JP2000507695A - 空間的且つ時間的に変動する電場による荷電粒子の分離 - Google Patents

空間的且つ時間的に変動する電場による荷電粒子の分離

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Abstract

(57)【要約】 上部基板(11);下部基板(12);上部基板で規定された分離レーン(15);第1の複数の電極(20、22…);第1のパッド(13)(ここで、前記第1の複数の電極は前記第1のパッド(13)に接続されている);第2の複数の電極(21,23…);第2のパッド(14)(ここで、前記第2の複数の電極は前記第2のパッドに接続されている)を含み、前記パッドおよび電極は、下部基板に配置されており、前記第1の複数の電極および前記第2の複数の電極は互いにかみ合わされている、荷電粒子の分離装置。装置の運転中、荷電粒子はオフ状態と1以上のオン状態の間を周期変動する電位に曝されるものであり、その電位は、好ましくは複数の偏心形の定在ポテンシャルウェルによって空間的に周期的である。

Description

【発明の詳細な説明】 空間的且つ時間的に変動する電場による荷電粒子の分離 本出願の開示には、一部、著作権で保護される資料が含まれている。著作権者 は、本特許の明細書は特許商標庁のファイルおよび記録に記載されているので、 その特許明細書の複写複製に異論はないが、それ以外の場合にはいかなる場合で あっても全ての著作権を留保するものである。 本発明は、国立標準規格技術研究所(National Institute of Standards and T echnology)によって審査された審査No.70NANB5H1036に基づいて米国政府の支援 によりなされたものである。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。 1.発明の分野 本発明は、媒体中の荷電粒子を、空間的且つ時間的に変動する電位の使用によ る媒体中の該粒子の拡散率の違いにしたがって分離するための方法および装置に 関する。特に、本発明は、液体媒体中の荷電生体高分子の分離のための方法およ び装置に関するものであり、より特定的には、DNA配列決定および一般的な断 片長の測定用の1本鎖または2本鎖DNA断片の分離のための方法および装置に 関する。 2.発明の背景 荷電粒子、特に、化学種の物理的混合物の分離は、重要な分析操作である。関 連する化学種には、合成高分子のような非生体荷電種、およびDNA、RNAま たはタンパク質のような生体荷電種などがある(A.J.Kostichkaら,1992,Bio/Te chnology 10:78)。DNA断片の混合物の分離は特に重要である。 例えば、ヒトゲノムプロジェクトは、DNA断片の効果的な分離方法および装 置が必要であることを表明している。このプロジェクトは、ヒトの遺伝地図を改 良し、2006年までにヒトおよびいくつかのモデル生物のゲノム配列を完全に決定 し、そして急増する情報を保存し、アクセスするためのコンピューターツールを 開発するための大がかりな国際的作業である。このプロジェクトには、迅速で費 用対効果に優れた手法で高品質の配列情報を供給することができる技術基盤が必 要である。 2006年までに約3×109塩基対を有するヒトゲノム配列を完全に決定するには 、現在の世界中の全DNA配列決定能力のおおよそ100倍の能力が必要である(M. V.Olson,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:4338)。現在のDNA配列決定 方法、例えば、質量分析法(T.D.Woodら,1995,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92 :11451)、ハイブリダイゼーションによる配列決定法(R.Drmanacら,1993,Scie nce 260:1649)、クロマトグラフィー(C.G.Huberら,1993,Nucl.Acids Res.21 :1061)、音波泳動法(acoustophoresis)(J.S.Heyman,米国特許第5,192,450号) 、および電気で移動法は、この配列決定の目標を達成するには一般的に不十分で ある。 上記の方法には種々の欠点がある。質量分析法には高価な質量分析計が必要で ある。かかる費用のために、この方法は広範な適用性を持つ見込みがない。ハイ ブリダイゼーションによる配列決定法は、まだ比較的新しく、試験されていない 。液体クロマトグラフィーは、2本鎖DNA断片の迅速な分離を行うことはでき るが、分解能が不十分なために制限される。配列決定に必要な1塩基分解能は、 150塩基対よりも小さい断片においてのみ証明されている。音波泳動法において は、音波が液体媒体を通じて断片を押し動かす。この方法は、同様の長さのDN A断片では音響学的に同じ特性を有するため、効果的な分離が妨げられることに よって制限される。 電気泳動法は、DNA配列決定に対して最も一般的な方法である。通常の電気 泳動法はどれもおおむね類似している(F.Sangerら,1977,Proc.Natl.Acad.S ci.USA 74:5463;L.M.Smith,1993,Science 262:530)。まず、DNA試料を、 通常、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)によって増幅する(すなわちDNA 鎖を複製する)。次に、増幅試料から、鎖終結DNAポリメラーゼ反応(これは 、Sangerらによって最初に記載された)によって、4種の鎖終結塩基(ddATP、d dCTP、ddGTP、またはddTTPのどれか)の中の1つが結合した4種の特有の蛍光染 料の中の1つで標識されたDNA断片のネステッド集合(nested sets)を産生さ せ る。関連の方法においては、鎖を、化学的手段によって切断し、標識断片の同様 の集合を産生させる(M.Maxamら,1977,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:560)。 次いで、これらの断片を、種々の電気泳動技術によってそれらの分子のサイズに したがって分離し、各鎖終結塩基を標識している特有の染料をその蛍光によって 検出する。DNA塩基配列は、その検出された鎖断片パターンから再構築される 。 DNA断片のサイズの測定に必要な精度は、その適用法に依存する。例えば、 DNA配列決定反応は、個々の塩基によって分離された長さを有する断片の混合 物(「ラダー」と呼ばれる)を産生し、正確な長さの測定を必要とする。その他 の適用法は断片長間に大きな違いを生じさせ、迅速にサイズを決定する方法は、 必ずしも長さの情報は正確ではないが、価値がある。そのような適用法の典型は 、制限断片長多型(「RFLP」)のパターンの作製、遺伝子型分類、連鎖分析 、マイクロサテライト(microsatellite)分析およびその他の断片分析方法である 。 電気泳動分離において、DNA分子は電場中の移動速度にしたがって分離され る。電気推進力は、分子の正味電荷に比例する。DNAのような一様に荷電した 生体高分子については、推進力はDNA断片中の塩基対の数に比例する。液体の ようなストークスの法則に従う物質中では摩擦係数も塩基対の数に比例するので 、DNA断片は、断片長とほぼ同一で独立の電気泳動移動速度を有する。これは 、DNA断片の電気泳動分離はストークスの法則に従う液体またはその他の媒体 においては難しいということを意味するものである。 したがって、電気泳動DNA分離には、一般的に、液体媒体の代わりに架橋ゲ ルおよび非架橋ポリマー溶液が用いられる。これらの媒体中では、電気泳動移動 速度は長さまたは分子量の増加とともに減少するので、DNAはストークスの法 則に従わない。よって、生体高分子の電気泳動分離は、通常、アガロースまたは ポリアクリルアミドのようなポリマーゲル中で行なわれるが、ここで、DNAま たはRNAのような同様の電荷密度を有する生体高分子の分離は、分子量に依存 する。ゲル中では、断片サイズに対する摩擦係数はストークスの法則に依存しな いことから、異なる長さのDNA断片の電気泳動分離が可能になる。したがって 、生体高分子断片は、大きさが小さいものから大きいものの順に装置から出てゆ く。 一般的な構成においては、電気泳動ゲルは、2枚の平らで平行な長方形のガラ ス板の間に薄いシートとして配置されている。電場は、その長方形配置の長軸に 沿って生じ、分子移動が電場に平行ないくつかの経路または「レーン」中で同時 に生じるように配列される。分離分解能を高めるために、移動レーン中のゲルは 、可能な限り均一であり(または液体のように均一であり)、そしてレーンが明 確に区別され得るように十分に分離されているのが都合がよい。 均一な移送特性を有する均一なゲルを作製する、または「注型する(cast)」こ とは困難であることが判明している。主な問題の一つは、ゲル重合中、架橋によ って生じる不均一なゲル収縮である。均一なゲルを注型することにおけるこの問 題は、均一で再現性のあるローディング領域(ここに試料混合物を分離前にのせ る)を作ることも困難にする。より再現性の良好な移送特性(すなわち、均一な 液体のような移送特性)を有する分離媒体は有用性が大きいということは一般的 に認識されている。 分離分解能を高めることに加えて、電気泳動をより迅速に行いたいという要求 によっても、ゲル操作に対してさらなる問題が引き起こされる。迅速で、高能力 の生体高分子分析には、迅速な電気泳動が望ましい。これには、第一に、分子を より大きな速度で移動させるために、分子の移動においてより大きな力をはたら かせるより強力な電場が必要である。しかしながら、高電場、電圧および速度に よりゲル中の抵抗加熱が上昇してゲル中に有意な熱勾配が生じる。かかる熱勾配 は、分離分解能をさらに損なうようなさらなるゲル不均一性を引き起こす。 高電圧で分解能を維持するために、有害な熱をより簡単に取り除くことが可能 なように、より小さい形状寸法のゲルが用いられる。したがって、電気泳動は、 典型的には1000μmよりも大きい通常のスペースの代わりに、平行したガラス板 の間に25〜150μmの間隔をあけた形状寸法で記載されている(A.J.Kostichkaら ,1992,Bio/Technology 10:78)。そのような薄さの均一ゲルを注型し、そのよ うに薄いシート中に長く、平行で、狭く、かつ間隔の接近した移動レーンを確実 に得るのはかなり困難であることが判明した。 また、薄いゲルにおけるこのような難点を克服するために、物理的分離手段が レーンの区別を維持するために用いられている。これらの分離手段によってさら に一連の問題が生じる。物理的に区別されたレーンを作るそのような方法の一つ においては、100μm未満の径を有する毛管を配列したものが用いられている(X. C.Huangら,1992,Anal.Chem.64:2149)。このような毛管を配列したものでは 、均一なゲルの状態に注型するのが困難であり、断片試料をローディングするの が困難である。ローディングが簡単であるということは、分離のセットアップ( これは、大きな労働力を要することが多い)の時間および費用を最小にするのに 都合がよい。代案としては、各毛管にゲルの代わりに希薄なポリマー溶液を用い ることがある(P.D.Grossman,米国特許第5,374,527号)。しかしながら、そのよう な溶液における1塩基分解能は、200塩基未満のDNA鎖に限られており、毛管 への試料のローディングは困難なままである(A.E.Barronら,1993,J.Chromato gr.A 652:3;A.E.Barronら,1994,Electrophoresis 15:597;およびY.Kimら,19 94,Anal,Chem.66:1168)。その他の代案としては、電気泳動装置中にチャンネ ルをマイクロ製造(microfabrication)することによって物理的に区別されたレー ンを作ることなどが挙げられる(D.J.Harrisonら,1992,Anal.Chem.64:1926お よびD.J.Harrisonら,1993,Science 261:895)。電極は、電気泳動場の正確な制 御が行なわれるように配置され得る(G.T.A.Kovacsら,1990,ヨーロッパ特許037 6 611 A3およびD.S.Soaneら,米国特許第5,126,022号)。ゲル中を移動させる別 の代案では、光マイクロリソグラフィーを用いることにより、DNAの電気泳動 分離のために移動障害物を準二次元的に配列したものが製造された(W.D.Volkmut hら,1992,Nature 358:600)。 レーンサイズが小さいということは多数の移動レーンにおける多数の試料の分 離に望ましいが、同時に矛盾する物理的要求を生み出す。多数のレーンで移動し ている断片を同時に検出するには、全レーンを限られた口径の分光器によって同 時に観察することができるように、移動レーンを空間的にコンパクトに配置する 必要がある。しかしながら、分離前の移動レーンへの試料のローディングは、広 く間隔があけられたレーンの方がより簡単で迅速であるので、そのような移動レ ーンに物理的に近い必要がある。通常の平板技術は、まっすぐな平行したレーン のみを有しており、これらの異なる要求を受け入れることはできない。 従来のゲルに基づく電気泳動分離方法についてのそのような問題が、新規の分 離方法を調査する動機となった。電気的に分極可能であるが、荷電していない粒 子の非電気泳動分離方法は、粒子の液体中の拡散率における違いに基づくもので ある。非常に大きい塩基サイズのDNA断片のみが、この方法によって分離する のに十分な分極性を有している(A.Ajdariら,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.US A 88:4468;J.Rousseletら,1994,Nature 370:446;およびJ.F.Chauwinら,1994 ,Europhys.Lett.27:421)。この方法では、空間において周期的であるが非対 称の、分離の方向に実質的に垂直な電場であって、オンからオフに時間的に周期 変動するものを使用する。この非対称の電場が生じると、この電場は公知の静電 気学の法則にしたがって一連の空間的に周期的な誘引領域に分極可能な粒子を誘 引し、トラップする。しかしながら、電位がなくなると、粒子は自由に拡散する 。より小さい粒子はより迅速に拡散するので、周期変動している電場によって分 極可能な粒子がサイズ分離される。 分極に基づく装置は、ウイルスの大きさ程度の粒子を分離するのに適しており 、染色体全体のような非常に大きい塩基サイズのDNA断片を分離することも可 能であり得る(J.Rousseletら,1994,Nature 370:446)。この粒子サイズの制限 は、分離される粒子が、液体中に実際に生じ得る電場によって誘引されるのに十 分な大きさの分極性を有するという要求によるものである。誘引力は、電場の二 乗で変化するので、高電圧が必要である。配列決定反応またはRFLPによって 通常生じるサイズである、塩基の長さが数百のDNA断片の分離は、実際には電 場の強さおよび電圧に限界があるため、このようなまたはこれと類似の分極に基 づく装置の能力範囲外である。 前述の全ての技術の問題は、多数の生体高分子試料の迅速な同時分析のための 機械を、低コスト且つ最小限の人間の介在で作ることを妨げるものである。その ような機械は、例えば、生物学的研究、ヒトゲノムプロジェクト、バイオテクノ ロジー工業、および臨床診断などの生物学の多くの分野において広く必要とされ ていると感じられる。 上記の参考文献の引用は、かかる参考文献が本発明の従来技術であることの認 識を構成するものではない。 3.発明の概要 本発明の方法および装置の目的の1つは、従来技術の問題を克服した、都合が よく、効率のよい荷電粒子の分離を提供することである。分離される粒子は、正 または負のいずれに荷電していてもよい。特に、分離される荷電粒子は、1本鎖 または2本鎖DNAのような生体高分子断片であり得る。 本発明の方法および装置の別の目的は、分離を、空間的且つ時間的に変動する 電位を用ぃて行なぅことである。電位は、電位が比較的強い場合に荷電粒子をト ラップする、複数の偏心形状のポテンシャルウェルを有する。分離は、電位がか なり弱い(またはオフの)場合、粒子が分離媒体における拡散率の違いに基づい てウェルからウェルに示差的に拡散するために生じる。粒子分離のラインに沿っ た全体的な電位差が存在しないことは都合がよい。 本発明の方法および装置の利点は、荷電粒子が電位と相互作用することである 。これは、容易に得られる電場に対しては、分極可能な粒子と均一でない電場と の間の弱い相互作用よりも強い相互作用であり、電場の強さの二乗、電場の空間 的不均一性、および粒子の分極性に依存する。 本発明の方法および装置の利点は、本発明の電位状態が、荷電粒子を分離媒体 中のそれらの拡散率に基づいて単独で分離するということである。それによって 、本発明は、通常の電気泳動では不可能な、液体中またはストークスの法則に従 う媒体中においてDNA断片を分離することができる。さらに、液体拡散率はゲ ル拡散率よりも大きいので、より迅速なDNA分離が可能である。しかしながら 、本発明の方法および装置は、液体分離媒体に限定されるものではない。 本発明の方法および装置の利点は、ゲルを基材とする媒体の代わりに液体媒体 が用いられ得るということである。液体媒体を用いる場合、本発明の方法および 装置は、例えば、小さい形状寸法でのゲルローディングの困難さ、収縮によるゲ ル不均質性、電気的内浸透、および不均質ゲル注型などの、ゲルを基材とする媒 体についての制限の多くから解放される。液体分離媒体は実質的に均一であるの で、より再現性が良好な分離が可能であり、分離媒体における不均質性が最小化 される。さらに、装置はすばやく再使用できる。試料は、均一な高電圧を印加す ることによって除去され得る。また、液体分離媒体を迅速に流し出し、次いで装 置を洗浄溶液で洗浄し、新たな液体媒体を再ローディングする。 本発明の装置は、マイクロ製造に適した小規模のものであり得るという利点が ある。小規模の結果、高処理量になる。小規模の結果、効率のよい熱伝達が得ら れ、局所加熱による分離媒体不均質性が低減される。さらに、装置が小さくなれ ばなるほど、分離がより迅速になる。その上、装置は、低コストマイクロ製造に 適している。多数のレーンは、1平方センチメートルの1個の基質上で作ること ができる。本発明による分離モジュールは、試料調製および断片検出装置と一体 化することができる。ローディングゾーンは、ローディング電位を発生する電極 を含む分離モジュール上に、分離前にローディングした試料を小容量に局在化さ せるために製造され得る。 本発明の方法および装置の利点は、操作パラメーターを分離される分子のサイ ズおよび要求される分離分解能に合わせることができるということである。した がって、全ての分子が短いか、または近似のサイズ(精度5〜10%)のみが要求 される場合には、より迅速な分離が得られ得る。 本発明の方法および装置の利点は、表1に挙げたような通常の電気泳動システ ムに対する優位性を有するということである。表1:従来の電気泳動システムに対応する優位性 これらの目的および利点は、空間的および時間的に変化し得る電位の使用によ り、分離媒体中の粒子の拡散率の差異にしたがって、分離媒体中の荷電粒子、特 に荷電化学種を分離することからなる、発明によって達成される。電位の空間的 変化は、分離ラインに沿って、荷電粒子を誘引してトラップする複数のポテンシ ャルウェルを形成する。このポテンシャルウェルは、電位の最小点がウェルの中 心からはずれて位置している、偏心型である。1態様において、ウェルは一方の 側が一般的に他方よりも急勾配であり、全体的には鋸歯型である。ポテンシャル ウェルは各種の空間配置を取ることができるが、分離ラインに沿って周期的な配 置が好ましい。時間的には、電位は2以上の状態間を循環するが、2つの状態の 場合が好ましい。少なくとも状態の1つ、「オン−状態」において、粒子がポテ ンシャルウェル中で誘引されてトラップされる。少なくとももう一方の状態、「 オフ−状態」において、粒子は分離媒体中でその拡散率にしたがって実質的に自 由に拡散する。好ましい態様において、オン−状態は各粒子がいずれかのポテン シャルウェルに局在化するのに十分な持続時間を有し、オフ−状態の持続時間は 可能な限り最も迅速な分離が得られるように最適化される。これによって、電位 が時間的状態間で循環するにつれて、粒子は拡散率にしたがって予測される様相 で、ポテンシャルウェルからポテンシャルウェルに拡散し、これによって、それ らの拡散率にしたがって分離される。 本方法の重要な適用例において、粒子は荷電生体高分子である。特に、液体な どの媒体中のDNAの分離は、例えば、DNA配列決定、ならびに制限断片長多 型(“RFLP”)の観察、遺伝子型の分類、連鎖解析、マイクロサテライト分析およ びその他のDNA分析の適用において、重要である。一本鎖および二本鎖DNA 分子は実質的にそれらの断片の長さのみに依存する液相拡散率を有する荷電物質 であるので、本方法をDNAの分離に適用することができる。 本発明の方法および装置は、分離ラインに沿って隣接する最大点に関して偏心 的に設置された複数のポテンシャルウェルを形成する空間的変化を有し、かつウ ェル中に荷電粒子をトラップする1以上の状態と媒体(好ましくは液体媒体)中 で実質的に自由な拡散を許す1以上の状態との間の時間的変化を有する広範囲に 変化する電場によって、効果的になる。ポテンシャルウェルは急勾配側と緩勾配 側を有してもよいし、トラップ粒子をしっかりと閉じこめるための狭い最小点を 持つ偏心型にしてもよいし、または一般的な非対称および偏心型でもよい。ポテ ンシャルウェルは分離ラインに沿って周期的にまたは距離を変化させて設置する ことができる。好ましい電位は分離ラインに沿った鋸歯型である。時間的には、 電位は3以上の状態間を変化させるかまたは連続的に変化させてもよい。時間的 変化は分離期間中一定にしてもよいし、分離期間中変化してもよい。好ましい電 位はオン−状態とオフ−状態間のみで変化する。 以下の開示で明らかになるように、電位の空間的および時間的変化を確定する パラメーターは、装置がどんな物理的サイズでもよいように、分離すべき粒子の 拡散率および電荷の観点から選択することができる。しかし、好ましい態様にお いて、特にDNA断片の分離のためには、可能な限り最も速い分離を達成するよ うに構築される。こうした態様の1つにおいて、器具は利用可能なマイクロ製造 (microfabrication)技術を使用して構築することができるほどの小さいものであ る。 分離装置の1態様は分離媒体を保持するための1以上の連絡していない分離レ ーンを含むモジュールを有し、これに沿ってDNA断片が分離される。このモジ ュールはセンチメーター(“cm”)スケールの2つの基体で構築される。1つ の基体は平板で、他方は、例えば溝を掘るか壁を設置するかによって製造された チャンネルを有する。この2つの基体を1つに合わせると、これによって分離レ ーンが形成される。 分離レーンの配置を変えることも可能である。1つの配置は平行直線状レー ンである。好ましい配置の1つは、ローディングのためにレーンへの物理的接近 が容易になるように、モジュールのローディング部ではレーン間隔を広くとるが 、末端検出部では、分離された断片を全分離レーンにおいて同時に検出すること ができるように、間隔を狭くするものである。チャンネルサイズは1mm未満、 500μm、または100μmとすることができ、25μm程度に小さくするこ ともできる。 分離モジュールの好ましい態様において、平板状(溝がない方)の基体に設 置された電極によって、空間的および時間的に変化する電位が形成される。好ま しい態様において、電極は上記のチャンネルに対して実質的に直交方向に置かれ 、空間的に周期的なポテンシャルウェルを形成するように配置され、この各ウェ ルは一般的に偏心「鋸歯」型をしている。この好ましい態様において、「オン」 タイム、tonについては電極に電圧差が加えられ、「オフ」タイム、toffにつ いては電極は同一の電位とする。電位差および「オン」タイムはポテンシャルウ ェル中に荷電断片が局在化してトラップされるために十分であるように選定され る。「オフ」タイムは断片が次のポテンシャルウェルへの拡散について有限の確 率を有するように、選定される。電位に周期を与える結果、荷電断片は拡散率の 差異に基づいて分離される。詳細な説明(第5節)によって、各種の操作パラメ ーターの選定の方法が明らかにされる。 分離媒体はいくつかの基準に適合するように選定される。第1に、分離すべ き粒子がその媒体中で荷電し、そして好ましくは広い範囲の拡散率を有すること である。第2に、媒体が高電気破壊電位勾配を有し、しかも容易には電気分解さ れないことである。好ましくは、分離媒体は液体である。DNAを分離するのに 適切なこうした媒体の例として、水性液体媒体、水性緩衝液、およびホルムアミ ドなどの非水性変性用液体媒体が含まれる。本発明は液体分離媒体に限定される ものではない。適切な電気特性を有し、その中で分離すべき粒子が荷電して異な る拡散率を有するような、各種濃度の各種のゲルまたはポリマーなどの媒体はい ずれも使用することができる。 本発明によって、基本的な分離モジュールにおいて、各種の強化および変更 が意図される。1態様において、液体分離媒体および分離するサンプルを、例え ば分離モジュールの基体板の一方にドリルで開けた穴であるローディング口から ローディングすることができる。こうしたローディング口を収容するため、それ らの近傍で分離レーンの間隔をより広くする必要があるかもしれない。その他、 装置の1態様として、分離の前に、ローディング口の中にローディングするサン プルを局在化およびトラップして、コンパクトな初期容量にするような、別のゲ ーティング(gating)を形成する、特別の電極が含まれる。 装置中での温度および温度勾配の制御が望ましくく、これは好ましくは基体 の一方または両方とうまく熱接触させた温度制御モジュールによって達成される 。 好ましい小サイズの装置では特に良好な熱制御が得られる。なぜならば、小さい 分離媒体チャンネルは必然的に両方の基体板を含む全側面で良好な熱接触となる からである。装置の1態様において、温度制御モジュールとして、分離モジュー ルと、例えば空気または水の交換流体と熱を交換する熱シンクとの間でいずれか の方向に熱を送るように配置した、Peltier熱電モジュールなどの、2方 向熱転移器具が含まれる。 好ましい態様において、分離された粒子の観測は光学的方法によって実施さ れる。こうした光学的観測方法の中の可能な1つとして、分離レーンに直交する レーザまたはその他の励起によって蛍光シグナルを発生する、独特の蛍光タグで 粒子を標識し、そのタグ蛍光を標準的な分光分析で検出するものが含まれる。多 数の分離レーンから同時に蛍光を検出するためには、透過型イメージング分光器 を使用するのが有利である。本発明は、DNA配列分析に特に適合する。この場 合、各DNA分子は4つの鎖終結ddNTPの1つとに統合させた4種の光学的 に識別し得る蛍光染料の1つで別々に標識される。分離すべき粒子が多種の染料 で標識される応用例に対しても同様に適用することができる。 関連する分野の当業者によってこの装置になされる多数の改変は、本発明に よって意図されるものである。これらの改変の一部として以下のものが含まれる 。拡散率を強化するために、媒体の温度を変化させることができる。ポリマー溶 液またはゲルなどの分離用媒体もまた使用することができる。この装置の分離モ ジュールの基体、ならびに絶縁体、導電体および抵抗器などの電気部品として、 種々の材料を使用することができる。ポテンシャルウェルを形成させる機能を有 する電位を得るために、様々な電極形状を使用することもできる。例えば、電極 を分離レーンの底部に接触する層状に配置することもできる。これらは分離レー ンの厚さを超えるほど厚いものでもよく、または中間の厚さでもよい。あるいは 、分離レーンんの外側の電極によってポテンシャルウェルを形成することができ る。各種のレーン形状が可能であり、これらとして、直線、部分的直線、開曲線 、または閉曲線状の形状が含まれる。円形の配置では、レーンは円柱の周囲をと りかこんでいる。 本発明の方法および装置は多くの分野での用途を有する。生物学の研究室で はゲノムの配列決定のための高処理量で複雑なDNA分析のための容易に使用で きるシステムが必要とされている。医学の研究室でも、迅速で低コストのDNA 分析および配列決定の必要度が高まっている。例えばRNAおよび蛋白質などの その他の荷電粒子の分離も研究室および診断実験室で同様の用途を有する。 4.図面の簡単な説明 本発明のこれらおよびその他の目的、特徴および利点は添付した図面、詳細 な説明および特許請求の範囲を参考にして、当業者にとって明らかになるであろ う。ここで; 図1は本発明にしたがった分離器具を示す。 図2は図1の分離器具のI型の具体例の1つの分解図を示す。 図3は図2の器具の分離方向に対して直交する断面図を示す。 図4A−4Bは図2の器具の電極の詳細、およびこの電極によって発生され る電位を示す。 図5は図2の器具の分離方向に沿った断面図を示す。 図6は図2の器具のローディング部を示す。 図7は図1の分離器具のII型の具体例の1つの分解図を示す。 図8は図7の器具の分離方向に対して直交する断面図を示す。 図9A−9Eは本発明の方法の操作を要約して示す。 図10は図9A−9Eの方法において使用するのに適合し得る電位の形態を 示す。図11A−11Dは図9A−9Eの方法における隣接する2つのポテンシ ャルウェル中の粒子濃度プロフィールの挙動の詳細を示す。 図12A−12Eは図9A−9Eの方法における隣接する複数のポテンシャ ルウェル中の詳細な粒子濃度プロフィールの挙動を示す。 図13は図9A−9Eの方法の操作パラメーターを選択するための好ましい 方法に関するtoff対Ttotの挙動を示す。 図14は図9A−9Eの方法の操作パラメーターを選択するための好ましい 方法にしたがって方法を操作するパラメーターが選択されたときの、DNA分子 の分離分割の百分率対Ttotの挙動を示す。 図15は図2の器具のための電極を製造するための代表的な写真平板マスク を示す。 図16A−16Bは図2の器具用のチャンネルを製造するための代表的な写 真平板マスクを示すそして、 図17は図9A−9Eの方法にしたがったDNA分子の仮想上の分離の例を 示す。 5.発明の詳細な説明 第5.1節に、本発明にしたがった代表的な分離器具の構造を説明する。第 5.2節に、分離方法および器具の操作を要約して記載する。第5.3節に、分 離方法および器具の操作をより詳細に記載し、そして方法の操作条件および器具 設計のパラメーターの選択のための方法を提供する。第5.4節に、DNAの分 離の重要な事例を記載する。最後に、第5.5節に、本発明にしたがった分離器 具のマイクロ製造の代表的な方法を記載する。 5.1.分離器具の説明 図1は本発明にしたがった分離器具を図示している。この分離器具およびそ の特定の具体例である、器具I型およびII型は器具として好ましい物理構造であ る。しかし、本発明の方法にしたがった荷電粒子の分離は、分離媒体を保持し、 本発明の方法にしたがって電位を与えられる1以上の分離レーンを有する、別の 任意の物理構造においても実施することができる。例えば、外部から電位を加え られるおそらくは毛細管サイズの1以上のチューブ中で実施することができる。 あるいは、分離媒体をスラブとして配置し、分離レーンをそのスラブ中に走らせ た一般的な配置で、本発明を実施することができる。 図1において、分離器具10は2枚の基体、上部基体11および下部基体1 2を含み、これらによって、これらの間にレーン15などの1以上の分離レーン が画定される。レーン15は、例えば上部基体11に開けられた穴からなるロー ディング口16から一般的に18において表示される観測ゾーンまで伸びている 。荷電粒子が蛍光標識されている場合は、観測はレーザービーム19による観測 ゾーン18の照射によって簡便に行うことができる。分離レーン中の粒子に誘発 された蛍光20は分光分析器によって観測される。CCD検出器を使用する標準 的オプチックスでは、同一面上の照射面100μm中0.01フェムトモル (“fm”)の蛍光染料標識粒子を検出することができる。例えば、J.W.S impsonら、「生体高分子断片の産生、分離、検出および認識のための装置 および方法」、米国特許出願番号No.08/438,231、1995年5月 9日出願、を参照されたい。この全文をここに参考として引用する。 本発明の1方法にしたがう電位は、基体の一方または両方に設置または貼り 付けられた、以下に記載する、あるパターンの電極によって、チャンネル15に 沿って発生される。各電極は電極パッド13または14の一方に接続され、この パッドを通じて外部電圧源17から誘導される、時間によって変化する電圧によ ってエネルギーが与えられる。 本方法の操作パラメーターを選択することによって、器具をどんなサイズに も構築することができる。荷電粒子をより速く分離するためには、選択した製造 またはマイクロ製造技術の制約の範囲内で、できるだけ器具を小さく製造するこ とが好ましい。小さなサイズであれば1つの基体上に一連のチャンネルを置き、 それによって同時に多数の分離を達成することも可能になる。しかし、器具は、 分離すべき荷電粒子が分離中に互いに独立して移動すると同時に、少なくとも数 百の粒子が器具中を共に移送されるのに十分なほどの大きさにすべきである。荷 電粒子が荷電分子の場合、この後者の条件は器具中の最小の寸法を分子の寸法の 50から500倍の大きさに製造することによって、容易に満たすことができる 。 基体、(II型器具における)チャンネル壁および電極については多くの材料を 使用することができる。1つの制限は、分離レーンに露出するどの材料も、使用 する媒体および分離すべき荷電粒子などのレーンの内容物に対して実質的に不活 性でなければならない点である。材料が本来不活性であるか、または不動態化層 、例えば電極の上側に配置された酸化珪素層によって保護されていなければなら ない。さらに、分離された粒子の検出を容易にするため、基体が蛍光標識の使用 を可能にするものであるのが好ましい。こうして、基体は励起および誘発された 蛍光波長の光に対して実質的に透過性であるべきである。非晶質酸化珪素は、標 識DNA断片に通常使用されるような大部分の蛍光染料に対して許容される基体 の1例である。許容される材料のその他の例を第5.5節に記載する。 分離すべき荷電粒子はあらゆるサイズの個別の分子から任意の数および種類 の分子の複合体まで、および巨視的サイズの粒子までの範囲とすることができる 。 分離レーンは好ましくはいくつかの特性を示す分離媒体で充満される。第1 の特性は、分離すべき粒子を溶解してイオン化することである。第2の特性は、 分離すべき荷電粒子の型がその媒体中で異なる拡散率を有することである。全体 として拡散率が大きいほど、そして拡散率の差異が大きいほど、媒体としてより 好ましい。迅速な分離のための第3の特性は、媒体が高電位勾配に耐えることで ある。したがって、印加電位において媒体は好ましくは電気分解に抵抗性である ことであり、そして分解電場が高いほど好ましい。最後に、媒体が小さい誘電率 および小さいイオン強度であるのが好ましい。なぜならば、電場の強度は媒体に よる誘電遮蔽および含有イオンによるイオン遮蔽によって減少するからである。 この後者の特性は、もちろん、荷電分子の溶媒和の必要性による制限を受ける。 すなわち、対イオンが存在するために、一般的には高誘電溶媒および限定された イオン強度を必要とするからである。 分離すべき特定の型の荷電粒子に関してこれらの条件に適合する分離媒体は 実験によって最も簡単に決定することができる。DNAなどの生体高分子を分離 するためには、好適な分離媒体は通常の電気泳動において普通に使用される水性 溶媒または水性緩衝液である。あるいは、媒体はホルムアミドのような変性溶媒 でもよい。荷電状態で分子を溶媒和することができ、そして十分な電位勾配が可 能な、例えばDMSO(ジメチルスルホキシド)またはアルコール溶液などの、 その他の有機溶媒もまた使用可能である。さらに、希薄ゲルまたはポリマー溶液 も可能な分離媒体である。 分離器具は構成材料および使用する分離媒体に適合するどの温度でも操作す ることができる。ここにあげるすべての実施例および計算は特に明記しないかぎ り周囲温度がおよそ298°Kでの操作を仮定している。操作温度にかかわらず 、分離媒体を各分離レーン間で均一に保持するするため、熱勾配を最小にするこ とが重要である。これは、分離器具の上部または底部基体、あるいはその両方を 適宜熱シンクまたは熱源と熱接触するように設置することによって達成される。 I型およびII型と称する、図1に示す分離器具の特定の2つの具体例を以下の 分節でさらに説明する。I型器具においては、チャンネル15のような分離レー ンを形成するチャンネルを基体11または12の一方の面にエッチングする。II 型器具においては、基体の一方の上に平行なチャンネル壁を配置することによっ て分離チャンネルを形成する。どちらの具体例においても、電極は基体の一方に 配置される。 5.1.1.I 型器具 図2はI型器具の代表的な具体例の分解図である。器具10は上部基体11 および底部基体12を含んでいる。1以上の分離チャンネル15は、例えばエッ チングまたはマイクロ機械加工によって上部基体11中に製造される。分離はチ ャンネルに沿って起こり、したがって、このチャンネルによって分離方向Sが確 定される。1つのチャンネルの形状は好ましくは幅が約50μmおよび高さが 10μmのほぼ半円から矩形である。より小さい高さおよび幅のものが好ましい 。なぜならば、分析のためにより少量のサンプルが必要とされるからである。幅 は、従来からのゲルを基礎とする電気泳動器具の幅に匹敵するほどの大きなサイ ズまでの範囲でもよい。高さは、発生した電位でオ−状態中に十分粒子を局在化 させられるように、十分小さいものが好ましい。このオン−状態は、分離すべき 粒子を代表する粒子を使用した、与えられた器具の形状についての実験によって 、最も簡単に決定される。各チャンネルは実質的に基体の全長まで伸びており、 これは典型的には1〜10cmであるが、第5.3節および5.4節の設計方法 にしたがって選定される。チャンネル間はできるだけ接近させ、好ましくはその 幅とほぼ同程度の距離とする。上部板11には、以下にさらに記載するように、 図1のローディング口16の穴を製造することができる。この注入口の直径は分 離すべき粒子をレーン内にローディングすることができるように選択される。チ ャンネルは実質的に平行でもよいが、あるいはローディング口近辺での広い間隔 から観測ゾーンでの狭い間隔へと収束させてもよい。2枚の基体を接合すること によって、上部板に製造したチャンネルを密閉し、閉鎖された粒子分離レーンを 形成させる。外部電圧源17と電気接続をするため、電極パッドが露出されるよ うに、上部基体は底部基体に対して凹みを有する。 互いに対面し、互いにかみ合った2つの複数電極であって、複数の電極の組の それぞれが2つの電極パッド13および14の一方に接続されている電極を底部 基体12の平面状の上面に設置する。あるいは、電極を上部基体11の平面状で ない面に設置することができる。電極20および22はパッド13に接続された 複数の電極の代表例であり、電極21および23はパッド14に接続された複数 の電極の代表例である。これらの電極は好ましくは分離軸Sに対して実質的に直 交する方向に伸びている。あまり好ましくはないが、収束する分離レーンの配置 で生ずるように、電極が分離軸および分離レーンに対して傾いているものもある 。傾斜の角度が大きいほど、効果は小さくなり、そして粒子の分離能が悪くなる 。これらの各電極の厚さは、好ましくは約0.1−0.2μmよりも小さく、あ まり好ましくはないが1μmよりも小さいものでもよい。ただし、大きなサイズ のものが必ずしも器具の操作を妨害するわけではない。これらの各電極の幅は、 その主要サイズをR’で示すが、好ましくは約1−2μmよりも小さい。これよ りも大きい値のR’が器具の操作を妨害するわけではないが、R’2のスケール で操作時間がより好ましくない結果になる。主要サイズが約1μmのものは標準 的なマイクロ製造技術で容易に達成することが可能である。好ましくは、電極パ ッド13および14に接続された複数の電極のそれぞれが均一な距離Lをおいて 周期的に配置される。例えば、電極20および22は距離Lだけ離れており、電 極21および23も同様である。好ましくは、複数の電極のそれぞれが互いに間 隔Rになるように配置される。例えば、電極20および21の中心は距離Rだけ 離れており、電極22および23の中心も同様である。好ましくは、RはR’と ほぼ等しく、一方LはR/Lが約0.1よりも小さくなるように選定される。し かし、0.5までの比率のものも使用することができる。選択した製造技術にお いて達成し得る主要サイズR’に関して、最適なR,LおよびR/Lを選定する 方法を、第6.2節に記載する。あるいは、第5.2および5.3節に記載した モデルにしたがって、ある種の様相の粒子分離を最適化するため、R,Lまたは R/Lを分離軸に沿って規則的に変化させることができる。 図3は、器具10の分離方向Sに対して直交する軸3−3に沿った断面図を示 している。上部基体11および底部基体12は、チャンネル15などの3つのチ ャンネルを形成し、これらは密閉されて分離レーンを形成している。代表的な電 極20は、必要ならば好ましくは不動態化層で被覆されて、チャンネルの底部に 沿って伸びている。 図4Aは2つの複数電極をより詳細に図式的に示している。一方の複数電極の 電極20および22は電極パッド13に接続され、他方の複数電極の電極21お よび23はパッド14に接続されている。1つの複数電極内の電極は距離Lだけ 離れている。複数電極の間で互に隣接する電極の中心は距離Rだけ離れている。 各電極の幅はR’である。したがって、電極21と22の隣接する端部間の距離 はL−2R−R’であり、電極20および21(または22および23)の隣接 する端部間の距離はR−R’である。パッド13および14はそれぞれ電位−VO /2および+VO/2に荷電される。VO>0の場合、陽性荷電粒子の分離方向 はSである。VO<0の場合、Sは陰性荷電粒子の分離方向である。 図4Bは、分離レーンに沿って観測した、2つの複数電極によって発生される 電位の大略を理念的に図示している。電位は、パッド13に接続された電極の近 傍の最小値−VO/2からパッド14に接続された電極の近傍の最大値+VO/2 まで変化する、一連のポテンシャルウェルを形成している。この電位は一般的に 鋸歯形で、空間的に周期的であり、ポテンシャルウェルの各周期は均一かつ偏心 的に位置した最小値を有する。各周期は、距離Rで分離された位置36および3 7間の比較的短くてより急激に上昇する部分32と、距離L−で分離された位置 R35および36間の比較的長くてより緩やかに下降する部分を有している。分 離方向、矢印Sは1つの最小点から最も近い隣接する最大点への方向である。す なわち、矢印Sは最小点36から最も近い隣接する最大点37への方向である。 ポテンシャルウェルはこれらの方向においてすべてのウェルについて均一であり 、すべてが同一の方向、ここでは矢印S、に並んでいる。さらに、電極形成部の 近傍の空間でも、このポテンシャルウェルは不動のままであることは明らかであ る。パッドが反対の電位に荷電された場合は、上昇および下降部分が交替する。 各ポテンシャルウェルに関する最小サイズは、分離すべき粒子を数百以上含有 する、好ましい様相によって、一般的に制限を受ける。また、ウェルは含有され る粒子が何ら相関関係なく独立して動くことができるほど大きくなければならな い。荷電生体高分子が分離される、好ましい適用例において、Rが約0.1μ mよりも大きけれは、これは満たされる。 図5は、レーン15などの分離レーン中の分離方向である、図2の軸4−4に 沿った器具10の断面図を示している。分離レーンは上部基体11で上部の、そ して底部基体12で下部の境界が区切られ、これらの基体はHの距離があり、こ れがレーンの高さになっている。レーンの高さは好ましくは10μmに選定され るが、電位がオン−状態で粒子を局在化させるのに十分強いことという制限はあ るものの、より大きな高さも可能である。一般的に底部プレート12上の20, 21,22および23にある電極は分離方向Sに対して実質的に直交し、分離レ ーンに露出して電位を発生する。これらの電極は好ましくは約0.1−0.2μ mより小さい高さd、好ましくは1−2μmの幅R’であり、そして間隔Rは好 ましくは約2R’であるが、より小さな間隔の方が、迅速な分離ができることに なるのでより好ましい。電極は好ましくはR/Lが0.1以下になるように選定 した一定の距離Lで周期的に配置されるのが好ましい。あるいは、あまり好まし くはないが、R/Lを0.3未満とする。効果は劣るが、限界比率0.5(すな わち、対称的なウェル)でも、器具は機能し続ける。 分離の前の粒子のローディングを容易にするため、器具にローディング部を設 置するのが有利である。現行のローディング技術でローディングするのを容易に するため、ローディング部は好ましくはマイクロピペットのサイズである、50 −100μm程度の直径を有する。したがって、分離レーンの幅および間隔にと って、これが好都合な尺度となる。あるいは、好ましいサイズのローディング口 を可能にするため、もっと狭い分離レーンにしてローディング部で広い間隔をと らせることができ、そして観測ゾーンで間隔を狭くするように収束させることが できる。最適な分離能および速度を達成するため、分離前に全粒子が1つのポテ ンシャルウェルの中に引き込まれ、一連のポテンシャルウェル間の間隔は前記の ようにするのが好ましい。 図1のローディング口16についての器具10の拡大および分解図である図6 はこれらの特性を満たすように適合させたローディング部を示している。分離す べき粒子を器具の外部から部位51においてピペット51、または同様な機序で 分離レーン15の内部の部位52に導入する。ローディング口16の下の電極5 4および55はローディング口16の直径の程度まで大きな間隔をとらせている 。粒子のローディング中またはローディング後、電極パッド、したがって電極5 4および55に、全粒子を電極55のごく近傍、部位53に引き付けるのに十分 な時間、電位を与える。十分な時間は、第5.3節に記載したtonの決定と同様 の方法で評価することができる。粒子を引き付けてトラップした後、粒子の分離 を開始することができる。分離すべき粒子の初期分布をより小さくするため、口 ーディング領域に別の電極配置を使用することもできる。例えば、分離開始前に 電極56および55の間の全粒子を局在化させるため、電極56を電極55とは 別により引き付けが強い電位にすることもできる。 5.1.2.II 型器具 図7は分離器具の好ましい態様であるII型器具の代表的な態様の分解図である 。器具10は上部基体11および底部基体12を含んでいる。I型器具と同様の 電極パターンおよび接続する電極パッドが底部基体12の平板状の上面に配置さ れている。あるいは、電極をチャンネル壁が製造された後の非平面部または上部 基体11の下面に設置することができる。 2つの型の器具のただ1つの差異は、II型器具においては2つの基体の一方に 分離方向Sに沿って実質的にまっすぐなチャンネル壁を製造することによって、 分離レーンが形成されることである。図7は、底部基体の上部表面で、あらかじ め製造しておいた電極パターンの上に製造された、分離レーン15を形成するチ ャンネル壁41および42を示している。I型器具と同様に、分離レーンは電極 に露出している。この電極は好ましくは実質的に分離方向Sに直交するか、あま り好ましくはないが、48°未満の傾斜角を有している。分離レーンの形状はI 型器具のレーン寸法と同様の実質的な矩形である。 チャンネル壁が上部および底部基体によって密閉された分離レーンを形成する ように、上部および底部基体を接合する。電圧源17と電気接続するためパッド を露出させるように、上部基体に底部基体に対する食い違い部を持たせる。 図8は、分離方向Sに直交する、図7の軸8−8に沿った器具10の断面図を 示している。上部基体11および底部基体12は3つのチャンネルの境界となっ ている。チャンネル15は基体の1つの表面に製造された壁41および42によ って境界が作られている。代表的な電極20はチャンネルの底部に沿って伸びて いる。 5.2.方法の実施概要 第5.1節で説明したデバイス中に組み込まれる本発明の方法を図9A〜Eに 示す。これらの図は、2つのタイプの荷電粒子の分離、すなわち、91としてよ り大きいロッドによって示されたより大きい粒子タイプと、92としてより小さ いロッドによって示されたより小さい粒子タイプとの分離を示している。電位は 、曲線90で示されている。図9A、9C、および9Eでは時間tonに対して鋸 歯形を仮定し、図9Bおよび9Dでは時間toffに対して平坦形を仮定する。こ れらの粒子が種々のサイズの一本鎖DNA分子である場合、実際には、分子は球 の形状をとる可能性が高くなる。 図9Aは分離の開始を示しており、この時点では、すべての粒子が最も左側の ポテンシャルウェルにトラップされている。図9Bでは、toffに対する電位が 平坦形であり、このときは粒子が分離チャンネルに沿って両方向に均等に拡散す る。拡散は93として略図で示されている。図9Cでは、再び電位が鋸歯形であ ると仮定され、右にドリフトして少なくとも距離Rだけ次のポテンシャルウェル の方向に進んだ粒子は、中間のウェルに誘引されてトラップされる。しかしなが ら、拡散距離がR未満である粒子は、最も左側のもとのポテンシャルウェルに誘 引されてトラップされる。より大きい拡散定数を有するより小さい粒子は、より 小さい拡散定数を有するより大きい粒子よりも遠くまで拡散する可能性が高く、 中間のポテンシャルウェルに達するのは、小さい粒では2つであるが大きい粒子 では1つである。図9Dでは、再び電位が平坦形であり、93および94の両方 のポテンシャルウェルから両方向に均等に拡散する。最後に、図9Eでは、再び 電位が鋸歯形であると仮定され、小さい粒子のうちの1つは中間のポテンシャル ウェルから十分に遠くまで拡散して最も右側のウェルに誘引されてトラップされ 、2つの小さい粒子は中間のポテンシャルウェルの中に存在する。一方、大きい 粒子は十分に遠くまで拡散しないために最も右側のウェルには存在せず、中間の ウェルに大きい粒子が1つだけ存在する。従って、より大きい拡散定数を有する 粒子はデバイスを介して右側まで選択的に移送されることが分かる。 粒子の前進運動の差異は粒子の拡散に基づくものである。ポテンシャルウェル が空間的に定在状態にあって、印加時は最小電位に粒子を誘引する働きのみを呈 する。電位が印加されていないときの有意な拡散に対して距離Rが著しく大きい 場合、粒子はデバイス中で定常状態を保つ。 特に、DNAの拡散定数Dが分子の寸法に依存することが期待されるため、従 って、一本鎖または二本鎖の断片中の塩基の数Nに依存することが期待されるた め、この方法によってDNA分子を分離することができる(Doi et al.,1986,T he Theory of Polymer Dynamics,Clarendon Press,Oxford,p.300)。dsD NAの実測値およびssDNAに対する理論予測値は、水溶液に対する値として 次のように与えられる: 例えば、Weast,ed.,1987,Handbook of Chemistry and Physics,Chemical Ru bber Publishing Co.,Boca Raton,FLおよび第5.4節を参照のこと。 次に、デバイスに対する作動条件についていくつか述べる。電位の分離速度は 電位の偏心率に依存し、偏心率が大きくなるほど分離は速くなる。偏心率とは、 ポテンシャルウェルに対する電位の最小の位置を意味し、電位の最小が最近接最 大に近づくほど電位の偏心率は大きくなる。例えば、同一周期Lを有する一連の 鋸歯形電位では、最も小さいR/L比を有する電位のときに最も速く作動する。 もちろん、Rは、特定の製造技術で得られる構造体サイズR’よりも実質的に小 さくすることはできないし、得られる電位の傾きが分離媒体の破壊電界を超える ほど小さくすることもできない。また、ポテンシャルウェルが少なくとも数百個 の独立移動粒子をトラップできるように、Lを十分に大きくすることが好ましい 。 好ましくは、tonがtoffと比べて適切な範囲内でできるかぎり小さくなるよ うに、電極パッドを横切って印加される電圧Vを十分に大きくすることが必要で ある。しかしながら、電極において実質的な電解が起こるか、分離媒体の破壊電 界を超えるか、または分離媒体の抵抗加熱により分離の分解能が妨げられるほど 大きくしてはならない。 第5.3節には、実質的に横方向の電極を備えた狭いチャンネル中における分 離方法のモデルに基づくR、L、R/L、ton、toff、およびVの選択方法が 提示されている。このモデルにより、実際のデバイスに対する作動パラメータを 所定の範囲内で正確に予測しなければならない。必要な場合には、通常の実験に よる最適化処理によって正確な作動パラメータを決定することもできる。例えば 、DNA分子を分離する場合、既知の長さを有する断片のはしご型構造体を含ん でなるDNA標準を用いてデバイスを作動させることにより、予測される作動パ ラメータを最適化することができる。 本発明の方法は、あらゆるサイズの荷電粒子に適用できる。分離対象となる荷 電粒子は、あらゆるサイズの個々の分子から任意の数および種類の分子の複合体 や巨視的な大きさの粒子までに及ぶ。 5.3.方法の実施の詳細 この節では、本発明の方法の実施について詳細に説明する。この説明では以下 の変数を使用する: L 電位の空間周期。 R 電位の最小から最近接最大までの距離。 (RがL/2よりもどの程度小さいかは電位の各周期の偏心率の測 度である) P 電位の時間的周期(P=ton+toff)。 f 電位の時間的周波数(f=1/P)。 ton 電位が印加されている時間。この間に粒子はポテンシ ャルウェルに誘引されてトラップされる。 toff 電位が印加されていない時間。この間は粒子が自由に 拡散できる。 Q 荷電粒子の電荷。 VO 印加電位差。 T 温度。 D 分離対象となる1つのタイプの荷電粒子の拡散定数。 D+ΔD 分離対象となるもう1つのタイプの荷電粒子の拡散定数(ΔD は拡散定数の差を意味する)。 Neyc 完全分離処理に対する電位の時間的サイクルの数。 Ttot 完全分離処理の合計時間(Ttot=P*NcycおよびNcyc=f* Ttot)。 Vdrift 電位中での荷電粒子のドリフト速度。 Ltot 分離レーンの全長。 第1に、本発明の方法およびデバイスに対する好ましい実施態様を提示する。 第2に、作動パラメータおよびデバイスパラメータを最も適切に選択する方法を 提示する。第3に、本発明の範囲内の模範的な他の作動モードについて説明する 。 5.3.1.本発明の実施態様 この節には、本発明の方法の空間的および時間的変動電位、作動方法のパラメ ータに対する判定基準、ならびにこれらの判定基準から見て好ましい本発明のモ デル、についての説明が含まれる。最初にΔD<<Dと仮定し、続いてΔD≧D の場合を説明する。電位 図10は、本発明で使用可能な電位V(x)を分離軸に沿った距離xの関数と して一般的に略図で示している。この電位は、空間周期Lで空間的に反復される 。このほかに空間周期をもたない電位を本発明で使用することもできる。電位の 各周期に偏心性をもたせ、分離レーンに沿った1つの方向に隣接した最大に電位 の最小がより近接するようにしなければならない。この方向は粒子の分離方向S である。最小と最近接最大との間隔はRで表され、R<L/2である。例えば、 最小1003は隣接の最大1002からL/2未満の距離Rだけ離れているが、 隣接の最大1001からはL/2を超える距離L−Rだけ離れている。すべての 最小は、Sの方向に隣接した最大により近接している。この電位は、デバイスタ イプIおよびIIの電極パターンの近傍で発生する電位にほぼ等しい。 VO>0の場合、図11A〜Dの電位は正に帯電した粒子をSの方向に分離す る。この場合、負に帯電した粒子はデバイスを介して反対方向に移送されるが、 必ずしも分離する必要はない。負に帯電した粒子をSの方向に分離するためには 、電位の極性を反転しなければならない。すなわち、VO<0としなければなら ない。後者の場合、正に帯電した粒子はデバイスを介して反対方向に移送される が、必ずしも分離する必要はない。有利なことに、デバイスの一方の端のローデ ィングゾーンに粒子をローディングし、最初に一方の極性でデバイスを作動させ 、次に逆の極性で作動させることにより、両方の荷電粒子を連続的に分離するこ とができる。しかしながら、DNAの分離に特異的な好ましい実施態様では、す べての粒子が負の電荷を有すると考えられる。 本発明を実施するにうえで、電位の精密な空間配置V(x)は重要でない。重 要なことは、電位が、分離の軸に沿って交互に出現する電位の最大と電位の最小 とをもつことである。ウェルは、ほぼ距離Lだけ離間させる。次に、分離の方向 と反対の方向に隣接した最大よりも分離の方向に隣接した最大に各最小がより近 接するように、すべての最大およびすべての最小を偏心的に配置しなければなら ない。最小と最近接最大との距離はほぼRである。距離LおよびRは、こうした 電位の領域を特徴付けるように便宜的に決められる。本発明の方法は、この制約 条件を満足する任意の電位に適用可能であり、ウェルに誘引される電荷の分離方 向に粒子を分離する。電位が周期的な類似のポテンシャルウェルをもつことが好 ましく、以下の説明ではすべて、空間的周期性を仮定する。しかしながら、空間 的周期性が本発明に必要というわけではない。 最大の分離効率を得るために、すなわち、最小の分離時間とするために、移動 軸を横切る方向に電位が均一であることが好ましい。しかし、電場ベクトルが分 離の軸に垂直な成分をもつ場合、言い換えると、分離の方向に沿った変位に垂直 な成分をもつ場合、本発明の方法およびデバイスの使用効率は低下する。本発明 の実施効率は近似的にcos(θ)である。ただし、θは分離方向に沿った変位に対 する電場ベクトルの角度である。従って、電場と分離方向との間のほぼすべての 相対方向に対して本発明は機能することが分かる。しかしながら、すべての電場 ベクトルが分離の軸に実質的に沿っていることが好ましい。この場合、実質的に 沿っているとは、θが約45〜50°未満であること、すなわち、cos(θ)が約 0.5より大きいことを意味する。 更に、本発明の特定の実施態様において、電位の横方向の不均一性の影響を最 小限に抑えるように作動パラメータを調節することが可能である。例えば、電位 が分離レーンに隣接した電極により発生され、かつ、電位が、例えば、デバイス タイプIおよびIIにおいて、時間toffに対する実質的にオフ状態から時間ton に対する実質的にオン状態へ変化する実施態様では、好ましい分離レーン幅と比 較したときの電極サイズおよび間隔が原因で移動軸の横方向に不均一になる可能 性がある。電位は電極から離れるにつれて減衰するため、ポテンシャルウェルは 電極に最も近いところで最も深くなる。最小の電極間隔よりもレーン幅が大きい 場合および電極がチャンネルを完全に包囲しない場合、電極から最も遠いレーン の側面でポテンシャルウェルが弱くなる可能性がある。しかしながら、このこと は本発明では問題にはならない。なぜなら、第1に、荷電粒子を電極に誘引して トラップするようにtonは最適に選択され、更に、粒子が最長でも電極間隔にほ ぼ等しい距離を拡散するようにtoffは最適に選択されるからである。従って、 分離される粒子は、デバイスの最適作動中、比較的深いポテンシャルウェルの領 域に滞留するため、電極の上の電位の不均一さは実質的に無視できる。また、分 離レーン壁の近傍の電位が乱れる可能性もある。この場合にも、荷電粒子はポテ ンシャルウェルの比較的深い場所に滞留するため、不均一さは実質的に無視でき る。 電位はまた時間的にも変化する。この場合に必要なことは、粒子が空間的ポテ ンシャルウェルに誘引されてトラップされる第1の強さから、最近接ポテンシャ ルウェルへの拡散の確率がゼロではないが粒子が比較的自由に両方向に拡散する 第2の強さまで、電位を変化させることだけである。この確率は0.1%以下の 極めて小さい値かまたはほぼ100%の極めて大きい値であってよい。可能なか ぎり迅速な分離が行えるように最適化を行うことが好ましい。便宜的な都合だけ のために、以下の説明では、時間的変化は周期的で、周期Pおよび周波数fを有 し、オン状態とオフ状態との間で変化するものと仮定するが、これに限定される ものではない。時間tonに対しては電位±VO/2を印加し、時間toffでは電位 を印加しない。従って、時間Tの作動の各サイクル中、電位は時間tonではオン 状態、時間toffではオフ状態である。ただし、ton+toff=Tおよびf=1/ Tである。 本発明の方法は時間的に周期的な2つの状態の電位を用いてをモデル化される が、他の変化を有する電位を本発明に使用することもできる。第1に、時間的変 化が周期的である必要はない。例えば、分離が進むにつれて、時間的周期を体系 的に変化させてもよい。第2に、サイクル中に他の状態が含まれていてもよい。 例えば、パラメータRがより小さい値になるように、各サイクルの開始時にウェ ルの底に粒子をより強く集中させるための状態が含まれていてもよい。電位を時 間と共に連続的に変化させてもよい。方法パラメータの好ましい制約条件 電位がオン状態の場合、ポテンシャルウェルは、分離される荷電粒子を熱じょ う乱に対抗して誘引してトラップすべく十分に深くなければならない。この条件 は、VOが十分に大きく以下の不等式が成立する場合に満足される。 (kbはボルツマン定数である) 電位がオフ状態の場合、1つのウェルの中の拡散定数Dの粒子は、次のポテン シャルウェルに向かって分離の方向に距離Rだけ拡散する確率αDをもたなけれ ばならない。この確率は、有利には、できるかぎり迅速に分離が行われるように toffを最適化することによって決められる。本発明のための好ましいモデルに おいて、この条件は、次式: によって与えられるRとtoffとの関係として表される。ただし、「erfc」は補 充誤差関数である。 更に、電位がオフ状態の場合、拡散定数Dの粒子は、前のポテンシャルウェル に向かって距離L−Rだけ拡散して戻る確率をもつはずであるが、この確率は好 ましくはαD/100未満である。本発明のための好ましいモデルにおいて、こ うした結果は、RとLとαDとが次の条件を満足するときに得られる。 粒子が距離L+Rだけ拡散して次の最近接ウェルより先にあるポテンシャルウェ ルまで達する確率は、距離L−Rだけ拡散して戻る確率よりも必然的に小さい。 これらの条件は容易に満足される。例えば、αD=0.05およびR/L=0 .1の場合、逆方向に拡散する確率は極端に小さい約10-50であり、1つのポ テンシャルウェルを越えて拡散する確率は更に小さい。好ましいモデル 本発明の方法のための作動パラメータおよび本発明のデバイスのための設計パ ラメータを選択するうえで、様々なモデルを構成することが可能である。例えば 、実際に使用される電極により発生される電位の正確な空間的および時間的構造 、ならびにこのような電位に暴露される分離媒体中の荷電粒子の正確な動きは、 電磁気および粒子運動の既知の微分方程式を解くことによって決定することが可 能である。これらの方程式は標準的な方法により数値的に解くことができる(Pre ss et al.,1992,Numerical Recipes in C,2nd ed.,Cambridge Univ.Press, New York(数値解法の解説書))。この代わりに、適切な結果を与える近似モデル を構築したり、実際のデバイスを用いた実験に基づいてパラメータを最適化する ことも好ましい。この好ましい方法によれば、正確なモデルを用いた場合よりも 短時間にかつ低コストで、作動パラメータおよび設計パラメータに対する適切な 精度が得られる。 好ましい近似モデルでは、本発明の方法およびデバイスを、ドリフトを有する ランダムウォークとして記述する。例えば、Wax,ed,1954,Selected Papers on Noise and Stochastic Processes ,Dover Publishers,New Yorkを参照のこと 。ランダムウォーク成分は、電位がオフ状態のときの粒子の拡散によって生じ、 ドリフト成分は、電位がオン状態のときに電位の最小に粒子がトラップされるこ とによって生じる。本明細書中では、距離LおよびRにより特徴付けられる好ま しいほぼ鋸歯形の電位、ならびにローディングゾーン中の1つのポテンシャルウ ェルに初期にトラップされた粒子、を参照しながら好ましいモデルについて説明 する。この場合、電位の各サイクル中の分離の方向へのドリフトはαDLである 。ただし、αDは、拡散定数Dの粒子が距離Rだけ拡散して最近接ウェル中へ入 る確率である。好ましいパラメータ制約条件下では、粒子が後退または前進して 1つのポテンシャルウェルを越えて拡散する確率は無視できる。電位サイクルご との粒子位置の平方偏差は、(αD−α2 D)L2に従って増加する。中心極限定理 によりば、多くのポテンシャルウェルにわたり観測される粒子の濃度プロフィル はガウス分布になる。例えば、Wax,ed,1954,Selected Papers on Noise and S tochastic Processes ,Dover Publishers,New Yorkを参照のこと。 従って、時間tを経た後すなわちtfサイクル後の粒子濃度のガウス分布は< xD(t)>と呼ばれるピークを有し、このピークは次式: で与えられる。粒子濃度のガウス分布の半値幅はδxD(t)と呼ばれ、次式: で与えられる。これらの式により、いくつかのポテンシャルウェルを横切る粒子 濃度の特徴付けがなされる。 電位がオフ状態のときは粒子が自由に拡散するため、αDは、時間toffの間に 右方向に少なくとも距離Rだけ拡散する粒子の部分として計算することができる 。標準的な拡散の理論によれば、これは次式: で与えられる。例えば、Wax,ed,1954,Selected Papers on Noise and Stochas tic Processes ,Dover Publishers,New Yorkを参照のこと。この式において、 補充誤差関数は、次式: で定義される。erfc(x)に対する多項式近似については、Abramowitz et al.,19 72,Handbook of Mathematical Functions,Dover Publishers,New Yorkに記載 がある。αDに対する式7では、各ポテンシャルウェル中の粒子の初期分布は非 常に幅が狭いと仮定する。実際には、電位が有限な幅をもつときに各ウェルの底 にトラップされる粒子の初期密度分布の幅は、電極の幅程度である。しかしなが ら、この差はαDの数値的記述に影響を与えるにすぎない。これは特に式5およ び6のモデルに影響を及ぼすことはない。なぜなら、これらの場合はいずれも、 αDが拡散性Dに関数的にどのように依存するかが分かっている必要があるから である。 このモデルは、異なる拡散性の粒子種が本発明によってどうように分離される かを示す。第1に、式5および7は、より大きな拡散性をもつ種がより小さな拡 散性をもつ種よりも速く分離の方向に移送されることを示している。式5はまた 、異なる拡散性の種の分離が時間tと共にまたは同じようにサイクル数Ncycと 共 に直線的に進行することを示している。第2に、式6は、それぞれの種の濃度プ ロフィルの幅がt1/2と共に増大することを示している。十分な数の電位のサイ クルの後では、それぞれの種に対する濃度プロフィルの分離は任意の種の濃度プ ロフィルの幅よりも速く進行するため、異なる拡散性の種に関連した濃度ピーク は観測できる程度に空間的に分離される。 更に、式7は、分離に必要な時間がデバイスの構造体サイズにどのように依存 するかを示している。種の濃度プロフィルの形状および種の分離の速度は、確率 パラメータαDによって完全に決まる。このパラメータはまた、補充誤差関数の 変数だけに依存するため、構造体サイズRの変化は、時間toffの変化によりバ ランスをとることができ、この変数は不変のままに保たれる。Rは直線的に関与 し、toffは平方根の形で関与するため、構造体サイズRが1/2に減少すると 分離に必要な時間は1/4に減少する。デバイスの全体の長さはRと共に直線的 に増大する(一定のR/Lにおいて)。従って、十分に小さいデバイス長では、 分離はより迅速に行われる。この場合、微細加工技術の進歩を利用して構造体サ イズを減少させれば、デバイスの性能を直接向上させることができる。デバイス は、先に述べた最小、すなわち、分離される粒子のサイズよりも桁数の大きい値 、を越える大きさでなければならない。 図11A〜Dおよび図12A〜Eは、このモデルに従った本発明の実施状態を 示している。図11A〜Dは、1101および1102として略図で示されてい る2つの隣接したポテンシャルウェル中における異なる拡散性の2種の粒子Aお よびBの詳細な濃度プロフィルを示している。ただし、種Bは種Aよりも大きい 拡散性を有する。Rとしても表記されている位置1108は、最小1101に隣 接した最近接電位最大である。図11Aにおいて、電位1107はオン状態にあ り、粒子は初期ポテンシャルウェル1101に誘引され、式2による熱拡散に対 抗して強くトラップされている。種Aおよび種Bの濃度プロフィル1103およ び1104は、各ウェル中でほぼガウス型である。図11Bにおいて、電位はオ フ状態に切り換えられ、分子は、分離媒体中を分子の拡散性に従った速度で両方 向に拡散する。このときには、種AおよびBは、より幅の広いガウス型の濃度プ ロフィル1103および1104を有する。ただし、種Bの方が拡散性が大きい ので、種Bのプロフィル1104の方が幅が広い。プロフィル1103の種Aの 一部分およびプロフィル1104の種Bのより多くの部分は、隣接した最大11 08を越えて拡散する。図11Cにおいて、電位は再びオン状態に切り換えられ 、粒子は再びウェル1101および1102に誘引されて強くトラップされる。 しかしながら、このときには、最大1108を越えて拡散する粒子はウェル11 02にトラップされ、種Aおよび種Bは濃度プロフィル1105および1106 を示す。これらの粒子はウェルを1つ越えて前方にドリフトする。図11Dにお いて、電位は再びオフ状態に切り換えられ、両方の種が両方のウェルから外側に 向けて拡散する。電位の対称性に基づいて、分子の濃度プロフィルは、より大き い拡散性の種がより速く移送されるように選択的に右方向に移動した。 図12A〜Eは、多くのポテンシャルウェルを含むスケールでの本発明のモデ ルの実施状態を示している。これらの図は、ドリフトモデルを用いたランダムウ ォークに基づいく正確な計算から作成したものである。水平軸は分離の方向に沿 っており、30個のポテンシャルウェルを含む。垂直軸は、分離される2つの荷 電粒子種AおよびBの濃度を表している。拡散性の低い方の種Aはバー1201 で表され、拡散性の高い方の種Bはバー1202で表されている。時間tonおよ びtoffは、記載の方法に従って最適に選択される。図12Aは、両方の種が第 1のポテンシャルウェルにのみトラップされている初期状態を示している。図1 2B、12C、12D、および12Eは、それぞれ25サイクル後、50サイク ル後、75サイクル後、および100サイクル後の両方の種の濃度プロフィルを 示している。これらのプロフィルは、中央極限定理に従って、サイクル数が増大 すると多くのポテンシャルウェルにわたりガウス分布するようになる。図12B 〜Eより、種Bが種Aよりも速く右方向に移送され、かつ両方の濃度プロフィル が時間と共に広がりを呈することは明らかである。また、濃度ピークが濃度プロ フィルの広がりよりも速く分かれて移動するために種が分離されることは明らか である。 5.3.2.最適パラメータの選択 方法の作動パラメータおよびデバイスの設計パラメータの最適な選択は、粒子 の分離特性のうちのどれを最適化するかに依存する。この節では、好ましいモデ ルによる分離時間を最小化するための方法について説明する。デバイス、電位、 および粒子移送に関するより多くの詳細な構造を組み込んだより現実的なデバイ スモデルに対しても同じ方法が適用できることは明らかであろう。このほか、好 ましいモデルおよびより複雑なモデルによる類似の方法を用いて、当業者は、例 えば分離の空間的距離など、他の分離特性を最適化することもできる。 好ましい作動パラメータは、電位のサイクル時間ton+toffによって決まる 全分離時間を最小化するように選択される。この節では、第1に、tonおよび関 連パラメータの最適化、第2に、toffおよび関連パラメータの最適化について 説明する。 これらの方法により選択されたパラメータは、必然的に近似的なものである。 実際のデバイスを用いた通常の実験により決定された本明細書中に記載のパラメ ータから、より正確な最適パラメータを決定することができる。更に、任意の方 法により決定された正確な最適パラメータを用いて実際のデバイスを作動させる 必要はない。例えば、利用可能な装置の特性、作動パラメータの設定の誤差など を考慮に入れて、正確な最適値から僅かにまたはかなりずれたパラメータを用い て実際のデバイスを作動させることができることは、当業者には分かるであろう 。最適状態を得るために、決定されたパラメータに近いところでデバイスを作動 させることが好ましいというだけである。 本明細書中に記載の方法は、C、Basic、Fortranなどの適切なコンピュータ言 語への通常の変換を行うことにより、コンピュータプログラムとして実行するこ とができる。このコンピュータプログラムにより汎用コンピュータシステムに指 令を与え、記載のパラメータ選択方法を実行することができる。このようなコン ピュータシステムとしては、例えばIBM PCまたはそれと同等なPCが挙げ られる。 on及び関連パラメータの好ましい最適化onができるかぎり小さくなるように操作及び装置のパラメータを選択するこ とが好ましい。ここで、まず第1に、tonと関連パラメータの関係を示す関係式 が好ましいモデルに従って決定され、第2に、これらのパラメータについての最 適な値を決定するためにこれらの関係式が用いられる。 時間tonは、荷電粒子が、ポテンシャルの影響下で分離方向に、そのポテンシ ャルにおける最大値からそれに続く最小値まで、つまり距離L−Rだけドリフト するための時間である。例えば、図10において、tonは、粒子が1001から 1003までドリフトする時間である。この時間は、次の式から得られる。 なお式中、Vdriftは、そのポテンシャルにおける粒子のドリフト速度である 。 分離媒質中の粒子の運動は過剰減衰されることから、Vdriftは、電位に由来 する力に摩擦係数を乗じたものに正比例し、以下の式から求められる: ここで、ポテンシャルは偏心的でなくてはならないためR<L/2である点に 留意されたい。ドリフトの適切な領域における電界Eは、−VO/(L−R)であ る。摩擦係数γは、変動−散逸の定理により拡散定数に次のように関係づけされ る。 例えば、Wax,ed,15954,Selected Papers on Noise and Stochastic Pro cesses 雑音及び確率過程に関する選択論文集 、Dover Publishers,New Yorkを参 照のこと。これらの式を組合わせて、tonは、以下の式から求められる: 従って、式12により、L−Rがわかっているため、最小値ひいては最も好ま しいtonを計算することができる。さらに、VOは、使用される分離媒質の破壊 電界及び電解しきい値よりも低い残留電界と一貫性のある、できるかぎり大きい ものとなるように選択されるべきである。最大電界Emaxは、ポテンシャルのよ り急な側に沿って発生し、次の式から求められる。 最適には装置をできるかぎり限界電界近くで作動させるべきである。この場合 、tonは、次の式から求められる。 例えば、水の場合、限界破壊電界は約104V/cmである(Avallone et al.e ds.,1987,Mark's Standard Handbook for Mechanical Engineers(機械技 師のためのMarks標準ハンドブック)、マグローヒル、ニューヨークp15〜1 9)。従って、Emax=104V/cmでR=1μmである場合、最大VOは1Vで ある。 off及び関連パラメータの好ましい最適化off及び関連パラメータを最適に選択するためには、拡散率D+ΔDのタイ プから拡散率Dの粒子タイプを首尾よく分離するということが何を意味するかを 規定する必要がある。本節では、ΔDがDよりもはるかに小さいと仮定されてい る。好ましい1つの分離仕様は、装置からの2つのタイプの粒子の濃度ピークの 退出時間の差異が少なくとも濃度ピークの広がりと同じ位大きい時点で分離が発 生するというものである。この場合、2つのタイプの粒子の濃度プロフィールを 経験により区別することが可能である。あるいは別の表現では、2つのタイプの 粒子の濃度ピークの位置差が少なくとも2つのピークのガウスの広がりと同じ位 大きい時間又はサイクル数において分離が発生するということである。例えば図 12A、12B及び12Cで、2つの濃度ピークは、この好ましい仕様に従うと 、分離されているとはみなされない。しかしながら、図12D及び12Eでは、 ピークは分離されているとみなされる。操作パラメータを選択するには、多少厳 しさが増減した代替的な分離仕様を利用することも可能である。厳しさがより少 ない条件であれば、例えば図12Cを、同じく分離されたものとみなす可能性が ある。 この好ましい分離仕様に従うと、分離は、以下の式から得られる時間tDにお いて発生する: ここで、拡散率Dの粒子が装置を横断するのに必要とされる時間である時間tD を経過した後に、装置から退出した時点で、2つのタイプの粒子の濃度プロフ ィールは分離される。 式5及び6から、分離条件を次のように表わすことができる: なお式中、αDは、拡散率Dの粒子がtoffの間に次のポテンシャルウェルまで 拡散する確率である。αDは、ここで便宜上繰返し示す式7によって求められる 。 式16より、拡散率Dの粒子を拡散率D+ΔDの粒子から分離するのに必要と されるサイクル数Ncyc(=tNf)は、次の式から得られる: 差αD−αD+ΔDは、充分に小さなΔDについては−ΔDδαD/δDとして近 似することができる。合計分離時間は、以下の通りである: 好ましい最適なパラメータは、Ttotを最小にするように選択される。操作及 び装置パラメータは、予めtonを最小にするように選択されている。Ttotは、 式19を通して直接toffに左右されると同時に、次にtoffに影響されるαDに Ncycが依存していることから、間接的にもtoffによって左右される。toffの 最適な値を選択するためには、これらの式全てが一緒に最小にされなくてはなら ない。この最小化は、標準的な数値的方法、例えば最小値が見い出されるまでtoff についてのさまざまな値を系統的に試すことによって最も容易に行なわれる 。例えばPress et al.,1992、Numerical Recipes in C(Cの数値的配合表 )、第2版,Cambridge Univ.Press,New Yorkを参照のこと。最適なtoffの選 択例は、DNA断片分離の場合について第5.4節に記されている。 最適なtoff及びNcyc値がひとたび選択された時点で、分離のために必要とさ れる合計装置長は、次の式から得られる: 選択される好ましい最適な数量は、ポテンシャルの空間特性によって左右され る。L及びRの好ましい最適化on及びtoffの前述の最適化では、R及びLが固定されていると仮定してい る。これらの長さを変動させることができる場合、これらは、以前の最適な時間 パラメータの決定を考慮して選択すべきである。まず第1に式14を考慮して、 Lはできるかぎり小さく選択すべきである。第2に、式17を考慮して、Rの2 分の1削減はtoffにおける4分の1の減少を可能にすることから、Rはできる かぎり小さく選択すべきである。第3に、ポテンシャルウェルの充分な偏心率を 得るには、R/L<0.3であることが好ましい。そして第4に、R及びLは少な くとも、選択された製造技術が許容する最小寸法と同じ位大きいものに制限され る。これらのRについての矛盾する要求は、固定されたEmax(Voは変動してい る)をもつ選択された分離媒質について最適なRが存在することを意味している 。 最適化のための好ましい方法において、分離時間Ttotは、結果として得られ る装置のサイズが、選択された製造技術により製造可能であるという制約条件の 下で、L及びRの関数として最小化される。1つの付加的な制約条件としては、 L及びRの各々の値について、電界が破壊電界Emaxよりも小さくなるように、 適用されるポテンシャルVoを選択することが最適であるというものがある。こ のVoの値のため、時間ton及びtoffは、前述したとおり、一定の与えられたL 及びRについて最適なTtotに到達するよう最適な方法で選択される。コンピュ ータ技術の当業者にとっては周知のものである多次元最小化技術を用いて(Press et al.,1992,Numerical Recipes in C(Cの数値的配合表)第2版、Cam bridge Univ.Press,New York)、このときL及びRの最適な対は、この最適化 問題から容易にかつ好ましい形で決定される。 もう1つの方法においては、最適なRは、式14、17、18及び19の技術 的に許容された範囲内での同時最小化によって決定され得る。これは、Press et alからの標準的な数値的技術により実行可能である。あるいは、この最適化は 、以下の単純な検索手順により実行できる。最小許容範囲における初期Rを選び 取り、前述の方法により最適値Ttotを決定する。Rを幾分かの分画だけ、例え ば5%だけ増加させ、最適なTtotの決定をくり返す。Ttotの全ての決定につい て、選択された一定の与えられた分離媒質の中で適用可能なVoの最大値を選択 する。 Rについての低い方の範囲又はRの中間値のいずれかで、Ttotの最小値が発見 されるまで、この反復を続ける。Rの好ましい値は、Ttotを最小にするもので ある。Rを選択した時点で、好ましくはポテンシャルウェルの充分な偏心率を提 供する固定値をR/Lが有するように、Lを決定することができる。好ましくは R/Lは0.3未満であり、より好ましくは約0.1である。 以下のサンプル計算全てについて、特にことわりのない限り、最適値はR=1 μm及びL=10μmであると仮定されている。この周期性をもつポテンシャル が、第5.5節に記述されているもののように、共通のマイクロ製造技術によっ て容易に生成される。 最後に、分離媒質は、分離すべき粒子が媒質内において荷電された状態で懸濁 させられ、懸濁状態で異なる拡散率をもつように選択されるべきである。拡散率 の差が大きくなればなるほど、媒質は好ましいものとなる。さらに、分離媒質が 、その他の適当な媒質に比べ比較的高いEmax及び比較的高い電解電圧をもつよ うその他の点では適当な媒質の中から選択されることが好ましい。ここでは、比 較的高いという語は、その他の点では適当な媒質について少なくとも平均値超を 意味するものと考えることができる。これらの条件は、最小値tonを許容する。 最後に、分離媒質がポテンシャルウェルの遮蔽を最低限にするため低いイオン強 度をもつことが好ましい。 5.3.3.拡散率が大幅に変動する場合 以上の節では、分離すべき粒子が類似した拡散率をもつ場合についての、好ま しいモデル及びそのモデルを考慮した好ましい操作及び装置パラメータの決定に ついて記述してきた。本発明はまた、拡散率が大幅に変動する粒子を含有する混 合物にも適用可能である。 このような混合物を分離するための1つの操作形態は、ton及びtoffがより 高い拡散率の粒子を分離するために最適な短かい時間にある状態で開始すること にある。これらの時間では、拡散率がより高い粒子が急速に分離される。しかし ながら、拡散率のより低い粒子は、はるかに小さいαD値をもち、ほぼ静止状態 にとどまる。より拡散率の高い粒子が分離された後、時間ton及びtoffは、拡 散率のより低い粒子の分離のために最適なより大きな値まで増大させられる。こ のとき、拡散率のより低い粒子はその後急速に分離される。 このような混合物を分離するためのもう1つの操作様式は、拡散率のより低い粒 子に適切なより長いton及びtoff時間を用いるものである。このようなより長 い時間では、拡散率のより高い粒子はより大きなαD値を有し、複数のポテンシ ャルウェルを順方向ならびに逆方向に拡散させる能力をもち得る。前述のモデル では、分離すべき粒子が移動しなかったか又は、せいぜい1つのポテンシャルウ ェルをtoff中に順方向に拡散したかのいずれかであると仮定されたい。しかし ながら、分離すべき粒子のいくつかが、toff中に複数のポテンシャルウェルを 拡散させる場合にっいては、ドリフトを伴うランダムウォークに基づく類似のモ デルを構築することができる。 このようなモデルを構築するためには、拡散率Dの粒子が、自由拡散のため時 間toff中にn個のポテンシャルウェルを拡散させる確率として、αD (n)を定義 づける。式7に類似の仕方で標準的拡散理論に従うと、これらのαは以下の式か ら得られる。 拡散率Dがtoffに比べ比較的小さい場合、αD (1)は急速に式7のαDの値に近 づく。この場合、αD (1)及びαD (0)(粒子が置かれた状態にとどまる確率)は、 唯一の非ゼロαD (n)であり、このことは、粒子が置かれた状態にとどまるか又は 順方向に単一のポテンシャルウェルの間隔だけ拡散するかのいずれかであること を意味する。ただし、拡散率が比較的大きい場合、n=−1、2などについての αD (n)は大きいものとなり得る。 粒子がtoff中に複数のポテンシャルウェルを拡散できる場合において発明を モデリングするためには、パラメータαDを有効な確率の高い拡散距離として定 義づけし直す。 この定義では、ここでも〈XD(t)〉と呼ばれるガウス様の粒子濃度プロフィー ルの最大値の平均的位置は、次の式により求められる: これは、粒子がせいぜい1つのポテンシャルウェルだけ拡散すると仮定された 前述のモデルの式5と同じである。 ここでもδXD(t)と呼ばれる、合計時間tの後の拡散率Dの粒子のガウス様粒 子濃度プロフィール内のばらつきは、その後 から得られる単一サイクルについてのばらつき変化<δXD 2>をtfである時間 t内の拡散サイクル数に乗じたものに等しい。 ここでもまた、この場合ΔDがD以上の大きさを表す拡散率D+ΔDの粒子か らの拡散率Dの粒子の分離の発生を定義する好ましい条件は、濃度ピーク間の距 離が濃度プロフィールの幅の半分以上の大きさでなくてはならないというもので ある。式23及び24から、分離のためのこの条件は、次の式より得られる。 これらの式は、ΔD<<Dである前述の場合と同様、ΔDがおよそD以上であ るこの場合についても同じ結論を可能にする。前述の通り、式21及び23は、 より大きい拡散率をもつ粒子がより小さな拡散率の粒子よりも急速に装置を通っ て移送されること、そして濃度ピーク間の距離が時間と共に線形的に増大するこ とを立証している。式25は、異なる拡散率のピークが分離されることを立証し ている。ここでもまた、濃度ピークの幅でNcycの平方根として増大するにすぎ ないのに対し、濃度プロフィール間の距離がNcycと共に線形的に増大すること から、分離が発生する。さらに、式21の挙動のため、分離時間は、ポテンシャ ルの空間スケールでの2分の1減少毎に4分の1に減少させられる。 さらにtonを最適化する操作パラメータを、前述の場合と類似した仕方で選択 することができる。例えば、Ncycは、次の式により求められる: これは、式18の形態に対応する。従って、Ttotを最小にするtoffは、tof f 中に粒子がせいぜい1つのポテンシャルウェルだけ拡散した前述のケースに類 似した形で式19、21、22及び26の数値的最小化により得ることができる 。 このようにして、より拡散率の高い粒子がtoff中に複数のポテンシャルウェ ルを拡散させるように操作パラメータが選択される場合でさえも、該方法によっ て、拡散率が大幅に変動する粒子の混合物を分離することが可能である。このよ うな混合物を分離するための1つの操作形態においては、サイクル時間ton及び toffを、まず最初に拡散率のより高い粒子の急速な分離のために最適化させ、 次に拡散率のより低い粒子の分離のために最適化されたより大きな値まで漸進的 に増大させることができる。第2の操作形態においては、サイクル時間を最大断 片を分離するように最適化させ、それでもなおより小さな断片のための適切な分 離を提供することが可能である。 5.3.4.代替的操作形態:多数の状態 もう1つの操作形態は、2つの状態ではなく3つの状態を通してポテンシャル をサイクルさせることからなる。これら3つの状態は、以下の段階を含む: 1.ポテンシャルをオンに切替える; 2.オン条件の間に1回又は複数回ポテンシャルを短く反転させる; 3.自由拡散を可能にする。 オン条件の間にポテンシャルを1回又は複数回短かく反転させることは、ポテ ンシャルウェル又は電極にひきつけられた小くて移動度の高い対イオンにより形 成されたイオン2重層からの静電遮蔽を低減させる上で有効であり得る。ポテン シャルの極性が反転させられるいくつかの高速パルスにtonを散在させることに よって、これらの対イオンを移動させ2重層を最小にすることができる。好まし くは、より大きい、移動度のより低い粒子の分布に対し実質的に全く影響のない ものの移動度の高い、より小さい対イオンがポテンシャルウェルから外へ又は電 極から逆方向に移動させられるように、反転周期は充分小さいものである。これ は不等式tpulse<<ton,toffを満たすことで達成される。 もう1つの3状態操作形態では、タイプI及びIIの装置内に存在する2組の電 極の間の第3の電極により作り出すことができるような、各々のポテンシャルウ ェルの底を中心とする急で実質的に対称的なV字形ポテンシャルを伴う第3の状 態が用いられる。本実施形態の電極は、Lという周期性で、相対的位置−R、O 、及びRに位置設定されている。時間tonだけ継続する第1の状態では、相対的 位置Oにある電極はVo/2に荷電され、相対的位置Rにある電極は−Vo/2に荷 電される。時間toffだけ継続する第3の状態では、電極は電荷が全て除去され 、粒子は自由に拡散する。これらの第1及び第3の状態は、前出の節で記述され た操作形態の2つの状態と同一である。付加的な第3の中間状態においては、相 対的位置−R及び+Rにある電極は+Vo/2に荷電され、相対的位置0にある中 間電極は−Vo/2に荷電される。こうして、粒子を密に局在化する狭いV字形の ポテンシャルウェルが作り出される。 これは、いずれかの側に急な壁をもつポテンシャルウェルの底で粒子のための より強くより狭いトラップを提供することができることから有用なことである。 これは、各ポテンシャルサイクル中の各々のウェルの中に、ほとんどない位に薄 い好ましい分布により近い密度分布を生成することになる。 5.4.DNA分離への応用 本発明の重要な利用分野は、(生体高分子断片を含む)生体高分子、特にDN A(例えばcDNA、ゲノムDNA、合成DNA)及びRNAのような核酸を分 離することにある。DNAの拡散率はほぼ全面的にDNA分子内のヌクレオチド の数に左右されることから、この分野における利用が可能になっている。さらに 、実質的ではないが、合計塩基組成、すなわちdsDNAについてはA+T対G +Cの比率に対する拡散率の依存性も存在する。 必要とされる分離分解能は、DNA分離の利用分野によって異なり、単一塩基 対の分解能から合計DNA長の10%以上という大きい分解能にまで至る。例え ば、恐らくは比較的親しみのある利用分野であるDNA配列決定のためには、D NAは一般に単一塩基又は塩基対の分解能で分離されなくてはならない。このよ うにして、標準配列決定反応により生成されたDNAのアリコート(例えばF.S anger et al.,1977,Proc.Natl.Acad.Sci.USA74;5463;M.Maxa m et al.,1977,Proc.Natl.Acad.Sci.USA74:560)を、本発明 の分離方法に付すことが可能である。サイズ評価(選別)と呼ばれるDNA分離 のもう1つの利用分野では、断片長のわずか±5%又は±10%の分解能が必要 とされる。サイズ評価は、RFLP決定、遺伝子型決定、連鎖分析、マイクロサ テライト分析及びその他の断片分析の利用分野のために生成されうるようなDN A混合物内のサイズのパターン又は指紋を迅速に生成するために使用される。 5.4.1.DNAの拡散率 操作及び装置パラメータの選択のために用いられるssDNA及びdsDNA の拡散定数は、ストークスの法則から推定するか又は実験により得ることができ る。ストークスの法則の粒子の拡散定数は次の式から得られる: なお式中、Tは温度、ηは分離媒質の粘度(例えば、水については0.01g m/cm秒)、Γは有効粒子半径である(Doi et al.,1986,The theory of Polymer Dynamics ,Clarendon Press,Oxford,p300)。 変性ssDNAといった球形粒子については、Γは回転半径として識別される 。スケーリング論が、重合体様のssDNAの輪郭長さと回転半径を関係づけて い 参照のこと)。dsDNAといったようにa>>直径bである長い円筒について おいては、この近似を伴うストークスの法則の拡散定数は、以下の式から求めら れる: なお式中、直径b=10Åであり、長さa=3NÅである。温度Tは、全体を 通して298°kであると仮定される。 拡散定数についての実験式が好ましく、以下では全体を通してこれが用いられ ている。水中室温でのdsDNAの拡散率は、以下の式から近似的に、実験によ り求められる: なお式中、Nは塩基対の数である(Weast,ed.,1987,Handbook of Chem istry and Physics,Chemical Rubber Publishing Co,Boca Raton,FL,p11 7)。観察上、Nに対する逆依存性が、式31中の比較的弱い1n(N)項を支 配している。ssDNAについては、拡散率は、理論的に次の式から得られると 仮定される。 Nでのスケーリングは、Dが有効半径の逆数により左右されることを予測する ストークスの法則から演繹される。有効半径は、ssDNA拡散が、N0.59とい った塩基数により有効半径が左右される自己回避ウォークに似ているとみなすこ とから演繹される。例えばDoi et al.,前出、を参照のこと。 5.4.2on及びtoffの最適な選定 最適なtonの好ましい決定 ポテンシャルウェルの中でDNA断片を誘引するのに必要な時間であるtonは 、tonについての式12又は14とDNAの拡散定数についての式32及び33 を組み合わせることによって決定することができる。DNA上の電荷Qは、ss DNAについて−N|e−|そしてdsDNAについて−2N|e−|であり、 ここでNは塩基又は塩基対の数であり、|e−|は電子の電荷の絶対値である。 ボルト単位のVo及びμm単位の(L−R)を用いて、tonが以下の式から求め られる: oが水の破壊電圧として選択される場合、tonは、L及びRがμm単位であ るものとして以下の式から得られる: 表2は、L=10μm、R=1μm及びVo=1Vの場合の装置についての秒 単位のtonを示す。好ましい、最も高速の分離については、tonはできるかぎり 小さいものとして選択されるべきである。 時間tonは、ポテンシャルの空間スケール(R及びL)と共に線形的にスケー リングする。これは、ssDNA及びdsDNAについてのNと共に異なる形で スケーリングする。ssDNAについては、駆動力が分子長と共に線形的に増大 するものの拡散率はより低速で減少することから、tonは分子長の減少関数であ る。dsDNAについては、分子長に対する駆動力の依存性が断片長に対する拡 散率の依存性を正確に取消すことから、tonは分子長とは無関係である。 最適なtoffの好ましい決定 好ましくは、最適なtoffは、合計分離時間Ttotを最小にするように選定され る。Ttotは、Ttotについての式19をNcycについての式18と組合わせるこ とによって得られる。 D及びtoffに対するαDの依存性は、式7から得られ、これはここで繰返して 示される。 Dは、式32及び33に従って、分離されるべきDNA内の塩基又は塩基対の 数であるNによって左右される。 Ttotを最小にするため、パラメータtoffはTtotについて最小値を得るべく 系統的に変動させられる。パラメータtoffは、Ttotを最小にする値となるよう に最適な形で選定される。 これらの関係式、特に式33,34及び35に従って本発明のためのDNA分 離のパラメータを計算するためのC言語でのプログラム例が第8節に記述されて いる。入力には、分離されるべきDNA分子についての長さRとL,長さN及び N+ΔN,そしてssDNAとdsDNA間の選択が含まれる。電圧Voは、水 の破壊電界及び水の電解が起こる過剰ポテンシャルと一貫性のある最大値となる ように自動的に選定される。プログラムは、その他の分離媒質に適当なこれらの パラメータの値について変更することができる。プログラムは、最適なTtotを 見い出すため系統的にtoffを変動させる。出力には、最適な操作条件ton及び toff及びNcyc及びTtotを含む操作のさらなる詳細が含まれる。出力には同様 に、最適値のまわりの範囲内にこれらの数量の値を含有するファイルも含まれて いる。このプログラムは、C言語コンパイラ及びランタイムシステムを内含する あらゆるコンピュータシステム上でコンパイルし実行することができる。当業者 であれば、このプログラムを、その他の類似の言語をもつコンピュータシステム 上での実行のためにこのような言語に翻訳することができる。 図13は、プログラムを用いたtoffの最適な選定の一例を示す。Ttotは、長 さ100のdsDNA分子が水性分離媒質内の長さ105のものから分離される ことになる、L=10μm及びR=1μmを有するポテンシャルについてのtof f を用いて、数値的に評価される。図13は、これら2つの数量の間の関係につ いての、結果として得られたグラフを示している。図13から、toffについて の最適な選択が0.10秒であり、これが6.8分の最適な合計分離時間を生み出 すということは明白である。 表3は、さまざまなDNA分子長及び必要とされる分離分解能についての類似 の最適化の結果を提示している。全てのケースにおいて、分離は、L=10μm 及びR=1μmを有するポテンシャルで、水性媒質中でのものである。 図14は、多数のこのような最適化計算の要約をグラフで示している。グラフ の水平軸は、分子長の百分率として表わされた望ましい分離分解能を表している 。垂直軸は、分単位の所要合計分離時間Ttotを表わす。グラフは、ssDNA 及びdsDNAについての2つの分子長100及び500に必要とされる分離時 間を示している。ここでもまた、全ての分離は、L=10μm及びR=1μmを 有するポテンシャルで水性媒質中でのものである。 図14から、分離が、1%以下の分解能を必要とする配列決定の場合に比べ、 5〜10%の分解能しか必要としないサイズ評価の場合はるかに高速であるとい うことが明白である。図14から、必要とされる分解能の10という係数での変 化がTtotの100という係数での変化を導く。例えば、5塩基の分解能(5% )による長さ100の分子の分離は、1塩基の分解能(1%)による長さ100 の分子の分離よりも25倍速く実行できる。従って、この装置を用いると、DN Aの迅速な配列決定及びきわめて迅速なサイズ評価が可能であるということが明 らかにわかる。例えば、分離媒質を変更するか又は温度を上昇させることによっ て、装置のサイズを削減し拡散率を増大させると、その装置の分離時間は短縮さ れる。 5.4.3−ポテンシャルの偏心率 この節では、分離時間が速くなればなるほど偏心率の高いポテンシャルが好ま しくなるということの実証例について記述する。10μmという固定した周期長 Lをもつもののポテンシャルウェルと最も近い隣接する最大値の間の距離Rが変 動するポテンシャルについて、最適な分離パラメータが計算される。より小さい R/L比というのは、ポテンシャル最小値が各々のポテンシャルウェルの中によ り高い偏心率で置かれていることを意味する。表4は、水性媒質内の単一塩基分 解能(1%)で長さ100のssDNA断片の分離のために行なわれた計算の結 果を示す。全てのケースにおいて、Vo=2Vが用いられる。 R/L比が減少するにつれて装置の性能は増大する。すなわち合計分離時間は 減少する。 5.5.タイプI及びIIの装置のマイクロ製造 本発明の方法に従って作動する装置は、分離の利用分野に適切でしかも前述さ れた最小サイズと一貫性のあるいかなる物理的サイズのものであってもよい。装 置が荷電された生体高分子断片をできるかぎり高速で分離するような好ましい実 施形態においては、物理的サイズは、一般に製造技術が許容しかつ意図された分 離媒質が許すかぎり小さいものであることが好ましい。本節では、約2ボルトの 電位差が適用される水性分離媒質に適したタイプI及びIIの装置について、標準 的マイクロ製造技術を用いた製造方法の例を紹介する。本発明は、その他の技術 に従った製造及びその他の寸法の装置を内含することから、これらの方法は一例 にすぎない。 タイプI及びIIの装置例のサイズは、分離軸に沿って約1cm〜10cmであ り、分離軸に対し横方向に約1cm〜10cmである。装置内のチャンネルは、 幅約30〜50μm、深さ10μm,で100μm毎に離隔され、隣接するチャ ンネル間の離隔距離は約50μmである。各複数セットの中の電極は、約20μ m離隔され、すなわちL=20μmであり、幅は約0.8〜1μmである。各複 数セットの中の電極は、ほぼその幅の分だけ相対的に移動させられる。すなわち R=0.8〜1.0μm。各複数セットの中の電極は、外部の電圧源に対するリン クのため装置の縁部で電極パッドに接続されている。 記載のある場合を除き、以下のマイクロ製造計画は、両方のタイプの装置に同 等に適用される。記述されている方法は、マイクロ製造技術において標準的なも のである(Sze,1988,VLSITechnology,McGraw Hill,New York) 5.5.1.基板 該装置にとって好ましい基板は、ソーダ石灰ガラスといったようなガラスであ る。代替的な基板としては、溶融シリカ、ホウケイ酸塩、石英、パイレックス及 びポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミドな どといったプラスチックが挙げられる。ガラス基板の寸法は、約1〜10cm× 1〜10cmであり、厚さは1〜5mmである。ガラス基板の適切な供給源は、 ソーダ石灰ガラスの顕微鏡用スライド、例えば75×50×1mmのスライドで ある(Fisher Scientific社カタログ番号12−550C)。 その他全てのマイクロ製造段階に先立ち、基板を清浄しなくてはならない。ガ ラス基板については、これはH2SO4/H22の熱浴中に基板を浸漬させ、10 分間H2O中で洗浄し、再びH2Oで洗浄し、約150℃のオーブン中で10分間 乾燥して吸着された水を除去することによって行なうことができる。 5.5.2.電極製造 装置のための電極はさまざまな金属から製造することができる。好ましい金属 は、Al、Ag、Au及びPtである。容易に利用可能なCMOS鋳造工場を使 用できる点でAlが有利であるが、これは、貴金属に比べ電解変質を受けやすい という点で不利である。これらの金属のための代替的電極製造方法が記述されて いる:すなわち、エッチングを用いて全ての好ましい金属に適した第1の方法、 Ptに適した第1の代替案そしてAuに適した第2の代替案である。 第1の方法又は第1の代替的方法を用いた電極製造に先立ち、フォトリソグラ フィーのためのパターンマスクが製造される。図15は、マスクの一例を例示し ている。1501、1502、1503及び1504にあるような電極は、分離 軸Sに対し実質的に横方向に配置されている。各々の電極は、幅が約1μmであ る。電極は、2つの複数セットを形成し、各セットの電極は、電極パッド150 5及び1506のうちの1つに接続されている。これらのパッドは巨視的規模で 約0.1mmであり、外部電圧源に対する接点として役立つ。各複数セットの電 極は、距離Lで周期的に間隔どりされ、互いに対し距離Rだけ移動させられてい る。これらの寸法のマスクが、標準的なマイクロリソグラフィー技術を用いて容 易に製作可能である。例えば、石英表面上に被着したクロムを選択的に除去する ことにより適切なマスクが得られる。クロムは、例えば、パターン生成プログラ ムのために入力を提供する計算機援用設計を用いて除去される。入手可能である ならば、より小さな特長サイズが好ましい;ここで用いられるサイズは一例にす ぎない。 電極を製造するための第1の方法は、電極を支持するべき基板の側面上に選択 された金属の均等厚さ1μmの層を被着させることから始まる。金属は例えば物 理蒸着、化学蒸着又はスパッタリングにより被着させることができる。このとき 、金属層の上にポジ型フォトレジストがスピンコーティングされ、ソフトベーク により安定化される。マスク上の特長は、UV光を照射することによりフォトレ ジストに転写され、光に露呈された無保護領域は適切な溶剤により溶解させられ る。存続するフォトレジストは、高温でのハードベーキングにより、所定の場所 に固定される。 電極は、フォトレジストにより保護されていない金属領域をエッチングするこ とによって生成される。Al電極については、エッチングは、Cl2蒸気に表面 を露呈することによって達成できる。Cl2分子は表面上のAl原子と反応して AlCl3を生成し、このAlCl3は、揮発性で表面から離れる。Au及びAg 電極については、アンダカットがμmスケールの電極を破壊することになるため 、ウェットエッチングは好ましくない。これらの特長は好ましくはAr+イオン ミリングを用いてエッチングされる。この方法では、Ar無線周波数プラズマか らのAr+イオンが表面内へと加速され、物理的衝撃によるエッチングをひき起 こす。ミリングにより、マスク寸法を保つまっすぐな側壁を伴う電極を製造する ことが可能となる。 エッチングの後、残りのフォトレジストは基板の表面から除去され、電極を支 持する表面は、その後の処理のため清浄される。 Pt電極に適した第1の代替的方法は、標準的なマイクロ機械加工技術を用い る。製造は、蒸発システムを用いた厚さ10nmのTiの被着から始まる。のT i層は、その後のpt層とガラスの間の付着層として作用する。次に、厚さ10 0nmのPt層が、Arイオンスパッタリングシステムを用いてTiの上面に被 着させられる。電極は、フォトリソグラフィー及びエッチングを用いて金属層の 中に構成される。このプロセスは、Ptの上面にフォトレジストをスピンコート し、上に電極パターンをもつフォトリソグラフィーマスクを通してUV光にフォ トレジストを露呈することから始まる。次に、現像剤の中でフォトレジストの露 光部域を溶解させて除去し、電極パターンを構成する未露光領域を残すことがで きる。フォトレジストは、保持されるべき金属の部域を保護することになる;金 属の残りの部分は、イオンミリングを用いて除去される。ミリングプロセスにお いては、正に荷電されたAr+イオンが電気的に加速されて金属の表面に衝突し 、層を物理的に腐食する。このエッチングがひとたび完了すると、フォトレジス トはアセトンで溶解されて、仕上った電極を残す。 Auに適した第2の代替的方法は、マイクロ密着焼付け法(μCP)を用いる (Xia et al.,1995,J.Am.Chem.Soc.117:3274−3275;J ackman et al.,1995,Sciece269:664−666)。フォトリソグラ フィーマスクの代りに、同じ寸法の同一パターンに従って作られたエラストマス タンプが用いられる。図16A〜Bは、パターン例を示す。スタンプはポリジメ チルシロキサンから製造できる。前述のものと同様に、Auは、標準的方法を用 いて基板の表面上に1μmの厚さに被着させられる。次に、エラストマスタンプ はアルカンチオールで湿潤化され、金表面に押しつけられる。適当なアルカンチ オールは、CH3(CH2)15SH(Kumar et al.,1994,Langmuir10:14 98−1511)である。金表面上のパターン化された自己組立式アルカンチオ ール単層の制御された展延は、水中での焼付けを行なうことにより達成できるが 、これにはさらに、予測可能な形で特長サイズを収縮するという利点がある。ス タンプ及び基板は水から除去され、N2ガスを用いて乾燥され、次に基板からス タンプが除去される。無保護の金は、酸化剤として空気又は酸素を用いて激しく 撹拌しながらシアン化物溶液(0.1MのKCN,1MのKOH)の中に浸漬さ せ ることによって除去される(Kumar et al.,前出)。充分にすすいだ後、表面か らアルカンチオールを除去して、複数組の金電極を生成する。 5.5.3.タイプIの装置のチャンネル製造 タイプIの装置のチャンネルは、ガラス基板をウェットエッチングすることに より製造できる。チャンネル製造に先立って、フォトリソグラフィーマスクを構 築しなくてはならない。図16Aは、1つのマスク例を示している。チャンネル は、そうでなければ不透明なマスクの上に、1601及び1602にあるように 透明な筋により構成される。各筋の幅Cは、望ましいチャンネル幅から、エッチ ングプロセス中に予想されるあらゆるアンダカットを差し引いたものである。記 述されているプロセスについては、予想アンダカットは8〜10μmであること から、幅40μmの筋は、望ましい最終幅が55〜60μmのチャンネルを製造 する。筋の間の幅Wは、望ましいチャンネル間隔に予想されるあらゆるアンダカ ットを加えたものである。 図16Bは、代替的チャンネル幾何形状を例示している。ここでチャンネル1 606といったチャンネルは、全体として1603で表わされている負荷ゾーン の広い間隔から、全体として1605で示されている検出ゾーンの狭い間隔まで 収束する。負荷ゾーン1603内の間隔が広いために、チャンネルは、チャンネ ル間の望ましい間隔よりも大きい直径の1604といった注入ポートを収容する ことが可能となる。図16Bは、断片状の直線チャンネルを例示しているが、例 えば曲線といった代替的なチャンネル幾何形状も本発明に適合させることができ る。 適当なフォトリソグラフィーマスクは、石英表面上に被着されたクロムを選択 的に除去することによって製造可能である。例えばクロムは、パターン生成プロ グラムへの入力として役立つ計算機生成設計を用いて除去される。 チャンネル製造は、ガラス基板上にポジ型フォトレジストをスピンコートする ことから始まる。基板を5分間ヘキサメチルジシラザン蒸気に露呈し、フォトレ ジストでスピンコートし(Microposit S1400−31,Shipley,Newton,MA )、90℃で0.5時間加熱することによりフォトレジストを安定化させること によって適切なフォトレジスタが生成される。マスクは、コーティングされた ガラス基板全体にわたり整列させられ、パターンは,UV光を用いてフォトレジ スト上に刻印される。UV光に露呈されたフォトレジストの領域は、溶解され (H2OとMicroposit現像剤濃縮物の1:1混合物、Shipley)、存続するフォト レジストは、150℃で1時間ベーキングすることによって定着させられる。 あるいは、チャンネルを、Cr層を用いてガラス基板内に構成することもでき る。このプロセスは、ガラス上に厚さ100nmのCr層を蒸発させることで始 まる。製造すべきレーン全体にわたるCr層はこのとき、フォトリソグラフィー とエッチングを用いて除去される。 次に、基板の無保護部域は、水性NH4/HFエッチング溶液(BOE5:1と BOE10:1の1:1混合物、J.T.Baker,Phillipsburg,NJ)にガラス チップの表面を露呈することによってウエットエッチングされる。20分間のエ ッチングで、深さ10−〜10nmのチャンネルが製造され、各々の側でフォト レジストが8〜10μmずつアンダカットされる。従ってパターン化用マスク上 の40μmの特長サイズは、55〜60μmという例示的な幅のチャンネルを生 成する。エッチングの後、フォトレジスト又はCr層は、例えばガラスの場合、 前述のような高温H2SO4/H22を用いた清浄により、基板から除去される。 5.5.4.タイプIIの装置のチャンネル製造 タイプIIの装置のためのチャンネルが、好ましくは、電極の上面に製造される 。あるいは、これらのチャンネルはその他の基板の上面に製造することもできる 。まず最初に適切なフォトリソグラフィーマスクが製造される。このようなマス クは一般に、次の3つの点を除いてタイプIの装置のチャンネルの場合と類似し ている。すなわち、第1にこのマスクは、各々のチャンネルの筋を形成する2つ のチャンネル壁を構成する。第2に、チャンネル壁は透明な筋により構成され、 マスクの残りの部分が不透明な状態となる(ネガ型マスク)。第3に、この方法 ではいかなるアンダカットも予想されていないことから、マスクの寸法は、意図 されたチャンネル及びチャンネル壁の寸法と正確に一致していなくてはならない 。 その後、チャンネルは、まず最初に約10μmの深さまで基板の表面の上にU V感応性ポリアミド溶液をスピンコートすることによって製造される。ポリアミ ドはUV光に露呈された領域内で所定の位置にとどまり、そのためフォトリソグ ラフィーマスクをネガ画像にすることが必要となる。マスクパターンは、UV光 を照射することによりポリアミドフォトレジスト上に刻印される。マスクの透明 な部分の下のポリアミド層の領域は、UV放射線による架橋によって安定化され る。ポリアミド層の残りの部分は、適当な現像剤で溶解される。架橋は、現像及 び硬化段階の間、保持されるまっすぐな側壁を形成する。次に、ガラスチップを 約150℃でハードベークしてポリアミド層を硬化させる。こうしてチャンネル のマクロ製造が完了する。 5.5.5.注入ポートの製造 望ましい場合、電極パターンを支持していない基板の中に注入ポートを製造す ることができる。注入ポート用の穴は、レーザ又はダイヤモンドチップ付きのド リルビットのいずれかで穴あけ加工することによって製造できる。好ましくは、 加工穴は、マイクロピペットチップによるサンプルの注入を可能にするようにサ イズ決定され、従って500μmが適切なサイズである。注入ポートの好ましい サイズは、チャンネル間の好ましい間隔の5〜10倍であることから、移動及び 検出領域における密に間隔どりされたチャンネルのためには、図16Aのまっす ぐなパターンよりも図16Bの収束するチャンネルパターンの方が好ましい。 5.5.6.基板の溶融 装置内に閉じた分離レーンを作り出すため、チャンネルを伴う基板及びその他 の基板を合わせてボンディングしなくてはならない。最初に、両面を徹底的に清 浄し、次に接触させる。タイプIの装置については、温度は約500〜600℃ のアニール温度まで着実に上昇させられ、このアニール温度で数時間保持され表 面の良好なボンディングを確実にする。タイプIIの装置については、平坦なシリ カプレートが約200℃のより低い温度でチャンネルのポリアミド表面に溶融さ せられる。 6.実施例 6.1.一本鎖DNAの分離 第5.3節に記述されている本発明の好ましいモデルを用いて、分離装置の挙 動を計算する。以下の装置設計パラメータを仮定する:L=10μm、R=1μ m、長さ1cm、電位差1V及び水性分離媒質。100塩基ssDNAを分離す る上で2塩基分解能を提供するため最適なものとして、ton=1msec及びtoff =60msecを計算する。合計分離時間は60分である。これらの設計及び操作パ ラメータを用いて、長さ10、20、30、40、50、60、70、80、9 0及び100のssDNA断片の混合物について(Research Genetics,Hunstvi lle,Alから入手可能な標準的10塩基配列決定用梯子として知られている)、 装置の挙動を計算する。 図17は、装置の予測される挙動を例示している。水平軸は、増大する合計分 離時間を記録し、垂直軸は、装置から退出するDNAの濃度を記録している。こ のグラフは、分離時間の関数として、装置から退出するDNAの予測された濃度 を例示している。DNA断片が全て明確に分離可能でなくてはならないというこ とは明白である。 7.特定の実施形態、参考文献の引用 本発明は、本明細書に記述した特定の実施形態により範囲が制限されるべきも のではない。実際、本明細書に説明されているものに加えて、以上の説明及び添 付図面から、当業者には本発明のさまざまな修正が明らかになることだろう。こ のような修正は、添付のクレームの範囲内に入るものと意図されている。 本明細書にはさまざまな刊行物が引用されており、その開示は全体が参考とし て内含されるものである。 8.最適パラメーターを選択するコンピュータープログラム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/26 301Z (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU, CZ,EE,GE,GH,HU,IL,IS,JP,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LT,LV ,MD,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL, RO,RU,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,T T,UA,UZ,VN,YU (72)発明者 ディーム,マイケル,ダブリュ. アメリカ合衆国 02139 マサチューセッ ツ州,ケンブリッジ,ハイランド アベニ ュー 14番 24 (72)発明者 マルハーン,グレゴリー,ティー. アメリカ合衆国 06405 コネチカット州, ブランフォード,ハリソン アベニュー 45,アパートメント 1番 (72)発明者 ウェント,グレゴリー,ティー. アメリカ合衆国 06443 コネチカット州, マディソン,スコットランド アベニュー 25

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.分離媒体中の荷電粒子を空間的変動および時間的変動を有する電位に曝す工 程を含む荷電粒子を分離媒体における分離の方向に沿って分離する方法であって 、 前記空間的変動が分離の方向に沿って配置された複数のポテンシャルウェル(p otential wells)を含むものであり、そして 前記時間的変動は、荷電粒子が前記ポテンシャルウェルの最低部分に誘引され るオン状態および荷電粒子が前記分離媒体中に拡散することができるオフ状態の 少なくとも2つの状態との間の反復変動を含むものである、前記方法。 2.曝す工程の前に、さらに、荷電粒子を分離媒体中にローディングする工程を 含む、請求項1に記載の方法。 3.前記の各ポテンシャルウェルが、隣接ポテンシャル最高部分に対して偏心的 に配置されているポテンシャル最低部分を有するものであり、前記ポテンシャル 最低部分が、分離の方向にあるポテンシャル最高部分に、その他の前記隣接ポテ ンシャル最高部分よりも接近している、請求項1に記載の方法。 4.前記電位が電場を発生させるものであり、該電場が分離の方向に実質的に平 行である、請求項1に記載の方法。 5.前記電位が分離の方向に垂直な方向に実質的に一様である、請求項1に記載 の方法。 6.前記ポテンシャルウェルが固定空間位置にある、請求項1に記載の方法。 7.前記電位の前記空間的変動が、ポテンシャル最高部分とポテンシャル最低部 分の交替(alternating)を含み、前記の各ポテンシャルウェルが1つの前記ポテ ンシャル最低部分および2つの前記隣接ポテンシャル最高部分を含むものである 、請求項1に記載の方法。 8.前記電位の前記空間的変動が一般的に鋸歯形である、請求項7に記載の方法 。 9.前記電位の前記時間的変動が、前記電位の前記空間的変動が存在するオン状 態および前記電位の前記空間的変動が存在しないオフ状態の2つの状態間の反復 交替(alternations)を含むものである、請求項1に記載の方法。 10.前記電位の前記時間的変動が、前記オン状態、ポテンシャル最低部分が前 記オン状態におけるものよりも狭くて深い第3の状態、および前記オフ状態の少 なくとも3つの状態間の反復交替を含む、請求項1に記載の方法。 11.前記電位の前記時間的変動が、前記オン状態、該オン状態中に1回以上点 在し、電位が実質的に高移動性の対イオンのみに作用するのに十分な短いパルス 幅で反転する第3の状態、および前記オフ状態の少なくとも3つの状態間の反復 交替を含む、請求項1に記載の方法。 12.前記オフ状態の持続時間が、荷電粒子が分離方向にある隣のポテンシャル ウェルのみに拡散することができるような時間である、請求項1に記載の方法。 13.前記オフ状態の持続時間が、荷電粒子のいくつかが1以上のポテンシャル ウェルを横切って拡散することができるような時間である、請求項1に記載の方 法。 14.前記オン状態の持続時間が、前記の各ポテンシャルウェルに存在する実質 的に全ての荷電粒子を、前記の各ポテンシャルウェルのポテンシャル最低部分に 誘引し、トラップするのに十分な時間である、請求項1に記載の方法。 15.荷電粒子の分離中、前記時間的変動が一定振動数を有する、請求項1に記 載の方法。 16.荷電粒子の分離中、前記時間的変動が変化する振動数を有する、請求項1 に記載の方法。 17.前記分離媒体が、分離される粒子がその分離媒体に懸濁された場合、該粒 子が荷電し、異なる拡散率を有するようなものであり、荷電粒子はその異なる拡 散率にしたがって分離されるものである、請求項1に記載の方法。 18.分離媒体が液体である、請求項17に記載の方法。 19.分離媒体がゲルまたは気体である、請求項17に記載の方法。 20.分離媒体が、分離される粒子が荷電し、異なる拡散率を有するような複数 のその他の分離媒体と比較して、比較的高い電気的分解電圧を有する、請求項1 7に記載の方法。 21.分離媒体が、分離される粒子が荷電し、異なる拡散率を有するような複数 のその他の分離媒体と比較して、比較的高い破壊電界(electric breakdown fiel d)を有する、請求項17に記載の方法。 22.荷電粒子が生体高分子である、請求項1に記載の方法。 23.生体高分子が1本鎖または2本鎖DNAである、請求項22に記載の方法 。 24.荷電粒子をローディングした後、該荷電粒子を前記の変動電位に曝す前に 、さらに、荷電粒子を誘引し、トラップするローディングゾーンポテンシャルウ ェル中に荷電粒子を誘引し、トラップする工程を含む、請求項1に記載の方法。 25.前記時間的変動が、荷電粒子の分離に必要な時間を最小にするように選択 される、請求項1に記載の方法。 26.前記空間的変動および時間的変動が、荷電粒子の分離に必要な時間を最小 にするように選択される、請求項1に記載の方法。 27.(a)分離媒体を含有することが可能な1以上の分離レーン;および (b)前記の1以上の分離レーンに電位を生じさせることが可能なように位置 が定められており、ここで該電位は時間変動振幅(time-varying amplitude)をも つ定在的空間パターン(stationary spatial pattern)を有するものである、複数 の電極 を含む、荷電粒子の分離装置。 28.前記定在的空間パターンが前記の1以上の分離レーンに沿って配置された 複数のポテンシャルウェルを含むものであり、ここで前記の各ウェルはポテンシ ャル最低部分を有し、そして前記時間変動振幅は、荷電粒子が前記ポテンシャル ウェルの前記ポテンシャル最低部分に誘引されるオン状態および荷電粒子が前記 分離媒体中に拡散することができるオフ状態の少なくとも2つの状態間の反復変 動を含むものである、請求項27に記載の装置。 29.前記の各ポテンシャルウェルが隣接ポテンシャル最高部分に対して偏心的 に配置されたポテンシャル最低部分を有するものであり、前記ポテンシャル最低 部分が、前記の分離の方向にあるポテンシャル最高部分に、他の方向にある前記 隣接ポテンシャル最高部分よりも接近している、請求項28に記載の装置。 30.前記の各ポテンシャルウェルが、前記の分離の方向に沿って空間的サイズ Lを有するものであり、前記の各ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最低部 分が、前記の分離の方向にある最も近接した前記隣接ポテンシャル最高部分から 距離Rのところに配置されている、請求項28に記載の装置。 31.Rが、荷電粒子の合計分離時間Ttotを最小にするように選択される、請 求項30に記載の装置。 32.LおよびRが、選択された製造技術において製造することができる最小の サイズに拘束され、前記分離媒体において適用することができる最大のポテンシ ャルに拘束される合計分離時間Ttotを最小にする距離である、請求項30に記 載の装置。 33.R/Lが実質的に一定になるように選択される、請求項30に記載の装置 。 34.R/Lが約0.3未満になるように選択される、請求項30に記載の装置。 35.LおよびRが、荷電粒子の分離中、荷電粒子のそれぞれがその他の荷電粒 子の実質的に全てから独立して移動するのに十分な大きさで選択される、請求項 30に記載の装置。 36.LおよびRは、前記ポテンシャルウェルの前記最低部分が約0.1μmより も大きくなるように選択される、請求項30に記載の装置。 37.前記の1以上の分離レーンが、いずれの横断面寸法よりも大きい長さを有 する、請求項27に記載の装置。 38.前記の1以上の分離レーンの前記長さが、約10cm未満である、請求項37 に記載の装置。 39.前記の1以上の分離レーンの前記横断面寸法が、約100μm未満である、 請求項37に記載の装置。 40.さらに、スラブとして配置された分離媒体を含むものであり、分離媒体の 該スラブが前記の1以上の分離レーンとして機能する、請求項27に記載の装置 。 41.さらに、仕切られた横断面を有する1以上の通路を含むものであり、前記 の1以上の分離レーンのそれぞれが、前記の1以上の通路の1つの中にある、請 求項27に記載の装置。 42.装置が、さらに、第1および第2の基板を含み、前記の各通路が前記第1 の基板によっておよび前記第2の基板の表面にあるチャンネルによって仕切られ ている、請求項41に記載の装置。 43.装置が、さらに、第1および第2の基板を含み、前記の各通路が前記第1 の基板によって、前記第2の基板によって、および前記第2の基板の表面に配置 されたチャンネル壁によって仕切られている、請求項41に記載の装置。 44.前記の1以上の通路が、実質的にまっすぐである、請求項41に記載の装 置。 45.前記の1以上の通路が、前記の1以上の通路の1末端にある広いスペース から、前記の1以上の通路の他の末端にある狭いスペースに集まっている、請求 項41に記載の装置。46.さらに、1以上のローディング口を含むものであり 、各ローディング口は前記の1以上の分離レーンの1つに連通し、前記の1つの 分離レーンにローディングするための荷電粒子を受けるように適合されている、 請求項27に記載の装置。 47.前記の1以上のローディング口がローディングゾーンにあり、前記の1以 上の分離レーンが、前記ローディングゾーン中の前記の1以上の分離口に流体を 連通させるのに十分なスペースから、より近接したスペースへの前記の分離方向 に集まっている、請求項46に記載の装置。 48.前記の1以上の分離レーンが、荷電粒子を観察領域に導くことができるよ うに配置されており、前記観察領域は、前記荷電粒子の蛍光標識によって放出さ れる光および前記蛍光標識による蛍光発光を励起するのに十分な光を実質的に透 過するものである、請求項27に記載の装置。 49.マイクロ製造技術を用いる方法によって作られた、請求項27に記載の装 置。 50.さらに、前記の1以上の分離レーン中の分離媒体を温度制御するための手 段を含む、請求項27に記載の装置。 51.(a)分離媒体を含有することが可能な1以上の分離レーン:および (b)前記の1以上の分離レーン中に電位を生じさせることが可能なように位 置を定められており、ここで該電位は時間変動振幅をもつ定在的空間パターンを 有するものであ、前記空間パターンは実質的に鋸歯形であり、複数の電極を含む 、荷電粒子の分離装置。 52.さらに、各分離レーンに液体分離媒体を含有する、請求項51に記載の装 置。 53.さらに、第1および第2の基板を含むものであり、前記の1以上の分離レ ーンは前記第1および前記第2の基板の間に形成されており、前記電極は前記基 板の1つの表面上または前記基板の両方の表面上に作られている、請求項51に 記載の装置。 54.前記の複数の電極の各電極が、実質的に線状であり、前記の1以上の分離 レーンのそれぞれに対して実質的に垂直である、請求項51に記載の装置。 55.前記の複数の電極が、第1の複数のサブ電極および第2の複数のサブ電極 を含むものであり、各サブ電極は約Lの距離で周期的に間隔があけられており、 第1および第2の複数のサブ電極は、約Rのオフセット(offset)で互いにかみ合 わされている、請求項51に記載の装置。 56.さらに、第1および第2の電極パッドを含むものであって、前記電極パッ ドは外部接触を作るために設けられており、ここで前記第1の複数のサブ電極は 前記第1の電極パッドと電気的に接触しており、前記第2の複数の細部電極は前 記第2の電極パッドと電気的に接触している、請求項55に記載の装置。 57.R/Lが約0.3未満である、請求項55に記載の装置。 58.Lが約100μm未満である、請求項55に記載の装置。 59.Rが約30μm未満である、請求項55に記載の装置。 60.前記電極が、さらに、第3の複数のサブ電極を含むものであって、前記第 3の複数のサブ電極は、前記第1のおよび前記第2の複数のサブ電極のオフセッ トで互いにかみ合わされており、ここで前記複数の電極は、前記第3の複数のサ ブ電極が存在しない場合よりも狭くて深いポテンシャル最低部分を、前記の各鋸 歯形ポテンシャルウェルの位置に発生させることが可能である、請求項55に記 載の装置。 61.さらに、前記の1以上の分離レーン中に荷電粒子をローディングするため の手段を含む、請求項51に記載の装置。 62.さらに、荷電粒子上のあらゆる標識を検出するための手段を含むものであ り、その手段は、分離レーン内で荷電粒子を分離した後、その標識を検出するこ とが可能なように位置が定められている、請求項51に記載の装置。 63.さらに、前記の1以上の分離レーン中の分離媒体を温度制御するための手 段を含む、請求項51に記載の装置。 64.前記の1以上の分離レーンおよび前記の複数の電極が、互いに空間的に固 定されている、請求項27または51に記載の装置。 65.さらに、前記の1以上の分離レーンおよび前記の複数の電極を支えるため のハウジングを含む、請求項64に記載の装置。 66.(a)1以上の分離レーン中に分離媒体を含有するための手段;および (b)前記の1以上の分離レーン中に、時間変動振幅をもつ定在的空間パター ンを有する電位を生じさせるための手段 を含む、分離の方向に沿って荷電粒子を分離する装置。 67.前記定在的空間パターンが、前記の1以上の分離レーンに沿って配置され た複数のポテンシャルウェルを含むものであって、前記の各ポテンシャルウェル は隣接ポテンシャル最高部分に対して偏心的に配置されているポテンシャル最低 部分を有しており、前記ポテンシャル最低部分は、前記の1以上の分離レーンに 沿った前記の分離の方向にあるポテンシャル最高部分に、その他の方向にある前 記隣接ポテンシャル最高部分よりも近接しており、ここで前記時間変動振幅は、 荷電粒子が前記ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最低部分に誘引されるオ ン状態および荷電粒子が前記分離媒体中に拡散することができるオフ状態の少な くとも2つの状態間の反復変動を含むものである、請求項66に記載の装置。 68.さらに、前記の分離レーンに含有された流体分離媒体を含む、請求項66 に記載の装置。 69.さらに、前記の1以上の分離レーンに荷電粒子をローディングするための 手段を含む、請求項66に記載の装置。 70.さらに、前記の1以上の分離レーン中で分離された荷電粒子のあらゆる標 識を検出するための手段を含む、請求項66に記載の装置。 71.さらに、前記の1以上の分離レーン中の分離媒体を温度制御するための手 段を含む請求項66に記載の装置。 72.(a)荷電生体高分子を分離媒体中にローディングする工程;および (b)前記分離媒体中の前記荷電生体高分子を、時間変動振幅をもつ定在的空 間パターンを有する電位に曝す工程 を含む、分離の方向に沿って荷電生体高分子を分離する方法。 73.前記電位の前記定在的空間パターンが、前記の分離の方向に沿って配置さ れた複数のポテンシャルウェルを含む、請求項72に記載の方法。 74.前記のポテンシャルウェルのそれぞれが、前記ポテンシャルウェルのポテ ンシャル最低部分が分離の方向にある隣接ポテンシャル最高部分により近接する 一般的に偏心的な形状を有するものである、請求項73に記載の方法。 75.前記電位の前記定在的空間パターンが、分離の方向に沿って一般的に鋸歯 形である、請求項72に記載の方法。 76.前記電位の前記定在的空間パターンおよび前記時間変動振幅が、荷電生体 高分子が分離中、複数回、前記の分離の方向に沿って固定された位置にトラップ されるようなものである、請求項72に記載の方法。 77.前記電位の前記時間変動振幅は、荷電生体高分子断片が前記の分離の方向 に沿って固定された前記位置にトラップされるオン状態および荷電生体高分子が 前記分離媒体中に拡散することができるオフ状態の少なくとも2つの状態間の反 復変動を含む、請求項76に記載の方法。 78.前記荷電生体高分子断片が、少なくとも、第1の型の荷電生体高分子断片 および第2の型の荷電生体高分子断片を含むものであり、ここで前記第1および 前記第2の型は、前記分離媒体において異なる拡散率を有し、それによって荷電 生体高分子断片の前記第1および前記第2の型がそれらの異なる拡散率にしたが って分離される、請求項72に記載の方法。79.前記分離媒体が液体である、 請求項72に記載の方法。 80.前記分離媒体がゲルまたは気体である、請求項72に記載の方法。 81.生体高分子が、1本鎖または2本鎖DNAである、請求項72に記載の方 法。 82.前記1本鎖DNAが5000塩基未満の長さであり、または前記2本鎖DNA が5000塩基対未満の長さである、請求項81に記載の方法。 83.前記1本鎖DNAが1000塩基未満の長さであり、または前記2本鎖DNA が1000塩基対未満の長さである、請求項81に記載の方法。 84.(a)分離媒体において異なる拡散率を有する少なくとも2つの型の荷電 粒子を分離媒体中にローディングする工程;および (b)前記分離媒体中の荷電粒子を、時間変動振幅をもつ定在的空間パターン を有する電位に曝す工程 を含んでなり、 前記電位の前記定在的空間パターンが、分離の方向に沿って配置された複数の ポテンシャルウェルを含むものであって、前記の各ウェルはポテンシャル最低部 分を有し、前記時間変動振幅は、荷電粒子が前記のポテンシャルウェルの前記ポ テンシャル最低部分に誘引されるオン状態および荷電粒子が前記分離媒体中に拡 散することができるオフ状態の少なくとも2つの状態間の反復変動を含むもので ある、 分離の方向に沿って荷電粒子を分離する方法。 85.前記ポテンシャルウェルが、前記分離媒体の破壊電界(electric breakdow n field)または電気分解電圧によって制限される、請求項84に記載の方法。 86.さらに、 (a)前記オン状態tonの持続時間を、ほぼ、前記の各ポテンシャルウェル内 の実質的に全ての荷電粒子を、前記ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最低 部分に誘引するのに十分な最小時間になるように選択する工程;および (b)前記オフ状態toffの持続時間を、ほぼ、前記の少なくとも2つの型の 荷電粒子を、観察上区別するのに十分に分離するために必要な合計時間Ttotを 最小にする時間になるように選択する工程 を含む、請求項84に記載の方法。 87.前記tonが、荷電粒子が前記分離媒体中を荷電粒子の電荷、前記ポテンシ ャルウェル中の電場、および荷電粒子の前記拡散率に正比例した速度で移動する モデルにしたがって決定される、請求項86に記載の方法。 88.前記Ttotが、実験的観察によって決定される、請求項86に記載の方法 。 89.前記Ttotが、前記の少なくとも2つの型の荷電粒子のそれぞれが、分離 中、前記ポテンシャルウェル間をランダムウォーク(random walk)するモデルに したがって決定され、荷電粒子が1つの前記ウェルから別のウェルヘランダムス テップ(random step)する確率は、前記荷電粒子が、toff中に、前記の1つのウ ェルのポテンシャル最低部分から、前記の別のウェルの最も近いポテンシャル最 高部分へ拡散する確率によって得られるものである、請求項86に記載の方法。 90.前記Ttotが、前記電位中の荷電粒子の拡散についての正確な方程式を解 くことによって決定される、請求項86に記載の方法。 91.前記toffが、荷電粒子の前記分離中に、系統的に増加または減少する、 請求項86に記載の方法。 92.第1の型および第2の型のような前記の少なくとも2つの型の粒子のそれ ぞれが、ピークおよび幅を有する濃度プロフィールにしたがって前記ポテンシャ ルウェル中に分散されるものであり、前記第1および第2の型に対する前記濃度 プロフィールの前記ピークそれぞれの間隔が、前記第1および前記第2の型に対 する前記濃度プロフィールのそれぞれの前記幅よりも多きい場合、前記の少なく とも2つの型の粒子を観察上区別することができるものである、請求項86に記 載の方法。 93.前記の各ポテンシャルウェルが、前記の分離の方向に沿って空間的サイズ Lを有するものであり、前記各ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最低部分 が、最も近い隣接ポテンシャル最高部分から距離Rの位置に定められている、請 求項84に記載の方法。 94.R/Lが実質的に一定である、請求項93に記載の方法。 95.R/Lが約0.3未満である、請求項93に記載の方法。 96.Rが、前記の少なくとも2つの型の荷電粒子を観察上区別するのに十分に 分離するために必要な合計時間Ttotを最小にするように選択される、請求項9 3に記載の方法。 97.Rが、約10μm未満になるように選択される、請求項93に記載の方法。 98.LおよびRが、荷電粒子のそれぞれが荷電粒子の分離中にその他の荷電粒 子の実質的に全てと独立に移動するように十分に大きいものである、請求項93 に記載の方法。 99.LおよびRが、前記ポテンシャルウェルの前記最低部分が約0.1μmより も大きくなるようなものである、請求項93に記載の方法。 100.LおよびRが、選択されたマイクロ製造技術において製造することがで きる最小サイズに拘束され、前記分離媒体において適用することができる最大ポ テンシャルに拘束されるTtotを最小にするための同時最適化にしたがって選択 される、請求項93に記載の方法。101.前記同時最適化が、Ttotの最小値 を見つけるために前記最小サイズ拘束によって決定された最小値からRを系統的 に変化させるものである、請求項100に記載の方法。 102.(a)DNA混合物を、DNAが荷電される分離媒体にローディングす る工程;および (b)前記分離媒体中の前記DNA混合物を、時間変動振幅をもつ定在的空間 パターンを有する電位に曝す工程 を含む、配列決定反応において生じたDNA混合物を分離する方法。 103.(a)DNA混合物を、DNAが荷電される分離媒体にローディングす る工程;および (b)前記分離媒体中の前記DNA混合物を、時間変動振幅をもつ定在的空間 パターンを有する電位に曝す工程 を含む、酵素的切断によって生じたDNA混合物を分離する方法。 104.(a)1つの表面上に横断面寸法よりも大きな長さ寸法の1以上のチャ ンネルを有する実質的に平坦な第1の基板; (b)前記の1以上のチャンネルが液体またはゲル分離媒体を含有することが 可能な1以上の分離レーンを形成するように、前記第1の基板に並置された実質 的に平坦な第2の基板; (c)第1および第2の電極パッド;ならびに (d)前記の1以上の分離レーンに電位を生じさせることが可能であり、実質 的に直線状であり、前記の1以上の分離レーンに実質的に垂直に配置された複数 の電極 を含むものであり、 ここで、前記の複数の電極が、第1の複数のサブ電極および第2の複数のサブ 電極を含むものであって、複数の各サブ電極は約Lの距離で実質的に周期的に間 隔があけられており、第1および第2の複数のサブ電極は、約Rのオフセットで 互いにかみ合わされており、前記第1の複数のサブ電極は前記第1の電極パッド と電気的に接触しており、前記第2の複数のサブ電極は前記第2の電極パッドと 電気的に接触しており、 それによって、前記の1以上の分離レーンに生じさせることが可能な前記電位 が実質的に鋸歯形を有するものである、 荷電粒子の分離装置。 105.前記の1以上の分離レーンの前記長さ寸法が約10cm未満であり、前記の 1以上の分離レーンの前記横断面寸法が約100μm未満である、請求項104に記 載の装置。 106.R/Lが約0.3未満である、請求項104に記載の装置。 107.Lが約100μm未満であり、Rが約30μm未満である、請求項104に記 載の装置。 108.さらに、前記の1以上の分離レーンに荷電粒子をローディングするため の手段を含む、請求項104に記載の装置。 109.さらに、荷電粒子上のあらゆる標識を検出するための手段を含むもので り、その手段は分離レーン内で荷電粒子を分離した後、標識を検出することが可 能なように位置が定められている、請求項104に記載の装置。 110.さらに、前記の1以上の分離レーン中の分離媒体を温度制御するための 手段を含む、請求項104に記載の装置。 111.(a)実質的に平坦な第1の基板; (b)前記第1の基板が並置された実質的に平坦な第2の基板; (c)液体またはゲル分離媒体を含有し、横断面寸法よりも大きな長さ寸法を 有することが可能な1以上の分離レーンが、前記第2の基板に前記第1の基板を 並置することによって形成されるように、前記第2の基板の表面に設けられた複 数のチャンネル壁; (d)第1および第2の電極パッド;ならびに (e)前記の1以上の分離レーンに電位を生じさせることが可能であり、実質 的に直線状であり、前記の1以上の分離レーンに実質的に垂直に配置された複数 の電極 を含むものであり、 ここで、前記の複数の電極が、第1の複数のサブ電極および第2の複数のサブ 電極を含むものであって、複数の各サブ電極は約Lの距離で実質的に周期的に間 隔があけられており、第1および第2の複数のサブ電極は、約Rのオフセットで 互いにかみ合わされており、前記第1の複数のサブ電極は前記第1の電極パッド と電気的に接触しており、前記第2の複数のサブ電極は前記第2の電極パッドと 電気的に接触しており、 それによって、前記の1以上の分離レーンに生じさせることが可能な前記電位 が実質的に鋸歯形を有するものである、 荷電粒子の分離装置。 112.前記の1以上の分離レーンの前記長さ寸法が約10cm未満であり、前記の 1以上の分離レーンの前記横断面寸法が約100μm未満である、請求項111に記 載の装置。 113.R/Lが約0.3未満である、請求項111に記載の装置。 114.Lが約100μm未満であり、Rが約30μm未満である、請求項111に記 載の装置。 115.さらに、前記の1以上の分離レーンに荷電粒子をローディングするため の手段を含む、請求項111に記載の装置。 116.さらに、荷電粒子上のあらゆる標識を検出するための手段を含むもので あり、その手段は分離レーン内で荷電粒子を分離した後に、標識を検出すること が可能なように位置が定められている、請求項111に記載の装置。 117.さらに、前記の1以上の分離レーン中の分離媒体を温度制御するための 手段を含む、請求項111に記載の装置。 118.電位に曝された分離媒体において分離の方向に沿って荷電粒子を分離す るための最適パラメーターを選択する方法であって、 (a)荷電粒子の拡散率および分離媒体の1以上の電気的破壊パラメーターを 入力する工程; (b)前記電位のオン状態の第1の最適時間を計算する工程であって、前記電 位は、分離の方向に沿って配置された複数のポテンシャルウェルを含む定在的空 間パターンを有するものであって、ここで、前記の各ウェルはポテンシャル最低 部分を有するものであり、そして前記電位は、荷電粒子が前記ポテンシャルウェ ルの前記ポテンシャル最低部分に誘引されるオン状態および荷電粒子が前記分離 媒体中に拡散することができるオフ状態の少なくとも2つの状態間の反復変動を 含む時間変動振幅を有するものであり、; (c)前記電位の前記オフ状態の第2の最適時間を荷電粒子の合計分離時間を 最小にする時間として計算する工程;および (d)前記第1および第2の最適時間を出力する工程 を含む前記方法。 119.荷電粒子がDNA分子であり、前記入カエ程がDNA分子の長さを入力 し、前記入力長さからDNA分子の拡散率を計算する工程を含む、請求項118 に記載の方法。 120.前記第1の最適時間を計算する前記工程が、前記の各ポテンシャルウェ ル内の実質的に全ての荷電粒子を前記ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最 低部分に誘引するのに十分な最小時間を計算する工程を含むものであって、ここ で前記最小時間は、荷電粒子が、荷電粒子の電荷、前記ポテンシャルウェル中の 電場および荷電粒子の前記拡散率に正比例した速度で前記分離媒体中を移動する モデルにしたがって決定されるものである、請求項118に記載の方法。 121.前記第2の最適時間を計算する前記工程が、各荷電粒子が分離中に前記 ポテンシャルウェル間をランダムウォークするモデルにしたがって前記合計分離 時間を計算する工程を含むものであり、そして荷電粒子が1つの前記ウェルから 別の前記ウェルヘランダムステップする確率が、前記荷電粒子が、前記オフ状態 中に、前記の1つのウェルのポテンシャル最低部分から、前記の別のウェルの最 も近接したポテンシャル最高部分へ拡散する確率によって得られるものである、 請求項118に記載の方法。 122.前記第2の最適時間を計算する前記工程が、前記電位における荷電粒子 の拡散についての正確な方程式を解くことによって前記合計分離時間を計算する 工程を含む、請求項118に記載の方法。 123.前記オフ状態の前記第2の最適時間を計算する前記工程が、合計分離時 間の最小値を見つけるために、最小値から前記オフ状態の時間を系統的に増大さ せる工程を含む、請求項118に記載の方法。 124.前記の各ポテンシャルウェルが前記の分離の方向に沿って空間的サイズ Lを有し、前記の各ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最低部分が最も近接 した隣接ポテンシャル最高部分から距離Rのところに配置されており、さらに、 合計分離時間を最小にするRの値を計算する工程を含む、請求項118に記載の 方法。 125.前記の各ポテンシャルウェルが前記の分離の方向に沿って空間的サイズ Lを有し、前記の各ポテンシャルウェルの前記ポテンシャル最低部分が最も近接 した隣接ポテンシャル最高部分から距離Rのところに配置されており、さらに、 合計時間を最小にするLおよびRの値を計算する工程を含む、請求項118に記 載の方法。 126.前記同時最適化が、合計分離時間の最小値を見つけるために、Rを最小 値から系統的に増大させるものである、請求項125に記載の方法。 127.請求項118の方法を実施するコンピューターシステム。 128.請求項118の方法を実施するためのプラグラムを包含するコンピュー ターで読み取り可能な媒体。 129.さらに、前記装置の最適パラメーターを選択するために請求項128に 記載のコンピューターで読み取り可能な媒体を含む、請求項27、51、66、 104、または111の装置。
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