JP2000511041A - クローン化したポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphiromonas gingivalis)の遺伝子、および歯周病の検出のためのプローブ - Google Patents

クローン化したポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphiromonas gingivalis)の遺伝子、および歯周病の検出のためのプローブ

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Abstract

(57)【要約】 抗P.ジンジバリス免疫反応を引き起こす、ヘマグルチニン/プロテアーゼを発現する、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)由来のDNA断片について説明されている。P.ジンジバリス抗原を発現するように改変された微生物が提供される。歯周病の検出および予防のためのプローブ、ワクチンおよびモノクローナル抗体も開示される。

Description

【発明の詳細な説明】クローン化したポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphiromonas gingivalis) の遺伝子、および歯周病の検出のためのプローブ 本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)承認番号(Gra nt Nos.)DE07496及びDE00336により支援される研究プロジェクトのもとで政府 の援助により成された。政府は本発明について特定の権利を有する。 関連出願の相互参照 本発明は、1988年9月8日に提出され現在は棄却された、シリアルナンバー07/2 41,64の一部継続出願である、1991年1月25日に提出されたシリアルナンバー07/6 47,119の一部継続出願である、1994年12月9日に提出された同時係属出願のシリ アルナンバー08/353,485の一部継続出願である。 発明の背景 歯周病(Periodontal disease)(PD)は、歯を支える組織の崩壊を引き起こす 慢性炎症疾患である。PDの原因となる特定の微生物は知られていないが、細菌が この病気の一因であることは広く受け入れられている。 歯肉周辺の隙間に存在する複雑なミクロフローラが、PDの原因因子の同定を複 雑にさせている。しかしながら、主にグラム陰性の嫌気性菌の数種の菌が病気の 進行に関わっていると考えられる。幾例かの証拠から強く示唆されるところでは 、グラム陰性嫌気性菌のポルフィロモナス・ジンジバリス(porphyromona gingi valis)という、当業者にはバクテロイズ・ジンジバリス(Bacteroides gingiva lis)として既に知られている菌が、成人の歯周病の原因因子であると思われる (「White,D.,D.Mayrand[1981]”歯肉炎及び成人歯周炎と口腔内バクテイロ イド(Association of Oral Bacteroides with Gingivitis and Adult Periodon titis)”,J.Periodont.Res.1:1〜18」;「Takazoe,L.,T.Nakamura,K.Okud a[1984]”歯肉下領域におけるバクテロイデス・ジンジバリスのコロニー形成(C olonization of the Subgingival Area by Bacteroides gingivaljs),”J.Den t.Res.63:422〜426」)。例えば成人の歯周病の病創からはかなりの高い割合で P.ginivalisが単離され、成人の歯周病患者は成人よりもP.ジンジバリスに対す るIgG抗体のレベルが高く、また歯周病の初期よりも悪化時の方がP.ジンジバリ スに対する局 所免疫が高い、P.ジンジバリスは、動物で実験的に発症させた歯周病の原因にな る因子でもあるらしい(Slots,J.,E.Hausmann[1979]"マカカ・アルクロイデ スにおける実験的に誘導された歯周病の長期的研究(Longitudinal Study of Ex perimentally Induced Periodontal Disease in Macaca arctoides:Relationshi o Between Microflora and Alveolar Bone Loss)",Infect.Immun.23:260〜26 9)。さらに、P.ジンジバリスは、プロテアーゼコラゲナーゼ、イムノグロブリ ン分解酵素およびアドヘリンといった毒性因子(virulence factor)と疑われるも のを有している。 これらの病原性を発揮するために歯周病菌は、宿主に定住し、歯周ポケットで 生存し、歯周組織を侵し、歯周靭帯のこう原組織歯茎の骨、および歯を取り囲む 組織の構成物を壊す、などのような特性を持たなければならない。宿主の組織へ の付着をとりもつ細菌側の構成因子には、線毛、膿状物質、リポポリサッカライ ドおよび膜結合細胞外小嚢などの表面構造がある。 P.ジンジバリスの赤血球疑集能は、この生物の歯周ポケットへの付着に影響す るパラメーターとして研究されている。成人の歯周病患者の血清は、P.ジンジバ リスのヘマグルチニンに対し高い抗体レベルを有している。これより、ヘマグル チニンなどの接着性の表面構造が、P.ジンジバリスの定住および宿主の抗原性刺 激に関わっていることが示唆される。P.ジンジバリスからヘマグルチニン活性を 単離したという研究成果が報告されている。 BoydおよびMcBride(Boyd,J.,B.C.McBride[1984]"バクテロイデス・ジンジ バリスの赤血球凝集化付着因子及び細菌性結合付着因子の分別(Fractionation of Hemagglutinating and Bacterial Binding Adhesins of Bacteroides gingiv alis)",Infect.Immun.45:403〜409)は、P.ジンジバリスW12株由来の赤血球 凝集活性を含む膜外成分を調製した。この調製物には分子量69,000、41,500およ び22,000の3つの主要なタンパク質が含まれていた。Inoshitaら(Inoshita,E. ,A.Amano,T.Hanioka,H.Tamagawa,S.Shizukushi,A.Tsunemitsu[1986]" バクテロイデス・ジンジバリス381の培地由来の細胞外赤血球凝集素の単離及び 幾つかの特性(Isolation and Some Properties of Exohemagglutinin from the Culture Medium of Bacteroides gingivalis 381)",Infect.Immun.52:421 〜427 )は、P.ジンジバリス381の培養上清から赤血球凝集活性を単離した。単離され たヘマグルチニン成分には分子量24,000、37,000および44,000の3つの主要なタ ンパク質が含まれていた。Okudaら(Okuda,K.,A.Ymamoto,Y.Naito,I.Takaz oe,J.Slots,R.J.Genco[1986]"バクテロイデス・ジンジバリスの培養上清由 来ヘマグルチニンの精製及び特性(Purification and Properties of Hemagglut in in from Culture Supernatant of Bacteroides gingivalis)",Infect.Imm un.55:659〜665)も培養上清からP.ジンジバリス381のヘマグルチニンを精製し これが小嚢または管状の構造を有すると思われ、主に分子量40,000のタンパク質 を有することが示された。彼らの最近の報告によれば、成人の歯周病患者の血清 はほとんどの場合、分子43,000および57,000のヘマグルチニン抗原と反応する( Naito,Y.,K.Okuda,I.Takazoe[1987]"バクテロイデス・ジンジバリスの表面抗 原に対する成人歯周炎の血清における特異的抗体の検出(Detection of Specifi c Antibody in Adult Human Periodontitis Sera to Surface Antigens of Bact eroides gingivalis)",Infect.Immun.55(3):882〜834)。 組換えDNA技術は、病原性の研究を行うための強力なツールであることが分か っている。しかしながら、組換えDNA技術は、グラム陰性嫌気性病原菌の研究に はあまり応用されておらず、歯周病原論(periodontopathigenesis)の分子機構の 研究にはさらに使われていない。組換えDNAによる方法論は、口中病原菌の研究 で使われてきた既存の方法に勝る利点を提供する。例えば、P.ジンジバリスの抗 原をクローニングすることにより、現在はP.ジンジバリスの遺伝子的システムに ついて知見がないため困難であるような遺伝子について、遺伝的および分子的な 解析が可能となる。 発明の簡単な概要 歯周病(PD)に関係する生物から遺伝子をクローニングし、それにコードされる タンパク質を単離した。特に成人の歯周病原因因子であるPorpohyrininasジンジ バリスの遺伝子を同定し、特徴付けを行い、塩基配列を決定した。これらの遺伝 子はまた、適当なベクターに結合し、適当な宿主細胞への形質転換に用いられる 。組換え細胞は免疫反応を引き起こす抗原を発現する。P.ジンジバリスのクロー ンにより発現された抗原についての同定も行い、本明細書に記載した。 本発明が提供するものは、第一に、病気の原因となるP.ジンジバリスの存在を 検出する方法である。この検出方法は、DNAプローブおよび抗原プローブを用い るもので、これらのプローブはこれらの細菌の存在を選択的に同定するため、ま たは他の原核または真核生物で、類似の塩基配列またはアミノ酸配列を有する生 物を同定するために用いることができる。さらに、PDに関係する生物に対する抗 体を生産するのに利用できるポリペプチドも提供する。この抗体は選択的に、お よび特異的に目的のタンパク質に結合し、精製及び同定に利用できる。これらの 遺伝子とポリペプチドは、PDに対するワクチンとして使用できる。さらに、歯周 病に関係する抗原に対するモノクローナル抗体を生産する方法も提供する。 図面の簡単な説明 図1は、クローン2、5および7の組換えプラスミドの制限酵素認識部位の概 略を示す。実線はP.ジンジバリスのDNA挿入断片を示す。斜線をつけた四角はpUC 9の領域を示す 図2は、ヘマグルチニン遺伝子hagBの制限地図を示す。ヘマグルチニン遺伝子 は、pUC9に組み込まれたHindIII断片上に含まれている。 図3は、P.ジンジバリス381からクローン化されたEcoRV断片の制限酵素地図を 示している。濃い影の部分は、最初にクローン化されたST2断片を示す;薄い影 の部分はIPCRで増幅された断片を示す。 図4はprtP遺伝子の制限酵素地図を示す。上の線はprtP遺伝子の配列を示す; 下の線は遺伝子産物を示す。図中の制限部位は以下の通り:B,BamHI;N,Nspl;A ,AspEI;S,SacI;X,XcmI。サザンブロット解析でプローブとして用いた断片は 、DNA配列の下に太線で示し、対応する位置をタンパク配列の下に示した。IS112 6と相同なDNA配列は、同じ模様の四角で示し、Pro-Asnリピートはアステリスク で示した。自動分解開裂部位(autodegradation cleavage sites)と思われる位 置およびシグナルペプチドの開裂部位を遺伝子産物の下に示した。 配列の簡単な説明 配列番号:1は、hagAと表されるヘマグルチニン遺伝子の塩基配列である。 配列番号:2は、hagAにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列である。 配列番号:3は、hagBと表されるヘマグルチニン遺伝子の塩基配列である。 配列番号:4は、hagBにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列である。 配列番号:5は、hagCと表されるヘマグルチニン遺伝子の塩基配列である。 配列番号:6は、hagCにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列である。 配列番号:7は、hagDと表されるヘマグルチニン遺伝子の塩基配列である。 配列番号:8は、hagDにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列である。 配列番号:9は、prtPと表される遺伝子の塩基配列である。 配列番号:10は、prtPにコードされるポリペプチドのアミノ酸配列である。 配列番号:11は、本発明に記載のプライマーAPF147である。 配列番号:12は、本発明に記載のプライマーAPF148である。 配列番号:13は、本発明に記載の、P.ジンジバリス菌株のEcoRV断片より得た完 全なhagA遺伝子の塩基配列である。 配列番号:14は、完全なhagA遺伝子にコードされるポリペプチドの推定アミノ 酸配列である。 配列番号:15は、HArep1と表される、hagA内の最初の約1.3kbの繰り返し配列の 塩基配列である。 配列番号:16は、HArep1にコードされるポリペプチドの推定アミノ酸配列であ る。 配列番号:17は、HArep2と表される、hagA内の2番目約1.3kbの繰り返し配列の 塩基配列である。 配列番号:18は、HArep2にコードされるポリペプチドの推定アミノ酸配列であ る。 配列番号:19は、HArep3と表される、hagA内の最初の約1.3kbの繰り返し配列の 塩基配列である。 配列番号:20は、HArep3にコードされるポリペプチドの推定アミノ酸配列であ る。 配列番号:21は、HArep4と表される、hagA内の最初の約1.3kbの繰り返し配列の 塩基配列である。 配列番号:22は、HArep4にコードされるポリペプチドの推定アミノ酸配列であ る。 配列番号:23は、本発明に記載のST2断片の、5’末端から405塩基上流に設定 した逆方向プライマーである。 配列番号:24は、本発明に記載のST2断片の、3’末端から529塩基に設定した 正方向プライマーである。 配列番号:25は、完全なhagD遺伝子の塩基配列である。 配列番号:26は、完全なhagD遺伝子の最初の読み取り枠にコードされるポリペ プチドの推定アミノ酸配列である。 配列番号:27は、完全なhagD遺伝子の2番目の読み取り枠にコードされるポリ ペプチドの推定アミノ酸配列である。 配列番号:28は、hagEと表されるヘマグルチニン遺伝子の塩基配列である。 配列番号:29は、hagE遺伝子の読み取り枠にコードされるポリペプチドの椎定 アミノ酸配列である。 発明の詳細な説明 本発明のDNA配列は、歯周病の原因となる細菌の、病原性に関すると思われる タンパク質をコードする構造遺伝子を含む。本発明の遺伝子は、Porphyromonas ジンジバリスのDNAより単離できる。本発明の遺伝子について、さらに塩基配列 決定により特徴付けを行った。このDNAを得た後、遺伝子ライブラリを作成して 、親和性のある宿主に導入するための適当なベクターに挿入されたDNA断片を得 ることができる。宿主によって、ベクターにはさまざまな調節部位その他の領域 を含みうるが、通常は複製開始点および1つ以上のプロモーター領域、および形 質転換体の選抜のためのマーカーを含む。一般に、ベクターは発現と増殖のため の、およびさまざまな条件または薬物に対する制御された反応のための調節シグ ナルを備えている。 形質転換体の選抜にはさまざまなマーカー、例えば殺生物剤、特にアンピシリ ン、テトラサイクリン、トリメトプリム、クロラムフェニコール、およびペニシ リンなどの抗生物質、コリシンなどの毒物、および水銀塩などの重金属、に対す る耐性がある。他に、栄養要求性の宿主に対して相補的に必須栄養分を与える方 法も用いられる。 本発明のポリペプチドの生産に用いられる宿主には、原核生物、例えば細菌な どの単細胞微生物;および酵母をはじめ、菌類、藻類、原生動物、カビなどの真 核生物が含まれる。形質転換できる特殊な細菌には、大腸菌(Escherichia coli )などの腸内細菌類;サルモネラ(Salmonella);バチルス・サチリス(Bacill us subtilis)などの枯草菌類(Bacillaceas);肺炎双球菌(Pneumococcus); ストレプトコッカス(Streptococcus);ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemo philus influenzae)、およびサッカロミセス(Saccharomyces)などの酵母など がある。 DNA配列は宿主のゲノムに直接導入することもできるし、またはまずベクター に組み込んでから宿主に導入することもできる。直接的な組み込みの典型的な手 法には、組換えファージまたはコスミドによるトランスダクション、特殊な処理 をした宿主細菌細胞が裸のファージ染色体を取り込むトランスフェクション、お よびカルシウム沈殿による形質転換がある。これらの手法は当業者によく知られ ている。典型的なベクターは、プラスミド、コスミドおよびファージである。 P.ジンジバリスのDNAのゲノムライブラリは、有名なプラスミド発現ベクター を用いて構築した。例えば、pBR322の複製開始点、pBR322のアンピシリン耐性遺 伝子、およびβ-ガラクトシダーゼのαペプチドをコードする大腸菌のlacZ遺伝 子の一部を含む、発現ベクターpUC9である。lacZ遺伝子のアミノ末端は複数種類 のクローニング用切断部位を持つポリリンカー領域を含む。β-ガラクトシダー ゼを欠いた大腸菌(E.coli)JM109を、pUC9で形質転換すると、細菌のβ-ガラク トシダーゼ活性が相補され、細菌細胞はラクトースのアナログであるX-GALを代 謝して青色を呈するようになる。ポリリンカー領域に挿入されクローン化された DNAは、プラスミドのlacZ遺伝子を分断する。このため、組換えプラスミドで形 質転換された大腸菌はX-GALを代謝できず、X-GALを含むプレート上で白色のコロ ニーを形成する。 P.ジンジバリスの抗原を安定に発現する大腸菌のクローンを単離した。これら の抗原は、フィルタ結合酵素イムノアッセイ(filter-binding enzyme immunoas say)およびELISA法の両方を用いて、無傷の細胞から検出した。これらのクロー ンの一つであるクローン2が、ポリアクリルアミドゲル上に現れ、ウエスタンブ ロット解析で検出される125kD以上の平均分子量をもつポリペプチドをコードし て いることがわかった。このポリペプチドは後に、144kD以上であると決定された 。最初にクローン2から同定された完全なhagA遺伝子は、現在では283.3kDのタ ンパク質をコードすることが決定されている。クローン2内でのP.ジンジバリス 抗原の発現は、IPTGの存在下でも非存在下でも起こるが、IPTGの刺激により促進 される。クローン3の抗原についても、クローン2と同様にIPTGにより刺激を受 けることがわかった。 抗原を発現するクローンについて、機能的な活性を調べたところ、クローン2 、5および7は赤血球を凝集することができたが、一方大腸菌JM109(pUC9)は できなかった。これらのクローンの制限地図およびサザンブロットハイブリダイ ゼーションの結果は、クローン2の細胞がクローン5および7とは異なるPorphy romonasのDNAインサートをもつことを示した。自己凝集能をもつクローン5は、 クローン7のインサートと共通の4800bpの断片に加えて760bpのDNA断片をもって いる。これら2つの断片を異なる方向にサブクローン化したところ、4800bpのDN Aは赤血球凝集活性をコードしており、760bpのDNAは自己凝集活性をコードして いることがわかった。反対方向にインサートをサブクローン化しても機能を持っ たタンパク質が発現されたことから、両断片とも、ポルフィロモナスのプロモー ターを有しているはずであり、クローン5および7の抗原発現はIPTGによる刺激 を受けない。 クローン5および7のウエスタンブロット解析およびこれらのサブクローンの ミニセル解析により、P.ジンジバリスのDNA断片が約16kbおよび約49〜50kbのポ リペプチドをコードしていることがさらに明らかになった。これらのポリペプチ ドの大きさは、変性条件下でのSDS-PAGEを用いて測定した。非変性で49〜50kDの タンパク質についてはイムノアフィニティ・クロマトグラフィーによる精製も行 った。49〜50kDの赤血球凝集に関係するタンパク質は、おそらく、赤血球の凝集 に関与する、末検出の表面抗原である。 クローン2に対するウサギポリクローナル抗体を吸収した大腸菌は、SDS-PAGE で分離したP.ジンジバリスの細胞可溶化物のバンドのいくつかと反応することが わかった。最も早く現れ、最も強い反応を示したのは43kDおよび38kDの2本のバ ンドであった。32kDおよび30kDの2本のバンドは後から現れ、110kD、90kDおよ び 75kDの3本の薄いバンドがさらに遅れて見られる場合もあった。これは、P.ジン ジバリスのヘマグルチニンがクローン2で発現していることを強く示唆する。 クローン5および7に対するウサギポリクローナル抗体を吸収した大腸菌もま た、43kDおよび38kDのバンドと反応したが、より大きな110kD、90kDおよび75kD のバンドの反応はわずかであり、32kDおよび30kDのバンドとは反応しなかった。 よって、クローン5および7はクローン2とは相同でなく異なる抗原エピトープを 発現するが全てヘマグルチンとして機能しているDNAインサートを含む。クロー ン7のインサートはポルフィロモナスのプロモーターを含むが、クローン2のイン サートは含まない。大腸菌宿主(クローン2)は、大腸菌psT2と表されアメリカ ンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection(ATCC) 12301 Parklawn Drive、Rockville、MD 20852)に寄託されている。大腸菌宿主 (クローン5)も、大腸菌psT5と表され、これもATCCに寄託されている。これら は以下の受諾番号で指定される; 菌株 受諾番号 寄託年月日 大腸菌pST2 ATCC 67733 1988年6月24日 大腸菌pST5 ATCC 67734 1988年6月24日 これらの菌株は本特許出願の係属中も、特許及び登録商標の委員会(Commissi on of Patents and Trademarks)が37 CFR 1.14および35 U.S.C.122のもとに権 利を有すると定める者に対し、これらの菌株へのアクセスを保証する、という条 件で寄託される。本出願に相当するものまたはその所産が提出されている国にお いて外国特許法が要求する場合には、これらの供託物を入手できる。しかしなが ら、供託物の入手性は、政府の法律(action)により認められた特許権の減損の ために本発明を実施する資格とはならない。さらに、本菌株の供託は、寄託微生 物に関するブダペスト条約(Budapest Treaty for the Deposit of Microoganis ms)の規定に従って保存され入手できるようになっている。すなわち、供託のサ ンプル供給の最後の要望があってから最低5年間の間、および全ての場合、寄託 から最低30年間、またはその菌株を開示する全ての特許が有効である期間、それ らの供託物が生存し汚染されないように保つために必要な全ての保護を行って保 存される。供託者は受託者が要望に応じて供給できなくなった場合には、供託物 を交 換する義務を負う。本菌株の寄託の一般への入手に関する全ての制限は、特許の 認可のよりそれらが開示された時点で取り除かれ、以後改変できないものとする 。 本明細書に開示および請求される新規の遺伝子はATCCに寄託された大腸菌株か ら取り出すことができる。遺伝子の単離は、分子生物学の当事者によく知られて いる技術を用いて行うことができる。単離された遺伝子は、適当な媒体に挿入さ れた後、別の微生物の形質転換に用いられる。 バイオテクノロジーの分野では、本実験および遺伝子産物が多くの貴重な用途 を持つことがよく理解されている。例えば特殊な塩基配列から成るこれらの遺伝 子自身、およびその断片は、相同な配列が存在するかどうかを決定するために、 他の塩基配列に特異的におよび選択的にハイブリダイズする、またはプローブと してそれを検出するのに用いることができる。本塩基配列のまたはその断片のプ ローブとしての利用は、診断法、または十分に相同性が高いために通常の方法と 条件ではテストする配列とプローブの間でハイブリダイゼーションが起こってし まうような塩基配列を持つ他の形質転換体及び生物種の同定、などへ応用できる 。本明細書で用いた通り、実質的な配列の相同性は似た配列にもとのプローブと 同程度の機能をもたせ得ることを示す。好ましくはこの相同性は50%以上である ;さらに好ましくはこの相同性は75%以上である;最も好ましくはこの相同性は 90%以上である。類似の配列の目的の能力を機能させるのにどの程度の相同性が 必要かは、その配列を使用する目的によって異なる。配列の機能を改善するため 、または方法論としての利点を得るために設計された置換、挿入および欠失変異 の作成は当事者の技術で十分行うことができる。 さらに、本塩基配列およびその断片は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または他 の核酸合成法により配列を調製および製造する場合プライマーとして用いること ができる。明らかに、本遺伝子および断片は、遺伝子産物、すなわち、それにコ ードされる抗原またはポリペプチドの生産に有用である。 任意のポリヌクレオチド配列の塩基置換、挿入および欠失は、いろいろな方法 で作成することができ、これらの方法は当技術分野の普通の技術者には知られて いる。他の方法も将来知られるようになるかもしれない。 既知の方法としては、以下のようなものがあるが、特に限定するわけではない : (1)既知の配列の塩基置換、挿入または欠失をもつ、人工の配列を科学的また は他の方法で合成する; (2)ハイブリダイゼーションを用いて、新規の配列または塩基置換、挿入、ま たは欠失をもつテスト配列をインビトロまたはインビボで得るための、本発明の プローブの使用;および (3)インビトロまたはインビボでの、テスト配列の塩基置換、挿入、欠失。 与えられたプローブから作成された、置換、挿入および欠失を持つ類似の配列 が、もとのプローブに比べて有効性が高くも低くもなりうることに注意すること は重要である。有効性に違いがあるとしても、これらの類似配列は本発明の範囲 内にある。このように、開示された配列から置換、挿入および欠失を起こした類 似配列は、当業者によく知られた方法により直ちに調製できる。これらの類似配 列は、それらがプローブと実質的な配列の相同性を有している限りにおいて、イ ンスタント・プローブと同様に使用できる。 遺伝子産物にも多くの利用法がある。例えば、形質転換された宿主の中で遺伝 子が生産した抗原は、この抗原に対する抗体の生産に有用である。これらの抗体 は、標識してプローブとして用いたり、または親和性を利用した分離技術にも使 用できる。これらのポリペプチドはまた、未知のポリペプチドの特徴付け、また は既知のポリペプチドの同定または存在の確認を分子量を用いて行う、クロマト グラフィーまたは電気泳動その他における分子量マーカーとしても有用である。 以下に示すのは、材料、方法および手順を示した例であり、本発明の実施に最 適の方法が述べられている。これらは実例であって、限定されるものと解釈され てはならない。実施例1 染色体DNAの調製 保存培養物から得たPorphyromonasジンジバリス381株を、羊血(5%)、ヘミ ン(5μg/ml)、およびメナジオン(5μg/ml)を含むトリプティカーゼ ダイズ寒天(Trypticase soy agar(MBL Microbiology Systems,Cockeysville ,MD))プレート上で生育させた。この菌をさらに、ヘミン(5μg/ml)、 メナジオン( 5μg/ml)およびグルコース(2mg/ml)を添加したトッド−ヒューイットブ ロス(Todd-Hewitt broth(BBL))10ml中で培養した。培養液を、37℃の窒素− 水素−二酸化炭素(85:10:5)の嫌気チャンバー内で、生育が対数増殖期に至る まで保温した。この培養液10mlを同じ培地25mlに移し、次に500mlの培地に移し た。嫌気条件下、37℃で対数増殖後期まで培養した。大腸菌JM109[recA1,endA 1,gyrA96,thi,hsdR17 sup E44,relA1,(lac-proAN),(F;traD36,proAB,la cIZM15)およびプラスミド発現ベクターpUC9は既に説明されている(Viera,J., J.Messing[1982]"合成の全プライマーを用いる挿入変異誘発及び配列決定に有用 なpUCプラスミド、M13mp 7由来システム(The pUC Plasmids,an M13mp 7-Deriv ed System for Insertion Mutagenesis and Sequencing with Synthetic Univer sal Primers)",Gene 19:259〜268)。大腸菌JM109は、Bacto-trypton(10g/l )、Bacto-yeast extract(5g/l)およびNaCl(5g/l)を含むLuria-Bertani( LB)培地で培養した。固形培地には、Bacto-agarを終濃度15g/lで加えた。大腸 菌JM109の形質転換体は、50μg/mlアンピシリンを含むLBプレート上で選抜 し、維持した。 次に、P.ジンジバリス381株の染色体DNAは次のように調製した:1〜31の細胞 を遠心により集め、27%ショ糖および10mMエチレンジアミン4酢酸(EDTA)を含 む1×SSCバッファー(0.87%NaCL、0.04%クエン酸ナトリウム)で1回洗浄した 。細胞を集め、4℃で同じバッファーを用いて最初の1/50量に懸濁した。SSCに溶 かしたリゾチーム(5mg/ml)を0.5mg/mlに成るように加えた;混合液を完全に 混ぜ、37℃で10分放置した。27%ショ糖、10mM EDTAおよび1.11%SDS(あらかじめ 39℃にしておく)を含む1%SSCを9倍量加え、細胞懸濁液を37℃で10〜30分放置 し、細胞を完全に溶解させる。混在するタンパク質を変性するため、プロテイナ ーゼKを終濃度1mg/mlで加え、溶解物を37℃で4時間放置した。DNAを、フェノー ルで4回、フェノール/クロロホルム(体積比1:1)で2回、およびクロロホル ムで4回抽出した。2倍量の無水アルコールを加え、析出したDNAをガラス棒に 巻き取った。精製したDNAを70%エタノールですすぎ、pH8.0のTEバッファー(10m M Tris-HCl pH8.0,1mM EDTA)に懸濁した。 別の方法として、P.ジンジバリス381株から染色体DNAをCTAB(ヘキサデシルト リメチルアンモニウムブロマイド)/CsCl超遠心法で単離した。簡単に言えば、 0.4〜0.5gの湿細胞を9.5ml TEバッファー(10mM Tris-HCl pH8.0,1mM EDTA,pH 8.0)に懸濁し、0.5ml10%SDSおよび50μlの20mg/mlプロテイナーゼKを加えて3 7℃1時間保温した。1.8mlの5M NaClおよび1.5mlのCTAB/NaClを加え、65℃で20 分保温した。混合液をクロロホルム/イソアミルアルコールで抽出し、0.6容イ ソプロパノールで析出させた。DNAペレットは20mlのTEバッファーに溶解し、20g CsClおよび500μlの10mg/ml臭化エチジウムを添加し、Beckman GA-20ロータ ーを用いて12,000rpmで30分遠心した。次に、上清をBeckman VTi50ローターで、 45,000rpmで18時間遠心した。DNAのバンドを長波長紫外線ランプのもとで回収し 、臭化エチジウムを水飽和ブタノールで除き、CsClを除くためにTEバッファーに 対して完全に透析した。 P.ジンジバリスW12株の染色体DNAも、同様の方法で得た。実施例2 プラスミドDNAの抽出およびゲノムライブラリの構築 プラスミドDNAは、細胞をNaOH存在下SDS-EDTAで溶解する、Ish-Horowoczおよ びBurkeの方法で単離した(Ish-Horowicz,D.,J.F.Burke[1981]"迅速かつ効率 的なコスミドクローニング(Rapid and Efficient Cosmid Cloning),”Nucleri c Acids Res/9:2989〜2998)。pH4.8の酢酸カリウムを4℃で加え、細胞残さ、 タンパク質、RNAおよび染色体DNAを遠心により取り除いた。プラスミドを2容の エタノールで沈殿し、70%エタノールで洗い、乾燥し、pH7.5のTEバッファーに 再懸濁した。臭化エチジウム存在下で塩化セシウム濃度勾配遠心を行い、混入し たRNAおよび染色体DNAの残留物からプラスミドを分離した。臭化エチジウムおよ び塩化セシウムは、ブタノール抽出および透析によりそれぞれ除去した。透析し たプラスミドを次にフェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈殿し、TEバ ッファーに再び懸濁した。 精製したP.ジンジバリスのDNAを制限酵素Sau3Aで部分分解して2〜10キロベー スの断片を作成し、これをT4DNAリガーゼを用いる通常の方法(「Maniatis,T. ,E.F.Fritsch,J.Sambrook[1982]Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Col d Spring harborLaboratory,Cold Spring Harbor,NY」;「Sambrook,J.,E. F.Fritsch,T.Maniatis[1989]Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold S p ring harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY」;および「Wizard Mini-Pr ep Kit,Promega Co.,Madison,WI」)により、ベクターpUC9の脱リン酸化したB amHI部位に連結した。ゲノム断片は、染色体DNAの制限酵素HindIIIによる部分分 解でも作成し、pUC9の脱リン酸化したHindIII部位に連結した。生じた組換えプ ラスミドを用いて、大腸菌JM109を形質転換した。大腸菌JM109は、LB broth中で 対数増殖初期(OD550=0.2)まで培養した。10mlの培養液を5000rpm、4℃で5分間 遠心し、2mlの形質転換バッファー1(TFH1、10mM Tris-HCl,pH7.5、0.15M NaC l)に懸濁した。次に細胞を回収し、2mlのTFM2(50mM CaCl2)に懸濁し、氷上で 45分間放置した。細胞を再び回収し、3mlのTFM2に優しく懸濁し、0.2mlずつ分注 した。0.lmlのTFM3(10ml Tris-HCl,pH7.5、50mM CaCl2、10mM MgSO4)をそれ ぞれに加えてから、いろいろな量のDNAを加えた。次に、細胞を氷上に45分間置 き、37℃2分間ヒートショック処理した。LBブロス(LB broth)(0.5ml)を加え、 細胞懸濁液を37℃1時間保温した。最後に、細胞をアンピシリン(50μg/ml )および5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド(X-GAL )(200μg/ml)を含むLB寒天上に塗布し、37℃で24〜48時間培養した。全 ての形質転換体を、アンピシリン(50μg/ml)および20%グリセロールを加 えたLBブロス(LB broth)中で-70℃で保存した。実施例3 抗血清の調製および抗体力価の解析 P.ジンジバリス381株の対数増殖後期の細胞を回収し、0.01Mリン酸緩衝生理食 塩水(PBS)pH7.2で洗浄し、PBSおよび0.01Mアジ化ナトリウムに懸濁し4℃で1時 間以上放置した。細胞を再びPBSで洗浄し、1×109細胞/mlの濃度に再懸濁し、 等容のフロイントの不完全アジュバント(Freund's incomplete adjuvant)中で 乳化した。細胞乳化物を2週間間隔で計3回、4週間にわたり、ニュージーラン ドウサギ(New Zealand rabbits)成体の背皮下に注射した。各ウサギは50〜60 日後に追加抗原刺激を行った。免疫化の直前および追加抗原刺激の1週間後に耳 周辺静脈から抗血清を回収した。全ての血清は-20℃で保存した。 ウサギの抗P.ジンジバリス抗血清は、pUC9プラスミドを持つ大腸菌JM109[E.co li JM109(pUC9)]に4回吸収させた。各吸収について、1lの定常期の培養液か ら回収した大腸菌の細胞を洗浄し、3mlの血清と混合して4℃で1時間放置した。5 000×gで20分間遠心して細胞を沈殿させることにより、血清を回収した。超音波 破砕液による吸収については、500mlの定常期の培養液から回収した大腸菌の細 胞を5mlのPBSに懸濁したものを、超音波処理により破砕して、大腸菌細胞に吸収 させた血清と混合して4℃で1時間放置した。混合物は100,000×gで1時間遠心し 、得られた透明の血清を-20℃で保存した。 次に、血清の抗P.ジンジバリスおよび抗大腸菌活性を、エンザイム・リンクト ・イムノソルベント・アッセイ(ELISA)法により調べた。pH9.6の炭酸-重炭酸 バッファーに懸濁したP.ジンジバリスの細胞(108細胞/ウェル)を、4℃で一晩 放置してマイクロタイタープレート上に固定した。0.5%「TWEEN-20」を含むPBS でウェルを洗った後、1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むPBSを各ウェルに加え 、プレートを室温で2時間放置して結合部位を飽和させた。プレートを洗浄後、 段階希釈した血清を加え、プレートを室温で1時間置いた後、0.5%「TWEEN-20」 を含むPBSで2回目の洗浄を行った。ペルオキシダーゼに結合したヤギ抗ウサギI gGを1%BSAに1:1000に希釈したものを加え、プレートを再び室温で1時間放置した 。最後の洗浄後、発色基質溶液(o-フェニレンジアミン0.1Mクエン酸バッファー 溶液、0.5g/ml)を加え、プレートを室温で30分放置した。492nmにおける吸光 度をTitertek Multiscan readerで測定した。バックグラウンドの値は、抗P.ジ ンジバリス抗血清を除く全ての試薬を加えたウェルで決定した。正常なウサギ血 清についても、P.ジンジバリス抗原に対して検査した。吸収の有効性を調べるた めに、処理した血清の力価を、上記の方法で、ただし大腸菌JM109(pUC9)全細胞 を抗原として用いて解析した。 ウサギ抗P.ジンジバリス抗血清は、P.ジンジバリスに対して1:64,000、大腸菌 (pUC9)に対して1:160の力価を持っているのに対し、正常のウサギ血清の抗体 力価はP.ジンジバリスに対して1:10、大腸菌(pUC9)に対して1:80であること がわかった。抗P.ジンジバリス抗血清を大腸菌(pUC9)に吸収させると、P.ジン ジバリスに対する抗体力価はほとんど低下せず、抗大腸菌力価はゼロから1:10 にまで低下した。実施例4 フィルタ結合酵素イムノアッセイ(Filter-Binding Enzyme immunoass ay) X-GAL存在下で白いコロニーを形成するアンピシリン耐性の形質転換体を、ア ンピシリンを含むLB寒天培地プレート上にスポットし、一晩培養し、円形のニト ロセルロース膜上にブロットした。ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingiv alis)および大腸菌JM109(pUC9)も、各フィルタにそれぞれ陽性および陰性の対 照としてスポットした。ニトロセルロース膜上にプリントしたコロニーを2連で 作成し、そのうち1枚ずつについて、フィルタ上のコロニーを15分間クロロホル ムの蒸気にさらして溶菌した。次にフィルタを30分間空気乾燥し、3%BSAを含むP BSに2時間浸した。フィルタを洗浄後、吸収させたウサギ抗ポルフィロモナス・ ジンジバリス(P.gingivalis)抗血清を加え、フィルタをペルオキシダーゼと共 役させたヤギ抗ウサギイムノグロブリン溶液中で1時間保温した。洗浄後、フィ ルタをメタノール-TBS(50mM Tris-HCl、200mM Nacl、pH7.4)1:4溶液中に0.06%4- クロロ-1-ナフトールおよび3%過酸化水素を含むから成る発色基質溶液中で現像 した。青色を呈するクローンを取り、同じ方法で再びスクリーニングした。 HindIIIで切断した染色体DNAから得た計17,000コロニーの形質転換体について ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗原の発現を調べた。7クロ ーンが陽性のシグナルであった。実施例5 組換えプラスミドの制限およびサザンブロッテイング解析 フィルタ結合酵素イムノアッセイで陽性となった結果をさらに確認するため、 各陽性クローンからプラスミドDNAを抽出した。これらのプラスミドを制限酵素 処理せずに泳動したところ、各クローンがそれぞれ単一の組換えプラスミドを含 むことがわかった。 DNAインサートがポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)DNA由来で あることを確かめるため、サザンブロット解析を行った。フィルタ結合酵素イム ノアッセイで陽性であったすべてのクローンからプラスミドを分離した。完全に 消化するため、制限酵素による消化は製造者の指示される条件下で行った。アガ ロースゲル電気泳動をマニアチス(Maniatis)らの方法(1982、前出)により行っ た。 組換えプラスミドおよびpUC9ベクターDNAを適当な制限酵素で完全分解し、1.2 %アガロースゲルで泳動した。Sau3Aで部分分解したポルフィロモナス・ジンジバ リス(P.gingivalis)DNAおよびHindIIIで分解したエイケネラ・コロデンス(Ei kenella corrodens)クローン18のDNAもゲルに載せた。DNAをサザントランファ ー法(Southern,E.M.(1975)、「ゲル電気泳動により分解されるDNA断片中の特 異的配列の検出(Detection of Specific Sequences Among DNA Fragments Sepa rates by Gel Electrophoresis)」、J.Mol.Biol.98:503-517)によりバイオ ダイン(BI0DYNE)ナイロンメンブレンに転写した。HindIIIで部分分解したポル フィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)DNAを(α-32PdCTP)(400Ci/mmol、 Amersham Corp.,Arlington Heights、III)により、マニアチス(1982、前出) の方法通りにニックトランスレーションした。メンブレンに結合したDNAを製造 元(Pall Ultrafine Filteration Corp.,Glen Cove,NY)の推奨するWahlら(W ahl,G.M.,M.Stern,G.R.Stark[1979]「アガロースゲルからDNA大断片のジアゾベ ンジロキシ-メチル-膜への効果的な転写および硫酸デキストランを用いた急速ハ イブリダイゼーション(Efficient Transfer of Large DNA Fragments from Aga rose Gels to Diazobenzyloxy-Methyl-Paper and Rapid Hybridization by Usin g Dextran Sulfate)」、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 76:3683-3687)の方法を 改変した方法によりニックトランスレーションしたプローブと、42℃で16時間、 50&ホルムアミド中でハイブリダイズさせた。メンブレンを室温で洗浄バッファ ー(2×SSCおよび0.1%SDS)中で各5分間、4度洗浄し、次に0.1×SSC、0.1%SDS中 で50℃で各15分間、2回洗浄した。KODAK XAR-5フィルム(Eastman Kodak Co.,Ro chester NY)およびCronex QuantaII増感スクリーン(DuPont Co、Wilmington、D E)を用いてオートラジオグラムを得た。 クローン1、2、4、5、7および8は、HindIIIで分解した染色体DNAから作成され た。HindIIIで分解すると、クローン5、6、7および8のみが線状pUC9ベクターお よびポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)DNAインサート断片を持 っていた。これらのクローンのプラスミドDNAをいろいろな制限酵素で分解し、 ゲル電気泳動で解析した。クローン5、6、7および8の推定インサートサイズは、 それぞれ5.5、5.5、4.8および3.5kbであった(表1)。これにより、クローン5 および6が同サイズで同一の制限断片を含むプラスミドを有することがわかった 。 Sau3Aで部分分解したポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)DNAを BamHIで切断したpUC9に結合して構築したクローン3は、SmaIおよびSalIで分解 した。制限解析で、線状の9bp欠失したpUC9およびインサートの2断片が現れた 。他の制限酵素による制限解析で、クローン3のインサートサイズは約1.1kbで あることがわかった。 クローン1、2、および4は、HindIII分解したDNAから作成したが、HindIIIで分 解しても線状のpUC9断片を生じなかった。次にこれらのクローン化DNAをpUC9か らポリリンカークローニング部位を含む307bpの断片を生じるPvulIで切断した。 すると、クローン1、2および4は、307bp欠けた線状のpUC9、および欠失分の断片 に結合したインサートが得られた。これらのクローン化DNAをいろいろな制限酵 素で分解し、アガロースゲル電気泳動により解析した。クローン1、2および4の インサートサイズはそれぞれ3.2、3.2および3.3kbであった(表1)。クローン1 および2もそれぞれ同サイズで同一の制限断片を持つプラスミドを含んでいた。 a=陽性反応 b=陰性、反応無し実施例6 ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗原を発現する大 腸菌形質転換体に対する抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗 血清の力価のアッセイ 代表的な各クローンの培養液を、終夜培養液を100倍希釈し37℃で2時間生育さ せることにより調製した。イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG) をこの培養液に終濃度1mMで加え、4時間後に遠心して細胞を回収した。細胞を洗 浄し、1/10容のPBSに懸濁し、各懸濁液の濁度を550nmで測定した。細胞可溶化物 の抗原は、細胞を超音波破砕装置で破砕して調製した。各可溶化物のタンパク質 濃度は、Bio-Radプロテインアッセイ(Bio-Rad Laboratories,Richmond,CA)に より決定した。これらの抗原に対する抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gi ngivalis)381の力価の測定は、上記のELISAを用いて行った(細胞108個または1 μgタンパク質/ウェル)。完全に大腸菌JM109(pUC9)に吸収させた正常なウサ ギ血清についても同様に試験した。 抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗血清は、酵素結合免疫 測定法(ELISA)でクローン8を除く全ての陽性クローンの抗原発現を検出できた 。抗血清は、全細胞および細胞可溶化物抗原の両者と反応した。イソプロピル- β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)は抗原の発現誘導に必須ではなかった。 しかしながら、特に細胞可溶化調製物をテストしたばあい、クローン2および3は IPTG存在下でより高い抗原発現を示した。これらの結果を表2に示す。 a.数字は、バックグラウンドに対し0.05以下のOD492を与える血清希釈倍率の 逆数を示す。抗血清は大腸菌JM109(pUC9)に完全に吸収させた。 b.抗原は、IPTG非存在下(IPTG-)またはIPTG存在下(IPTG+)で生育させた培養か ら調製した。 c.試験していない。 d.大腸菌JM109(pUC9)に完全に吸収させた正常なウサギ血清は、テストした抗 原と反応しなかった。実施例7ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE 5個の安定な代表クローンの抗原発現について、SDS-PAGEで解析した。抗原を 産生する代表のクローンのそれぞれを、50μgアンピシリン/mlの3mlのLB bro thで対数増殖中期まで生育させた。細胞を回収し、PBSで洗浄し、0.3mlのサンプ ルバッファー(62.5mM Tris-HCl、5%2-メルカプトエタノール、2% SDS、10%グ リセロール、0.002%ブロモフェノルブルー、pH6.8)に懸濁し、3分間ボイルし た。ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)の細胞可溶化物を等容の サンプルバッファーと混合し、同様に処理した。 SDS-PAGEは、12%ポリアクリルアミドゲルを用い、縦型スラブゲル電気泳動槽 (Hoefer Scientific Instruments,San Francisco,CA)中でLaemmliらの方法 (Laemmli,U.K.[1970]「T4バクテリオファージの頭部集合における構造蛋白質 の切断(Cleavege of Structural Proteins During the Assebmly of the Heado f Bacteriophage T4)」Nature(London)227:680-685)に従って行った。クロー ン2の全細胞調製物を5%SDSポリアクリルアミドゲルで分離したところ、発現さ れるタンパク質は当初分子量125kD以上と見積もられたが、後に144kD以上である と決定された。実施例8 抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗血清によるSH A付着阻害解除のアッセイ インビトロの方法で決定された構成因子の発現についてさらに検討した。前述 の実施例で説明した、抗原を発現するクローンについて、唾液で処理したハイド ロキシアパタイトに対するアドヘシン(SHA-アドヘシン)の発現を調べた。ポル フィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)381のSHAに対する付着を阻害する 抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)381抗血清を、抗原を発現 するクローンのそれぞれに、各クローンに対する抗血清の力価がゼロになるまで 吸収させた。吸収させた抗血清をそれぞれポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)のSHA付着阻害についてテストした。 ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)381は、トッド-ヘビット培 地(Todd-Hewitt broth)で培養した。大腸菌形質転換体は、終夜培養液を50μ /mlアンピシリンを含むLB培地で100倍に希釈した後、37℃で2時間培養した。 IPTGを終濃度1mMになるように培養液に加え、さらに4時間培養した。 抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗血清を用いたSHA付着 阻害解除のアッセイを、SHA付着を調べるために用いた。これを行うために、分 注した抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)抗血清を、各抗原発 現クローン、ならびに大腸菌JM109(pUC9)に吸収させた。各クローンおよびポル フィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)全細胞抗原に対するそれぞれ吸収 させた抗血清の力価を前述のELISA法で調べた。 パラフィンで刺激した(paraffin-stimulated)全ヒト唾液を56℃、30分間、 加熱し、分解性の酵素を失活させた。外来の残さおよび細胞を12,000rpm、10分 間遠心して除去し、アジ化ナトリウムを終濃度0.04%になるように加えた。 ハイドロキシアパタイト(HA)ビーズ(BDH Biochemical,Lt.,Poole,England )を既に説明した通りに処理した(Clark,W.B.,L.L.Bammann,R.J.Gibbons[ 1978]、「ハイドロキシアパタイト表面上における細菌の親和性および吸着部位 の相対評価(Comparative Estimates of Bacterial Affinities and Adsorption Sites on Hydroxyapatite Surfaces)」、Infect.Immun.19:846-853)。簡単 に述べると、10mgのビーズを洗浄し、250μlプラスチック製遠心チューブ内で 滅菌水で水和させ、吸収バッファー(0.05M KCl、1mM K2HPO4、pH7.3、1mM Ca Cl2および0.1mM MgCl2)で一晩平衡化した。ビーズを200μl唾液とともに4℃で 24時間放置し、滅菌吸着バッファーで洗浄して、非吸収物を除去した。HAを加え ていない対照のチューブも同様に処理した。 ポルフィロモナス・ジンジバリス(P.gingivalis)381株の細胞を、(3H)チミ ジン(10mci/ml)添加した培地中で、対数増殖後期まで生育させることにより標識 した。細胞を回収し、吸収バッファで2回洗浄し、マイクロ超音波細胞破砕装置 を用い、10秒のパルス(中出力)を3回与えて分散させた。 分散させた細胞を、それぞれ抗血清(1:100希釈)および正常ウサギ血清と、 終濃度4×104cells/mlになるように混合した。次に、この細胞-抗血清懸濁液( 200μl)を、微量遠心チューブ中でSHAビーズに加え、チューブを嫌気チャンバ ー内で1時間回転させた。標識細胞のみ(抗血清無し)も同様に処理し、SHAの 表面に付着する細胞数を決定した。細胞のみでSHAを加えない対照チューブを検 査して、SHAではなくチューブに結合する細胞量を測定した。付着しなかった細 胞を含む吸収バッファー100μlをとり、3mlのシンチレーション・カクテル水溶 液(Amersham/Searle,ArlingtonHeights,IL)を加えたミニバイアルに移し、 シンチレーション・カウンター(Model455 Parkard Tricarb)で計測した。SHA に付着する細胞数は、溶液中の細胞数(計測数)をチューブに付着しなかった全 細胞数(計測数)から引くことにより決定した。 表3に示す結果は、SHA阻害データをまとめたものであり、抗原を発現する各 クローンに吸収させた抗血清が、なおP.ジンジバリスの付着を阻害したことを示 している。 a.付着率は以下の式で計算した:付着率(%)=[(SHAなしのチューブのcpm-SHA 入りのチューブのcpm)/(SHAなしのチューブのcpm)]×100。 b.阻害率は以下の式で計算した:阻害率(%)=[1-(抗体存在下での付着率/抗 体非存在下での付着率)]×100。実施例9 直接的な赤血球凝集解析 ヘマグルチニンを発現するクローンの同定の原理は、SHAアドヘシンの場合と 同様である。抗原を発現するクローンおよび大腸菌JM109(pUC9)に吸収させた抗P .ジンジバリス抗血清について、SHAのアッセイの場合と同様に、抗P.ジンジバリ ス抗血清の赤血球凝集阻害の解除能を調べた。赤血球凝集阻害解析を行う前に、 ヘマグルチニンを生産するP.ジンジバリスの最小細胞数を決定する必要があるの で、抗原を発現するクローンならびにP.ジンジバリスについて直接的な赤血球解 析を行った。 直接的な赤血球凝集解析を用いて赤血球への付着を調べた。赤血球凝集解析は 、V底マイクロタイタープレート(Dynatech Laboratories,Inc.,Alexandria, VA)中で行った。赤血球(ヒツジまたはヒトO-グループ)をpH7.2のPBS(0.02M リン酸緩衝生理食塩水)で3回洗浄し、終濃度0.2%(v/v)に懸濁した。P.ジンジ バリスおよび抗原を発現するクローンの細胞をPBSで2回洗浄し、660nmにおける 濁度がそれぞれ0.5および2.0になるように懸濁した。細胞懸濁液をPBSで倍々に 希釈し、希釈液0.05mlをウェルに加えた。抗原を発現するクローンと同様に調製 した大腸菌JM109(pUC9)を対照として含めた。等量(0.05ml)の洗浄済み赤血球を 加え、細菌細胞と混合した。プレートを4℃で16時間放置した後、以下の方法で 赤血球凝集の証拠を調べた。凝集した赤血球は、ウェル底部全体に散らばった塊 として沈み、ウェルをピンク色にコーティングする。赤血球凝集がない場合、赤 血球は中央に、なめらかでつやのある赤色の円盤状に沈む。力価は、陽性の凝集 を示した最大希釈率の逆数で示した。 赤血球凝集阻害解析についてもV底マイクロタイタープレートで行った。P.ジ ンジバリス細胞のPBS懸濁液を660nmにおける濁度0.5に調整した。赤血球凝集阻 害活性を調べる抗血清をそれぞれ倍々に希釈してウェルに加えた。次に、ヘマグ ルチニンを生産する最小数の2倍の細胞を含む細菌懸濁液50μlを各ウェルに加 えた。 室温でゆっくり振とうしながら1時間放置後、0.05mlの洗浄済み赤血球を各ウェ ルに加えて混合した。プレートを4℃で16時間放置し、前述の赤血球凝集アッセ イと同様にして赤血球の凝集を読みとった。力価は、赤血球凝集阻害を示す最大 の希釈率の逆数で表した。 赤血球凝集能を持つ大腸菌形質転換体は、前述の通り、アンピシリンを含むLB ブロス(LB broth)で培養した。各クローンを、前述の通り2匹のウサギに注射 した。血清を完全に大腸菌JM109(pUC9)に吸収させ、抗P.ジンジバリス活性をELI SA法で調べた。 1:10に希釈した抗クローン血清を別々にP.ジンジバリス大腸菌JM109(pUC9)な らびにクローン2,5および7に吸収させた。各細菌を定常期まで培養した細胞を洗 浄した物は前述の通りに調製した。吸収にはそれぞれ107,108および109個の細菌 細胞を200μlの血清と混合し、この懸濁液を4℃で一晩放置した。この血清を12 ,000×gで遠心して回収した。各吸収済み抗血清についてP.ジンジバリスに対す る力価をELISA法により解析した。 これらの直接赤血球凝集解析の結果、クローン2、5および7はヒツジ赤血球を 凝集したが、大腸菌JM109(PUC9)はしなかった。クローン2の赤血球の凝集力価は 2であり、クローン5および7は希釈していない懸濁液で赤血球を凝集した。加え て、クローン5は、pH7.2のPBSに懸濁した場合、自己凝集することが分かった。実施例10 DNAの制限地図作成および特徴付けの手順 クローン2,5および7の組換えプラスミドの制限酵素処理による切断は、製造元 の指示に従って行った。クローン5のDNAはHindIIIで分解し、P.ジンジバリスの2 本の断片を、コニカルチップ内のMillipore膜を通してDNA断片を濾過するという Zhuら(Zhu,J.,W.Kempenaers,D.Van der Straeten,R.Contreras,W.Fiers [1985]"遠心濾過によるアガロースゲルからの迅速かつ純粋なDNA溶出の方法(A Method for Fast and Pure DNA Elution from Agarose Gels by Centrifugal Fi ltration),"Biotech.3:1014〜1016)の方法により、アガロースゲルから単離 した。調製したDNAをフェノール/クロロホルム抽出し、エタノール沈殿し、pH8 .0のTEに懸濁した。各DNA断片をHindIIIで分解したpUC9に結合し、生じた組換え プラスミドで大腸菌JM109のコンピテントセルを前述の通りに形質転換した。こ れらの形質転換体の組換えプラスミドは、迅速なプラスミドDNA単離法(Silhavy ,T.J.,M.L.Berman,L.W.Enquist[1984]Experiments with Gene Fusions,C old Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbour,NY)で単離し、適当な制 限酵素で分解し、アガロースゲル電気泳動で解析した。 クローン2、5および7の組換えプラスミドをいくつかの制限酵素で切断し、1.2 %アガロースゲルで解析した。これらのクローンの制限酵素認識部位の図解を図1 に示す。これらのデータは、クローン2のインサートが、クローン5および7のイ ンサートとは異なっており、クローン5および7は1つの断片を共通に持つことを 示している。クローン2の制限地図から、β-ガラクトシダーゼのアミノ末端側 に、DNAインサートのHindIII部位が残っていること、インサートの逆側の末端で 欠失が起こり、リンカーの大部分が失われていることがわかる。PstI、SalI、Ba mHIおよびSmaI認識部位を含むリンカー領域が欠失したが、EcoRI部位は、PvuII およびNarIなど上流にある他の部位とともに残存していた。 制限地図をさらに確実にするために、32Pで標識したクローン7の組換えDNAを ハイブリダイゼーションのプローブとして、制限処理した組換えプラスミドのサ ザンブロット解析を行った。HindIII、EcoRIおよびSmaIで切断したクローン2のD NAは、pUC9および約1,400、1,300、420および150bpの4本のインサート切断断片 を生じた。HindIIIで切断したクローン5のDNAは、pUC9ならびに約4,800および76 0bpの2本のインサート切断断片を生じた。クローン5のDNAをHindIIIおよびBamHI で分解した場合には、pUC9および約2,800、2,000および760bpのインサート切断 断片を生じた。HindIIIのみ、およびHindIIIとBamHIとで切断したクローン7のDN Aは、それぞれpUC9および4,800bpのインサート、ならびにpUC9、2,800および2,0 00bpのインサートを生じた。 これらの制限処理DNAを転写して、ハイブリダイゼーションを行ったところ、 クローン7のプローブはpUC9ならびにクローン5および7の共通のインサートにハ イブリダイズしたが、クローン2のインサートにはハイブリダイズしなかった。 クローン5は、赤血球を凝集し、自己凝集もすることがわかったが、一方クロ ーン7は赤血球凝集能のみを有していた。クローン5は、クローン7と共通の4800b pのインサートに加えて、760bpのインサートを持っている。このデータから、76 0bp のインサートが、自己凝集活性をコードし、4,800bpの断片が、クローン5の持つ 赤血球凝集活性をコードすることが示唆される。そこで、クローン5の組換えプ ラスミドをHindIIIで分解したところ、pUC9ならびに4800bpおよび760bpのインサ ートを生じた。各インサートのバンドをこれらの形質転換体より単離し、制限酵 素で分解した。異なる方向のインサートを持つサブクローンを得た。760bpのイ ンサートのサブクローンは、クローン5.1および5.2と表し、4,800bpのインサー トのサブクローンをクローン5.3および5.4と表した。HindIIIで分解したクロー ン5.1および5.2の組換えプラスミドはやはりpUC9および760bpのインサートを生 じ、SalIで分解すると異なる制限DNAパターンが見られた。HindIIIで分解したク ローン5.3および5.4の組換えプラスミドは、pUC9および4,800bpのインサートを 生じたが、EcoRIで切断した組換えプラスミドは異なるパターンを示した。クロ ーン5.1および5.2の両者とも、pH7.2のPBSに懸濁すると自己凝集能を持つが、赤 血球を凝集することはできなかった。クローン5.3および5.4は両者とも赤血球を 凝集できたが、自己凝集はしなかった。実施例11 ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAG E)、ウエスタンブロット、ミニセル解析およびイムノアフィニティー・クロマ トグラフィーによる遺伝子産物の同定および特徴付け P.ジンジバリス細胞可溶化物および大腸菌形質転換細胞を調製し、前述したSD S-PAGEおよびBurnett(Burnette,W.N.[1981]"Western Blotting:Electrophoret ic transferof proteins from sodium dodecyl sulfate-polyacrylamide gels t o radiographic detection with antibody and radioiodinated protein A,”An al.Biochem/112:195〜203)の方法に従いウエスタンブロット法により解析した 。大腸菌JM109(pUC9)に完全に吸収させたクローン2、5および7の抗血清をウエス タンブロットのプローブとして用いた。対照抗血清として、100μl抗血清に対 し1010個の細胞という割合でP.ジンジバリスに吸収させた抗クローン2抗血清、 および、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)のDNAインサートを含 むpUC9を持つ大腸菌JM109に対する抗血清を含めて解析した。 クローン2のウエスタンブロット解析で、大腸菌に吸収させたP.ジンジバリス 抗血清を用いた場合、約125kDのタンパク質抗原およびより低分子のスメアなも のが 検出されたが、クローン5および7で発現される抗原に対応するものは、ウエスタ ンブロット解析では検出されなかった。しかし、クローン5および7は、ウエスタ ンブロット解析で、分子量約49〜50kDの主要なバンドとして検出される1つのタ ンパク質を発現しており、また、ミニセルのオートラジオグラフィーで、それと は別の27kDの弱いバンドが見いだされた。 クローン5および7の遺伝子産物の同定のため、Clark-CurtissらおよびDougan ら(「Clark-Curtiss,J.E.,R.Curtiss III[1983]"大腸菌ミニセルを用いる組 換えDNAの解析(Analysis of Recombinant DNA Using Escherichia coli Minic ells),”Methods Enzymol.101:347〜362」;「Dougan,G.,M.Kehoe[1984]"プ ラスミドDNAの発現の研究に有用な方法としてのミニセル系(The minicell syst em asa method for studying expression from plasmid DNA),”Methods Micro biol.17:233〜258」)によるミニセル法を用いた。組換えプラスミドで前述の 通り大腸菌を形質転換した。形質転換体を50μg/mlアンピシリンおよび10mM イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を含むLBプレート上で選抜 した。コロニーをストリークしして単離し50μg/mlアンピシリンを含むBSG (リン酸緩衝生理食塩水+0.01%ゼラチン)中で37℃一晩生育させた。ミニセルを 、低速遠心し、その上清を高速遠心し、さらに5〜30%(w/v)ショ糖勾配遠心す ることにより単離した。ショ当勾配遠心は1回以上繰り返した。このミニセルを 回収し、BSGで2倍に薄め、10,000rpmで10分遠心して沈殿させ、このペレットを メチオニンを含まないミニセル標識培地に懸濁した。このミニセル懸濁液を10分 間37℃で保温し、10μciの35S-メチオニンを加えた。15分保温後、細胞を氷上 で10分間冷やし、微量遠心機で2分間遠心して沈殿させた。細胞沈殿物をSDS-PAG Eにかけた。12%SDS-PAGEで泳動した35S-メチオニン標識ミニセル調製物について オートラジオグラフィーを行った。 クローン2の発現する天然のP.ジンジバリス抗原を決定するため、クローン2に 対する抗血清をウサギで作成し、ウエスタンブロット解析のプローブとして用い た。プールした抗クローン2抗血清は、P.ジンジバリス全細胞抗原に対し1:16,0 00の力価を持っていた。この抗血清を抗大腸菌の力価が大腸菌全細胞のELISA中 で1:50,000から1:10に低下するまで完全に大腸菌JM109(pUC9)に吸収させた。1 : 200に希釈した吸収済み抗血清をプローブとして用いて、12%SDSポリアクリルア ミドゲルで分離し、ニトロセルロースシートに転写した抗原を検出した。この抗 血清は、分子量約43,000および38,000の主要な2本のバンド、ならびにP.ジンジ バリス細胞可溶化物中の分子量32,000および30,000の2本のバンド、ならびにク ローン2の発現する抗原の12.5kDのタンパク質のバンドと反応した。正常ウサギ 血清は、全てのクローンおよび大腸菌JM109(pUC9)に共通な分子量40,000のバン ドと反応した。 P.ジンジバリスの反応したポリペプチドがP.ジンジバリスだけのものであるこ とを証明するために、再び12.5%SDSポリアクリルアミドゲルで分離した、大腸菌 に吸収させた抗クローン2抗血清、P.ジンジバリス細胞可溶化物抗原およびクロ ーン2全細胞抗原に、天然のP.ジンジバリス抗原を反応させた。ニトロセルロー スシートに転写後、それぞれを(1)大腸菌に吸収させた抗クローン2抗血清、( 2)P.ジンジバリスに吸収させた抗クローン2抗血清および(3)エイケネラ・コ ロデンス(Eikenella corrodens)DNAインサートを入れたpUC9をもつ大腸菌JM10 9に対する抗血清と反応させた。大腸菌に吸収させた抗クローン2は、P.ジンジバ リス細胞可溶化物と、分子量43,000および33,000の主要な2本のバンド、分子量3 2,000および30,000の2本のバンド、ならびにそれより大きい分子量約110,000、9 0,000および75,000の薄い3本のバンドと反応した。この吸収済み抗血清は、クロ ーン2の、125kD以上の分子量を持つ、発現された抗原のバンドとも反応した。 クローン5および7が発現するnativeのP.ジンジバリス抗原を明らかにするため 、クローン5および7に対する抗血清をウサギで作成したところ、P.ジンジバリス 抗原に対する力価は1:800および1:1600であった。大腸菌に完全に吸収させた これらの抗血清を用いて、これと反応する天然のP.ジンジバリス抗原を同定した 。1:5および1:10に希釈したクローン5および7に対する抗血清は、P.ジンジバ リス細胞可溶化物抗原調製液中の約43,000および38,000ダルトンの2本のバンド と反応したが、発現されたクローン2の抗原とは反応しなかった。この抗血清は 、各クローンおよび大腸菌JM109(pUC9)に共通の約36,000ダルトンの大腸菌抗原 のバンドとも反応した。正常ウサギ抗血清は、どのP.ジンジバリス抗原とも反応 しなかった。 天然のP.ジンジバリス遺伝子産物の同定と精製を行うために、およびクローン 5および7のインサートが完全な遺伝子を含んでいることを確かめるために、イム ノアフィニティー・クロマトグラフィーを用いた。免疫性のウサギIgGをDEAEセ ルロースにより精製した。飽和硫酸アンモニウムを血清に加えてIgGを沈殿させ た後、室温で2時間、4℃で一晩放置することによりIgGを「AFFI-GEL」(Bio-Rad Laboratories,Richmond,CA)とカップリングさせた。カップリングした材料 を用いて、3cm3のカラムを調製した。このカラムを大量のpH2.5の0.02Mリン酸バ ッファーで洗浄し、18mg/mlのタンパク質を含む1〜2mlのP.ジンジバリス381株 の超音波処理液(sonicate)を加え、ペリスタポンプを用いて流速20ml/時で流 出させた。カラムの溶出液を280nmにおける吸収でモニターした。カラムに吸着 されたものを、pH2.5の0.1Mグリシンを加えてカラムから溶出した。回収した吸 着物を、分子量切り捨て用フィルター(molecular weight cut-off filter)を 通して遠心、Amiconフィルター(Amicon,Danvers,MA)による加圧濃縮、凍結 乾燥、またはこれらの組み合わせにより濃縮した。抗クローン7ウサギIgGを含む アフィニティーカラムに、P.ジンジバリス381の細胞可溶化物をかけ、吸着され た抗原性ペプチドを溶出してSDS-PAGEで解析した場合、49〜50kDの主要なバンド が現れた。実施例12 クローン2、5および7の発現する抗原間の関係の決定 クローン2、5および7に対する抗血清は、P.ジンジバリス細胞可溶化物中の分 子量43,000および38,000の2本の主要なバンドと反応したが、大腸菌に吸収させ た抗クローン2抗血清も、クローン2で合成された125kD以上のタンパク質と反応 した。しかし、大腸菌に吸収させた抗クローン5および抗クローン7抗血清は、ク ローン2の発現するこの抗原のバンドとは反応しなかった。 クローン2の発現する抗原のエピトープと、クローン5および7のそれとの関係 をさらに明らかにするため、いろいろな抗原を用いて抗クローン2抗血清を吸収 させ、吸収済みのクローン2抗血清について、ELISA法によりP.ジンジバリス全細 胞抗原に対する力価を調べた。抗クローン2抗血清のP.ジンジバリスに対する抗 体力価は、P.ジンジバリスおよびクローン2の細胞に吸収させることにより、用 量依存的に低下した。大腸菌JM109(pUC9)、クローン5またはクローン7に吸収さ せた場合には、抗クローン2抗血清のP.ジンジバリスに対する抗体力価は減少し なかった。 抗血清がP.ジンジバリスおよび赤血球凝集能を持つ大腸菌に対して、P.ジンジ バリスの赤血球凝集活性を阻害する能力を決定し、結果を表4にまとめた。全て の抗血清は、P.ジンジバリスの赤血球凝集を正常ウサギ血清の4〜8倍の力価で阻 害した。 a. 正常ウサギ血清および免疫前の血清の力価は、それぞれのグループのウサギ から得た。実施例13 P.ジンジバリスヘマグルチニン遺伝子のDNA塩基配列決定 P.ジンジバリス381株の染色体は、ヘマグルチニンをコードする遺伝子を5個以 上含む。ヘマグルチニンタンパク質をコードするP.ジンジバリスの遺伝子は、ha gA、hagB、hagC、hagDおよびhagEと表されている。ヘマグルチニンをコードする 遺伝子は、前述の、または当業者に容易に認識され理解される程度の若干の改変 を加えた標準的な方法を用いてクローン化した。形質転換した宿主からプラスミ ドDNAを、塩基配列決定用のDNAサンプルをアルカリ溶解/PEG沈殿法により調製 する迅速な方法を用いて単離した。簡単に説明すると、形質転換した大腸菌JM10 9をアンピシリンを加えた50mlのTerrific brothで培養し、細胞を集め(湿重約0 .5g)、2mlの50mMグルコース、25mM Tris/Cl(pH8.0)および10mM EDTA(pH8.0 ) に懸濁した。新しく調製した4mlの0.2N NaOH、1% SDSを加え、氷上に10分放置し た。次に、3mlの冷やした酢酸カリウム水溶液を加え、氷上に10分放置した。混 合液を4℃で、9000rpm、30分遠心し、上清に終濃度20μg/mlでRNaseAを加え 、37℃で20分保温した。混合液をクロロホルム/イソアミルアルコールで完全に 抽出した。DNAを析出させるために、等容のイソプロパノールを加え、10分室温 に置き、室温で9000rpm、30分遠心した。DNAのペレットを3.36mlの水に溶解した 。次に、0.64mlの5M NaClおよび4mlの13% PEG8000(ポリエチレングリコール、S igma)を加え、氷上に1時間以上置いた。4℃で9000rpm、15分遠心後、DNAペレッ トを滅菌水に溶解した。この方法により、200〜400μgの高度に精製されたプラ スミドDNAを1日で得ることができる。 A. hagA遺伝子および遺伝子産物の特徴付け。 hagAと表されるヘマグルチニ ン遺伝子を、P.ジンジバリス381株由来のクローンST2から得、この長さを4500bp 以上と決定した。ST2由来のDNA配列を配列番号:1に示す。クローン2のhagA遺伝 子の読み取り枠(ORF)は、少なくとも1339アミノを含む144kD以上のポリペプチ ドをコードすることがわかった。クローン2のhagA遺伝子にコードされるアミノ 酸配列を配列番号:2に示す。上流の配列388bpを余分に含む10,119bpのEcoRV断片 をクローン化した。hagAの完全な読み取り枠(ORF)は、長さ7,887bpであり(Ec oRI断片の第365〜8251塩基)、分子量283.3kDの2,628アミノ酸を含むタンパク質 をコードしていることがわかった。完全なhagA遺伝子の塩基および推定アミノ酸 配列を、配列番号:13および配列番号:14にそれぞれ示す。当初、hagAの配列は約 1.1kbの繰り返し単位をもち、各繰り返しのなかでほとんど変異をもたずに少な くとも4回、ないし6回、繰り返していることが見いだされた。更なる解析で、ha gA遺伝子が合計5,404bp、それぞれは1,318〜1,368bpである4つの大きな連続する 同じ向きの繰り返しをもつことがわかった。特に、これより集合的にHArepと示 すこれらの約1.3kbの繰り返し断片は、以下の通りである(EcoRI断片中の塩基数 を参考のため示した):HArep1、1862〜3211塩基(配列番号:15);HArep2、321 2〜4579塩基(配列番号:17);HArep3、4580〜5947塩基(配列番号:19);HArep 4、5948〜7265塩基(配列番号:21)。繰り返し断片HArep1、HArep2、HArep3およ びHArep4の推定アミノ酸配列を配列番号:16、18、20および22にそれぞれ示す。 繰り返し単位はヘ マグルチニン活性を有することが示された。HArep繰り返し単位はヘマグルチニ ン活性を有することが示された。HArep繰り返し単位をいろいろな数でもつ株に ついて、ヘマグルチニンの解析を行った結果を下の表5に示す。 hagAと比較すると、既報のプロテアーゼ遺伝子のいくつかがHArep配列を1つ以 上含むことがわかった。例えば、W83株のC3プロテアーゼをコードするprtH遺伝 子は、hagAと95.6%以上の相同性を有する271アミノ酸の領域を持っている。H66 株からクローン化されたアルギニン特異的システインプロテアーゼ/ヘマグルチ ニン遺伝子であるrgp-1は、W50株からクローン化されたprtRと同様に、93.1%の 相同性を有する522アミノ酸の領域を含んでいる。Okamotoらが381株からクロー ン化したagpおよびCurtisらがクローン化したprpRは、どちらも別の株から単離 されたrgp1と同一の遺伝子であるが、これらはhagAのHArep配列を1つ含んでいる 。また別の遺伝子、agpは、rgp-1の内部の一部を713アミノ酸欠いているが、こ れもHArep配列を1つ含んでいる。さらに、W12株からクローン化され本明細書に 記載されているシステインプロテアーゼ/ヘマグルチニン遺伝子であるprtPは、 hagAと92.2%の相同性をもつ849アミノ酸のC-末端領域を持ち、最後の253アミノ 酸(prtP遺伝子のほぼ半分の長さ)は完全に一致している。CurtisらがW50株よ りクローン化した別のプロテアーゼ遺伝子Tlaは、hagAと95.2%の相同性を有する 789アミノ酸のC-末端領域を持ち、最後の171アミノ酸は完全に一致している。こ の171アミノ酸領域は、TLA遺伝子の長さのほぼ4分の3を占める。さらに、以下に 説明する、381株からクローン化された4つめのヘマグルチニン遺伝子は、hagAと 92.7%の相同性を有する523アミノ酸領域をもつだけでなく、3'末端の72アミノ酸 が98.6%一致していた。やはり下に示す、381株からクローン化されたもう1つの ヘマグルチニン遺伝子hagBは、hagAと92.3%相同な518アミノ酸領域を含んでいる 。例外なく、これら の遺伝子の高度に相同な領域は、hagAの繰り返し領域に含まれるか、またはこれ を拡大したものであった。hagA遺伝子は、HArep配列を共有するマルチジーンフ ァミリーの中心メンバーである。 加えて、これらの遺伝子はそれぞれ、hagAのC末端と共通の72アミノ酸(81.9 〜100%相同)をもっていたが、prtHだけは例外で、この領域が遺伝子の中央に位 置していた。 GENINFO Experimental Blast Network Serviceを用いて、National Venter fo r Biotechnology Information Databaseを検索したところ、データベース中にha gAと顕著な相同性を示す配列は、マイコプラズマ・ガリセプリカム(Mycoplasma gallisepricum)のヘマグルチニン遺伝子(pMGA)およびプラスモディウム・フ ァルシパーム(Plasmodium falciparm)のスポロゾイト周辺の組織のタンパク質 遺伝子のみであった。これらの遺伝子は、hagA遺伝子と非常に短い領域(スポロ ゾイト周辺の組織のタンパク質で13アミノ酸中9個、M.gallisepricumのpMGAで14 アミノ酸中11個)で相同性が見いだされた。 クローン2から完全なhagA遺伝子が単離されていることを確かめるため、染色 体DNAを、クローン2のもとのクローン化断片を切断しなかった制限酵素AccI、As eI(Biolabs)、Vspl(Promegaから購入したイソチゾマー)、BClI、BglII、BstXI 、DraI(BRL)、EcoRV、NruI(Stratagene)、PstI、PvulI、SalI、SphI、SstI(Sigm a)、StuIおよびXhoIで分解した。分解した断片を正荷電ナイロンメンブレン(po sitive charge niron membrane)(Boehringer Mannheim Biochemicals,Indian apolis,IN)にキャピラリ法により転写した。全ST2断片を、非放射性Genius Ki t(Boehringer Mannheim Biochemicals)により標識し、検出した。別の方法と して、繰り返し配列から離れたところにある、クローン2の最初の394bpの領域を 、DIG DNA標識および検出キット(DIG DNA Labeling and Detection Kit)(Boe hringer Mannheim)を用いて標識してプローブとし、ナイロンメンブレン上に固 定したDNA断片を検出した。結果はLumi-phos 530システム(Boehringer Mannhei m)によりX線フィルム上に可視化した。 遺伝子の完全な配列を決定するため、および隣接する5’および3’の配列、お よびhagA遺伝子の完全な塩基配列を得るために、逆向きポリメラーゼ連鎖反応( IPCR)を採用し、利用した。IPCRを行うために、224塩基の位置に逆方向の、203 2塩基の位置に正方向の、18マーの2つのオリゴプライマーを選択し、フロリダ大 学DNA合成コア研究室(University of Florida DNA Synthesis Core Lab.)で合 成した。さらに、ST2断片の5’末端の上流405塩基の位置に逆向きのプライマー (GGCAAACCAAAAAGATTC、配列番号:23)およびST2断片の3’側の529塩基の位置に 正方向のプライマー(TTCTTCCAACGACTACAC、配列番号:24)を選択し、フロリダ 大学DNA合成コア施設(University of Florida DNA Synthesis Core Facility) で合成した。 全AseI(VspI)分解断片およびアガロースゲルから抽出した3〜7kbの断片を、 1UのT4DNAリガーゼ(Promega)存在下、DNA濃度1〜10ng/μl、反応液量50μ l、16℃で16時間の条件でそれぞれ自己結合(セルフ・ライゲーション)させた 。次に、ライゲーション反応液を65d℃15分加熱し、フェノール/クロロホルム 、クロロホルムで抽出し、エタノールで沈殿し、滅菌水に懸濁した。IPCR反応は 、2段階で行った:まず、バッファー中の自己結合したDNAサンプルを94℃30分加 熱した;次に、Taqポリメラーゼ(Promega)を加え、PTC-100プログラム可能温 度調節器(Programmable Thermal Controller)(MJ Research,Inc.,Watertown ,MA)で繰り返し反応させた。94℃1分で変性、52℃1分でプライマー結合、72℃ 約5分で伸長、これを35回繰り返した。 増幅後の混合液をフェノール/クロロホルム、クロロホルムで抽出し、1%低融 点アガロースゲルで電気泳動した。切り出した断片をアガラーゼ(Boehringer M annheim Biochemicals)で処理した。アガラーゼ処理したDNAサンプルを直接塩 基配列決定に使える程度まで精製した。直接塩基配列決定したデータを解析後、 増幅されたIPCR断片をHindIIIおよびKpnIで切断し、pBluescript II SKにクロー ン化し、大腸菌JM109に導入した。塩基配列を完成させるために、いくつかのサ ブクローンを作成し、オリゴプライマーを1つ合成した。 hagA遺伝子の塩基配列決定は、フロリダ大学DNA合成コア研究室(University of Florida DNA Synthesis Core Lab.)で、ABI(Applied Biosystems,Inc.,Fo ster City,CA)の開発したタックダイプライマー(Taq Dye Primer)およびTaq Dyedeoxy Terminator Cycle Sequencing Protocolにより、それぞれ、蛍光標識 プ ライマーおよび標識ヌクレオチドを用いて行った。標識された伸長反応産物を、 ABI373 DNAシーケンサーで解析した。塩基配列データは、ウィスコンシン大学( University of Wisconsin)の配列解析ソフトウェアパッケージ(Sequence Anal ysis Software Package)を用いて解析した。 サザンブロット解析の結果、ゲノムDNAをAseIで分解すると、使用したプロー ブにハイブリダイズする単一の3.9kb断片を生ずることが示された。前述の条件 のもとでは、5,963bpの断片がIPCRできれいに増幅され、これを塩基配列決定し たところ、ST2断片の3’側の2,997bpの配列が含まれることがわかった。開始コ ドンはST2断片の5’末端の720bp上流に位置していた。この遺伝子の3’末端を得 るため、BamHIのジーンバンクを作成し、ここから下流の配列3,362bpを含む8,81 8bpのクローン化断片を得た。この下流領域の塩基配列決定により、停止コドン が6.9kb AseI断片の3’末端の1,017bp下流に位置することがわかった。 第365塩基から始まり第8251塩基で終わるhagAの完全なORFは、分子量283.3kD で2,628アミノ酸を有するタンパク質をコードすると計算される。塩基配列の解 析により、168塩基と143塩基にそれぞれ位置する、〜10塩基、〜35塩基の共通配 列らしいものが見つかった。しかし、大腸菌様のリボソーム結合領域は、開始コ ドンの上流に発見されず、−4から−2の位置にAGGが有るのみであった。14およ び9塩基の逆向き繰り返し配列(inverted repeat)を形成するステムループ構造と 思われるものが、それぞれ停止コドンの51および101塩基下流に同定された。 第5〜21残基は、チュー−ファスマン予測(Chou-Fasman Prediction)による と、典型的な疎水性のリーダーまたはシグナル配列と一致した。加えてChou-Fas manの法則にではHArepの始めのアミノ酸配列は非常に抗原性で親水性であること が予想される。それぞれのHArepの始めのアミノ酸配列は、M.ガリセプチカム(M .gallisepticum)のヘマグルチニン遺伝子の領域と非常によく類似している。先 に挙げたP.ジンジバリスおよびM.gallisepticumヘマグルチニン遺伝子間で共通 の繰り返しアミノ酸配列(Pro-Asn)は。この領域が赤血球との結合に関与してい ることを示している。 この繰り返し領域は、第1862塩基の最初のKpnI部位の直後から始まり第7265塩 基で終わり、全体として全くギャップの無い5405bpの繰り返し領域を成している ことが分かった。最初の繰り返し単位(HArep1)は1350bpで第2の繰り返し単位と9 9.5%同一である。繰り返し単位HArep2およびHArep3は長さ1368bpで互いに99.9% 同一である。第4の繰り返し単位(HArep4)は長さ1318bpでHArep2およびHArep3と それぞれ98.6%同一である。配列番号:16に示す通り、HArep1の最初のアミノ酸配 列は「Pro Asn Pro Asn Pro Gly Thr Thr Thr・・・」であるが他の3つは「Gly Thr Pro Asn Pro Asn Pro Asn Pro Asn ProGly Thr Thr Thr・・・」である(配 列番号:18,20および22を参照)。よってHArep2〜4は出だしの部分にHArep1より6 アミノ酸だけ多く含んでいる。この違いはHArep1においてGly-Thrが「Pro Asn P ro Asn Pro Gly Thr Thr Thr・・・」の配列の前にあるために、HArep1がPro-As uの繰り返し配列を2つ分少なく持つことによる。 hagAマルチジーンファミリーの特徴として他に通常タンパク質のカルボキシ末 端にある72アミノ酸配列の存在がある。この領域はチュー−ファスマン予測(Ch ou-Fasman Prediction)によれば疎水性であり、外膜のタンパク質をつなぎ止め る、または何か別の共通な認識機能を供する可能性がある。 hagA遺伝子にコードされるヘマグルチニン(HA)はシステインプロテアーゼ、 トリプシン様プロテアーゼおよびヘマグルチニンの特徴を持つ。ポルフィロモナ スジンジバリスのヘマグルチニンは病原性に関与している可能性がある。P.ジン ジバリスのHAは非線毛性(nonfimbral)のアドヘシンである。これは、生化学的 研究によりP.ジンジバリスの精製したフィンブリンサブユニットは赤血球を凝集 またはP.ジンジバリスによる赤血球凝集を阻害する能力を持たないこと、また免 疫学的研究によりヘマグルチニンに対する単一特異的な抗体がP.ジンジバリスの 線毛構造に強く結合しないことが示されていることによる。 P.ジンジバリスのプロテアーゼおよびヘマグルチニン活性が関係し合っている ことが示唆されている。ある研究報告によれば、トリプシン様プロテアーゼ活性 を欠損したP.ジンジバリス変異株では、ヘマグルチニン活性が著しく低下する。 また、別の研究によれば、44kDの精製外膜ヘマグルチニンはさらに調べた結果シ ステインプロテアーゼであることが分かっている。hagAのDNA配列をP.ジンジバ リスW12株由来のλFBP1クローンから得た約4.5kDのゲノム断片のDNA配列と比較 した。λFBP1クローンの遺伝子は単離されてprtPと名付けられた(本例のFを参 照)。 prtP遺伝子は、P.ジンジバリスW12株のシステインプロテアーゼを阻害し、フィ ブリノーゲンに結合する抗体と反応するタンパク質をコードする。hagAおよびpr tP塩基配列を比較したころ高度に配列が類似している約2kbの内部領域を含むこ とが分かった。hagA遺伝子は、prtPと90%以上一致する3つの領域を含む。これら の領域は、90%一致した217bpの配列、94%一致した884bpの配列および97%一致し た500bpの配列である。以上の発見により、フィブリノーゲン結合タンパク質お よびP.ginのヘマグルチニンの間に関係がある可能性がでてきた。 B.hagB 遺伝子および遺伝産物の特徴付け 塩基配列決定用の、ヘマグルチニン hagB遺伝子をコードする遺伝子は、P.ジンジバリスより2.0kbのHindIII-BamHI断 片および2.4kbのBamHI-EcoRI断片としてpUC9にクローン化し、E.coil JM109に導 入して得た。これらの断片は、塩基配列を決定するためにM13バクテリオファー ジベクター(Yannish-Peron,C.,J.Viera,J.Messing[1985]"改良M13バクテリオ ファージクローニングベクター及び宿主系統:M13mp18およびpUC9ベクターのヌ クレオチド配列(Improved M13 bacteriophage cloning vectors and host stra ins:Nucleotide seqences of M13mp18 and pUC9 vectors),"Gene 33:103〜119 )にサブクローン化した。これらの断片の全長をM13のユニバーサルプライミン グ部位を用い、また断片中の残りの領域を読むために、オリゴヌクレオチドプラ イマーを合成することにより、全塩基配列を決定した。1.7kbのKpnI-PstI断片お よびBamHI部位に隣接したDNAの塩基配列決定により、2.0kbおよび2.4kbの断片が つながっていることが確認された。大腸菌JM109をM13によるトランスフェクショ ンの宿主として用い、2×YT broth中で生育させた。組換えファージの検出には 、0.33mMのイソプロピル-ベータ-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)および0.02 %の5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-3-ガラクトシド(X-GAL)を添加した2×YT ブロスを基本とする柔寒天(0.75%)重層を用いた。 制限酵素、T4 DNAリガーゼおよびM13用17マーのプライマーは、ベテスダ研究 所(Bethesda research Laboratories(Gaithersburg,MD))またはフィッシャー サイエンティフィック社(Fischer Scientific Co.(St.Louis,MO))のいずれか より購入し、製造元の仕様書に従って用いた。他のオリゴヌクレオチドプライマ ーは、分子生物学供給施設(Molecular Biology Resource Facility(Okulahoma Ci ty,OK))により合成された。シーケンス試薬は、ファーマシア社(Pharmacia(P iscataway,NJ))のT7シークエンシングキット(T7 sequencing kit)またはU.S .バイオケミカルコーポレーション(U.S.Biochemical Corp.(Cleveland,OH) )のシーケナーゼDNAシークエンシングキット(Sequenase DNA sequencing kit )のものである。[α-35S]dATPは、デュポン(DuPont)、NEN研究産物(NEN Res e arch Products(Boston,MA))より購入した。IPTGおよびX-GALは、シグマケミ カル社(Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO))から購入した。 DNA塩基配列決定は、ジデオキシ・チェーンターミネーション法(Sanger,F.,S .Nicklen,A.R.Coulson[1977]"鎖終止阻害剤を用いるDNA配列決定(DNA sequenci ng with chain terminating inhibitors),"Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463〜5 467)を用いて行った。合成オリゴヌクレオチドプライマーからそれぞれの断片 の異なる部分の配列を決定し、「James M.Pustell、DNA及びタンパク質の配列 決定プログラム(DNA and protein sequencing program)(International Biote chnologies,Inc.,New Haven CT)」により解析した。hagBヘマグルチニン遺伝 子の塩基配列は、配列番号:3に示すとおり、長さ1053塩基である。G+C含量モル% は、59.9%である。このヘマグルチニン遺伝子の読み枠は、リボソーム結合部位 と思われる配列、およびATG開始コドンの上流のプロモーター、および停止コド ンの下流のステムループ構造と思われる配列より決定した。2ヶ所の可能なプロ モーター配列の上流181〜239塩基は、ダイレクト・リピート領域である。41塩基 の配列が連続して4回、わずかな違いのみで繰り返していた。読み取り枠につい ても、ヘマグルチニン遺伝子の上流および下流に、両鎖ともに同定された。 このヘマグルチニンのアミノ酸配列は、塩基配列から推定し、長さ350残基と 決定された。M=39,375の推定されるタンパク質は、等電点8.98の、塩基性で親水 性のタンパク質であった。シグナルペプチドと思われる配列は明確である。アミ ノ酸32〜36以降で最も開裂しやすいと思われるが、これらの部位はいずれもvon Heijneの-3、-1ルールに理想的に適合しない。hagB遺伝子にコードされる推定ア ミノ酸配列を配列番号:4に示す。 塩基および推定アミノ酸配列を、遺伝子およびタンパク質のライブラリと比較 したが、このヘマグルチニンおよび既に決定されている配列の間に顕著な相同性 は見いだされなかった。 このヘマグルチニンの読み枠の上流には、2つの可能なプロモーターがあり、 それらの前には一連のダイレクト・リピートがあった。このダイレクト・リピー トの機能は不明だが、遺伝子発現における役割を担うと仮定するのが妥当であろ う。 このヘマグルチニンのコドン使用頻度を調べたところ、低発現の遺伝子のパタ ーンに従っていることがわかったが、いくつかこのパターンに従わない例もある 。一般に、低発現のパターンとは、あるアミノ酸についてコドンの3塩基目のU/C 比が低く、また別のアミノ酸について3塩基目のU/C比が高いことである。おそら く、このヘマグルチニン遺伝子では、%G+C含量が高いためにほとんどのアミノ酸 でU/C比が低くなっているのであろう。しかし、全体として、コドン使用頻度は 、高発現のパターンよりは低発現のパターンに従っていた。大腸菌においてtRNA の種類の比率を特定するようないくつかのコドンを使用していることも、このヘ マグルチニン遺伝子の低い発現の証拠となるかもしれない。または、同じ種類の tRNAでもP.ジンジバリスでは比率を制限してはいないかもしれないが、大腸菌に おいてクローン化された産物の発現が困難であることの説明にはなりうる。 C .hagC遺伝子と遺伝子産物の特徴。 hagCと名付けられた赤血球凝集素遺伝 子を、ポルフィロモナス・ジンギバリス381(Porphyromonasジンジバリス381) から単離した。hagC遺伝子の塩基配列が配列番号:5に示されており、1050bpの コード領域がある。推定されるアミノ酸配列が配列番号:6に示されている。 hagB遺伝子と同じような方法で、hagC遺伝子を単離した。簡単に説明すると、 単離されたP.ジンジバリス381の染色体DNAをHindIIIで制限酵素消化し、トリス -酢酸バッファー中、0.8%アガロースゲルで電気泳動した。4kbから20kbの範囲 にある断片を含むアガロースのバンドをゲルから切り出し、フェノール凍結融解 法を用いてDNAを抽出した。このDNAを、HindIIIで制限酵素消化して、脱リン酸 化したpUC18プラスミド(ファルマシアLKBバイオテクノロジー(Pharmacia LKB Biotechnology)ニュージャージー州ピスカタウェイ)に、T4DNAライゲース(プ ロメガ社(Promega Corp.))を用いて、16℃で一晩ライゲーションした。組換 えプラスミドで大腸菌(E.coli)DH5αを形質転換し、アンピシリンとIPTGおよ びX- GALを添加したLBプレート上で培養した。同じプレートが2枚ずつできるように 、コロニーを植菌し、好気条件下、37℃で一晩増殖させた。サムブルックら(Sa mbrookら)が述べる手順にしたがって、2枚のプレートの1枚のコロニーを、正 電荷を帯びたナイロン膜(BM社)に写し取り、溶菌した。そして、膜を30分間乾 燥させて、120℃で30分間焼いた。上述したようにして、ハイブリダイゼーショ ンを行なったが、hagB遺伝子の960bpのBamHI-PstIDNA断片をプローブに用いた。 上述したような修正を加えたアルカリ・リーシス法を用いて組換えプラスミド DNAを調製した。50μg/mlのアンピシリンを添加したLB培地で細胞を増殖させ た。CsCl-エチジウムブロマイド連続勾配を平衡遠心分離して、閉環プラスミド を精製した。これに加えて、さらに配列決定までするDNAには、ポリエチレング リコールによる沈澱を行なった。 2本鎖DNAの配列決定は、フロリダ大学学際研究センター・バイオテクノロジ ーDNA配列決定コア研究所によって行われた。配列決定は、それぞれ蛍光プライ マーとジデオキシヌクレオチドを用いる、タック・ダイプライマー(Taq Dye P rimer)とタック・ダイターミネーター(Taq Dye Terminator)のサイクルシー クエンシングプロトコール(アプライド・バイオシステムズ社、カリフォルニア 州フォスターシティ)を用いて行なった。標識された伸長産物をABI373aシクエ ンサー(アプライド・バイオシステムズ社)で解析した。適当なサブクローン、 または、フロリダ大学DNA合成コア施設で合成された合成オリゴヌクレオチドを 用いて、DNA両鎖の配列を決定した。DNAサブクローニングで用いられた部位が重 なるように、配列決定方法を設計した。配列は、ジェネティック・コンピュータ グループの配列解析ソフトウエアを用いて行なった。 hagC遺伝子を含む、1851bpのHindIII-SstII DNAから、等電点8.36の39.3kDの 蛋白質に相当する350アミノ酸の読み取り枠(ORF)が明らかになった。ATGの開 始点は、DNAの374番目の位置にあり、その前には、大腸菌の保存プロモーター配 列TATAATとTTGACAとはそれぞれ1塩基と3塩基が異なる、-10と推定される配列 (339TATTAT344)と-35と推定される配列(314TTGCTG)がある。しかし、ATGコ ドンの上流に、保存されたシャイン-ダルガルノ(Shine-Dalgarno)配列は見ら れなかった。hagCのORFの終わりに、18塩基からなる、ほぼ完全に対称な配列が 認められ 、転写終結に用いられるステムループを形成する可能性があることを示している 。 hagBとhagCの塩基配列間の比較によって、それらのORFが99%相同であること が分かったが、その上流領域と下流領域は、それぞれ、39.5%と34.6%しか一致 していなかった。この二つの遺伝子が、98.6%相同な350アミノ酸の蛋白質をコ ードしていることは注目に値する。HagB蛋白質は、推定分子量39.4kDでpI8.98を 示す。hagB遺伝子は、大腸菌で見られる保存配列と同じ-10配列と-35配列を2組 もつ。しかし、hagCとは対照的に、ATG開始コドンの上流の363の位置には、リボ ソーム結合部位が見られる。さらに、hagBのプロモーター領域に見られる42bpの 反復配列4個が、hagC遺伝子からは失われている。hagB遺伝子の末端に、17塩基 長のほぼ完全な対称配列から作られる転写終結ステムループの可能性がある配列 も見られる。GenBank、EMBLまたはNBRFデータベースを用いても、hagC遺伝子ま たは蛋白質に有意な相同性を示す塩基配列もしくは蛋白質は見つからなかった。 D.hagD 遺伝子と遺伝子産物の特徴。 4番目の赤血球凝集素遺伝子で、hagD と名付けられた遺伝子を、標準的なプロトコールを用いて、P.ジンジバリス381 から単離した。hagD遺伝子を含む、本来の塩基配列が配列番号:7に示されてい る。最初に判定されたORFは、1087アミノ酸で、pI4.5で117kDの蛋白質をコード している。本来のhagD遺伝子によってコードされている推定アミノ酸配列を、図 8に示す。hagD遺伝子全長に対する塩基配列が、配列番号:25に示されている。h agDの塩基配列の中には、2個の読み取り枠が認められた。塩基696〜1790の最初 の読み取り枠は、配列番号:26として示されているポリペプチドをコードしてい る。このポリペプチドは、プロテアーゼとしての活性をもちうる。塩基1790〜58 66の二番目の読み取り枠は、配列番号:27として示されているポリペプチドをコ ードしている。二番目にコードされているポリペプチドは、赤血球凝集素として の活性をもつ。 P.ジンジバリス381細胞を、10%H2-5%CO2-85%N2気体中、5μg/mlヘミ ンと1μg/mlメナジオンを添加したトッド-ヒューイット(Todd-Hewitt)培地 の中で、37℃で培養した。そして、HindIIIで制限酵素消化したゲノムDNAをTAE アガロースゲル(9%)で電気泳動した。0.4M NaOH-0.6M NaCを用いるキャピラ リ・アル カリトランスファー法によって、DNAをナイロン膜に写し取り、非放射性DNA標識 検出キット(ジニアス(Genius)、ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannh eim)社)を用いて標識した。膜を5×SSC(0.75M NaCl,0.085Mクエン酸ナトリ ウム(pH7.0);遮断剤0.5%(W/V);N-ラウロイルサルコシン(Na-salt)、0.1%(W /V);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS);0.02%(W/V);ホルムアミド50%(V/V))中、42 ℃で2時間プレハイブリダイズさせた。 hagAのEcoRI-PvuIIのDNA断片を、ジゴキシゲニン標識したdUTPの取り込みによ ってランダムにプライミングした。ハイブリダイゼーションは、42℃で一晩行な った。この膜を、以下の各溶液で2回洗った。すなわち、室温の2×SSC-0.1%(W /V)SDSで5分間、68℃の0.1×SSC-0.1%(W/V)SDSで15分間洗浄した。製造業者に したがって、アルカリホスファターゼの化学発光検出用増幅剤である”LUMI-PHO S”530(ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)社)を用いて検出を 行ない、オートラジオグラフィーを撮った。 P.ジンジバリス381のゲノムDNAをHindIIIで制限酵素消化したものを用いて、 hagCについて前述したようにして、ゲノムライブラリーを作製した。4.8kbから6 .4kbの間の大きさの断片を切り出し、フェノール凍結融解法を用いてDNAを回収 した。次に、このDNAを、HindIIIで制限酵素消化して、脱リン酸化したpUC18プ ラスミド(ファルマシア社(Pharmacia))に、T4DNAライゲースを用いて、16℃ で一晩ライゲーションした。 組換えプラスミドで大腸菌(E.coli)DH5α(ビー・アール・エル社(BRL) )を形質転換し、50μg/mlのアンピシリンを添加したルリアーベルターニ(Lu ria-Bertani)(LB)(10g/lのバクト(Bacto)(登録商標)トリプトン、5g/lの 酵母抽出物、5g/lのNaCl、15g/lの寒天)プレート上で培養した。コロニーを拾 ってナイロン膜にトランスファーし、リーシスを10%(W/V)SDSで3分間、0.5N N aOH-1.5M NaClで5分間、1.5MNaCl-0.5M Tris-Cl(pH7.4)で5分間、および、2 ×SSCで5分間行なった。そして、膜を30分間乾燥させ、120℃で30分間焼いた。 ハイブリダイゼーションを行なう前に5×SSC、0.5%SDS、1.5M EDTA(pH8.0)の中 で、50℃で30分間洗浄した。次に、hagB遺伝子の1,228bpのHindIII-SmaIのDNA断 片をプローブに用いて、上述したようにして、ハイブリダイゼーションを行な った。 プラスミドDNAを単離して、前述の方法にしたがった制限酵素マッピングを行 なった。 2本鎖DNAの配列決定は、フロリダ大学ICBR DNA配列決定コア研究所によっ て行われた。配列決定は、それぞれ蛍光プライマーとジデオキシヌクレオチドを 用いた、タック・ダイプライマー(Taq Dye Primer)およびタック・ダイターミ ネーター(Taq Dye Terminator)のサイクルシークエンシングプロトコールを用 いて行なった。適当なサブクローン、または、フロリダ大学DNA合成コア施設で 合成された合成オリゴヌクレオチドを用いて、DNA両鎖の配列を決定した。DNAサ ブクローニングで用いられた部位が重なるように、配列決定方法を設計した。 配列は、ジェネティック・コンピュータグループの配列解析ソフトウエアと、 逆位ポリメラーゼ連鎖反応(IPCR)法を用いて全配列を決定した。IPCR法について は、BamHIで制限酵素消化した50〜500ngのP.ジンジバリスのゲノムDNAを、16℃ で一晩、T4ライゲースを用いて環状化およびセルフライゲーションした。160mM の各dNTP、1.5mMのMgCl2、1×バッファー[1×=50mM KCl、10mM Tris-HCl(pH8. 3)]、4×10-4mMのAPF147プライマー(5'-GGAATGGGAGATGGAACT-3')(配列番号: 11)とAPF148プライマー(5'-GTAACCCGTATTGTCTCC-3')(配列番号:12)、およ び、5UのTaqIを含む混合液中で、環状化したゲノムDNAをIPCRによって増幅した 。IPCR増幅は、”PCT-100”プログラマブル・サーマルコントローラー(エム・ ジェイリサーチ社(MJ Reserch,Inc))を用いて、以下の5個のファイルを連 結して行なった。すなわち、(1)94℃で30分間を1サイクル、その後TaqIを 添加、(2)94℃で1分間、(3)52℃で1分間、(4)72℃で5分間、ステッ プ2、3、4をあと34回繰り返し、(5)72℃で10分間。APF147(配列番号:11 )をプライマーに用いて、精製された増幅物の配列決定を行わせた。 hagD遺伝子を含む組換えプラスミドは、大腸菌の中で4つの蛋白質を発現し、 変性条件下でSDS-PAGE電気泳動を行なうと、分子量90kDと85.8kDの蛋白質に相当 する二重のバンド、並びに、80kDと20kDの蛋白質として泳動した。バンドの濃さ に基づくと、80kDの蛋白質が、最も強く発現しているように見えた。hagDとhagA のアミノ酸配列間の比較によって、これらは、全体の相同性が73.8%で、90 %の相同性をもつ中央領域と、60%より小さい相同性をもつ隣接領域を含んでい ることが明らかになった。HagDは、また、P.ジンジバリスのW12系統から分離さ れたprtP遺伝子産物に高い相同性(89.5%)をもつことが分かった。この二つの 蛋白質のN末端領域の相同性(90%)は、C末端領域(72%)よりも高いことがわ かった。したがって、hagD遺伝子産物とprtP遺伝子産物は、共通の祖先系統から 進化し分化した同じ遺伝子の、異なる遺伝子座から発現しているとも考えられる 。リバースPCR解析によって測定されたところによると、hagA転写産物もhagD転 写産物も、hagCについて以前から報告されているのと同様、ヘミン飽和条件下で のみ検出できた。これらの結果から、hagBが特異的に発現するのに対して、hagA 、hagCおよびhagは、同じような調節を受けているかもしれないことが分かった 。 E .hagE遺伝子及遺伝子産物の特徴。 hagAの反復配列をプローブに用いる と、サザン解析によって、長さ約2.6kbの断片がもう一つ、P.ジンジバリス381 で検出された。この断片をクローン化するために、P.ジンジバリス381のゲノム DNAから遺伝子ライブラリーを作製し、プローブを用いて、インサイチュー(in situ)ハイブリダイゼーションによってスクリーニングした。全部で59個の陽性 クローンを同定した。8個の陽性クローンからプラスミドDNAを小規模調製して 、制限酵素消化すると、これらのうちの7個が期待した断片を含んでいた。赤血 球凝集アッセイ法により、一定の方向にクローン化された断片は、大腸菌宿主菌 株で高いレベルの赤血球凝集反応を示したが、断片が逆向きになっていると、活 性を示さないことが明らかになった。配列データから、クローンの3'端側配列の 600bpはhagAに高い相同性をもつが、5'端側配列はhagAの5'端側配列と一致しな いことが確認された。この相同性は、hagAの1.3kbの反復配列領域に存在する。h agAに相同性領域をもち、hagEと名付けられた、このもう一つ別の遺伝子の発見 は、これらの遺伝子が、同じ機能と、恐らく同一の活性部位をもつマルチジーン ファミリーの存在を示しているのかもしれない。このような多重化は、バクテリ ア種および宿主との相互作用にとっての必須で重要な機能があることを示してい ると考えられる。 遺伝子ライブラリーを作製することによって、配列決定したところ、hagEの完 全長の読み取り枠(ORF)を含んでいることが分かった、8.64kbの断片が得られ た。このORFは長さ1,687アミノ酸で、183,7kDの蛋白質をコードしている。hagE の塩基配列とアミノ酸配列が、それぞれ配列番号:28と配列番号:29に示されてい る。hagEには、別に2個のORFが、それぞれ、塩基配列6580〜8551の間と塩基配 列7716〜8640の間に見いだされている。hagEの配列を、菌株W83に由来するC3プ ロテアーゼをコードしているprtHと比較したところ、prtHのクローン化された断 片の3,658bp全長が、hagEを含むクローンの中に含まれることが分かった。このh agE断片は、それに加えて、prtH断片の5'側に3,761bp、3'側に1,327bpを含んで いる。共通配列の相同性は98%である。しかし、また、二つの配列を較べると、 16個の違い、すなわち、1塩基の欠失、13箇所の1塩基付加、2箇所の2塩基付 加がprtHでは起きている。これは、菌株の違いよるものと思われる。しかし、別 の菌株(HG66)から報告されている、付加的なプロテアーゼ遺伝子(rpg-1)の 配列は、この領域で2つの相違しか示さず、hagEと一致するORFを維持している ことを示していた。非常に興味深いことに、本発明者らがクローン化した断片の 翻訳解析によると、prtH様のORFは存在していなかった。したがって、prtHは、P .ジンジバリスの381株には存在しないと考えられる。これに加えて、クローン 化した断片の中で、hagEのすぐ下流に、さらに2つのORFを同定した。hagEの配 列決定により、hagEはHagAマルチジーンファミリーの一員であることが示された 。 F.prtP 遺伝子および遺伝子産物の特徴。 hagA、hagB、hagC、hagDおよびha gE遺伝子および遺伝子産物の領域に相同な領域を有する遺伝子およびポリペプチ ドをPoryphyromonasジンジバリスW12から単離した。λFBP1の中のP.ジンジバリ スのDNA断片挿入物は、4.5kb(pHW2)であり、配列決定のためサブクローン化し た。これには、システインプロテアーゼであるポルフィパインのカルボキシ末端 の約3分の2をコードする大きな読み取り枠が含まれていた。PCRとIPCR技術を用 いて、ポルフィパインをコードする完全な遺伝子が得られた。配列番号:9に示 されている塩基配列をもつ遺伝子にprtPという名前を付けた。prtP遺伝子の推定 アミノ酸配列を配列番号:10に示す。 この遺伝子のカルボキシ末端の約5分の3において、4個の反復アミノ酸配列と 5個以上のPro-Asnのタンデムな反復配列が確認された。反復配列1は、アミノ 酸分節688〜708と946〜967を含む。反復配列2は、3つのアミノ酸分節887〜952 、 1341〜1405、1607〜1650を含む。反復配列3は、アミノ酸985〜1006と1430〜145 1を含む。また、反復配列4は、アミノ酸1041〜(1100)と1488〜(1547)を含む。 これらの反復配列は、機能的または構造的に重要であるかもしれない。例えば、 TonB蛋白質におけるPro-Xモチーフが、細胞周辺腔を通過するのに関係している ことが示唆されてきた。サザンブロット解析によると、調べた7種のP.ジンジ バリスの各ゲノムの中に反復配列2が20コピー以上存在していた。これらの解析 で見られたバンドのパターンは菌株W50とW83で非常に類似していたが、同一では なかった。なお、これらの系統は、以前、マルチローカス酵素電気泳動、DNAフ ィンガープリンティングおよびランダムプライマーPCRで解析したときには区別 することができなかった。したがって、この反復配列は、P.ジンジバリスの系 統を区別するために役立ちうる。菌株ATCC33277と381は、本発明者らの解析では 、同じバンドパターンを示したが、これは、これらの菌株の関連性を特徴づけよ うとした以前の解析を支持しており、菌株ATCC33277が、実際には菌株381の派生 系統であることを示している。 prtPと相同性を有する他のいくつかのP.ジンジバリス遺伝子について述べら れてきた。hagAのほとんどは、最初、菌株381で同定された赤血球凝集素をコー ドしているが、prtPの反復配列2を含むDNAの大きな分節を4コピー半含んだ、p rtPのC末側部位に対して相同性が高かった。本発明者らのデータによると、調べ た7種のP.ジンジバリス菌株において、hagAの存在と一致した。PrtPの細胞外 の形態が赤血球の凝集に関与することを示す証拠があり、このことから蛋白質が 共通に有する広い領域の機能が示唆される。また、以前P.ジンジバリスで同定 されたプロテアーゼ遺伝子5個が、prtP、rgp-1、prpR1、prtR、prtHおよびagp に部分的に相同であることも分かった。これらの遺伝子の各々は、Arg-X特異性 をもつがLys-X特異性をもたず、また、PrtPのN末部位とも相同性がないプロテア ーゼをコードすると考えられている。菌株W12に由来するプロテアーゼは、フィ ブリノーゲンとフィブロネクチンを分解し、N-p-トシル-Gly-Pro-Lys-p-ニトロ アニリド(nitroanilide)とN-p-トシル-Gly-Pro-Arg-p-ニトロアニリドの両方 を加水分解することが明らかになった。 本明細書で述べている標準的な方法を用いて、P.ジンジバリスW12のゲノムD NAを単離し、精製して、シアリングによって分解した。P.ジンジバリスの適当 な大きさのDNA断片の末端にEcoRIリンカーをライゲーションして、この断片をλ gt11ベクターにクローニングした。P.ジンジバリスW12から精製した120-kDのシ ステインプロテアーゼ(ポルフィパイン)に対して作製したポリクローナル抗体 を用いて、λgtllライブラリーをスクリーニングした。抗プロテアーゼ抗体と強 く反応するクローンをいくつか単離した。この中のクローン、λFBP1は、抗体と 強く反応し、フィブリノーゲンに結合する蛋白質を含んでいた。 遺伝子prtPは、塩基696から5894に広がる読み取り枠をもち、蛋白質が分泌す るためのシグナル配列を含む、1732アミノ酸の独特な蛋白質をコードしている。 成熟蛋白質の推定される分子量は186kDで、観察された分子量の180kDに近似して いる。調べた7種のP.ジンジバリス菌株(ATCC33277、381、W50、W83、W12、HG 66、および、ATCC53977)のゲノムの中には、prtPのコピーが1個あった。この 遺伝子は、P.ジンジバリスの菌株W12では、挿入配列IS1126に高い相同性を有す る領域の5'側に位置している。PrtP蛋白質は、P.ジンジバリスの赤血球凝集素 であるHagAと、P.ジンジバリスのいくつかのプロテアーゼと云われ、Arg-X特異 性を有するものに高い相同性がある領域をもっていた。後者をコードしている遺 伝子とcpgRとの詳細な比較により、rgp-1、prpR1、prtR、agp、cpgRおよび多分p rtHは、同じ遺伝子座に由来している可能性が示された。サザンブロット解析に よって、P.ジンジバリスの7種の菌株からrpg-1らしい遺伝子座を検出したが、 agpとcpgRについては、それらが最初に分離された菌株からも検出されなかった 。さらに、調べた7種のゲノムで、PrtPとRgp-1様蛋白質およびHagAに共通な反 復配列が20コピー以上見られた。菌株W83とW50では、反復配列のハイブリダイゼ ーションパターンが非常によく似ており、また、菌株381とATCC33277についても 同様で、これらの系統が遺伝的に近縁であることの裏付けを提供している。 P.ジンジバリスに属する生物は、細胞外および細菌の細胞表面に結合したと ころで見られる蛋白質分解酵素を何種類も産生する。これらのP.ジンジバリス の酵素のほとんどは、塩基性アミノ酸残基のカルボキシル側の蛋白質、ペプチド の加水分解の選択性によって、以前は「トリプシン様」と定義されてきた。しか し、最近なされた酵素の特徴調査されたすべての酵素は、これらがシステインプ ロテ アーゼであることを示唆しているため、この命名は不適当である。 P.ジンジバリスW12に由来する、細胞表面に結合する、大きなシステインプロ テアーゼ(ポルフィパイン;PrtP)は、P1位置にアルギニン残基かリシン残基を もつ合成ペプチド基質を加水分解することができる。Arg-X基質の加水分解もLys -X基質の加水分解も、還元剤(システイン>>β-メルカプトエタノール=DTT)に よって活性化され、グリシンの誘導体によって、どちらの活性も刺激を受ける。 どちらの活性もEDTAによって阻害されるが、Arg-X基質の加水分解はロイペプチ ンによって阻害され、TLCKよりもTyr-Pro-Argクロロメチルケトン(YPRCK)によ って選択的に阻害され、Lys-X基質の加水分解はロイペプチンによっては影響を 受けず、YPRCKよりもTLCKによって選択的に阻害される。これらは、二つの活性 部位が存在することを示している。本発明のポルフィパインには、P1でリシンを 受容する構造と、P1でアルギニンを受容する構造という、異なった立体構造をも つ活性部位を一つ有する2つの別個の酵素、または単一の酵素が含まれる。実施例14−DNAプローブの構築 DNA-DNAハイブリダイゼーションアッセイ法(DNAプローブ)は、一本鎖DNAが 、配列が相同なDNAの相補鎖とだけ再びアニール化するという事実に基づいてい る。さらに最近では、さまざまな感染因子を検出する方法としてDNAプローブが 用いられており、今では臨床微生物学検査室で日常的に用いられているものもあ る。口腔性ポルフィロモナス種(Porphyromonas sp.)のDNA配列の同定により、 これらの種を同定するためのDNAプローブを作製することが可能になる。このよ うに、細菌の抗原をコードするゲノム配列の同定と分離の応用法としては、DNA 断片をDNAプローブとして使用することである。最近では、これらのプローブに は、本明細書で同定されたポルフィロモナス(Porphyromonas)のクローン、ま たは、これらのクローンの断片が含まれるかもしれない。また、配列番号:1、 3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25および28に示されているDNA 配列、または、それらの配列の断片を適当なプローブを構築するために用いるこ とができる。 各組換えプラスミドは、分離してから、各ゲノムライブラリーを作製するため に用いた制限酵素を用いて制限酵素消化する。そして、先に述べたようにして、 アガロースゲルで電気泳動して、制限酵素消化されたプラスミドDNAを分画する 。 断片を含む、ポルフィロモナスDNAバンドをゲルから切り出して、コニカルチッ プの内側に付けたデュラポア(Durapore)膜(ミリポア社(Millipore))によるD NA断片の遠心濾過を用いた電気溶出によってDNA断片を回収する。この迅速で簡 便な方法で、精製度が高い状態のDNAを70%回収できる。 コニカルチップは以下のようにして組み立てる。1.5mlのエッペンドルフチュ ーブの円錐型の部分を切り出して、細い針金で底に穴を開ける。デュラポア(Du rapore)膜(ミリポア社(Millipore))の4.5cm2の切片を、パラフィルムの上で (蒸留水で)濡らしてから、平滑にしたガラス棒の回りにフィルター切片を巻き つけ、円錐形の底(コーン)の内側にフィルターを設置する。フィルターの余っ た部分を切り取って、1.5mlのエッペンドルフチューブの内側にフィルターチッ プを入れ、フィルターを200μlの溶出バッファー(0.1%SDS+50mM Tris-HCl, pH7.5)で予め濡らしておく。そして、用意しておいたコニカルチップにゲル切 片を移し入れる。微量遠心分離機(エッペンドルフ社(Eppendorf))で10分間 、DNA調製物を遠心分離した後、DNAを含む濾過された水層に5M NaCl(1Mになる )と2倍容量のエタノールを加えて沈澱させる。エタノール沈澱の後、供給業者 (クローンテック研究所(Clontech Laboratories.Inc.))の説明に従って、 光活性化できるビオチンタグでDNA断片を非放射性標識する。 ビオチン標識のために、DNA断片の調製物を1mg/ml(TE)の濃度になるように 調整し、1.5mlのエッペンドルフチューブの中で、光活性化できるビオチン(PAB )と、1:3(DNA:PAB)の割合で混合する。チューブを氷中に入れて、275W(GE RSM)の太陽灯の下10cmの所に置き、DNA+PABを15分間照射する。次に、DNA溶液 を等量の0.1mMTris-Cl(pH9.0)と混合して、容量を水(H20)で≧100μlに調 整する。等量の2-ブタノールを加えて、ボルテックスし、短時間遠心してから、 ピペットマンで下の水層を取り除いて、取り込まれなかったPABをDNAから抽出す る。この抽出は、非結合PABの痕跡をすべて取り除くために繰り返すことができ る。このDNA溶液に、最終濃度が0.3Mになるように3M NaOAc(pH5.6)を加え、3 倍容のエタノールを加えて標識されたDNAを沈澱させる。 サンプルを-70℃で15分間冷却した後、10分間遠心して、沈澱したDNAを回収す る。沈澱したDNAを10mM Tris(pH7.9)と0.1mM EDTAで溶解する。標識したプ ローブは、-20℃で保存すれば、1年間は安定である。 (1)光活性反応は簡便で迅速であること、(2)32P標識されたプローブと 同じくらい活性が高いこと、(3)PAB標識したプローブの保存期間が長いこと 、(4)これらのプローブは比較的廉価であること、(5)結合プローブの検出 が簡便な比色法によることから、DNAプローブの非放射性標識法が望ましいであ ろう。プローブの放射性標識には、32Pを使用する必要があるが、半減期が非常 に短いため(14日)、不安定で高価である。費用、放射能の危険性、廃棄の条件 が厳しいこと、および、許可証が必要であることから、放射性プローブの使用は 限定されたものとなろう。しかし、何らかの理由でビオチン-HRP標識法が好まれ なければ、マニアティスら(Maniatisら)(1982、前掲)によって説明されてい るところに従って、標準的なニックトランスレーション法によって、[δP]32デ オキシ-CTPでDNAを標識することができる。核酸プライマーを可視化するために 、通常の技術をもつ当業者に周知であるか受容されている、他の標識技術を用い ることもできる。実施例15−DNAプローブの特異性の判定 口腔性ポルフィロモナス種と他の口腔性生物種、および、他の非口腔性グラム 陰性菌のグループを、調製されたDNAプローブでスクリーニングする。 試験した菌株の塊を適当な培地で増殖させて、およそ109細胞/1mlの密度にす る。細胞を遠心してから、5.0mlの蒸留水に懸濁する。細胞を溶解し、DNAを変性 するため、0.5Nになるように水酸化ナトリウムを加えて、90℃で20分間から30分 間インキュベートする。0.5N HClを加えて、細胞懸濁液を中和し、20×SSCで希 釈して氷上で20分間冷やす。0.5ml(またはそれより少量)の懸濁液を10×SSCで 容量4.0mlに希釈して、10×SSCで予め湿らせておいたニトロセルロース紙(HAWP 型、0.45μm、ミリポア社)上の多岐管の中で真空濾過する。フィルターは、4. 0mlの10×SSCで洗浄した後、乾燥して、真空オーブンで85℃で3時間加熱する( これによって、DNAをフィルター上に固定する)。フィルターをプレハイブリダ イゼーションバッファー(6×SSPE[1.08M NaCl,0.06M NaH2PO4,0.48M NaOH,6 .0mM Na2EDTA,pH7.0]、5×BFP[0.1%BSA,0.1%フィコール、0.1%ポリビニルピロ リジン]、1%グリシン、50%ホルムアミド、および、100μg/mlの変性サケ 精子DNA)とともに42℃で2〜3時間インキュベートした後、プレハイブリダイゼ ーションバッファーを、5×SSPE、1×BFP、50%ホルムアミド、100μg/mlのサ ケ精子、0.3%SDS、および、10%硫酸の中に、熱変性したプローブDNAを0.01か ら0.1μg含むハイブリダイゼーションバッファーと置き換える。DNA混合液を42 ℃で12時間インキュベートしてハイブリダイゼーションを行なう。そして、ハイ ブリダイズしなかったプローブを除去するために、フィルターを2×SSPE-0.2%S DAの中で、25分間60℃で2回洗浄する。 1M NaCl+0.1M Tris-HCl(pH7.5)+2mM MgCl2+0.05%「トリトン(TRIT0N)」X- 100+3%BSAの中でフィルターを30分間インキュベートしてから、同じバッファー 中、1mg/mlのストレプトアビジン・アルカリホスファターゼと、25分間インキ ュベートして、ハイブリダイズ(結合)したプローブDNAを検出することができ る。次に、1M NaCl,0.1M Tris-HCl(pH7.5),2mM MgCl2および0.05%「トリト ン(TRIT0N)」X-100を含むバッファー50〜100mlで、3回洗浄する。4回目の洗 浄バッファーには、0.1M NaClと0.1Mクエン酸ナトリウム、pH7.0が含まれる。32 μlのニトロブルーテトラゾリウム、16μlの5-ブロモ-4-クロロ-3-インドシル -リン酸を5mlの0.1M NaClと+0.3Mクエン酸ナトリウムに入れたもので発色させ る。抑制光の中で30分間インキュベートした後、目に見えるスポットは、プロー ブDNAが標的DNAにハイブリダイズしたことを示している。 32P標識したプローブを用いる場合には、同じハイブリダイゼーション条件を 用いることができる(106CPMの32Pプローブ)が、ストレプトアビジンを加える 代わりに、70℃でフィルターを1〜2時間乾燥させ、オートラジオグラフィーでハ イブリダイゼーションを検出する。または、フィルターを四角に切って、シンチ レーション用バイアルに入れてシンチレーション値を計測する。 B.インテルメディウス(B.intermedius)もしくはP.ジンジバリス、または 、いくつかのポルフィロモナス種(Porphyromonas)に特異的なプローブが同定 されると、これらの菌を以下の培地で増殖させた既知の検査用バクテリアと混ぜ て調査することができる。すなわち、既知の濃度のB.インテルメディウスまた はP.ジンジバリスで、さまざまな検査用バクテリアとの混合液を調製し、寒天培 地に塗布し、本明細書の前の方で説明したように、嫌気条件下でインキュベート する 。コロニーが出現してから(2〜4日)、それらをニトロセルロース膜にブロット し、膜をハイブリダイゼーションするように処理する。DNAプローブが特異的で 感度がよければ、P.ジンジバリスまたはB.インテルメディウスのコロニーのブ ロットだけが陽性になるはずである。属ないし群に特異的なプローブを見つけだ すことも可能である。 信頼性のある陽性結果を得るためには、染色体の遺伝子をコードするDNAプロ ーブで、コロニーないしブロット毎に105から106個のバクテリアが必要である。 これは、1から10pgのDNA量に相当する。この検出レベルで行なうとすると、膜フ ィルター上へのコロニーブロッティングとハイブリダイゼーションを行なう前に 予備培養段階を入れることが望ましい。実施例16−ワクチン 本発明の内容となっている組成物の一定の物質が示す免疫防御活性を考えると 、Porphyromonasジンジバリスに由来するDNA断片で形質転換された細胞が発現す るポリペプチドからワクチンを産生させることができる。これらのペプチドを薬 理学上適当な賦形剤とともにヒトまたは動物宿主に導入することによって、P. ジンジバリスに対する免疫的防御を作り出すよう、この宿主を誘導することがで きる。このようなワクチン組成物の調製は、医学および免疫科学の訓練を受けた 当業者の技術の範囲内である。組換えペプチドを産生するために用いることがで きる細胞には、バクテリア、酵母、昆虫または真核生物の細胞が含まれるが、こ れらに限定はされない。実施例17−経口ワクチンの構築 腸内生物による自然感染が最も高レベルの抗体を産生し、感染に対する免疫が 最も長期に持続することが知られている。弱毒ワクチンの担体生物としてサルモ ネラ菌(Salmonella)を利用することには、いくつかの利点がある。サルモネラ 種(Salmonella spp.)は、パイアー斑または腸の固有層でコロニー形成をする ことができ、そこで強力な局所的IgA応答を誘導することができる。また、腸の 中で増えた形質細胞前駆体が、いわゆる粘膜免疫系によって、これらの組織に供 給されると、IgA応答は唾液などの外部分泌物にまで広がる。歯周病の病因の開 始段階である初期付着と粘膜表面でのコロニー形成とを防止する上で、これらの 応答は 重要である。さらに、生きているサルモネラ菌(Salmonella)は、その侵襲性に よって、IgM、IgGおよびIgAのアイソタイプの液性(血清)応答を誘導する。最 後に、サルモネラ菌は食細胞の中で生き延びることができるため、生きた生物に よる感染はまた、最初にT細胞が介在してマクロファージを刺激する、免疫にお いて重要な細胞媒介性の免疫応答を剌激する。サルモネラ種の非感染性突然変異 体をいくつか作出されている。例えば、エス.ティフィムリウム(S.typhimuri um)(Ty21a系統)の弱毒galE変異体で、UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ酵素 を欠く変異体を作出されている。 弱毒化のための別の方法は、p-アミノ安息香酸または2,3-ジヒドロキシ安息香 酸など、哺乳類の組織では見られない代謝産物を必要とするために非感染性であ るサルモネラ菌の芳香族アミノ酸依存(aro-)株を用いることであった。この菌 株は、aro:A554:Tn10トランスポゾンを用いて構築される。また、このトラン スポゾンは、欠失または欠失-逆位突然変異を起こしうるので、非復帰変異体を 作出することもできる。これらの変異体は、完全で平滑なLPSを合成し、パイア ー斑と腸で効果的にコロニーを形成することができ、強い免疫原性がある。サル モネラ菌感受性系統BALB/cマウスにおいて、2×105個のS.typhimuriumのaro-株 を腹腔内注射するだけで、30日後に5×105個の感染性のある親株細胞(>25,000i .p.LD50)の腹腔内抗原投与に対する防御を行なった。2×108個のaro-細胞で経 口免疫すると、3×107個の感染生物の経口抗原投与(およそ100経口LD50)に対 してマウスを防御した。 生きたサルモネラ菌は、粘膜免疫の非常に効果的な刺激因子であるため、他の 病原体からクローン化された組換え遺伝子産物を、腸内で最も効果的に免疫応答 を生成する組織(すなわち、パイアー斑)に直接輸送し、普遍的な粘膜免疫系を 通して別の遠隔の分泌部位に輸送するための担体として用いることができる。同 時に、侵入を防止し、阻止するためにさらに役立つ液性免疫が刺激される。クロ ーン化された抗原をサルモネラ担体法で用いると、防御的な免疫応答をもたらす 重要な感染抗原に対する免疫応答を標的とすることができるようになる。 以下の方法によって、P.ジンジバリス381から染色体DNAを単離した。すなわ ち、遠心分離によって、1〜3リットルの細胞を沈澱させ、50分の1容量の1×SSC バッファー(0.87%NaCl、0.04%クエン酸ナトリウム)に27%ショ糖と10mM EDT Aを加えたもので(氷冷下)洗浄した。細胞を再び沈澱させ、同じバッファーで1 010個細胞/mlになるように再懸濁した。リゾチーム(1×SSCバッファー中、5mg /ml)を、0.5mg/mlになるように加え、細胞をよく混和して、37℃で10分間イン キュベートした。27%ショ糖と10mM EDTAおよび1.11%SDS(39℃に予熱したもの )を含む、9倍容の1×SSCバッファーを細胞に加えて、細胞溶解が完了するまで (10〜30分間)37℃でインキュベートした。溶解した細胞をゆっくり混ぜて、30 分間37℃でインキュベートした。プロテアーゼK(シグマ社(Sigma)ミズーリ州 セントルイス)を、最終濃度が1mg/mlになるように加え、溶解物を37℃で4時間 インキュベートした。プロテアーゼK処理された混合液に等量のフェノール-トリ ス(9:1、使用直前に蒸留されたフェノール:1M Tris-HCI,pH7.5)を加えてか ら、この混合液を室温で30分間ゆっくりと振とうした。次に、DNA混合液を150ml のコーレックス(Corex)チューブの中で、3000rpmで遠心分離した。上(フェノ ール)層を取り除いた。フェノール抽出を繰り返して、DNA(水)層を、10mM Tr is-HCl,pH8.0,1mM EDTAに対して何回も透析した。最後に、DNAを、RNaseとと もに37℃で1時間インキュベートした。 構造遺伝子がそれ自身のプロモーターとともにクローニングされていてもいな くても、クローニングされたDNAが発現されることを確実にするために、クロー ニング部位の上流にプロモーターをもつ発現ベクターを用いた。発現プラスミド pUC9(2.7kb)には、複製開始点、アンピシリン抵抗性遺伝子およびpBR322のlac 遺伝子が含まれている。lac HaeIII断片(lac遺伝子)は、β-ガラクトシダーゼ ペプチドをコードする遺伝子の中に多数のクローニング部位をもつM12mp9のポリ リンカー領域を持っている。このように、クローニング部位の何れかにインサー トをもつ組換えベクターは、ラクトースの類似体であるX-GALを分解できないた めに、X-GALプレート上で白色のコロニーを形成する。インサートがないベクタ ーは、遺伝子がインサートによって壊されないため、X-GALを分解してX-GALプレ ート上で青色のコロニーを形成することになる。他のベクターを利用することも できよう。このようなベクターの一つにpAD230がある。 2:1および5:1の比率で、染色体DNAとベクターDNAをT4DNAライゲースを用いて 連 結した。連結したDNAをフェノール−クロロフォルム(24:1イソアミルアルコー ル)で抽出し、エタノール沈澱し、洗浄して乾燥し、TEに溶解した。対数増殖期 初期の細胞(OD=0.2〜0.5)を形質転換バッファー1(TFM1、10mM Tris-Cl,pH 7.、0.15M NaCl)で洗浄した。細胞を沈澱させ、再懸濁し、TFM2(50mM CaCl) 中、氷上で45分間インキュベートした。細胞を再び沈澱させた後、もう一度TFM2 でゆっくりと再懸濁した。0.2ml容量の細胞に0.1mlのTFM3(10mM Tris-HCl、pH7 .5、50mM CaCl2、10mM MgSO4-7H2O)を氷上で加えた。様々な量のDNAを細胞に加 えた。チユーブを氷上で45分間インキュベートしてから、細胞に37℃で2分間ヒ ートショックをかけた。0.5ml容量のLB培地を各チューブに加え、細胞を37℃で3 0分から60分インキュベートし、抗生物質抵抗性を発現させた。最後に、細胞をL B+抗生物質(50μg/mlのアンピシリン)とX-GALのプレートに塗布して24-48 時間、37℃でインキュベートした。 インキュベーション後24-36時間経過して、LB+アンピシリン+X-GALプレート に現れたコロニーは、pUC9を含み、発現している形質転換細胞である。これらの 大部分(80〜90%)は、P.gingivalis DNAインサートをもつプラスミドを含む白 色コロニーである。P.gingivalisのSHAアドヘシンを発現する形質転換体が同定 されたときには、形質転換体の細胞溶解物のウエスタンブロッティングによって 、蛋白質を同定した。 最初のクローニングが大腸菌の中で行われたせいで、組換えプラスミドは大腸 菌の修飾機構によって修飾を受けているかもしれない。これらの修飾された組換 えプラスミドを用いて、サルモネラ菌の菌株を形質転換した。まず、組換えプラ スミドをサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)の菌株LB50 00に導入したが、この菌株は制限切断-(外来DNAを切断することができない)が 修飾+である。プラスミドDNAはサルモネラ菌の系で修飾される。 既述したところにしたがって、ポルフィロモナス(SHA)アドヘシンをコード している組換えP.gingivalisプラスミドを単離、精製することができる。調製 物の同定と精製を、制限酵素解析とアガロースゲル電気泳動によって調べること ができる。既述したようにして、サルモネラ(Salmonella)の菌株LB5000の細胞 をコンピテントセル化して、組換えプラスミドで形質転換することができる。ア ンピ シリン存在下での増殖によって形質転換体を選抜し、既述した方法によって、ポ ルフィロモナス抗原の発現についてもテストすることができる。 菌株LB5000から組換えプラスミドを単離して、プラスミドの同一性を明らかに することができる。精製したプラスミドを用いて、様々なサルモネラ種の非感染 性非復帰変異株を形質転換することができる。このような菌株には、サルモネラ ・エンテリディティス・ティフィムリウム(S.enteriditis(typhimurium)SL3 261(WRAY his G46 aro A)、SL1479(UCS his C527 aro A)、SL3237(FIRN rp s L120 aro A)、および、サルモネラ・デュブリン(S.dublin)SL3261(his 6 46 aro A)が含まれる。形質転換体をアンピシリン耐性についてスクリーニング し、既述したところの酵素結合免疫測定法によって、ポルフィロモナス抗原の発 現を測定することができる。さらに、サルモネラの形質転換体の中に抗原が存在 することを確かめるために、SDS-PAGEとウエスタンブロッティングを行うことが できる。 非感染性のサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)の菌株 SL3261/CL7の中で、P.gingivalisの赤血球凝集素蛋白質を発現させ、赤血球凝 集反応の競合阻害の活性を調べた。超音波破砕によってS.typhimuriumの細胞を 壊し、遠心によって細胞と残渣を除去し、NH4SO3で40%飽和になるよう上清を調 整した。上清を回収して透析し、50-450mMのNaCl勾配を用いて、CM-Sephadexカ ラムで分画した。分画を取り込んだ血清のP.gingivalisに対する反応性をウエ スタンブロット解析によって評価した。ピーク分画は、全P.gingivalis細胞に よる赤血球の凝集を阻害することが分かった。これと同じ物質を解析して、N末 側のアミノ酸配列を調べ、クローン化した遺伝子から推定される配列に一致する ことが分かった。 また、ポルフィロモナス抗原に対する遺伝子を、P22形質導入によってサルモ ネラの担体系統に導入することもできる。アンピシリン存在下での増殖と、単一 抗原特異的、即ちモノクローナル抗体を用いた免疫ブロッティングによって検出 されるポルフィロモナス抗原の発現によって、形質転換体を選抜することができ る。 さらに別の担体系統を、サルモネラ菌の他の血清型から作出することができる 。これらの系統は、(栄養要求株)aro Aまたはgal Eなどの変異株を導入して、 感染菌株から作出することができる。さらに、P1形質導入によって既に非病原性 になっている菌株において、「0」抗原を粗面LPSに変換ないし変異させ得る。実施例18−モノクローナル抗体 ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)抗原、あるい はこの抗原を発現する細胞を抗原として、適当なマウスを免疫することができる 。この免疫化に用いた抗原は、それらが示す免疫原活性に基づいて、前の実施例 で同定され説明されたものでよい。この免疫法を行うために用いられる技術は、 当業者にとって周知である。次に、免疫化されたマウスから脾臓を取り出し、そ れから取り出した細胞を、ポリエチレングリコールを用いてSP-2ミエローマ細胞 と融合させることができる。そして、ヒポキサンチン-アミノプテリン-チミジン を培地に加えて、目的とするハイブリッド細胞を選抜することができる。そして 、抗体産生について生き残った細胞を調べることができる。抗体産生に関するテ ストは、既述の実施例で説明されているELISA、免疫ブロット、および/またはウ エスタンブロット法を用いて行うことができる。 ここで述べている方法で産生されるモノクローナル抗体は、生物の体液サンプ ルの中にあるP.gingivalis抗原の存在を調べるために用いることができる。試 験方法には、1種以上のモノクローナル抗体を含む組成物と、生物の体液とを接 触させることが含まれる。P.gingivalisが生物の体液中に存在していれば、反 応が起こるので、蛍光あるいは別の手段でこの反応を検出、定量することができ る。 本明細書で説明されている実施例と態様は、例示のみを目的としてなされてい ること、ならびに、この見地からなされる様々な修正や変更が当業者に示されて おり、本出願の意図と範囲に含まれ、また、添付の請求項に含まれることと理解 されたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/19 C12N 1/19 1/21 1/21 5/10 C12P 21/08 15/02 C12Q 1/68 A C12P 21/08 G01N 33/569 F C12Q 1/68 C12N 15/00 C G01N 33/569 5/00 B A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,SZ,U G),AL,AM,AU,BB,BG,BR,BY,C A,CN,CZ,EE,FI,GE,HU,IS,JP ,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,LV, MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,R O,RU,SG,SI,SK,TJ,TM,TT,UA ,UZ,VN (72)発明者 タムワソーン ソムイング タイ国 10900 バンコク バンコーン パホーリョシン 45 52/13 ソイ カセ トサルト 2 (72)発明者 ルパイン ガイレイン カナダ国 オンタリオ州 フォート エリ エ ナイアガラ ボルヴァード 323 ア パートメント #307 (72)発明者 ハン ナイミング アメリカ合衆国 フロリダ州 ゲインズビ ル 16ス アヴェニュー エス ダブリュ ー 309 アパートメント #241 (72)発明者 ランツ マリーン アメリカ合衆国 インディアナ州 インデ ィアナポリス グリーンリッジ ドライブ 6622 (72)発明者 パティ ジョゼフ エム. アメリカ合衆国 テキサス州 ミズーリ シティ プリチャード コート 2751

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.相同なDNAに結合したプローブが検出されるように、プローブDNAをポルフ イロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)DNAと特異的かつ選択 的にハイブリダイズさせるように、該細菌のDNAと十分に相同性が高い塩基配列 を有し、かつ検出可能な一本鎖DNAを含むDNAプローブに試料を接触させることを 含む、ヒトまたは動物の組織または体液サンプルにおける歯周病の証拠を検出す るための方法。 2.DNAプローブが、配列番号:11、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19 、配列番号:21および配列番号:23、ならびに、それらの変異配列の断片であり、 かつ特異的および選択的にハイブリダイズするのに充分な相同性を有する断片ま たは変異配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記 載の方法。 3.DNAプローブが、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7 、配列番号:9、配列番号:13、配列番号:25および配列番号:28、又はそれらの断 片もしくは変異配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項 1に記載の方法。 4.ヌクレオチド配列が、配列番号:12、配列番号:16、配列番号:18、配列番 号:20、配列番号:22および配列番号:24、又はそれらの断片もしくは変異配列か らなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求 項2に記載の方法。 5.配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、 配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番 号:26、配列番号:27、および配列番号:29、又はそれらの断片もしくは変異配列 からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする、ポル フィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)の遺伝子。 6.配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、 配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、配列番 号:25、および配列番号:28、又はそれらの断片もしくは変異配列からなる群より 選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項3に記載の遺伝子。 7.ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)抗原をコ ードし、ならびに配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列 番号:9、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21 、配列番号:25、および配列番号:28、又はそれらの断片もしくは変異配列からな る群より選択される、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingiv alis)の遺伝子で形質転換された宿主。 8.ATCC67733を同定するための全ての特徴を有する、請求項7に記載の組換 え細胞。 9.ATCC67734を同定するための全ての特徴を有する、請求項7に記載の組換 え細胞。 10.配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、 配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番 号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:27、および配列番号:29、または 、それらの断片もしくは変異配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有す るポリペプチド。 11.(a)細胞がポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivali s)に特異的な抗原を発現しており、発現した抗原と、サンプル中に存在する抗 体との間で特異的な抗原/抗体免疫複合体を形成するために適した条件の下で行 われる、試料と形質転換全細胞または細胞の溶解物との接触、ならびに、(b) サンプル中のポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)抗 体の存在を検出するための標識方法による免疫複合体形成の検出を含む、生物の 体液試料中に抗ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis) 抗体の存在を検出するための方法。 12.宿主細胞または細胞溶解物によって発現される、ポルフィロモナス・ジン ジバリス(Porphyromonas gingivalis)抗原が、配列番号:2、配列番号:4、配 列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12、配列番号:14、配列番号: 16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、配列番号:26、配 列番号:27、および配列番号:29、又はそれらの断片もしくは変異配列からなる群 より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである、請求項11に記載の方 法 。 13.ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)抗原が、 配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番 号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号:21、 配列番号:23、配列番号:25、および配列番号:28、又はそれらの断片もしくは変 異配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含む核酸によってコードさ れる、請求項11に記載の方法。 14.配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、 配列番号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番 号:22、配列番号:24、配列番号:26、配列番号:27、配列番号:29、又はそれらの 断片もしくは変異配列からなる群より選択されるアミノ酸配列をコードするDNA 断片で形質転換された形質転換宿主細胞、または細胞の溶解物、または形質転換 宿主細胞の産生物を免疫量投与することを含む、罹病性のヒトあるいは動物宿主 に歯周病に対する免疫を付与するために予防接種を行うための方法。 15.DNA断片が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配 列番号:9、配列番号:11、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号: 19、配列番号:21、配列番号:23、配列番号:25、および配列番号:28、またはそれ らの断片もしくは変異配列からなる群より選択される塩基配列を有する、請求項 14に記載の方法。 16.免疫量のDNA配列、該DNA配列で形質転換された宿主細胞、または、該形質 転換宿主細胞の産生物もしくは溶解物を含み、該DNA配列が、配列番号:2、配列 番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:14、配列番号:16 、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、配列番号:24、および配列番号:29 、または、それらの断片もしくは変異配列からなる群より選択されるアミノ酸配 列をコードする、罹病性のヒトあるいは動物宿主に歯周病に対する免疫を付与す るためのワクチン。 17.DNA配列が、配列番号:1、配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配 列番号:9、配列番号:13、配列番号:15、配列番号:17、配列番号:19、配列番号: 21、配列番号:25、および配列番号:28、または、それらの断片もしくは変異配列 か らなる群より選択される配列である、請求項16に記載のワクチン。 18.形質転換宿主細胞がサルモネラ菌である、請求項16に記載のワクチン。 19.ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)種に特異 的なモノクローナル抗体を1種類以上含み、ならびに該モノクローナル抗体が、 配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番 号:12、配列番号:14、配列番号:16、配列番号:18、配列番号:20、配列番号:22、 配列番号:24、配列番号:26、配列番号:27、および配列番号:29、または、それら の断片もしくは変異配列からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペ プチドに特異的かつ選択的に結合する、歯周病の病原体の存在を判定するのに有 用なモノクローナル抗体試薬。 20.hagA、hagB、hagC、hagD遺伝子またはprtP、該遺伝子のポリペプチド産物 、および、該ポリペプチド遺伝子産物に対する抗体からなる群より選択される、 ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)種に特異的な構 成要素を含む、歯周病の証拠を検出するためのキット。
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