JP2000508874A - 自動車用レーダーシステムのためのマイクロ波アンテナ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 集束手段（１１）及び少なくとも１つの給電素子（１０）から構成されるマイクロ波アンテナ装置を提案する。この装置においては、小さなサイズを実現するために、集束手段（１１）と少なくとも１つの給電素子（１０）との間の空間領域に少なくとも１つの構成素子担体（１４）を配置し、この少なくとも１つの構成素子担体（１４）上に電子的又は電気的構成素子（１６、１７）を設ける。本発明では、構成素子担体（１４）は電磁波を通過させるための切欠部（１５）を有し、さらに前記電子的又は電気的構成素子（１６、１７）は少なくとも１つの給電素子（１０）によって受波又は送波される信号とは別の信号を処理するために設けられていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】 自動車用レーダーシステムのための マイクロ波アンテナ装置 従来技術 本発明は自動車用レーダーシステムのためのマイクロ波アンテナ装置に関する 。 多数の文献から今日ではレーダーシステムを自動車に装備することが周知であ る。このレーダーシステムは例えば障害物又は前方を走行する車両の検出に利用 される。このようなレーダーシステムはこの場合自動車の特殊な組み込み環境に 適応しなくてはならない。温度変動、汚れ又は加速度に対する相応の耐久性に加 えて、この場合レーダーシステムのサイズも重要である。 ヨーロッパ特許第４９８５２４Ａ３号公報から、送波路及び受波路用の２つの 別個のマイクロ波アンテナ装置を有する自動車用レーダーシステムが公知である 。両方のマイクロ波アンテナ装置は１つ又は複数のアクティブな給電素子ならび にレーダービーム集束のためのそれぞれ１つの誘電体レンズから構成されている 。装置全体は２つに分割されたケーシングに収容されており、このケーシングは レーダーシステムのビーム方向においてそれぞれ２つの誘電体レンズによって閉 鎖されている。 ドイツ特許公開第４４１２７７０Ａ１号公報には自動車用車間距離警報レーダ ーが記載されている。この自動車用車間距離警報レーダーは送波路用にも受波路 用にもただ一つのマイクロ波レンズアンテナ装置しか必要としない。この場合で もレーダーシステムはケーシングの中に収容されており、このケーシングはビー ム方向においてマイクロ波アンテナ装置の誘電体レンズによって閉鎖されている 。小さな高さを実現するために、短い焦点距離を有するレンズを使用し、さらに このレンズはレンズの厚みを低減するためにフレネルレンズとして構成されてい る。 米国特許第５４５５５８９号明細書には、コンパクトなマイクロ波及びミリ波 レーダーが記述されている。このマイクロ波及びミリ波レーダーは同様に自動車 で使用するために構成されている。このレーダーでは小さいサイズを実現するた めに電磁波のビーム路を光学的に「折り畳む」ようなアンテナ装置が使用される 。このために、焦点レンズ及び給電素子から構成されるこのアンテナ装置には２ つの反射層が設けられている。第１のトランスリフレクタと呼ばれる層はアンテ ナレンズの前方又は後方に配置されている。この第１の層は所定の偏波方向の電 磁波を通過させ、他方でこの所定の偏波方向に対して垂直方向の偏波方向の電磁 波を反射する。第２のツイストリフレクタと呼ばれる 層は給電素子のまわりに配置されている。この第２の層はぶつかってくる電磁波 を反射し、この際この電磁波をその偏波方向において９０°だけ回転させる。こ の装置によってレーダービームは送波の際にも受波の際にも上記の２つの層の間 で多重反射される。この理由から、給電素子とアンテナレンズとの間の間隔は、 このアンテナレンズだけの焦点距離よりも小さい大きさにまで短縮することがで きる。 しかし、とりわけ米国特許第５４５５５８９号明細書及びドイツ特許公開第４ ４１２７７０号公報がコンパクトな自動車用レーダーシステムを提案するという 問題に専念しているとしても、上記の解決手段は次の欠点をまぬがれない。すな わち、給電素子とアンテナレンズとの間の領域は空っぽのままであり、従って十 分には利用されないままにのこされている、という欠点である。この領域の大き さは使用されるアンテナレンズの必要不可欠な焦点距離によって決定される。上 述の全ての解決手段では、この空間は全体としてレーダーシステムによって必要 とされる空間の大部分を占めている。 ドイツ特許公開第１９５１１９８２Ａ１号公報から送波器及び受波器を有する 像形成レーダーのための装置が公知である。１つの実施例では、波が導波管から コリメータレンズを介してアンテナアレーを通り抜けて第２のレンズに結像され ることが示されている。従 って、このアンテナアレーは送信される波及び受信される波を受け取り、さらに このアンテナアレーはこの導波管と第２のレンズとの間に配置されている。しか し、この装置の目的は、小さなサイズを実現することではなく、局部受信発振器 を削減できる装置である。この装置で非常に本質的なことは、アンテナアレー及 び場合によってはこのアンテナアレーに配置される構成素子が送信される信号及 び/又は受信される信号を処理するために設けられていることである。レーダー のサイズの縮小化はこれによっては実現されない。 本発明の課題、解決手段及び利点 本発明の課題は、アンテナ装置を含む送波及び/又は受波システムのサイズが 、公知の構造に対して補完的に又は公知の構造に対して代替的に、縮小可能であ るマイクロ波アンテナ装置を提供することである。この課題は、主請求項記載の マイクロ波アンテナ装置によって解決される。この主請求項記載のマイクロ波ア ンテナ装置は基本思想として次のような技術思想に基づいている。すなわち、ア ンテナ装置自体の枠内ではなんの機能も有していない構成素子担体が、それにも かかわらず給電素子と集束手段との間の空間領域に配置される、という技術思想 である。本発明の有利な実施形態は従属請求項から得られる。 本発明のマイクロ波アンテナ装置の利点は、送波及び/又は受波システムが組 み込まれているケーシング 内部の自由に使用される空間が最適に利用される、ということである。これに応 じて、例えば信号処理又は電流供給回路のような他の必要なモジュールの空間的 配置を本発明のやり方で移動することによって、このケーシングのサイズはまさ に必要不可欠なぎりぎりのサイズにまで低減される。本発明のやり方で配置され る構成素子担体及びこの構成素子担体に設けられる構成素子が、電磁波の周波数 領域よりも低い周波数領域に存在する信号を処理するために設けられる場合には 、とりわけ有利である。これは良好な減結合を保証する。場合によっては、本発 明により配置される構成素子担体上の構成素子を遮蔽用金属板によって遮蔽する ことができる。同じ意味で、デジタル信号処理用の構成素子が設けられるか又は 構成素子が電流供給回路の構成部分であると有利である。 本発明の有利な実施形態に従ってさらに別の集束手段としてサブレンズを使用 すれば、このアンテナ装置の焦点距離が、すなわち送波及び/又は受波システム のサイズがさらに縮小される。さらに、このような前集束は、マイクロ波がより 正確に本来のアンテナレンズ（主アンテナレンズ）に集束される、という利点を 有する。これによって、このアンテナレンズの過剰照射（スピルオーバ損失（sp illover loss））が低減される。有利には、このサブレンズは構成素子担体に固 定され、これにより組み立てが公知の装置の場合より もはるかに簡単になり、トレランスに対する敏感性も低くなり、例えばいわゆる 軸状ビーム放射器(Stielstrahler)又はポリロッドを使用した場合のように、過 剰照射を低減又は阻止することになる。代替的に、前集束手段として誘電体物体 も使用できる。この誘電体物体の寸法は、この誘電体物体が使用される波に対し てスーパーストレート（superstrate）として作用するように選択される。この 寸法をどのようにして選択すべきか、については例えばAlexopoulos et.al.によ る“Fundamental Superstrate（Cover）Effects on Printed Circuit Antennas ”in IEEE Transactions on Antennas and Propagation,vol.AP-32,No.8,P.807 〜816に記述されている。 実施例の記述 次に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。 図１ａは本発明のマイクロ波アンテナ装置を有する自動車用レーダーシステム の断面図である。 図１ｂは図１ａの本発明のレーダーシステムの平面図である。 図２は本発明のアンテナ装置を有する自動車用レーダーシステムの第２の実施 例の断面図である。 図１ａは相応のマイクロ波アンテナ装置を有する本発明の自動車用レーダーシ ステムの断面図を示している。少なくとも１つの給電素子１０及びアンテナレン ズ１１から構成されるこのアンテナ装置は、ケーシン グ１２の中に収容されている。この場合、アンテナレンズ１１はこのケーシング １２の構成部分である。つまり、このアンテナレンズ１１は送波又は受波される マイクロ波ビームに対していわば窓を形成する。この少なくとも１つの給電素子 １０は第１の構成素子担体１３上に配置されており、この構成素子担体１３は例 えばマイクロストリップ回路装置を有する。この少なくとも１つの給電素子１０ は、この場合有利には十分周知のパッチ素子である。選択的にここではこの第１ の構成素子担体１３及び１つ又は複数のパッチ素子１０の代わりに例えば導波管 装置を配置することもできる。この少なくとも１つの給電素子１０とアンテナレ ンズ１１との間にはさらに別の構成素子担体１４が配置されている。これは切欠 部１５を有し、この切欠部１５を給電素子１０により送波又は受波されるマイク ロ波ビームが通り抜ける。破線によって示されている２つのＶ字状のライン１９ 及び２０は例示的にマイクロ波のビーム進行路を示している。さらにこの構成素 子担体１４上には個別の構成素子１６及び１７が図示されている。これらの構成 素子は少なくとも１つの給電素子１０によって送波又は受波される信号とは別の 信号を処理するために設けられている。構成素子担体１４は有利には信号処理及 び信号評価回路を有し、この信号処理及び信号評価回路は中間周波数領域又はベ ースバンドにおいて受波された信号を評価する。他の 例としてはレーダーシステムのための電流及び電圧供給回路を挙げておく。 構成素子担体１３及び１４はこの実施例では支柱２３乃至はケーシング突出部 ２４の上に取り付けられている。しかし、これは他の取り付け方法を排除するも のではない。さらに、同様に例として軸状ビーム放射器（ポリロッド）２１が給 電素子１０の上側に図示されている。ライン１８はこのアンテナ装置の主ビーム 方向を示す。 図１ｂは上記の自動車用レーダーシステムをラインＡ―Ａで切断した場合に上 から見た平面図である。上側にある構成素子担体１４がケーシング１２の内部に 見える。この構成素子担体１４は既述の切欠部１５を有する。この切欠部１５は 有利には円形状に構成されており、この切欠部１５を送波又は受波される電磁波 が通過する。さらに例として構成素子１６及び１７ならびに支柱２３が図示され ている。この支柱２３の上にこの構成素子担体１４が取り付けられている。ライ ン２５は構成素子担体１４の対称線又は中心線を示している。 本発明のマイクロ波アンテナ装置を有する上述の自動車用レーダーシステムは 例えばＦＭＣＷレーダー又はパルスレーダーとして一般的に周知のレーダー方式 によって作動する。さらにこのようなマイクロ波アンテナ装置は当然他のあらゆ るマイクロ波適用事例、例 えば指向性無線でも使用される。 少なくとも１つの給電素子及び集束手段を有する上位概念記載のアンテナ装置 における周知の問題は、給電素子の通常は小さい固有の志向性作用のために送波 されるマイクロ波ビームの一部分が集束手段の傍らを通り過ぎることである。こ れはまた２つの不利な作用をもたらす。まず第１に、この一部分は当然集束手段 乃至はアンテナレンズ１１によって所望の方向に集束されない。このことはこの アンテナ装置の性能を全体として劣化させる。次に、アンテナレンズ１１を過剰 照射するこの一部分はケーシング１２の内壁によって反射される。この結果、望 ましくないことにケーシング１２の内部にマイクロ波ビームが拡がり、このマイ クロ波ビームが場合によっては構成素子１６又は１７に妨害的な影響を及ぼす可 能性がある。この反射を抑制するために、例えば前述のドイツ特許公開第４４１ ２７７０Ａ１号公報からケーシング１２の内壁にマイクロ波を吸収する性質の材 料を設けることが公知である。このやり方で少なくともアンテナレンズ１１を過 剰照射するマイクロ波の妨害的な作用は低減できる。しかし、さらにアンテナ装 置の性能を改善するためには、給電素子１０にいわゆる軸状ビーム放射器（ポリ ロッド）２１を設けること、つまりこの給電素子１０の前にこのような軸状ビー ム放射器を配置することが公知である。ポリロッド２１を使用しない場合の送波 されたマイクロ波のビーム進行路は図１ａのＶ字状ライン２０によって示され、 ポリロッド２１を使用する場合の送波されたマイクロ波のビーム進行路はＶ字状 ライン１９によって示されている。しかし、とりわけ給電素子１０としていわゆ るパッチアンテナが使用される場合に問題となるのは、ポリロッド２１の正確な 取り付けである。ほんの数ミリメートルの大きさのポリロッド２１をわずかにで も傾斜して配置してしまうと、またアンテナレンズ１１の過剰照射が引き起こさ れてしまう。またこのようなポリロッド２１はこのようなパッチ素子のほんの数 マイクロメートルだけ上方に位置決めされなくてはならない。このこともとりわ け大量生産の際には問題となる。 図２は本発明の有利な実施形態による本発明のマイクロ波アンテナ装置を有す る自動車用レーダーシステムの断面図であり、この本発明の有利な実施形態はす ぐ上で述べた困難を克服するための実施形態である。この場合基本的な構造は図 １ａに図示されたレーダーシステムに対応しており、このため同一の参照符号は 同一のエレメントを示している。本発明のこの有利な実施形態では、構成素子担 体１４の切欠部１５が別のアンテナレンズ（サブレンズ）２２によってふさがれ ている。選択的にこのサブレンズ２２はこの切欠部１５の上又は下に取り付ける ことができる。もしくはこのレンズ形状の誘電体物体の代わりに、スーパースト レートを使用してもよい。当然異なるレンズ形式又は誘電体材料を使用してもよ い。サブレンズ２２の集束作用によってアンテナレンズ１１の過剰照射ならびに この過剰照射に結びついている上述の不利な点が回避される。さらに多重レンズ 系を使用することによって、アンテナ装置全体の焦点距離が短縮され、このため このレーダーシステムのサイズをさらに小さくすることができる。サブレンズ２ ２の取り付けはこの場合ポリロッド２１の取り付けに比べてはるかにトレランス に対する敏感性が低い。しかし、もし当業者にとって有意味に思われるならば、 当然付加的にポリロッド２１を使用してもかまわない。 これまで記述してきたことの拡張又は発展として、勿論複数の構成素子担体１ ４を１つ又は複数の給電素子１０と集束手段１１との間の領域に配置してもよい 。 さらに、本発明には次の実施例も含まれる。すなわち、ここでは一体構成とし て図示されている構成素子担体１４が２つの別個の部分から構成されるように「 切欠部」を大きくした実施例も本発明に含まれる。これら２つの別個の部分は集 束手段と給電素子との間の空間領域にそれぞれ配置され、これら２つの別個の部 分の間を電磁波が通過する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＪＰ，ＵＳ (72)発明者 ユルゲン ツァイアー ドイツ連邦共和国 Ｄ―70499 シュツツ トガルト ミッテンフェルトシュトラーセ 118 (72)発明者 ベルンハルト ルーカス ドイツ連邦共和国 Ｄ―74395 ムンデル スハイム ゼールホーフェンシュトラーセ ４ (72)発明者 トーマス ベーツ ドイツ連邦共和国 Ｄ―74189 ヴァイン スベルク アウグスト―レップレ―シュト ラーセ ７ (72)発明者 ディルク ランゲンハーン ドイツ連邦共和国 Ｄ―71701 シュヴィ ーバーディンゲン ブレスラウアー シュ トラーセ 11 (72)発明者 ヘルベルト オルプリッヒ ドイツ連邦共和国 Ｄ―71277 ルーテス ハイム ホルダーシュトラーセ 36 (72)発明者 イエルク シュネーマン ドイツ連邦共和国 Ｄ―71554 ヴァイス アッハ ブルグンダー ヴェーク ４

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 1. 自動車用レーダーシステムのためのマイクロ波アンテナ装置であって、 少なくとも１つの集束手段（１１）、有利には誘電体レンズを有し、 前記集束手段によって集束される電磁波を受波及び/又は送波する少なくと も１つの給電素子（１０）を有し、 前記集束手段（１１）と前記少なくとも１つの給電素子（１０）との間の空 間領域には構成素子担体（１４）が配置されており、 該構成素子担体は前記アンテナ装置の主ビーム方向（１８）に対してほぼ横 断方向に配置されており、 前記構成素子担体（１４）上には電子的又は電気的構成素子（１６、１７） が配置されており、 前記構成素子担体（１４）は前記少なくとも１つの給電素子（１０）からも 前記集束手段（１１）からも距離をおいて配置されている、自動車用レーダーシ ステムのためのマイクロ波アンテナ装置において、 前記構成素子担体（１４）は電磁波を通過させるための切欠部（１５）を有 し、 前記構成素子担体（１４）上の前記電子的又は電 気的構成素子（１６、１７）は、前記少なくとも１つの給電素子（１０）によっ て受波又は送波される信号とは別の信号を処理するために設けられていることを 特徴とする、自動車用レーダーシステムのためのマイクロ波アンテナ装置。 2. 構成素子担体（１４）及び電子的又は電気的構成素子（１６、１７）は、電 磁波の周波数領域よりも低い周波数領域にある信号を処理するために設けられて いることを特徴とする請求項１記載のマイクロ波アンテナ装置。 3. 電子的又は電気的構成素子（１６、１７）は、主にデジタル信号の処理のた めに設けられていることを特徴とする請求項１又は２記載のマイクロ波アンテナ 装置。 4. 電子的又は電気的構成素子（１６、１７）は、電流又は電圧供給回路の構成 部分であることを特徴とする請求項１記載のマイクロ波アンテナ装置。 5. 給電素子と集束手段との間には少なくとも１つの別の集束手段（２２）が配 置されており、該少なくとも１つの別の集束手段（２２）は構成素子担体（１４ ）に固定されていることを特徴とする請求項１記載のマイクロ波アンテナ装置。 6. 前記別の集束手段は誘電体レンズ（２２）であり、該誘電体レンズ（２２） は構成素子担体の切欠部の中に、該切欠部の上方に又は該切欠部の下方に配 置されていることを特徴とする請求項５記載のマイクロ波アンテナ装置。 7. 前記別の集束手段は誘電体物体であり、該誘電体物体が電磁波に対してスー パーストレート（Superstrate）として作用するように前記誘電体物体の寸法は 選択されることを特徴とする請求項５記載のマイクロ波アンテナ装置。 8. 自動車用レーダーシステムにおける請求項１〜７までのうちの１項記載のマ イクロ波アンテナ装置の使用。