【発明の詳細な説明】
アドレスシステムを具えた画像表示装置
本発明は、透明フェースプレート及び発光画素のパターンを有する表示スクリ
ーンと、大きな平面電子放出源を具える後壁とが設けられた真空容器を有し、前
記大きな平面電子放出源とフェースプレートとの間に、所望の画素をアドレスす
るアドレスシステムが配置され、前記アドレスシステムが予選択システム及び精
選択システムを具えるとともに、両選択システムの間に位置する中間スペーサを
具え、該スペーサが予選択システムに隣接して、電子通過孔が設けられた絶縁材
料の第1有孔中間板を具えている画像表示装置に関するものである。
上述の表示装置は薄いパネル形にすることができ、その一例がUS5,497
,046に開示されている。薄いパネル形の表示装置は、透明フェースプレート
と、それから小間隔の位置に配置されたリアプレートとを有するとともに、フェ
ースプレートの内面上に蛍光体ドットの(例えば6角形)パターンが設けられて
いる装置である。(ビデオ情報で制御された)電子が発光スクリーン上に衝突す
ると、可視像が形成され、これをフェースプレートの前方から見ることができる
。フェースプレートは平面にすることができ、また必要に応じ曲面(例えば球面
又は円筒面)にすることかできる。
US5,497,046も開示されている表示装置は、大きな平面電子放出源
として、複数の並置された電子放出源と、これらの電子放出源と協働し、放出電
子を伝播するのに好適な二次電子放出係数を有する高オームのほぼ絶縁材料の壁
を有する局部電子伝播手段とを具え、更に行ごとに駆動され、発光スクリーンに
対面する所定の抽出位置において伝播手段から電子を抽出する電極(選択電極)
を具えるアドレスシステムと、抽出した電子を発光スクリーンの画素に指向させ
て画素からなる画像を発生させる手段とを具えている。
US5,497,046に開示された画像表示装置の動作は、電子が高オーム
のほぼ絶縁材料(例えばガラス又は合成樹脂材料)の壁に衝突するとき、この壁
の所定の長さに亘って十分な強さの電界を(壁の両端間に電位差を印加すること
により)発生させれば、電子の伝播が可能になるという認識に基づいている。衝
突電子は壁との相互作用により二次電子を発生し、これらの電子が壁の他の個所
に引き付けられ、次いで再び壁との相互作用により二次電子を発生し、以下同様
にして伝播する。
上述の原理から出発して、薄いパネル形画像表示装置は、伝播ダクトを構成す
る複数の並置された“隔室”の各々に、表示スクリーンに面する側に抽出孔の列
を設けることにより実現することができる。抽出孔はダクトを横切って延在する
“水平”ラインに沿って配置するのが実際的である。行に配列された選択電極を
抽出孔の配列に付加することによりアドレス手段を構成し、これにより電子を“
隔室”から選択的に抽出し、抽出した電子をスクリーンに指向(及び加速)させ
、画素を活性化させて画素からなる画像を発生させることができる。
US5,497,046には特に多段アドレスシステム(又は選択システム)
が開示されている。画素数より少数の予選択抽出位置と、これに直接又は間接的
に付加された、画素数に対応する数の(精)選択孔とを有する多段選択システム
は、例えば抽出効率及び/又は接続/ドライバの所要数について利点をもたらす
。予選択電極のパターンを予選択抽出位置を駆動するために使用し、精選択電極
を(精)選択孔を駆動するために使用する。
1つの重要な構成素子、即ちスクリーンスペーサが発光スクリーンに隣接する
。
スクリーンスペーサは精選択電極と発光スクリーンとの間に配置される。発光
材料(蛍光体)の効率及び飽和特性のために、スクリーンと精選択電極との間の
電圧をできるだけ高くするのが重要である。使用する蛍光体に応じて、3kV又
は多くの場合5kVが最低要件ある。
精選択板、スクリーンスペーサ及びフェースプレートは絶縁材料、特にガラス
からなる。例えばニッケルのパターン化した金属層を精選択板上に設ける。例え
ばITOの低オーム性透明導電層をフェースプレート上に設ける。発光材料及び
(できれば)黒マトリクスをこの層の上に設ける。スクリーンスペーサの代表的
厚さは0.3又0.4乃至1.0mmである。中間スペーサという他のスペーサを予選択
システムと精選択システムとの間に配置する。この中間スペーサは電子通過用の
孔が設けられた一つの板又は2つの協働板を具える。上述のタイプの既知の表示
装置においては、多くの場合、電子通過孔を2つの相互接続空洞により構成し、
電子入射側の空洞を電子射出側の空洞より一般に広口にする。
電子伝播ダクトから電子を発光スクリーンへ移送するためには、これらの索子
間に電圧差が必要とされる。このため、動作中は中間スペーサ(その厚さ)の両
端間にも電圧差が存在する。実際上、中間スペーサ又は中間板の電圧安定性が問
題になり、破壊が起こり得る。中間スペーサの使用は特に予選択とその後段の選
択(精選択又はもしあれば前中間選択)との間の(位置依存)電圧差を減少させ
るためである。
本発明の目的は、頭書に記載したタイプの表示装置において中間スペーサをこ
れが完全に又は部分的に破壊されないように実現することにある。
この目的のために、頭書に記載したタイプの表示装置において、第1中間板の
電子通過孔の側壁をせいぜい3.5(特に3以下)の最大二次電子放出係数を有
する被膜で少なくとも部分的に被覆したことを特徴とする。
本発明は、中間スペーサを使用する場合、下接の板の金属パターン(予選択電
極)に近接して位置する電子通過孔の側壁部分上で電界増幅が起こり得るという
認識に基づくものである。この側壁上の電界増幅の結果として、破壊を引き起こ
し得る電界放射が起こる。上述の現象は、少なくとも前記側壁部分上に低い値の
二次電子放出係数を有する材料の被膜を設けることにより阻止することができる
。側壁及び底壁を有するとともに底壁に小さな孔を有するタイプの孔を有する慣
例の中間スペーサにおいては、側壁の被膜を底壁に被覆したくないとき問題を生
ずる。これらの底壁は孔を通過する電子移送に関連して被覆せずに残すのが好ま
しい。
本発明表示装置の好適実施例では、前記孔はテーパーを有し、底のないタイプ
のもの、即ちそれらの側壁が孔の入口から孔の出口まで単調に延在するものとす
る。この場合にはこの問題は起こらない。低いδの材料の懸濁液を用いて中間ス
ペーサを孔の入口側で吹付けることにより、入口側のスペーサ表面及び孔の側壁
の一部分も被覆される。この被膜が十分高い抵抗値(>1010Ω/□)を有する場
合には、この被膜は同時に中間スペーサの電子入射側の高オーム層として機能す
る。この位置のこのような高オーム層は、特に中間板が互いに平らに正確に位置
しないときに利点をもたらす。このように製造した中間スペーサ(1つ又は2つ
の中間板)は極めて高い電圧安定性(代表的には5kV及びそれ以上まで)を有
することが確かめられた。
窒化物、酸化窒化物及び/又は金属酸化物からなる被膜は≦3.5、特に3以下
のδmax値を1010Ω/□以上、特に1012Ω/□以上の抵抗値とともに有し、本発
明の目的に著しく好適であることが確かめられた。
Si3N4、AlN、Cr2O3及びY2O3が特に好適であり、その理由はこれら
の材料は抵抗値及びδmaxの要件を満足する他の材料、例えばTa2O5及びTi
O2と比較して、表示装置内で発生する電子衝撃時に極めて高い安定性(特に電
気抵抗値)を有するためである。
所要の被膜はプラズマCVDにより、又は(RF又はDC)マグネトロンスパ
ッタリングにより設けることができる。一般に、これによれば板の表面及び孔の
壁面が被覆される。一般に、孔の壁面の被膜は板表面の被膜より薄くなる。
スパッタリング及び蒸着は均質は被膜をもたらす。最小のδを有する被膜を得
るためには、均質被膜の代わりに粒子被膜を設けるのが効果的である。これらの
粒子はミクロン又はサブミクロンレンジの大きさにするのが好ましい。このよう
な粒子被膜は粒子を含有する懸濁液を吹き付けることにより比較的簡単に設ける
ことができる。
他の利点は、懸濁液の吹付けによれば蒸着及びスパッタリングでは実現困難な
満足な孔壁面被覆を実現することができる点にある。
所望の粒子は光粘着処理により被着することもできる。
予選択システムは、一般に、予選択孔を有する絶縁性の予選択板を具える。こ
の板は電子伝搬ダクトの表示スクリーン側に位置し、孔に沿って延在する予選択
電極のパターンを有する。中間スペーサの第1中間板のテーパー孔は、それらの
電子入射側が対応する予選択孔の電子射出側より大きくなるように寸法を定める
のが好ましい。これは電流を予選択電極に残存しないようにする有効な手段であ
る。予選択板からの電子の通過が妨げられるとき、電子も残存し得る。この理由
のために、第1中間板の孔を予選択孔より大きくするのが好ましいのみならず、
それらの側壁上に設けられた低δの被膜が通過する電子から“見えなくなる”よ
うに大きくするのが好ましい。低δ被膜は負に充電され、従って電子の通過を禁
止しようとする恐れがある。これらの孔を任意の大きなサイズにする余裕はない
ので、予選択孔自体を比較的小さくするのが有利である。
中間スペーサは第1中間板のみならず、表示スクリーン側に位置する第2中間
板も具えることができる。このような第2中間板は次の選択(精選択又はもしあ
れば中間選択)のための“ファンネル”として作用する。特に、第1中間板上に
金属化パターンを設けず、且つ/又第1中間板が十分高い電圧安定性を有する場
合には、第2中間板は電圧安定性に課される特別の要件に従う必要はない。この
ことは、低δ被膜を必ずしも設ける必要がないことを意味する。第2中間板の入
射表面をMgOのような高いδの被膜で被覆するのが有利である。これは電子移
送を高めるとともに、電子衝撃柱の(ガラス)中間板の劣化を禁止又は阻止する
。第2中間板の孔は単調な形状の側壁を有するテーパー孔にするのが好ましい。
このような孔はパウダースプレー方法により容易に形成することができるととも
に、これらの孔は幅広から幅狭に、又は幅狭から幅広にすることができる。
上述した本発明表示装置のこれらの特徴及び他の特徴(アドレスシステムにも
関する)は以下に記載する実施例を参照すると明らかになる。図面において、
図1は電子伝播ダクトと、有孔予選択板、有孔精選択板及びスクリーンスペー
サを有するアドレスシステムとを具える(カラー)表示装置の一部分を破除して
図式的に示す部分斜視図であり、それらの構成素子は一定の寸法比で示してない
。
図2は図1に示すタイプの装置の一部分の概略断面図である。
図3は図1に示す装置の一部分の詳細断面図である。
図4、図5、図6及び図7は中間スペーサの種々の実施例の断面図を示す。
図1は表示パネル(表示窓)3と、このパネルと対向して位置する後壁4とを
有するフラットパネル表示装置を示す。赤(R)、緑(G)及び青(B)発光蛍
光体画素の(例えば6角形)パターンを有する表示スクリーン7を窓3の内面上
に設ける。図示の実施例では、3色の蛍光体画素の組が表示スクリーンの長軸を
横切るトラックに(即ち、差込図に示すように“垂直方向に互い違いに”)に配
置されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、水平方向に互い違いに配置
することもできる。
多数、例えば600個の電子エミッタを構成する線状電極又は同数の個別のエ
ミッタのような電子源装置5をパネル3と後壁4とを相互連結する壁2に近接し
て配置する。これらのエミッタの各々は比較的小さい電流を供給するものである
から、多くのタイプの陰極(冷陰極又は熱陰極)がエミッタとして好適である。
これらのエミッタはビデオ駆動回路により駆動することができる。電子源装置5
は隔室6,6’,6”,...等(本例では各電子源ごとに1つの隔室)からな
るスクリーンにほぼ平行に延在する一列の電子伝播ダクトの入射孔に対向配置す
る。これらの隔室は後壁4と隔壁12,12’,...により画成された空洞1
1,11’,11”,...を有する。空洞11,11’は後壁4自体に設ける
こともできる。各隔室の少なくとも1つの壁(好ましくは後壁)は少なくとも伝
播方向に本発明の目的のために好適な高い電気抵抗値を有するとともに所定の範
囲の一次電子エネルギーに亘って二次電子放係数δ>1を有する必要がある(好
適な材料は、例えば被覆又は非被覆セラミック材料、ガラス、合成材料である)
。隔室6,6’,6”,...の高さの両端間に電位差を印加することにより軸
方向伝播電界が発生する。
壁材料の電気抵抗値は、電子伝播に必要とされる百−数百ボルト/cm程度の
隔室内の軸方向の電界強度において可能最少の電流(好ましくは、例えば10m
A以下)が壁内を流れるような値にする。電子源の列5と隔室6、6’、6”と
の間に数十ボルト−数百ボルト程度の電圧(この電圧値は環境に依存する)を印
加すると、電子が電子源から隔室に向って加速され、隔室内の壁に衝突して二次
電子を発生する。
隔室とパネル3の内面上に配置された発光スクリーン7との間のスペースに、
(能動)予選択板10a、(受動)障害板10b及び(能動)(精)選択板10
cを具える(ステップ)アドレスシステム100を収納する(図2も参照)。構
造100は発光スクリーン7から絶縁材料の有孔板として形成されたスクリーン
ススペーサ101により分離する。
図2は図1の表示装置の一部分、特に孔8,8’,8”,..を有する予選択
板10a及び孔R、G、Bのグループを有する精選択板10cを具えるアドレス
構造100の概略断面図を示す。3つの精選択孔R、G、Bは本例では各予選択
孔8、8’等と関連する。しかし、実際にはこれらの精選択孔は蛍光体ドットパ
ターン(図1参照)に対応する形状に配置する。本例では、大きな孔を有する予
選択スペーサ板10b’と小さい孔108、108’、..を有する障害スペー
サ板10bとを具える中間スペーサ構造10b,10b’を予選択板10aと精
選択板10cとの間に配置する。板10bは伝播ダクト11からの電子が精選択
孔内を直進して表示スクリーンに衝突する(不所望な“ダイレクトヒット”とし
て知られている)のを阻止する。
移送空洞11,11’,..を有する電子伝播ダクト6は構造100と後壁4
との間に形成する。ダクト6から孔8,8’,..を経て電子を抽出するために
、孔から孔へ延在するとともに孔を取り囲む金属予選択電極9,9’等を、例え
ば板10aの表示スクリーン側に、表示スクリーンの長軸に平行に(“水平”)
行に配置する。
孔8、8’,..の壁を金属化することができる。
板10aと同様に、精選択板10cに、精選択を実現するために“水平方向”
のアドレス可能な(精)選択電極の行を設ける。この点に関し、精選択電極の対
応する行を直接又は容量的に相互接続することができることが重要である。実際
には、予選択が予め行われ、原理的に電子は誤った位置に衝突し得ない。このこ
とは、3つの別々に形成された精選択電極の1つのグループ又は少数のグループ
がこの精選択モードに必要とされるのみであることを意味する。
予選択電極9,9’,..には、例えばこれらの電極を分圧器に接続すること
により直線的に増大するDC電圧を供給する。分圧器は電圧源に、ダクト内の電
子移送を実現するための正しい電位分布が伝播ダクトの長さに沿って発生するよ
うに接続する。駆動は、例えば短持続時間のパルス(例えば250V)を連続す
る予選択電極に供給するとともに、例えば200Vのもっと短い持続時間のパル
スを所望の精選択電極に供給することにより行うことができる。ライン選択パル
スはビデオ情報と同期させる必要があることもちろんである。ビデオ情報は、例
えばエミッタを駆動する個々のG1電極(図1)に、例えば時間又は振幅変調信
号の形で供給する。
図2に示すような予選択スペーサ板10b’及び障害スペーサ板10bを具え
る中間スペーサ構造のいくつかの変形例が可能である点に注意されたい。例えば
、板10bはスペーサ板10b’と一体に組み合わせることができる。障害スペ
ーサ板は“シケイン”スペーサということもできる。高い移送電圧を表示装置に
使用する場合には、これらの組合せを2つ前後に使用することができる。
図2は常に1つの予選択孔が3つの精選択孔と関連する構造を示す概略図であ
る。実際的な変形例は(伝播ダクトの長さ方向に見て)半数の予選択孔を有する
構造であり、この構造では各予選択孔を個別にアドレスし得る2つの中間選択孔
と関連させ、各中間選択孔を3つの精選択孔と関連させる。この構造では精選択
駆動回路が著しく簡単になる。(他の構造の中間選択孔及び精選択孔も可能であ
り、また1列当たりの予選択孔の数を更に減少させることも、2つの中間選択段
を設けることもできる)。
上述のコンセプトを用いる構造の実施例を図3に概略断面図で示す。この図は
、伝搬ダクト後壁15、ダクト中間壁16、16’、予選択孔18を有する予選
択板17、広口部から細口部に変化する孔20を有する第1中間板19、広口部
から細口部に変化する孔22を有する第2中間板21、孔20及び22を経て孔
18と関連する孔であって中間選択電極37及び38により個別にアドレスし得
る(中間選択)孔24及び25を有する障害付属中間選択板23、中間選択孔2
4と関連する第1組の3つの精選択孔(この組の孔27及び28のみが見える)
及び中間選択孔25と関連する第2組の3つの精選択孔(この組の孔29及び3
0のみが見える)を有する精選択板26、孔27、28、29及び30に対応す
る(円錐形の)孔32、33、34及び35を有するスクリーンスペーサ板31
、及び内面上に蛍光体パターンが設けられたフロントパネル36を示す。この(
8枚の)板の積層体は、特に全ての板を硼珪酸ガラスで作成すれば、満足に動作
する表示装置をもたらす。
電子が中間スペーサの第1中間板の孔を通過するとき、孔の側壁が帯電され得
る。この帯電は破壊を生じ得る。スペーサ孔の壁は、特にガラスよりも小さい二
次電子放出係数δmaxを有する被膜を設けることにより低い二次電子放出体にす
るのが好ましい。実際には、1≦δmax≦3.5、特にδmax≦3の被膜が好適であ
る。電子衝撃に対し満足な抵抗を有する材料のうち、例えばAlNはこの範囲
内の高い部分のδmax値を有し,Si3N4は中心部分のδmax値を有し、Y2O3及
びCr2O3は低い部分のδmax値を有する。前記被膜は好ましくはスペーサの入
射側が射出側と“短絡”されないように十分に高いオーム値を有するものとする
必要がある。図4、図5、図6及び図7は種々の被膜をガラス板40のどこに設け
るべきかを示す。これらの被膜は、上述の“低いδ”の被膜42(この被膜はス
ペーサの全入射表面上に設けることができ、実際上、これは孔の壁にのみ設ける
場合より多くの場合簡単である)に加えて、金属化パターン41及び高いδの被
膜43である。低いδの被膜は多くの技術により設けることができる。
a)低いδのSi3N4被膜
Si3N4の先駆物質は既知でないため、薄く均質な層を湿潤−化学的方法で設
けることはできない。Si3N4被膜を形成する(スパッタリング又は蒸着以外の
)好適な方法は吹付け方法による粒子被膜の形成である。このような被膜は2.2
−2.8のδmax及び5×1013Ω/□以上の抵抗値を有した。
b)低いδのAlN被膜
スパッタAlN被膜は約1013Ω/□の抵抗値及び約3.3のδmaxを有した。吹付
けAlN被膜では約1013−1015Ω/□の範囲内の抵抗値及び約3のδmaxが得ら
れた。
c)低いδのY2O3被膜
Y2O3粒子被膜は、スパッタ被膜及び蒸着被膜及びY先駆物質を用いて形成し
た被膜のδmaxより小さい2以下のδmaxを示した。更に、Y先駆物質(多くの場
合アルコール媒質中で使用される)に対し、水性媒質を使用することができる。
≧1014Ω/□の抵抗値が得られた。
図4、図5、図6及び図7は予選択板10aと(第1)中間板10b’及びで
きれば(第2)中間板10bとを具える種々の構成を示す。図4の中間板10b
’は入射側に底面を有する広い孔を有するとともに、射出側にこの孔の底面で終
端する細い孔を有する。低δの被膜を入射孔の側壁に設ける。中間板10bは中
間版10b’と同一の孔構造を有し、この構成では表示装置内の大きな電子移送
電圧を補償する作用をなす。入射孔の底面を被覆しないようにすることは難しい
ため、図5、図6及び図7の実施例が好適である。これらの実施例は入射側から
射
出側へ拡開した単一のテーパー孔を有する第1中間板10b’を有する。これら
の実施例でも、低δの被膜を側壁の少なくとも一部分上に設ける。第2中間板1
0bは実施例ごとに相違する。この板の孔はテーパーを付け、表示スクリーン側
に細くすることができ(図5)、又は表示スクリーン側に広げることもできる(
図6、図7)。金属化パターンを射出表面上にのみ(図5、図7)、又は孔の側
壁上にも設けることができる(図6)。
中間板10bは次の選択板に対する“ファンネル”として作用するのみであり
、電圧安定性に課される特別の要件に従う必要はない。原理的には、この板はM
gOのような高いδの層で被覆することができる。これは電子移送を高め、劣化
を禁止又は阻止する。中間板10bには多くの実施が可能であり、図5−7は種
々のオプションを示すがこれがすべてではない。オプションAを試験した結果、
きわめて高い電圧安定性を有することがわかった。少なくとも4.5kVまでの電
圧差が可能であった。図4の幾何構成(旧幾何構成)を有する中間板10bでは
2kVが限界であった。オプションBも試験の結果、オプションAと同等の結果
が得られたが、オプションBの方が技術的観点から魅力的であった。オプション
Cは良好な代替構成であることがわかった。旧幾何構成(図4)の中間板10b
又は10cとして実現した中間板10bも可能である(これも試験した)。必要
に応じ、中間板を省略することもできる。
要するに、本発明は発光スクリーンと、大きな平面電子源、例えば電子の壁と
の相互作用により動作する多数の並置電子伝搬ダクトとを有する薄いパネル形の
表示装置に関するものである。アドレスシステムによりダクトから抽出した電子
を発光スクリーン上の所望の位置に指向させる。アドレスシステムは予選択シス
テム及び精選択システムと、これらの間に配置された電子通過孔を具える絶縁材
料の有孔中間スペーサ板を具える。スペーサ板の厚さの両端間に大きな電圧差を
印加することができるようにするために、スペーサ板の孔の壁面を低い二次電子
放出係数(δmax≦3.5)を有する低δ材料、特にSi3N4、AlN、Y2O3又は
Cr2O3の被膜で少なくとも部分的に被覆する。
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(72)発明者 バーラー テニス シーメン
オランダ国 5656 アーアー アインドー
フェン プロフ ホルストラーン 6