JP2000506388A - 近共通スプライス部位を有する無イントロン遺伝子の発現を増大させるためのウイルスのシス作用性転写後調節配列の用途 - Google Patents

近共通スプライス部位を有する無イントロン遺伝子の発現を増大させるためのウイルスのシス作用性転写後調節配列の用途

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Abstract

(57)【要約】 一つまたはそれ以上の近共通スプライス配列を有する無イントロン遺伝子と、該遺伝子とともに転写され、細胞の核から細胞質への遺伝子転写物の輸出を生じる、ウイルスのシス作用性転写後調節要素の一つまたはそれ以上のコピーとを含む発現ベクターが開示される。好適実施態様では、該ベクターは、核酸結合剤に解放できるよう結合されたプラスミドと、細胞表面の成分に結合するリガンドとで構成された分子複合体の形態で、特定の細胞への送達のために標的化する。開示されたとおりのウイルスのシス作用性転写後調節要素の使用は、近共通スプライス部位を有する無イントロン遺伝子の発現を増大することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 近共通スプライス部位を有する無イントロン遺伝子の発現を 増大させるためのウイルスのシス作用性転写後調節配列の用途 [発明の背景] 逆転写を通じて複製するいくつかのウイルスは、一定の調節配列に依存して、 スプライスされていないか、または部分的にスプライスされた転写物が、ウイル スタンパク質として発現される細胞質へと輸出されるのを調節することが示され ている。例えば、HIV−1というレトロウイルスは、Revタンパク質に加えて 、Rev応答要素(RRE)に依存して、細胞核から細胞質への一定の転写物の輸 出を支配し、それによってそれらの発現を促進する[例えばCullen et al.(1991 )Science 16:346-350;およびRosen et al.(1990)AIDS 4:499-509を参照された い]。 B型肝炎ウイルス(HBV)は、その複製サイクルの間に逆転写を経験し、シ ス作用性要素に依存して、遺伝子転写物の細胞質蓄積を調節するもう一つのウイ ルスである。特に、HBVの公知のタンパク質生成物のすべてが、一本鎖の環状 ゲノム上にコードされており、スプライスされない(非スプライス)転写物から 翻訳される。エンハンサーIIを包含し、表面遺伝子転写物内の表面遺伝子コーデ ィング領域の下流に位置する、転写後調節要素(PRE)と呼ばれる領域は、R NAレベルでシスに作用して、転写の開始、または細胞質RNAの安定性にいか なる影響もない核から細胞質へのこれらHBV転写物の輸出を可能にすることが 示されている [例えばHuang et al.(1995)Molec.and Cell.Biol.15(7):3864 -3869;Huang et al.(1994)J.Virol.68(5):3193-3199;Huang et al(1993) Molec.and Cell.Biol.13(12):7476-7486を参照されたい]。表面遺伝子転写終 結部位の下流の位置へのPRE配列の再配置の効果は、細胞質の表面遺伝子転写 物の数の4分の1の減少より多大であるが、核の表面遺伝子にはそうではない [ Huang et at.(1995)、前掲]。 HBVの生活環の中でのPREの機能は、細胞質へのHBV表面遺伝子転写物 の、スプライスされることのない輸出を可能にすることであることが、Huangら (1995)、前掲によって示唆されている。著者らは、細胞質へのそれらの転写物の 輸出を可能にすることによって、高等な真核生物の、生来イントロンを欠く遺伝 子の発現を活性化する一群のRNAシス要素の一例を代表し得る可能性があるこ とも示唆している。 [発明の要約] 本発明は、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部位を有する無イントロ ン遺伝子の発現を、ウイルスのシス作用性転写後調節要素(PRE)の一つまた はそれ以上のコピーを、それが該遺伝子とともに転写され、細胞の核から細胞質 への遺伝子転写物の輸出を生じるよう、操作できるように(すなわち機能的に) 該遺伝子に結合することによって増大させる方法を提供する。一実施態様では、 該PRE配列を、停止シグナルの3’であり、かつポリアデニル化シグナルの5 ’である位置で遺伝子に結合させる。 本発明は、更に、(a)遺伝子が細胞内で転写されるよう、プロモーター配列に 機能的に結合された一つまたはそれ以上の近共通スプライス配列を有する無イン トロン遺伝子と、(b)該遺伝子とともに転写され、細胞の核から細胞質への遺伝 子転写物の輸出を生じる、ウイルスのシス作用性転写後調節要素(PRE)の一 つまたはそれ以上のコピーとを含む発現プラスミドを提供する。 一実施態様では、PREは、B型肝炎ウイルスに由来する。HBVの好適なP REは、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列を含む。 もう一つの実施態様では、一つまたはそれ以上の近共通スプライス配列を有す る無イントロン遺伝子(例えばcDNA)は、血液凝固因子、例えばVIII因子ま たはIX因子をコードする。 該発現プラスミドは、in vitroまたはin vivoのいずれでも細胞に移入して、 PRE配列の不在下で得られる発現に比して増大した、無イントロン遺伝子の発 現を得ることができる。好適実施態様では、発現プラスミドを、プラスミド、お よび核酸結合剤(例えばポリカチオン)と、細胞の表面上の成分に結合するリガ ンドとで構成される結合体の分子的複合体を形成することによって、特定の細胞 への送達の標的とする。一実施態様では、該リガンドは、肝細胞上に存在するア シ アロ糖タンパク質受容体に結合する。 [図面の簡単な説明] 図1は、(a)ヒトBドメイン欠失VIII因子cDNAの5’および3’結合近共 通スプライシング配列とともに、これらの近共通配列がヒトBドメイン欠失VIII 因子cDNA内のどこに位置するかの地図を示す。 図2は、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)のRev応答要素(PRE)(SEQ ID NO:18)、およびB型肝炎ウイルスの転写後調節要素(PRE)の算出された二 次RNA構造を示す。 図3は、3’SV40介在配列(IVS)およびHBVPRE配列(SEQ ID NO:1)を保有するか、または保有しないBドメイン欠失VIII因子をコードす るcDNAを含むプラスミドを移入した、HUH−7細胞でのヒトBドメイン欠 失VIII因子RNAのレベルを比較するノーザンブロット分析を示す。 図4は、VIII因子発現ベクター中のHBVPRE配列(SEQ ID NO:1)およ び3’SV40IVSの存在が生起した、ヒトBドメイン欠失VIII因子の発現に 対する効果を示すグラフ表示である。タンパク質レベルは、ELISAと活性と の双方によって測定した。 図5は、ヒトBドメイン欠失VIII因子の発現に対する発現ベクター中のHBV PRE配列(SEQ ID NO:1)および3’SV40介在配列(IVS)の、ヒト 成長ホルモンの発現に対して正規化した効果を示すグラフ表示である。タンパク 質レベルは、放射線免疫検定によって測定した。 図6は、ヒトBドメイン欠失VIII因子をコードし、HBVPRE配列(SEQ ID NO:1)と3’IVS配列との双方を含むプラスミドpMT2F8PREIVSpAGH-E/Oを 有する、標的とされる複合体の注射の1、4、7および10日後のヒトBドメイン 欠失VIII因子の発現のin vivoでのレベルを示すグラフ表示である。 図7は、HBVPRE配列(SEQ ID NO:1)および3’SV40IVSを保有 するか、または保有しないBドメイン欠失VIII因子をコードするcDNAを含む 、4種類の発現ベクター構成体の地図を示す。 図8は、3’IVSを保有するBドメイン欠失VIII因子をコードするcDNA を含む、pMT2LAVIIIという発現ベクターの地図を示す。 [発明の詳細な説明] 本発明は、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部位を有する無イントロ ン遺伝子の発現を増大させるための、ウイルスのシス作用性転写後調節要素また は「PRE」の用途に関係する。PREという配列は、該無イントロン遺伝子に (例えば適切な発現ベクター中で)、(a)該遺伝子とともに転写され、そのため遺 伝子転写物中に存在するように、かつ(b)細胞核から、それが発現される細胞 質への該遺伝子転写物の輸送を支配するシス作用性配列としてのその機能を保持 するように、結合される。このような方式での遺伝子とPREとの結合を、今後 は「機能的な」結合と呼ぶことにする。 I.ウイルスの「PRE」配列 本明細書に用いられる限りで、用語「ウイルスのシス作用性転写後調節要素」 または「PRE」は、転写後レベルで(すなわち遺伝子転写物中で)シスに作用 して、非スプライス遺伝予転写物(すなわちイントロンを含まない)の細胞質で の蓄積を増加させ、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部位を有するウイ ルス配列を意味する。遺伝子転写物の細胞質での蓄積の増加は、PRE配列の不 在下で得られるレベルと比較して測定される。 PRE配列は、逆転写を通じて複製するウイルス、特に、そのタンパク質産物 が非スプライス転写物から翻訳されるウイルスに共通して見出される。これらの 配列は、細胞核から、それらが発現される細胞質への非スプライスウイルス転写 物の輸送を調節する。PRE配列が特定されているウイルスの例は、レトロウイ ルス、例えば、ヒトおよびネコ免疫不全ウイルス(HIVおよびFIV)[例え ばCullen et al.(1991)J.Virol.65:1053;およびCullen et al.(1991)Cell 58:423-426を参照されたい]、ならびにB型肝炎ウイルス(HBV)[例えばHuan g et al.(1995)Molec.and Cell.Biol.15(7):3864-3869;Huang et al.(199 4)J.Virol.68(5):3193-3199;Huang et al(1993)Molec.and Cell.Biol.13 (12):7476-7486を参照されたい]を包含する。 本発明の一実施態様では、PREは、B型肝炎ウイルス(HBV)に由来する 。好適なHBVのPREは、エンハンサーIIを包含し、表面抗原遺伝子の転写さ れた部分内にある約587ヌクレオチドの配列(SEQ ID NO:1)である(図9を 参照されたい)。このPRE配列は、シスに機能して、これらの転写物の細胞質 での蓄積を促進することによって、表面遺伝子転写物の定常状態でのレベルを上 昇させることが示されている。 11.無イントロン遺伝子 本発明に用いるのに適した遺伝子は、本明細書に定義したとおり、一ヶ所また はそれ以上の近共通スプライス部位を有するいかなる無イントロン遺伝予も包含 する。本明細書に用いられる限りで、用語「無イントロン遺伝子」は、スプライ スされてなくて翻訳されるmRNAをコードする遺伝子を意味する。そのような 遺伝子は、一般に、共通3’供与体または5’受容体スプライス部位を全く保有 しない。 すべての場合に、この遺伝子は、細胞による発現に適した形態でなければなら ず、一般的には、適切なベクター(例えば発現ベクター)、例えばプラスミドに含 まれる。例えば、この無イントロン遺伝子は、標的細胞内で機能する適切な遺伝 的調節要素に機能的に結合されなければならない。そのような調節配列は、例え ば、遺伝子の転写を推進するプロモーター配列を包含する。適切なプロモーター は、非常に様々なウイルスプロモーター、例えばSV40およびCMVプロモー ターを包含する。該無イントロン遺伝子は、コードされたタンパク質の細胞内目 的地および/または細胞外分泌への往来を与える、適切なシグナル配列も包含し てよい。該シグナル配列は、タンパク質の生来の配列、または外来の配列であっ てよい。 遺伝子発現、加工および分泌に要する調節配列は、当技術に認識されており、 適切な細胞での望みのタンパク質の発現を支配するように選ばれる。したがって 、本明細書に用いられる限りで、用語「調節配列」は、プロモーター、エンハン サーその他の発現制御要素を包含する。そのような調節配列は、公知であり、Go eddelのGene expression Technology:Methods in Enzymology,p.185,Academic Press,San Diego,CA(1990)で考察されている。 無イントロン遺伝子(近共通スプライス部位を保有し得る)の本発明に用い得 る一分類群は、cDNAである。cDNAは、一般的には、既にスプライスされ たmRNAから逆転写され、その結果、代表的にはイントロンを保有しないが、 後に外来イントロン(例えばウイルスの介在配列(IVS))を付加してもよい。 低レベルの発現を示すcDNAは、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部 位を有することがあり、そのため、本発明に用いるのに非常に適している。 無イントロン遺伝子は、望みのいかなるタンパク質(例えば、治療上または診 断上の価値を有する)をコードすることもできる。一実施態様では、この無イン トロン遺伝子(例えばcDNA)は、血液凝固因子(またはその変種、類似体、 もしくは変更バージョン(例えばキメラタンパク質))の全部または一部をコード する。例えば、該遺伝子は、ヒトBドメイン欠失VIII因子(SEQ ID NO:2の第 2,965〜7,377塩基)をコードできるが、これは、5’(A/C)AGGT(A/ G)AGT共通スプライス配列と同一の9塩基中6〜7塩基を有する少なくとも 6ケ所の近共通5’(供与体)スプライス部位を保有する(図1を参照されたい )。加えて、このBドメイン欠失cDNAは、少なくとも14ヶ所の近共通3’( 受容体)スプライス部位(SEQ ID NO:4〜17)を有する(図1を参照されたい )。このBドメイン欠失VIII因子配列は、他の遺伝子に対するcDNAと比較し て、低レベルの発現を示す。しかし、下記の実施例で立証されるとおり、Bドメ イン欠失VIII因子cDNAの低い発現は、遺伝子をPRE配列に機能的に結合す ることによって有意に上昇させることができる。 近共通スプライス配列が特定されている、血液凝固因子をコードする無イント ロン遺伝子のもう一つの例は、IX因子をコードするcDNAである[例えばYull et al.(1995)PNAS 92:10899-10903を参照されたい]。 III.「近共通」スプライス部位 本発明の無イントロン遺伝子は、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部 位を有する。本明細書に用いられる限りで、用語「近共通スプライス部位」は、 1個もしくはそれ以上のヌクレオチドの付加、削除または置換によって、共通ス プライス(5’供与体または3’受容体)配列と異なるヌクレオチド配列(図1 を参照されたい)を意味する。好ましくは、近共通スプライス部位は、共通5’ および3’スプライス配列と50%を超えて、より好ましくは約70〜80%相同であ る。このレベルの相同性は、共通3’および5’スプライス部位を探求かつ結合 する細胞性スプライセオソームが該近共通配列を認識できるようにすると考えら れる。その結果、近共通スプライス配列を有する無イントロン遺伝子転写物は、 タンパク質へと翻訳され得る細胞質に輸送されるのではなく、スプライシングが 生じる細胞の核内で連結されるものと考えらる。 遺伝子転写物の細胞でのスプライシングは、次の共通配列:(A/C)AG (A/G)AGTを有する5’(供与体)スプライス部位とのスプライセオソ ームの結合を必要とする。次いで、スプライセオソームは、次の共通配列:(T /C)...≧11(ピリミジントラック)...(C/T)AGGを有する3’(受容 体)スプライス部位へと続く分岐点配列を求めて3’方向に走査する。この3’ スプライス部位が見出されたならば、スプライセオソームは、転写物のGTの5 ’を5’供与体スプライス部位で、またAGの3’を3’受容体部位で切断する ことになる。 上記により、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部位を有する遺伝子は 、それらのヌクレオチド配列を、上記に開示した3’および5’共通配列と高度 に相同である(例えば50〜90%を超えて相同である)配列の存在について分析す ることによって特定することができる。概して、共通スプライス部位を全く(す なわちイントロンを全く)保有せずに、そのような近共通スプライス部位を有す る遺伝子は、それらの転写物が細胞質へと充分に輸送されないために、低レベル のタンパク質発現を示すことになる。しかし、この低レベルの発現は、一般的に は、本明細書に記載したとおり、ウイルスのPRE配列を遺伝子に結合するこ とによって補正する(すなわち上昇させる)ことができる。 IV.近共通スプライス部位を有する無イントロン遺伝子とのPRE配列の機能的 な結合 本発明のウイルスPREは、無イントロン遺伝子に、例えば発現ベクター中で 、(a)該遺伝子とともに転写され、そのため遺伝子転写物中に存在するように 、かつ(b)細胞核から、それが発現される細胞質への該遺伝子転写物の輸送を 支配するシス作用性配列としてのその機能を保持するように、結合される。発現 ベクターは、該遺伝子の発現に要する適切な遺伝的調節要素、例えば前記のそれ (例えばプロモーターやエンハンサー要素)を有するいかなるベクターであるこ ともできる。そのような発現ベクターは、当技術に周知であり、商業的に利用で き る入手源から購入できる。 一実施態様では、遺伝子の終止コドンの下流の(すなわち翻訳されない領域内 の)、かつポリアデニル化シグナルの上流の(すなわち転写される領域内の)位 置で、PREを遺伝子に結合する。PREは、開始コドンの上流であり、遺伝子 の翻訳に干渉しない(例えば、好ましくはリーダー配列内ではない)位置で遺伝 子に結合してもよい。PRE配列は、1コピーとしてか、または多数の(すなわ ち2またはそれ以上の)コピーとして遺伝子に結合してよい。 V.遺伝子の送達および発現 本明細書に記載したとおり、適切な発現プラスミド内で、一つまたはそれ以上 のウイルスPRE配列を、一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部位を有す る無イントロン遺伝子に結合した後、プラスミドは、in vitroまたはin vivoの いずれでも細胞に送達することができる。例えば、標準的なトランスフェクショ ンの手法、例えばリン酸カルシウム沈降を用いて、in vitroでプラスミドを細胞 に移入することができる。これに代えて、例えば、静脈内または筋内注射によっ て、invivoでプラスミドを細胞に送達できる。 本発明の好適実施態様では、発現プラスミドを、核酸結合剤と、細胞表面の成 分に結合するリガンドとで構成される担体分子に解放できるように結合し、それ によってポリヌクレオチド−担体複合体を形成することによって、特定の細胞へ の送達のための標的とする。 ポリヌクレオチド−担体複合体の担体分子は、少なくとも二つの機能を果たす :すなわち、(1)標的細胞によるインターナリゼーション以前の細胞外でのポ リヌクレオチドの有意な分離を防ぐのに充分なだけ(in vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれでも)安定的となる方式で、ポリヌクレオチド(例えばプラスミ ド)を結合させ、また(2)ポリヌクレオチド−担体複合体が細胞によって内部 化されるように、標的細胞の表面の成分に結合する。一般に、担体は、細胞に特 異的なリガンドと、例えば複合される、陽イオン部分とで構成される。細胞特異 性リガンドは、細胞表面成分、例えばタンパク質、ポリペプチド、炭水化物、脂 質またはそれらの組合せに結合する。代表的には、細胞表面受容体に結合する。 陽イオン部分は、例えば静電気によって、ポリヌクレオチドに結合する。 担体分子のリガンドは、細胞表面受容体を結合させる天然または合成のいかな るリガンドであることもできる。リガンドは、細胞表面の成分が認識するのに充 分なだけ露出される官能基を有する、タンパク質、ポリペプチド、糖タンパク質 、糖ペプチドまたは糖脂質であることができる。ウイルス、細胞(例えば哺乳動 物、細菌、原生動物のそれ)のような生物の構成要素であることもできる。 これに代えて、リガンドは、細胞表面成分を結合させる抗体、抗体フラグメン ト(例えばF(ab')2フラグメント)、またはそれらの類似体(例えば一本鎖 抗体)を含むことができる[例えばChen et al.(1994)FEBS Letters 338:167-16 9;Ferkol et al.(1993)J.Clin.Invest.92:2394-2400;およびRojanasakul et al.(1994)Pharmaceutical Res.11(12):1731-1736を参照されたい]。そのよ うな抗体は、標準的手順によって製造することができる。 担体を形成する際に役立つリガンドは、標的としようとする特定の細胞に応じ て変化すると思われる。肝細胞を標的とするには、ガラクトース末端炭水化物を 有するタンパク質およびポリペプチド、例えば、天然の糖タンパク質から得られ る炭水化物系統を用いることができる。例えば、末端ガラクトース残基を有する か、または(例えば、化学的もしくは酵素的脱シアリル化によって)末端ガラク トース残基を露出させるように酵素で処理できるかのいずれかの天然の糖タンパ ク質を用いることができる。一実施態様では、リガンドは、アシアロ糖タンパク 質、例えばアシアロオロソムコイド、アシアロフェチュイン、または脱シアリル 化された水疱性口内炎ウイルスである。 これに代えて、肝細胞を標的とするのに適したリガンドは、ガラクトース末端 炭水化物(例えばガラクトース、マンノース、乳糖、アラビノガラクタン等々) を、例えば還元的ラクトサミン化によって、ガラクトース非保有タンパク質また はポリペプチド(例えばポリカチオン)に化学的に結合することによって調製で きる。露出した末端ガラクトース残基を有し、すべて肝細胞を標的とすることが できる、他の非常に様々な合成糖タンパク質を形成する方法は、例えば、Chen e t al.(1994)Human Gene Therapy 5:429-435およびFerkol et al.(1993)FASEB 7:1081-1091(EDCを用いたポリカチオン性ヒストンおよびアルブミンのガラク トシル化);Perales et al.(1994)PNAS 91:4086-4090およびMidoux et al.(1993)Nucleic Acids Research 21(4):871-878(α−D−ガラクトピラノ シルフェニルイソチオシアネートと4−イソチオシアナトフェニルβ−D−ラク トシドとを用いたポリリシンのラクトシル化およびガラクトシル化);Martinez- Fong(1994)Hepatology 20(6):1602-1608(シアノホウ水素化ナトリウムを用い たポリリシンのラクトシル化、およびSPDPを用いたアシアロフェチュイン− ポリリシン複合体の調製);ならびにPlank et al.(1992)Bioconjugate Chem.3 :533-539(合成担体ペプチドとの4個の末端ガラクトース残基の還元的結合と、 その後のSPDPを用いたポリリシンとの担体の結合)に記載されている。 その他の細胞表面受容体をポリヌクレオチド−担体複合体の標的とするために 、該複合体の担体成分は、その他の形式のリガンドを含むことができる。例えば 、マンノースは、マクロファージ(リンパ腫)およびクッパー細胞を標的とする のに用いることができ、マンノース−6−リン酸の糖タンパク質は、繊維芽細胞 (繊維肉腫)を標的とし、内因性因子−ビタミンB12および胆汁酸[Kramer et al.(1992)J.Biol.Chem.267:18598-18604を参照されたい]は腸細胞を標的と し、インスリンは脂肪細胞および筋細胞を標的とし[例えばRosenkranz et al.( 1992)Experimental Cell Research 199:323-329およびHuckett et al.(1990)Ch emical Pharmacology 40(2):253-263を参照されたい]、トランスフェリンは平滑 筋細胞を標的とし[例えばWagner et al.(1990)PNAS 87:3410-3414および米国特 許第5,354,844号明細書(Beug et al.)を参照されたい]、アポリポプロテイン Eは神経細胞を標的とし、肺表面活性因子、例えばプロテインAは上皮細胞を標 的とする[例えばRoss et al.(1995)Human Gene Therapy 6:31-40を参照された い]のにそれぞれ用いることができる。 担体分子の陽イオン部分は、負に荷電したポリヌクレオチドに電気的に結合で きる、正に荷電したいかなる種であることもできる。担体に用いるのに好適な陽 イオン部分は、ポリカチオン、例えばポリリシン(例えばポリ−L−リシン)、ポ リアルギニン、ポリオルニチン、スペルミン、ヒストンのような塩基性タンパク 質[Chen et al.、前掲]、アビジン、プロタミン[例えばWagner et al.、前掲を 参照されたい]、改質アルブミン(すなわちN−アシル尿素アルブミン[例えばHu ckett et al.、前掲を参照されたい])およびポリアミドアミンカスケード重合 体[例えばHaensler et al.(1993)Bioconjugate Chem.4:372-379を参照された い]である。好適なポリカチオンは、(例えば3,800〜60,000ダルトンの範囲の )ポリリシンである。 一実施態様では、該担体は、約100〜120リシン残基の鎖長に相当する、約17,0 00ダルトンの分子量を有するポリリシン(26,000ダルトンのMWを有する臭化水 素酸塩として購入)を含む。もう一つの実施態様では、該担体は、約15〜10リシ ン残基の鎖長に相当する、約2,600ダルトンの分子量を有するポリカチオン(4,0 00ダルトンのMWを有する臭化水素酸塩として購入)を含む。 該担体は、当技術に周知の標準的な架橋結合試薬を用いて、陽イオン部分と細 胞特異性リガンドとを結合させることによって形成することができる。結合は、 代表的には共有結合である。好適な結合は、ペプチド結合である。これは、McKe eら(1994)Bioconjugate Chem.5:306-311、またはJung,G.ら(1981)Biochem.Bi ophys.Res.Commun.101:599-606、またはGrabarekら(1990),Anal.Biochem. 185:131が記載したとおり、水溶性カルボジイミド、例えば塩酸1−エチル−3 −(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)で形成することが できる。これに代る結合は、ジスルフィド結合であって、架橋結合試薬、例えば N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオナート(SPDP)、 クロラムブシルのN−ヒドロキシスクシンイミジルエステル、N−スクシンイミ ジル−(4−ヨードアセチル)アミノベンゾアート(SIAB)、スルホSIAB 、およびスルホースクシンイミジル−4−マレイミドフェニルブチラート(スル ホSMPB)を用いて形成することができる。強い非共有結合、例えばアビジン −ビオチン相互作用も、陽イオン部分を様々な細胞結合剤に結合させて、適切な 担体分子を形成するのに用いることができる。 結合反応は、担体を形成するのに用いた特定の陽イオン部分および細胞結合剤 について最適化することができる。陽イオン部分対細胞結合剤の最適比(重量比 )は、経験的に決定できる。この比は、担体に用いようとする陽イオン部分(例 えばポリカチオン)の大きさ、および複合させようとするポリヌクレオチドの大 きさとともに変動することになる。しかし、一般的には、この比は、約0.2〜5.0 (陽イオン部分:リガンド)の範囲にわたる。結合しなかった成分および凝集体 は、分子ふるいまたはイオン交換クロマトグラフィー(例えばAquapore(商品名 、Rainin)による陽イオン交換)によって担体から分離することができる。 本発明の一実施態様では、アシアロオロソムコイドおよびポリリシンの複合体 で構成される担体を、架橋結合剤の1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3− エチルカルボジイミドで形成する。透析の後、分離用酸−尿素ポリアクリルアミ ドゲル電気泳動(pH4〜5)によって、複合体を未複合成分から分離する。複 合体は、カルボキシメチル官能化カラム(1993年4月5日出願の米国特許願第08 /043,008号明細書を参照されたい。その教示は、引用によって本明細書に組み込 まれる)で更に精製することができる。 担体分子の形成に続いて、(a)標的細胞によるインターナリゼーション以前の 細胞外でのポリヌクレオチドの有意な分離を防ぐのに充分なだけ、ポリヌクレオ チドが(in vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれでも)安定するように、(b) ポリヌクレオチドが、適切な条件下で機能的な形態で細胞内に放出されるように 、(c)ポリヌクレオチドが損傷しないように、かつ(d)担体が、細胞と結合でき るその能力を保持するように、ポリヌクレオチド(例えばプラスミド)を担体に 結合する。一般に、担体とポリヌクレオチドとの間の結合は、非共有結合である 。適切な非共有結合は、例えば、静電結合、水素結合、疎水性結合、抗ポリヌク レオチド抗体の結合、挿入剤に仲介される結合、およびポリヌクレオチド含有ビ オチニル化ヌクレオチドとのストレプトアビジンまたはアビジンの結合を包含す る。しかし、例えば、化学的な架橋結合剤(例えば、「アンチセンスオリゴヌク レオチドの複合体、その治療上の用途」と題する、国際公開特許第WO-A-91/0475 3号明細書(Cetus Corp.)に記載されたような)を用いて、担体をポリヌクレオ チドに直接(例えば共有結合で)結合することもできる。 ポリヌクレオチド−担体複合体を形成するために、担体分子を含有する溶液を 、複合させようとするポリヌクレオチドと結合させる。該溶液は、担体分子の凝 集(すなわち電荷遮蔽剤の不在下で生じると思われる凝集)を阻害するのに充分 な量の電荷遮蔽剤を含有する。一実施態様では、担体溶液は、上記のとおり(例 えば、陽イオン部分と細胞結合剤との複合によって)担体分子を形成し、次いで 、担体分子を、担体分子の凝集を阻害するのに充分な量の電荷遮蔽剤と混合する ことによって調製することができる。 本明細書に用いられる限りで、用語「電荷遮蔽剤」は、(a)個々の陽イオン担 体の間、および/もしくは同じ担体分子の異なる部分間の電荷相互作用(例えば 水素結合)を軽減し;ならびに/または陽イオン担体分子と溶媒との間の電荷相 互作用を軽減することができるいかなる作用因も包含するものとする。 本明細書に用いられる限りで、用語「凝集を阻害する」は、陽イオン担体分子 の凝集の脱凝集および/または防止を意味する。 本明細書に用いられる限りで、用語「担体分子の凝集を阻害するのに充分な」 は、ポリヌクレオチドと複合させたとき、担体分子が細胞に容易に取り込まれ、 および/または生理学的障壁(例えば血液−組織障壁)を容易に通過できる脱凝 集のレベルを意味する。一般的には、このレベルの分散性は、レーザー光散乱分 析によって測定される限りで、担体分子が約20nmまたはそれ以下、好ましくは約 15nmまたはそれ以下、最も好ましくは約10nmまたはそれ以下の半径を有するとき に達成される。(単独でか、またはポリヌクレオチドと複合させた)担体分子の凝 集のレベルを決定するその他の方法は、例えば、ショ糖密度勾配分析、電子顕微 鏡測定(EM)、円偏光二色性(CD)および分光光度測定(例えば260nmでの吸 光度)を包含する。 本発明の好適実施態様では、電荷遮蔽剤は塩である。適切な塩は、例えば、塩 化ナトリウム(NaCl)、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、リン酸ナトリウム(N aH2PO4)、硫酸アンモニウム((NH4)SO4、リン酸アンモニウム(NH42 PO4)、硫酸カリウム(K2SO4)、リン酸カリウム(KH2PO4)、塩化カリウム (KCl)、硫酸マグネシウム(MgSO4)、リン酸マグネシウム(MgHPO4)、 塩化マグネシウム(MgCl2)および塩化リチウム(LiCl)、ならびに他の 様々なものを包含する。特に好適な実施態様では、塩は、塩化ナトリウム(Na Cl)である。 担体分子を実質的に脱凝集させるのに用い得るその他の電荷遮蔽剤は、例えば 、ポリオキシエチレン脂肪エーテルのBRIJ群、SPANというソルビタン脂 肪酸エステル、およびTWEENというソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシ エチレン誘導体(すべてデラウエア州WilmingtonのICI Americas,Inc.より入手 できる)のような洗剤や両親媒性界面活性剤を包含する。 塩(例えばNaCl)を電荷遮蔽剤として用いるときは、担体分子の凝集を阻 害するのに適切である塩の量は、担体分子の濃度に応じて変動することになる。 しかし、この濃度は、一般的には、少なくとも約1.0Mまたはそれ以上である。 例えば、担体分子を約0.5〜20mg/mlの濃度で含有する溶液に対しては、塩は、 約1.0〜10Mの濃度で加えることができる。好適実施態様では、担体分子は、約3 .0〜7.0mg/ml、好ましくは約5.0〜6.0mg/ml、最も好ましくは約5.6mg/mlの濃 度で担体溶液中に存在する。担体分子をこれらの濃度として、担体溶液は、それ ぞれ、約1.0〜5.0M、好ましくは約4.0〜5.0M、最も好ましくは約4.7Mの塩濃 度で調製することができる。 しかし、担体分子の凝集を阻害するのに適切である与えられたいかなる電荷遮 蔽剤の量も、経験的に決定することができる。例えば、担体分子の試料を、前記 のような様々な濃度の電荷遮蔽剤として調製することができ、そうして、担体分 子の凝集のレベルを、上記に開示した手法(例えばレーザー光散乱分析、ショ糖 密度勾配分析、電子顕微鏡測定(EM)、円偏光二色性(CD)および分光光度測 定)のいずれかによって調べることができる。 電荷遮蔽剤に加え、担体溶液は、担体分子の凝集を更に阻害するための、その 他の分散剤を任意に含むこともできる。陽イオン担体分予の凝集は、主として、 担体分子の正味の正電荷が関与する分子間および分子内会合(例えば水素結合) に起因すると考えられる。したがって、担体分子の正味の正電荷を減らす作用因 は、これらの分子的会合を緩和し、陽イオン担体分子の分散性を促進することが できる。 上記により、本発明の一実施態様では、担体溶液は、電荷遮蔽剤に加えて、電 荷中和剤を含む。本明細書に用いられる限りで、用語「電荷中和剤」は、陽イオ ン担体分子の正電荷の一部を(例えば脱プロトン化によって)中和できるいかな る作用因も包含する。本発明の好適実施態様では、電荷中和剤は、塩基である。 適切な塩基は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH) 、水酸化アンモニウム(NH4OH)、アルキルアミン、アルコキシドおよびトリ エタノールアミンを包含する。特に好適な実施態様では、塩基は、水酸化ナトリ ウムである。 陽イオン担体溶液は、担体分子の正電荷の一部を中和するのに充分な量の電荷 中和剤を含有する。この部分的中和は、担体分子の電荷会合および凝集を緩和す るが、担体分子に付随する全体的な正味正電荷は依然として維持する(その結果 、負に荷電したポリヌクレオチドを静電的に結合させることができる)。本発明 の一実施態様では、電荷中和剤は、担体分子の正電荷の約5〜20%(例えば約10 %)を中和するのに充分な量として、担体溶液に加える。電荷中和剤は、電荷遮 蔽剤の前後、またはそれと同時に担体溶液に加えてよい。 塩基を電荷中和剤として用いるときは、担体溶液は、それぞれ、約0.5〜20mg /ml、好ましくは約3〜7mg/ml、より好ましくは約5〜6mg/ml、最も好まし くは約5.6mg/mlの濃度で担体分子を含有する担体溶液に対して、約10〜1,000mM 、好ましくは約10〜100mM、より好ましくは約50〜70mM、最も好ましくは約59mM の塩基(例えばNaOH)の濃度で調製することができる。そうして、担体溶液 を活発に混台して、分子的な担体凝集体の分散を促進することができる。 複合させようとするポリヌクレオチドを、担体溶液と複合させ(かつ平衡に到 達させ)て、実質的に分散した、可溶性であるポリヌクレオチド−体複合体を形 成する。ポリヌクレオチドを担体溶液と複合させる結果、ポリヌクレオチド−担 体溶液は、最終的濃度の電荷遮蔽剤と、任意には、ポリヌクレオチドを損傷しな いか、またはその実質的ないかなる配座変化(例えば変性)も誘導しない電荷中 和剤とを含有するため、実質的に機能的に、かつ担体分子と複合するのに適した 形態に存続する。一般的には、これは、電荷遮蔽剤(例えば塩)の1.0M未満、 好ましくは0.75M未満、最も好ましくは0.5M未満(例えば約0.15〜0.5M)の最 終濃度、および電荷中和剤の10mM未満、好ましくは4.0mM未満、最も好ましくは 約2.0mMの濃度に相当する。 一実施態様では、担体溶液と併せる前(またはそれと同時に)、ポリヌクレオチ ドを、例えばnMレベルの純水で希釈して、担体溶液と併せたたときに、電荷遮蔽 剤(例えば塩)および電荷中和剤(例えば塩基)の望みの最終濃度が得られる濃 度にする。塩(例えばNaCl)を電荷遮蔽剤として含む担体溶液にポリヌク レオチドを加えるときは、ポリヌクレオチドは、1.0M未満、好ましくは0.75M 未満、より好ましくは約0.15〜0.5M、最も好ましくは約0.3M(生理的濃度の約 2倍)の最終塩濃度(すなわち担体溶液との混合後の)が得られる濃度まで希釈 することができる。この塩濃度では、担体分子は、高レベルの分散性を維持し、 ポリヌクレオチドは機能的に存続する。 担体溶液が、電荷遮蔽剤とともに電荷中和剤(例えば塩基)を含有するならば 、ポリヌクレオチドの添加後の担体溶液中の電荷中和剤の最終濃度は、ポリヌク レオチドの機能を実質的に損傷、変更または阻害しない濃度でもあるべきである 。例えば、塩基を電荷中和剤として用いるときは、ポリヌクレオチド−担体溶液 は、50mM未満、好ましくは10mM未満、より好ましくは4.0mM未満(例えば約1.0〜4 .0mM)、最も好ましくは約2.0mMの最終塩基濃度を有することができる。 本発明の好適実施態様では、ポリヌクレオチド−担体複合体が形成される最終 溶液は、(a)約3.0〜7.0mg/ml、好ましくは約5.0〜6.0mg/mlの担体分子濃度、 (b)約0.15〜0.5M、好ましくは約0.3Mの塩濃度、(c)約1.0〜4.0mM、好ましく は約2.0mMの塩基濃度、および(d)DNAの適切な最終濃度(例えば10μg/ml )を有する。 ポリヌクレオチドは、溶液に可溶性で存続する安定的な複合体を形成するのに 適した量で、担体溶液と併せる。一般的には、ポリヌクレオチドは、約1:0.2 〜1:20(例えば約1:1〜1:10、または約1:1.5〜1:5)の重量対重量 (w:w)比(ポリヌクレオチド対担体)で担体溶液に加える。これらの重量比 (ポリヌクレオチド対担体)で形成された複合体は、それぞれ、約10〜1,000% (例えば約50〜500%または約75〜250%)の対応する電荷中和比(すなわち、正 に荷電した担体に対する負に荷電したポリヌクレオチドの中和百分比)を有する 。 与えられたポリヌクレオチド−担体複合体の性能は、複合体中のポリヌクレオ チドの電荷中和のレベルによって影響され得る。与えられた複合体についてのポ リヌクレオチドの電荷中和の最適レベルは、ポリヌクレオチド(例えばプラスミ ドDNA)の性質、および用いた特定の陽イオン担体分子の大きさや電荷を包含 する様々な因子に依存する可能性がある。複合体についてのポリヌクレオチドの 電荷中和の適切なレベルは、一般的には、上記に与えた範囲内にあるが、与えら れた複合体についての最適レベルは、経験的に決定することができる。例えば、 それぞれポリヌクレオチドの電荷中和の程度が変化する特定の複合体について、 一連の調製品を製造することができる。次いで、これらの試料の性能を、例えば 、各試料で得られる発現のレベルをin vitroまたはin vivoのいずれかの発現検 定で測定することによって、試験することができる。 複合体の凝集を更に緩和するばかりでなく、複合体の大きさを削減し、それら の均質性を増大させ、それによって、それらの性能(例えば遺伝子発現のレベル )を向上させる追加的段階を講じることもできる。そのような手段は、例えば、 複合体の押出し、温度の変動、pHの変化、およびin vivoで生じる阻害作用( 例えば、血清中に存在する阻害因子による複合体のオプソニン作用)を緩和する 手段を包含する。 上記により、本発明のもう一つの実施態様では、ポリヌクレオチド−担体複合 体を、形成した後であるが、(in vitroまたはin vivoで)細胞に投与する前に、 適切なフィルター越しに押し出す。本明細書に用いられる限りで、用語「押出し 」または「押し出す」は、濾過装置越しに複合体を通過させた後、濾過された生 成物を捕集することを意味する。複合体の押出しは、有意に、(1)複合体の大き さを減少させ、(2)複合体の均質性を上昇させ、(3)遺伝子発現レベルによって 測定した限りで、複合体の性能を向上させる。より大きい複合体を減少させ、よ り小さい、より均質な複合体の比率を増加させるいかなる押出し装置を用いるこ ともできるが、複合体を押し出すのに好適な装置は、Emulsi-Flex-C5(Avestin ,Inc.,Ottawa、カナダ国)に取り付けた50nmフィルターである。 本明細書に記載のとおりに形成したポリヌクレオチド−担体複合体の組成物は 、一つまたはそれ以上のウイルスPRE配列に機能的に結合した、一つまたはそ れ以上の近共通スプライス配列を有する無イントロン遺伝子を含む発現ベクター (例えばプラスミド)のためのin vitroまたはin vivoのいずれかでも細胞の標 的化に用いることができる。 本発明の発現ベクターのin vitro送達のためには、培養細胞を、該細胞による エンドサイトーシスでの取り込みへと導く条件下で、ポリヌクレオチド−担体複 合体とともに適切な培地で温置することができる。 本発明の発現ベクターのin vivo送達のためには、ポリヌクレオチド−担体複 合体を、製薬上許容され得る担体に組み込んで対象者に投与することができる。 本明細書に用いられる限りで、用語「製薬上許容され得る担体」は、本発明のポ リヌクレオチド−担体複合体をin vlvoでの投与に対して安定化させるための、 例えば生理食塩水および緩衝水溶液、溶媒、分散媒、抗菌および抗真菌剤、等張 剤や吸収遅緩剤などを包含する、生理学的に許容され得るいかなる担体も包含す るものとする。製薬上の活性物質に対するそのような媒体および薬剤の使用は、 当技術に周知である。慣用のいかなる媒体も本発明のポリヌクレオチド−担体複 合体に不適格である場合を除き、治療組成物にそれらを用いることが構想される 。 すべての場合に、該製剤組成物は、無菌でなければならず、容易な注射可能性 が存在する程度にまで流動的でなければならない。製造および貯蔵の条件下で安 定的でなければならず、汚染作用、および細菌や真菌のような微生物に対して保 全されなければならない。分解性酵素(例えばヌクレアーゼ)からのポリヌクレ オチド−担体複合体の防護は、組成物に保護コーティングまたはヌクレアーゼ阻 害剤を含ませることによって達成できる。微生物の作用の防護は、様々な抗菌お よび抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン 酸、チメロサールなどによって達成できる。 本発明のポリヌクレオチド−担体複合体は、適切ないかなる投与経路によって もin vivoで投与してよい。適切な用量は、選ばれた投与経路に応じて変動して よい。該複合体は、好ましくは、上記に定義されたとおりの製薬上許容され得る 担体を含む溶液として、静脈内に注射する。適切な緩衝液中での必要量のポリヌ クレオチド−担体複合体を、必要に応じて、上記に列挙した成分の1種類または 組合わせとともに組み込んだ後、濾過滅菌することによって、無菌注射液を調製 することができる。その他の適切な投与経路は、脈管内、皮下(徐放性移植物を 包含)、局所および経口のそれを包含する。 適切な用量は、当技術で常套的に実施されるとおり、経験的に決定してよい。 マウスには、マウスの20gあたり1.0mgまでのポリヌクレオチド、またはマウス の血液の1.4mlあたり約1.0mlの複合体という用量を投与することができる。 下記の実施例によって、本発明を更に説明するが、それらを主題の発明を更に 限定すると解してはならない。本出願の全体を通じて引用されたすべての参考文 献および刊行された特許出願の内容は、参照により、ここに組み込まれる。 実施例1:VIII因子cDNAおよびHBVPRE配列を含む発現プラスミドの調 製 VIII因子のBドメイン欠失cDNAの翻訳終止コドンの下流に挿入された、H BVの転写後調節要素(PRE)を有する発現ベクターを、下記のとおり調製し た。 B型肝炎ウイルス(HBV)ゲノムの二つの頭−尾コピーを有するプラスミド pADW-HTDHBVから、587塩基対のstu-1制限フラグメント(SEQ ID NO:1)として PRE配列を切り出した。次いで、pADW-HTDの第1,118〜1,704塩基に相当するこ のフラグメントを、VIII因子Bドメイン欠失cDNAとともに、pcDNA1という発 現ベクター(InVitrogen,Inc.)にクローニングした。フラグメントは、VIII因 子の終止コドンの3’、およびポリアデニル化シグナルの5’の位置で挿入した 。 得られたプラスミドpCDNAF8ΔK+PREの全部で9,354塩基対の配列を、SEQ ID NO :2として与える。VIII因子cDNA配列のコーディング領域は、SEQ ID NO:2の 第2,965塩基から第7,377まで延伸している。587塩基対のPREフラグメントは 、SEQ ID NO:2の第7,611塩基から第8,197まで延伸している。 比較の目的で、同じ発現ベクターを、(a)終止コドンの3’位およびPREの 5’位でSV40の介在配列と、ポリアデニル化シグナルとともに(pCDNAF8ΔK+ SV+PRE);また(b)PREフラグメントなしであるが、SV40IVSととも に(pCDNAF8ΔK-SV)構成した。これらの発現ベクターの地図を図7に示す。 実施例2:VIII因子cDNAおよびHBVPRE配列を含むプラスミドのin vitr o発現 HBVPRE配列およびSV40IVSの存在によって生じたVIII因子mRN Aの細胞質での蓄積と発現とに対する効果を調べるために、実施例1で調製した ベクターのそれぞれを、O'Mahoneyら[(1994)DNA & Cell Biol.13(12):1227 -1232]が記載したリン酸カルシウム沈降法を用いて、HuH−7というヒトの 癌腫細胞に2.5μg/mlの濃度で核酸移入した。VIII因子のBドメイン欠失cDN Aを含む発現プラスミドpMT2LA8[Pitman et al.(1993)Blood 81(11):2925-293 5]も、細胞に核酸移入した。pMT2LA8の地図を図8に示す。 細胞には、ヒト成長ホルモンをコードする2.5ng/mlの発現プラスミド(pCMVHG H)も同時核酸移入して、トランスフェクションレベルを正規化した。 mRNAレベルを測定するには、トランスフェクションの24時間後の細胞でノ ーザンブロット分析を実施した。VIII因子mRNAのレベルは、標準的手法(す なわち、Sambrook et al.“Molecular Cloning”2nd ed.に記載のようなそれ) によって測定し、グリセルアルデヒドリン酸脱水素酵素(GAPDH)RNAに 対して正規化した。図3に示したとおり、SV40IVS配列なしのPRE配列 の存在は、PRE配列を含まない発現プラスミドと比較して(図3の列1〜3を 参照されたい)、正規化されたVIII因子mRNAの量の2〜5倍を超える増加を 生じた(列4を参照されたい)。 VIII因子の発現レベルを測定するために、タンパク質検定をトランスフェクシ ョンの48時間後に、定量的ELISA[Zatloukal et al.(1994)PNAS 91:5148- 5152]および活性検定(KabiCoATest Kabi Inc.、スウェーデン国より購入)に よって実施した。HGHタンパク質レベルは、放射線免疫検定(RIA)(Nich ol's Institute)によって測定した。結果を図4および5に示す。 図4に示したとおり、発現されたVIII因子タンパク質の活性(KabiCoA Test) および量(ELISAによって測定)はともに、HBVPRE配列を含むプラス ミド(−SV+PREおよび+SV+PRE)を核酸移入した細胞で最大であっ た。 図5は、トランスフェクションが正規化された細胞(すなわち、HGHをコー ドするプラスミドを同時核酸移入し、RIAによって測定した細胞)でのVIII因 子発現(ELISAによって測定)の結果を示す。やはり、PRE配列の存在( プラスミドpcF8ΔK+PRE)は、PRE配列を含まないプラスミドと比較してVIII 因子発現の5倍までの増加を生じた。興味深いことに、最高レベルのVIII因子の 発現は、pMT2LAから得られ、プラスミドpcF8ΔK+PREは、それより僅かに低 かった。しかし、細胞内に存在するRNAの量については、その逆が真であって 、ノーザンブロット分析によって測定した限りで、pcF8ΔK+PREについて最高で あり、pMT2LAについては、それより低かった(図3)。 これは、pcF8ΔK+PREからのVIII因子転写物のすべてがタンパク質に翻訳され てはいないこと、および発現レベルを最適化するには、追加の遺伝的調節要素が プラスミドに、最も確からしくは5’領域に必要であって、それは、この領域が pMT2LAとpcF8ΔK+PREとで異なるからであることを示唆する。そのような追加の 要素は、組織特異性エンハンサー、代替的なプロモーターおよびリーダー配列、 またはPRE配列の追加のコピーを包含し得る。 実施例3:VIII因子cDNAおよびHBVPRE配列を含む発現プラスミドの標 的化されたin vivo発現 in vivo発現を調べるため、VIII因子Bドメイン欠失cDNAと、pCEP4という ベクター(InVitrogen Inc.)からの要素(例えばEBNA−1およびOriP )とを含むプラスミド(pMT2F8PREIVSpAGH-E/O)を調製した。PRE配列は、転 写されるが翻訳はされないよう、VIII因子終止コドンの3’およびヒト成長ホル モン遺伝子のポリアデニル化シグナルの5’に定置された。 次いで、下記のとおり、プラスミドを肝臓に送達されるよう標的化した。 I.pMT2F8PREIVSpAGH-E/Oを含む標的化された複合体の形成 ASORとポリ−L−リシンとの複合体を、McKeeら(1994)Bioconjugate Chem .5:306-311が報告したのと類似するカルボジイミド結合によって調製した。略 述すると、1:1:0.5の質量比でのASOR、26kDポリ−L−リシンおよびE DCを次のように反応させた。EDC(乾燥)をASORの攪拌水溶液に直接加 えた。26kDのポリリシンを加え、反応混合物をpH5.5〜6.0に調整し、環境温度で 2時間攪拌した。ASORの濃度は、最終反応条件下で5mg/mlであった。10mM の最終濃度までのNa3PO4(200mM、pH11)の添加によって、反応を急停止し た。複合体を、初めに、50mMトリス、pH7.5で溶離するFast Flow QSepharoseと いう陰イオン交換クロマトグラフィーカラム(Pharmacia)で精製し、次いで、 超純水に対して透析した。 約5.6mg/mlの濃度のASOR−ポリ−L−リシン複合体を、アリコートとし て反応容器に採取し、NaClの約4.7Mの最終濃度を得る量の5MのNaCl を、またNaOHの約59mMの最終濃度を得る量の1MのNaOHを加えた。溶液 を活発に混合した。 10mMトリス塩酸、1mMEDTA緩衝液中のVIII因子/PREのプラスミドを 、nMレベルの純水を加えることによって希釈し、次いで、担体溶液と併せて、30 0mMNaClおよび2mMNaOHの最終濃度を達成した。 複合体は、DNAの負電荷の50%を中和するのに充分な担体に対するDNAの 比で形成した。この比を決定するには、精製した透析複合体溶液のアリコートを 凍結乾燥し、秤量し、特定の濃度(重量/体積)で超純水に溶解した。ポリリシ ンは、280nmで最小吸光度を有するため、280nmでの吸光係数を用いて、複合体の ASOR成分(重量/体積)を算出した。複合体の組成は、UV吸光度によって 決定した限りでの、ASORの濃度(重量/体積)との複合体の濃度(重量/体 積)の比較によって推計した。二つの決定値の差を、複合体のポリリシン成分に 帰した。次いで、決定された陽イオンの組成を用いて、電荷中和に必要な複合体 対DNAの比(体積:体積)を算出した。 上記のプロトコルに用いた材料および方法は、次のとおりである:プロタミン 、ポリ−L−リシン(26kD;平均分子量)は、Sigma Chemical Co.,St.Louis ,MOから購入した。1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカル ボジイミド(EDC)は、Aldrich Chemical Co.,Milwaukee,WIから購入した 。オロソムコイドは、Alpha Therapeutics,Los Angeles,CAから購入した。ア シアロオロソムコイド(ASOR)は、0.1規定硫酸による76℃で1時間の加水 分解によって、オロソムコイド(15mg/ml)から調製した。ASORは、1.0規 定NaOHでのpH5.5までの中和、および室温での水に対する徹底的な透析によ って、反応混合物から精製した。ASORの濃度は、280nmでの0.92ml・mg-1・cm- 1 という吸光係数を用いて決定した。ORの脱シアリル化を確認するには、Warre n(1959)J.Biol.Chem.234:1971-1975のチオバルビツール酸検定を用いた。 上記の方法によって調製したASORは、98%脱シアリル化されていると決定さ れた。 II.標的化したpMT2F8PREIVSpAGH-E/Oを用いた発現検定 pMTF8PREIVSGHpAE/Oのプラスミド複合体1.0mlを、5匹のマウスに尾静脈を経 由して注射した(総DNA/マウス:10μg)。注射の1、4、7および10日後に マウスを犠牲に供し、肝臓を取り出し、ELISAによってVIII因子について検 定した。結果は、図6に示すが、有意なVIII因子の発現が10日目までに得られた ことを立証している。治療効果には、血液1mlあたり5ngが必要とされるが、1 、4、7および10日目に測定したVIII因子の平均レベルは、血液1mlあたり、そ れぞれ、82.4、72.3、47.5および50.2ngであった。 等価のもの 本発明は、その好適実施態様を参照して説明されているが、他の実施態様も、 同じ結果を達成することができる。当業者は、常套的であることを超えない実験 を用いて、本明細書に記載の特定の実施態様に対する無数の等価のものを認識す るか、または確認できるものと思われる。そのような等価のものは、本発明の範 囲内にあると考えられ、下記のクレームによって包含される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU ,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH, CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ビドリングマイアー,スコット アメリカ合衆国 06511 コネティカット, ニュー ヘイブン,パール ストリート 23

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. (a)遺伝子が細胞内で転写されるよう、プロモーター配列に機能的に 結合された一つまたはそれ以上の近共通スプライス配列を有する無イントロン遺 伝子と、(b)該遺伝子とともに転写され、該細胞の核から細胞質への遺伝子転 写物の輸出を生じる、ウイルスのシス作用性転写後調節要素の一つまたはそれ以 上のコピーとを含むベクター。 2. ウイルスのシス作用性転写後調節要素が、B型肝炎ウイルスに由来する 請求項1記載のベクター。 3. ウイルスのシス作用性転写後調節要素が、SEQ ID NO:1のヌクレオチ ド配列を含む請求項2記載のベクター。 4. ウイルスのシス作用性転写後調節要素の二つまたはそれ以上のコピーを 含む請求項3記載のベクター。 5. 遺伝子がcDNAである請求項1記載のベクター。 6. 遺伝子が、血液凝固因子をコードする請求項1記載のベクター。 7. 遺伝子が、VIII因子をコードする請求項6記載のベクター。 8. 遺伝子が、IX因子をコードする請求項6記載のベクター。 9. 核酸結合剤と、細胞表面の成分に結台するリガンドとの複合体に解放で きるように結合した請求項1記載のベクターを含む分子複合体。 10. 核酸結合剤がポリカチオンである請求項9記載の分子複合体。 11. ポリカチオンがポリリシンである請求項9記載の分子複合体。 12. リガンドが、末端炭水化物残基を含む請求項9記載の分子複合体。 13. リガンドが、アシアロ糖タンパク質受容体に結合する請求項9記載の分 子複合体。 14. リガンドが、アシアロ糖タンパク質である請求項13記載の分予複合体。 15. リガンドが、ガラクトース、マンノース、乳糖、トランスフェリン、イ ンスリン、抗体およびそのフラグメント、肺表面活性因子、胆汁酸、レクチン、 ビタミンB12、マンノース−6−リン酸、ウイルス成分、ならびにアポリポタン パク質よりなる群から選ばれる請求項9記載の分子複合体。 16. ウイルスのシス作用性転写後調節要素が、B型肝炎ウイルスに由来する 請求項9記載の分子複合体。 17. ウイルスのシス作用性転写後調節要素が、SEQ ID NO:1のヌクレオチ ド配列を含む請求項16記載の分子複合体。 18. 遺伝子がcDNAである請求項9記載の分子複合体。 19. 遺伝子が、血液凝固因子をコードする請求項9記載の分子複合体。 20. 血液凝固因子がVIII因子である請求項19記載の分子複合体。 21. 血液凝固因子がIX因子である請求項19記載の分子複合体。 22. 一ヶ所またはそれ以上の近共通スプライス部位を有する無イントロン遺 伝子の発現を増大させる方法であって、ウイルスのシス作用性転写後調節要素の 一つまたはそれ以上のコピーを、該転写後調節要素が、該遺伝子とともに遺伝子 転写物として転写され、細胞の核から細胞質への該遺伝子転写物の輸出を生じる よう、該遺伝子に機能的に結合する段階を含む方法。 23. ウイルスのシス作用性転写後調節要素が、B型肝炎ウイルスに由来する 請求項22記載の方法。 24. ウイルスのシス作用性転写後調節要素が、SEQ ID NO:1のヌクレオチ ド配列を含む請求項23記載の方法。 25. 遺伝子がcDNAである請求項22記載の方法。 26. 遺伝子が、血液凝固因子をコードする請求項22記載の方法。 27. 血液凝固因子がVIII因子である請求項26記載の方法。 28. 血液凝固因子がIX因子である請求項26記載の方法。
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