JP2000505813A - 新規なヒスチジン誘導体、その調製方法および使用 - Google Patents

新規なヒスチジン誘導体、その調製方法および使用

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、以下の一般式(I) (式中、Rは、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、6から22の炭素原子を有するアルキル基を示し、nは、1から16の範囲の整数であり、Q+は、H+または有機または無機カチオンを示す)の新規なヒスチジン誘導体およびその酸との付加塩に関する。本発明はまた、式(I)の化合物の調製方法、並びに、化粧品および薬剤中へのこれらの化合物の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 新規なヒスチジン誘導体、その調製方法および使用 本発明は、新規なヒスチジン誘導体、および、これらの調製方法に関する 。本発明はまた、これらの化合物を含有する化粧品または皮膚科学用組成物に関 する。本発明はまた、特に、これらの化合物の抗フリーラジカル剤としての使用 に関する。 太陽光線、熱、環境汚染、特に煙および煙草がフリーラジカル形成を導く ことが知られている。これらは、大部分は、分子状酸素に由来するものである。 以下のフリーラジカルが挙げられる: − 光の光子で分子状酸素の励起によって生成した、高度に酸化し、非常に 毒性で、非常に短いライフタイムを有する、1重項酸素; − 高い反応性のヒドロキシル基の生成を起こすことが可能で、酸素に電子 を付加することによって生成する、スーパーオキシドアニオンラジカル; − 非常に酸化し、細胞に対して最も毒性である、ヒドロキシル基。 これらのラジカル種の形成によって、特に、皮膚の脂質の酸化が起こる。 生存細胞、特に皮膚、頭皮、およびある種の粘膜における生存細胞は特に 、これらのフリーラジカルに感応性があり、これは、皮膚の老化促進に反映され 、輝きを失った顔貌となったり、皺および細い皺が早期に形成されたり、また、 髪のさえない外観および活力の減少という結果を招く。 したがって、これらのフリーラジカルから、皮膚、髪、および粘膜を保護 することが特に重要であることがわかる。 ある種の酸化防止剤がフリーラジカル形成を阻害可能であることが知られ ている。 すなわち、多くの脊椎動物の筋肉にある天然ジペプチドである、N−β− アラニル−L−ヒスチジン、またはカルノシンは、その抗フリーラジカル活性、 特に1重項酸素に対する活性があるとして知られている(文献:E.Decker and H .Faraji,JAOCS,vol.67,No.10,650-652,1990)。酸化防止剤としての、または抗 フリーラジカル剤としての化粧品中でのその使用はまた、特許出願WO −A−92/09298から知られている。しかしながら、皮膚と接触すると、 カルノシンは、皮膚に存在する酵素、特にプロテアーゼによって引き起こされる 裂化の問題点を示し、これはすなわち、実質的な活性喪失を導くものである。 カルノシン誘導体としてはまた、たとえば、特許、FR−C−2,496, 660に記載されたN−アシルカルノシン誘導体が知られている。脂肪酸とカル ノシンを結合させることによって得られ、化粧品調製物に使用されている、酸化 防止活性を有する生成物は、特許出願、FR−A−2,668,365に記載され ている。しかしながら、このようなカルノシン誘導体はまた、皮膚に存在する酵 素の存在下、不安定であるという同様の問題点を有する。 本出願人は、予想しないことに、皮膚に存在する酵素、特にプロテアーゼ と接触しても、従来技術の公知の誘導体よりもより大きな安定性を示し、それと 同時に、良好な抗フリーラジカル活性を有し、特に1重項酸素の脱活性化に良好 な効力を示す、新規なヒスチジン誘導体を見い出した。これらはしたがって、化 粧品および薬剤に使用可能であり、皮膚への適用が容易である。 本出願人は、このような結果が、カルバメート官能基を有するリポジペプ チドヒスチジン誘導体を用いると得られることを見い出した。 したがって、本発明の主題は、以下の一般式(I): (式中、Rは、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、6から22の炭素原 子を有するアルキル基を示し、 nは、1から16の範囲の整数であり、 Q+は、H+または有機または無機カチオンを示す) のヒスチジン誘導体および酸との付加塩である。 本発明によれば、Rは好ましくは、直鎖または分岐で、飽和の、8から1 8の炭素原子を有するアルキル基を示し、nは、1から11までの範囲の整数で ある。 有機カチオンは、塩基性アミノ酸、たとえばリジンまたはアルギニンから 、または、アミノアルコール、たとえばグルカミン、N−メチルグルカミンまた は3−アミノ−1,2−プロパンジオールから選択された残基を含有するアンモ ニウムから選択可能である。 無機カチオンは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属カチオン、たとえ ばNa+またはK+から、または、NH4 +イオンから選択されてもよい。 酸との付加塩はたとえば、塩酸塩、臭酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、および酢 酸塩から選択される。 構造中に不斉炭素を含有する式(I)の化合物は、D体、L体、またはD 、L体の化合物を含有する。 一般式(I)に相当する好ましい化合物としては、特に、 − N−オクチルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン、 − N−ドデシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン、 − N−2−エチルヘキシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジ ン塩酸塩、 − N−ヘキサデシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジンが挙 げられる。 本発明の主題はまた、式(I)の化合物の調製方法である。 該方法は、不活性溶媒中、式(II): (式中、Xは、ハロゲン原子、特に塩素原子、またはアゾールから誘導された 基、特に式(III): のようなイミダゾールに由来する基を示し、 Rは上記式(I)と同様の意味を有する) の化合物を、(A)カルノシンと反応させる、または、(B)第1工程として 、 式:H2N−(CH2n−COOHのアミノ酸と反応させて以下の式(IV): (式中、Rおよびnは上記式(I)と同様の意味を有する)の化合物を形成し、 第2工程として、カップリング剤の存在下、式(IV)の化合物とヒスチジンを反 応させることからなる。 ”カップリング剤”なる用語は、式(IV)の化合物においてOH基を置換し 、次いで、ヒスチジンで置換することの可能な種々の化合物のことを称する。カ ップリング剤は、文献:”Advanced Organic Chemistry,J.March,3rd edition,1 985,page 372”に記載されている。2−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボ キシイミド)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラ ートが特にカップリング剤として使用可能である。 不斉炭素を各々有する、出発原科であるヒスチジンおよびカルノシンは、 式(I)の化合物の所望の光学形態に応じて、純粋な光学形態で、または混合物 (D;L;D、L)として使用される。 ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタ ン、クロロホルム、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、テトラヒドロフラ ン、1,2−ジメトキシエタン、シクロヘキサン、水またはこれらの溶媒の混合 物が不活性溶媒として使用可能である。 反応は、好ましくは、−10℃から+40℃までの間、より好ましくは2 0℃から30℃までの間の温度で行われる。 反応は塩基の存在下で行われてもよい。塩基は、アルカリ金属またはアル カリ土類金属の水酸化物、炭酸水素ナトリウム、アルカリ金属のアルコキシド、 アルカリ水素化物、および3級アミン、たとえばピリジンまたはトリエチルアミ ンから選択可能である。炭酸水素ナトリウムが好ましくは使用される。 本発明はまた、生理学的に許容される媒体中に、上記で定義した式(I) の化合物を含有する組成物に関する。 該化合物を含有する組成物は、特に、それぞれ、化粧品としてまたは薬剤 学的に許容される媒体を含有する化粧品または薬剤組成物の形態であってもよい 。 本発明による組成物中には、式(I)の化合物は、組成物の全重量に対し て、一般的には0.01から15重量%、好ましくは0.1から5重量%存在す る。 これらの組成物は、当業者に公知の常法にしたがって調製可能である。こ れらは、ローション、ゲル、油中水型または水中油型エマルション、ミクロエマ ルション、ミルク、クリーム、パウダー、ペースト、固形スティック、スプレー 、またはエアゾールムースの形態であってもよい。 本発明の主題はまた、式(I)の化合物の、抗フリーラジカル剤としての 、特に1重項酸素を脱活性化するための抗フリーラジカル剤としての、特に化粧 品または薬剤組成物中での使用である。 本発明はまた、老化に対するケラチン物質をトリートメントするための化 粧品または薬剤組成物中への、式(I)の化合物の使用である。 ”ケラチン物質”なる用語は、皮膚、頭髪、つめ、他の体毛、および粘膜 、半粘膜、たとえば唇を意味する。 出願人はまた、驚くべきことに、式(I)の化合物が安定な脂質小胞体を 形成可能であるアニオン両親媒性脂質をなすことを見い出した。 公知の方法で、脂質小胞体は一般的には、液相をカプセル化する1以上の 多分子層を含有する、実質的に同中心のリーフレット(leaflet)からなる脂質 膜によって特徴付けられるものである。この液相は一般的には水相である。これ らの小胞体は、公知の方法で、水相中の分散物の形態で調製される。種々の調製 方法はたとえば文献:”Les liposomes en biologie cellulaire et pharmacolo gie−INSERM publications−John Libley,Eurotext,1987,pages 6 to 18に記載 されているが、これらに限定されるものではない。 本発明の主題はしたがって、上記式(I)の化合物の少なくとも1つから 形成された脂質膜を含有する脂質小胞体の水性分散物である。 本発明による脂質小胞体は好ましくは、水相をカプセル化する脂質膜を含 有する。 本発明の主題はまた、式(I)の化合物の少なくとも1つから形成された 脂質膜を含有する脂質小胞体の水性分散物を含有する化粧品または薬剤組成物で ある。 本発明の他の主題はまた、脂質小胞体を形成可能な両親媒性脂質としての 、上記式(I)の化合物を使用することからなる。 本発明によれば、安定な小胞体を形成可能な種々のイオンおよび/または 非イオン両親媒性脂質であって、その機能が小胞体膜の透過性を減少させること 、およびそれらの安定性を改善することである添加剤との混合物または単独のも のが、式(I)の化合物との混合物として、本発明による小胞体の脂質膜をなす ために使用可能である。本発明による分散物中の小胞体の膜をなす脂質相はした がって、公知の方法で、非イオン両親媒性脂質およびイオン両親媒性脂質からな る群から選択された、少なくとも1つの両親媒性脂質を含有するものである。 本発明による小胞体の脂質膜を形成するための式(I)の化合物を用いて 使用された非イオン両親媒性脂質は、以下のものから選択可能である。 (1)式:R10O−[−C35−(OH)O−]q−H (式中、 ・−C35−(OH)O−は、以下の構造: の混合物としてまたは個々のものとして示され、 ・qは2から6までの間の平均統計値であり、 ・R10は、 (a)12から18の炭素原子を含有する直鎖または分岐脂肪族鎖、 (b)R11CO基(式中、R11は直鎖または分岐脂肪族C11−C17基である )、 (c)R12−[−OC23(R13)−]−基(式中、・R12はR10の上記( a) および(b)の意味を有しても良く、・OC23(R13)−は以下の構造: (式中、R13はR10の上記(a)の意昧を有する) の混合物としてまたは個々のものとして示す)、 (2)ポリオキシエチレン化脂肪アルコールおよびポリオキシエチレン化ス テロール、 (3)任意にポリオキシエチレン化したポリエステル、 (4)天然または合成のグリコ脂質、 (5)オキシエチレン化ポリグリセリル=ステアラート、 (6)PCT出願92/08685に記載され、式(V): (式中、R14は直鎖C14からC18のアルキル基または−CH2Y基(式中、Y は−OR15であり、R15は直鎖C10からC18、好ましくはC16のアルキル基であ り、pは1よりも大きく3以下の平均統計値であり、さらに、R14が−CH2Y基 の場合、pはまた2の整数であってもよい)に相当するグリセロール誘導体、 (7)α−ブチルグルコシドの脂肪酸エステルおよびエーテル、ここで、い ずれかは、α−ブチルグルコシドの異なった脂肪酸エステルの混合物および/ま たはα−ブチルグルコシドの異なった脂肪酸エーテルの混合物であってもよく、 種々の脂肪鎖は互いに類似の炭素原子数(たとえば1または2の違い)を有し、 または、α−ブチルグルコシドの同じ脂肪酸モノ−、ジ−、トリ−、またはポリ エステルの混合物および/またはα−ブチルグルコシドの同じ脂肪酸モノ−、ジ −、トリ−、またはポリエーテルの混合物であってもよい。 本発明において使用されるα−ブチルグルコシドの脂肪酸エスデルおよび エーテルは好ましくは、8から24の炭素原子、より好ましくは12から22の 炭素原子、さらに好ましくは14から18の炭素原子を含有する脂肪鎖を含有す る。 たとえば、α−ブチルグルコシドのラウリン(C12)、ミリスチン(C14 )、パルミチン(C16)、ステアリン(C18)、およびベヘン(C22)酸エステ ルおよびエーテルが挙げられる。α−ブチルグルコシドのパルミチン酸モノ−お よびジエステルの混合物が特に使用される。 本発明によるα−ブチルグルコシドの脂肪酸エステルおよびエーテルは、 特許出願、FR−A−2680373に記載された、酵素を用いる製造方法、すな わち、α−トランスグルコシル化活性を有する純粋な酵素的製剤の存在下、ブタ ノールを澱粉、マルトデキストリンまたはマルトースとともに存在させることか らなる方法にしたがって得られる。α−ブチルグルコシドの脂肪酸エステルおよ びエーテルは、相当する脂肪酸または脂肪酸混合物をα−ブチルグルコシドと常 法にしたがって反応させることによって合成可能である。 本発明による小胞体の膜を形成するために式(I)の化合物と組み合わせ て使用されるイオン両親楳性脂質は、以下のものから選択される。 (1)以下のアニオン両親媒性脂質: − 天然リン脂質、たとえば卵またはダイズレシチン、スフィンゴミエリン 、ホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、および水素化 レシチン、化学的または酵素的に変性したリン脂質および合成リン脂質; − 式(IV)のアニオン化合物: (式中、R16はC7−C21アルキル又はアルケニル基を示し、 R17は飽和または不飽和C7−C31炭化水素ベースの基を示し、 MはH、Na、K、NH4またはアミンから誘導した置換アンモニウムイオンを 示す); − アニオン化合物、たとえば脂肪アルコールのリン酸エステル、特に酸性 形態のまたはアルカリ塩形態のジセチル=ホスファートおよびジミリスチル=ホ スファート、ヘプチルノニルベンゼンスルホン酸、硫酸水素コレステリルまたは リン酸水素コレスデリル、ならびに、それらのアルカリ塩、リソレシチン、アル キル=スルファート、たとえばナトリウム=セチル=スルファート、ガングリオ シド、モノナトリウムおよびジナトリウム=アシルグルタマート、特にN−ステ アロイルグルタミン酸のモノナトリウムおよびジナトリウム塩、ホスファチジン 酸のナトリウム塩、リンアミノ脂質および天然リン脂質、 (2)以下のカチオン両親媒性脂質: − 式(VII)のカチオン化合物: (R18)(R19)N+(R20)(R21)X- (VII) (式中、R18およびR19は、同一でも異なっていてもよく、C12−C20アルキ ル基を示し、R20およびR21は、同一でも異なっていてもよく、C1−C4アルキ ル基を示す)、 − 長鎖アミンおよびその4級アンモニウム誘導体、長鎖アミノアルコール エステルおよびその塩および4級アンモニウム誘導体、 − 文献:Riingsdorf et al."Angewandte Chemie",vol.27,No.1,January19 88,pages 129-137に記載されているような重合性脂質。 公知の方法で、本発明の小胞体の脂質膜をなす脂質相に少なくとも1つの 添加剤を組み入れることが可能である。該添加剤の主なる機能は、小胞体の透過 性を減少させること、それらの凝固および溶融を防止すること、およびカプセル 化度を増加させることである。 本発明の好ましい実施態様によれば、 − ステロール、特にフィトステロールおよびコレステロール、 − 長鎖アルコールおよびジオール、 − 長鎖アミンおよびその4級アンモニウム誘導体 による群から好ましくは選択された少なくとも1つの添加剤が脂質相に添加可 能である。 これらの添加剤は任意に、化粧品および/または皮膚薬理活性を有してい てもよい。これは、たとえばコレステロールの場合である。 本発明による小胞体分散物の水連続相は、水、または、水と少なくとも1 つの水混和性溶媒、たとえばC1−C7アルコールおよびC2−C5アルキルポリオ ールの混合物からなるものであってもよい。該水相はまた、溶液中の化合物、例 えば、糖、有機または無機塩またはポリマーを含有してもよく、また、安定化さ せるための乳化剤を導入する必要がないように、小胞体が安定化する水に非混和 性の液体の液滴の分散物を含有してもよい。該水に非混和性の液体は、動物また は植物油、天然または合成精油、炭化水素、ハロ炭素、シリコーン、エーテル、 ポリエーテル、アルコールの無機酸エスエルからなる群から選択されてもよい。 水に非混和性の液体の例としては、特許出願、EP−A−455528に記載され たものが挙げられる。 本発明による化合物を含有する組成物はまた、公知の方法で、その溶解度 特性に応じて、異なった局在性を有することの可能な、化粧品および/または薬 理活性を有する1以上の活性化合物を含有可能である。たとえば、カプセル化し た水相を含有する小胞体分散物の場合、もし活性剤が脂溶性であれば、これらは 、小胞体のリーフレット(leaflet)をなす脂質相に、または小胞体によって安 定化した水に非混和性の液体の液滴中に存在可能である。もし活性剤が水溶性で あれば、これらは、小胞体のカプセル化した水相中に、または分散物の連続水相 中に存在可能である。もし活性剤が両親媒性であれば、これらは、これら自体、 両親媒性活性剤の性質および脂質相およびカプセル化した水相の組成に応じて種 々に変わる分配係数をもって、脂質相およびカプセル化した水相の間に分布する ものである。一般的には、活性剤はリーフレットの脂質相に、および/またはリ ーフレットによってカプセル化した相中に存在するものである。 本発明による組成物はまた、公知の方法で、本質的に薬理または化粧品活 性を有さないが、組成物を製剤するには有用である、製剤添加剤を含有可能であ る。これらの添加剤としては、たとえば、ゲル化剤、ポリマー、防腐剤、染料、 乳白剤、および香料が挙げられる。 本発明による化粧品または薬学組成物は特に、たとえばシャンプーまたは コンディショナー、クレンジング組成物、スキンケアまたはヘアケアクリーム、 抗太陽組成物、アフターシェーブクリームまたはムース、ボディデオドラント、 口内用組成物、ヘアダイ組成物またはメークアップ組成物の形態であってもよい 。 以下に、本発明がより理解されるように、実施例を例解するが、これらは 本発明を例解するものであって、本発明はこれらに限定されるわけではない。 実施例1:N−オクチルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン の調製 a)N−オクチルオキシカルボニル−β−アラニンの調製: 20g(224.46mmol)のβ−アラニンを225mlの1N水酸化ナト リウム溶液中に溶解した。1N水酸化ナトリウムの1モル当量を同時に添加する ことによって、反応媒体のpHを9以上に保持しながら、44mlのオクチル=クロ ロホルマートを次いで滴下する。室温で6時間撹拌後、該混合物を3N塩酸溶液 、約1.1モル当量で酸性化した。不均一混合物を300mlの酢酸エチルで抽出 した。有機相を3回、80mlの水で洗浄し、乾燥して、ドライになるまで濃縮し た。固体残さをヘプタンに取り込み、次いでろ過して乾燥した。51gの白色生 成物が得られた(収率93%)。 融点:70−72℃ 元素分析:C1223NO4、MW=245.3 b)N−オクチルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジンの調製 : 30gのN−オクチルオキシカルボニル−β−アラニンを300mlのジメチ ルホルムアミドと1モル当量のトリエチルアミンに溶解した。次いで、1モル当 量の2−(5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド)−1,1,3,3 −テトラメチルウロニウム=テオラフルオロボラートを添加した。該混合物を次 いで25℃の室温で1時間撹拌した。次いで、30℃以下の温度に保持しながら 、100mlの水中の1.2モル当量のヒスチジンおよび1.2モル当量の水酸化 ナトリウムの溶液を滴下した。6時間撹拌後、該混合物を1モル当量の5N塩酸 で、次いで100mlの水で中性化した。30分間撹拌後、該混合物を2リットル のアセトンに注いだ。形成した白色沈殿をろ過し、乾燥した。粗生成物を、還流 する96%エタノール、10ml/gに溶解した。該溶液を熱いままでろ過し、生 成物を室温で結晶化した。沈殿形成後、29.4gの白色結晶生成物が得られた (63%の収率)。 融点:188−190℃ 元素分析:C183045・2/3H2O、MW=394.4 実施例2:N−ドデシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン の調製 a)N−ドデシルオキシカルボニル−β−アラニンの調製: 55.6gのドデシル=クロロホルマートを用いて、実施例la)と同様 の方法にしたがって上記化合物を調製した。27gの白色生成物が得られた(収 率40%)。 融点:88−90℃ 元素分析:C1631NO4、MW=301.43 b)N−ドデシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジンの調製 : 30gのN−ドデシルオキシカルボニル−β−アラニンを用いて、実施例1 b)と同様の方法にしたがって上記化合物を調製した。29.7gの白色結晶生 成物が得られた(収率68%)。 融点:168−172℃ 元素分析:C223845、MW=438.572 実施倒3:N−2−エチルヘキシルオキシカルボニル−β−アラニル−L− ヒスチジン塩酸塩の訓製 2gのL−カルノシンを、3.5mlの10%水酸化ナトリウム溶液の存在 下、10mlの水と10mlのテトラヒドロフラン中に溶解した。1.7gの2−エ チルヘキシル=クロロホルマートを、予め10℃に冷却した混合物に滴下した。 混合物のpHを9以上に保持するために、水酸化ナトリウム溶液を同時に添加した 。室温で6時間撹拌後、該混合物を3N塩酸溶液でpH2に酸性化し、次いでアセ トンから沈殿させた。ろ過して乾燥後、1.2gの白色生成物が得られた(収率 40%)。 元素分析:C183045,HCl、MW=418.7 実施例4:比較例 文献:Pure & Appl.Chem.,vol.62,No.8,1467-1476(1990)にも記載されて いるような、以下の原理にしたがって、実施例1の化合物の抗1重項酸素活性を 、先行技術のN−オクタノイル−β−アラニル−L−ヒスチジン(化合物Aと称 する)と比較した。 全ての実験において、1重項酸素は、437nmで、重水素化メタノール中に 溶解したRu(bipy)3Cl(トリス(2,2’−ビピリジル)ルテニウム=クロリ ド=ヘキサハイドラート)を照射することによって発生させた。 テスト化合物を用いた1重項酸素の物理阻害定数(Kq)および化学反応 定数(Kr)の合計が定められた。 1重項酸素の脱活性化の結果は、1270nmでの1重項酸素のルミネセン ス(赤外発光)を測定し、酸素の消失の速度論(kinetics)をモニターすること によって分析可能である。 結果の処理(exploitation)は、Stern−Volmerタイプ分析原理に基づく : 得られたシグナルをテスト化合物無し(So)とテスト化合物あり(S)で、種々 の溶液濃度において測定する。比率So/Sによって、以下の関係による(Kq+Kr )の値を定めることが可能となる。 So/S = Φo/Φ = (Kq+Kr) X τo X [P] Φoは、化合物無しでの発光の量収率(quantic yield)を示し、 Φは、化合物有りでの発光の量収率(quantic yield)を示し、 τoは、重水素化メタノール(270μs)における1重項酸素のライフタイ ムを示し、 Kq+Krは、1重項酸素の物理阻害のおよび化学反応の速度定数の合計を示す) 。 以下の結果が得られた: 得られた結果は、本発明による化合物における定数の合計(Kq+Kr)が 、先行技術の化合物Aのものよりも大きい、すなわち、本発明による化合物(実 施例1)は先行技術の化合物(化合物A)よりも非常に高い抗1重項酸素活性を 有することを示している。実施例1の化合物は、化合物Aよりもより高い抗1重 項酸素活性を有する。 化合物A、N−オクタノイル−β−アラニル−L−ヒスチジンを調製する 方法は以下のようなものである。 2g(8.84mmol)のL−カルノシンを10mlの水および10mlのテト ラヒドロフランに、3.5mlの10%水酸化ナトリウム溶液の存在下、溶解した 。次いで、1.5mlのカプリロイル=クロリドを、10℃に冷却した上記混合物 に滴下した。室温で一昼夜放置後、反応混合物をアセトンから沈殿させた。得ら れた粗生成物をエタノールから再結晶化させた。ろ過、洗浄、および乾燥後、1 .8gの白色生成物が得られた(収率57%)。 元素分析:C172844,MW=352.437 実施例5 以下の組成を有する水中油型エマルションを調製した: − 実施例2の化合物・・・・・0.5g − イソステアリル=ネオペンタノアート・・・・・10g − カプリン酸およびカプリル酸のトリグリセリド・・・・・8g − 流動パラフィン・・・・・5g − ヘキスト社から”Hostacerin DGS”の商品名で販売されている、4モル のエチレングリコールおよび2モルのグリセロールでポリグリセロール化したポ リエチレングリコール=ステアラート・・・・・2g − クロダ社から”Crofados N.10 acid”の商品名で販売されている、ポリ エチレングリコールおよびオレイルアルコールエーテルおよびリン酸エステルの 混合物・・・・・4g − グリセロール・・・・・4g − グリセリル=ステアラート・・・・・1.3g − 増粘剤・・・・・0.25g − 水・・・・・合計 100g デイリーフェーシャルケアに仝く適当であるクリームがこのようにして得 られた。 実施例6 以下の組成を有する水中油型エマルションを調製した: − 実施例1の化合物・・・・・1g − オクチル=パルミタート・・・・・12g − 100モルのエチレングリコールを含有するでポリエチレングリコール =ステアラート・・・・・1.3g − グリセリル=ソルビタン・・・・・0.4g − ステアリン酸・・・・・1g − 増粘剤・・・・・0.4g − 水・・・・・合計 100g 顔への適用が容易で有る、脂っぽい傾向にあるノーマルスキン用クリーム がこのようにして得られた。 実施例7 以下の組成を有する水中油型エマルションを調製した: − 実施例2の化合物・・・・・1g − オクチル=オクタノアート・・・・・10g − ジカプリル=シトラート・・・・・8g − グリセリル=ステアラート・・・・・0.7g − ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(2モルのエチレング リコール)エーテル(ICIからの”Brij 72”)・・・・・0.4g − ステアリルアルコールのポリエチレングリコール(21モルのエチレン グリコール)エーテル(ICIからの”Brij 721”)・・・・・0.8g − 40モルのエチレングリコールを含有するポリエチレングリコール=ス テアラート(ICIからの”Myrj 52")・・・・・1.5g − 小麦蛋白質加水分解物・・・・・0.3g − 増粘剤・・・・・0.28g − グリセロール・・・・・5g − 水・・・・・合計 100g デイリーフェーシャルケア用に使用可能なクリームがこのようにして得ら れた。 実施例8 以下の組成を有する水中油型エマルションを調製した: − 実施例1の化合物・・・・・0.5g − シクロメチコーン・・・・・2g − イソステアリル=イソステアラート・・・・・4g − ジメチコーンコポリオール・・・・・2g − ステアリン酸・・・・・0.5g − 水・・・・・合計 100g 顔に容易に適用される白色流体がこのようにして得られた。 実施例9 以下の小胞体分散物の形態の組成物を調製した: A相: − 実施例2の化合物・・・・・1.2% − コレステロール・・・・・1.8% − ビタミンE・・・・・0.3% B相: − 脱イオン水・・・・・30% − グリセロール・・・・・5% − リジン・・・・・0.4% C相: − 蒸留水・・・・・15% − ヒアルロン酸ナトリウム・・・・・0.4% D相: − ポリカルボン酸の混合物(グッドリッチ社からのカルボポール980) ・・・・・0.20% − トリエタノールアミン・・・・・全体としてpH6.5とする量 − 脱イオン水・・・・・合計 100% A相の成分を、均一な混合物が得られるまで、90−110℃で、混合し た。A相を、激しく撹拌しながら90℃に加熱したB相に導入した。撹拌および 温度を1時間保持した。得られた懸濁液を次いで、600バール(6X107Pa )で高圧ホモジナイゼーションで3回処理した。100から250nmの粒子径を 有する小胞体がこのようにして得られた。 C相を次いで室温で導入し、この後、D相をデフロッキュレーター(defl occulating machine)を用いてそこに分散された。 抗老化ケアーシーラムとして使用可能なスムーズな組成物がこのようにし て得られた。 実施例10 以下の小胞体分散物の形態の組成物を調製した: A相: − 実施例2の化合物・・・・・2% − コレステロール・・・・・3% − ビタミンE・・・・・0.5% B相: − 脱イオン水・・・・・35% − グリセロール・・・・・5% − リジン・・・・・0.65% C相: − 蒸留水・・・・・5% − 防腐剤・・・・・0.3% D相: − 揮発性シリコーン油・・・・・10% − アプリコット核油・・・・・10% − 防腐剤・・・・・0.1% E相: − ポリカルボン酸の混合物(グッドリッチ杜からのカルボポール980) ・・・・・0.20% − トリエタノールアミン・・・・・全体としてpH6.5とする量 − 脱イオン水・・・・・合計 100% 実施例9で用いた方法に従って組成物を調製した。D相を、激しく撹拌し ながら、C相を組み入れた後に得られた小胞体分散物に導入した。該混合物を次 いで、600バール(6X107Pa)で2回均一化した。油性小球体の粒子径は 約300nmであった。E相を次いで分散させた。 顔用デイクリームとして使用可能な組成物がこのようにして得られた。 実施例11 以下の小胞体分散物の形態の組成物を調製した: A相: − 実施例2の化合物・・・・・1.5% − コレステロール・・・・・2.7% − ビタミンE・・・・・0.8% − ソルビタン=パルミタート・・・・・3.8% B相: − 脱イオン水・・・・・50% − グリセロール・・・・・5% − リジン・・・・・0.5% C相: − 蒸留水・・・・・5% − 防腐剤・・・・・0.3% D相: − マカデミア油・・・・・5% − 防腐剤・・・・・0.3% E相: − ポリカルボン酸の混合物(グッドリッチ社からのカルボポール980) ・・・・・0.42% − トリエタノールアミン・・・・・全体としてpH6.5とする量 − 脱イオン水・・・・・合計 100% 実施例10で用いた方法に従って組成物を調製した。 顔用デイクリームとして使用可能な組成物がこのようにして得られた。
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Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 以下の一般式(I) (式中、Rは、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、6から22の炭素原 子を有するアルキル基を示し、 nは、1から16の範囲の整数であり、 Q+は、H+または有機または無機カチオンを示す) のヒスチジン誘導体およびその酸との付加塩。 2. Rが、直鎖または分岐で、飽和の、8から18の炭素原子を有する アルキル基を示す、請求項1に記載のヒスチジン誘導体。 3. nが、1から11までの範囲の整数である、請求項1または2に記 載のヒスチジン誘導体。 4. 有機カチオンが、アミノアルコールおよび塩基性アミノ酸から選択 された残基を含有するアンモニウムから選択される、請求項1ないし3のいずれ か1項に記載のヒスチジン誘導体。 5. 無機カチオンが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、およびN H4 +イオンから選択される、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のヒスチジ ン誘導体。 6. 酸との付加塩が、塩酸塩、臭酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、および酢酸 塩から選択される、請求項1および2のいずれか1項に記載のヒスチジン誘導体 。 7. N−オクチルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン、 N−ドデシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン、N−2−エチ ルヘキシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジン塩酸塩、N−ヘキ サデシルオキシカルボニル−β−アラニル−L−ヒスチジンから選択される、請 求項1ないし6のいずれか1項に記載のヒスチジン誘導体。 8. 以下の一般式(I): (式中、Rは、直鎖または分岐で、飽和または不飽和の、6から22の炭素原 子を有するアルキル基を示し、 nは、1から16の範囲の整数であり、 Q+は、H+または有機または無機カチオンを示す) の化合物の調製方法であって、不活性溶媒中、式(II): (式中、Xはハロゲン原子またはアゾールから誘導された基を示す) の化合物を、(A)カルノシンと反応させる、または、(B)第1工程として 、 式:H2N−(CH2n−COOHのアミノ酸と反応させて以下の式(IV): の化合物を形成し、第2工程として、カップリング剤の存在下、式(IV)の化 合物とヒスチジンを反応させることからなる、調製方法。 9. Xが塩素原子であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。 10. 生理学的に許容される媒体中に、請求項1ないし7のいずれか1 項に定義した式(I)の化合物を少なくとも1つ含有することを特徴とする、組 成物。 11. 化粧品または薬剤組成物の形態であることを特徴とする、請求項 10に記載の組成物。 12. ローション、ゲル、エマルション、ミクロエマルション、ミルク 、クリーム、パウダー、ペースト、固形スティック、スプレー、またはエアゾー ルムースの形態であることを特徴とする、請求項10または11に記載の組成物 。 13. 式(I)の化合物が組成物の全重量に対して、0.01から15 重量%、好ましくは0.1から5重量%存在することを特徴とする請求項10な いし12のいずれか1項に記載の組成物。 14. 請求項1ないし7のいずれか1項による式(I)の化合物の、抗 フリーラジカル剤としての使用。 15. 請求項1ないし7のいずれか1項による式(I)の化合物の、1 重項酸素を脱活性化するための抗フリーラジカル剤としての使用。 16. 老化に対するケラチン物質をトリートメントするための化粧品ま たは薬剤組成物の調製用への、請求項1ないし7のいずれか1項による式(I) の化合物の使用。 17. 小胞体が、請求項1ないし7のいずれか1項による式(I)の化 合物の少なくとも1つから形成された脂質膜を含有することを特徴とする、脂質 小胞体の水性分散物。 18. 脂質膜が、水相をカプセル化することを特徴とする、請求項17 に記載の分散物。 19. 脂質膜をなす脂質相はまた、少なくとも1つの、非イオン両親媒 性脂質および/またはイオン両親媒性脂質を含有することを特徴とする、請求項 17または18に記載の分散物。 20. 脂質膜をなす脂質相が、その主なる機能が小胞体の透過性を減少 させること、それらの凝固および溶融を防止すること、およびカプセル化度を増 加することである添加剤を含有することを特徴とする、請求項17ないし19の いずれか1項に記載の分散物。 21. 添加剤が、ステロール、長鎖アルコールおよびジオール、長鎖ア ミンおよびその4級アンモニウム誘導体による群から選択されることを特徴とす る、請求項20に記載の分散物。 22. 添加剤がコレステロールであることを特徴とする、請求項21に 記載の水性分散物。 23. 化粧品としてまたは薬剤学的に許容される媒体中に、請求項17 ないし22のいずれか1項による小胞体の水性分散物を少なくとも1つ含有する ことを特徴とする、化粧品または薬剤組成物。 24. 請求項1ないし7のいずれか1項による式(I)の化合物の、脂 質小胞体を形成するための両親媒性脂質としての使用。
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