JP2000510243A - 固体nmrによる距離測定方法及び装置 - Google Patents

固体nmrによる距離測定方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、回転エコー二重共鳴(REDOR)、伝達エコー二重共鳴(TEDOR)、マジック角における双極子再結合(DRAMA)、ウィンドウレスシーケンスによる双極子再結合(DRAWS)、およびスピン固定とDRAMAの融合(MELODRAMA)をはじめとする様々な固体NMR実験によって生成されたデータを分析する方法を含む。この方法は、新しい分析変換または最大エントロピー法とそれらの多次元拡張とを交互に基礎として使用する。これにより、化学シフトが同一の核からでも、高精度の同時複数の距離測定が可能になる。無秩序の固定材料から容易に達成される高品質の距離測定を提供することによって、本発明は、薬品の主要化合物、薬物の分子、またはそれらの標的の構造を高速決定することを通して、薬剤の発見および設計をも改善する。

Description

【発明の詳細な説明】 固体NMRによる距離測定方法及び装置 本発明の明細書の開示部分は、著作権保護に係わる問題を含んでいる。本著作 権所有者は、本発明の開示のいかなるものについても、特許商標庁に対して特許 出願や登録する際のファクシミリによる複製をすることについては異議を述べる つもりはないが、それ以外の場合にはいかなる場合においても複写許諾権を有す るものである。 本発明は、国家標準技術局(National Institute of Standards and Technolo gy)によって認可された認可番号70NANB5H1066の下に、米国政府の支援の下にお いてなされたものである。米国政府は、本発明に対して所定の権利を有するもの である。 1.発明の分野 本発明の分野は、分子の各磁気共鳴(“NMR”)分光測定によって得られた データを解析することによって、分子内における核間分離に関連したデータを測 定することに関する。本発明は、具体的には新規なNMR及びシグナル処理技術 を用いてドラッグデザイン分野において分子構造を迅速かつ正確に決定するため の用途を有する。 2.発明の背景 新規、かつより良い薬剤の探索は、分子構造決定をより迅速かつより正確に行 う必要を喚起している。製薬会社は、迅速かつ効率的に新薬を発見するとともに 商業化させる必要がある。新薬の必要性は、近年において増加しているにもかか わらず、薬剤発見及び開発の生産性は、大きく改善されているとはいえない。19 76年から1994年までの間に医薬工業及びバイオテクノロジー工業により費やされ た探索及び開発は、10倍以上に増大しているものの、医薬用途においてFDAに よって認可される新規分子の数は、上述の期間内において12〜13/年の範囲で比 較的一定である。新規な医薬学的分子の発見、開発、商業化のために費やされる 時間は、1薬剤について10年から12年と一定にとどまっている。薬剤発見のため の時間を短縮し、コストを低減することが必要である。 薬剤発見における問題点をよりよく理解するために、当該技術の現状について 考察を加える。分子生物学からの証拠によれば、基本的な生物学的メカニズムに おいては、通常の状態及び多くの疾病状態においてタンパクがそのターゲットと 相互作用することが示されている。例えば、アルテリオスクレロシス(artherios clerosis)(心臓麻痺や不整脈の本質的原因である)及び癌は、米国における死亡 率が50%よりも高いとともに、特定タンパク−タンパク認識の異常によって引き 起こされる。初期における薬剤開発のアプローチにおいては、どの様な生物学的 効果についても既知化合物や、通常天然資源から得られる多数の外来化合物のス クリーニングにより生物学的効果を発見する頻度に依存していた。現実のタンパ クターゲットの性質は、通常未知である。特定分子認識により疾病を特徴づける ことは、より理論に沿った薬剤発見及び薬剤開発を行うための機会を与えること になる。 しかしながら今日では、理論に沿ったドラッグデザインは限定された成功を納 めているにすぎない。理論的なドラッグデザインアプローチの一つとしては、含 まれているタンパクの全構造を迅速に決定し、可能性のあるターゲット構造を検 討し、その後に上述の可能性のあるターゲットに結合しそうな薬剤分子構造を予 測するものである。タンパクやその他のリガンドの上述のターゲットドメインに 結合する薬剤分子の物理的構造は、ファーマコフォア(pharmacophore)と呼ばれ ている。したがって、タンパク中の原子の何千もの位置を、ドラッグデザインプ ロセスを開始する前に正確に決定しておく必要がある。坑癌薬として可能性のあ るチミジレートシンセターゼ(thymidylate synthetase)(TS)インヒビター1843 U89についての最近の構造研究によれば、TSの活性サイトの構造が、薬剤の結合 によって著しく変更を受けることが示されている(ウエイシェル(Weichsel)等、1 995年、ネーチャーストラクチュアルバイオロジー、第2巻、第1095〜1101頁;ス タウト(Stout)等、ストラクチャー、第4巻、67〜77頁、1996年)。この例が示す ようにタンパクターゲットTSが正確に特徴づけられているとしても、ターゲッ トの特徴に基づいた理論的なドラッグデザインは、重要な可能性のある薬剤を見 つけられない可能性がある。 ドラッグデザインについてより確実な理論的アプローチは、多くのライブラリ に基づくものであり、タンパク−ターゲット相互作用を探索するために用いられ る関連する分子の膨大なライブラリを用いる(クラックソン(Clackson)等、Tibte ch、第12巻、173頁〜184頁、1994年)。このようなライブラリから、関心のある ターゲットに結合するメンバーのみを選択 する。2つの異なった確実なライブラリは、6〜12アミノ酸の小さなサイクリック ペプチドからなるライブラリと、小さな有機分子からなるライブラリとを挙げる ことができる。このようなライブラリを構成するため及び特定のタンパクターゲ ットを認識するライブリメンバーを選択するための方法が、現在使用できる(ゴ ールドマン(Goldmenn)等、バイオテクノロジー、第10巻、1557〜1561頁)。一度 多様なライブラリが構成されると、関心のあるターゲットに結合する特定メンバ ーを選択するためのソースとすることができる。分子生物学的な方法は、これら の膨大なライブラリから高い親和性と特異性とを持ってターゲットに結合する単 一分子又は小さなアンサンブルを日常的に同定するために用いることができる。 例えば、アリス・ファーマシューティカル(Arris Pharmaceutical)(ジーベル(Gi ebel)等バイオケミストリー、第34巻、15430〜15435頁、1995年;カッツ(Katz)B. A.、バイオケミストリー、第34巻15421〜15429頁、1995年)及びスミスクライン ビーチャムファーマシューティカルズ(Smithklein Beecham Pharmaceuticals)( ザオー(Zhao)等、ネーチャー・ストラクチャー・バイオロジー、第2巻、1131〜1 137頁、1995年)、は、ストレプトアビジン(streptavidin)に対するバインダーを 選択するために多様なライブラリをスクリーニングしている(ジーベル等、バイ オケミストリー、第34巻、15430〜15435頁、1995年)。彼らは、いくつかの高い 親和性を有するサイクリックペプチドを見出している。さらに、結晶学的にペプ チド構造が決定されれば、高い親和性を有するペプチドリガンドから、小さな有 機リガンドが与えられることが前提とされている(カッツ(Katz),B.A.、バイオテ クノロジー、第34巻、15421〜15429頁、1995年)。 多くのライブラリスクリーニングによって選択された医薬学的に保証される小 さな有機物を見出す際には、データベースを検索してデータベースを通じて小さ な有機物を既知の構造と比較して決定することを含んでいる。データベース検索 におけるX線結晶学的な構造により小さな有機物を見出すステップは、フィブリ ノーゲンインヒビターREI-RGD34について行われている(ザオー等、ネーチ ャー・ストラクチャー・バイオロジー、第2巻、1131〜1137頁、1995年)。これら のデータベース検索により見出された分子のうちの11%は、ターゲットペプチド に対して知られたバインダーである。この検索では、上述のインヒビターの結晶 学的構造が1Åとして決定されたことに基づいている。これらの例が示している ように、多くの方法は、スクリーニングから選択分子を選択することが可能であ り、これらの分子は、これらの分子構造が充分な精度で決定されていれば、好適 な医薬学 的なリードと比較することができる。 スクリーニングから選択された分子構造を小さな有機リード化合物へと翻訳す るのは、選択された分子の分子構造の正確な特徴づけに依存している。実験的な 構造決定は、現時点では主にX−線結晶法及び固体NMRによっている(マッカ ーサー(MacArther)等、トレンズ・インバイオテクノロジー、第12巻、149〜153 頁、1994年)。X−線結晶法は、X−線と電子雲の相互作用に依存するものであ り、関心のある結晶におけるすべての重原子の位置についての情報が得られる。 X−線結晶方の精度は、0.5〜2.0Å(1Å=10-8cm)である。この方法の原理的な1 つの欠点は、高い規則性を有する結晶が、高分解能回折パターンを得るためには 必要とされることである。結晶成長技術は改善されているものの、未だ不充分で ある。生物学的に関連するタンパクの多くのクラス、例えばトランスメンブラン レセプターは、結晶化が極めて困難である。この困難性は、大きな親水性構造領 域と疎水性領域とが存在していることに一部関係している。進歩にも拘わらず、 対となった相互作用種の共結晶化は、依然として困難である。これに加えて、困 難性は、高品質の結晶を得ることの費用と時間と(マッカーサー等、トレンヅ・ イン・バイオテクノロジー、第12巻、149〜153頁、1994年)及び結晶形態の構造 がin vivo状態を表すものかどうか、が不明確であること(クロアー(Clore)等、 プロテインサイエンス、第3巻、372頁〜390頁、1994年)。同様の問題は、ターゲ ット分子がDNA又はRNAの場合にも生じる。 溶液状態NMRは、主要な第2の方法であり、電子雲によって間接的に影響を 受ける双極子双極子相互作用による核スピンの間のコリレーションに依存してい る。高分解能・多次元の溶液状態NMR技術は、in situ(すなわち、水溶液環境 )において適用でき、小さなタンパクドメインを研究することができるので結晶 法に代わる魅力的な技術である(ユー(Yu)等、セル、第76巻、933〜945頁、1994 年)。溶液状態NMRは、X−線法と同様に2Åの分解能で中程度のサイズのタン パク及びタンパク/リガンド複合体の構造を決定するためには有効である(マッ カーサー等、トレンズ・イン・バイオテクノロジー、第12巻、149〜153頁、1994 年;クロレ(Clore)等、プロテイン・サイエンス、第3巻、372〜390頁、1994年)。 タンパクに結合する医薬学的リード化合物と言ったリガンドの構造は、タンパク が均一に13C及び15N(コストがかかるが)によりラベルされ、結合が低い交換限 界において生じる場合に最も効率よく決定される(クロレ等、プロテイン・サイ エンス、第3 巻、372〜390頁、1994年)。この制約としては、結合した複合体が解析されるべ きリガンドが自由な状態及び結合した状態において、ともに充分に長く共鳴する だけ存在することにある。この低い交換限界は、この技術が緊密結合したリガン ドのみに適用することが可能であるとの制限を生じさせる。また、複雑なスペク トルは、相互のコリレーションの解析を極めて時間のかかるものとしてしまう。 複雑さの増加したスペクトル及び互いに重なり合うラインによる分解能おける問 題のために、溶液状態NMRは、研究することのできる分子のサイズが著しく制 限されることになる。研究するに適切なタンパクの最大サイズは、約25kD(Dalto ns)(クロレ等、プロテイン・サイエンス、第3巻、372〜390頁、1994年)である。 これらの問題は、ターゲット分子がDNA、RNAであるときにも適用される。 実際、分解能の欠如は、互いのコリレーションを不明確にさせ、DNA及びRA NA分子のサイズを前塩基数が40未満へと制限してしまう。 結晶法及び溶液状態NMRにより得られる分解能は、効果的な理論的ドラッグ デザインには不適切であり、特に有機化合物データベースからリード化合物を選 択するためには不適切である。薬剤アフィニティー及び薬剤特異性の双方を得る ために必要な分解能は、正確には知られていないものの、1Å又は0.1Å程度と 推定される(マッカーサー等、トレンズ・イン・バイオテクノロジー、第12巻、 149〜153頁、1994年)。この精度は、X−線法及び溶液状態NMRの能力を超え ている。 特に薬剤発見のために適用可能な分子構造決定の改善された方法は、大きな利 用性を有する。X−線結晶法及び溶液状態NMRに伴ういくつかの制約を避ける ための方法の1つとしては、ローテーショナルエコーダブルレゾナンス(REDO R)といった双極子ディフェージング固体NMRを挙げることができる(グリオン 等、ジャーナル・オブ・マグネチック・レゾナンス、第81巻、196〜200頁、1989 年;グリオン等、アドバンスズ・イン・マグネチック・レゾナンス、第13巻、57 〜83頁、1989年)。結晶法と比較すると、固体NMRは、多結晶の不規則な材料 から高分解能の構造的情報を得ることができるという効果を有する。これは、高 分解能の回折を得るために高度に規則性のある結晶を製造する必要を排除し、結 晶充填力による構造的摂動を排除する。1/r6により減衰する核の間の間接的相 互コリレーション(核オーバーハウザー効果、NOE)に依存する溶液状態NMR とは対照的に、固体NMRは、核間距離を測定するために1/r3に依存する直接 的な双極子カップリングに基づいている。ここで、rは、核間距離である。この 結果、より長い距離がより 高精度及びより正確に固体NMRで測定できることとなる。さらに、固体NMR は、薬剤にターゲット分子を結合させた複合体のサイズによっては厳密には制限 を受けない。固体NMR実験においては、サイズの制限は、利用できるサンプル の量とNMR分光計の感度とによって主として規制される。 溶液状態NMR測定に勝るREDOR変換技術の一つの効果は、核間距離の測 定される周波数からの直接かつ正確な決定にある。溶液状態NMR実験は、距離 測定のための間接的な双極子カップリングに依存する。溶液状態NMRにおいて は、実験的に測定されるパラメータと距離との間の直接関係はない。そのかわり 、カップリングの強度は、核オーバーハウザー効果(NOE)により影響を受け、 これは、数オングストロームの距離をスキャンすることができる距離に関連する 。 明確にさせるために、本発明においての実験例について言えば、本発明ではR EDORについてのみ議論するが、TEDOR(ヒンジ(Hinge)等、ジャーナル・ オブ・マグネチック・レゾナンス、シリーズA、第103巻、151〜162頁;1993年; ヒンジ等、ジャーナル・オブ・マグネチック・レゾナンス、第96巻、205〜209頁 、1992年)といった別の双極子ディフェージング(双極子リカップリング)法、D RAMA(チコ(Tycko)等、ケミカル・フィジックス・レターズ、第173巻、461〜 465頁、1990年;チコ等、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス、第98巻、 932〜943頁、1990年)、DRAWS(グレゴリー(Gregory)等、第36回実験的核磁 気共鳴コンファレンス、ボストン、MA、第289頁、1995年)、MELODRAM A(サン(Sun)等、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス、第102巻、702〜 707頁、1995年)を挙げることができる。種々の固体状態材料におけるREDOR は、ヘテロ核の間の距離を測定するための高分解能固体NMR技術である。生物 材料に適用するに当たっては、これは、主として13C原子と一つの15N原子の間 の距離を意味する(マーシャル(Maeshall)等、ジャーナル・オブ・アメリカンケ ミカル・ソサエティー、第112巻、963〜966頁、1990年;ガーボウ(Garbow)等、ジ ャーナル・オブ・ケミカル・ソサエティー、第115巻、238〜244頁、1993年)。固 体状態における核磁気共鳴相互作用なので、REDORは、高精度かつ正確に核 間距離を測定する本質的能力を有している。REDOR測定は、13C−15N距離 が0〜4Åの場合には、0.05Åよりも精度良く、かつ13C−15N距離が4〜6Åの場 合には、0.1Åよりも精度良い。 REDORデータは、その適用性と利用性により制限を受けてしまうと言う重 要な欠点が ある。すなわち従来の分析及び処理では、一度に縮重した化学シフトによる核ス ピンから一つの距離の測定を可能とする。この欠点の理由としては、通常のRE DORデータ分析は、粉体といった乱雑な材料を平均し、単に数値的に計算させ ることに依存しているためである。この分析は、ユニバーサル曲線(図2に示す実 施例)を与え、この曲線は、核間距離に関連した形状を有している。通常の分析 方法は、互いに重なり合ったユニバーサル曲線を分離することが不可能である。 したがって、分析における通常の方法では、縮重した化学シフトのスピンの一つ 以上の距離を一度に測定を行うのは現実的ではない。 双極子ディフェージング実験における改善の第2の領域は、データ処理の複雑 さを生じさせるカップリングされていない核の自然存在率によるシグナルの排除 にある。この自然存在率による寄与を排除するための実験としては、TEDOR を挙げることができる。しかしながら、TEDORデータの分析は、労力を要し 、その適用性に限界を生じさせることになる。REDORの分析方法の容易さと 及びTEDORの低いバックグラウンド寄与とを組み合わせることは、より明ら かな有効性を有する。 現在行われているREDORの制限は、情報収集が遅いということにある。通 常では、一度にたった一つの距離が特定にラベル化されたスピンの間において測 定されるにすぎない。薬剤分子又はファーマコフォアにおける活性結合サイトの ため、多数の距離を測定するのは、時間を要し、かつ高価なものとなる。この方 法によって得られる距離測定は、精度良くかつ正確ではあるが、一度に複数の距 離をゆっくりと長々と測定することになる。ガーボウ(Garbow)とグリソン(Gulli son)(ガーボウ等、ジャーナル・オブ・マグネチック・レゾナンス、第95巻、442 〜445頁、1991年)は、これらのことは、化学シフトさせた核によるREDOR測 定することによって低減されることを示している。しかしながら、分子サイズが 大きくなると、この方針は縮重した化学シフトにより制限されてしまうことにな る。 通常の2次元NMR実験では、時間ドメインデータセットにおける双方の次元 は、サインとコサインの関数になる。2次元周波数ドメインスペクトルは、双方 の次元のフーリエ変換によって行われる。固体NMRの双極子ディフェージング 実験では、第2の次元のみがサインとコサインの曲線とされ、第1の次元は、フ ラクショナル次数の円筒ベッセル関数となる。したがって、2次元周波数ドメイ ンスペクトルを得るための双方の時間ドメイン次元の標準的なフーリエ変換方法 は、双極子ディフェージング法には適切ではない。これまでの2次元固体NMR 実験では、双方の次元に対してフーリエ変換を用いて化学シフトに 対する双極子カップリングを測定するが、これは、強い双極子カップリングのも のについてのみ行われる。これらの技術は、強い双極子カップリングのためにの み好適であり、双極子ディフェージング実験における弱い双極子カップリング測 定には適切ではない。 バンエック(van Eck)及びベーマン(Veeman)による実験(バンエック等、ジャー ナル・オブ・マグネチック・レゾナンス、シリーズA、第109巻、250〜252頁、1 994年)は3次元実験であるが、彼らは、TEDOR次元におけるフーリエ変換に よりデータを解析している。したがって、彼らの結果は、高分解能ではなく、本 発明により奏される3次元法の固有の直接的な解析を行うものではない。 分子構造に関連する明確な値があり、またこのような情報を与えることができ る方法及び装置があり、固体状態NMRは、選択された対となった核についての 正確な距離の形態として上述の情報を与えることができ固体NMR実験により得 られたシグナルを分析する最新の方法があるがこれらには所定の問題があり実験 による、時間ドメインデータから周波数ドメインスペクトルの形態として高精度 の距離情報を得ることができ、時間ドメイン実験データにおけるノイズを抑制す ることによる高精度かつ正確な距離情報を与えることができ、縮重したスペクト ルの内部一致性を提供でき、単一の時間ドメインシグナルにおけるいくつかの双 極子カップリングによる寄与を分離でき、最終時点までゼロには減衰しないシグ ナルを有する時間ドメインデータを許容し、この時間ドメインデータを連続的に 所定の時間以上に連続させるのではなく、時間における離散的なポイントにおい て収集されたデータを代表して自然的に生じるそれに引き続いたラインブロード ニングを有するようにスムージングさせる必要を要せず、自然存在率によるシグ ナルのノイズを自然的に取り扱うことができ、これらを総合して最良な周波数ド メイン及び距離ドメインスペクトルを正確で、理論的な定義を用いて時間ドメイ ンシグナルから得ることができ、周波数ドメインスペクトルの形態としての実験 的時間ドメインデータから高精度な情報を得ることができる新たな分析方法が必 要とされていた。 本発明において挙げた上述の参考文献は、本発明の従来技術を示した文献とな るものではない。 3.発明の開示 本発明は広く、固体NMRにより、より迅速に、より高精度かつ正確に、従来 の固体N MR技術よりもより多様な核間距離を与えることを目的とする。13C−15Nとい った特定の場合には、本発明により行われる距離測定は、距離が4Å未満では0.0 5Åよりも正確に、距離が4〜6Åの場合には、0.1Åよりも正確である。この目的 は、結晶法又は溶液状態のNMRよりもより正確かつより時間的に効率の良い方 法を提供することによって、ドラッグデザイン分野における分子構造決定にあっ た従来の問題点に対応することができるという顕著な利用性を有している。ファ ーマコフォア構造の決定をより迅速、かつ正確に行うことによって、好適な医薬 組成物がより迅速かつ効率的に得られることになる。 本発明の目的は、双極子カップリングにより生じた測定シグナルである固体状 態NMRによって得られた実験的な時間ドメインデータからの高精度情報を得る ことを目的とする。 このドメインデータを解析して、周波数ドメイン又は時間ドメインデータに寄 与する双極子カップリングに対応したこれと等価な距離ドメインスペクトルを得 る。 本発明によれば、上述の目的は多数の距離を同時に測定することができ、単一 の距離についてより正確な測定を行うことを可能とする、実験手法及びデータ解 析双方における改善を行うことによって達成される。本発明は、REDOR変換 及びマキシマムエントロピー法に基づく方法を用いるものである。本発明は、時 間ドメインデータからこのデータに寄与するカップリング周波数の周波数ドメイ ン情報に対応したスペクトルを導くことができる固体NMR実験のクラスから時 間ドメインデータを分析する方法を提供する。言い換えれば、本方法は、時間ド メインデータによって表されたシグナルに寄与する核間距離のスペクトルを与え るものである。本発明はまた、REDOR以外で、REDORシグナルの時間依 存性の関数形態を有する固体NMRヘテロ核及び同核距離測定実験にも適用でき る。より一般的には、シグナル関数の時間依存性が数値的に知られている固体状 態NMRヘテロ核及び同核における距離測定に適用することができる。 本発明の1つの態様においては、REDOR測定においてREDORNMR測 定及びデータ解析を行う方法を提供するものであり、同一の化学シフトを有する 核スピンから測定される多重の同時な距離測定を可能とする方法を提供すること にある。 好ましい実施態様においては、1次元REDOR変換により、一つの特定の化 学シフトを有するすべての核から2つ以上の核間距離を測定することを可能とさ せる。別の好適な態様においては、観測された核の化学シフトを異核カップリン グに関連づけるための2次 元スペクトルにより、すべての化学シフトされた核からの2つ以上の核間距離の 測定が可能となる。別の好適な態様においては、2次元スペクトルは、ヘテロ核 対における双方の核について得られる。これらの2つのスペクトルのそれに続い たコリレーションは、複雑なサンプルにおけるサイト同定性を改善させる。さら に好ましい態様では、双方の核の化学シフトを互いにコリレートさせる3次元ス ペクトルは、複雑なサンプルにおけるサイト同定性を改善することを可能とする 。 この方法の別の態様では、マキシマムエントロピー法によって発生される。こ の方法は、操作モードに依存した特定のカップリング周波数又は特定の核間分離 に対応する時間ドメインデータを発生させるためのカーネルの入力を必要とする 。データに対応する最も可能性のあるスペクトルは、マキシマムエントロピー法 である。これに加えて、このマキシマムエントロピー法は、スペクトルをデフォ ルト値として使用し、与えられたデータ内でのノイズを見積もるようにされてい て、スペクトル中の誤差に関連した情報を発生させるようになっているとともに 、データに与えられた見積もり誤差の信頼性を与えるようになっている。 本発明は、またNMRスペクトルにおける測定されたピーク強度への自然存在 率を排除するためのシンメトリックTEDOR実験を行う方法を含んでいる。こ のような排除は、測定されたNMRシグナルにおけるオフセットコリレーション を行うために必要とされる。このシンメトリックTEDOR実験の機能的形態は 、REDOR実験と同一である。TEDOR実験における改善は、自然存在率の 寄与を排除して、本発明における改善されたデータ処理技術を適用するためであ る。 本発明の特徴は、REDOR技術により同時に複数の距離について測定するこ とにより、実験時間を低減させることにある。同時に多数の距離を測定するのは 、連続して多くの距離を測定するよりも時間を要しない。さらに、同時に距離を 測定することにより、ターゲットタンパク及び薬剤分子のサンプル合成のコスト が下げられることになる。タンパクターゲットが低コストになることは、実験に 必要なタンパクの量を低減させることができることによる。薬剤分子が低コスト になることは、単一の化合物で多数の距離を測定することにより、合成が安価と なることによる。測定される距離の数の増加は、データ解析において費やされる 時間を増加させることにはならない。データ分析に用いられる時間は、(典型的 には数時間)は、X−線結晶法及び溶液状態NMRデータ分析に費やされる時間 (典型 的には数カ月)よりもずっと少ない。 本発明の方法の医薬的リード化合物への応用は、同一の化学シフトを有する核 の対から1つ以上の距離を測定することを可能とさせる。 本発明の特徴は、多数の距離を含むより複雑なサンプルについて距離測定を行 うことができることにある。本発明の特定の態様においては、複雑なサンプルは 、ペプチド1つにつき測定可能な距離を有するペプチドを物理的に混合すること によって製造される。本発明の別の態様では、複雑なサンプルは、1つのペプチ ド内に多くの測定可能な距離を含んでいる。本発明の別の態様においては、複雑 なサンプルはペプチドそれぞれが多数の測定可能な距離を含んでいるペプチドを 混合することによって製造される。 本発明の特徴は、回折を行うために高度に規則的な結晶を用いる必要がある結 晶法とは対照的に、実験が不規則な(微結晶又はアモルファス)材料を用いて実施 することができることにある。さらに、本発明は分解能の点において溶液状態N MRのように関心のある分子又は複数の分子の分子量には厳格には左右されない ことにある。 本発明の特徴は、本方法が、数多くの環境下でファーマコフォアを研究するの に用いることができることにある。本発明の好適な態様においては、ペプチドは 合成樹脂に結合されている。本発明の別の好適な態様においては、ペプチドは、 未ラベルのペプチド又はミルクタンパクといったマトリックス内に緊密に混合さ れる。本発明の別の好適な態様においては、ペプチドは、ターゲットタンパクに 結合される。 本発明の特徴は、この技術が適用される材料が、本発明において報告するペプ チドを超えて適用することができることにあり、ペプトイド、ペプチドミメティ ックス、核酸、炭化水素、これら以外の小さな有機薬剤分子といった非ペプチド 分子に適用されることにあるが、特にこれらの物に限定されるわけではない。距 離測定は、ターゲットタンパク内における距離測定の他、ターゲットタンパクと リガンドの間においても行うことができる。いかなる適用可能な材料にも関連す る特徴は、その材料が本来有しているものでも、又は対となったNMR活性核で 選択的にラベルできるものを挙げることができる。この対は、ヘテロ核対であっ ても良く、同核対であっても良い。 この方法の双方のグループは、多次元NMR分析に適用することができる。デ ータの2次元処理のために導入する方法は、多重の化学シフトを有するスピンの 多数の距離を同時に測定することを可能とする。2つの付加的な方法は、2次元デ ータセットのコリレー ション及び3次元実験であり、さらに解像力が向上することになる。核の間のヘ テロ核双極子カップリングを双方の種の化学シフトにコリレーションすることに よって、これらの技術は、より複雑なサンプルへと利用性が広げられる。複雑な サンプルとは、多重となった核間距離と多重の化学シフトされた核を有するサン プルをいう。利点としては、より複雑なサンプルでも、単位時間当たりに測定さ れるヘテロ核距離への翻訳がなされることにある。1次元、2次元、3次元技術に より測定された距離は、従来のREDOR測定の高い精度及び正確さを有してい るとともに、速度を向上させ、かつコストを低下させることになる。 本発明の態様においては、1つ以上の分子を含む対となったサイトのそれぞれ について1つ以上の距離を決定する方法を提供することにある。これらの1つ以上 の分子は、1つ以上の対となったサイトを有し、各サイトの対は、第1のサイトと第2 のサイトとを含んでおり、対となった各サイトの距離は、第1のサイトと第2のサイ トの間とされ、さらにこの方法は、NMR活性核からのNMR時間ドメインデー タを発生させ、対となった1つ以上のサイトの各対は、第1のNMR活性核によっ て占有される第1のサイトを有するとともに、第2のNMR活性核によって占有さ れる上述の第2のサイトを有している。この第1のNMR活性核は、上述の発生ス テップにおいて観測され、上述の第1のNMR活性核及び上述の第2のNMR活性 核は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間の距離に対応した双極子カップリン グ周波数によって特徴づけられる双極子カップリングを有している。上述の時間 ドメインデータは、少なくとも1つの時間次元に沿った上述の1つ以上の対のそれ ぞれの双極子カップリングに対応し、さらに上述の時間ドメインデータを解析し て、上述の一つ以上の対となった1つ以上のサイトの第1の核と第2の核の間の双 極子カップリングを特徴づける双極子カップリング周波数を同定するスペクトル ドメインデータ得る。この解析は、上述の第1の時間次元に沿って時間ドメイン データをマキシマムエントロピー変換することを含んでいる。 本発明の態様においては、1つ以上の分子を含むサンプルにおいて1つ以上の距 離を決定する方法を提供することにあり、上述の1つ以上の分子は、1つ以上の対 となったサイトを有しており、対となった各サイトは、第1のサイトと第2のサイ トを有し、各距離は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間とされ、この方法は 、1つ以上の上述した1つ以上の分子に1つ以上のターゲット化合物を結合させ、 NMR活性核からNMR時間ドメインデータを発生させるものであって、上述の サイトの1つ以上の各対は、第1のNMR活性核 によって占有される第1のサイトを有しているとともに、第2のNMR活性核によ って占有される第2のサイトを有し、上述の第1のNMR活性核は、上述の発生ス テップにおいて観測され、上述の第1のNMR活性核及び上述の第2のNMR活性 核は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間の距離に対応した双極子カップリン グ周波数によって特徴づけられる双極子カップリングを有している。上述の時間 ドメインデータは、少なくとも1つの時間次元に沿って上述の1つ以上の対のそれ ぞれの双極子カップリングに対応し、さらに上述の時間ドメインデータを解析し て、上述の一つ以上の対となった1つ以上のサイトの第1の核と第2の核の間の双 極子カップリングを特徴づける双極子カップリング周波数を同定するスペクトル ドメインデータ得る。この解析は、上述の第1の時間次元に沿って時間ドメイン データをREDOR変換することを含んでいる。 本発明の態様においては、1つ以上のペプチドを含んだサンプルにおける1つ以 上の距離を決定する方法が提供され、この1つ以上のペプチドは、1つ以上の対と なったサイトを有しており、対となった各サイトは、第1のサイトと第2のサイト とを有していて、各距離は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間とされ、この 方法は、NMR活性核からNMR時間ドメインデータを発生させるものであって 、上述のサイトの1つ以上の対は、第1のNMR活性核によって占有される第1の サイトを有しているとともに、第2のNMR活性核によって占有される第2のサイ トを有し、上述の第1のNMR活性核は、上述の発生ステップにおいて観測され 、上述の第1NMR活性核及び第2のNMR活性核は、上述の第1のサイトと第2 のサイトの間の距離に対応した双極子カップリング周波数によって特徴づけられ る双極子カップリングを有している。上述の時間ドメインデータは、少なくとも 第1の時間次元に沿って1つ以上の対のそれぞれの双極子カップリングに対応し、 さらに上述の時間ドメインデータを解析して、上述の一つ以上の対となった1つ 以上のサイトの第1の核と第2の核の間の双極子カップリングを特徴づける双極子 カップリング周波数を同定するスペクトルドメインデータを得る。この解析は、 上述の第1の時間次元に沿って時間ドメインデータをREDOR変換することを 含んでいる。 本発明の態様においては、1つ以上の分子を含んだサンプルにおける複数の距 離を決定する方法を提供するものであり、上述の1つ以上の分子は、複数の対と なったサイトを含み、対となった各サイトは、第1のサイトと第2のサイトとを有 していて、各距離は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間とされ、この方法は 、NMR活性核からNMR時間ドメ インデータを発生させるものであって、上述のサイトの1つ以上の対は、第1のN MR活性核によって占有される第1のサイトを有しているとともに、第2のNMR 活性核によって占有される第2のサイトを有し、上述の第1のNMR活性核は、上 述の発生ステップにおいて観測され、上述の第1NMR活性核及び第2のNMR 活性核は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間の距離に対応した双極子カップ リング周波数によって特徴づけられる双極子カップリングを有している。上述の 時間ドメインデータは、少なくとも第1の時間次元に沿って上述の1つ以上の対の それぞれの双極子カップリングに対応し、さらに上述の時間ドメインデータを分 析して、上述の一つ以上の対となった1つ以上のサイトの第1の核と第2の核の間 の双極子カップリングを特徴づける双極子カップリング周波数を同定するスペク トルドメインデータを得、さらにNMR時間ドメインデータを解析して上述の対 となった1つ以上のサイトの第1の核と第2の核の間の双極子カップリングを特徴 づける1つ以上の双極子カップリング周波数を同定して、スペクトルドメインデ ータを得る。この解析は、上述の第1の時間次元に沿って時間ドメインデータを REDOR変換することを含んでいる。 本発明の態様においては、1つ以上の分子を含んだサンプルにおける1つ以上の 距離を決定する方法を提供するものであり、上述の1つ以上の分子は、1つ以上の 対となったサイトを含み、対となった各サイトは、第1のサイトと第2のサイトと を有していて、各距離は、上述の第1のサイトと第2のサイトの間とされ、この方 法は、NMR活性核からNMR時間ドメインデータを発生させるものであって、 上述のサイトの1つ以上の各対は、第1のNMR活性核によって占有される第1の サイトを有しているとともに、第2のNMR活性核によって占有される第2のサイ トを有し、上述の第1のNMR活性核は、上述の発生ステップにおいて観測され るとともに、化学シフトを有しており、上述の第1のNMR活性核と上述の第2の NMR活性核は、対となったNMR活性核を形成し、前記第1のサイトと前記第2 のサイトの間の距離に応じた双極子カップリング周波数によって特徴づけられる 双極子カップリングを有しており、上述の時間ドメインデータは、上述の第1の サイトと第2のサイトの間の距離に対応した双極子カップリング周波数によって 特徴づけられる双極子カップリングを有しているとともに、上述の時間ドメイン データは、第1の時間次元に沿って1つ以上の各対の双極子カップリングに対応し 、少なくとも1つの第2の時間次元に沿った上述の1つ以上の対それぞれの第1のサ イトにおける前記第1の核の化学シフトに対応してお り、さらに上述のNMR時間ドメインデータを解析して、上述した対となった1 つ以上のサイト内の第1の核と第2の核の間の双極子カップリングを特徴づける1 つ以上の双極子カップリング周波数を同定するとともに、さらに双極子カップリ ング周波数における上述の第1のそれぞれの核の化学シフトの上述した双極子カ ップリング周波数を同定する。解析においてはさらに上述の少なくとも1つの双 極子カップリングに対応した双極子ディフェージングスペクトル変換を上述の時 間ドメインデータに対して上述の第1の時間次元に沿って、かつそれ以外の時間 次元に沿って施すことを含んでいる。 これまでの態様に加え、本発明においては、上述の1つ以上の対となったサイ トのそれぞれの第2のサイトの上述の第2のNMR活性核が化学シフトを有する方 法が提供される。この方法は、少なくとも1つの第3の時間次元に沿って上述し た1つ以上の対となったサイトの内のそれぞれの第2のサイトにおける第2のNM R活性核の化学シフトに対応するようにNMR時間ドメインデータを発生させる 発生ステップと、所定の双極子カップリング周波数を有する上述の第2の核の1つ 以上の化学シフトについて上述の双極子カップリング周波数を同定する解析ステ ップと、を有している。 本発明の態様においては、マキシマムエントロピー変換の施されたサンプルに より、実験的なNMR時間ドメインデータ値から予測されるスペクトルドメイン データ値を決定するステップを有する。上述の時間ドメインデータ値は、少なく とも1つの時間次元を有し、この時間次元は、上述のサンプルにおけるNMR活 性核の1つ以上の対の間の1つ以上の双極子カップッリングに対応して変動する。 このための方法は、求積法のためのベーシス関数のM係数として、デフォルトの スペクトルドメインデータ値を選択し、規格化パラメータαの値を決定し、上述 の求積法のためのベーシス関数のM係数としてαE−χ2/2式に従って最大とな る上述の予測されたスペクトルドメインデータ値を決定する。上述のEは、上述 のデフォルトスペクトルドメインデータ値に対する予測されたスペクトルドメイ ンデータ値のエントロピーであり、χ2は、時間ドメインデータ値と予測された スペクトルドメインデータから決定される時間ドメインデータの間の実験的な誤 差を予測することによって規格化された差の尺度である。 本発明の態様においては、REDOR変換にしたがってNMR時間ドメインデ ータを解析する方法が提供される。この時間ドメインデータ値は、サンプルから 得られるとともに、2つ以上の時間変動の次元を有していて、この次元のうちの 少なくとも1つは、サンプル中の 1つ以上の対となったNMR活性核の間の双極子カップリングのうちの1つに対応 し、この時間ドメインデータ値は、下式を評価する技術によってこの双極子カッ プリングスペクトルドメインデータから決定される。 上式中、M(D)は、スペクトルドメインデータ値であり、S(t)は、上述し た時間ドメインデータ値であり、K(t,D)は、式 により与えられる。 上述の方法には、上述の時間ドメインデータ値から予測されたスペルトルドメイ ンデータ値決定するため式 を評価することが含まれ、これは、上述の時間ドメインデータ値における求積法 技術にしたがってなされる。上式中、k(t,D)は、式 で与えられる。 本発明の態様においては、サンプルからの実験的NMR時間ドメインデータ値 から、マキシマムエントロピー変換を用いて予測されるスペクトルドメインデー タ値M( )を見出す装置が提供される。この時間ドメインデータ値は、上述のサ ンプル中のNMR活性核の1つ以上の対の間の1つ以上の双極子カップリングに対 応した少なくとも1つの時間変動 の次元を有している。上述の装置は、デフォルトのスペクトルドメインデータ値 M( )を選択する手段を有しており、このMは、上述したスペクトルドメインに おける求積法のベーシス関数の係数であり、さらに規格化パラメータαの値を決 定するための手段と、上述の求積法のためのベーシス関数のMを係数として予測 されるスペクトルドメインデータを決定するための手段とを有し、これらの係数 の値は、ダビッドソン−フレッチャー−パウエル法に従った式αE−χ2/2にし たがい、最大化される。(i)上式中、Eは、上述のデフォルトスペクトルドメイ ンデータ値に対する上述の予測されたスペクトルドメインデータ値のエントロピ ーであり、式 にしたがって、上述したグリッドのポイントでの求積法により見積もられ、(ii) χ2は、上述した時間ドメインデータ値Siと時間ドメインデータ値S'iの間の実験 誤差の見積もりσiによって規格化した差の尺度である。この値Si'は、上述した 予測スペクトルドメインデータ値M( )により下記式で特定される技術によって 得られる。 上式中、N+1は、上述した時間ドメインデータ値の数である。 本発明の態様においては、予測されるスペクトルドメイン値を決定するために REDOR変換にしたがってNMR時間ドメインデータ値を解析する装置が提供 される。この装置は、サンプルから上述の時間ドメインデータ値を発生させるた めの手段を有しており、この時間ドメインデータ値は、時間変動に対する2つ以 上の次元を有し、これらの次元のうちの少なくとも1つは、上述したサンプル内 の対となったNMR活性核の間の1つ以上の双極子カップリングに対応しており 、上述の時間ドメインデータ値は、スペクトルドメインデータから決定すること ができ、下記式を評価する技術によって上述の双極子カップリングが特徴づけら れる。 上式中、M(D)は、上述したスペクトルドメインデータ値であり、S(t)は、上 述した時間ドメインデータ値であり、K(t,D)は、式 で与えられ、さらに上述の時間ドメインデータ値における求積技術にしたがって 式 を評価するための手段を有している。ここで、k(t,D)は、式 によって与えられる。 本発明の態様においては、サンプルの1つ以上の距離を決定する方法が提供さ れ、この方法は、1つ以上の対となったサイトを含む1つ以上のペプチドを含むサ ンプルの1つ以上の距離を決定する方法を提供するものであり、上述の各対とな ったサイトは、第1のサイトと第2のサイトを有し、上述の距離は、上述の第1の サイトと第2のサイトの間にあり、この方法は、NMR活性核で上述の1つ以上の 対となったサイトそれぞれをラベリングし、上述の対となった各サイトは、上述 の第1のNMR活性核と第2のNMR活性核によって占有されており、さらに、N MR活性核からのNMR時間ドメインデータを発生させ、1つ以上の対となった サイトの各対は、第1のNMR活性核によって占有される第1のサイトと、第2の NMR活性核によって占有される第2のサイトを有しており、上述の第1のNMR 活性核は、上述の発生ステップにおいて観測されるとともに、化学シフトを有し ていて、上述の第1及び第2のNMR活性核は、上述の第1と第2のサイトの間の距 離に応じた双極 子カップリング周波数によって特徴づけられる双極子カップリングを有しており 、上述の時間ドメインデータは、少なくとも第1の時間次元に沿って1つ以上の各 サイトの双極子カップリングに対応しているとともに、少なくとも第2の時間次 元に沿った上述の1つ以上のサイトの上述の各サイトにおける上述の第1のサイト の上述の第1の核の化学シフトに対応し、上述のNMR時間ドメインデータを解 析して上述の1つ以上の双極子カップリング周波数を同定するスペクトルドメイ ンデータを得、この1つ以上の双極子カップリング周波数は、上述の第1の核及び 第2の核の間の双極子カップリングを特徴づけているとともに、上述の双極子カ ップリング周波数を有する上述の第1の核の1つ以上の化学シフトの上述の双極子 カップリング周波数それぞれを同定しており、上述の解析は、上述の1つ以上の 双極子カップリングに応じた双極子ディフェージングスペクトル変換を上述の第 1の時間次元及び別の時間次元に沿って上述の時間ドメインデータに対して行う 様になっている。 本発明は、さらに請求項45の方法を行うための指令を含んだコンピュータ読み 取り可能な媒体及び請求項62に記載の方法を実施するための指令を含んだコンピ ュータ読み取り可能な媒体を提供するものである。 4.図面の簡単な説明 本発明のこれらの目的、特徴および利点は、添付図面、詳細な説明および添付 クレームを考慮して、当業者には明白となることだろう。なお図面中、 図1は、REDORパルスシーケンスの一例を示す; 図2は、ローターサイクル数の関数としてプロットしたREDORΔS/S0曲線 の一例を示す。 図3は、ローターサイクル数の関数としてのREDOR S/S0曲線の一例を示す 。 図4は、REDOR変換実施態様によりペプチド混合物から得られた双極子周 波数スペクトルを例示している。 図5は、3Åより大きい13C−15N距離を測定するための好ましい代替的RED ORパルスシーケンスを例示する。 図6は、核間距離および双極子−カップリング周波数の関係を示す曲線を例示 する。 図7は、TEDOR実験についてのパルスシーケンスを例示する。 図8は、化学シフトおよび双極子カップリングの相関関係を示す図4のデータの 二次元 スペクトルを例示する。 図9A、9Bおよび9Cは、化学シフトおよび異核双極子カップリングの相関関係を 示す二次元スペクトルの一例を示す。 図10は、準三次元処理を例示する。 図11は、13C化学シフト、15N化学シフトおよび双極子カップリングの相関関 係を示す三次元実験についてのパルスシーケンス例を示す。 図12は、13Cおよび15Nの三次元相関関係の一例を示す。 図13は、13C化学シフトおよび同核双極子カップリングの相関関係を示す三次 元実験についてのパルスシーケンスを例示する。 図14は、測定されたREDORデータの例を示す。 図15は、最大エントロピー方法の流れ図を例示する。 図16Aおよび16Bは、最大エントロピー方法の応用例を例示する。 5.詳細な説明 5.1節は、観測された核の双極子カップリングおよび化学シフトに対して応答 するシグナルを生成する基本的な固体NMR実験について記述している。5.2節 は、本発明の双極子脱位相スペクトル変換の最大エントロピー実施態様について 記述している。5.3節は、本発明の双極子脱位相スペクトル変換のREDOR変 換実施態様について記述する。5.4節は、本発明に適合可能な好ましいTEDO Rパルスシーケンスについて記述する。5.4節は、二次元および三次元NMRシ グナルの測定および解析について記述する。5.6節は、本発明の方法に従った測 定および解析のためのサンプルを作成するためのサンプルの標識化、合成および 調製方法について記述する。 本発明に基づく方法は、13Cおよび15Nで選択的に標識したペプチドサンプル を用いて例示されている。しかしながら、この方法は、このようなサンプルにも 、このような標識にも制限されるわけではない。本発明のデータ収集および処理 方法は、一般的なものであり、天然にNMR活性核を有するか、またはNMR活 性核で選択的に標識することのできるあらゆるサンプルに適用できるものである 。 さらに、本発明の方法は、2つのNMR活性核で標識したサンプルを用いて例 示されている。しかしながら、本発明の方法はこのような標識化に制限されるわ けではない。特に、サンプルペプチドの中には多数の観測されていないNMR活 性核が存在する可能性が あり、このような観測されていない核の磁気特性は、三次元より高次元に拡張さ れた多次元解析技術によってサンプリングされ得る。たとえば、時間−ドメイン NMRシグナルは、観測された核の双極子カップリング、その化学シフトおよび それが双極子カップリングされている観測されていない核すべての化学シフトに 対し応答性をもつ可能性がある。このようなシグナルは、このシグナルが感応性 をもつすべての核の周波数チャンネル内でRFパルスサブシーケンスを適用するこ とによって生成できる。しかしながら従来のNMR計装は、RFパルスの3つのチ ャンネルしか生成しない。 5.1 双極子スペクトルおよび双極子脱位相実験 本発明において記述されている薬物発見の分野における構造決定方法は、双極 子脱位相実験として知られるNMR実験およびこれらの実験からの時間−ドメイ ンシグナルの、周波数ドメインまたは距離ドメインスペクトルへの改良型解析方 法に基づいている。これらの実験を行なうための好ましい方法は、NMR活性核 の間の距離、特に縮退化学シフトを伴うスピンから生じた場合であっても一度に 複数の距離の精確かつ急速な測定を可能にする。これらの解析方法は、目的の分 子のより積極的な標識化スキームを可能にする。その上、この方法は、生化学お よび材料構造の決定のための信頼性の高い方法の開発に向けて重要な1つの段階 を表わしている。 NMR活性核は、非ゼロ核磁気双極子モーメントを有する核である。非ゼロ双 極子モーメントを伴う2つのこのような核は、以下の式1にしたがって核間距離r に直接左右される双極子カップリング周波数Dと磁気的に直接相互作用する。 この式中、hは、プランク定数を2πで除したものであり、γ1およびγ2は、 相互作用する核の磁気回転比である。磁気回転比は、核の固有物理特性である。 本発明により考慮されているNMR実験は、一般に、非結晶または微結晶の不 規則化された固体材料に対する実験をも含んでいる。材料は、好ましくは、NM R活性核が特定的に標識化によって導入された生物学的に注目されている有機化 合物である。実験用サンプルは、約54.7°のマジック角(「マジック角スピニング」 または「MAS」)で、かつ標準的には3kHzより高い周波数で、磁界内でスピンさせ られる。(Munowitz,M. Coherence and NMR;John Wiley & Sons;New York,1988,p289)。マジック角ス ピニングは、異方性化学シフトならびに核双極子カップリングを平均する。考慮 対象の実験は、一般に、結果として得られる自由誘導崩壊(「FID」)シグナルが選 択された双極子カップリングに対し少なくとも応答性をもつようにさまざまな予 備パルスシーケンスによる摂動を受けるスピン・エコー実験である。予備パルス シーケンスは、選択された双極子カップリングがスピンエコーをさらに脱位相さ せ、このようにしてFIDシグナルを変えるように作用するような形で配置され ている。 双極子カップリングの測定は、核間距離の単純な決定を可能にする。式1から 、本発明の方法によって測定される双極子カップリング周波数を、対応する核間 距離に単純に変換することができる。図6は、式1にしたがって生成された、生物 学的利用分野における最も一般的なNMR活性核である核対13C−15Nについて の、核間距離と双極子周波数の関係を表わす曲線を例示している。水平軸601は 、Hz単位の双極子カップリング周波数を記録し、垂直軸602は、Å単位の核間距 離を記録している。破線603および604は、測定された双極子周波数(たとえば200 Hz)をオングストローム単位の対応する核間距離(たとえば、2.5Å)へとグラフ上 で変換する上での容易さを実証している。同様に式1から、精確に測定可能な最 小カップリング周波数Dがわかっていると、精確に測定可能な最長距離Rを決定 できるということも明白である。現在精確に測定可能なDの最小値は、約15Hzで ある。したがって、γ1およびγ2がわかっているため、精確に測定可能な最長距 離は、式2からそのおおよその値が得られる。 一例としては、13Cおよび15Nについて、測定可能な最大距離は約6Åである(Hi ng et al.,1994,Biochemistry 33:8651-8661)。 15Hzの双極子カップリングに基づくその他の異核対についての磁気回転比γ、 および測定可能最大距離Rの値を表1に示す。磁気回転比の単位はHz/ガウスであ る。 表1:測定可能な最大核間距離 より詳細に言うと、ここで双極子−脱位相実験と呼ばれているNMR技術は、 同核または異核双極子相互作用を測定するための固体NMR MAS技術のクラ スを含んでいる。これらについては、文献中ですでに記述されてきた。(Gullion et al.,1989,Journal of Magnetic Resonance 81:196-200;Gullion et al.,1 989,Advances in Magnetic Resonance 13:57-83;Tycko et al.,1990,Chemica l Physics Letters 173:461-465;Tycko et al.,1993,Journal of Chemical Ph ysics 98:932-943;Sun et al.,1995,Journal of Chemical Physics 102:702-7 07;およびPan et al.,1990,Journal of Magnetic Resonance 90:330-340)。こ れらの実験は、離散的サンプル時間S(ti)における時間−ドメインシグナルを生 成する。これらのデータに結びつけられているのは、最も好ましくはいくつかの 実験を行ない実験データの標準偏差としてσ(ti)を計算することによって得られ る実験的誤差σ(ti)、の推定値である。さほど好ましいことではないものの、誤 差を推定することは可能である。これらの実験は、標準的には、nを標準的に16 未満の小さい整数としτrを1回のローターサイクルの時間とし、Nを測定が行な われる最大ローターサイクルとして、離散的時間nτ、2nτ、3nτ、・・・、N nτにおいてデータを生成する。これらの離散的時間は、摂動パルスシーケンス と結びつけられ、双極子カップリングの効果の時間−ドメイン表現を有する。こ れらの実験においては、時間0におけるシグナルは、理論的にわかっている。 REDORならびにその他の双極子−脱位相実験は、当然のことながら、少な くとも二次元の実験である。1つの次元は、ローターサイクル数の増分により表 わされる。この次元は双極子カップリングの情報を支持している。もう1つの次 元は、NMR自由誘導減衰シグナルの収集により表わされる。この次元は、化学 シフト情報を支持している。これらの次元は両方ともに、時間の関数であり、し たがって、我々は、二次元データ集合を時間−ドメインデータ集合と呼ぶ、さら に、ある種のケースにおいては、摂動パルスシーケンスは、 その構造を制御する付加的な内部時間パラメータを有していてよい。これらの付 加的な時間パラメータは、付加的な情報を支持する付加的な1つの次元であり得 る。 本発明は、重要な態様において、これらの一次元、二次元およびさらに高次元 の時間−ドメインデータ集合の解析に向けられている。この解析の1つの重要な 態様は、ここで「双極子−脱位相変換」と呼ばれている、スペクトル−ドメインデ ータから時間−ドメインデータへの変換である。本発明の一実施態様において、 双極子−脱位相変換は、最大エントロピー技術に基づいている。この実施態様を 応用するためには、スペクトル−ドメインデータから対応する時間−ドメインデ ータを計算する方法以外は、NMR実験について何ら知る必要がない。このよう な方法があれば、観測された時間−ドメインデータに基づき、最大エントロピー の実施態様により、最も確率の高いスペクトル−ドメインデータの計算が可能と なる。 もう1つの実施態様においては、双極子−脱位相変換は、REDOR変換とし て知られている直接解析変換技術に基づいている。この実施態様は、双極子−脱 位相角度が式3の関数形態を有するすべてのNMR実験に適用可能である。 ここで、Dは双極子カップリングであり、nはローターサイクル数であり、α およびβは、MASローター内の核間ベクトルの向きを説明する方位角および極 角度であり、τrはローター周期(MAS周波数の逆数)である。回転−エコー2重 共鳴(REDOR)実験は、この形の双極子脱位相を有する。同じ形の脱位相を有 するその他の実験としては、マジック角における双極子再カップリング(DRA MA)(Tycko et al.,1990,Chemical Physics Letters 173:461-465;Tycko et al.,1993,Journal of Chemical Physics 98:932.943)、ウィンドウレスシーケ ンスでの双極子再カップリング(DRAWS)(Gregory et al.,第36回実験的核 磁気共鳴会議:Boston,MA,1995:P289)、スピンロッキングとDRAMAの融合( MELODRAMA)(Sun et al.,1995,Journal of Chemical Physics 102:70 2〜707)、といった同核技術および伝達エコー2重共鳴(TEDOR)の対称的バー ジョン(Hing et al.,1993,Journal of Magnetic Resonance,Series A103:15 1-162;Hing et al.,1992,Journal of Magnetic Resonance 96:205-209) という異核技術が含まれるが、これらに限られるわけではない。 これらのNMR技術のより詳細な例示として、回転−エコー2重共鳴(REDO R)および一次元REDORシグナルの生成を考える。REDOR実験において は、曲線ΔS/S0(ここでΔSはS0−Sである)にたどりつくため、2つのデー タ集合S0およびS、が収集される。両方のデータ集合共、ローター速度と呼ば れる特定的なマジック角スピニング速度で収集される。図1には、REDORに ついてのパルスシーケンス例を示す。S0の実験においては、観測されたチャン ネル(たとえば15N)に対し、角集束RF(無線周波数)パルスが適用され、観測さ れていないチャンネル(たとえば13C)にはいかなるパルスも適用されない。観測 されていないチャンネル上にパルスが存在しない場合、異核双極子カップリング は、マジック角スピニングによりゼロに平均される。観測されたまたは観測され ていないチャンネルに対しRFパルスが適用された時点で、Sと呼ばれる第2の データ集合が収集される。観測されていないチャンネル上に適用されたRFパル スの最終的な効果は、マジック角スピニングに起因する異核双極子カップリング の平均化を取消すことにある。S0およびSの両方の実験において、パルスは、 ローター周期と同期で適用される。このようにして、ローターサイクルの数の一 関数としてプロットされたΔS/S0曲線は、REDOR曲線を生み出し、異核 双極子カップリングに対する応答性をもつ。実験の実施においては、個々のΔS /S0点が、算術的に増分されたローターサイクル数で収集される。図2は、400H zの双極子カップリング、5000Hzでのマジック角スピニングについて生成され 、4回のローターサイクル毎に1つのΔS/S0点を収集する理論上のREDOR実 験の結果を表わすデータ点203を例示する。垂直軸202は、ΔS/S0の値を記録し 、水平軸201はローターサイクルの数を記録する。図3は、図2中のΔS/S0デー タ点の逆数であるS/S0データ点303を例示する。この図では、垂直軸302は、S /S0の値を記録し、水平軸301はローターサイクルの数を記録する。 図1は、REDOR実験についての1つのパルスシーケンス例を示す。この図で は、曲線110は、1H周波数チャンネ内に適用されたRF放射線を表わし、曲線11 1は15N周波数チャンネル内のRF放射線を表わし、曲線112は、13Cチャンネル 内のものを表わす。さらに詳細には、図1を参照すると、S0およびSの両方の実 験についてのパルスシーケンス内の最初の段階は、1Hチャンネルに対するπ/2 パルス101の適用である。このパルスの直後に、連続RF放射線102が1Hチャン ネルおよび観測されたチャンネル、つまりここで は15Nに適用され、干渉偏波を介して1H核から観測された15N核まで偏極を伝 達する。干渉偏波rfの場が適用される時間的長さは、干渉偏波最大値を探索する ことによって経験的に決定される。標準的には、干渉偏波rf場がオン状態に残さ れている時間的長さは、約1msecである。実験の残りの部分については、デ カップリング放射線107が1Hチャンネル内で適用される。 次に、S0実験のためのデータ収集は、算術的に増大するローターサイクル数 nで一連のスピン−エコー実験を行なうことからなる。スピン−エコーは、n回 のローターサイクルの後、πパルス103を適用することによって生成される。ス ピン−エコーに対応するFID104の収集は、2n回のローターサイクルにおい て起こる。REDOR実験はマジック角スピニングの間に実施されることから、 πパルスは、ローター周期と同期で適用される。本発明において記述されている 特定の例においては、nは2だけ増分され、データ集合が、4回、8回、12回・・・、 108回、112回のローターサイクルで収集されたスピン−エコーFIDで構成され るようになっている。 S実験のためのデータの収集は、観測された15Nチャンネル上での一連のスピ ン−エコー実験であるS0実験と類似の要領で進められるが、観測されていない チャンネルに対し適用される付加的なローター同期πパルスの摂動を伴う。S実 験における観測されていないチャンネル上のパルスは、観測されたチャンネル上 にパルスが適用されるローターサイクルおよびデータ収集が始まる最終ローター サイクルの終りを除いて、n/2回のローター周期105毎に、かつローター周期106 の倍数において適用される。実験は、S0実験の場合と同様に、同一のローター サイクルにおけるスピン−エコーの収集を伴って進められる。 一次元処理のためには、さまざまなローター周期数の後に収集されたFIDは 、フーリエ変換され、選択された観測されたチャンネルの化学シフト共鳴のピー ク高さがS0中のSの値として用いられる。このようにして、これらは各々のロ ーター周期について2つずつの、2つの値系列を形成する。二次元処理のためには 、すべてのデータが保持される。このようにして、Sアレイ1つとS0アレイ1つ の2つの方形データアレイが存在する。各々のアレイは、さまざまな数のロータ ー周期後に収集されたすべてのFIDを有し、一方各々のFIDは、離散的時間 でサンプリングされた自由誘導崩壊シグナルからなる。 本発明に従ったデータ解析は、主としてスペクトルM(ν)とデータS(t)を結 びつけるこ とからなる。νという語は、双極子カップリングを意味することができ、その場 合スペクトルM(ν)は周波数ドメイン内にある。あるいは、この語は特別の距離 を表わすこともあり、その場合スペクトルM(ν)は距離ドメイン内にある。いず れのドメイン内のスペクトルも、式1により直接関係づけされる。いずれの場合 でも、スペクトル値は、分布中の密度を表わし、したがって負でない実数でなく てはならない。 好ましいコンピュータ実施においては、スペクトルM(ν)は、位置または周波 数のいずれかの点の疎系列ν0、ν1・・・・・・、νMにおける1組の値として表わされ る。この離散的なM(ν)の表現においては、それを超えるとM(ν)がゼロである ような仮定上の最大値νMが存在する。この最大値は好ましくは、実験的シグナ ルに寄与すると予想される値のうちのいずれよりもはるかに大きいものとして選 択される。最終的な計算上のスペクトルが、νMに達する前にゼロまで崩壊する か否かを観測することによって、最大値についての選択を検査することが可能で ある。崩壊しない場合、解析を、最大についてより大きい値を用いて反復するこ とができる。 これらの離散的点での値全体にわたる和として連続的M(ν)にわたる積分を表 現するには、標準的な求積技術を用いることができる。すなわち、式4の積分は 、式5の和として評価できる。 ここではMjは、νjにおけるスペクトルの値M(νj)であり、係数Δjは、(νj +1 −νj-1)/2としてとることのできる距離尺度である。最初の位置については( Δ0=(ν1−ν0)/2を使用し、最後の位置についてはΔM=(νM−νM-1)/2を使用 することが好ましい。この選択は、台形公式に対応する。その係数Δjについて のその他の選択もシンプソンの公式およびボーデンの公式にしたがって行なうこ とができる。好ましくは、離散的点の間の間隔は、それが連続分布に対する信頼 性の高い代用物として性能を示すように、充分小さいものである。この条件は、 実際には、点間距離を減少させながらスペクトル内の点の数を倍増させ、この方 法により生成される最終スペクトルに有意な変化があるか否かを観測 することによって検査できる。好ましくは、離散的点の数は、少なくとも150、 より好ましくは200以上である。S(t)またはその他の数量全体にわたる積分は、 類似の要領で処理できる。 より一般的に言うと、本発明の積分は、その他の求積技術によって評価可能で ある。たとえば、このような技術において、M(ν)は といった基底関数の和として表わされ、式4のような積分は、 といった積の和として評価される。 なお式中、は求積加重値である。このような表現は、当業者にとって周知のものである(Pre ss et al.,1994;Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing ,Cambridge Univ.Press,New York,Chap.4)。本発明における積分の評価は 、このような積分を密に近似するようなあらゆる求積技術に適合できるものであ る。前述の好ましい表現は、点νjを中心とするデルタ関数として関数φjをとる ことに対応する。 最後に、当該技術分野において周知であるように、式4および6のもののような 積分、および式5および7のもののような和は、M()の値において線形である。す なわち、すべてのM()値に1つの定数を乗じることにより、積分または和が同じ 定数で乗じられることになり、M( )およびM'( )の和の積分または和は、別々 にM( )およびM'( )の各々の積分または和の和である。本明細書では便宜上、 束縛変数または独立変数の名前が重要でない場合には、「F」という名の関数を単 純にF( )により表わすことができる。 次に、スペクトルM(ν)をその対応するシグナルS(t)に関係づけする変換が なくてはならない。最大のエントロピーについては、この変換が1つのカーネル として表わされるこ とが好ましい。K(t,ν)と表現されるこのカーネルは、式6または7により定義 づけされる。 積分は、それを超えるとスペクトルが好ましくはゼロになるものとして取られ る最大値νMで打切られる。あるいは、かつより一般的には、式6の積分は、求積 基底関数およびカーネルK(t,ν)に左右される求積加重が関与する積の和とし て表わすことができる。 νが周波数に対応するとき、REDOR実験のためのカーネルは、式8により 求められる。 νが距離に対応するとき、このカーネルは式9により求められる。 (Mueller,K.T.,1995,Journal of Magnetic Resonance,Series A 113:81-9 3)。本発明のREDOR変換実施態様については、NMR実験は、式8または9の 形のカーネルにより支配されなくてはならない。 式9の場合、カーネルは、距離νがゼロに接近する限界内で無限に発散する。 しかしながら、分子内の核はつねに少なくとも1Å以上の結合距離だけ分離され ることになるため、この発散は、いかなる影響ももたらさない。このようにして 、距離−ドメインスペクトルを使用するときには、スペクトルの離散的表現中の 最初の点のための好ましい下限としてν0=0.5Åを使用し、より小さい距離につ いては、スペクトルをゼロにして考えることが好ましい。距離ドメイン内のM(r )と周波数ドメイン内のM(ω)の間の関係は、次の通りである。 なお式中、M(ω)は周波数Γ/r3で評価される。 5.2.最大エントロピー実施態様 特に薬物発見の分野に向けられた、分子構造の決定のための本発明の実施態様 は、情報理論の原則に基づいている。情報理論は、予め規定されたデフォルト(d efault)または予想されるスペクトルm(ν)との関係において可能なかぎり最大 のエントロピーをも有しながら実験データを最も良く再現するようなスペクトル を選択することを提案している。この選択は、可能なスペクトルに関しておよび 規則化パラメータαに関して、数量αE−X2/2を最大化することによって行な われる。ここで、Eは、デフォルトスペクトルに関して可能なスペクトルのエン トロピーであり、X2は、可能なスペクトルから予測されたデータに対する実験 データの近さを測定する1関数である。 この実施態様が必要とするNMR実験についての唯一の情報は、スペクトルド メインシグナルから観測された時間−ドメインデータをどのように予測するかで ある。これを式6および7といった式にしたがって行なうことができる場合、必要 であることは、カーネルK(t,ν)の表現のみである。この表現は、関数形態と してでもよいし、その数値を計算するための方法としてであってもよい。 エントロピーEは、式11によって与えられる。 スペクトルが離散値ν1でのみ規定される好ましい離散的表現においては、m( ν1)はm1と表わされ、M(νj)はMjと表わされる。このときエントロピーは式1 2によって与えられる。 ここで加重値Δjは、好ましくは台形公式求積技術(trapezoidal rule quadrat ure technique)にしたがって既に与えられたものである。より一般的には、記述 されている通り、好ましいデルタ関数基底以外の基底関数の組の和としてM( ) およびm( )を表現する ことによって導き出される、その他の求積技術にしたがって式11の積分を表現す ることが可能である。M(ν)=m(ν)の場合、エントロピーは0という最大値を とる。関数X2は式13により定義づけされる。 ここでS1は、時間t1における実験測定値でありσ1は時間tiにおける実験的誤 差または標準偏差である。S1は、式14による連続的表現および式15による離散 的表現の中で与えられるスペクトルから予測されるデータである。 NMR実験について必要とされる唯一の情報は、これらの式を評価するのに必 要なカーネルの値またはこれらの値を計算するための方法である。規則化パラメ ータαの特定の正の値について、αE−X2/2を最大化することによってスペク トルが得られる。好ましい離散的表現においては、この最大化は、各々のMjの 負でない値全体にわたるものである。 情報理論は同様に、αがその最も確率の高い値に達した時点で満たされる一対 の首尾一貫した式をも提案する。第1のものは、式16により得られる古典的最大 エントロピー条件である。 第2のものは、式17により定義づけられる「優良」データ点の数Ngoodである。 値λJは、(M+1)×(M+1)行列Cの固有値である。好ましい離散的表現の中 のこの行列は、式18および19から得られる。 行列Cは、エントロピー計量内の関数X2の曲率である。 最大エントロピー実施態様に従った処理は、最大エントロピー方法の好ましい 実施の流れ図を示す図15を参照すれば最も良く理解できる。現行の実施ではステ ップ1512が実施されないことに留意されたい。この実施では、αの各々の値につ いてのエントロピー最大化スペクトルが直接的最大化技術により決定されるのに 対し、規則化パラメータαについての首尾一貫した式の対は、反復によって満た される。 主要な計算の前にいくつかの予備的ステップが行なわれる。ステップ1501は、 カーネルK(t,ν)によって特徴づけされるNMR実験である。これは、ステッ プ1502で実施され、誤差推定値σi=σ(tj)により特徴づけされる測定データSi =S(ti)を結果としてもたらす。この実施態様は好ましくは、いかなる平滑化も 基底線またはオフセット補正もない未処理の実験データに適用される。ノイズデ ータの場合、当該技術分野において知られているような、結果として得られるス ペクトルの中の人為構造(artifact)を減少させるため、経験的に決定された量の 平滑化を行なうことができる。ステップ1503は、可能なスペクトルの充分に密な 離散的表現を選択する。ステップ1504は、デフォルトスペクトルを選択する。好 ましい実施態様においては、デフォルトスペクトルは、一定であると考えられる 。この実験クラスは同様に、時間ゼロで標準化されたシグナル1を発生し、好ま しいNMR実験について、1imt-0K(t,ν)=1であることから、デフォルトス ペクトル、m(ν)は好ましくは1/νM(ここでνMはスペクトル内の最大周波数で ある)である。 最後に、予備的ステップ1505は、正規化パラメータのための初期値を選択する 。好ましくは、Nをデータ点の合計数として、N-3からN3までの範囲の値の幾 何級数について、後述するようにαE−X2/2を最大化にすることによって、α についての初期値が選択される。αについての初期値は、Ngoodが、−2αEに 最も近い値である。好ましくは、20未満、さらには10未満のわずかな評価しか必 要でない。好ましい他の実施態様においては、αについてたとえば1といった初 期値が任意に選択され、首尾一貫性について反復探索を開始させる。この実施で は、α'−αの差が大きい場合またはいずれかのステップにおいてα<0である 場合、後述するように、収束係数を利用することが好ましい。 この反復は、αE−X2/2を最大化するスペクトルを発見するステップ1505を 開始させる。最大化技術としては、数多くのものが考えられる。最大化技術の唯 一の必要条件は、それがスペクトルについて正の値を維持するということである 。好ましい技術では、Mjに関するαE−X2/2の導関数を必要とするダヴィドン −フレッチャー−パウエル法(Davidon-Fletcher-Powell method)が利用される。 これらの導関数は、式20により得られる。 それほど好ましくはない最大化技術は、ブロイデン−フレッチャー−ゴールド ファーブ−シャンノ法(Broyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno method)である。本 発明は、第2の導関数を必要とするものを含むその他の最大化スキームにも適合 可能である(Presset al.1994、Numerical Recipes in C:The Art of Scientifi c Computing. Cambridge Univ.Press,New York,Chap.10)。最大化の後、各々 のMj>0であることを検査することも好ましい。好ましい技術の実際的使用に おいては、負の値に遭遇したことは一度もない。計算の不安定性を避けるため、 約10-60といったカットオフ値よりも小さいすべてのMjを10-60に設定すること が好ましい。この方法は、どんなに小さなカットオフ値にでも適合可能である。 ステップ1507は、行列Cの固有値を発見する。Cのような実際に対称な行列の 固有値を得るための計算技術は、当該技術分野において周知であり、だれでも使 用可能である。好ましい技術は、ヤコビ法(Jacobi method)である。それほど好 ましくはないもう1つの方法は、ギヴンス−ハウスホルダー法(Givens-Household er method)である。(Press et al.,Chap.11)。 ステップ1508は次に、αの現行値に基づいて式21にしたがってαの新しい値を 計算する。 この実施においては、ステップ1512は実施されない。 ステップ1509は、αについての収束基準をテストする。好ましい基準では|α −α'| がαに比べて小さいか否かを検査する。好ましくは、これらの値の比率は約10-6 未満である。それほど好ましくはないもう1つの収束基準は10-4である。この基 準が満たされたならば、反復はステップ1511で終結し、スペクトルの現行値は、 予測された最も良く適合したスペクトルとなる。この基準が満たされない場合、 αは新しい値αに設定され、ステップ1506においてプロセスが再開する。次の反 復ステップについては、新しい計算による最大化のための出発点としてスペクト ルの古い値を使用することが好ましい。同様に、スペクトルが準安定最大値の中 にトラップされた場合、新しい反復を開始する前に、最大のMj値との関係におい て好ましくは1%の少量のランダムノイズを付加することも好ましい。 あるいは、必要な場合に収束を助けるために収束係数を使用することが可能で ある。収束係数を実現するための好ましい形態は、αをα+f(α'−α)で置換す ることであり、ここで分数fは0と1の間にある。 あるいはまた、反復が終了した時点で、実験誤差 σ0、σ1、・・・・、σNの確 率について検査を行なうことができる。この検査は、データ点の合計数Nが、式 17により定義される優良データ点の数であるNgoodとX2として定義される不良 データの数であるNbadの和に等しいものであるべきという点に関する。 和Ngood+Nbadは好ましくはNの10%以内にあるべきである。 誤差推定値を最適化する他の実施態様 最大エントロピー態様の最も好ましい代替的実施においては、実験データ点に おける実験誤差σ:および規則化パラメータαは、ともに最適化される。この実 施では、各点における誤差は、γσσiという形態をもつものと仮定される。な お、ここでσiは、実験誤差の初期推定値であり、γσは、各々のσiに適用され る全体的誤差スケーリング係数である。全体的スケーリング係数γσと規則化パ ラメータαは同時に最適化される。 この最適化は、同様に、好ましくは図15に例示されている流れ図にしたがって 反復的に行なわれる。予備的ステップ1501、1502、1503および1504は、前出の実 施の場合と実質的に同様に実施される。ステップ1505は最初に、前述の方法によ り、αを適切 な値に設定する。あるいは、1/N〜Nの範囲内の任意の値(例えば1)を使用する ことができる、γσの初期値も同様に適切な値に設定される。γ。のための好ま しい初期値は1であり、これは、誤差推定値が当初から正しいと仮定されること を表わしている。 各々の反復サイクルはまず第1に、前出の実施と実質的に同じ計算を実施する 。ステップ1506は、αE−X2/2を最大化するスペクトルを発見し、ステップ150 7は、行列Cの固定値をλjを計算する。ステップ1508は、式23にしたがって、前 出の実施と類似の形でαの新しい値を設定する。 なお、ここで、エントロピーEは、前出の通りに計算される。ただし、Ngood は式17ではなく、式24にしたがって異なる形で定義づけされる。 さらに、ステップ1512はこの実施では、式25にしたがってγσの新しい値を計 算するために実行される。 式25は、N=Ngood+Nbadという関係式と、式26に従った不良データ点の数に ついての定義の組合せから得られる。 反復の出発時点では場合によって起こりうるものであるが、スペクトルが収束 に近い時には発生し得ないNgood>N、という状態の場合、γσの古い値が、そ の後の反復のために保持される。 前出のものと同様、テスト1509は、収束基準が満たされるまで反復サイクルを 続行する。 しかしながら、この実施においては、αおよびγσの両方の値の相対的変化は、 好ましくは小さいものである。好ましい収束基準は、10-6分の1のαおよびγσ の両方の反復サイクルの変化である。10-4分の1の変化は、これほど好ましくは ない。 γσの最終的収束値は、初期誤差推定値が理にかなったものである確率を表わ している。0.3と3の間のγσの値は、信頼できる初期誤差推定値の典型的なもの である。この場合、最大エントロピー法は、NMR実験誤差推定値測定または実 験自体を再検査し再実施する必要があるという指示を全く提供しない。0.09未満 または9を上回る値は、初期誤差推定値が信頼できるものでない確率が高いこと を表わしている。この後者のケースでは、最大エントロピー法は、少なくともN MR実験誤差推定値の測定を再検査し再実施する必要があることを提案する。こ のような検査には、実験自体の再検査または再実施が関与し得る。 第7節には、C言語でのコンピュータプログラムコードにおける最大エントロ ピー態様の両方の実施態様の実施が含まれている。固定値を獲得し(ルーチンeig rs)、最大化を行ない(ルーチンdfpmin)、REDORタイプのカーネルの一部を 計算する(ルーチンbessjy)のため、さまざまな標準的ライブラリルーチンが利用 される。ルーチン例は、容易に入手可能である(Press et al.,1992.Numerical Recipes in C:The Art of Scientific Computing,Cambrige University Pres s,New York,Chap.6,10,11)。あるいは、実質的に同じ機能を果たすその他 のルーチンも使用可能である。 5.3 REDOR変換の実施態様 特に薬物発見の分野に向けられた分子構造決定のための本発明のもう1つの実 施態様は、式8および9のカーネルで式6および8を逆転させることに基づく。これ らの式を逆転させる変換は、時間−ドメインNMRデータを、式1により与えら れる双極子結合周波数を表わすスペクトル−ドメインデータに変換する。ここで はREDOR変換と呼ぶこの変換は、式27および28によって得られる。 ここで、積分の中で、Dは双極子結合でありk(t,D)はREDOR変換のカ ーネルである。この変換は、1−ΔS/S0と同じである、S/S0の形をしたデー タに適用される。離散近似に おいては、nはローターサイクル数であり、Nはデータが存在する最大ローター サイクル数であり、τr、MAS回転速度の逆数である。REDOR変換カーネ ルは、式29により求められる。 ここで、Jは、第1の種類の指示された分数の円柱形ベッセル関数(cylindrical Bessel function)である。(Mueller et al.,1995,Chemical Physics Letters 242,535-54)。この変換は、式8および9のカーネルの関数形態のみに左右され ることから、これは、双極子結合を測定し、同じ関数形態をもつすべてのNMR 実験に適用可能である。 この実施態様は、好ましい実施において以下の段階を包含する。第1の段階は 、補正されたS/S0データを補正する。これらのデータは、標識された部位と同 じ化学シフトを伴う、天然に豊富に存在する、典型的には15Nまたは13Cといっ た観測された核の効果を排除するように補正される。これらの天然に豊富な核は 、S0およびSデータに対する望ましくないシグナルを与える。補正の最終目的 は、ΔS/S0曲線が、最大ローターサイクル数で1まで進み、このようにしてS/ S0曲線がゼロへと進むようにすることにある。このことは、まず第1に、測定さ れたS0およびSをΔS/S0データへと変換し、次に適当な係数をΔS/S0デー タに乗じてそれらを大きなローターサイクル数で1にすることによって行なわれ る。補正後、式30の関係からS/S0が見い出される。 図2は、0〜130のローターサイクル範囲にわたる、補正済みのΔS/S0データ の例を示す。図3は、対応するS/S0データ点を例示する。 次の段階は、必要に応じてS/S0データを平滑化する。当該技術分野において 既知であるように、平滑化は、シグナル内のノイズに起因する望ましくない人為 構造を回避するが、過度の平滑化はスペクトルを広くする。任意の特別な実験に おける平滑化の正確な量は、試行および誤差により、このような人為構造を避け るための最小限の平滑化であるものとして決定できる。好ましい平滑化関数は、 式31により与えられる3点ブラックマン −ハリス関数(3-point Blackman-Harris function)である。 ここでNはローターサイクルの合計数であり、nは個々のデータ点のローター サイクル数である。その他の適切な平滑化関数としては、指数的な線の広がり、 式32から得られるハミングウインドー(Hamming window)、 および式33から得られるカイザーウインドー(Kaiser window)が含まれる。 ここでI0は、ゼロ次の修正ベッセル関数(modified Bessel function)である 。 最後の工程では、式28の近似積分を実施することによって、スペクトルが計算 される。カーネルテーブルは、特定のMAS回転速度、サンプリング増分(1点あ たりのローターサイクル数)、およびゼロHzからスペクトルの周波数帯域幅ま でである双極子結合の適切な範囲についての式28のカーネルの値を含んでいる。 変換の後、異核双極子結合と強度との関係の結果として得られたスペクトルがプ ロットされる。図4は、実験的データから得られた双極子結合のスペクトルを例 示している。この図は、添付の実施例の節で詳述されている。 本発明のこの実施態様の好ましい実施においては、次に、マッキントッシュ上 で実行されるMathematicaソフトウェアプログラム(Wolfram Research,Inc.)(Wo lfram,S.,Mathematica;コンピュータにより数学を行なうためのシステム;第二 版Addison.Wesley;New York,1991)内に、S0およびSの値が入力され、この上 で処理される。上述のステップをすべて含むONE−D−TRANSFORMお よびカーネルテーブルを計算するためのコードを含むKERNELという2つのM athematicaファイルが、第7節に記載されている。データを処理するその他の適 切な方法としては、C言語といったよう な言語でのプログラミングが含まれる。 REDOR以外の異核および同核双極子−脱位相方法に対するこの方法の応用 が、当業者には明白であろう。 5.4 対称TEDOR 先に論じたように、天然に豊富に存在する核からのシグナルは、特に本発明の REDOR変換態様の場合、NMRデータから除くことが好ましい。本発明には 、天然に豊富に存在する核からのシグナルを減らす、または除く実験設計を使用 することが好ましい。対称TEDORは、天然に豊富に存在するバックグラウン ドシグナルを除き、かつREDOR変換態様に適用しやすい一つのそのような好 ましい実験設計である。TEDORは、一般的に実施される形では、双極子脱位 相角の関数形態が式3に準じず、よって誤りであるため、REDOR変換態様に は適していない。しかし、TEDOR実験の対称バージョンは、双極子脱位相角 にとって正しい関数形態を有している。したがって、本発明の実施態様はいずれ も対称TEDORデータに適用することができる。 図7は、対称TEDOR実験の好ましい実施態様で使用されるパルスシーケン ス(pulse sequence)を示す。他にも適当なTEDORパルスシーケンスが当該技 術で公知である。この図では、曲線701、702および703が、それぞれ1H、15Nお よび13C周波数チャンネルにおけるRF放射のパルスの印加を表す。このTED ORパルスシーケンスの例では、13Cが観測される核であり、15Nが観測されな い核である。当業者にとって、13Cが観測されない核であり、15Nが観測される 核である同様なパルスシーケンスを構成する方法は明白である。 TEDOR実験は、二つの完全なデータセットの収集を要するREDOR実験 とは違い、1セットのデータ点Skしか収集しない。Skデータセットは、サイク ル数を変えるためにさらなるローター同期パルスが両チャンネルに印加されたの ちに取得される。図7のローターサイクルカウントmおよびnは、それぞれ、追 加πパルスが観測されるチャンネルおよび観測されないチャンネルに印加される 期間を表す。対称TEDOR実験では、ローターサイクルカウントmおよびnは 、別々の観測データ点Skを発生するために、同じ整数デルタ、たとえばkだけ 増加される。一般的なTEDOR実験では、mおよびnは、互いに独立して変化 させることができる。 詳細には、TEDORパルスシーケンスは、π/2パルスを1Hチャンネルに印 加すると同 時に始まる。このパルスの直後に、連続的なRF放射を1Hチャンネルおよび観 測されないチャンネルに印加して、1H核からの偏波を干渉偏波を介して観測さ れない核に移す。干渉偏波rfフィールドが印加される期間の長さは、干渉偏波最 大値を求めることによって経験的に決定される。通常、干渉偏波rfフィールドが オンのままである期間の長さは1msecのオーダである。実験の残りの部分で は、デカップリング放射線707を1Hチャンネルに印加する。 実験は、MAS速度と同期であり、MAS速度の期間を有するπパルス708お よび709を両チャンネルに印加することで進行する。さらなるローター同期πパ ルス、好ましくは2個のさらなるパルス710および711が、ローター期間あたり、 ローター期間の1/4および3/4において観測されるチャンネルに印加される。観 測されるチャンネルに印加されるさらなるπパルスの効果は、異核に双極子カッ プリングしているときだけ、ある形態のスピンコヒーレンスを観測されない核に 生成することである。mローターサイクルの間、さらなるパルスが印加される。 そして、このスピンコヒーレンスを双極子カップリング異核に移すため、同時π /2パルス712および713が両チャンネルに印加される。事実上、偏波転送である これらのパルスの後、ほぼ714にあるさらなるπパルスが、観測されるチャンネ ルに印加されたのと同じようにして、観測されないチャンネルにも、nサイクル だけ印加される。これらのさらなるπパルスは、スピンコヒーレンスを観測され る核における観測可能な磁化に変換する。m+nローターサイクルの後、FID 715が収集されると、実験は終了する。対称TEDOR実験のデータの収集は、 ローターサイクルカウントm+kおよびn+kで一連の実験を実行することから なる(mおよびnは定数であり、kは増分する)。 この対称TEDORパルスシーケンスの効果は、FID715が収集されるとき の観測される核における磁化が、観測されない核に双極子カップリングしている 観測される核からのみ生じることである。 従って、NMRデータ点に対する自然存在率の影響はない。このデータは、自 然存在シグナルによるオフ集合を除くためにデータを修正する最初の段階を必要 とすることなく、REDOR変換態様に従って解析することができる。データは 、必要な平滑化の後、直接変換することができる。あるいはまた、未加工のデー タを、本発明の最大エントロピー態様に従って解析することもできる。 5.5 多次元解析法 観測される双極子カップリング共鳴に寄与する核を完全に決定するためには、 NMRデータを測定し、この節で説明する多次元法に従って処理することが有利 である。双極子脱位相データは本質的に二次元であり、そのように処理するのが 好都合である。さらに、本発明のNMRパルスシーケンスは、三次元法によって 処理することが好都合である三次元時間−ドメインデータを生じさせる。 以下、「双極子脱位相スペクトル変換」とは、核双極子カップリングに応答す る時間−ドメインデータから、このカップリングを周波数−ドメインまたは距離 −ドメインで表すスペクトルデータへの変換をいう。この変換は、本発明の最大 エントロピー態様によって実施することもできるし、適切なパルスシーケンスの 場合には、本発明のREDOR変換態様によって実施することもできる。 この節では、一次元、二次元および三次元のデータ生成・解析法を説明する。 これらは、観測磁化が、観測される核の双極子カップリング、その化学シフトお よび場合によっては観測されない核の化学シフトに応答する技術に基づく。この ような応答性は、時間−ドメインデータにおける時間可変性の独立次元によって 表される。これらは、双極子カップリングに応答する磁化を形成し、スピンエコ ーFIDシグナルを生成し、磁化を観測されない核から観測される核に移すため のパルスサブシーケンスに基づく。当業者にとっては、より高次元の時間可変性 、例えば四次元、五次元またはそれ以上の次元の時間可変性を有する時間−ドメ インNMRシグナルを生成するために、これらのパルスサブシーケンスをさらな るやり方で組み合わせる方法が明白であろう。さらに、記載したサブシーケンス を、当該技術で公知の他のサブシーケンスと組み合わせて、核磁気環境の他の局 面に応答する時間−ドメインNMRシグナルを創造することもできる。そのよう なより高次元のシグナルは、当業者には明白になるであろう、本明細書に記載す る方法の延長によって解析することができる。特に、脱位相パルスサブシーケン スによって生成される双極子カップリングに感応性をもつ数の次元は、その数の 次元で双極子脱位相スペクトル変換を適用することによって解析することが好ま しい。種々の核の化学シフトに感応性をもつ数の次元は、その数の次元でフーリ エ変換を適用することによって解析することが好ましい。 5.5.1 二次元解析法 NMRデータは、二次元で処理し、提示することが有利である。このような提 示は、多数 の双極子カップリング周波数、ひいては多数の距離を、化学シフトした各スピン に相関させる(Ernstら、1990,Principles of Nuclear Magnetic Resonance in One and Two Dimensions,Clarendon Press,Oxford,Vol.14:610)。時間−ド メイン双極子脱位相データの好ましい二次元解析法は、化学シフト情報を運ぶF ID次元をフーリエ変換し、双極子カップリング情報を運ぶローターサイクル次 元を双極子脱位相スペクトル変換することにより、データの両方の数の次元を合 わせて変換する方法である。得られるスペクトルは通常、一方の軸が、REDO R実験中に収集した各FIDシグナル中の周波数成分(通常はppm単位)を表し 、もう一方の軸が、各化学シフトにおける双極子カップリング周波数成分(通常 はHz単位)を表す二次元プロットして提示される。本明細書の説明は、RED OR実験を対象とするが、双極子脱位相スペクトル変換を伴う二次元解析法を、 REDOR以外の、異核および同核双極子脱位相実験に応用することは、当業者 にとって容易であろう。 二次元解析は、三つの主要段階、第一に二次元時間−ドメインデータ収集、第 二に時間−ドメインデータのフーリエ変換、そして第三にフーリエ変換したデー タの双極子脱位相スペクトル変換を含む。第一の二次元時間−ドメインデータ収 集段階は、5.1の節に従って実施される。得られる時間−ドメインデータは、2m ×p値の二次元行列である(mは、S0(およびS)点の数であり、pは、各FID中 のサンプルの数である)。第二の段階は、当該技術で公知であるフーリエ変換技 術によって実施することができる、各FIDのフーリエ変換である(Pressら、19 92,Numerical Recipes in c:The Art of Scientific Computing,Cambridge Un iv.Press,New York,Chap.13)。フーリエ変換したデータは、2m×p点の二次 元行列である(mは、S0(およびS)点の数であり、pは、化学シフトスペクトル 中の点の数である)。 最後に、第三の段階は、p集合の2mS0およびSデータ点に双極子脱位相スペ クトル変換を適用する段階である。まず、2mS0およびS値の各集合をS/S0曲 線に変換する。双極子脱位相変換の最大エントロピー態様を選択する場合には、 このデータを、さらに手を加えることなく、その態様に入力する。REDOR変 換態様を選択する場合、p個のS/S0データ集合を、5.3の節に記したように、 △S/S0の形態でオフ集合修正する。各S/S0集合ごとに、特に、化学シフト スペクトルのピークに対応するものについて、別個のオフ集合修正を実施して、 各特定の部位の自然存在率の違いを考慮に入れることが好まし い。次に、同じく5.3の節に記したように、S/S0データ集合を十分に均一に平 滑化する。最後に、REDOR変換を、p個の修正し、平滑化したデータ集合に 適用する。双極子脱位相スペクトル変換のいずれかの態様の後、得られるデータ は、観測される核のm個の化学シフト値に相関したp個の異核双極子カップリン グ値を有する二次元スペクトルであるm×p行列となる。 要するに、上述した一次元処理と二次元処理との違いは、一次元処理では、す べての時間−ドメインデータがたった1集合のS/S0データに変換され、各デー タ値が、異なるローターサイクル数で選択された化学シフト共鳴のピーク高に対 応し、それが後で変換されることである。しかし、二次元処理では、p個のS/ S0データ集合が保持され、各集合がスペクトル中の各点に対応し、それらがす べて変換される。従って、フーリエ変換の後に生成される化学シフトスペクトル 中のp個の点ごとに別個の双極子カップリングスペクトルが生成される。 図9A、9Bおよび9Cは、二つの異なる化学シフトを受けた観測される核15A および15Bが、1個の分子中に存在し得る2個および3個の13C異核に双極子カッ プリングしている例を示す。図9Aは、式1に従って、約140ppmの化学シフト を有する15Aと、それぞれ3.0Åおよび4.0Åの距離にあり、約120Hzおよび50 Hzのカップリング周波数を有する2個の13C核との双極子カップリングを示す 。図9Bは、式1に従って、約430ppmの化学シフトを有する15Bと、それぞれ 2.7Å、3.5Åおよび4.2Åの距離にあり、それぞれ約150Hz、70Hzおよび40Hz のカップリング周波数を有する3個の13C核との双極子カップリングを示す。図9 Cは、得られる二次元スペクトルを示す。この図では、水平軸901が双極子カッ プリング周波数を表し、軸902が化学シフトを表す。ピーク905および906は、15 A観測される核の双極子カップリングから発生する。ピーク907、908および909 は、15B観測される核の双極子カップリングから発生する。スペクトル903は一 次元化学シフトスペクトルである。スペクトル904は、例えばすべてのFIDデ ータを合計してS/S0データを生成することにより、FID中の情報を無視し たならば得られるであろう一次元双極子カップリングスペクトルである。この一 次元スペクトルでは、50Hzでの15Aの双極子カップリング906と、40Hzでの15Bの双極子カップリング909との重複により、ピーク910が未分解ピークであ ることが見てとれる。一次元スペクトルでは未分解であるが、これらは、それぞ れ140ppmおよび430ppmの非縮退化学シフトを明らかに有するため、二 次元スペクトルでは明確に分解される。従って、二次元スペクトルが一次元スペ クトルの曖昧さをいかに解くことができるのかを理解することができる。 5.5.2 準三次元相関解析法 一次元および二次元の解析法には一定の限界があり、そのような限界は、本発 明のさらなる方法、すなわち準および全三次元解析法によって解消される。一次 元解析法および二次元解析法の一つの限界は、観測されない核の部位に関する情 報を欠くことである。一次元または二次元スペクトルだけからでは、双極子スペ クトル中の特定のピークを生じさせる観測されない核の実体はわからない。先に 説明したNMRシグナルは、観測されない核の特性には応答しない。以前の解析 法のさらなる限界は、縮退化学シフトを有する観測される核の双極子カップリン グどうしを区別できないことである。当該技術で周知であるように、化学シフト が異なる観測される核どうしは明瞭に識別することができる。しかし、縮退化学 シフトを有する観測される核の双極子カップリングどうしは区別することができ ない。 ときには、縮退観測される核および縮退観測されない核は、計測距離の観点か ら分子の幾何学形状を考慮することによって識別することができる。ある程度の 複雑さの特定の分子では、既知のタイプの核と核との間の特定の距離が、分子中 の核の部位を一意的に識別することができる。しかし、これら特定の核の識別が 曖昧であるとき、本発明の好ましい実施態様は、さらなる準または全三次元解析 の方法による解析を含む。 準三次元解析とは、すべての双極子カップリングが分解され、縮退していない 状況で適切な三次元解析の簡略化形態である。この状況では、この方法は、両方 のカップリングした異核の化学シフトを測定する。準三次元解析は、本発明のす でに記載した方法に従って異核対の各核の二次元スペクトルを測定することによ って進行する。目的の分子が15Nおよび13Cで標識されている例示的かつ一般的 な場合では、15Nの二次元スペクトルおよび13Cの二次元スペクトルを測定する 。各二次元スペクトルは、観測される核の化学シフトをその化学シフトと相関さ せる。さらに、同じ双極子カップリング周波数を有する二次元スペクトルの両方 におけるピークは、同じ対のカップリング核を表す。従って、特定のカップリン グ周波数でカップリングした両方の異核の化学シフトを、それらの個々の二次元 スペクトルから測定することができる。当該技術で公知であるように、カップリ ングした核の分子部位の識別は、それらの化学シフトから進行する。 図10は、15Nおよび13Cで標識された分子に適用された準三次元法を例示する 。15N二次元スペクトル1001が水平方向に描かれ、13C二次元スペクトルが垂直 方向に描かれている。軸1003は15N化学シフトであり、軸1004は相関双極子カッ プリング周波数である。同様に、軸1006は13C化学シフトであり、軸は相関双極 子カップリング周波数である。目的の分子の特定の標識の結果、4対の双極子カ ップリング核が生じている。15N二次元スペクトルでは、これらは、50Hzでの 双極子共鳴1007、100Hzでの双極子共鳴1008、200Hzでの双極子共鳴1009お よび250Hzでの双極子共鳴1010である。関連する15N核の化学シフトを軸1003 から読むことができ、分子の部位をこれらの化学シフトから識別することができ る。13C二次元スペクトルでは、50Hzでの双極子共鳴1011が共鳴1007と同じカ ップリング異核対を表す。同様に、共鳴1012、1013および1014は、それぞれ共鳴 1008、1009および1010と同じカップリング対を表す。この関係は、関連する共鳴 どうしをつなぐ線によって示されている。カップリング対に含まれる13Cの化学 シフトを軸1006から読むことができ、分子の部位を識別することができる。例え ば、250Hzの双極子カップリング周波数共鳴は、約98ppmの化学シフトを有 する15Nと、約80ppmの13Cとを含む。式1または図6によると、これらの異核 どうしは約2.2Å離間している。このようにして、準三次元解析は、非縮退双極 子カップリングに含まれる異核を一意的に測定することができる。 5.5.3 3 次元分析法 全3次元実験および分析法は、両方の異核の明白な部位同定のために、縮重化 学シフトまたは縮重双極子カップリング周波数でさえ、本発明のより好適な実施 例である。3次元法は、両方の双極子カップリング核の化学シフトと双極子カッ プリングの強さとに応答する3時間次元でNMRシグナルを生成する異核および 同核パルスシーケンスを含む。これらの方法は、いずれか適切な実施例において 双極子脱位相スペクトル変換を適用して、カップリング核の化学シフトへ双極子 カップリングを相関させる3次元スペクトルを生成する分析方法をさらに含む。 化学シフトから、カップリング核の分子同定は、当業界で公知の方法によって決 定することができる。異核3次元法 異核3次元パルスシーケンスは、3時間次元に応答するNMRデータを生成する が、3 時間次元のうち2つは双極子カップリング核の化学シフトを表し、第3の次元は双 極子カップリングの強さを表す。図11は実施例の3次元パルスシーケンスである 。この図において、曲線1101は1H周波数チャンネルに印加されるRF放射を示 す。曲線1102は15N周波数チャンネルに印加されるRF放射を示し、曲線1103は13 C周波数チャンネルに印加されるRF放射を示す。図11において、15Nは観測 核であり、13Cは非観測核である。13Cが観測核、15Nが非観測核となるように 、実施例のパルスシーケンスを変更する方法は、当業者には明らかであろう。 図11は概して、実施例のパルスシーケンスを、ほぼ1105、1106、1107に示され る3つの時間t1、t2、t3に分割され、これらがすべて独立に変化して、3次元時 間ドメインNMRシグナルを発生することができることを示す。時間t3では、F IDシグナル1104の時間展開は、当業者には知られているが、15N核の化学シフ トに応答する。時間t3では、パルスシーケンスは、シグナルが13Cの化学シフ トに応答するように設計される。最後に、時間t2では、パルスシーケンスは、シ グナルが15N核と13C核との間の双極子カップリングの強さに応答するように設 計される。これらの要件を満たす時間t1およびt2のどんなパルスシーケンスも 使用することができる。特に、本発明の最大エントロピー実施例に従って双極子 脱位相スペクトル変換を行う場合、双極子カップリングを補足し、かつ周波数ド メインシグナルから時間ドメインシグナルを演算する方法を持つどんなパルスシ ーケンスも時間t2において使用することができる。本発明のREDOR変換の 実施例に従って双極子脱位相スペクトル変換を実現する場合、脱位相角は、式3 に従って、式8および9の形の核を生成しなければならない。そのようなパルスシ ーケンスは、5.4節に記載のTEDORシーケンスの対称版を含む。図11および 以下で、時間t2が図1のREDORパルスシーケンスを使用する場合の3次元パル スシーケンスについて説明する。本発明は前述の双極子脱位相パルスシーケンス のどれにも適応できるので、これは限定されない。 さらに詳しく、図11に関して説明すると、実施例の3次元実験法では、時間t1 のたびに、時間t2およびt3の完全な2次元REDORスペクトルが測定される。 これは、t1のたびに、SおよびS0データ点の完全な集合を収集すること、およ びそうしたデータ点のたびごとに標本化FIDシグナル1104を収集することを含 む。完全な2次元スペクトルは、0から最大時間まで連続的に増分しながら拡張 する時間t1の間について測定される。増分および最大時間は、当技術分野におい て周知のように、ナイキスト標本抽出帯域幅が13Cの化学 シフトスペクトルの目的の区域を完全に包含するように選択される。そのように 選択されたt1ごとに、π/2パルス1108を1Hチャンネルに印加することにより 、実施例の3次元実験が開始される。このパルスの直後に、連続RF放射1109が1 Hチャンネルおよび非観測チャンネル、本明細書では13Cに加えられ、偏極が直 交偏極を介して極を1H核から非観測13C核へ転移する。これは、磁化が、1Hか ら観測核へ直接転移する1次元および2次元実験とは異なる。これらの直交偏極R F放射電界が印加される時間の長さ、およびその後の13Cから15Nへの直交偏極 の転移が行われる時間の長さは、最大直交偏極を探すことによって経験的に決定 される。一般的に、直交偏極RF電界がオン状態に維持される時間の長さは、1ミリ 秒台である。 1Hからの偏極の転移後、13C核上の磁化が、13C化学シフトの影響下で、13 C核を時間t1の間展開させる。この時間の間、3次元NMRシグナル非観測核の 化学シフトに応答する。時間t1の期間の後、磁化は、直交偏極RF電界1110によ って非観測13Cから観測15Nへ転移される。次に、時間t2およびt3の期間に、2 次元REDOR実験が、節5.1におよび図1に関連して説明されるように実施され る。簡単に言うと、前述の通り、S0実験は、一連のスピンエコー実験がロータ ーサイクルの算術的に増加する数であるときに行われる。ローター同期πパルス 1111は観測チャンネルにnローターサイクルで印加され、FIDは2nローターサ イクル後に観察される。S実験は概して1112で示され、非観測チャンネルに印加 されるローター同期脱位相パルスの追加の点を除いて一連のスピンエコー実験に 類似する。 適切な直核分検出により非観測核のスペクトルを得るために、t1の増分は、 時間比例位相増分(TPPI)(Ernestら、1990、Principles of Nuclear Magneti c Resonance in One and Two Dimensions;Clarendon Press:Oxford,Vol.14,pp. 610)法のt1期間の前に直交偏極パルスの位相のサイクリングと共に行われる。T PPI法において、直交偏極パルスの位相は、連続的なt1の増分ごとに90°増分 する。TPPI法において13Cスペクトルの適切な帯域を達成するために、t1は 毎25μ秒台でどこかで増分しなければならない。TPPI法は真の標本化増分の 半分の効果的標本化率を示し(従って25μ秒は50μ秒になる)、従ってスペクトル 帯域幅は20kHzである。非観測核のスペクトルの帯域幅の選択は経験的に行わ れる。本発明の重要な別の実施例では、適切な直角分検出によって、非観測核の スペクトルを得るために、TPPI法ではなくThe method of States (Ernstら、Vol.14,pp.610)が使用される。 次いで3次元NMRシグナルを、望ましい3次元分析法に従って処理する。実施 例の実験によって発生した完全な3次元NMRシグナルは、k×2m×p点の3次元 行列である。ここで、kはt1点の数、mはS0およびS点の数、pはFID標本数 である。簡単に言うと、3次元分析法は、第1に、t1時間値毎に一つの、一連の 完全な2次元スペクトルを形成し、第2に、t1次元に沿ってこの一連の2次元スペ クトルのすべての対応点をフーリエ変換する。従って、kt1値ごとに前述の方法 に従って、2m×p点の2次元行列はm×p行列に転換され、これは観測核の化学シ フトに相関する異核双極子カップリングの2次元スペクトルである。このステッ プの後、中間データ行列はk×m×pの3次元行列になる。ここで、kはt1点の数 、mは異核双極子カップリングスペクトルの点の数、pは観測核の化学シフトス ペクトルの点の数である。 3次元分析法の最終ステップは、時間次元t1に沿ってフーリエ変換によって中 間データを3次元スペクトルに転換することである。このフーリエ変換は、非観 測核の化学シフトスペクトルを回復する。フーリエ変換の前に、結果として得ら れるスペクトルが適切な位相関係を有するために、データはTPPI法に従って 実および虚の標識付けをされる。このようにして、奇数のt1点に対応するすべて の2次元スペクトルは実のデータとして標識付けされ、偶数のt1点に対応するす べての2次元スペクトルは虚のデータとして標識付けされる。結果として得られ るデータ行列は、t1次元は実と虚との標識付けによって半分に切断されたため、 今や効果的なk/2×m×pである。最後に、2次元スペクトル毎のすべてのm× p点はフーリエ変換される。最終3次元スペクトルはk/2×m×p行列である。 ここで、k/2は非観測核の化学シフトスペクトル点の数、mは異核双極子カッ プリングスペクトルの点の数、pは観測核の化学シフトスペクトルの点の数であ る。 図12は、前述の3次元実験の例示の標本3次元スペクトル図を示す。この図 では、軸1201に沿って3次元行列の双極子カップリング次元が示され、軸1 202に沿って非観測13C核の化学シフトが示され、軸1203に沿って観測15 N核の化学シフトが示される。この図は、3次元スペクトルに表わした、非観測 核の化学シフトスペクトルと、異核双極子カップリング周波数および3次元スペ クトルに存在する観測核の化学シフトスペクトルとの相関を示す。標識付けされ た分子は、概して1204、1205、1206、1207で示される4つのス ペクトル共鳴を発生した。例えば共鳴1207は、約100ppmの化学シフト を持つ13C核が約98ppmの化学シフトを持つ15Nの核とカップリングされた 状態で、2.2Åの核間距離に対応する250Hzの双極子カップリング周波数 で発生する。この情報から、特定の13C核にカップリングされた特定の15N核の 分子同定を、当業者は決定することができる。 3次元スペクトルを2次元表面に正しい相関関係で表わした図12のような斜視 図は有利である。このような斜視図により、3次元スペクトルの構造および内容 をすぐに理解することができる。 同核3次元法 同核3次元法は、異核の場合と同様の分析法を、異なるパルスシーケンスから 生成される3次元時間ドメインNMRデータに適用するものである。異核の場合 と同様に、同核3次元パルスシーケンスは、3つの時間次元に応答するNMRデ ータを生成し、3つの次元のうちの2つは双極子結合核の化学シフトを表わし、 3番目の次元は双極子結合の強さを表わす。図13は、実施例の3次元同核パル スシーケンスを示す。この図において、曲線1201は3H周波数チャネルに加 えられるRF放射を表わし、曲線1202は13Cチャネルに加えられるRF放射 を表わす。生物学的に関心のある化合物、特に薬物発見に関連する化合物では、 観測核は一般的に13Cであり、本節では13Cを無制限で観測核として説明する。15 Nまたはその他のNMR活性核が観測核となるように、実施例のパルスシーケ ンスを変更する方法は、当業者には明らかであろう。 図13は一般的に、実施例の同核パルスシーケンスも、一般に1203、12 04、1205で示される3つの時限t1、t2、t3に分割され、これらが全て 独立に変化して3次元時間ドメインNMRシグナルを発生することができること を示す。時限t3では、FIDシグナル1104の時間展開は、当業者には知ら れているように、13C核の化学シフトに応答する。時限t1では、パルスシーケン スは、シグナルが13C核の化学シフトにも応答するように設計される。最後に、 時限t2では、パルスシーケンスは、シグナルが13C核間の双極子結合の強さに 応答するように設計される。これらの要求事項を満たす時限t1およびt2のどんな パルスシーケンスも使用することができる。特に、本発明の最大エントロピーの 実施例に従って双極子デフェージングスペクトル変換を実現する場合、双極子結 合を捕捉し、かつ周波数ドメインシグナルから時間ドメインシグナルを計算する 方法を持つどんなパルスシーケンスでも、時限t2で使用することができる。本 発明のREDOR変換の実施例に従って双極子デフェージングスペクトル変換を 実現する場合、デフェージング角は方程式3に従って展開し、方程式8および9 の形の核を生成しなければならない。図13および以下で、時限t2がマジック 角(DRAMA)パルスシーケンスにおける双極子回復を使用する場合の3次元 パルスシーケンスについて説明する(Tycko et al.,1990,Chemical Phy sics Letters 173:461-465;Tycko et al.,1993,Journal of Chemical Physics 98:932-943)。本発明は当技術分野で知られている同核双極子デフェージング パルスシーケンスのどれにでも適応できるので、これは無制限である。 さらに詳しく、図13に関連して説明すると、実施例の3次元実験法では、時 限t1のたびに、時限t2およびt3の完全な2次元同核スペクトルが測定される。 これは、t1のたびに、双極子デフェージング時間ドメインデータ点の完全な集合 を収集すること、およびそうしたデータ点のたびごとに、標本化FIDシグナル 1206を収集することを含む。完全な2次元スペクトルは、0から最大時限ま で連続的に増分しながら拡張する時限t1について測定される。増分および最大 時限は、当技術分野において周知の通り、ナイキスト標本抽出帯域幅が、13Cの 化学シフトスペクトルの関心部分を完全に包含するように選択される。そのよう に選択されたt1ごとに、π/2パルス1207を1Hチャネルに印加することに より、実施例の3次元実験が開始される。このパルスの直後に、連続RF放射1 208が1Hチャネルおよび非観測チャネル、ここでは13Cに加えられ、偏極が 直交偏極を介して1H核から観測13C核へ転移する。これらの直交偏極RF電界 が印加される時間の長さは、最大直交偏極を探すことによって経験的に決定され る。一般的に、直交偏極RF電界がオン状態に維持される時間の長さは1ミリ秒 台である。t1の増分は、時間比例位相増分(TPPI)法に従って、t1期間の 前の直交偏極RFパルスの位相のサイクリングと共に行われる。代替的に、本発 明は、適切な直角分検出により非観測核のスペクトルを得るために、TPPI法 ではなく「状態法」に適応される。 1Hからの偏極転移の後、13Cの化学シフトの影響下で13C核の磁化を時間t1 の間、展開させる。この期間に、3次元NMRシグナルはその化学シフトに応答 するようになる。磁化のt1展開を停止するために、印加される静的磁界に平行 な実験室フレームのz軸に沿って、それは切り換えられる。これは、13C核の横 緩和時間T2より長くなるように選択された時間間隔γで分離される2つのπ/ 2パルスを印加することによって達成される。γの一般的な値は1ミリ秒台であ る。次に、0からローターの最大サイクル数mまでのローターの可変サイクル数 だけDRAMAパルスシーケンスを印加することによって、2次元同核スペクト ルを測定する。このパルスシーケンスの後、p時間位置でFIDシグナル120 6を標本抽出する。DRAMAパルスシーケンスは、毎サイクル、サイクルの0 .25で印加されるパルス1211および0.75で印加されるパルス1212 の2つのローター同期π/2パルスを含む。さらに、1つおきのローターサイク πパルス1213は、サイクルの起点で印加される。 図13の実施例のパルスシーケンスは、kxmxp点の3次元マトリックスを 生成する。ここでkはt1点の数、mはDRAMAパルスシーケンスが印加され ている間のローターの最大サイクル数、pはFID標本数である。このデータは 異核の場合と同じ方法によって処理され、k/2xmxp点の3次元スペクトル を生じる。ここでk/2は1つの双極子結合された観測核の化学シフトスペクト ルにおける点の数であり、mは異核双極子結合スペクトルにおける点数、pは他 の双極子結合観測核の化学シフトスペクトルにおける点の数である。 結果的に得られる3次元スペクトルは、両方の双極子結合核の化学シフトスペ クトルを同核双極子結合周波数と相関させる。これは、異核の場合と同様に、3 次元斜視図方式で表わすことができる。この情報から、結合された核の分子識別 およびこれらの核の距離を決定することができる。核が化学シフトを縮退してし まわない限り、結合同核の各対から2つの共鳴が得られる。縮退した場合には、 単一の共鳴がある。 ここでは、同核双極子デフェージングパルスシーケンスを3次元分析に適用す る場合についてのみ説明したが、こうしたパルスシーケンスは他の次元の分析に も適用される。例えば、時限t1を省くことによって、ここで説明したパルスシ ーケンスは、前述の2次元法によって有利に分析される2次元データを生成する 。こうした2次元データを前述の通り分析して、単に1次元スペクトルを生成す ることもできる。したがって、同核双極子デフェージングパルスシーケンスは、 1次元法、2次元法、および3次元法による分析のためのデータを生成するため に適用することができる。さらに、上述の通り、本発明はDRAMAパルスシー ケンスによって生成されたデータのみに制限されない。任意の双極子デフェージ ング同核パルスシーケンスを使用して、任意の次元の分析のためのデータを生成 することができる。 5.6 標本標識付け法 本発明の方法により、核間距離の測定および測定された距離の複合標本におけ る識別核への割当が可能になる。複合標本とは、他の化学シフトした核に結合さ れた複数の化学シフト観測核を含む標本である。本発明は、いかなる複合標本に も有利適用される。関心のある生物学的標本への特定の適用例では、NMR活性 核は一般的に選択的標識付けにより導入される。多様に標識付けされた標本で実 験を実行すると、分子構造の決定に必要な時間が短縮される。したがって、NM R標本の作成は3つの主要段階、すなわち標識付け戦略の選択と、その戦略に従 って標識付けされた標本の合成と、本発明に係るNMR実験用の標本の作成とを 含むことが望ましい。 本発明は、一般に全ての単一または複合標本に使用されるが、本節で標本物は 、生物学で、そして特に薬剤の設計において関心のある特定の場合に制限される ことなく説明される。この場合は、関心のある薬理学上の特性を示す多様なライ ブラリーからスクリーニングされた分子のように有機分子の構造を決定すること である。本発明は、このような有機の多様なライブラリーの全てに適用でき、そ してペプチドに関して制限なしに説明される。そうした標本について、本節は、 一般的な標識付きプロトコール、合成の方法、および標本物について説明してい る。最も迅速に、そして標識付けされたアミノ酸の損失を最小にしながら分子構 造における最大の情報を引出すことは、好ましくは慎重な標識付けを必要とする 。標識付けは、関心のある特定の分子領域について可能な最大の情報を得るため に行われるのが好ましい。このような領域としては、制限されるものではないが 、ペプチドが関心分野の標的に結合する領域が挙げられ、そしてそのような領域 は、おそらく薬剤作用を明確にする。そのような関心分野の領域では、一般的な 標識付け戦略としては、骨格標識付け、および側鎖標識付けが挙げられる。例え ば、骨格標識付けは、1つのアミノ酸のアミン窒素原子(N)、および次の隣接 またはそれ以上の距離のアミノ酸の骨格炭素原子(C)の1つを標識付けする。 骨格標識付けは、一般に、強力な薬剤作用の関心分野の分子領域の付近にある骨 格で行われる。側鎖標識付け戦略は、関心分野の領域の化学構造で変化す る。側鎖Nが利用できれば、隣接側鎖または骨格Cが標識付けできる。そうでな ければ、側鎖Cおよび骨格アミノNが標識付けできる。側鎖標識付けは、関心分 野の分子領域での側鎖で、あるいは候補の薬剤作用で行われることが好ましい。 要するに、関心ある分子領域で好ましい標識付けは、骨格Nおよびすぐそばの骨 格Cまたは側鎖Cのいずれかであるか、または利用できれば、側鎖Nおよび隣接 またはすぐ傍の側鎖Cである。 NMR実験標本で核の対の複数を標識化するのがしばしば有利である。2つま たはそれ以上の標識付き核対を有する標本が、標本ごとに1つの標識付き距離を 示す分子を混合するか、または1つの分子で複数の距離を標識することのいずれ かによって製造できる。複数の標識付き距離を示す分子を、1つのNMR標本に 混合させることもできる。1つの分子中の複数の標識付き距離の場合には、複数 の標識付けを施す場所の選択は、同核結合が最小限にされるさらなる制約を伴っ て、上述の方法に従う。当業界でよく知られるとおり、同核結合は、以下の特定 の指針にしたがって最小限にできるかまたは削除できる。第1の指針 は、1つ の分子に施される場合、同核スピンが、空間でもう1つから遠くに離されること である。測定される異核距離のおよそ2、3倍、同核スピンが離されることで十 分である。それらがマジック角スピンによって0に平均化され、そしてr-3で崩 壊もするので、この距離で、同核双極性結合は最小化される。第2の指針は、そ れらの化学シフトが低下したとき、またはスピン間の化学シフトの差異が、スピ ンの間の双極性結合より大きい場合、同核スピンが、互いに接近して位置決めで きることである。これらの条件下で、同核双極性結合 は、MASによって0ま で平均化される。第3の指針は、互いに化学シフトしたスピンのためのものであ り、さらに空間で互いに接近している場合、スピン共鳴の条件は、回避されなけ ればならない。2つの同核の間の化学シフト頻度の差異の整数倍にあたる周波数 で、回転共鳴、またはマジック角のスピンは、マジック角スピンの0にまで平均 化するのを避ける。 好ましくない分子間双極性結合を避けるために、多重に標識付けされたペプチ ド標本が、混合標識付きペプチドから生じる場合、実験は、純粋な標識付きペプ チドで行われないことが好ましい。分子間の双極性結合を最小限にするために、 標識付きペプチドを、未標識ペプチドまたはミルクタンパク質のような別の不活 性材料のいずれかのマトリックスに希釈することが好ましい。標識付き材料を、 全材料のおよそ10重量%まで希釈するのが好ましい。この希釈レベルでは、分 子間双極性結合が最小化される。しかし、ほとんど標識付けされない核が、測定 NMRシグナルを発生する標本に存在するので、ペプチドの希釈は、ノイズに対 するシグナルの結果を減少させる。したがって、希釈は、分子間双極性結合を最 小限にするのにちょうど充分であるべきであるが、ノイズに対するシグナル比を 反対に影響を及ぼすのには十分でないべきである。 本発明の方法のこの適用において予測される短いペプチドは、市販の標識付き ペプチドから当業界で知られるタンパク質合成のどんな方法によっても合成でき る。(ペプチド化学(Peptide Chemistry)・実施の教科書、 2版、M.Bodansxky、Springer−Verlag、ニューヨー ク、1993年。)実施例6.4節は、標準tBOCおよびFMOC技術の組合 せを使用して、合成樹脂に付着した短ペプチドの実験的合成を説明している。 標識付きペプチドは、数種の技術によって、NMR標本として製造できる。分 子間双極性結合を最小限にするのに十分な希釈で合成樹脂上で合成された標本は 、合成されたものとして使用できる。代わりに、標本は、合成樹脂から分離し、 そして同様の十分な希釈で未標識材料と混合することができる。標本物のための 好ましい技術は、NMR測定より前にそのタンパク質標的にそのペプチドを結合 する。標本がタンパク質標的に結合できる非ペプチド分子から構成される場合、 このような分子にとって好ましい標本物も、それらをそれらのタンパク質標的に 結合する。例えば、このような非ペプチド分子としては、有機物の多様なライブ ラリーから得られるものが挙げられる。さらに、本発明は、タンパク質以外の標 的に使用することができる。このような標的としては、核酸、脂質、プロテオグ リカンなどが挙げられる。標本がこの方法で製造されると、測定距離は、結合ペ プチドの活性構造のものであることが確信される。これは、結合分子の構造が、 当業界で知られるとおり、標的タンパク質に結合することによってしばしば変更 されるので、重要な考察である。その標的タンパク質に結合したペプチドの標本 を製造するために、タンパク質の溶液を、3:1モル過剰量のペプチドで滴 定する。タンパク質へのペプチドの結合に基づいて、100倍過剰量の水で洗浄 することによって過剰なペプチドを除去する。さらに、様々な標識付けを有する 標本を、NMR測定のために混合して、合成樹脂に付着させ、遊離の、またはそ れらのそれぞれの標的に結合できる。 NMR標本物における最終な好ましいステップは、迅速な冷凍および凍結乾燥 であり、標本が水溶液として製造されるので適切である。冷凍および凍結乾燥の 前に水溶液に凍結保存剤糖を添加することによって活性構造を維持するのが好ま しい(Dabulisら、Biotechnology Bioenginee ring、41:566−571、1993年;Burkeら、Journal of Biological Chemistry 267:20057−2 0064、1992年)。NMR測定にふさわしい標本としては、混合液は、凍 結乾燥前に迅速に冷凍される。迅速な冷凍は、液体窒素中で、200μL量の少 量アリコートで溶液を冷凍することによって達成される(Christense nら、Biochemistry 32:2868−2873、1993年;L azoら、Biochemical and Biophysical Res earch Communications、197:904−909、199 3年)。凍結乾燥後、結果的に生じた凍結乾燥粉末は、NMR実験に十分である 。生物学的に活性な構造の的確な代表例としては、結果的に生じる凍結乾燥物が 部分的に水和されるのが好ましいことは当業界で知られている(Lazoら、B iochemical and Biophysical Research Communications 197:904−909、1993年;Dab ulisら、Biotechnology Bioengineering41 :566−571、1993年;Burkeら、Journal of Bio logical Chemistry 267:20057−20064、19 92年;Desaiら、Journal of the American C hemical Society 116:9420−9422、1994年; およびGriebenowら、Proceeding of the Nati onal Academy of Science 92:10969−109 76、1994年)。 凍結乾燥または部分的に水和された凍結乾燥標本は、NMR測定に適切である 。 ペプチドが標的タンパク質に結合される標本物の好ましい技術では、標的タン パク質は、固形状態のNMR実験に十分である量で必要とされる。必要とされる タンパク質の量は、根本的にMASローターの標本量によって決定される。化学 磁気(Chemagnetic)の標準5mmペンシルローターは、0.14立 方センチメーターの容積を有する;薄壁ローターは、0.21立方センチメータ ーの容積を有する。2つのバージョンのローターに詰める材料の全質量は、標準 および薄壁ローターそれぞれ、およそ100mgおよび150mgである。 標的タンパク質は、以下の実施例の方法によってそれらのcDNAから製造で きる。当業界で知られた他の発現系は、標的タンパク質を合成するのに使用する こともできる。関心の標的タンパク質のcDNAは、分子生物学で知られた標準 的な方法によって得ることができる(組換えDNA(RecombinantD NA)、2版、J.D. Watsonら、W.H.Freeman & Co .、ニューヨーク、1992年)。標的タンパク質、例えばras、raf、v EGFおよびKDRは、ピキア(Pichia)のパストリス発現系(カリフォ ルニア州、サンディエゴ(San Diego、CA)のInvitrogen )で、そしてイー.コリ(E.coli)でグルタチオン−S−トランスフェラ ーゼ(GST)−融合タンパク質として発現できる(Guanら、Analyt ical Biochemistry 192:262−267、1991年) 。 ピキア・パストリス発現系については、標的タンパク質のcDNAは、ピキア の発現ベクターpHIL−S1およびpPIC9(Invitrogen)でク ローン化される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、これらのタンパク質のカ ルボキシ末端で6つのヒスチジンを導入するのに使用されて、その結果このヒス チジルタグは、これらのタンパク質をアフィニティー精製するのに使用すること ができる。組換えプラスミドは、スフェロプラスティング法によってまたは電気 穿孔法によってピキア細胞を形質転換するのに使用される。標的タンパク質の発 現は、メタノールの存在下で、ピキアで誘発できる。pHIL−S1プラスミド でクローン化されたcDNAは、PH01シグナルペプチドとの融合体として発 現され、従って細胞外に分泌される。同様に、pPIC9プラスミドでクローン 化されたcDNAsは、α因子シグナルペプチドとの融合体として発現され、よ って細胞外に分泌される。したがって、標的タンパク質の精製は、成長培地から のアフィニティー精製を単に含む場合、より簡単である。ピキアは、非常に低い 濃度の相同タンパク質を分泌し、そしてそれによって異種タンパク質がその培地 に非常に多数のタンパク質を包含するという事実によって、精製はさらに助長さ れる。発現された標的タンパク質は、ニッケルを含有するアフィニティーマトリ ックス上でアフィニティー精製した。その後、結合標的タンパク質を、EDTA またはイミダゾールのいずれかで抽出し、そして遠心分離濃縮機を使用すること によって、さらに濃縮した。 ピキア発現系の代替物として、標的タンパク質は、イー.コリでグルタチオン −S−トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質として発現される。標的タ ンパク質cDNAは、関心のタンパク質が、GSTタンパク質とのC末端融合体 として発現されるpGEX−KGベクター(Guanら、Analytical Biochemistry 192:262−267、1991年)にクロー ン化される。pGEX−KGプラスミドは、標的タンパク質をGSTタグから切 り取るのに使用される融合接合で遺伝子操作されたトロンビン切断部位を有する 。GST遺伝子が、tacプロモーターの影響下にあるので、発現は、IPTG の存在下で導入できる。導入細胞を、音波処理によって破砕し、そしてGST融 合タンパク質を、グルタチオン結合アフィニティーマトリックス上でアフィニテ ィー精製する。その後、アフィニティーマトリックスにトロンビンを添加するこ とによって、結合タンパク質を切断し、そして洗浄によって回復する一方で、G STタグは、マトリックスに結合したままである。イー.コリ培養物の1リット ル当たりの組換えタンパク質のミリグラム量は、この方法で得ることができると 予測される。 標本の標識付けの別の方法および分子構造決定を薬剤の設計に適用する方法は 、コンセンサス配座バイアス・モンテカルロ法および薬剤作動構造決定に関する 体系について1995年3月31日に提出された出願人の同時係属中の米国特 許出願番号第08/418,992号で見られる。 NMR標本サイズおよび実験タイミング 本発明の利点は、測定タンパク質標本が、溶液状態のNMRでのように厳密な サイズ制限を示さないことである。溶液状態のNMRでは、NMRスペクトルで 重なり合っているラインを分離する能力によってタンパク質の最大サイズが決定 される。溶液状態のNMRでの分離可能なタンパク質の最大サイズは、およそ2 5キロダルトンである(Cloreら、Protein Science 3: 372−390、1994年)。本発明の方法で、タンパク質標的の最大サイズ は、NMRシグナルのシグナル対ノイズ比によって制限される。シグナル対ノイ ズは、標本中に存在する観測核の数、検出核の磁気回転比、およびNMR測定の 感受性によっておよそ決定される。NMR測定の感受性に対する主要な誘因は、 磁界の強度である。 付随の実施例に説明される本発明の適用において、磁界は、7.05テスラで あり、そして5mmペンシルローターの標本容積は、140μLである。化学磁 気は、標本容積を210μLまで増大する薄壁ローターを導入する計画がある。 表2は、種々のサイズのタンパク質に結合した900Dのペプチド(環状オクド マーについてのおよその質量)に対しておよそ15N検出実験時間を示した。 表2:15N検出について実験時間 表3は、13C検出実験について同じ情報を示す。 表3:13C検出について実験時間 2つの表は、データ収集が28S/S0点を包含することを呈する。表中の値 は、付随の実施例に説明される測定の経験的実施の感受性に、そして固体状態の NMRでの感受性およびシグナル対ノイズの原理に基づいている。(Mehri n g、Principles of High Resolution NM R in Solids、Springer−Verlag・ベルリン、4章・ 1983年)。 これらの表は、さらに迅速にそして少ない損失で分子構造を決定するために1 つのNMR標本での複数の距離を測定する利点を示す。 溶液状態のNMRの技術で知られるとおり、大形の生物学的分子を、高磁界強 度を使用して調べることができる。その理由は、研究できる分子の最大のサイズ における制限である分離は、適用される磁界強度B0で線状になる化学シフト分 散によって原理的に決定されることである。同様に、本発明に記載された固体状 態のNMR技術による生物学的分子のサイズは、適用される磁界強度で増加する 。固体状態のNMR技術のサイズでの制限因子は、感受性があるので、感受性が B0 3/2として増加するため感受性における増加は、溶液状態のNMRの場合より いっそう迅速である。高分解NMR磁石における技術の現状は、共通14.1テ スラ磁石でおよそ18.8テスラである(英国オックスフォード(Oxford 、United Kingdom)のオックスフォード・インストルメンツ(O xford Instruments))。 6.実施例 本節には、本発明の最大エントロピーおよびREDOR変換の具体例によって 、REDORパルス配列およびそれの1次元および2次元分析を使用したNMR データ収集の実施例が記載されている。さらに、標本標識付けおよび合成方法も 記載されている。 6.1.REDORデータ収集 これらの実施例に記載されたデータを収集したNMR実験を、ケマグネティッ クス(Chemagnetics)5mm三重分離MAS(マジック角スピニング)ペンシル プローブを具備するケマグネティックスCMX300スペクトロメーター(コロ ラド州フォルト・コリンズ(Fort Collins,CO)のオーツカ・エレクトロニック ス(Otsuka Electronics))で行った。この装置は、オックスフォード・インスト ルメンツ(英国オックスフォード)から得た7.05テスラ磁石、およびNMR 技術では一般的なRFパルス励起および受容ハードウエアを包含する。核のため の共鳴周波数は、1H 299.991MHz;15N 30.401MHz;13 C 75.442MHzである。バリアン・インストルメンツ(Varian Instrum ents)(カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto、CA))またはブルッカー・イン ストルメンツ(Bruker Instruments)(マサチューセッツ、ビレリカ(Billerica, .MA))から得たもののような他のスペクトロメーターは、ケマグネティックスス ペクトロメーター(Chemagnetics spectrometer)の代替として適切である。マ ジック角スピニングプローブの他の製造源としては、ドッティ・サイエンティフ ィック社(Doty Scientific Inc.)(サウスカロライナ州、コロンビア(Columbia 、SC))が挙げられる。 実験の前に、数種の標準装置較正がなされた。マジック角は、KBr中の79B rの時間ドメイン信号を観察することによって調整された。磁界を、10Hzの 残留ライン幅に対して自然な多量の13C上に水平にした。13Cπパルス幅は、8 .8μ秒であり、15Nπパルス幅は、12.2μ秒で、そして1Hπ/2パルス 幅は、3.0μ秒であった。パルス時間を決定する実施例の手段は、ゼロが達成 されるまで標識付けされたグリシンでの15Nまたは13Cのいずれかでの単独のパ ルス実験でパルス幅を変えることであ る。同様の方法で、水を使用して、ゼロを探すことによって1Hパルス幅を測定 した。ゼロは、πパルスに対応する。当業界でよく知られるとおり、13Cおよび15 Nチャンネルにおける短いパルス幅は、正確な距離測定にとって重要である。 10kHz未満のマジック角スピニングでなされたREDORには、15μ秒ま たはそれ未満のパルスが適切である。1Hから15Nまでの直交偏極にとっての最 適レベルを、様々な1H電力レベルでの直交偏極効率の経験的評価によって設定 した。1m秒の最適な直交偏極時間を、直交偏極効率の経験的評価によって設定 した。 REDOR実験のこの具体例で使用されたパルス配列は、図1に例示され、他 の適切なパルス配列は、当業界で知れられている。パルス配列は、1H、15Nお よび13Cチャンネルでのパルスの適用を詳説し、そして5.1節で、図1を参照 して詳細に記述された。REDOR実験のこの特定の具体例で、15Nは、観測核 であり、そして13Cは非観測核である。本発明処理の別の具体例は、13Cは観測 核であり、そして15Nは、非観測核である。S0およびSデータ点ごとに、2秒 の捕捉の間の遅延時間で4096の平均値が記録された。各S0およびSデータ 点の平均の数は、信号対ノイズ比の許容しうるレベルを確定するために経験的に 選択された。各S0およびSデータ点ごとに収集されたFIDの長さは、102 4点であった。90kHzの陽子デカップリング(2.7μ秒の1Hπ/2パル ス幅に対応する)は、REDORデフェージング期間に使用され、そして70k Hzデカップリング(3.5μ秒の1Hπ/2パルス幅に対応する)は、補足期 間中に使用された。REDORデフェージング期間中の90kHzまたは上記の デカップリングが、正確な距離測定のために必要とされる。 これらの実施例で報告されるデータが生じた標本は、それらの標識付け以外は 同一な2つの環状ペプチドの1:1物理的混合物であった。2つのペプチドは、 G末端を介してmBHA合成樹脂に結合したCys−Asn−Thr−Leu− Lys−*Gly−Asp−Cys−Glyであった。ペプチドは、ジスルフィ ド結合を介して環状化された。この環状ペプチドは、糖タンパクIIb/III aに結合し、それによってフィブリノーゲンとの結合に対する拮抗阻害剤として 作用することがO’Neilら(O’Neilら、タンパク質:構造、機能およ び遺伝 14:509−515、1993年) によって先に示された。結果として、ペプチドは、血小板凝集の強力な阻害剤で ある。1方のペプチドは、15N,1−13Cグリシンで標識付けされ、他方は15N ,2−13Cグリシンで標識付けされた。合成樹脂(アドバンスド・ケムテック(A dvanced Chem Tech))は、0.1meqの専有mBHA表面部位/ポリスチレン 樹脂のg数を示した。合成樹脂の存在によって自然に希釈され、それによって分 子間双極性結合を除去するので、さらにペプチドを希釈する必要はなかった。8 90g/モルのペプチド分子量、およびmBHA樹脂上での専有表面部位の密度 から、これは、0.09gのペプチド/1gの樹脂を示す。およそ85mgのペ プチド−樹脂標本、そしてしたがって−7mgのペプチドを、5mmケマグネテ ィックスペンシルローターに詰めた。ローターに詰める前に、同じ質量(50m g)の2つのペプチド−樹脂標本を計り取ることによって物理的混合物をなした 。これらの2つのペプチド−樹脂標本を、一緒に加え、そしてへらで静かに混合 した。ペプチドは、アイソテック(Isotec)(オハイオ州ミアミスバーグ(Miamisb urg、OH))から得られる標識付けアミノ酸と一緒に、FMOCおよびtBOCの 化学的性質の組合せを介してカリフォルニア州、サンディエゴのマルチプル・ペ プチド・システムズ(Multiple Peptide Systems)によって合成された。標本標 識付けおよび合成の詳細は、6.4節に記載される。 このNMR機中のこの標本から、4回のローターサイクルごとに1回、XY− 4位相サイクルを使用して6000Hzでスピンさせながら、データを収集した 。スピン速度は、実験のコースをとおして10Hz内に、ケマグネティックスス ピン速度発生装置で調節された。このサンプリング率、4回のローターサイクル 毎に1回のデータサンプリングによって分割された600Hzは、およそ150 0Hzの周波数帯域幅を示す。28S/S0点が、収集され、それにより54H z/点のデジタル分解能になった。デジタル分解能は、S/S0点の数によって 周波数帯域幅を分割することによって決定される。始点0.01から終点0.1 の範囲のこれらのデータ点の誤差概算σは、始点と終点の間で線状に増加する。 代わりに、サンプリングは、他のローターサイクル増加で行ってもよい。例え ば、16ローターサイクルごとのサンプリングは、図5およびXY−16(また はそれより高い桁数)相のサイクル(Gullionら、Journal of Magnetic Resonance 89:479-484、1990年)に示される好ましいパルス・プログ ラムの使用を可能にする。図5は、1Hチャンネル、パルス配列501で適用さ れたRFパルスと、13Cチャネル、パルス配列503で適用されたRFパルス を示している。 6.2.1次元REDORデータ分析 6.1節によって測定されたデータは、REDOR変換および本発明の最大エ ントロピーの具体例を使用して、一次元分析法によって分析された。2つの具体 例は、他の測定技術で得られたものに相当する距離測定を示す。それによって、 本発明の方法の有効性が確認される。 REDOR変換具体例 28のS0および28のS FIDは、データがノイズのレベルにまで減退し たFIDの末端で多くのデータ点(この特定の場合では、100点)の値を平均 することによって補正された基準線であった。この平均値は、FIDがゼロに減 退するように全FIDから減じられた。基準線補正の後、FIDは、指数および フーリエ変換で500Hzに線拡大された。線拡大のHzをどのくらい適用する かの選択は、フーリエ変換共鳴線を平滑にする必要性を拡大する最小量を経験的 に探すことによって行われた。変換後、スペクトルは、純粋な吸収モードでの平 滑な基本線と全てのピークに達成するために位相補正された。S0およびSの値 は、そのスペクトルでの標識付けされた15N共鳴のピークの高さから測定した。 この実施例でのNMRデータ処理は、マッキントッシュ(カリフォルニア州、カ ペルチノ(Cupertino、CA)のアップル・コンピューター(Apple Computer)) ソフトウエア・プログラムRMN(オハイオ州立大学、化学科のPhilip J.Grand inetti博士から自由に入手可能。e−メール:grandinetti.1@osu.edu)で行わ れた。他の適切なNMRデータ処理プログラムとしては、それに制限されないが 、ケマグネティックス、バリア、およびブルッカー・スペクトロメーターで搭載 済みのソフトウエアが挙げられる。 図14は、この前処理の結果を例示する。その図では、軸1401は、ロータ ーサイクルの数を表し、そして軸1402は、1.0とローターサイ クルの公知の値から出発するS/S0の値を表す。続いて記載されたとおり、デ ータ点1404で曲線1403がこの入力データに適合した最大エントロピーを 示す場合、誤った線がありそうなデータ点が示される。 この前処理の後、双極性デフェージングスペクトルの変換のREDOR変換具 体例を、6.3節で記載した方法にしたがってこの入力データに適用した。図4 は、結果として得られる双極性結合周波数スペクトルを例示する。この図では、 軸401は、双極性結合周波数であり、そして軸402は、スペクトルの強度で ある。変換データは、およそ200±54Hzの周波数でピーク403、そして およそ900±54Hzの周波数でピーク404の2つの強力なピークを示した 。式1によって決定されるとおり、これらの周波数は、ピーク403については 、2.5±0.3Åの距離に対応し、そしてピーク404については1.50± 0.03Åの距離に対応する。大きな掃引幅と制限されたデータサンプリングに よって信号に強いられた分解能の制約内で、結果は、純粋なグリシンのx線結晶 データとよく一致する。純粋グリシンでの15N,1−13C結晶距離は、1.49 Åであり、そして純粋グリシンでの15N,2−13C結晶距離は、2.47Åであ る。 第1の概算に対して、スペクトルの周波数分解能は、収集されたS/S0点の 数、およびスペクトルの周波数帯域幅によって決定される。図4での周波数分解 能は、4回のローターサイクル毎に1回サンプリングし、そして6000Hzで スピンしながら、28S/S0点の収集から生じる。ローター周波数とサンプリ ングのこの組合せは、1500Hz(=6000Hz/4)のスペクトルの地域 幅に対応する。サンプリングは、S/S0点当たり54Hz(=1500Hz/ 28)の分解能に対応する。 代わりに、距離分解能は、スペクトルの帯域幅の実験的パラメータおよびS/ S0データ点の数を変化させることによって改善された。S/S0データ点と同じ であるが、375Hz(=6000Hz/16)のより小さな掃引幅で示す20 0Hzの周波数は、実験的距離分解能で2.48±0.05Åまでの著しい改善 に至る。375Hzのこの小さな帯域幅(2.0Åの13C−15N距離の下限に 対応する帯域幅)は、6000Hzでスピンさせ、そして16ローターサイクル 毎にサンプリングしながら得られる。その帯域幅で、各S/S0ポイントは、1 3Hzに対応する(=375Hz/28)。 さらに、S/S0ポイントの数を増加させると、スペクトルの分解能が増加する 。 最大エントロピー具体例 誤差概算が、同時に最適化されない最大エントロピーの第一の代替的具体例は 、双極性周波数および核間距離ドメインの両方において、同じデータに使用され た。最大エントロピー法が、任意の前処理なしに生の測定データに使用されるこ とも好ましい。誤差概算σは、始点では0.01であり、そして終点では0.1 まで直線的に増加する。 図16Aは、最大エントロピー双極性周波数スペクトルを例示する。この図で は、軸1601は、双極性結合周波数であり、そして軸1602は、スペクトル 強度である。曲線1603は、測定スペクトルである。スペクトルは、点の間に 12.5Hzの空間を有する200点のグリッドで測定された。2つのピークが現 れ、一つはおよそ150Hzであり、もう一つは、およそ900Hzである。Ngood は、12.39とされ、そしてNbadは8.48とされた。したがって、Ng ood とNbadの合計は、20.87であり、データ点29の総数より少なかった。 この差異は、測定から得られた誤差概算が再検査されるべきであることを示す。 図14に戻って、曲線1403は、周波数ドメインスペクトルから推定されると おり、入力時間ドメインのデータである。推定および実測の時間ドメインのデー タは、近接し、全ての点での実験測定の誤差の線以内に入る。 図16Bは、核間距離ドメインで使用される最大エントロピー法を例示する。 この図では、軸1610は、Åで表した核間距離であり、そして軸1611は、 スペクトル強度である。曲線1612は、測定距離のドメインスペクトルである 。スペクトルは、0.5Åで始点で200点のグリッドで測定され、分離は、0 .05Åの点の間であり、そして終点で10.45Åであった。2つのピークは 、はっきりしており、1つはおよそ1.5Åに、そして他方は、およそ2.5Å である。αについての最も可能な値は、1.8744であることが分かり、それ により4.70のNgoodおよび6.73のNbadを生じる。NgoodとNbadの合計 は、総Nより少なく、さらに実験の誤差概算が再検査されるべきであることを示 す。曲線1613は、式10 によって周波数ドメインスペクトルを変換することによって得られた距離ドメイ ンスペクトルである。直接測定された距離ドメインスペクトルに明らかに近い。 最大エントロピーの具体例も、誤差概算が、スペクトルに連帯的に最適化され る代替的具体例での同じ測定データにおいて行われた。この具体例では、周波数 ドメインと距離ドメインスペクトルの両方が、直接測定された。周波数−空間変 換は、10Hzの周波数間隔および2000Hzの最大高周波数を示すグリッド を使用した。規定パラメーターαの最終値、誤差格付けγc、NgoodおよびNbad は、表2に示される。距離−空間変換は、0.05Åの距離間隔を示すグリッド 、0.5Åの最小グリッドポイントおよび10.45Åでの最大グリッドポイン トを使用した。α、γc、NgoodおよびNbadの最終値も、表2に示される。 最大エントロピーのこの具体例によって測定された2つのスペクトルは、先に 測定されたスペクトルとはそれほど異ならない。周波数−空間および距離−空間 変換の両方については、使用されるアルゴリズムによって必要とされるとおり、 NgoodおよびNbadは合計してデータポイントの総計29になる。他のパラメー ターαおよびγcの値と異なる様に、異なるNgoodおよびNbad差異の正確な値は 、2つの変換の間で異なる。 表2:収束パラメーター値 パラメーター 周波数−空間 距離−空間 6.3.2次元REDORデータ解析 6.1節に収集されたデータは、2次元分析にもかけられた。このデータは、 FIDの長さが、少数の点に切り捨てられる以外は、5.5.1.節の方法によ って処理された。FID切り捨ては、計算時間を単に短くすることによって行わ れた。当業界でよく知られるとおり、より高い点を示すFIDのフーリエ変換が 、スペクトル中の改善されたデジタル分解能を生じる。この増加したデジタル分 解能は、2つまたはそれ以上の化学シフトした観測核がスペクトルに存在する場 合の多くの例で有用である。この実施例のデータで、唯一1つの化学シフトが、 存在し、そして分解能の増加は、不必要である。FIDは、32点に切捨てられ た。 切捨てに続いて、処理は、5.5.1.節によって行われた。FIDは、基準 線補正され、指数およびフーリエ変換で500Hzまで線拡大され、そしてマッ キントッシュのソフトウエア・プログラムRMNで位相させた。スペクトルに唯 −1つの化学シフト共鳴があるので、均一な相殺補正が、32ΔS/S0曲線に 行われた。さらに、REDOR変換前に、フーリエ変換後に生じた化学シフトス ペクトルで32点の各々について、ΔS/S0曲線が生じた。その後、全ての3 2ΔS/S0曲線は、自然の多量なバックグランドについての相殺補正され、Δ S/S0曲線に変換され、そして一次元の場合と同様に3点のブラックマン−ハ リス関数で滑らかにされた。2次元データマトリックスは、32ポイントFID スペクトルが、28S0および28S点ごとに存在する32X56であった。そ の後、これは、マテェマチカファイル2−D−PROCESSにしたがってマテ ェマチカで変換されたREDORであり、7節に含まれる。唯一実際のデータが 変換され、虚部データは、ゼロに設定された。32点化学シフトスペクトルが、 28点双極性結合スペクトルに相関関係がある32X28点データマトリックス が、出力されそしてプロットされた。 図8は、結果として得られた2次元スペクトルの2次元プロットを図示する。 この図において、軸801は、双極子結合周波数であり、軸は観測15N核の化学 シフトである。曲線803は、15Nの化学シフトスペクトルである。曲線804 は15Nの双極子結合周波数である。スペクトルピーク805および806は、双 極子結合に対する2次元相関化学シフトを示す。 6.4. 試料の標識 これまでに記載した実施例に使用した標識付けられたペプチドは、Cys−A sn−Thr−Leu−Lys(15N,2−13C)Gly−Asp−Cys−G ly−mBHA樹脂、およびCys−Asn−Thr−Leu−(15N,1−13 C)Gly−Asp−Cys−Gly−mBHA樹脂で、ここで、グリシン結合 剤は関心のあるペプチドをmBHA樹脂に結合した。 これらのペプチド樹脂は、tBOCとFMOCの化学的性質の組合わせを使用 した、p−メチルベンズヒドリルアミン(mBHA)樹脂上での固相合成により 合成した。メチルベンズヒドリルアミン樹脂(基材、0.1meq /g)は、アドバンスド ケム テック(Advanced Chem Tech)(ケンタッキー州 レイスビル)社から購入した。FMOC(15N,2−13C)GlyおよびFMO C(15N,1−13C)Glyは、HCl,(15N,2−13C)Gly、(15N, 1−13C)Gly(イソテック社(Isotec Inc.)、オハイオ州ミアミスバーグ) から調製し、FMOC−OSu、tBOC−Gly、(Trt)、FMOC−As p(OtBu)、FMOC−Lys(tBOc)、FMOC−Leu、FMOC−T hr(OtBu)、FMOC−AsnおよびtBOC−Cys(Acm)は、バケ ム(Bachem)(カリフォルニア州トランス)から購入した。試薬用の溶媒はフィッ シャーサイエンティフィック(Fisher Scientific)社から購入し、ジイソプロ ピルカスボジイミド(DIC)、トリフルオロ酢酸(TFA)およびジイソプロピ ルエチルアミン(DIEA)は、ケム インペックス(Chem Impex)(イリノイ州 ウッドダーレ)社から購入した。窒素、HFは、エアープロダクツ(Air P roducts)(カリフォルニア州サンジエゴ)から購入した。 第1のステップは、tBOC−Cys(ACM)−Asn−Thr(OtBu )−Leu−Lys(tBOC)Gly−Asp(OtBu)−Cys(Trt )−Gly−mBHA樹脂の合成であった。1.11g(0.11meq)のm BHA樹脂を塩化メチレン(CH2Cl2)[「DCM」]と共に、150mlの反応 容器(底部にガラスフィルターが配置される)に入れ、樹脂を膨潤させるために 、窒素を徐々に通気して気泡を形成させながら、15分間撹拌した。溶媒を吸引 し、樹脂を5%DIEAのDCM溶液で中和した(3×2分)。DCMで洗浄後、 DCM中で、樹脂をtBOC−Gly(0.280g−1.6meq−4倍過剰 量−0.1M)およびDIC(0.25ml−1.6meq−4倍過剰量−0. 1M)と結合させた。結合が終了したかどうかは、ニンヒドリン試験でチェック した。洗浄後、tBOC保護基を離脱するために、樹脂を55%TFAのDCM 溶液中で30分攪拌した。次いで、樹脂を5%DIEAのDCM溶液で中和し、 DCM/DMF(50/50中)中で、FMOC−Cys(Trt)(0.937 g−1.6meq−4倍過剰量−0.1M)およびDIC(0.25ml−1. 6meq−4倍過剰量−0.1M)と結合させた。洗浄後、樹脂をFMOC基を 離脱するために、20%ピペリジンのDMF溶液とともに撹拌した。洗浄後、同 じ サイクルをFMOC−Asp(OtBu)、FMOC(15N,2−13C)Glyま たはFMOC(15N,1−13C)Gly(2倍過剰量)、FMOC−Lys(tB OC)、FMOC−Leu、FMOC−Thr(OtBu)、FMOC−Asnお よびtBOC−Cys(Acm)を用いて繰り返し実施した。最後の結合後、t BOC基はペプチド上に残った。DCMを用いて樹脂を十分に洗浄し、窒素気流 下で乾燥した。収量は1.49g(予想値:−1.7g)。 次のステップは、tBOC−Cys−Asn−Thr(OtBu)−Leu− Lys(tBOC)−Gly−Asp(OtBu)−Cys−Gly−mBHA 樹脂の環化であった。保護基つきのペプチド樹脂の600mgをポリプロピレン メッシュパケット内に入れて封をした。樹脂を膨潤させるために、バッグを溶媒 混合物(DCM/メタノール/水−640/280/47)中で振とうした。次い で、同じ溶媒混合物中にヨウ素を添加した溶液(0.4mgI2/溶媒混合物1 ml)の100ml中で20分振とうした。この操作を4回実施した。3回めの 後には脱色は観察されなかった。次いで、樹脂を、DCM、DMF、DCMおよ びメタノールで順に十分に洗浄した。 最後のステップは、Cys−Asn−Thr−Leu−Lys−Gly−As p−Cys−Gly−mBHA樹脂の側鎖の保護基の離脱であった。環化後に、 ポリプロピレンバッグ中の樹脂をTFA/p−クレゾール/水(95/2.5/ 2.5)の混合液100mlと1時間反応させた。DCMおよびメタノールで洗 浄した後に、樹脂を真空下で48時間乾燥した。収量は560mgであった。 合成用樹脂からの切断後の純度とジスルフィド架橋の存在について、得られた ペプチドを分析した。樹脂からペプチドを切断するために、40mgの樹脂をポ リプロピレンメッシュパケットに入れて封をし、アニソールの存在下において、 0℃で、1時間HFで処理した(HF/アニソール:90/10)。冷却したエ チルエーテルで、スキャベンジャーと副産物を樹脂から抽出した。ペプチドを1 0%酢酸で抽出し、36時間凍結乾燥した。乾燥したペプチド単離体は、PDM S(マススペクトログラフィー)およびHPLC(高速液体クロマトグラフィー )で特徴づけた。この分析は、製造されたペプチドの95%以上が適切なアミノ 酸配列であり、ジスルフィドループを有 し、分子間ジスルフィド2量体が存在しないことを明らかにした。 7. コンピュータプログラムコード 本節は、本発明の方法の実行を含む。7.1節は、本発明の双極子デフェージ ングスペクトル変換の最大エントロピーの態様をC言語のプログラムとして実行 することを含む。7.2節は、本発明の双極子デフェージングスペクトル変換態 様のREDOR変換を数学的な言語のプログラムとしてで実行することを含む。 後者の節は、式29のREDORカーネル値の表を作成するため、および2次元 変換のために、1次元REDOR変換のための別のプログラムを含む。 このコードは、これらの言語を有し、適度な性能を有するいかなるコンピュー タにおいても実行することができる。このようなコンピュータには、登録商標パ ワーピーシー(PowerPCTM)によるマッキントッシュ型コンピュータおよ び登録商標ペンチアム(PentiumTM)によるPC型コンピュータが含まれ る。 7.1.最大エントロピー態様 8.特定の態様、参考文献の引用 本発明は、本明細書に記載する特定の態様によって請求の範囲が制約されるべ きではない。実際、本明細書に記載するものに加えて、本明細書に種々の修正を 加えられることは、上記の説明および添付の図面により、当業者にあきらかにな るだろう。このような修正は、添付の請求の範囲の範囲内にあることが意図され る。 種々の報告が本明細書に引用されており、その記載内容は全体として参考とし て本明細書に組み入れられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU, CZ,EE,GE,GH,HU,IL,IS,JP,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LT,LV ,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL, RO,RU,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,T T,UA,UZ,VN,YU (72)発明者 ウェント,グレゴリー,ティー. アメリカ合衆国 06443 コネチカット州, マディソン,スコットランド アベニュー 25

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. それぞれが第一部位および第二部位を含む部位の対を1対以上含む、1種 類またはそれ以上の分子を含むサンプルにおける、それぞれ該第一部位と該第二 部位との間である一つまたはそれ以上の距離を決定する方法であって、 (a)NMR活性核から時間−ドメインデータを生成し、ここで、該一つ以上 の部位の対の各対は、第一のNMR活性核が占める該第一部位、および第二のN MR活性部位が占める該第二部位を有し、該第一NMR活性核が、該生成する段 階で観測され、そして該第一および第二活性核は、該第一部位と第二部位との間 の距離に応答する双極子カップリング周波数(dipolarcoupling frequency)によ って特徴づけられる双極子カップリングを有し、かつ該時間−ドメインデータは 、少なくとも一つの第一時間次元に沿って、該1対またはそれ以上の対のそれぞ れの該双極子カップリングに応答する段階と; (b)スペクトルドメインデータを得るように該NMR時間−ドメインデータ を解析して、該一つ以上の部位の対での該第一核と第二核との間の該双極子カッ プリングを特徴づける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリング周波数を特 定する、該第一時間次元沿いの該時間−ドメインデータに最大エントロピー変換 を適用することを含む段階と を含む方法。 2.該1種類またはそれ以上の分子のうち1種類もしくはそれ以上が、ペプチド である請求項1記載の方法。 3.該1種類またはそれ以上の分子のうち一つもしくはそれ以上を、1種類また はそれ以上の標的化合物に結合する請求項1記載の方法。 4.該一つ以上の部位の対が、複数部位の対であり、該一つまたはそれ以上の双 極子カップリング周波数が、複数の双極子カップリング周波数である請求項1記 載の方法。 5.該生成する段階の前に、該一つ以上の部位の対のそれぞれを該NMR活性核 で標識し、それによって該部位の各対が、該第一および第二NMR活性核に占め られるようになる段階をさらに含む請求項1記載の方法。 6.該第二NMR活性核が、化学シフトを有し、該生成する段階が、該一つ 以上の部位の対の該第二部位で、少なくとも一つの第二時間次元に沿って該第二 NMR活性核の該化学シフトにさらに応答するNMR時間−ドメインデータを生 成し、そして該解析する段階が、該双極子カップリング周波数のそれぞれに対し て、この双極子カップリング周波数を有する該第二NMR活性核のそれぞれの該 一つまたはそれ以上の化学シフトをさらに特定する請求項1記載の方法。 7.該部位の対のうち1対またはそれ以上が、同じ同位元素種の該第一および第 二NMR活性核を有する請求項1記載の方法。 8.それぞれが第一部位および第二部位を含む部位の対を1対以上含む、1種類 またはそれ以上の分子を含むサンプルにおける、それぞれ該第一部位と該第二部 位との間である、一つまたはそれ以上の距離を決定する方法であって、 (a)該1種類またはそれ以上の分子のうち1種類もしくはそれ以上を、1種 類またはそれ以上の標的化合物に結合する段階と; (b)NMR活性核から時間−ドメインデータを生成し、ここで、該一つ以上 の部位の対の各対は、第一のNMR活性核が占める該第一部位、および第二のN MR活性部位が占める該第二部位を有し、該第一NMR活性核が、該生成する段 階で観測され、そして該第一および第二活性核は、該第一部位と第二部位との間 の距離に応答する双極子カップリング周波数によって特徴づけられる双極子カッ プリングを有し、かつ該時間−ドメインデータは、少なくとも一つの第一時間次 元に沿って、該1対またはそれ以上の対のそれぞれの双極子カップリングに応答 する段階と; (c)スペクトルドメインデータを得るように該NMR時間−ドメインデータ を解析して、該一つ以上の部位の対での該第一の核と第二の核との間の該双極子 カップリングを特徴づける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリング周波数 を特定する、該第一時間次元沿いの該時間−ドメインデータにREDOR変換を 適用することを含む段階と を含む方法。 9.それぞれが第一部位および第二部位を含む部位の対を1対以上含む、1種類 またはそれ以上のペプチドを含むサンプルにおける、それぞれ該第一部位と第二 部位との間である一つまたはそれ以上の距離を決定する方法であ って、 (a)NMR活性核から時間−ドメインデータを生成し、ここで、該一つ以上 の部位の対の各対は、第一のNMR活性核が占める該第一部位、および第二のN MR活性部位が占める該第二部位を有し、該第一NMR活性核が、該生成する段 階で観測され、そして該第一および第二NMR活性核は、該第一部位と第二部位 との間の距離に応答する双極子カップリング周波数によって特徴づけられる双極 子カップリングを有し、かつ該時間−ドメインデータは、少なくとも一つの第一 時間次元に沿って、該1対またはそれ以上の対のそれぞれの双極子カップリング に応答する段階と; (b)スペクトルドメインデータを得るように該NMR時間−ドメインデータ を解析して、該一つ以上の部位の対での該第一核と第二核との間の該双極子カッ プリングを特徴づける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリング周波数を特 定する、該第一時間次元沿いの該時間−ドメインデータにREDOR変換を適用 することを含む段階と を含む方法。 10.該一つ以上の部位の対が、複数対の部位であり、該一つまたはそれ以上の 双極子カップリング周波数が、複数の双極子カップリング周波数である請求項9 記載の方法。 11.それぞれ第一部位および第二部位を含む複数対の部位を含む、1種類また はそれ以上の分子を含むサンプルにおける、それぞれ該第一部位と第二部位との 間である、複数の距離を決定する方法であって、 (a)NMR活性核からNMR時間−ドメインデータを生成するが、ここで、 該一つ以上の部位の対の各対は、第一のNMR活性核が占める該第一部位、およ び第二のNMR活性部位が占める該第二部位を有し、該第一NMR活性核が、該 生成する段階で観測され、そして該第一および第二活性核は、該第一部位と第二 部位との間の距離に応答する双極子カップリング周波数によって特徴づけられる 双極子カップリングを有し、かつ該時間−ドメインデータは、少なくとも一つの 第一時間次元に沿って、該1対またはそれ以上の対のそれぞれの双極子カップリ ングに応答する段階と; (b)スペクトルドメインデータを得るように該NMR時間−ドメインデータ を解析して、該一つ以上の部位の対での該第一の核と第二の核との間の 該双極子カップリングを特徴づける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリン グ周波数を特定する、該第一時間次元沿いの該時間−ドメインデータにREDO R変換を適用することを含む段階と を含む方法。 12.該1種類またはそれ以上の分子のうち1種類もしくはそれ以上が、ペプチ ドである請求項11記載の方法。 13.該生成する段階の前に、該複数対の部位のそれぞれを該NMR活性核で標 識し、それによって該部位の各対が、該第一および第二NMR活性核に占められ るようになる段階をさらに含む請求項11記載の方法。 14.それぞれが第一部位および第二部位を含む部位の対を1対以上含む、1種 類またはそれ以上の分子を含むサンプルにおける、それぞれ該第一部位と該第二 部位との間である、一つまたはそれ以上の距離を決定する方法であって、 (a)NMR活性核から時間−ドメインデータを生成し、ここで、該一つ以上 の部位の対の各対は、第一のNMR活性核が占める該第一部位、および第二のN MR活性部位が占める該第二部位を有し、該第一NMR活性核が、該生成する段 階で観測され、化学シフトを有し、そして該第一および第二NMR活性核は、1 対のNMR活性核を形成し、該第一部位と第二部位との間の距離に応答する双極 子カップリング周波数によって特徴づけられる双極子カップリングを有し、かつ 該時間−ドメインデータは、少なくとも一つの第一時間次元に沿って、該1対ま たはそれ以上の対のそれぞれの双極子カップリングに応答し、少なくとも一つの 第二時間次元に沿って、該1対またはそれ以上のそれぞれの該第一部位で該第一 核の該化学シフトに応答する段階と; (b)スペクトルドメインデータを得るように該NMR時間−ドメインデータ を解析して、該一つ以上の部位の対での該第一核と第二核の間の該双極子カップ リングを特徴づける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリング周波数を特定 し、かつ該双極子カップリング周波数のそれぞれに対して、この双極子カップリ ング周波数を有する該第一核のそれぞれの化学シフトを特定する、該一つまたは それ以上の双極子カップリングに応答する限りでの該第一時間次元、および他の 時間次元沿いの該時間−ドメインデータに双 極子脱位相スペクトル変換を適用することを含む段階と を含む方法。 15.該解析する段階が、該一つまたはそれ以上の化学シフトに応答する限りで の該第二時間次元および他の時間次元沿いの該時間−ドメインデータにフーリエ 変換を適用することをさらに含む請求項14記載の方法。 16.該NMR時間−ドメインデータが、該一つまたはそれ以上の双極子カップ リングに応答する一つの時間次元、および該一つまたはそれ以上の化学シフトに 応答する一つの時間−ドメインを有する請求項14記載の方法。 17.該NMR時間−ドメインデータが、該一つまたはそれ以上の双極子カップ リングに応答する複数の時間次元を有する請求項14記載の方法。 18.該双極子脱位相スペクトル変換が、最大エントロピー変換またはREDO R変換である請求項14記載の方法。 19.該1種類またはそれ以上の分子のうち1種類もしくはそれ以上がペプチド である請求項14記載の方法。 20.該1種類またはそれ以上のペプチドのうち1種類もしくはそれ以上を、1 種類またはそれ以上の標的化合物に結合する請求項19記載の方法。 21.該1種類またはそれ以上の分子のうち1種類もしくはそれ以上を、1種類 またはそれ以上の標的化合物に結合する請求項19記載の方法。 22.該1種類またはそれ以上の分子が、第一分子および第二分子を含み、該一 つまたは対の部位のうち一つまたはそれ以上が、該第一分子に該第一部位、およ び該第二分子に該第二部位を有する請求項14記載の方法。 23.該一つ以上の部位の対が、複数対の部位であり、該一つまたはそれ以上の 双極子カップリングが、複数の双極子カップリングである請求項14記載の方法 。 24.該NMR活性核が、13C、15N、31Pおよび19Fよりなる群から選ばれる 請求項14記載の方法。 25.該部位の対のうち1対またはそれ以上が、同じ同位元素種の該第一および 第二NMR活性核を有する請求項14記載の方法。 26.該生成する段階の前に、該一つ以上の部位の対のそれぞれを該NMR活性 核で標識し、それによって該部位の各対が、該第一および第二NMR活性核に占 められるようになる段階をさらに含む請求項14記載の方法。 27.該標識する段階の後に、該サンプルを形成するために複数の標識分子を混 合する段階をさらに含む請求項26記載の方法。 28.該スペクトルドメインデータを、第一次元沿いの該双極子カップリングの 数値、および第二次元沿いの該化学シフトの数値を有する少なくとも2つの次元 の配置として表示する最終段階をさらに含む請求項14記載の方法。 29.第二組のNMR時間−ドメインデータを生成し、ここで、該第二NMR核 が、該生成する段階で観測され、かつ化学シフトを有する段階と、該第二NMR 活性核からの第二組のスペクトルドメインデータを得るように該第二組のNMR 時間−ドメインデータを解析して、該第二組のスペクトルドメインデータが、該 一つ以上の部位の対の該第一核と第二核との間の該双極子カップリングを特徴づ ける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリング周波数を特定し、かつ該双極 子カップリング周波数のそれぞれについて、その双極子カップリング周波数を有 する該第二NMR活性核の一つまたはそれ以上の化学シフトを特定する段階とを さらに含む請求項14記載の方法。 30.該第二組のNMR時間−ドメインデータを解析する該段階の後に、該第一 NMR活性核からの該スペクトルドメインデータ、および該第二NMR活性核か らの該第二組のスペクトルドメインデータを相関させ、ここで、該相関させるこ とが、該第一核の該化学シフトを、該第一核に双極子カップリングさせた該第二 核の該化学シフトと相関させるように、スペクトルドメインデータを同じ双極子 カップリング周波数と相関させることを含む段階をさらに含む請求項29記載の 方法。 31.該第二NMR活性核が、該一つ以上の部位の対のそれぞれの該第二部位で 化学シフトを有し、ここで、該生成する段階は、少なくとも第3の時間次元沿い に、該一つ以上の部位の対のそれぞれの第二部位での該第二NMR活性核の該化 学シフトにさらに応答するNMR時間−ドメインデータを生成し、そして該解析 する段階は、該双極子カップリング周波数のそれぞれについて、その双極子カッ プリング周波数を有する該第二核の一つまたはそれ以上の化学シフトをさらに特 定する請求項14記載の方法。 32.該NMR時間−ドメインデータが、該NMR活性核の該一つまたはそ れ以上の化学シフトに応答する三つもしくはそれ以上の時間次元を有する請求項 31記載の方法。 33.該解析する段階の後に、該スペクトルドメインデータを、該双極子カップ リングの数値を第一次元沿いに、該観測された核のそれぞれの該化学シフトの数 値を第二次元沿いに、かつその他の核のそれぞれの該化学シフトの数値を第三次 元沿いに有する三次元透視配置として表示する段階をさらに含む請求項31記載 の方法。 34.該生成する段階が、サンプルをマジック角で回転させる段階、および該第 一部位で該第一NMR活性核に対する磁化を生成する1シーケンスのゼロまたは それ以上の高周波(RF)パルスを該NMR活性核の周波数チャンネルで適用し 、自由誘導減衰(FID)シグナルとして該磁化を観測して、該NMR時間−ド メインデータを生成する段階をさらに含む請求項14記載の方法。 35.該1シーケンスのRFパルスを適用する段階が、第一のRFパルスのサブ シーケンスを第一時間隔にわたって適用し、第二のRFパルスのサブシーケンス を適用する段階をさらに含み、ここで、該NMR活性核の該各対に対する該第一 RFパルスサブシーケンスは、ある量の双極子カップリングを該第一時間隔に応 答する磁化に導入し、該第二RFパルスサブシーケンスは、測定できる該FID シグナルを第二時間隔内に生成し、ここで、該FIDシグナルは、該第一RFパ ルスサブシーケンスが導入する双極子カップリング相互作用の量と、該第一NM R活性核のそれぞれの該化学シフトとの双方に応答し、かつ該第一および該第二 時間隔は、独立に変動できる請求項34記載の方法。 36.それに沿って該NMR時間−ドメインデータが該複数の双極子カップリン グに応答する、該少なくとも一つの時間次元が、該第一時間隔の変動の結果とし て生じ、それに沿って該NMR時間−ドメインデータが該観測された核の該一つ またはそれ以上の化学シフトに応答する、該少なくとも一つの時間次元が、該第 二時間隔の変動の結果として生じる請求項35記載の方法。 37.該第一RFパルスサブシーケンスが、REDORパルスシーケンスであり 、ここで、該REDORパルスのサブシーケンスは、第一および第二の形態で適 用され、該第一形態は、該第二部位の該第二NMR活性核の該周波 数チャンネルでのパルスを全く保有せず、該第二形態は、該第二部位の該第二N MR活性核の該周波数チャンネルでのパルスを適用する請求項35記載の方法。 38.該第一RFパルスサブシーケンスが、ある量の双極子カップリングを、R EDORパルスシーケンスに対してと同じ形態の応答性で該第一時間隔に応答す る該磁化に導入する請求項35記載の方法。 39.該第一RFパルスサブシーケンスが、TEDORパルスシーケンスであり 、ここで、該TEDORパルスのサブシーケンスは、第一のサブ第一時間隔およ び第二のサブ第一時間隔を有し、該第一サブ第一時間隔の際に、該第一部位でパ ルスを該第一核の該周波数チャンネルに適用し、該第二サブ第一時間隔の際に、 該第二部位でパルスを該第二核の該周波数チャンネルに適用する請求項35記載 の方法。 40.該TEDORパルスシーケンスが、該第一サブ第一時間隔内および該第二 サブ第一時間隔内にともに形成される同時増分によって該第一時間隔が変動する 、対称TEDORパルスシーケンスである請求項39記載の方法。 41.該一つ以上の部位の対の該第一および第二の核が、同じ同位元素種のもの であり、該第一RFパルスサブシーケンスが、等核DRAMAパルスシーケンス である請求項35記載の方法。 42.該RFパルスシーケンスを適用する段階が、第三の時間隔にわたって第三 のRFパルスサブシーケンスを適用する段階をさらに含み、ここで、該第三RF パルスシーケンスは、該第二部位の該第二核の、該第三時間隔に応答する量の該 化学シフト相互作用を該磁化に導入し、該FIDシグナルが、該第二部位の該第 二核の化学シフト相互作用の該量にさらに応答し、該第三時間隔は、該第一およ び該第二時間隔とは独立に変動することができる請求項31および35記載の方 法。 43.それに沿って該NMR時間−ドメインデータが該第二部位の該第二核の該 一つまたはそれ以上の化学シフトに応答する、該少なくとも一つの第三の時間次 元が、該第三時間隔の変動の結果として生じる請求項42記載の方法。 44.該第三RFパルスサブシーケンスが、該第三時間隔の間に該第二NMR活 性核のそれぞれに磁化を移転し、該一つ以上の部位の対のうちの該第二 部位で該磁化が該第二NMR活性核の該化学シフトと作用し合うことを可能にす る請求項42記載の方法。 45.最大エントロピー変換に従って、サンプルから、該サンプル中の1対また はそれ以上のNMR活性核の間の一つもしくはそれ以上の双極子カップリングに 応答する、少なくとも1次元の時間の変数を有する実験的NMR時間−ドメイン データの値から予測されるスペクトルドメインデータの値を決定する方法であっ て、 (a)デフォールトスペクトルドメインデータの値を、求積手法(quadrature technique)のための基底関数の係数Mとして選ぶ段階と; (b)規則化パラメータαに対する値を決定する段階と; (c)式αE−χ2/2[式中、Eは、該デフォールトスペクトルドメインデ ータ値についての該予測スペクトルドメインデータ値のエントロピーであり、χ2 は、該時間−ドメインデータ値と、該予測スペクトルドメインデータから決定 された時間−ドメインデータ値との間の、実験誤差の推計によって正規化された 差の尺度となる]を最大化するような値として、該求積手法のための基底関数の 係数Mとしての該予測スペクトルドメインデータ値を決定する段階と を含む方法。 46.時間−ドメインデータ値を、予め特定された方法に従ってスペクトルドメ インデータ値から決定する請求項45記載の方法。 47.該スペクトルドメインデータ値が、双極子カップリング周波数ドメインで あるか、または核間距離ドメインである請求項45記載の方法。 48.該時間−ドメインデータ値が、NMRの実験から直接決定されたとおりで ある請求項45記載の方法。 49.該Mが、150より大である請求項45記載の方法。 50.該求積手法のための該基底関数が、該スペクトルドメイン内の間隔を置い た点にピークを有するデルタ関数であり、そのために該求積手法が、該間隔を置 いた点の格子における関数を表わす請求項45記載の方法。 51.該エントロピーEが、該点の格子で該求積手法によって値を求められる限 りでの式(37): [式中、M()は、該予測スペクトルドメインデータ値であり、m()は、該デ フォールトスペクトルドメインデータ値である] によって与えられる請求項45記載の方法。 52.該尺度χ2が、式: [式中、N+1は、該時間−ドメインデータ値の数であり、Siは、該時間−ド メインデータ値であり、S'iは、該予測時間−ドメインデータ値であり、σiは 、該時間−ドメインデータ値の実験誤差の推定値である] によって与えられる請求項45記載の方法。 53.該規則化パラメータαが、式: [式中、値λjは、式: によって与えられる(M+1)x(M+1)の行列Cの固有値である] によって与えられる請求項45記載の方法。 54.該スペクトルドメインデータ値を最大化によって決定する段階が、Davido n-Fletcher-Powell法またはBroydon-Fletcher-Goldfarb-Shanno法に従って最大 化する段階をさらに含む請求項45記載の方法。 55.該規則化パラメータに対する値を決定する段階が、値1を決定する請求項 45記載の方法。 56.該規則化パラメータに対する値を決定する段階が、該規則化パラメータに 対する最尤値を決定する請求項45記載の方法。 57.該規則化パラメータに対する最尤値を決定する段階が、 (a)該規則化パラメータαに対する現行値を初期値に設定する段階と; (b)該点の格子での中間的なスペクトルドメインデータ値を、αが該規則化 パラメータの該現行値である式αE−χ2/2を最大化するような値として決定 する段階と; (c)値λjを、該中間的スペクトルドメインデータ値を用いて求められる限 りでの式: によって与えられる(M+1)x(M+1)の行列Cの固有値であるとして決定 する段階と; (d)該規則化パラメータの新たな値α’を、式: を解くことによって決定する段階と; (e)該規則化パラメータの該現行値を、該規則化パラメータの該新たな値で あるとして設定し、該規則化パラメータの該新たな値が、該現行値に応答する変 換基準を満足するまで、該決定する段階を反復する段階と をさらに含む請求項56記載の方法。 58.該予測スペクトルドメインデータを決定する段階の前に、該実験誤差推定 値に対して、スケーリングパラメータγσについて最適化された値を決定する段 階をさらに含む請求項45記載の方法。 59.該スケーリングパラメータγσについて最適化された値を決定する段階、 ならびに該規則化パラメータαに対する該最尤値を決定する段階が、二つの式: および [式中、N+1は、該時間−ドメインデータ値の数であり、値λjは、式: によって与えられる(M+1)×(M+1)の行列Cの固有値である] の解として該γσおよび該αを決定することをさらに含む請求項58記載の方法 。 60.該スケーリングパラメータγσが、0.3<γσ<3であるように決定さ れるならば、該実験誤差推定値が信頼できる請求項58記載の方法。 61.該スケーリングパラメータγσが、9<γσまたはγσ<0.1であるよ うに決定されるならば、該実験誤差推定値は信頼できない請求項58記載の方法 。 62.サンプルから生成され、時間変数の二つまたはそれ以上の、その少なくと も一つが該サンプル中のNMR活性核の一つまたはそれ以上の対の間の一つもし くはそれ以上の双極子カップリングに応答する次元を有し、そして該双極子カッ プリングを特徴づけるスペクトルドメインデータから、式: [式中、M(D)は、該スペクトルドメインデータ値であり、S(t)は、該時 間−ドメインデータ値であり、K(t,D)は、式: によって示される] の数値を求める手法によって決定できる、NMR時間−ドメインデータ値をRE DOR変換に従って解析する方法であって、 該時間−ドメインデータ値での求積手法に従って、式: [式中、K(t,D)は、予測スペクトルドメインデータ値M(D)を該時間− ドメインデータ値から求めるための式: によって与えられる] の数値を求める段階を含む方法。 63.該1対またはそれ以上のNMR活性核を標識化によって該サンプルに導入 し、かつ数値を求める段階の前に、該時間−ドメインデータ値を補正し て、該サンプル中に存在する該NMR活性核の効果を、該標識化をせずに、かつ それらの自然界での豊富さにおいて排除する段階をさらに含む請求項62記載の 方法。 64.数値を求める段階の前に、該時間−ドメインデータ値を平滑化して、該時 間−ドメインデータ値中のノイズによる該予測スペクトルドメインデータ値中の 人為産物を排除する段階をさらに含む請求項62記載の方法。 65.該平滑化を、三点Blackman-Harris関数、指数線拡張関数、Hammingの窓関 数、およびKaiserの窓関数の群から選ばれる平滑化関数に従って実施する請求項 64記載の方法。 66.S(t)/S0(t)という形態のREDOR時間−ドメインデータ値で ある該NMR時間−ドメインデータ点を、サブシーケンスとしてREDORパル スシーケンスを含む高周波(「RF」)パルスシーケンスを該NMR活性核の周 波数帯に適用することによって生成する請求項62記載の方法。 67.該NMR時間−ドメインデータ点を、サブシーケンスとして対称TEDO Rパルスシーケンスを含む高周波(「RF」)パルスシーケンスを該NMR活性 核の周波数帯に適用することによって生成する請求項62記載の方法。 68.最大エントロピー変換に従ってサンプルから、該サンプル中の1対または それ以上のNMR活性核の間の一つもしくはそれ以上の双極子カップリングに応 答する、少なくとも1つの次元の時間の変数を有する実験的NMR時間−ドメイ ンデータの値から予測されるスペクトルドメインデータ値M()を見出す装置で あって、 (a)デフォールトスペクトルドメインデータの値m()を、該スペクトルド メインでの求積手法のための基底関数の係数Mとして選ぶ手段と; (b)規則化パラメータαに対する値を決定する手段と; (c)Davidon-Fletcher-Powell法に従って式αE−χ2/2を最大化するよう な値として、該求積手法のための基底関数の係数Mとしての該予測スペクトルド メインデータ値を決定し、ここで、(1)Eは、該デフォールトスペクトルドメ インデータ値についての該予測スペクトルドメインデータ値のエントロピーであ り、該点の格子で求積手法によって求められる限りでの式(50): によって与えられ、(2)χ2は、該時間−ドメインデータ値Siと、特定された 手法に従って該予測スペクトルドメインデータ値M()から決定され、式: [式中、N+1は、該時間−ドメインデータ値の数である] によって与えられる、時間−ドメインデータ値S'iとの間の、実験誤差の推定値 σiによって正規化された差の尺度となる手段と を含む装置。 69.該規則化パラメータに対する最尤値を決定する手段が、 (a)該規則化パラメータαに対する現行値を初期値に設定する手段と; (b)該点の格子での中間的なスペクトルドメインデータ値を、αが該規則化 パラメータの該現行値である式αE−χ2/2を最大化するような値として決定す る手段と; (c)Jacobi法に従って、値λjを、該中間的スペクトルドメインデータ値を 用いて求められる限りでの式: によって与えられる(M+1)×(M+1)の行列Cの固有値であるとして決定 する手段と; (d)該規則化パラメータの新たな値α’を、式: を解くことによって決定する手段と; (e)該規則化パラメータの該現行値を、該規則化パラメータの該新たな値で あるとして設定し、該規則化パラメータの該新たな値が、該現行値に応答する変 換基準を満たすまで、該決定する段階を反復する手段と をさらに含む請求項68記載の装置。 70.該規則化パラメータαに対する最尤値を決定する手段が、スケーリン グパラメータγσに対する最適化された値を決定する手段をさらに含み、ここで 、該規則化パラメータαおよびスケーリングパラメータγσを、二つの式: および[式中、N+1は、該時間−ドメインデータ値の数であり、値λjは、式: によって与えられる(M+1)×(M+1)の行列Cの固有値である] の解によって決定する請求項68記載の装置。 71.NMR時間−ドメインデータ値をREDOR変換に従って解析して、予測 されるスペクトルドメインデータ値を決定する装置であって、 (a)サンプルから、時間変数の二つまたはそれ以上の、その少なくとも一つ が該サンプル中のNMR活性核の1対またはそれ以上の間の一つもしくはそれ以 上の双極子カップリングに応答する、次元を有し、そして該双極子カップリング を特徴づけるスペクトルドメインデータから、式: [式中、M(D)は、該スペクトルドメインデータ値であり、S(t)は、該時 間−ドメインデータ値であり、K(t,D)は、式: によって示される] の数値を求める手法によって決定できる、該時間−ドメインデータ値を生成する 手段と; (b)該時間−ドメインデータ値での求積手法に従って、式: の数値を求める手段と を含み、そしてK(t,D)が、式:によって与えられる装置。 72.該生成する手段が、サブシーケンスとしてREDORパルスシーケンスを 含む高周波(「RF」)パルスシーケンスを該NMR活性核の周波数帯に適用す る手段をさらに含み、該時間−ドメインデータ値が、S(t)/S0(t)とい う形態のREDOR時間−ドメインデータ値である請求項71記載の装置。 73.該生成する手段が、サブシーケンスとして対称TEDORパルスシーケン スを含む高周波(「RF」)パルスシーケンスを該NMR活性核の周波数帯に適 用する手段をさらに含む請求項71記載の装置。 74.それぞれが第一部位および第二部位を含む部位の対を1対以上含む、1種 類またはそれ以上のペプチドを含むサンプルにおける、それぞれ該第一部位と該 第二部位との間である、一つまたはそれ以上の距離を決定する方法であって、 (a)該一つ以上の部位の対のそれぞれを該NMR活性核で標識し、それによ って該部位の対のそれぞれが、該第一および該第二のNMR活性核によって占め られるようになる段階と; (b)NMR活性核からNMR時間−ドメインデータを生成し、ここで、該一 つ以上の部位の対の各対は、第一のNMR活性核が占める該第一部位、および第 二のNMR活性部位が占める該第二部位を有し、該第一NMR活性核が、該生成 する段階で観測され、化学シフトを有し、そして該第一および第二NMR活性核 は、該第一部位と第二部位との間の距離に応答する双極子カップリング周波数に よって特徴づけられる双極子カップリングを有し、かつ該時間−ドメインデータ は、少なくとも一つの第一時間次元に沿って、該1対またはそれ以上の対のそれ ぞれの双極子カップリングに応答し、少なくとも一つの第二時間次元に沿って、 該1対またはそれ以上のそれぞれの該第 一部位で該第一核の該化学シフトに応答する段階と; (c)スペクトルドメインデータを得るように該NMR時間−ドメインデータ を解析して、該一つ以上の部位の対での該第一核と第二核の間の該双極子カップ リングを特徴づける該一つもしくはそれ以上の双極子カップリング周波数を特定 し、かつ該双極子カップリング周波数のそれぞれに対して、この双極子カップリ ング周波数を有する該第一核のそれぞれの一つまたはそれ以上の化学シフトを特 定する、該一つもしくはそれ以上の双極子カップリングに応答する限りでの該第 一時間次元、および他の時間次元沿いの該時間−ドメインデータに双極子脱位相 スペクトル変換を適用することを含む段階と を含む方法。 75.該標識する段階が、該NMR活性核で標識したアミノ酸からの1種類また はそれ以上のペプチドを合成する段階をさらに含む請求項74記載の方法。 76.該合成を合成樹脂上で実施し、該ペプチドを、該合成樹脂上の部位に付着 させて合成する請求項75記載の方法。 77.該合成を、tB0CまたはFMOCの化学のプロトコルに従って実施する 請求項75記載の方法。 78.該1種類またはそれ以上のペプチドのうち1種類もしくはそれ以上が、1 種類またはそれ以上の標的タンパク質に結合する請求項74記載の方法。 79.該標識する段階の後に、1種類またはそれ以上の標的タンパク質に結合す る該1種類またはそれ以上のペプチドのうちの該1種類もしくはそれ以上を、該 1種類またはそれ以上の標的タンパク質に結合する段階をさらに含む請求項78 記載の方法。 80.該結合する段階の前に、該標的タンパク質をコードする1種類またはそれ 以上のcDNAから該1種類もしくはそれ以上の標的タンパク質を合成する段階 をさらに含む請求項78記載の方法。 81.該1種類またはそれ以上の標的タンパク質の該合成が、該1種類またはそ れ以上の標的タンパク質を、ピキア・パストリスPichia pastorisの発現系また は大腸菌E.coli中でグルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質と して発現させる段階を含む請求項80記載の方法。 82.該標識する段階が、異なる対の部位の該第一および第二部位を占めるNM R活性核の間の双極子カップリングを最小化するように、該一つ以上の部位の対 を選ぶ段階を含む請求項74記載の方法。 83.該1種類またはそれ以上のペプチドのうち該1種類もしくはそれ以上が、 構造上特に問題とされる領域を有し、該一つ以上の部位の対を、該特に問題とさ れる領域の付近で選ぶ請求項74記載の方法。 84.該標識する段階が、骨格標識または側鎖標識による標識化を含む請求項7 4記載の方法。 85.該サンプルが、該1種類またはそれ以上の標識ペプチドを、該NMR活性 核間の分子間双極子カップリングの強さを、該一つ以上の部位の対での該1対も しくはそれ以上のNMR活性核の間の該分子内双極子カップリングの強さの5% 未満にまで、該NMR活性核間の分子間双極子カップリングの強さを最小化する 濃度で含有する請求項74記載の方法。 86.請求項45の方法を実施するための指示を含むコンピュータ可読媒体。 87.請求項62の方法を実施するための指示を含むコンピュータ可読媒体。
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