【発明の詳細な説明】発明の名称
ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤発明の背景
タンパク質Ras(Ha−Ras、Ki4a−Ras、Ki4b−Ras及び
N−Ras)は、細胞表面成長因子受容体と、細胞増殖を開始する核シグナルと
を結ぶ信号路の一部を成す。Rasの作用の生物学的及び生化学的研究の示すと
ころでは、RasはG−調節タンパク質のように機能する。不活性状態では、R
asはGDPに結合している。成長因子受容体の活性化の際、RasはGDPを
GTPと交換するように誘導され、コンホーメーションを変更される。Rasの
GTP結合形態は、成長刺激シグナルが、タンパク質Rasを不活性なGDP結
合形態に戻すRasの内在性GTPアーゼ活性によって終了されるまで前記シグ
ナルを伝搬する(D.R.Lowy及びD.M.Willumsen,Ann.
Rev.Biochem.62,pp.851−891,1993)。結腸直腸
癌、外分泌性膵臓癌、及び骨髄性白血病を含めた多くの
ヒト癌において、突然変異したras遺伝子(Ha−ras、Ki4a−ras
、Ki4b−ras及びN−ras)が見出される。前記遺伝子のタンパク質産
物はそのGTPアーゼ活性を欠き、成長刺激シグナルを構成的に伝達する。
Rasは、正常機能と腫瘍遺伝子機能とのいずれの場合も原形質膜に局在する
はずである。Rasの膜局在には少なくとも三つの翻訳後修飾が関与し、三つの
修飾はいずれもRasのC末端において生起する。RasのC末端は、「CAA
X」もしくは「Cys−Aaa1−Aaa2−Xaa」ボックス(Cysはシステ
イン、Aaaは脂肪族アミノ酸、Xaaは任意のアミノ酸)と呼称される配列モ
チーフを有する(Wi11umsen等,Nature 310,pp.583
−586,1984)。このモチーフは特定配列に依存して、ファルネシル−タ
ンパク質トランスフェラーゼ酵素またはゲラニルゲラニル−タンパク質トランス
フェラーゼ酵素のためのシグナル配列として機能し、前記2酵素はCAAXモチ
ーフのシステイン残基のC15及びC20イソプレノイドでのアルキル化をそれぞれ
触媒する(S.Clarke,Ann.Rev.Biochem.61,pp.
355−386,1992;
W.R.Schafer及びJ.Rine,Ann.Rev.Genetics
30,pp.209−237,1992)。タンパク質Rasは、翻訳後ファ
ルネシル化を受けることが知られている幾つかのタンパク質のうちの一つである
。ファルネシル化される他のタンパク質には、RhoなどのRas関連GTP結
合タンパク質、真菌類の接合因子、核ラミン、及びトランスデューシンのγサブ
ユニットが含まれる。James等はJ.Biol.Chem.269,p.1
4182,1994において、やはりファルネシル化されるペルオキシソーム関
連タンパク質Pxfを同定した。James等はまた、上掲のもの以外にも未知
の構造及び機能を有するファルネシル化タンパク質が存在することを示唆してい
る。
ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを阻害すると、Rasによって
トランスフォームされた細胞が軟質寒天において増殖するのを遮断でき、かつ前
記細胞のトランスフォームされた表現型の他の特徴(aspects)を改変で
きることが判明している。また、或る種のファルネシル−タンパク質トランスフ
ェラーゼ阻害剤は細胞内で腫瘍タンパク質Rasのプロセシングを選択的に遮断
することも証明されている(N.E.
Kohl等,Science 260,pp.1934−1937,1993;
及びG.L.James等,Science 260,pp.1937−194
2,1993)。最近、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼの阻害剤
はヌードマウスのras依存性腫瘍の増殖を遮断すること(N.E.Kohl等
,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91,pp.9141−9
145,1994)、及びrasトランスジェニックマウスの乳癌及び唾液腺(
salivary)癌の退行を惹起すること(N.E.Kohl等,Natur
e Medicine 1,pp.792−797,1995)が判明した。
in vivoでのファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼの間接的阻
害が、ロバスタチン(Merck & Co.,Rahway,NJ)及びコン
パクチン(Hancock等,Cell 57,pp.1167−1177,1
989;Casey等,Proc.Natl.Acad.Scl.USA 86
,p.8323,1989;Schafer等,Science 245,p.
379,1989)を用いて証明されている。上記薬物は、
ファルネシルピロリン酸を含めたポリイソプレノイドの産生のための律速酵素で
あるHMG−CoAレダクターゼを阻害する。ファルネシル−タンパク質トラン
スフェラーゼはファルネシルピロリン酸を用いて、RasのCAAXボックスの
Cysチオール基をファルネシル基と共有結合させて修飾する(Reiss等,
Cell 62,pp.81−88,1990;Schaber等,J.Bio
l.Chem.265,pp.14701−14704,1990;Schaf
er等,Science 249,pp.1133−1139,1990;Ma
nne等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,pp.75
41−7545,1990)。HMG−CoAレダクターゼの阻害によってファ
ルネシルピロリン酸の生合成を抑制すると、培養細胞におけるRasの膜局在を
遮断できる。しかし、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼの直接阻害
は通常のイソプレン生合成抑制因子を必要量で用いた場合に比較してより特異的
に行なえ、かつより少ない副作用しか伴わない。
諸文献に公表されているファルネシル−タンパク質トランス
フェラーゼ(FPTアーゼ)の阻害剤は、おおよそ四つのクラスに分類される。
第一のクラスの阻害剤はファルネシル二リン酸(FPP)の類似体であり、一方
第二のクラスの阻害剤は酵素のタンパク質基質(例えばRas)と関連付けられ
る。二基質阻害剤、及び基質と競合性でないファルネシル−タンパク質トランス
フェラーゼ阻害剤も文献に公表されている。文献に公表されたペプチド由来の阻
害剤は通常、タンパク質プレニル化のシグナルであるCAAXモチーフと関連付
けられるシステイン保有分子である(Schaber等,同誌;Reiss等,
同誌;Reiss等,PNAS 88,pp.732−736,1991)。こ
のような阻害剤は、タンパク質プレニル化を抑制する一方でファルネシル−タン
パク質トランスフェラーゼ酵素のための代替基質として機能し得るか、または純
粋に競合的な阻害剤であり得る(University of Texasの米
国特許第5,141,851号;N.E.Kohl等,Science 260
,pp.1934−1937,1993;Graham等,J.Med.Che
m.37,p.725,1994)。通常、CAAX誘導体がチオールを欠失す
ると、当該化合物の阻
害力は劇的に低下することが判明している。しかし、チオール基は薬物動態学的
及び薬力学的に、また毒性の点からみてFPTアーゼ阻害剤の治療用途を潜在的
に制限する。従って、チオールの機能を何かで代替することが望ましい。
最近、ピペリジン部分を任意に有する或る種の三環式化合物がFPTアーセの
阻害剤であることが開示された(国際特許出願公開第95/10514号、同第
95/10515号及び同第95/10516号)。イミダゾールを含有するフ
ァルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤も開示されている(国際特許出
願公開第95/09001号及びヨーロッパ特許出願公開第0 675 112
号)。
ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤は血管平滑筋細胞の増殖
を抑制する物質であり、従って動脈硬化症及び糖尿病性血管障害の予防及び治療
に有用であることも最近報告されている(特開平7−112930号)。
従って本発明は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを阻害し、即
ちタンパク質の翻訳後ファルネシル化を抑制する低分子量化合物を開発すること
を目的とする。本発明は更に、本発明の化合物を含有する化学療法用組成物、及
び本発
明の化合物を製造する方法の開発も目的とする。発明の概要
本発明は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを阻害するペプチド
様(peptidomimetic)ビヘテロアリール保有化合物を包含する。
本発明は、本発明のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤を含有する化学療法
用組成物、及び前記阻害剤の製造方法も包含する。
本発明の化合物は式A
によって表わされる。発明の詳細な説明
本発明の化合物は、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを阻害し、
腫瘍遺伝子タンパク質Rasのファルネシル化を抑制するのに有用である。本発
明はその第一の具体例において、式A
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>Oで、それ以外は
独立にCR6であり、
R1及びR2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜
C6アルキニル、R10O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、R11C(
O)O−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2
、R10C(O)−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、またはその置換基が非置換もし
くは置換アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニ
ル、C2〜C6アルキニル、R10O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−
、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O)NR10−の中から選択された置換C1
〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
R3、R4及びR5は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、R11C(O)O−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、
NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、R11C(O)O−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、
NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3、R4、R5またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3、R4
、R5またはR6の6頁ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介し
て実現し、
R7はH並びに置換されていないか、または
a)C1〜C4アルコキシ、
b)アリールまたは複素環、
c)ハロゲン、
d)HO、
e)
f)−SO2R11、
g)N(R10)2、もしくは
h)C1〜C4ペルフルオロアルキル
で置換されたC1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、複素環、アリール、
アロイル、ヘテロアロイル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニルの
中から選択され、
R8は
a)水素、
b)アリール、置換アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アル
ケニル、C2〜C6アルキニル、ペルフルオロアルキル、F、Cl、Br、R10O
−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10
)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2ま
たはR11OC(O)NR10−、及び
c)置換されていないか、またはアリール、シアノフェニル、
複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキ
ニル、ペルフルオロアルキル、F、Cl、Br、R10O−、R11S(O)m−、
R10C(O)NH−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、
CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2もしくはR10OC(O)NH−で置
換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
ただしR8が複素環である場合、R8のVへの結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
R9は
a)水素、
b)C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル
、F、Cl、Br、R11O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)置換されていないか、またはペルフルオロアルキル、F、
Cl、Br、R10O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3
、−N(R10)2もしくはR11OC(O)NR10−で置換されたC1〜C6アルキ
ル
の中から独立に選択され、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
A1及びA2は結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−C(O)N
R10−、−NR10C(O)−、O、−N(R10)−、−S(O)2N(R10)−
、−N(R10)
S(O)2−及びS(O)mの中から独立に選択され、
Vは
a)水素、
b)複素環、
c)アリール、
d)0〜4個の炭素原子をONS及びNの中から選択したヘテロ原子で置換され
たC1〜C20アルキル、及び
e)C2〜C20アルケニル
の中から選択され、
ただしAlがS(O)mである場合、及びA1が結合であり、nが0であり、かつ
A2がS(O)mである場合はVは水素でなく、
Vが複素環である場合、VのR8及びA1への結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
Wは複素環であり、
Xは結合、−CH=CH−、O、−C(=O)−、−C(O)NR7−、−NR7
C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−C(O)NR7C(O)−、
−NR7−、−S(O)2N(R10)−、−N(R10)S(O)2−または−S
(=O)m−であり、
mは0、1または2であり、
nは独立に0、1、2、3または4であり、
pは独立に0、1、2、3または4であり、
qは0、1、2または3であり、
rは0〜5であり、ただしVが水素の時rは0であり、
tは0または1である〕によって表わされるファルネシル−タンパク質トランス
フェラーゼ阻害剤またはその医薬に許容可能な塩を提供する。
本発明の化合物の好ましい一具体例は、次式A
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>
Oで、それ以外は独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、F及びC1〜
C6アルキルの中から独立に選択され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、
FまたはC2〜C6アルケニル、
c)非置換C1〜C6アルキル、またはその置換基が非置換もしくは置換アリール
、複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、R10O−及び−N
(R10)2の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
R3、R4及びR5は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR1 0)−、CN、NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2またはR11OC
(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、−R10C(O)NR10−、(
R10)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(
O)−、N3、−N(R1 0)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3、R4、R5またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3、R4
、R5またはR6の6頁ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介し
て実現し、
R7はH並びに置換されていないか、または
a)C1〜C4アルコキシ、
b)アリールまたは複素環、
c)ハロゲン、
d)HO、
e)
f)−SO2R11、
g)N(R10)2、もしくは
h)C1〜C4ペルフルオロアルキル
で置換されたC1〜C4アルキル、C3〜C6シクロアルキル、複素環、アリール、
アロイル、ヘテロアロイル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニルの
中から選択され、
R8は
a)水素、
b)アリール、置換アリール、複素環、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル
、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル、F、Cl、R10O−、
R10C(O)NR10−、CN、NO2、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(
O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)C1〜C6ペルフルオロアルキル、R10O−、R10C(O)NR10−、(R10
)2N−C(NR10)−、R10C(O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)
NR10−で置換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
ただしR8が複素環である場合、R8のVへの結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
R9は
a)水素、
b)C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル
、F、Cl、R11O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2N
C(O)−、CN、NO2、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(O)−、−
N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)置換されていないか、またはC1〜C6ペルフルオロアルキル、F、Cl、R1 0
O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、C
N、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(O)−、−N(R1 0)2もしくはR11OC(O)NR10−で置換されたC1〜C6アルキル
の中から選択され、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
A1及びA2は結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−C(O)N
R10−、O、−N(R10)−及びS(O)mの中から独立に選択され、
Vは
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピリジニ
ル、チアゾリル、オキサゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル
、トリアゾリル及びチエニルの中から選択された複素環、
c)アリール、
d)0〜4個の炭素原子をO、S及びNの中から選択したヘテロ原子で置換さ
れたC1〜C20アルキル、及び
e)C2〜C20アルケニル
の中から選択され、
ただしA1がS(O)mである場合、及びA1が結合であり、nが0であり、かつ
A2がS(O)mである場合はVは水素でなく、
Vが複素環である場合、VのR8及びA1への結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
Wはピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピリジニル、チアゾリル、
オキサゾリル、インドリル、キノリニル、トリアゾリル及びイソキノリニルの中
から選択された複素環であり、
Xは結合、O、−C(=O)−、−CH=CH−、−C(O)NR7−、−NR7
C(O)−、−NR7−、−S(O)2N
(R10)−、−N(R10)S(O)2−または−S(=O)m−であり、
mは0、1または2であり、
nは独立に0、1、2、3または4であり、
pは独立に0、1、2、3または4であり、
qは0、1、2または3であり、
rは0〜5であり、ただしVが水素の時rは0であり、
tは0または1である〕によって表わされる化合物またはその医薬に許容可能な
塩である。
本発明の化合物の別の好ましい具体例は、式B
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>
Oで、それ以外は独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、F及びC1〜
C6アルキルの中から独立に選択され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、R10O−−N(R10)2、F
またはC2〜C6アルケニル、
c)非置換C1〜C6アルキル、またはその置換基が非置換もしくは置換アリール
、複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、R10O−及び−N
(R10)2の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
R3及びR4は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR1 0)−、CN、NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2またはR11OC
(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R1 0)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3、R4またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3、R4また
はR6の6員ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介して実現し
、
R8は
a)水素、
b)アリール、置換アリール、複素環、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル
、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル、F、Cl、R10O−、
R10C(O)NR10−、CN、NO2、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(
O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)C1〜C6ペルフルオロアルキル、R10O−、R10C(O)NR10−、(R10
)2N−C(NR10)−、〜R10C(O)−、−N(R10)2またはR11OC(O
)NR10−で置換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
ただしR8が複素環である場合、R8のVへの結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
R9a及びR9bは独立に水素、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル及びハロゲ
ンであり、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
A1及びA2は結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−C(O)N
R10−、O、−N(R10)−及びS(O)mの中から独立に選択され、
Vは
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピリジニル、チアゾリル、
オキサゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、トリアゾリル及
びチエニルの中から選択された複素環、
c)アリール、
d)0〜4個の炭素原子をO、S及びNの中から選択したヘテロ原子で置換され
たC1〜C20アルキル、及び
e)C2〜C20アルケニル
の中から選択され、
ただしA1がS(O)mである場合、及びA1が結合であり、nが0であり、かつ
A2がS(O)mである場合はVは水素でなく、
Vが複素環である場合、VのR8及びA1への結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
Xは結合、−CH=CH−、−C(O)NR10−、−NR10C(O)−、−NR10
−、Oまたは−C(=O)−であり、
mは0、1または2であり、
nは独立に0、1、2、3または4であり、
pは0、1、2、3または4であり、
rは0〜5であり、ただしVが水素の時rは0である〕によって表わされる化合
物またはその医薬に許容可能な塩である。
本発明の化合物の別の好ましい具体例は、式C
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>Oで、それ以外は
独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、F及びC1〜
C6アルキルの中から独立に選択され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、
FまたはC2〜C6アルケニル、
c)非置換C1〜C6アルキル、またはその置換基が非置換もしくは置換アリール
、複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、R10O−及び−N
(R10)2の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
R3及びR4は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、
C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハ
ロゲン、C1〜C6ペルフルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C
(O)NR10−、CN(R10)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、
CN、NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR1 0
−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜
C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペルフルオロアルキル、R12O−、R1 1
S(O)m−、R10C(O)NR10−、CN(R10)2NC(O)−、(R10)2
N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)−、N3、−N(R10)2また
はR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3、R4またはR6が非置換または置換複素環である場
合、R3、R4またはR6の6員ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭
素を介して実現し、
R8は
a)水素、
b)アリール、置換アリール、複素環、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル
、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル、F、Cl、R10O−、
R10C(O)NR10−、CN、NO2、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(
O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)C1〜C6ペルフルオロアルキル、R10O−、R10C(O)NR10−、(R10
)2N−C(NR10)−、R10C(O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)
NR10−で置換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
ただしR8が複素環である場合、R8のVへの結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
R9a及びR9bは独立に水素、C1〜C6アルキル、トリフルオロメチル及びハロゲ
ンであり、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
A1及びA2は結合、−CH=CH−、−C≡C−、−C(O)−、−C(O)N
R10−、O、−N(R10)−及びS(O)mの中から独立に選択され、
Vは
a)水素、
b)ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピリジニル、チアゾリル、
オキサゾリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、トリアゾリル及
びチエニルの中から選択された複素環、
c)アリール、
d)0〜4個の炭素原子をO、S及びNの中から選択したヘテロ原子で置換され
たC1〜C20アルキル、及び
e)C2〜C20アルケニル
の中から選択され、
ただしA1がS(O)mである場合、及びA1が結合であり、nが0であり、かつ
A2がS(O)mである結合はVは水素でなく、
Vが複素環である場合、VのR8及びA1への結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
Xは結合、−CH=CH−、−C(O)NR10−、−NR10C(O)−、−NR10
−、Oまたは−C(=O)−であり、
mは0、1または2であり、
nは独立に0、1、2、3または4であり、
pは0、1、2、3または4であり、ただしXが結合またはOの時pは0でなく
、
rは0〜5であり、ただしVが水素の時rは0である〕によって表わされる化合
物またはその医薬に許容可能な塩である。
本発明はその更に好ましい一具体例において、式D〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>Oで、それ以外は
独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル及びC1〜C6アルキルの中から独立に選択
され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、
FまたはC2〜C6アルケニル、
c)置換されていないか、またはアリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、
C2〜C6アルケニル、R10O−もしくは−N(R10)2で置換されたC1〜C6ア
ルキル
の中から独立に選択され、
R3は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から選択され、
R4はH、ハロゲン、C1〜C6アルキル及びCF3の中から選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3またはR6の6員
ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介して実現し、
R8は
a)水素、
b)アリール、置換アリール、複素環、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル
、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル、F、Cl、R10O−、
R10C(O)NR10−、CN、NO2、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(
O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)C1〜C6ペルフルオロアルキル、R10O−、R10C(O)NR10−、(R10
)2N−C(NR10)−、R10C(O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)
NR1 0−で置換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
ただしR8が複素環である場合、R8のVへの結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
R9a及びR9bは独立に水素、エチル、シクロプロピルまたはメチルであり、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
A1は結合、−C(O)−、O、−N(R10)−及びS(O)mの中から選択され
、
Xは結合、−CH=CH−、−C(O)NR10−、−NR10
C(O)−、−NR10−、Oまたは−C(=O)−であり、nは0または1であ
り、ただしA1が結合、O、−N(R10)−またはS(O)mの時nは0でなく、
mは0、1または2であり、
pは0、1、2、3または4である〕によって表わされるファルネシル−タンパ
ク質トランスフェラーゼ阻害剤またはその医薬に許容可能な塩を提供する。
別の更に好ましい具体例において、本発明は、式E
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>Oで、それ以外は
独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、F及びC1〜
C6アルキルの中から独立に選択され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2、
FまたはC2〜C6アルケニル、
c)置換されていないか、またはアリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、
C2〜C6アルケニル、R10O−もしくは−N(R10)2で置換されたC1〜C6ア
ルキル
の中から独立に選択され、
R3は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から選択され、
R4はH、ハロゲン、C1〜C6アルキル及びCF3の中から選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R1 0)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3またはR6の6員
ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介して実現し、
R8は
a)水素、
b)アリール、置換アリール、複素環、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル
、C2〜C6アルキニル、C1〜C6ペルフルオロアルキル、F、Cl、R10O−、
R10C(O)NR10−、CN、NO2、(R10)2N−C(NR10)−、R10C(
O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、及び
c)C1〜C6ペルフルオロアルキル、R10O−、R10C(O)NR10−、(R10
)2N−C(NR10)−、R10C(O)−、−N(R10)2またはR11OC(O)
NR10−で置換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
ただしR8が複素環である場合、R8のVへの結合は置換可能な環炭素を介して実
現し、
R9a及びR9bは独立に水素、エチル、シクロプロピルまたはメチルであり、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
Xは結合、−CH=CH−、−C(O)NR10−、−NR10C(O)−、−NR10
−、Oまたは−C(=O)−であり、
nは0または1であり、
mは0、1または2であり、
pは0、1、2、3または4であり、ただしXが結合またはOの時pは0でない
〕によって表わされるファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤また
はその医薬に許容可能な塩を提供する。
本発明はその更に別の具体例において、式F
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>Oで、それ以外は
独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル及びC1〜C6アルキルの中から独立に選択
され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10)2ま
たはF、
c)置換されていないか、またはアリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、
R10O−もしくは−N(R10)2で置
換されたC1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、
R3は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から選択され、
R4はH、ハロゲン、CH3及びCF3の中から選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3またはR6の6員
ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介して実現し、
R9a及びR9bは独立に水素、エチル、シクロプロピルまたはメチルであり、
R10は水素、C1〜C6アルキル、べンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択され、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの
中から独立に選択され、
Xは結合、−CH=CH−、−C(O)NR10−、−NR10C(O)−、−NR10
−、Oまたは−C(=O)−であり、
mは0、1または2であり、
pは0、1、2、3または4である〕によって表わされるファルネシル−タンパ
ク質トランスフェラーゼ阻害剤またはその医薬に許容可能な塩を提供する。
本発明はその更に別の具体例において、式G
〔式中
複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNまたはN−>Oで、それ
以外は独立にCHであり、
複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNまたはN−>Oで、それ以外は
独立にCR6であり、
R1は水素、C3〜C10シクロアルキル、R10O−、−N(R10
)2、F及びC1〜C6アルキルの中から独立に選択され、
R2は
a)水素、
b)アリール、複素環またはC3〜C10シクロアルキル、
c)置換されていないか、またはアリール、複素環、C3〜C10シクロアルキル、
C2〜C6アルケニル、R10O−もしくは−N(R10)2で置換されたC1〜C6ア
ルキル
の中から独立に選択され、
R3は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置
換複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アル
キニル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(
O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10
)2及びR11OC(O)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から選択され、
R4はH、ハロゲン、CH3及びCF3の中から選択され、
各R6は
a)水素、
b)非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換複素環、C3〜C10シクロ
アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、ハロゲン、C1〜C6ペル
フルオロアルキル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R1 0
)2NC(O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、NO2、R10C(O)
−、N3、−N(R10)2またはR11OC(O)NR10−、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置
換複素環、C3〜C10シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アル
キニル、R12O−、R11S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(
O)−、(R10)2N−C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10
)2及びR11OC(O)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6は一緒になって、−C
H=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(C
H2)3−の中から選択されたジラジカルを構成し、
ただしR3またはR6が非置換または置換複素環である場合、R3またはR6の6員
ヘテロアリール環への結合は置換可能な複素環炭素を介して実現し、
R9a及びR9bは独立に水素、エチル、シクロプロピルまたはメチルであり、
R10は水素、C1〜C6アルキル、ベンジル、2,2,2−トリフルオロエチル及
びアリールの中から独立に選択され、
R11はC1〜C6アルキル及びアリールの中から独立に選択さ
れ、
R12は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アラルキル、C1〜C6置換アラルキル
、C1〜C6ヘテロアラルキル、C1〜C6置換ヘテロアラルキル、アリール、置換
アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C1〜C6ペルフルオロアルキ
ル、2−アミノエチル及び2,2,2−トリフルオロエチルの中から独立に選択
され、
A1は結合、−C(O)−、O、−N(R10)−及びS(O)mの中から選択され
、
mは0、1または2であり、
nは0または1である〕によって表わされるファルネシルータンパク質トランス
フェラーゼ阻害剤またはその医薬に許容可能な塩を提供する。
本発明の化合物の特定例に、
1−[2−(ピリド−2−イル)ピリド−5−イルメチル]−5−(4−シアノ
ベンジル)イミダゾール:
N−{1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾル−5−イル)メチル}−
5−(ピリド−2−イル)−2−アミノピリミジン:またはこれらの医薬に許容可能な塩が有る。
本発明の化合物は、不斉中心を有してラセミ化合物、ラセミ混合物として、ま
た個々のジアステレオマーとして存在し得、光学異性体を含めたあらゆる可能な
異性体は本発明に含まれる。或る構成要素中にいずれかの可変部分(例えばアリ
ール、複素環、R1、R2等)が2個以上存在する場合、当該可変部分の定義は個
々に独立である。また、置換基または可変部分の組み
合わせは安定な化合物をもたらすものしか用い得ない。
本明細書中に用いた「アルキル」という語、並びにアラルキル及び類似の語が
含む「アルキル」という部分は、特定数の炭素原子を有する分枝鎖状と直鎖状と
の両方の飽和脂肪族炭化水素基を包含するものとする。「アルコキシ」という語
は、酸素橋を介して結合した、示した数の炭素原子を有するアルキル基を意味す
る。
本明細書中に用いた「シクロアルキル」という語は、特定数の炭素原子を有す
る非芳香族環状炭化水素基を包含するものとする。シクロアルキル基の例にはシ
クロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が含まれる。
「アルケニル」基には、特定数の炭素原子を有し、かつ一つ以上の二重結合を
有する基が含まれる。アルケニル基の例に、ビニル、アリル、イソプロペニル、
ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シ
クロペンテニル、シクロヘキセニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチ
ル−2−ブテニル、イソプレニル、ファルネシル、ゲラニル、ゲラニルゲラニル
等が有る。
「アルキニル」基には、特定数の炭素原子を有し、かつ三重
結合を一つ有する基が含まれる。アルキニル基の例に、アセチレン、2−ブチニ
ル、2−ペンチニル、3−ペンチニル等が有る。
本明細書中に用いた「ハロゲン」もしくは「ハロ」という語はフルオロ、クロ
ロ、ブロモ及びヨードを意味する。
本明細書中に用いた「アリール」という語、並びにアロイル及びアラルキルの
「アリール部分」という語は、各環が7員以下であり、少なくとも1個の環は芳
香環である任意の安定な単環または二環炭素環を意味するものとする。前記のよ
うなアリール要素の例にはフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダ
ニル、ビフェニル、フェナントリル、アントリルまたはアセナフチルが含まれる
。
本明細書中に用いた「複素環」という語は、炭素原子と、N、O及びSの中か
ら選択された1〜4個のヘテロ原子とから成る飽和または不飽和の安定な5〜7
員単環または安定な8〜11員二環である複素環を意味し、このように定義した
複素環のうちのいずれかがベンゼン環と縮合した任意の二環基も包含する。複素
環は、安定な構造の創出を実現する任意のヘテロ原子または炭素原子において結
合し得る。上記のような複素環要素の例
には、アゼピニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラ
ザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリ
ル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒド
ロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒ
ドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル
、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニ
ル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニ
ル、モルホリニル、ナフチリジニル、2−オキソピロリジニル、ピリジル、ピラ
ジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジ
ニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフ
リル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニ
ル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル
、チエノチエニル及びチエニルが非限定的に含まれる。
本明細書中に用いた「ヘテロアリール」という語は、少なくとも1個の環が芳
香族であり、かつ1〜4個の炭素原子がN、
O及びSの中から選択したヘテロ原子で置換されている、各環7員以下の任意の
安定な単環または二環炭素環を意味するものとする。前記のような複素環要素の
例には、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾフラサニル、ベ
ンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ
チエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シンノリニル、ジヒドロベンゾフ
リル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾ
チオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イ
ソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリ
ジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル
、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テト
ラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル
、チエノチエニル及びチエニルが非限定的に含まれる。
本明細書中R7の規定で用いた「置換C1〜C4アルキル」、「置換C3〜C6シ
クロアルキル」、「置換アロイル」、「置換アリール」、「置換ヘテロアリール
」、「置換アリールスルホニル」、「置換ヘテロアリールスルホニル」及び「置
換複素
環」という語は、化合物のその他の部分への結合部位以外に1〜3個の置換基を
有する部分を包含する。
特定の置換基を示さなかった場合、本明細書中に用いた「置換アリール」、「
置換複素環」及び「置換シクロアルキル」という語は、置換可能な環炭素原子に
おいてF、Cl、Br、CF3、NH2、N(C1〜C6アルキル)2、NO2、CN
、(C1〜C6アルキル)O−、−OH、(C1〜C6アルキル)S(O)m−、(
C1〜C6アルキル)C(O)NH−、H2N−C(NH)−、(C1〜C6アルキ
ル)C(O)−、(C1〜C6アルキル)OC(O)−、N3、(C1〜C6アルキ
ル)OC(O)NH−、フェニル、ピリジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イ
ソオキサゾリル、チアゾリル、チエニル、フリル、イソチアゾリル及びC1〜C2 0
アルキルを非限定的に含むグループの中から選択された1個または2個の置換
基で置換された環基を包含するものとする。
置換基(R3、R4等)から環系の内側へと引かれた線は、示した結合が置換可
能な環炭素原子のいずれにおいても実現可能であることを示す。
構造式
によって示した部分は芳香族6員複素環であり、次の環系
を包含する。
構造式
によって示した部分は芳香族6員複素環で、次の環系を包含し、その際1個の環炭素原子は
で置換されると理解される。
構造式
によって示した部分は芳香族6員複素環であり、次の環系〔式中R6は先に規定したとおりである〕を包含する。
互いに隣接する炭素原子上に位置するいずれか2個のR6が一緒になって、−
CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、−(CH2)4−及び−(
CH2)3−の中から選択されたジラジカルを構成する場合、式
によって示した部分は次の構造を非限定的に包含する。これらの縮合環部分は、先に規定したとおりの残りのR6
によって更に置換可能であると理解される。
好ましくは、「末端」芳香族6員複素環はピリジル環である。
好ましくは、R1及びR2は水素、R11C(O)O−、−N(R10)2、R10C
(O)NR10−、R10O−、非置換C1〜C6アルキル、並びに非置換または置換
フェニル、−N(R10)2、R10O−及びR10C(O)NR10−の中から選択さ
れた置換基で置換されたC1〜C6アルキルの中から独立に選
択される。
好ましくは、R3は
a)水素、
b)C3〜C10シクロアルキル、ハロゲン、C1〜C6ペルフルオロアルキル、R12
O−、CN、NO2、R10C(O)−または−N(R10)2、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、非置換または置換複素環、C3〜C10
シクロアルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、R12O−、R11
S(O)m−、R10C(O)NR10−、(R10)2NC(O)−、(R10)2N−
C(NR10)−、CN、R10C(O)−、N3、−N(R10)2及びR11OC(O
)NR10−の中から選択された置換C1〜C6アルキル
の中から選択される。
好ましくは、R4は水素、ハロゲン、トリフルオロメチル、トリフルオロメト
キシ及びC1〜C6アルキルの中から選択される。
好ましくは、R5は水素である。
好ましくは、R6は
a)水素、
b)C3〜C10シクロアルキル、ハロゲン、C1〜C6ペルフルオロアルキル、R12
O−、R11S(O)m−、CN、NO2、R10C(O)−または−N(R10)2、
c)非置換C1〜C6アルキル、
d)その置換基が非置換または置換アリール、C3〜C10シクロアルキル、R12O
−、R11S(O)m−、R10C(O)−及び−N(R10)2の中から選択された置
換C1〜C6アルキル
の中から独立に選択され、または
互いに隣接する炭素原子上に位置するR6a、R6b、R6c、R6d及びR6eのうちの
いずれか2個は一緒になって、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−C
H2−、−(CH2)4−及び−(CH2)3−の中から選択されたジラジカルを構
成する。
好ましくは、R8は
a)水素、及び
b)アリール、置換アリール、複素環、置換複素環、C1〜C6
ペルフルオロアルキルまたはCN
の中から独立に選択される。
好ましくは、R9は水素、ハロゲン、CF3またはメチルである。
好ましくは、R10はH、C1〜C6アルキル及びベンジルの中から選択される。
好ましくは、A1及びA2は結合、−C(O)NR10−、−NR10C(O)−、
O、−N(R10)−、−S(O)2N(R10)−及び−N(R10)S(O)2−の
中から独立に選択される。
好ましくは、Vは水素、複素環及びアリールの中から選択される。更に好まし
くは、Vはフェニルである。
好ましくは、Wはイミダゾリニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル
、ピロリジニル、チアゾリル及びピリジルの中から選択される。更に好ましくは
、Wはイミダゾリル及びピリジルの中から選択される。
好ましくは、n及びrは独立に0、1または2である。
好ましくは、Sは0である。
好ましくは、tは1である。
好ましくは、複数存在するfはそのうちの1個または2個が独立にNで、それ
以外は独立にCHである。
好ましくは、複数存在するgはそのうちの1〜3個が独立にNで、それ以外は
独立にCR6である。
好ましくは、部分
は
の中から選択される。
任意の置換基または可変部分(例えばR1、R2、R9、n等)の、或る分子の
特定の箇所における定義は当該分子の他の箇所における定義から独立であるもの
とする。即ち、−N(R10
)2は−NHH、−NHCH3、−NHC2H5等となる。本発明の化合物の置換
基及び置換パターンを、容易に入手可能な出発物質から当業者に公知の技術及び
後述する方法によって容易に合成できる化学的に安定な化合物を得るべく選択す
ることは、当業者には可能であると理解される。
本発明の化合物の医薬に許容可能な塩には本発明の化合物の、例えば無毒の無
機または有機酸から形成される通常の無毒塩が含まれる。このような通常の無毒
塩の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等といっ
た無機酸から得られる塩、及び酢酸、プロピオン酸、琥珀酸、グリコール酸、ス
テアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マ
レイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サ
リチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスル
ホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、蓚酸、イセチオン酸、トリフ
ルオロ酢酸等といった有機酸から製造される塩が含まれる。
本発明の化合物の医薬に許容可能な塩は、塩基性部分を有する本発明の化合物
から通常の化学的方法で合成可能である。塩
は通常イオン交換クロマトグラフィーによって、または遊離塩基と、所望の塩を
形成する化学量論量または過剰量の無機または有機酸とを適当な溶媒または様々
な溶媒の組み合わせ中で反応させることによって製造する。
本発明の化合物は、参考文献から知られる、または実験操作中に一例として用
いたエステル加水分解、保護基の開裂(cleavage)等といった他の標準
的操作に加え、反応図式1〜12に示した反応を用いることによって製造する。
図式中に示した置換基R3、R6及びR8は、先に規定した置換基R3、R4、R5、
R6及びR8を表わしている。このような置換基R3、R6またはR8は図式に示し
た中間体及び生成物中には1個しか存在しないが、示した反応は当該アリールま
たはヘテロアリール部分が多数の置換基を有する場合にも適用可能であると理解
される。
上記反応は、本発明の化合物を得るべく逐次用いても、またフラグメントの合
成に用いてもよく、後者の場合は後にフラグメント同士を、反応図式に示したア
ルキル化反応によって結合する。反応図式に示した反応は単なる例であり、限定
的なものではない。ヘテロアリール部分の形成に有用な他の反応が、P.
G.Sammes編,”Comprehensive Organic Che
mistry,Volume 4:Heterocyclic Compoun
ds,”Oxford,1979とその参考文献中に記載されている。アリール
−アリールカップリングは、Katritsky等編,”Comprehens
ive Organic Functional Group Transfo
rmations,”pp.472−473,Pergamon Press,
1995に概説されている。反応図式1〜12の概要
必要な中間体には市販されているものも有り、またその大部分は参考文献に記
載された操作で製造可能である。反応図式1〜12に、好ましいベンジルイミダ
ゾリル側鎖を有する本発明のビヘテロアリール化合物の合成を示すが、例えば図
式1では市販されていないビヘテロアリール中間体を、当業者に公知の方法によ
って合成し得る。即ち、適宜置換したピリジルボロン酸IをSuzukiカップ
リング条件(Pure Appl.Chem.63,p.419,1991)下
に4−ブロモ−ニコチン酸などの、適宜置換したハロゲン化ニコチン酸と
反応させるとビヘテロアリールカルボン酸IIが得られる。この酸を還元し、中間
体アルコールIIIのトリフレートをその場で形成して、適宜置換したベンジルイ
ミダゾリルIVとカップリングさせ、これを脱保護すれば本発明の化合物Vを得る
ことができる。
反応図式2〜4に、重要なアルコール中間体を合成する他の方法を示す。得ら
れる中間体は図式1に示したように処理することが可能である。即ち、図式2に
はニコチン酸メチルと、Suzukiカップリングにおいてハロゲン化した反応
物として用いる「末端」ヘテロアリール部分とから出発してビヘテロアリールア
ルコールを生成させる一連の類似反応を示す。このようなカップリング反応は、
図式3に示したように、一方の反応物が適宜保護されたヒドロキシル官能基を有
する場合にも適合し得る。
図式4に示したように、本発明の化合物のビヘテロアリール要素の形成にはN
egishiの化学操作(Org.Synth.66, p.67,1988)
を用いることも可能である。即ち、適宜置換した臭化亜鉛付加物をニッケル(II
)の存在下に、適宜置換したヘテロアリールハリドとカップリン
グさせるとビヘテロアリールVIIが得られる。ヘテロアリールハリド及び臭化亜
鉛付加物は出発試薬の入手しやすさに基づいて選択し得る。
反応図式5に、3−メチルピリジンから出発するピリジルメタノール中間体の
製造を示す。
反応図式6に示したように、一連のカップリング反応を、最後にヘテロアリー
ル−ヘテロアリール結合が形成されるように変更することも可能である。即ち、
まず適宜置換したイミダゾールを適宜置換したベンジルハリドでアルキル化する
と中間体VIIIが得られる。この中間体VIIIにSuzuki型カップリング操作を
施せば、適宜置換されたピリジルボロン酸を得ることができる。
反応図式7に、R9bが水素でない本発明の化合物の合成を示す。即ち、容易に
入手可能な4−置換イミダゾールIXを選択的にヨウ素化することによって5−ヨ
ードイミダゾールXが得られる。このイミダゾールを保護し、適宜置換したベン
ジル部分とカップリングさせると中間体XIが得られる。中間体XIには、先に
述べたアルキル化反応操作を施すことが可能である。
反応図式8に、アルキルアミノ、スルホンアミドまたはアミ
ドリンカーを介してビアリールに結合した好ましいイミダゾリル部分を有する本
発明の化合物の合成を示す。即ち、第一級アミンをフタルイミドとして保護した
4−アミノアルキルイミダゾールXIIを選択的にアルキル化し、その後脱保護し
てアミンXIIIを得る。アミンXIIIを、当業者に良く知られた条件下に様々な活
性化ビヘテロアリール部分と反応させることにより、示したような本発明の化合
物を得ることができる。
A1(CR1 2)nA2(CR1 2)nリンカーが酸素である本発明の化合物は、例え
ば反応図式9に示したような、当業者に公知の方法で合成し得る。適宜置換した
フェノールXIVをメチルN−(シアノ)メタンイミデートと反応させると4−フ
ェノキシイミダゾールXVが得られる。一方のイミダゾリル窒素を選択的に保護
して得られた中間体XVIには、先にベンジルイミダゾールに関して述べたアルキ
ル化反応操作を施すことが可能である。
反応図式10に、本発明の化合物の(CR2 2)pX(CR2 2)pリンカーが酸素
である場合に用いる一連の類似反応を示す。即ち、適宜置換した3−クロロ−2
−ピリジノールなどのハロピリジノールをメチルN−(シアノ)メタンイミデー
トと
反応させて中間体XVIを得る。中間体XVIを保護し、好ましい具体例の化合物の
生成が所望であれば、適宜保護したベンジルでアルキル化する。得られた中間体
XVIIをSuzukiの化学操作でヘテロアリール部分とカップリングさせれば
、本発明の化合物を得ることができる。
A1(CR1 2)nA2(CR1 2)nリンカーが置換メチレンである本発明の化合物
は、反応図式11に示した方法によって合成し得る。即ち、N保護したヨウ化イ
ミダゾリルXVIIIをグリニャール条件下に、適宜保護したベンズアルデヒドと反
応させてアルコールXIXを得る。先に他の反応図式(特に図式1)に示したアシ
ル化と、これに続くアルキル化とによって本発明の化合物XXが得られる。他の
置換基R1が所望である場合は、アセチル部分を反応図式11に示したように処
理し得る。
反応図式12に、本発明の化合物の製造へのハロゲン化2−アミノピリミジン
の使用を示す。反応図式1 反応図式1(続き)
反応図式2 反応図式3 反応図式4 反応図式5 反応図式6 反応図式7 反応図式8 反応図式9 反応図式10 反応図式11 反応図式11(続き) 反応図式12 本発明の化合物は哺乳動物用、特にヒト用の薬物として有用である。本発明の
化合物は、癌の治療に用いるべく患者に投与し得る。本発明の化合物で治療し得
る種類の癌の例に、結腸直腸癌、外分泌性膵臓癌、骨髄性白血病及び神経系腫瘍
が非限定的に含まれる。前記のような腫瘍は、ras遺伝子自体の突然変異、R
as活性を調節し得るタンパク質[即ちニューロフィブロミン(neurofi
bromin)(NF−1)、Neu、Scr、Abl、Lck、Fyn]の突
然変異、または他の機序によって発生し得る。
本発明の化合物はファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを阻害し、腫
瘍遺伝子タンパク質Rasのファルネシル化を抑制する。本発明の化合物はまた
、腫瘍血管形成を抑制し、それによって腫瘍の増殖に影響を及ぼし得る(J.R
ak等,Cancer Research 55,pp.4575−4580,
1995)。本発明の化合物のこの血管形成抑制特性は、網膜血管新生に関連す
る幾つかの形態の失明の治療にも有用であり得る。
本発明の化合物は、タンパク質Rasがras以外の遺伝子の腫瘍遺伝子への
突然変異の結果として異常に活性化される
(即ちras遺伝子自体が腫瘍遺伝子形態への突然変異によって活性化されるの
ではない)他の増殖性疾患を良性と悪性とを問わず抑制するのにも有用であり、
前記抑制はこのような治療を必要とする哺乳動物に有効量の本発明の化合物を投
与することによって実現する。例えば、NF−1に属するタンパク質の一つは良
性増殖性障害を誘発する。
本発明の化合物は、幾つかのウイルス感染の治療、特に肝炎δウイルス及び関
連ウイルスへの感染の治療にも有用であり得る(J.S.Glenn等,Sci
ence 256,pp.1331−1333,1992)。
本発明の化合物は、新血管内膜形成(neointimalformatio
n)の抑制によって経皮経内腔的(percutaneous translu
minal)冠状血管形成後の再発狭窄症を予防するのにも有用である(C.
Indolfi等,Nature medicine1,pp.541−545
,1995)。
本発明の化合物は、多発性嚢胞腎疾患の治療及び予防にも有用であり得る(D
.L.Schaffner等,American Journal of Pa
thology 1
42,pp.1051−1060,1993;及びB.Cowley,Jr.等
,FASEB Journal2,A3160,1988)。
本発明の化合物は真菌感染の治療にも有用であり得る。
本発明の化合物は哺乳動物、好ましくはヒトに単独で、または好ましくは標準
的な医薬調製法に従い医薬に許容可能なキャリヤもしくは稀釈剤と、場合によっ
てはミョウバンなどの公知の佐剤と組み合わせて医薬組成物の形態で投与し得る
。本発明の化合物は経口投与、または静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸内及
び局所投与を含めた非経口投与が可能である。
本発明による化学療法用化合物を経口使用する場合は、選択した化合物を例え
ば錠剤もしくはカプセル剤、または水性の溶液剤もしくは懸濁液剤の形態で投与
し得る。経口使用用錠剤の場合、通常用いられるキャリヤにラクトース及びコー
ンスターチが含まれ、またステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤が通常添加さ
れる。カプセル剤形態での経口投与に有用な稀釈剤には、ラクトース及び乾燥コ
ーンスターチが含まれる。経口使用のために水性懸濁液剤が必要である場合は、
活性成分を乳化剤及び懸濁化剤と配合する。所望であれば、何らかの甘味剤及び
/または香味付与剤を添加してもよい。筋肉内、腹腔内、皮下及び静脈内使用の
ためには普通活性成分の滅菌溶液を調製するが、この溶液のpHは適宜調節及び
緩衝するべきである。静脈内使用の場合は溶質の総濃度を、製剤が等張性となる
ように制御するべきである。
本発明の化合物は、治療する状態の克服に特に有用であることで選択される、
良く知られた他の治療薬と同時投与することも可能である。例えば、本発明の化
合物は公知の抗癌及び抗細胞毒物質との組み合わせにおいて有用であり得る。本
発明の化合物はまた、NF−1に起因する疾患、再発狭窄症、多発性嚢胞腎疾患
、肝炎δウイルス及び関連ウイルスへの感染、並びに真菌感染の治療及び予防に
有効である薬物との組み合わせにおいても有用であり得る。
定用量製剤を調製する場合は上記のような組み合わせに、本発明の化合物を後
述する用量範囲内で用い、かつ(1種以上の)他の医薬活性物質をその承認され
た用量範囲内で用いる。あるいはまた、組み合わせ製剤が不適当である場合には
、本発明の化合物及び医薬に許容可能な(1種以上の)公知薬物を逐次用いるこ
とも可能である。
本発明は、医薬に許容可能なキャリヤまたは稀釈剤を伴うかまたは伴わない治
療有効量の本発明の化合物を投与することを含む癌治療に有用な医薬組成物も包
含する。適当な本発明の組成物には、本発明の化合物と、pHレベルが例えば7
.4である食塩液などの、医薬に許容可能なキャリヤとを含有する水溶液が含ま
れる。この溶液は、局所的ボーラス注入(localbolus inject
ion)によって患者の血流中に導入し得る。
本明細書中に用いた「組成物」という語は、特定成分を特定量で含有する調製
物、並びに特定量の特定成分同士の配合から直接または間接に得られる調製物一
切を包含するものとする。
本発明による化合物をヒト被検者に投与する場合、1日当たりの投与量は通常
処方医によって決定されるが、この投与量は通常個々の患者の年齢、体重及び応
答、並びに患者の症状の重篤度に従って変化する。
適用の一例として、癌の治療を受けている哺乳動物に適量の化合物を投与する
場合を示す。1日当たりの投与量を体重1kg当たり約0.1〜約60mg、好
ましくは0.5〜約40mgとする。
本発明の化合物は、組成物においてファルネシル−タンパク質トランスフェラ
ーゼ(FPTアーゼ)の存在及び量を迅速に確認するアッセイの構成要素として
も有用である。即ち、試験するべき組成物を分割し、その二つの部分を、FPT
アーゼの既知の基質(例えばアミン末端にシステインを有するテトラペプチド)
及びファルネシルピロリン酸を含有する混合物と接触させ、一方の混合物に本発
明の化合物を添加する。アッセイ混合物を当業者に良く知られた、FPTアーゼ
が当該基質をファルネシル化するのに十分な時間だけインキュベートした後、ア
ッセイ混合物の化学的内容を周知の免疫学的、放射線化学的またはクロマトグラ
フィー利用技術によって確認する。本発明の化合物はFPTアーゼの選択的阻害
剤であるので、本発明の化合物を含有しないアッセイ混合物において基質が存在
しなくなるか、または定量的に減少する一方で本発明の化合物を含有するアッセ
イ混合物中に存在する基質には変化が起こらないことが、試験組成物中にFPT
アーゼが存在することの指標となる。
上述のようなアッセイがファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを含有
する組織試料の同定及び前記酵素の定量に有
用であることは、当業者には直ちに明らかとなろう。即ち、強力な阻害剤である
本発明の化合物は、試料中の酵素量を測定する活性部位滴定アッセイに用い得る
。未知量のファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼを含有する組織抽出物
のアリコートと、過剰量のFPTアーゼの既知の基質(例えばアミン末端にシス
テインを有するテトラペプチド)と、ファルネシルピロリン酸とから成る一連の
試料を、様々な濃度の本発明の化合物の存在下に適当な時間インキュベートする
。十分に強力な阻害剤(即ち、アッセイ容器内の酵素の濃度より実質的に小さい
Kiを有する阻害剤)の、試料の酵素活性を50%抑制するのに必要な濃度は当
該試料中の酵素の濃度の半分にほぼ等しい。実施例
本発明を更に理解する一助として実施例を示す。特定の使用物質、化合物及び
条件は本発明を更に良く説明するものとして採用してあり、本発明の合理的範囲
を限定するものではない。実施例1 1−2−(ピリド−2−イル)ピリド−5−イルメチル]−5−(4−シアノベ ンジル)イミダゾール ステップA
:2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5− ピリジンカルボン酸
−78℃において2−ヒドロキシ−5−ピリジンカルボン酸(185mg;1
.33mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.464ml;2.66
mmol)をジクロロメタン(7ml)に溶解させた溶液にトリフルオロメタン
スルホン酸無水物(0.224ml;1.33mmol)を添加し、得られた混
合物を−78℃で1時間、次いで周囲温度で1時間攪拌する。反応混合物を水で
稀釈し、CH2Cl2で抽出し、有機抽出物を脱水し(MgSO4)、溶媒を真空
下に蒸発させる。残留物をクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を得る
。ステップB
:2−(ピリド−2−イル)−5−ピリジンカルボ ン酸
2−トリフルオロメタンスルホニルオキシ−5−ピリジンカルボン酸(0.4
42g;1.72mmol)と、2−ピリジルボロン酸(1.57g;12.7
9mmol)と、水酸化バリウム(0.813mg;2.58mmol)と、D
ME(8ml)と、水(1.5ml)との混合物を乾燥アルゴンでパージする。
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジ
ウム(0)(99.0mg;0.086mmol)を添加し得られた溶液を80
℃で4時間攪拌する。溶媒を真空下に蒸発させ、残留物をEtOAcと水とに分
配する。水性抽出物を分離し、EtOAcで抽出する。有機抽出物を一つに合わ
せ、NaHCO3の飽和水溶液及びNa2S2O3の5%水溶液で洗浄し、脱水し(
Na2SO4)、溶媒を真空下に蒸発させる。残留物をクロマトグラフィーにより
精製して標記化合物を得る。ステップC
:2−(ピリド−2−イル)−5−ヒドロキシメチ ル−ピリジン
0℃において2−(ピリド−2−イル)−5−ピリジンカルボン酸(0.32
0g;1.60mmol)をTHF(5ml)に溶解させた溶液に水素化アルミ
ニウムリチウムの1.0Mジエチルエーテル溶液(1.60ml;1.60mm
ol)を10分掛けて添加する。反応混合物を周囲温度で3時間攪拌し、0℃に
冷却し、水(0.10ml)、NaOHの4N水溶液(0.10ml)及び水(
0.30ml)を逐次添加する。反応混合物をCeliteパッドで濾過し、濾
液を真空下に蒸発させる。残留物をクロマトグラフィーにより精製して標記化合
物を得る。ステップD
:1−[2−(ピリド−2−イル)ピリド−5−イ ルメチル]−5−(4−シアノベンジル)イミ ダゾール
−78℃において2−(ピリド−2−イル)−5−ヒドロキシメチル−ピリジ
ン(269mg;1.33mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.4
64ml;2.66mmol)をジクロロメタン(7ml)に溶解させた溶液に
トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.224ml;1.33mmol)を
添加し、得られた混合物を−78℃で1時間攪拌する。この混合物に、1−トリ
チル−4−(4−シアノベンジル)−イミダゾール(566mg;1.33mm
ol)をジクロロメタン(5ml)に溶解させた溶液を添加する。混合物を周囲
温度に加温し、2時間攪拌する。溶媒を真空下に蒸発させる。残留物をメタノー
ル(50ml)に溶解させ、還流温度で1時間加熱し、溶媒を真空下に蒸発させ
る。残留物をジクロロメタンとNaHCO3の飽和水溶液とに分配する。有機層
を脱水し(Na2SO4)、溶媒を真空下に蒸発させる。残留物をクロマトグラフ
ィーに掛けて標記化合物を得る。実施例2 N−{1−(4−シアノベンジル)−1H−イミダゾル−5−イル)メチル}− 5−(ピリド−2−イル)−2−アミノピリミジン ステップA
:5−(ピリド−2−イル)−2−アミノピリミジン
2−アミノ−5−ブロモピリミジン(0.299g;1.72mmol)と、
2−ピリジルボロン酸(1.57g;12.79mmol)と、水酸化バリウム
(0.813mg;2.58mmol)と、DME(8ml)と、水(1.5m
l)との混合物を乾燥アルゴンでパージする。テトラキス(トリフェニルホスフ
ィン)パラジウム(0)(99.0mg;0.086mmol)を添加し、得ら
れた溶液を80℃で4時間攪拌する。溶媒を真空下に蒸発させ、残留物をEtO
Acと水とに分配する。水性抽出物を分離し、EtOAcで抽出する。有機抽出
物を一つに合わせ、NaHCO3の飽和水溶液及びNa2S2O3の5%水溶液で洗
浄し、脱水し(Na2SO4)、溶媒を真空下に蒸発させる。残留物をクロマトグ
ラフィーにより精製して標記化合物を得る。ステップB
:1−トリフェニルメチル−4−(ヒドロキシメチ ル)イミダゾール
室温において4−(ヒドロキシメチル)イミダゾール塩酸塩(35.0g;2
60mmol)を乾燥DMF(250ml)に溶解させた溶液にトリエチルアミ
ン(90.6ml;650mmol)を添加した。溶液から白色の固体が沈澱し
た。DMF(500ml)中のクロロトリフェニルメタン(76.1g;273
mmol)を滴下し加えた。反応混合物を20時間攪拌し、氷上へ注ぎ、濾過し
、氷水で洗浄した。得られた生成物を冷ジオキサンでスラリー化し、濾過し、か
つ真空乾燥して、標記化合物を白色の固体として得た。得られた化合物は次のス
テップでの使用に十分な純度を有した。ステップC
:1−トリフェニルメチル−4−(アセトキシメチ ル)−イミダゾール
ステップBで得られたアルコール(260mmol;上述のように製造)をピ
リジン(500ml)中に懸濁させた。無水酢酸(74ml;780mmol)
を滴下し加え、反応混合物を48時間攪拌したところ、その間に混合物は均質と
なった。溶液をEtOAc中へ注ぎ、水、HCIの5%水溶液、NaHCO3の
飽和水溶液及びブラインで逐次洗浄した。有機抽
出物を脱水し(Na2SO4)、かつ真空下に濃縮して、標記化合物を白色の粉末
として得た。得られた化合物は次の反応への使用に十分な純度を有した。ステップD
:1−(4−シアノベンジル)−5−(アセトキシ メチル)−イミダゾール臭化水素酸塩
ステップCで得られた生成物(85.8g;225mmol)及び4−シアノ
ベンジルブロミド(50.1g;232mmol)をEtOAc(500ml)
に溶解させた溶液を60℃で20時間攪拌したところ、その間に淡黄色の沈澱物
が生じた。反応混合物を室温に冷却し、かつ濾過して固体の臭化イミダゾリウム
塩を得た。濾液を真空下に濃縮して体積200mlとし、これを60℃で2時間
加熱し、室温に冷却し、濾過した。濾液を真空下に濃縮して体積100mlとし
、これを60℃で2時間加熱し、室温に冷却し、かつ真空下に濃縮して淡黄色の
固体を得た。総ての固体物質を一つに合わせ、メタノール(500ml)に溶解
させ、60℃に加温した。2時間後、溶液を真空下に濃縮して白色の固体を得、
この固体をヘキサンで粉砕して溶解性の副産物を除去した。残留溶媒を真空下に
除去し、それによって標記化合物を白色の固体として得、これを更
に精製することなく次のステップに用いた。ステップE
:1−(4−シアノベンジル)−5−(ヒドロキシ メチル)−イミダゾール
0℃において、ステップDで得られたアセテート(50.4g;150mmo
l)を3:1のTHF/水(1.51)に溶解させた溶液に水酸化リチウム一水
和物(18.9g;450mmol)を添加した。1時間後、反応混合物を真空
下に濃縮し、EtOAc(31)で稀釈し、水、NaHCO3の飽和水溶液及び
ブラインで洗浄した。その後、溶液を脱水し(Na2SO4)、濾過し、かつ真空
下に濃縮して、粗な標記化合物を淡黄色の綿毛状固体として得た。得られた化合
物は、更に精製しなくても次のステップでの使用に十分な純度を有した。ステップF
:1−(4−シアノベンジル)−5−(クロロメチ ル)−イミダゾール
1−(4−シアノベンジル)−5−(ヒドロキシメチル)−イミダゾール(1
.00g;4.70mmol)を塩化チオニル(5ml)に溶解させた溶液を7
0℃で16時間撹拌した。溶媒を真空下に蒸発させ、得られた固体をCH2Cl2
中に懸濁させ、濾過によって回収し、真空乾燥した。得られた物質は、
更に精製しなくても次のステップでの使用に十分な純度を有した。1
H NMR(CD3OD;400MHz)δ:9.06(1H,s)、7.83(2H,d,J=8.OHz)、7.77(1H
,s)、7.55(2H,d,J=8.OHz)、5.67(2H,s)及び4.78(2H,s)ppm。ステップG
:N−{1−(4−シアノベンジル)−1H−イミ ダゾル−5−イル)メチル}−5−(ピリド− 2−イル)−2−アミノピリミジン
0℃において、ステップFで得られた塩化物(500mg;1.65mmol
)をDMF(10ml)に溶解させた溶液にステップAで得られたアミン(28
4mg;1.65mmol)及び水素化ナトリウム(145mg;鉱油中に60
%分散;3.62mmol)を逐次添加する。攪拌を0℃で1時間、次いで室温
で16時間継続する。反応混合物を水(50ml)で反応停止させ、CH2Cl2
で抽出する。有機抽出物を脱水し(MgSO4)、溶媒を真空下に蒸発させる。
残留物をクロマトグラフィーにより精製して標記化合物を得る。実施例3 Rasファルネシルトランスフェラーゼのin vitro阻害
ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼのアッセイ:部分的に精製したウ
シFPTアーゼ及びRasペプチド(Ras−CVLS、Ras−CVIM及び
Ras−CAIL)を、Schaber等,J.Biol.Chem.265,
pp.14701−14704,1990,Pompliano等,Bioch
emistry 31,p.3800,1992及びGibbs等,PNAS
U.S.A.86,pp.6630−6634, 1989に記載されているよ
うにしてそれぞれ調製した。ウシFPTアーゼを、pH7.4の100mM N
−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N′−(2−エタンスルホン酸)(H
EPES)と、5mM MgCl2と、5mMジチオトレイトール(DTT)と
、100mM [3H]−ファルネシルニリン酸([3H]−FPP;740CB
q/mmol;New England Nuclear)と、650nM R
as−CVLSと、10μg/ml FPTアーゼとを含有する体積100μl
の混合物において31℃で60分間アッセイした。反応はFPTアーゼで開
始させ、エタノール中の1.0M HCl 1mlで停止させた。沈澱物を、T
omTec Mach II細胞回収装置を用いてフィルターマット上に回収し、
100%エタノールで洗浄し、乾燥し、LKB β−プレートカウンターで計数
した。アッセイは、上記両基質、FPTアーゼレベル及び時間に関して線形とし
た。反応の間に用いる[3H]−FPPは10%未満とした。精製した化合物を
100%ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させ、これをアッセイ混合物
で20倍に稀釈した。阻害率(%)は、試験化合物存在下での放射能の取り込み
量を試験化合物不在下での取り込み量と比較することによって測定する。
ヒトFPTアーゼを、Omer等,Biochemistry 32,pp.
5167−5176, 1993に記載されているようにして調製した。ヒトF
PTアーゼ活性を上述と同様にして、ただし反応混合物には0.1%(w/v)
ポリエチレングリコール20,000、10μM ZnCl2及び100nM
Ras−CVIMを添加してアッセイした。反応を30分間生起させ、かつエタ
ノール中の30%(v/v)トリクロロ酢酸(TCA)100μlで停止させ、
反応混合物
を、ウシの酵素に関して先に述べたように処理した。
本発明の化合物をヒトFPTアーゼに対する阻害活性に関して、先に述べたア
ッセイによって試験する。実施例4 in vivo Rasファルネシル化アッセイ
このアッセイで用いる細胞系は、ウイルス性Ha−rasp21を発現させた
、Rat1またはNIH3T3細胞に由来するv−ras細胞系である。アッセ
イは実質的に、J.E.DeClue等,Cancer Research 5
1,pp.712−717, 1991に記載されているように行なう。集密度
50〜75%の10cm皿内の細胞を試験化合物で処理する(溶媒即ちメタノー
ルまたはジメチルスルホキシドの最終濃度は0.1%)。37℃で4時間経過後
、細胞を3mlの、10%正則(regular)DMEM、2%ウシ胎児血清
及び400mCi[35S]メチオニン(1000Ci/mmol)を補充したメ
チオニン無含有DMEMで標識する。更に20時間後、細胞を1mlの溶解緩衝
液(1% NP40、pH7.5の20mM HEPES、5mM MgCl2
、1mM DTT、10mg/mlアプロチネン、2mg/mlロ
イペプチン、2mg/mlアンチパイン、0.5mM PMSF)に溶解させ、
溶解物を100,000×gで45分間の遠心により清澄化する。等しい酸沈降
カウント数(numbers of acid−precipitatable
counts)を有する溶解物のアリコートをIP緩衝液(DTTを欠く溶解
緩衝液)で体積1mlとし、Ras特異的なモノクローナル抗体Y13−259
(M.E.Furth等,J.Virol.43,pp.294−304,19
82)で免疫沈降させる。4℃で2時間の抗体インキュベーション後、ウサギ抗
ラットIgGで被覆したプロテインA−セファロースの25%懸濁液200ml
を45分掛けて添加する。免疫沈降物をIP緩衝液(pH7.5の20nM H
EPES、1mM EDTAN 1% Triton X−100,0.5%デ
オキシコーレート、0.1% SDS、0.1M NaCl)で4回洗浄し、S
DS−PAGE試料緩衝液中で加熱し、13%アクリルアミドゲルに加える。染
料の前線(front)が底部に到達したらゲルを固定し、Enlighten
ingに吸い取り、乾燥し、オートラジオグラフィーに掛ける。ファルネシル化
及び非ファルネシル化Rasタンパク質に対応
するバンドの強度を比較して、タンパク質へのファルネシル転移の抑制率(%)
を測定する。実施例5 in vivo増殖抑制アッセイ
FPTアーゼ阻害の生物学的結果を確認するべく、本発明の化合物がv−ra
s、v−rafまたはv−mos腫瘍遺伝子でトランスフォームしたRat1細
胞の非付着依存性増殖に及ぼす作用を試験する。本発明の化合物のras誘導細
胞トランスフォーメーションに対する特異性を評価する分析には、v−raf及
びv−mosでトランスフォームした細胞も用い得る。
v−ras、v−rafまたはv−mosでトランスフォームしたRat1細
胞を、アガロース下層(0.6%)を覆う培地A(10%ウシ胎児血清を補充し
たダルベッコの改質イーグル培地)中の0.3%アガロース上層に1プレート(
直径35mm)当たり1×104細胞の密度で播種する。上記両層は0.1%の
メタノールか、または本発明の化合物の適当な濃縮物(アッセイで用いる最終濃
度の1000倍の濃度でメタノールに溶解させたもの)を含有する。細胞に、0
.1%のメタノ−ルまたは本発明の化合物の濃縮物を含有する培地Aを1週間に
2回、毎回0.5mlずつ供給する。培養細胞播種の16日後に顕微鏡写真を撮
影し、比較を行なう。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
A61P 35/00 A61K 31/00 635
43/00 643D
A61K 31/4439 31/44 613
31/506 31/505 601
(31)優先権主張番号 60/022,587
(32)優先日 平成8年7月24日(1996.7.24)
(33)優先権主張国 米国(US)
(31)優先権主張番号 9617255.6
(32)優先日 平成8年8月16日(1996.8.16)
(33)優先権主張国 イギリス(GB)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ
,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CN,CU,
CZ,EE,GE,HU,IL,IS,JP,KG,K
R,KZ,LC,LK,LR,LT,LV,MD,MG
,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,RU,
SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA,U
S,UZ,VN,YU