物においては、PMSFの存在下で調製された組織
ホモジネートから、シュウ酸オキシダーゼ活性の8倍濃縮が得られ、タンパク質
濃度は10倍となった。低速度上清に検出された酵素活性の90%以上が硫安沈殿タ
ンパク質中に回収された(表1を参照)。
1 アッセイ前に透析された画分
2 活性ユニットは、材料および方法の項で定義された分光アッセイにおける
1分当たりの595mnの吸光度の変化である。
3 材料および方法の項に記載されたようにしてBCAで決定されたタンパク質
30/60ASPシュウ酸オキシダーゼ調製物に対して、約pH2.5と5.0の間で調製用等
電点電気泳動を行うことにより、この物質をさらに精製した。PMSFの存在下で調
製され、4リットルの1%グリシンに対して45時間透析された30/60ASP画分(43m
l)を、ショ糖/PHARMALYTE勾配を用いて、冷却された電気泳動装置に直ちにロ
ードした。試料を22時間電気泳動させ、1mlの画分を収集し、材料および方法の
項に記載されたようにしてアッセイ用に調製した。図1に示されるように、回収
された
活性(アプライされた活性の55%)の本質的に全部が、単一のピークとして泳動
した。カラムの下方部分に黄褐色の沈殿物のバンドが観察された。等電点電気泳
動後に得られたシュウ酸オキシダーゼは、出発物質より14倍濃縮されていたが、
特異的活性はわずかにしか増加しなかった(12ユニット/mg)。活性画分のpHは
、pH勾配が110ml中pH2.5から5.0まで直線的であったと仮定し、約pH2.75と2.9の
間であると推定された。勾配の上方部分のよりアルカリ性の画分に検出された低
レベルの活性は、画分をカラムから収集するときに混入した、観察された沈殿物
質の残留物に相当した。実施例3−ディップスティック装置の調製
0.25インチ×3インチの高純度クロマトグラフィー紙のストリップを酵素成分
および色素成分の溶液で飽和させることにより、本発明のディップスティック・
アッセイ装置を調製した。溶液は、10mLの0.025Mクエン酸ナトリウム緩衝液(pH
4.0)中の0.1gのカルボキシメチルセルロース、150ユニットのシュウ酸オキシダ
ーゼ(材料および方法の項に記載されたようにして調製された透析済30/60ASP画
分)、120PZユニットの西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、および4.5mgのオルト・
トリジンからなつていた。ディップスティックを溶液と接触させ、ディップステ
ィック全体を完全に被覆し、取り出して乾燥させた。ディップスティックは使用
時まで、好ましくは30℃末満で、乾燥した暗所に保存することができる。
上記のようにして酵素成分および色素成分で被覆されたディップスティックを
、シュウ酸の存在を試験される試料と接触させる。試料との接触後、一定時間発
色させ、それからシュウ酸濃度を推定するためディップスティックの色を標準カ
ラーチャートと比較した。
濃度測定されたカラーチャートは、個々のディップスティックをそれぞれ1、2
、4、8、および16mMのシュウ酸濃度を含む溶液に浸漬することにより調製できる
。それぞれの既知のシュウ酸溶液で試験されたディップスティック上に観察され
た色を、特定の時間の発色後の、特定の濃度のシュウ酸についての色または色強
度を示すチャート上に並べる。試料中のシュウ酸の濃度は、特定の時間の後、発
色した試験ディップスティック上の色を、標準化されたカラーチャート上に示さ
れた色と比較することにより推定できる。
本発明のディップスティック装置は、視覚的な発色の観察および標準化カラー
チャートとの比較に基づくと、約0.9mg/dlまたは約10μMの濃度で、被検試料中
のシュウ酸を検出した。実施例4−シュウ酸のスポット試験
本発明に係るシュウ酸のスポット試験アッセイを、いくつかの異なる方法で行
った。
(1)12ウェルのガラス・スポット・プレート上で、本発明に係るシュウ酸オキ
シダーゼを含む50マイクロリットル(0.05ml)の画分および色素試薬を、0.5ml
の被検試料を含むウェルに添加した。ガラス・プレートを白色表面上で観察した
。いくつかの試料を、同時に他のウェルで試験した。画分中にシュウ酸が存在す
る場合には、1分以内に紫色が観察された。微量のシュウ酸を20〜30分後に検出
することができた。
(2)本発明に係るシュウ酸オキシダーゼおよび色素試薬を含む1滴(約0.025ml
)の画分を、白色、多孔性のベンチタオル(セロファンで裏打ち)上に置いた。
液体は急速に吸収され、タオル上に小さい湿った円を生じた。1滴の被検試料を
湿った円の内部に置いた。いくつかの被検試料でいくつかのスポットを調製し、
同時に試験した。試料中にシュウ酸が存在する場合には、2から5分以内に、スポ
ットの中心が暗紫色になり、円(直径5mm未満)の外縁部に向けて薄くなった。
(3)ベンチタオルの代わりに表面物質としてワットマン#1フィルター紙のスト
リップを使用して、(2)に記載の方法を用いても、シュウ酸が検出された。
本明細書に記載された実施例および態様は、例示のみを目的とするものである
こと、それを考慮して様々な修飾または変化が当業者に示唆されるであろうこと
、それが本願の本旨および範囲、ならびに添付の請求の範囲に含まれることを理
解されたい。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,BA,BB
,BG,BR,CA,CN,CU,CZ,EE,GE,
HU,IL,IS,JP,KP,KR,LC,LK,L
R,LT,LV,MG,MK,MN,MX,NO,NZ
,PL,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,
UG,UZ,VN,YU
(72)発明者 マックフェトリッジ イアン
アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ブ
ルックリン ビーコン ストリート 1859
アパートメント 3